JP2005271535A - 反応射出成形方法およびそれに用いる反応原液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大型の成形品であっても気泡の発生を防止でき、かつ強度に優れる成形品を得ることができる反応射出成形方法、およびそれに適した反応原液を提供すること。
【解決手段】 少なくとも、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒および分岐構造を有するポリマーを含有し、30℃における粘度が320〜500mPa・sである反応原液(A液)と、少なくとも、ノルボルネン系モノマー、共触媒および分岐構造を有するポリマーを含有し、30℃における粘度が320〜500mPa・sである反応原液(B液)を混合して金型内に注入し、金型内で塊状重合を行う反応射出成形方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ノルボルネン系モノマーを用いた反応射出成形方法およびそれに用いる反応原液に関する。さらに詳しくは、反応原液を金型内に注入して塊状重合するに際し、特定のポリマーを特定量添加させることにより、特別な機構なしに金型内の保圧が行われて気泡の発生が防止された成形体を得ることができる反応射出成形方法および反応原液に関する。
ノルボルネン系モノマーの反応射出成形(以下、RIM成形とも言う)は、少なくとも2液に分けられた低粘度の反応原液をミキシングヘッドにて衝突混合させて金型に注入し、金型内で重合・硬化させることから、複雑な形状の成形品を簡易に成形することが可能である。また、成形時の圧力が低いことから、金型剛性をそれほど高く必要としないため、金型製作費が安価であるという利点がある。しかしRIM成形では、成形圧力が非常に低いために、成形時に気泡が混入した場合には、圧力によって気泡を押しつぶしたり、ベント口まで排出したりすることが困難であった。
気泡を追い出す方法として、型締装置自体を傾斜させ、金型のガス抜きベント口方向を上方に向けることで、キャビティ内の気泡をバリと共に追い出す方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、特に大型の成形品を得る場合には、型締装置も大型化するため、傾斜機能を設けることは困難であった。
また、気泡の発生を抑える方法としては、キャビティの最下端にフィルムゲートを、さらにその下にランナーおよびスプルーを設け反応原液を注入する方法がある(特許文献2参照)。フィルムゲートを設けることで、ゲートからキャビティ内に反応原液が都合良く入り込み、注入時に、キャビティ内のガスが、上部割面または別途設けた逃し口から都合良く抜け易くなる。しかしこの方法では、反応原液の流路が長くなるため反応原液の使用量が多く、また、金型への充填が不十分となる場合があった。
金型に保圧機構を設け、気泡の発生を抑える方法もある(特許文献3参照)が、やはり特別な設備が必要になる。これに対し、反応原液に不溶な粒子を微量添加することで、見かけの粘度が上昇し型内の圧力が自動的に保圧され、金型に特別な保圧機構を設けることなく、気泡の発生を防止できる(特許文献4参照)。しかし、反応原液に不溶な粒子を添加することで、成形品の強度などが低下する場合があった。
特開平6−270185号公報 特開平10−29228号公報 特開平2−239915号公報 特開平11−129280号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、大型の成形品であっても気泡の発生を防止でき、かつ強度に優れる成形品を得ることができる反応射出成形方法、およびそれに適した反応原液を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、分岐構造を有するポリマーを含有する反応原液を用いると、気泡の発生が防止できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成させるに至った。
かくして本発明の第一によれば、少なくとも、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒および分岐構造を有するポリマーを含有し、30℃における粘度が320〜500mPa・sである反応原液(A液)と、少なくとも、ノルボルネン系モノマー、共触媒および分岐構造を有するポリマーを含有し、30℃における粘度が320〜500mPa・sである反応原液(B液)を混合して金型内に注入し、金型内で塊状重合を行う反応射出成形方法が提供される。
前記反応射出成形方法は、反応原液の金型内への注入開始時の注入速度が、前記A液とB液の合計量に基づき、1,300〜2,200g/秒であることが好ましい。
また、分岐構造を有するポリマーはエラストマーであることが好ましい。
本発明の第二によれば、少なくとも、ノルボルネン系モノマーおよび分岐構造を有するポリマーを含有し、該分岐構造を有するポリマーの含有量が3〜7重量%であり、30℃における粘度が320〜500mPa・sであるノルボルネン系樹脂成形品製造用反応原液が提供される。
分岐構造を有するポリマーはエラストマーであることが好ましい。
本発明の第三によれば、上記の反応射出成形方法により得られる反応射出成形品が提供される。
本発明によれば、金型に特別な装置を設けることなく、大型の成形品であっても気泡の発生を防止でき、かつ良好な物性の成形品を得ることができる。
