JPWO2008012869A1 - 緯ストレッチ裏地及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

滑り性を損ねることなく緯方向の伸びが8%以上のストレッチ裏地を提供するために、撚り係数(K)2000〜15000のポリエステル系長繊維又はセルロース系長繊維を経糸に、実質的に無撚のポリエステル系長繊維又はセルロース系長繊維を緯糸に用い、経糸に使われる長繊維の単糸同志を収束させて経糸の断面形状を円形化せしめ、且つ、緯糸対比経糸の曲げ硬さを高めることによって、織物の緯糸にクリンプ率が付き易くした。こうして得られた裏地はかかる性能により着用時の縫目の滑脱や圧迫感を抑制することが可能となり着用快適性に優れた裏地となる。

Description

本発明は、特定の緯ストレッチ裏地及びその製造法に関する。
近年、衣料分野に於いて着用快適感を求める気運が高まり、ストレッチを謳った商品が数多く見られるようになった。特に表地として使われる織物のストレッチ化が進行し、それらに併せるかたちで裏地や芯地等の副資材にもストレッチ性が要求されるようになった。そのため、裏地でも各種方法によりストレッチを持たせた商品がある。
例えば、糸自体がゴムのように伸びるスパンデックス糸を芯糸に用い、その周りにマルチフィラメントを巻きつけたカバリング糸を利用する方法が一般的に知られている。この方法で得られた裏地は地厚感やフカツキ感が出易く、且つ、滑りも悪くなるため裏地としてはそれ程波及していない。他の手段としては仮撚加工糸の嵩高性や捲縮性を利用したものや仮撚加工糸の追撚糸や撚糸の解撚力を利用したもの等が挙げられる。これらの方法で得られる裏地もフカツキ感やザラツキ感、シボ感等が発現し、裏地としての品位は低いものであった。
一方、特許文献1には、経緯糸共に無撚糸を用いて、5%以上、12%未満の緯ストレッチ性を有する裏地が記載されている。また特許文献2には、緯糸にポリトリメチレンテレフタレート糸を用いて、3%以上、30%未満の緯ストレッチ性を有する裏地が記載されている。特許文献1は緯糸に曲げ柔らかいもの(細単糸、偏平糸等)を用いることで緯クリンプを発現させるものである。特許文献2は緯糸に伸縮糸を用いて緯クリンプを発現させる。しかし、これらの方法では平滑性を保持したまま高ストレッチ化することは困難である。
これらのように従来、緯方向にストレッチ性を有する裏地として、緯糸に伸縮性糸(弾性糸、有撚糸等)を用いるもの、経緯無撚糸で緯糸に曲げ柔らかい糸を用いるもの等が提案されている。しかし、最近の表地のストレッチは15%〜20%前後ものが増えてきており、前述の裏地で表地の伸びに対応させるためにこのように、良好な滑り性とストレッチ性を充分満たし、最近の表地の高ストレッチ化に対応できる裏地が無いのが実状である。
国際公開 WO99/31309号明細書 特開2001−172843号公報
本発明の目的は、滑り性を損ねることなく緯方向の伸びが大きなストレッチ性を有する着用快適性に優れた裏地を提供することにある。即ち、係る滑り性やストレッチ性能の他に裏地の表面構造の尺度となるクリンプ指数を制御することにより着用時の着脱性や縫目滑脱性、及び、動作追従性などが優れた裏地の提供を可能ならしめるものである。
本発明の更なる目的は、前記機能を有するポリエステル系長繊維100%の裏地、ポリエステル系長繊維とセルロース系長繊維の交織裏地、及びセルロース系長繊維100%の裏地を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するために、裏地の緯伸び率に直接反映する織物中の緯糸クリンプ率を如何に高めるかを詳細に検討した結果、無撚糸を緯糸に用いた上で、経糸に適度な撚りを掛けることで生機に効率的に緯糸クリンプを付与することが可能となり、付与された生機中の緯糸クリンプ率の高さが前駆体となって、後工程(精練・熱処理・セット)でストレッチ率に繋がる織物中の緯糸クリンプ率が容易に増加することを見出し、本発明に到達したものである。ここで言うクリンプ率とは、生機や最終仕上げ品の織物の緯方向に20cmの印を付けた後、織物から取り出した緯糸に繊度の1/10の荷重を掛け、その時の印間長さ(L)から次式で算出される値である。
クリンプ率(%)={(L−20)/20}×100 (3)
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1]下式(1)で定義される撚り係数(K)が2000以上、15000以下のポリエステル系長繊維又はセルロース系長繊維を経糸に、実質的に無撚のポリエステル系長繊維又はセルロース系長繊維を緯糸に用いてなる織物からなり、緯伸び率が8%以上、20%以下、表面の動摩擦係数が0.20以上、0.40以下、下式(2)で定義されるクリンプ指数(C)が0.007以上、0.015以下であることを特徴とする緯ストレッチ裏地。
