JP2011080153A - 超硬合金および切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】靭性を低下させずに高硬度化させて耐摩耗性および耐欠損性に優れた超硬合金、および長寿命な切削工具を提供する。
【解決手段】コバルトおよび/またはニッケル5〜7質量%と、所定の炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種0〜10質量%とを含有し、残部が炭化タングステンで構成され、炭化タングステン粒子を主体とし、前記炭化物等から選ばれる少なくとも1種のβ粒子を含有する硬質相を、前記コバルト等を主体とする結合相で結合し、前記硬質相の平均粒径が0.6〜1.0μm、飽和磁化が9〜12μTm/kg、抗磁力が15〜25kA/mであり、かつ酸素含有量が0.045質量%以下である超硬合金1であり、それを用いた切削工具10である。
【選択図】図3

Description

本発明は、切削工具や摺動部材、耐摩耗部材等に使用される超硬合金、およびそれを用いた切削工具に関する。
金属の切削加工用の切削工具や摺動部材、耐摩耗部材等に広く用いられている超硬合金として、炭化タングステン(WC)粒子を主体とする硬質相を、コバルト(Co)を主体とする結合相で結合したWC−Co合金や、WC−Co合金に周期律表第4、5、6族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物のβ粒子(B−1型固溶体)からなる、いわゆるβ相(B−1型固溶体相)と呼ばれる硬質相を分散させた系がある。これらの超硬合金は、特に、炭素鋼や一般の合金鋼、ステンレス鋼等の一般鋼を切削加工するための切削工具用材料として利用されている。
上記のような超硬合金の表面から内部に向かって所定の深さ領域には、結合相成分であるCo等の含有量が高い結合相富化層が存在する。この結合相富化層を超硬合金表面の全体に形成することにより、該超硬合金表面に硬質被覆膜を形成すると、超硬合金の耐欠損性が向上することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の超硬合金では、硬質被覆膜を被覆した場合には耐欠損性が向上するものの、硬質被覆膜が剥離する場合があり、超硬合金基体と硬質被覆膜との密着力が十分とは言えなかった。また、硬質被覆膜を形成しない場合には超硬合金表面全体の硬度が低下して表面における塑性変形が大きく、切削抵抗が増大して切刃の温度が上昇してしまい、次第に切刃部分に存在する結合相が被削材と反応してしまう、すなわち耐溶着性が低いという問題があった。中でも、超硬合金中のWC粒子の粒径が1μm以下の微粒超硬合金においては、特に熱伝導率が低下する傾向にあり、溶着の問題が顕在化していた。その結果、切刃部に溶着した被削材が引き金となってチッピングや突発欠損が発生しやすく、合金表面における更なる耐溶着性の向上が求められていた。
特許文献2では、窒素含有焼結硬質合金であるチタン基サーメットにおいて、このサーメットの表面全体にCoやニッケル(Ni)の結合相の含有量が多いか、または炭化タングステン(WC)の含有量が多い多層構造のシミダシ層を形成することによって、サーメット表面における熱伝導性が向上し、切削によって高温となった表面と温度の低い内部との温度差に起因する熱亀裂を抑制できることが記載されている。
しかしながら、特許文献2のように、サーメット表面全体にシミダシ層を形成した場合でも、表面全体の硬度が低下して表面における変形が大きく、切削抵抗が増大して切刃の温度が上昇してしまい、次第に切刃部分に存在する結合相が被削材と反応してしまうという問題があった。また、表面全体にシミダシ層を形成したサーメットの表面に硬質被覆膜を成膜した場合でも、サーメットと硬質被覆膜との密着力が十分でなく、硬質被覆膜が剥離する場合があった。
一方、航空機産業用等として用いられるチタン(Ti)合金の切削には、加工面の汚染を防止するために硬質被覆膜を設けない超硬合金工具が用いられているが、Ti合金は、熱伝導率が低く強度も高いので難削材として知られており、従来の超硬合金工具を用いた場合には、摩耗の進行が非常に速く工具寿命が短いという問題があった。
特許文献3では、焼成した超硬合金をCo雰囲気下で再度熱処理して、表面に8μm以下の薄いCo層を被覆した超硬合金からなる切削工具を作製し、この切削工具で冷却剤を高圧力で噴射しながらTi合金を切削加工すると、工具寿命を延命できることが記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載の超硬合金では、超硬合金表面のCo薄層によってTi合金の切削性能が向上するものの、切削中にCo薄層が高温になると被削材に溶着するおそれがある。このため、加工部位に冷却剤を高圧力で噴射しながら加工を行う必要があり、冷却剤を高圧力で噴射するための大掛かりな装置が必要になるという問題があった。また、Co薄層は硬度に乏しいので摩耗しやすく、特に切削速度の速い加工においては、工具寿命が十分でないという問題があった。
また、インコネルやハステロイ等のNi基耐熱合金、インコロイ等の鉄(Fe)基耐熱合金、Co基耐熱合金等の耐熱合金の切削に関しては、超硬合金の表面を硬質被覆膜にて被覆した切削工具が用いられているが、かかる耐熱合金においても高温強度が高いために、切削工具の摩耗の進行が早期に進んでしまうという問題があった。
一方、超硬合金の特性改善についても多くの研究がなされており、用途に合わせて、より高硬度、高靭性または高強度な材種が開発されている。例えば、特許文献4では、Co成分の偏析を抑制しつつ飽和磁化をコバルト(Co)1重量%あたり、1.62μTm/kg以下、保持力27.8〜51.7kA/mとなるように結合相を調節した超硬合金として、超硬合金内の欠陥を減少させて高い抗折力を持つようになり、穴あけ加工やフライス加工に適した切削工具とすることが記載されている。
また、特許文献5には、切削分野や耐摩耗部品全般に用いる超硬合金として、コバルト(Co)1重量%あたりの飽和磁気量(飽和磁化)を1.44〜1.74μTm/kg、保持力24〜52kA/mで、平均粒径が1μm未満と小さい微粒の組織において、2μm以上の粗大なWC粒子(硬質相)が5個以下でしか存在しない高靭性な超硬合金とすることによって、強靭性の向上と突発的な破壊現象の回避が可能となることが記載されている。
しかしながら、特許文献4および特許文献5に記載の保持力(抗磁力)が24kA/m以上の超硬合金では、チタン(Ti)合金や耐熱合金の切削のような過酷な切削加工に用いるには、結合相厚みが薄く、硬度が高くなりすぎてしまうため、超硬合金の靭性が不足し、十分な耐欠損性を得ることができないという問題があった。
特許文献6には、平均粒径が0.2〜0.8μmで、飽和磁気理論比0.75〜0.9、抗磁力200〜340Oeとなる超硬合金とすることによって、靭性および硬度が向上し、精密金型の材質として最適な超硬合金となることが記載されている。
しかしながら、特許文献6に記載の超硬合金では、硬質相の粒径が過剰に微細であるため、Ti合金や耐熱合金の過酷な切削加工として用いるための十分な耐欠損性を得ることができないものであった。また、特許文献6の製造方法では、通電加圧焼成を行って超硬合金を焼成させているために生産性が悪く、コストがかかりすぎてしまうという問題もあった。
特許文献7には、約10.4〜約12.7重量%の結合相成分と、約0.2〜約1.2重量%のCrとを含有し、約120〜240Oeの保磁力と、約143〜約223μTm/kgコバルト(Co)の磁気飽和(飽和磁化)と、1〜6μmの炭化タングステン(WC)粒子(硬質相)の粒度の超硬合金が、靭性、強度に優れた高い耐欠損性を有して、Ti合金や鋼、鋳鉄のミリング切削用の切削工具として有用であることが記載されている。
しかしながら、特許文献7に記載の超硬合金では、結合相の含有量が多いため耐欠損性は高いもののTi合金や耐熱合金を切削するには耐摩耗性が不十分であった。また、結合相の含有量が多くなると被削材との反応性が高くなり、Ti合金等が切削工具の切刃に溶着しやすくなるために、加工面品位の劣化等の加工精度の低下や、切刃のチッピング、異常摩耗等の工具損傷が発生してしまうという問題があった。
特開平2−221373号公報 特開平8−225877号公報 特開2003−1505号公報 特開2004−59946号公報 特開2001−115229号公報 特開1999−181540号公報 特表2004−506525号公報
本発明の主たる課題は、超硬合金表面における耐塑性変形性および耐溶着性を向上させて耐摩耗性および耐欠損性に優れた超硬合金、および長寿命な切削工具を提供することである。
本発明の他の課題は、抗折強度に優れた超硬合金、および長寿命な切削工具を提供することである。
