JP2003011152A - 被膜を持つ成形体およびその製造方法 - Google Patents

被膜を持つ成形体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003011152A
JP2003011152A JP2001196834A JP2001196834A JP2003011152A JP 2003011152 A JP2003011152 A JP 2003011152A JP 2001196834 A JP2001196834 A JP 2001196834A JP 2001196834 A JP2001196834 A JP 2001196834A JP 2003011152 A JP2003011152 A JP 2003011152A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
tray
molded product
bottom wall
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001196834A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuo Suzuki
勝雄 鈴木
Hiroyuki Yonemaru
裕之 米丸
Koji Miyazaki
光司 宮崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2001196834A priority Critical patent/JP2003011152A/ja
Publication of JP2003011152A publication Critical patent/JP2003011152A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/16Making multilayered or multicoloured articles
    • B29C45/1679Making multilayered or multicoloured articles applying surface layers onto injection-moulded substrates inside the mould cavity, e.g. in-mould coating [IMC]

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 盆状成形体の内面に、容易に被膜を形成する
ことができる成形体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 ノルボルネン系モノマーを含む反応原液
を、雄型24と雌型26とにより形成される金型内で塊
状重合させて、型開き面に平行な底壁42と、その底壁
42の周辺部から所定角度で立ち上がる縦壁44とを有
する盆状成形体4を成形する工程と、金型内で前記盆状
成形体4を成形中に、成形体4の温度が最高温度に到達
した時点から5秒後〜20分以内の時点から、被覆剤の
注入を開始し、雄型24の内面と盆状成形体4の内面と
の隙間に前記被覆剤を入り込ませて硬化させ、盆状成形
体4の内面に被膜を形成する工程とを、有する被膜を持
つ成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリノルボルネン
系樹脂からなる盆状成形体の内面に被膜が形成された成
形体を、同一の金型内で製造するための方法と、その方
法により得られる被膜を持つ成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、意匠性や耐候性といった各種
特性を付与するために、ノルボルネン系モノマーを反応
射出成形(RIM)法により金型内で塊状重合させて得
られるポリノルボルネン系樹脂成形品の表面をスプレー
塗装して被膜を形成することが行われている。ところ
が、このようにスプレー塗装による被膜が形成された樹
脂成形品では、樹脂の表面酸化による経時変化から被膜
密着力が不十分になる傾向がある。また、スプレー塗装
工程は、成形工程とは別工程となるため、生産コストが
高くなる問題がある。
【0003】そこで、ポリノルボルネン系樹脂成形品の
表面に、密着性良く被膜を形成するための種々の提案が
なされている。そして、このような提案の一つとしてイ
ンモールドコート法が知られている。
【0004】たとえば、特開平11−300776号公
報では、以下に示す樹脂成形品の製造方法が開示されて
いる。この公報に示す技術では、ジシクロペンタジエン
を主成分とする成形材料を、可動型と固定型とで形成さ
れたキャビティ内に反応射出成形法により成形する。そ
して、同一金型内にて、得られた成形品と金型内面との
間に、重合開始剤、離型剤、エチレン系不飽和モノマー
など5種類の成分を必須とし、さらに必要に応じて配合
できる着色顔料からなる被覆剤を注入する。その被覆剤
が硬化した後、被覆された成形品を金型から取り出し、
被膜が形成された樹脂成形品を得る。
【0005】特開2001−71345号公報では、以
下に示す架橋重合体成形品の製造方法が開示されてい
る。この公報に示す技術では、環状オレフィンを主成分
とする成形材料を、キャビティ金型温度とコア金型温度
との間に温度差がある金型に、樹脂注入口から注入し、
メタセシス重合による反応射出成形を行う。ついで、高
温側金型側に設けられた塗料注入口から塗料を注入し、
該成形品の塗装と塗料の硬化を行ない、被膜が形成され
た成形品を得る。この種のいわゆるインモールドコート
法を用いた上記公報記載の方法では、工程を簡略化でき
るメリットはある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、ユニットバスの
洗い場パンなどの盆状成形体をノルボルネン系モノマー
の反応射出成形により成形することが提案されている。
しかも、この盆状成形体の内面にも、塗装被膜を形成し
ようとする要請がある。
【0007】ところが、上述した公報に記載のインモー
ルドコート法を用い、盆状成形体の内面に被膜を形成し
ようとしても、盆状成形体の縦壁の内面にまで、被覆剤
が入り込みにくく、良好な被膜を形成することが困難で
ある。
【0008】本発明の目的は、盆状成形体の内面に、容
易に被膜を形成することができる被膜を持つ成形体の製
造方法、およびこの方法により得られる被膜を持つ成形
体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、いわゆるインモールド
コート法において、盆状成形体の縦壁の内面にまで被覆
剤を良好に入り込ませるためには、反応原液の塊状重合
終了から被覆剤注入開始までのタイミングが重要である
と共に、縦壁の厚み、リブの形成位置などが重要である
ことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】すなわち、本発明に係る被膜を持つ成形体
の製造方法は、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液
を、雄型と雌型とにより形成される金型内で塊状重合さ
