JPWO2008120807A1 - ポリ乳酸組成物およびそれよりなる繊維 - Google Patents
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Abstract
L−乳酸単位90モル%以上とL−乳酸以外の共重合成分単位10モル%未満とにより構成されるポリ乳酸(B)成分および、D−乳酸単位90モル%以上とD−乳酸以外の共重合成分単位10モル%未満とにより構成されるポリ乳酸(C)成分からなり、(B)/(C)重量比が10/90から90/10の混合組成物であるポリ乳酸(A)組成物。
Description
本発明は、実用的強度、耐熱性及び分散染料染色性を有する成形品を与えるポリ乳酸組成物およびそれよりなる繊維に関する。
近年、地球環境保護の目的から、自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、世界中で研究されている。生分解性ポリマーとして、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸を始めとする脂肪族ポリエステルが生分解性ポリマーとして知られている。これらは溶融成型が可能であり、汎用性ポリマーとしても期待されている。これらの中でポリ乳酸は、原料である乳酸あるいはラクチドを天然物から製造することが可能であり、さらに、単なる生分解性ポリマーとしてのみではなく、地球環境に配慮した汎用性ポリマーとして利用も検討されつつある。ポリ乳酸のような生分解性ポリマーは透明性が高く、強靭であっても、水の存在下では容易に、加水分解され、さらに廃棄後には環境を汚染することなく分解するので、環境負荷の少ない汎用樹脂として期待されている。
ポリ乳酸の融点は150℃から170℃の範囲にあり、ポリエチレンテレフタレートやナイロンのように衣料用繊維として用いるにはアイロン掛けが低温に限られてしまうことや、産業用繊維として使用される場合ではゴム資材や樹脂コート布帛など製造過程で150℃程度の高温にさらされる用途には適さないなどの問題もあった。
また、ポリ乳酸はクロロホルムなど一般的な有機溶媒に簡単に溶解するため、オイルなど有機溶剤などと接触する用途に用いることは不可能である。
一方で、L−乳酸単位のみからなるポリL−乳酸(以下PLLAと略称することがある。)とD−乳酸単位のみからなるポリD−乳酸(以下PDLAと略称することがある。)を溶液あるいは溶融状態で混合することにより、ポリ乳酸ステレオコンプレックスが形成されることが知られている(特許文献1および非特許文献1など参照)。
このポリ乳酸ステレオコンプレックスはPLLAやPDLAに比べて、高融点、高結晶性及び溶剤に対する改良された性質を示すなどの興味深い現象が発見され、従来のポリ乳酸繊維では不可能であった耐熱性を向上させ、例えばアイロン耐久性を有する繊維などの提案がいくつかなされている。
例えば、非特許文献1には、溶融紡糸によりステレオコンプレックスポリ乳酸繊維を得たことが開示されており、具体的には、ポリL‐乳酸とポリD‐乳酸の溶融ブレンド物を溶融紡糸した未延伸糸を熱処理することでステレオコンプレックス繊維を得ているが、熱処理時に繊維内部の分子配向が緩和してしまい、得られる繊維の強度は高々2.3cN/dTexに過ぎない。
この非特許文献を含め従来のステレオコンプレックス繊維の形成方法は、ポリL‐乳酸とポリD‐乳酸のブレンド物を紡糸して得られる非晶性未延伸糸を延伸、熱固定するものであるが、ステレオコンプレックスを十分成長させるためには、ポリL‐乳酸或いはポリD‐乳酸単独結晶の融点以上の温度で熱固定することが効率的であるとの理念のもと、熱固定を上記単独結晶の融点より高い温度で実施するものが主流であった。確かにステレオコンプレックス結晶生成には、この高温熱固定は有効であるものの、この工程で糸の部分融解が発生し、糸が粗硬化したり低強度化したりする問題があった。
一方、特許文献2では、紡糸速度4000m/分で高速紡糸したステレオコンプレックス結晶化比率(Cr率)10から35%の結晶化未延伸糸を1.4から2.3倍の(多段)延伸を行うことで低Cr率(50%程度)で、4.5cN/dTexの高強度、耐熱性ポリ乳酸繊維を提案されている。しかし伸度が20%未満であるため衣料用、産業用繊維としては不十分な物性なものでしかない。しかも本方法を実施するためには、3000m/分程度の紡速では不十分で、5000m/分以上の紡速とする必要があるが、このような紡速で紡糸するためには特殊な紡糸設備を必要とするなど工業的実施には超えなければならない問題点も残されている。
即ち、本文献を含め、Cr率が0%の未延伸糸から高強度かつ高耐熱性繊維を作る提案はいまだなされていない。
また、特許文献3では紡糸ドラフト≧50、引き取り速度≧300m/分で溶融紡糸した未延伸糸をいったん巻き取った後、延伸を行うかまたは巻き取ることなく2.8倍の延伸倍率で延伸を行い120℃から180℃の温度で熱固定することによりポリ乳酸ホモ結晶と190℃以上のステレオコンプレックス結晶との2つのピークを有する200℃耐熱性繊維を提案している。しかし該文献には繊維物性として実用上十分な強度を有するとされるのみで具体的な数値は示されておらず、加えて、本文献に記載の200℃耐熱性は200℃のアイロン表面に布帛を30秒接触させたのち繊維融着、布巾形状変化などの激しい変化を目視する耐熱性に過ぎず、また本文献中に記載されたようにDSC測定でポリL‐乳酸及ポリD−乳酸単独結晶の融解ピークが観測されており、該単独結晶の融解に起因して、耐熱性が不十分と判定せざるを得ない。
また、一般に、ポリ乳酸ステレオコンプレックス繊維は,衣料繊維の代表格のポリエチレンテレフタレート繊維と比較し、ガラス転移温度が60℃と約8℃低いため、100℃近傍で分散染料によって染色可能である利点を有している。
即ちポリ乳酸繊維はポリエチレンテレフタレート繊維などに比べ、染色されやすい繊維構造を有しているが反面繊維構造中染着された染料分子が外部に出やすく、色落ち、汚染しやすい欠点、即ち洗濯耐久性に問題がある欠点も有している。この傾向は湿潤状態において促進されることが多いことも明らかになっている。
かかる色落ちに対しては、染色条件を検討し、染色工程、還元洗浄工程のあいだに熱処理工程を付加する提案がなされているが十分な解決にはなっていない(例えば、特許文献4等)。
さらにポリ乳酸は本質的に加水分解しやすい特性を有しており、染色条件で繊維非晶部が加水分解され、結晶部が選択的に残存し、所謂染着されやすいポリ乳酸繊維が染色されがたい領域が生成する場合も発生し、いわゆる染色斑が発生する問題も未解決のままである。
さらにポリ乳酸分子は光透過率が高く、可視領域から紫外線領域の300nm近傍までほとんど吸収帯を持たず光学用途にたしては極めて有利であるが、染着製品においては、ポリ乳酸分子による遮蔽効果が期待されず、染料分子自体が分解しやすく、日光堅牢度は実用に供するには不十分である場合がある。
かかる欠点に対処するため、紫外線吸収剤或いは紫外線カット剤の使用が提案せれているがかかる剤の併用は繊維の黄変など新たな問題を引き起こす可能性が少なくない(非特許文献2等参照)。
特許文献5では1.3から1.50範囲の屈折率で、カルボキシル末端基濃度が0から20のポリ乳酸を包含する脂肪族ポリエステルを含む黒色発色性に優れた繊維構造物、他種繊維との混用繊維構造物が提案されている。
該特許文献提案の繊維構造物は、170℃と高温での耐アイロン性及び芳香族ポリエステル繊維との共染色性については何ら示唆すらされていない。
すなわちステレオコンプレックス結晶を含有するポリ乳酸繊維であり、強度3.5cN/dTex以上、伸度20から50%を満たし、耐アイロン性を有し、分散染料によりメトリック明度(以下明度と略称することがある。)L*値12以下、メトリッククロマ(以下彩度と略称することがある。)C*値10以下に染色可能なポリ乳酸繊維に関してもいまだ提案されていない。
特開昭63−241024号公報
特開2003−293220号公報
特開2005−23512号公報
特開2003−49374号公報
特許3470676号公報
Macromolecules,24,5651(1991)
研究開発;ポリ乳酸繊維の染色。P2〜5、長瀬カラーケミカル(株)テクノセンター
ポリ乳酸の融点は150℃から170℃の範囲にあり、ポリエチレンテレフタレートやナイロンのように衣料用繊維として用いるにはアイロン掛けが低温に限られてしまうことや、産業用繊維として使用される場合ではゴム資材や樹脂コート布帛など製造過程で150℃程度の高温にさらされる用途には適さないなどの問題もあった。
また、ポリ乳酸はクロロホルムなど一般的な有機溶媒に簡単に溶解するため、オイルなど有機溶剤などと接触する用途に用いることは不可能である。
一方で、L−乳酸単位のみからなるポリL−乳酸(以下PLLAと略称することがある。)とD−乳酸単位のみからなるポリD−乳酸(以下PDLAと略称することがある。)を溶液あるいは溶融状態で混合することにより、ポリ乳酸ステレオコンプレックスが形成されることが知られている(特許文献1および非特許文献1など参照)。
このポリ乳酸ステレオコンプレックスはPLLAやPDLAに比べて、高融点、高結晶性及び溶剤に対する改良された性質を示すなどの興味深い現象が発見され、従来のポリ乳酸繊維では不可能であった耐熱性を向上させ、例えばアイロン耐久性を有する繊維などの提案がいくつかなされている。
例えば、非特許文献1には、溶融紡糸によりステレオコンプレックスポリ乳酸繊維を得たことが開示されており、具体的には、ポリL‐乳酸とポリD‐乳酸の溶融ブレンド物を溶融紡糸した未延伸糸を熱処理することでステレオコンプレックス繊維を得ているが、熱処理時に繊維内部の分子配向が緩和してしまい、得られる繊維の強度は高々2.3cN/dTexに過ぎない。
この非特許文献を含め従来のステレオコンプレックス繊維の形成方法は、ポリL‐乳酸とポリD‐乳酸のブレンド物を紡糸して得られる非晶性未延伸糸を延伸、熱固定するものであるが、ステレオコンプレックスを十分成長させるためには、ポリL‐乳酸或いはポリD‐乳酸単独結晶の融点以上の温度で熱固定することが効率的であるとの理念のもと、熱固定を上記単独結晶の融点より高い温度で実施するものが主流であった。確かにステレオコンプレックス結晶生成には、この高温熱固定は有効であるものの、この工程で糸の部分融解が発生し、糸が粗硬化したり低強度化したりする問題があった。
一方、特許文献2では、紡糸速度4000m/分で高速紡糸したステレオコンプレックス結晶化比率(Cr率)10から35%の結晶化未延伸糸を1.4から2.3倍の(多段)延伸を行うことで低Cr率(50%程度)で、4.5cN/dTexの高強度、耐熱性ポリ乳酸繊維を提案されている。しかし伸度が20%未満であるため衣料用、産業用繊維としては不十分な物性なものでしかない。しかも本方法を実施するためには、3000m/分程度の紡速では不十分で、5000m/分以上の紡速とする必要があるが、このような紡速で紡糸するためには特殊な紡糸設備を必要とするなど工業的実施には超えなければならない問題点も残されている。
即ち、本文献を含め、Cr率が0%の未延伸糸から高強度かつ高耐熱性繊維を作る提案はいまだなされていない。
また、特許文献3では紡糸ドラフト≧50、引き取り速度≧300m/分で溶融紡糸した未延伸糸をいったん巻き取った後、延伸を行うかまたは巻き取ることなく2.8倍の延伸倍率で延伸を行い120℃から180℃の温度で熱固定することによりポリ乳酸ホモ結晶と190℃以上のステレオコンプレックス結晶との2つのピークを有する200℃耐熱性繊維を提案している。しかし該文献には繊維物性として実用上十分な強度を有するとされるのみで具体的な数値は示されておらず、加えて、本文献に記載の200℃耐熱性は200℃のアイロン表面に布帛を30秒接触させたのち繊維融着、布巾形状変化などの激しい変化を目視する耐熱性に過ぎず、また本文献中に記載されたようにDSC測定でポリL‐乳酸及ポリD−乳酸単独結晶の融解ピークが観測されており、該単独結晶の融解に起因して、耐熱性が不十分と判定せざるを得ない。
また、一般に、ポリ乳酸ステレオコンプレックス繊維は,衣料繊維の代表格のポリエチレンテレフタレート繊維と比較し、ガラス転移温度が60℃と約8℃低いため、100℃近傍で分散染料によって染色可能である利点を有している。
即ちポリ乳酸繊維はポリエチレンテレフタレート繊維などに比べ、染色されやすい繊維構造を有しているが反面繊維構造中染着された染料分子が外部に出やすく、色落ち、汚染しやすい欠点、即ち洗濯耐久性に問題がある欠点も有している。この傾向は湿潤状態において促進されることが多いことも明らかになっている。
かかる色落ちに対しては、染色条件を検討し、染色工程、還元洗浄工程のあいだに熱処理工程を付加する提案がなされているが十分な解決にはなっていない(例えば、特許文献4等)。
さらにポリ乳酸は本質的に加水分解しやすい特性を有しており、染色条件で繊維非晶部が加水分解され、結晶部が選択的に残存し、所謂染着されやすいポリ乳酸繊維が染色されがたい領域が生成する場合も発生し、いわゆる染色斑が発生する問題も未解決のままである。
さらにポリ乳酸分子は光透過率が高く、可視領域から紫外線領域の300nm近傍までほとんど吸収帯を持たず光学用途にたしては極めて有利であるが、染着製品においては、ポリ乳酸分子による遮蔽効果が期待されず、染料分子自体が分解しやすく、日光堅牢度は実用に供するには不十分である場合がある。
かかる欠点に対処するため、紫外線吸収剤或いは紫外線カット剤の使用が提案せれているがかかる剤の併用は繊維の黄変など新たな問題を引き起こす可能性が少なくない(非特許文献2等参照)。
特許文献5では1.3から1.50範囲の屈折率で、カルボキシル末端基濃度が0から20のポリ乳酸を包含する脂肪族ポリエステルを含む黒色発色性に優れた繊維構造物、他種繊維との混用繊維構造物が提案されている。
該特許文献提案の繊維構造物は、170℃と高温での耐アイロン性及び芳香族ポリエステル繊維との共染色性については何ら示唆すらされていない。
すなわちステレオコンプレックス結晶を含有するポリ乳酸繊維であり、強度3.5cN/dTex以上、伸度20から50%を満たし、耐アイロン性を有し、分散染料によりメトリック明度(以下明度と略称することがある。)L*値12以下、メトリッククロマ(以下彩度と略称することがある。)C*値10以下に染色可能なポリ乳酸繊維に関してもいまだ提案されていない。
本発明の目的は実用的強度、耐熱性及び分散染料染色性を有する成形品を与えるポリ乳酸組成物およびそれよりなる繊維を提供することにある。
以下に、本発明を実施するための形態につき詳細に説明する。尚、これらの説明および実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
本発明のポリ乳酸(A)組成物は、L−乳酸単位を主成分とし、L−乳酸単位以外の成分を0〜10モル%含有するポリ乳酸(B)成分とD−乳酸単位を主成分とし、D−乳酸単位以外の成分を0〜10モル%含有するポリ乳酸(C)成分とよりなり(B)/(C)重量比において10/90から90/10の混合組成物よりなるポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物であることを必須条件とする。
