JPWO2009001547A1 - 金属シリコンの精製方法とシリコン塊の製造方法 - Google Patents

金属シリコンの精製方法とシリコン塊の製造方法 Download PDF

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Abstract

金属シリコンの精製方法では、1000ppm以上、10000ppm以下の重量比のアルミニウムを含み、シリコンの濃度が98重量%以上99.9重量%以下である金属シリコンを準備する。この金属シリコンを圧力が100Pa以上、1000Pa以下の不活性雰囲気で、1500℃以上、1600℃以下に加熱し、一定時間保持する。

Description

本発明は、金属シリコンの精製方法とそれを用いたシリコン塊の製造方法に関する。
いろいろな技術分野において、蒸着法で作製したシリコン薄膜が活用されている。このようなシリコン薄膜を作製する際には、抵抗加熱や誘導加熱、あるいは電子線加熱によりシリコンを加熱する。電子線加熱では、蒸発源にあるシリコンの表面が局所的に加熱される。そのため、蒸発源にあるシリコン全体を加熱する必要がある抵抗加熱や誘導加熱などの他の方法に比べて効率よく蒸発速度を上昇させることができる。
しかし電子線加熱では、電子線が当たる表面の狭い領域が局所的に急加熱される。しかしながら蒸発源のシリコンには水分や、有機物、リン、カルシウム、アルミニウムなどの低沸点不純物が含まれる場合がある。例えば、天然に産出される酸化ケイ素を還元して製造した金属シリコンにはアルミニウムが多く含まれている。
このような場合、低沸点不純物の急激な気化により、シリコンが飛散する。飛散したシリコンは、作製する薄膜の蒸着面に付着することにより、薄膜の厚み、組成などの品質に影響を与える。さらに、蒸着基材に損傷を与える可能性もある。特に、固体シリコンを連続供給する場合や、バッチ供給した固体シリコンの融解途中など固体シリコンが蒸発源中に残存するときには、急加熱によるシリコンの飛散が発生しやすい。これは、固体シリコンの密度がシリコン融液の密度よりも小さく、固体シリコンが浮かびやすいためである。
このような固体シリコン融解時の急加熱によるシリコンの飛散を抑制するためには融解時の不純物アルミニウムの蒸気圧を炉内圧力よりも小さくするが有効である。希薄溶液を加熱したときの溶媒および各溶質の蒸気圧には、ラウールの法則およびヘンリーの法則が適用できる。これと同様に、不純物を含む固体シリコンを加熱する際にも、低沸点不純物の濃度を減少させるとその飽和蒸気圧を小さくすることができ、急激な気化を抑制することができる。
固体シリコンに対するアルミニウムの固溶度は温度によって変化するが、1200〜1400℃の範囲では500ppm(重量比)程度のアルミニウムがシリコンに固溶する。そのため、アルミニウム濃度が500ppm以下の場合にはアルミニウムがシリコン中に存在することができ、粒界などに析出しにくい。その結果、融解時の急激な気化が起こりにくい。しかしながら、さらに高濃度のアルミニウムがシリコン中に存在する場合には、固溶できなかったアルミニウムはシリコン粒界などに濃縮され、アルミニウム濃度の高い領域が形成される。そのため、蒸発源のシリコン中のアルミニウム濃度が500ppmより高い場合には、電子線による急加熱時に、アルミニウムが急激に気化する。これは、アルミニウムが濃縮された粒界などの部分で局所的にアルミニウム濃度が高い融液が形成されるためである。このようにアルミニウムが急激に気化するとシリコンが飛散しやすい。
半導体や太陽電池に用いられるシリコンはその純度が99.999%以上である。そのため、これらのシリコンの廃材(スクラップシリコン)を蒸発源に用いた場合にはシリコンの飛散が抑制される。しかしながら高純度のシリコンの需要は逼迫しており、入手が困難であるとともに、非常に高価である。
このため安価な蒸発源を得る手段として、冶金学的に精製されたシリコン(これを金属シリコンいう)を原料シリコンとし、これを精製することが考えられる。金属シリコンの純度は98%程度であり、上述のようにリン、カルシウム、アルミニウムなどの低沸点不純物が含まれている。
一方、太陽電池等の製造に用いられるような、不純物が1ppm以下の高純度シリコンを得る精製方法は各種知られている。具体的には特許文献1、特許文献2などに示される減圧下での加熱による精製方法が挙げられる。
特許文献1、特許文献2などで示される10Pa以下の高真空条件での処理では、低沸点不純物の蒸発速度が大きく、精製中にシリコンが飛散しやすい。そのため、アルミニウムが1000ppm以上含まれるような金属シリコンの処理には高真空条件での処理は適さない。
