JPWO2007052716A1 - 細胞培養装置、細胞培養方法、細胞培養プログラム、及び細胞培養システム - Google Patents

細胞培養装置、細胞培養方法、細胞培養プログラム、及び細胞培養システム Download PDF

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Abstract

操作者の労力を軽減しつつ、細胞の培養状況に応じた適切な培養を実現できる細胞培養装置を提供すること。細胞を増殖するための培養バッグ18と、増殖のために誘導因子により細胞を刺激する細胞接種カセット19(または抗体刺激及び増殖用培養容器としての培養バッグ242)と、これらの培養バッグ18、細胞接種カセット19へ供給される培地を貯溜する培地カセット20と、細胞接種カセット内の細胞の画像を取得するCCDカメラ88と、このCCDカメラにて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況(細胞の増殖可能性と増殖能力)を判定し、この判定に基づき培養操作を実行させる画像処理用コンピュータ及び運転制御用コンピュータと、を有するものである。

Description

本発明は、細胞の培養状況を評価して細胞を培養する細胞培養装置、細胞培養方法、細胞培養プログラム、及び細胞培養システムに関する。
細胞培養、特に免疫細胞療法に用いられる浮遊系細胞の細胞培養は、従来ほとんどが人的操作によって実施されている。例えば、患者から採取した細胞を、抗体(誘導因子)が付着したフラスコに培地とともに接種して恒温槽に収納し、このフラスコを日々恒温槽から取り出し、顕微鏡などを用いて培養状況(例えば増殖状況)を観察し、増殖等が認められたとき、または細胞接種から所定期間経過した後に、上記フラスコに培地を添加して細胞を培養(例えば増殖)している。
上述のような人為的な細胞培養では、培養技術者の経験に依存した培養評価に基づいて日単位の操作が行われるため、または予め定められたマニュアルに基づき全ての細胞について画一的に培養操作が行われるため、採取した細胞によっては、培養(例えば増殖)が不充分となってしまうことがあった。患者ごとに異なる細胞の増殖能力を最大限に引き出すためには、客観的な培養評価と、この評価に基づく時間単位での培養操作が必要となる。
このような課題は、接着依存性細胞の培養においては、特許文献1に記載のようにその一部が解決されている。つまり、特許文献1では、個々の接着依存性細胞を無襲撃、非破壊で画像により形態観察することによって、その細胞集団全体の増殖能力を把握している。
また、上述のような人為的細胞培養に用いられるものとして、特許文献2に、1台の恒温槽(培養室)内に複数個のキャニスタ(収容部)が配置され、各キャニスタに培養容器を1個ずつ収納して細胞を培養する細胞の培養システムが開示されている。この培養システムでは、1台の恒温槽の全てのキャニスタについて培養環境が同一に設定されている。
特開2002−218995号公報 特開2005‐73566号公報
ところが、免疫細胞療法に用いられる浮遊系細胞の培養に関しては、細胞の培養状況を客観的に評価したり、その評価に基づいて細胞を培養する装置などが存在していない。
また、上記特許文献2に記載の細胞培養システムを含む人為的細胞培養では、恒温槽やキャニスタ内の培養環境データの収集、培地交換等の培養操作などを、培養に従事している操作者が記録に残さなければならず、非常に煩雑な作業となっている。また、細胞培養の異常を的確に把握できない恐れもある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、操作者の労力を軽減しつつ、細胞の培養状況に応じた適切な培養を実現できる細胞培養装置、細胞培養方法及び細胞培養プログラムを提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、細胞の培養に関連する細胞培養関連データを自動で収集し蓄積できると共に、上記細胞培養関連データに基づいて細胞の培養を監視し管理できる細胞培養システム、細胞培養方法及び細胞培養プログラムを提供することにある。
請求項1に記載の発明に係る細胞培養装置は、細胞を培養する培養容器と、この培養容器へ供給される培地を貯溜する培地貯溜手段と、上記培養容器内の細胞の画像を取得する画像取得手段と、この画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定し、この判定に基づき培養操作を実行させる制御手段と、を有することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項1に記載の発明において、上記培養容器は、細胞を増殖するための増殖用培養容器と、細胞に機能を発現させるための機能発現用培養容器とであり、この機能発現用培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項2に記載の発明において、上記機能発現用培養容器は、増殖のために誘導因子により細胞を刺激する誘導因子刺激用培養容器であり、制御手段は、上記誘導因子刺激用培養容器内の細胞の画像に基づき、細胞の増殖可能性と細胞の増殖能力を判定し、上記誘導因子刺激用培養容器から増殖用培養容器へ細胞を移行させるタイミング、培地貯溜手段から上記増殖用培養容器への