JP2009007626A - アルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法およびアルミニウム−リチウム合金ターゲット - Google Patents

アルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法およびアルミニウム−リチウム合金ターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】不純物および介在物含有量の少ない、組成分布が均質なアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、アルミニウム単一相からなるスパッタリング用アルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法であって、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気に維持された溶解炉10の中に設置されているルツボ12内でアルミニウム21を溶解する第1の工程と、プランジャ13を駆動させて、ルツボ12内のアルミニウム溶湯中にリチウム塊22を強制浸漬させて攪拌する第2の工程と、ルツボ12内のアルミニウム−リチウム合金の溶湯を鋳型25に型注する第3の工程と、アルミニウム−リチウム合金のインゴットの組織制御を行う第4の工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリング装置に用いられるアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法およびその方法を用いて製造されたアルミニウム−リチウム合金ターゲットに関する。
有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子には、高発光効率化および高輝度化を実現でき、かつ環境安定性の高い材料が求められている。このような要求を満たす材料として、Al−Li(アルミニウム−リチウム)系合金が知られている。下記特許文献1には、有機EL素子の電子注入電極(陰極)をAl−Li系合金のスパッタ膜で構成することが記載されている。
ところで、スパッタリング用のターゲットには、均一性が強く要求される。具体的には、合金元素が均一に分散していること、不純物が少ないこと、介在物が少ないこと、結晶組織が均一であること、抵抗値分布が良好であること、などが求められている。Al−Li系合金のように、添加元素に酸素、窒素、水分と反応し易い材料(リチウム)が用いられる合金系では、その合金化に際して、スラグ生成の抑制、水分の抑制、溶解炉・治具に用いる耐火物との反応の抑制を図る必要がある。
従来のAl−Li合金の製造方法としては、大気溶解によるAl−Li合金の製造方法(特許文献2参照)、真空溶解によるAl−Li合金の製造方法(特許文献3参照)が知られている。また、特許文献4,5には、添加元素の添加量や溶湯の鋳造制御あるいは凝固制御を行うことによって、濃度分布の均一化を図ったアルミニウム系合金の単結晶ターゲットの製造方法が開示されている。
特開平11−329746号公報 特公平6−47697号公報 特開平6−330203号公報 特開平7−300667号公報 特開平11−12727号公報
従来、Al−Li合金の開発は主に、航空機用途に向けて行われており、雰囲気制御、耐火物の選定、溶湯の清浄方法の検討、リチウムの添加方法等の溶解鋳造技術の開発が進められてきた。したがって、薄膜作製に必要な高純度かつ介在物含有量の少ないスパッタリング用ターゲットのためのインゴットを作製するものではなかった。
薄膜作製用スパッタリングターゲットのための高い清浄度を有するインゴットを作るには、溶解材料中の不純物との化合物形成を抑制することは当然であるが、リチウムと大気中の酸素、窒素、水分との反応を抑制しなければならない。リチウムは融点が180℃と極端に低く、その比重は0.53g/cm3と金属中最軽量の元素である。また、リチウムは酸素や窒素と容易に反応し、水分の存在により容易に水酸化物を形成する。このため、アルミニウムとリチウムの合金化のための溶解は非常に難しい。
アルミニウムの合金化のための溶解を大気中で行う場合、アルミニウムと合金化する材料との接触効率が高まるように材料を分散させてルツボに入れた後加熱溶解する方法、あるいは、材料を分散させてアルミニウム溶湯中に投入する方法がとられている。しかしながら、比重がアルミニウムの約5分の1であり、酸素・水分に非常に活性な金属リチウムとの合金化の溶解に関しては、リチウムの酸化が生じ、合金化が阻害されて好ましくない。
