JP2009072958A - ノルボルネン系樹脂成形体および配合液 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形体に要求される他の機械物性を良好に保ちながら、優れた耐熱性を有するノルボルネン系樹脂成形体。
【解決手段】ノルボルネン系モノマーと、重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有する配合液を、型内に注入し、型内で塊状重合させることにより得られ、18.5kgf/cm2の荷重をかけた場合における熱変形温度が130℃以上であるノルボルネン系樹脂成形体。
【選択図】 なし
【解決手段】ノルボルネン系モノマーと、重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有する配合液を、型内に注入し、型内で塊状重合させることにより得られ、18.5kgf/cm2の荷重をかけた場合における熱変形温度が130℃以上であるノルボルネン系樹脂成形体。
【選択図】 なし
Description
本発明は、耐熱性に優れたノルボルネン系樹脂成形体、およびこのような成形体を与えることのできるノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液に関する。
従来から反応射出成形(RIM)法により、ノルボルネン系モノマーおよびメタセシス触媒を含む反応液を金型内に注入し、塊状開環重合させることによりノルボルネン系樹脂からなる樹脂成形体を製造することが実用化されている。この反応射出成形に用いられる反応液は、通常、2以上の反応原液を衝突混合装置などで瞬間的に混合して得られる。このような反応原液は、1液のみでは塊状重合しないが、全ての液を混合すると、各成分を所定の割合で含む反応液となり、ノルボルネン系モノマーが塊状重合するものである。
このような反応射出成形法においては、得られる成形体の各種特性を改善するために、金型内に注入するための反応液にエラストマーなどの改質剤などが添加されることがある。
たとえば、特許文献1では、ノルボルネン系モノマーを含有する反応液を金型内で塊状重合させる際に、カップリング型スチレン・ブタジエンブロック共重合体などの分岐構造を有するエラストマーを添加した反応液を用いた反応射出成形方法が開示されている。この特許文献1によれば、このような所定のエラストマーを用いることで、気泡の発生を防止でき、強度に優れた成形品を得ることができる旨が記載されている。
一方で、このようなノルボルネン系モノマーを塊状重合させて得られる成形品を、たとえば、自動車等のエンジンカバー用途などに用いる場合に、耐熱性が高いことが要求されようになってきている。しかしながら、上記特許文献1に記載の方法で得られた成形品では耐熱性が不十分であり、そのため、耐熱性の向上が求められていた。
本発明は、他の機械物性を良好に保ちながら、優れた耐熱性を有するノルボルネン系樹脂成形体、およびこのような成形体を与えることのできるノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、型内に注入し、塊状重合させるための配合液として、オレフィン系エラストマーを含有する配合液を用いて得られるノルボルネン系樹脂成形体であって、所定の熱変形温度を有するノルボルネン系樹脂成形体により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、ノルボルネン系モノマーと、重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有する配合液を、型内に注入し、型内で塊状重合させることにより得られ、18.5kgf/cm2の荷重をかけた場合における熱変形温度が130℃以上であるノルボルネン系樹脂成形体が提供される。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体において、好ましくは、前記重合触媒が、モリブデンを中心金属とする重合触媒である。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体において、好ましくは、前記オレフィン系エラストマーが、プロピレン単位50〜95重量%、エチレン単位5〜50重量%およびジエンモノマー単位0〜10重量%からなるものである。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体において、好ましくは、前記オレフィン系エラストマーが、プロピレン単位50〜95重量%、エチレン単位5〜50重量%およびジエンモノマー単位0〜10重量%からなるものである。
また、本発明によれば、ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させて反応射出成形するための配合液であって、ノルボルネン系モノマーと、モリブデンを中心金属とする重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有し、前記オレフィン系エラストマーが、プロピレン単位50〜95重量%、エチレン単位5〜50重量%およびジエンモノマー単位0〜10重量%からなるものである配合液が提供される。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体によれば、ノルボルネン系モノマーおよび重合触媒に加えて、オレフィン系エラストマーを含有する配合液を、型内に注入し、型内で塊状重合させて得られ、かつ、18.5kgf/cm2の荷重をかけた場合における熱変形温度が130℃以上に制御されているため、他の機械物性(たとえば、引張り強度、引張り弾性率、曲げ強度、曲げ弾性率、耐衝撃性、線膨張率)を良好に保ちながら、優れた耐熱性を有する成形体を提供することができる。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、ノルボルネン系モノマーと、重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有する配合液を、型内に注入し、型内で塊状重合させることにより得られ、18.5kgf/cm2の荷重をかけた場合における熱変形温度が130℃以上の成形体である。
