JP2008126417A - 複合成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高剛性で、寸法安定性に優れ、樹脂成形体とめっき層との密着性が改善された複合成形体を提供すること。
【解決手段】ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させることにより得られ、アスペクト比が5〜100である繊維状充填材およびアスペクト比が1〜2である粒子状充填材を含有するノルボルネン系樹脂成形体と、前記ノルボルネン系樹脂成形体の表面に形成されためっき層と、を有する複合成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させて得られるノルボルネン系樹脂成形体と、このノルボルネン系樹脂成形体の表面に形成されためっき層と、を有する複合成形体に係り、さらに詳しくは、ノルボルネン系樹脂成形体とめっき層との密着性が改善された複合成形体に関する。
従来から反応射出成形法(RIM)により、ノルボルネン系モノマーおよびメタセシス触媒を含む反応液を金型内に注入し、塊状開環重合させることによりノルボルネン系樹脂からなる成形体を製造することが実用化されている。反応液は、通常、2以上の反応原液を衝突混合装置などで瞬間的に混合して得られる。このような反応原液は、1液のみでは塊状重合しないが、全ての液を混合すると、各成分を所定の割合で含む反応液となり、その結果、ノルボルネン系モノマーが塊状重合するものである。
また、このようなノルボルネン系樹脂成形体は、使用目的に応じて、外観や物性を改良するため、また、新たな機能を追加するため成形体表面にめっき層を形成し、複合成形体として用いられる場合がある。樹脂成形体にめっき層を形成する場合、樹脂成形体とめっき層との密着性を確保するため、樹脂成形体表面を研磨する物理エッチングや、エッチング液を用いた化学エッチングを施すのが一般的である。
また、このような複合成形体においては、樹脂成形体とめっき層との密着性を向上させることに対する要求が年々高まってきている。これに対して、たとえば、特許文献1では、ノルボルネン系モノマーを塊状重合させて得られる樹脂成形体に、水酸化物、酸化物、ハロゲン化物およびオキソ酸塩から選択される金属化合物またはアンモニウム化合物からなる改質剤を含有させ、これにより、樹脂成形体とめっき層との密着性を向上させる方法が提案されている。なお、この特許文献1では、改質剤の含有量は、ノルボルネン系単量体100重量部に対して、2重量部以上、150重量部以下である旨が記載されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている改質剤を、上記所定量添加すると、重合活性が低下してしまい、所望の樹脂成形体を得ることができないという問題があった。一方で、このような問題を避けるため、改質剤の添加量を減らすと、樹脂成形体とめっき層との密着性が低下してしまうことに加え、剛性および寸法安定性も低下してしまう結果となり、いずれにしても、良好な複合成形体を得ることができなかった。
特開平8−269784号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、高剛性で、寸法安定性に優れ、樹脂成形体とめっき層との密着性が改善された複合成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させることにより得られるノルボルネン系樹脂成形体と、この樹脂成形体の表面に形成されためっき層と、を有する複合成形体において、樹脂成形体中に、特定範囲のアスペクト比を有する繊維状の充填材と粒子状の充填材とを含有させることにより、上記目的を達成できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明によれば、ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させることにより得られ、アスペクト比が5〜100である繊維状充填材およびアスペクト比が1〜2である粒子状充填材を含有するノルボルネン系樹脂成形体と、
前記ノルボルネン系樹脂成形体の表面に形成されためっき層と、
を有する複合成形体が提供される。
本発明の複合成形体において好ましくは、前記めっき層は、化学めっきにより、前記ノルボルネン系樹脂成形体の表面に形成された第1めっき層と、電気めっきにより、前記第1めっき層の表面に形成された第2めっき層と、を有する。
本発明の複合成形体において好ましくは、前記ノルボルネン系樹脂成形体中における、前記粒子状充填材の含有量が、前記繊維状充填材100重量部に対して、5〜80重量部である。
本発明の複合成形体において好ましくは、前記ノルボルネン系樹脂成形体に含有される前記繊維状充填材および前記粒子状充填材は、予め乾式にて高速撹拌して得られるハイブリッドフィラーとして含有される。
本発明によれば、高剛性で、寸法安定性に優れ、めっき層により優れた意匠性が付与されており、かつ、樹脂成形体とめっき層との密着性が改善された複合成形体が提供される。本発明の複合成形体は、上記特性を有しているため、プリプレグ、プリント配線板、絶縁シート、層間絶縁膜、アンテナ基板などの電子部品材料やバンパー、キッチンシンク、キッチンカウンターなどの住宅設備などの装飾めっきを有する成形体に好適に用いることができる。
本発明の複合成形体は、ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させることにより得られ、繊維状充填材および粒子状充填材を含有するノルボルネン系樹脂成形体と、このノルボルネン系樹脂成形体の表面に形成されためっき層と、を有する。
ノルボルネン系樹脂成形体
本発明に係るノルボルネン系樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」ということがある)は、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒、繊維状充填材、および粒子状充填材を含有してなる反応液を、型内に注入し、該型内で塊状重合させることにより製造される。