ポリ乳酸(A)の重量平均分子量は7万から50万の範囲にあることが必須である。かかる分子量範囲において、ポリ乳酸(A)組成物は、ステレオコンプレックス結晶化度が高く、染色堅牢度に好適な成形品、とりわけ繊維を生成する条件の一つである結晶生成能に優れ、しかも非晶部と結晶部の緊密な構造の優れた生成能を保有することができ、分散染料による染色堅牢度の良好なポリ乳酸(A)組成物成形品、なかでも繊維を与えることができる。
成形品の耐熱性、機械的物性を高めるためには分子量は高いほうが好ましいが、ポリ乳酸(A)組成物の重量平均分子量が上記範囲をこえて大きいとポリ乳酸(A)組成物のステレオコンプレックス構造及びステレオコンプレックス結晶が生成しがたく、しかも繊維において大きな結晶、非晶構造が共存する空疎な繊維構造ものとなる可能性が大きく、染色堅牢度の観点からは好ましいとは言いがたい。特に繊維構造中、ポリ乳酸(B)成分,ポリ乳酸(C)成分の単独結晶が生成しやすく、かかる結晶の高割合での存在は、耐熱性、染色堅牢度の点に関して好ましくないと推測している。
重量平均分子量の観点より機械的物性、染色堅牢度を両立させる提案は従来なされたことはなく、本発明者らが今回始めて明らかにするものである。
即ち上記観点より重量平均分子量は好ましくは8万から30万、より好ましくは9万から25万、特に好ましくは10万から20万の範囲が選択される。
また重量平均分子量が7万未満であると成形品の成形が困難であると同時に染色性が不良になる場合が発生する。即ち染色条件下、染料の染着する非晶部が加水分解を受けやすいため、結晶構造の割合が高まり染色性が高まらないためと推測される。
本発明ポリ乳酸(A)組成物はDSC測定において195℃以上の結晶融解ピークの結晶融解エンタルピーが△Hmscとする時、次式(1)で規定されるステレオコンプレックス結晶化度(Cr)が30から55%であることが必須である。
なお142(J/g)はポリ乳酸ステレオコンプレックス完全結晶の結晶融解熱を表し、H.tsuji “Polylactide”in Biopolymers vol.4(poluesters)によった。
かかるステレオコンプレックス結晶化度の範囲を有するポリ乳酸(A)組成物は高い割合で、ステレオコンプレックス結晶を形成しており、高いCr率で染色堅牢度の良好な成形品、とりわけ繊維を得るために必須の条件である。
上記ステレオコンプレックス結晶化度が低いと、繊維化時、ステレオコンプレックス結晶構造が発現しにくく、繊維耐熱性、機械強度が発現されがたく、さらに理由は明確ではないが、該組成物成形品とりわけ繊維の染色堅牢度なかでも耐光堅牢度の低くなることが多い。Cr率が低いと、成形品の分子構造が疎となり染料分子が会合しやすく、緩和時間が長くなり分解が促進されるものと推測される。
ポリ乳酸(A)組成物が上記ステレオコンプレックス結晶化度を確保するためには、ポリ乳酸(B)成分が結晶性を有しておりその融点が150℃以上190℃以下であることが好ましく、さらには160℃以上190℃以下であることがより好ましい。これらの範囲に入るポリ乳酸成分であれば、ステレオコンプレックスポリ乳酸組成物を形成した場合に、より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し、且つ、ステレオコンプレックス結晶化度をあげることが出来るからである。本発明に用いるポリ乳酸(B)成分は、その重量平均分子量が10万から50万の範囲であることが好ましく、14万以上25万以下であることがより好ましい。
本発明で用いるポリ乳酸(B)成分は、その結晶性を損なわない範囲でL−乳酸以外の共重合成分を含んでもよい。実質的にL−乳酸単位だけで構成されるポリL−乳酸であることが好ましい。このポリ乳酸(B)成分においては、L−乳酸単位は、90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。またL−乳酸単位以外の共重合成分単位は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
共重合できる成分としては、特に指定するものではないが、例えば、D乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2から30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2から30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
本発明に用いるポリ乳酸(C)成分は、その結晶性を損なわない範囲でD―乳酸以外の共重合成分を含んでもよい。実質的にD−乳酸単位だけで構成されるポリD−乳酸であることが好ましい。このポリ乳酸(C)成分においては、D−乳酸単位は、90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。またD−乳酸単位以外の共重合成分単位は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
また、このポリ乳酸(C)成分は結晶性を有しておりその融点が150℃以上190℃以下であることが好ましく、さらには160℃以上190℃以下であることがより好ましい。これらの範囲に入るポリ乳酸成分であれば、ステレオコンプレックスポリ乳酸組成物を形成した場合に、より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し、且つ、ステレオコンプレックス結晶化度をあげることが出来るからである。
本発明で用いるポリ乳酸(C)成分にはその結晶性を損なわない範囲でD―乳酸以外の共重合成分を含んでもよい。その共重合比率は特に指定するものではないが、10モル%よりも少ないことが好ましく、5モル%より少ないことがより好ましく、さらには2モル%より少ないことが好ましい。
共重合できる成分としては、特に指定するものではないが、例えば、L乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2から30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2から30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
本発明に用いるポリ乳酸(B)成分およびポリ乳酸(C)成分を製造する方法は特に限定されないが、例えばそれぞれの乳酸を直接脱水縮合する方法で製造したり、それぞれの乳酸を一度脱水環化してラクチドとした後に開環重合する方法で製造したりしてもよい。
これらの製造法において用いる触媒は、ポリ乳酸(B)成分やポリ乳酸(C)成分が所定の特性を有するように重合させることが出来るものであれば、いずれも用いることができるが、オクチル酸スズ、塩化スズ、スズのアルコキシドなどの2価のスズ化合物、酸化スズ、酸化ブチルスズ、酸化エチルスズなど4価のスズ化合物、金属スズ、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、ランタニド化合物などを例示することが出来る。
触媒の使用量はラクチド類1kgあたり0.42×10−4から840×10−4(モル)でありさらに反応性、得られるポリラクチド類の色調、安定性、ポリ乳酸(A)組成物及び該組成物成形品の耐湿熱性を考慮すると1.68×10−4から42.1×10−4(モル)、特に好ましくは2.53×10−4から16.8×10−4(モル)使用される。
ポリ乳酸(B)成分、ポリ乳酸(C)成分はその重合触媒を従来公知の方法、例えば、溶媒で洗浄除去するか、触媒活性を失活即ち不活性化しておくのがポリ乳酸(A)組成物及び該組成物成形品の溶融安定性、湿熱安定性のため好ましい。
例えば金属含有触媒の存在下溶融開環重合されたポリ乳酸の触媒失活に使用される失活剤としては以下の化合物が例示される。
すなわちイミノ基を有し、且つ特定金属系重合触媒に配位し得るキレート配位子の群からなる有機リガンド及びジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III)酸、ヒドリドペンタオキソ二(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)酸、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等の酸価数5以下の低酸化数リン酸、式(xH2O・yP2O5)で表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸及びこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸、及びこれらの酸の一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エスエテルが例示される。触媒失活能からリンオキソ酸あるいはこれらの酸性エステル類が好適に使用される。
また本発明に用いるポリ乳酸(B)成分およびポリ乳酸(C)成分は260℃において溶融させた場合の重量平均分子量の低下(以下溶融安定性と略称することがある。)が20%以下であることが好ましい。高温での分子量低下が激しいと、溶融成形が困難になるばかりでなく、得られた成形品の物性が低下し、好ましくない。
前記失活処理により好適に、溶融安定性の向上を図ることができる。
本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分を共存させ、混合し、230〜300℃で熱処理することにより、より好ましくは剪断条件下、両成分を溶融混練することにより得ることができる。
ここで溶融混練に用いる混合装置としては、バッチ式の攪拌翼がついた反応器、連続式の反応器のほか、二軸あるいは一軸のエクストルーダーを挙げることができる。
溶融混練に先立ち固体状態で存在する両成分をタンブラー式の粉体混合器、連続式の粉体混合器、各種のミリング装置などを使用して混合両者を均一にかつ緊密に混合しておくことが好ましい。
ここで、230〜300℃で熱処理とは、ポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分とを230℃〜300℃の温度領域で接触維持することをいう。熱処理の温度は好ましくは240〜295℃である。より好ましくは250℃から290℃の範囲である。300℃を超えると、分解反応を抑制するのが難しくなるので好ましくない。230℃より低いとポリ乳酸ステレオコンプレックスの生成が低い場合が発生する。
熱処理の時間は特に限定されるものではないが、0.1〜30分間、好ましくは5〜10分間、さらに好ましくは1から10分間の範囲である。熱処理時の雰囲気は、常圧の不活性雰囲気下、または減圧のいずれも適用可能である。
本発明ポリ乳酸(A)組組成物には、従来公知の結晶化核剤の適用が好ましい。
なかでも、三斜晶系無機粒子及びまたは燐酸エステル金属塩の少なくとも1種を含有させることが成形性及び繊維物性の観点より好ましい。
かかる剤の配合により、ポリ乳酸(A)組成物のステレオコンプレックス結晶化度を30%から55%、好ましくは35%から55%、更に好ましくは37%から55%とすることができる。
かかる範囲のステレオコンプレックス結晶化度を有する組成物は、優れた耐熱性、機械的物性及び染色堅牢度を有する成形品を実現するのに好適である。
さらにポリ乳酸(A)組成物中にかかる結晶化核剤を存在させると、ポリ乳酸(A)及びこれから成形されるポリ乳酸成形品のステレオコンプレックス結晶化度を90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上とすることができる。
特にDSC測定でステレオコンプレックスポリ乳酸に起因する高融点ピークの単一ピークとなるステレオコンプレックス結晶化度を100%とするために有効である。
かかる高いステレオコンプレックス結晶化度を有するポリ乳酸(A)成形品は高い耐熱性及び染色堅牢度を実現するために好適である。
三斜晶系の無機結晶化核剤としては例えば、ワラストナイト(wollasutonite)、ゾノトライト(xonotollite)、硼酸石、炭酸水素マグネシウムカリウム、メタ珪酸カルシウム(α)、メタ珪酸カルシウム(β)メタ珪酸マンガン、硫酸カルシウム、硫酸セリウム(III)、燐酸亜鉛、燐酸二水素亜鉛、燐酸二水素カルシウム、アルミノ珪酸アルミニウム、アルミノ珪酸カリウムなどが例示される。
これらのうち、ステレオコンプレックス結晶化度の向上、染色堅牢度向上の観点よりワラストナイト、硫酸カルシウム、メタ珪酸カルシウムが、なかでもワラストナイト、メタ珪酸カルシウム(α)などが好ましいものとして挙げられる。
本発明で使用する燐酸エステル金属塩として好ましいものとして、下記一般式(2)、(3)であらわされる芳香族有機燐酸エステル金属塩が挙げられる。
芳香族有機燐酸エステル金属塩は1種類のものあるいは複数種類のもの或いは各種剤を含有するものを併用することもできる。
式中、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2、R3は各々独立に水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表し、M1はアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子を表し、pは1または2を表す。
式中、R4、R5およびR6は、各々独立に水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表し、M2はアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子を表し、pは1または2を表す。
式(2)においてR1は水素原子、又は炭素数1から4個のアルキル基を表す。R1で表される炭素原子数1から4個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、などが例示される。R2、R3は各々独立に水素原子、炭素数1から12個のアルキル基をあらわす。
炭素数1から12個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tet−ブチル基、アミル基、tet−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、iso−オクチル基、tet−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、iso−ノニル基、デシル基、iso−デシル基、tet−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、tet−ドデシル基などが挙げられる。
M1はNa,K,Liなどのアルカリ金属原子、Mg,Ca等のアルカリ土類金属原子、亜鉛原子又はアルミニウム原子を表す。pは1または2を表し、qはM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子の時は0を、M1がアルミニウム原子のときは1または2を表す。