本発明のさらに他の課題は、靭性を低下させずに高硬度化させて耐摩耗性および耐欠損性に優れた超硬合金、および長寿命な切削工具を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、超硬合金の表面において、結合相が凝集した結合相凝集部を複数点在させて海島構造を形成し、かつ超硬合金表面における結合相凝集部の面積割合を10〜70面積%とする場合には、超硬合金表面における放熱性が改善されて耐塑性変形性および耐溶着性が向上するので、耐摩耗性および耐欠損性に優れた超硬合金となるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の超硬合金は、コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)5〜10質量%と、周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物(ただし、炭化タングステン(WC)を除く)、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種0〜10質量%とを含有し、残部が炭化タングステン(WC)で構成され、炭化タングステン(WC)粒子を主体とし、前記炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種のβ粒子を含有する硬質相を、前記コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)を主体とする結合相で結合したものであって、前記炭化タングステン(WC)粒子の平均粒径が1μm以下であり、かつ超硬合金の表面における総面積に対して10〜70面積%の割合で前記コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)が主として凝集した結合相凝集部が複数点在した海島構造をなす。
また、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、超硬合金の表面に厚みが0.1〜5μmの結合相富化層を有するとともに、前記表面のX線回折パターンにおける炭化タングステン(WC)の(001)面ピーク強度をIWC、コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)の(111)面ピーク強度をICoとしたとき、0.02≦ICo/(IWC+ICo)≦0.5である場合には、超硬合金が抗折強度に優れたものとなり、該超硬合金を切削工具に用いると、例えばTi合金等の耐熱合金を加工する際において、高圧力の冷却剤等の特殊な装置を用いない通常の切削条件であっても、摩耗の進行や欠損の発生が抑制できて工具寿命を延命できるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の他の超硬合金は、コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)5〜10質量%と、周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物(ただし、炭化タングステン(WC)を除く)、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種0〜10質量%とを含有し、残部が炭化タングステン(WC)で構成され、炭化タングステン(WC)粒子を主体とし、前記炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種のβ粒子を含有する硬質相を、前記コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)を主体とする結合相で結合したものであって、表面に厚みが0.1〜5μmの結合相富化層を有するとともに、前記表面のX線回折パターンにおける前記炭化タングステン(WC)の(001)面ピーク強度をIWC、前記コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)の(111)面ピーク強度をICoとしたとき、0.02≦ICo/(IWC+ICo)≦0.5である。
また、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、超硬合金中の硬質相の粒径、結合相厚み、炭素量を適正化させて超硬合金の高硬度化を図るとともに、超硬合金中に含有される酸素量を制御することによって、Ti合金や耐熱合金の切削加工に対して耐欠損性および耐摩耗性がともに優れた超硬合金となり、該超硬合金を切削工具に用いると、例えばTi合金や耐熱合金の切削加工用に使用することができる長寿命な切削工具となるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のさらに他の超硬合金は、コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)5〜7質量%と、周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物(ただし、炭化タングステン(WC)を除く)、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種0〜10質量%とを含有し、残部が炭化タングステン(WC)で構成され、炭化タングステン(WC)粒子を主体とし、前記炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種のβ粒子を含有する硬質相を、前記コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)を主体とする結合相で結合したものであって、前記硬質相の平均粒径が0.6〜1.0μm、飽和磁化が9〜12μTm/kg、抗磁力が15〜25kA/mであり、かつ酸素含有量が0.045質量%以下である。
本発明の切削工具は、すくい面と逃げ面との交差稜部に形成された切刃を被切削物に当てて切削加工するものであり、前記切刃が前記超硬合金からなる。
本発明の超硬合金によれば、超硬合金の表面において、結合相が凝集した結合相凝集部を複数点在させて海島構造を形成し、かつ超硬合金表面における結合相凝集部の面積割合を10〜70面積%の組織とするので、超硬合金表面における塑性変形が抑制されるとともに、超硬合金表面における耐溶着性が向上し、その結果、耐摩耗性および耐欠損性が向上するという効果がある。したがって、この超硬合金からなる切刃を備えた切削工具は、優れた耐摩耗性および耐欠損性を示すことができる。
本発明の他の超硬合金によれば、表面に厚みが0.1〜5μmの結合相富化層を有するとともに、前記表面のX線回折パターンにおける炭化タングステン(WC)の(001)面ピーク強度をIWC、コバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)の(111)面ピーク強度をICoとしたとき、0.02≦ICo/(IWC+ICo)≦0.5の関係となるように制御されているので、超硬合金が抗折強度に優れたものとなり、該超硬合金を切削工具に用いると、例えばTi合金等の耐熱合金を加工する際において、冷却剤等を高圧力で噴射するための特殊な装置を用いない通常の切削条件であっても、摩耗の進行や欠損の発生が抑制できて工具寿命を延命することができる。
本発明のさらに他の超硬合金によれば、結合相の含有量、硬質相の平均粒径、飽和磁化と抗磁力Hcの磁気特性、および前記超硬合金中の酸素量が所定の範囲に制御されているので、炭化タングステン(WC)粒子間を結合する結合相の厚み(いわゆるミーンフリーパス)の最適化、結合相中に固溶されるタングステン(W)等の硬質相を構成する金属成分や炭素の含有量の適正化ができ、少ない結合相量であるにも関わらず靭性に富み、しかも極めて硬度が高い超硬合金となる。また、酸素含有量が低いことから、該超硬合金を切削工具に用いた際には、切削中に切刃が高温となっても結合相が硬質相を結合する保持力の低下を抑えて、超硬合金の強度が低下することを抑制できる。その結果、Ti合金や耐熱合金の切削に適した超硬合金製の切削工具を得ることができる。
本発明の第1の実施形態にかかる超硬合金を切断して切断面を研磨した研磨面における走査型電子顕微鏡による拡大画像である。 本発明の第1の実施形態にかかる超硬合金の表面における走査型電子顕微鏡による拡大画像である。 本発明の第1の実施形態にかかる硬質被覆膜を説明するための概略断面図である。
<超硬合金>
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態にかかる超硬合金について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる超硬合金を切断して切断面を研磨した研磨面における走査型電子顕微鏡による拡大画像(10000倍)であり、超硬合金内部における組織状態を示している。図2は、本実施形態にかかる超硬合金の表面における走査型電子顕微鏡による拡大画像(200倍)である。
図1に示すように、この超硬合金1は、硬質相2を結合相3で結合してなる。具体的には、超硬合金1の組成は、Coおよび/またはNi5〜10質量%と、周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物(ただし、WCを除く)、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種0〜10質量%とを含有し、残部がWCで構成されている。
