JP3983144B2 - 塗装成形物製造用金型および塗装成形物の製造方法 - Google Patents

塗装成形物製造用金型および塗装成形物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軽量で耐衝撃性に優れたノルボルネン系架橋重合体の成形に関するものである。さらに詳しくは、インモールドコーティング法で塗装した成形物の製造を効果的に行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノルボルネン系架橋重合体は、軽量で耐衝撃性が高いことで、自動車のバンパー、建機のカバー、医療機の外装品など幅広く使われている。しかしノルボルネン系架橋重合体は分子構造中に二重結合を有しており、それが酸化されるため時間が経つにつれ変色する。そのため、ノルボルネン系架橋重合体は、審美性を要求される場合には一般に、重合体表面を塗装して使用する。
【0003】
しかし塗装は、ノルボルネン系架橋重合体が分子中に二重結合を持ち、その一部が酸化され極性基をもった後でないと塗膜が密着しないので、通常成形後48時間以上放置する必要がある。しかしながらそのようにしても架橋重合体のベースはオレフィンであり、長期間使用した場合、塗装剥がれを起こすこともあり、そのため塗装前にプライマーを塗布したり、サンディングなどの塗装前処理をおこなっている。
【0004】
特にサンディングはロボットの使用も一部できるが多くは人手によるものであり、また微粉末の飛散もあり、経済的にも衛生上も改善が望まれている。かかる問題点を解決するために、樹脂成形物を作成した後、同じ金型内に塗料を注入して成形物表面に塗装を施すインモールドコーティングが提案されている(例えば特許文献1,2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−71345号公報(段落番号0017〜0023)
【0006】
【特許文献2】
特開平11−300776号公報(段落番号0005)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインモールドコーティングでは塗料を成形物の表面全域に均等に塗布することが難しいという問題点や、塗膜と成形物との間の接着力が不足するといった問題点、この塗膜の上に更に塗装する場合には、付加的な処理が必要となる問題点が残されていた。
【0008】
本発明は、このような問題を解決し、ノルボルネン系モノマーを架橋重合せしめて成形物となし、インモールドコーティング法で塗装をおこない塗装成形物を製造する場合に、成形後短時間で、塗料を成形物の表面全域に均等に塗布でき、塗膜が成形物と強固な接着力を有するようにすることができ、また、その塗膜の上に更に塗膜をもうける場合にも、付加的な処理が不要になる技術を提供することを目的としている。
【0009】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は先に環状オレフィン樹脂のインモールドコーティング法を提案した(特開2001−71345号公報)。そして、このインモールドコーティング法を塗装前処理に適用すれば成形後直ちに塗装できること、プライマー処理やサンディングなどの人手のかかる作業工程を省略でき、また使用する塗装の種類も多様化できることから、本インモールドコーティングの金型について鋭意検討し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち本発明の一態様によれば、ノルボルネン系モノマーを含む混合物をキャビティ金型とコア金型とからなる金型内に注入し、架橋重合せしめて成形物となし、当該成形物にインモールドコーティング法で塗装をおこない塗装成形物を製造するための塗装成形物製造用金型において、少なくともキャビティ金型とコア金型とのいずれかに塗料注入口を有し、塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口からより遠い金型表面の温度を、より高温になるように制御できるようになした塗装成形物製造用金型が提供される。
【0012】
塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口近傍の金型表面の熱交換速度を、他の金型表面部分に比べ大きくできるようになすこと、成形物の端部分に、縦バリと横バリとが、成形物側から見てこの順序に生じるようなバリ生成構造を設けること、成形物の開口部となすべき部分に0.5mm以上の厚みの薄皮を形成するようになすこと、金型を水平に設置した場合に、塗料注入口を、実質的に当該金型の底部にあるように設けることが好ましい。塗装の信頼性が向上するからである。
【0013】
また、本発明の他の一態様によれば、上記の塗装成形物製造用金型を使用し、ノルボルネン系モノマーを含む混合物を架橋重合せしめて成形物となし、ついで、当該成形物にインモールドコーティング法で塗装をおこなう塗装成形物の製造方法において、少なくとも塗料注入時には、当該金型を水平に設置し、塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口近傍の塗膜の硬化速度が、他の部分の硬化速度に比べ遅くならないように、注入塗料温度および金型表面の熱交換速度を調節し、塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口からより遠い金型表面の温度をより高温になるように制御した金型に塗料を注入する塗装成形物の製造方法が提供される。
【0014】
