JP2008006590A - 反応射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モリブデン化合物メタセシス重合触媒を用いてメタセシス重合性組成物から反応射出成形体を得るに際し、大型で複雑な形状の成形体であっても、成形後の離型が容易な成形体を簡便に得る方法を提供する。
【解決手段】メタセシス重合性環状オレフィンを金型内でモリブデン化合物重合触媒を用いてメタセシス重合させる反応射出成形方法であって、メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入するに当り、メタセシス重合性環状オレフィン、メタセシス重合触媒及びメタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり5〜20重量部の老化防止剤を含有してなるB液とメタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒活性化剤を含有し老化防止剤を含有しないA液とを混合して得られる反応混合液を金型内に注入する。
【選択図】なし
【解決手段】メタセシス重合性環状オレフィンを金型内でモリブデン化合物重合触媒を用いてメタセシス重合させる反応射出成形方法であって、メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入するに当り、メタセシス重合性環状オレフィン、メタセシス重合触媒及びメタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり5〜20重量部の老化防止剤を含有してなるB液とメタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒活性化剤を含有し老化防止剤を含有しないA液とを混合して得られる反応混合液を金型内に注入する。
【選択図】なし
Description
本発明は、メタセシス重合触媒を用いてメタセシス重合性環状オレフィンを反応射出成形する方法に関する。更に詳しくは、特定量の老化防止剤を特定の方法で添加したメタセシス重合性環状オレフィンを含有する反応混合液を、モリブデン化合物メタセシス重合触媒を用いて、反応射出成形することにより、金型からの離型性よく、反応射出成形体を得る方法に関する。
メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液と、重合触媒活性化成分を含有するモノマー液とを、混合して金型内へ注入し、金型内で重合・架橋させて、架橋重合体成形物を製造する方法は、バンパーやエアデフレクター等の自動車用部品、ホイルローダーやパワーショベル等の建設・産業機械、ゴルフカーやゲーム機等のレジャー機器、洗面ボウルやユニットバス等の住宅設備、等として用いられる大型成形体の反応射出成形法として賞用されている。
この成形法は、入手が容易な原料モノマーを使用できること、モノマーの粘度が低く射出成形時の圧力が低いこと、重合・架橋反応を速くして成形サイクルを短くできること、大型の成形体を比較的容易に製造することができること、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れた成形体が得られること等の利点を有している。
この成形法は、入手が容易な原料モノマーを使用できること、モノマーの粘度が低く射出成形時の圧力が低いこと、重合・架橋反応を速くして成形サイクルを短くできること、大型の成形体を比較的容易に製造することができること、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れた成形体が得られること等の利点を有している。
ところが、この反応射出成形法では、比較的平板な形状の成形品の場合には、成形後に金型から極めて容易に取出すことができるものの、成形体が大型化しその形状が複雑化するにつれて、成形後の金型からの取出しが困難になるという問題が生じている。
これは、重合及び架橋の際に、重合体が収縮し、このため、重合体が金型に密着する、いわゆる抱きつきが生じるためである。
これは、重合及び架橋の際に、重合体が収縮し、このため、重合体が金型に密着する、いわゆる抱きつきが生じるためである。
この問題を解決するために、特許文献1では、金型に突出し機構を設け、これによって成形体を離型させる成形方法が提案されている。この方法によれば、一定の改良効果が見られる。しかしながら、この方法では、突出しピンの押出力により成形品の対応部分が変形したり、更には、突出しピンが成形品を突き破ったりするという問題点がある。
また、特許文献2では、内部離型剤としてパラフィン類を添加して、金型内の反応混合物の少なくとも表面層にパラフィン類を存在させた状態で重合固化せしめる成形方法が提案されている。また、同特許文献には、シラン系化合物を外部離型剤として、金型に塗布することも開示されている。この方法によれば、一定の改良効果が見られる。しかしながら、この方法では、成形品中に取り込まれたパラフィン類が経時的にブリードアウトしてきて、成形品の物性を著しく低下させる。
