JP2509765B2 - 溶射用粉末およびロ―ルの溶射被覆方法 - Google Patents
溶射用粉末およびロ―ルの溶射被覆方法Info
- Publication number
- JP2509765B2 JP2509765B2 JP3123514A JP12351491A JP2509765B2 JP 2509765 B2 JP2509765 B2 JP 2509765B2 JP 3123514 A JP3123514 A JP 3123514A JP 12351491 A JP12351491 A JP 12351491A JP 2509765 B2 JP2509765 B2 JP 2509765B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder
- thermal spray
- spray coating
- roll
- resistance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Coating By Spraying Or Casting (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶射用粉末、特に、連
続焼鈍炉に使用されるハースロールに優れた耐摩耗性、
耐ビルドアップ性および耐剥離性を有する溶射被覆層を
形成することのできる溶射用粉末、およびこの溶射用粉
末を用いるロールの溶射被覆方法に関する。
続焼鈍炉に使用されるハースロールに優れた耐摩耗性、
耐ビルドアップ性および耐剥離性を有する溶射被覆層を
形成することのできる溶射用粉末、およびこの溶射用粉
末を用いるロールの溶射被覆方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼業においては、冷延鋼板、メッキ鋼
板等の連続焼鈍炉にハースロールが使用されている。こ
れらのハースロールは、鋼板を 700℃以上の高温で焼鈍
する際の炉内における搬送用ロールであり、高温で鋼板
と接触する。その際、鋼板表面の酸化物や軟化した鋼板
の鉄がハースロール表面に付着し、堆積してビルドアッ
プが形成され、そのため搬送される鋼板の表面に疵が生
ずる。また、ハースロールには鋼板の蛇行を防止するた
めにテーパーやクラウンが付与されているので、搬送中
に鋼板とハースロールとが摺動してビルドアップが生ず
る。従って、ハースロールは耐ビルドアップ性に優れて
いることが必要であるが、さらに、前記の摺動に起因し
てハースロールが摩耗するので、高温における耐摩耗性
に優れていることも不可欠である。このため、通常、ロ
ール表面に溶射被覆層を形成させ、耐摩耗性の向上を図
っているが、炉温の上昇および下降時の急激な温度変動
による溶射被覆層の剥離が問題となるので、良好な耐剥
離性を有することも必要である。
板等の連続焼鈍炉にハースロールが使用されている。こ
れらのハースロールは、鋼板を 700℃以上の高温で焼鈍
する際の炉内における搬送用ロールであり、高温で鋼板
と接触する。その際、鋼板表面の酸化物や軟化した鋼板
の鉄がハースロール表面に付着し、堆積してビルドアッ
プが形成され、そのため搬送される鋼板の表面に疵が生
ずる。また、ハースロールには鋼板の蛇行を防止するた
めにテーパーやクラウンが付与されているので、搬送中
に鋼板とハースロールとが摺動してビルドアップが生ず
る。従って、ハースロールは耐ビルドアップ性に優れて
いることが必要であるが、さらに、前記の摺動に起因し
てハースロールが摩耗するので、高温における耐摩耗性
に優れていることも不可欠である。このため、通常、ロ
ール表面に溶射被覆層を形成させ、耐摩耗性の向上を図
っているが、炉温の上昇および下降時の急激な温度変動
による溶射被覆層の剥離が問題となるので、良好な耐剥
離性を有することも必要である。
【0003】従来から、この種の溶射被覆材としては耐
熱鋼、あるいは耐熱鋼にセラミックスを分散させた材料
からなる溶射被覆材等が用いられている。また、例えば
特公昭58− 17775号公報に記載されているように、ハー
スロールの表面にCo系の耐熱合金やこの合金にジルコニ
アやアルミナ等のセラミックスを分散させた溶射用粉末
による溶射被覆が行われ、耐摩耗性の向上が図られてい
る。
熱鋼、あるいは耐熱鋼にセラミックスを分散させた材料
からなる溶射被覆材等が用いられている。また、例えば