本発明に係る樹脂成形体に用いられる反応液は、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒、繊維状充填材、粒子状充填材および任意成分を、通常、2以上の液に分けて調製した反応原液を混合して得られる。反応原液は、1液のみでは塊状重合しないが、全ての液を混合すると、各成分を所定の割合で含む反応液となり、ノルボルネン系モノマーが塊状重合するものである。
前記任意成分としては、活性剤、活性調節剤、エラストマー、および酸化防止剤などが挙げられる。
まず、反応液に含有させる各成分について、説明する。
ノルボルネン系モノマー
本発明で用いるノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環構造を有する化合物であり、そのような化合物であればいずれでもよい。なかでも、耐熱性に優れた成形体が得られることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーを用いることが好ましい。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエン二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペンタジエン四量体等の七環体;これらのメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル、ビニル等のアルケニル、エチリデン等のアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール等の置換体;更にこれらのエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子などの極性基を有する置換体;などが例示される。これらのモノマーは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、入手が容易であり、反応性に優れ、得られる成形体の耐熱性に優れる点から、三環体、四環体、または五環体のモノマーが好ましく、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。
また、生成する開環重合体が熱硬化型となることが好ましく、そのためには、上記ノルボルネン系モノマーの中でも、対称性のシクロペンタジエン三量体等の、反応性の二重結合を二個以上有する架橋性モノマーを少なくとも用いることが好ましい。全ノルボルネン系モノマー中における、このような架橋性モノマー(ただし、ジシクロペンタジエンは除く)の割合は、2〜30重量%が好ましい。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、ノルボルネン系モノマーと開環共重合し得るシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、コモノマーとして用いてもよい。
繊維状充填材、粒子状充填材
本発明で用いる繊維状充填材とは、ノルボルネン系モノマーに不溶な固体の材料であり、そのアスペクト比が5〜100のものである。アスペクト比は、好ましくは10〜50であり、より好ましくは15〜35である。アスペクト比が小さすぎると、得られる複合成形体の剛性や寸法安定性が不十分となる場合がある。一方、大きすぎると、型内に注入する際に注入ノズルが詰まるおそれがある。
なお、本発明において充填材のアスペクト比とは、充填材の平均長軸径と50%体積累積径との比である。ここで、平均長軸径は光学顕微鏡写真で無作為に選んだ100個の充填材の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均長軸径である。また、50%体積累積径は、X線透過法で粒度分布を測定することにより求められる値である。
繊維状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。50%体積累積径が小さすぎると、得られる複合成形体の剛性や寸法安定性が不十分となる場合がある。一方、大きすぎると、反応液を型内に注入する時にタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。
繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノライト、塩基性硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、テトラポット型酸化亜鉛、石膏繊維、ホスフェート繊維、アルミナ繊維、針状炭酸カルシウム、針状ベーマイトなどを挙げることができる。なかでも、少ない添加量で剛性を高めることができ、しかも塊状重合反応を阻害しないという点より、ウォラストナイトが好ましい。
本発明で用いる粒子状充填材は、ノルボルネン系モノマーに不溶な固体の材料であり、そのアスペクト比が1〜2のものである。アスペクト比は、好ましくは1〜1.5である。また、粒子状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μm、特に好ましくは1〜10μmである。50%体積累積径が小さすぎると、得られる複合成形体の剛性や寸法安定性が不十分となる場合がある。一方、大きすぎると、反応液を型内に注入する時にタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。
粒子状充填材の具体例としては、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化アンチモン、赤燐、各種金属粉、クレー、各種フェライト、ハイドロタルサイトなどを挙げることができる。これらの粒子状充填材は、中空体としたものであってもよい。なかでも、塊状重合反応を阻害しないという点より、炭酸カルシウムが好ましい。
繊維状充填材および粒子状充填材は、表面を疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理された充填材を用いることで、得られる成形体中に充填材を均一に分散させることができ、得られる複合成形体の剛性や寸法安定性を均一にでき、さらには異方性を小さくすることができる。疎水化処理に用いられる処理剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、脂肪酸、油脂、界面活性剤、ワックス、その他の高分子などが挙げられる。
