JP6016849B2 - Cu−Ga合金スパッタリングターゲット - Google Patents

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Description

本発明はCu−Ga合金スパッタリングターゲットに関する。とりわけ、本発明は薄膜太陽電池層の光吸収層であるCu−In−Ga−Se(以下、CIGSと記載する。)四元系合金薄膜を形成する時に使用されるCu−Ga合金スパッタリングターゲットに関する。
近年、薄膜太陽電池として光電変換効率の高いCIGS系太陽電池の量産が進展している。CIGS系薄膜太陽電池は一般に、基板上に裏面電極、光吸収層、バッファ層及び透明電極等を順に積層した構造を有する。当該光吸収層の製造方法としては、蒸着法とセレン化法が知られている。蒸着法で製造された太陽電池は高変換効率の利点はあるが、低成膜速度、高コスト、低生産性の欠点があり、セレン化法の方が産業的大量生産には適している。
セレン化法の概要プロセスは以下の通りである。まず、ソーダライムガラス基板上にモリブデン電極層を形成し、その上にCu−Ga層とIn層をスパッタ成膜後、水素化セレンガス中の高温処理により、CIGS層を形成する。このセレン化法によるCIGS層形成プロセス中のCu−Ga層のスパッタ成膜時にCu−Ga合金スパッタリングターゲットが使用される。
スパッタリングターゲットの形状としては、平板型と円筒型がある。円筒型ターゲットは、円筒軸を中心に回転させることにより全面がエロ−ジョンされるため、材料の利用効率が平板型ターゲットに比べて多く、さらにプラズマ照射面を連続的に変えることで冷却を効率的にできるため、出力を高く維持でき量産性が高い。しかし円筒型ターゲットは、平板型ターゲットに比べて形状が複雑なため製造する難易度が高く、製造時に割れや欠損の発生する危険性が高くなる。スパッタ中に割れや欠損が発生すると、それによって生じた破片やクラックがパーティクルや異常放電の発生原因となり得る。また、運搬時やスパッタ時に破損しにくい高い強度を有することも平板型ターゲットに増して求められる。
ここで、Cu−Ga合金ターゲットの製造方法としては、溶解鋳造法と粉末焼結法が知られている。粉末焼結法では不可避の空孔が残る。空孔は異常放電の原因となるだけでなく、高密度化が困難となって切削時やスパッタ時に割れや欠損が発生させる原因ともなる。特開2013−138232号公報(特許文献1)には、割れの原因となる偏析を防ぐために、高濃度Ga粉末と低濃度Ga粉末を混合して焼結して2相組織を形成する方法が開示されているが、工程が複雑でコスト高である。
一方、溶解鋳造法については、特開2000−073163号公報(特許文献2)に、Gaの組成を15重量%乃至70重量%として溶解法により鋳造したCu−Ga合金が開示されており、当該Cu−Ga合金の製造方法として、加熱手段と冷却手段を備えたモールドにより脆性割れと偏析を生じない冷却速度に温度制御して溶解法により鋳造する方法が記載されている。当該方法によって得られたCu−Ga合金は脆性と偏析がないので、成形が容易で任意形状に加工ができるとされている。
特開2013−76129号公報(特許文献3)には、溶解鋳造により円筒形状に形成された、Ga濃度が27wt%以上30wt%以下のCu−Ga合金のスパッタリングターゲットが記載されている。当該スパッタリングターゲットの組織は、前記スパッタリングターゲットの凝固面に対して平行に切断した切断面において等軸状であることが特徴であることが記載されている。当該スパッタリングターゲットは高品質で量産が可能であることも記載されている。
特開2013−204081号公報(特許文献4)には、Gaが15at%以上22at%以下、残部がCu及び不可避的不純物からなる溶解・鋳造した板状のCu−Ga合金スパッタリングターゲットが開示されている。当該Cu−Ga合金は、CuにGaが固溶したα相又はα相とζ相との混相からなる組織を有し、該α相又はα相とζ相との混相からなる組織にデンドライト組織が分散しており、該デンドライト組織は、一次アームと該一次アームから側方に成長した二次アームからなり、二次アームの平均の長さが30〜60μm、二次アームの平均の幅が10〜30μm、該二次アーム間の平均の間隔が20〜80μmであることを特徴とするCu−Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
特開2013−138232号公報 特開2000−073163号公報 特開2013−76129号公報 特開2013−204081号公報
円筒型ターゲットを製造する上では、粉末焼結法よりも溶解鋳造法が適していると考えられるが、上記の何れの文献においてもターゲットの強度に関する考察は不十分である。
特許文献2は脆性割れと偏析を生じない冷却速度に温度制御することが記載されているが、冷却速度のみの制御だけでは、スパッタ時の異常放電の原因となる引け巣の発生を抑制できない。なぜなら、湯を流し込む鋳造方法では凝固中に凝固速度を一定に保つことが困難であり、たとえ鋳型底から一方向凝固させたとしても鋳型上部にて開放された凝固潜熱により凝固速度が小さくなり、引け巣が多発してしまうからである。更に、特許文献2には冷却速度を1.0×10-1℃/sec〜1.5×10-2℃/secの範囲で制御することが記載されているが、冷却速度が遅いため、当該冷却速度で得られる結晶組織は等軸晶である。等軸晶では高い強度が得られない。また、特許文献2には円筒型ターゲットに関する記述がない。