特公昭58− 17775号公報に記載されているように、ハー
スロールの表面にCo系の耐熱合金やこの合金にジルコニ
アやアルミナ等のセラミックスを分散させた溶射用粉末
による溶射被覆が行われ、耐摩耗性の向上が図られてい
る。
【0004】しかし、これらの耐熱鋼や耐熱合金からな
る溶射用粉末による溶射被覆層は、耐摩耗性の向上には
効果があるものの、金属や酸化物の凝着、堆積に起因す
るビルドアップの発生や、この溶射被覆層の剥離の防止
に対しては効果が小さい。また、耐熱合金にジルコニア
やアルミナ等のセラミックスを分散させた溶射用粉末に
よる溶射被覆層は、多数回の急激な温度変動を受ける
と、熱膨張係数が母材金属と異なるため剥離するという
欠点がある。例えば、前記の特公昭58− 17775号公報に
示された Al2O3サーメット系の溶射被覆では、 Al2O3を
50vol.%まで含有させることができ、優れた耐摩耗性を
示すものの、溶射被覆層の耐剥離性が不充分である。こ
のように、従来の溶射用粉末では、高温における耐摩耗
性に優れるとともに、耐ビルドアップ性および耐剥離性
についても充分に満足し得る溶射被覆層を形成すること
はできなかった。
る溶射用粉末による溶射被覆層は、耐摩耗性の向上には
効果があるものの、金属や酸化物の凝着、堆積に起因す
るビルドアップの発生や、この溶射被覆層の剥離の防止
に対しては効果が小さい。また、耐熱合金にジルコニア
やアルミナ等のセラミックスを分散させた溶射用粉末に
よる溶射被覆層は、多数回の急激な温度変動を受ける
と、熱膨張係数が母材金属と異なるため剥離するという
欠点がある。例えば、前記の特公昭58− 17775号公報に
示された Al2O3サーメット系の溶射被覆では、 Al2O3を
50vol.%まで含有させることができ、優れた耐摩耗性を
示すものの、溶射被覆層の耐剥離性が不充分である。こ
のように、従来の溶射用粉末では、高温における耐摩耗
性に優れるとともに、耐ビルドアップ性および耐剥離性
についても充分に満足し得る溶射被覆層を形成すること
はできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温の酸化
性または還元性雰囲気中で使用する際に、優れた耐摩耗
性を保持するとともに、良好な耐剥離性および耐ビルド
アップ性を有する溶射被覆層を形成することのできる溶
射用粉末と、その粉末を用いるロールの溶射被覆方法を
提供することを目的とする。
性または還元性雰囲気中で使用する際に、優れた耐摩耗
性を保持するとともに、良好な耐剥離性および耐ビルド
アップ性を有する溶射被覆層を形成することのできる溶
射用粉末と、その粉末を用いるロールの溶射被覆方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
およびのハースロール用溶射用粉末と、下記および
のハースロールの溶射被覆方法にある(以下、%は
「重量%」を意味する)。
およびのハースロール用溶射用粉末と、下記および
のハースロールの溶射被覆方法にある(以下、%は
「重量%」を意味する)。
【0007】 Ni:5〜15%、Cr:10〜25%、Al:5
〜15%、Hf:0.5 〜 2.5%を含有し、残部がCoおよび不
可避不純物からなるハースロール用溶射用粉末。
〜15%、Hf:0.5 〜 2.5%を含有し、残部がCoおよび不
可避不純物からなるハースロール用溶射用粉末。
【0008】 Ni:5〜15%、Cr:10〜25%、Al:5
〜15%、Hf:0.5 〜 2.5%を含有し、さらに、Moおよび
Tiの1種または2種をMoとTiの合計で15%以下含み、残
部がCoおよび不可避不純物からなるハースロール用溶射
用粉末。
〜15%、Hf:0.5 〜 2.5%を含有し、さらに、Moおよび
Tiの1種または2種をMoとTiの合計で15%以下含み、残
部がCoおよび不可避不純物からなるハースロール用溶射
用粉末。
【0009】 前記またはに記載の溶射用粉末を
用い、ロール表面に溶射被覆層を形成することを特徴と
するハースロールの溶射被覆方法。
用い、ロール表面に溶射被覆層を形成することを特徴と
するハースロールの溶射被覆方法。
【0010】 前記またはに記載の溶射用粉末
に、粉末の合計量に対する体積%で、40%以下の Al2O3
粉末および/または30%以下のTiC 粉末を混合した粉末
を用い、ロール表面に溶射被覆層を形成することを特徴