疎水化処理の方法は特に限定されず、たとえば、未処理の充填材と疎水化処理剤とを別々の反応原液に含有させ、2以上の反応原液を混合する際に、反応液の調製と充填材の疎水化処理とを同時に行うことも可能であるが、充填材を予め疎水化処理し、疎水化処理済の充填材を用いて反応原液を調製することが好ましい。疎水化処理済の充填材を用いることで、充填材の凝集を防止できるため、反応原液中での分散性が向上し、充填材の沈降を抑制できる。
反応液中の充填材量は、上記の繊維状充填材と粒子状充填材との合計で、反応液全体100重量%に対して、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。充填材量が多すぎると反応液を型内に注入する際に、タンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。一方、少なすぎると得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分となる場合がある。
また、繊維状充填材に対する、粒子状充填材の含有比率は、繊維状充填材100重量部に対して、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは25〜65重量部である。繊維状充填材に対する粒子状充填材の含有比率を、上記範囲とすることにより、得られる複合成形体の剛性や寸法安定性の均一化を図ることができ、複合成形体の異方性を小さくすることができる。
なお、繊維状充填材と粒子状充填材とは、これらを、予め乾式にて高速撹拌して、ハイブリッドフィラーとしてから用いることが好ましい。繊維状充填材と粒子状充填材とをハイブリッドフィラーとすることにより、本発明の効果がより一層顕著になる。これらをハイブリッドフィラーとする方法としては、特に限定されないが、たとえば、ヘンシェルミキサー等を用いて、回転翼の周速(翼先端速度)が、通常10〜60m/s、好ましくは15〜55m/sとなるように、撹拌する方法などが挙げられる。
繊維状充填材と粒子状充填材とを、高速撹拌し、ハイブリッドフィラーとした場合における、疎水化処理方法としては、特に限定されないが、たとえば、(1)ハイブリッドフィラーを構成する各充填材および処理剤を合わせて仕込み、乾式にて高速撹拌する方法、(2)各充填材を合わせて仕込み、乾式にて高速撹拌した後に処理剤を添加し、さらに乾式にて高速撹拌する方法、(3)各充填材に別々に処理剤を添加し、乾式にて高速撹拌した後に混合し、更に乾式にて高速撹拌する方法、などが挙げられる。これらのなかでも、上記(2)の方法が好ましく、特にこの場合においては、処理剤を添加する際には、噴霧する方法などにより除々に添加していくことが好ましい。
メタセシス触媒
本発明で用いるメタセシス触媒は、反応射出成形法(RIM法)において、ノルボルネン系モノマーを開環重合できるものであれば特に限定されず、公知のもので良い。
このようなメタセシス触媒としては、周期表第5族または第6族の遷移金属の化合物や、周期表第8族の金属原子を中心金属とする金属カルベン錯体などが挙げられる。
周期表第5族または第6族の遷移金属の化合物としては、たとえば、これらの遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩、酸素酸塩およびヘテロポリ酸塩などが挙げられる。これらのなかでも、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物および有機アンモニウム塩が好ましく、有機アンモニウム塩がより好ましい。また、遷移金属としては、モリブデン、タングステンおよびタンタルが好ましく、モリブデンおよびタングステンがより好ましい。
メタセシス触媒の特に好ましい具体例としては、トリドデシルアンモニウムのモリブデン酸塩およびタングステン酸塩、メチルトリカプリルアンモニウムのモリブデン酸塩およびタングステン酸塩、トリ(トリデシル)アンモニウムのモリブデン酸塩およびタングステン酸塩、ならびにトリオクチルアンモニウムのモリブデン酸塩およびタングステン酸塩などが挙げられる。
これら周期表第5族または第6族の遷移金属の化合物をメタセシス触媒として用いる場合の使用量は、反応液中のノルボルネン系モノマー1モルに対し、通常、0.01〜50ミリモル、好ましくは0.1〜20ミリモルである。
周期表第8族の金属原子を中心金属とする金属カルベン錯体は、周期表第8族の金属原子からなる中心金属原子にカルベン化合物が結合し、金属原子(M)とカルベン炭素(>C:)が直接に結合した構造(M=C)を錯体中に有するものである。カルベン化合物とは、カルベン炭素すなわちメチレン遊離基を有する化合物の総称である。
周期表第8族の金属原子としては、ルテニウムおよびオスミウムが好ましく、ルテニウムが特に好ましい。
金属カルベン錯体の好ましい具体例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、およびビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの金属カルベン錯体をメタセシス触媒として用いる場合の使用量は、反応液中のモノマー1モルに対し、通常、0.001〜1ミリモル、好ましくは0.002〜0.1ミリモルである。
メタセシス触媒の使用量が少なすぎると、重合活性が低すぎて反応に時間がかかり、生産効率が低下する傾向にある。一方、使用量が多すぎると、反応が激しくなりすぎてしまい、反応液が型内に十分に充填される前に塊状重合が進行したり、触媒が析出し易くなり均質に保存することが困難になる傾向にある。