なお、以下に説明する発明の実施の形態や図面の中で、本発明の更なる特徴が明らかにされる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図、表、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、表、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0016】
上記本発明において、塗料注入口の設けられた側の金型(以下、「塗料注入口の設けられた側の金型」を金型Aと略称する場合がある。)について、金型表面の温度や熱交換速度を問題にするのは、塗料の硬化に影響を及ぼすのが金型Aであり、他の側の金型は直接塗料とは接触しないため塗料の硬化に影響を及ぼす度合いが小さいからである。
【0017】
通常金型は、凹形状を有する側の金型をキャビティ金型、凸形状を有する側の金型をコア金型と呼称するが、キャビティ金型に接する成形物面のみが審美性を要求され、塗装される場合が多い。このような場合には、キャビティ金型に塗料注入口を設けることになる。一方、コア金型に接する成形物面のみを塗装する場合には、コア金型に塗料注入口を設けることになり、成形物の両面に塗装する場合には、キャビティ金型とコア金型とに塗料注入口を設けることになる。
【0018】
なお、簡略化のため、以下の説明では、キャビティ金型に塗料注入口が設けられている場合を主体に説明する。
【0019】
本発明のノルボルネン系モノマーはノルボルネン骨格を分子中に少なくとも1つ有し、触媒を使用して架橋重合して、ノルボルネン系架橋重合体を得る。上記におけるノルボルネン系モノマーを含む混合物は、ノルボルネン系モノマーと架橋重合のための触媒とを含有する。この混合物の状態は金型に注入する前に存在するものであっても、金型に注入した後に実現されるものであってもよい。
【0020】
そして、この混合物をキャビティ金型とコア金型とからなる金型内で架橋重合と成形とを同時におこなう反応射出成形(Reaction Injection Molding 略してRIM法)やレジントランスファー成形(Resin transfer Molding 略してRTM)で寸法精度良く成形することができる。触媒としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)など、あるいは、ルテニウム(Ru)など金属をベースとしたものが知られている。
【0021】
この重合体は成形原料が液状であるため、複雑な形状もこのRIMやRTM成形法で、比較的安価にかつ容易に成形できる。また、この重合体は、スチレン−ブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン系のエラストマーが添加されていると耐衝撃性は更に向上するし、あるいは、成形原料に、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維補強材やガラス微粒子などを添加し、補強して使用することができる。
【0022】
本発明のノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共二量体、5−エチリデンノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)などを挙げることができ、これらの混合物も使用することができる。特にジシクロペンタジエンまたはそれを50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む混合物が好適に用いられる。
【0023】
また、必要に応じて、酸素、窒素などの異種元素を含有する極性基を有するメタセシス重合性環状オレフィンを共重合モノマーとして用いることができる。かかる共重合モノマーも、ノルボルネン構造単位を有するものが好ましくかつ極性基としてはエステル基、エーテル基、シアノ基、N−置換イミド基、ハロゲン基などが好ましい。かかる共重合モノマーの具体例としては、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−(2−エチルヘキシロキシ)カルボニル−5−メチルノルボルネン、5−フェニロキシメチルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、6−シアノ−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン,N−ブチルナディック酸イミド、5−クロルノルボルネンなどを挙げることができる。
【0024】
本発明の架橋重合体を得るための触媒としては、メタセシス触媒系としてよく知られているものを使い、触媒成分としてタングステン、レニウム、タンタル、モリブデンなどの金属のハライドやアンモニウム塩などの塩類と活性化剤成分として周期律表第I〜第III族の金属のアルキル化物を中心とする有機金属化合物、特にテトラアルキル錫、アルキルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハライド化合物などからなる複合触媒をあげることができ、あるいはルテニウムカルベン錯体からなる触媒が挙げられる。前者は一般的には触媒成分を含むモノマー液Aと活性化剤成分を含むモノマー液Bとの2液を混合せしめることにより短時間で重合せしめる。後者は、一般的にはモノマー液と触媒成分とを混合せしめ、あるいは混合過熱せしめることにより重合せしめる。
【0025】
本発明において2液混合せしめて重合せしめる場合、たとえばモノマー液A(溶液A)中には、メタセシス重合触媒系の触媒成分が含有されている。かかる触媒成分としては、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデンなどの金属のハライドやアンモニウム塩が用いられるが、特にタングステン化合物が好ましい。