とするハースロールの溶射被覆方法。
に、粉末の合計量に対する体積%で、40%以下の Al2O3
粉末および/または30%以下のTiC 粉末を混合した粉末
を用い、ロール表面に溶射被覆層を形成することを特徴
とするハースロールの溶射被覆方法。
【0011】
【作用】以下に、本発明の溶射用粉末(およびの発
明)を構成する各成分の作用効果とそれらの含有量の限
定理由、ならびに本発明方法(との発明)を実施す
るにあたっての好ましい条件について述べる。
明)を構成する各成分の作用効果とそれらの含有量の限
定理由、ならびに本発明方法(との発明)を実施す
るにあたっての好ましい条件について述べる。
【0012】本発明の溶射用粉末はCoを基材とし、特に
Hfを所定量含有させたことを特徴とする合金の粉末であ
る。なお、Coは溶射金属の強度を高め、さらに、母材と
の冶金的結合により溶射金属層(溶射被覆層)の母材と
の密着性を増大させる金属である。
Hfを所定量含有させたことを特徴とする合金の粉末であ
る。なお、Coは溶射金属の強度を高め、さらに、母材と
の冶金的結合により溶射金属層(溶射被覆層)の母材と
の密着性を増大させる金属である。
【0013】Niは、Coと同様に母材との密着性を向上さ
せ、さらに、溶射金属の強度、特に靱性を増大させる作
用を有するので、その含有量は多いほどよいが、5%未
満では強度が不充分であり、15%を超えると耐ビルドア
ップ性および耐摩耗性が悪くなるので、溶射金属中のNi
の含有量は5〜15%とする。
せ、さらに、溶射金属の強度、特に靱性を増大させる作
用を有するので、その含有量は多いほどよいが、5%未
満では強度が不充分であり、15%を超えると耐ビルドア
ップ性および耐摩耗性が悪くなるので、溶射金属中のNi
の含有量は5〜15%とする。
【0014】Crは、溶射時にその一部が燃焼ガスにより
酸化されて酸化物(Cr2O3)となり、溶射被覆層の耐ビル
ドアップ性および耐摩耗性を向上させる。また、Alを活
性化し、後述する Al2O3の生成を促進する。しかし、溶
射金属中の含有量が10%未満では上記の効果は顕著には
認められず、一方、25%を超えると耐ビルドアップ性が
著しく悪化し、かつ溶射被覆層が脆化するので、その含
有量は10〜25%とする。
酸化されて酸化物(Cr2O3)となり、溶射被覆層の耐ビル
ドアップ性および耐摩耗性を向上させる。また、Alを活
性化し、後述する Al2O3の生成を促進する。しかし、溶
射金属中の含有量が10%未満では上記の効果は顕著には
認められず、一方、25%を超えると耐ビルドアップ性が
著しく悪化し、かつ溶射被覆層が脆化するので、その含
有量は10〜25%とする。
【0015】Alは、溶射時の燃焼ガスにより、あるい
は、溶射後の熱処理時にその一部が酸化あるいは窒化さ
れて Al2O3やAlN となり、溶射被覆層の耐摩耗性および
耐ビルドアップ性を向上させる。しかし、その含有量が
5%未満では Al2O3の生成量が少なく、一方、15%を超
えると溶射被覆層の強度が著しく低下するので、溶射金
属中のAlの含有量は5〜15%とする。
は、溶射後の熱処理時にその一部が酸化あるいは窒化さ
れて Al2O3やAlN となり、溶射被覆層の耐摩耗性および
耐ビルドアップ性を向上させる。しかし、その含有量が
5%未満では Al2O3の生成量が少なく、一方、15%を超
えると溶射被覆層の強度が著しく低下するので、溶射金
属中のAlの含有量は5〜15%とする。
【0016】Hfは、高温において Al2O3、Cr2O3 等の母
材への密着性を向上させ、溶射被覆層の耐剥離性を向上
させる作用を有している。特に、Alが共存する場合、Al
2O3の補強維持効果が顕著で、Al2O3 の密着性を著しく
向上させる作用を有している。しかし、 0.5%未満では
Al2O3、Cr2O3 等を溶射被覆層に密着させる作用が弱
く、一方、2.5 %を超えると溶射被覆層が脆化するの
で、その含有量は 0.5〜2.5 %とする。
材への密着性を向上させ、溶射被覆層の耐剥離性を向上
させる作用を有している。特に、Alが共存する場合、Al
2O3の補強維持効果が顕著で、Al2O3 の密着性を著しく
向上させる作用を有している。しかし、 0.5%未満では
Al2O3、Cr2O3 等を溶射被覆層に密着させる作用が弱
く、一方、2.5 %を超えると溶射被覆層が脆化するの
で、その含有量は 0.5〜2.5 %とする。
【0017】本発明(の発明)の溶射用粉末は上記の