本発明の反応射出成形方法は、少なくとも、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒および分岐構造を有するポリマーを含有し、30℃における粘度が320〜500mPa・sである反応原液(A液)と、少なくとも、ノルボルネン系モノマー、共触媒および分岐構造を有するポリマーを含有し、30℃における粘度が320〜500mPa・sである反応原液(B液)を混合して金型内に注入し、金型内で塊状重合を行うことを特徴とする。
(A液)
本発明で用いる反応原液(A液)は分岐構造を有するポリマー(以下、単に「分岐ポリマー」とも言う。)を含有する。分岐ポリマーとしては、具体的には、星型、櫛型などの構造を有するポリマーが挙げられる。分岐ポリマーは、単独重合体でも共重合体でもよく、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
分岐ポリマーは、エラストマーであることが好ましい。分岐構造を有するエラストマーとしては、一般式(A−B)Xで表される構造を有するスチレン系ブロック共重合体(式中、Aは芳香族ビニル単量体の重合体ブロックであり、Bは共役ジエンの重合体ブロックであり、Xは3官能性またはそれ以上の多官能性カップリング剤の残基であり、nは3以上の整数である);カップリング型スチレン・ブタジエンゴム;エチレン・メチルメタクリレート共重合体やエチレン・エチルアクリレート共重合体などの(メタ)アクリル酸エステル系共重合体にラジカル重合性単量体をグラフトさせたグラフト共重合体;などが挙げられる。中でも、スチレン系ブロック共重合体が好ましく、上記一般式においてAがスチレン、Bがブタジエンであるカップリング型スチレン・ブタジエンブロック共重合体が特に好ましい。
また、分枝ポリマーは、JIS K7210に基づき、190℃、2.16kg荷重で測定されるメルトインデックス(MI)が、通常0〜10、好ましくは0〜1である。
本発明で用いるA液における分岐ポリマーの含有量は、好ましくは3〜7重量%、より好ましくは4〜6重量%である。分岐ポリマーの含有量がこの範囲であると、得られる成形品は曲げ弾性率、曲げ強度と衝撃強度のバランスに優れる。
(ノルボルネン系モノマー)
本発明で用いるA液は、ノルボルネン系モノマーを含有する。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を有するものであればいずれでも良いが、耐熱性に優れた成形体が得られることから、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーを用いることが好ましい。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエン二量体)、ジヒドロジシクロペンタジエン等の三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;シクロペンタジエン三量体等の五環体;シクロペンタジエン四量体等の七環体;これらのメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル、ビニル等のアルケニル、エチリデン等のアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール等の置換体;更にこれらのエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子などの極性基を有する置換体などが例示される。これらのモノマーは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。入手が容易であり、反応性に優れ、得られる樹脂成形品の耐熱性に優れる点から、三環体、四環体、あるいは五環体のモノマーが好ましい。
また、生成する開環重合体は熱硬化型とすることが好ましく、そのためには、上記ノルボルネン系モノマーの中でも、シクロペンタジエン三量体等の反応性の二重結合を二個以上有する架橋性モノマーを少なくとも含むものが用いられる。全ノルボルネン系モノマー中の架橋性モノマーの割合は、2〜30重量%が好ましい。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、ノルボルネン系モノマーと開環共重合し得るシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、コモノマーとして用いてもよい。
(メタセシス触媒)
本発明で用いるA液は、メタセシス触媒を含有する。メタセシス触媒は、反応射出成形法(RIM法)でノルボルネン系モノマーを開環重合できるものであれば特に限定されず、公知のもので良い。例えば、タングステンまたはモリブデンなどのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、アンモニウム塩、ヘテロポリ酸(P5+、As5+、Si4+、Ge4+、Ce4+、Th4+、Mn4+、Ni4+、Te4+、I7+、Co3+、Al3+、Cr3+、Cu2+などのヘテロ原子とタングステンまたはモリブデンとの化合物)などが使用される。本発明では、好ましくは、トリドデシルアンモニウムモリブデート、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート等の有機モリブデン酸、アンモニウム酸等のモリブデン酸有機アンモニウム塩等のモリブデン系メタセシス触媒が用いられる。