式(2)で表される燐酸エステル金属塩のうち好ましいものとしては、例えばR1が水素原子、R2、R3がともにtet−ブチル基のものが挙げられる。
式(3)においてR4、R5、R6は各々独立に水素原子、炭素数1から12個のアルキル基をあらわす。
R4、R5、R6で表される炭素数1から12個のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tet−ブチル基、アミル基、tet−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、iso−オクチル基、tet−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、iso−ノニル基、デシル基、iso−デシル基、tet−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、tet−ドデシル基などが挙げられる。
M2はNa,K,Liなどのアルカリ金属原子、Mg,Ca等のアルカリ土類金属原子、亜鉛原子又はアルミニウム原子を表す。pは1または2を表し、qはM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子の時は0を、M1がアルミニウム原子のときは1または2を表す。
式(3)で表される燐酸エステル金属塩のうち好ましいものとしては、例えば、R4、R6がメチル基、R5がtet−ブチル基のものが挙げられる。
燐酸エステル金属塩のうち市販されているもの、例えば(株)アデカ製の商品名、「アデカスタブNA−10」、「アデカスタブNA−11」、「アデカスタブNA−21」、「アデカスタブNA−30」、「アデカスタブNA−35」なども本発明の燐酸エステル金属塩として所望の目的に有効に使用できる。
これらのうち、燐酸エステルアルミニウム塩と有機助剤を含有する「アデカスタブNA−21」が成形品、なかでも繊維物性の点から好ましい物として例示される。
かかる結晶化核剤の使用量はポリ乳酸(A)組成物100重量部あたり、0.01から5重量部の範囲である。0.01重量部より少量であると所望の効果がほとんど認められないか、実用に供するにはあまりに小さいものでしかない。また5重量部より多量に使用すると成形品形成時、熱分解を起こしたり、劣化着色が起きたりする場合があり好ましくない。従って好ましくは0.05から4重量部の範囲が特に好ましくは0.1から3重量部の範囲が選択される。
また本発明に使用される結晶核剤は粒径ができるだけ小さいもの、特に10μmを超えるような大型粒子の含有割合が少ないものがポリ乳酸組成物(A)を繊維に成形する際の紡糸性の観点から好ましいが、実用上は0.01から10μmのものが好適に使用される。さらに好ましくは0.05から7μmのものが選択される。10μm超の大型粒子の含有割合が20%を超えるとポリ乳酸繊維紡糸時の断糸率が大きくなり好ましくない。
かかる粒径の結晶核剤は、ボールミル、サンドミル、ハンマークラッシャー、アトマイザーにより粉砕し、各種分級機により分級することにより容易に得ることができる。
結晶核剤の粒径を0.01μmより小さくすることは工業的に困難であり、また実用上それほど小さくする必要は無い。
本発明のポリ乳酸(A)組成物及び該組成物成形品はカルボキシル末端基濃度が0.1から60当量/トンであることが好ましい。
さらに好ましくは0.1から40当量/トン、より好ましくは0.2から20当量/トン、特に好ましくは0.3から10当量/トンの範囲である。
ポリ乳酸(A)組成物及びポリ乳酸組成物成形品のカルボキシル末端基濃度を0.1から60当量/トンとするには、ポリ乳酸(B)成分、ポリ乳酸(C)成分の製造時、固相重合によりカルボキシル末端基濃度の減少したポリ乳酸を製造することも好ましい実施態様であるが本発明においては、カルボキシル末端基封止剤を適用するのが好ましい。両者を併用することも好ましい態様のひとつである。
カルボキシル末端基封止剤はポリ乳酸樹脂のカルボキシ末端基を封止するのみでなく、ポリ乳酸樹脂や各種添加剤の分解反応で生成するカルボキシル末端基やラクチド、乳酸、ギ酸、ピルビン酸などの低分子化合物のカルボキシル末端基を封止し樹脂を安定化することができる利点も有する。
さらに、上記酸性低分子化合物がポリ乳酸を分解して生成する水酸末端基、あるいは樹脂組成物中に侵入する水分を封止できるため、ポリ乳酸(A)組成物、該組成物成形品の湿熱条件下での耐久性を向上させる効果も有する利点もまた有する。
かかるカルボキシル末端基封止剤としては、従来公知のカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、イソシアネート化合物から選択される少なくとも1種の化合物を使用することが好ましく、なかでもカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物が好ましい。
本発明で使用するカルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有し、好ましくはイソシアネート基を0.1から5wt%含有し、カルボジイミド当量が200から500の化合物である。
カルボジイミド化合物中にイソシアネート基が少量存在すると、イソシアネート化合物併用の効果が現れるのみならず、カルボジイミド基とイソシアネート基がより緊密に存在することにより、湿熱耐久性の向上に一層効果が発揮される。
カルボキシル末端基封止剤は1種または2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
本発明のポリ乳酸は用途に応じてカルボキシル末端基や、酸性低分子化合物の封止を行えばよいが、具体的にはカルボキシル末端基や、酸性低分子化合物の封止により樹脂組成物中のカルボキシル末端基濃度が0.1から60当量/トンとすることにより、ポリ乳酸(A)組成物、該組成物成形品の耐湿熱性を本発明の目的に合致させることができるのみでなく、ポリ乳酸(A)組成物の溶融成形加工時の安定性、耐加水分解性の観点から好ましく、0.1から40当量/トンであることがさらに好ましく、0.2から20当量/トン、とりわけ好ましくは0.3から10当量/トンである。
カルボキシル末端基濃度は樹脂組成物を適切な溶媒(例えば、o−クレゾール)に溶かし指示薬を加えて、水酸化カリウム溶液で中和滴定する手法が簡便である。
カルボキシル末端基封止剤の使用量はポリ乳酸樹脂(A)100重量部あたり0.01から10重量部が好ましく、0.03から5重量部がさらに好ましい。この範囲を超えて多量に適用するとカルボキシル末端基濃度を低下させる効果は大きいが樹脂組成物および該組成物成形品の色相を悪化させる懸念が大きくなり好ましくない。
また0.01%未満の使用量であるとその効果はほとんど認められず工業的な意義は小さい。
本発明においてはさらに封止反応触媒を使用してもよい。該封止反応触媒とはカルボキシル末端基封止剤とポリマー末端や、酸性低分子化合物のカルボキシル末端基との反応を促進する効果のある化合物であり、少量の添加で反応を促進する能力のある化合物が好ましい。
このような化合物としては例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第3級アミン、イミダゾール化合物、第4級アンモニウム塩、ホスフィン化合物、ホスホニウム化合物、燐酸エステル、有機酸、ルイス酸、などが挙げられる。
これらは1種または2種以上併用することもできる。なかでもアルカリ金属化合物、アルカル土類金属化合物、燐酸エステルを使用するのが好ましい。
例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムが好ましいものとして例示される。
反応触媒の添加量は特に限定されたものではないが、ポリ乳酸(A)組成物(A)100重量部あたり0.001から1重量部、が好ましく、0.005から0.5重量部がさらに好ましく、0.01から0.1重量部がさらに好ましい。
本発明のポリ乳酸(A)組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来公知の添加剤、例えば、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離形剤、各種フィラー、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌・抗カビ剤、核形成剤、染料、顔料を含む着色剤等を所望に応じて含有させることができる。
本発明のポリ乳酸(A)組成物を用いて、射出成形品、押出成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、フィルム、シート不織布、繊維、布、他の材料との複合体、農業用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品またはその他の成形品を得ることができ、成形は常法により行うことができる。
本発明のポリ乳酸(A)組成物は、前述の溶融成形法で耐熱性、機械的物性、とりわけ染色堅牢度の優れた成形品、なかでも繊維を製造するために好適である。
乾式あるいは湿式などの溶液成形では工業的な観点からは生産性が低く、またポリL−乳酸とポリD−乳酸をブレンドした溶液の安定性が低いために、安定した成形品が得られにくい。
また、本発明のポリ乳酸成形品は実用的に優れた機械特性を有し、例えば繊維は150℃での熱収縮率が0.1から15%で、170℃耐アイロン性を有する強度3.5cN/dTex以上、伸度20から30%であり、好ましくは強度3.8cN/dTex以上、さらに好ましくは4.0cN/dTex以上である。衣料用および産業用として使用するにあたり、4.0cN/dTex以上の強度を有している繊維は実用面での使用範囲が広く好ましい。
本発明のポリ乳酸繊維は示差走査熱量計(DSC)測定を行った際に、実質的にポリL−乳酸およびポリD―乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示すこと、融点のピーク温度は200℃以上であることが好ましい。ステレオコンプレックス結晶を形成してなるポリ乳酸組成物においては、組成物成分種あるいは組成比、並びにステレオコンプレックス結晶の作製条件に応じて、通常は低温結晶融解相すなわちホモ結晶相と高温結晶融解相即ちステレオコンプレックス結晶相の少なくとも2つの吸熱ピークを示すことが知られているが、本発明におけるポリ乳酸繊維には、ポリ乳酸ホモ結晶相、即ち低温結晶融解相は実質的に観察されず、高温結晶融解相の単一融解ピークのみが見られる。また、高温結晶融解相の融解開始温度は190℃以上であり、好ましくは200℃以上である。
加えて、本発明におけるポリ乳酸繊維は広角X線回折測定によるステレオコンプレックス結晶回折ピークの積分強度より求めたCr率が30から100%の水準にあることが好ましい。
従来、結晶相全体が高温結晶融解相のみからなるステレオコンプレックスポリ乳酸繊維は、該繊維製品にアイロン掛けを行った際に、繊維の一部が軟化し、融解する恐れが無いため、繊維製品の布質や風合いをアイロン掛けにより損ねることがなく、好ましいと考えられている。
このため繊維の延伸、熱固定温度を低温結晶融解相融点より高い170℃以上、例えば190℃程度で実施することにより低温結晶相を高温結晶相に転化し、その結果Cr率を90%より高くすることが意図されている。
この場合確かに所望の耐熱性を高めることにはある程度成功をおさめているが、反面、繊維強度は3cN/dTexあるいはそれ以下の値となり、しかも繊維構造中、ホモ結晶融解、ステレオコンプレックス結晶再結晶のため空疎な構造を含有することとなり、染色堅牢度が低くなり、染色を前提とする繊維製品としては使用範囲の大きく限定されたものとなっている。
従って、本発明においては、成形品、とりわけ繊維においてCr率は30から90%の範囲が更に好ましく、特に好ましくは35から85%、とりわけ好ましくは40から80%の範囲である。
ポリ乳酸繊維が、Cr率ほか上記条件を満たすことにより、染色堅牢度を高く保ち、染色時の淡色染着の問題もほとんどおこらず分散染料、Dianix BlackBG−FSによって、メトリック明度L*値が12以下、メトリッククロマC*値が10以下に染色でき、しかも繊維製品の布質や風合いをアイロン掛けにより損ねることがない耐熱性に優れたポリ乳酸繊維を得ることができるとともに、繊維強度は3.5cN/dTex以上、好ましくは3.9cN/dTex以上、さらに好ましくは4.0cN/dTex以上の高強度を得ることができる。
本発明のポリ乳酸の溶融成形時、例えば溶融紡糸では紡糸に供するポリL−乳酸およびポリD−乳酸チップの樹脂中の金属イオンが100ppm以下であることが好ましい。ここでいう金属イオンとは、アルカリ土類金属、希土類、第三周期の遷移金属類、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモンからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属である。
本発明のポリ乳酸繊維中、分子量が150以下の化合物の含有量は、0.001〜0.2重量%であることを特徴とする。また、ポリ乳酸組成物中においても、分子量が150以下の化合物の含有量は、0.001〜0.2重量%であることが好ましい。
ここで、分子量が150以下の化合物としては、例えばD−ラクチド、L−ラクチド、L−乳酸、D−乳酸、蟻酸、ピルビン酸、ピルビンアルデヒド、酢酸、水を例示することができる。これらの化合物の全含有量が、組成物(A)の重量を基準として0.2重量%を超えると、得られる組成物(A)および該組成物の耐熱性が劣るものとなる。
また0.001重量%未満にしてもそれにより得られる効果は、それを実現するための費用に比較して大きくなく工業的意味は大きいとは言いがたい。これらの低分子化合物の含有量は0.001〜0.1重量%、さらに好ましくは0.002〜0.05重量%、特に好ましくは0.002〜0.01重量%の範囲である。
これらの低分子化合物は、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)および組成物(A)の製造時、外部より混入する場合もあるし樹脂分解により内部より発生する場合もある。従って、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)および組成物(A)の中のこれらの低分子化合物は適宜、減少手段をとり減少させておくのが好ましい。
例えばD−ラクチド、L−ラクチド、L−乳酸、D−乳酸は、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)製造時、減少処理、例えば水或いは不活性ガスなどの助剤を使用する或いは使用しない脱揮処理、真空脱揮処理などにより減少させることが可能であり、また減少させておくことが好ましい。また水は、成形加工前、通常の熱乾燥処理によって容易に減少させることができるし、その様にして減少させるのが簡便で好ましい。
また、水分率が100ppm以下である状態でポリ乳酸(A)組成物を溶融成形、溶融紡糸することが好ましい。水分率が高いとポリL―乳酸成分とポリD―乳酸成分の加水分解が促進され、分子量が著しく低下し、溶融成形が困難になるばかりでなく、得られた糸などの成形品の物性が低下し好ましくない。