培地の供給などの培養操作を制御することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項2に記載の発明において、上記機能発現用培養容器は、細胞を分化させる分化誘導用培養容器であり、制御手段は、上記分化誘導用培養容器内の細胞の画像に基づき、分化誘導操作を制御することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、上記培地貯溜手段はカセット構造に構成されて、培養容器に接続されることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項5に記載の発明において、上記機能発現用培養容器はカセット構造に構成されて、増殖用培養容器及び培地貯溜手段に接続されることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項2乃至6のいずれかに記載の発明において、上記培地貯溜手段、機能発現用培養容器及び増殖用培養容器が閉鎖系にて構成されたことを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項2乃至7のいずれかに記載の発明において、上記増殖用培養容器には液溜り部が形成可能に設けられ、当該増殖用培養容器内での培養初期段階で、上記液溜り部に細胞及び培地が貯溜されることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項2乃至8のいずれかに記載の発明において、上記増殖用培養容器内で増殖された細胞を機能発現用培養容器内へ導き、この細胞の画像が画像取得手段により取得されることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項2乃至9のいずれかに記載の発明において、上記培地貯溜手段には、使用済み培地を貯溜可能な使用済み培地貯溜容器が、培養容器へ供給する培地を貯溜可能な培地貯溜容器と共に設置され、増殖用培養容器内の使用済み培地が上記使用済み培地貯溜容器に排出されて貯溜されるよう構成されたことを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項2乃至10のいずれかに記載の発明において、上記培地貯溜手段には、細胞を回収する細胞回収容器が装着可能とされ、増殖用培養容器内で濃縮された細胞が上記細胞回収容器内に回収されるよう構成されたことを特徴とするものである。
請求項12に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項1乃至11のいずれかに記載の発明において、上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とするものである。
請求項13に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項1乃至12のいずれかに記載の発明において、上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とするものである。
請求項14に記載の発明に係る細胞培養方法は、細胞を培養する培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得し、この画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定し、この判定に基づき上記培養容器へ培養操作を実行することを特徴とするものである。
請求項15に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項14に記載の発明において、上記培養容器は、細胞を増殖するための増殖用培養容器と、細胞に機能を発現させるための機能発現用培養容器とであり、この機能発現用培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得することを特徴とするものである。
請求項16に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項15に記載の発明において、上記機能発現用培養容器は、増殖のために誘導因子により細胞を刺激する誘導因子刺激用培養容器であり、上記誘導因子刺激用培養容器内の細胞の画像に基づき、細胞の増殖可能性と細胞の増殖能力を判定し、上記誘導因子刺激用培養容器から増殖用培養容器へ細胞を移行させるタイミング、培地貯溜手段から上記増殖用培養容器への培地の供給などの培養操作を実行することを特徴とするものである。
請求項17に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項15に記載の発明において、上記機能発現用培養容器は、細胞を分化させる分化誘導用培養容器であり、上記分化誘導用培養容器内の細胞の画像に基づき、分化誘導操作を実行することを特徴とするものである。
請求項18に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項15乃至17のいずれかに記載の発明において、上記増殖用培養容器内での培養初期段階では、上記増殖用培養容器の液溜り部に細胞及び培地を貯溜することを特徴とするものである。
