JP4193291B2 - 大型成形品、その製造方法および金型 - Google Patents

大型成形品、その製造方法および金型 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大型成形品、その製造方法および金型に係わり、さらに詳しくは、建設機械や農業機械などの外装部品として有用な非製品面側にアンダーカット形状を有する大型成形品、その製造方法および金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応射出成形(RIM)は、熱可塑性樹脂の射出成形に比較して低い型締め圧で成形することができることから、自動車分野や建設土木分野などに用いられる大型成形品の成形に適している。
【0003】
このような反応射出成形では、通常、キャビ型およびコア型を分割面で型締めすることにより内部にキャビティが形成される金型を用い、この金型のキャビティ内に反応原液を供給して反応を進行させて成形品を成形した後、コア型に対してキャビ型を分割面から相対的に移動させることにより型開きして、金型のキャビティ内面から成形品を脱型させて取り出すこととしている。
【0004】
ところで、大型成形品の一つである建設機械または農業機械のエンジンカバーなどの外装部品には、その裏面の所定部分に、防水用パッキンを取り付けるためのピン、桟、棚などの凸部を設ける必要があった。
【0005】
この種の大型成形品を反応射出成形により成形する場合には、金型の型開き方向に対して略垂直方向に凸部が突出するアンダーカット構造を形成しなければならない場合がある。このようなアンダーカット構造を有する大型成形品を反応射出成形により一体成形する場合には、脱型が困難なことから、従来では、アンダーカット部である凸部を入れ子、置き子または割型にして成形を行っている。
【0006】
また、入れ子、置き子または割型を用いずに、凸部を除いた大型成形品の大部分を成形しておき、これに凸部を構成する別部材を接着剤で固定したり、ビス止めする方法が採用されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の成形方法では、成形品の脱型のたびに入れ子、置き子または割型を取り外し、成形品を脱型した後、再び金型にセットする必要があったため、工程が複雑になり、作業効率が悪いという欠点があった。また、アンダーカット部に相当する凸部を構成する別部材の後付けも、作業が煩雑で、生産効率が悪く、経済的に不利であった。
【0008】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決し、金型の型開き方向に対して略垂直方向に突出する凸部を有する大型成形品を、簡易な工程で効率よく製造することができる金型、およびこれを用いた大型成形品の製造方法、並びに大型成形品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために、非製品面に、金型の型開き方向に対して略垂直方向に突出する凸部を有する大型成形品の製造方法について鋭意検討した結果、特定構造の金型を用いて成形するより、効率よく特定の形状の成形品が得られることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
(1)本発明に係る金型は、
キャビ型(たとえば、上型)およびコア型(たとえば、下型)を有し、これらキャビ型およびコア型を分割面で組み合わせることにより内部にキャビティが形成される金型であって、
前記コア型は、型開き方向に対して所定角度θで交差する傾斜スライド面が形成してあるコア第1型と、前記コア第1型の傾斜スライド面に沿って移動自在に装着してあり、前記キャビティを区画する面に、成形品の凸部となる凹部が形成してあるコア第2型とを有する。
【0011】
前記凹部が、型開き方向に対して略垂直方向に形成してあることが好ましい。
【0012】
前記所定角度θは、好ましくは3〜50°であり、より好ましくは4〜45°である。
【0013】
金型の材質は、特に限定されず、鋳鉄、鉄、ステンレス、アルミニウム、ニッケル電鋳などの金属に限らず、合成樹脂あるいはその他の材質であってもよい。反応射出成形は比較的低圧での成形が可能であり、必ずしも高剛性の金型を用いる必要はない。本発明においては、成形体として、たとえば建設機械または農業機械などの外装部品などのように大型成形体を成形する場合でも、必ずしも高剛性の金型を用いる必要はないことから、金型の制作が比較的容易である。
【0014】
(2)本発明に係る大型成形品の製造方法は、
型開き方向に対して所定角度θで交差する傾斜スライド面が形成してあるコア第1型と、前記コア第1型の傾斜スライド面に沿って移動自在に装着してあるコア第2型とを有するコア型をキャビ型と組み合わせて、コア型とキャビ型との間にキャビティを形成する工程と、
前記キャビティ内に反応原液を供給して硬化させる工程と、