一方、冷却固化時に、アルミニウム結晶相内にリチウムが固溶できずに、粒界にAlLi(β相)として晶出あるいは析出すると、塑性加工性が著しく低減し、板状への鍛造加工、圧延加工時に割れたり、縁部にコバ割れ等が発生したりして、スパッタリングターゲットまで加工することが困難になる。また、溶融Al−Li合金を鋳込んだインゴットから得られるターゲットにおいては、アルミニウム結晶相外にAlLi(β相)が晶出あるいは析出した場合、比抵抗の異なる二相混合領域になることになり、スパッタ成膜時に異常放電の原因になる。したがって、AlLi(β相)の晶出あるいは析出が極力少ないAl−Li合金のリチウム含有量の上限値を定める必要がある。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、不純物および介在物含有量の少ない、組成分布が均質なアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法およびアルミニウム−リチウム合金ターゲットを提供することを課題とする。
以上の課題を解決するに当たり、本発明は、アルミニウム単一相からなるスパッタリング用アルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法であって、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気に維持された溶解炉の中に設置されているルツボ内でアルミニウムを溶解する第1の工程と、前記ルツボ内のアルミニウム溶湯中にリチウム塊を強制浸漬させて攪拌する第2の工程と、前記ルツボ内のアルミニウム−リチウム合金の溶湯を型注する第3の工程と、前記アルミニウム−リチウム合金のインゴットの組織制御を行う第4の工程とを有することを特徴とする。
第1の工程で、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気に維持された溶解炉内のルツボでアルミニウムを溶解する。次に、第2の工程で、アルミニウム溶湯中にリチウム塊を強制浸漬させて攪拌する。リチウムの溶解を上記溶解炉内で行うことによって、合金化の際のリチウムの酸化等を抑え、リチウム含有化合物スラグの発生を防止する。また、リチウムをアルミニウム溶湯中に強制浸漬させ、かつ攪拌することで、アルミニウムとリチウムの比重差に起因する濃度ムラの発生を防止し、リチウムを均一に分散させる。
第2の工程では、リチウム塊が固定された黒鉛製プランジャの先端部をルツボ内に浸漬する工程と、プランジャを回転させて溶湯を攪拌する工程とを有する。リチウム塊は、アルミニウム製のケース内に収容されている。このケースは、アルミニウム溶湯内でリチウム塊とともに溶解される。プランジャは、ルツボの直上で待機しており、アルミニウムの溶解中はルツボとプランジャとの間に熱遮蔽板が設置されることで、輻射熱によるリチウムの溶解を防止する。溶湯の攪拌は、プランジャの軸周りへの回転動作によって行われる。
アルミニウム単一相からなるスパッタリング用Al−Li合金ターゲットを得るためには、リチウムの添加量は3重量%以下であることが好ましい。ここで、アルミニウム単一相からなるAl−Li合金とは、Al元素とLi元素の固溶体(solid solution)を意味する。Al−Li系平衡状態図によれば、金属Alに対する金属Liの最大固溶限は、約600℃で4重量%である。しかし、金属Liの最大固溶限は温度低下に伴って溶解度曲線に沿って減少する。したがって、最大固溶限以上のLi添加量では、凝固時にアルミニウム相中へのAlLi(β相)の晶出、及び、過飽和固溶体からの析出を阻止できなくなる。比抵抗の異なる二相の混合組成が存在すると、塑性加工性が劣化して加工精度が低下する。また、スパッタリング用ターゲットという観点からは、異常放電が誘発されて成膜レートが不安定となり、膜厚分布も劣化する。以上のことを理由として、リチウム添加量は3重量%以下とする。
第3の工程では、溶解炉内でルツボを傾動させ、このルツボに隣接して設置された鋳型にアルミニウム−リチウム合金の溶湯を型注する。真空雰囲気または不活性ガス雰囲気に維持された溶解炉の中で、アルミニウムの溶解、リチウムの添加・溶解、型注を一貫して行うことにより、リチウム酸化物、窒化物あるいは水酸化物等の異物が極めて少ないAl−Li合金インゴットを得ることが可能となる。また、アルミニウム相中への介在物の析出を抑えるため、適度な冷却速度で凝固させるのが好適である。例えば、鋳型に銅等の熱伝導率の高い材料を用いるのは勿論、鋳型を強制冷却しながら溶湯を型注する方法が好ましい。