また特許文献3には、98%〜99%程度の純度にシリコンを精製する方法が開示されている。この方法では酸による溶出処理を用いて不純物を除去する。しかしながらこの方法では不純物のアルミニウム濃度を500ppmまたはそれ以下まで低減することはできない。
このように、アルミニウムが1000ppm以上含まれるような金属シリコンを原料として、化学的手法を用いずにアルミニウム濃度を500ppmまたはそれ以下まで低減する精製方法の検討例は少ない。
特開平6−227808号公報 特開2006−232658号公報 特開平5−33070号公報
本発明において、金属シリコンとは、シリコンの濃度が98重量%以上、99.9重量%以下であり、その他は金属等の不純物で構成されているものを意味する。特に、不純物のうちで、アルミニウムの濃度は、重量比で1000ppm以上10000ppm以下である。
本発明の金属シリコンの精製方法では、上記金属シリコンを準備する。次に、この金属シリコンを圧力が100Pa以上、1000Pa以下の不活性雰囲気で、1500℃以上、1600℃以下に加熱し、一定時間保持する。この金属シリコンの精製方法によれば、金属シリコン中のアルミニウムを効率よく除去することができる。
また、本発明のシリコン塊の製造方法は、金属シリコンを準備するステップと、金属シリコンを圧力が100Pa以上、1000Pa以下の不活性雰囲気で、1500℃以上、1600℃以下に加熱し、一定時間保持するステップと、加熱、保持された金属シリコンを冷却してシリコン塊を形成するステップと、を備えている。
図1は本発明の実施の形態における金属シリコンの精製方法を実施するための融解設備の構成例を示す図である。 図2は本発明の実施の形態においてアルミニウム濃度3000ppmの金属シリコンを原料に用い、処理温度を変化させてアルミニウム濃度を500ppmまで低減した場合のシリコン回収率の変化を示す図である。 図3は本発明の実施の形態において原料に用いる金属シリコンの初期アルミニウム濃度によるアルミニウム濃度500ppmを達成するために必要な処理時間の変化を示す図である。
符号の説明
1 ルツボ
2 コイル
3 チャンバ
4 真空ポンプ
5 原料シリコン
図1は、本発明の実施の形態における金属シリコンの精製方法を実施するための融解設備の構成例を示す図である。この融解設備は原料シリコン5を保持する容器であるルツボ1と、加熱部であるコイル2と、チャンバ3と、真空ポンプ4とを有する。
チャンバ3内にはルツボ1が設置され、チャンバ3内は予めアルゴンなどの不活性ガスで置換された後、真空ポンプ4により減圧されている。すなわち、ルツボ1の周りはアルゴンなどの不活性雰囲気で100Pa以上、1000Pa以下の減圧下に保持されている。
コイル2はルツボ1を囲むように配置されている。コイル2に高周波電流を流すことによりルツボ1は誘導加熱される。
ルツボ1内に保持された原料シリコン(金属シリコン)5のシリコンの濃度は98重量%以上99.9重量%以下であり、不純物としてアルミニウムを含む。そして原料シリコン5をコイル2により処理温度1500℃以上、1600℃以下に加熱する。そして加熱された原料シリコン5の温度を一定時間維持する。すなわち、原料シリコン5を一定時間この温度範囲内に保持する。この方法によれば、原料シリコン5中のアルミニウムを効率よく除去することが可能である。そのため、加熱、保持された金属シリコンを冷却することで薄膜作製の材料に適したシリコン塊を製造することができる。
100Pa未満の減圧下で処理すると、リン、カルシウム、アルミニウムなどの低沸点不純物の蒸発速度が大きくなり、突沸が起きる。そのため、突沸により材料の飛散が増え材料回収率が顕著に低下する。また高温のシリコン融液が飛散することにより装置を破損する危険性がある。一方、1000Paを超える減圧下では不純物の蒸発速度が遅くなる。また、チャンバ3内の残存酸素量が増加しやすく、原料シリコン5の表面が顕著に酸化され、低沸点不純物の気化が阻害される。
処理温度1500℃未満では酸化ケイ素の蒸発速度が小さく、融解した原料シリコン5の表面の酸化物の膜が除去されにくい。そのため、融解した原料シリコン5の表面が酸化物の膜で覆われる。この膜がアルミニウムの蒸発を阻害するため、精製効率が低下する。一方、1600℃を超える温度で処理すると、低沸点不純物の蒸発速度が大きくなり、突沸しやすい。そのためシリコンが飛散し、シリコンの材料ロスが大きくなる。
このように、100Pa以上、1000Pa以下の減圧不活性雰囲気で、かつ1500℃以上、1600℃以下で処理することで初めて原料シリコン5中のアルミニウムを効率よく除去することができる。すなわち、融解した原料シリコン5の表面が酸化物の膜で覆われることによる蒸発阻害と、突沸によるシリコンのロスを抑制しつつ、効率よくアルミニウムを除去することができる。