本発明のポリ乳酸繊維中に残留するラクチド量は400ppm以下であることが好ましい。またポリ乳酸組成物中のラクチド量を400ppm以下とした後に溶融成形、溶融紡糸することが好ましい。ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマーに含有されるラクチドは溶融成形、溶融紡糸時に気化して成形品の汚染、糸斑の原因になることがあるため、ラクチド量を400ppm以下に抑えることが良好な成形品を得る目的からすると好ましい。
本発明のポリ乳酸整形品及び繊維は従来公知の溶融成形法、溶融紡糸法により、例えば以下の方法により好適に製造することができるが、これらに方法に限定されるものではない。
本発明のポリ乳酸繊維はポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分のブレンド物であるポリ乳酸(A)組成物を通常の溶融紡糸に供することで得られる。ポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分のブレンド方法としては、チップブレンド物を溶融紡糸に供する方法が挙げられ、溶融押出し機としては、プレッシャーメルター型や1軸あるいは2軸エクストルーダー型など通常の溶融押出し機を使用することができる。ただし、ステレオコンプレックス結晶の形成にあたっては、ポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分を十分に混合することが重要であり、その観点からすれば、前述した如く、1軸あるいは2軸エクストルーダー型が好ましい。さらには、ポリ乳酸(B)成分のチップとポリ乳酸(C)成分のチップとのチップブレンド物を混練機にて溶融した後、チップ化し、ポリ乳酸(A)組成物チップを作成し、このチップを溶融紡糸に供する方法などが好ましい。さらには、混練性をよくするために、ポリマー流路中に静止混練機を組み込むことが好ましい。
上述したポリ乳酸(A)組成物は、エクストルーダー型やプレッシャーメルター型の溶融押出し機で溶融された後、ギアポンプにより計量され、パック内で濾過された後、口金に設けられたノズルから吐出される。口金の形状、口金数は特に制限されるものではなく、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。
吐出された糸は直ちに冷却・固化された後集束され、油剤を付加されて巻き取られる。巻き取り速度は特に限定されるものではないがステレオコンプレックス結晶が形成され易くなることより300m/分から5000m/分の範囲が好ましい。また延伸性の観点からは未延伸糸の広角X線回折でのCr率が0%となる巻き取り速度が好ましい。
例えば、ポリ乳酸(A)組成物をパック温度220から260℃、L/dが2から10の吐出孔より吐出し、吐出後50℃以下の冷風で急冷し、パック下、3mでの糸条の温度が結晶開始温度以下で且つ紡糸ドラフト、0.1から50、紡糸速度300から5000m/分で紡糸することによって、広角X線回折による結晶性が実質的に0である未延伸糸を得ることが可能である。
巻き取られた未延伸糸はその後延伸工程に供されるが、紡糸工程と延伸工程は必ずしも分離する必要はなく、紡糸後いったん巻き取ることなく引き続き延伸を行う直接紡糸延伸法を採用しても構わない。
延伸では1段延伸でも、2段以上の多段延伸でも良く、高強度の繊維を作製する観点から、延伸倍率は3倍以上が好ましく、さらには4倍以上が好ましい。好ましくは3から10倍が選択される。しかし、延伸倍率が高すぎると繊維が失透し白化するため、繊維の強度が低下し、好ましくない。延伸の予熱方法としては、ロールの昇温のほか、平板状あるいはピン状の接触式加熱ヒータ、非接触式熱板、熱媒浴などが挙げられるが、通常用いられる方法を用いればよい。
延伸に引き続き、巻き取り前にはポリマーの融点より低い温度で、熱処理が行われることが好ましい。熱処理にはホットローラーのほか、接触式加熱ヒータ、非接触式熱板など任意の方法を採用することができる。延伸温度はポリ乳酸ガラス温度から170℃、好ましくは70から140℃、特に好ましくは80から130℃の範囲が選択される。
延伸後、テンション下、ポリ乳酸の低融点結晶相の融点より低い温度、具体的には170℃以下で熱固定することにより、耐アイロン性を有するとともに強度3.5cN/dTex以上のポリ乳酸繊維を得ることができる。熱固定温度はさらに好ましくは(延伸温度+5℃)から170℃、特に好ましくは(延伸温度+5℃)から150℃、特に好ましくは(延伸温度+10℃)から150℃の範囲が選択される。
なお、本発明のポリ乳酸繊維は仮撚り加工糸や機械捲縮加工糸或いは押し込み捲縮糸などの加工糸用の原糸とすることもできる。また長繊維のみならず短繊維及びそれを使用した紡績糸とすることもできる。
本発明においては、ポリ乳酸繊維は単独で用いてもよいし、他種繊維を混用してもよい。本発明のポリ乳酸繊維と混用してよい他の繊維としては、ポリ乳酸以外のポリエステル、アクリル、ナイロン、アラミド等の合成繊維、絹、綿、麻、獣毛等の天然繊維、ビスコースレイヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生セルロース系繊維、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維などを挙げることができる。
ポリ乳酸繊維を他種繊維と併用する場合には、従来公知の方法を好適に適用することができる。
例えば、混綿、混紡、交撚、交織、精紡交撚、交編などの方法を挙げることができる。さらに両者の混合割合は用途に応じて任意に設定することが可能である。ポリ乳酸繊維の混合割合が低すぎるとポリ乳酸の特性がほとんど反映されない。従ってポリ乳酸を他種繊維と併用するときはポリ乳酸繊維を少なくとも5重量%以上混合することが好ましい。
本発明の高耐熱性、高強度、低収縮性、染色堅牢度繊維は織物、編み物、不織布、カップなどの成形品などの様々な繊維製品の形態をとることができる。
本発明の高強度で、高Cr率の耐熱性、低収縮性繊維は具体的にはシャツ、ブルゾン、パンツ、コートといった衣料用途、カップ、パッド等の衣料資材用途、カーテン、カーペット、マット、家具等のインテリア用途、さらにベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、フェルト、フィルター等の産業資材用途、車両内装用途にも好適に使用することができる。
本発明のポリ乳酸(A)組成物は、L−乳酸単位を主成分とし、L−乳酸単位以外の成分を0〜10モル%含有するポリ乳酸(B)成分とD−乳酸単位を主成分とし、D−乳酸単位以外の成分を0〜10モル%含有するポリ乳酸(C)成分とよりなり(B)/(C)重量比において10/90から90/10の混合組成物よりなるポリ乳酸ステレオコンプレックス組成物であることを必須条件とする。
ポリ乳酸(A)の重量平均分子量は7万から50万の範囲にあることが必須である。かかる分子量範囲において、ポリ乳酸(A)組成物は、ステレオコンプレックス結晶化度が高く、染色堅牢度に好適な成形品、とりわけ繊維を生成する条件の一つである結晶生成能に優れ、しかも非晶部と結晶部の緊密な構造の優れた生成能を保有することができ、分散染料による染色堅牢度の良好なポリ乳酸(A)組成物成形品、なかでも繊維を与えることができる。
成形品の耐熱性、機械的物性を高めるためには分子量は高いほうが好ましいが、ポリ乳酸(A)組成物の重量平均分子量が上記範囲をこえて大きいとポリ乳酸(A)組成物のステレオコンプレックス構造及びステレオコンプレックス結晶が生成しがたく、しかも繊維において大きな結晶、非晶構造が共存する空疎な繊維構造ものとなる可能性が大きく、染色堅牢度の観点からは好ましいとは言いがたい。特に繊維構造中、ポリ乳酸(B)成分,ポリ乳酸(C)成分の単独結晶が生成しやすく、かかる結晶の高割合での存在は、耐熱性、染色堅牢度の点に関して好ましくないと推測している。
重量平均分子量の観点より機械的物性、染色堅牢度を両立させる提案は従来なされたことはなく、本発明者らが今回始めて明らかにするものである。
即ち上記観点より重量平均分子量は好ましくは8万から30万、より好ましくは9万から25万、特に好ましくは10万から20万の範囲が選択される。
また重量平均分子量が7万未満であると成形品の成形が困難であると同時に染色性が不良になる場合が発生する。即ち染色条件下、染料の染着する非晶部が加水分解を受けやすいため、結晶構造の割合が高まり染色性が高まらないためと推測される。
本発明ポリ乳酸(A)組成物はDSC測定において195℃以上の結晶融解ピークの結晶融解エンタルピーが△Hmscとする時、次式(1)で規定されるステレオコンプレックス結晶化度(Cr)が30から55%であることが必須である。
かかるステレオコンプレックス結晶化度の範囲を有するポリ乳酸(A)組成物は高い割合で、ステレオコンプレックス結晶を形成しており、高いCr率で染色堅牢度の良好な成形品、とりわけ繊維を得るために必須の条件である。
上記ステレオコンプレックス結晶化度が低いと、繊維化時、ステレオコンプレックス結晶構造が発現しにくく、繊維耐熱性、機械強度が発現されがたく、さらに理由は明確ではないが、該組成物成形品とりわけ繊維の染色堅牢度なかでも耐光堅牢度の低くなることが多い。Cr率が低いと、成形品の分子構造が疎となり染料分子が会合しやすく、緩和時間が長くなり分解が促進されるものと推測される。
ポリ乳酸(A)組成物が上記ステレオコンプレックス結晶化度を確保するためには、ポリ乳酸(B)成分が結晶性を有しておりその融点が150℃以上190℃以下であることが好ましく、さらには160℃以上190℃以下であることがより好ましい。これらの範囲に入るポリ乳酸成分であれば、ステレオコンプレックスポリ乳酸組成物を形成した場合に、より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し、且つ、ステレオコンプレックス結晶化度をあげることが出来るからである。本発明に用いるポリ乳酸(B)成分は、その重量平均分子量が10万から50万の範囲であることが好ましく、14万以上25万以下であることがより好ましい。
本発明で用いるポリ乳酸(B)成分は、その結晶性を損なわない範囲でL−乳酸以外の共重合成分を含んでもよい。実質的にL−乳酸単位だけで構成されるポリL−乳酸であることが好ましい。このポリ乳酸(B)成分においては、L−乳酸単位は、90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。またL−乳酸単位以外の共重合成分単位は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
共重合できる成分としては、特に指定するものではないが、例えば、D乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2から30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2から30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
本発明に用いるポリ乳酸(C)成分は、その結晶性を損なわない範囲でD―乳酸以外の共重合成分を含んでもよい。実質的にD−乳酸単位だけで構成されるポリD−乳酸であることが好ましい。このポリ乳酸(C)成分においては、D−乳酸単位は、90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。またD−乳酸単位以外の共重合成分単位は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
また、このポリ乳酸(C)成分は結晶性を有しておりその融点が150℃以上190℃以下であることが好ましく、さらには160℃以上190℃以下であることがより好ましい。これらの範囲に入るポリ乳酸成分であれば、ステレオコンプレックスポリ乳酸組成物を形成した場合に、より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し、且つ、ステレオコンプレックス結晶化度をあげることが出来るからである。
本発明で用いるポリ乳酸(C)成分にはその結晶性を損なわない範囲でD―乳酸以外の共重合成分を含んでもよい。その共重合比率は特に指定するものではないが、10モル%よりも少ないことが好ましく、5モル%より少ないことがより好ましく、さらには2モル%より少ないことが好ましい。
共重合できる成分としては、特に指定するものではないが、例えば、L乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2から30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2から30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
本発明に用いるポリ乳酸(B)成分およびポリ乳酸(C)成分を製造する方法は特に限定されないが、例えばそれぞれの乳酸を直接脱水縮合する方法で製造したり、それぞれの乳酸を一度脱水環化してラクチドとした後に開環重合する方法で製造したりしてもよい。
これらの製造法において用いる触媒は、ポリ乳酸(B)成分やポリ乳酸(C)成分が所定の特性を有するように重合させることが出来るものであれば、いずれも用いることができるが、オクチル酸スズ、塩化スズ、スズのアルコキシドなどの2価のスズ化合物、酸化スズ、酸化ブチルスズ、酸化エチルスズなど4価のスズ化合物、金属スズ、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、ランタニド化合物などを例示することが出来る。
触媒の使用量はラクチド類1kgあたり0.42×10−4から840×10−4(モル)でありさらに反応性、得られるポリラクチド類の色調、安定性、ポリ乳酸(A)組成物及び該組成物成形品の耐湿熱性を考慮すると1.68×10−4から42.1×10−4(モル)、特に好ましくは2.53×10−4から16.8×10−4(モル)使用される。
ポリ乳酸(B)成分、ポリ乳酸(C)成分はその重合触媒を従来公知の方法、例えば、溶媒で洗浄除去するか、触媒活性を失活即ち不活性化しておくのがポリ乳酸(A)組成物及び該組成物成形品の溶融安定性、湿熱安定性のため好ましい。
例えば金属含有触媒の存在下溶融開環重合されたポリ乳酸の触媒失活に使用される失活剤としては以下の化合物が例示される。
すなわちイミノ基を有し、且つ特定金属系重合触媒に配位し得るキレート配位子の群からなる有機リガンド及びジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III)酸、ヒドリドペンタオキソ二(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)酸、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等の酸価数5以下の低酸化数リン酸、式(xH2O・yP2O5)で表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸及びこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸、及びこれらの酸の一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エスエテルが例示される。触媒失活能からリンオキソ酸あるいはこれらの酸性エステル類が好適に使用される。