第4の工程では、作製されたアルミニウム−リチウム合金のインゴットの組織制御が行われる。インゴットの組織制御には、所望のターゲット形状に加工するための圧延加工や絞り加工を含む鍛造工程と、内部応力の除去や結晶組織の調整のための熱処理工程が該当する。これらの工程温度は、アルミニウム相中へのリチウム介在物の析出を防止する目的で、共晶温度よりも低い温度で行うことが好ましく、具体的には、550℃以下の温度条件で行われる。
以上のようにして製造されたアルミニウム−リチウム合金ターゲットは、異物および介在物含有量が少なく、組成分布が±5%以内という均質なアルミニウム単一相組織を得ることができる。したがって、スパッタ成膜時において異常放電の発生が抑えられ、成膜レートの安定化と膜厚分布の均一化を図ることが可能となる。
以上述べたように、本発明によれば、異物および介在物含有量が少なく、組成分布が均質なアルミニウム−リチウム合金ターゲットを得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態によるアルミニウム−リチウム(Al−Li)合金ターゲットの製造方法に適用される溶解炉10の構成を示す概略断面図である。この溶解炉10は、図示しない真空ポンプに接続される排気ポート11cを備えた真空槽11と、この真空槽11の内部(溶解室)に設置されたルツボ12と、このルツボ12の直上に位置するプランジャ13を備えている。
ルツボ12にはアルミニウムブロック21が装入され、プランジャ13の先端部にはリチウム塊22が保持されている。真空槽11の内部は、所定の真空雰囲気あるいは不活性ガスに置換された雰囲気に調整される。溶解炉10は、後述するように、ルツボ12内でアルミニウムブロック21を溶解した後、そのアルミニウム溶湯内にプランジャ13の先端部を浸漬してリチウム塊22を溶解する。
ルツボ12は黒鉛製の有底円筒体であり、可動容器14の内部に収容されている。可動容器14の内部には、コイル15が外周部に巻装された耐火性の保持部材16が固定されており、ルツボ12はこの保持部材16の内部に収容されている。保持部材16は、例えばカーボンで形成されている。可動容器14は、ベース部材17に対して回動軸18を介して回動自在に設置されている。ルツボ12、保持部材16およびアルミニウムブロック21は、コイル15への通電によって加熱される。
回動軸18は、真空槽11の外部に設置された図示しない回転機構に連結されており、ベース部材17に対して可動容器14を回動自在に構成されている。あるいは、可動容器を押動操作して当該可動容器14を回動軸18の周りに回動させる構成でも構わない。
ルツボ12の開口周縁部の最小回動半径位置には、注湯口となるリップ12Aが形成されている。ルツボ12の開口周縁部の他の領域には、リップ12Aとほぼ同一の突出高さを有する支持棒12Bが複数本取り付けられている。支持棒12Bは、黒鉛やステンレスなどの比較的熱衝撃に耐えられる材料で形成されている。
そして、これらリップ12Aと支持棒12Bの先端の上に、熱遮蔽板19が載置されている。熱遮蔽板19は、アルミニウムブロック21の溶解時の輻射熱でリチウム塊22が溶解することを防止するためのものである。熱遮蔽板19は、例えば黒鉛で形成されており、ルツボ12の開口部を遮蔽する図示の位置と、ルツボ12の開口部を開放する位置を選択的にとり得るように構成されている。具体的には、例えば図示しないマニピュレータを用いて遮蔽板19の移動制御が行われる。
プランジャ13は、圧縮黒鉛材で形成されている。プランジャ13は、真空槽11の外部に設置された図示しない駆動機構に連結されており、その軸方向に沿った上下運動と、軸周りに沿った回転運動が可能に構成されている。
プランジャ13の先端部13Aには、リチウム塊22を収容するアルミニウム製のケース23が保持されている。ケース23は、例えば箔あるいはシート状のものを適宜の形状に変形させて形成される。好適には、リチウム塊22はケース23の内部に真空封入される。本実施形態において、ケース23は、アルミニウム製のワイヤ24を用いてプランジャ13の先端部13Aに保持されている。なお、ケース23およびワイヤ24は、アルミニウムブロック21と同等の純度で形成されている。