メタセシス触媒は少量の不活性溶剤に溶解または分散させて用いてもよい。このような不活性溶剤としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素溶剤;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、トリシクロデカン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;などが挙げられる。また、触媒としての活性を低下させないようなものであれば、液状の老化防止剤、可塑剤やエラストマーを溶剤として用いても良い。これらの溶剤の中では、工業的に汎用されている芳香族炭化水素溶剤、鎖状脂肪族炭化水素溶剤および脂環式炭化水素溶剤が好ましい。
任意成分
活性剤は、上記メタセシス触媒として、単独では重合反応活性を有しないものを使用する場合に、メタセシス触媒に重合反応活性を発現させるために用いられる。活性剤としては、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリドなどのアルキルアルミニウムハライド;これらのアルキルアルミニウムハライドの、アルキル基の一部をアルコキシ基で置換したアルコキシアルキルアルミニウムハライド;有機スズ化合物;などが用いられる。活性剤を使用する場合における、その使用量は、特に限定されないが、通常、反応液全体で使用するメタセシス触媒1モルに対して、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。
活性調節剤は、反応速度や、反応液の混合から反応開始までの時間、反応活性などを変化させる効果を有する。
メタセシス触媒として周期表第5族または第6族の遷移金属の化合物を用いる場合においては、活性調節剤としては、メタセシス触媒を還元する作用を持つ化合物などが挙げられ、アルコール類、ハロアルコール類、エステル類、エーテル類、ニトリル類などを用いることができる。なかでもアルコール類およびハロアルコール類が好ましく、ハロアルコール類が特に好ましい。アルコール類の具体例としては、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどが挙げられる。ハロアルコール類の具体例としては、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2−クロロエタノール、1−クロロブタノールなどが挙げられる。
メタセシス触媒として金属カルベン錯体を用いる場合においては、活性調節剤としては、ルイス塩基化合物が挙げられる。ルイス塩基化合物としては、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、n-ブチルホスフィンなどのリン原子を含むルイス塩基化合物;n-ブチルアミン、ピリジン、4-ビニルピリジン、アセトニトリル、エチレンジアミン、N-ベンジリデンメチルアミン、ピラジン、ピペリジン、イミダゾールなどの窒素原子を含むルイス塩基化合物;が挙げられる。また、ビニルノルボルネン、プロペニルノルボルネンおよびイソプロペニルノルボルネンなどの、アルケニル基で置換されたノルボルネンは、前記のノルボルネン系モノマーであると同時に、活性調節剤としても働く。
これらの活性調節剤の使用量は、用いる化合物によって変わり、一様ではない。
エラストマーとしては、たとえば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびこれらの水素化物などが挙げられる。エラストマーを反応液に溶解させて用いることにより、反応液の粘度を調節することができる。また、エラストマーを添加することで、得られる成形体の耐衝撃性を改良できる。エラストマーの使用量は、反応液中のノルボルネン系モノマー100重量部に対し、通常0.5〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。
酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、アミン系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤が挙げられる。
反応原液の調製
反応原液は、上記した各成分を、2以上の液に分けて調製されるものである。このような2以上の反応原液の組み合わせとしては、用いるメタセシス触媒の種類により、下記(a)、(b)の二通りが挙げられる。
すなわち、(a)メタセシス触媒として、単独では重合反応活性を有しないが、活性剤を併用することで重合反応活性を発現するものを用いる場合には、ノルボルネン系モノマーおよび活性剤を含む反応原液(A液)と、ノルボルネン系モノマーおよびメタセシス触媒を含む反応原液(B液)と、に分けて反応原液を調製する。そして、これらの反応原液を用い、これらを混合することで、上記した反応液を得ることができる。なお、この場合においては、さらに、ノルボルネン系モノマーを含み、かつメタセシス触媒および活性剤のいずれも含まない反応原液(C液)を併用してもよい。
また、(b)メタセシス触媒として、単独で重合反応活性を有するものを用いる場合には、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液(i)と、メタセシス触媒を含む反応原液(ii)と、に分けて反応原液を調製する。そして、これらの反応原液を用い、これらを混合することで、上記した反応液を得ることができる。このとき反応原液(ii)としては、通常、メタセシス触媒を少量の不活性溶剤に溶解または分散させたものが用いられる。
なお、上記(a)、(b)いずれの場合においても、繊維状充填材、粒子状充填材および任意成分は、どの反応原液に含まれていてもよいが、なかでも、繊維状充填材および粒子状充填材は、ノルボルネン系モノマーを含む反応原液に含まれていることが好ましい。具体的には、上記(a)の場合においては、(a1)繊維状充填材がA液、B液、およびC液から選ばれる一つの反応原液に含まれ、粒子状充填材が異なる反応原液に含まれる態様;(a2)繊維状充填材および粒子状充填材が、A液、B液、およびC液から選ばれる一つの反応原液に同時に含まれる態様;(a3)C液として、繊維状充填材を含み粒子状充填材を含まないC液と、粒子状充填材を含み繊維状充填材を含まないC液とを二種併用する態様;などが挙げられる。
上記(b)の場合は、(b1)繊維状充填材および粒子状充填材が、一種の反応原液(i)に同時に含まれている態様;(b2)反応原液(i)として、繊維状充填材を含み粒子状充填材を含まない反応原液(i)と、粒子状充填材を含み繊維状充填材を含まない反応原液(i)と、の二種の反応原液を併用する態様;などが挙げられる。