前記コア第1型に対して、前記キャビ型を型開き方向に相対的に移動させる際に、前記コア第2型の型開き方向速度成分V3が、前記キャビ型の型開き方向速度V1と略同一となるように、前記コア第2型を、前記コア第1型の傾斜スライド面に沿って相対移動させる工程と、
前記コア第1型およびコア第2型に対して、前記キャビ型を型開き方向に相対移動させる工程とを有する。
【0015】
前記コア第1型に対して、前記キャビ型を型開き方向に相対的に移動させる際に、前記コア第2型の型開き方向速度成分V3が、前記キャビ型の型開き方向速度V1と略同一となるように、前記コア第2型の一部を前記キャビ型の一部(たとえば、分割面やキャビティ面)に圧接させながら、前記コア第2型とキャビ型とを型開き方向に移動させることが好ましい。
【0016】
前記キャビティ内に供給される反応原液としては、特に限定されず、たとえば、ウレタン系、ウレア系、ポリアミド系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、及びノルボルネン系等が挙げられるが、ノルボルネン系が特に好ましい。
【0017】
金型のキャビティ内部に供給する前の反応原液温度は、好ましくは10〜60°Cであり、反応原液の粘度は、たとえば30°Cにおいて、通常5〜3000cps、好ましくは100〜1000cps程度である。
【0018】
こうした反応原液には、モノマーだけではなく、触媒や活性剤などが含まれていても良い。
【0019】
ノルボルネン系の反応原液には、ノルボルネン系モノマーのほか、通常、メタセシス触媒と活性剤とが含まれる。
【0020】
ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環を有するものであればよく、その具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体、ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエン二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエン等の三環体、テトラシクロドデセン等の四環体、シクロペンタジエン三量体等の五環体、シクロペンタジエン四量体等の七環体、およびこれら二環体〜七環体のメチル、エチル、プロピルおよびブチル等のアルキル、ビニル等のアルケニル、エチリデン等のアルキリデン、フェニル、トリルおよびナフチル等のアリール等の置換体、更には、これら二環体〜七環体のエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子等の極性基を有する置換体等が例示される。中でも、入手が容易であり、反応性に優れることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、より好ましくは三環体、四環体、或いは五環体のノルボルネン系モノマーである。こうしたノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、ノルボルネン系モノマーと開環共重合し得るシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンなどを、コモノマーとして用いることもできる。
【0022】
メタセシス触媒としては、RIM法でノルボルネン系モノマーを開環重合できるものであれば特に限定されず、公知のもので良い。たとえば、六塩化タングステン、又はトリドデシルアンモニウムモリブデート、もしくはトリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート等のモリブデン酸有機アンモニウム塩等のノルボルネン系モノマーの塊状重合用触媒として公知のメタセシス触媒であれば特に制限はないが、モリブデン酸有機アンモニウム塩が好ましい。
【0023】
メタセシス触媒の使用量は、反応原液全体で使用するモノマー1モルに対し、通常0.01ミリモル以上、好ましくは0.1ミリモル以上、かつ50ミリモル以下、好ましくは20ミリモル以下である。メタセシス触媒の使用量が少なすぎると重合活性が低すぎて反応に時間がかかるため生産効率が悪く、使用量が多すぎると反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に硬化したり、触媒が析出し易くなり均質に保存することが困難になる。
【0024】
メタセシス触媒は、通常、モノマーに溶解して用いるが、RIM法による成形体の性質を本質的に損なわれない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させ溶解させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり、溶解性を高めて用いても良い。
【0025】
