JP2009102683A - 溶射用粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハースロール用途での使用により適した溶射皮膜を形成可能な溶射用粉末を提供する。
【解決手段】本発明の溶射用粉末は、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素を含んだコバルト合金粒子を含有する。原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計は8原子%以下である。コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素は、バナジウム元素、クロム元素、ニオブ元素、モリブデン元素、タンタル元素及びタングステン元素のいずれかであることが好ましく、特に好ましくはニオブ元素、モリブデン元素、タンタル元素及びタングステン元素のいずれかである。また、溶射用粉末は、コバルト合金粒子に加えてセラミック粒子をさらに含有することが好ましく、溶射用粉末中のセラミック粒子の含有量は50体積%以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハースロール用途で主に使用される溶射皮膜を形成するための溶射用粉末に関する。
鋼板連続焼鈍炉などの熱処理炉内には、ハースロールと呼ばれる鋼板搬送用のロールが配置されている。窒素ガス及び水素ガスを含む還元雰囲気に保たれた炉内にて鋼板は熱処理されるが、このときハースロール表面にはビルドアップと呼ばれる鋼板との反応による主に鉄系の凝着物が形成されることがある。ビルドアップが形成されると、ハースロール上を搬送される鋼板の表面に押し疵等が生じ、鋼板の品質不良を招く。そのため、ビルドアップが発生した場合には、直ちに操業を中止してロール表面の清浄化を図る必要があり、生産効率が著しく低下する。そこで、ハースロール表面に溶射皮膜を設けることによりビルドアップの発生を防ぐことが従来から行われている。
ただし、ハースロール表面に溶射皮膜を設けた場合であっても、その溶射皮膜の表面にビルドアップが形成されることがある。そのため、鋼板の要求品質が厳しくなるにつれてビルドアップの問題が顕在化している中、耐ビルドアップ性に優れた溶射皮膜を目指した溶射用粉末の開発が行われている(例えば特許文献1,2参照)。しかしながら、熱処理炉内の中温域から高温域(約800℃〜約1050℃)で使用されるハースロールの表面に設けられる溶射皮膜には特に高い耐ビルドアップ性が要求されるが、この要求を十分に満足する溶射皮膜はまだ得られていないのが現状である。
特開2005−206863号公報 特開2005−240124号公報
本発明の目的は、ハースロール用途での使用により適した溶射皮膜を形成可能な溶射用粉末を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ハースロール表面に設けられた溶射皮膜の表面に発生するビルドアップが主に、ハースロール上を搬送される鋼板から溶射皮膜中に鉄原子が拡散することと、鋼板表面のマンガン酸化物や鉄酸化物が溶射皮膜と反応することとに起因していることを見出した。本発明はこうした知見に基づき完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の一態様では、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素を含んだコバルト合金粒子を含有し、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計が8原子%以下である溶射用粉末が提供される。
コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素は、バナジウム元素、クロム元素、ニオブ元素、モリブデン元素、タンタル元素及びタングステン元素のいずれかであることが好ましく、より好ましくはニオブ元素、モリブデン元素、タンタル元素及びタングステン元素のいずれかである。
コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素が原子番号が39以上の元素のいずれかである場合は、その元素のコバルト合金粒子中の比率は3〜40原子%であることが好ましい。
コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素が原子番号が1〜26,28〜38の元素のいずれかである場合は、その元素のコバルト合金粒子中の比率は3〜8原子%であることが好ましい。
また、溶射用粉末は、コバルト合金粒子に加えてセラミック粒子をさらに含有することが好ましい。この場合、溶射用粉末中のセラミック粒子の含有量は50体積%以下であることが好ましい。