上記各態様のなかでも、特に、ノルボルネン系モノマー、繊維状充填材および粒子状充填材を同じ反応原液に含有させる態様が好ましく、さらに、繊維状充填材および粒子状充填材については、ハイブリッドフィラーとして同じ反応原液に含有させる態様がより好ましい。すなわち、上記(a2)の態様および(b1)の態様が好ましい。なお、上記(a2)の態様の場合、C液に充填材を含むことが、反応制御をしやすいという点から好ましい。繊維状充填材および粒子状充填材を、同じ反応原液に含有させることで、充填材の沈降が抑制され、保存安定性に優れるという性質を有する。上記(a2)、(b1)の態様とする場合における、反応原液中の繊維状充填材と粒子状充填材との合計含有量は、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜75重量%、特に好ましくは40〜70重量%である。充填材量が少なすぎると、反応原液の粘度が上がらないため充填材が沈降するおそれがあり、また、得られる複合成形体中の充填材量が少なくなるため、剛性や寸法安定性の改善効果が不十分となる場合がある。
反応射出成形
次に、上記した反応原液を用いて、反応射出成形を行う。
本発明においては、従来から反応射出(RIM)成形装置として公知の衝突混合装置を、反応原液を混合するために使用することができる。そして、2以上の反応原液をRIM機のミキシング・ヘッドで瞬間的に混合させ、得られる反応液を型中に注入し、該型内で塊状重合させて本発明のノルボルネン系樹脂成形体が得られる。また、衝突混合装置以外にも、ダイナミックミキサーやスタティックミキサーなどの低圧注入機も使用することができる。
反応射出成形に用いる型は、必ずしも剛性の高い高価な金型である必要はなく、金属製の型に限らず、樹脂製の型、または単なる型枠を用いることができる。反応射出成形は、低粘度の反応原液を用い、比較的低温低圧で成形できるためである。また、反応液を注入する前に、型内を窒素ガスなどの不活性ガスで置換することが好ましい。
型温度は、好ましくは10〜150℃、より好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。型締め圧力は通常0.01〜10MPaの範囲である。塊状重合の時間は適宜選択すればよいが、反応原液の注入終了後、通常20秒〜20分、好ましくは20秒〜5分である。
なお、型内に複合化部材を設置し、本発明のノルボルネン系樹脂成形体は複合化部材と一体的に形成してある複合化部材含有成形体であっていてもよい。ここで、「一体的に形成してある」とは、ノルボルネン系樹脂と複合化部材とが容易に剥離しないように密着していることを言い、樹脂の融着により密着していてもよいし、接着剤を介していて密着していてもよいし、ノルボルネン系樹脂と複合部材が化学的に反応して結合していてもよい。
本発明で用いられる複合化部材は、複合化部材としては、型内に設置可能であり、塊状重合時の金型温度において流動性を有しない材料である。複合化部材の材質としては、金属、ガラス、セラミックス、木材などの無機材料;樹脂やゴムなどの有機材料;が挙げられる。無機材料としては、金属またはガラスが好ましい。樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、PPO樹脂、PPS樹脂、DAP樹脂、ノルボルネン系樹脂、セルロース、ポリ乳酸などが挙げられる。
複合化部材の形状は特に限定されず、シート、板、棒、織布または不織布、三次元形状物などのいずれであってもよい。シート、板、織布または不織布などは、得られるノルボルネン系樹脂成形体に意匠性を付与することが出来るため、好ましく用いられる。
複合化部材とノルボルネン系樹脂とを、接着層を介して密着させる場合には、該複合化部材の、反応液と接触する表面の少なくとも一部に、接着剤層を形成しておけばよい。接着層の形成に用いられる材料は塊状重合反応を阻害しないものであれば特に限定されず、用いる複合化部材の材質により異なるが、スチレンと共役ジエンとのブロック共重合体またはその水素化物を含有していることが好ましい。このようなブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SI)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SBIS)などが挙げられる。複合化部材とノルボルネン系樹脂とが、接着層を介して密着していると、両者の密着性が高いので好ましい。
ノルボルネン系樹脂と複合部材とを化学的に反応させて結合させる場合には、予め成形したノルボルネン系樹脂を、金型に設置し、成形したノルボルネン系樹脂と金型との隙間に、ノルボルネン系樹脂に対して化学的に結合することが出来る官能基を有する複合化樹脂材料を充填し、成形することにより、結合させればよい。このような複合化樹脂材料は意匠性能を有するものが好ましい。また、成形方法としては、熱プレス、注型、などのいずれの方法であってもよい。ノルボルネン系樹脂に対して化学的に結合することが出来る官能基を有する複合化樹脂材料としては、不飽和ポリエステル樹脂あるいはアクリル樹脂を含むバルクモールドコンパウンド(BMC)あるいはシートモールドコンパウンド(SMC)、柄紙や織布にDAP樹脂を含浸させたDAP紙、注型用のアクリル、またはビニルエステル樹脂原料などが挙げられる。
特に、本発明に係るノルボルネン系樹脂成形体を、複合化部材と一体的に形成し、複合化部材含有成形体とすることで、最終的に得られるめっき層を有する複合成形体を、次のような態様とすることができる。すなわち、めっき層を有する複合成形体を、その表面のうちの一部が、複合化部材により形成された意匠面であり、その表面の残りの部分が、めっき層が形成された面である構成とすることができる。また、めっき層を有する複合成形体を、表面および裏面を有するようなシート状または板状とする場合には、表面および裏面のうち一方の面を、複合化部材により形成された意匠面とし、他方の面をめっき層形成面とすることができる。あるいは、内面および外面を有する特定の形状とする場合には、内面および外面のうち一方の面を、複合化部材により形成された意匠面とし、他方の面をめっき層形成面とすることができる。