メタセシス触媒の使用量は、反応原液全体で使用するモノマー1モルに対し、通常、0.01ミリモル以上、好ましくは0.1ミリモル以上、50ミリモル以下、好ましくは20ミリモル以下である。メタセシス触媒の使用量が少なすぎると重合活性が低すぎて反応に時間がかかるため生産効率が悪く、使用量が多すぎると反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に硬化したり、触媒が析出し易くなり均質に保存することが困難になる。メタセシス触媒は、通常、モノマーに溶解して用いるが、RIM法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させ溶解させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり、溶解性を高めて用いても良い。
(B液)
本発明で用いる反応原液(B液)は、ノルボルネン系モノマーと、共触媒と、分岐ポリマーとを含有する。ノルボルネン系モノマーおよび分岐ポリマーは、上記A液と同様のものをいずれも用いることができる。
共触媒(活性剤)としては、特開昭58−127728号公報、特開平4−226124号公報、特開昭58−129013号公報、特開平4−145247号公報に開示してあるような公知の共触媒であれば、特に制限はないが、本発明においては、例えばエチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のアルキルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライドなどの有機アルミ化合物が好ましく用いられる。
共触媒の使用量は、特に限定されないが、通常、反応液全体で使用するメタセシス触媒1モルに対して、0.1モル以上、好ましくは1モル以上、かつ100モル以下、好ましくは10モル以下である。共触媒を用いないか、または共触媒の使用量が少なすぎると、重合活性が低すぎて反応に時間がかかるため生産効率が悪くなる。また逆に、使用量が多すぎると、反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に硬化することがある。共触媒は、モノマーに溶解して用いるが、RIM法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混合することにより、析出しにくくしたり、溶解性を高めて用いてもよい。
本発明で用いる反応原液(A液およびB液)は、30℃における粘度がいずれも320〜500mPa・s、好ましくは370〜450mPa・sである。粘度が低すぎると得られる成形品に気泡を生じやすく、粘度が高すぎると金型への充填不良を生じたり、A液とB液との混合が不十分になって完全に硬化しないおそれがある。
本発明の反応射出成形方法では、前記各成分の他に、活性調節剤、補強剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、顔料、着色剤および摺動付与剤などの種々の添加剤を反応原液に添加してもよい。添加剤を添加する方法としては、前記A液およびB液のいずれか一方または両方に添加して用いる方法;第三の溶液(C液)として単独で、またはノルボルネン系モノマーに溶解して、反応射出成形時にA液およびB液と共に混合する方法;反応射出成形時に金型内に予め充填して用いる方法;などが挙げられる。
活性調節剤は、反応速度、反応原液の混合から反応開始までの時間、および反応活性などを調節する目的で用いられる。活性調節剤としては、メタセシス触媒を還元する作用を持つ化合物などが用いられ、アルコール類、ハロアルコール類、エステル類、エーテル類、ニトリル類などが例示される。この中で、たとえばアルコール類の具体例としては、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどが挙げられ、ハロアルコール類の具体例としては、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2−クロロエタノール、1−クロロブタノールなどが挙げられる。なお、活性調節剤の添加量は、用いる化合物によって変わり、一様ではない。
補強材としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、金属繊維、ポリプロピレン繊維、アルミコーティングガラス繊維、木綿、アクリル繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、アルミナ繊維などを挙げることができる。これらの補強材は、長繊維状またはチョップドストランド状のものをマット化したもの、布状に織ったもの、チョップ形状のままのものなど、種々の形状で使用することができる。これらの補強材は、その表面をシランカップリング材等のカップリング剤で処理したものが、樹脂との密着性を向上させる上で好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、アミン系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤が挙げられる。充填剤としてはミルドガラス、カーボンブラック、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、雲母、チタン酸カリウム、硫酸カルシウムなどの無機充填剤が挙げられる。