せて、型開き面に平行な底壁と、その底壁の周辺部から
所定角度で立ち上がる縦壁とを有する盆状成形体を成形
する工程と、前記金型内で前記盆状成形体を成形中に、
前記成形体の温度が最高温度に到達した時点から5秒後
〜20分以内の時点から、被覆剤の注入を開始し、前記
雄型の内面と前記盆状成形体の内面との隙間に前記被覆
剤を入り込ませて硬化させ、前記盆状成形体の内面に被
膜を形成する工程とを、有する。好ましくは、被覆剤を
注入するための注入口は、前記盆状成形体の底壁を形成
する部分に対応する前記雄型に形成してある。
【0011】本発明において、底壁の周辺部から立ち上
がる縦壁の所定角度としては、特に限定されないが、好
ましくは、90〜135度である。
【0012】好ましくは、前記金型内で前記盆状成形体
を成形中に、前記成形体の温度が最高温度に到達した時
点から5秒後〜10分以内の時点、特に好ましくは10
秒後〜5分以内の時点から、前記被覆剤の注入を開始す
る。
【0013】好ましくは、前記盆状成形体の底壁におけ
る前記雌型と接する外面には、リブまたはボスを形成す
る。
【0014】好ましくは、前記盆状成形体の縦壁の厚み
が、前記底壁の厚みよりも厚いことが好ましい。好まし
くは、縦壁の厚みは、底壁の厚みの約1.5倍以上、さ
らに好ましくは1.8倍以上である。また、縦壁の厚み
は、好ましくは8mm以上である。
【0015】好ましくは、前記盆状成形体の縦壁と底壁
との交差部における前記雌型と接する外面には、10mm
以上の高さを持つリブを形成する。
【0016】本発明に係る被膜を持つ成形体は、ノルボ
ルネン系モノマーを含む反応原液を、雄型と雌型とによ
り形成される金型内で塊状重合させて、型開き面に平行
な底壁と、その底壁の周辺部から所定角度で立ち上が
り、前記底壁よりも厚い縦壁とを有する盆状成形体を成
形し、前記金型内で前記盆状成形体を成形中に、前記成
形体の温度が最高温度に到達した時点から5秒後〜20
分以内の時点から、被覆剤の注入を開始し、前記雄型の
内面と前記盆状成形体の内面との隙間に前記被覆剤を入
り込ませて硬化させ、前記盆状成形体の内面に被膜を形
成することを特徴とする。
【0017】好ましくは、前記盆状成形体の縦壁と底壁
との交差部における前記雌型と接する外面には、10mm
以上の高さを持つリブが形成される。
【0018】
【作用】本発明に係る被膜を持つ成形体およびその製造
方法では、成形体の温度が最高温度に到達した時点から
5秒後〜20分以内の時点から、前記被覆剤の注入を開
始することで、盆状成形体の底壁および縦壁の内面に、
均一且つ良好に被覆剤が回り込み、しかも、得られる皮
膜の成形体への密着性が向上する。
【0019】また、本発明では、ポリノルボルネン系樹
脂からなる盆状成形体における縦壁の内面にまで、良好
に被覆剤が回り込み、その内面に被膜を均一且つ容易に
形成でき、意匠性などに優れたものとすることができ
る。
【0020】本発明において、盆状成形体の縦壁の厚み
を、底壁の厚みよりも厚く、好ましくは8mm以上とする
ことで、特に、以下に示す作用を奏する。すなわち、金
型の内部でノルボルネン系モノマーを塊状重合させてポ
リノルボルネン系樹脂からなる成形体を成形する場合、
得られる成形体に収縮(ひけ)を生じる。この収縮は、
金型の型開き方向において顕著であることから、型開き
面に対して平行な底壁に対して略直角な縦壁の厚み方向
の収縮は、底壁の厚み方向の収縮よりも小さい。そのた
め、縦壁の内面と雄型の内面との間の隙間は、底壁の内
面と雄型の内面との間の隙間よりも小さく成りやすい。
したがって、縦壁の内面と雄型の内面との間の隙間に
は、被覆剤が入り込み難い。本発明では、盆状成形体の
縦壁の厚みを、底壁の厚みよりも厚く、好ましくは8mm
以上とすることで、縦壁の厚み方向の収縮を大きくし、
縦壁の内面と雄型の内面との間の隙間を比較的に大きく
する。そのため、縦壁の内面と雄型の内面との間の隙間
に、被覆剤が回り込みやすくなる。
【0021】また、本発明において、盆状成形体の縦壁
と底壁との交差部における雌型と接する外面に、10mm
以上の高さを持つリブを形成することで、盆状成形体の
縦壁と底壁との交差部における雄型側面に、収縮による
窪みが形成される。本発明では、この窪みを積極的に利
用する。すなわち、本発明では、この交差部に窪みが形
成されることで、被覆剤が、成形体の底壁から縦壁に沿
って流れ込む際に、この窪みが、雄型の角部と成形体と
の密着(いわゆる抱きつき)を防止し、液溜まりの作用
を成し、成形体の底壁から縦壁に沿って被覆剤を都合良
く案内する。その結果、成形体の交差部内面および縦壁
の内面における被覆剤の被覆性がさらに向上する。
【0022】さらに、本発明において、盆状成形体の底
壁における雌型と接する外面に、リブまたはボスを形成
することで、金型内での成形体の硬化時における成形収
縮に起因すると考えられる被覆剤の被覆不良、皺または
クラックなどを有効に防止することができる。
【0023】本発明に適用できる成形体としては、特に
限定されないが、バスタブ、ユニットバスの洗い場パ
ン、洗濯機パンなどの防水パンなどが例示される。ただ
し、ポリノルボルネン系樹脂からなる盆状成形体の内面
に被膜が形成された成形体であれば特に限定されるもの
ではない。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0025】図1は本発明の一実施形態に係る被膜を持
つ成形体の製造方法を実施するための金型装置の概略断
面図、図2は図1のII部分の要部断面図、図3は成形途
中を示す図2と同様な要部断面図、図4は被覆剤の注入
タイミングを示すグラフである。
【0026】本実施形態では、被膜を持つ成形体とし
て、ユニットバスの洗い場パンを例示し、まずはこの洗
い場パンの構成を簡単に説明し、次いでこの洗い場パン
を製造する金型装置および製造方法を説明する。
【0027】本実施形態に係るユニットバスの洗い場パ
ンは、入浴者の洗い場となるものであり、図3に示すよ
うに、ポリノルボルネン系樹脂からなる盆状成形体4の
内面に被膜6が形成され、しかも平面視した場合に矩形
状に構成されている。盆状成形体4は、たとえば3〜1
0mm程度の厚みt1’を持つ底壁42と、該底壁42
の周辺部から立ち上げられ、たとえば3〜15mm程度
の厚みt2’を持つ縦壁44とを有する。底壁42の周
辺部から立ち上がる縦壁44の角度は、90〜135度
である。本実施形態では、縦壁44の厚みが、底壁42
の厚みよりも厚いことが好ましい。好ましくは、縦壁4
4の厚みは、底壁42の厚みの約1.5倍以上、さらに
好ましくは1.8倍以上である。また、縦壁44の厚み
は、好ましくは8mm以上である。
【0028】底壁42には、外側方向(=縦壁44が立
ち上げられる方向とは反対方向、以下同じ)に向けて延
び、洗い場パンに強度を付与するためのリブ426が複
数形成してある。リブ426の突出高さt3’は、たと
えば10〜100mmである。底壁42には、リブ42
6の他に、あるいはこれとともに、ボス部(図示省略)
が形成してあってもよい。本実施形態では、このリブ4
26は、底壁42と縦壁44との交差部の外側にも形成
してある。
【0029】なお、洗い場パンの外周の上端部近傍に