以上のようにして、本発明に係るノルボルネン系樹脂成形体が得られる。本発明に係るノルボルネン系樹脂成形体中の充填材量は、樹脂成形体全体100重量%に対して、上記の繊維状充填材と粒子状充填材との合計で、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。また、樹脂成形体中における、繊維状充填材に対する、粒子状充填材の含有比率は、繊維状充填材100重量部に対して、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは25〜65重量部である。
めっき層
本発明の複合成形体に係るめっき層は、上記のようにして得られるノルボルネン系樹脂成形体表面にめっき処理を施すことにより形成される。めっき層の厚みは、好ましくは10〜300μm、特に好ましくは50〜150μmである。
めっき層を形成する場合におけるめっき処理方法としては特に限定されないが、本発明では、まず、化学めっき(無電解めっき)により、ノルボルネン系樹脂成形体表面に第1めっき層(化学めっき層)を形成し、次いで、電気めっき(電解めっき)により、第1めっき層の上に第2めっき層(化学めっき層)を形成する方法が好ましい。すなわち、本発明に係るめっき層は、化学めっきにより形成される第1めっき層と、電気めっきにより形成される第2めっき層と、からなる構成であることが好ましい。
以下、本発明に係るめっき層の形成方法について説明する。
まず、本発明では、ノルボルネン系樹脂成形体表面に化学めっきを行う前に、ノルボルネン系樹脂成形体に前処理を施す。このような前処理としては、脱脂工程、化学エッチング工程、感応性付与(センシタイジング)工程、および活性化(アクティベイティング)工程等が挙げられ、本発明では、これらの前処理方法として一般的な方法が採用される。
具体的には、まず、得られたノルボルネン系樹脂成形体表面の脱脂処理を行う(脱脂工程)。脱脂工程は、樹脂成形体表面に付着している油脂性の汚れを、アルカリ脱脂、溶剤脱脂、エマルジョン脱脂、電解脱脂、または機械脱脂などの方法により除去する工程である。
次いで、脱脂処理を行った樹脂成形体に、化学エッチングを行う(化学エッチング工程)。化学エッチング工程では、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、クロム酸、リン酸、過マンガン酸化合物、クロム酸化合物、または塩化第二鉄化合物などを含む化学エッチング液を用いる。
次いで、化学エッチングを行った樹脂成形体に、感応性付与および活性化を行う(感応性付与工程および活性化工程)。感応性付与工程および活性化工程では、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの金属やこれらの塩や錯体を、水またはアルコール、あるいはクロロホルムなどの有機溶媒に0.001〜10重量%の濃度で溶解した溶液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤などを含有していてもよい)に浸漬した後、金属を還元することにより、成形体表面にめっき触媒を付着させ、活性化させる。
以上のような前処理を樹脂成形体に施した後、化学めっき液の入っためっき浴に樹脂成形体を浸して化学めっきを行い第1めっき層を形成する。化学めっきの条件はめっき液に応じて設定すればよい。
化学めっきに用いるめっき液としては、特に限定されず、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いることができる。
たとえば、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジンおよびホルマリンなどを還元剤とする無電解銅めっき液、次亜リン酸ナトリウムなどを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液、ジメチルアミノボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液、無電解パラジウムめっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液、無電解金めっき液、無電解銀めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液等の無電解めっき液を用いることができる。また、これら無電解めっき液にはめっき液の安定性や、めっき析出の速度を制御する目的で、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、および酢酸などの公知の錯化剤、ホウ酸などの緩衝剤、苛性ソーダなどのpH調整剤などを適宜添加して用いても良い。
次いで、化学めっきにより第1めっき層を形成した樹脂成形体に、電気めっきを行い、第1めっき層の上に第2めっき層を形成する。
電気めっき方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。また、電気めっきにより形成する第2めっき層としては、単一の金属からなる単層膜でも良いし、あるいは複数種の金属からなる多層膜としても良い。また、第2めっき層を構成する金属としても、特に限定されず、たとえば、銅、銀、ニッケル、金、スズ、コバルト、クロム等が挙げられるが、最終的に得られる複合成形体の用途に応じて、適宜決定すればよい。
本発明に係るめっき層(第1めっき層および第2めっき層)は、樹脂成形体表面全体を覆うように形成されたものであってもよいし、樹脂成形体表面に任意のパターン状に形成されたものであってもよい。パターン状にめっき層を形成する方法としては、(1)まず、樹脂成形体の表面全体に化学めっきを施して、第1めっき層を形成した後、その上にめっきレジストを用いてレジストパターンを形成し、レジストパターンを介して電気めっきにより第2めっき層を形成し、次いで、レジストを除去し、さらにエッチング処理により不要な第1めっき層部分を除去して、パターン状のめっき層を形成する方法、あるいは、(2)まず、樹脂成形体表面に、所望のパターンで化学めっきを施すことにより、所望のパターンを有する第1めっき層を形成し、次いで、このパターン状の第1めっき層の上に、第2めっき層を形成する方法が挙げられる。なお、上記(1)の方法において、第2めっき層を複数種の金属からなる多層膜とする場合には、第2めっき層を構成する一種あるいは二種以上の金属膜を形成した後、レジスト除去およびエッチング処理を行い、その後、残りの金属膜を形成する方法を採用しても良い。