K=(0.9×D)0.5×T (1)
C=製品の緯糸のクリンプ率/{M×(D)0.5} (2)
式中、Dは経糸繊度(dtex)、Tは撚糸回数(t/m)、Mは経糸密度(本/2.54cm)を意味する。
ここで、緯伸び率と動摩擦係数は後述するKES(カトーテック社製)法で計測される値を意味する。
[2]織物の緯伸び率が12%以上、20%以下である上記[1]記載の緯ストレッチ裏地。
[3]セルロース系長繊維がキュプラアンモニウムレーヨン長繊維、ビスコース法レーヨン長繊維及び精製セルロース長繊維である上記[1]記載の緯ストレッチ裏地。
[4]ポリエステル系長繊維がポリエチレンテレフタレート系長繊維である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の緯ストレッチ裏地。
[5]生機状態で織物にアルカリ水溶液を付与した後、該織物を生機幅に対して5〜30%の幅入れした状態で熱処理することを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の緯ストレッチ裏地の製造方法。
本発明の裏地織物は、適度なストレッチ性を有するので着用時の圧迫性が低く運動追従性にも優れる。また、滑脱が起こり難く保型性にも優れる。また、滑り性も良好なため着脱が容易であるばかりか動き易さの点でも優れる。
比較例2における織物断面形状の電子顕微鏡写真である。 実施例7における織物断面形状の電子顕微鏡写真である。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の第一の特徴は、撚り係数(K)が2000以上、15000以下のポリエステル系長繊維又はセルロース系長繊維を経糸に、実質的に無撚のポリエステル系長繊維又はセルロース系長繊維を緯糸に用いる点にある。
緯糸に無撚糸(原糸)を用いる場合、織物の緯伸び率は緯糸のクリンプ率にほぼ対応することから、如何に緯糸に効率的にクリンプを付けるかが重要となる。本発明者らは種々の検討からポリエステル系長繊維またはセルロース系長繊維において生機段階での緯糸のクリンプ率の大小が後工程(精練工程、熱処理工程)で発現する緯糸のクリンプ率と相関することを見出した。すなわち、生機の緯糸クリンプ率が大きいもの程、最終製品の緯ストレッチ率が大きくなる。
従って、生機の緯糸クリンプ率を何らかの手段で高められれば、緯ストレッチ率を向上させる事が可能となる。本願発明者らはその手段を種々検討した結果、経糸に撚りを与える事で生機の緯糸クリンプ率が向上し、それが最終製品の緯糸クリンプ率の向上に繋がる事、即ち、緯伸びに反映されることを見出し本発明に到達したものである。
経糸と緯糸が共に長繊維の無撚糸(原糸)からなる織物の場合、織物中の経糸と緯糸の断面形状は、長繊維を構成する数十本の単糸間の拘束力が弱いため経糸と緯糸は互いに相手糸に押え付けられ共に扁平となる。この場合、生機の緯糸クリンプ率は極めて低いものとなり、後工程を如何に工夫しても高いストレッチを達成させる事はできない。
本発明で緯糸が無撚糸(原糸)使いでも従来技術より緯ストレッチ率が向上した技術ポイントは、(1)経糸を特定条件で有撚化させる事により、経糸に使われる長繊維の単糸を収束させ、経糸の断面形状を円形化せしめる事で緯糸のクリンプを形成し易くした事、(2)経糸の有撚化で緯糸対比経糸の曲げ硬さを高め、曲げ柔かい緯糸側にクリンプを付き易くした事、にある。即ち、経糸に特定条件の撚りをかける事で経糸の断面形状を真円化させると共に曲げ硬さを高め、生機段階の緯糸に、より一層クリンプが付き易くする事に成功し、本発明の緯ストレッチ裏地の創出が可能となった。経糸の有撚化と緯糸の原糸使いが必須要件であり、後述するが緯糸には原糸の中でも曲げ柔かいものを使用することが好ましい。
従来の織物および本発明の裏地に用いられる織物の断面形状を比較するために、後述する比較例2の織物断面の電子顕微鏡写真を図1に、実施例7の織物断面の電子顕微鏡写真を図2にそれぞれ示す。これらの写真は、夫々染色前の精練幅入れ・乾燥後の織物を、経糸断面が現われるようにカットし、金属蒸着した後電子顕微鏡で観察した(この形態が最終仕上がり品の形態にほぼ近く、精練・仕上げ加工前の生機状態での形態もこれらと相似形態を取っている)ものであり、経糸の断面形状と緯糸のクリンプ形態を示す。
経糸の断面形状を比較すると、後述する撚り係数(K)=7100である撚糸を経糸に用いた実施例7と、撚り係数(K)=1050であって実質的に無撚に近い糸を経糸に用いた比較例2とでは、経糸断面の形状が異なり、それに伴い緯糸のクリンプ形態も大幅に違っている事が判る。