硬質相2は、WC粒子からなる硬質相を主体とし、所望により前記炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種のβ粒子からなる硬質相(β相)を含有する。結合相3は、Coおよび/またはNiを主体とする。該結合相3中には、Coおよび/またはNi以外に上記周期率表第4、5および6族元素が固溶されていてもよく、さらに炭素、窒素および酸素等の不可避不純物が含有されていてもよい。具体的な硬質相の形態としては、(1)WCのみからなる組織、(2)WCと、超硬合金全体に対して10質量%以下の比率の上記β粒子(B−1型固溶体)とが混在した組織が挙げられ、いずれであってもよい。β粒子(B−1型固溶体)の形態は、炭化物、窒化物または炭窒化物として単独で存在していてもよく、これら2種以上の混合物として存在していてもよい。また、β粒子(B−1型固溶体)中にはW元素が固溶していてもよい。
硬質相2をなすWC粒子の平均粒径は1μm以下である。これにより、超硬合金1の強度および耐摩耗性を高めることができる。このように、WC粒子の平均粒径が1μm以下のいわゆる微粒超硬合金においては、各WC粒子同士を結合する結合相3の厚みが薄くなり、熱伝導が悪くなる傾向にあるが、本実施形態では微粒超硬合金であっても、下記で説明するように、超硬合金1の表面を特定の構成にするので、高い放熱性を付与することができる。また、微粒超硬合金は、超硬合金1の焼結性が低下して焼結状態がバラツキやすいので、硬質被覆膜を被覆する場合には、該被覆膜の付着力もバラツキが大きくなる傾向にあるが、後述するように、硬質被覆膜を高い付着力で被覆することができる。前記平均粒径の下限値としては母材の靭性を維持する点で0.4μm以上であるのが好ましい。
ここで、本実施形態では、図2に示すように、超硬合金1の表面は、図1に示すような結合相3が凝集した結合相凝集部4を複数点在させて海島構造を形成する。これにより、結合相凝集部4(島部)が超硬合金1表面の耐溶着性を向上させるので、超硬合金1の耐欠損性が向上する。さらに、結合相凝集部4以外の正常部5(海部)が耐摩耗性の低下を抑えるので、超硬合金1を、例えば後述する切削工具に応用した場合には、長寿命な切削工具となる。
前記結合相凝集部4が複数点在するという状態は、結合相凝集部4が表面全体にわたって存在する状態を意味するものではなく、結合相凝集部4と、該結合相凝集部4以外のWC粒子等と結合相との超硬合金部分(正常部)5が、目視または顕微鏡観察によって混在していることが確認できる状態のことを意味する。特に、本実施形態では、結合相凝集部4の放熱性を高める上で、正常部5(白色)をマトリックスとして、結合相凝集部4が表面視で独立して分散して点在した島状組織、すなわち正常部5を海部、結合相凝集部4を島部とする海島構造を形成する。
一方、超硬合金1表面に結合相凝集部4が存在せず、均一な組織からなる場合には、超硬合金1表面における放熱性が低く、超硬合金1の表面の局所的に発生した熱が放熱されず局所的に高温になってしまう。その結果、高温になった部分が局部的に劣化したり、例えば切削工具として用いた場合には、高温になった切刃に被削材の溶着が生じてしまう。また、十分な靭性が得られず、突発欠損やチッピングが発生する。逆に、結合相富化層を有して超硬合金1の表面全体における結合相3の含有量が多いと、超硬合金1の表面における塑性変形が大きくなって、耐溶着性が低下する。
超硬合金1表面における結合相凝集部4の面積割合は10〜70面積%、好ましくは20〜60面積%である。この範囲内で結合相凝集部4を複数点在させると、上記した効果が得られる。これに対し、結合相凝集部4の面積割合が超硬合金1の総面積に対して10面積%より少ないと、放熱性が悪くて耐溶着性が低下し、溶着に起因したチッピングや欠損が発生する。また、70面積%を超えると、金属の占める割合が多くなり、超硬合金1の表面における硬度が下がって耐塑性変形性が劣化する。
結合相凝集部4の面積%は、例えば後述するように、超硬合金1の任意表面について、走査型電子顕微鏡により図2に示すような200倍の2次電子像を観察し、1mm×1mmの任意領域について、結合相凝集部4の面積を測定して存在比率(結合相凝集部4を測定した視野領域における結合相凝集部4の面積比率)を算出して得られる値である。なお、結合相凝集部4の測定個数は10個以上とし、その平均値を算出する。
超硬合金1の表面において、超硬合金1の表面における金属元素の総量に対して、CoおよびNiの総含有量が15〜70質量%、好ましくは20〜60質量%であるのがよい。これにより、超硬合金1の表面における靭性を高めかつ耐塑性変形性を向上することができる。また、超硬合金1の表面に後述する硬質被覆膜を被覆する場合には、該被覆膜の耐欠損性を向上することができる。
結合相凝集部4におけるCoおよびNiの総含有量m1と、該結合相凝集部4以外の正常部5におけるCoおよびNiの総含有量m2との比率(m1/m2)が2〜10であるのが好ましい。これにより、超硬合金1表面における耐塑性変形性および耐溶着性がより向上する。なお、前記比率(m1/m2)が2以上であると、放熱性が改善され、10以下であると、耐溶着性に優れるので好ましい。前記比率(m1/m2)の望ましい範囲は3〜7である。
結合相凝集部4の平均直径は10〜300μm、好ましくは50〜250μmであることが、熱伝導性がよくて放熱性に寄与する経路を確実に確保して、放熱性を高めることができる点で望ましい。また、硬質被覆膜を被覆する場合には、該硬質被覆膜の付着力を向上することができる。結合相凝集部4の前記平均直径は、超硬合金1の表面を顕微鏡観察して個々の結合相凝集部4をそれぞれ特定し、例えばルーゼックス法などを用いて、個々の結合相凝集部4の面積およびそれらの平均面積を算出し、この平均面積を円に換算したときの円の直径である。なお、前記顕微鏡観察は、金属顕微鏡、デジタル顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡のいずれかを用いることができ、結合相凝集部4の大きさによって適当なものを選択することができる。
結合相凝集部4が、超硬合金1の表面から5μmまでの深さ領域に存在することが、超硬合金1の表面で発生した熱を確実に放熱できるとともに、超硬合金1表面における被加工物での耐塑性変形性を高めることができる点で望ましい。
超硬合金1の表面において、結合相3成分量を15〜70質量%の割合で含有することが、耐摩耗性および耐溶着性を低下させずに超硬合金1の表面の耐欠損性を向上させることができるため望ましい。また、超硬合金1の表面に硬質被覆膜を被覆する場合には、該被覆膜の耐欠損性を向上させることができる。超硬合金1の表面における結合相3の成分量を測定する際には、X線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro-Analysis:EPMA)、オージェ電子分光分析(Auger Electron Spectroscopy:AES)等の表面分析法にて測定することができる。
一方、超硬合金1の内部における結合相3の含有量は6〜15質量%であることが、超硬合金1の焼結不良の発生を防止させることができるとともに、超硬合金1の耐摩耗性の確保および塑性変形を抑えることができるため望ましい。前記超硬合金1の内部とは、超硬合金1の表面から300μm以上の深さ領域を意味する。また、超硬合金1の表面に硬質被覆膜を被覆する場合には、該硬質被覆膜の厚みを除いた硬質被覆膜と超硬合金1との界面から超硬合金1の中心に向かって300μm以上の深さ領域を意味する。
なお、超硬合金1の内部における結合相3の含有量は、超硬合金1の断面についての組織観察、具体的には超硬合金1の断面において、表面から中心に向かって300μm以上深い内部の30μm×30μmの任意領域について、X線マイクロアナライザー(EPMA)により面分析を行い、その領域におけるCoとNiの総含有量の平均値として測定することができる。
超硬合金1中にクロム(Cr)および/またはバナジウム(V)を含有することが、WC粒子が焼結中に粒成長することを抑制し、硬度の低下を抑え、耐摩耗性の低下を防ぐことができるため望ましい。CrおよびVの望ましい範囲は、それぞれ0.01〜3質量%であり、CrおよびVの合計含有量が0.1〜6質量%である。特にCrは、超硬合金1の焼結性を高めるとともに、結合相3の腐食を抑えて耐チッピング性を高める効果がある。
ここで、本実施形態では、超硬合金1の表面に硬質被覆膜を被覆してもよい。以下、超硬合金1の表面に硬質被覆膜を被覆した場合について、超硬合金1を後述する切削工具に適用した場合を例に挙げて、図面を参照して詳細に説明する。図3は、本実施形態にかかる硬質被覆膜を説明するための概略断面図である。
図3に示すように、この切削工具10は、超硬合金1を基体とし、すくい面11と逃げ面12との交差稜部に切刃13を形成したものであり、この切刃13を図示しない被切削物に当てて切削加工するものである。そして、超硬合金1の表面に表面被覆膜7を被覆してなる。超硬合金1の表面に硬質被覆膜7を被覆すると、該硬質被覆膜7の付着力が向上するので、硬質被覆膜7が超硬合金1の表面から剥離しにくくなり、耐欠損性が向上する。また、上記した通り、超硬合金1の表面における放熱性が高いことから、硬質被覆膜7表面における放熱性も高くなり、硬質被覆膜7の表面における耐溶着性も向上する。その結果、耐欠損性および耐摩耗性に優れた超硬合金1となる。
硬質被覆膜7の付着力が向上する理由としては、以下の理由が推察される。すなわち、超硬合金1の表面における結合相凝集部4の面積割合を10〜70面積%とすることにより、結合相凝集部4における結合相3の濃度が高くなるので、該結合相3が硬質被覆膜7内に拡散して反応し、その結果、硬質被覆膜7の付着力が向上すると推察される。
