JP2007009063A - ノルボルネン系樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents

ノルボルネン系樹脂成形体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 寸法安定性に優れた樹脂成形体、成形時に成形装置のノズル口詰まりの発生しない上記樹脂成形体の製造方法、及び、保存安定性に優れ上記製造方法に好適に用いられる反応原液、を提供する。
【解決手段】 ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させて得られるノルボルネン系樹脂成形体であって、アスペクト比が5〜100の炭酸カルシウムを、含有してなることを特徴とするノルボルネン系樹脂成形体を提供する。この炭酸カルシウムの平均長軸径が5〜500μmであることが好ましい。また、上記ノルボルネン系モノマー100重量部に対し、炭酸カルシウムを5〜400重量部含有していることが特に好ましい。

Description

本発明は、特定形状の炭酸カルシウムを含有するノルボルネン系樹脂成形体およびその製造方法に関する。また本発明は、該製造方法に好適に用いられる反応原液に関する。
従来から反応射出成形(RIM)法により、ノルボルネン系モノマーおよびメタセシス触媒を含む反応液を金型内に注入し、塊状開環重合させることによりノルボルネン系樹脂からなる樹脂成形体を製造することが実用化されている。反応液は、通常、2以上の反応原液を衝突混合装置などで瞬間的に混合して得られる。かかる反応原液は、1液のみでは塊状重合しないが、全ての液を混合すると、各成分を所定の割合で含む反応液となり、ノルボルネン系モノマーが塊状重合するものである。
RIM法で得られる樹脂成形体を高剛性にするために、反応液に各種の充填材を添加して成形することが知られている。例えば、特許文献1では、充填材として炭酸カルシウムを用いて、高剛性の樹脂成形体を得ている。
しかし、これら従来の方法では、RIM法による成形時の寸法安定性が悪く、所望したとうりの寸法の樹脂成形体が得られにくいという欠点があった。また、成形時に成形装置のノズル口が詰まって成形が困難になる場合があった。
特開2003−321597号公報
本発明の目的は、(ア)寸法安定性に優れた樹脂成形体、(イ)成形時に成形装置のノズル口詰まりの発生しない上記樹脂成形体の製造方法、及び、(ウ)保存安定性に優れ上記製造方法に好適に用いられる反応原液、を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、
(I)上記寸法安定性の悪化原因が、充填材として用いる炭酸カルシウムのアスペクト比にあること、
(II)炭酸カルシウムのアスペクト比を制御することにより、寸法安定性が向上するだけでなく、反応原液の保存安定性が良くなること、及び
(III)成形時に成形装置のノズル口が詰まって成形が困難になる現象を防止できること、を見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させて得られるノルボルネン系樹脂成形体であって、アスペクト比が5〜100の炭酸カルシウムを、含有してなることを特徴とするノルボルネン系樹脂成形体、
(2)炭酸カルシウムの平均長軸径が5〜500μmである上記に記載のノルボルネン系樹脂成形体、
(3)ノルボルネン系モノマー100重量部に対し、炭酸カルシウムを5〜400重量部含有していることを特徴とする上記に記載のノルボルネン系樹脂成形体、
(4)ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒、及び、アスペクト比が5〜100の炭酸カルシウムを含有してなる反応液を型内に注入し、該型内で塊状重合させることを特徴とする上記に記載のノルボルネン系樹脂成形体の製造方法、及び
(5)ノルボルネン系モノマー、及び、アスペクト比が5〜100の炭酸カルシウムを含有する上記に記載の製造方法に用いられる反応原液(α)、
を提供するものである。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、寸法安定性(樹脂成形体の線膨張率が小さいため、所望した通りの寸法の樹脂成形体が得られることを意味する。)に優れているので、住宅設備、一般建築部品、電気部品、自動車部品、など各種の広範な用途に好適に用いることができる。また、本発明の反応原液は、反応射出成形に用いた場合に成形装置のノズル口が詰まって成形が困難になる現象が発生しない。さらに、該反応原液は、保存安定性に優れ、均一かつ寸法安定性に優れた成形体を製造することができる。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体(以下、単に「成形体」ということがある)は、ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させて得られるノルボルネン系樹脂成形体であって、アスペクト比が5〜100の炭酸カルシウム(以下、「ウィスカー状炭酸カルシウム」と略す。)を、含有してなることを特徴とする。