特許文献3には円筒型ターゲットが具体的に記載されているが、特許文献2と同様に結晶組織が等軸晶であることから、十分な強度をもつターゲットが得られない。
特許文献4に記載のスパッタリングターゲットはデンドライト組織を有することが記載されているものの、Ga濃度が低いことから製造や加工が比較的容易であり、必要な強度も得られやすい。最近では、Gaの比率の高いCu−Ga合金に対するニーズが増加している。Gaの比率が高いターゲットは割れやすくなる傾向にあるが、特許文献4にはGa比率の高いCu−Ga合金を高強度化するための検討はなされていない。また、円筒型ターゲットについても記載がない。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、Ga比率の高いCu−Ga合金で高強度のスパッタリングターゲット、特に円筒型のスパッタリングターゲットを提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討したところ、Cu−Ga合金が柱状晶であって、且つ、所定のアスペクト比をもつ介在相をもつときにはGa比率の高いCu−Ga合金であっても強度が発現しやすいことを見出し、本発明を完成させた。
従って、本発明は一側面において、平均して22at%超〜30at%未満のGaを含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなるCu−Ga合金でできたCu−Ga合金スパッタリングターゲットであって、CuにGaが固溶したγ相及びζ相の混相からなる柱状組織を有し、反射電子像のCOMPO像で観察される混相のうち、組織に介在する相(介在相)における短軸長さに対する長軸長さのアスペクト比の中央値が5〜60であるスパッタリングターゲットである。
本発明に係るスパッタリングターゲットは一実施形態において、3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値が300MPa以上である。
本発明に係るスパッタリングターゲットは別の一実施形態において、相対密度が99〜100%である。
本発明に係るスパッタリングターゲットは更に別の一実施形態において、板状又は円筒形状である。
本発明に係るスパッタリングターゲットは更に別の一実施形態において、円筒形状である。
本発明によれば、Ga比率の高いCu−Ga合金で曲げ強度の高いスパッタリングターゲットが得られる。本発明に係るスパッタリングターゲットは円筒型にしたときにその効果がより顕著に表れる。本発明に係るスパッタリングターゲットは運搬時やスパッタ時に破損しにくく、実用性に優れている。
本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲット断面の光学顕微鏡写真の一例である。 本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲット断面のEPMAによる反射電子像(COMPO像)の一例である(倍率200倍)。 樹枝状組織の模式図である。 従来のCu−Ga合金スパッタリングターゲット断面のEPMAによる反射電子像(COMPO像)の一例である(倍率200倍)。 アメーバ状組織の模式図である。 実施例で使用した縦型連続鋳造装置の構造を示す模式図である。 比較例で使用した重力鋳造装置の構造を示す模式図である。 正規分布における平均値(μ)、標準偏差(σ)の関係を示す模式図である。
(組成)
本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは一実施形態において、平均して22at%超〜30at%未満のGa、典型的には25at%以上〜29at%以下を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有する。Gaの含有量は、CIGS系太陽電池を製造する際に必要とされるCu−Ga合金スパッタ膜形成の要請に由来するものであるが、本発明においては、Gaの含有量を比較的高めに設定している点が一つの特徴である。Cu−Gaの二元系状態図から理解できるように、Gaの含有量が高くなるにつれて、ζ相からγ相の割合が多くなるが、γ相はζ相に比べて割れやすいので強度の確保が難しい。本発明では、結晶構造及びこれら二相のうち組織に介在する相のアスペクト比を適切に制御しているため、このように高いGa含有量であっても高い強度を得ることに成功している。Cu−Ga二元系状態図より、Gaの含有量が、26.7at%に以上になるとγ相が優勢となることから、本発明による強度向上効果が顕著に表れるのは特にGaの含有量が26.7at%以上のときである。
(結晶構造)
