JPWO2007125787A1 - 表面に被覆膜を有する反応射出成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この被覆膜形成には、これまで、反応射出成形法(RIM法)により、モノマー及び触媒等からなる反応原液を金型内で塊状重合して得られた樹脂成形体の表面をスプレー塗装する方法が採用されてきた。
この問題を解決する方法として、インモールドコーティング法が知られている。反応射出成形法によって成形体を製造すると、反応原液が成形体となる際に体積が収縮する。これを成形収縮というが、この成形収縮により、金型と成形体との間に、通常、5〜500μmの間隙が生じる。インモールドコーティング法は、この成形収縮によって生じた成形体と金型表面との間隙に被覆剤を注入して、これを硬化して、成形体に被覆膜を形成する方法である。インモールドコーティングの後、被覆膜を有する成形体を金型から取出す。
しかしながら、このインモールドコーティング法をユニットバスの洗い場パン等の盆状成形体に適用すると、被覆剤が盆状成形体の縦壁部にまでは入り込みにくく、このため、特にこの部分に良好な被覆膜を形成することができないことがある。
ところが、成形体の形状によっては、このような縦壁の厚さの調整が不可能であったり、リブの形成が好ましくなかったりする場合があり、このような成形体については、上記手法が適用できない。
また、特許文献2には、反応射出成形で得られた成形品を成形品固定手段で固定した状態で、金型内に被覆剤を注入して硬化させ、成形品の表面に被覆膜を形成する方法が開示されている。
しかしながら、成形品の形状によっては、固定が十分でない場合があり、塗布欠陥が生じる場合があった。
本発明の反応射出成形体の製造方法において、重合性組成物として、メタセシス重合性組成物を用いるのが好適である。
本発明の反応射出成形体の製造方法において、繊維状充填材と粒子状充填材との含有重量比率(繊維状充填材/粒子状充填材)が、95/5〜55/45であることが好ましい。
本発明の反応射出成形体の製造方法において、繊維状充填材が0.1〜50μmの50%体積累積径を有するものであることが好ましい。
本発明の反応射出成形体の製造方法において、粒子状充填材が0.1〜50μmの50%体積累積径を有するものであることが好ましい。
また、本発明の反応射出成形体の製造方法において、アスペクト比が5〜100の繊維状充填材がウォラストナイト又はウィスカー状炭酸カルシウムであることが好ましい。
また、本発明の反応射出成形体の製造方法において、アスペクト比が1〜2の粒子状充填材が炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムであることが好ましい。
また、本発明の反応射出成形体の製造方法において、無機充填材の量が、ノルボルネン系モノマー及び触媒の合計量100重量部に対して、5〜55重量部であることが好ましい。
更に本発明によれば、上記反応射出成形体の製造方法によって得られる、無機充填材を含有してなるノルボルネン系モノマーの塊状重合体からなり、その表面に被覆膜を有する反応射出成形体が提供される。
本発明の反応射出成形体は、好適には、大型パネルである。
本発明で得られる、被覆膜を有する反応射出成形体は、バンパーやエアデフレクター等の自動車用途、ホイルローダーやパワーショベル等の建設・産業機械用途、ゴルフカートやゲーム機等のレジャー用途、医療機器等の医療用途、大型パネルや椅子等の産業用途、シャワーパンや洗面ボウル等の住宅設備用途、等において好適に使用できる。
ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を有するものであればよく、その具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;及びシクロペンタジエン四量体等の七環体を挙げることができる。これらの二環体〜七環体は、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基等の炭化水素基や、エステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子等の極性基を置換基として有していてもよい。中でも、入手が容易であり、反応性に優れることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、より好ましくは三環体〜五環体のノルボルネン系モノマーである。
ノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、コモノマーとして用いることもできる。
メタセシス重合触媒は、ノルボルネン系モノマーを開環重合することができる触媒であればよく、特に限定されない。