上記本発明の成形体は、本発明の製造方法により製造できる。本発明の製造方法は、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒、及び、ウィスカー状炭酸カルシウムを含有してなる反応液を型内に注入し、該型内で塊状重合させることを特徴とする。
前記反応液は、通常、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒、ウィスカー状炭酸カルシウム、及び任意成分を、2以上の液に分けて調製した反応原液を混合して得られる。反応原液は、1液のみでは塊状重合しないが、全ての液を混合すると、各成分を所定の割合で含む反応液となり、ノルボルネン系モノマーが塊状重合するものである。前記任意成分としては、活性剤、活性調節剤、エラストマー、及び酸化防止剤などが挙げられる。
本発明で用いるノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環構造を有する化合物であり、そのような化合物であればいずれでもよい。中でも、耐熱性に優れた成形体が得られることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーを用いることが好ましい。なお、上記ノルボルネン系モノマーは極性基を有していても良い。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ノルボルネン及びノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエン二量体)及びジヒドロジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペンタジエン四量体等の七環体;及びこれらの置換体;などが例示される。上記置換体の置換基としては、メチル、エチル、プロピル及びブチルなどのアルキル基;ビニル等のアルケニル基;エチリデン等のアルキリデン基;フェニル、トリル及びナフチル等のアリール基;エステル基;エーテル基;シアノ基;及び、ハロゲン原子;などが挙げられる。これらのモノマーは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、入手が容易であり、反応性に優れ、得られる成形体の耐熱性に優れる点から、三環体、四環体、及び五環体のモノマーが好ましい。
また、生成する開環重合体が熱硬化型となることが好ましく、そのためには、上記ノルボルネン系モノマーの中でも、対称性のシクロペンタジエン三量体等の、反応性の二重結合を二個以上有する架橋性モノマーを少なくとも含むものが好適に用いられる。全ノルボルネン系モノマー中の架橋性モノマーの割合は、2〜30重量%が好ましい。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、ノルボルネン系モノマーと開環共重合し得るシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、及びシクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、コモノマーとして用いてもよい。
本発明で用いるウィスカー状炭酸カルシウムは、アスペクト比が5〜100、好ましくは10〜50、特に好ましくは20〜40のものである。アスペクト比が上記範囲より小さい場合、寸法安定性が悪化する。アスペクト比が上記範囲より大きい場合、型内に注入する時に成形装置の注入ノズルが詰まる(以下、「ノズル口詰まり」と略す。)恐れがあるとともに、液状のノルボルネン系モノマーと炭酸カルシウムが分離してしまい(「保存安定性」が悪いことを意味する。)成形が困難になったり、均一な成形体が得られない場合がある。
なお、炭酸カルシウムのアスペクト比とは、炭酸カルシウムの平均長軸径を、50%体積累積径で除した値である。ここで、平均長軸径は光学顕微鏡写真で無作為に選んだ100個の炭酸カルシウムの外接円の直径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均長さである。また、50%体積累積径は、X線透過法で粒度分布を測定することにより求められる値である。
ウィスカー状炭酸カルシウムの平均長軸径は、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜100μm、特に好ましくは10〜50μmである。上記範囲にすることで、本発明の効果がより一層顕著なものとなる。
本発明のノルボルネン系樹脂成形体は、ノルボルネン系モノマー100重量部に対し、ウィスカー状炭酸カルシウムを好ましくは5〜400重量部、より好ましくは10〜100重量部使用して製造されたものであることが好ましい。
ウィスカー状炭酸カルシウムは、表面が疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理されたウィスカー状炭酸カルシウムを用いることで、得られる成形体中にウィスカー状炭酸カルシウムを均一に分散させることができ、強度や寸法安定性が均一で、異方性が小さい成形体とすることができる。疎水化処理に用いられる処理剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、脂肪酸、油脂、界面活性剤、ワックス、及びその他の高分子などが挙げられる。