本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは一実施形態において、CuにGaが固溶したγ相またはζ相の混相からなる柱状晶を有することができる。柱状晶にすることによって等軸晶に比べて高い強度を有することが可能となる。柱状晶であることは、図1に例示した光学顕微鏡写真のように、マクロ観察によって線状の粒界が見えることで確認できる。また、本発明に係るCu−Ga合金はγ相及びζ相の混相となることはCu−Ga二元系状態図より理解できる。γ相は単体では堅くて脆いが、相対的に柔らかいζ相との混相とすることで、柔軟な組織が得られる。そして、以下に述べるように、前記の柔軟な組織に特徴的な、組織に介在する相(以下、「介在相」という。)を形成するζ相又はγ相を細長くしてアスペクト比を高めることで、高い抗折強度が得られる。この介在相は、断面を観察した際に認められる曲線で囲まれた閉じた領域の内側の部分を指す。
(組織)
本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲット断面のミクロ組織をEPMAの反射電子像(COMPO像)により観察すると、図2に示すような二相組織が確認できる(当該Cu−Ga合金のGa濃度は28at%)。図2中、介在相である黒い部分がζ相であり、白い部分がγ相であることがEBSP分析で確認されている。当該黒色のζ相を表す組織は樹枝状の形状をしており、その一次アームと該一次アームから側方に成長した二次アームを有するものが確認される。樹枝状組織の模式図を図3に示す。本発明者の検討結果によれば、介在相における短軸長さに対する長軸長さのアスペクト比がターゲットの強度に対して有意な影響を与える。具体的には、アスペクト比の中央値が5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、更により好ましくは30以上、更により好ましくは40以上、更により好ましくは50以上であるときに良好な強度が得られる。ただし、過度にアスペクト比を高めると引け巣が発生しやすくなり逆に強度が低下する懸念があることから、60以下が好ましい。前記の介在相はGa濃度が22at%超〜30at%未満の濃度範囲において、γ相であってもよい。
図4には、従来のCu−Ga合金スパッタリングターゲット断面のEPMAによる反射電子像(COMPO像)の一例を示してある(当該Cu−Ga合金のGa濃度は28at%)。図4から分かるように、合金組織には形状が不特定なアメーバ状の介在相が優勢である。当該介在相においても、黒い部分がζ相であり、白い部分がγ相であることがEBSP分析で確認されている。図5にアメーバ状介在相の模式図を示す。
本明細書においては、介在相における短軸長さに対する長軸長さのアスペクト比を、その形状によらず、長軸長さ(y)及び短軸長さ(x)を以下のように定義して測定することとする。
長軸長さ(y)は一つの連続する介在相を取り囲むことのできる最小の円の直径と定義し、短軸長さ(x)は一つの連続する介在相に取り囲まれることのできる最大の円の直径と定義する。
このようにして介在相毎の長軸長さ(y)及び短軸長さ(x)を求めて各介在相におけるアスペクト比を算出し、100個以上の介在相におけるアスペクト比の中央値を測定値とする。また、アスペクト比の算定対象となる介在相は長軸(y)が50μm以上で且つ短軸(x)が50μm未満のものとする。これから外れる介在相は抗折強度の向上にあまり寄与しないと考えられるからである。
(相対密度)
一般に、焼結品は相対密度を95%以上にすることが目標である。相対密度が低いと、スパッタ中の内部空孔の表出時に空孔周辺を起点とするスプラッシュや異常放電による膜へのパーティクル発生や表面凹凸化の進展が早期に進行して、表面突起(ノジュール)を起点とする異常放電等が起き易くなるからである。鋳造品は、ほぼ相対密度100%を達成することができ、この結果、スパッタリングの差異のパーティクルの発生を抑制できるという効果を有する。これは鋳造品の大きな利点の一つと言える。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは鋳造により製造可能であることから、高い相対密度を有することができる。例えば、本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは一実施形態において、99%以上とすることができ、好ましくは99.5%以上とすることができ、より好ましくは100%とすることができ、例えば99〜100%とすることができる。
(抗折強度)
本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは一実施形態において、JIS R1601:2008に準拠して測定した3点曲げ強度の平均値が340MPa以上である。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは好ましい一実施形態において、JIS R1601:2008に準拠して測定した3点曲げ強度の平均値が350MPa以上である。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットはより好ましい一実施形態において、JIS R1601:2008に準拠して測定した3点曲げ強度の平均値が360MPa以上である。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは更により好ましい一実施形態において、JIS R1601:2008に準拠して測定した3点曲げ強度の平均値が370MPa以上である。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは更により好ましい一実施形態において、JIS R1601:2008に準拠して測定した3点曲げ強度の平均値が380MPa以上である。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは典型的な実施形態において、JIS R1601:2008に準拠して測定した3点曲げ強度の平均値が340〜410MPaである。