本発明に用いられる織物の経糸における好ましい撚糸条件は、撚糸回数および経糸の繊度等によっても変化するため、本願発明では下記式(1)で示す撚り係数(K)で規定している。
撚り係数(K)=(0.9×D)0.5×T (1)
式中、Dは経糸繊度(dtex)、Tは撚糸回数(t/m)を意味する。
本発明では2000以上、15000以下の範囲の撚り係数(K)の糸が経糸に用いられる事を特徴とする。撚り係数(K)が2000未満の場合は無撚使いよりクリンプが形成されやすいものの、経糸断面の形状がやや扁平になるので充分なストレッチ裏地を得ることが出来ない。
一方、撚り係数が15000を越えると解撚し易くなりシボの発生やふかつき感が出易くなったり、見掛けの繊度が低下するため透け感が高まったり、ハリ感が出たりするので好ましくない。
本発明に用いられる織物の緯糸に使用できる繊維としては、上述の撚り係数を有するポリエステル系長繊維又はセルロース系長繊維が挙げられる。
本発明の経糸に用いられるポリエステル系長繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのホモポリマー、これらポリマーらのポリエステル共重合体などの繊維形成性を有するポリエステル重合体からなる繊維が用いられる。滑り性等の面からポリエチレンテレフタレートからなる繊維が好ましい。繊維中に制電剤、難燃剤、耐熱剤、耐光剤、酸化チタン等の添加剤が添加されていても何ら差し支えはない。繊維の断面形状は特に制限されるものではなく、丸型の他に三角型、L型、Y型、T型、の多角形型でも良いし、多葉型、中空型や扁平型、不定形型など任意である。
また、経糸に用いられるセルロース系長繊維には、銅アンモニア法レーヨン、ビスコース法レーヨン、ポリノジックレーヨン、竹を原料とするセルロースなどの再生セルロース繊維、有機溶剤(NメチルモルフォリンNオキサイド)紡糸される精製セルロース繊維やジアセテートやトリアセテートなどのアセテート繊維などが代表例として挙げられる。滑り性及び風合いの点から銅アンモニア法レーヨン長繊維、ビスコース法レーヨン長繊維、ポリノジックレーヨン長繊維が好ましい。
経糸に用いられるポリエステル系長繊維、セルロース系長繊維の繊度は好ましくは33〜133デシテックス(dtex)、より好ましくは56〜110dtexである。単糸繊度は特に限定されるものではないが好ましくは0.5〜10dtex、より好ましくは0.5〜5dtexである。
一方、本発明の緯糸に使用できる繊維としては、実質的に仮撚りや撚糸等が施されていない無撚のポリエステル系長繊維又はセルロース系長繊維の原糸が挙げられる。これらの原糸は実質的に無撚であるが、フィラメントを収束させるためにインターレースの付与や軽度の撚り(10〜200t/m程度)をかけたりしても構わない。
本発明の緯糸に用いられるポリエステル系長繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのホモポリマー、これらポリマーらのポリエステル共重合体などの繊維形成性を有するポリエステル重合体からなる繊維が用いられる。滑り性等の面からポリエチレンテレフタレートからなる繊維が好ましい。繊維中に制電剤、難燃剤、耐熱剤、耐光剤、酸化チタン等の添加剤が添加されていても何ら差し支えはない。
また、緯糸に用いられるセルロース系長繊維は、銅アンモニア法レーヨン、ビスコース法レーヨン、ポリノジックレーヨン、竹を原料とするセルロースなどの再生セルロース繊維、有機溶剤(NメチルモルフォリンNオキサイド)紡糸される精製セルロース繊維やジアセテートやトリアセテートなどのアセテート繊維などが挙げられる。滑り性及び風合いの点から銅アンモニア法レーヨン長繊維、ビスコース法レーヨン長繊維、ポリノジックレーヨン長繊維が好ましい。
緯糸に用いられるポリエステル系長繊維、セルロース系長繊維の繊度は好ましくは33〜133デシテックス(dtex)、より好ましくは56〜110dtexである。単糸繊度は特に限定されるものではないが好ましくは0.5〜10dtex、より好ましくは0.5〜5dtexである。
繊維の断面形状は特に制限されるものではないが、緯伸びを効率良く発現させるには曲げ柔かい原糸を用いた方が望ましい。丸断面形状の場合は単糸繊度が小さいすなわち単糸径が小さい方が好ましいし、扁平度の高い原糸を用いることが特に好ましい。扁平形状は特に限定されないが、単なる扁平型ではなくW型、I型、ブーメラン型、波型、串団子型等、実質的に扁平であり特定の方向に曲げ柔かい断面構造を有する原糸が特に好ましい。
経糸と緯糸の素材の組み合わせには、ポリエステル系長繊維100%の裏地、セルロース系長繊維100%の裏地、および、ポリエステル系長繊維とセルロース系長繊維の交織裏地2種、計4種の組み合わせが存在するが何ら制限はない。