配合液
まず、本発明のノルボルネン系樹脂成形体を製造するために用いられる配合液について説明する。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体を製造するために用いられる配合液は、少なくとも、ノルボルネン系モノマーと、重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有する。
まず、本発明のノルボルネン系樹脂成形体を製造するために用いられる配合液について説明する。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体を製造するために用いられる配合液は、少なくとも、ノルボルネン系モノマーと、重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有する。
ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン環構造を有する化合物であれば良く、特に限定はされないが、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエン二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペンタジエン四量体等の七環体;等を挙げることができる。
これらのノルボルネン系モノマーは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;エチリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール等の置換基を有していてもよく、さらに、これらのノルボルネン系モノマーは、エステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子等の極性基を有していてもよい。
これらのノルボルネン系モノマーは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;エチリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール等の置換基を有していてもよく、さらに、これらのノルボルネン系モノマーは、エステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子等の極性基を有していてもよい。
このようなノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共二量体、5−エチリデンノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)等が挙げられる。
ノルボルネン系モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン系モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーのうち、入手が容易であり、反応性に優れ、得られる成形体を耐熱性に優れたものとすることができる点から、三環体、四環体または五環体のノルボルネン系モノマーが好ましい。
また、塊状重合により生成する開環重合体が熱硬化型となることが好ましく、そのためには、上記ノルボルネン系モノマーの中でも、対称性のシクロペンタジエン三量体等の、反応性の二重結合を二個以上有する架橋性モノマーを少なくとも含むものを用いることが好ましい。このような架橋性モノマーの割合は、全ノルボルネン系モノマー中に、2〜30重量%であることが好ましい。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、ノルボルネン系モノマーと開環共重合し得るシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、コモノマーとして用いてもよい。
重合触媒としては、ノルボルネン系モノマーを開環重合することができる触媒であればよく、特に限定されないが、本発明では、モリブデンを中心金属とする重合触媒が好ましく、特にモリブデンを中心金属とするメタセシス重合触媒が好ましい。モリブデンを中心金属とする重合触媒と、後述する所定のオレフィン系エラストマーとを組み合わせて用いることにより、本発明の作用効果(すなわち、耐熱性の向上効果)をより高めることができる。
モリブデンを中心金属とするメタセシス重合触媒は、モリブデン原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオンおよび/または化合物が結合してなる錯体である。このような重合触媒としては、モリブデンのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩、酸素酸塩、ヘテロポリ酸塩などが挙げられる。これらの中でも、モリブデンのハロゲン化物、オキシハライド、有機アンモニウム塩が好ましく、有機アンモニウム塩がより好ましい。モリブデンの有機アンモニウム塩としては、トリドデシルアンモニウムモリブデート、メチルトリカプリルアンモニウムモリブデート、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート、トリオクチルアンモニウムモリブデート等が挙げられる。