つまり、結合相凝集部4が超硬合金1表面に存在せず、均一な組織からなる場合には、硬質被覆膜の付着力が不十分であり耐欠損性が低下してしまう。逆に、結合相富化層を有して超硬合金1の表面全体における結合相含有量が一様に多い場合でも、やはり硬質被覆膜の付着力が低下する。また、結合相凝集部4の面積割合が超硬合金1の総面積に対して10面積%より少ないと、硬質被覆膜の付着力が低下して硬質被覆膜の剥離に起因するチッピングや欠損が発生し、70面積%を超えると、金属の占める割合が多くなり、超硬合金1の表面における硬度が下がり、耐塑性変形性が劣化する。
硬質被覆膜7を被覆した場合における結合相凝集部4の観察は、基本的には硬質被覆膜7を被覆した状態で観察すればよい。なお、硬質被覆膜7の膜厚が厚く、硬質被覆膜7を被覆した状態で結合相凝集部4を観察することが困難な場合には、例えばスローアウェイチップの中心に設けられたネジ穴の壁面等のように硬質被覆膜7がついておらず超硬合金1の表面が露出した部分を代用して観察すればよい。また、超硬合金1の表面が露出した部分がない場合には、硬質被覆膜7をある程度研磨して薄くした状態で結合相凝集部4の分布状態を観察することも可能である。
硬質被覆膜7としては、周期律表第4、5、6族金属、Si、およびAlから選ばれる1種または2種以上からなる金属の炭化物、窒化物、酸化物、硼化物、炭窒化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物、およびこれら化合物の2種以上からなる複合化合物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ダイヤモンド、Alおよび立方晶窒化硼素(cBN)からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらは機械的特性に優れ、耐摩耗性および耐欠損性を向上させることができるため望ましい。
特に、硬質被覆膜7は(Ti,Al1−x)C1−y(x、yの範囲は、0.2≦x≦0.7、0≦y≦1)であるのが好ましい。これにより、結合相凝集部4とのなじみがよく、かつ耐摩耗性および耐酸化性に優れ、高い耐欠損性を得ることができる。
硬質被覆膜7の膜厚は1〜10μmであるのが好ましい。これにより、硬質被覆膜7の耐欠損性が向上し、かつ硬質被覆膜7表面における放熱性も向上する。
次に、上記で説明した超硬合金1の製造方法について説明する。まず、例えば平均粒径1.0μm以下の炭化タングステン(WC)粉末を79〜94.8質量%、平均粒径0.3〜1.0μmの炭化バナジウム(VC)粉末を0.1〜3質量%、平均粒径0.3〜2.0μmの炭化クロム(Cr)粉末を0.1〜3質量%、平均粒径0.2〜0.6μmの金属コバルト(Co)を5〜15質量%、さらに所望により、金属タングステン(W)粉末、あるいはカーボンブラック(C)を混合する。
次に、上記混合に際して、メタノール等の有機溶媒をスラリーの固形分比率が60〜80質量%となるように添加するとともに、適切な分散剤を添加し、ボールミルや振動ミル等の粉砕装置で10〜20時間の粉砕時間で粉砕することにより、混合粉末の均一化を図った後、混合粉末にパラフィン等の有機バインダを添加して成形用の混合粉末を得る。
そして、上記混合粉末を用いて、例えばプレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定形状に成形した後、0.01〜0.6MPaのアルゴンガス中、1350〜1450℃、望ましくは1375〜1425℃で、0.2〜2時間焼成した後、55〜65℃/分の速度で800℃以下の温度まで冷却することにより超硬合金1が得られる。
ここで、上記焼成条件のうち、焼成温度が1350℃より低いと合金を緻密化させることができず硬度低下を招き、逆に焼成温度が1450℃を超えると、WC粒子が粒成長して硬度、強度ともに低下する。また、この焼成温度が上記範囲から外れる場合、または焼成時のガス雰囲気が0.01MPaよりも低いか、または0.6MPaを超える場合には、いずれも結合相凝集部が生成されず、超硬合金表面における放熱性が低下してしまう。また、焼成時の雰囲気をNガス雰囲気にすると、結合相凝集部が生成しない。しかも、結合相の含有比率が多い表面領域の深さ(厚さ)が5μmより厚い結合相富化層が形成される傾向にある。さらに、冷却速度が55℃/分より遅いと結合相凝集部が生成せず、冷却速度が65℃/分より速いと結合相凝集部の面積割合が大きくなりすぎる。
上記のようにして得られた超硬合金1の表面に硬質被覆膜7を被覆するには、超硬合金1を洗浄した後、超硬合金1の表面に硬質被覆膜7を成膜すればよい。成膜方法としては、化学蒸着(CVD)法[熱CVD、プラズマCVD、有機CVD、触媒CVD等]、物理蒸着(PVD)法[イオンプレーティング、スパッタリング等]などの周知の成膜方法が採用可能である。特に、結合相凝集部4の金属元素と硬質被覆膜7との反応領域の深さ、超硬合金1と硬質被覆膜7との密着性の点で、硬質被覆膜7の厚みは0.1〜10μmであること、特に放熱性の点で0.1〜3μmであることが望ましい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態にかかる超硬合金は、上記した実施形態と同様に、Coおよび/またはNi5〜10質量%と、周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物(ただし、WCを除く)、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種0〜10質量%とを含有し、残部がWCで構成される。そして、WC粒子を主体とし、前記炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種のβ粒子を含有する硬質相を、前記Coおよび/またはNiを主体とする結合相で結合したものである。
超硬合金中のCoおよび/またはNiの含有量が5質量%未満であると、超硬合金の靭性が低下して耐欠損性が悪くなる。このため、該超硬合金を後述する切削工具に用いた場合には、例えばTi合金や耐熱合金を加工した際に強度不足となり、切刃欠損が多発するおそれがある。また、前記含有量が10質量%を超えると、Ti合金や耐熱合金を切削した際に低硬度となり、超硬合金の表面における耐摩耗性が低下する。本実施形態では、結合相としてのCoおよび/またはNi含有量の望ましい範囲は、超硬合金全量に対して5〜8.5質量%、特に望ましい範囲は5〜7質量%、さらに望ましい範囲は5.5〜6.5質量%である。これにより、超硬合金中のWC粒子の平均粒径が1.0μmより大きくなることなく良好に焼成することができる。
特に、Coおよび/またはNiの含有量が5〜7質量%の範囲である場合には、一般的に焼結性が極端に低下する傾向にある。そのため、従来は高温での焼成もしくはSinter-HIP等の加圧焼成によらなければ超硬合金を焼成によって緻密化させることができず、その一方で、焼成温度を上げるとWC粒子が粒成長してしまい、超硬合金の組織を微粒化することが困難であった。しかしながら、Coおよび/またはNiの含有量が5〜7質量%の範囲であっても、後述する製造工程を採用することによって、硬質相中のWC粒子がほとんど粒成長しない1430℃以下の焼成温度で超硬合金を緻密化させることができる。
超硬合金中のWC以外の硬質相の含有量が10質量%以内であると、機械的衝撃性や熱的衝撃性が高く工具寿命が長い。また、具体的な硬質相の形態は、前述した構成と同様である。
ここで、本実施形態の超硬合金は、表面に厚みが0.1〜5μmの結合相富化層を有するとともに、前記表面のX線回折パターンにおけるWCの(001)面ピーク強度をIWC、Coおよび/またはNiの(111)面ピーク強度をICoとしたとき、0.02≦ICo/(IWC+ICo)≦0.5である。このように、超硬合金の表面における結合相の存在状態、すなわち結合相富化層の厚みとCoおよび/またはNiの(111)面ピークの出現状態とを特定の関係に制御することによって、超硬合金が抗折強度に優れたものとなる。そして、該超硬合金を後述する切削工具に用いると、例えばTi合金を切削した場合には、高圧力の冷却剤等の特殊な装置を用いない通常の切削条件であっても、摩耗の進行や欠損の発生を抑制でき、工具寿命を延命できる。
一方、結合相富化層がないか、または0.1μmより薄いと、潤滑層となるCoおよび/またはNiが不足するため、切削抵抗が増大して刃先温度が上昇し、刃先付近の超硬合金の酸化が急激に進む。その結果、刃先強度が失われ溶着が発生するようになり、短寿命になりやすい。また、結合相富化層が5μmより厚いと、潤滑層となる結合相富化層が切削時に発生する熱によって結合相が酸化されて劣化し、かつ結合相富化層が厚いために劣化した多量の結合相が原因となって、切削工具の表面に被削材が溶着することになり所望とする寸法精度を得ることができない。結合相富化層の厚みの望ましい範囲は0.5〜3μmである。
前記結合相富化層とは、超硬合金の内部に比べて結合相の濃度が高く、かつ超硬合金の表面に存在する表面領域のことを意味し、X線光電子分析法(XPS)にて、超硬合金の断面の表面近傍を含む領域におけるCoおよび/またはNiの深さ方向での濃度分布を測定し、超硬合金の内部に比べてCoおよび/またはNiの濃度が高い領域の厚みを測定することによって算出可能である。また、結合相富化層の厚みを測定する他の方法として、超硬合金の表面に対してオージェ分析にてCoおよび/またはNi濃度を深さ方向に測定することによって算出することもできる。