成分を含有し、残部がCoおよび不可避不純物からなる粉
末である。
成分を含有し、残部がCoおよび不可避不純物からなる粉
末である。
【0018】の発明の溶射用粉末は、さらに、Moおよ
びTiの1種または2種を含むものである。
びTiの1種または2種を含むものである。
【0019】Moは、溶射時にその一部がMo2Cとなり、溶
射被覆層の耐摩耗性および耐ビルドアップ性を向上させ
る。しかし、その含有量が15%を超えると単体として存
在するMoが多くなり、炉の昇温中に昇華して表面が荒
れ、また、材料コストが嵩むことになるため、必要時に
含有させるMo量は15%以下とする。なお、その含有量が
3%未満の場合Mo2Cの生成量が少なく、高温における硬
度上昇効果が顕著には認められないため、3%以上含有
させるのが好ましい。
射被覆層の耐摩耗性および耐ビルドアップ性を向上させ
る。しかし、その含有量が15%を超えると単体として存
在するMoが多くなり、炉の昇温中に昇華して表面が荒
れ、また、材料コストが嵩むことになるため、必要時に
含有させるMo量は15%以下とする。なお、その含有量が
3%未満の場合Mo2Cの生成量が少なく、高温における硬
度上昇効果が顕著には認められないため、3%以上含有
させるのが好ましい。
【0020】Tiは、溶射時に燃焼ガスにより TiC、Ti
O2、TiN となり、溶射被覆層の耐摩耗性および耐ビルド
アップ性を向上させる。しかし、その含有量が15%を超
えると溶射皮覆層が脆化し、耐剥離性が悪くなるため、
必要時に含有させるTi量は15%以下とする。なお、その
含有量が3%未満ではTiC などの生成量が少なく、耐摩
耗性の向上効果が顕著には認められないため、3%以上
含有させるのが好ましい。
O2、TiN となり、溶射被覆層の耐摩耗性および耐ビルド
アップ性を向上させる。しかし、その含有量が15%を超
えると溶射皮覆層が脆化し、耐剥離性が悪くなるため、
必要時に含有させるTi量は15%以下とする。なお、その
含有量が3%未満ではTiC などの生成量が少なく、耐摩
耗性の向上効果が顕著には認められないため、3%以上
含有させるのが好ましい。
【0021】MoとTiを併用する場合も、その合計量は15
%以下とする。好ましくは、3〜15%である。
%以下とする。好ましくは、3〜15%である。
【0022】本発明の溶射被覆方法(およびの発
明)は、上記の溶射用粉末、あるいは、この溶射用粉末
に Al2O3および/またはTiC の粉末(分散材ともいう)
を混合した粉末を用いて、ロール表面に溶射被覆層を形
成させる方法である。
明)は、上記の溶射用粉末、あるいは、この溶射用粉末
に Al2O3および/またはTiC の粉末(分散材ともいう)
を混合した粉末を用いて、ロール表面に溶射被覆層を形
成させる方法である。
【0023】溶射被覆の対象とするロールは、主とし
て、冷延鋼板、メッキ鋼板等の連続焼鈍炉や、加熱炉に
使用されているハースロールで、Ni基合金、耐熱鋼(例
えば、SCH22)、ステンレス鋼 (例えば、SUS310) 等から
なるものである。
て、冷延鋼板、メッキ鋼板等の連続焼鈍炉や、加熱炉に
使用されているハースロールで、Ni基合金、耐熱鋼(例
えば、SCH22)、ステンレス鋼 (例えば、SUS310) 等から
なるものである。
【0024】溶射用粉末の粒度は、5〜120 μm とする
のが望ましい。特に望ましい粒度は10〜45μm である。
のが望ましい。特に望ましい粒度は10〜45μm である。
【0025】溶射用粉末の純度は、所期の特性を有する
溶射被覆層を得るために、99.5%以上であることが望ま
しい。
溶射被覆層を得るために、99.5%以上であることが望ま
しい。
【0026】溶射方法としては、高速フレーム溶射法
(ジェットコート)が好適である。この方法は、溶射用
粉末を窒素気流に乗せて炭化水素(プロピレン、アセチ
レン+プロピレン、プロパン等)と酸素とを混合した燃
料ガス中に供給し、溶融した状態で母材に向けて高速度
で噴射し、被覆層を形成する方法で、母材に対する密着
性が良好で、気孔率が小さい溶射被覆層を得ることがで
きる。この時のガスの圧力としては、炭化水素及び窒素
については4〜7kgf/cm2 、酸素については5〜8kgf/
cm2 とするのが好ましい。また、トーチとロール間の距
離は、 100〜300mmとするのが好適である。
(ジェットコート)が好適である。この方法は、溶射用