【0026】
かかるタングステン化合物としては、タングステンヘキサハライド、タングステンオキシハライドなどが好ましく、より具体的にはタングステンヘキサクロライド、タングステンオキシクロライドなどが好ましい。
【0027】
かかるタングステン化合物は、直接モノマーに添加すると、直ちにカチオン重合を開始することが分かっており好ましくない。従って、かかるタングステン化合物は不活性溶媒、たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼンなどに予め懸濁し、少量のアルコール系化合物および/またはフェノール系化合物を添加することによって可溶化させて使用するのが好ましい。
【0028】
さらに上述した如き、好ましくない重合を予防するためにタングステン化合物1モルに対し、約1〜5モルのルイス塩基またはキレート化剤を添加することが好ましい。かかる添加剤としてはアセチルアセトン、アセト酢酸アルキルエステル類、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリルなどを挙げることができる。極性モノマーを用いる場合には、前述の如く、そのものがルイス塩基である場合があり、上記の如き化合物を特に加えなくてもその作用を有している場合もある。前述の如くして、触媒成分を含むモノマー液A(溶液A)は、実質上充分な安定性を有することになる。
【0029】
一方、本発明におけるモノマー液B(溶液B)中には、たとえば、メタセシス重合触媒系の活性化剤成分が含有されている。この活性化剤成分は、周期律表第I〜第III族の金属のアルキル化物を中心とする有機金属化合物、特にテトラアルキル錫、アルキルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハライド化合物が好ましく、具体的には塩化ジエチルアルミニウム、ジ塩化エチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジオクチルアルミニウムアイオダイド、テトラブチル錫などを挙げることができる。これら活性化剤成分としての有機金属化合物をモノマーに溶解することにより、モノマー液B(溶液B)が形成される。
【0030】
基本的には前記溶液Aおよび溶液Bを混合し、金型内に注入することによって、架橋重合体成形物を得ることができるが、上記組成のままでは、重合反応が非常に速く開始されるので、成形金型に十分流れ込まない間に硬化が起こることもあり問題となる場合もある。このような場合には活性調節剤を用いることが好ましい。
【0031】
かかる調節剤としてはルイス塩基類が一般に用いられ、なかんずく、エーテル類、エステル類、ニトリル類などが用いられる。具体例としては安息香酸エチル、ブチルエーテル、ジグライムなどを挙げることができる。かかる調節剤は一般的に、有機金属化合物の活性化剤の成分の溶液(溶液B)の側に添加して用いられる。前述と同様にルイス塩基を有するモノマーを使用する場合には、それに調節剤の役目を兼ねさせることができる。
【0032】
メタセシス重合触媒系の使用量は、たとえば触媒成分としてタングステン化合物を用いる場合は、上記原料モノマーに対するタングステン化合物の比率は、モル基準で約1,000対1〜15,000対1、好ましくは2,000対1の付近であり、また、活性化剤成分はアルキルアルミニウム類を用いる場合には、上記原料モノマーに対するアルミニウム化合物の比率は、モル基準で約100対1〜10,000対1、好ましくは200対1〜1,000対1の付近が用いられる。さらに上述した如きキレート化剤や調節剤については、実験によって上記触媒系の使用量に応じて、適宜調節して用いることができる。
【0033】
本発明における架橋重合体の成形物には、実用に当たってその特性を改良または維持するために更にその目的に応じた各種添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、充填剤、顔料、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、高分子改良剤などがある。このような添加剤は、本発明の架橋重合体が成形されて後は添加することが不可能であるから添加する場合には予め前述した原料溶液に添加しておく必要がある。
【0034】
その最も容易な方法としては、前記溶液Aおよび溶液Bのいずれかまたは両方に前もって添加しておく方法を挙げることができるが、その場合、その液中の反応性の強い触媒成分、活性化剤成分と実用上差支えある程度には反応せず、かつ重合を阻害しないものでなくてはならない。どうしても、その反応が避け得ないものが共存しても、重合を実質的に阻害しないものあるいは短時間には阻害しないものの場合は、モノマーと混合して、第三液を調製し、重合直前に混合使用することもできる。
【0035】
また、重合触媒または活性化剤を第三液とし、これを含まない溶液Aまたは溶液Bに上記添加物を添加する方法も考えられる。さらに、固体の充填剤の場合であって、両成分が混合されて、重合反応を開始する直前あるいは重合しながら、その空隙を充分に埋め得る形状の物については、成形金型内に充填しておくことも可能である。
【0036】
また、本発明による成形物は、酸化防止剤を添加しておくことが好ましく、そのため、フェノール系またはアミノ系の酸化防止剤を予め溶液中に加えておくことが望ましい。これら酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]メタンなどが挙げられる。
【0037】