また本発明に用いるポリ乳酸(B)成分およびポリ乳酸(C)成分は260℃において溶融させた場合の重量平均分子量の低下(以下溶融安定性と略称することがある。)が20%以下であることが好ましい。高温での分子量低下が激しいと、溶融成形が困難になるばかりでなく、得られた成形品の物性が低下し、好ましくない。
前記失活処理により好適に、溶融安定性の向上を図ることができる。
本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分を共存させ、混合し、230〜300℃で熱処理することにより、より好ましくは剪断条件下、両成分を溶融混練することにより得ることができる。
ここで溶融混練に用いる混合装置としては、バッチ式の攪拌翼がついた反応器、連続式の反応器のほか、二軸あるいは一軸のエクストルーダーを挙げることができる。
溶融混練に先立ち固体状態で存在する両成分をタンブラー式の粉体混合器、連続式の粉体混合器、各種のミリング装置などを使用して混合両者を均一にかつ緊密に混合しておくことが好ましい。
ここで、230〜300℃で熱処理とは、ポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分とを230℃〜300℃の温度領域で接触維持することをいう。熱処理の温度は好ましくは240〜295℃である。より好ましくは250℃から290℃の範囲である。300℃を超えると、分解反応を抑制するのが難しくなるので好ましくない。230℃より低いとポリ乳酸ステレオコンプレックスの生成が低い場合が発生する。
熱処理の時間は特に限定されるものではないが、0.1〜30分間、好ましくは5〜10分間、さらに好ましくは1から10分間の範囲である。熱処理時の雰囲気は、常圧の不活性雰囲気下、または減圧のいずれも適用可能である。
本発明ポリ乳酸(A)組組成物には、従来公知の結晶化核剤の適用が好ましい。
なかでも、三斜晶系無機粒子及びまたは燐酸エステル金属塩の少なくとも1種を含有させることが成形性及び繊維物性の観点より好ましい。
かかる剤の配合により、ポリ乳酸(A)組成物のステレオコンプレックス結晶化度を30%から55%、好ましくは35%から55%、更に好ましくは37%から55%とすることができる。
かかる範囲のステレオコンプレックス結晶化度を有する組成物は、優れた耐熱性、機械的物性及び染色堅牢度を有する成形品を実現するのに好適である。
さらにポリ乳酸(A)組成物中にかかる結晶化核剤を存在させると、ポリ乳酸(A)及びこれから成形されるポリ乳酸成形品のステレオコンプレックス結晶化度を90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上とすることができる。
特にDSC測定でステレオコンプレックスポリ乳酸に起因する高融点ピークの単一ピークとなるステレオコンプレックス結晶化度を100%とするために有効である。
かかる高いステレオコンプレックス結晶化度を有するポリ乳酸(A)成形品は高い耐熱性及び染色堅牢度を実現するために好適である。
三斜晶系の無機結晶化核剤としては例えば、ワラストナイト(wollasutonite)、ゾノトライト(xonotollite)、硼酸石、炭酸水素マグネシウムカリウム、メタ珪酸カルシウム(α)、メタ珪酸カルシウム(β)メタ珪酸マンガン、硫酸カルシウム、硫酸セリウム(III)、燐酸亜鉛、燐酸二水素亜鉛、燐酸二水素カルシウム、アルミノ珪酸アルミニウム、アルミノ珪酸カリウムなどが例示される。
これらのうち、ステレオコンプレックス結晶化度の向上、染色堅牢度向上の観点よりワラストナイト、硫酸カルシウム、メタ珪酸カルシウムが、なかでもワラストナイト、メタ珪酸カルシウム(α)などが好ましいものとして挙げられる。
本発明で使用する燐酸エステル金属塩として好ましいものとして、下記一般式(2)、(3)であらわされる芳香族有機燐酸エステル金属塩が挙げられる。
芳香族有機燐酸エステル金属塩は1種類のものあるいは複数種類のもの或いは各種剤を含有するものを併用することもできる。
式(2)においてR1は水素原子、又は炭素数1から4個のアルキル基を表す。R1で表される炭素原子数1から4個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、などが例示される。R2、R3は各々独立に水素原子、炭素数1から12個のアルキル基をあらわす。
炭素数1から12個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tet−ブチル基、アミル基、tet−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、iso−オクチル基、tet−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、iso−ノニル基、デシル基、iso−デシル基、tet−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、tet−ドデシル基などが挙げられる。
M1はNa,K,Liなどのアルカリ金属原子、Mg,Ca等のアルカリ土類金属原子、亜鉛原子又はアルミニウム原子を表す。pは1または2を表し、qはM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子の時は0を、M1がアルミニウム原子のときは1または2を表す。
式(2)で表される燐酸エステル金属塩のうち好ましいものとしては、例えばR1が水素原子、R2、R3がともにtet−ブチル基のものが挙げられる。
式(3)においてR4、R5、R6は各々独立に水素原子、炭素数1から12個のアルキル基をあらわす。
R4、R5、R6で表される炭素数1から12個のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tet−ブチル基、アミル基、tet−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、iso−オクチル基、tet−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、iso−ノニル基、デシル基、iso−デシル基、tet−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、tet−ドデシル基などが挙げられる。
M2はNa,K,Liなどのアルカリ金属原子、Mg,Ca等のアルカリ土類金属原子、亜鉛原子又はアルミニウム原子を表す。pは1または2を表し、qはM1がアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子の時は0を、M1がアルミニウム原子のときは1または2を表す。
式(3)で表される燐酸エステル金属塩のうち好ましいものとしては、例えば、R4、R6がメチル基、R5がtet−ブチル基のものが挙げられる。
燐酸エステル金属塩のうち市販されているもの、例えば(株)アデカ製の商品名、「アデカスタブNA−10」、「アデカスタブNA−11」、「アデカスタブNA−21」、「アデカスタブNA−30」、「アデカスタブNA−35」なども本発明の燐酸エステル金属塩として所望の目的に有効に使用できる。
これらのうち、燐酸エステルアルミニウム塩と有機助剤を含有する「アデカスタブNA−21」が成形品、なかでも繊維物性の点から好ましい物として例示される。
かかる結晶化核剤の使用量はポリ乳酸(A)組成物100重量部あたり、0.01から5重量部の範囲である。0.01重量部より少量であると所望の効果がほとんど認められないか、実用に供するにはあまりに小さいものでしかない。また5重量部より多量に使用すると成形品形成時、熱分解を起こしたり、劣化着色が起きたりする場合があり好ましくない。従って好ましくは0.05から4重量部の範囲が特に好ましくは0.1から3重量部の範囲が選択される。
また本発明に使用される結晶核剤は粒径ができるだけ小さいもの、特に10μmを超えるような大型粒子の含有割合が少ないものがポリ乳酸組成物(A)を繊維に成形する際の紡糸性の観点から好ましいが、実用上は0.01から10μmのものが好適に使用される。さらに好ましくは0.05から7μmのものが選択される。10μm超の大型粒子の含有割合が20%を超えるとポリ乳酸繊維紡糸時の断糸率が大きくなり好ましくない。
かかる粒径の結晶核剤は、ボールミル、サンドミル、ハンマークラッシャー、アトマイザーにより粉砕し、各種分級機により分級することにより容易に得ることができる。
結晶核剤の粒径を0.01μmより小さくすることは工業的に困難であり、また実用上それほど小さくする必要は無い。
本発明のポリ乳酸(A)組成物及び該組成物成形品はカルボキシル末端基濃度が0.1から60当量/トンであることが好ましい。
さらに好ましくは0.1から40当量/トン、より好ましくは0.2から20当量/トン、特に好ましくは0.3から10当量/トンの範囲である。
ポリ乳酸(A)組成物及びポリ乳酸組成物成形品のカルボキシル末端基濃度を0.1から60当量/トンとするには、ポリ乳酸(B)成分、ポリ乳酸(C)成分の製造時、固相重合によりカルボキシル末端基濃度の減少したポリ乳酸を製造することも好ましい実施態様であるが本発明においては、カルボキシル末端基封止剤を適用するのが好ましい。両者を併用することも好ましい態様のひとつである。
カルボキシル末端基封止剤はポリ乳酸樹脂のカルボキシ末端基を封止するのみでなく、ポリ乳酸樹脂や各種添加剤の分解反応で生成するカルボキシル末端基やラクチド、乳酸、ギ酸、ピルビン酸などの低分子化合物のカルボキシル末端基を封止し樹脂を安定化することができる利点も有する。
さらに、上記酸性低分子化合物がポリ乳酸を分解して生成する水酸末端基、あるいは樹脂組成物中に侵入する水分を封止できるため、ポリ乳酸(A)組成物、該組成物成形品の湿熱条件下での耐久性を向上させる効果も有する利点もまた有する。
かかるカルボキシル末端基封止剤としては、従来公知のカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、イソシアネート化合物から選択される少なくとも1種の化合物を使用することが好ましく、なかでもカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物が好ましい。
本発明で使用するカルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有し、好ましくはイソシアネート基を0.1から5wt%含有し、カルボジイミド当量が200から500の化合物である。
カルボジイミド化合物中にイソシアネート基が少量存在すると、イソシアネート化合物併用の効果が現れるのみならず、カルボジイミド基とイソシアネート基がより緊密に存在することにより、湿熱耐久性の向上に一層効果が発揮される。
カルボキシル末端基封止剤は1種または2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
本発明のポリ乳酸は用途に応じてカルボキシル末端基や、酸性低分子化合物の封止を行えばよいが、具体的にはカルボキシル末端基や、酸性低分子化合物の封止により樹脂組成物中のカルボキシル末端基濃度が0.1から60当量/トンとすることにより、ポリ乳酸(A)組成物、該組成物成形品の耐湿熱性を本発明の目的に合致させることができるのみでなく、ポリ乳酸(A)組成物の溶融成形加工時の安定性、耐加水分解性の観点から好ましく、0.1から40当量/トンであることがさらに好ましく、0.2から20当量/トン、とりわけ好ましくは0.3から10当量/トンである。
カルボキシル末端基濃度は樹脂組成物を適切な溶媒(例えば、o−クレゾール)に溶かし指示薬を加えて、水酸化カリウム溶液で中和滴定する手法が簡便である。
カルボキシル末端基封止剤の使用量はポリ乳酸樹脂(A)100重量部あたり0.01から10重量部が好ましく、0.03から5重量部がさらに好ましい。この範囲を超えて多量に適用するとカルボキシル末端基濃度を低下させる効果は大きいが樹脂組成物および該組成物成形品の色相を悪化させる懸念が大きくなり好ましくない。
また0.01%未満の使用量であるとその効果はほとんど認められず工業的な意義は小さい。
本発明においてはさらに封止反応触媒を使用してもよい。該封止反応触媒とはカルボキシル末端基封止剤とポリマー末端や、酸性低分子化合物のカルボキシル末端基との反応を促進する効果のある化合物であり、少量の添加で反応を促進する能力のある化合物が好ましい。
このような化合物としては例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、第3級アミン、イミダゾール化合物、第4級アンモニウム塩、ホスフィン化合物、ホスホニウム化合物、燐酸エステル、有機酸、ルイス酸、などが挙げられる。
これらは1種または2種以上併用することもできる。なかでもアルカリ金属化合物、アルカル土類金属化合物、燐酸エステルを使用するのが好ましい。
例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムが好ましいものとして例示される。
反応触媒の添加量は特に限定されたものではないが、ポリ乳酸(A)組成物(A)100重量部あたり0.001から1重量部、が好ましく、0.005から0.5重量部がさらに好ましく、0.01から0.1重量部がさらに好ましい。
本発明のポリ乳酸(A)組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来公知の添加剤、例えば、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離形剤、各種フィラー、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌・抗カビ剤、核形成剤、染料、顔料を含む着色剤等を所望に応じて含有させることができる。
本発明のポリ乳酸(A)組成物を用いて、射出成形品、押出成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、フィルム、シート不織布、繊維、布、他の材料との複合体、農業用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品またはその他の成形品を得ることができ、成形は常法により行うことができる。
本発明のポリ乳酸(A)組成物は、前述の溶融成形法で耐熱性、機械的物性、とりわけ染色堅牢度の優れた成形品、なかでも繊維を製造するために好適である。
乾式あるいは湿式などの溶液成形では工業的な観点からは生産性が低く、またポリL−乳酸とポリD−乳酸をブレンドした溶液の安定性が低いために、安定した成形品が得られにくい。