は、ユニットバスの壁パネル(図示省略)を配置するた
めの壁立て面を形成しても良い。また、盆状成形体4の
底壁42には、外部へ排水を行うための、たとえば50
〜200mm程度の直径を持つ排水口(図示省略)が形
成してあってもよい。
【0030】本実施形態に係る洗い場パン(被膜を持つ
成形体)を製造するには、たとえば図1に示す金型装置
20を用いることができる。金型装置20は、分割面2
2に対して垂直な型開き方向Xに分割可能な雄型24と
雌型26とを有し、これら雄型24と雌型26とを分割
面22で型締めすることにより、金型内部にキャビティ
28が形成されるようになっている。
【0031】本実施形態では、キャビティ28は、第1
キャビティ部282と、第2キャビティ部284と、第
3キャビティ部286とで構成されている。図1〜図3
に示すように、第1キャビティ部282は、盆状成形体
4の底壁42を形成するための隙間であり、第2キャビ
ティ284および第3キャビティ部286と連結してい
る。第1キャビティ部282の幅t1は、たとえば3〜
15mm程度とすればよい。この幅t1は、上述した盆
状成形体4の底壁42の厚みt1’を考慮して決定され
る。
【0032】第2キャビティ部284は、前記底壁42
から立ち上げられる縦壁44を形成するための隙間であ
る。本実施形態では、第2キャビティ部284の幅t2
を、盆状成形体4の縦壁44に8/1000〜12 /
1000程度の成形収縮(厚み方向)を生じることを考
慮して、好ましくは8mm以上、より好ましくは10m
m以上に設定する。盆状成形体4の縦壁44に対応する
第2キャビティ部の幅t2を8mm以上と厚く設定する
ことで、この部分の厚み方向に対する成形収縮を十分に
とることができ、図3に示すように、硬化後の縦壁44
の内面と雄型24の内面との隙間60を十分に確保する
ことができる。その結果、後述する被覆剤による被覆が
従来困難であった縦壁44の内面への被膜6の形成を確
実に行うことができる。この幅t2は、上述した盆状成
形体4の縦壁44の厚みt2’を考慮して決定される。
【0033】第3キャビティ部286は、リブ426を
形成するための隙間である。なお、第3キャビティ部2
86は、リブ426の他に、あるいはこれとともに、ボ
ス部(図示省略)を形成する場合には、さらに該ボス部
を形成するための隙間をも含む。第3キャビティ部28
6の深さt3は、好ましくは10mm以上、より好まし
くは20mm以上である。
【0034】底壁42の外側に形成されるリブおよび/
またはボス部を形成するための第3キャビティ部の幅t
3を10mm以上とすることで、成形収縮に起因すると
考えられる被覆剤の塗装不良および皺、クラックなどの
諸問題を改善することができる。この幅t3は、上述し
た盆状成形体4のリブ426の厚みt3’を考慮して決
定される。
【0035】特に本実施形態では、図2および図3に示
すように、成形体のリブ426を形成するための第3キ
ャビティ部286を、第1キャビティ部282と第2キ
ャビティ284の交差部における雌型26側の内面に形
成している。
【0036】なお、キャビティ28の場所によって成形
収縮の度合いが異なるので、金型形状のぼかし(収縮率
の差分の寸法を順次変化させること、又は、寸法差を徐
重すること)を使って幅t1〜t3を調整することも好
ましい。
【0037】本実施形態では、雄型24の略中央部に、
被覆剤注入口34が具備してあり、そこに、被覆剤注入
装置32が装着してある。被覆剤注入口34の内径は、
たとえばφ10〜φ15程度とすればよく、被覆剤注入
口34を複数設ける場合には、各注入口ごとに内径が異
なっていても良い。こうした被覆剤注入口から後述する
被覆剤が隙間60(図3参照)に注入される。
【0038】また、本実施形態では、後述するノルボル
ネン系モノマーの反応原液の注入口が分割面22の一部
に形成してあり、そこには、ノルボルネン系モノマーの
反応原液を注入するためのミキサー30が具備してあ
る。
【0039】本実施形態では、このような金型装置20
を用い、洗い場パン(被膜を持つ成形体)を以下のよう
にして製造する。
【0040】まず、図1に示すように、雄型24を雌型
26と分割面22で組み合わせて、雄型24と雌型26
との間にキャビティ28を形成し、ここにミキサー30
から反応原液を供給する。供給前の反応原液の温度は、
好ましくは10〜60℃であり、反応原液の粘度は、た
とえば30℃において、通常5〜3000cps、好ま
しくは50〜1000cps程度である。
【0041】本実施形態で用いる反応原液に含まれるノ
ルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有す
るものであればよく、その具体例としては、ノルボルネ
ン、ノルボルナジエン等の二環体、ジシクロペンタジエ
ン(シクロペンタジエン二量体)、ジヒドロジシクロペ
ンタジエン等の三環体、テトラシクロドデセン等の四環
体、シクロペンタジエン三量体等の五環体、シクロペン
タジエン四量体等の七環体、およびこれら二環体〜七環
体のメチル、エチル、プロピルおよびブチル等のアルキ
ル、ビニル等のアルケニル、エチリデン等のアルキリデ
ン、フェニル、トリルおよびナフチル等のアリール等の
置換体、更には、これら二環体〜七環体のエステル基、
エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子等の極性基を有す
る置換体等が挙げられる。中でも、入手が容易であり、
反応性に優れることから、三環体以上の多環ノルボルネ
ン系モノマーが好ましく、より好ましくは三環体、四環
体、或いは五環体のノルボルネン系モノマーである。ノ
ルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよい
し、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもでき
る。なお、上述したノルボルネン系モノマーのととも
に、これと開環共重合し得るシクロブテン、シクロペン
テン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロド
デセンなどの単環シクロオレフィンなどを、コモノマー
として用いることもできる。
【0042】メタセシス触媒としては、ノルボルネン系
モノマーを開環重合することができる触媒であれば良
く、特に限定されない。メタセシス触媒は遷移金属原子
を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン
及び/又は化合物が結合してなる錯体である。遷移金属
原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、
以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は
特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタ
ルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデン
やタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例え