メタセシス重合触媒は、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体である。遷移金属原子としては、第5、6及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、第5族の原子としては、例えばタンタルが挙げられ、第6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、第8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。
これらの中では、有機モリブデン酸アンモニウム塩が好ましい。これらのメタセシス重合触媒を用いる場合には、重合活性を制御する目的で、活性剤(共触媒)として有機アルミニウム化合物又は有機スズ化合物を併用することが好ましい。
ルテニウムカルベン錯体の中では、少なくとも2つのカルベン炭素がルテニウム金属原子に結合しており、該カルベン炭素のうち少なくとも一つにはヘテロ原子を含む基が結合しているルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。
活性剤は、モノマーに溶解して用いるが、反応射出成形法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり、溶解性を高めたりして用いてもよい。
かかる活性調節剤としては、ルイス塩基が好適であり、エーテル、エステル、ニトリル等が使用される。具体的には、ブチルエーテル、安息香酸エチル、ジグライム等が例示される。共重合モノマーとして、極性基含有モノマーを用いる場合には、それ自体がルイス塩基であることがあり、活性調節剤としての作用を兼ね備えていることもある。活性調節剤は、活性剤を含む溶液に添加するのが好ましい。また、活性調節剤としては、アルコール類も好適に用いることができる。
更に、モノマーの重合転化率を向上させるため、重合促進剤を添加することが好ましい。重合促進剤としては、塩素原子含有化合物が好ましく、中でも有機塩素化合物及び塩素化ケイ素化合物が好ましい。その具体例としては、ヘキサクロロ−p−キシレン、2,4−ジクロロ−トリクロロトルエン、四塩化ケイ素等を挙げることができる。
上記活性調節剤及び重合促進剤の添加量は、特に限定されないが、それぞれ、重合性組成物重量の概ね10ppm〜10%である。
なお、本発明において、充填材のアスペクト比とは、充填材の平均長軸径と50%体積累積径との比をいう。ここで、平均長軸径は、光学顕微鏡写真で無作為に選んだ100個の充填材の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均長軸径である。
また、50%体積累積径は、X線透過法で粒度分布を測定することにより求められる値である。
この比率が上記範囲内にあることにより、塗膜欠陥がない被覆膜を有する成形体を得ることが、より容易に可能になる。
繊維状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。50%体積累積径が小さすぎると、これを用いて得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分になる場合がある。逆に、50%体積累積径が大きすぎると、重合反応液を金型内に注入する際に、重合反応液がタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。
中でも、塊状重合を阻害せず、得られる成形体の剛性を少ない使用量で高めることができるウォラストナイト及びウィスカー状炭酸カルシウムが好ましい。
また、粒子状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μm、特に好ましくは1〜10μmである。50%体積累積径が小さすぎると、これを用いて得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分になる場合がある。逆に、50%体積累積径が大きすぎると、重合反応液を金型内に注入する際に、重合反応液がタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。
中でも、塊状重合反応を阻害しないので、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムが好ましい。
疎水化処理に用いられる処理剤としては、ビニルシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ステアリン酸等の脂肪酸、油脂、界面活性剤、ワックス等を挙げることができる。
充填材の疎水化処理は、ノルボルネン系モノマー、重合触媒及び充填材を含有してなる重合性組成物を調製する際に、疎水化処理剤を同時に混合することによっても可能であるが、予め疎水化処理を行なった充填材を用いて重合性組成物の調製を行なうのが好ましい。