また、上記3点曲げ強度の標準偏差は小さい方が品質安定性に優れて好ましいところ、本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは一実施形態において、3点曲げ強度の標準偏差を40MPa以下とすることができる。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは好ましい一実施形態において、3点曲げ強度の標準偏差を30MPa以下の範囲とすることができ、例えば10〜40MPaとすることができ、典型的には20〜30MPaとすることができる。
そのため、本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは一実施形態において、3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値を300MPa以上とすることができる。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは好ましい一実施形態において、3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値を310MPa以上とすることができる。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットはより好ましい一実施形態において、3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値を320MPa以上とすることができる。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットはより好ましい一実施形態において、3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値を330MPa以上とすることができる。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットはより好ましい一実施形態において、3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値を340MPa以上とすることができる。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは典型的な実施形態において、3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値を300〜380MPaとすることができる。
平均値から標準偏差を引いた値を規定することの意義について補足する。例えば3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値が300MPa以上であるというのは、同一ターゲットにおける3点曲げ強度が正規分布(図8参照)に従うとしたとき、「3点曲げ強度の全データの2/3が300MPa以上である」ことを指す。平均値が同一であっても、測定値のバラツキが大きいと品質保証値としては小さくせざるを得ないことになるが、本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットによれば、測定値のバラツキを考慮しても、実用的な3点曲げ強度が確保できる。3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値同士を比較することで測定値にバラツキの出やすい重力鋳造品との強度差が有意に現れる。
本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは、例えば板状又は円筒形状として提供することが可能である。また、高強度を有していることから、所望の形状に加工することも容易である。
(鋳造法)
本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットの好適な製造方法の例について説明する。本発明に係るCu−Ga合金スパッタリングターゲットは、例えば高周波誘導加熱ヒーター、グラファイト製坩堝及び水冷プローブを備えた図6に示す構造の縦型連続鋳造装置30を用いて製造可能である。ターゲット原料をグラファイト製坩堝31内で溶解し、この溶湯38を、坩堝底部に設置した引下部材34の引抜きに合わせて鋳型20への注湯及び冷却を連続的に実施することでCu−Ga合金の鋳造品(ビレット)39が連続的に製造される。引下部材34の形状によって、鋳造品39の形状を変化させることが可能である。例えば、引下部材34を円筒形にすれば円筒形の鋳造品39が得られ、引下部材34を平板状にすれば平板状の鋳造品39が得られる。得られた鋳造品39に対して更に機械加工や研磨を行い、所望の形状のCu−Ga合金のスパッタリングターゲットとすることもできる。