請求項19に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項15乃至18のいずれかに記載の発明において、上記増殖用培養容器内で増殖された細胞を機能発現用培養容器内へ導き、この細胞の画像を画像取得手段が取得することを特徴とするものである。
請求項20に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項15乃至19のいずれかに記載の発明において、上記増殖用培養容器内の使用済み培地を、培地貯溜手段の使用済み培地貯溜容器に排出することを特徴とするものである。
請求項21に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項15乃至20のいずれかに記載の発明において、上記増殖用培養容器内で濃縮された細胞を、培地貯溜手段の細胞回収容器内に回収することを特徴とするものである。
請求項22に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項14乃至21のいずれかに記載の発明において、上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とするものである。
請求項23に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項14乃至22のいずれかに記載の発明において、上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とするものである。
請求項24に記載の発明に係る細胞培養プログラムは、細胞の培養を実行するためにコンピュータに記憶した細胞培養プログラムであって、細胞を培養する培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得する手順と、この画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定する手順と、この判定に基づき上記培養容器へ培養操作を実行する手順と、を有することを特徴とするものである。
請求項25に記載の発明に係る細胞培養プログラムは、細胞の培養を実行するためにコンピュータに記憶した細胞培養プログラムであって、細胞に機能を発現させるための機能発現用培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得する手順と、この画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定する手順と、この判定に基づき上記機能発現用培養容器、及び/または細胞を増殖するための増殖用培養容器へ培養操作を実行する手順と、を有することを特徴とするものである。
請求項26に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載の発明において、上記培養容器は載置台に載置され、上記載置台の一部を昇降させることにより培養面積を変化させることを特徴とするものである。
請求項27に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項1乃至請求項13のうち、いずれか1に記載の発明において、単純流加培養及び灌流培養の一方を選択可能であることを特徴とするものである。
請求項28に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項27に記載の発明において、間欠式灌流培養及び連続式灌流培養の一方を選択可能であることを特徴とするものである。
請求項29に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項14乃至請求項16のうち、いずれか1に記載の発明において、上記培養容器は載置台に載置され、上記載置台の一部を昇降させることにより培養面積を変化させることを特徴とするものである。
請求項30に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項14乃至請求項23のうち、いずれか1に記載の発明において、単純流加培養及び灌流培養の一方を選択可能であることを特徴とするものである。
請求項31に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項30に記載の発明において、間欠式灌流培養及び連続式灌流培養の一方を選択可能であることを特徴とするものである。
請求項32に記載の発明に係る細胞培養システムは、細胞を培養し、その培養を監視し管理する細胞培養システムであって、細胞を培養する培養容器をそれぞれ配設する複数の培養ユニットが互いに隔離して配置され、上記培養ユニット毎に独立した培養環境下で細胞を培養する恒温槽と、この恒温槽の上記培養ユニット毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積し、上記細胞培養関連データに基づき上記培養ユニット毎に、細胞の培養状態を監視し、細胞の培養操作を管理する管理手段と、を有することを特徴とする。