ばルテニウムやオスミウムが挙げられる。
【0043】6族のタングステンやモリブデンを中心金
属とするメタセシス触媒としては、六塩化タングステン
などの金属ハロゲン化物;タングステン塩素酸化物など
の金属オキシハロゲン化物;酸化タングステンなどの金
属酸化物;およびトリドデシルアンモニウムモリブデー
トやトリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート等の
有機金属酸アンモニウム塩等を用いることができる。こ
れらの中では、有機モリブデン酸アンモニウム塩が好ま
しい。これらのメタセシス触媒を用いる場合には、重合
活性を制御する目的で、活性剤(共触媒)として有機ア
ルミニウム化合物又は有機スズ化合物を併用することが
好ましい。
【0044】本発明では、メタセシス触媒として、5
族、6族および8族の金属原子を中心金属とする金属カ
ルベン錯体を用いることも好ましい。金属カルベン錯体
の中では、8族のルテニウムやオスミウムのカルベン錯
体が好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好まし
い。塊状重合時の触媒の活性が優れるため、ノルボルネ
ン系樹脂成形体の生産性に優れ、得られるノルボルネン
系樹脂成形体の臭気(未反応のノルボルネン系モノマー
に由来する)が少なく、生産性に優れるからである。
【0045】金属カルベン錯体は、中心金属原子にカル
ベン化合物が結合し、金属原子(M)とカルベン炭素
(>C:)が直接に結合した構造(M=C)を錯体中に
有するものである。カルベン化合物とは、カルベン炭素
すなわちメチレン遊離基を有する化合物の総称である。
【0046】ルテニウムカルベン錯体の中では、少なく
とも2つのカルベン炭素がルテニウム金属原子に結合し
ており、該カルベン炭素のうち少なくとも一つには、ヘ
テロ原子を含む基が結合しているルテニウムカルベン錯
体が特に好ましい。ここで、ヘテロ原子とは、周期律表
第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、
N、O、P、S、As、Se原子等を挙げることができ
る。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる
観点から、N、O、P、S原子が好ましく、N原子が特
に好ましい。ヘテロ原子含有カルベン化合物の中では、
カルベン炭素には、好ましくはその両側に、ヘテロ原子
が隣接して結合しているものが好ましく、カルベン炭素
原子とその両側のヘテロ原子とを含むヘテロ環が構成さ
れているものが更に好ましく、当該ヘテロ環は二重結合
を含まない飽和環構造となっていることが特に好まし
い。さらに、カルベン炭素に隣接するヘテロ原子には嵩
高い置換基を有していることが好ましい。以上のような
好ましい構造を持つカルベン化合物が結合したルテニウ
ムカルベン錯体をメタセシス触媒として使用した場合
に、塊状重合の活性が特に高く、ノルボルネン系樹脂成
形体の生産効率が特に良くなる。ルテニウムカルベン錯
体の具体的な例は、WO97/06185、特表平10
−508891号公報、特開平11−322953号公
報などに開示される。
【0047】メタセシス触媒の使用量は、反応液全体で
使用するモノマー1モルに対し、通常0.01ミリモル
以上、好ましくは0.1ミリモル以上、かつ50ミリモ
ル以下、好ましくは20ミリモル以下である。メタセシ
ス触媒の使用量が少なすぎると重合活性が低すぎて反応
に時間がかかるため生産効率が悪く、使用量が多すぎる
と反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に硬
化したり、触媒が析出し易くなり均質に保存することが
困難になる。
【0048】活性剤(共触媒)としては、特開昭58−
127728号公報、特開平4−226124号公報、
特開昭58−129013号公報、特開平4−1452
47号公報に開示してあるような公知の活性剤であれ
ば、特に制限はなく、たとえば、エチルアルミニウムジ
クロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキル
アルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウ
ムハライド等の有機アルミ化合物、有機スズ化合物など
が挙げられる。なお、メタセシス触媒としてルテニウム
カルベン錯体を用いる場合には、活性剤を用いても用い
なくてもよい。
【0049】活性剤の使用量は、特に限定されないが、
通常、反応液全体で使用するメタセシス触媒1モルに対
して、0.1モル以上、好ましくは1モル以上、かつ1
00モル以下、好ましくは10モル以下である。活性剤
を用いないか、又は活性剤の使用量が少なすぎると、重
合活性が低すぎて反応に時間がかかるため生産効率が悪
くなる。また、逆に、使用量が多すぎると、反応が激し
すぎるため型内に十分に充填される前に硬化することが
ある。
【0050】活性剤は、モノマーに溶解して用いるが、
RIM法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲
であれば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混
合することにより、析出しにくくしたり、溶解性を高め
て用いてもよい。
【0051】反応原液には、所望により、補強材、酸化
防止剤、充填剤、エラストマー、顔料、着色剤、発泡
剤、難燃剤、摺動付与剤、ジシクロペンタジエン系熱重
合樹脂およびその水添物など種々の添加剤を配合しても
よい。
【0052】ノルボルネン系モノマーと、メタセシス触
媒を含む液と、必要に応じて活性剤を含む液とを調製
し、混合すると、塊状重合が起こる。塊状重合を行うに
際しては、上記液をミキシングヘッドなどを用いて瞬間
的に混合し、直ちにその混合液を金型のキャビティ内に
注入して重合を開始させる。そして、金型装置のキャビ
ティ内での塊状重合(反応射出成形)が終了し、成形体
が固化した段階で金型を型開きすることにより、成形体
が得られる。なお、用いる金型の材質および大きさ、成
形時の重合時間、金型温度その他の条件は、通常のポリ
ノルボルネン系樹脂の塊状重合による成形と同様であっ
てよい。
【0053】キャビティ28内に反応原液を供給して硬
化させる場合において、雄型24の金型温度T1(℃)
を雌型26の金型温度T2(℃)より高く設定しておく
ことが好ましい(T1>T2)。こうすることで、成形
体4における被膜6が形成される面を、ヒケや気泡のな
い表面外観の美麗な面とすることができ、ひいては被膜
6の密着性向上に資することができる。本実施形態で
は、T1−T2は、好ましくは5℃以上、より好ましく
は10℃以上であり、上限は好ましくは50℃程度であ
る。T1は、好ましくは100℃以下、より好ましくは
90℃以下であり、下限は好ましくは50℃程度であ
る。T2は、好ましくは70℃以下、より好ましくは6
0℃以下であり、下限は好ましくは30℃程度である。
【0054】金型温度を調整する方法としては、たとえ
ば、ヒータによる金型温度の調整;金型内部に埋設した