無機充填材の量が多すぎると、反応液を金型内に注入する際にタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。逆に、少なすぎると、得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分な場合がある。
特に、エラストマーを添加することにより、反応原液の粘度を調整し、得られる成形体の耐衝撃性を改良することができる。エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの水素化物を挙げることができる。
エラストマーの使用量は、ノルボルネン系モノマー100重量部に対し、通常、0.5〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。
即ち、重合触媒が活性剤を必要としない場合には、ノルボルネン系モノマーを含有する反応原液(i)と、重合触媒を含有する反応原液(ii)とを混合すればよい。ここで、重合触媒を含有する反応原液(ii)は、重合触媒を少量の不活性溶媒に溶解又は分散して調製する。
一方、重合触媒が活性剤を必要とする場合には、ノルボルネン系モノマーと重合触媒とを含有する反応原液(以下、「A液」ということがある。)と、ノルボルネン系モノマーと活性剤とを含有する反応原液(以下、「B液」ということがある。)とを混合すればよい。このとき、ノルボルネン系モノマーのみからなる反応原液(以下、「C液」ということがある。)を併用してもよい。
繊維状充填材と粒子状充填材とは、それぞれ別個の反応原液に配合しても、両者を同一の反応原液に配合してもよいが、後者の配合方法の方が好ましく、これにより、充填材の沈降が抑制され、重合性組成物の保存安定性が良好になる。
ノルボルネン系モノマー、重合触媒及び無機充填材を含有してなる重合性組成物を金型内で塊状重合させるには、例えば、反応射出成形(RIM)装置として公知の衝突混合装置を用いることができる。
この衝突混合装置に、二種以上の反応原液(「A液」、「B液」及び「C液」、又は、反応原液(i)及び反応原液(ii))を、それぞれ別個に導入して、ミキシングヘッドで瞬間的に混合させ、得られる重合性組成物を金型内に注入して、この金型内で塊状重合させることにより、反応射出成形体を得ることができる。
なお、衝突混合装置に代えて、ダイナミックミキサーやスタティックミキサー等の低圧注入機を使用することも可能である。
なお、供給前の反応原液の温度は、好ましくは10〜60℃であり、反応原液の粘度は、例えば30℃において、通常、5〜3,000cP、好ましくは50〜1,000cP程度である。
金型の材質は、特に限定されず、スチール、アルミニウム、亜鉛合金、ニッケル、銅、クロム等の金属及び樹脂を示すことができる。また、これらの金型は、鋳造、鍛造、溶射、電鋳等のいずれの方法で製造されたものでもよく、また、メッキされたものであってもよい。
型の構造は、型に混合液及び被覆剤を注入する際の圧力を勘案して決めるとよい。また、金型の型締め圧力は、ゲージ圧で、通常、0.1〜9.8MPaである。
成形時間は、ノルボルネン系モノマー、重合触媒及び重合活性剤(共触媒)の種類、これらの組成比、金型温度等によって変化するので、一様ではないが、一般的には5秒〜6分、好ましくは10秒〜5分である。
雄金型の金型温度T1と雌金型の金型温度T2との差(T1−T2)は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、上限は好ましくは60℃以下である。T1は、好ましくは110℃以下、より好ましくは95℃以下であり、下限は好ましくは50℃以上である。T2は、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下であり、下限は好ましくは30℃以上である。
金型温度を調整する方法としては、例えば、ヒータによる金型温度の調整;金型内部に埋設した配管中に循環させる、温調水、油等の熱媒体の温度調整;等が挙げられる。
本発明においては、この隙間に被覆剤注入口から被覆剤を注入して、成形体の表面に被覆膜を形成する。なお、被覆剤をより確実に注入するために、雄金型を雌金型に対して相対的に僅かに型開きし、雄金型の金型内面と成形体との間に十分な隙間を形成した後に、被覆剤を注入してもよい。
被覆剤は、複数の被覆剤注入口が設けられている場合、全ての注入口から同時に注入することが好ましい。同時に注入することで注入ムラなく被覆剤を入れることができる。なお、雄金型と雌金型とを閉じたままで、被覆剤を型締圧より高い圧力で、雄金型の金型内面と成形体との間に注入してもよい。隙間は、最終的に得られる被覆膜厚さを考慮して適宜決定すればよい。