請求項33に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項32に記載の発明において、上記管理手段は、恒温槽と共に培養室内に設置され、上記恒温槽の各培養ユニットにおける培養を制御する機能を兼ね備えた運転制御盤と、上記培養室以外に設置され、上記運転制御盤が有するデータを受信して表示する監視用コンピュータと、を有して構成されたことを特徴とする。
請求項34に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項32または33に記載の発明において上記細胞培養関連データは、細胞、培地、培養容器、恒温槽、培養ユニット及び操作者の識別符号と、恒温槽及び培養ユニット内の培養環境データと、培養容器内の細胞の画像データとの少なくとも1つであることを特徴とする。
請求項35に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項33または34に記載の発明において、上記恒温槽が複数台設置され、各恒温槽に運転制御盤が接続されると共に、これら複数台の運転制御盤に1台の監視用コンピュータが接続されたことを特徴とする。
請求項36に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項33乃至35のいずれか1に記載の発明において、上記監視用コンピュータに、公衆通信回線を経て遠隔監視用コンピュータが接続されたことを特徴とする。
請求項37に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項32乃至36のいずれかに記載の発明において、上記培養ユニットを構成する恒温槽のキャニスタは、それぞれが、細菌などの出入りのない状態に隔離されて構成されたことを特徴とする。
請求項38に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項32乃至37のいずれかに記載の発明において、上記培養ユニットを構成する恒温槽のキャニスタには、上記恒温槽内の空気を上記キャニスタへ導くファンが設置され、1つの恒温槽における全てのキャニスタの上記ファンは、当該恒温槽のドアが開放されたときに停止するよう構成されたことを特徴とする。
請求項39に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項32乃至38のいずれかに記載の発明において、上記培養ユニットを構成する恒温槽のキャニスタでは、1つの恒温槽における各キャニスタのドアが、いずれか1枚のみ開放されるよう構成されたことを特徴とする。
請求項40に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項32乃至39のいずれかに記載の発明において、上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とする。
請求項41に記載の発明に係る細胞培養システムは、請求項32乃至40のいずれかに記載の発明において、上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする。
請求項42に記載の発明に係る細胞培養方法は、細胞を培養し、その培養を監視し管理する細胞培養方法であって、細胞を培養する培養容器をそれぞれ配設する複数の培養ユニットが互いに隔離して配置され、上記培養ユニット毎に独立した培養環境下で細胞を培養する恒温槽を用いて、この恒温槽の上記培養ユニット毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積し、上記細胞培養関連データに基づき上記培養ユニット毎に、細胞の培養状態を監視し、細胞の培養操作を管理することを特徴とする。
請求項43に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項42に記載の発明において、上記細胞培養関連データは、細胞、培地、培養容器、恒温槽、培養ユニット及び操作者の識別符号と、恒温槽及び培養ユニット内の培養環境データと、培養容器内の細胞の画像データとの少なくとも1つであることを特徴とする。
請求項44に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項42または43のいずれかに記載の発明において、上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とする。
請求項45に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項42乃至44のいずれかに記載の発明において、上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする。
請求項46に記載の発明に係る細胞培養プログラムは、細胞を培養し、その培養を監視し管理するためにコンピュータに記憶した細胞培養プログラムであって、細胞を培養する培養容器をそれぞれ配設する複数の培養ユニットが互いに隔離して配置され、上記培養ユニット毎に独立した培養環境下で細胞を培養する恒温槽の上記培養ユニット毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積する手順と、上記細胞培養関連データに基づき上記培養ユニット毎に細胞の培養状態を監視する手順と、上記細胞培養関連データに基づき上記培養ユニット毎に細胞の培養操作を管理する手順と、を有することを特徴とする。