また、本発明のポリ乳酸成形品は実用的に優れた機械特性を有し、例えば繊維は150℃での熱収縮率が0.1から15%で、170℃耐アイロン性を有する強度3.5cN/dTex以上、伸度20から30%であり、好ましくは強度3.8cN/dTex以上、さらに好ましくは4.0cN/dTex以上である。衣料用および産業用として使用するにあたり、4.0cN/dTex以上の強度を有している繊維は実用面での使用範囲が広く好ましい。
本発明のポリ乳酸繊維は示差走査熱量計(DSC)測定を行った際に、実質的にポリL−乳酸およびポリD―乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示すこと、融点のピーク温度は200℃以上であることが好ましい。ステレオコンプレックス結晶を形成してなるポリ乳酸組成物においては、組成物成分種あるいは組成比、並びにステレオコンプレックス結晶の作製条件に応じて、通常は低温結晶融解相すなわちホモ結晶相と高温結晶融解相即ちステレオコンプレックス結晶相の少なくとも2つの吸熱ピークを示すことが知られているが、本発明におけるポリ乳酸繊維には、ポリ乳酸ホモ結晶相、即ち低温結晶融解相は実質的に観察されず、高温結晶融解相の単一融解ピークのみが見られる。また、高温結晶融解相の融解開始温度は190℃以上であり、好ましくは200℃以上である。
加えて、本発明におけるポリ乳酸繊維は広角X線回折測定によるステレオコンプレックス結晶回折ピークの積分強度より求めたCr率が30から100%の水準にあることが好ましい。
従来、結晶相全体が高温結晶融解相のみからなるステレオコンプレックスポリ乳酸繊維は、該繊維製品にアイロン掛けを行った際に、繊維の一部が軟化し、融解する恐れが無いため、繊維製品の布質や風合いをアイロン掛けにより損ねることがなく、好ましいと考えられている。
このため繊維の延伸、熱固定温度を低温結晶融解相融点より高い170℃以上、例えば190℃程度で実施することにより低温結晶相を高温結晶相に転化し、その結果Cr率を90%より高くすることが意図されている。
この場合確かに所望の耐熱性を高めることにはある程度成功をおさめているが、反面、繊維強度は3cN/dTexあるいはそれ以下の値となり、しかも繊維構造中、ホモ結晶融解、ステレオコンプレックス結晶再結晶のため空疎な構造を含有することとなり、染色堅牢度が低くなり、染色を前提とする繊維製品としては使用範囲の大きく限定されたものとなっている。
従って、本発明においては、成形品、とりわけ繊維においてCr率は30から90%の範囲が更に好ましく、特に好ましくは35から85%、とりわけ好ましくは40から80%の範囲である。
ポリ乳酸繊維が、Cr率ほか上記条件を満たすことにより、染色堅牢度を高く保ち、染色時の淡色染着の問題もほとんどおこらず分散染料、Dianix BlackBG−FSによって、メトリック明度L*値が12以下、メトリッククロマC*値が10以下に染色でき、しかも繊維製品の布質や風合いをアイロン掛けにより損ねることがない耐熱性に優れたポリ乳酸繊維を得ることができるとともに、繊維強度は3.5cN/dTex以上、好ましくは3.9cN/dTex以上、さらに好ましくは4.0cN/dTex以上の高強度を得ることができる。
本発明のポリ乳酸の溶融成形時、例えば溶融紡糸では紡糸に供するポリL−乳酸およびポリD−乳酸チップの樹脂中の金属イオンが100ppm以下であることが好ましい。ここでいう金属イオンとは、アルカリ土類金属、希土類、第三周期の遷移金属類、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモンからなる群から選択される少なくとも1種類以上の金属である。
本発明のポリ乳酸繊維中、分子量が150以下の化合物の含有量は、0.001〜0.2重量%であることを特徴とする。また、ポリ乳酸組成物中においても、分子量が150以下の化合物の含有量は、0.001〜0.2重量%であることが好ましい。
ここで、分子量が150以下の化合物としては、例えばD−ラクチド、L−ラクチド、L−乳酸、D−乳酸、蟻酸、ピルビン酸、ピルビンアルデヒド、酢酸、水を例示することができる。これらの化合物の全含有量が、組成物(A)の重量を基準として0.2重量%を超えると、得られる組成物(A)および該組成物の耐熱性が劣るものとなる。
また0.001重量%未満にしてもそれにより得られる効果は、それを実現するための費用に比較して大きくなく工業的意味は大きいとは言いがたい。これらの低分子化合物の含有量は0.001〜0.1重量%、さらに好ましくは0.002〜0.05重量%、特に好ましくは0.002〜0.01重量%の範囲である。
これらの低分子化合物は、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)および組成物(A)の製造時、外部より混入する場合もあるし樹脂分解により内部より発生する場合もある。従って、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)および組成物(A)の中のこれらの低分子化合物は適宜、減少手段をとり減少させておくのが好ましい。
例えばD−ラクチド、L−ラクチド、L−乳酸、D−乳酸は、ポリ乳酸(B)、ポリ乳酸(C)製造時、減少処理、例えば水或いは不活性ガスなどの助剤を使用する或いは使用しない脱揮処理、真空脱揮処理などにより減少させることが可能であり、また減少させておくことが好ましい。また水は、成形加工前、通常の熱乾燥処理によって容易に減少させることができるし、その様にして減少させるのが簡便で好ましい。
また、水分率が100ppm以下である状態でポリ乳酸(A)組成物を溶融成形、溶融紡糸することが好ましい。水分率が高いとポリL―乳酸成分とポリD―乳酸成分の加水分解が促進され、分子量が著しく低下し、溶融成形が困難になるばかりでなく、得られた糸などの成形品の物性が低下し好ましくない。
本発明のポリ乳酸繊維中に残留するラクチド量は400ppm以下であることが好ましい。またポリ乳酸組成物中のラクチド量を400ppm以下とした後に溶融成形、溶融紡糸することが好ましい。ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマーに含有されるラクチドは溶融成形、溶融紡糸時に気化して成形品の汚染、糸斑の原因になることがあるため、ラクチド量を400ppm以下に抑えることが良好な成形品を得る目的からすると好ましい。
本発明のポリ乳酸整形品及び繊維は従来公知の溶融成形法、溶融紡糸法により、例えば以下の方法により好適に製造することができるが、これらに方法に限定されるものではない。
本発明のポリ乳酸繊維はポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分のブレンド物であるポリ乳酸(A)組成物を通常の溶融紡糸に供することで得られる。ポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分のブレンド方法としては、チップブレンド物を溶融紡糸に供する方法が挙げられ、溶融押出し機としては、プレッシャーメルター型や1軸あるいは2軸エクストルーダー型など通常の溶融押出し機を使用することができる。ただし、ステレオコンプレックス結晶の形成にあたっては、ポリ乳酸(B)成分とポリ乳酸(C)成分を十分に混合することが重要であり、その観点からすれば、前述した如く、1軸あるいは2軸エクストルーダー型が好ましい。さらには、ポリ乳酸(B)成分のチップとポリ乳酸(C)成分のチップとのチップブレンド物を混練機にて溶融した後、チップ化し、ポリ乳酸(A)組成物チップを作成し、このチップを溶融紡糸に供する方法などが好ましい。さらには、混練性をよくするために、ポリマー流路中に静止混練機を組み込むことが好ましい。
上述したポリ乳酸(A)組成物は、エクストルーダー型やプレッシャーメルター型の溶融押出し機で溶融された後、ギアポンプにより計量され、パック内で濾過された後、口金に設けられたノズルから吐出される。口金の形状、口金数は特に制限されるものではなく、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。
吐出された糸は直ちに冷却・固化された後集束され、油剤を付加されて巻き取られる。巻き取り速度は特に限定されるものではないがステレオコンプレックス結晶が形成され易くなることより300m/分から5000m/分の範囲が好ましい。また延伸性の観点からは未延伸糸の広角X線回折でのCr率が0%となる巻き取り速度が好ましい。
例えば、ポリ乳酸(A)組成物をパック温度220から260℃、L/dが2から10の吐出孔より吐出し、吐出後50℃以下の冷風で急冷し、パック下、3mでの糸条の温度が結晶開始温度以下で且つ紡糸ドラフト、0.1から50、紡糸速度300から5000m/分で紡糸することによって、広角X線回折による結晶性が実質的に0である未延伸糸を得ることが可能である。
巻き取られた未延伸糸はその後延伸工程に供されるが、紡糸工程と延伸工程は必ずしも分離する必要はなく、紡糸後いったん巻き取ることなく引き続き延伸を行う直接紡糸延伸法を採用しても構わない。
延伸では1段延伸でも、2段以上の多段延伸でも良く、高強度の繊維を作製する観点から、延伸倍率は3倍以上が好ましく、さらには4倍以上が好ましい。好ましくは3から10倍が選択される。しかし、延伸倍率が高すぎると繊維が失透し白化するため、繊維の強度が低下し、好ましくない。延伸の予熱方法としては、ロールの昇温のほか、平板状あるいはピン状の接触式加熱ヒータ、非接触式熱板、熱媒浴などが挙げられるが、通常用いられる方法を用いればよい。
延伸に引き続き、巻き取り前にはポリマーの融点より低い温度で、熱処理が行われることが好ましい。熱処理にはホットローラーのほか、接触式加熱ヒータ、非接触式熱板など任意の方法を採用することができる。延伸温度はポリ乳酸ガラス温度から170℃、好ましくは70から140℃、特に好ましくは80から130℃の範囲が選択される。
延伸後、テンション下、ポリ乳酸の低融点結晶相の融点より低い温度、具体的には170℃以下で熱固定することにより、耐アイロン性を有するとともに強度3.5cN/dTex以上のポリ乳酸繊維を得ることができる。熱固定温度はさらに好ましくは(延伸温度+5℃)から170℃、特に好ましくは(延伸温度+5℃)から150℃、特に好ましくは(延伸温度+10℃)から150℃の範囲が選択される。
なお、本発明のポリ乳酸繊維は仮撚り加工糸や機械捲縮加工糸或いは押し込み捲縮糸などの加工糸用の原糸とすることもできる。また長繊維のみならず短繊維及びそれを使用した紡績糸とすることもできる。
本発明においては、ポリ乳酸繊維は単独で用いてもよいし、他種繊維を混用してもよい。本発明のポリ乳酸繊維と混用してよい他の繊維としては、ポリ乳酸以外のポリエステル、アクリル、ナイロン、アラミド等の合成繊維、絹、綿、麻、獣毛等の天然繊維、ビスコースレイヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生セルロース系繊維、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維などを挙げることができる。
ポリ乳酸繊維を他種繊維と併用する場合には、従来公知の方法を好適に適用することができる。
例えば、混綿、混紡、交撚、交織、精紡交撚、交編などの方法を挙げることができる。さらに両者の混合割合は用途に応じて任意に設定することが可能である。ポリ乳酸繊維の混合割合が低すぎるとポリ乳酸の特性がほとんど反映されない。従ってポリ乳酸を他種繊維と併用するときはポリ乳酸繊維を少なくとも5重量%以上混合することが好ましい。
本発明の高耐熱性、高強度、低収縮性、染色堅牢度繊維は織物、編み物、不織布、カップなどの成形品などの様々な繊維製品の形態をとることができる。
本発明の高強度で、高Cr率の耐熱性、低収縮性繊維は具体的にはシャツ、ブルゾン、パンツ、コートといった衣料用途、カップ、パッド等の衣料資材用途、カーテン、カーペット、マット、家具等のインテリア用途、さらにベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、フェルト、フィルター等の産業資材用途、車両内装用途にも好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本実施例における、各種測定・評価は以下の方法を用いた。
(1)還元粘度:
ポリマー0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール(容量比1/1)に溶解し、35℃における還元粘度(mL/g)を測定した。
(2)重量平均分子量(Mw):
ポリマーの重量平均分子量はGPC(カラム温度40℃、クロロホルム)により、ポリスチレン標準サンプルとの比較で求めた。
(3)ステレオコンプレックス結晶化比率(Cr率)
理化学電気社製ROTA FLEX RU200B型X線回折装置を用いて透過法により以下条件でX線回折図形をイメージングプレートに記録した。得られたX線回折図形において赤道方向の回折強度プロファイルを求め、ここで2θ=12.0°,20.7°,24.0°付近に現れるステレオコンプレックス結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣISCiと2θ=16.5°付近に現れるホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度IHMから下式に従いCr率を求めた。
尚、ΣISCiならびにIHMは、赤道方向の回折強度プロファイルにおいてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって見積もった。
X線源:Cu−Kα線(コンフォーカル ミラー)
出力:45kV×70mA
スリット:1mmΦ−0.8mmΦ
カメラ長:120mm
積算時間:10分
サンプル:長さ3cm、35mg
Cr率=ΣISCi/(ΣISCi+IHM)×100
ここで、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3、ISCi(i=1〜3)はそれぞれ2θ=12.0°,20.7°,24.0°付近の各回折ピークの積分強度。
(4)融点、結晶融解ピーク、結晶融解開始温度、結晶融解エンタルピー測定:
TAインストルメンツ製 TA−2920示差走査熱量測定計DSCを用いた。
測定は、試料10mgを窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温から260℃まで昇温した。第一スキャンで、ホモ結晶融解ピーク、ホモ結晶融解(開始)温度 ホモ結晶融解エンタルピー及びステレオコンプレックス結晶融解ピーク、ステレオコンプレックス結晶融解(開始)温度及びステレオコンプレックス結晶融解エンタルピーを求めた。
(5)分子量150以下の化合物含有量:
ポリ乳酸(A)組成分中の分子量150以下の化合物含有量は、GPCによって求めた。
(6)残存ラクチド量:
ポリ乳酸(A)組成分中の残存ラクチド量は、GPCによって求めた。
(7)繊維強度、繊維伸度、150℃熱収縮率:
(株)オリエンテック社製“テンシロン”引っ張り試験機にて試料長25cm、引張速度30cm/分の条件で測定した。また、150℃熱収縮率は、JIS L−1013 8.18.2項a)に準じて測定した。