また、特許文献2では、内部離型剤としてパラフィン類を添加して、金型内の反応混合物の少なくとも表面層にパラフィン類を存在させた状態で重合固化せしめる成形方法が提案されている。また、同特許文献には、シラン系化合物を外部離型剤として、金型に塗布することも開示されている。この方法によれば、一定の改良効果が見られる。しかしながら、この方法では、成形品中に取り込まれたパラフィン類が経時的にブリードアウトしてきて、成形品の物性を著しく低下させる。
ところで、メタセシス重合性環状オレフィンのメタセシス重合に用いられる触媒としては、タングステン、モリブデン、タンタル等のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩等が知られている。
これらの中でも、ノルボルネン系モノマーに対する溶解性の観点からは、有機アンモニウム塩が賞用される。
本発明者らは、モリブデンの有機アンモニウム塩を用いたメタセシス重合を利用する反応射出成形方法について研究を進めてきたが、反応射出成形後の離型性が、この系では著しく悪いことに気がついた。
このため、上記特許文献1及び2に記載された方法を検討したが、この触媒系では、改善効果を認めることができなかった。
これらの中でも、ノルボルネン系モノマーに対する溶解性の観点からは、有機アンモニウム塩が賞用される。
本発明者らは、モリブデンの有機アンモニウム塩を用いたメタセシス重合を利用する反応射出成形方法について研究を進めてきたが、反応射出成形後の離型性が、この系では著しく悪いことに気がついた。
このため、上記特許文献1及び2に記載された方法を検討したが、この触媒系では、改善効果を認めることができなかった。
従って、本発明の目的は、モリブデン化合物重合触媒を用いてメタセシス重合性組成物から反応射出成形体を得るに際し、大型で複雑な形状の成形体であっても、成形後の離型が容易な成形体を反応射出成形で簡便に得る方法を提供することにある。
本発明者らは、メタセシス重合性組成物に用いる原材料の組成について鋭意研究を進めた結果、メタセシス重合性組成物を金型内に注入するに当り、特定量の老化防止剤を特定の方法で添加することによって、上記目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入してその金型内でモリブデン化合物メタセシス重合触媒を用いてメタセシス重合させる反応射出成形方法であって、メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入するに当り、メタセシス重合性環状オレフィン、メタセシス重合触媒及びメタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり5〜20重量部の老化防止剤を含有してなるB液とメタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒活性化剤を含有し老化防止剤を含有しないA液とを混合して得られる反応混合液を金型内に注入することを特徴とする反応射出成形方法が提供される。
本発明において、B液における老化防止剤の量が、B液中のメタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり7〜20重量部であることが好ましい。
また、本発明の方法は、モリブデン化合物メタセシス重合触媒がハロゲン原子を含まないものである場合に好適に適用できる。
本発明において、B液における老化防止剤の量が、B液中のメタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり7〜20重量部であることが好ましい。
また、本発明の方法は、モリブデン化合物メタセシス重合触媒がハロゲン原子を含まないものである場合に好適に適用できる。
本発明によれば、大型で複雑な形状の成形体であっても、成形後の離型が容易な成形体を簡便に得ることができる。
本発明の反応射出成形方法は、浄化槽、浴槽パン、洗い場パン、天井、壁パネル等の住宅設備資材;バンパーやボディパネル等の自動車用部材;等の製造に好適に適用することができる。
本発明の反応射出成形方法は、浄化槽、浴槽パン、洗い場パン、天井、壁パネル等の住宅設備資材;バンパーやボディパネル等の自動車用部材;等の製造に好適に適用することができる。
本発明の反応射出成形方法においては、メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入してその金型内でモリブデン化合物メタセシス重合触媒を用いてメタセシス重合させる。
本発明に用いるメタセシス重合性環状オレフィンは、特に限定されないが、ノルボルネン系モノマーが好ましい。
ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を有するものであればよく、その具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペンタジエン四量体等の七環体;等を挙げることができる。これらの二環体〜七環体は、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基等の炭化水素基やエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子等の極性基を置換基として有していてもよい。中でも、入手が容易であり、反応性に優れることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、より好ましくは三環体〜五環体のノルボルネン系モノマーである。
ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を有するものであればよく、その具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペンタジエン四量体等の七環体;等を挙げることができる。これらの二環体〜七環体は、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基等の炭化水素基やエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子等の極性基を置換基として有していてもよい。中でも、入手が容易であり、反応性に優れることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、より好ましくは三環体〜五環体のノルボルネン系モノマーである。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共二量体、5−エチリデンノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)等が挙げられる。
ノルボルネン系モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、コモノマーとして用いることもできる。
ノルボルネン系モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、コモノマーとして用いることもできる。
本発明においては、メタセシス重合触媒として、モリブデン化合物メタセシス重合触媒を使用する。モリブデン化合物メタセシス重合触媒を使用した場合に、本発明の反応射出成形方法の効果が顕著なものとなる。
モリブデン化合物メタセシス重合触媒の具体例としては、モリブデンのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、ハロゲンを含有しないモリブデン化合物が好ましく、とりわけ、有機アンモニウム塩が好ましい。モリブデン有機アンモニウム塩の具体例としては、トリドデシルアンモニウムモリブデート、メチルトリカプリルアンモニウムモリブデート、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート、トリオクチルアンモニウムモリブデート等を挙げることができる。
モリブデン化合物メタセシス重合触媒の具体例としては、モリブデンのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、ハロゲンを含有しないモリブデン化合物が好ましく、とりわけ、有機アンモニウム塩が好ましい。モリブデン有機アンモニウム塩の具体例としては、トリドデシルアンモニウムモリブデート、メチルトリカプリルアンモニウムモリブデート、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート、トリオクチルアンモニウムモリブデート等を挙げることができる。
メタセシス重合触媒の使用量は、反応に使用する全モノマー1モルに対し、通常、0.01ミリモル以上、好ましくは0.1ミリモル以上、かつ50ミリモル以下、好ましくは20ミリモル以下である。メタセシス重合触媒の使用量が少なすぎると重合活性が低すぎて反応に時間がかかるため生産効率が悪く、使用量が多すぎると反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に硬化したり触媒が析出したりし易くなり、均質に保存することが困難になる。
本発明の反応射出成形方法の実施に際し、メタセシス重合触媒の重合活性を制御する目的で、メタセシス重合触媒活性化剤(共触媒)を使用する。メタセシス重合触媒活性化剤(以下、単に「活性化剤」ということがある。)としては、有機アルミニウム化合物又は有機スズ化合物が好ましい。
活性化剤の具体例として、周期表第11〜14族の金属の有機金属化合物を挙げることができる。その具体例としては、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド等の有機アルミ化合物;テトラブチル錫等の有機スズ化合物;等が挙げられる。
活性化剤の具体例として、周期表第11〜14族の金属の有機金属化合物を挙げることができる。その具体例としては、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド等の有機アルミ化合物;テトラブチル錫等の有機スズ化合物;等が挙げられる。
活性化剤の使用量は、特に限定されないが、通常、反応に使用するメタセシス重合触媒1モルに対して、0.1モル以上、好ましくは1モル以上、かつ100モル以下、好ましくは10モル以下である。活性化剤を用いないか、又は活性化剤の使用量が少なすぎると、重合活性が低すぎて反応に時間が掛かるため生産効率が悪くなる。逆に、使用量が多すぎると、反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に硬化することがある。