請求項47に記載の発明に係る細胞培養装置は、細胞を培養する複数の培養容器が順次接続され、各培養容器は、異なる培養環境で細胞を培養して、下流側の上記培養容器へ培養した細胞を移行して培養する構成としたことを特徴とする。
請求項48に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項47に記載の発明において、上記培養容器は2個設置され、一の培養容器が細胞に機能を発現させる培養環境を有する機能発現用培養容器であり、他の培養容器が細胞を増殖させる培養環境を有する増殖用培養容器であることを特徴とする。
請求項49に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項48に記載の発明において、上記機能発現用培養容器は、増殖のために誘導因子により細胞に刺激を与える培養環境を有する誘導因子刺激用培養容器であることを特徴とする。
請求項50に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項48に記載の発明において、上記機能発現用培養容器は、増殖した細胞を分化させる培養環境を有する分化誘導用培養容器であることを特徴とする。
請求項51に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項47乃至50のいずれかに記載の発明において、上記細胞は浮遊系細胞であることを特徴とする。
請求項52に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項47乃至51のいずれかに記載の発明において、上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする。
請求項53に記載の発明に係る細胞培養方法は、複数の培養容器においてそれぞれ異なる培養環境で細胞を培養させ、一の培養容器で培養した細胞を下流側の他の培養容器へ順次移行して培養を実施することを特徴とする。
請求項54に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項53に記載の発明において、上記培養容器は2個であり、一の培養容器で増殖のために誘導因子により細胞を刺激した後に、他の培養容器で細胞を増殖させることを特徴とする。
請求項55に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項53に記載の発明において、上記培養容器は2個であり、一の培養容器で細胞を増殖させた後に、他の培養容器で細胞を分化させることを特徴とする。
請求項56に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項53乃至55のいずれかに記載の発明において、上記細胞は浮遊系細胞であることを特徴とする。
請求項57に記載の発明に係る細胞培養方法は、請求項53乃至56のいずれかに記載の発明において、上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする。
請求項58に記載の発明に係る細胞培養装置は、細胞を培養する培養容器と、上記培養容器を載置する載置台と、を備えた細胞培養装置であって、上記載置台は昇降可能な部分を有し、上記昇降可能な部分が昇降することにより、載置された培養容器の培養可能な面積が変化することを特徴とする。
請求項59に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項58に記載の発明において、上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とする。
請求項60に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項58又は請求項59に記載の発明において、上記細胞が免疫細胞療法に使用されることを特徴とする。
請求項61に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項58乃至請求項60のうち、いずれか1に記載の発明において、上記培養容器に、この培養容器へ供給される培地を貯溜する培地貯留手段が接続されていることを特徴とする。
請求項62に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項61に記載の発明において、上記培地貯溜手段、培養容器が閉鎖系にて構成されたことを特徴とする。
請求項63に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項61又は請求項62に記載の発明において、上記培地貯溜手段には、使用済み培地を貯溜可能な使用済み培地貯溜容器が、培養容器へ供給する培地を貯溜可能な培地貯溜容器と共に設置され、増殖用培養容器内の使用済み培地を上記使用済み培地貯溜容器に排出し貯溜するよう構成されたことを特徴とする。
請求項64に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項58乃至請求項63のうち、いずれか1に記載の発明において、上記培養容器内の細胞の画像を取得するための画像撮影手段と、前記画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定し、この判定に基づき培養操作を実行する制御手段と、を備えることを特徴とする。