疎水化処理の方法は特に限定されず、未処理のウィスカー状炭酸カルシウムと疎水化処理剤とを別個の反応原液に含有させ、2以上の反応原液を混合する時に反応液の調製とウィスカー状炭酸カルシウムの疎水化処理を同時に行うこともできるが、疎水化処理済のウィスカー状炭酸カルシウムを用いて反応原液を調製することが好ましい。疎水化処理済のウィスカー状炭酸カルシウムを用いることで、ウィスカー状炭酸カルシウムの凝集を防止できるので、反応原液中での分散性が向上し、ウィスカー状炭酸カルシウムの沈降を抑制できる。
反応液中のウィスカー状炭酸カルシウムの量は、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。ウィスカー状炭酸カルシウムの量が多すぎると、反応液を型内に注入する時にタンクや配管内で沈降したり注入ノズルが詰まったりすることがあり、また強度が低下する場合がある。一方、少なすぎると得られる成形体寸法安定性が悪化する場合がある。
本発明の製造方法に用いられるメタセシス触媒は、反応射出成形法(RIM法)でノルボルネン系モノマーを開環重合できるものであれば特に限定されず、公知のもので良い。例えば、周期表第5族または第6族の遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩、酸素酸塩、及びヘテロポリ酸塩等が挙げられる。これら周期表第5族または第6族の遷移金属の化合物としては、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物及び有機アンモニウム塩が好ましく、有機アンモニウム塩がより好ましい。また、前記遷移金属としては、モリブテン、タングステン及びタンタルが好ましく、モリブテン及びタングステンがより好ましい。メタセシス触媒の好ましい具体例としては、トリドデシルアンモニウムモリブデン酸塩及びタングステン酸塩、メチルトリカプリルアンモニウムモリブデン酸塩及びタングステン酸塩、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデン酸塩及びタングステン酸塩、並びにトリオクチルアンモニウムモリブデン酸塩及びタングステン酸塩等が挙げられる。
これらのメタセシス触媒の使用量は、反応液中のノルボルネン系モノマー1モルに対し、通常、0.01〜50ミリモル、好ましくは0.1〜20ミリモルである。
メタセシス触媒として、周期表第8族の金属原子を中心金属とする金属カルベン錯体を用いることが、本発明の効果がより顕著に表われることから特に好ましい。金属カルベン錯体は、中心金属原子にカルベン化合物が結合し、金属原子(M)とカルベン炭素が直接に結合した構造(M=C<)を錯体中に有するものである。カルベン化合物とは、カルベン炭素すなわちメチレン遊離基を有する化合物の総称である。周期表第8族の金属原子としては、ルテニウムおよびオスミウムが好ましく、ルテニウムが特に好ましい。金属カルベン錯体の好ましい具体例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−3−メチル−2−ブテニリデンルテニウム(IV)ジクロリド、ベンジリデン(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3-ジメシチルイミダゾリジン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3-ジメシチル-4,5-ジブロモイミダゾリン-2-イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、及びビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの金属カルベン錯体をメタセシス触媒として用いる場合の使用量は、反応液中のモノマー1モルに対し、通常、0.001〜1ミリモル、好ましくは0.002〜0.3ミリモルである。メタセシス触媒の使用量が少なすぎると重合活性が低すぎて反応に時間がかかるため生産効率が悪く、使用量が多すぎると反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に塊状重合が進行したり、触媒が析出し易くなり均質に保存することが困難になる。
メタセシス触媒は少量の不活性溶剤に溶解または分散させて用いてもよい。かかる場合の不活性溶剤としては、例えば、流動パラフィン;ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素溶剤;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、トリシクロデカン及びシクロオクタンなどの脂環式炭化水素溶剤;ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;ジエチルエ-テル及びテトラヒドロフランなどのエ-テル系溶剤などを使用することができる。また、触媒としての活性を落とさないようなものであれば、液状の老化防止剤、可塑剤やエラストマーを溶剤として用いても良い。