このようにして得られる本発明の複合成形体は、高剛性で、寸法安定性に優れ、めっき層により優れた意匠性が付与されており、かつ、樹脂成形体とめっき層との密着性が高いという性質を有している。そして、このような本発明の複合成形体は、プリプレグ、プリント配線板、絶縁シート、層間絶縁膜、アンテナ基板などの電子部品材料やバンパーなどの装飾めっきを有する成形体に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。また、各特性は、下記に示す方法により測定した。
曲げ弾性率
ノルボルネン系樹脂成形体の曲げ弾性率は、JIS K 7171に従い測定した。なお、試験片としては、長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmのものを用いた。
線膨張率
ノルボルネン系樹脂成形体の線膨張率は、JIS K 7197に準じて測定した。なお、試験片としては、長さ10mm、幅5mm、厚さ4mmのものを用いた。
ノルボルネン系樹脂成形体とめっき層との密着性
複合成形体のノルボルネン系樹脂成形体とめっき層との密着性は、JIS H 8630に準じて、密着強度を測定することにより評価した。
実施例1
ノルボルネン系樹脂成形体の製造
ジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(クインタック3421:日本ゼオン(株)製)を3部溶解させた。次いで、活性剤としてジエチルアルミニウムクロライドと、活性調節剤として1,3−ジクロロ−2−プロパノールと、をそれぞれ100ミリモル/kg濃度となるように添加し、さらに四塩化珪素を0.1部添加して、均一に混合分散し、反応原液(A液)を得た。A液の比重は0.98であった。
これとは別に、ジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(クインタック3421)を3部溶解させた。次いで、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)を2部溶解させ、さらにメタセシス触媒としてトリ(トリデシル)アンモニウムモリブデートを25ミリモル/kg濃度となるように添加して、均一に混合分散し、反応原液(B液)を得た。B液の比重は0.98であった。
さらにこれとは別に、ジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、繊維状充填材として50%体積累積径が20μm、アスペクト比が18のウォラストナイト(SH−400:キンセイマテック(株)製、ビニルシランで表面処理されているもの)135部と、粒子状充填材として50%体積累積径が1.4μm、アスペクト比が1の重質炭酸カルシウム(SCP−E♯2300:三共精粉(株)製、ステアリン酸で表面処理されているもの)45部と、チタネート系カップリング剤(味の素ファインテクノ(株)製 プレンアクトKR−TTS)1.8部と、を加えて、均一に混合分散し、反応原液(C液)を得た。C液の比重は1.6であった。
内部に縦500mm×横500mm×厚さ4mmの空間(キャビティ)を有する反応射出成形用金型を準備し、一方を90℃、もう一方を60℃に加温した。そして、上記にて調製したA液26.8部、B液26.8部およびC液46.4部をミキシングヘッド内に送液し、次いで、反応射出成形用金型内に、5MPa以下の注入圧力で注入し、塊状重合を開始して、3分間反応を行った。このときのA液、B液およびC液の混合比は体積比で1:1:1であり、注入された繊維状充填材の量は樹脂成形体全体100部に対して22.5部、粒子状充填材の量は樹脂成形体全体100部に対して7.5部であった。その後、金型から、ノルボルネン系樹脂成形体を取り出した。
得られたノルボルネン系樹脂成形体について、曲げ弾性率および線膨張率の測定を行った。結果を表1に示す。
表1において、Efx は試験片の長さ方向が金型の縦方向と平行になるように作製した試験片について測定した値である。また、Efy は試験片の長さ方向が金型の横方向と平行になるように作製した試験片について測定した値である。Efx およびEfy が大きいほど曲げ弾性率が高く、剛性に優れることを表す。
また、表1において、αspx は試験片の長さ方向が金型の縦方向と平行になるように作製した試験片について測定した値である。また、αspy は試験片の長さ方向が金型の横方向と平行になるように作製した試験片について測定した値である。αspx およびαspy が小さいほど寸法安定性が高いことを表す。
めっき層の形成
上記にて製造したノルボルネン系樹脂成形体を、縦347mm×横210mm×厚さ4mmの大きさに切り出し、切り出した樹脂成形体について、以下に説明するように、めっき前の前処理を行った。
すなわち、まず、切り出した樹脂成形体を、1リットル当たり、硫酸100mlおよび界面活性剤1.5gを溶解した水溶液に、50℃、5分間の条件で浸漬することにより、脱脂処理を行った。次いで、脱脂処理を行った樹脂成形体を、1リットル当たり、硫酸100mlおよび無水クロム酸400gを溶解した水溶液(化学エッチング液)に、65℃、5分間の条件で浸漬することにより、化学エッチングを行った。次いで、化学エッチングを行った樹脂成形体を、1リットル当たり、35%塩酸50mlを溶解した水溶液を用いて、25℃、2分間の条件で酸洗浄を行った。次いで、洗浄した樹脂成形体を、1リットル当たり、塩化第一錫(2水和物)20gおよび35%塩酸50mlを溶解した水溶液に、25℃、5分間の条件で浸漬することにより、感応性を付与した。次いで、感応性付与を行った樹脂成形体を、1リットル当たり、塩化パラジウム0.4gおよび35%塩酸3mlを溶解した水溶液に、25℃、5分間の条件で浸漬することにより、活性化を行った。