また、本発明における成形物は、添加剤として他の重合体をモノマー溶液状態の時に添加しておいて得てもよい。かかる添加剤としてはエラストマーが、成形物の耐衝撃性を高めることおよび溶液の粘度を調節する上で効果がある。かかる目的に用いられるエラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックゴム、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エチレンプロピレン−ジエンターポリマー、ニトリルゴムなど広範なエラストマーを挙げることができる。
【0038】
本発明の成形方法は、たとえば、ノルボルネン系モノマー成分と触媒系成分(活性化剤がある場合は活性化剤も含む)との混合物をキャビティ金型とコア金型とからなる金型内で重合せしめる。通常二つの金型には温度差をつける。これは成形物が高温金型側に密着し、収縮によって生じるヒケが低温金型側に集中して高温金型側には発現しないようにするためであり、通常キャビティ金型が高温金型になり、成形物の意匠面(美観を必要とされる側の面)を形成する役割を担う。金型温度は25〜120℃であり、金型間の温度差は5〜100℃が一般的であるが、成形物の意匠面になる側の金型温度は40〜120℃、一方成形物の裏側となる側の金型温度は25〜85℃、金型間の温度差は20〜85℃が好ましい。
【0039】
金型の材質は、スチール、鋳造あるいは鍛造のアルミニウム、亜鉛合金などの鋳造や溶射、ニッケルや銅などの電鋳、および樹脂などが挙げられる。金型表面が塗装表面になるので金型表面は#800以上の鏡面仕上げが好ましい。また、金型にはつなぎ目のない一体品が好ましい。
【0040】
本発明の塗装成形物の製造方法におけるインラインコーティング法(以下、IMCと略称する場合もある)による塗装では、成形物の架橋が充分進行した段階、すなわち成形物の表面が塗料の注入圧力、流動圧力に耐え得る状態になった段階で、インジェクターにより金型に設けた塗料注入口から、塗料を型内に注入する。通常は成形物の意匠面は高温側の金型であり、塗装面となるので注入口は、通常高温側金型であるキャビティ金型に設ける。
【0041】
塗料の注入圧力は3〜44MPa、好ましくは7〜34MPaである。3MPa未満では金型と成形物表面との間に塗料が充分浸透、流動せず、逆に44MPaを越えると塗料注入設備を強化しなければならず、また金型の強度も上げる必要が出る。
【0042】
塗料を注入後、塗料を成形物に充分密着させ硬化させるために、金型を成形時の状態に保持しても、あるいは型締め圧力を増圧してもよい。塗料の硬化時間は20秒〜10分であり、好ましくは60秒〜4分である。20秒より短いと塗料の硬化は不十分であり、10分を超えると生産性が悪化する。
【0043】
本発明で使用される塗料は、本発明の趣旨に反しない限りどのようなものでもよいが、(a)不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーまたはウレタンアクリレートオリゴマーと(b)それらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーからなるビヒクル成分および(c)重合開始剤を含有するものを例示することができる。
【0044】
不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーまたはウレタンアクリレートオリゴマーは、いずれも分子内に不飽和二重結合を有しており、エチレン性不飽和モノマーからなるビヒクル成分と、重合開始剤である有機過酸化物の熱分解で発生する活性ラジカルにより硬化反応が始まるが、この活性化ラジカルがノルボルネン架橋重合体(成形物)に残存する不飽和結合と反応する結果、成形物と塗料が化学結合し、塗料の強固な密着性が発現するものと推察される。
【0045】
特に好ましい塗料は、エポキシアクリレートオリゴマーまたはウレタンアクリレートオリゴマーを主成分とする塗料である。
【0046】
塗料のビヒクル成分であるエチレン性不飽和モノマーとしては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、メチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、シリコンアクリレート、シリコンジアクリレートなどが挙げられる。エチレン性不飽和モノマーの配合量は、前記の不飽和ポリエステル樹脂またはオリゴマー100重量部に対し20〜200重量部、好ましくは40〜160重両部である。
【0047】
ビヒクル成分を重合するための重合開始剤は有機過酸化物が好ましい。その具体例としては、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパ−オキシ−2−エチルヘキサノエートなどを挙げることができる。有機過酸化物の配合量は、ビヒクル成分100重量部に対し、0.1〜15重量部であるのが一般的である。
【0048】
本発明で使用される塗料は、前記成分のほかに着色用の顔料および/または染料成分が加わり、その他必要に応じ離型剤、硬化促進剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、改質樹脂、表面調整剤などを配合する。
【0049】
インモールドコーティング法で塗装する場合、塗装すべき表面の全領域を完全に塗装することが必要である。
【0050】
塗料の観点からは、本発明に係るノルボルネン系モノマーを用いた成形温度が120℃以下と低いため、低温度で硬化する特長を持っていることが好ましい。しかしながら、低温硬化性を高めると、室温での塗料のポットライフ(使用可能時間、保存性)が短くなり作業性が悪くなる問題がある。従って、本発明に係る塗料としては、硬化性と保存性とを兼ね備えた塗料、即ち温度依存性の大きな塗料が好ましい。