配管中に、温調水、油等の熱媒体を循環させる温度の調
整;などが挙げられる。
【0055】キャビティ28内での塊状重合が終了する
と、ポリノルボルネン系樹脂からなる成形体4が得られ
るが、この成形体4には、図3に示すように、厚み方向
に対して成形収縮を生じる。縦壁44は、金型の略型開
き方向に沿って延びているため、雄型24の内面との隙
間60が生じにくいが、本実施形態では、この縦壁44
に対応する第2キャビティ部284を8mm以上と厚く
設定しているので、被覆剤を案内するために必要十分な
隙間60が確保される。また、本実施形態では、図3に
示すように、底壁42と縦壁44の交差部の外側にもリ
ブ426が形成されることから、成形体4の交差部の内
面に、ヒケによる窪み428が形成される。その窪み4
28が、雄型24の角部と成形体4との密着(いわゆる
抱きつき)を防止し、液溜まりの作用を成し、成形体4
の底壁42から縦壁44に沿って被覆剤を都合良く案内
する。
【0056】本実施形態では、このようにして確保され
た隙間60に、図1に示す被覆剤注入口34から被覆剤
を注入する。ただし、本発明では、より確実な注入を行
うために、雄型24を雌型26に対して相対的に僅かに
型開きし、雄型24の金型内面と成形体4との間に十分
な隙間60を形成した後に、被覆剤を注入してもよい。
【0057】被覆剤は、雄型24に設けられた被覆剤注
入口34から注入されるが、複数の被覆剤注入口が設け
られている場合、全ての注入口から同時に注入すること
が好ましい。同時に注入することで注入ムラなく被覆剤
を入れることができる。
【0058】なお、雄型24と雌型26とを閉じたまま
で、被覆剤を型締圧より高い圧力(通常10MPa程
度)で、雄型24の金型内面と成形体4との間に注入し
てもよい。隙間60は、最終的に得られる被膜厚みを考
慮して適宜決定すればよく、通常5〜500μm程度、
好ましくは10〜200μm程度に設定される。
【0059】被覆剤の組成は、特に限定されないが、た
とえば、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を有
するオリゴマーおよび/または不飽和ポリエステル樹脂
(A成分)と、エチレン性不飽和モノマー(B成分)
と、1分間半減期温度が90〜135℃の有機過酸化物
重合開始剤(C成分)と、有機過酸化物重合開始剤用の
促進剤(D成分)と、融点が125℃以下の離型剤(E
成分)とを含む被覆剤を用いることが好ましい。
【0060】本発明で使用可能な少なくとも2個の(メ
タ)アクリレート基を有するオリゴマー(A成分)とし
ては、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアク
リレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴ
マー、ポリエーテルアクリレートオリゴマーなどが挙げ
られる。
【0061】エポキシアクリレートオリゴマーは、エポ
キシ化合物と不飽和カルボン酸とをエポキシ基1当量当
たり、カルボキシル基当量0.5〜1.5となるような
割合で、通常のエポキシ基への酸の開環付加反応によっ
て製造される。ここで、不飽和カルボン酸としては、ア
クリル酸や、メタクリル酸が代表的なものとして挙げら
れる。
【0062】ウレタンアクリレートオリゴマーは、ジイ
ソシアネート化合物、ジオール化合物及びヒドロキシル
基含有(メタ)アクリレートを、一括混合して反応させ
ることによって得ることができる。他の方法として、ジ
オール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させ
て、1分子当たり1個以上のイソシアネート基を含むウ
レタンイソシアネート中間体を形成し、次いで、この中
間体とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート基とを
反応させる方法、ジイソシアネート化合物とヒドロキシ
ル基含有(メタ)アクリレートとを反応させて、1分子
当たり1個以上のイソシアネート基を含むウレタン(メ
タ)アクリレート中間体を形成し、次いで、この中間体
とジオール化合物とを反応させる方法等が挙げられる。
ここで、ジイソシアネート化合物としては、各種公知の
ものを用いることができ、具体的には、トルエンジイソ
シアネートや、イソホロンジイソシアネート、ポリメチ
レンポリフェニルジイソシアネート、1,2−ジイソシ
アナトエタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,
3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の有
機ジイソシアネートを挙げることができる。これらジイ
ソシアネート化合物は、単独又は混合物として用いても
良い。また、ジオール化合物としては、エチレングリコ
ールや、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のアルキレンジオールや、ジカルボン酸又はその無
水物のジエステル反応生成物であるジエステルジオール
等が代表的なものとして挙げられる。更に、ヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、一般
式:CH =CRCO −(C2n)−OH
(但し、Rは−H又は−CH であり、nは2〜8の
正数である)で示される化合物が有用である。
【0063】ポリエステルアクリレートオリゴマーは、
例えば、水酸基を末端に有するポリエステルポリオール
と、前述の不飽和カルボン酸との反応によって製造する
ことができる。
【0064】ポリエーテルアクリレートオリゴマーは、
例えば、ポリエチレングリコールや、ポリプロピレング
リコールなどのポリエーテルポリオールと、前述の不飽
和カルボン酸との反応によって製造することができる。
【0065】本発明で使用可能な不飽和ポリエステル樹
脂(A成分)は、例えば、マレイン酸やフマル酸などの
不飽和二塩基酸と、エチレングリコール、プロピレング
リコール、トリメチロールプロパンなどの多価アルコー
ルとの縮合反応によって製造することができる。
【0066】本発明で使用可能なエチレン性不飽和モノ
マー(B成分)としては、例えば、スチレンや、α−メ
チルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビ
ニルベンゼン、メチル(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリ
コールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、シリコーンアクリレート、シリ
コーンジアクリレート等が代表的なものとして挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。エチレン性不
飽和モノマーの配合量は、A成分100重量部に対し、
20〜200重量部、好ましくは40〜160重量部が
適当であり、この範囲で適度な硬化特性と粘性とを有す
る被覆剤が得られる。
【0067】本発明で使用可能な有機過酸化物重合開始
剤(C成分)は、前記ビヒクル成分(A成分)及び(B