活性剤(共触媒)としては、特開昭58−127728号公報、特開平4−226124号公報、特開昭58−129013号公報、特開平4−145247号公報に開示してあるような公知の活性剤であれば、特に制限はなく、たとえば、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド等の有機アルミ化合物、有機スズ化合物などが挙げられる。
【0026】
活性剤の使用量は、特に限定されないが、通常、反応液全体で使用するメタセシス触媒1モルに対して、0.1モル以上、好ましくは1モル以上、かつ100モル以下、好ましくは10モル以下である。活性剤を用いないか、又は活性剤の使用量が少なすぎると、重合活性が低すぎて反応に時間がかかるため生産効率が悪くなる。また、逆に、使用量が多すぎると、反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に硬化することがある。
【0027】
活性剤は、モノマーに溶解して用いるが、RIM法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり、溶解性を高めて用いてもよい。
【0028】
また、既述の反応原液には、所望により、補強材、酸化防止剤、充填剤、エラストマー、顔料、着色剤、発泡剤、難燃剤、摺動付与剤、ジシクロペンタジエン系熱重合樹脂およびその水添物など種々の添加剤を配合することができる。これにより、得られる成形品の特性を改質することができる。こうした添加剤は、通常、予め反応原液の何れか一方又は双方に混合しておくことが好ましい。
【0029】
反応射出成形の前準備として、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒および活性剤を主材とする成形用材料を、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒とよりなるB液と、前記のノルボルネン系モノマーと活性剤とよりなるA液との安定な2液に分けて、それぞれを別のタンクに入れておくことが好ましい。
【0030】
金型温度は、好ましくは20〜200°C、より好ましくは50〜150°C、さらに好ましくは50〜120°Cである。金型温度が高いと原料の反応がはやくなり、金型に充填しきらないうちに原料が硬化してしまい、成形品が得られなくなったりする。
【0031】
反応射出成形に際しては、これらの2液をミキシングヘッド内で混合し、次いで、この混合液を、金型のキャビティに注入し、塊状重合して成形品を得る。
【0032】
反応射出成形時において、金型の型締め圧力は、通常0〜100kgf/cmの範囲である。重合時間は、適宜選択すればよいが、通常、反応原液の供給終了後、30秒〜20分である。
【0033】
(3)本発明に係る大型成形品は、型開き方向に対して略垂直方向に実質的に延び、2〜50mm、好ましくは5〜30mmの長さおよび2〜40mm、好ましくは2〜10mmの厚みを有する、シール部材または緩衝部材を取り付けるための凸部を、反応射出成形により非製品面側に一体成形してなることを特徴とする。
【0034】
本発明に係る大型成形品は、たとえばウレタン系、ウレア系、ポリアミド系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、ノルボルネン系などの反応原液を反応射出成形することにより得られる熱硬化性樹脂から構成することができる。中でも、ノルボルネン系反応原液を塊状重合させて得られるポリノルボルネン系樹脂で構成されていることが好ましい。
【0035】
【作用】
本発明に係る金型によれば、コア型をコア第1型とコア第2型とに分割し、コア第2型を、型開き方向に対して所定角度θで交差する傾斜スライド面が形成してあるコア第1型の前記傾斜スライド面に沿って移動自在に装着してあるので、金型の型開き方向に対して略垂直方向に突出する凸部を有する大型成形品を、その凸部を破壊することなく、効率よく製造することができる。
【0036】
本発明に係る大型成形品の製造方法によれば、コア第1型に対してキャビ型を型開き方向に相対的に移動させる際の前記キャビ型の型開き方向速度V1と、コア第2型の型開き方向速度成分V3とが略同一となるように、前記コア第2型を前記コア第1型の傾斜スライド面に沿って相対移動させる工程を有するので、前記コア第2型は、キャビ型に対して、前記コア第1型の傾斜スライド面に沿って型開き方向Xと略垂直方向に、所定速度V4で相対移動していくことになり、これによって金型の型開き方向に対して略垂直方向に突出する凸部を有する大型成形品を、簡易な工程で効率よく製造することができる。
【0037】
本発明に係る大型成形品としては、特に限定されず、たとえば建設機械または農業機械などの外装部品、自動車の外装部品、ゲーム機の外枠部材などを挙げることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る大型成形品の一実施形態を示す斜視図、図2(A)は図1のIIA−IIA線に沿う断面図、同図(B)は図1の底面図、同図(C)は図2(A)の部分拡大図、図3(A)〜(C)は本発明に係る大型成形品の製造方法を説明するための工程図、図4(A)は図3(A)における圧力シリンダー30周辺の部分拡大図、同図(B)は図3(B)における圧力シリンダー30周辺の部分拡大図、同図(C)は同図(B)のIVC−IVC線に沿う断面図、図5は図1の大型成形品の使用例を示す部分拡大図である。