請求項65に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項58に記載の発明において、上記培養容器は、細胞を増殖するための増殖用培養容器と、細胞に機能を発現させるための機能発現用培養容器とであり、この機能発現用培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得することを特徴とする。
請求項66に記載の発明に係る細胞培養装置は、請求項65に記載の発明において、上記機能発現用培養容器は、増殖のために誘導因子により細胞を刺激する誘導因子刺激用培養容器であり、制御手段は、上記誘導因子刺激用培養容器内の細胞の画像に基づき、細胞の増殖可能性と細胞の増殖能力を判定し、培養可能な面積を変化させるタイミング、培地貯溜手段から上記増殖用培養容器への培地の供給などの培養操作を制御することを特徴とする。
請求項1乃至4、12、13、14乃至17、22乃至25のいずれかに記載の発明によれば、培養容器内の細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定し、この培養状況に応じた培養操作を実施することから、細胞の培養状況を非接触状態で判定できるので当該細胞にダメージを与えることがなく、また、培養操作を操作者が逐次実施する必要がないので操作者の労力を軽減でき、更に、細胞の培養状況に応じた培養操作を実施できるので適切な培養操作を実現できる。この細胞の培養状況に応じた適切な培養操作を実現できることで、時間単位での培養操作が可能となり培養期間を短縮できる。
請求項5または6に記載の発明によれば、培地貯溜手段がカセット構造に構成されて、培養容器(機能発現用培養容器、増殖用培養容器)に接続されることから、培養容器を培養に最適な環境に常に維持できるので、環境変化に伴う培養容器内細胞へのダメージを低減できると共に、クリーンベンチ等内で培養容器に培地を補給する無菌操作を省略できる。
請求項7、及び請求項47乃至請求項57に記載の発明によれば、培地貯溜手段、機能発現用培養容器及び増殖用培養容器が閉鎖系にて構成されたことから、これらの培地貯溜手段、機能発現用培養容器及び増殖用培養容器を無菌状態に保持することができる。
請求項8または18に記載の発明によれば、増殖用培養容器内での培養初期段階に、この増殖用培養容器の液溜り部に細胞及び培地が貯溜されることから、面積当たりの細胞密度を増殖に好適な密度に維持することで、細胞を効率よく増殖させることができる。
請求項9または19に記載の発明によれば、増殖用培養容器内で増殖された細胞を機能発現用培養容器内へ導き、この細胞の画像が画像取得手段により取得されることから、増殖用培養容器内で増殖された細胞を画像として取得して、その細胞数や細胞の形態を観察することができる。
請求項10または20に記載の発明によれば、増殖用培養容器内の使用済み培地が培地貯溜手段の使用済み培地貯溜容器に排出されて貯溜されることから、増殖用培養容器内の細胞密度を高めて濃縮することができるので、細胞回収のための遠心分離操作回数を低減できる。この結果、細胞回収作業の省力化を実現できると共に、遠心分離に伴う細胞へのダメージも低減できる。
請求項11または21に記載の発明によれば、増殖用培養容器内で濃縮された細胞を培地貯溜手段の細胞回収容器内に全量回収させることで、この細胞回収容器を遠心分離機に直接装着して細胞を回収することができ、細胞回収作業の省力化を実現できる。
請求項26乃至請求項31に記載の発明によれば、培養容器内で細胞及び培地が貯溜される液溜り部を所定の面積で変化させることができることから、培養中の面積当たりの細胞密度を増殖に好適な密度に維持することで、細胞を効率よく増殖させることができる。
請求項32乃至請求項36、請求項42乃至請求項46に記載の発明によれば、運転制御盤及び監視用コンピュータが、恒温槽の培養ユニット毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積することから、任意の培養ユニットで培養された細胞に関する培養履歴を的確に把握することができる。また、運転制御盤及び監視用コンピュータが、恒温槽の培養ユニット毎に、細胞培養関連データに基づいて細胞の培養状態を監視することから、培養ユニット毎に培養状態の異常を監視することができる。更に、運転制御盤及び監視用コンピュータが、恒温槽の培養ユニット(キャニスタ及び培養カセット)毎に、細胞培養関連データに基づいて、培地の交換(培地カセットの交換)や培養終了後の細胞回収(培養バックまたは細胞回収バックによる細胞回収)などの細胞培養操作を管理することから、恒温槽の培養ユニット毎操作者が実施する操作(作業)のための作業スケジュールを容易に作成することができる。また、管理手段が、恒温槽と共に培養室内に設置され、恒温槽の各培養ユニット(キャニスタ及び培養カセット)における培養を制御する機能を兼ね備えた運転制御盤と、上記培養室以外の監視室に設置され、上記運転制御盤が有するデータを受信して保存し表示(閲覧)可能とする監視用コンピュータとを有して構成されたことから、培養室内の恒温槽における培養ユニット内での細胞の培養状態を、監視用コンピュータを用いて培養室以外の監視室において観察して監視し、管理することができ、この管理によって、履歴等を自動的に記録・保管し、人為的な改ざんや記録ミスを防ぐことができる。