重合触媒の使用量は、反応に使用するモノマー1モルに対し、好ましくは0.01ミリモル以上、より好ましくは0.1ミリモル以上であり、使用量の上限は、好ましくは50ミリモル以下、より好ましくは10ミリモル以下である。重合触媒の使用量が少なすぎると重合活性が低すぎて反応に時間が掛かるため生産効率が悪くなる。一方、使用量が多すぎると反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に硬化し易くなったり、触媒が析出し易くなり、均質に保存することが困難になる。
重合触媒として、モリブデンを中心金属とするメタセシス重合触媒を用いる場合には、重合活性を制御する目的で、活性剤(共触媒)として有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物、または有機スズ化合物を併用することが好ましい。
このような活性剤としては、特に限定されないが、周期表第11〜14族の金属の有機金属化合物を挙げることができる。
周期表第11〜14族の金属の有機金属化合物としては、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド等の有機アルミニウム化合物;テトラブチル錫等の有機スズ化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;等が挙げられる。
周期表第11〜14族の金属の有機金属化合物としては、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド等の有機アルミニウム化合物;テトラブチル錫等の有機スズ化合物;ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;等が挙げられる。
活性剤の使用量は、特に限定されないが、反応に使用する重合触媒1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは1モル以上であり、使用量の上限は、好ましくは100モル以下、より好ましくは20モル以下である。活性剤の使用量が少なすぎると、重合活性が低くなりすぎて、反応に要する時間が長くなるため生産効率が悪くなる。逆に、使用量が多すぎると、反応が激しくなり過ぎてしまい、型内に十分に充填される前に硬化してしまうことがある。
活性剤は、モノマーに溶解して用いることが好ましいが、反応射出成形法により得られる成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり、溶解性を高めたりして用いてもよい。
活性剤は、モノマーに溶解して用いることが好ましいが、反応射出成形法により得られる成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり、溶解性を高めたりして用いてもよい。
また、本発明で用いる配合液には、さらに活性調節剤を添加することが好ましい。活性調節剤は、後述するように配合液を2つ以上の反応原液(たとえば、重合触媒のモノマー溶液および活性剤のモノマー溶液)に分け、これらを混合して金型に注入して重合が開始する際に、注入途中で重合が開始することを防止するためのものである。
このような活性調節剤としては、エーテル、エステル、ニトリル等のルイス塩基、アルコール類、アセチレン類およびα−オレフィン類などが挙げられる。
ルイス塩基の具体例としては、ブチルエーテル、安息香酸エチル、ジグライム等が挙げられる。アルコール類の具体例としては、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2−クロロエタノール、1−クロロブタノールが挙げられる。アセチレン類の具体例としては、フェニルアセチレン等が挙げられる。α−オレフィンの具体例としては、ビニルノルボルネン等が挙げられる。
また、一方で共重合モノマーとして、極性基含有モノマーを用いる場合には、モノマー自体がルイス塩基であることがあり、この場合には、活性調節剤としても働くこともある。活性調節剤は、活性化成分を含む溶液に添加するのが好ましい。
ルイス塩基の具体例としては、ブチルエーテル、安息香酸エチル、ジグライム等が挙げられる。アルコール類の具体例としては、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2−クロロエタノール、1−クロロブタノールが挙げられる。アセチレン類の具体例としては、フェニルアセチレン等が挙げられる。α−オレフィンの具体例としては、ビニルノルボルネン等が挙げられる。
また、一方で共重合モノマーとして、極性基含有モノマーを用いる場合には、モノマー自体がルイス塩基であることがあり、この場合には、活性調節剤としても働くこともある。活性調節剤は、活性化成分を含む溶液に添加するのが好ましい。
本発明で用いる配合液には、モノマーの重合転化率を向上させるため、さらに重合促進剤を添加することが好ましい。重合促進剤としては、塩素原子含有化合物が好ましく、中でも有機塩素化合物および塩素化ケイ素化合物が好ましい。このような化合物としては、たとえば、2,4−ジクロロベンゾトリクロリド、ヘキサクロロ−p−キシレン、2,4−ジクロロ−トリクロロトルエン、四塩化ケイ素等を挙げることができる。
上記活性調節剤および重合促進剤の添加量は、特に限定されないが、重合性組成物重量の10ppm〜10%程度である。