本発明の第二の特徴は、裏地に用いられる織物の緯伸び率が8%以上、20%以下、織物表面の動摩擦係数が0.20以上、0.40以下、クリンプ指数(C)が0.007以上、0.015以下である点にある。
本発明の目的である着用時の縫目の滑脱や圧迫感を抑制ならびに着用快適性に優れた裏地を得るためには、裏地の緯方向の伸びと裏地表面の動摩擦係数が上記の特定範囲に設計された織物でなければならない。即ち、本発明の裏地の緯伸びは8%以上、20%以下が好ましく、更に好ましくは10%以上、20%以下、特に好ましくは12%以上、20%以下である。本発明裏地の緯伸び率は、撚り係数(経糸繊度、撚り数)や織物密度や加工条件(幅入れ率)によって制御・調整することができる。
従来の5〜10%程度の緯伸びを有する表地に対して、裏地に必要とされる緯伸びは「きせ(着心地を阻害しないために表地のサイズより大きめに裏地を裁断し縫目近辺で裏地を折り返し、裏地にゆとりを持たせること)」の存在や表地の保型性を考慮すると、表地の緯伸びの7割程度(3.5〜7%)で充分対応可能である。しかし、前述したように最近の表地の伸びは15〜20%前後のものが主流となりつつあり、これらのストレッチ表地に対応するためには裏地としてそれ以上の緯伸びが必要である。本発明者らが緯伸び15%の表地に緯伸びの異なる裏地を付けて着用試験を行った結果、裏地の伸びとしては8%以上あれば動作時にも圧迫感や不快感を感じることがないことを確認した。一方、裏地の緯伸びが20%を超えると緯糸のクリンプが大きくなるため、表面のざらつきが増し滑り性が低下するので着用快適感が損なわれ望ましくない。
また、裏地として必要とされる性能であるホツレ耐久性や緯糸の目よれ等を満足するためには、(2)式で示されるクリンプ指数(C)が特定の範囲に収まっている事が望ましい。
クリンプ指数(C)=製品の緯糸のクリンプ率/{M×(D)0.5} (2)
式中、Dは経糸繊度(dtex)、Mは経糸密度(本/インチ)を意味する。
クリンプ指数は、織物の緯伸びと経糸のカバーファクターに関して裏地の表面構造を特定する尺度である。本発明裏地の織物単位でのクリンプ指数としては、0.007以上、0.015以下の範囲にある事が好ましい。0.007未満になると緯糸のクリンプ率が低く緯伸びが8%未満の裏地となったり、経糸密度が多すぎたり経糸繊度が太すぎると風合いが硬くなるので好ましくない。一方、0.015を越える場合は緯糸のクリンプ率が大きすぎるか経糸密度が少なすぎたり、経糸繊度が小さすぎて緯糸の緩んだ織物構造となるため目よれやホツレが発生し易くなるので好ましくない。
一方、着用快適感を左右する裏地特性として滑り性が挙げられる。滑り性を満足なものにするためには裏地の動摩擦係数を0.20以上、0.40以下の範囲にする事が必要である。
緯伸び率と比例して動摩擦係数も高くなる傾向にあるが、0.40以下であれば着用感を損ねるものではない。0.4を越えると着脱性や肌触り性が悪く裏地としては好ましくない。また、0.20未満の場合、例えばスカートを着用して椅子等に腰掛けた場合に表地や素肌やパンティストキングなどとの滑りが良すぎる為に、スカートの裾部などがずれ易くなったり、体勢が崩れ易くなったりするなどの支障をきたすので好ましくない。
本発明の裏地の織物組織としては、平織、綾織、朱子織などが挙げられる。何れの織組織を採用するかは裏地の用途領域、要求特性などによって適宜決定すればよい。例えば、婦人服に関しては、薄くてソフトな風合いが好まれることから、特に平組織の裏地とする事が好ましい。紳士服の場合には、滑りとある程度の厚み感が必要となるので綾組織の裏地とする事が好ましい。
本発明の裏地は後述する方法によって製造することができる。製造法は基本的には引用文献1に記載されている方法と同様で、生機を処理するに当たって生機の幅に対して精練前又は精練後に5〜30%の幅入れ熱処理を行なえばよい。即ち、緯方向(幅方向)より経方向がより緊張状態となる状態で幅入れ処理することにより、緯糸密度の増加を極力抑えながら経糸密度の増加に伴う織物の幅方向の組織収縮(緯糸にクリンプを形成させる)を起こさせることにより達成できるものである。
緯糸がポリエステル系長繊維の場合、生機織物を精練前又は精練後に生機幅に対して5〜30%の幅入れした状態で160℃〜210℃の熱処理を行うことで本発明裏地を達成することができる。これは、生機織物中に形成された緯糸のクリンプと、ポリエステル系長繊維の熱収縮率とを利用して、緯糸に高度にクリンプを形成させて緯伸びを発現させる原理からなる。例えば、織物の加工時に熱処理機として一般的に用いられているピンテンター型のヒートセッターで熱処理する場合、製織後または精練後の織物の両端を固定した状態で熱処理するが、その固定した幅を製織後または精練後の織物幅より狭くして、且つ、経方向により緊張させた状態で処理すればよい。ここで精練とは、製織後の織物に付着している油剤や経糸糊剤などを除去する工程である。この精練で用いられる処理液としては、水または界面活性剤とアルカリを含む水溶液がよい。装置としては、織物の精練で一般的に使用されているオープンソーパー型連続精練機、液流染色機、浴中懸垂型連続精練機、ウインス精練機、ソフサー精練機などを用いれば良い。