粉末を窒素気流に乗せて炭化水素(プロピレン、アセチ
レン+プロピレン、プロパン等)と酸素とを混合した燃
料ガス中に供給し、溶融した状態で母材に向けて高速度
で噴射し、被覆層を形成する方法で、母材に対する密着
性が良好で、気孔率が小さい溶射被覆層を得ることがで
きる。この時のガスの圧力としては、炭化水素及び窒素
については4〜7kgf/cm2 、酸素については5〜8kgf/
cm2 とするのが好ましい。また、トーチとロール間の距
離は、 100〜300mmとするのが好適である。
【0027】溶射被覆層の厚さは、 100〜200 μm 、研
磨後で 30〜120 μm とするのがよい。
磨後で 30〜120 μm とするのがよい。
【0028】本発明(およびの発明)の溶射用粉末
は単独でも使用できる。しかし、これに Al2O3および/
またはTiC の粉末を添加すれば、Al2O3 やTiC は高硬度
分散粒子として溶射被覆層の耐摩耗性をより向上させ
る。 Al2O3や TiCを添加しても初期摩耗では顕著な差は
生じないものの、長期的に使用する場合にはより大きな
耐摩耗性向上効果が得られる。特に、炉内のブライドル
ロール等の比較的低温位置での耐摩耗性の向上に有効で
ある。また、 Al2O3や TiCは反応性が小さく、溶射被覆
層の表面にビルドアップが形成される原因となるFeの酸
化物やFeの付着も起こりにくく、耐ビルドアップ性が向
上する。
は単独でも使用できる。しかし、これに Al2O3および/
またはTiC の粉末を添加すれば、Al2O3 やTiC は高硬度
分散粒子として溶射被覆層の耐摩耗性をより向上させ
る。 Al2O3や TiCを添加しても初期摩耗では顕著な差は
生じないものの、長期的に使用する場合にはより大きな
耐摩耗性向上効果が得られる。特に、炉内のブライドル
ロール等の比較的低温位置での耐摩耗性の向上に有効で
ある。また、 Al2O3や TiCは反応性が小さく、溶射被覆
層の表面にビルドアップが形成される原因となるFeの酸
化物やFeの付着も起こりにくく、耐ビルドアップ性が向
上する。
【0029】Al2O3 粉末は、混合量が40体積%を超える
と粒子間結合力が低下し、割れや肌荒れが起こり、耐剥
離性が悪くなるので、粉末の合計量に対する体積%で40
%以下とする。なお、10体積%未満では、耐摩耗性、耐
ビルドアップ性の向上効果が顕著には認められないため
10体積%以上とするのが好ましい。
と粒子間結合力が低下し、割れや肌荒れが起こり、耐剥
離性が悪くなるので、粉末の合計量に対する体積%で40
%以下とする。なお、10体積%未満では、耐摩耗性、耐
ビルドアップ性の向上効果が顕著には認められないため
10体積%以上とするのが好ましい。
【0030】TiC 粉末の混合量は、30体積%を超えると
粒子間結合力が低下し、割れや肌荒れが起こり、耐剥離
性が悪くなるので、粉末の合計量に対する体積%で30%
以下とする。なお、3体積%未満では、耐摩耗性、耐ビ
ルドアップ性の向上効果が顕著には認められないため3
体積%以上とするのが好ましい。
粒子間結合力が低下し、割れや肌荒れが起こり、耐剥離
性が悪くなるので、粉末の合計量に対する体積%で30%
以下とする。なお、3体積%未満では、耐摩耗性、耐ビ
ルドアップ性の向上効果が顕著には認められないため3
体積%以上とするのが好ましい。
【0031】Al2O3 粉末および TiC粉末の粒度は、それ
ぞれ3〜25μm および1〜6μm とするのが望ましい。
ぞれ3〜25μm および1〜6μm とするのが望ましい。
【0032】
【実施例】SCH22 製の試験用ロール(直径 215mm、長さ
230mm)の表面に、表1に示す種々の成分の溶射材(溶
射金属)および分散材を溶射した後、研磨し、ロール表
面粗度Ra 1μm に調整した。そして、図1に示すモデ
ル炉を用い、耐摩耗性、耐ビルドアップ性および耐剥離
性の評価試験を行った。
230mm)の表面に、表1に示す種々の成分の溶射材(溶
射金属)および分散材を溶射した後、研磨し、ロール表
面粗度Ra 1μm に調整した。そして、図1に示すモデ
ル炉を用い、耐摩耗性、耐ビルドアップ性および耐剥離
性の評価試験を行った。
【0033】溶射方法しては、高速フレーム溶射法を用
い、溶射条件は、ガス圧を、プロピレン:5kgf/cm2 、
O2:6kgf/cm2 、N2:5kgf/cm2 とし、トーチ/ロール