成分)を重合させるために使用する。有機過酸化物重合
開始剤は、1分間半減期温度が90℃〜135℃である
必要があり、このような有機過酸化物としては、例え
ば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ
ジカーボネートや、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−
ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t−ブチルパー
オキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシネ
オデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ラ
ウロイルパーオキサイド、2,4,4−トリメチルペン
チルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−アミル
パーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパー
オキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノ
エート等が代表的なものとして挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
【0068】有機過酸化物重合開始剤の1分間半減期温
度が135℃よりも高くなると、ノルボルネン系モノマ
ーの硬化物は通常65〜95℃の金型温度で成形される
ため、被覆剤の硬化時間が著しく長くなり、場合によっ
ては全く硬化しないことになる。また、1分間半減期温
度が90℃よりも低くなると、被覆剤のポットライフが
著しく短くなり、被覆剤注入装置内でゲル化し、被覆剤
の注入作業ができなくなり好ましくない。有機過酸化物
重合開始剤の配合量は、A成分100重量部に対し、
0.1〜15重量部、好ましくは1〜8重量部が適当で
ある。
【0069】本発明で使用可能な促進剤(D成分)は、
有機過酸化物重合開始剤の速やかな活性化をさせるため
に使用する。促進剤としては、ナフテン酸コバルトや、
オクチル酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜
鉛、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉛、あるいはこれ
らの混合物が代表的なものとして挙げられるが、これら
に限定されるものではない。促進剤の配合量は、A成分
100重量部に対し、0.01〜20重量部、好ましく
は0.04〜10重量部が適当である。
【0070】本発明で使用可能な離型剤(E成分)は、
融点が125℃以下の離型剤が使用される。このような
離型剤としては、例えば、ステアリン酸や、ヒドロキシ
ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、大豆油レシチン、シ
リコーン油、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール二塩基
酸エステル類が代表的なものとして挙げられる。離型剤
の融点が125℃より高い温度であると、ノルボルネン
系モノマーの成形温度は通常65〜95℃であり、ノル
ボルネン系モノマーの反応熱による硬化物表面温度の上
昇を考慮しても、離型剤が十分に溶融せず、本来の離型
効果が得られにくい。なお、離型剤は、常温で液状のも
のであってもよい。離型剤の配合量は、A成分100重
量部に対し、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜
5重量部が適当で、この範囲で離型効果が発揮される。
【0071】前記被覆剤には、その他必要に応じて、重
合禁止剤や、紫外線吸収剤、光安定剤、着色顔料、体質
顔料、導電性顔料、改質樹脂、表面調整剤等を配合する
ことができる。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロ
キノンや、ベンゾキノン、パラターシャリブチルカテコ
ール等が挙げられる。紫外線吸収剤及び光安定剤として
は、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、ト
リアジン系紫外線吸収剤が代表的なものとして挙げられ
る。着色顔料としては、例えば酸化チタンや、酸化鉄、
フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カー
ボンブラック等が挙げられる。体質顔料としては、炭酸
カルシウムや、タルク、シリカ、クレー、マイカ、硫酸
バリウム、水酸化アルミニウム等が代表的なものとして
挙げられる。導電性顔料としては、例えば、導電性カー
ボンブラックや、グラファイト等が挙げられる。改質樹
脂は、A成分と相溶性のよいことが必要であるが、ポリ
メチルメタクリレートや、ポリ酢酸ビニル、飽和ポリエ
ステル、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
【0072】被覆剤を被覆剤注入口34から注入するタ
イミングは、図4に示すように、モノマーをキャビティ
内に注入する時点t0の温度T0から、金型の内部で重
合反応が生じて最高温度Tmaxとなる時点t1とな
り、その時点t1から、所定範囲内の時間tsである。
所定範囲内の時間tsは、5秒後〜20分以内、好まし
くは、5秒後〜10分以内、特に好ましくは10秒後〜
5分以内である。被覆剤の注入圧力は、特に限定されな
いが、好ましくは1〜50MPa程度である。
【0073】なお、被覆剤を注入する前に、予め金型内
面に離型剤を塗布しておいてもよい。離型剤を塗布して
おくことにより、得られる成形体の表面状態が良好とな
る。さらに、こうした離型剤を前記被覆剤に含めておい
てもよい。使用可能な離型剤としては、たとえばシリコ
ン油やヘキサフルオロプロペンオリゴマーなどのフッ素
化合物、ワックスなどが挙げられる。
【0074】本実施形態では、被覆剤を隙間60に注入
する際に、雄型24の金型温度を、被覆剤の硬化温度
(現行では、約90°C)よりも低くても良いが、被覆
剤の注入後は、雄型24の金型温度を、被覆剤の硬化温
度以上に設定する。
【0075】その後、注入された被覆剤を硬化させる。
被覆剤の硬化時間は、好ましくは1〜10分、より好ま
しくは2〜5分である。
【0076】そして、金型を完全に型開きして脱型する
ことにより、被膜6が形成された盆状成形体4が得られ
る。成形体4の大きさや形状などは、特に限定されず、
所望の大きさおよび形状にすることができる。
【0077】本実施形態に係る被膜6を持つ成形体4お
よびその製造方法では、図4に示すように、成形体の温
度が最高温度Tmaxに到達した時点から、5秒後〜2
0分以内の時点tsから、被覆剤の注入を開始する。こ
のため、盆状成形体4の底壁42および縦壁44の内面
に、均一且つ良好に被覆剤が回り込み、しかも、得られ
る皮膜6の成形体4への密着性が向上する。
【0078】また、本実施形態では、盆状成形体4の底
壁42を形成する部分に対応する雄型24の一部に形成