なお原料シリコン5を加熱する方法としては誘導加熱以外の方法も使用できる。たとえばヒーターを設置し、抵抗加熱によりルツボ1を介して加熱してもよく、電子ビーム加熱などを適用してもよい。ただし、加熱効率の観点から抵抗加熱よりも誘導加熱が好ましい。また、突沸による回収効率の観点から電子ビーム加熱よりも誘導加熱が好ましい。
なお、シリコンの酸化を抑制するため、ルツボ1は溶融シリコンを酸化しない非酸化性の材質で構成されることが望ましい。このようなルツボ1の材料として黒鉛や炭化ケイ素、窒化珪素などが挙げられる。
なお、原料シリコン5中の不純物であるアルミニウムの濃度は、天然に産出する酸化ケイ素を還元して製造した金属シリコンのように1000ppm以上である場合に本実施の形態による方法は有効である。また誘導加熱でルツボ1を介して原料シリコン5を加熱する場合、原料シリコン5中の不純物濃度が低いときには、電気抵抗が大きいため、加熱初期における加熱効率が低下する。そのため、誘導加熱法を適用する場合、原料シリコン5中の不純物であるアルミニウムの濃度は1000ppm以上でなければ有効に働きにくい。
一方、原料シリコン5中の不純物濃度が大きくなると、不純物の気化に要する時間が長くなり、シリコンの気化とともに揮発物がチャンバ3の内部に蓄積する。そのためチャンバ3内の清浄を保持しにくくなる。このような観点から原料シリコン5中のアルミニウム濃度は10000ppm以下であることが好ましい。このように原料シリコン5が1000ppm以上、10000ppm以下の重量比のアルミニウムを含む場合に上述の方法は有効である。また処理時間の観点からは、2000ppm以下であることがさらに好ましい。
また上述の方法では前記原料シリコンの温度を、含有するアルミニウムの重量比が100ppm以上、500ppm以下になるまで維持することが好ましい。この範囲までアルミニウム濃度を低下させることにより電子線加熱でシリコン薄膜を作製するために適したシリコン塊を得ることができる。一方、太陽電池用など、さらにアルミニウム濃度を低下させるためには、雰囲気圧力や保持時間の観点からこの方法は不向きである。
また原料シリコン5の周囲を不活性ガスで置換し、この不活性ガスの雰囲気を減圧した後に、原料シリコン5を加熱することが好ましい。これにより、原料シリコン5が融解した際に、表面に酸化物の膜が形成されにくい。
以下、具体的な実施例によって、本実施の形態の効果を説明する。なお以下の説明では、ルツボ1として直径25mm、高さ100mmの黒鉛ルツボを用い、コイル2には周波数82kHz、出力7kWの高周波電流を印加した。また原料シリコン5としてアルミニウムが所定量含まれる粒径約10mmの金属シリコン50gを用いた。
(実施例1:処理温度依存性)
高周波融解炉を構成するチャンバ3内に設置したルツボ1中に、アルミニウムが3000ppm含まれた原料シリコン5を装填した。その後、チャンバ3内を減圧し、アルゴンガスを常圧まで流入させてチャンバ3内の雰囲気をアルゴン雰囲気とした。さらに再度チャンバ3内を760Paまで減圧した。この状態でコイル2に水を循環して冷却しつつ、82kHzの高周波を4kWの出力でコイル2に印加し、原料シリコン5を加熱した。その際、(表1)に示すように1450℃〜1650℃のうちの所定の処理温度まで加熱し、その後は高周波の出力を調節することで処理温度を一定時間維持した(サンプルA〜サンプルE)。すなわち、アルミニウム濃度が500ppmになるまで原料シリコン5の温度を保持した。
加熱中の原料シリコン5の温度は赤外放射温度計を用いて測定した。また、ロジウム30%を含む白金ロジウム合金とロジウム6%を含む白金ロジウム合金で構成された熱電対(B熱電対)により、ルツボ1の温度を測定した。この温度を基準にして高周波の出力を制御して原料シリコン5の温度を保持した。そして加熱開始より(表1)に示す所定時間経過した後、自然冷却により室温まで冷却した。
シリコン回収率は原料シリコン5の重量に対する処理後にルツボ1内に残っていたシリコンの重量の割合を測定することで求めた。成分分析は蛍光X線分析法により行った。実験結果を(表1)と図2に示す。
Figure 2009001547
(表1)に示すように、1500℃で処理を行ったサンプルBの場合、7時間の処理にてアルミニウム濃度が500ppmまで低減できた。サンプルC、サンプルDでは、処理温度をそれぞれ、1550℃、1600℃とした。これらのサンプルでは、1500℃の処理を行ったサンプルBに比べて、より短い時間でアルミニウム濃度を500ppm未満まで低減することができた。また、(表1)と図2に示すとおり、処理温度が1500℃以上、1600℃以下の場合には、効果的にアルミニウムを除去できるとともにシリコン回収率が高いことが確認された。