真空槽11の内部には、鋳型25が設置されている。この鋳型25は、可動容器14に隣接して設置され、回動軸18の周りへの回動動作でルツボ12からリップ12Aを介して流出されるAl−Li合金溶湯を受容すると同時に冷却固化し、所定形状のAl−Li合金のインゴットを形成する。鋳型25は、内部に冷却水の循環機構が設けられた冷却板26と、冷却板26の上に設置された型枠27と、冷却板26と型枠27の間に設置された薄厚のカーボンシート28を備えている。型枠27の形状や高さは特に限定されず、円形あるいは四角形など、形成するインゴット形状に応じて適宜選択される。カーボンシート28は、型注後におけるインゴットの離型性低下を防ぐ目的で設置される。
次に、以上のように構成される溶解炉10を用いた本実施形態のAl−Li合金ターゲットの製造方法について説明する。図2A〜Cは、本実施形態のAl−Li合金ターゲットの製造方法を説明する主要工程の模式図である。
(第1の工程)
まず、ルツボ12の中にアルミニウムブロック21を装入する。アルミニウムブロック21の純度は高いほど好ましく、例えば99.99%(4ナイン)以上の純度のものが用いられる。必要量の溶湯が得られる限りにおいて、アルミニウムブロック21の形状や本数は特に制限されない。
一方、リチウム塊22を内部に収容したケース23をプランジャ13の先端部13Aに保持させる。リチウム塊22の純度は高いほど好ましく、例えば99.9%(3ナイン)以上の純度のものが用いられる。プランジャ13の先端部13Aに対するケース23の固定は、アルミニウム製のワイヤ24が用いられるが、勿論これに限定されず、先端部13Aとの係合作用によってケース23を固定するようにしてもよい。
次に、真空槽11の内部(溶解室)を真空排気し、所定の真空度に維持する。溶解室の圧力は特に限定されないが、溶解時におけるアルミニウムおよびリチウムの酸化反応等を防止する観点からは真空度は比較的高いほど好ましく、例えば、1.33Pa(10-2Torr)以下の圧力に設定される。
一方、溶解室の雰囲気は真空雰囲気に限られず、アルゴン(Ar)等の不活性ガスで置換した雰囲気でも構わない。この場合、真空槽11の内部を一旦所定圧にまで真空排気した後、真空槽11の内部にアルゴンガスを導入する。このときの溶解室の圧力は、大気圧よりも低い圧力に設定される。
真空槽11の調圧が完了した後、ルツボ12の上方に熱遮蔽板19を設置し、更にコイル15を通電制御してルツボ12の加熱処理を実行する。ルツボ12の加熱温度は、アルミニウムの融点(約660℃)より高温に設定される。これにより、アルミニウムブロック21はルツボ12内で溶解される。
本実施形態においては、アルミニウムブロック21の溶解を大気と遮断した雰囲気で行うようにしているので、溶解時におけるアルミニウムの反応を抑制して、酸化物等の不純物の少ないアルミニウム溶湯を得ることができる。
また、リチウム塊22はアルミニウムよりも融点(180℃)が低いため、アルミニウムブロック21の溶解時にその輻射熱でリチウム塊22が溶融するおそれがある。しかし本実施形態では、アルミニウムブロック21の溶解時にルツボ12の上部を熱遮蔽板19で覆っているので、ルツボ12からの輻射熱がケース23に到達することはなく、したがってリチウム塊22の溶融を回避することができる。
(第2の工程)
続いて、アルミニウムとリチウムの合金化のための溶解が行われる(図2A)。この工程では、まず、ルツボ12の上部を覆う熱遮蔽板19を除去する。そして、プランジャ13を所定量下降させ、その先端部13Aをアルミニウム溶湯内に浸漬して、リチウム塊22を溶解する。なお、このときアルミニウム製のケース23およびワイヤ24もともに溶解される。
続いて、プランジャ13をその軸周りに回転させてルツボ12内の溶湯20を攪拌する(図2B)。攪拌作用は主として、プランジャ先端部13Aの形状効果によって得ることができる。本実施形態では、プランジャ先端部13Aをその外周部の複数個所に突起(羽根)を突出させた形状に形成することで、プランジャ13の自転のみで大きな攪拌作用が得られるようにしている。
本実施形態においては、アルミニウム溶湯へのリチウム塊22の添加を雰囲気調整された真空槽11の内部で行うようにしているので、合金化の際のリチウムの酸化等を抑え、リチウム含有化合物スラグの発生を防止することができる。また、上述したような方法でリチウム塊22をアルミニウム溶湯中に強制的に浸漬させ、かつ攪拌するようにしているので、アルミニウムとリチウムの比重差に起因する濃度ムラの発生を防止し、リチウムをアルミニウム溶湯中に均一に分散させることができる。更に、ルツボ12が黒鉛製であるので、リチウムを含むアルミニウム溶湯面でのルツボ12へのアタックを防ぎ、リチウム含有化合物の生成を抑えることができる。