本発明によれば、ハースロール用途での使用により適した溶射皮膜を形成可能な溶射用粉末が提供される。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態の溶射用粉末は、鋼板連続焼鈍炉などの熱処理炉内において鋼板を搬送するためのハースロール、特に熱処理炉内の中温域から高温域(約800℃〜約1050℃)で使用されるハースロールの表面に溶射皮膜を形成する用途での使用を主に想定したものである。
溶射用粉末は、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素(Co)に比べて小さい元素である添加元素を含んだコバルト合金粒子からなる。コバルト合金粒子中に含まれる前記添加元素は原子番号が39以上の元素のいずれかである。コバルト元素の1100℃における鉄原子拡散係数が4.4×10−15/sであるため、コバルト合金粒子中の添加元素の1100℃における鉄原子拡散係数は具体的には4.4×10−15/s未満でなければならない。コバルト合金粒子中の添加元素の1100℃における鉄原子拡散係数の値が小さいほど、溶射用粉末から得られる溶射皮膜は、熱処理炉内の中温域から高温域で使用されるハースロールの表面に設けられた場合であっても、そのハースロール上を搬送される鋼板からの鉄原子の拡散を受けにくくなる。そして、鋼板から溶射皮膜中に鉄原子が拡散することに起因する溶射皮膜表面での鉄系凝着物の形成、すなわちビルドアップの発生は起きにくくなる。この点、本実施形態の溶射用粉末の場合、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素がコバルト合金粒子中に含有されているため、これを含有しない場合に比べて、溶射用粉末から得られる溶射皮膜では鋼板からの鉄原子の拡散を受けることに起因するビルドアップの発生が抑制される。溶射皮膜が鋼板から鉄原子の拡散を受けることに起因するビルドアップの発生を実用上特に好適なレベルにまで抑制するためには、コバルト合金粒子中の添加元素の1100℃における鉄原子拡散係数は1×10−15/s以下であることが好ましく、より好ましくは1×10−16/s以下である。
1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい原子番号が39以上の元素としては、例えば、ニオブ元素(Nb)、モリブデン元素(Mo)、タンタル元素(Ta)及びタングステン元素(W)が挙げられる。ニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンの各元素は、1100℃における鉄原子拡散係数の値が比較的小さいことに加え、高温雰囲気下でのマンガン酸化物及び鉄酸化物との反応性が比較的低い。コバルト合金粒子中の添加元素が高温雰囲気下でのマンガン酸化物及び鉄酸化物との反応性が低いほど、溶射用粉末から得られる溶射皮膜は、熱処理炉内の中温域から高温域で使用されるハースロールの表面に設けられた場合であっても、そのハースロール上を搬送される鋼板表面のマンガン酸化物又は鉄酸化物と反応しにくくなる。そして、鋼板表面のマンガン酸化物や鉄酸化物が溶射皮膜と反応し、凝着性の反応物からなる反応層が生成することに起因するビルドアップの発生は起きにくくなる。この点、コバルト合金粒子中の添加元素としてニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンの各元素のいずれかを用いた場合、これら元素は高温雰囲気下でのマンガン酸化物及び鉄酸化物との反応性が比較的低いため、溶射用粉末から得られる溶射皮膜では鋼板表面のマンガン酸化物又は鉄酸化物と反応することに起因するビルドアップの発生は抑制される。なお、ニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンの各元素の1100℃における鉄原子拡散係数はそれぞれ、6.5×10−18/s、1.0×10−18/s、1.6×10−18/s及び4.4×10−17/sである。
コバルト合金粒子中の添加元素の比率は3原子%以上であることが好ましく、より好ましくは5原子%以上である。換言すれば、コバルト合金粒子中のコバルト元素の比率は97原子%以下であることが好ましく、より好ましくは95原子%以下である。コバルト合金粒子中の添加元素はコバルト元素に比べて1100℃における鉄原子拡散係数の値が小さいため、添加元素の比率が大きくなるにつれて、溶射用粉末から得られる溶射皮膜では鋼板からの鉄原子の拡散を受けることに起因するビルドアップの発生がより強く抑制される。この点、コバルト合金粒子中の添加元素の比率が3原子%以上、さらに言えば5原子%以上であれば、溶射用粉末から得られる溶射皮膜が鋼板からの鉄原子の拡散を受けることに起因するビルドアップの発生を実用上特に好適なレベルにまで抑制することができる。