本発明で用いる配合液は、上記各成分に加えて、オレフィン系エラストマーを含有するものである。オレフィン系エラストマーとしては、本発明の効果がより一層顕著になることから、エチレン−プロピレンコポリマーおよびエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)が好ましく、なかでも、プロピレン単位50〜95重量%、エチレン単位5〜50重量%およびジエンモノマー単位0〜10重量%からなるものであることがより好ましく、プロピレン単位70〜95重量%、エチレン単位5〜30重量%およびジエンモノマー単位0〜10重量%であることがさらに好ましい。
本発明で用いるオレフィン系エラストマーは、後述の実施例記載の方法で求めた剪断速度係数が、好ましくは0.9〜2.0、特に好ましくは1.0〜1.7である。オレフィン系エラストマーの剪断速度係数が上記範囲にあるときに、配合液は流動性に優れ、かつ、ヒケの少ない成形体が得られ易い傾向がある。
本発明で用いる配合液中における、オレフィン系エラストマーの配合量は、ノルボルネン系モノマー100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部であり、より好ましくは2〜10重量部である。配合量が多すぎると、配合液の流動性が悪化する傾向があり、さらには得られる成形体の耐熱性も低下してしまう場合がある。
本発明で用いる配合液には、任意成分として、充填材を配合してもよい。充填材としては、種々の充填材を用いることができ、特に限定されないが、アスペクト比が5〜100の繊維状充填材およびアスペクト比が1〜2の粒子状充填材からなる無機充填材を用いることが好ましい。充填材のアスペクト比とは、充填材の平均長軸径と50%体積累積径との比をいう。ここで、平均長軸径は、光学顕微鏡写真で無作為に選んだ100個の充填材の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均長軸径である。 また、50%体積累積径は、X線透過法で粒度分布を測定することにより求められる値である。
繊維状充填材と粒子状充填材との含有重量比率(繊維状充填材/粒子状充填材)は、好ましくは95/5〜55/45であり、より好ましくは80/20〜60/40である。これらの比率を上記範囲内とすることにより、剛性および寸法安定性に優れた成形体を得ることが、より容易に可能になる。
上記繊維状充填材としては、5〜100のアスペクト比を有するものであることが好ましく、10〜50のアスペクト比を有するものであることがより好ましい。繊維状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。50%体積累積径が小さすぎると、これを用いて得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分になる場合がある。逆に、50%体積累積径が大きすぎると、重合反応液を金型内に注入する際に、重合反応液がタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。
このような繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノライト、塩基性硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、テトラポッド型酸化亜鉛、石膏繊維、ホスフェート繊維、アルミナ繊維、ウィスカー状炭酸カルシウム、ウィスカー状ベーマイト等を挙げることができる。中でも、塊状重合を阻害せず、得られる成形体の剛性を少ない使用量で高めることができるウォラストナイトおよびウィスカー状炭酸カルシウムが好ましい。
また、上記粒子状充填材は、1〜2のアスペクト比を有するものであることが好ましく、1〜1.5のアスペクト比を有するものであることがより好ましい。粒子状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μm、特に好ましくは1〜10μmである。50%体積累積径が小さすぎると、これを用いて得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分になる場合がある。逆に、50%体積累積径が大きすぎると、重合反応液を金型内に注入する際に、重合反応液がタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。
このような粒子状充填材の具体例としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化アンチモン、赤燐、各種金属粉、クレー、各種フェライト、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。中でも、塊状重合反応を阻害しないので、炭酸カルシウムおよび水酸化カルシウムが好ましい。
上記充填材は、その表面を疎水化処理したものであることが好ましい。疎水化処理した充填材を用いることにより、重合性組成物中における充填材の凝集・沈降を防止でき、また、得られる成形体中の充填材の分散を均一にすることができる。そして、結果として、得られる成形体の剛性や寸法安定性を均一にでき、更には、異方性を小さくすることができる。疎水化処理に用いられる処理剤としては、ビニルシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ステアリン酸等の脂肪酸、油脂、界面活性剤、ワックス等を挙げることができる。充填材の疎水化処理は、ノルボルネン系モノマー、重合触媒および充填材を含有してなる反応原液を調製する際に、疎水化処理剤を同時に混合することによっても可能であるが、予め疎水化処理を行なった充填材を用いて反応原液の調製を行なうことが好ましい。