【0051】
一方、このような塗料を キャビティ金型と成形物との隙間に注入すると、金型温度で硬化が開始され、塗料粘度が急激に上昇することになる。
【0052】
この場合、塗料が成形物の塗装すべき表面全域に行き渡らないうちに、塗料粘度が上昇するとそれ以上には塗料が流れず、塗装の不完全が発生する。塗料粘度の増加を押さえるためには金型温度を低くすると良いが、硬化が遅くなり、生産性の低下を生じる。さらに未硬化の塗料が成形物のエッジから染み出し、キャビティ金型とコア金型との接合面から外部へ溢れ出し金型周囲を汚す原因となり得る。
【0053】
上記欠点を解消するためにはキャビティ金型温度を制御することが好ましい。すなわち、塗料注入口からより遠いキャビティ金型表面の温度を、より高温になるように制御することが好ましい。具体的には、たとえば、成形物形状と塗料注入口位置とに応じてキャビティ金型を複数区域に分けて温度制御を行い、塗料注入口より遠い周辺部分や成形物エッジ周辺部分のキャビティ金型温度を他の部分より高目に制御できるような金型とすればよい。
【0054】
このようにすれば、塗料注入口から注入された塗料は最初キャビティ金型温度が若干低めの領域を流れるが、この時は粘度が上昇する前であり、流れやすい。一方、キャビティ金型の周辺部分に到達した塗液は高めのキャビティ金型温度で反応して粘度が上昇する。粘度が上昇すると塗液の流れが低下し、キャビティ金型とコア金型との接合面から外部へ溢れ出すことはない。
【0055】
重要なのは、塗料注入口からより遠いキャビティ金型表面の温度を、より高温にすることであり、塗料注入口からより遠いキャビティ金型表面の温度を、どの程度高温にするかは、実験等で適宜定めることができる。「金型Aについて、塗料注入口からより遠い金型表面の温度を、より高温になるように制御できるようになした」のは、金型Aの全面について成立する必要はなく、一般的にいえば、できるだけ広い範囲で成立していることが好ましい。なお、塗料注入口からより遠いキャビティ金型表面かどうかは、塗料注入口からの直線距離で判断することができる。
【0056】
また、金型Aについて、塗料注入口近傍の金型表面の熱交換速度を、他の金型表面部分に比べ大きくできることが好ましい。この理由は次の通りである。
【0057】
塗料注入装置は通常金型からの伝導熱で塗料が硬化しないように冷却されている。そのために金型A表面の塗料注入口近傍では金型Aの温調と注入装置の冷却とが拮抗して金型の表面温度が低目になりやすく、注入した塗料の硬化が不十分になり成形物との接着力が低下する問題がある。
【0058】
これを防ぐためには、たとえば注入口近傍の金型Aの熱交換速度を大きくして注入装置からの冷却の影響を極力小さくすることが必要である。これは、熱交換パイプの密度を上げる等により注入口近傍の金型Aの熱交換面積を広くすることや熱媒の循環量を増大させる等の方法によって達成することができる。あるいは、成形用とは別系統の補助ヒータを組み込んで温度管理を行う方法も考えられる。公知のどのような方法によってもよい。
【0059】
なお「注入口近傍」とは注入口とその周辺部分とを意味する。どの辺りまで周辺部分とするかは、注入した塗料の硬化の具合を見て適宜定めることができる。注入口から直線距離で少なくとも10cmまでの周辺部分の熱交換速度を、他の金型表面部分に比べ大きくできることが好ましい。
【0060】
また、成形物の観点からは、塗料を成形物の最外周まで均一に注入するためには、成形物の端部分に、縦バリと横バリとが、成形物側から見てこの順序に生じるようなバリ生成構造を設けることが好ましい。
【0061】
これを図で説明すると次の通りである。図1はその比較用の図であり、縦バリが存在していない。すなわち、図1は、塗装膜5で塗装された成形物4を金型内に有する、キャビティ金型2とコア金型3とよりなる金型1の断面図を表す。図1では、成形物の端部分に、横バリ6のみが存在している。
【0062】
これに対し、図2は、塗装膜5で塗装された成形物4を金型内に有する、キャビティ金型2とコア金型3とよりなる金型1で、縦バリが存在している場合の断面図を表す。図2では、成形物の端部分に、まず、縦バリ7があり、ついで横バリ6がある。このようなバリ生成構造を設けることが好ましい。
【0063】
なお、上記において、縦バリと横バリとは、図2に示すように金型が水平に置かれた場合に、バリが縦方向に生ずるか横方向に生ずるかによって定まる。
【0064】
この場合、縦バリは、鉛直方向にある場合にとどまらず、斜め方向であってもよい。要は、塗料が下方から上方に向かって進行するようになっていることが重要である。
【0065】
これに対し、横バリは、実質的に水平方向であればよい。実質的にとは、図2に示すように金型が水平に置かれた場合に、キャビティ金型とコア金型とのパーティングラインが、上下からの金型締め付け圧力で充分締め付けられる程度であることを意味する。従って、目で見て傾いている程度であってもよい場合もある。塗料が上方から下方に向かって進行するようになっていることは好ましくない。
【0066】
このようにすると、成形物端部分に直に横バリが出ているのではなく、縦バリを介して横バリにつながっている状態となる。この場合、キャビティ金型にそって流れてきた塗液は縦バリ部をぬらし、横バリ部で行き止まる。このようにすれば、成形物とキャビティ金型との間に隙間が生じやすくなって、塗料が成形物の外周部分まで均一に行き渡り、部分的に塗装されない成形物の発生を抑制できることが判明した。
【0067】
なお、成形原料注入口付近の部分も、塗料の注入に際しては、成形物の端部分に該当する。図3は、ライナー8からフィルムゲート9を経て金型1に流れ込んだ成形原料が硬化して生じた成形物4が塗装膜5で塗装された様子を示す、金型1の断面図である。