ここで、ジイソシアネート化合物としては、各種公知のものを用いることができる。具体的には、トリレンジイソシアネートや、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトエタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の有機ジイソシアネートを挙げることができる。これらジイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく混合物として用いてもよい。
また、ジオール化合物としては、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレンジオールや、ジカルボン酸又はその無水物のジエステル反応生成物であるジエステルジオール等が代表的なものとして挙げられる。
更に、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、一般式:CH2=CRCO2−(CnH2n)−OH(但し、Rは−H又は−CH3であり、nは2〜8の整数である)で示される化合物が有用である。
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエチレングリコールや、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸との反応によって製造することができる。(メタ)アクリル酸に代えて、他の不飽和カルボン酸を用いてもよい。
モノマー成分の配合量は、ビヒクル成分100重量部に対し、20〜200重量部、好ましくは40〜160重量部が適当であり、この範囲で適度な硬化特性と粘性とを有する被覆剤が得られる。
有機過酸化物重合開始剤は、前記ビヒクル成分及びモノマー成分を重合させるために使用する。有機過酸化物重合開始剤は、1分間半減期温度が90℃〜135℃であることが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が代表的なものとして挙げられるが、これらに限定されない。
離型剤の融点が125℃より高い温度であると、ノルボルネン系モノマーの成形温度が通常65〜95℃でありノルボルネン系モノマーの反応熱により硬化物表面温度が上昇することを考慮しても、離型剤が十分に溶融せず、本来の離型効果が得られにくい。なお、離型剤は、常温で液状のものであってもよい。
離型剤の配合量は、ビヒクル成分100重量部に対し、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜5重量部が適当で、この範囲で離型効果が発揮される。
上記以外の離型剤としては、例えば、シリコーン油やヘキサフルオロプロペンオリゴマー等のフッ素化合物、ワックス等が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノンや、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール等が挙げられる。
紫外線吸収剤及び光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、トリアジン系紫外線吸収剤が代表的なものとして挙げられる。
着色顔料としては、例えば酸化チタンや、酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カーボンブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、炭酸カルシウムや、タルク、シリカ、クレー、マイカ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等が代表的なものとして挙げられる。
導電性顔料としては、例えば、導電性カーボンブラックや、グラファイト等が挙げられる。
改質樹脂は、ビヒクル成分との相溶性のよいことが必要であり、その具体例としては、ポリメチルメタクリレートや、ポリ酢酸ビニル、飽和ポリエステル、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
被覆剤を隙間に注入する際の雄金型の金型温度は、被覆剤の硬化温度よりも低くてもよいが、被覆剤の注入後は、被覆剤の硬化温度以上に設定することが好ましい。
被覆剤の注入圧力は、特に限定されないが、好ましくは1〜50MPa、更に好ましくは3〜30MPa、特に好ましくは5〜22MPaである。圧力が低すぎると、被覆剤が十分浸透しないおそれがあり、逆に、注入圧力が高すぎると、設備費が過大になり、金型の構造を耐圧性にする必要があるので経済性に劣る可能性がある。