本発明において、充填材の量は、ノルボルネン系モノマーおよび触媒の合計量100重量部に対して、5〜55重量部であることが好ましく、10〜45重量部であることがより好ましい。充填材の量が多すぎると、配合液を金型内に注入する際にタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。逆に、少なすぎると、充填材の添加効果が得難くなる。
また、本発明の配合液には、得られる成形体の特性の改良または維持のために、上記以外の各種添加剤を配合してもよい。このような添加剤としては、補強材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料、ジシクロペンタジエン系熱重合樹脂およびその水添物、等を挙げることができる。
各種添加剤は、触媒や活性剤のモノマー溶液に添加して用いる方法;別途モノマー溶液として調製し、反応射出成形時に触媒や活性剤のモノマー溶液と混合する方法;予め型内に充填しておく方法;等により添加される。添加方法は、用いる添加剤の種類により適宜選定すればよい。
ノルボルネン系モノマー、重合触媒およびオレフィン系エラストマーを含有してなる配合液を調製する方法は、特に限定されず、これらの成分を任意の方法で混合すればよいが、用いる重合触媒が活性剤(共触媒)を必要とするものであるか否かによって、たとえば、以下の2つの方法を挙げることができる。
すなわち、用いる重合触媒が活性剤を必要としないものである場合には、ノルボルネン系モノマーを含有する反応原液(i)と、重合触媒を含有する反応原液(ii)とを混合すればよい。ここで、重合触媒を含有する反応原液(ii)は、重合触媒を少量の不活性溶媒に溶解または分散して調製することができる。
一方、重合触媒が活性剤を必要とするものである場合には、ノルボルネン系モノマーと重合触媒とを含有する反応原液(以下、「A液」ということがある。)と、ノルボルネン系モノマーと活性剤とを含有する反応原液(以下、「B液」ということがある。)とを混合すればよい。この際に、ノルボルネン系モノマーのみからなる反応原液(以下、「C液」ということがある。)を併用してもよい。
オレフィン系エラストマーは、上記のいずれの反応原液(「A液」、「B液」もしくは「C液」、または、反応原液(i)もしくは反応原液(ii))に配合してもよいが、ノルボルネン系モノマーを含有する反応原液に配合することが好ましい。
また、充填材を使用する場合にも、充填材は、オレフィン系エラストマーと同様にいずれも反応原液に配合してもよいが、ノルボルネン系モノマーを含有する反応原液に配合することが好ましい。繊維状充填材と粒子状充填材とを用いる場合には、これらは、それぞれ別個の反応原液に配合しても、両者を同一の反応原液に配合してもよいが、両者を同一の反応原液に配合する方法の方が好ましく、これにより、充填材の沈降が抑制され、配合液の保存安定性が良好になる。
ノルボルネン系樹脂成形体
本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、反応射出成形により得られるものであり、具体的には、上述した配合液を、型内に注入し、型内で塊状重合させることにより得ることができる。
上述した配合液を型内で塊状重合させるために、たとえば、反応射出成形(RIM)装置として公知の衝突混合装置を用いることができる。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、反応射出成形により得られるものであり、具体的には、上述した配合液を、型内に注入し、型内で塊状重合させることにより得ることができる。
上述した配合液を型内で塊状重合させるために、たとえば、反応射出成形(RIM)装置として公知の衝突混合装置を用いることができる。
そして、衝突混合装置に、2以上の反応原液(「A液」、「B液」及び「C液」、または、反応原液(i)及び反応原液(ii))を、それぞれ別個に導入して、ミキシングヘッドで瞬間的に混合させて、配合液とし、この配合液を型内に注入して、この型内で塊状重合させることにより、ノルボルネン系樹脂成形体を得ることができる。 なお、衝突混合装置に代えて、ダイナミックミキサーやスタティックミキサー等の低圧注入機を使用することも可能である。
また、供給前の反応原液の温度は、好ましくは10〜60℃であり、反応原液の粘度は、たとえば30℃において、通常、5〜3,000mPa・s、好ましくは50〜1,000mPa・s程度である。
また、供給前の反応原液の温度は、好ましくは10〜60℃であり、反応原液の粘度は、たとえば30℃において、通常、5〜3,000mPa・s、好ましくは50〜1,000mPa・s程度である。
反応射出成形に用いる型としては、特に限定されないが、通常、雄型と雌型とで形成される金型を用いる。また、用いる型は、必ずしも剛性の高い高価な金型である必要はなく、金属製の型に限らず、樹脂製の型、または単なる型枠を用いることができる。金属製の型を用いる場合の材質としては、特に限定されないが、スチール、アルミニウム、亜鉛合金、ニッケル、銅、クロム等が挙げられ、鋳造、鍛造、溶射、電鋳等のいずれの方法で製造されたものでもよく、また、メッキされたものであってもよい。
型温度は、好ましくは10〜150℃、より好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。型締め圧力は通常0.01〜10MPaの範囲である。塊状重合の時間は適宜選択すればよいが、反応原液の注入終了後、通常20秒〜20分、好ましくは20秒〜5分である。