一方、サンプルA、サンプルEでは、それぞれ1450および1650℃で処理した。(表1)に示すように、サンプルAでは長時間の処理を行えばシリコン中のアルミニウム濃度を低減できる。しかしながら融解した原料シリコン5に膜ができやすく、この膜によって湯面が覆われることにより蒸発速度が不安定になる。そのため、シリコン回収率が低下した。一方、サンプルEでは、アルミニウム濃度を短時間で低減できる。しかしながら、低沸点不純物の蒸発速度が大きすぎ、融解開始とともに突沸によりシリコンが飛散した。そのため、処理後のシリコンの回収率が40%まで低下した。
(実施例2:処理圧力依存性)
チャンバ3内部の雰囲気を1.3Paから1500Paまで変化させた。それ以外はサンプルCと同様の方法にて、アルミニウムが3000ppm含まれた原料シリコン5を、アルミニウム濃度が500ppmになるまで処理した(サンプルFからサンプルK)。結果をサンプルCの結果とともに(表2)に示す。
Figure 2009001547
一般に、圧力が低いほど、シリコンの蒸発が促進されると考えられる。(表2)に示すとおり、処理圧力が1500PaのサンプルFでも100PaのサンプルHでも、シリコン回収率は、ほとんど変化しない。一方、処理圧力が1.3PaのサンプルK、10PaのサンプルJでは、シリコンの回収率が低くなることが確認された。
また処理圧力が低い場合には、アルミニウムの蒸発も促進され、処理時間を短縮できることが期待される。しかし、(表2)に示すとおり、本実験では、処理圧力1.3Pa〜1000Paで処理時間に大きな差は無かった。したがって100Pa未満で処理しても処理時間を短縮するメリットはない。一方、処理圧力が1500PaのサンプルFでは、処理圧力が100PaのサンプルHなどに比べ処理時間が1.5倍となった。以上から、処理圧力は100Pa以上、1000Pa以下が好ましい。また100Pa以上、760Pa以下がより好ましい。
(実施例3:初期アルミニウム濃度依存性)
処理開始前の原料シリコン5に含まれるアルミニウム濃度を変えてサンプルCと同様の実験を行った。すなわち、各種アルミニウム濃度の金属シリコンを760Paの減圧下、処理温度1550℃にて、アルミニウム濃度が500ppmになるまで処理した(サンプルLからサンプルY)。結果をサンプルCの結果とともに(表3)および図3に示す。
Figure 2009001547
アルミニウム濃度が小さくなるほど処理時間が短くなるが、アルミニウム濃度が小さくなるに従い原料シリコン5の初期加熱にかかる時間が長くなる。そのため、アルミニウム濃度が3000ppmより小さくなると原料のアルミニウム濃度による処理時間の短縮効果は小さくなり始める。そしてアルミニウム濃度が1500ppmの場合に処理時間は最小になる。そしてアルミニウム濃度が1500ppmから1000ppmの領域では、120分の処理にてアルミニウム濃度を500ppmに低減することが可能になる。
これ以上処理開始前の原料シリコン5に含まれるアルミニウム濃度を低減すると、原料シリコン5の加熱効率が低くなり融解に時間がかかる。そのため、アルミニウム濃度が950ppm以下の金属シリコンを原料に用いたサンプルW〜サンプルYではサンプルCと同様の条件で加熱を行ったにもかかわらず、アルミニウムの除去効果は小さい。すなわち、サンプルW〜サンプルYでは、アルミニウム濃度500ppmを達成するために必要な処理時間は、原料のアルミニウム濃度が1000ppmのサンプルVよりも処理時間が長くなることが確認された。
以上のように、誘導加熱により原料シリコン5を加熱する場合、処理開始前の原料シリコン5に含まれるアルミニウム濃度は1000ppm以上、10000ppm以下が好ましい。処理時間の観点からは2000ppm以下がさらに好ましい。
本発明による金属シリコンの精製方法によれば、原料シリコン中に含まれる不純物であるアルミニウムを効果的に除去することができる。そのため、薄膜作製の材料に適したシリコン塊を製造することができる。また、本発明は蒸着用原料などへの純度調整などの用途にも応用できる。
本発明は、金属シリコンの精製方法とそれを用いたシリコン塊の製造方法に関する。
いろいろな技術分野において、蒸着法で作製したシリコン薄膜が活用されている。このようなシリコン薄膜を作製する際には、抵抗加熱や誘導加熱、あるいは電子線加熱によりシリコンを加熱する。電子線加熱では、蒸発源にあるシリコンの表面が局所的に加熱される。そのため、蒸発源にあるシリコン全体を加熱する必要がある抵抗加熱や誘導加熱などの他の方法に比べて効率よく蒸発速度を上昇させることができる。