なお、本発明の反応射出成形体は、コンクリートを流し込む際のガイドとなるコンクリートパネル;貯水や水溶薬品保管用等の外壁パネル:等の大型パネル(特に盆状成形体)として好適に用いられる。大型パネルの長辺(盆状成形体の場合は最も長い辺)の長さは、好ましくは1,000mm〜3,000mmであり、短辺(盆状成形体の場合は最も短い辺)の長さは好ましくは400〜2,000mmである。
(金型)
上端が縦1,200mm、横600mmで、下端が縦1,190mm、横590mm、高さ150mmの盆状成形体を成形するための、鍛造アルミニウム製雌型と電鋳アルミニウム製雄型からなる金型の雄型の長手両側面中央部と頂点の3箇所に被覆剤注入口を有し、各被覆剤注入口に最高注入圧力40MPaのインジェクターを取付けた。盆状成形体周囲及びランナー部分に幅30mm、厚さ0.5mmのバリを形成するためのガイド及び堰を雌型の上部外周に形成するとともに、雄型の該バリ端末に、直交する二辺の長さがいずれも5mmである断面直角三角形状の被覆剤もれ防止用突起部を形成する溝を設けた。なお、該溝は、被覆剤もれ防止用突起部の垂直部分が成形体側を向くようにした。また、該雄型溝の一箇所にエア排出用に突起欠陥部として長さ10mm程度のパテを埋めた。
反応射出成形用反応原液成分として、ジシクロペンタジエン90部及びトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エラストマーとして、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(日本ゼオン社製、商品名「クインタック3421」)を3部溶解させた。次いで、活性剤として、ジエチルアルミニウムクロリドを、活性調節剤として1,3−ジクロロ−2−プロパノールを、それぞれ100ミリモル/kg濃度となるよう添加して混合分散し、反応原液(A液)を得た。A液の比重は0.98であった。
これとは別に、ジシクロペンタジエン90部及びトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エラストマーとして、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(日本ゼオン社製、商品名「クインタック3421」)を3部溶解させた。次いで、ここにフェノール系酸化防止剤(チオジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「イルガノックス1010」)を2部溶解させ、さらに重合触媒としてトリ(ドデシル)アンモニウムモリブデートを25ミリモル/kg濃度となるように、重合促進剤としてヘキサクロロ−p−キシレンを8.5ミリモル/kg濃度となるように、添加して均一に混合分散した。
得られた混合液に、繊維状充填材としての、ビニルシランで表面処理されている、50%体積累積径が20μmでアスペクト比が18のウォラストナイト(キンセイマテック社製、商品名「SH−400」)42.75重量部と、粒子状充填材としての、ステアリン酸で表面処理されている、50%体積累積径が1.4μmでアスペクト比が1の重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、商品名「SCP−E#2300」)14.25重量部とを加えて攪拌混合し、反応原液(B液)を得た。得られたB液の比重は1.46であった。
雄型及び雌型を型締めし、前記雌型及び雄型をそれぞれ40℃及び90℃に加熱し、成形体の面積当たり0.49MPaの圧力で型締めし、RIM成形機を利用して、ミキシングヘッド中で等体積のA液100部とB液146部とを衝突混合させ、得られた反応原液を上記金型に注入した。反応原液を充填後、前記金型温度で約1分保持した。
次いで、被覆剤200mLを20MPaの圧力で型内に注入し、前記金型温度に3分間保持した。被覆剤としては、ウレタンアクリレートオリゴマーを主成分とする塗料〔大日本塗料社製、商品名「プラグラス#400」〕100部と、ジブチルフタレート1部及びビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート〔化薬アクゾ社製、商品名「パーカドックス16」〕1部からなるペーストとを、混合したものを用いた。
その後、型を開き、被覆膜を有する盆状成形体を取出した。盆状成形体の意匠外観を目視観察したところ、被覆膜の塗布状態は全内面で欠損部が無く、厚み100〜300μmで全ての部分で被覆されていた。また、成形体樹脂部分の総充填材含率は30%であった。
繊維状充填材及び粒子状充填材をいずれも添加しなかったほかは、実施例1と同様にして、盆状成形体を得た。盆状成形体の意匠外観を目視観察したところ、盆状成形体の凹部分に線状の非塗装部分があり、盆状成形体全体に被覆膜を形成することができなかった。
繊維状充填材の量を57重量部とし、粒子状充填材を添加しなかった他は、実施例1と同様にして反応原液(B液)を得た。得られたB液の比重は1.46であった。成形と被覆膜の形成とは実施例1と同様にして行った。得られた盆状成形体の意匠外観を目視観察したところ、盆状成形体の角部分の塗装がされていなかった。また、成形体樹脂部分の総充填材含率は30%であった。