【0039】
本実施形態では、大型成形品として、図1および図2に示す建設機械または農業機械の外装部品であるエンジンカバー2を例示し、その構成および製造方法を説明する。
【0040】
まず、エンジンカバーの構成を説明する。
図1に示す本実施形態に係るエンジンカバー2は、長手方向Lに細長い平板状の第1側板部4を有し、第1側板部4には、その幅方向Wの一側端部に凹所6を形成するように天板部8および第2側板部10が一体的に成形してある。また、第1側板部4の長手方向先端部には、第3側板部12が一体的に成形してある。
【0041】
第1側板部4には、その内壁面の下端部分に、長手方向Lに沿って延びる凸部14が形成してある。凸部14には、たとえば図5に示すように、ゴム製の防水用パッキン14aなどが取り付けられる。
【0042】
図2(A)〜(C)に示すように、本実施形態では、凸部14は、幅方向Wの長さL1は2〜50mm、厚みTは2〜40mm、長手方向L(図1参照)の長さL2は、50〜1500mmの範囲となっている。
【0043】
図1に示すように、これら天板部8、第2側板部10、第3側板部12および凸部14が、第1側板部4に一体成形してあるエンジンカバー2は、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液を反応射出成形することにより得られるポリノルボルネン系樹脂から構成してある。
【0044】
エンジンカバー2のサイズは、特に限定されないが、本実施形態では、幅方向Wが300〜1500mm、長手方向Lが300〜1500mm、高さ方向Hが250〜1000mm程度の大型成形品である。
【0045】
次に、エンジンカバーの製造方法を説明する。
本実施形態に係るエンジンカバー2を製造するには、たとえば、図3(A)に示す金型20を用いる。
【0046】
金型20は、分割面22に沿って型開き方向Xに分割可能なキャビ型24とコア型26とを有し、キャビ型24とコア型26とを分割面22で型締めすることにより、金型内部にキャビティ28が形成されるようになっている。
【0047】
コア型26は、コア第1型262とコア第2型264とを有し、コア第1型262には、型開き方向Xに対して所定角度θで交差する傾斜スライド面266が形成してある。本実施形態における所定角度θは、好ましくは3〜50°である。コア第1型262の傾斜スライド面266には、パッキン溝が形成してあり、そこにパッキン268,268が埋設してある。これにより成形時の反応原液が、傾斜スライド面266からコア型26の内部に入り込まないようにすることができる。コア第1型262の内部には、圧力シリンダー30,30が内蔵してある。圧力シリンダー30には、図4(A)に示すように、後述するコア第2型264の空間264gを閉じるように取り付けられた内側板264a(図4(C)参照)のスライド孔264bを貫通するように配置されたロッド32が軸方向に移動自在に設けられており、ロッド32の先端部分にはフランジ34が連接されている。そして、ロッド32を圧力シリンダー30側に引き込むことにより、フランジ34を、コア第2型264の内側板264aの内壁面264cに圧接させることができるようになっている。内側板264aは、コア第2型264に対して固定してある。コア第2型264の空間264gは、傾斜スライド面266に沿ったコア第2型264の移動方向に細長い形状を持ち、前記圧力シリンダー30のフランジ34が、コア第2型264の移動方向に移動することを許容する。スライド孔264bは、傾斜スライド面266に沿ったコア第2型264の移動方向に細長い形状を持ち、前記圧力シリンダー30のロッド32が、コア第2型264の移動方向に移動することを許容する。
【0048】
コア第2型264は、図4(A)に示すように、前記コア第1型262の傾斜スライド面266に沿って移動自在に装着してある。コア第2型264は、図3(A)に示すように、キャビティ28を区画する面264fに、成形品2の凸部14(図1および図2参照)となる凹部264dが型開き方向Xに対して略垂直方向に形成してある。
【0049】
なお、図3(A)中の符号「40」は、コア第2型264を前記コア第1型262の傾斜スライド面266に沿ってスライドさせるために用いる圧力シリンダーを示している。
【0050】
このような構成の金型20を用い、図1および図2に示すエンジンカバー2を以下のようにして製造する。
【0051】
まず、図3(A)に示すように、コア型26をキャビ型24と組み合わせて、コア型26とキャビ型24との間にキャビティ28を形成する。
【0052】