しかし電子線加熱では、電子線が当たる表面の狭い領域が局所的に急加熱される。しかしながら蒸発源のシリコンには水分や、有機物、リン、カルシウム、アルミニウムなどの低沸点不純物が含まれる場合がある。例えば、天然に産出される酸化ケイ素を還元して製造した金属シリコンにはアルミニウムが多く含まれている。
このような場合、低沸点不純物の急激な気化により、シリコンが飛散する。飛散したシリコンは、作製する薄膜の蒸着面に付着することにより、薄膜の厚み、組成などの品質に影響を与える。さらに、蒸着基材に損傷を与える可能性もある。特に、固体シリコンを連続供給する場合や、バッチ供給した固体シリコンの融解途中など固体シリコンが蒸発源中に残存するときには、急加熱によるシリコンの飛散が発生しやすい。これは、固体シリコンの密度がシリコン融液の密度よりも小さく、固体シリコンが浮かびやすいためである。
このような固体シリコン融解時の急加熱によるシリコンの飛散を抑制するためには融解時の不純物アルミニウムの蒸気圧を炉内圧力よりも小さくするが有効である。希薄溶液を加熱したときの溶媒および各溶質の蒸気圧には、ラウールの法則およびヘンリーの法則が適用できる。これと同様に、不純物を含む固体シリコンを加熱する際にも、低沸点不純物の濃度を減少させるとその飽和蒸気圧を小さくすることができ、急激な気化を抑制することができる。
固体シリコンに対するアルミニウムの固溶度は温度によって変化するが、1200〜1400℃の範囲では500ppm(重量比)程度のアルミニウムがシリコンに固溶する。そのため、アルミニウム濃度が500ppm以下の場合にはアルミニウムがシリコン中に存在することができ、粒界などに析出しにくい。その結果、融解時の急激な気化が起こりにくい。しかしながら、さらに高濃度のアルミニウムがシリコン中に存在する場合には、固溶できなかったアルミニウムはシリコン粒界などに濃縮され、アルミニウム濃度の高い領域が形成される。そのため、蒸発源のシリコン中のアルミニウム濃度が500ppmより高い場合には、電子線による急加熱時に、アルミニウムが急激に気化する。これは、アルミニウムが濃縮された粒界などの部分で局所的にアルミニウム濃度が高い融液が形成されるためである。このようにアルミニウムが急激に気化するとシリコンが飛散しやすい。
半導体や太陽電池に用いられるシリコンはその純度が99.999%以上である。そのため、これらのシリコンの廃材(スクラップシリコン)を蒸発源に用いた場合にはシリコンの飛散が抑制される。しかしながら高純度のシリコンの需要は逼迫しており、入手が困難であるとともに、非常に高価である。
このため安価な蒸発源を得る手段として、冶金学的に精製されたシリコン(これを金属シリコンいう)を原料シリコンとし、これを精製することが考えられる。金属シリコンの純度は98%程度であり、上述のようにリン、カルシウム、アルミニウムなどの低沸点不純物が含まれている。
一方、太陽電池等の製造に用いられるような、不純物が1ppm以下の高純度シリコンを得る精製方法は各種知られている。具体的には特許文献1、特許文献2などに示される減圧下での加熱による精製方法が挙げられる。
特許文献1、特許文献2などで示される10Pa以下の高真空条件での処理では、低沸点不純物の蒸発速度が大きく、精製中にシリコンが飛散しやすい。そのため、アルミニウムが1000ppm以上含まれるような金属シリコンの処理には高真空条件での処理は適さない。
また特許文献3には、98%〜99%程度の純度にシリコンを精製する方法が開示されている。この方法では酸による溶出処理を用いて不純物を除去する。しかしながらこの方法では不純物のアルミニウム濃度を500ppmまたはそれ以下まで低減することはできない。
このように、アルミニウムが1000ppm以上含まれるような金属シリコンを原料として、化学的手法を用いずにアルミニウム濃度を500ppmまたはそれ以下まで低減する精製方法の検討例は少ない。
特開平6−227808号公報 特開2006−232658号公報 特開平5−33070号公報
本発明において、金属シリコンとは、シリコンの濃度が98重量%以上、99.9重量%以下であり、その他は金属等の不純物で構成されているものを意味する。特に、不純物のうちで、アルミニウムの濃度は、重量比で1000ppm以上10000ppm以下である。
本発明の金属シリコンの精製方法では、上記金属シリコンを準備する。次に、この金属シリコンを圧力が100Pa以上、1000Pa以下の不活性雰囲気で、1500℃以上、1600℃以下に加熱し、一定時間保持する。この金属シリコンの精製方法によれば、金属シリコン中のアルミニウムを効率よく除去することができる。
また、本発明のシリコン塊の製造方法は、金属シリコンを準備するステップと、金属シリコンを圧力が100Pa以上、1000Pa以下の不活性雰囲気で、1500℃以上、1600℃以下に加熱し、一定時間保持するステップと、加熱、保持された金属シリコンを冷却してシリコン塊を形成するステップと、を備えている。