(8)繊維耐アイロン性評価:
サンプル繊維にて10cm角の布帛を作成し表面温度170℃に調整したアイロンで30秒アイロン掛けを行い、布帛形状、風合いの変化より耐熱性を判定した。
合格:○単糸の融着もなく処理前の布帛の形状、風合いを良好に保つ。
不合格:×単糸の融着あるいは処理前の布帛の熱変形、ごわごわした風合いへの変化がみられた。
(9)分散染料染色性の評価:
得られたポリ乳酸繊維をポリエチレンテレフタレート繊維と交編したパイル織物(ベロア)を製造し80℃×20分間精練を行ったのち、150℃で20分間精練を行った。該織物を下記条件の染浴にて130℃×1時間染色を行い、つづいてカセイソーダ0.5g/l、ハイドロサルファイト0.2g/l溶解させた水溶液を用いて60℃×20分間還元処理を行ったのち、メトリック明度L*値、メトリッククロマC*値を評価した。L*値はL*・a*・b*系の色表示における、メトリック明度であり、その値が小さいほど黒色の発色が深いことを意味する。L*値は好ましくは、8以下、さらに好ましくは6以下である。また、メトリッククロマC*値は(a*2+b*2)1/2で定義される彩度であり、その値が小さいほど無彩色で黒らしい黒に見える。
このときポリ乳酸繊維が収縮し、織物が変形するか否かを併せ判定した。変形が実用上問題にならないレベルのものを合格と判断した。
染色条件:
染色温度 130℃
染色時間 1時間
染料 Dianix BlackBG−FS
染料濃度 20%owf
浴比 1:50
浴pH 4.5
(10)染色堅牢度:
ポリ乳酸繊維にて10cm角の評価用布帛を作成し、下記の分散染料水溶液で浴比1:30にて試料布帛を110℃で60分間吸尽染色を行った。染色後、脱水、乾燥を行い、下記の還元洗浄液で浴比1:30にて70℃で20分間還元洗浄を行い、ついで脱水、乾燥を行い、染色加工布帛を得た。堅牢度はJIS−L−0842−1996に準拠し紫外線カーボンアーク灯試験を行い評価した。結果はJIS、5から6級を◎、4から5級を○とし、4以上を合格、4未満を不合格とした。
分散染料染色水溶液:
(1)染料;長瀬産業(株)製 DENAPOLE染料
Yellow GE 3%owf
Red GE 3%owf
Blue GE 3%owf
(2)酢酸(濃度48%) 0.1%
(3)酢酸ナトリウム 0.2%
還元洗浄液:
(1)ハイドロサルファイト 0.2%
(2)炭酸ナトリウム 0.2%
(11)色差L*・a*・b*値:
樹脂チップまたはペレット、布帛を試料とし、日本電色(株)製Z−1001DP色差計によりL*・a*・b*値を測定した。
(12)カルボキシル末端基濃度:
試料のカルボキシル末端基濃度は試料をo−クレゾールに溶解し指示薬を加えて、水酸化カリウム溶液による中和滴定により求めた。
[製造例1]ポリマーB1の製造
光学純度99.8%のL−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)100重量部を重合容器に加え、系内を窒素置換した後、ステアリルアルコール0.2重量部、触媒としてオクチル酸スズ0.05重量部を加え、190℃、2時間、重合を行い、ポリマーを製造した。このポリマーを7%5N塩酸のアセトン溶液で洗浄し、触媒を除去し、ポリマーB1を得た。得られたポリマーB1の還元粘度は2.92(mL/g)、重量平均分子量19万であった。融点(Tm)は168℃であった。結晶化点(Tc)は122℃であった。
[製造例2]ポリマーC1の製造
光学純度99.8%のD−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)100重量部を重合容器に加え、系内を窒素置換した後、ステアリルアルコール0.2重量部、触媒としてオクチル酸スズ0.05重量部を加え、190℃、2時間、重合を行い、ポリマーを製造した。このポリマーを7%5N塩酸のアセトン溶液で洗浄し、触媒を除去し、ポリマーC1を得た。得られたポリマーB1の還元粘度は2.65(mL/g)、重量平均分子量20万であった。融点(Tm)は176℃であった。結晶化点(Tc)は139℃であった。
[実施例1]
ポリマーB1およびポリマーC1のチップを作成し、ポリマーB1:ポリマーC1=50/50の割合でチップブレンドした後、120℃で5時間減圧乾燥した。このチップ100重量部とラインケミージャパン(株)製スタバクゾールI1重量部を1軸ルーダー付溶融紡糸機を用い240℃で溶融してポリ乳酸(A)組成物を得、0.25Φ(L/D=2)の吐出孔を36ホールもつ口金からパック温度235℃、40g/分で吐出させた。糸条の温度は吐出直後のパック下3mでは180℃、紡糸筒により10℃の冷風で冷却し、パック下2mにおいて、すでに結晶化温度以下の90℃であった。糸条を集束し、油剤を付加して、500m/分の紡糸速度で未延伸糸を巻き取った。紡糸ドラフトは45であった。
なお、ポリ乳酸(A)組成物を溶融紡糸機から吐出せずにペレット化して得たポリ乳酸(A)組成物のペレットは、重量平均分子量16万、カルボキシル末端基濃度15当量/トン、Crが31%、Cr率は90%、分子量150以下の化合物含有量は0.05、残存ラクチド量は400ppmであった。
また、未延伸糸のCrは35%、Cr率は0%であり該未延伸糸を予熱90℃で4.9倍に延伸し、引き続き140℃で熱固定を行い、160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。
得られた延伸糸は、示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL‐乳酸およびポリD‐乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が224℃であった。また、広角X線回折測定でのCr率45%、繊維の強度は4.6cN/dtex、伸度35%であり、実用上十分な強度を保有していた。また耐アイロン性は良好で合格であった。染色堅牢度は合格であった。
[実施例2〜5並びに比較例1、2]
実施例1において熱固定温度のみを110℃、130℃、150℃、170℃、180℃、200℃と変更しポリ乳酸繊維を得た。得られた繊維はDSC測定においてステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点はいずれも200℃以上であった。結果を実施例1と併せて表1、表2に記載する。
[実施例6]
ポリマーB1:ポリマーC1=50/50の重量割合のチップブレンドを準備し、溶融温度のみを260℃に変更して紡糸すること以外は実施例1と同様の方法で160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。
なお、ポリ乳酸(A)組成物を溶融紡糸機から吐出せずにペレット化して得たポリ乳酸(A)組成物のペレットは、重量平均分子量16万、カルボキシル末端基濃度15当量/トン、Crが31%、Cr率は90%、分子量150以下の化合物含有量は0.05、残存ラクチド量は400ppmであった。
未延伸糸のCrは38%、Cr率は0%、延伸糸は、DSC測定において、ポリL‐乳酸およびポリD‐乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が215℃であり、Cr率47%、繊維の強度は4.7cN/dtex、伸度は31%であり、実用上十分な強度を保有していた。また耐アイロン性、染色性も合格であった。
[製造例3]ポリマーB2の製造:
真空配管、及び窒素ガス配管、触媒、L−ラクチド溶液添加配管、アルコール開始剤添加配管を具備したフルゾーン翼具備縦型攪拌槽(40L)を窒素置換後、光学純度99.8%のL−ラクチド30kg,ステアリルアルコール0.90kg(0.030モル/kg)、オクチル酸スズ6.14g(5.05×10−4モル/1kg)を仕込み、窒素圧106.4kPaの雰囲気下、150℃に昇温した。内容物が溶解した時点で、攪拌を開始、内温をさらに190℃に昇温した。内温が180℃を超えて反応が始まった後に冷却を開始し、内温を185℃から190℃に保持し1時間反応を継続した。さらに攪拌しつつ、窒素圧106.4kPa、内温200℃から210℃で、1時間反応を行った後、リン系失活剤を添加し10分間攪拌を継続した。攪拌を停止し、さらに20分間静置して気泡除去を行った後、内圧を窒素圧で2から3気圧に昇圧しプレポリマーをチップカッターに押し出し重量平均分子量12万のプレポリマーをペレット化した。
さらに、ペレットを押し出し機で溶解させ無軸籠型反応装置に15kg/hrで投入し1.03kPaに減圧し残留するラクチドを低減処理し、それを再度チップ化した後のポリマーB2は重量平均分子量12.3万、カルボキシル末端基濃度30当量/トン、分子量150以下の低分子量化合物含有量0.05wt%、残存ラクチド量200ppmであった。
[製造例4]ポリマーC2の製造:
製造例3において、光学純度99.8%のL−ラクチドに代えて、光学純度99.8%のD−ラクチドを使用したこと以外は同様の操作を行って、重量平均分子量12.5万、カルボキシル末端基濃度32当量/トン、低分子量化合物含有量0.03wt%、残存ラクチド量300ppmのポリマーC2を得た。
[実施例7]
製造例3の操作、製造例4の操作で得られたポリマーB2チップ、ポリマーC2チップを重量比1/1で混合し、120℃で5時間乾燥後、カルボキシル末端基封止剤として日清紡(株)製「カルボジライト」LA−1、結晶化核剤として平均粒径0.1μmの(株)ADEKA製燐酸エステル金属塩「アデカスタブNA21」をそれぞれポリ乳酸100重量部あたり0.3及び0.1重量部を配合し、二軸混練機でシリンダー温度270℃、滞留時間5分で溶融混練、チップカッターでペレット化しポリ乳酸(A)組成物ペレットを作成した。得られたポリ乳酸(A)組成物ペレットは、重量平均分子量12.2万、カルボキシル末端基濃度7当量/トン、Crが41%、Cr率98%であった。
また、ポリ乳酸(A)組成物ペレットを材料として、住友重機械工業(株)製ネオマットN150/75射出成形機によりシリンダー温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル150秒で、厚さ3mmのASTM測定用の成形片を100ショット成形し、最終10ショットの成形品のゆがみ、黒色異物の有無を目視判定した。ゆがみ、黒色異物が認められないランは合格(OK)、明白なゆがみ、黒色異物の認められるランは不合格(NG)とし、微小な異物、微細なゆがみの見られるランは保留(△)としたところ、OKの評価であった。
また、成形性評価試料を繊維と同様にして染色し、染色堅牢度を評価した。耐光堅牢度は目視判定で評価した。色斑のほとんどないもの、光での変色がほとんどないものを合格、色斑の大きいもの及び耐光堅牢度では繊維と同じ条件下、光での変色の大きいものを不合格としたところ、合格であった。
[実施例8]
実施例7で製造したポリ乳酸(A)組成物チップを、1軸ルーダー付溶融紡糸機を用い240℃で溶融し、0.25Φの吐出孔を36ホールもつ口金から40g/分で吐出させた。吐出直後のパック下の温度は180℃、紡糸筒により冷却した後集束し、油剤を付加して、500m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。このSc化率0%の未延伸糸を予熱90℃で4.9倍に延伸し、引き続き140℃で熱固定を行い、160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。
得られた延伸糸は、示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL−乳酸およびポリD―乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が224℃であった。また、広角X線回折測定でのCr率47%、繊維の強度は4.7cN/dtex、伸度35%であり、実用上十分な強度、耐アイロン性は良好で合格であった。また、該繊維の染色性OK、堅牢度は合格であった。
なお、本実施例における、各種測定・評価は以下の方法を用いた。
(1)還元粘度:
ポリマー0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール(容量比1/1)に溶解し、35℃における還元粘度(mL/g)を測定した。
(2)重量平均分子量(Mw):
ポリマーの重量平均分子量はGPC(カラム温度40℃、クロロホルム)により、ポリスチレン標準サンプルとの比較で求めた。
(3)ステレオコンプレックス結晶化比率(Cr率)
理化学電気社製ROTA FLEX RU200B型X線回折装置を用いて透過法により以下条件でX線回折図形をイメージングプレートに記録した。得られたX線回折図形において赤道方向の回折強度プロファイルを求め、ここで2θ=12.0°,20.7°,24.0°付近に現れるステレオコンプレックス結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣISCiと2θ=16.5°付近に現れるホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度IHMから下式に従いCr率を求めた。
尚、ΣISCiならびにIHMは、赤道方向の回折強度プロファイルにおいてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって見積もった。
X線源:Cu−Kα線(コンフォーカル ミラー)
出力:45kV×70mA
スリット:1mmΦ−0.8mmΦ
カメラ長:120mm
積算時間:10分
サンプル:長さ3cm、35mg
Cr率=ΣISCi/(ΣISCi+IHM)×100
ここで、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3、ISCi(i=1〜3)はそれぞれ2θ=12.0°,20.7°,24.0°付近の各回折ピークの積分強度。
(4)融点、結晶融解ピーク、結晶融解開始温度、結晶融解エンタルピー測定:
TAインストルメンツ製 TA−2920示差走査熱量測定計DSCを用いた。
測定は、試料10mgを窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温から260℃まで昇温した。第一スキャンで、ホモ結晶融解ピーク、ホモ結晶融解(開始)温度 ホモ結晶融解エンタルピー及びステレオコンプレックス結晶融解ピーク、ステレオコンプレックス結晶融解(開始)温度及びステレオコンプレックス結晶融解エンタルピーを求めた。
(5)分子量150以下の化合物含有量:
ポリ乳酸(A)組成分中の分子量150以下の化合物含有量は、GPCによって求めた。
(6)残存ラクチド量:
ポリ乳酸(A)組成分中の残存ラクチド量は、GPCによって求めた。
(7)繊維強度、繊維伸度、150℃熱収縮率:
(株)オリエンテック社製“テンシロン”引っ張り試験機にて試料長25cm、引張速度30cm/分の条件で測定した。また、150℃熱収縮率は、JIS L−1013 8.18.2項a)に準じて測定した。
(8)繊維耐アイロン性評価:
サンプル繊維にて10cm角の布帛を作成し表面温度170℃に調整したアイロンで30秒アイロン掛けを行い、布帛形状、風合いの変化より耐熱性を判定した。
合格:○単糸の融着もなく処理前の布帛の形状、風合いを良好に保つ。
不合格:×単糸の融着あるいは処理前の布帛の熱変形、ごわごわした風合いへの変化がみられた。
(9)分散染料染色性の評価:
得られたポリ乳酸繊維をポリエチレンテレフタレート繊維と交編したパイル織物(ベロア)を製造し80℃×20分間精練を行ったのち、150℃で20分間精練を行った。該織物を下記条件の染浴にて130℃×1時間染色を行い、つづいてカセイソーダ0.5g/l、ハイドロサルファイト0.2g/l溶解させた水溶液を用いて60℃×20分間還元処理を行ったのち、メトリック明度L*値、メトリッククロマC*値を評価した。L*値はL*・a*・b*系の色表示における、メトリック明度であり、その値が小さいほど黒色の発色が深いことを意味する。L*値は好ましくは、8以下、さらに好ましくは6以下である。また、メトリッククロマC*値は(a*2+b*2)1/2で定義される彩度であり、その値が小さいほど無彩色で黒らしい黒に見える。
このときポリ乳酸繊維が収縮し、織物が変形するか否かを併せ判定した。変形が実用上問題にならないレベルのものを合格と判断した。
染色条件:
染色温度 130℃
染色時間 1時間
染料 Dianix BlackBG−FS
染料濃度 20%owf
浴比 1:50
浴pH 4.5
(10)染色堅牢度:
ポリ乳酸繊維にて10cm角の評価用布帛を作成し、下記の分散染料水溶液で浴比1:30にて試料布帛を110℃で60分間吸尽染色を行った。染色後、脱水、乾燥を行い、下記の還元洗浄液で浴比1:30にて70℃で20分間還元洗浄を行い、ついで脱水、乾燥を行い、染色加工布帛を得た。堅牢度はJIS−L−0842−1996に準拠し紫外線カーボンアーク灯試験を行い評価した。結果はJIS、5から6級を◎、4から5級を○とし、4以上を合格、4未満を不合格とした。
分散染料染色水溶液:
(1)染料;長瀬産業(株)製 DENAPOLE染料
Yellow GE 3%owf
Red GE 3%owf
Blue GE 3%owf
(2)酢酸(濃度48%) 0.1%
(3)酢酸ナトリウム 0.2%
還元洗浄液:
(1)ハイドロサルファイト 0.2%
(2)炭酸ナトリウム 0.2%
(11)色差L*・a*・b*値:
樹脂チップまたはペレット、布帛を試料とし、日本電色(株)製Z−1001DP色差計によりL*・a*・b*値を測定した。
(12)カルボキシル末端基濃度:
試料のカルボキシル末端基濃度は試料をo−クレゾールに溶解し指示薬を加えて、水酸化カリウム溶液による中和滴定により求めた。
[製造例1]ポリマーB1の製造
光学純度99.8%のL−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)100重量部を重合容器に加え、系内を窒素置換した後、ステアリルアルコール0.2重量部、触媒としてオクチル酸スズ0.05重量部を加え、190℃、2時間、重合を行い、ポリマーを製造した。このポリマーを7%5N塩酸のアセトン溶液で洗浄し、触媒を除去し、ポリマーB1を得た。得られたポリマーB1の還元粘度は2.92(mL/g)、重量平均分子量19万であった。融点(Tm)は168℃であった。結晶化点(Tc)は122℃であった。
[製造例2]ポリマーC1の製造
光学純度99.8%のD−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)100重量部を重合容器に加え、系内を窒素置換した後、ステアリルアルコール0.2重量部、触媒としてオクチル酸スズ0.05重量部を加え、190℃、2時間、重合を行い、ポリマーを製造した。このポリマーを7%5N塩酸のアセトン溶液で洗浄し、触媒を除去し、ポリマーC1を得た。得られたポリマーB1の還元粘度は2.65(mL/g)、重量平均分子量20万であった。融点(Tm)は176℃であった。結晶化点(Tc)は139℃であった。
[実施例1]
ポリマーB1およびポリマーC1のチップを作成し、ポリマーB1:ポリマーC1=50/50の割合でチップブレンドした後、120℃で5時間減圧乾燥した。このチップ100重量部とラインケミージャパン(株)製スタバクゾールI1重量部を1軸ルーダー付溶融紡糸機を用い240℃で溶融してポリ乳酸(A)組成物を得、0.25Φ(L/D=2)の吐出孔を36ホールもつ口金からパック温度235℃、40g/分で吐出させた。糸条の温度は吐出直後のパック下3mでは180℃、紡糸筒により10℃の冷風で冷却し、パック下2mにおいて、すでに結晶化温度以下の90℃であった。糸条を集束し、油剤を付加して、500m/分の紡糸速度で未延伸糸を巻き取った。紡糸ドラフトは45であった。
なお、ポリ乳酸(A)組成物を溶融紡糸機から吐出せずにペレット化して得たポリ乳酸(A)組成物のペレットは、重量平均分子量16万、カルボキシル末端基濃度15当量/トン、Crが31%、Cr率は90%、分子量150以下の化合物含有量は0.05、残存ラクチド量は400ppmであった。
また、未延伸糸のCrは35%、Cr率は0%であり該未延伸糸を予熱90℃で4.9倍に延伸し、引き続き140℃で熱固定を行い、160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。
得られた延伸糸は、示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL‐乳酸およびポリD‐乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が224℃であった。また、広角X線回折測定でのCr率45%、繊維の強度は4.6cN/dtex、伸度35%であり、実用上十分な強度を保有していた。また耐アイロン性は良好で合格であった。染色堅牢度は合格であった。
[実施例2〜5並びに比較例1、2]
実施例1において熱固定温度のみを110℃、130℃、150℃、170℃、180℃、200℃と変更しポリ乳酸繊維を得た。得られた繊維はDSC測定においてステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点はいずれも200℃以上であった。結果を実施例1と併せて表1、表2に記載する。
ポリマーB1:ポリマーC1=50/50の重量割合のチップブレンドを準備し、溶融温度のみを260℃に変更して紡糸すること以外は実施例1と同様の方法で160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。
なお、ポリ乳酸(A)組成物を溶融紡糸機から吐出せずにペレット化して得たポリ乳酸(A)組成物のペレットは、重量平均分子量16万、カルボキシル末端基濃度15当量/トン、Crが31%、Cr率は90%、分子量150以下の化合物含有量は0.05、残存ラクチド量は400ppmであった。
未延伸糸のCrは38%、Cr率は0%、延伸糸は、DSC測定において、ポリL‐乳酸およびポリD‐乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が215℃であり、Cr率47%、繊維の強度は4.7cN/dtex、伸度は31%であり、実用上十分な強度を保有していた。また耐アイロン性、染色性も合格であった。
[製造例3]ポリマーB2の製造:
真空配管、及び窒素ガス配管、触媒、L−ラクチド溶液添加配管、アルコール開始剤添加配管を具備したフルゾーン翼具備縦型攪拌槽(40L)を窒素置換後、光学純度99.8%のL−ラクチド30kg,ステアリルアルコール0.90kg(0.030モル/kg)、オクチル酸スズ6.14g(5.05×10−4モル/1kg)を仕込み、窒素圧106.4kPaの雰囲気下、150℃に昇温した。内容物が溶解した時点で、攪拌を開始、内温をさらに190℃に昇温した。内温が180℃を超えて反応が始まった後に冷却を開始し、内温を185℃から190℃に保持し1時間反応を継続した。さらに攪拌しつつ、窒素圧106.4kPa、内温200℃から210℃で、1時間反応を行った後、リン系失活剤を添加し10分間攪拌を継続した。攪拌を停止し、さらに20分間静置して気泡除去を行った後、内圧を窒素圧で2から3気圧に昇圧しプレポリマーをチップカッターに押し出し重量平均分子量12万のプレポリマーをペレット化した。
さらに、ペレットを押し出し機で溶解させ無軸籠型反応装置に15kg/hrで投入し1.03kPaに減圧し残留するラクチドを低減処理し、それを再度チップ化した後のポリマーB2は重量平均分子量12.3万、カルボキシル末端基濃度30当量/トン、分子量150以下の低分子量化合物含有量0.05wt%、残存ラクチド量200ppmであった。
[製造例4]ポリマーC2の製造:
製造例3において、光学純度99.8%のL−ラクチドに代えて、光学純度99.8%のD−ラクチドを使用したこと以外は同様の操作を行って、重量平均分子量12.5万、カルボキシル末端基濃度32当量/トン、低分子量化合物含有量0.03wt%、残存ラクチド量300ppmのポリマーC2を得た。
[実施例7]
製造例3の操作、製造例4の操作で得られたポリマーB2チップ、ポリマーC2チップを重量比1/1で混合し、120℃で5時間乾燥後、カルボキシル末端基封止剤として日清紡(株)製「カルボジライト」LA−1、結晶化核剤として平均粒径0.1μmの(株)ADEKA製燐酸エステル金属塩「アデカスタブNA21」をそれぞれポリ乳酸100重量部あたり0.3及び0.1重量部を配合し、二軸混練機でシリンダー温度270℃、滞留時間5分で溶融混練、チップカッターでペレット化しポリ乳酸(A)組成物ペレットを作成した。得られたポリ乳酸(A)組成物ペレットは、重量平均分子量12.2万、カルボキシル末端基濃度7当量/トン、Crが41%、Cr率98%であった。
また、ポリ乳酸(A)組成物ペレットを材料として、住友重機械工業(株)製ネオマットN150/75射出成形機によりシリンダー温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル150秒で、厚さ3mmのASTM測定用の成形片を100ショット成形し、最終10ショットの成形品のゆがみ、黒色異物の有無を目視判定した。ゆがみ、黒色異物が認められないランは合格(OK)、明白なゆがみ、黒色異物の認められるランは不合格(NG)とし、微小な異物、微細なゆがみの見られるランは保留(△)としたところ、OKの評価であった。
また、成形性評価試料を繊維と同様にして染色し、染色堅牢度を評価した。耐光堅牢度は目視判定で評価した。色斑のほとんどないもの、光での変色がほとんどないものを合格、色斑の大きいもの及び耐光堅牢度では繊維と同じ条件下、光での変色の大きいものを不合格としたところ、合格であった。
[実施例8]
実施例7で製造したポリ乳酸(A)組成物チップを、1軸ルーダー付溶融紡糸機を用い240℃で溶融し、0.25Φの吐出孔を36ホールもつ口金から40g/分で吐出させた。吐出直後のパック下の温度は180℃、紡糸筒により冷却した後集束し、油剤を付加して、500m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。このSc化率0%の未延伸糸を予熱90℃で4.9倍に延伸し、引き続き140℃で熱固定を行い、160dtex/36filのポリ乳酸繊維を得た。
得られた延伸糸は、示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL−乳酸およびポリD―乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が224℃であった。また、広角X線回折測定でのCr率47%、繊維の強度は4.7cN/dtex、伸度35%であり、実用上十分な強度、耐アイロン性は良好で合格であった。また、該繊維の染色性OK、堅牢度は合格であった。
Claims (15)
- (1)L−乳酸単位90モル%以上とL−乳酸以外の共重合成分単位10モル%未満とにより構成されるポリ乳酸(B)成分および、
(2)D−乳酸単位90モル%以上とD−乳酸以外の共重合成分単位10モル%未満とにより構成されるポリ乳酸(C)成分からなり、
(B)/(C)重量比が10/90から90/10の混合組成物でありかつ以下の各項を満足する、ポリ乳酸(A)組成物。
(a)重量平均分子量が7万以上50万以下である。
(b)次式で規定されるステレオコンプレックス結晶化度(Cr)が30%以上55%以下である。
- 請求の範囲第1項記載のポリ乳酸(A)組成物よりなるポリ乳酸成形品。
- ポリ乳酸成形品がポリ乳酸繊維である、請求の範囲第2項記載のポリ乳酸成形品。
- 繊維の分子量150以下の化合物の含有量が0.001〜0.2重量%である、請求の範囲第3項に記載のポリ乳酸繊維。
- 繊維の残留ラクチド量が400ppm以下である、請求の範囲第4項に記載のポリ乳酸繊維
- 繊維が未延伸糸であって、広角X線回折によるステレオコンプレックス結晶化比率(Cr率)が実質的に0である請求の範囲第3項記載のポリ乳酸繊維。
- 広角X線回折(XRD)測定において、ステレオコンプレックス結晶化比率(Cr率)が30から100%であり且つ示差走査熱量計(DSC)測定において実質的にポリL−乳酸およびポリD―乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が200℃以上である請求の範囲第3項に記載のポリ乳酸繊維。
- 広角X線回折(XRD)測定において、ステレオコンプレックス結晶化比率(Cr率)が30から90%である請求の範囲第7項記載のポリ乳酸繊維。
- 150℃での熱収縮率が0.1から15%で、170℃耐アイロン性を有する強度3.5cN/dTex以上、伸度20から50%である請求の範囲第3項記載のポリ乳酸繊維。
- 分散染料、Dianix BlackBG−FSによって、メトリック明度L*値が12以下、メトリッククロマC*値が10以下に染色可能な請求の範囲第3項記載のポリ乳酸繊維。
- 請求の範囲第3項から第10項のいずれか一項記載のポリ乳酸繊維を含有してなることを特徴とする繊維製品。
- ポリ乳酸(A)組成物をパック温度220から260℃、L/dが2から10の吐出孔より吐出し、吐出後50℃以下の冷風で急冷し、パック下、3mでの糸条の温度が結晶開始温度以下で且つ紡糸ドラフト、0.1から50、紡糸速度300から5000m/分で紡糸して、請求の範囲第6項に記載のポリ乳酸繊維を得る、ポリ乳酸繊維の製造方法。
- 溶融紡糸に供するポリ乳酸(A)組成物中の分子量150以下の化合物の含有量を、0.001〜0.2重量%とする、請求の範囲第12項に記載のポリ乳酸繊維の製造方法
- 溶融紡糸に供するポリ乳酸(A)組成物の残留ラクチド量を400ppm以下とする、請求の範囲第13項に記載のポリ乳酸繊維の製造方法。
- 請求の範囲第6項に記載の未延伸糸を、延伸温度をポリ乳酸のガラス転移温度以上、170℃未満、延伸倍率を3から10の条件下で延伸し、170℃以下の温度で熱固定して請求の範囲第7項から第10項のいずれか一項に記載のポリ乳酸を得る、ポリ乳酸繊維の製造方法。
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