前記キャビティ28への反応原液供給前に、コア第1型262に埋設してある圧力シリンダー30のロッド32を、圧力シリンダー30側に引き込み、フランジ34を、コア第2型264の内側板264aの内壁面264c(図4(A)参照)に圧接させ、傾斜スライド面266とコア第2型264との間に隙間を生じさせないようにする。こうすることにより、キャビティ28への反応原液供給の際に、パッキン268,268との相互作用によって、反応原液がコア第1型262の傾斜スライド面266とコア第2型264との間に入り込むことが防止され、圧力シリンダー30の作動不良を起こすおそれが少なくなる。なお、このときの、フランジ34と内壁面264eとの隙間P1は、本実施形態では、2〜50mmである。
【0053】
この状態で、前記キャビティ28内に反応原液を供給する。本実施形態では、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液を用いる。そして、当該キャビティ28内で塊状重合を進行せしめて硬化させる。
【0054】
次に、本実施形態では、図3(B)に示すように、コア第1型262を静止させた状態で、キャビ型24を型開き方向Xに型開き方向速度V1で型開きさせるとともに、コア第2型264を前記コア第1型262の傾斜スライド面266に沿ってスライド方向速度V2でスライドさせる。コア第2型264をスライドさせるには、圧力シリンダー40を用いる。ここで、コア第1型262の傾斜スライド面は、型開き方向Xに対して好ましくは3〜50°の角度θで交差するように設けられてあるので、コア第2型264は、型開き方向Xに対して型開き方向速度成分V3で上昇していくことになる。
【0055】
本実施形態では、前記コア第2型264の型開き方向速度成分V3と、前記キャビ型24の型開き方向速度V1とが略同一状態で、コア第2型264がキャビ型24とともに移動するように、コア第2型264の一部をキャビ型24の一部に圧接させる。このように圧接させるためには、キャビ型24がない状態で、圧力シリンダー40により、コア第2型264を移動させる速度V2’の速度成分V3’を、キャビ型24の型開き方向速度V1より大きくさせればよい。圧力シリンダー40の能力を、このように設定することで、キャビ型24が型開き方向Xに速度V1で移動するに際して、コア第2型264は、結果として、速度V1と同じ速度V3の速度成分をもって、傾斜スライド面266に沿って移動する。なお、図3(B)に示すキャビ型24とコア第2型264との移動に際して、速度V1=V3とするためには、コア第2型264の一部をキャビ型24の一部に圧接させればよく、その箇所は特に限定されず、分割面22であっても、成形体2に設けられた孔(図示省略)を通したキャビ型24の内周面であってもよい。
【0056】
このように、コア第2型264がキャビ型24とともに、コア第1型262の傾斜スライド面266に沿って移動することで、コア第2型264は、キャビ型24に対して、型開き方向Xと略垂直方向に、速度V4をもって相対移動していくことになり、一定時間経過後には成形品2の凸部14が、コア第2型264の凹部264dから抜けていくことになる。速度V1=V3となり、速度V2がV4成分を持つことで、成形品2の凸部14に力が作用するおそれは少なく、凸部14の破壊が防止される。本実施形態では、キャビ型24とコア第2型264とを、成形品2の凸部14が、コア第2型264の凹部264dから抜けるまで上昇させる。
【0057】
なお、コア第2型264を、前記コア第1型262の傾斜スライド面266に沿ってスライドさせるに際し、図4(A)に示すように、コア第2型264の内側板264aの内壁面264cに圧接してある前記圧力シリンダー30のフランジ34を、図4(B)および(C)に示すように、前記内側板264aの内壁面264cから、離間するように前記ロッド32を押し出し、意識的に、傾斜スライド面266とコア第2型264との間に若干の隙間を作って、コア第2型264が、コア第2型262の傾斜スライド面266に沿ってスライドしやすいようにしておくことが好ましい。
【0058】
そして、図3(B)に示すように、成形品2の凸部14が、コア第2型264の凹部264dから抜けてからは、さらに、図3(C)に示すように、前記コア第2型264を静止させて、前記キャビ型24のみを型開き方向Xに、型開き方向速度V1で移動させる。
【0059】