ここで、スパッタリング用ターゲットとして用いられるAl−Li合金は、塑性加工性および使用時の成膜特性の観点から、アルミニウム単一相であることが好ましい。アルミニウム単一相からなるAl−Li合金とは、Al元素とLi元素の固溶体を意味する。合金組織が多相になると添加元素の組成分布(濃度分布)が大きくなり、塑性加工性が低下する。また、ターゲット表面に抵抗分布が生じて異常放電を引き起こし、成膜レートの安定化と膜厚分布の均一化を図れなくなる。
アルミニウム単一相からなるスパッタリング用Al−Li合金ターゲットを得るためには、リチウムの添加量は、合金全成分基準で3重量%以下であることが好ましい。本実施形態では、リチウム塊22の添加量は、アルミニウムブロック21、ケース23、ワイヤ24および当該リチウム塊22の総重量の3%以下とされる。
図3にAl−Li系平衡状態図(出典:「BINARY ALLOY PHASE DIAGRAMS」Second Edition, T.B Massalski, ASM INTERNATIONAL ISBN:0-87170-404-8)を模式的に示す。アルミニウムに対するリチウムの最大固溶限は、596℃で4重量%である。しかし、リチウムの最大固溶限は温度低下に伴って溶解度曲線SCに沿って減少する。したがって、最大固溶限以上のリチウム添加量では、凝固時にアルミニウム相中へのAlLi(β相)の晶出を阻止できなくなる。本実施形態では、リチウムの添加量を3重量%以下に抑えるとともに、後述するように一定以上の冷却速度で溶湯の型注を行うことによって、アルミニウム単一相からなるAl−Li合金ターゲットを作製するようにしている。
(第3の工程)
次に、ルツボ12内のAl−Li合金の溶湯20を鋳型25へ型注する工程が行われる(図2C)。この工程では、回動軸18の周りに可動容器14を図1において反時計方向に回動させることでルツボ12を傾動させ、鋳型25に溶湯20を注型する。鋳型25を構成する冷却板26の内部には、冷却水を循環させる。したがって、ルツボ12から流出したAl−Li合金溶湯20は、鋳型25において一定の冷却速度で固化される。これにより、リチウムの過飽和に起因するアルミニウム相中へのAlLi(β相)の析出を防止して、固化後においてもアルミニウム単一相を維持することが可能となる。
本実施形態においては、真空雰囲気に維持された溶解炉の中で、アルミニウムの溶解、リチウムの添加・溶解、型注を一貫して行うようにしているので、リチウム酸化物、窒化物あるいは水酸化物等の異物が極めて少ないAl−Li合金インゴットを得ることが可能となる。
(第4の工程)
続いて、得られたAl−Li合金インゴットの組織制御が行われる。インゴットの組織制御には、所望のターゲット形状に加工するための圧延加工や絞り加工等を含む鍛造工程と、内部応力の除去や結晶組織の調整のための熱処理工程が該当する。
ここでの工程温度は、550℃以下とされる。リチウム含有量が最大固溶限以下で、合金組織が単一相の場合でも、工程温度によっては、その後の塑性加工・熱処理によりβ相の析出が生じる場合があるからである。例えば、共晶点以下の工程温度であっても、加熱炉の均一性や加工部の過熱を原因として局所的に共晶線を越える場合がある。β相が析出すると、ターゲットとして使用したときに電圧の上昇、アーキングの発生などの異常放電の原因となり、成膜レートのバラツキを招く。そこで、本実施形態では、工程時の数十度の温度変化を考慮して、工程温度の上限を550℃以下に設定し、ターゲットの合金組織の多相化を回避するようにしている。
以上のようにして、本発明に係るAl−Li合金ターゲットが製造される。本実施形態のAl−Li合金ターゲットによれば、異物および介在物含有量が少なく、組成分布が均質な(例えば±5%以内の)アルミニウム単一相組織を得ることができる。したがって、スパッタ成膜時において異常放電の発生が抑えられ、成膜レートの安定化と膜厚分布の均一化を図ることが可能となる。
(実施例1)
図1を参照して説明した溶解炉10を用いてAl−Li合金インゴットを作製した。アルミニウムブロック21には、約30mm角のロッド状高純度アルミニウム(純度99.99%)を用いた。リチウム塊22を収容するケース23として、上記高純度アルミニウムを圧延加工し、厚み0.2mmの箔にしたものを用意した。リチウム塊22には、直径10mmφのロッド状リチウム(本城金属社製、純度99.9%)を用いた。