請求項37乃至請求項41に記載の発明によれば、培養ユニットを構成する恒温槽のキャニスタは、それぞれが吸気フィルタ及び排気フィルタによって細胞又は/及び細菌の出入りのない状態に隔離されて構成されたことから、各キャニスタ内に収納される培養バック及び細胞接種カセット内の細胞が細菌に汚染されるコンタミネーションを防止することができる。1つの恒温槽における全てのキャニスタの送風ファンが、当該恒温槽の本体ドアが開放されたときに停止するよう構成されたことから、恒温槽の本体ドアの開放時に、当該恒温槽における各キャニスタの密閉状態を保持できるので、各キャニスタについて独立した培養環境を良好に確保でき、キャニスタ内の培養環境の変動を抑制できる。1つの恒温槽における各キャニスタのキャニスタドアが、いずれか1枚のみ開放されるよう構成されたことから、1つの恒温槽において各キャニスタのキャニスタドアが同時に2以上開放されることがないので、キャニスタ内での培養バック及び細胞接種カセットの搬入出の取り違いを防止できると共に、細胞同士が互いに汚染されるクロスコンタミネーションを防止することができる。
請求項58乃至請求項66に記載の発明によれば、培養バッグ内での培養初期段階の抗体刺激と細胞増殖を同一培養バッグ内で行い、この培養バッグ内で細胞及び培地が貯溜される液溜り部を所定の面積で変化させることができることから、培養中の面積当たりの細胞密度を増殖に好適な密度に維持することで、細胞を効率よく増殖させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1の実施の形態(図1〜図20)
図1(a)は、本発明に係る細胞培養装置における第1の実施の形態を示す構成図であり、図1(b)は、本発明に係る細胞培養システムにおける第1の実施の形態を示す構成図である。図2は、図1の恒温槽を示す斜視図である。図5は、図2の恒温槽における一つのキャニスタと、このキャニスタ内に収納される培養カセットとからなる培養ユニットの構成を示すレイアウト図である。
図1(a)に示す細胞培養装置10は、特に、免疫細胞療法に用いられる浮遊系細胞を培養するものであり、複数個(例えば8個)の培養ユニット12を備えた恒温槽11と、この恒温槽11及び培養ユニット12の運転を制御する運転制御盤13と、細胞の画像を処理するための画像処理用コンピュータ14と、運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14に接続されて、恒温槽11及び培養ユニット12を監視するための監視用コンピュータ15とを有して構成される。上記運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14が制御手段として機能する。
上記細胞培養装置10は細胞培養システムとして実現することもでき、この細胞培養システム10は、特に、免疫細胞療法に用いられる浮遊系細胞を培養し、その培養を監視し管理するものであり、上記細胞培養装置と同じく、恒温槽11、運転制御盤13、画像処理用コンピュータ14及び監視用コンピュータ15を有して構成される。図1(b)に示すように、上記恒温槽11、運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14は、細胞の培養に適した培養室(クリーンルーム)94内に設置され、監視用コンピュータ15は、この培養室94以外の監視室95に設置される。上記恒温槽11は、細胞培養する培養容器(後述の増殖用培養容器、誘導因子刺激培養容器)をそれぞれ配設する複数個(例えば8個)の培養ユニット12が互いに隔離して配置されたものである。この恒温槽11では、培養ユニット12毎に独立した培養環境下で上記培養容器内の細胞が培養される。
上記運転制御盤13は、恒温槽11及び培養ユニット12の運転を制御すると共に、細胞の培養を恒温槽11の培養ユニット12毎に監視し管理する。また、上記画像処理用コンピュータ14は、恒温槽11の培養ユニット12毎に培養中の細胞の画像を処理し、運転制御盤13と共に、培養操作を制御する制御手段として機能する。更に、上記監視用コンピュータ15は、運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14に接続され、これらの運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14が有するデータを受信して保存すると共に表示(閲覧)可能とし、運転制御盤13と共に、細胞の培養を監視し管理する管理手段として機能する。
ここで、上記浮遊系細胞としては、末梢血単核球、LAK細胞(Lymphokine Activated Killer細胞)、神経幹細胞、ES細胞などが知られている。これらの浮遊系細胞を以下単に細胞と称する。なお、これらの細胞をそれぞれの細胞にあった誘導因子で刺激して培養する。各誘導因子は、細胞毎に異なり、例えばLAK細胞では抗ヒトCD3抗体等であり、神経幹細胞の誘導因子ではEGF等の上皮成長因子であり、ES細胞の誘導因子ではFGF−8b等の線維芽細胞増殖因子である。また、本細胞培養装置10は、上記浮遊系細胞以外の接着依存性細胞を培養する場合にも適用可能である。