これらの溶剤の中では、流動パラフィン、芳香族炭化水素溶剤、脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤が好ましい。
活性剤としては、エチルアルミニウムジクロリド及びジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド;これらのアルキルアルミニウムハライドの、アルキル基の一部をアルコキシ基で置換したアルコキシアルキルアルミニウムハライド;有機スズ化合物;などが用いられる。活性剤の使用量は、特に限定されないが、通常、反応液全体で使用するメタセシス触媒1モルに対して、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。
活性調節剤は、反応速度や、反応液の混合から反応開始までの時間、反応活性などを変化させることができる。メタセシス触媒として周期表第5族または第6族の遷移金属の化合物を用いる場合の活性調節剤としては、メタセシス触媒を還元する作用を持つ化合物などが挙げられ、アルコール類、ハロアルコール類、エステル類、エーテル類、及びニトリル類等を用いることができる。中でもアルコール類及びハロアルコール類が好ましく、ハロアルコール類が特に好ましい。アルコール類の具体例としては、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びt-ブチルアルコールなどが挙げられ、ハロアルコール類の具体例としては、1,3-ジクロロ-2-プロパノール、2-クロロエタノール、及び1-クロロブタノールなどが挙げられる。
メタセシス触媒として金属カルベン錯体を用いる場合の活性調節剤としては、ルイス塩基化合物が挙げられる。ルイス塩基化合物としては、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、及びn-ブチルホスフィンなどのリン原子を含むルイス塩基化合物;n-ブチルアミン、ピリジン、4-ビニルピリジン、アセトニトリル、エチレンジアミン、N-ベンジリデンメチルアミン、ピラジン、ピペリジン、及びイミダゾールなどの窒素原子を含むルイス塩基化合物;が挙げられる。また、ビニルノルボルネン、プロペニルノルボルネン及びイソプロペニルノルボルネンなどの、アルケニル基で置換されたノルボルネンは、前記のノルボルネン系モノマーであると同時に、活性調節剤としても働く。これらの活性調節剤の使用量は、用いる化合物によって変わり、一様ではない。
前記反応液には、エラストマー及び酸化防止剤等の任意成分が含まれていても良い。
エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)及び、これらの水素化物などが挙げられる。エラストマーを反応液に溶解させて用いることにより、反応液の粘度を調節することができる。また、エラストマーを添加することで、得られるノルボルネン系樹脂成形体および複合成形体の耐衝撃性を改良できる。エラストマーの使用量は、反応液中のノルボルネン系モノマー100重量部に対し、通常0.5〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。
酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、及びアミン系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤が挙げられる。
上記の各成分を、2以上の液に分けて反応原液を調製する。かかる2以上の反応原液の組み合わせとしては、用いるメタセシス触媒の種類により、下記(a)及び(b)の二通りが挙げられる。
(a):前記メタセシス触媒として、単独では重合反応活性を有しないが、活性剤を併用することで重合反応活性を発現するものを用いることができる。この場合は、ノルボルネン系モノマーおよび活性剤を含む反応原液(A1液)と、ノルボルネン系モノマーおよびメタセシス触媒を含む反応原液(B1液)とを用い、これらを混合することで前記の反応液を得ることができる。さらに、ノルボルネン系モノマーを含み、かつメタセシス触媒および活性剤のいずれも含まない反応原液(C1液)を併用してもよい。
(b):また、メタセシス触媒として、単独で重合反応活性を有するものを用いる場合は、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液(A2液)と、メタセシス触媒を含む反応原液(B2液)とを混合することで前記の反応液を得ることができる。このとき反応原液(B2液)としては、通常、メタセシス触媒を少量の不活性溶剤に溶解または分散させたものが用いられる。
いずれの場合においても、ウィスカー状炭酸カルシウムおよび前記の任意成分は、どの反応原液に含まれていてもよい。中でも、ウィスカー状炭酸カルシウムは、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液に含まれていることが好ましい。具体的には、前記(a)の場合においては、ウィスカー状炭酸カルシウムがA1液、B1液、及びC1液から選ばれる一つの反応原液に含まれる態様が挙げられる。また、前記(b)の場合においては、ウィスカー状炭酸カルシウムがA2液又はB2液に含まれる態様が挙げられる。