ルツボ12には、圧縮黒鉛製ルツボを用いた。ルツボ12の形状は有底円筒形で、図4に示すように、内径175mmφ、深さ300mmのものを用いた。このルツボに高純度アルミニウム7,750gをセットし、溶解炉内の圧力を1.33×10-2Paに減圧した後、誘導加熱(40kW)によりルツボを750℃に加熱して高純度アルミニウムを溶解した。
ここで、溶融アルミニウムの温度のモニタリングは、図4に示したように、ルツボ12中に設置した高純度黒鉛製の熱電対保護管30に装入したCAシース熱電対を用いた。保護管30の外形は、縦15mm、横15mm、高さは310mmであり、内径は4mmφで深さは300mmのものを用いた。
3重量%のリチウムを厚み0.2mmの高純度アルミニウム箔で2重に包み、ルツボ上部に位置するプランジャ13の先端部13Aに、高純度アルミニウムワイヤ(99.99%)で縛り固定した。ルツボの開口部には、黒鉛製の熱遮蔽板19を設置し、リチウム添加直前にルツボ開口部を開放するようにした。
アルミニウム溶湯の温度が750℃においても、炉内圧力を1.33×10-2Paに維持した。次に、この温度にて熱遮蔽板を除去してルツボ開口部を開放した後、プランジャをすばやく移動させてその先端部に保持したリチウム塊をアルミニウム溶湯に強制的に浸漬し、1分間攪拌した。その後、ルツボの誘導加熱を停止し、約700℃にて、ルツボから鋳型(内径260mmφ、高さ60mm)へ型注し、円板状のアルミニウム−リチウム合金溶湯を得た。
図5に示すように、得られたインゴットのトップ部とボトム部の中心より20mm内側の部位(a点、b点)、及び当該インゴットの側面の高さ方向中央部より5mm内側の部位(c点)からサンプルをそれぞれ採取し、ICP−AES(高周波プラズマ発光分光分析)法によりリチウムの組成分析を行った。分析結果は、a点で3.08重量%、b点で2.90重量%、c点で3.02重量%であり、3.0重量%±5%以内であった。
サンプリング後のインゴットは、プレス鍛造と圧延加工を行い、厚さ15mmまで割れることなく加工でき、厚み12mm、径200mmφのスパッタリングターゲットを得た。プレス鍛造の工程温度は550℃とし、熱処理後に圧延し、最終熱処理を450℃で行った。それを銅製の冷却板(バッキングプレート)にインジウム系のろう材により接合し、これをスパッタ装置にセットして、減圧アルゴンガス雰囲気0.9Pa、1kWのDCスパッタ条件にて1時間、スパッタ処理を行った。スパッタ時、異常放電現象は現れず安定していた。
その後、ターゲットを装置から取り外し、当該ターゲットの表面観察、十字に切断した断面観察および組成分析を行った。表面観察および断面観察は倍率50倍のCCD拡大鏡を使用した。スパッタテスト後のターゲット表面は、全面にわたり窪み、出っ張り、膨れなど観察されず滑らかであった。十字に切断した断面全域もボイド等は観察されなかった。十字断面の厚み中央部において、以下のようにターゲット外周部、中間部、中心部相当部分からサンプルを採取し、ICP−AES法によりリチウムの組成分析を行った。
測定の結果、
外周部4箇所:3.08重量%、2.98重量%、2.88重量%、2.86重量%
中間部4箇所:3.02重量%、2.96重量%、3.00重量%、2.86重量%
中心部1箇所:2.88重量%
であり、計9箇所について、3.0重量%±5%以内であった。
また、組織観察のために、十字断面の組成分析用試料の採取位置近傍から外周部2箇所、中間部2箇所、中心部1箇所からサンプリングした。Al−Li合金の組織観察結果からは、アルミニウム中にリチウムが固溶した状態のアルミニウム単一相であることが確認された。
(実施例2)
Al−Li合金化の溶解をアルゴンガス雰囲気で行った以外は、実施例1と同様の方法でAl−Li合金ターゲットを作製した。
溶解炉内の圧力を1.33×10-2Paにしてルツボ内のアルミニウムを溶融した。アルミニウム溶湯の温度が750℃において、炉内圧力を一度2.66Paに減圧した後、炉内に高純度アルミニウムアルゴンガス(純度99.999%、露点温度−70℃以下)を導入し、アルゴンガス雰囲気での圧力6.66×104Paの減圧状態にした。次に、この温度にてルツボの蓋(熱遮蔽板)を開け、プランジャを下降させてリチウム塊をアルミニウム溶湯内に強制的に浸漬し、1分間攪拌した。ルツボの誘導加熱停止後、内径260mmφ、高さ60mmの鋳型に鋳込んで冷却固化し、Al−Li合金インゴットを得た。以後の工程は実施例1と同様とし、厚み12mm、径200mmφのスパッタリングターゲットを得た。