一方、上記X線回折パターンにおけるICo/(IWC+ICo)が0.02より小さいと、結合相富化層が薄くなり、逆に、ICo/(IWC+ICo)が0.5より大きいと、結合相富化層が厚くなり耐摩耗性が低下する。ICo/(IWC+ICo)の望ましい範囲は、0.05≦ICo/(IWC+ICo)≦0.2である。
本実施形態では、X線回折パターンにおける前記WCのピークについて、下記式(I)にて求められる値を(001)面の配向係数Tとしたとき、超硬合金の表面における配向係数Tcsと、超硬合金の内部における配向係数Tciとの比(Tcs/Tci)が1〜5であるのが好ましい。これにより、超硬合金表面においてWCを熱伝導率の高い面に配向した状態とでき、超硬合金表面における熱伝導率を高めて切刃での発熱を効率よく放熱して切刃の温度上昇を抑制できる。
なお、前記超硬合金の内部とは、超硬合金の表面から300μm以上の深さの領域を意味する。
また、本実施形態では、超硬合金中の酸素含有量が超硬合金全体の質量に対して0.045質量%以下であり、かつ前記硬質相のWC粒子の平均粒径が0.4〜1.0μmであるのが好ましい。これにより、超硬合金の酸素含有量が少ないので、高温で酸化が進行することを防止できるとともに、硬質相のうちのWC粒子の平均粒径が上記範囲であるので、超硬合金の硬度が高く、該超硬合金を切削工具に用いると切削特性が良好である。
具体的には、超硬合金中の酸素含有量が超硬合金全体の質量に対して0.045質量%以下であると、該超硬合金を用いた切削工具が、切削加工時に高温に曝される切刃において酸化が進行するのを抑制でき、長期間にわたって安定した切削が可能となる。なお、Coおよび/またはNiの含有量が5〜7質量%の範囲内であっても、後述するWCの原料粉末の粒径および粉砕方法を改善した製造方法を採用することによって、超硬合金の低温焼成が可能であるとともに、超硬合金中の酸素含有量を超硬合金全体に対して0.045質量%以下に制御することが可能である。
切削性能の安定性および耐チッピング性の点で、硬質相を構成するWC粒子の平均粒径は1μm以下、望ましくは0.4〜1.0μm、特に望ましくは0.6〜1.0μmであるのがよい。
また、超硬合金の表面における算術平均粗さ(Ra)を0.2μm以下に制御することが、耐摩耗性の向上、切削抵抗の低減、耐溶着性および耐欠損性の向上の点で望ましい。超硬合金表面の表面粗さの測定は、接触式の表面粗さ計を用いるか、または非接触式のレーザー顕微鏡を用い、測定面がレーザーに対して垂直となるように超硬合金(切削工具)を動かしながら測定すればよい。また、切刃形状自体がうねりを有するような場合には、このうねり分(JIS B0610に規定されたろ波うねり曲線分)を差し引いて、直線近似した後に表面粗さを算出すればよい。
焼成された超硬合金の切刃周辺にRホーニング、またはチャンファホーニングを施してもよいが、切刃を焼成前にホーニング形状としておくこともできる。この方法によれば、切刃表面におけるCoおよび/またはNi濃度の分布をより精密に制御することができる。
次に、上記で説明した実施形態にかかる超硬合金の製造方法について説明する。まず、例えば平均粒径0.01〜1.5μmのWC粉末を80〜95質量%、WCを除く周期律表第4、5、6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種の平均粒径0.3〜2.0μmの粉末を0〜10質量%、平均粒径0.2〜3μmのCo粉末を5〜10質量%、さらには所望により、金属タングステン(W)粉末、あるいはカーボンブラック(C)を添加する。そして、これに溶媒を加えて混合し、所望により有機バインダを添加した後、成形用の顆粒を作製する。
次に、上記顆粒を用いて、プレス成形、鋳込成形、押出成形あるいは冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定形状に成形した後、真空度0.4kPa以下に真空引きした雰囲気で昇温し、1320〜1430℃の温度で0.2〜2時間焼成する。本実施形態では、この焼成時の雰囲気について、前記焼成温度に達するまで真空引きを行い、前記焼成温度に達した時点で真空引きを止めて焼成炉内を後述する圧力状態となるように密閉して、焼結体自身から放出される分解ガスのみが雰囲気中に存在する自生雰囲気とする。なお、この自生雰囲気においては、センサを設けて焼成炉内が0.1k〜10kPaの一定圧力となるようにアルゴンガスを流入したり、炉内ガスの一部を脱気して調整する。そして、焼成が終了した時点で50〜400℃/分の冷却速度で1000℃以下の温度まで冷却する。
上記のような製造条件に制御することによって、結合相富化層の厚み、X線回折パターンにおけるICo/(IWC+ICo)値を上述した所定の範囲内に制御することができる。例えば、焼成時の昇温雰囲気を不活性ガス雰囲気とすれば結合相富化層の厚みが5μmを超えてしまう。また、焼成雰囲気を真空雰囲気とすれば結合相富化層の厚みが0.1μmよりも薄くなり、焼成雰囲気を不活性ガス雰囲気とすれば結合相富化層の厚みが5μmよりも厚くなる傾向にある。また、上記製造条件の中でも、Coおよび/またはNi粉末の添加量を5.5〜8.5質量%に制御した場合には、前記配向係数の比Tcs/Tciを1〜5の範囲内に制御することができる。
また、この方法によっても第1の実施形態の結合相凝集部を形成することができる。
ここで、上記製造工程において、下記の製造工程を採用した場合には、Coおよび/またはNiの含有量が5〜7質量%である場合でも、超硬合金の焼成温度の低温化が可能となり、WC等の原料粉末が焼成によって粒成長せず、硬質相の粒径を1μm以下に制御することができ、かつ超硬合金中の酸素含有量を超硬合金全体に対して0.045質量%以下に制御することができる。すなわち、超硬合金中の酸素含有量およびWC粒子の平均粒径を上記の範囲に制御するには、WC原料粉末として粗粒な粉末を用い、これを粉末混合時に混合粉末の粒度が所望の粒度となるように制御し、さらに成形体中に含まれるWC粉末の表面の酸化を抑制した超硬合金を焼成する時のWC粉末の焼結性を改善する製造方法を採用する等によって、超硬合金が含有する酸素量を0.045質量%以下に制御できる。また、これによって、超硬合金の焼結が容易となり、WCを粒成長させることなく破壊源となる欠陥の発生を抑制することができる。
特に、超硬合金中の結合相であるCoおよび/またはNiの含有量が5〜7質量%と少量の場合であっても、常圧雰囲気下で1430℃以下の低温にて焼成することができて、硬度、強度および靭性に優れた超硬合金となる。その結果、信頼性の高い超硬合金製の切削工具を得ることができる。
具体的には、原料として用いるWC粉末の平均粒径を5〜200μmとし、これを酸素含有量が少ない溶媒中に加えて、混合、粉砕し、スラリー中の原料粉末の平均粒径を1.0μm以下に調整する。WC粉末を粉砕にすることによって、表面が酸化されていない活性な粉末表面が露出する。これを成形して焼成する際には、粒子同士の焼結性が高いことから、少ない金属量でも低温で緻密化することができ、Coおよび/またはNiの含有量が5〜7質量%であっても、微粒で焼結性のよい超硬合金を作製することができる。
また、この製造方法を用いた場合には、成形体中に含有される不可避の酸素量が減少することから、焼結中に発生する一酸化炭素(CO)ガスの生成を抑制することができる。その結果、焼成中に発生する成形体からの脱炭素量を減少させることができるため、超硬合金において重要である焼結体中の炭素量の管理が精度よくできるようになる。その結果、焼結過程に発生する焼結体中の欠陥の生成を抑制することができるとともに、超硬合金中に含有される炭素量の制御が容易となる。
より具体的な製造工程について説明すると、平均粒径5〜200μmのWC粉末を80〜95質量%、特に93〜95質量%と、平均粒径0.3〜2.0μmのWCを除く周期律表第4、5、6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種を0〜10質量%、特に0.3〜2質量%と、平均粒径0.2〜3μmのCoおよび/またはNiを5〜10質量%、特に5〜7質量%と、さらには所望により、金属タングステン(W)粉末、あるいはカーボンブラック(C)との混合粉末に、酸素含有率が100ppm以下の水、または酸素含有率が100ppm以下の有機溶剤を溶媒として加えてスラリー状とし、このスラリーを湿式粉砕する。この時、アトライタミルやジェットミル、遊星ミル等の破砕力の強い粉砕方法を用いて、粉砕後の混合粉末の平均粒径が1.0μm以下になるまで粉砕を行う。
次に、粉砕した上記スラリーをスプレードライヤーに投入して成形用の顆粒を作製する。ここで、混合粉末の粉砕および成形用の顆粒を作製する工程においては、不活性ガスを流入することにより非酸化性雰囲気として、成形用の顆粒中に酸素が混入することを極力抑制することが望ましい。
そして、上記成形用の顆粒を用いて、プレス成形、冷間静水圧プレス成形の成形方法によって所定形状に成形した後、真空度0.4kPa以下に真空引きした雰囲気で昇温し、前述した自生雰囲気として1320〜1430℃の温度で0.2〜2時間焼成する。その後、焼成が終了した時点で炉冷する。冷却工程では不活性ガスを流入しながら冷却を行うことによって、超硬合金中の酸素含有量を超硬合金全体に対して0.045質量%以下に制御できる。