間距離を 200mmとした。
い、溶射条件は、ガス圧を、プロピレン:5kgf/cm2 、
O2:6kgf/cm2 、N2:5kgf/cm2 とし、トーチ/ロール
間距離を 200mmとした。
【0034】溶射材、Al2O3 およびTiC の粒度は、平均
でそれぞれ35μm 、15μm および4μm で、溶射被覆層
の厚さは、約50μm である。
でそれぞれ35μm 、15μm および4μm で、溶射被覆層
の厚さは、約50μm である。
【0035】モデル炉は、図1に示すように、試験用の
上ロール1、下ロール2に JIS G 3141 に規定された S
PCD に相当する冷延鋼板3が取りつけられた構成を有
し、その外周に電気炉(図示せず)が設けられ、全体を
加熱できるようになっている。
上ロール1、下ロール2に JIS G 3141 に規定された S
PCD に相当する冷延鋼板3が取りつけられた構成を有
し、その外周に電気炉(図示せず)が設けられ、全体を
加熱できるようになっている。
【0036】なお、モデル炉には、ストリップ3の張力
測定装置4が取りつけられ、また、下ロール2の表面に
窒素気流にのせてFeの酸化物を噴霧し、耐ビルドアップ
性の試験を行うことができるようになっている。
測定装置4が取りつけられ、また、下ロール2の表面に
窒素気流にのせてFeの酸化物を噴霧し、耐ビルドアップ
性の試験を行うことができるようになっている。
【0037】試験条件は下記の通りである。
【0038】ロール周速:上ロール 120m/min 、下ロー
ル 100m/min 雰 囲 気:N2+3%H2、 880℃ 張 力 :0.5 kgf/mm2 試験(回転)時間:30分 ストリップ:厚さ 0.8mm、幅 150mm 上記のモデル炉を用いて試験用のロールを取りつけ、30
分間回転させた後の耐摩耗性、耐ビルドアップ性および
耐剥離性の評価を行った。
ル 100m/min 雰 囲 気:N2+3%H2、 880℃ 張 力 :0.5 kgf/mm2 試験(回転)時間:30分 ストリップ:厚さ 0.8mm、幅 150mm 上記のモデル炉を用いて試験用のロールを取りつけ、30
分間回転させた後の耐摩耗性、耐ビルドアップ性および
耐剥離性の評価を行った。
【0039】結果を表1に併せ示す。なお、耐摩耗性、
耐ビルドアップ性および耐剥離性の評価基準をそれぞれ
表2、表3および表4に示す。耐摩耗性については試験
前後の表面粗度の変化量で評価することとした。表面粗
度が小さくなる程、また、表面粗度の変化量が大きい
程、摩耗が激しいことを意味している。総合評価とは、
各試験における評価基準のうち、◎を3点、○を2点、
△を1点、×を0点として、各試験No. ごとにそれらの
点数を加算したもので、6点以上であれば総合的にみて
良好な溶射被覆層である、とした。
耐ビルドアップ性および耐剥離性の評価基準をそれぞれ
表2、表3および表4に示す。耐摩耗性については試験
前後の表面粗度の変化量で評価することとした。表面粗
度が小さくなる程、また、表面粗度の変化量が大きい
程、摩耗が激しいことを意味している。総合評価とは、
各試験における評価基準のうち、◎を3点、○を2点、
△を1点、×を0点として、各試験No. ごとにそれらの
点数を加算したもので、6点以上であれば総合的にみて
良好な溶射被覆層である、とした。
【0040】表1から明らかなように、本発明例ではい
ずれも6点以上であるのに対し、Hfの含有量が本発明で
定める範囲を外れる比較例(No. 4、No. 8)、及びAl
2O3やTiC の混合量が多すぎる比較例(No. 27、No. 3
0)では6点に満たなかった。
ずれも6点以上であるのに対し、Hfの含有量が本発明で
定める範囲を外れる比較例(No. 4、No. 8)、及びAl
2O3やTiC の混合量が多すぎる比較例(No. 27、No. 3
0)では6点に満たなかった。
【0041】
【表1(1)】
【0042】
【表1(2)】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】本発明の溶射用粉末は、高温雰囲気中に
おける耐摩耗性、耐剥離性および耐ビルドアップ性に優
れた溶射被覆層の形成に有効である。この溶射用粉末を
用いる本発明の溶射被覆方法を連続焼鈍炉や加熱炉に使
用されるハースロールに適用すれば、優れた耐摩耗性を
保持するとともに、従来、発生していたビルドアップや
溶射被覆層の剥離を防止することができ、その結果、製