活性化剤は、モノマーに溶解して用いるが、反応射出成形法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり溶解性を高めたりして用いてもよい。
活性化剤は、モノマーに溶解して用いるが、反応射出成形法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり溶解性を高めたりして用いてもよい。
本発明の反応射出成形方法においては、メタセシス重合性環状オレフィン、メタセシス重合触媒及び老化防止剤を含有してなる反応液B(以下、「B液」ということがある。)とメタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒活性化剤を含有してなる反応液A(以下、「A液」ということがある。)とを別個に調製し、これらをミキシングヘッドで混合した後、金型に注入して重合反応させる。
上記のように、メタセシス重合触媒と活性化剤とを反応前には同一液中に存在させないようにすることによって、重合反応の制御が容易となる。
A液とB液とに配分するメタセシス重合性環状オレフィンの比率は、特に限定されないが、重量比で40:60〜60:40が好ましく、45:55〜55:45がより好ましく、50:50が特に好ましい。
上記のように、メタセシス重合触媒と活性化剤とを反応前には同一液中に存在させないようにすることによって、重合反応の制御が容易となる。
A液とB液とに配分するメタセシス重合性環状オレフィンの比率は、特に限定されないが、重量比で40:60〜60:40が好ましく、45:55〜55:45がより好ましく、50:50が特に好ましい。
また、反応液の成分として、活性調節剤を添加するのが好ましい。活性調節剤は、重合触媒を含有するB液と活性化剤を含有するA液とを混合して金型に注入して重合を開始させる際、注入途中で重合が開始するのを防ぐためのものである。
調節剤としては、ルイス塩基が好適であり、エーテル、エステル、ニトリル、アルコール等が使用される。具体的には、ブチルエーテル、安息香酸エチル、ジグライム、n−プロパノール等が例示される。共重合モノマーとして、極性基含有モノマーを用いる場合には、それ自体がルイス塩基であることがあり、調節剤としての作用を兼ね備えていることもある。
活性調節剤は、その種類により、A液及びB液のいずれか又は両方に配合して使用する。
調節剤としては、ルイス塩基が好適であり、エーテル、エステル、ニトリル、アルコール等が使用される。具体的には、ブチルエーテル、安息香酸エチル、ジグライム、n−プロパノール等が例示される。共重合モノマーとして、極性基含有モノマーを用いる場合には、それ自体がルイス塩基であることがあり、調節剤としての作用を兼ね備えていることもある。
活性調節剤は、その種類により、A液及びB液のいずれか又は両方に配合して使用する。
また、重合触媒、活性化剤及び調節剤のほかに、クロロホルム、四塩化炭素、ヘキサクロロシクロペンタジエン等のハロゲン化炭化水素や、四塩化錫、四塩化ケイ素、塩化マグネシウム、塩化ゲルマニウム等の金属ハロゲン化物を併用してもよい。これらの化合物を併用することにより、反応転化率を向上させることができ、未反応単量体モノマー量が減少するので、得られる製品の剛性や耐熱性が向上する。
本発明の反応射出成形方法においては、老化防止剤をB液のみに配合して使用することを必須とする。即ち、本発明の反応射出成形方法においては、老化防止剤は、その全量をメタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒と共に混合してB液とすることを必須とし、メタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒活性化剤を含有するA液には、配合しないことが必要である。
老化防止剤をA液中に配合すると、離型性を向上させるという本発明の目的を達成することができない。
老化防止剤をA液中に配合すると、離型性を向上させるという本発明の目的を達成することができない。
本発明において、老化防止剤は、特に限定されないが、フェノール系、リン系、アミン系老化防止剤等の各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤を使用することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4−ジオキシジフェニル、ヒドロキノン・モノベンジルエーテル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ブチル化ヒドロキシアニソール、フェノール縮合物、ブチレン化フェノール、ジアルキル・フェノール・スルフィド、高分子量多価フェノール、ビスフェノール等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4−ジオキシジフェニル、ヒドロキノン・モノベンジルエーテル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ブチル化ヒドロキシアニソール、フェノール縮合物、ブチレン化フェノール、ジアルキル・フェノール・スルフィド、高分子量多価フェノール、ビスフェノール等が挙げられる。