なお、上記した以外の構成は、上記で説明した第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態にかかる超硬合金は、Coおよび/またはNi5〜7質量%と、周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物(ただし、WCを除く)、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種0〜10質量%とを含有し、残部がWCで構成される。そして、上記した実施形態と同様に、WC粒子を主体とし、前記炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種のβ粒子を含有する硬質相を、前記Coおよび/またはNiを主体とする結合相で結合したものである。
ここで、本実施形態では、超硬合金中の結合相の含有量が5〜7質量%、硬質相の平均粒径が0.6μm〜1.0μm、飽和磁化が9〜12μTm/kg、抗磁力Hcが15〜25kA/mであり、かつ酸素含有量が0.045質量%以下である。これにより、高硬度かつ高靭性な超硬合金となる。また、該超硬合金を切削工具に用いると、耐摩耗性および耐欠損性に優れた工具となるとともに、結合相の含有量が低いため、Ti合金や耐熱合金等の被削材が溶着しにくくなり、溶着による切刃のチッピングや加工面の面粗度の低下を防ぐことができる。
一方、前記結合相の含有量が5質量%より少ないと、超硬合金の靭性が十分ではないため、切削工具としての耐欠損性が悪化してしまう。また、焼結性が著しく低下し、焼結をするために特殊な焼成法を要するため、コストがかかりすぎてしまう。また、結合相の含有量が7質量%を超えると、超硬合金の硬度が低下してしまい、切削工具としての耐摩耗性が低下してしまう。また、結合相を多く含むと被削材が工具の切刃に溶着してしまい、切刃や逃げ面に溶着した被削材によって加工面の面粗度が粗くなったり、溶着した被削材が脱落する際にチッピングが生じる等の問題がある。
また、硬質相の平均粒径が0.6μmより小さいと、超硬合金の硬度が必要以上に高くなりすぎてしまい、切削工具としての耐欠損性が低下してしまう。また、超硬合金の焼結性が低下して焼結不良が発生しやすくなり、焼結不良となったものは強度および硬度が極端に低下する。また、硬質相の平均粒径が1.0μmより大きいと、超硬合金としての十分な硬度が得られず、切削工具としての耐摩耗性が低下してしまう。硬質相の平均粒径の望ましい範囲は0.75〜0.95μmである。
飽和磁化が9μTm/kg未満であると、超硬合金中に含有される炭素量が不足して硬度が過剰に高くなってしまい、超硬合金の靭性が低下して切削工具としての耐欠損性が低下してしまう。また、飽和磁化が12μTm/kgを超えると、超硬合金中の炭素量が過剰に含有されて超硬合金の硬度が低下し、切削工具として十分な耐摩耗性が得られずに異常摩耗や摩耗の進行による切刃の欠損等の損傷が発生しやすくなってしまう。飽和磁化の望ましい範囲は9.5〜11μTm/kgである。
超硬合金の抗磁力Hcが15kA/m未満であると、超硬合金中の硬質相間を結合する結合相の厚み(いわゆる平均自由行程、ミーンフリーパス)が厚くなりすぎてしまい、超硬合金の硬度低下による耐摩耗性の低下や、被削材の溶着を引き起こして溶着による切刃のチッピングや被削材の加工面の面粗度が劣化するなどの問題が発生する。また、抗磁力が25kA/mを超えると、超硬合金中の結合相の厚み(ミーンフリーパス)が薄くなりすぎるため、超硬合金の靭性が十分ではなくなり、耐欠損性が低下し、切刃のチッピングや突発欠損等の損傷が発生してしまう。抗磁力の望ましい範囲は18〜22kA/mである。
超硬合金中に含有される酸素量が超硬合金全量に対する比率で0.045質量%を超えてしまうと、高温となったときに結合相の硬質相を結合する保持力が低下することから、切削中に切刃が高温となると超硬合金の強度が低下して、チッピングや欠損が発生してしまう。超硬合金中に含有される酸素量の望ましい範囲は0.035質量%以下である。
超硬合金中には、上記で説明した実施形態と同様に、WCやCo等の他に、周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物(ただし、WCを除く)、窒化物または炭窒化物を0〜10質量%の割合で含有させることもできる。
特に、Crを超硬合金中の結合相の含有量(質量%)に対して炭化物(Cr)換算量で2〜10質量%、好ましくは3〜7質量%の割合で含有するのがよい。これにより、結合相が酸化や腐食等の変質を引き起こすことなく、結合相の強度が低下することを防いで超硬合金の耐食性を向上させることができる。そして、該超硬合金を用いた切削工具は、工具表面の酸化や腐食等の変質を起こしにくくすることができ、変質による強度低下を防止することができる。また、切刃が切削中に高温となった場合には、結合相中に固溶したCrが酸化被膜を作って結合相の酸化が進行することを抑制できるため、結合相が熱によって劣化することを抑えることができる。さらに、前記酸化皮膜は化学的に安定なため、被削材と反応しにくく、被削材が切刃に溶着しにくくなることから、溶着しやすいTi合金の切削において優れた切削性能を発揮することができる。また、Crは超硬合金を焼成する際に、硬質相の粒成長を抑制して、超硬合金中の硬質相の粒径を制御できる効果がある。
Crのほかに、焼結中に硬質相が粒成長することを抑制するためにバナジウム(V)やタンタル(Ta)も好適に使用可能である。なお、Cr、VおよびTaは、少なくとも一部が結合相中に固溶し、残部は単独の炭化物またはこれら2種以上とタングステン(W)が2種以上組み合わされた複合炭化物として存在してもよい。
また、上記本発明の超硬合金の表面に、周期律表第4、5、6族金属、アルミニウム(Al)およびシリコン(Si)からなる群より選ばれる1種以上の元素と、炭素、窒素、酸素、ホウ素から選ばれる1種以上の元素との化合物、硬質炭素または立方晶窒化硼素のいずれかからなる硬質被覆層を成膜してもよい。これにより、成膜時に超硬合金基体の表面が酸素の影響で変質することなく超硬合金基体と硬質被覆層との高い付着力が得られる。その結果、硬質被覆層が剥離やチッピングすることなく切削工具の耐摩耗性をより向上させることができる。
このとき、上記硬質被覆層として好適な材種としては、例えば炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)および炭窒化チタン(TiCN)、チタン・アルミ複合窒化物(TiAlN)、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。これらは、硬度および強度が共に高く、耐摩耗性および耐欠損性に優れる。また、物理蒸着(PVD)法によって成膜された膜厚0.1〜1.8μmの硬質被覆層であることが、高強度で溶着しやすい材質である耐熱合金の切削する際に、高い耐摩耗性を維持しながら硬質被覆層の剥離を抑えることができるため、耐熱合金の切削において優れた工具寿命を発揮することができる点で望ましい。
次に、上記で説明した実施形態にかかる超硬合金の製造方法について説明する。まず、平均粒径5〜200μmの炭化タングステン(WC)粉末を83〜95質量%、平均粒径0.3〜2.0μmの炭化タングステン(WC)を除く周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物を0〜10質量%、平均粒径0.2〜3μmの金属コバルト(Co)を5〜7質量%、さらには所望により、金属タングステン(W)粉末、あるいはカーボンブラック(C)を調合し、これに水または有機溶剤の溶媒と所望により有機バインダとを添加して、混合し、ボールミル、振動ミル等の既知の粉砕方法にて粉砕後の混合原料の平均粒子が、マイクロトラックによる粒度分布測定において、D50値(出現率50%の位置にある粒径)が0.4〜1.0μmになるように粉砕時間を調節して粉砕する。
つまり、平均粒径5〜200μmと粗いWC粉末を用いて、これを1/5以下でかつ1.0μm以下となるように細かく粉砕することによって、WC粒子の酸素が吸着されていないフレッシュな面が多く露出するため、混合粉末および成形体中の酸素量が減るとともに、混合粉末中の各粒子の表面エネルギーが大きくなって焼結しやすくなる。しかも、WC粉末と結合相との濡れが良好になるため、少ない結合相量でも空隙やクラック等の欠陥を生じることなく低い温度で焼成することができる。
次に、上記混合粉末を用いて、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定形状に成形した後、本発明においては、この焼成時の雰囲気を自生雰囲気として焼成する。
ここで、前記自生雰囲気とは、前記焼成温度に達するまで真空引きを行い、前記焼成温度に達した時点で真空引きを止めて焼成炉内を後述する圧力状態となるように密閉して焼結体自身から放出される分解ガスのみが雰囲気中に存在する雰囲気のことである。なお、この自生雰囲気においては、センサを設けて焼成炉内が0.1k〜10kPaの一定圧力となるようにアルゴンガスを流入したり炉内ガスの一部を脱気して調整する。