品の表面疵を防止し、品質および生産性の向上を図るこ
とが可能となる。
おける耐摩耗性、耐剥離性および耐ビルドアップ性に優
れた溶射被覆層の形成に有効である。この溶射用粉末を
用いる本発明の溶射被覆方法を連続焼鈍炉や加熱炉に使
用されるハースロールに適用すれば、優れた耐摩耗性を
保持するとともに、従来、発生していたビルドアップや
溶射被覆層の剥離を防止することができ、その結果、製
品の表面疵を防止し、品質および生産性の向上を図るこ
とが可能となる。
【図1】実施例で用いた耐摩耗性、耐ビルドアップ性お
よび耐剥離性試験のためのモデル炉である。
よび耐剥離性試験のためのモデル炉である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田谷 耕一 茨城県鹿島郡鹿島町大字光3番地住友金 属工業株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 相坂 隆行 兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番1号大阪 富士工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−37145(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】重量%で、Ni:5〜15%、Cr:10〜25%、
Al:5〜15%、Hf:0.5 〜 2.5%を含有し、残部がCoお
よび不可避不純物からなるハースロール用溶射用粉末。 - 【請求項2】重量%で、Ni:5〜15%、Cr:10〜25%、
Al:5〜15%、Hf:0.5 〜 2.5%を含有し、さらに、Mo
およびTiの1種または2種を合計で15%以下含み、残部
がCoおよび不可避不純物からなるハースロール用溶射用
粉末。 - 【請求項3】請求項1または2に記載の溶射用粉末を用
い、ロール表面に溶射被覆層を形成することを特徴とす
るハースロールの溶射被覆方法。 - 【請求項4】請求項1または2に記載の溶射用粉末に、
粉末の合計量に対する体積%で、40%以下の Al2O3粉末
および/または30%以下のTiC 粉末を混合した粉末を用
い、ロール表面に溶射被覆層を形成することを特徴とす
るハースロールの溶射被覆方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3123514A JP2509765B2 (ja) | 1991-05-28 | 1991-05-28 | 溶射用粉末およびロ―ルの溶射被覆方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3123514A JP2509765B2 (ja) | 1991-05-28 | 1991-05-28 | 溶射用粉末およびロ―ルの溶射被覆方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0517840A JPH0517840A (ja) | 1993-01-26 |
JP2509765B2 true JP2509765B2 (ja) | 1996-06-26 |
Family
ID=14862498
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3123514A Expired - Fee Related JP2509765B2 (ja) | 1991-05-28 | 1991-05-28 | 溶射用粉末およびロ―ルの溶射被覆方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2509765B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4538599B2 (ja) * | 2004-04-30 | 2010-09-08 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 水素吸蔵合金溶射皮膜 |
KR20060031136A (ko) * | 2004-10-07 | 2006-04-12 | 한국과학기술연구원 | 진공 플라즈마 챔버용 열용사 코팅막 및 그 제조방법 |
JP2009102683A (ja) * | 2007-10-22 | 2009-05-14 | Fujimi Inc | 溶射用粉末 |