本発明の反応原液(α)は、ノルボルネン系モノマー及びウィスカー状炭酸カルシウムを含有し、本発明の製造方法に用いられるものである。
本発明の反応原液(α)は、ウィスカー状炭酸カルシウムを用いることで沈降が生じず、保存安定性に優れる。反応原液(α)中のウィスカー状炭酸カルシウムの量は、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜65重量%である。ウィスカー状炭酸カルシウムの量が多すぎると保存時にタンクや配管内で沈降するおそれがある。また、少なすぎると寸法安定性が悪化する場合がある。
本発明の製造方法においては、従来から反応射出(RIM)成形装置として公知の衝突混合装置を、反応原液を混合するために使用することができる。2以上の反応原液をRIM機のミキシング・ヘッドで瞬間的に混合させ、得られる反応液を型中に注入し、該型内で塊状重合させて本発明のノルボルネン系樹脂成形体が得られる。
また、衝突混合装置以外にも、ダイナミックミキサーやスタチックミキサーなどの低圧注入機も使用することができる。
反応射出成形に用いる型は、必ずしも剛性の高い高価な金型である必要はなく、金属製の型に限らず、樹脂製の型、または単なる型枠を用いることができる。反応射出成形は、低粘度の反応原液を用い、比較的低温低圧で成形できるためである。また、反応液を注入する前に、型内を窒素ガスなどの不活性ガスで置換することが好ましい。
型温度は、好ましくは、10〜150℃、より好ましくは、30〜120℃、さらに好ましくは、50〜100℃である。型締め圧力は通常0.01〜10MPaの範囲である。塊状重合の時間は適宜選択すればよいが、反応原液の注入終了後、通常20秒〜40分である。
本発明の製造方法において、型内に複合化部材が設置されていると、複合化部材とノルボルネン系樹脂が一体的に形成してある、ノルボルネン系樹脂複合成形体を得ることができる。ここで、「一体的に形成してある」とは、ノルボルネン系樹脂と複合化部材とが容易に剥離しないように密着していることを言い、樹脂の融着により密着していてもよいし、接着剤層を介して密着していてもよい。
複合化部材は、型内に設置可能であり、塊状重合時の型温度において流動性を有しない材料である。複合化部材の材質としては、金属、ガラス、セラミックス、及び木材などの無機材料;樹脂やゴムなどの有機材料;が挙げられる。無機材料としては、金属またはガラスが好ましい。有機材料としては、樹脂が好ましい。樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、及びノルボルネン系樹脂などが挙げられる。中でも、アクリル樹脂が特に好ましい。
複合化部材の形状も特に限定されず、シート、板、棒、織布または不織布、各種三次元形状物などのいずれでもよい。
複合化部材とノルボルネン系樹脂とを、接着剤層を介して密着させる場合には、該複合化部材の、反応液と接触する表面の少なくとも一部に、接着剤層を形成しておけばよい。接着剤層の形成に用いられる材料は塊状重合反応を阻害しないものであれば特に限定されず、用いる複合化部材により異なるが、スチレンと共役ジエンとのブロック共重合体またはその水素化物を含有していることが好ましい。このようなブロック共重合体の具体例としては、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SI)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、及びスチレン-ブタジエン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SBIS)などが挙げられる。複合化部材とノルボルネン系樹脂とが、接着剤層を介して密着していると、両者の密着性が高いので好ましい。
以上のようにして、本発明の成形体が得られる。本発明の成形体中のウィスカー状炭酸カルシウムの量は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは21〜50重量%である。ただし、本発明の成形体が複合成形体である場合は、上記は複合化部材を除くノルボルネン系樹脂部分におけるウィスカー状炭酸カルシウムの量を表す。ウィスカー状炭酸カルシウムの量が多すぎると成形体の強度や耐衝撃性が低下する場合がある。一方、少なすぎると成形体の寸法安定性が悪化する場合がある。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。また、各特性は、下記に示す方法により測定した。
(1)炭酸カルシウムの50%体積累積径
炭酸カルシウムの50%体積累積径は、セディグラフ(マイクロメリティクス社製)を用い、X線透過法で粒度分布を測定して求めた。
(2)炭酸カルシウムのアスペクト比
炭酸カルシウムのアスペクト比は、光学顕微鏡写真で無作為に選んだ100個の炭酸カルシウムの外接円の直径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均長さ(平均長軸径)を、上記の50%体積累積径で除した値とした。