図1は、本発明の実施の形態における金属シリコンの精製方法を実施するための融解設備の構成例を示す図である。この融解設備は原料シリコン5を保持する容器であるルツボ1と、加熱部であるコイル2と、チャンバ3と、真空ポンプ4とを有する。
チャンバ3内にはルツボ1が設置され、チャンバ3内は予めアルゴンなどの不活性ガスで置換された後、真空ポンプ4により減圧されている。すなわち、ルツボ1の周りはアルゴンなどの不活性雰囲気で100Pa以上、1000Pa以下の減圧下に保持されている。
コイル2はルツボ1を囲むように配置されている。コイル2に高周波電流を流すことによりルツボ1は誘導加熱される。
ルツボ1内に保持された原料シリコン(金属シリコン)5のシリコンの濃度は98重量%以上99.9重量%以下であり、不純物としてアルミニウムを含む。そして原料シリコン5をコイル2により処理温度1500℃以上、1600℃以下に加熱する。そして加熱された原料シリコン5の温度を一定時間維持する。すなわち、原料シリコン5を一定時間この温度範囲内に保持する。この方法によれば、原料シリコン5中のアルミニウムを効率よく除去することが可能である。そのため、加熱、保持された金属シリコンを冷却することで薄膜作製の材料に適したシリコン塊を製造することができる。
100Pa未満の減圧下で処理すると、リン、カルシウム、アルミニウムなどの低沸点不純物の蒸発速度が大きくなり、突沸が起きる。そのため、突沸により材料の飛散が増え材料回収率が顕著に低下する。また高温のシリコン融液が飛散することにより装置を破損する危険性がある。一方、1000Paを超える減圧下では不純物の蒸発速度が遅くなる。また、チャンバ3内の残存酸素量が増加しやすく、原料シリコン5の表面が顕著に酸化され、低沸点不純物の気化が阻害される。
処理温度1500℃未満では酸化ケイ素の蒸発速度が小さく、融解した原料シリコン5の表面の酸化物の膜が除去されにくい。そのため、融解した原料シリコン5の表面が酸化物の膜で覆われる。この膜がアルミニウムの蒸発を阻害するため、精製効率が低下する。一方、1600℃を超える温度で処理すると、低沸点不純物の蒸発速度が大きくなり、突沸しやすい。そのためシリコンが飛散し、シリコンの材料ロスが大きくなる。
このように、100Pa以上、1000Pa以下の減圧不活性雰囲気で、かつ1500℃以上、1600℃以下で処理することで初めて原料シリコン5中のアルミニウムを効率よく除去することができる。すなわち、融解した原料シリコン5の表面が酸化物の膜で覆われることによる蒸発阻害と、突沸によるシリコンのロスを抑制しつつ、効率よくアルミニウムを除去することができる。
なお原料シリコン5を加熱する方法としては誘導加熱以外の方法も使用できる。たとえばヒーターを設置し、抵抗加熱によりルツボ1を介して加熱してもよく、電子ビーム加熱などを適用してもよい。ただし、加熱効率の観点から抵抗加熱よりも誘導加熱が好ましい。また、突沸による回収効率の観点から電子ビーム加熱よりも誘導加熱が好ましい。
なお、シリコンの酸化を抑制するため、ルツボ1は溶融シリコンを酸化しない非酸化性の材質で構成されることが望ましい。このようなルツボ1の材料として黒鉛や炭化ケイ素、窒化珪素などが挙げられる。
なお、原料シリコン5中の不純物であるアルミニウムの濃度は、天然に産出する酸化ケイ素を還元して製造した金属シリコンのように1000ppm以上である場合に本実施の形態による方法は有効である。また誘導加熱でルツボ1を介して原料シリコン5を加熱する場合、原料シリコン5中の不純物濃度が低いときには、電気抵抗が大きいため、加熱初期における加熱効率が低下する。そのため、誘導加熱法を適用する場合、原料シリコン5中の不純物であるアルミニウムの濃度は1000ppm以上でなければ有効に働きにくい。
一方、原料シリコン5中の不純物濃度が大きくなると、不純物の気化に要する時間が長くなり、シリコンの気化とともに揮発物がチャンバ3の内部に蓄積する。そのためチャンバ3内の清浄を保持しにくくなる。このような観点から原料シリコン5中のアルミニウム濃度は10000ppm以下であることが好ましい。このように原料シリコン5が1000ppm以上、10000ppm以下の重量比のアルミニウムを含む場合に上述の方法は有効である。また処理時間の観点からは、2000ppm以下であることがさらに好ましい。
また上述の方法では前記原料シリコンの温度を、含有するアルミニウムの重量比が100ppm以上、500ppm以下になるまで維持することが好ましい。この範囲までアルミニウム濃度を低下させることにより電子線加熱でシリコン薄膜を作製するために適したシリコン塊を得ることができる。一方、太陽電池用など、さらにアルミニウム濃度を低下させるためには、雰囲気圧力や保持時間の観点からこの方法は不向きである。