そして、キャビ型24に張り付いている成形品2を脱型し、図1および図2に示す成形品2を得ることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、キャビ型24の金型温度T1(°C)と、コア型26の金型温度T2(°C)との間に温度差をつけてある。このようにキャビ型およびコア型間で温度差をつけることにより、得られる成形品の一面を、金型面を良好に転写したヒケや気泡のない表面外観の美麗な面(製品面)とすることができる。特に、本実施形態では、製品面となるキャビティに面する金型面が形成されたキャビ型24の金型温度T1を、非製品面が形成されるコア第1型262およびコア第2型264からなるコア型26の金型温度T2より高くしてある(T1>T2)。こうすることで、成形品のキャビ型24のキャビティに接する面を、表面外観の美麗な面とすることができる。金型の温度を調整する方法としては、たとえば、ヒータによる金型の温度調整、金型内部に埋設した配管中に、温調水、油等の熱媒体を循環させる温度調整等の種々の方法が使用可能である。コア型26内では、コア第1型262およびコア第2型264それぞれの金型温度は、本実施形態では温度差をつけておらず略同一温度としてあるが、温度差をつけてあってもよい。このようなキャビ型24およびコア型26は、合成樹脂や金属などで構成される。
【0061】
以上本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0062】
たとえば、前述の実施形態では、コア第1型262を静止させて、コア第2型264およびキャビ型24を型開き方向Xに移動させることとしているが、コア第2型264およびキャビ型24を静止させて、コア第1型262を型開き方向Xに沿って前記とは反対方向に移動させることとしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、金型の型開き方向に対して略垂直方向に突出する凸部を有する大型成形品を、簡易な工程で効率よく製造することができる金型、およびこれを用いた大型成形品の製造方法、並びに大型成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る大型成形品の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2(A)は図1のIIA−IIA線に沿う断面図、同図(B)は図1の底面図、同図(C)は図2(A)の部分拡大図である。
【図3】図3(A)〜(C)は本発明に係る大型成形品の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】図4(A)は図3(A)における圧力シリンダー周辺の部分拡大図、同図(B)は図3(B)における圧力シリンダー周辺の部分拡大図、同図(C)は同図(B)のIVC−IVC線に沿う断面図である。
【図5】図5は図1の大型成形品の使用例を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
2… エンジンカバー(大型成形品)
4… 第1側板部
6… 凹所
8… 天板部
10… 第2側板部
12… 第3側板部
14… 凸部
14a… 防水用パッキン
20… 金型
22… 分割面
24… キャビ型
26… コア型
262… コア第1型
264… コア第2型
264a… 内側板
264b… スライド孔
264c,264e… 内壁面
264d… 凹部
264f… キャビティ区画面
264g… 空間
266… 傾斜スライド面
268… パッキン
28… キャビティ
30,40… 圧力シリンダー
32… ロッド
34… フランジ

Claims (4)

  1. 型開き方向に対して所定角度で交差する傾斜スライド面が形成してあるコア第1型と、前記コア第1型の傾斜スライド面に沿って移動自在に装着してあるコア第2型とを有するコア型をキャビ型と組み合わせて、コア型とキャビ型との間にキャビティを形成する工程と、
    前記キャビティ内に反応原液を供給して硬化させる工程と、
    前記コア第1型に対して、前記キャビ型を型開き方向に相対的に移動させる際に、前記コア第2型の型開き方向速度成分が、前記キャビ型の型開き方向速度と同一となるように、前記コア第2型を、前記コア第1型の傾斜スライド面に沿って相対移動させる工程と、
    前記コア第1型およびコア第2型に対して、前記キャビ型を型開き方向に相対移動させる工程とを有し、前記キャビ型の温度を前記コア型の温度より高くすることを特徴とする大型成形品の製造方法。
  2. 前記反応原液は、ノルボルネン系モノマーと、メタセシス触媒と、活性剤とを含み、前記メタセシス触媒の使用量は、反応原液全体で使用するモノマー1モルに対し、0.01ミリモル以上である請求項1に記載の大型成形品の製造方法。
  3. 前記反応原液は、ノルボルネン系モノマーと、メタセシス触媒と、活性剤とを含み、前記活性剤の使用量は、反応液全体で使用するメタセシス触媒1モルに対して、0.1モル以上である請求項1または2に記載の大型成形品の製造方法。
  4. 前記反応原液は、補強材、酸化防止剤、充填剤、エラストマー、顔料、着色剤、発泡剤、難燃剤、摺動付与剤、ジシクロペンタジエン系熱重合樹脂又はその水添物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の大型成形品の製造方法。
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