してある被覆剤注入口34から、雄型24の内面と盆状
成形体4の内面との隙間60に、被覆剤を注入して硬化
させている。このため、ポリノルボルネン系樹脂からな
る盆状成形体4における縦壁44の内面にまで、良好に
被覆剤が回り込み、その内面に被膜6を均一且つ容易に
形成でき、意匠性などに優れたものとすることができ
る。
【0079】さらに、本実施形態では、盆状成形体4の
縦壁44の厚みを、底壁42の厚みよりも厚く、好まし
くは8mm以上とすることで、特に、以下に示す作用を奏
する。すなわち、金型の内部でノルボルネン系モノマー
を塊状重合させてポリノルボルネン系樹脂からなる成形
体4を成形する場合、得られる成形体4に収縮(ひけ)
を生じる。この収縮は、金型の型開き方向において顕著
であることから、型開き面に対して平行な底壁42に対
して略直角な縦壁44の厚み方向の収縮は、底壁42の
厚み方向の収縮よりも小さい。そのため、縦壁44の内
面と雄型24の内面との間の隙間60は、底壁42の内
面と雄型24の内面との間の隙間60よりも小さく成り
やすい。しかしながら、本実施形態では、盆状成形体4
の縦壁44の厚みを、底壁42の厚みよりも厚く、好ま
しくは8mm以上とすることで、縦壁44の厚み方向の収
縮を大きくし、縦壁44の内面と雄型24の内面との間
の隙間60を比較的に大きくする。そのため、縦壁44
の内面と雄型24の内面との間の隙間60に、被覆剤が
回り込みやすくなる。
【0080】また、本実施形態においては、盆状成形体
4の縦壁44と底壁42との交差部における雌型26と
接する外面に、10mm以上の高さを持つリブ426を形
成する。このため、盆状成形体4の縦壁44と底壁42
との交差部における雄型側面に、収縮による窪み428
が形成される。本実施形態では、この窪み428を積極
的に利用する。すなわち、本実施形態では、この交差部
に窪み428が形成されることで、被覆剤が、成形体4
の底壁42から縦壁44に沿って流れ込む際に、この窪
み428が、雄型24の角部と成形体4との密着(いわ
ゆる抱きつき)を防止し、液溜まりの作用を成し、成形
体4の底壁42から縦壁44に沿って被覆剤を都合良く
案内する。その結果、成形体4の交差部内面および縦壁
44の内面における被覆剤の被覆性がさらに向上する。
【0081】さらに、本実施形態では、盆状成形体4の
底壁42における雌型26と接する外面に、複数のリブ
286またはボスを形成することで、金型内での成形体
の硬化時における成形収縮に起因すると考えられる被覆
剤の被覆不良、皺またはクラックなどを有効に防止する
ことができる。
【0082】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0083】たとえば、上述した実施形態では、成形体
としてのユニットバスの洗い場パン2を例示して説明し
てきたが、本発明ではこれに限定されず、バスタブ、洗
濯機パンなどの防水パンなどの他、ポリノルボルネン系
樹脂からなる盆状成形体の内面に被膜が形成された成形
体に広範に適用することができる。
【0084】また、上述した実施形態では、盆状成形体
4の内面のみに被膜6を形成したが、両方の面に被膜6
を形成してもよい。この場合、たとえば、雄型24の金
型内面と成形体4との間に形成された隙間60に被覆剤
を入れて硬化させた後、雌型26の金型内面と成形体4
との間に隙間60を形成し、ここに被覆剤を入れて硬化
させればよい。
【0085】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、盆状成形体の内面に、容易に被膜を形成することが
できる成形体の製造方法、およびこの方法により得られ
る被膜を持つ成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る被膜を持つ
成形体の製造方法を実施するための金型装置の概略断面
図である。
【図2】 図2は図1のII部分の要部断面図である。
【図3】 図3は成形途中を示す図2と同様な要部断面
図である。
【図4】 図4は被覆剤の注入タイミングを示すグラフ
である。
【符号の説明】
4… 盆状成形体 42… 底壁 426… リブ 428… 窪み 44… 縦壁 6… 被膜 20… 金型装置 22… 分割面 24… 雄型 26… 雌型 28… キャビティ 282… 第1キャビティ部 284… 第2キャビティ部 286… 第3キャビティ部 30… ミキサー 32… 被覆剤注入装置 34… 被覆剤注入口 60… 隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 光司 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 4F206 AA12 AA21 AG03 AG28 AH49 JA01 JB22 JM05 JN12 JQ81

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン系モノマーを含む反応原液
    を、雄型と雌型とにより形成される金型内で塊状重合さ
    せて、型開き面に平行な底壁と、その底壁の周辺部から
    所定角度で立ち上がる縦壁とを有する盆状成形体を成形
    する工程と、 前記金型内で前記盆状成形体を成形中に、前記成形体の
    温度が最高温度に到達した時点から5秒後〜20分以内
    の時点から、被覆剤の注入を開始し、前記雄型の内面と
    前記盆状成形体の内面との隙間に前記被覆剤を入り込ま
    せて硬化させ、前記盆状成形体の内面に被膜を形成する
    工程とを、有する被膜を持つ成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記盆状成形体の底壁における前記雌型
    と接する外面には、リブまたはボスを形成することを特
    徴とする請求項1に記載の被膜を持つ成形体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記盆状成形体の縦壁の厚みが底壁の厚
    みよりも厚いことを特徴とする請求項1または2に記載
    の被膜を持つ成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記盆状成形体の縦壁と底壁との交差部
    における前記雌型と接する外面には、10mm以上の高さ
    を持つリブを形成することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の被膜を持つ成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 ノルボルネン系モノマーを含む反応原液
    を、雄型と雌型とにより形成される金型内で塊状重合さ
    せて、型開き面に平行な底壁と、その底壁の周辺部から
    所定角度で立ち上がり、前記底壁よりも厚い縦壁とを有
    する盆状成形体を成形し、 前記金型内で前記盆状成形体を成形中に、前記成形体の
    温度が最高温度に到達した時点から5秒後〜20分以内
    の時点から、被覆剤の注入を開始し、前記雄型の内面と
    前記盆状成形体の内面との隙間に前記被覆剤を入り込ま