また原料シリコン5の周囲を不活性ガスで置換し、この不活性ガスの雰囲気を減圧した後に、原料シリコン5を加熱することが好ましい。これにより、原料シリコン5が融解した際に、表面に酸化物の膜が形成されにくい。
以下、具体的な実施例によって、本実施の形態の効果を説明する。なお以下の説明では、ルツボ1として直径25mm、高さ100mmの黒鉛ルツボを用い、コイル2には周波数82kHz、出力7kWの高周波電流を印加した。また原料シリコン5としてアルミニウムが所定量含まれる粒径約10mmの金属シリコン50gを用いた。
(実施例1:処理温度依存性)
高周波融解炉を構成するチャンバ3内に設置したルツボ1中に、アルミニウムが3000ppm含まれた原料シリコン5を装填した。その後、チャンバ3内を減圧し、アルゴンガスを常圧まで流入させてチャンバ3内の雰囲気をアルゴン雰囲気とした。さらに再度チャンバ3内を760Paまで減圧した。この状態でコイル2に水を循環して冷却しつつ、82kHzの高周波を4kWの出力でコイル2に印加し、原料シリコン5を加熱した。その際、(表1)に示すように1450℃〜1650℃のうちの所定の処理温度まで加熱し、その後は高周波の出力を調節することで処理温度を一定時間維持した(サンプルA〜サンプルE)。すなわち、アルミニウム濃度が500ppmになるまで原料シリコン5の温度を保持した。
加熱中の原料シリコン5の温度は赤外放射温度計を用いて測定した。また、ロジウム30%を含む白金ロジウム合金とロジウム6%を含む白金ロジウム合金で構成された熱電対(B熱電対)により、ルツボ1の温度を測定した。この温度を基準にして高周波の出力を制御して原料シリコン5の温度を保持した。そして加熱開始より(表1)に示す所定時間経過した後、自然冷却により室温まで冷却した。
シリコン回収率は原料シリコン5の重量に対する処理後にルツボ1内に残っていたシリコンの重量の割合を測定することで求めた。成分分析は蛍光X線分析法により行った。実験結果を(表1)と図2に示す。
Figure 2009001547
(表1)に示すように、1500℃で処理を行ったサンプルBの場合、7時間の処理にてアルミニウム濃度が500ppmまで低減できた。サンプルC、サンプルDでは、処理温度をそれぞれ、1550℃、1600℃とした。これらのサンプルでは、1500℃の処理を行ったサンプルBに比べて、より短い時間でアルミニウム濃度を500ppm未満まで低減することができた。また、(表1)と図2に示すとおり、処理温度が1500℃以上、1600℃以下の場合には、効果的にアルミニウムを除去できるとともにシリコン回収率が高いことが確認された。
一方、サンプルA、サンプルEでは、それぞれ1450および1650℃で処理した。(表1)に示すように、サンプルAでは長時間の処理を行えばシリコン中のアルミニウム濃度を低減できる。しかしながら融解した原料シリコン5に膜ができやすく、この膜によって湯面が覆われることにより蒸発速度が不安定になる。そのため、シリコン回収率が低下した。一方、サンプルEでは、アルミニウム濃度を短時間で低減できる。しかしながら、低沸点不純物の蒸発速度が大きすぎ、融解開始とともに突沸によりシリコンが飛散した。そのため、処理後のシリコンの回収率が40%まで低下した。
(実施例2:処理圧力依存性)
チャンバ3内部の雰囲気を1.3Paから1500Paまで変化させた。それ以外はサンプルCと同様の方法にて、アルミニウムが3000ppm含まれた原料シリコン5を、アルミニウム濃度が500ppmになるまで処理した(サンプルFからサンプルK)。結果をサンプルCの結果とともに(表2)に示す。
Figure 2009001547
一般に、圧力が低いほど、シリコンの蒸発が促進されると考えられる。(表2)に示すとおり、処理圧力が1500PaのサンプルFでも100PaのサンプルHでも、シリコン回収率は、ほとんど変化しない。一方、処理圧力が1.3PaのサンプルK、10PaのサンプルJでは、シリコンの回収率が低くなることが確認された。
また処理圧力が低い場合には、アルミニウムの蒸発も促進され、処理時間を短縮できることが期待される。しかし、(表2)に示すとおり、本実験では、処理圧力1.3Pa〜1000Paで処理時間に大きな差は無かった。したがって100Pa未満で処理しても処理時間を短縮するメリットはない。一方、処理圧力が1500PaのサンプルFでは、処理圧力が100PaのサンプルHなどに比べ処理時間が1.5倍となった。以上から、処理圧力は100Pa以上、1000Pa以下が好ましい。また100Pa以上、760Pa以下がより好ましい。
(実施例3:初期アルミニウム濃度依存性)