コバルト合金粒子中の添加元素の比率は40原子%以下であることが好ましく、より好ましくは35原子%以下である。換言すれば、コバルト合金粒子中のコバルト元素の比率は60原子%以上であることが好ましく、より好ましくは65原子%以上である。上述したとおり、コバルト合金粒子中の添加元素の比率が大きくなるにつれて、溶射用粉末から得られる溶射皮膜では鋼板からの鉄原子の拡散を受けることに起因するビルドアップの発生がより強く抑制される。ただし、コバルト合金粒子中の添加元素の比率が大きくなりすぎると、合金組織の均一性が低下したり金属間化合物が形成されたりすることにより、溶射用粉末から得られる溶射皮膜の耐ビルドアップ性が低下する傾向がある。この点、コバルト合金粒子中の添加元素の比率が40原子%以下、さらに言えば35原子%以下であれば、溶射皮膜のそのような耐ビルドアップ性の低下を回避することができる。
コバルト合金粒子は、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい原子番号が39以上の元素に加えて、その他のコバルト元素以外の元素を含んでもよい。ただし、その場合には、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計は8原子%以下でなくてはならない。原子番号が1〜26,28〜38の元素は、高温雰囲気下でのマンガン酸化物及び鉄酸化物との反応性が比較的高い。そのため、これらの元素がコバルト合金粒子中に多く含まれているほど、溶射用粉末から得られる溶射皮膜は、熱処理炉内の中温域から高温域で使用されるハースロールの表面に設けられた場合、そのハースロール上を搬送される鋼板表面のマンガン酸化物又は鉄酸化物と反応しやすくなる。そして、鋼板表面のマンガン酸化物や鉄酸化物が溶射皮膜と反応し、凝着性の反応物からなる反応層が生成することに起因してビルドアップの発生が起こりやすくなる。この点、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計が8原子%以下であれば、このようなビルドアップの発生を実用に適したレベルにまで抑制することができる。また、このようなビルドアップの発生を実用上特に好適なレベルにまで抑制するためには、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計は5原子%以下であることが好ましく、より好ましくは3原子%以下である。
コバルト合金粒子は例えば、アトマイズ法、溶融−粉砕法、あるいは焼結−粉砕法及び造粒−焼結法などの固相焼結法により製造される。アトマイズ法では、例えば、コバルト元素の粉末と添加元素の粉末とを含んだ原料粉末を溶融して噴霧及び冷却し、必要に応じてその後分級することによりコバルト合金粒子が製造される。溶融−粉砕法では、原料粉末を溶融して冷却凝固させた後に粉砕し、必要に応じてその後分級することによりコバルト合金粒子が製造される。焼結−粉砕法では、原料粉末を焼結及び粉砕し、必要に応じてその後分級することによりコバルト合金粒子が製造される。造粒−焼結法では、原料粉末を造粒及び焼結した後に解砕し、必要に応じてその後分級することによりコバルト合金粒子が製造される。
本実施形態の溶射用粉末を溶射する方法は、特に限定されるものでなく、例えば、フレーム溶射、HVOF溶射などの高速フレーム溶射、プラズマ溶射及び爆発溶射のいずれであってもよい。なお、プラズマ溶射に用いる場合には溶射用粉末の粒度は16〜63μm(−63+15μm)であることが好ましく、高速フレーム溶射に用いる場合には溶射用粉末の粒度は15〜53μm(−53+15μm)であることが好ましい。
本実施形態によれば以下の利点が得られる。
本実施形態の溶射用粉末は、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素を含んだコバルト合金粒子からなる。また、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計は8原子%以下である。そのため、本実施形態の溶射用粉末から得られる溶射皮膜は、ハースロール用途での使用、特に炉内の中温域から高温域で使用されるハースロール用途での使用に適する優れた耐ビルドアップ性を備える。換言すれば、本実施形態の溶射用粉末によれば、ハースロール用途での使用、特に炉内の中温域から高温域で使用されるハースロール用途での使用に適した溶射皮膜を形成可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態の溶射用粉末は、コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素、つまり添加元素が原子番号が1〜26,28〜38の元素のいずれかである点で、第1実施形態の溶射用粉末と異なる。1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい原子番号が1〜26,28〜38の元素としては、例えば、バナジウム元素(V)及びクロム元素(Cr)が挙げられる。バナジウム元素及びクロム元素の1100℃における鉄原子拡散係数はそれぞれ、1.8×10−16/s及び1.1×10−17/sである。