リン系の酸化防止剤としては、例えば、トリ(フェニル)フォスファイト、トリス(ノニフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のアリール又はアルキルアリールフォスファイト類が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、4,4’−ジオクチルフェニルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−o−トリル−エチレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、4,4’−ジオクチルフェニルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−o−トリル−エチレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、老化防止剤の量が、B液中のメタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり、5〜20重量部であることが必須であり、7〜20重量部であることが好ましい。
上記老化防止剤の量が5重量部未満では、成形後の離型性が不十分なものとなり、20重量部を超えて使用しても、離型性の向上に役立たないばかりか、可塑化効果によって成形体の見掛けのガラス転移温度が低下したり、機械的強度が低下したりするという問題が生じる。
上記老化防止剤の量が5重量部未満では、成形後の離型性が不十分なものとなり、20重量部を超えて使用しても、離型性の向上に役立たないばかりか、可塑化効果によって成形体の見掛けのガラス転移温度が低下したり、機械的強度が低下したりするという問題が生じる。
本発明の反応射出成形法においては、先ず、金型に設けられた、それぞれ専用の注入口から、メタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒活性化剤を含有し老化防止剤を含有しないA液と、メタセシス重合性環状オレフィン、メタセシス重合触媒及びメタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり5〜20重量部の老化防止剤を含有してなるB液とを注入する。
A液とB液とは、注入された後、ミキシングヘッドで、混合される。次いで、得られた混合物が、雄型及び雌型とで形成されたキャビティ内に、金型に設けられた注入口から注入され、型内で、メタセシス重合と成形とが同時に進行する。
A液とB液とは、注入された後、ミキシングヘッドで、混合される。次いで、得られた混合物が、雄型及び雌型とで形成されたキャビティ内に、金型に設けられた注入口から注入され、型内で、メタセシス重合と成形とが同時に進行する。
成形時間は、メタセシス重合性環状オレフィン、メタセシス重合触媒、メタセシス重合触媒活性化剤、老化防止剤及び必要に応じて使用される活性調節剤等の種類、それらの組成比、金型温度等によって、変化するので、一様ではないが、一般的には5秒〜6分、好ましくは10秒〜5分である。
供給前の反応原液(A液とB液とを総称していう。)の温度は、好ましくは10〜60℃であり、反応原液の粘度は、例えば30℃において、通常、5〜3,000mPa・s、好ましくは50〜1,000mPa・s程度である。
反応射出成形に使用する金型には、特に限定はない。
金型の材質は、特に限定されず、その具体例としては、スチール、鋳造若しくは鍛造のアルミニウム、亜鉛合金等の鋳造や溶射、ニッケルや銅等の電鋳、更にニッケル、銅、クロム等のメッキ、又は樹脂等が挙げられる。型の構造は型に混合液及び被覆剤を注入する際の圧力を勘案して決めるとよい。また、金型の型締め圧力は、通常、ゲージ圧で0.1〜9.8MPaである。
金型の材質は、特に限定されず、その具体例としては、スチール、鋳造若しくは鍛造のアルミニウム、亜鉛合金等の鋳造や溶射、ニッケルや銅等の電鋳、更にニッケル、銅、クロム等のメッキ、又は樹脂等が挙げられる。型の構造は型に混合液及び被覆剤を注入する際の圧力を勘案して決めるとよい。また、金型の型締め圧力は、通常、ゲージ圧で0.1〜9.8MPaである。
雄型及び雌型を対とする金型で形成されるキャビティ内に反応原液を供給して塊状重合させる場合において、雄金型の金型温度T1(℃)を雌金型の金型温度T2(℃)より高く設定しておくことが好ましい。これにより、成形体における被覆膜が形成される面を、ヒケや気泡のない表面外観の美麗な面とすることができ、ひいては被覆膜の密着性向上に資することができる。
T1−T2は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、上限は好ましくは60℃以下である。T1は、好ましくは110℃以下、より好ましくは95℃以下であり、下限は好ましくは50℃以上である。T2は、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下であり、下限は好ましくは30℃以上である。
金型温度を調整する方法としては、例えば、ヒータによる金型温度の調整;金型内部に埋設した配管中に循環させる、温調水、油等の熱媒体の温度調整;等が挙げられる。