以上のようにして、本発明のノルボルネン系樹脂成形体を得ることができる。このようにして得られる本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、18.5kgf/cm2の荷重をかけた場合における熱変形温度が130℃以上であり、好ましくは133℃以上である。ここで、熱変形温度は、JIS K7207に準拠して測定することができる。また、本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)が好ましくは150℃以上であり、より好ましくは155℃以上である。そして、このような本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、他の機械物性(たとえば、引張り強度、引張り弾性率、曲げ強度、曲げ弾性率、耐衝撃性、線膨張率)を良好に保ちながら、優れた耐熱性を有するものであり、このような特性を生かし、バンパーやエアデフレクター等の自動車用途、ホイルローダーやパワーショベル等の建設・産業機械用途、ゴルフカートやゲーム機等のレジャー用途、医療機器等の医療用途、大型パネルや椅子等の産業用途、シャワーパンや洗面ボウル等の住宅設備用途等に用いることができる。特に、本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、耐熱性に優れているため、自動車等のエンジンカバー用途などの耐熱性が要求される用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
また、各特性は、下記に示す方法により測定した。
また、各特性は、下記に示す方法により測定した。
引張り強度
ノルボルネン系樹脂成形体の引張強度は、JIS K6251の引張試験に準拠して測定した。
ノルボルネン系樹脂成形体の引張強度は、JIS K6251の引張試験に準拠して測定した。
曲げ強度
ノルボルネン系樹脂成形体の曲げ強度は、JIS K6911に準拠して、測定温度23℃の条件にて測定した。
ノルボルネン系樹脂成形体の曲げ強度は、JIS K6911に準拠して、測定温度23℃の条件にて測定した。
曲げ弾性率
ノルボルネン系樹脂成形体の曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠し、試験速度3mm・min−1の条件にて測定した。
ノルボルネン系樹脂成形体の曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠し、試験速度3mm・min−1の条件にて測定した。
アイゾット衝撃強度
ノルボルネン系樹脂成形体のアイゾット衝撃強度は、JIS K7110に準拠して、測定した。なお、本実施例では、23℃にて測定を行った。
ノルボルネン系樹脂成形体のアイゾット衝撃強度は、JIS K7110に準拠して、測定した。なお、本実施例では、23℃にて測定を行った。
剪断速度係数
ジシクロペンタジエン:エチリデンノルボルネン=92:8(重量比)である混合モノマー中に、得られる溶液の30℃での粘度が320mPa・sとなるように、エチレン−プロピレンコポリマーを添加したエチレン−プロピレンコポリマー溶液を得た。そして、得られたエチレン−プロピレンコポリマー溶液を30℃に保持した状態で押出圧力10.2kPaで押出したときの流出溶液量における剪断速度A、および押出圧力を33.2kPaとしたときの剪断速度Bを下記式(1)に従って求め、次いで、剪断速度A、Bの結果より、エチレン−プロピレンコポリマーの剪断速度係数を下記式(2)に従って求めた。
剪断速度(1/s)=4q/πr3ρ …(1)
(式(1)中、qは、ダイから単位時間当たりに流出するエチレン−プロピレンコポリマー溶液の量(g/s)、rは、ダイノズルの半径(cm)、ρは、エチレン−プロピレンコポリマー溶液の密度(g/cm3)である。)
剪断速度係数=ln(剪断速度B/剪断速度A)/ln(33.2/10.2) …(2)
ジシクロペンタジエン:エチリデンノルボルネン=92:8(重量比)である混合モノマー中に、得られる溶液の30℃での粘度が320mPa・sとなるように、エチレン−プロピレンコポリマーを添加したエチレン−プロピレンコポリマー溶液を得た。そして、得られたエチレン−プロピレンコポリマー溶液を30℃に保持した状態で押出圧力10.2kPaで押出したときの流出溶液量における剪断速度A、および押出圧力を33.2kPaとしたときの剪断速度Bを下記式(1)に従って求め、次いで、剪断速度A、Bの結果より、エチレン−プロピレンコポリマーの剪断速度係数を下記式(2)に従って求めた。
剪断速度(1/s)=4q/πr3ρ …(1)
(式(1)中、qは、ダイから単位時間当たりに流出するエチレン−プロピレンコポリマー溶液の量(g/s)、rは、ダイノズルの半径(cm)、ρは、エチレン−プロピレンコポリマー溶液の密度(g/cm3)である。)
剪断速度係数=ln(剪断速度B/剪断速度A)/ln(33.2/10.2) …(2)
熱変形温度
ノルボルネン系樹脂成形体の熱変形温度は、JIS K7207に準拠して、18.5kgf/cm2の荷重をかけた条件にて、測定した。
ノルボルネン系樹脂成形体の熱変形温度は、JIS K7207に準拠して、18.5kgf/cm2の荷重をかけた条件にて、測定した。
実施例1
ノルボルネン系モノマー混合物としてのジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エチレン−プロピレンコポリマー(プロピレン単位88重量%、エチレン単位12重量%、剪断速度係数1.52)3.3部を溶解し、共触媒としてのジエチルアルミニウムクロリド2.8部、活性調節剤としての1,3−ジクロロ−2−プロパノール3.7部、重合促進剤としての四塩化ケイ素0.2部を添加して、反応原液(A液)を得た。
ノルボルネン系モノマー混合物としてのジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エチレン−プロピレンコポリマー(プロピレン単位88重量%、エチレン単位12重量%、剪断速度係数1.52)3.3部を溶解し、共触媒としてのジエチルアルミニウムクロリド2.8部、活性調節剤としての1,3−ジクロロ−2−プロパノール3.7部、重合促進剤としての四塩化ケイ素0.2部を添加して、反応原液(A液)を得た。