【0068】
このような場合には、フィルムゲート9に横バリが生じることになる。従って図3に示すように縦バリ7が生じるようになっていることが好ましい。
【0069】
成形物には時として開口部が設けられることが多い。成形原料で開口部付きの成形物を作成する場合は金型にO−リング等を使用して成形原料が流れ込まない部分を作成し、これを成形物の開口部としていることが多い。
【0070】
しかしながら、インモールドコーティングにおいては、O−リングで十分塗料の進入を防止できない場合が多く、キャビティ金型を金型Aとした場合、開口部を経由して、コア金型側に塗料が回り込むことが多い。この場合、コア金型は通常金型温度がキャビティ金型より低いために、塗料が短時間で硬化せず、未硬化の塗料で成形物内面や金型が汚れる問題が発生する。
【0071】
上記問題点を解決するためには、成形物に開口部を設ける必要がある場合に、開口部予定部分に成形物本来の厚みより薄い皮膜を設けてキャビティ金型側からコア金型側に塗液の流れるのを防止することが好ましい。
【0072】
当該薄皮部分は、0.5mm以上であることが好ましい。成形後、後処理で切り取る必要があるので、作業性を勘案して0.5〜2mm程度の厚みがより好ましい。更に好ましくは0.5〜1mmの厚みである。
【0073】
塗料注入口は、金型を水平に設置した場合に、実質的に当該金型の底部にあるように設けることが好ましい。塗料が下方から上方に向かってスムーズに注入され、縦バリ部分においてもスムーズに塗料が流れる結果、未塗装部分の発生を抑制できるからである。
【0074】
なお、本発明において、「金型を水平に設置すること」は、物理的な水平設置にとどまる必要はない。同様に、「塗料注入口が実質的に金型の底部にあること」は、必ずしも物理的に金型の最低部にあることを意味するものではない。要するに、塗料が、成形物表面を、縦バリ部分を含め、下方から上方に向かってスムーズに流れるようになっていればよい。従って、「金型を水平に設置すること」や「塗料注入口が実質的に金型の底部にあること」の要件は、金型が設置され、塗料注入口が金型の底部近傍に設置された結果、塗料が、縦バリ部分を含め、下方から上方に向かってスムーズに流れるようになっていれば、充足されたものと考えることができる。
【0075】
上記のような要件を満たす金型を使用した場合、ノルボルネン系モノマーを含む混合物を架橋重合せしめて成形物となし、ついで、当該成形物にインモールドコーティング法で塗装をおこなう場合に、少なくとも塗料注入時には、当該金型を水平に設置し、塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口近傍の塗膜の硬化速度が、他の部分の硬化速度に比べ遅くならないように、注入塗料温度および金型表面の熱交換速度を調節し、塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口からより遠い金型表面の温度をより高温になるように制御した金型に塗料を注入すると、良好な塗装成形物を製造することができる。
【0076】
ここで、「少なくとも塗料注入時には」としたのは、成形原料注入時等には金型を水平に設置する必要はない場合があり得るからである。
【0077】
塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口近傍の塗膜の硬化速度が、他の部分の硬化速度に比べ遅くならないように、注入塗料温度および金型表面の熱交換速度を調節できているかどうかは、塗装成形物について、塗料注入口近傍の塗膜が他の部分に比べ硬化の度合いが不十分となっていないかどうかで判断することができる。たとえば指で押さえて簡単に指跡が残るようでは硬化不足であると判断される場合が多い。従って、注入塗料温度および金型表面の熱交換速度を適宜変更し、塗装成形物の塗装状態を観察する実験をすることによって、適切な条件を選択することができる。
【0078】
また、「塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口からより遠い金型表面の温度をより高温になるように制御した金型に塗料を注入する」ことは、塗料の注入の際に、「塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口からより遠い金型表面の温度がより高温になっている」ことを必ずしも意味するものではない。すなわち、成形原料注入前に「塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口からより遠い金型表面の温度がより高温になっている」ことで十分である場合が多い。上記条件は、このような場合も包含する。このようにすれば、塗料が成形物表面にスムーズに行き渡るという目的を達成できるからである。
【0079】
かくして得られた塗装処理(下塗り処理)をした成形物は、次いでトップコートすることでノルボルネン系架橋重合体の製品となる。もちろん、下塗り処理とトップコートとを兼用し、一度のIMCで最終の塗装品を作成することも行われる。
【0080】
トップコート用の塗料は、その種類は幅広く使用でき、特に限定されず、ウレタン系、アクリルウレタン系、アルキド樹脂系、アミノ樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル系、ビニル樹脂系、脂肪酸エステル系、シリコン樹脂系など広く使われる。これらの中でウレタン系、アクリルウレタン系が好適である。
【0081】
トップコート塗装は1層塗りでも多層塗り(品種の異なった多層塗りも含む)でもその用途に応じて実施される。