(反応射出成形)
本発明の反応射出成形方法では、前記A液およびB液、さらに必要に応じ添加されるC液を混合して金型内に注入し、金型内で塊状重合を行う。本発明においては、従来から反応射出(RIM)成形装置として公知の衝突混合装置を、反応原液を混合するために使用することができる。A液およびB液をRIM機のミキシング・ヘッドで瞬間的に混合させ、次いで金型中に注入し、そこで即座に塊状重合させて成形体を得る。また、衝突混合装置以外にも、ダイナミックミキサーやスタチックミキサーなどの低圧注入機も使用することができる。反応射出成形に用いる上記各成分は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で貯蔵し、かつ操作することが好ましい。
本発明の反応射出成形方法では、反応原液の金型内への注入開始時の注入速度が、前記A液とB液の合計量に基づき、1,300〜2,200g/秒であることが好ましい。注入初期の注入速度が低すぎるとA液とB液との混合が不十分になり、完全に硬化しないおそれがある。また、注入速度が高すぎると得られる成形品に気泡を生じやすい。発明の反応射出成形方法では、上記の注入速度で、注入開始から通常1秒以上、好ましくは5秒以上注入を継続する。
上記時間の経過後は、1,300〜2,200g/秒の注入速度で注入を継続してもよいし、注入途中で注入速度を上げて2,200g/秒超としてもよい。注入途中で注入速度を上げることで、大型成形品の製造においても反応原液の型内への充填不良を防止することができる。注入速度の上限は、通常3,000g/秒程度である。また、注入開始から注入完了までの時間は、通常10〜50秒、好ましくは15〜30秒である。
A液とB液との混合比率は、両者が均一に混合される限りにおいて特に限定されないが、通常はA液:B液の重量比で、0.8:1.2〜1.2:0.8、好ましくは0.95:1.05〜1.05:0.95である。
反応射出成形に用いる金型は、必ずしも剛性の高い高価な金型である必要はなく、金属製金型に限らず、樹脂製金型、または単なる型枠を用いることができる。反応射出成形は、低粘度の反応液を用い、比較的低温低圧で成形できるためである。また、金型のキャビティ内に反応原液を注入する前に、キャビティ内を窒素ガスなどの不活性ガスで置換することが好ましい。
金型温度は、好ましくは、10〜150℃、より好ましくは、30〜120℃、さらに好ましくは、50〜100℃である。金型圧力は通常0.01〜10MPaの範囲である。重合時間は適宜選択すればよいが、反応液の注入終了後、通常20秒〜20分、好ましくは20秒〜5分である。
(反応射出成形品)
本発明の反応射出成形品は、上記本発明の反応射出成形方法により得られるものである。本発明の反応射出成形品の重量は、通常10〜120kg、好ましくは20〜80kgである。本発明の製造方法によれば、上記のような大型の成形品であっても気泡の発生を防止でき、かつ強度に優れる成形品を得ることができる。本発明の反応射出成形品は、バンパーやエアデフレクターなどの自動車用途;ホイルローダーやパワーショベルなどの建設・産業機械用途;ゴルフカートやゲーム機などのレジャー用途;医療機器や椅子などの産業用途;防水パンなどの生活関連機器;水槽や浄化槽などの槽体;などに好適に用いることができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、本実施例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例で用いた金型装置、ならびに各種特性の測定方法を下記に示す。
(金型装置)
金型装置としては鋳造アルミニウム製第1金型およびニッケルメッキ層を有する電鋳製第2金型を用い、第1および第2金型が水平になるように型締めした。ミキシングヘッドは第2金型の底中央部に取り付けた。キャビティの形状は成形品の肉厚が8mm、外形寸法が縦200cm、横100cm、深さが85cmで重量が約60kgの箱状とした。金型温度は第1金型を45℃、第2金型を80℃に設定した。
(1)反応原液の30℃での粘度
B型粘度計(東機産業社製TV−20L型粘度計)を用いて、溶液温度30℃、測定雰囲気温度30℃、回転数60rpmで測定した。
(2)引張降伏強さおよび引張降伏伸び
実施例および比較例で作成した成形品から1号形試験片を切り出し、JIS K7113に基づき測定した。
(3)曲げ強さおよび曲げ弾性率
実施例および比較例で作成した成形品から長さ80mm、幅10mmの試験片を切り出し、JIS K7171に基づき測定した。
(4)アイゾット衝撃強度
実施例および比較例で作成した成形品から、2号A形試験片を切り出し、この試験片を用いてJIS K7110に基づき測定した。
[実施例1]
ジシクロペンタジエン90%と非対称型シクロペンタジエン三量体10%とからなるノルボルネン系モノマー混合物に、分岐ポリマーとして(スチレン−ブタジエン)Xで表される構造を有し、メルトインデックスが0g/10分である4分枝のスチレン・ブタジエンブロック共重合体(アサプレンT−411:旭化成社製)を濃度が5.5%となるように溶解し、次いでメタセシス触媒としてトリ(トリドデシル)アンモニウムモリブデートを濃度が10ミリモル/Lとなるように添加して反応原液(A液)を得た。