処理開始前の原料シリコン5に含まれるアルミニウム濃度を変えてサンプルCと同様の実験を行った。すなわち、各種アルミニウム濃度の金属シリコンを760Paの減圧下、処理温度1550℃にて、アルミニウム濃度が500ppmになるまで処理した(サンプルLからサンプルY)。結果をサンプルCの結果とともに(表3)および図3に示す。
Figure 2009001547
アルミニウム濃度が小さくなるほど処理時間が短くなるが、アルミニウム濃度が小さくなるに従い原料シリコン5の初期加熱にかかる時間が長くなる。そのため、アルミニウム濃度が3000ppmより小さくなると原料のアルミニウム濃度による処理時間の短縮効果は小さくなり始める。そしてアルミニウム濃度が1500ppmの場合に処理時間は最小になる。そしてアルミニウム濃度が1500ppmから1000ppmの領域では、120分の処理にてアルミニウム濃度を500ppmに低減することが可能になる。
これ以上処理開始前の原料シリコン5に含まれるアルミニウム濃度を低減すると、原料シリコン5の加熱効率が低くなり融解に時間がかかる。そのため、アルミニウム濃度が950ppm以下の金属シリコンを原料に用いたサンプルW〜サンプルYではサンプルCと同様の条件で加熱を行ったにもかかわらず、アルミニウムの除去効果は小さい。すなわち、サンプルW〜サンプルYでは、アルミニウム濃度500ppmを達成するために必要な処理時間は、原料のアルミニウム濃度が1000ppmのサンプルVよりも処理時間が長くなることが確認された。
以上のように、誘導加熱により原料シリコン5を加熱する場合、処理開始前の原料シリコン5に含まれるアルミニウム濃度は1000ppm以上、10000ppm以下が好ましい。処理時間の観点からは2000ppm以下がさらに好ましい。
本発明による金属シリコンの精製方法によれば、原料シリコン中に含まれる不純物であるアルミニウムを効果的に除去することができる。そのため、薄膜作製の材料に適したシリコン塊を製造することができる。また、本発明は蒸着用原料などへの純度調整などの用途にも応用できる。
本発明の実施の形態における金属シリコンの精製方法を実施するための融解設備の構成例を示す図 本発明の実施の形態においてアルミニウム濃度3000ppmの金属シリコンを原料に用い、処理温度を変化させてアルミニウム濃度を500ppmまで低減した場合のシリコン回収率の変化を示す図 本発明の実施の形態において原料に用いる金属シリコンの初期アルミニウム濃度によるアルミニウム濃度500ppmを達成するために必要な処理時間の変化を示す図
符号の説明
1 ルツボ
2 コイル
3 チャンバ
4 真空ポンプ
5 原料シリコン

Claims (9)

  1. 1000ppm以上、10000ppm以下の重量比のアルミニウムを含む金属シリコンを準備するステップと、
    圧力が100Pa以上、1000Pa以下の不活性雰囲気で、前記金属シリコンを1500℃以上、1600℃以下の温度に加熱し、保持するステップと、を備えた金属シリコンの精製方法。
  2. 誘導加熱法で前記金属シリコンを加熱する、
    請求項1記載の金属シリコンの精製方法。
  3. 前記金属シリコンは1000ppm以上、2000ppm以下の重量比のアルミニウムを含む、
    請求項1記載の金属シリコンの精製方法。
  4. シリコンに対して非酸化性である容器に前記金属シリコンを保持して前記金属シリコンを加熱する、
    請求項1記載の金属シリコンの精製方法。
  5. 前記容器は、黒鉛、炭化ケイ素、窒化珪素のいずれかで形成されたルツボである、
    請求項4記載の金属シリコンの精製方法。
  6. 前記金属シリコンを、含有するアルミニウムの重量比が100ppm以上、500ppm以下になるまで前記温度に維持する、
    請求項1記載の金属シリコンの精製方法。
  7. 前記金属シリコンの周囲を不活性ガスで置換し、前記不活性ガスの雰囲気を減圧した後に、前記金属シリコンを加熱する、
    請求項1記載の金属シリコンの精製方法。
  8. 圧力が100Pa以上、760Pa以下の不活性雰囲気で前記金属シリコンを加熱する、
    請求項1記載の金属シリコンの精製方法。
  9. 1000ppm以上、10000ppm以下の重量比のアルミニウムを含む金属シリコンを準備するステップと、
    圧力が100Pa以上、1000Pa以下の不活性雰囲気で、前記金属シリコンを1500℃以上、1600℃以下の温度に加熱し、保持するステップと、
    前記加熱、保持された金属シリコンを冷却してシリコン塊を形成するステップと、を備えたシリコン塊の製造方法。
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