得られたスパッタリングターゲットについて、実施例1と同様なスパッタテストと組成分析を行った。異常放電もなくスパッタができ、組成分析結果もm3.0重量%±5%以内であった。また、十字断面の組成分析用試料の採取位置近傍の外周部2箇所、中間部2箇所、中心部1箇所からサンプリングして組織観察を行った結果、実施例1と同様に、アルミニウム中にリチウムが固溶した状態のアルミニウム単一相であることが確認された。
(実施例3)
鋳型の形状を幅220mm、長さ500mm、深さ25mmとした以外は上述の実施例2と同様な方法でAl−Li合金インゴットを作製した。その後、表面を切削し、プレス鍛造、圧延加工を行い、厚み10mm、長さ1000mmのインゴットを、割れを生じさせることなく作製することができた。また、厚み8mm、径200mmφのスパッタリングターゲットに形状加工し、実施例1と同様のスパッタテストと組成分析を行った。異常放電もなくスパッタができ、組成分析結果も3.0重量%±5%以内であった。また、十字断面の組成分析用試料の採取位置近傍の外周部2箇所、中間部2箇所、中心部1箇所からサンプリングして組織観察を行った結果、実施例1と同様に、アルミニウム中にリチウムが固溶した状態のアルミニウム単一相であることが確認された。
(比較例1)
1000℃加熱用大気加熱炉(電気炉)を用い、マグネシア製ルツボ(内径175mmφ、深さ300mm)に高純度アルミニウム7,000グラムをセットし、大気中にて過熱により溶解した。表面に発生したアルミニウムの酸化物をアルミナの板で除去し、実施例1と同様にアルミニウム箔で包んだ所定量のリチウムをアルミニウム溶湯内にすばやく投入した。投入物は一部、溶湯表面にて酸化物として浮遊した。溶湯表面に浮遊した酸化物(スラグ)は、アルミナの板で除去した。
ルツボ内のAl−Li合金溶湯を、内径260mmφ、高さ60mmの鋳型に鋳込んで冷却し、Al−Li合金インゴットを得た。このインゴットの高さ方向のトップ部とボトム部の中心より20mm内側の部位(図5のa点、b点)、及び当該インゴットの側面の高さ方向中央部より5mm内側の部位(図5のc点)からサンプルをそれぞれ採取し、ICP−AES(高周波プラズマ発光分光分析)法によりリチウムの組成分析を行った。分析結果は、a点で2.82重量%、b点で2.56重量%、c点で2.98重量%であり、最大3.0重量%−15%であった。
サンプリング後のインゴットは、プレス鍛造と圧延加工を行い、厚さ15mmまで加工した。厚み12mm、径200mmφのスパッタリングターゲットにしたが、表面観察をしたところ、異物、ボイドが観察された。このスパッタターゲットを十字に切断し、断面観察を行ったところ、断面部においても異物、ボイドが観察され、成膜用のスパッタリングターゲットとして使用できなかった。
(比較例2)
真空誘導加熱炉により、Al−Li合金化の溶解をアルゴンガス雰囲気で行った。4重量%のリチウムを厚み0.2mmの高純度アルミニウム箔で2重に包み、プランジャ(図1参照)の先端に振動によってすぐ外れるように簡便にアルミニウムワイヤで軽く固定し、ルツボ上部に吊るした。リチウム合金化までの条件は実施例2と同様に行ったが、リチウム添加は、ルツボの蓋を開け、プランジャを軽く振動させて、アルミニウム箔で包んだリチウム塊をアルミニウム溶湯面に落とした。
ゆっくり回転するアルミニウム溶湯面には、酸化物らしき浮遊物が見られた。誘導加熱停止後、内径260mmφ、高さ60mmの鋳型に鋳込んで冷却し、Al−Li合金インゴットを得た。このインゴットの高さ方向のトップ部とボトム部の中心より20mm内側の部位(図5のa点、b点)、及び当該インゴットの側面の高さ方向中央部より5mm内側の部位(図5のc点)からサンプルをそれぞれ採取し、ICP−AES(高周波プラズマ発光分光分析)法によりリチウムの組成分析を行った。分析結果は、a点で3.02重量%、b点で2.88重量%、c点で2.90重量%であり、3.0重量%±5%以内であった。
以後の工程は、実施例1と同様とし、厚み12mm、径200mmφのスパッタリングターゲットを得た。そして、実施例1と同様なスパッタテストと組成分析を行った。1時間のスパッタテストでは5回の異常放電が生じた。スパッタテスト後のターゲット表面観察、十字に切断した断面観察、組成分析を行った。表面には、異常放電時に生じたと思われる出っ張りが確認され、更に1mmほどの穴あるいはくぼみが全面で13箇所認められた。また、断面観察では酸化物の一部を巻き込んで固化したものと思われるボイド等も数多く見られた。更に、組成分析用試料の採取位置近傍の外周部2箇所、中間部2箇所、中心部1箇所からサンプリングして組織観察した結果、アルミニウム中にリチウムが固溶した状態のアルミニウム相とAlLi相(β相)からなる2相であることが確認された。