【0082】
かくして得られたトップコート後の成形物は、軽量で耐衝撃性に優れ、また色彩に富んだ成形物であり、かつ当該色彩が耐久性に優れており、バンパーやエアーデフレクターなどの自動車部品、建機やゴルフカートなどの外装部品、浴室用洗い場、浴槽等の浴室構成品、MRなどの医療機器の外装部品など幅広く使われる。
【0083】
【実施例】
以下本発明のIMC用金型を塗装例を挙げてより具体的に説明する。なお、採用した評価方法は次の通りである。
【0084】
(塗装の耐久テスト)
JIS K5400記載の方法に従い、1mm角の碁盤目テストをおこなった。1mm間隔の切り筋を縦、横に10本づつ表面に設けて100個の碁盤目を作成し、粘着テープを貼り付けて引き剥がした時に、剥がれていない碁盤目の数で示した。1次密着性が初期特性を示し、2次密着性が50℃温水7日間浸漬後の特性を示す。
【0085】
[参考例1]
<原料液(溶液A)の製造>
六塩化タングステン28重量部を窒素気流中下で乾燥トルエン80重量部に添加し、次いでt−ブタノール1.3重量部をトルエン1重量部に溶解した溶液を加え1時間撹拌し、次いでノニルフェノール18重量部およびトルエン14重量部よりなる溶液を添加し、5時間窒素パージ下撹拌した。さらにアセチルアセトン14重量部を加えた。副生する塩化水素ガスを追い出しながら窒素パージ下に一晩撹拌を継続し、重合用触媒溶液を調製した。
【0086】
次いで精製ジシクロペンタジエン(純度99.7重量%、以下同様)95重量部、精製エチリデンノルボルネン(純度99.5重量%、以下同様)5重量部よりなるモノマー混合物に対し、エチレン含有70モル%のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合ゴム3重量部、酸化安定剤としてエチル社製エタノックス702の2重量部を加えた溶液に、上記重合用触媒溶液を、タングステン含量が0.01M/Lになるように加えて触媒成分を含有するモノマー液A(溶液)を調製した。
【0087】
[参考例2]
<原料液(溶液B)の製造>
精製ジシクロペンタジエン83重量部、精製エチリデンノルボルネン5重量部よりなるモノマー混合物に対し、エチレン含有70モル%のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合ゴム3重量部を溶解した溶液に、トリオクチルアルミニウム85、ジオクチルアルミニウムアイオダイド15、ジグライム100のモル割合で混合調製した重合用活性化剤混合液を、アルミニウム含量が0.03M/Lになる割合で添加し、活性化剤成分を含有するモノマー液B(溶液B)を調製した。
【0088】
[実施例1]
図4に示すような断面を有する、長さ800mm、幅600mm、深さ600mmの船外機のカバー成形用の金型(キャビティ金型ニッケル電鋳、コア金型アルミニウム鋳造製)を使用した。
【0089】
図4では、成形物端部Xに図示されない成形原料注入口がある。金型は図4のように水平に設置して成形材料を注入した。その後、その底部に設けられた塗料注入口10から塗料を注入し、IMCで塗装成形物を得た。
【0090】
成形物の端部分では縦バリを10mm程度設けた後横バリが生じるような形状とした。図4では、縦バリと横バリとは図示されていない。
【0091】
キャビティ金型温度は85〜89℃、コア金型温度は40℃とし、金型を成形物の投影面積あたり約1.4MPaの圧力で型締めした。キャビティ金型の温度分布は図5にモデル的に示したように、領域Bと領域Cと領域Dとの3つの領域で個別に制御できるようになっている。図5は図4の金型のキャビティ金型を下から見たモデル図である。領域Bと領域Cとの境界線は直径100mmの円形であり、領域Cと領域Dとの境界線は長径L1=800mm,短径L2=600mmの楕円形である。
【0092】
なお、更に多くの区域に温度制御できるようになっていてもよい。領域Dでは89℃の表面温度が得られるようにした。領域Cでは表面温度が86℃になるようにした。領域Bでは温調の配設密度を高くして、その熱交換速度を、領域C,Dの金型表面部分に比べ大きくできるようにし、塗料注入口以外の部分で86℃〜85℃が確保できるようにした。塗料注入口は注入装置が水冷されているために84℃と低めの温度であった。なお、上記は、いずれも、成形用原料注入前の状態である。
【0093】
RIM成形機を用い、先のモノマー液Aとモノマー液Bを等量、ミキシングヘッド中で衝突混合し、得られた混合液を金型内に注入し、60秒間保持した。
【0094】
その後ウレタンアクリルオリゴマー100重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート65重量部、酸化チタン150重量部、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシカーボネート3.0重量部からなる塗料を14MPaの圧力で型内に注入した。型内で3分間保持し、その後型を開き成形物を取り出した。
【0095】
上記前処理塗装品は全面にわたって塗装が完全に行われ、未塗装部分は生じなかった。さらに塗料注入口も塗膜がカバーし、剥がれなどは生じていなかった。
【0096】
この成形物を金型から取り出した30分後、トップコート層を形成するために大橋化学(株)製ポリナール800Nの塗料(グリーン色)を塗布し80℃の乾燥機を通し焼き付けた。
【0097】
この塗装品について、塗装の耐久テストを行い、塗装の密着性を調べた。結果を表1に示す。
【0098】
[比較例1]