幅入れ熱処理及び精練を終了した後は、裏地の一般的な加工工程である染色、仕上げ工程が適用される。風合いをよりソフトにする場合には、染色前にアルカリ減量加工を行っても差し支えない。ポリエステル系長繊維の染色加工は通常の裏地の加工方法が適用され、液流型染色機、ジッガー染色機、ビーム染色機、ウインス染色機などが使用できる。仕上げ加工についても同様で通常の裏地の加工方法を採用すればよい。この仕上げ工程で、付加的に仕上げ剤として帯電防止剤、撥水剤、吸汗剤などを付与する事ができる。又、織物表面の光沢、平滑性、風合いを改善するためにカレンダー処理やエンボス処理などを適用する事もできる。
緯糸にポリエステル系長繊維、経糸にセルロース系長繊維を用いた交織織物の場合の染色加工では、まず上記と同様な方法で幅入れ、精練した後にポリエステル系長繊維の染色を行う。次いで、セルロース系長繊維の染色を行う。この場合、ポリエステル系長繊維を染色した染色機と同機を用いて染色しても良いし、コールドパッドバッチ法やパッドスチーム法やジッガー法による別の染色機を用いて染色する事もできる。
また、緯糸がセルロース系長繊維の場合、生機状態で織物に水、スチーム、アルカリ水溶液を付与した後、該織物を生機幅に対して5〜15%の幅入れした状態で100℃〜210℃の熱処理を行えばよい。これは生機織物中に形成された緯糸のクリンプとセルロース系長繊維が水によって生起する膨潤作用を最大限に利用して緯糸に高度にクリンプを形成させて緯伸び発現させる原理からなる。セルロース系長繊維が酢酸セルロースの場合は、精練前に織物を生機幅に対して5〜15%の幅入れした状態で160℃〜210℃の熱処理を行えば良い。これは生機織物中に形成された緯糸のクリンプと酢酸セルロース繊維の熱収縮率とを利用して緯糸に高度にクリンプを形成させて緯伸び発現させる原理からなる。
精練前の生機織物に水を付与するには、織物に均一に水を付与できる方法、例えば、浸漬法やスプレー法やキスロール法などが挙げられる。加工コストや加工安定性を考慮すると、浸漬法が好ましい。セルロース系長繊維の膨潤を更に大きくするために水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性化合物を10wt%程度まで添加する事もできる。水付与後に熱処理機として一般的に用いられているピンテンター型のヒートセッターで熱処理する場合、製織後または精練後の織物の両端を固定した状態で熱処理する。その固定した幅を製織後または精練後の織物幅より狭くして、且つ、経方向により緊張させた状態で処理すれば良い。幅入れ熱処理及び精練を終了した後は、裏地の一般的な加工工程である染色、仕上げ工程が適用される。
本発明の裏地は、上述された方法で得られた織物を用いることで、好適に得られる。
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。尚、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
(1)緯伸び率の評価
カトーテック(株)製のKES−FB1を用いて、20cm×20cmの織物を把持長(L)5cm、引っ張り速度0.2mm/秒で緯方向に伸長し、490N/mの応力下での伸びE(%)を次式により算出した。
E(%)=(ΔL/L)×100 (4)
ここでΔLは490N/m応力下で伸びた長さ(cm)である。
(2)動摩擦係数の評価
カトーテック(株)のKES−SEを用いて、金巾3号精練上がりの綿布を摩擦面寸法が1cm×1cmで重量が25gの摩擦子に取り付けて、5cm/minの速度で固定した裏地の表面上を滑らせ、その時の摩擦抵抗力から次式によって動摩擦係数(μ)を求めたものである。式中のAは測定器に掲示された摩擦抵抗力の平均値(gf)、Bは摩擦子の重量(g)をそれぞれ表わす。なお、摩擦係数は裏地の経糸方向に滑らした値と緯糸方向に滑らせたときの値の平均値を裏地の動摩擦係数とした。
動摩擦係数(μ)=A/B (5)
(3)織物中の緯糸クリンプ率
織物(生機、仕上げ後の織物、裏地製品)中の緯糸クリンプ率は、織物の緯糸方向に20cmの印を付けた後、織物を分解して取り出した緯糸に繊度の1/10の荷重をかけ、そのときの印間長さL(cm)を計測して次式により算出した。
緯糸のクリンプ率(%)={(L−20)/20}×100 (3)
(4)縫目滑脱