以上、本発明の実施形態および実施例について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、以上の実施形態および実施例においては、真空雰囲気下にてルツボ内におけるアルミニウムの溶解を行うようにしたが、これに限らず、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下にてアルミニウムの溶解を行うようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、鋳型25を冷却板26と型枠27を組み合わせて構成したが、冷却板26と型枠27を一体的に形成した鋳型を用いても構わない。
本発明の実施形態において用いられる溶解炉の概略構成を示す側断面図である。 本発明の実施形態において説明するリチウム合金化工程と注型工程を模式的に示す要部断面図である。 Al−Li系平衡状態図である。 本発明の実施例において用いられる黒鉛製ルツボの構成を示す平面図および側断面図である。 本発明の実施例におけるAl−Li合金インゴットの組成分析用サンプル採取位置を示す図である。
符号の説明
10 溶解炉
11 真空槽
12 ルツボ
13 プランジャ
14 可動容器
18 回動軸
19 熱遮蔽板
20 Al−Li合金溶湯
21 アルミニウムブロック
22 リチウム塊
25 鋳型

Claims (8)

  1. アルミニウム単一相からなるスパッタリング用アルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法であって、
    真空雰囲気または不活性ガス雰囲気に維持された溶解炉の中に設置されているルツボ内でアルミニウムを溶解する第1の工程と、
    前記ルツボ内のアルミニウム溶湯中にリチウム塊を強制浸漬させて攪拌する第2の工程と、
    前記ルツボ内のアルミニウム−リチウム合金の溶湯を型注する第3の工程と、
    前記アルミニウム−リチウム合金のインゴットの組織制御を行う第4の工程と、を有する
    ことを特徴とするアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法。
  2. 前記第2の工程では、
    リチウム塊が固定された黒鉛製プランジャの先端部を前記ルツボ内に浸漬する工程と、
    前記プランジャを回転させて溶湯を攪拌する工程と、を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法。
  3. 前記リチウム塊は、アルミニウム製のケース内に収容されており、前記ケースは前記リチウム塊とともに溶解される
    ことを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法。
  4. 前記第2の工程では、前記プランジャは前記ルツボの直上に位置しており、
    アルミニウムの溶解中は前記ルツボと前記プランジャとの間に熱遮蔽板が設置されている
    ことを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法。
  5. 前記リチウム塊の添加量は3重量%以下である
    ことを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法。
  6. 前記第3の工程では、前記ルツボを傾動させ、前記ルツボに隣接して設置された鋳型に前記アルミニウム−リチウム合金の溶湯を型注する
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法。
  7. 前記第4の工程は鍛造工程と熱処理工程を含み、その工程温度は550℃以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法。
  8. 請求項1に記載のアルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法によって製造されたアルミニウム−リチウム合金ターゲットであって、
    リチウム含有量が3重量%以下であり、組成分布が±5%以内である
    ことを特徴とするアルミニウム−リチウム合金ターゲット。
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