一方、メタセシス触媒に代えて共触媒としてジエチルアルミニウムクロリドを濃度が53ミリモル/L、活性調節剤として1,3−ジクロロ−2−プロパノールを濃度が51ミリモル/Lとなるようにそれぞれ添加した他は、A液と同様にして反応原液(B液)を得た。A液およびB液の30℃での粘度は、いずれも350mPa・sであった。
金型を締め、キャビティ内を窒素置換して、金型内の水分を除去した。上記で得られたA液およびB液を、衝突混合装置を用いて重量比で1:1の比率で混合し、A液とB液の合計で2,000g/秒の注入速度でキャビティ内に注入した。注入に要した時間は30秒であった。続いて注入開始から100秒後に金型を開き、重合硬化した成形品を得た。得られた成形品は、目視で気泡が見られず、良好な表面状態を有していた。また、この成形品について各種物性を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
スチレン・ブタジエンブロック共重合体の濃度を6%とした他は、実施例1と同様にして反応原液(A液およびB液)を得た。A液およびB液の30℃での粘度は、いずれも450mPa・sであった。この反応原液を用いて、実施例1と同様にして成形品を得た。この成形品の表面状態および各種物性を測定した結果を、表1に示す。
[実施例3]
反応原液の注入速度を、A液とB液の合計で1,300g/秒とした他は、実施例1と同様にして注入を開始した。注入開始から10秒後に注入速度をA液とB液の合計で3,000g/秒として注入を完了した。注入に要した時間は25.7秒であった。続いて注入開始から100秒後に金型を開き、重合硬化した成形品を得た。この成形品の表面状態および各種物性を測定した結果を、表1に示す。
[比較例1]
スチレン・ブタジエンブロック共重合体に代えて、直鎖状でメルトインデックスが1g/10分であるスチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体(SIS,Quintac3530:日本ゼオン社製)を濃度が7%となるように添加した他は、実施例1と同様にして反応原液(A液およびB液)を得た。A液およびB液の30℃での粘度は、いずれも290mPa・sであった。この反応原液を用いて、実施例1と同様にして成形品を得た。この成形品の表面状態および各種物性を測定した結果を、表1に示す。
[比較例2]
SISの濃度を8.5%とした他は、比較例1と同様にして反応原液(A液およびB液)を得た。A液およびB液の30℃での粘度は、いずれも350mPa・sであった。この反応原液を用いて、実施例1と同様にして成形品を得た。この成形品の表面状態および各種物性を測定した結果を、表1に示す。
[比較例3]
反応原液として、比較例1と同じものを用いた他は、実施例3と同様にして成形品を得た。この成形品の表面状態および各種物性を測定した結果を、表1に示す。
以上より、本発明の反応射出成形方法によれば、表面に気泡がなく、かつ強度に優れる成形品を得ることができる(実施例1〜3)。特に反応原液の注入速度が高い注入後期段階を設けると注入時間が短縮されるので、生産性にも優れる(実施例3)。
一方、分岐ポリマーに代えて直鎖状のポリマーを含有し、粘度が低すぎる反応原液を用いると、得られる成形品は表面に気泡が見られ、かつ強度も不十分であった(比較例1,3)。また、直鎖状のポリマーの含有量を多くして粘度を高くした反応原液を用いると、気泡の発生は抑制できるが、得られる成形品の強度はさらに低下した(比較例2)。

Claims (6)

  1. 少なくとも、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触媒および分岐構造を有するポリマーを含有し、30℃における粘度が320〜500mPa・sである反応原液(A液)と、少なくとも、ノルボルネン系モノマー、共触媒および分岐構造を有するポリマーを含有し、30℃における粘度が320〜500mPa・sである反応原液(B液)を混合して金型内に注入し、金型内で塊状重合を行う反応射出成形方法。
  2. 反応原液の金型内への注入開始時の注入速度が、前記A液とB液の合計量に基づき、1,300〜2,200g/秒である請求項1記載の反応射出成形方法。
  3. 分岐構造を有するポリマーがエラストマーである請求項1または2に記載の反応射出成形方法。
  4. 少なくとも、ノルボルネン系モノマーおよび分岐構造を有するポリマーを含有し、該分岐構造を有するポリマーの含有量が3〜7重量%であり、30℃における粘度が320〜500mPa・sであるノルボルネン系樹脂成形品製造用反応原液。
  5. 分岐構造を有するポリマーがエラストマーである請求項4記載の反応原液。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の反応射出成形方法により得られる反応射出成形品。
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JP2007331378A (ja) * 2006-05-16 2007-12-27 Cleanup Corp 複合成形体およびその製造方法
JP2009263469A (ja) * 2008-04-24 2009-11-12 Rimtec Kk 反応射出成形用反応原液、反応射出成形方法及び反応射出成形体
WO2020218242A1 (ja) 2019-04-23 2020-10-29 Rimtec株式会社 シクロオレフィン樹脂加飾成形品の製造方法

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