JIS−L−1096法(B法)に準拠して測定した。着用時には緯方向に応力が加わり易いので緯方向の滑脱(緯糸が滑脱する発生する緯糸上の経糸のズレ量)を計測した。経方向10cm(幅)、緯方向17cm(長さ)のピースを長さの半分に折り、縫い代1cmで本縫いし(針11番、糸50番ポリエステル糸、5針/cm)、折り目を切断した。このピースを引っ張り試験で定荷重(5kg/2.54cm)の負荷を掛け、無荷重で1時間後に0.5kg/2.54cmの荷重を掛けその時の縫目ズレ量を縫目滑脱量とした。値はn=3の平均値で算出した。
以下、実施例1〜5、比較例1に於いて、経糸にポリエステル系長繊維を用いた場合の実例を開示する。
〔実施例1〕
経糸に撚り係数(K)が4260の56dtex/24fのポリエチレンテレフタレート長繊維(鞘芯構造の制電糸)、緯糸に断面形状がW型をした56dtex/30fポリエチレンテレフタレート長繊維(長径と短径の長さの比は約3:1)の無撚糸を用いて、経糸密度122本/2.54cm、緯糸密度99本/2.54cmの平織物を製織した。
この生機をピンテンターにより、190℃×30秒の条件で生機織物幅に対して15%の幅入れを行った。次にオープンソーパー型の連続精練機を用いて、90℃の水酸化ナトリウム5g/lとノニオン系界面活性剤2g/lを含む浴で精練した後、湯洗(80℃)・脱水・乾燥(120℃)した。引き続き、パッドスチーム法にて水酸化ナトリウム125g/l、ネオレートNA30(日華化学社製:アルキルホスフェート系浸透剤 10g/l)を含む処理液を含浸・絞液(絞り率40wt%)して連続アルカリ減量を行い、常法にて中和・湯洗・乾燥を行った。染色は液流染色機を用い、分散染料(C.I DISPERSE BLUE 291:1%owf)とディスパーTL(明成化学社製、:タモール型分散剤 1g/l)とPH調整剤(酢酸:0.5cc/l)からなる浴で130℃×30分染色し、その後還元洗浄を経て染色織物を得た。かかる織物をNKガードFGN800(日華化学社製、フッ素系撥水剤:1wt%)とミュウロンAS222(ミヨシ油脂社製、カチオン系制電剤:1wt%)からなる水溶液を用いて、パッドドライキュア法(予備乾燥100℃×1分、本乾燥180℃×30秒)で仕上げられた織物を使用して裏地を得た。物性結果を表1に示す。
〔実施例2〕
経糸に撚り係数(K)が4260の56dtex/24fのポリエチレンテレフタレート長繊維(鞘芯構造の制電糸)、緯糸に断面形状がW型をした84dtex/30fポリエチレンテレフタレート長繊維(長径と短径の長さの比は約3:1)の無撚糸を用いて、経糸密度117本/2.54cm、緯糸密度80本/2.54cmの平織物を製織した。
この生機をピンテンターにより、195℃×30秒の条件で生機織物幅に対して18%の幅入れを行った。精練・連続アルカリ減量・染色・仕上げ加工は実施例1と同様の方法で行い裏地を得た。物性結果を表1に示す。
〔実施例3〕
経糸に撚り係数(K)が7100の56dtex/24fのポリエチレンテレフタレート長繊維(鞘芯構造の制電糸)、緯糸に丸断面の84dtex/70fポリエチレンテレフタレート長繊維の無撚糸を用いて、経糸密度120本/2.54cm、緯糸密度82本/2.54cmの平織物を製織した。
この生機をピンテンターにより、190℃×30秒の条件で生機織物幅に対して16%の幅入れを行った。精練・アルカリ減量・染色・仕上げ加工は実施例1と同様の方法で行い裏地を得た。物性結果を表1に示す。
〔実施例4〕
経糸に撚り係数(K)が7100の56dtex/24fのポリエチレンテレフタレート長繊維(鞘芯構造の制電糸)、緯糸に84dtex/45fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維を用いて、経糸密度120本/2.54cm、緯糸密度85本/2.54cmの平織物を製織した。
この生機を25℃の水に約5秒浸漬した後、脱液機にて絞り率48%にしたあと連続的にピンテンターにて、製織後の織物幅に対して14%の幅入れを170℃×30秒の条件で行った。精練は実施例1と同様にオープンソーパー型連続精練機を用いて行った。染色は液流染色機を用いて130℃で60分行った。染色条件は浴比1:20、浴PH5.5、薬剤としては分散染料(C.I DISPERSE BLUE 291:1%owf)、直接染料(C.I DIRECT BLUE 291:1%owf)、ディスパーTL(明成化学社製、タモール型分散剤:1g/l)、硫酸ナトリウム50g/lを用いた。仕上げ加工はパッドドライキュア法で、スミテックスレジンNF−500K(住友化学社製、ノンホルマリン系樹脂:5wt%)、スミテックスACC X−110(住友化学社製、金属塩系触媒:1.5wt%)、ニッカMS−1F(日華化学社製、メチロールアミド系柔軟剤:1wt%)を用いて、ディップ・ニップ後、予備乾燥(100℃×1分)し架橋のための熱処理(160℃×90秒)を行い、裏地を得た。物性結果を表1に示す。