そして、焼成が終了した時点で50〜400℃/分の冷却速度で1000℃以下の温度まで冷却して、本実施形態にかかる超硬合金が得られる。
また、この方法によっても第1の実施形態の結合相凝集部を形成することができる。
得られた超硬合金の切刃となるエッジ部分は、加工を施さないシャープエッジのままで使用することも可能だが、所望により、すくい面側から見た取りしろが10μm以下と微小なRホーニングやチャンファホーニングを切刃となるエッジ部分に施してもよく、また、少なくとも切刃の表面に対してブラシ加工やブラスト処理などの研磨処理を施してもよい。
その後、上述した種類の硬質被覆膜を成膜する。硬質被覆層の成膜法としては、化学蒸着法(熱CVD、プラズマCVD、有機CVD、触媒CVD等)、物理蒸着法(イオンプレーティング、スパッタリング等)などの周知の成膜方法によって成膜することができる。特に、アークイオンプレーティング法またはスパッタリング法の物理蒸着法によって成膜することが耐摩耗性および潤滑性に優れるため望ましく、これによって、難削材である耐熱合金の切削に対しても優れた切削性能を発揮する。
なお、上記した以外の構成は、上記で説明した第1,第2の実施形態と同様であるので説明は省略する。
<切削工具>
次に、本発明にかかる切削工具ついて説明する。上記で説明した各実施形態にかかる超硬合金は、高硬度、高強度および耐変形性等に優れるとともに、信頼性の高い機械的特性を有することから、例えば金型、耐摩耗部材、高温構造材料等に適応可能であり、特に、すくい面と逃げ面との交差稜部に形成される切刃が各実施形態にかかる超硬合金からなり、該切刃を被切削物に当てて切削加工する切削工具として好適に使用可能である。具体的には、上記第1から第3の実施形態にかかる超硬合金を切削工具として用いた場合には、加工時に切削工具の切刃の温度が過剰に高くなることがないので、加工される被削材の加工面が白濁する等の不具合が発生することなく、滑らかで光沢のある仕上げ面を形成する。
特に、切刃が上記第1の実施形態にかかる超硬合金1からなる場合には、耐摩耗性および耐溶着性に優れた超硬合金製切削工具となる。特に、この切削工具を、溶着しやすいステンレス切削やTi合金切削用として用いると、耐溶着性についてより高い効果を示して優れた工具寿命を発揮する。また、硬質被覆層を被覆した場合にステンレス切削用として用いると、一般に切削抵抗が高く切刃温度が高温になりやすいので、硬質被覆膜の剥離が発生しやすいが、第1の実施形態にかかる硬質被覆膜7は付着力が高いので、硬質被覆層を被覆した場合であっても、優れた切削特性を発揮する。
切刃が上記第2の実施形態にかかる超硬合金からなる場合には、例えばTi合金等の耐熱合金を加工する際において、冷却剤等を高圧力で噴射するための特殊な装置を用いない通常の切削条件であっても、摩耗の進行や欠損の発生が抑制できて工具寿命を延命することができる。
切刃が上記第3の実施形態にかかる超硬合金からなる場合には、切削工具としての強度を低下させずに高い耐摩耗性を有し、かつ結合相量が少ないことによって優れた耐溶着性を有していることから、硬質被覆層を被覆しない超硬合金からなる切削工具であっても、溶着しやすくかつ熱伝導性が悪くしかも高温強度が高くて削りにくいTi合金の切削において非常に優れた性能を発揮する。また、硬質被覆層を成膜すると、耐摩耗性や強度が向上するため、より高い強度を有する耐熱合金の加工において非常に優れた性能を発揮することができる。具体的には、優れた耐摩耗性を示してより長寿命な切削工具となる。前記耐熱合金とは、例えばインコネル、ハステロイ、ステライト等のニッケル(Ni)基合金、コバルト(Co)基合金、インコロイ等の鉄(Fe)基合金の総称である。
なお、各実施形態にかかる超硬合金を切削工具以外の他の用途に用いた場合であっても、優れた機械的信頼性を有する。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例I]
<超硬合金の作製>
炭化タングステン(WC)粉末、金属コバルト(Co)粉末、炭化バナジウム(VC)粉末および炭化クロム(Cr)粉末を表1に示す比率で添加し、振動ミルにて18時間粉砕混合して乾燥した後、プレス成形によりスローアウェイエンドミル用チップ(切削工具)形状に成形した。この成形体を焼成温度に対して500℃以上低い温度から10℃/分の速度で昇温し、表1に示す焼成条件で焼成して、超硬合金を作製した(表1中の試料No.I−1〜14)。なお、表1中の冷却速度は、焼成後800℃以下に冷却するまでの冷却速度を示した。また、表1中の「Ar」はアルゴンガス、「N」は窒素ガスを意味する。
得られた超硬合金の任意表面について、走査型電子顕微鏡により図2に示すような200倍の2次電子像を観察し、6mm×5mmの任意領域について、結合相凝集部の面積と平均直径を測定して存在比率(結合相凝集部を測定した視野領域における結合相凝集部の面積比率)を算出した。なお、結合相凝集部の測定個数は10個以上とし、その平均値を算出した。また、WC粒子の平均粒径は、ルーゼックス画像解析法にて算出した。これらの結果を表2に示す。
また、得られた超硬合金の任意表面について、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(Energy Dispersive System:EDS)分析により、任意表面における金属Coの含有率を測定した。この結果を表2に示す。
さらに、前記チップ形状である超硬合金をスローアウェイエンドミルに装着し、マシニングセンターを用いて、下記条件にて切削評価試験を行い、切削性能を評価した。この結果を表2に示す。
<切削条件>
(耐摩耗性評価試験(肩加工))
被削材 :ステンレス鋼(SUS)304
切削速度:V=150(m/分)
送り速度:0.12m/分
切込み :d(切込み深さ)=3mm、w(切込み幅)=10mm
その他 :乾式切削
評価方法:20分切削したときの切刃の摩耗幅を測定した。
(耐欠損性評価試験(肩加工))
被削材 :SUS304
切削速度:V=150(m/分)
送り速度:0.1m/分
切込み :d(切込み深さ)=4mm、w(切込み幅)=5mm
その他 :乾式切削
評価方法:切刃が欠損して、加工不能になるまでの切削時間を測定した。
表1、2の結果より、試料No.I−9〜14では、いずれも超硬合金表面における結合相凝集部の面積の割合が10%より低く、被削材が切刃に溶着して、耐欠損性評価試験における加工時間が短く、かつ耐摩耗性評価試験における摩耗幅が大きいものであった。
一方、本発明に従い、原料混合粉末の混合、粉砕条件、焼成条件を所定の範囲に制御し、いずれも結合相凝集部における島状部分の面積割合が10〜70%である試料No.I−1〜8では、放熱性が良くなるので切刃が高温になりにくく、耐溶着性に優れるものであった。また、超硬合金基体の表面において、表面全体における結合相総含有量が15〜70質量%含有し、切削試験にて加工時間5分以上、摩耗幅0.20mm以下の優れた耐欠損性、耐摩耗性を示すものであった。
[実施例II]
上記実施例Iの超硬合金を用い、この超硬合金の表面を洗浄して、イオンプレーティング法によって表3に示す硬質被覆膜を表3に示す厚みで成膜した(表3中の試料No.II−1〜14)。
さらに、前記チップ形状である超硬合金をスローアウェイエンドミルに装着し、マシニングセンターを用いて、下記条件にて切削評価試験を行い、切削性能を評価した。この結果を表3に示す。
<切削条件>
(耐摩耗性評価試験(肩加工))
被削材 :SUS304
切削速度:V=200(m/分)
送り速度:0.12m/分
切込み :d(切込み深さ)=3mm、w(切込み幅)=10mm
その他 :乾式切削
評価方法:20分切削したときの切刃の摩耗幅を測定した。
(耐欠損性評価試験(肩加工))
被削材 :SUS304
切削速度:V=200(m/分)
送り速度:0.1m/分
切込み :d(切込み深さ)=4mm、w(切込み幅)=5mm
その他 :乾式切削
評価方法:切刃が欠損して、加工不能になるまでの切削時間を測定した。
表3の結果より、試料No.II−9〜14では、いずれも超硬合金の表面における結合相凝集部の面積の割合が10%より低く、硬質被覆膜が剥離して、耐欠損性評価試験における加工時間が短く、かつ耐摩耗性評価試験における摩耗幅が大きいものであった。
一方、本発明に従い、原料混合粉末の混合、粉砕条件、焼成条件を所定の範囲に制御した試料No.II−1〜8では、いずれも結合相凝集部の面積割合が10〜70面積%であり、硬質被覆膜の付着力が高く、また放熱性が良くなるので切刃が高温になりにくく、耐溶着性に優れたものであり、切削試験にて加工時間12分以上、摩耗幅0.15mm以下の優れた耐欠損性、耐摩耗性を示すものであった。
[実施例III]
<超硬合金の作製>
WC粉末、Co粉末および他の炭化物粉末を表4示す平均粒径および組成比で調合し、これに酸素含有量10ppmの脱酸素水中に添加してスラリー状とした後、このスラリーをアトライタミルにて表4に示す平均粒径まで粉砕混合を行った。この時、平均粒径はレーザー回折散乱法(マイクロトラック)にて測定し、粒度分布における頻度50%の時の値(D50値)を混合粉末の粒度とした。
次に、このスラリーに対して有機バインダとしてパラフィンワックスを1.6質量%添加してさらに混合し、窒素ガス雰囲気中でスプレードライ法にて乾燥して顆粒を得た。そして、この顆粒を用いて金型プレス成形にて切削工具形状および抗折試験の試験片形状の成形体をそれぞれ所定数作製した。そして、この成形体を表5に示す昇温雰囲気、昇温速度6℃/分で昇温し、表5に示す温度、時間、雰囲気で保持して焼成した後、窒素ガス雰囲気中にて表5に示す降温速度で1000℃以下まで冷却し、さらに室温まで冷却して超硬合金を作製した(表4,5中の試料No.III−1〜16)。