一方、ノルボルネン系モノマー混合物としてのジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エチレン−プロピレンコポリマー(プロピレン単位88重量%、エチレン単位12重量%、剪断速度係数1.52)3.2部を溶解し、ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)1.6部、酸化防止剤(ADEKA社製 アデカスタブAO−60G)0.3部、およびモリブデンを中心金属とする重合触媒としてのトリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート1.8部を添加して、反応原液(B液)を得た。
次いで、内部に縦245mm×横210mm×厚さ4mmの空間を有する2枚のステンレス板からなる平板成形品反応射出成形用金型を準備し、90℃に加温した。なお、この反応射出成形用金型は、一方のステンレス板の最下部に反応液注入孔を有する構造となっている。
そして、上記にて調製したA液およびB液をA液:B液=1:1(重量比)の割合で、スタティックミキサーで混合しながら、反応液注入孔より、反応射出成形用金型内に注入し、塊状重合反応を120秒間行ない、その後、重合硬化したノルボルネン系樹脂成形体を得た。得られたノルボルネン系樹脂の比重は1.04であり、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は156℃であった。そして、得られたノルボルネン系樹脂成形体について、上記方法により、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、23℃におけるアイゾット衝撃強度および熱変形温度の各評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られたノルボルネン系樹脂成形体について、引張り弾性率(JIS K7113、試験速度3mm・min−1)、−30℃におけるアイゾット衝撃強度(JIS K7110)、および線膨張率(JIS K7197、40〜80℃の温度範囲)の各測定を行ったところ、引張り弾性率:1879MPa、−30℃におけるアイゾット衝撃強度:17kJ/m2、線膨張率:82ppm(40〜80℃)であった。
また、得られたノルボルネン系樹脂成形体について、引張り弾性率(JIS K7113、試験速度3mm・min−1)、−30℃におけるアイゾット衝撃強度(JIS K7110)、および線膨張率(JIS K7197、40〜80℃の温度範囲)の各測定を行ったところ、引張り弾性率:1879MPa、−30℃におけるアイゾット衝撃強度:17kJ/m2、線膨張率:82ppm(40〜80℃)であった。
比較例1
各反応原液(A液、B液)を調製する際に、エチレン−プロピレンコポリマーの代わりに、それぞれ、5.7部(A液)、5.6部(B液)のスチレン・ブタジエンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ社製、アサプレンT411XL)を使用するとともに、反応原液(A液)に添加するジエチルアルミニウムクロリドの量を2.9部、反応原液(B液)に添加するジブチルヒドロキシトルエン、およびモリブデンを中心金属とする重合触媒としてのトリ(トリデシル)アンモニウムモリブデートの量をそれぞれ1.7部、1.9部に変更した以外は、実施例1と同様にして、各反応原液(A液、B液)を調製し、ノルボルネン系樹脂成形体を製造した。得られたノルボルネン系樹脂の比重は1.04であり、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は150℃であった。そして、得られたノルボルネン系樹脂成形体について、実施例1と同様に、上記方法により、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、23℃におけるアイゾット衝撃強度および熱変形温度の各評価を行った。結果を表1に示す。
また、比較例1においては、実施例1と同様に、得られたノルボルネン系樹脂成形体について、引張り弾性率、−30℃におけるアイゾット衝撃強度、および線膨張率の各測定についても行った。その結果、引張り弾性率:1652MPa、−30℃におけるアイゾット衝撃強度:18kJ/m2、線膨張率:85ppm(40〜80℃)であった。
各反応原液(A液、B液)を調製する際に、エチレン−プロピレンコポリマーの代わりに、それぞれ、5.7部(A液)、5.6部(B液)のスチレン・ブタジエンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ社製、アサプレンT411XL)を使用するとともに、反応原液(A液)に添加するジエチルアルミニウムクロリドの量を2.9部、反応原液(B液)に添加するジブチルヒドロキシトルエン、およびモリブデンを中心金属とする重合触媒としてのトリ(トリデシル)アンモニウムモリブデートの量をそれぞれ1.7部、1.9部に変更した以外は、実施例1と同様にして、各反応原液(A液、B液)を調製し、ノルボルネン系樹脂成形体を製造した。得られたノルボルネン系樹脂の比重は1.04であり、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は150℃であった。そして、得られたノルボルネン系樹脂成形体について、実施例1と同様に、上記方法により、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、23℃におけるアイゾット衝撃強度および熱変形温度の各評価を行った。結果を表1に示す。