鋳造空間を外周側から冷却する冷却部である水冷銅ジャケット33が、坩堝31の外周側に設けられている。このとき、冷媒が溶湯38に直接接触しない構造となっているため、湯漏れが生じても水蒸気爆発のおそれが無い。坩堝31には、不活性ガスを導入する不活性ガス導入部42が設けられており、溶湯38内の酸素分圧を低下させている。
坩堝31の外周にはヒーター45が設けられている。坩堝31の壁部には坩堝温度制御用熱電対44が設けられている。坩堝31から鋳造空間へ溶湯38を供給する溶湯供給部位の溶湯温度を測定する溶湯温度測定用熱電対43が、所定の保護管内に収容された状態で、柱状の中子32の上面を貫通するように形成された熱電対保護管挿入口を通り、溶湯供給部位に到達するように設けられている。中子32の内部には、鋳造空間を内周側から冷却する水などの冷媒プローブ46が冷媒プローブ挿入口36から同心円状に複数本差し込まれる。縦型連続鋳造装置30は、金属溶解炉から直接に鋳型20及び鋳型20の内側に配置される中子32の間に供給される溶湯38を冷却して凝固させることで鋳造品39を形成し、鋳型20及び中子32から引き抜き機構47で引下部材34を引き抜くことで連続して鋳造品を製造する。
ここで、結晶構造及び介在相を制御し、更には引け巣を防止して強度を確保する上では、鋳造品の引抜き速度及び凝固界面における冷却速度[℃/sec]を制御することが大切である。引き抜き速度を高めることで一方向凝固を進展させ、柱状晶を成長させることが可能である。また、介在相も冷却速度により影響を受け、一方向凝固における冷却速度が高いと、細長く微細な介在相が急速に成長することで、結晶が割れにくくなるという利点が得られる。
具体的には、引き抜き速度を30〜120mm/minとすることが好ましく、60〜120mm/minとすることがより好ましく、90〜120mm/minとすることが更により好ましい。また、冷却速度を平均で1.7〜14.5℃/secとすることが好ましく、3.3〜14.5℃/secとすることがより好ましく、5.0〜14.5℃/secとすることが更により好ましい。
引き抜き操作は、引き抜き機構の駆動と停止を繰り返しながら行うことができる。引き抜き速度は、本発明においては駆動と停止の全体の時間に対して引き抜かれた鋳造品の長さから算出した値をいう。引き抜き速度は、引き抜き機構内のピンチローラー48の回転速度を制御することで変化させることができる。同じ引き抜き速度でも、駆動と停止のバランスが悪いと、所望の組織が得られない可能性があるところ、駆動時間と停止時間は、例えば駆動時間/停止時間=0.1〜0.3とすることができ、典型的には0.15〜0.25とすることができる。また、引き抜き速度を変更して冷却速度を制御することができる。凝固界面の冷却速度=[温度勾配(℃/mm)]×[引き抜き速度(mm/min)]である。この式は、温度勾配が一定のときには冷却速度は引き抜き速度に比例して大きくなることを意味する。温度勾配は、鋳型と中子に差し込んだ熱電対の測温距離とその温度差から求める。具体的には、測定点の間を直線で結んで内挿してグラフ(横軸:熱電対位置vs縦軸:温度)を作成し、融点±30℃の範囲の温度勾配を求めた。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1.縦型連続鋳造:実施例1〜9、比較例1〜2)
抵抗加熱ヒーター(グラファイトエレメント)、グラファイト製坩堝及び水冷プローブを備えた図6に示す構造の縦型連続鋳造装置を用いて、外形159mm、厚さ14mm、高さ620mmの円筒型のCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造した。
表1に記載の各Ga濃度のCu−Ga合金原料35kg(Cuの純度は4N、Gaの純度は4N)を坩堝に導入し、坩堝内をアルゴンガス雰囲気にし、1250℃まで加熱した。この高温の加熱は、坩堝底部に設置した円筒状の引下部材とCu−Ga合金溶湯を溶着させるためである。
原料が溶解した後、溶湯温度を1080℃になるまで下げ、溶湯温度と坩堝温度が安定した時点で、引下部材の引抜きを開始した。引下部材を引出すことにより、凝固した円筒状の鋳造品を連続的に引出した。引き抜きパターンは、引き抜き機構を0.5秒駆動、2.5秒停止の繰り返しで稼働させ、周波数を変化させることにより、引き抜き速度を変化させて、冷却速度を変化させた。引き抜きの際は、凝固界面付近において引け巣の発生を防止するために、冷却速度が大きくなりすぎないように引き抜き速度を120mm/min以下に制限した。
<結晶構造>
凝固方向及び円筒の中心軸方向に平行な断面を研磨し、硝酸と塩酸でエッチングして目視および光学顕微鏡で観察した。図1に例示するように円筒状インゴットの抜熱部から凝固して成長した粒界が板厚の中央付近で衝突する場合を柱状晶とし、粒界が斑点状に分布する場合を等軸晶と判断した(ここで、抜熱部とはインゴットと接する鋳型や中子及び放冷空間を意味する。)。