CN105210552B (zh) * | 2015-11-12 | 2018-02-27 | 金华极合环保技术咨询有限公司 | 一种玉米联合收割机 |
US10512989B2 (en) * | 2017-02-21 | 2019-12-24 | General Electric Company | Weld filler metal |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4419416A (en) * | 1981-08-05 | 1983-12-06 | United Technologies Corporation | Overlay coatings for superalloys |
-
1991
- 1991-05-28 JP JP3123514A patent/JP2509765B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0517840A (ja) | 1993-01-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR910009163B1 (ko) | 큰 부피분율의 내화산화물을 가지는 내열충격성 피복물 | |
JP6093324B2 (ja) | 溶射被覆ワークロール | |
KR101204064B1 (ko) | 연속 소둔로용 하스 롤 및 그 제조 방법 | |
KR100547263B1 (ko) | 내빌드업성에 우수한 용사피복용 서멧분말과 용사피복롤 | |
WO2011074131A1 (ja) | 高温材搬送用部材 | |
JP2509765B2 (ja) | 溶射用粉末およびロ―ルの溶射被覆方法 | |
JP5976535B2 (ja) | 熱間圧延設備用ロールの製造方法 | |
CN114318203B (zh) | 耐高温抗积瘤复合梯度涂层及其制备方法 | |
EP0090428B1 (en) | A highly buildup-resistant hearth roll for conveying a steel strip through a continuous annealing furnace and a method therefor | |
JP7316923B2 (ja) | 連続焼鈍炉用ハースロール | |
EP0244458B1 (en) | High volume fraction refractory oxide, thermal shock resistant coatings | |
JPH10195547A (ja) | 耐摩耗性、耐ビルドアップ性に優れたハースロールおよびその製造方法 | |
WO2010001859A1 (ja) | 高温材搬送用部材 | |
JP4774786B2 (ja) | 炉内構造物被覆用溶射被膜およびその形成方法 | |
JP2005240124A (ja) | ハースロールに被覆した溶射被膜 | |
JP4268491B2 (ja) | 搬送ロール及び連続焼鈍炉用ハースロール | |
JPH0920975A (ja) | 高密着性溶射ロール | |
JP2592628B2 (ja) | 耐ビルドアップ性にすぐれた溶射皮膜の形成方法 | |
JP3448784B2 (ja) | 表面に皮膜形成材としての電極と基材とを接触させ、アーク放電により溶着させる放電被覆処理法により形成した耐熱耐焼付性皮膜を有する圧延工程用ロール類 | |
JP4009255B2 (ja) | サーメット粉末ならびに耐ビルドアップ性および耐酸化性に優れた炉内ロール | |
JP2626736B2 (ja) | 耐ビルドアップ性にすぐれた熱処理炉用ロール | |
JPH09300008A (ja) | 鋼板の調質圧延用ロール | |
KR950008690B1 (ko) | 내 빌드업성 및 내열충격성이 우수한 탄화크롬계 서메트 코팅제 및 그 구성 분말의 제조방법 | |
JP2023089663A (ja) | サイドガイド部材 | |
KR20110076566A (ko) | 고망간 냉연강판의 소둔시 사용되는 소둔 롤의 용사 코팅재 및 용사 코팅방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |