JP6176908B2 - 超高純度アルミニウム材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、例えば特許文献1に不純物の分析結果が示されるような、99.9999%の純度レベルを有する超高純度アルミニウム材も知られている。
しかし、これら従来の高純度および超高純度アルミニウム材の不純物レベルでは、用途によっては必ずしも十分でない。
非特許文献2には、酸素、炭素などの非金属元素および珪素などの不純物が取り込まれやすい元素として記されている。
非特許文献3には、CrやMnの影響について記載されている。
非特許文献4には、Si、Ge、P、As、Sb、CのAlN結晶中での存在状態を計算により検討している。
ここで、用語「残留抵抗比のサイズ効果補正値」について説明する。
金属等の材料の純度を示す指標として、残留抵抗比(RRR)が知られている。残留抵抗比(RRR)とは、同一の材料(試料)の絶対温度4.2Kでの電気抵抗測定値と室温での電気抵抗測定値の比(室温での電気抵抗測定値を4.2Kでの電気抵抗測定値で除した値)であり、高純度アルミニウムは低温で電気抵抗が小さいために、通常、1より大きい値を示す。残留抵抗比(RRR)はアルミニウムの純度が上がるほど大きくなることが知られている。
ここで室温での電気抵抗測定値としては、20℃から27℃程度の任意の温度での測定値で良いが、300K(27℃)や296K(23℃)等の一定温度での測定値が解析精度を高めるためにより好ましい。
例えば、不純物含有量が10質量 ppm以下のような高純度アルミニウムでは、測定試料表面での電子散乱に起因する残留抵抗比(RRR)の測定値の低下が無視できなくなり、同じ不純物含有量であっても測定試料形状により残留抵抗比(RRR)の値が変化する。
この現象はサイズ効果と呼ばれ、板材でのサイズ効果に関する理論計算の結果が、K.Fuchs,Proc.Camb.Phil.Soc.,34(1938)100およびE.H.Sondheimer,Adv.Phys.,1(1952)1.に示されており、実用上使いやすい形でY.Ueda,J.Sci.Hiroshima Univ.,Ser.A,47(1984)p.305−340にも示されている。これらの文献の記載にしたがって計算することで、残留抵抗比(RRR)の測定値からサイズ効果による影響を取り除き、測定試料寸法に依存しない残留抵抗比のサイズ効果補正値を評価することができる。
そこで、本願発明者らは、この計算方法を用いて残留抵抗比のサイズ効果補正値を得た。
ここで、本明細書において用語「35元素」は、Li、Be、B、Na、Mg、Si、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、La、Ce、Pt、Hg、Pb、Biの35元素を意味する。
また、本明細書における「ppm」は、特に明記しない場合でも、質量比で示したppm(質量 ppm)である。
本願発明に係る前記アルミニウム材は、好ましくは、包晶系5元素合計値が0.06ppm以下、より好ましくは0.04ppm以下である。
ここで、本明細書において用語「包晶系5元素」は、Ti,V、Cr、Zr、Moの5つの元素を意味する。なお、今回の分析対象元素の「35元素」のうち、As、Seも包晶系元素に一般に分類され、合わせて「包晶系7元素」と扱う場合もある。AsおよびSeは含有量が極めて小さいために影響を無視することができ、今回は「包晶系5元素」について考察した。また、「35元素」から「包晶系7元素」を除く元素が「共晶系」と呼ばれ、純アルミニウムで主要な不純物であるSi、Fe、Cu等が含まれる。
また本願発明に係るアルミニウム材は、好ましくは、包晶系5元素合計値の35元素合計含有量に占める割合が40%以下である。
詳細を後述する帯溶融精製時にその一部分に溶融した溶融部を形成して不純物を除去するアルミニウム原料として、純度5N(99.999%以上、質量比)以上のアルミニウムを使用するのが好ましい。
アルミニウム材の純度を予め高めておくことにより、帯溶融精製をより効率的に行えるからである。
精製方法としては、特に制限されないが、好ましくは、三層電解法による精製、一方向凝固法による精製、偏析精製、これらの手法を組み合わせた製法が用いられる。二つ以上の精製法を組み合わせる場合、実施順序は特に制限されず、また、複数の精製法を交互に繰り返し行ってもよく、またいずれか一方もしくは両方を各々繰り返し行ってもよい。
得られたアルミニウム原料は、後述の前処理、真空溶解に適した形状に加工することができる。アルミニウム原料の形状はペレット、棒、板、ブロック状などである。
アルミニウム原料は、帯溶融精製に供せられる前に、前処理することが好ましい。大気雰囲気中で表面に生じた酸化膜等およびアルミニウム原料を加工する際にその表面に付着した不純物元素を予め除去することで帯溶融精製をより効率的に行えるからである。
前処理として、例えば酸処理、電解研磨などが挙げられる。
酸の種類および濃度: 純水で希釈した約20%塩酸水溶液
温度: 20℃〜40℃
時間: 1〜5時間
電解研磨液: 過塩素酸およびエタノール1:6混合液
温度: 19〜23℃
電圧: 25V(定電圧電解)
時間: 1〜10分
アルミニウム原料の不純物を除去し、目的の不純物レベルに到達したアルミニウム材を得るために帯溶融精製(帯溶融法)を行う。
帯溶融精製は、ボート上に配置したアルミニウム原料の一部分にアルミニウムが溶融した溶融部を形成し、この溶融部を所定の方向に移動させることにより行う。
以下に帯溶融精製の詳細を示す。
使用するボートは、帯溶融法で通常使用可能な各種のボートが使用可能である。このようなボートの例として、ステンレス鋼より成るボート、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)またはこれら金属の炭化物より成るボートおよびアルミナより成るボートがある。
好適なボートはグラファイトボートである。高純度で大型の素材が容易に入手でき、また真空中およびアルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気中で安定であり、溶融アルミニウムとも反応しないためである。
アルミナ層の塗布はアルミナ粉末を有機溶剤等の液体中に分散させ、このアルミナ粉末を含む液体をボートに塗布した後、液体を蒸発させることにより行ってもよい。また、アルミナの固体粉末を直接ボート表面に塗布してもよい。後者の方が、より簡便に塗布できるため好ましい。
従って、アルミニウム原料はボートのアルミナ層以外の部分とは接触しないように配置されるのが好ましい。
上述したボートのアルミナ層上にアルミニウム原料を配置する。アルミニウム原料は、その形状にもよるが1本または複数本配置される。アルミニウム原料の形状(複数本用いる場合は合わせた形状)は、棒状が好ましく、また概ね四角柱あるいは円柱が簡便で好ましいが他の形状でもよい。
本願発明では、アルミニウム表面の酸化を抑制するように、好ましくは、帯溶融をアルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下で行い、より好ましくは、高真空もしくは超高真空条件下で行う。好ましくは圧力を3×10−5Pa以下とし、さらに好ましくは圧力を3×10−6Pa以上かつ2×10−5Pa以下である。
このような高真空もしくは超高真空条件は、アルミニウム原料が配置された上述のボートが内部に配置されているチャンバの排気を、例えばターボ分子ポンプと油回転ポンプとの両方を用いて行うことで実現できる。これ以外にも油拡散ポンプおよびクライオポンプ等を他の真空ポンプと組み合わせて排気する方法も好ましい。
広い溶融帯幅を得るためには、例えば、高周波コイル等の溶融部を加熱する手段の出力を大きくすることが、通常行われる。従って、120mmを超える溶融帯幅を得るように加熱手段の出力を大きくすると、溶融部(溶融帯)の中心部の温度が融点よりもかなり高くなり、雰囲気や周辺部材からの汚染が生じやすくなる。
また溶融帯幅が30mmより狭い場合、試料形状の不均一に起因する溶融帯幅の時間的変動が大きくなりやすく、極端な場合には溶融部が凝固し(フリーズと呼ばれる)、精製効果が低減する。
従って、フリーズを生じない安定した溶融部を形成するとともに、汚染を抑制して良好な精製結果を得るためには、溶融帯幅が前述の範囲内であることが好ましい。
溶融帯幅は、後述する帯溶融精製装置100のように高周波誘導加熱により溶融部を加熱する場合には高周波コイル出力を調節することにより、あるいは抵抗加熱により溶融部を加熱する場合には溶融部に流す電流を調節することにより制御できる。
具体的には、包晶系5元素の合計値が0.06ppm以下、より好ましくは0.04ppm以下のアルミニウム材が用いられる。得られるアルミニウム材の残留抵抗比のサイズ効果補正値は、10万を越え15万以下の値へ顕著に向上し、かつアルミニウム材の金属35元素の合計含有量についても0.16ppm以下に制御できる。
さらに、包晶系5元素が不純物35元素合計に占める比率が、小さいほど、優れた帯溶融精製の効果が得られやすい。
従来、精製素材として、不純物元素総量(例えば、35元素合計)が少ない素材を用いることが一般的であった。例えば、工業的なアルミニウム材のなかで最高純度クラスである6Nアルミニウム(アルミニウム純度99.9999%、不純物1ppm、包晶系元素合計0.1ppm)が選定されていた。ところが、不純物元素総量が1ppmよりも多くても包晶系元素が少ない素材、例えば、35元素が数ppm(例えば、5〜7ppm程度)、包晶系元素合計0.06ppm以下の素材であれば、帯溶融精製により不純物を低減して残留抵抗比のサイズ効果補正値を高めることが可能である。かくして、帯溶融精製素材の包晶系5元素合計を0.06ppm以下、より好ましくは0.04ppm以下とすることで、溶融精製により、精製されたアルミニウム材が得られる。
一方の端部がシールされ他方が真空ポンプ(排気装置)20に繋がる真空チャンバ14が、その長手方向が水平になるように配置されている。
真空チャンバ14は、好ましくはその内部を視認できるように石英等の透明な材料より成る。
高周波コイル12は、図中の矢印の向きに移動速度毎時30mm以上200mm以下で移動しており、これによりコイル内部に位置するアルミニウム原料10の一部を溶融して形成した溶融部10bが移動速度毎時30mm以上200mm以下で移動する。
このように高周波コイル12が移動することで、アルミニウム原料10は、溶融部10bの前方(高周波コイル12の進行方向)に未溶融部10cを有し、溶融部10bの後方に溶融凝固部(精製部)10aを有している。
図2に示す例では、まだ溶融が行われておらずアルミニウム原料10は全て未溶融部10cとなっている。
高周波コイル12を図2の左から右に(図2の4つのアルミニウム原料10の左端から右端)に移動することにより、溶融部は複数のアルミニウム原料10を横断して移動する。この結果、複数のアルミニウム原料10は1つに接合される。
接触するアルミニウム原料の端部同士が帯溶融時に接合し、長い一本のアルミウム材を得ることができるからである。
また、長手方向に複数のアルミニウム原料を互いに接触させて配置した場合、パス数が3より少ないと接合後の精製材(アルミニウム材)の形状(特に高さ寸法)が不均一となって、精製中に溶融帯幅が変動して均一な精製効果が得られにくい場合があるからである。
鉄(Fe)と珪素(Si)と銅(Cu)の3元素は高純度アルミニウム中の主要不純物であり、精製用素材を切出準備する際に混入しやすい。これらの元素をチャンバ内に持ち込まないように、精製原料を前処理し、精製原料表面の汚染成分を除去することが好ましい。
成膜法はMBEに限定されず、アルミニウムを含有する半導体材料の成膜方法であれば、例えば、HVPE法(ハイドライド気相成長法)のような他の成膜法でも利用可能であり、これにより不純物の少ない高品質な成膜が可能である。
このような半導体のバルク単結晶の製造方法の具体例として、フラックス法、昇華再結晶法、HVPE法が挙げられ、これらを含む半導体のバルク単結晶の製造方法において、本願発明のアルミニウム材を用いることでアルミニウムを含有する半導体のバルク単結晶を得ることができる。
純度99.9%(質量比、以下同じ)のアルミニウムを三層電解法により精製して純度が99.999%以上で、かつ包晶系元素が少ない5Nアルミニウム材を得た。このアルミニウム材の分析結果は、Si=0.60ppm、Cu=0.46ppm、Fe=0.11ppm、Mg=0.85ppm、これら以外の他の31元素(すなわち、Li、Be、B、Na、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Co、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、La、Ce、Pt、Hg、Pb、Bi。以下、単に「31元素」という場合がある。)が0.74ppmでありこれら不純物35元素の合計が2.76ppmであった。なお不純物総量が3ppm以下であり、一般的な5Nアルミニウムと区別するために、本明細では以後、低包晶系素材、あるいは5N7アルミニウム材と言う場合がある。包晶系5元素合計は0.02ppm以下と極めて小さい。
帯溶融精製装置の真空チャンバ(外径50mm、内径46mm、長さ1400mmの石英管)内部に、グラファイトボートを配置した。グラファイトボートの原料配置部には、住友化学株式会社製の高純度アルミナ粉末AKPシリーズ(純度99.99%)を押圧しながら塗布してアルミナ層を形成した。
ベーキングは10−5〜10−7Paの真空中で、帯溶融に用いる高周波加熱コイル(加熱コイル巻数3、内径70mm、周波数約100kHz)にて加熱し、100mm/時間の速度でボートの一端から他端まで移動して、グラファイトボート全体を順に加熱して行った。
溶融部の溶融帯幅(溶融部の移動方向に沿った長さ)が約90mmとなるように高周波電源(周波数100kHz、最大出力5kW)の出力を調整した。そして高周波コイルを毎時60mmの速度で移動させ、溶融部を約900mm移動させた。移動距離が素材長さ850mmより大きいのは、素材溶融部が坩堝内に流れ、全長が大きくなるためである。溶融時のチャンバ内の圧力は5×10−6〜9×10−6Paであった。溶融部の温度を放射温度計にて測定した結果、660℃〜800℃であった。
そして、高周波コイルを溶融開始位置(最初に溶融部を形成した位置)まで移動させ、チャンバ内を真空に維持したまま、溶融開始位置で再度アルミニウム原料を加熱溶融させて溶融部を形成した。この溶融部を移動させて帯溶融精製を繰り返した。溶融帯幅約90mm、溶融部の移動速度毎時60mmでの帯溶融精製を、合計10回(10パス)実施した。溶融帯幅は目標値90mmに対し精製中に増減するが、84〜99mmの範囲内であった。
10パス終了後にチャンバを大気開放し、アルミニウムを取り出し、長さ約950mmの精製アルミニウム材を得た。
溶融開始端690mm、810mmの領域を除き、残留抵抗比のサイズ効果補正値は10万以上の高い値を示した。特に溶融開始端から450mmの領域で11万以上(11万〜14万の範囲)の極めて高い値を示し、極めて高い純度に精製されたことが確認できた。
なお精製素材である5N7アルミニウム材の残留抵抗比のサイズ効果補正値は13600であったので、帯溶融精製により最大10倍に向上した。
溶融開始側より10mmから570mmの広い範囲で、35元素合計がおよそ0.1ppmと、極めて高い純度に精製されたことが確認できた。
なお、35元素全てが検出限界0.001ppm以下に精製された場合、35元素の合計含有量の計算結果は0.035ppm(0.001ppm×35)となる。本願発明に係るアルミニウム材の35元素の合計含有量は、特に残留しやすい包晶系5元素もふくめ、さらに低減させる必要があるので、その下限値は、好ましくは、0.05ppmである。
また包晶系5元素合計が35元素合計に占める割合と、溶融開始側からの距離との関係を図5に示す。溶融開始側から600mmまでの範囲で、包晶系元素の割合が比較的大きいが、40%以下である。包晶系元素の比率が小さいため、帯溶融精製によって包晶系元素以外の元素が大きく低減し、不純物総量も効果的に低減したと考えられる。
溶融帯幅の目標値90mmは実施例1と同じであるが、変動幅が88〜99mmの範囲内となったことを除き、実施例1と同じ条件で実験を行った。
結果、表2、図3、図4、図5に示すように、帯溶融精製材の広い範囲で、残留抵抗比のサイズ効果補正値が10万を越える高純度材が得られた。
精製素材と溶融幅以外の条件を実施例1および2と同じ条件で帯溶融精製を行った。
用いた精製素材について説明する。純度99.93%のアルミニウムを三層電解法により精製して純度が99.999%以上の5Nアルミニウムを得た。この5Nアルミニウムの成分分析結果は、Si=2.4ppm、Cu=0.47ppm、Fe=0.30ppm、Mg=0.54ppm、これら以外の他の31元素(すなわち、Li、Be、B、Na、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Co、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、La、Ce、Pt、Hg、Pb、Bi。以下、単に「31元素」という場合がある。)が0.33ppmであり、これら不純物35元素の合計が4.0ppmであった。
この5Nアルミニウムを原料として、以下のように、一方向凝固により精製して、純度99.9999%の6Nアルミニウムを得た。
すなわち、黒鉛製ルツボ(内寸法:幅65mm×長さ400mm×高さ35mm)の中に1.8kgの5Nアルミニウムを原料として配置し、これを、炉体移動式管状炉の炉心管(石英製、内径100mm×長さ1000mm)の内部に収容し、1×10−2Paの減圧雰囲気にて炉体を700℃に温度制御して、5Nアルミニウムを溶解させた。その後、炉体を30mm/時間の速度で炉心管から引き抜くことにより一方の端部(凝固開始端)から他方の端部に向けて一方向に凝固させた。そして、長さ方向において凝固開始端より50mmの位置から凝固開始端より250mmの位置までを切出し、幅65mm×長さ200mm×厚さ26mmの塊状の6Nアルミニウムを得た。
この6Nアルミニウムの主要不純物元素含有量は、Si=0.33ppm、Fe=0.043ppm、Cu=0.059ppm(すなわち、FeとSiとCuの合計含有量が、0.43ppm)、Mg=0.11ppm、31元素=0.11ppm、これら35元素合計で0.65ppmであった。
上記で得られた6Nアルミニウム塊から、約18mm×18mm×100mmの四角柱あるいは類似形状に切削加工で切出し、純水で希釈した20%塩酸水溶液で3時間酸洗浄したアルミニウム原料を得た。6Nアルミニウム9本を黒鉛坩堝に配置し、以下は実施例1と同様に帯溶融精製に供した。
溶融帯幅について、比較例1では55mm、比較例2では80mmとなるように制御して帯溶融精製を行った。溶融帯の移動速度は実施例1と同様に毎時60mmとした。
結果、表2に示すように、残留抵抗比のサイズ効果補正値は、最高でも66000程度であった。
図3に示すように、比較例で得られたアルミニウム材の35元素合計は約0.2ppm以上で、実施例に劣る。
図4に示すように、比較例では、包晶系5元素合計は、試料全域に渡って0.04ppm以上である。
図5に示すように、比較例では、溶融開始部から600mmの領域では、35元素合計に占める包晶系5元素の割合が50%以上の高い値を示す。
比較例1、2と同様に、6Nアルミニウムを精製素材とし、溶融帯幅を70mm、溶融帯移動速度を毎時100mmとして帯溶融精製を行った。溶融帯幅および溶融帯移動速度を前記のとおりとする以外は、他の条件は、比較例1、2と同様の条件で精製を行った。
結果を表2、図3、図4、図5に合わせて示すが、比較例1、比較例2と同様に、残留抵抗比のサイズ効果補正値が60000以下であった。不純物35元素合計は最も高純度の領域においても0.17ppmであった。
アルミニウム原料 10
溶融凝固部(精製部) 10a
溶融部 10b
未溶融部 10c
高周波コイル 12
真空チャンバ 14
グラファイトボート 16
アルミナ層 18
真空ポンプ 20
Claims (1)
- 包晶系5元素(Ti、V、Cr、Zr、Mo)の含有量が0.06質量 ppm以下のアルミニウム材を帯溶融精製することを特徴とする残留抵抗比のサイズ効果補正値が10万を越え15万以下であるアルミニウム材の製造方法。
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