また、比較例1においては、実施例1と同様に、得られたノルボルネン系樹脂成形体について、引張り弾性率、−30℃におけるアイゾット衝撃強度、および線膨張率の各測定についても行った。その結果、引張り弾性率:1652MPa、−30℃におけるアイゾット衝撃強度:18kJ/m2、線膨張率:85ppm(40〜80℃)であった。
比較例2
ノルボルネン系モノマー混合物としてのジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エチレン−プロピレンコポリマー(プロピレン単位88重量%、エチレン単位12重量%、剪断速度係数1.52)4.2部を溶解し、活性調節剤としてのトリエチルアルミニウム0.99部を添加して、反応原液(A液)を得た。
ノルボルネン系モノマー混合物としてのジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エチレン−プロピレンコポリマー(プロピレン単位88重量%、エチレン単位12重量%、剪断速度係数1.52)4.2部を溶解し、活性調節剤としてのトリエチルアルミニウム0.99部を添加して、反応原液(A液)を得た。
一方、六塩化タングステン17部を窒素気流下で乾燥トルエン44部に添加し、次いで、t−ブタノール1部をトルエン1部に溶解した溶液を加え、30時間撹拌した。次に、ドデシルフェノール14部およびトルエン14部からなる溶液を添加して、窒素パージ下に、20時間撹拌し、さらにアセチルアセトン9部を加え副生する塩化水素ガスを追い出しながら窒素パージ下に、24時間撹拌を継続し、重合用触媒溶液を調製した。
そして、ノルボルネン系モノマー混合物としてのジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エチレン−プロピレンコポリマー(プロピレン単位88重量%、エチレン単位12重量%、剪断速度係数1.52)4.3部を溶解し、酸化防止剤としてのジブチルヒドロキシトルエン0.66部を溶解させた。次いで、上記にて調製した重合用触媒溶液1.4部を添加して、反応原液(B液)を得た。
そして、ノルボルネン系モノマー混合物としてのジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、エチレン−プロピレンコポリマー(プロピレン単位88重量%、エチレン単位12重量%、剪断速度係数1.52)4.3部を溶解し、酸化防止剤としてのジブチルヒドロキシトルエン0.66部を溶解させた。次いで、上記にて調製した重合用触媒溶液1.4部を添加して、反応原液(B液)を得た。
次いで、上記にて調製したA液およびB液を用いて、実施例1と同様にして、ノルボルネン系樹脂成形体を製造した。得られたノルボルネン系樹脂の比重は1.04であり、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は140℃であった。そして、得られたノルボルネン系樹脂成形体について、上記方法により、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、23℃におけるアイゾット衝撃強度および熱変形温度の各評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、モリブデンを中心金属とする重合触媒およびオレフィン系エラストマーとしてのエチレン−プロピレンコポリマーを組み合わせて用いて得られたノルボルネン系樹脂成形体は、他の機械物性を良好に保ちながら、熱変形温度が130℃以上と高くなり、耐熱性に優れる結果となった(実施例1)。
これに対して、配合液に含有させるエラストマーとしてスチレン・ブタジエンブロック共重合体を用いた場合、および重合触媒としてタングステンを中心金属とする重合触媒を用いた場合には、熱変形温度が低くなり、耐熱性に劣る結果となった(比較例1,2)。
これに対して、配合液に含有させるエラストマーとしてスチレン・ブタジエンブロック共重合体を用いた場合、および重合触媒としてタングステンを中心金属とする重合触媒を用いた場合には、熱変形温度が低くなり、耐熱性に劣る結果となった(比較例1,2)。
Claims (4)
- ノルボルネン系モノマーと、重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有する配合液を、型内に注入し、型内で塊状重合させることにより得られ、18.5kgf/cm2の荷重をかけた場合における熱変形温度が130℃以上であるノルボルネン系樹脂成形体。
- 前記重合触媒が、モリブデンを中心金属とする重合触媒である請求項1に記載のノルボルネン系樹脂成形体。
- 前記オレフィン系エラストマーが、プロピレン単位50〜95重量%、エチレン単位5〜50重量%およびジエンモノマー単位0〜10重量%からなるものである請求項1または2に記載のノルボルネン系樹脂成形体。
- ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させて反応射出成形するための配合液であって、
ノルボルネン系モノマーと、モリブデンを中心金属とする重合触媒と、オレフィン系エラストマーとを含有し、
前記オレフィン系エラストマーが、プロピレン単位50〜95重量%、エチレン単位5〜50重量%およびジエンモノマー単位0〜10重量%からなるものである配合液。
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-
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