実施例1の船外機カバーの金型を使い、実施例1と同様にモノマー液Aとモノマー液Bとから架橋重合体を成形し、IMCで塗装をすることなしにそのまま取り出した。取り出して30分後に、脱脂の後大橋化学(株)製のポリナールプライマーを塗布し、乾燥の後ポリナール800Nを塗布し80℃の乾燥機を通し焼き付けた。
【0099】
この塗装品について、塗装の耐久テストを行い、塗装の密着性を調べた。結果を表1に示す。
【0100】
[比較例2]
比較例1と同様にIMCで塗装していない成形物を使い、金型から取り出して後、直ちに表面を#320のサンドペーパーでサンディングして、比較例1と同様にポリナールプライマーを塗布後ポリナール800Nを塗布し焼き付けた。
【0101】
この塗装品について、塗装の耐久テストを行い、塗装の密着性を調べた。結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
Figure 0003983144
【0103】
上記の結果から、本発明によれば、成形後短時間で塗装でき、かつその塗膜が前処理塗膜を介して成形物と強固な接着力を有することが判った。
【0104】
[実施例2]
実施例1で使用した金型の温調制御を用いて、D領域の温度を89℃、C領域の温度を88℃、B領域の温度を86℃として、金型の温調能力を種々変更した以外は、実施例1と同じ成形、IMCによる塗装を行った。なお、上記温度条件は、いずれも、成形用原料注入前の状態である。
【0105】
その結果、金型の温調能力を絞りすぎると、塗料注入口近傍の金型表面の熱交換速度が落ち、塗料注入口近傍に硬化の不十分な場所が生じることがあった。
【0106】
また、金型の温調能力をあげすぎると、塗料が高粘度化しやすく、塗料の廻り具合、接着力が悪化し、成形物の端部分周辺領域、特に塗料注入口から遠く、成形用原料注入口に近い領域では塗料が廻らず、未塗装部分が発生する場合があった。また、C領域では塗料が高粘度化して流れた特長である表面にしわ模様の塗膜が観察される場合があった。すなわちC領域を通過した塗料が高粘度化し、D領域まで流れなかったために生じた現象が起こったものと考えられる。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、ノルボルネン系モノマーを架橋重合せしめて成形物となし、インモールドコーティング法で塗装をおこない塗装成形物を製造する場合に、成形後短時間で、塗料を成形物の表面全域に均等に塗布でき、塗膜が成形物と強固な接着力を有するようにすることができる。また、その塗膜の上に更に塗膜をもうける場合にも、付加的な処理が不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦バリが存在していない成形物を内部に有する金型の断面図を表す。
【図2】縦バリが存在する成形物を内部に有する金型の断面図を表す。
【図3】ライナーからフィルムゲートを経て金型に流れ込んだ成形原料が硬化して生じた成形物が塗装膜で塗装された様子を示す、金型の断面図である。
【図4】船外機のカバー成形用の金型の横断面モデル図である。
【図5】図4のキャビティ金型を下から見たモデル図である。
【符号の説明】
1 金型
2 キャビティ金型
3 コア金型
4 成形物
5 塗装膜
6 横バリ
7 縦バリ
8 ライナー
9 フィルムゲート
10 塗料注入口

Claims (6)

  1. ノルボルネン系モノマーを含む混合物をキャビティ金型とコア金型とからなる金型内に注入し、架橋重合せしめて成形物となし、当該成形物にインモールドコーティング法で塗装をおこない塗装成形物を製造するための塗装成形物製造用金型であって
    少なくともキャビティ金型とコア金型とのいずれかに塗料注入口を有し、
    塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口からより遠い金型表面の温度をより高温になるように、少なくとも3区域に分け、かつそのうちの少なくとも一つの区域がバリの区域を含まないよう温度制御できるようになした
    塗装成形物製造用金型。
  2. 前記塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口近傍の金型表面の熱交換速度を、他の金型表面部分に比べ大きくできるようになした、請求項1に記載の塗装成形物製造用金型。
  3. 成形物の端部分に、縦バリと横バリとが、成形物側から見てこの順序に生じるようなバリ生成構造を設けた、請求項1または2に記載の塗装成形物製造用金型。
  4. 成形物の開口部となすべき部分に0.5mm以上の厚みの薄皮を形成するようになした、請求項1〜3のいずれかに記載の塗装成形物製造用金型。
  5. 金型を水平に設置した場合に、塗料注入口を、実質的に当該金型の底部にあるように設けた請求項1〜4のいずれかに記載の塗装成形物製造用金型。
  6. 請求項1〜5に記載の塗装成形物製造用金型を使用し、ノルボルネン系モノマーを含む混合物を架橋重合せしめて成形物となし、ついで、当該成形物にインモールドコーティング法で塗装をおこなう塗装成形物の製造方法であって
    少なくとも塗料注入時には、当該金型を水平に設置し、
    塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口近傍の塗膜の硬化速度が、他の部分の硬化速度に比べ遅くならないように、注入塗料温度および金型表面の熱交換速度を調節し、かつ、塗料注入口の設けられた側の金型について、塗料注入口からより遠い金型表面の温度をより高温になるように、少なくとも3区域に分け、かつそのうちの少なくとも一つの区域がバリの区域を含まないよう温度制御した金型に塗料を注入する塗装成形物の製造方法。
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