<介在相のアスペクト比>
得られたスパッタリングターゲットの断面(凝固方向に垂直な断面)のミクロ組織をEPMA(日本電子製、装置名:XJA−8500F)の反射電子像(COMPO像)により観察した。黒い部分がζ相であり、白い部分はγ相である。介在相のアスペクト比の中央値は先述した定義に従って測定した。
<相対密度>
得られたスパッタリングターゲットの密度をアルキメデス法により測定し、組成によって定まる理論密度に対する割合(%)を求め、相対密度とした。
<抗折強度>
得られたスパッタリングターゲットの3点曲げ抗折強度をJIS R1601:2008に基づいて測定した。試験ジグは3p−30に設定した。各ターゲットから10個の試験片を切り出して測定を行い、平均値と標準偏差を求めた。測定は、ターゲットの長さ方向に切り出した角材を試験片として、長さ方向に垂直な向きに圧力を加えることで行った。長さ方向とは、ターゲットの据え付け方向、すなわちバッキングプレートやバッキングチューブの方向を指す。
(2.重力鋳造:比較例3〜5)
グラファイト製坩堝51、タンディッシュ52及び鋳型53を備えた図7に示す重力鋳造装置50を用いて、外形162mm、厚さ18mm、高さ630mmの円筒型のCu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造した。Cu−Ga合金原料44kg(Cuの純度は4N、Gaの純度は4N)を坩堝51に導入し、鋳造装置50内を10Pa程度の真空雰囲気にし、1300℃まで加熱した。次に、坩堝51内の溶湯をタンディッシュ52を経由して鋳型に流し込んだ。
タンディッシュ52から鋳型に流し込んだ溶湯は鋳型底で跳ねるためインゴットの下部には空孔が残留することがある。また、鋳型底から抜熱されて上方に凝固が進むにつれて解放された凝固潜熱が蓄積するため、インゴットの上部にも引け巣が多発する傾向がある。そこで、品質評価の際には、インゴットのボトムから350mm位置からサンプリングを行った。
ここでは、冷却速度は、鋳型に差し込んだ熱電対(底面から300mm及び600mmの箇所に設置)の温度変化をモニタリングして温度vs時間のグラフを描いて求めた。注がれた湯の温度が下がっていく過程で凝固潜熱が解放されてグラフ上の温度勾配が緩やかになり、その潜熱が抜熱されるにつれて再び温度勾配は急になる。前記のような挙動を示すグラフ曲線の変曲点における接線の傾きを、その熱電対の位置での冷却速度[℃/sec]とした。従って、冷却速度は各熱電対位置での測定値となる。表に記載の冷却速度は得られた測定値の平均値を記載した。
得られた円筒型のスパッタリングターゲットについて、先と同様に結晶構造、アスペクト比、相対密度、及び抗折強度を評価した。
(3.考察)
結果を表1に示す。アスペクト比が比較例と比べて大きい実施例1〜9のスパッタリングターゲットは抗折強度が高かった。組織を介在する相がその外部に存在する相の中を伸び広がることにより、単相では得られないかった強度の向上が得られたと考えられる。すなわち、柔らかい組織が脆い組織をつなぐように介在すること、またはその逆の状況により、γ相の組織の脆さを補うζ相の柔らかさの効用によって、単相の場合の脆さや硬度の弱さが抗折強度に反映されにくくなったと考えられる。なお、比較例4及び5は冷却速度自体は高いものの、重力鋳造のため一方向凝固しなかったことで、高いアスペクト比が得られなかった。
20 鋳型
30 縦型連続鋳造装置
31 坩堝
32 中子
33 水冷銅ジャケット
34 引下部材
36 冷媒プローブ挿入口
38 溶湯
39 鋳造品(ビレット)
42 不活性ガス導入部
43 溶湯温度測定用熱電対
44 坩堝温度制御用熱電対
45 ヒーター
46 冷媒プローブ
47 引き抜き機構
48 ピンチローラー
50 重力鋳造装置
51 坩堝
52 タンディッシュ
53 鋳型

Claims (5)

  1. 平均して22at%超〜30at%未満のGaを含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなるCu−Ga合金でできたCu−Ga合金スパッタリングターゲットであって、CuにGaが固溶したγ相及びζ相の混相からなる柱状組織を有し、反射電子像のCOMPO像で観察される混相のうち、組織に介在する相(介在相)における短軸長さに対する長軸長さのアスペクト比の中央値が5〜60であるスパッタリングターゲット。
  2. 3点曲げ強度の平均値から標準偏差を引いた値が300MPa以上である請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 相対密度が99〜100%である請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 板状又は円筒形状である請求項1〜3の何れ一項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. 円筒形状である請求項4に記載のスパッタリングターゲット。
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