    せて硬化させ、前記盆状成形体の内面に被膜を形成する
    ことを特徴とする被膜を持つ成形体。
  6. 【請求項6】 前記盆状成形体の縦壁と底壁との交差部
    における前記雌型と接する外面には、10mm以上の高さ
    を持つリブが形成されることを特徴とする請求項5に記
    載の被膜を持つ成形体。
JP2001196834A 2001-06-28 2001-06-28 被膜を持つ成形体およびその製造方法 Pending JP2003011152A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001196834A JP2003011152A (ja) 2001-06-28 2001-06-28 被膜を持つ成形体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001196834A JP2003011152A (ja) 2001-06-28 2001-06-28 被膜を持つ成形体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003011152A true JP2003011152A (ja) 2003-01-15

Family

ID=19034562

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001196834A Pending JP2003011152A (ja) 2001-06-28 2001-06-28 被膜を持つ成形体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003011152A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005046958A1 (ja) * 2003-11-17 2005-05-26 Rimtec Corporation インモールドコーティング方法
JP2007001195A (ja) * 2005-06-24 2007-01-11 Gifu Plast Ind Co Ltd 合成樹脂射出成形品の成形方法及び射出成形金型装置
WO2007086444A1 (ja) * 2006-01-27 2007-08-02 Rimtec Corporation 成形体、そのための金型、及びこの金型を用いる成形体の製造方法
JP2008163608A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Cleanup Corp ユニットバスの床パネル構造及びその製造方法
JP2008163606A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Cleanup Corp ユニットバスの床パネル構造の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005046958A1 (ja) * 2003-11-17 2005-05-26 Rimtec Corporation インモールドコーティング方法
JP2007001195A (ja) * 2005-06-24 2007-01-11 Gifu Plast Ind Co Ltd 合成樹脂射出成形品の成形方法及び射出成形金型装置
JP4658705B2 (ja) * 2005-06-24 2011-03-23 岐阜プラスチック工業株式会社 合成樹脂射出成形品の成形方法及び射出成形金型装置
WO2007086444A1 (ja) * 2006-01-27 2007-08-02 Rimtec Corporation 成形体、そのための金型、及びこの金型を用いる成形体の製造方法
JP2008163608A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Cleanup Corp ユニットバスの床パネル構造及びその製造方法
JP2008163606A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Cleanup Corp ユニットバスの床パネル構造の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101651707B1 (ko) 몰드 내 피복 조성물 및 몰드 내 피복 성형체
JP2010235699A (ja) 高分子成形用配合液、高分子成形体、及び複合高分子成形体
JP2003011152A (ja) 被膜を持つ成形体およびその製造方法
JP6577466B2 (ja) 反応射出成形用配合液およびその製造方法
JP5681837B2 (ja) 反応射出成形用配合液、反応射出成形体の製造方法および反応射出成形体
JP4832513B2 (ja) 表面に被覆膜を有する反応射出成形体及びその製造方法
JP2003011159A (ja) 被膜を持つ成形体の製造方法および金型装置
JP4758911B2 (ja) 金型、インモールドコーティング方法及び被膜を持つ成形品
JP4417912B2 (ja) インモールドコーティング方法
JPWO2007086444A1 (ja) 成形体、そのための金型、及びこの金型を用いる成形体の製造方法
JPH04249149A (ja) 複合成形体およびその製造方法
JP2006257368A (ja) 型内被覆組成物及び型内被覆成形品の製造方法
JP2007313395A (ja) インモールドコーティング法及び被覆成形体
JPWO2006118206A1 (ja) インモールドコーティング方法
JP4432265B2 (ja) 成形体の製造方法
KR100403904B1 (ko) 경화가능한 성형재 및 성형품의 제조법
JP4131848B2 (ja) 高分子成形品の製造方法及びその方法により得られた高分子成形品
JP2009263575A (ja) 複合成形体
JP4101049B2 (ja) 塗装成形物製造用金型および塗装成形物の製造方法
JP2008006590A (ja) 反応射出成形方法
JP2002067229A (ja) 複合成形体およびその製造方法
JP2005246880A (ja) インモールドコーティング方法
JP2003181872A (ja) ノルボルネン系樹脂成形体
JP2001061697A (ja) 浴 槽
JP4258095B2 (ja) 複合成形体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20060307

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080205

A521 Written amendment

Effective date: 20080404

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080507

A02 Decision of refusal

Effective date: 20080909

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02