ただし、先に説明したとおり、原子番号が1〜26,28〜38の元素がコバルト合金粒子中に多く含まれているほど、溶射用粉末から得られる溶射皮膜では、鋼板表面のマンガン酸化物や鉄酸化物が溶射皮膜と反応することに起因してビルドアップの発生が起こりやすくなる。この点、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計が8原子%以下であれば、このようなビルドアップの発生を実用に適したレベルにまで抑制することができる。また、このようなビルドアップの発生を実用上特に好適なレベルにまで抑制するためには、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計は5原子%以下であることが好ましく、より好ましくは3原子%以下である。
第1実施形態の溶射用粉末と同様、第2実施形態の溶射用粉末も、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素を含んだコバルト合金粒子からなる。また、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計は8原子%以下である。そのため、ハースロール用途での使用、特に炉内の中温域から高温域で使用されるハースロール用途での使用に適した溶射皮膜を形成可能である。
前記第1及び第2実施形態は次のように変更されてもよい。
・ 前記第1実施形態において、溶射用粉末中のコバルト合金粒子は、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい原子番号が39以上の元素を二種類以上含有してもよい。
・ 前記第2実施形態において、溶射用粉末中のコバルト合金粒子は、1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい原子番号が1〜26,28〜38の元素を二種類以上含有してもよい。
・ 前記第1及び第2実施形態の溶射用粉末は、コバルト合金粒子に加えて、それ以外の成分を含んでもよい。例えば、溶射用粉末は、コバルト合金粒子に加えてセラミック粒子をさらに含有してもよい。溶射用粉末中に含まれるセラミック粒子は、酸化物、ホウ化物、窒化物、ケイ化物及び炭化物のいずれからなるものであってもよい。
・ 前記第1及び第2実施形態の溶射用粉末がコバルト合金粒子に加えてセラミック粒子をさらに含有する場合、セラミックは化学的に安定で反応性が低いため、溶射用粉末から得られる溶射皮膜の耐ビルドアップ性が向上する。ただし、溶射用粉末中のセラミック粒子の含有量が多くなりすぎると、溶射用粉末から得られる溶射皮膜は、緻密度が低下したり高温雰囲気下でクラックを生じやすくなったりすることにより、耐ビルドアップ性が低下する傾向がある。この点、溶射用粉末中のセラミック粒子の含有量が50体積%以下であれば、溶射用粉末から得られる溶射皮膜の耐ビルドアップ性を実用上特に好適なレベルにまで向上させることができる。溶射皮膜の耐ビルドアップ性をさらに大きく向上させるためには、溶射用粉末中のセラミック粒子の含有量は40体積%以下であることが好ましく、より好ましくは30体積%以下である。
・ 前記第1及び第2実施形態の溶射用粉末がコバルト合金粒子に加えてセラミック粒子をさらに含有する場合、溶射用粉末は、コバルト合金粒子とセラミック粒子のブレンドからなるものであってもよいし、コバルト合金粒子とセラミック粒子が複合化されたサーメット粒子からなるものであってもよい。コバルト合金粒子とセラミック粒子の複合化は、例えば、コバルト合金粒子をセラミック粒子と一緒に焼結−粉砕法又は造粒−焼結法に供することにより行われる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜11,13,14及び比較例1〜5では合金粒子を溶射用粉末として用意し、実施例12,15,16では合金粒子とセラミック粒子が複合化されたサーメット粒子を溶射用粉末として用意した。そして、各例の溶射用粉末を溶射して溶射皮膜を形成した。各例の溶射用粉末及びその他の詳細は表1に示すとおりである。
表1の“溶射用粉末の化学組成”欄には、各例の溶射用粉末の化学組成を示す。同欄中、“Co−20atm% Mo”は、20原子%のモリブデン元素と残部のコバルト元素の合金を表す。また、“Co−20atm% Ta/20vol% Y”は、20体積%の三酸化二イットリウムと残部のコバルトタンタル合金のサーメットであって、そのコバルトタンタル合金が20原子%のタンタル元素と残部のコバルト元素からなることを表す。その他についてはこれに倣う。なお、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びマグネシウム(Mg)の各元素はコバルト元素に比べて1100℃における鉄原子拡散係数の値が大きい。