得られた超硬合金の表面についてX線回折を行ない、X線回折パターンにおける各回折ピーク強度を求めて前記ピーク強度比[ICo/(IWC+ICo)]を算出した。また、X線光電子分析法(XPS)にて、超硬合金の断面の表面近傍を含む領域におけるCoの深さ方向での濃度分布を測定し、超硬合金の内部に比べてCoの濃度が高い領域の厚みを結合相富化層の厚みとして測定した。なお、結合相富化層が存在する試料については、結合相凝集部の有無および性状を実施例1と同様に評価した。結果は表6,7に示した。
さらに、下記条件で切削性能を評価した。
<切削条件>
被削材:TiAlV合金
切削速度:100m/分
送り:0.5mm/rev
切込み深さ:2mm
その他:湿式切削
評価方法:加工面粗度(最大高さRz)が0.8μmを超えるか、あるいはチッピング・欠損が発生した段階で評価を中止し、それまでに加工できた被削材の数を比較した。なお、評価については、同じ製法にて作製された切削工具試料各10個ずつについて評価し、その平均値を算出して表7に記載した。
<抗折試験条件>
試験片サイズ:8mm×4mm×24mm
面取り:0.2mm×45°
試験方法:3点曲げ(支点間距離20±0.5)
試験加重:800N以下の荷重速度で荷重を加え、破断した時を最大荷重とする。なお、評価については、同じ製法にて作製された試験片各10個ずつについて評価し、その平均値を算出して表7に記載した。
表4〜7から明らかなように、超硬合金を焼成する際、真空雰囲気で焼成した試料No.III−6では結合相富化層が形成されず、昇温時に窒素(N)ガスを流しかつ焼成後の冷却速度が50℃/分より遅い試料No.III−7および焼成時に窒素(N)ガスを流した試料No.III−8では結合相富化層の厚みが5μmより厚く形成された。また、Co含有量が10質量%を超える試料No.III−9およびNo.III−10ではICo/(IWC+ICo)が0.5を超えてしまった。これらの試料(No.III−6〜10)は、試料No.III−1〜5および試料No.III−11〜16に比べて、いずれも加工数が少なく工具寿命が短いものであった。また、抗折強度も低くなる傾向にあった。
一方、本発明に従い、Co含有量5〜10質量%、結合相富化層0.1〜5μm、0.02≦ICo/(IWC+ICo)≦0.5であった試料No.III−1〜5および試料No.III−11〜16では、いずれも工具寿命が長いものであった。中でも、平均粒径が5〜100μmのWC原料粉末を用いて粉末混合時に粉末の粒径(粒度)を調整して超硬合金中の酸素含有量が0.045質量%以下となった試料No.III−11〜13,15は、試料No.III−1〜3,5の同じ組成同士で比較した場合、抗折強度に優れるとともに切削加工数も多くなった。特に、試料No.III−11〜13については、Co量が5〜7質量と少ないにもかかわらず、1380〜1415℃という低温焼成が可能で超硬合金中の炭化タングステン粒子が粒成長することもなく、優れた抗折強度および切削性能を発揮することが確認された。
[実施例IV]
<超硬合金の作製>
表8に示す平均粒径および組成比の炭化タングステン(WC)粉末、コバルト(Co)粉末および他の炭化物粉末に、有機バインダとしてパラフィンワックスを1.6質量%とメタノールを溶媒として添加・混合し、さらに混合粉末の粒径がマイクロトラック法による測定で表8に示すD50値になるまで粉砕して造粒した。ついで、造粒した混合原料を金型プレス成形し、表8に示す温度まで昇温速度6℃/分で昇温し、表8に示す温度および焼成雰囲気にて1時間保持して焼結させた後、300℃/分で室温まで冷却して超硬合金を作製した(表8中の試料No.IV−1〜13)。
得られた超硬合金について、抗磁力および飽和磁化を磁力特性測定器(日本フェルスター社製の「KOERZIMAT CS」)を用いて測定した。また、超硬合金中に含有される酸素量を以下の方法で測定した。すなわち、粉砕した超硬合金粉末試料をニッケルおよびすず(Sn)と混合し、1000〜2000℃まで昇温させて試料を分解させた後、赤外線検出器にて酸素を検出して定量した。さらに、CIS−019D−2005に規定された超硬合金の平均粒径の測定方法に順じて、超硬合金中の硬質相の平均粒径を測定した。なお、結合相富化層が存在する試料については、結合相凝集部の有無および性状を実施例1と同様に評価した。これらの結果を表9に示す。なお、表9中の「Hc」は抗磁力を意味し、「4πσ」は飽和磁化を意味する。
また、下記条件で切削性能を評価した。結果を表10に示す。
<切削条件>
(耐摩耗性試験)
被削材:TiAlV合金丸棒
切削速度:150m/分
送り:0.3mm/rev
切込み深さ:1.5mm
その他:湿式切削
評価方法:20分間切削した時のノーズ先端の摩耗量を測定した。途中で欠損したものはその場で試験を中断した。
(耐欠損性試験)
被削材:TiAlV合金4本溝入り丸棒
切削速度:120m/分
送り:0.3mm
切込み深さ:2.0mm
その他:湿式切削
評価方法:切刃が欠損した時の切刃にかかった衝撃回数を測定した。
表8、表9および表10から明らかなように、調合に使用したWC原料粉末の平均粒径が5〜200μmの範囲外である原料粉末を用いた試料No.IV−7、9、11は、酸素含有量が0.045質量%を超えてしまい、耐摩耗性および耐欠損性が共に悪くなった。また、Co含有量が7質量%を越える試料No.IV−8、9では耐摩耗性が低下し、Co含有量が5質量%より少ない試料No.IV−7では早期に欠損してしまった。さらに、焼成雰囲気が真空または窒素ガスフロー雰囲気であり、硬質相の平均粒径が0.6μmより小さくなった試料No.IV−10、12では早期に欠損してしまい、硬質相の平均粒径が1.0μmより大きくなった試料No.IV−13では耐摩耗性が低下した。また、抗磁力が15kA/mより低い試料No.IV−8、11では耐摩耗性が低下し、抗磁力が25kA/mを越える試料No.IV−10では耐欠損性が低下していた。さらに、飽和磁化が9μTm/kgより低い試料No.IV−7、12では耐欠損性が低下し、飽和磁化が12μTm/kgを超える試料No.IV−8は耐摩耗性が低下した。
一方、本発明の範囲内の特性を有する試料No.IV−1〜6では、耐摩耗性および耐欠損性ともに良好で、非常に優れた工具寿命を示した。
[実施例V]
表8〜10に示される試料No.IV−1と試料No.IV−7の超硬合金の表面に、それぞれアークイオンプレーティング法にて(Ti,Al)N膜を膜厚1.5μmで成膜し、試料No.V−1と試料No.V−2を作製した。作製した試料について、下記に示す条件で切削性能を評価した。結果は表11に示した。
<切削条件>
(耐摩耗性試験)
被削材:Inconel718丸棒
切削速度:180m/分
送り:0.3mm/rev
切込み深さ:1.0mm
その他:湿式切削
評価方法:20分間切削した時のノーズ先端の摩耗量を測定した。途中で欠損したものはその場で試験を中断した。
(耐欠損性試験)
被削材:Inconel718 4本溝入り丸棒
切削速度:150m/分
送り:0.3mm
切込み深さ:2.0mm
その他:湿式切削
評価方法:切刃が欠損した時の切刃にかかった衝撃回数を測定した。
表11より、本発明の範囲外となる試料No.V−2は、強度が十分ではなかったため、耐欠損性試験において早期に欠損が発生し、かつ、耐摩耗試験においても欠損が発生してしまった。それに対して、本発明の範囲内である試料No.V−1は、耐摩耗性および耐欠損性共に優れた性能を発揮し、長寿命な切削工具となった。
1 超硬合金
2 硬質相
3 結合相
4 結合相凝集部
5 正常部

Claims (3)

  1. コバルトおよび/またはニッケル5〜7質量%と、
    周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化物(ただし、炭化タングステンを除く)、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種0〜10質量%とを含有し、
    残部が炭化タングステンで構成され、
    炭化タングステン粒子を主体とし、前記炭化物、窒化物および炭窒化物から選ばれる少なくとも1種のβ粒子を含有する硬質相を、前記コバルトおよび/またはニッケルを主体とする結合相で結合した超硬合金であって、
    前記硬質相の平均粒径が0.6〜1.0μm、飽和磁化が9〜12μTm/kg、抗磁力が15〜25kA/mであり、かつ酸素含有量が0.045質量%以下である超硬合金。
  2. 前記周期律表第4、5および6族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種として、クロムを前記結合相の含有量に対して炭化物(Cr)換算量で2〜10質量%の割合で含有する請求項1記載の超硬合金。
  3. すくい面と逃げ面との交差稜部に形成された切刃を被切削物に当てて切削加工する切削工具であり、前記切刃が請求項1記載の超硬合金からなる切削工具。
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