〔実施例5〕
実施例3において緯糸に84dtex/36f丸型断面のポリエチレンテレフタレート長繊維を用いる以外は、すべて実施例2と同様の方法で行い裏地を得た。物性結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1の経糸が56dtex/24fのポリエチレンテレフタレート長繊維(鞘芯構造の制電糸)の無撚糸使い以外は、すべて実施例1と同様の方法で行い裏地を得た。物性結果を表1に示す。
以下の実施例6〜13、比較例2〜4に於いて、経糸にセルロース系長繊維を用いた場合の実例を開示する。
〔実施例6〜8〕
経糸に撚り係数(K)が2100(実施例6)と4260(実施例7)と7100(実施例8)の56dtex/30fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維、緯糸に56dtex/45fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維の無撚糸を用いて、経糸密度136本/2.54cm、緯糸密度103本/2.54cmの平織物を製織した。
この生機を製織後の織物幅に対しておよそ12%の幅入れを行うためにオープンソーパー型の連続精練機を用いて、30℃の3.15wt%水酸化ナトリウム水溶液(5°ボーメ)に浸漬した後、湯洗(80℃)・水洗を繰り返し脱水・乾燥(120℃)させた。実質的な幅入れ率は、撚り係数が高くなるほど高くなった(実施例6は9.5%、実施例7は10.2%、実施例8は11.2%)。染色はコールドバッチ法で25℃で15時間行った。染料にはビニルスルフォン系反応染料(SUMIFIX NAVY BLUE GS:1%owf)を、水酸化ナトリウム10g/lを用いた。引き続く仕上げ加工は実施例4の処方に準じて実施し、裏地を得た。但し、樹脂と触媒濃度は2倍量使用した。物性結果を表2に示す。
〔比較例2〜3〕
経糸に撚り係数(K)が1060(比較例2)と16300(比較例3)の56dtex/30fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維、緯糸に56dtex/45fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維の無撚糸を用いて、経糸密度136本/2.54cm、緯糸密度103本/2.54cmの平織物を製織した。
この生機を実施例6の方法の準じて精練・幅入れ、染色、仕上げ加工を行い、裏地を得た。物性結果を表2に示す。
〔実施例9〕
経糸に撚り係数(K)が14100の66dtex/36fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維をSSZZ2本交互使いで用い、緯糸に84dtex/45fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維を用いて、経糸密度118本/2.54cm、緯糸密度83本/2.54cmの平織物を製織した。この生機を実施例6の方法の準じて精練・幅入れ、染色、仕上げ加工を行い、裏地を得た。物性結果を表2に示す。
〔実施例10〕
経糸に撚り係数(K)が14200の84dtex/45fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維をSSZZ2本交互使いで用い、緯糸に84dtex/45fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維の無撚糸を用いて、経糸密度113本/2.54cm、緯糸密度72本/2.54cmの平織物を製織した。この生機を実施例6の方法の準じて精練・幅入れ、染色、仕上げ加工を行い、裏地を得た。物性結果を表3に示す。
〔比較例4〕
実施例10の経糸が84dtex/45fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維の無撚使い以外は、すべて実施例10と同様の方法で行い裏地を得た。物性結果を表3に示す。
〔実施例11〕
経糸に撚り係数(K)が7100の56dtex/30fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維、緯糸に断面形状がW型をした84dtex/30fポリエチレンテレフタレート長繊維(長径と短径の長さの比は約3:1)の無撚糸を用いて、経糸密度136本/2.54cm、緯糸密度85本/2.54cmの平織物を製織した。
この生機をピンテンターにより、190℃×30秒の条件で生機織物幅に対して12%の幅入れを行った。精練は実施例1と同様にオープンソーパー型連続精練機を用いて行った。染色は液流染色機を用いて130℃で60分行った。染色条件は浴比1:20、浴PH5.5、薬剤としては分散染料(C.I DISPERSE BLUE 291:1%owf)、直接染料(C.I DIRECT BLUE 291:1%owf)、ディスパーTL(明成化学社製、タモール型分散剤:1g/l)、硫酸ナトリウム50g/lを用いた。仕上げ加工はパッドドライキュア法で、スミテックスレジンNF−500K(住友化学社製、ノンホルマリン系樹脂:5wt%)、スミテックスACC X−110(住友化学社製、金属塩系触媒:1.5wt%)、ニッカMS−1F(日華化学社製、メチロールアミド系柔軟剤:1wt%)を用いて、ディップ・ニップ後、予備乾燥(100℃×1分)し架橋のための熱処理(160℃×90秒)を行い、裏地を得た。物性結果を表3に示す。
〔実施例12〕
経糸に撚り係数(K)が5200の84dtex/33fのビスコース法レーヨン長繊維、緯糸に110dtex/44fのビスコース法レーヨン長繊維の無撚糸を用いて、経糸密度136本/2.54cm、緯糸密度71本/2.54cmの綾織物を製織した。
この生機を実施例6に準拠して精練・幅入れ、染色、仕上げ加工を行い、裏地を得た。物性結果を表3に示す。
〔実施例13〕
経糸に撚り係数が7100の56dtex/30fのキュプラアンモニウムレーヨン長繊維、緯糸に84dtex/20fのジアセテート長繊維の無撚糸を用いて、経糸密度136本/2.54cm、緯糸密度80本/2.54cmの平織物を製織した。
生機を25℃の水に約5秒浸漬した後、脱液機で絞り率51%にしたあと連続的にピンテンターにて、製織後の織物幅に対して10%の幅入れを190℃×30秒の条件で行った。精練は実施例1に準拠して行った。染色はジッガー染色法で分散染料(C.I DISPERSE BLUE 291:1%owf)とディスパーTL(明成化学社製、タモール型分散剤:1g/l)を用いて95℃で1時間ジアセテートを染めた後、直接染料(C.I DIRECT BLUE 291:1%owf)と硫酸ナトリウム50g/lを用いてキュプラアンモニウムレーヨンを染めた。仕上げ加工はパッドドライキュア法で、スミテックスレジンNF−500K(住友化学社製、ノンホルマリン系樹脂:5wt%)、スミテックスACC X−110(住友化学社製、金属塩系触媒:1.5wt%)、ニッカMS−1F(日華化学社製、メチロールアミド系柔軟剤:1wt%)を用いて、ディップ・ニップ後、予備乾燥(100℃×1分)し架橋のための熱処理(160℃×90秒)を行い、裏地を得た。物性結果を表3に示す。
Figure 2008012869
Figure 2008012869
Figure 2008012869
本発明の目的は、滑り性を損ねることなく緯方向の伸びが8%以上のストレッチ裏地を提供することにあり、かかる性能により着用時の縫目の滑脱や圧迫感の少ない着用快適性に優れた裏地の提供を可能ならしめるものである。本発明の裏地は特に表地のストレッチ率が15%以上の衣料の裏地に好適である。

Claims (6)

  1. 下記(1)で定義される撚り係数(K)が2,000以上、15,000以下のセルロース系長繊維又はポリエステル系長繊維を経糸に、無撚のセルロース系長繊維又はポリエステル系長繊維を緯糸に用いてなる織物からなり、緯伸び率が8%以上、20%未満、表面の動摩擦係数が0.20以上、0.40以下、下記(2)で定義されるクリンプ指数(C)が0.007以上、0.015以下である事を特徴とする緯ストレッチ裏地。
    K=(0.9×D)0.5×T (1)
    C=製品の緯糸のクリンプ率/{M×(D)0.5} (2)
    式中、Dは経糸繊度(dtex)、Tは撚糸回数(t/m)、Mは経糸密度(本/2.54cm)を意味する。
  2. 織物の緯伸び率が12%以上、20%以下である請求項1記載の緯ストレッチ裏地。
  3. 緯糸がセルロース系長繊維である請求項1記載の緯ストレッチ裏地。
  4. セルロース系長繊維がキュプラアンモニウムレーヨン長繊維、ビスコース法レーヨン長繊維及び精製セルロース長繊維のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の緯ストレッチ裏地。
  5. ポリエステル系長繊維がポリエチレンテレフタレート系長繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の緯ストレッチ裏地。
  6. 生機状態で織物にアルカリ水溶液を付与した後、該織物を生機幅に対して5〜30%の幅入れした状態で熱処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の緯ストレッチ裏地の製造方法。
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