表1の“溶射用粉末の製法”欄には、各例の溶射用粉末の製造方法を示す。すなわち、実施例1〜11,13,14及び比較例1〜5の場合は溶射用粉末中の合金粒子の製造方法を示し、実施例12,15,16の場合は溶射用粉末中のサーメット粒子の製造方法を示す。
表1の“溶射方法”欄には、溶射皮膜を得るべく各例の溶射用粉末を溶射する際に用いた溶射方法を示す。同欄中、“HVOF”は表2に示す条件でのHVOF溶射を示し、“プラズマ”は表3に示す条件でのプラズマ溶射を示す。
表1の“拡散層”欄及び“反応層”欄には、各例で得られる溶射皮膜の耐ビルドアップ性の指標として拡散層及び反応層に関してそれぞれ評価した結果を示す。具体的には、ステンレス鋼(SUS304)製の基材の表面に溶射皮膜を設けてなる2つの試験片の溶射皮膜同士の間にビルドアップ源となるマンガン酸化物及び鉄酸化物を各50体積%含有する粉末を挟み、これを1100℃のN−3体積%H雰囲気中で100時間加熱した。その後、溶射皮膜の上面に直交する面で試験片を切断し、その断面を研磨した。そして、株式会社堀場製作所製のエネルギー分散型X線分析装置EDXを用いて、溶射皮膜の断面における鉄原子拡散層の厚さを測定し、拡散層の厚さが30μm以下の場合には○(良)、30μmよりも大きく50μm以下の場合には△(可)、50μmよりも大きい場合には×(不良)と評価した。この評価結果を“拡散層”欄に示す。また、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡を用いて溶射皮膜の断面を観察し、マンガン酸化物と溶射皮膜との反応により生成する反応層が溶射皮膜の断面において観察されなかった場合には○(良)、反応層が溶射皮膜の断面において一部のみに観察された場合には△(可)、反応層が溶射皮膜の断面において全体的に観察された場合には×(不良)と評価した。この評価結果を“反応層”欄に示す。
Figure 2009102683
Figure 2009102683
Figure 2009102683
表1に示すように、実施例1〜16の溶射皮膜では、拡散層に関する評価と反応層に関する評価のいずれもが○(良)又は△(可)であった。それに対し、比較例1〜5の溶射皮膜では、拡散層に関する評価と反応層に関する評価の少なくともいずれか一方が×(不良)であった。この結果から、実施例1〜16の溶射皮膜の場合には、溶射皮膜中に鉄原子が拡散することに起因するビルドアップの発生とマンガン酸化物や鉄酸化物が溶射皮膜と反応することに起因するビルドアップの発生の両方が少なくとも実用に足るレベルにまで抑制されると見込まれる。一方、比較例1〜5の溶射皮膜の場合には、溶射皮膜中に鉄原子が拡散することに起因するビルドアップの発生とマンガン酸化物や鉄酸化物が溶射皮膜と反応することに起因するビルドアップの発生のうち少なくともいずれか一方が実用に足るレベルにまで抑制されないと見込まれる。
前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶射用粉末を溶射して得られる溶射皮膜。この溶射皮膜は、ハースロール用途での使用に適している。

Claims (6)

  1. 1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素を含んだコバルト合金粒子を含有し、原子番号が1〜26,28〜38の各元素のコバルト合金粒子中の比率の合計が8原子%以下であることを特徴とする溶射用粉末。
  2. コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素は、バナジウム元素、クロム元素、ニオブ元素、モリブデン元素、タンタル元素及びタングステン元素のいずれかである請求項1に記載の溶射用粉末。
  3. コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素は、ニオブ元素、モリブデン元素、タンタル元素及びタングステン元素のいずれかである請求項2に記載の溶射用粉末。
  4. コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素は原子番号が39以上の元素のいずれかであり、その元素のコバルト合金粒子中の比率は3〜40原子%である請求項1に記載の溶射用粉末。
  5. コバルト合金粒子中に含まれる1100℃における鉄原子拡散係数の値がコバルト元素に比べて小さい元素は原子番号が1〜26,28〜38の元素のいずれかであり、その元素のコバルト合金粒子中の比率は3〜8原子%である請求項1に記載の溶射用粉末。
  6. 前記溶射用粉末は、コバルト合金粒子に加えてセラミック粒子をさらに含有し、溶射用粉末中のセラミック粒子の含有量は50体積%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶射用粉末。
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