T1−T2は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、上限は好ましくは60℃以下である。T1は、好ましくは110℃以下、より好ましくは95℃以下であり、下限は好ましくは50℃以上である。T2は、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下であり、下限は好ましくは30℃以上である。
金型温度を調整する方法としては、例えば、ヒータによる金型温度の調整;金型内部に埋設した配管中に循環させる、温調水、油等の熱媒体の温度調整;等が挙げられる。
反応射出成形により得られた成形体の表面に塗料等の被覆剤を塗布してもよい。塗布の方法は特に限定されず、金型から成形体を取出した後に塗布してもよいが、いわゆるインモールドコーティング法によるのが有利である。
インモールドコーティング法は、キャビティ内でのメタセシス重合性環状オレフィンの重合が進行すると、成形体が得られるとともに、成形に際して生じる成形収縮(成形体原料が重合により、その体積を減少させることにより生じる)により、樹脂成形体と金型との間に隙間(これを、以下「被覆剤塗布空間」ということがある。)が生じる。反応射出成形終了後、同一金型内で、得られた樹脂成形体と金型とで形成されるこの被覆剤塗布空間に、被覆剤を注入し、該被覆剤が硬化した後、被覆された成形品を金型から取出すというものである。
インモールドコーティング法は、キャビティ内でのメタセシス重合性環状オレフィンの重合が進行すると、成形体が得られるとともに、成形に際して生じる成形収縮(成形体原料が重合により、その体積を減少させることにより生じる)により、樹脂成形体と金型との間に隙間(これを、以下「被覆剤塗布空間」ということがある。)が生じる。反応射出成形終了後、同一金型内で、得られた樹脂成形体と金型とで形成されるこの被覆剤塗布空間に、被覆剤を注入し、該被覆剤が硬化した後、被覆された成形品を金型から取出すというものである。
インモールドコーティング法に使用する被覆剤は、特に限定されず、その具体例としては、塗料、フッ素樹脂系ラッカー、シリコーン樹脂系ラッカー、シラン系ハードコート剤等の各種ハードコート剤等を例示することができるが、塗料が好適に用いられる。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において「部」は特に断りのない限り重量基準である。
また、得られた反応射出成形体の特性の評価方法は、下記に示すとおりである。
〔脱型時間〕
縦約1m、横約2m、高さ約1mの浄化槽筺体下槽用の雄型と雌型とから形成される金型空間に、所定量の反応混合液を注入、硬化させる。次いで、金型の型閉め油圧を開放して金型を開くと、成形品は雌型に付着した状態であるので、図1に示す位置に備え付けた脱型用のピン14個を、油圧を用いて(各脱型ピンにかかる突出し力は一本あたり500kgである。)押出し、成形品浄化槽下槽を雌型から脱型する。この金型の型閉め油圧を開放してから浄化槽が完全に脱型するまでの時間を「脱型時間」とする。
〔脱型時間〕
縦約1m、横約2m、高さ約1mの浄化槽筺体下槽用の雄型と雌型とから形成される金型空間に、所定量の反応混合液を注入、硬化させる。次いで、金型の型閉め油圧を開放して金型を開くと、成形品は雌型に付着した状態であるので、図1に示す位置に備え付けた脱型用のピン14個を、油圧を用いて(各脱型ピンにかかる突出し力は一本あたり500kgである。)押出し、成形品浄化槽下槽を雌型から脱型する。この金型の型閉め油圧を開放してから浄化槽が完全に脱型するまでの時間を「脱型時間」とする。
〔実施例1〕
(金型と成形材料)
ジシクロペンタジエン50部、ジシクロペンタジエン1モル当り4ミリモルのメタセシス重合触媒(トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート)及びジシクロペンタジエン100部当り8部の老化防止剤2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含有してなるB液を調製した。また、ジシクロペンタジエン50部、ジシクロペンタジエン1モル当り33ミリモルのメタセシス重合触媒活性化剤(ジエチルアルミニウムクロリド)、ジシクロペンタジエン1モル当り42.9ミリモルの調節剤(n−プロパノール)及びジシクロペンタジエン1モル当り20ミリモルの四塩化ケイ素を含有してなるA液を調製した。
(金型と成形材料)
ジシクロペンタジエン50部、ジシクロペンタジエン1モル当り4ミリモルのメタセシス重合触媒(トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート)及びジシクロペンタジエン100部当り8部の老化防止剤2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含有してなるB液を調製した。また、ジシクロペンタジエン50部、ジシクロペンタジエン1モル当り33ミリモルのメタセシス重合触媒活性化剤(ジエチルアルミニウムクロリド)、ジシクロペンタジエン1モル当り42.9ミリモルの調節剤(n−プロパノール)及びジシクロペンタジエン1モル当り20ミリモルの四塩化ケイ素を含有してなるA液を調製した。