(3)曲げ弾性率
ノルボルネン系樹脂成形体の曲げ弾性率は、JIS K 7171に従い測定した。
(4)曲げ強度
ノルボルネン系樹脂成形体の曲げ強度は、JIS 7171に従い測定した。
(5)引張り強度
ノルボルネン系樹脂成形体の引張り強度は、JIS 7161に従い測定した。
(6)線膨張率(成形体の寸法安定性の指標であり、線膨張率が小さいほど寸法安定性は良好である。)
ノルボルネン系樹脂成形体の線膨張率は、JIS K 7197に準じて測定した。ただし、試験片としては、長さ10mm、幅5mm、厚さ4mmのものを用いた。
(実施例1)
ウィスカー状炭酸カルシウムとして、平均長軸径が25μmで、アスペクト比が33のもの(丸尾カルシウム(株)製、品番:ウイスカルA)を用意した(「炭酸カルシウムa」と表す。)。
ジシクロペンタジエン90部及びトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、炭酸カルシウムaを25部加え、さらに分散剤(チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ(株)製、品番:プレンアクトKR TTS)を0.23部添加した後攪拌混合し、反応原液(α)(上記A2液に相当)とした。
一方、メタセシス触媒を含む反応原液(上記B2液に相当)として、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−3−メチル−2−ブテニリデンルテニウム(IV)ジクロリドを流動パラフィンに7重量%の濃度で分散させた触媒分散液を用意した(「触媒分散液b」と表す。)。
次に、縦200mm×横300mmのステンレス板を2枚用意し、そのうちの1枚にはヒーター線を全面に取り付けて加温できるようにした。ステンレス板2枚の周辺部に厚さ4mm、幅20mmのシリコンパッキングを設置し、注入口を設け、該ステンレス板を、加熱ヒーター部が外側になるようにして重ねて金型とした。
ステンレス内表面を90℃に加熱し、上述の反応原液(α)125.2部に対して触媒分散液bを1部混合して反応液とし、注入口より流し込んだ。注入後30分間硬化させ、金型より取り出した。次いで110℃で120分間後硬化して成形品を得た。
なお、実験中にノズル口詰まりは発生せず、保存安定性も良好であった。
結果を表1に示す。
(実施例2)
炭酸カルシウムaの添加量を67部にし、分散剤の添加量を0.6部にし、反応原液(α)167.6部に対して触媒分散液bを1部混合して反応液とした以外は実施例1と同様にして成形品を得た。
なお、実験中にノズル口詰まりは発生せず、保存安定性も良好であった。
結果を表1に示す。
(比較例1)
炭酸カルシウムとして、粒状のもの、すなわち平均長軸径が4μmで、アスペクト比が1のもの(三共製粉(株)製、品番:エスカロン#200)を用意した(「炭酸カルシウムb」と表す。)。
炭酸カルシウムaに代えて炭酸カルシウムbを使用した以外は、実施例1と同様にして成形品を得た。なお、実験中にノズル口詰まりは発生せず、保存安定性も良好であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
炭酸カルシウム及び分散剤を使用せず、反応原液(α)100部に対して触媒分散液bを1部混合して反応液とした以外は実施例1と同様にして成形品を得た。結果を表1に示す。
Figure 2007009063
表1に示すように、ウィスカー状炭酸カルシウム(炭酸カルシウムa)を用いた実施例1及び2では、粒状の炭酸カルシウム(炭酸カルシウムb)を用いた比較例1、及び炭酸カルシウムを使用しなかった比較例2に比べて、線膨張率が小さいため寸法安定性が大きく向上した。

Claims (5)

  1. ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させて得られるノルボルネン系樹脂成形体であって、アスペクト比が5〜100の炭酸カルシウムを、含有してなることを特徴とするノルボルネン系樹脂成形体。
  2. 前記炭酸カルシウムの平均長軸径が5〜500μmである請求項1に記載のノルボルネン系樹脂成形体。
  3. 前記ノルボルネン系モノマー100重量部に対し、前記炭酸カルシウムを5〜400重量部含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のノルボルネン系樹脂成形体。
  4. ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒、及び、アスペクト比が5〜100の炭酸カルシウムを含有してなる反応液を型内に注入し、該型内で塊状重合させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノルボルネン系樹脂成形体の製造方法。
  5. ノルボルネン系モノマー、及び、アスペクト比が5〜100の炭酸カルシウムを含有する請求項4に記載の製造方法に用いられる反応原液(α)。
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