そして、活性化を行った樹脂成形体を、1リットル当たり、硫酸ニッケル(6水和物)15g、クエン酸ソーダ(2水和物)、次亜リン酸ソーダ(1水和物)10gおよび乳酸3mlを溶解した水溶液(pH10)に、40℃、8分間の条件で浸漬することにより、化学めっきを行い、樹脂成形体表面に化学めっき層を形成した。
さらに、化学めっき層を形成した樹脂成形体を、1リットル当たり、硫酸50mlを溶解した水溶液中に、25℃、20秒の条件で浸漬した。その後、1リットル当たり、硫酸銅(5水和物)150g、硫酸60gを溶解した水溶液に浸漬して、銅陽極を用いて、25℃、3分、陰極電流密度2A/dmの条件で処理した。そして、最後に、1リットル当たり、硫酸銅(5水和物)200g、硫酸60gおよび適量の光沢剤を溶解した水溶液に浸漬し、銅陽極を用いて、25℃、30分、4A/dmの条件で、電気めっきを行い、厚さ40μmの光沢銅めっき層を形成し、複合成形体を得た。得られた複合成形体について、密着強度の測定を行った。
実施例2
樹脂成形体全体100部に対して、繊維状充填材の量が15部、粒子状充填材の量が5部となるように反応原液(C液)を調製した以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形体および複合成形体を製造し、同様に評価を行った。
実施例3
繊維状充填材および粒子状充填材を、予め高速撹拌することにより、ハイブリッドフィラーとして、上記反応原液(C液)を調製した以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形体および複合成形体を製造し、同様に評価を行った。
なお、繊維状充填材および粒子状充填材のハイブリッドフィラー化、および反応原液(C液)の調製は、次の方法により行った。
すなわち、まず、500Lのヘンシェルミキサーに、繊維状充填材としてウォラストナイト(SH−400)135部と、粒子状充填材として重質炭酸カルシウム(SCP−E♯2300)45部とを投入し、槽内温度30℃、回転速度360rpmの条件で撹拌した。次いで、ミキサー内に、シランカップリング剤(信越化学工業 KBM−1003)0.5部を噴霧することにより添加し、噴霧終了後、回転速度360rpm(周速20m/s)で7分間撹拌した。その後、槽内温度を110℃に昇温し、回転速度360rpm(周速20m/s)で10分間撹拌することにより、フィラーを乾燥した。次いで、ミキサー内に、チタネート系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製 プレンアクトKR−TTS)0.75部を噴霧することにより添加した。噴霧終了後、回転速度360rpm(周速20m/s)で5分間撹拌することにより、ハイブリッドフィラーを得た。
そして、ジシクロペンタジエン90部およびトリシクロペンタジエン10部からなる混合モノマーに、上記にて製造したハイブリッドフィラー180部を添加し、ホモジナイザーを用いて、回転数13500rpmおよび10分間の条件でせん断分散することにより、ノルボルネン系モノマーと、ハイブリッドフィラーと、を含有する反応原液(C液)を得た。
実施例4
樹脂成形体全体100部に対して、ハイブリッドフィラーとして添加する繊維状充填材の量が15部、粒子状充填材の量が5部となるように反応原液(C液)を調製した以外は、実施例3と同様にして、樹脂成形体および複合成形体を製造し、同様に評価を行った。
比較例1
反応原液(C液)を調製する際に、繊維状充填材および粒子状充填材を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形体および複合成形体を製造し、同様に評価を行った。
比較例2
繊維状充填材および粒子状充填材の代わりに、水酸化アルミニウム(ハイジライトH−34:昭和電工(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形体および複合成形体を製造し、同様に評価を行った。なお、水酸化アルミニウムの添加量は、樹脂成形体全体100部に対して、30部とした。
Figure 2008126417
*但し、実施例3,4においては、繊維状充填材および粒子状充填材は、ハイブリッドフィラーとして添加した。
表1より、次の点が確認できる。
すなわち、ノルボルネン系樹脂成形中に、所定のアスペクト比を有する繊維状充填材および粒子状充填材を含有させた複合成形体は、曲げ弾性率および線膨張率に優れ、剛性および寸法安定性に優れており、さらには、樹脂成形体とめっき層との密着性も良好であった(実施例1〜4)。
一方、充填材を添加しなかった場合には、曲げ弾性率および線膨張率が不十分であり、剛性、寸法安定性および密着性に劣る結果となった(比較例1)。さらに、充填材として水酸化アルミニウムを使用した場合には、樹脂成形体とめっき層との密着性は比較的に良好であったものの、曲げ弾性率および線膨張率が不十分であり、剛性および寸法安定性に劣る結果となった(比較例2)。

Claims (4)

  1. ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させることにより得られ、アスペクト比が5〜100である繊維状充填材およびアスペクト比が1〜2である粒子状充填材を含有するノルボルネン系樹脂成形体と、
    前記ノルボルネン系樹脂成形体の表面に形成されためっき層と、
    を有する複合成形体。
  2. 前記めっき層は、
    化学めっきにより、前記ノルボルネン系樹脂成形体の表面に形成された第1めっき層と、
    電気めっきにより、前記第1めっき層の表面に形成された第2めっき層と、
    を有する請求項1に記載の複合成形体。
  3. 前記ノルボルネン系樹脂成形体中における、前記粒子状充填材の含有量が、前記繊維状充填材100重量部に対して、5〜80重量部である請求項1または2に記載の複合成形体。
  4. 前記ノルボルネン系樹脂成形体に含有される前記繊維状充填材および前記粒子状充填材は、予め乾式にて高速撹拌して得られるハイブリッドフィラーとして含有される請求項1〜3のいずれかに記載の複合成形体。
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