(成形と被覆膜の形成)
浄化槽筐体下槽用の雄型及び雌型を型締めし、前記雌型及び雄型をそれぞれ40℃及び70℃に加熱し、成形体の面積当たり0.49MPaの圧力で型締めし、反応射出成形機を利用して、ミキシングヘッド中で等重量のA液とB液とを衝突混合させ、得られた反応原液を上記金型に注入した。注入速度は2,300g/秒、注入時間は17秒とした。反応原液を充填後、前記金型温度で150秒間保持した。
その後、型締め圧を開放して、金型を開き、押出しピンで浄化槽下槽筐体を雌型から脱型して取出した。このときの脱型時間は、30秒であった。
浄化槽筐体下槽用の雄型及び雌型を型締めし、前記雌型及び雄型をそれぞれ40℃及び70℃に加熱し、成形体の面積当たり0.49MPaの圧力で型締めし、反応射出成形機を利用して、ミキシングヘッド中で等重量のA液とB液とを衝突混合させ、得られた反応原液を上記金型に注入した。注入速度は2,300g/秒、注入時間は17秒とした。反応原液を充填後、前記金型温度で150秒間保持した。
その後、型締め圧を開放して、金型を開き、押出しピンで浄化槽下槽筐体を雌型から脱型して取出した。このときの脱型時間は、30秒であった。
〔比較例1〕
老化防止剤の量をB液中のジシクロペンタジエン100部あたり3部とするほかは、実施例1と同様にして、浄化槽下槽筐体を得た。脱型時間は50秒であった。
老化防止剤の量をB液中のジシクロペンタジエン100部あたり3部とするほかは、実施例1と同様にして、浄化槽下槽筐体を得た。脱型時間は50秒であった。
〔比較例2〕
老化防止剤の全量をA液に配合するほかは、実施例1と同様にして、反応射出成形を行なったが硬化せず、規定の形状を有する成形品を得ることができなかった。
老化防止剤の全量をA液に配合するほかは、実施例1と同様にして、反応射出成形を行なったが硬化せず、規定の形状を有する成形品を得ることができなかった。
これらの結果から、メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入してその金型内でモリブデン化合物メタセシス重合触媒を用いてメタセシス重合させる反応射出成形方法において、メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入するに当り、老化防止剤をメタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒を含有するB液とメタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒活性化剤を含有し老化防止剤を含有しないA液とを混合して得られる反応混合液を金型内に注入することを特徴とする本発明の反応射出成形方法は、離型性に優れていることが分かる。
Claims (3)
- メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入してその金型内でモリブデン化合物メタセシス重合触媒を用いてメタセシス重合させる反応射出成形方法であって、メタセシス重合性環状オレフィンを金型内に注入するに当り、メタセシス重合性環状オレフィン、メタセシス重合触媒及びメタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり5〜20重量部の老化防止剤を含有してなるB液とメタセシス重合性環状オレフィン及びメタセシス重合触媒活性化剤を含有し老化防止剤を含有しないA液とを混合して得られる反応混合液を金型内に注入することを特徴とする反応射出成形方法。
- B液における老化防止剤の量が、メタセシス重合性環状オレフィン100重量部当たり7〜20重量部である請求項1に記載の反応射出成形方法。
- モリブデン化合物メタセシス重合触媒がハロゲン原子を含まないものである請求項1又は2に記載の反応射出成形方法。
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JP2006176157A JP2008006590A (ja) | 2006-06-27 | 2006-06-27 | 反応射出成形方法 |
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Cited By (2)
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JP2014114370A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-06-26 | Nippon Zeon Co Ltd | シクロペンテン開環重合体の製造方法およびゴム組成物 |
JP2021070742A (ja) * | 2019-10-30 | 2021-05-06 | アキレス株式会社 | 難燃性シクロオレフィン系樹脂成形体 |
-
2006
- 2006-06-27 JP JP2006176157A patent/JP2008006590A/ja active Pending
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