縦1,500mm、横1,300mm、高さ100mmの薄箱状のコンクリートパネルを成形するための鍛造アルミニウム雄金型及び雌金型からなる金型の雌金型の中央部分の1箇所に被覆剤を注入するための最高注入圧力40MPaのインジェクターを取付けた。成形体周囲及びランナー部分に幅30mm、厚さ0.5mmのバリを形成するためのガイド及び堰を雌金型の上部外周に形成するとともに、直交する二辺の長さがいずれも5mmの直角三角形状の断面を有する被覆剤もれ防止用突起部を形成するための溝を雄金型の上記バリの端末に設けた。なお、該溝は、被覆剤もれ防止用突起部の垂直部分が成形体側を向くようにした。また、雄金型溝の一箇所に、エア排出用に突起欠陥部として、長さ約10mmのパテを埋めた。
雄金型及び雌金型を型締めし、雄金型及び雌金型を40℃及び90℃にそれぞれ加熱し、成形体の面積あたり0.49MPaの圧力で型締めし、RIM成形機を利用して、ミキシングヘッド中で等体積のA液(実施例1と同じもの)400部とB液(実施例1と同じもの)584部とを衝突混合させ、得られた反応原液を上記金型に注入し、上記金型温度で約1分間保持した。
次いで、実施例1で用いたと同じ被覆剤800mLを20MPaの圧力で型内に注入し、前記金型温度に3分間保持した。
その後、型を開き、被覆膜を有する盆状成形体を取出した。盆状成形体の意匠外観を目視観察したところ、被覆膜の塗布状態は全内面で欠損部が無く、厚み100〜300μmで全ての部分で被覆されていた。また、成形体樹脂部分の総充填材含率は30%であった。
即ち、ノルボルネン系モノマー、重合触媒、並びにアスペクト比が5〜100の繊維状充填材及びアスペクト比が1〜2の粒子状充填材からなる無機充填材を含有してなる重合性組成物を、型内で塊状重合させて成形体を得、引き続き型内でインモールドコーティング法によって該成形体表面に被覆膜を形成させることによって、被覆面全面で欠損部がない被覆膜が得られることが分かる。これに対して、繊維状充填材のみを使用した場合は、盆状成形体の角部分等に非塗装部が生じ(比較例2)、充填材を全く使用しなかった場合は、盆状成形体の凹部分に塗装欠陥が生じることが分かる(比較例1)。
Claims (10)
- ノルボルネン系モノマー、重合触媒、並びにアスペクト比が5〜100の繊維状充填材及びアスペクト比が1〜2の粒子状充填材からなる無機充填材を含有してなる重合性組成物を、型内で塊状重合させて成形体を得、引き続き型内でインモールドコーティング法によって該成形体表面に被覆膜を形成させることを特徴とする、その表面に被覆膜を有する反応射出成形体の製造方法。
- 重合性組成物がメタセシス重合性組成物である、請求の範囲第1項に記載の反応射出成形体の製造方法。
- 繊維状充填材と粒子状充填材との含有重量比率(繊維状充填材/粒子状充填材)が、95/5〜55/45である、請求の範囲第1項又は第2項に記載の反応射出成形体の製造方法。
- 繊維状充填材が0.1〜50μmの50%体積累積径を有するものである請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の反応射出成形体の製造方法。
- 粒子状充填材が0.1〜50μmの50%体積累積径を有するものである請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の反応射出成形体の製造方法。
- アスペクト比が5〜100の繊維状充填材がウォラストナイト又はウィスカー状炭酸カルシウムである、請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の反応射出成形体の製造方法。
- アスペクト比が1〜2の粒子状充填材が炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムである、請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の反応射出成形体の製造方法。
- 無機充填材の量がノルボルネン系モノマー及び触媒の合計量100重量部に対して5〜55重量部である、請求の範囲第1項〜第7項のいずれか1項に記載の反応射出成形体の製造方法。
- 請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の反応射出成形体の製造方法によって得られる、無機充填材を含有してなるノルボルネン系モノマーの塊状重合体からなり、その表面に被覆膜を有する反応射出成形体。
- 大型パネルである請求の範囲第9項に記載の被覆膜を有する反応射出成形体。
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