上記培養ユニット12は、恒温槽11内で互いに隔離して分離された複数個(例えば8個)のキャニスタ16(図2及び図5)と、各キャニスタ16内に収納される培養カセット17(図2及び図3)とを有してなる。この培養カセット17は、後に詳説するように、増殖用培養容器としての培養バッグ18、誘導因子刺激用培養容器としての細胞接種カセット19、及び培地貯溜手段としての培地カセット20を備える。これらの培養容器(培養バッグ18、細胞接種カセット19)内の細胞は、キャニスタ16ごとに独立した、培養環境下で培養される。
上記恒温槽11は、図2に示すように、開閉可能な本体ドア21を備えた恒温槽本体22内に複数段の棚23が設置され、各棚23にキャニスタ16が1個ずつ配置されてなる。この恒温槽11は、本体ドア21を閉じた状態で、恒温槽本体22内の環境(温度、湿度及びCO2濃度)を、細胞を培養するために必要な環境に維持する。
このため、恒温槽本体22内には、図5及び図6に示すように、温度センサ24、CO2センサ25、ドアセンサ26及びヒータ27が配設され、更にこの恒温槽本体22に、外部に設置されたガスボンベ28が連結される。温度センサ24、CO2センサ25及びドアセンサ26からの信号は、運転制御盤13へ送信される。この運転制御盤13は、温度センサ24からの温度信号に基づいてヒータ27を制御し、CO2センサ25からのCO2濃度信号に基づいて、ガスボンベ28から恒温槽本体22内へ供給されるCO2ガス量を制御する。
上記キャニスタ16は、図5及び図6に示すように、キャニスタ本体30に開閉可能なキャニスタドア31が取り付けられ、キャニスタ本体30に吸気フィルタ32及び排気フィルタ33が設置されると共に、キャニスタ本体30の吸気フィルタ32側に送風ファン34が設置されたものである。
吸気フィルタ32及び排気フィルタ33は、細菌を除去するフィルタであり、送風ファン34の運転により恒温槽本体22内の空気及びCO2ガスがキャニスタ16内へ取り込まれる際に、恒温槽本体22からキャニスタ16内への細菌の流入を防止する。また、送風ファン34の運転は運転制御盤13により制御され、恒温槽11の本体ドア21が開いた旨の信号がドアセンサ26から運転制御盤13へ送信された際に、送風ファン34の運転が停止されて、キャニスタ16の密閉状態が確保される。
吸気フィルタ32及び排気フィルタ33による恒温槽本体22からキャニスタ16内への細菌流入防止機能と、送風ファン34の運転停止によるキャニスタ16の密閉性確保とによって、各キャニスタ16内がそれぞれ独立した培養環境となる。これにより、恒温槽11における一つのキャニスタ16に収納される培養カセット17内の細胞が他のキャニスタ16内の細胞に対して隔離されると共に、このキャニスタ16に収納される培養カセット17内の細胞が雑菌によって汚染されるコンタミネーションが防止される。また、他の患者の細胞によって汚染されるいわゆるクロスコンタミネーションも防止される。
キャニスタ本体30には、更にドアセンサ35、ドアロックセンサ36、温度センサ37、湿度センサ38、ドアロック機構39、ヒータ40及び循環ファン41が配設されている。運転制御盤13は、温度センサ37からの温度信号に基づいてヒータ40を制御する。また、運転制御盤13は、循環ファン41の運転を制御して、キャニスタ16内で空気及びCO2ガスを循環させる。上記湿度センサ38は、キャニスタ16内の湿度を検出して運転制御盤13へ送信し、その異常を検出する。このようにして、キャニスタ16内は細胞を培養するための最適な環境に保持される。
また、運転制御盤13は、一つの恒温槽11において2以上のキャニスタドア31が同時に開動作を行うことがないようにドアロック機構39の動作を制御する。これにより、異なるキャニスタ16間で細胞や培地などが取り違えて搬入されることが防止される。このドアロック機構39のロック動作はドアロックセンサ36により検出されて、運転制御盤13へ送信される。また、キャニスタドア31の開閉状態はドアセンサ35によって検出されて、運転制御盤13へ送信される。
図5に示すキャニスタ本体30内の下部には、キャニスタ16内に収納される培養カセット17を支持するステージ42が設けられ、このステージ42に重量計43が設置される。この重量計43は、キャニスタ16内に収納された培養カセット17の培養バッグ18の重量を計測するものであり、実際には、培地カセット20から培養バッグ18へ供給される培地量を計測する。この重量計43の計測値も運転制御盤13へ送信される。また、キャニスタ本体30には、表示灯44が設けられている。キャニスタ16内で自動培養を行っているときに、このキャニスタ16の表示灯44を例えば赤色点灯させ、操作指令が出力されたキャニスタ16と、内部に培養カセット17が収納されていないキャニスタ16の表示灯44を緑色点灯させる。これにより、自動培養を行っているキャニスタ16については他のキャニスタ16とは独立した培養環境が確保され、他のキャニスタ16に収納されている検体(細胞)とのクロスコンタミネーションや取り違いを防止することが可能となる。
ここで、上記培養カセット17について説明する。
この培養カセット17は、図3及び図5に示すように、ラージトレイ45に培養バッグ18、細胞接種カセット19及び培地カセット20が装着されたものであり、培養バッグ18及び細胞接種カセット19が細胞を培養する培養容器である。このうち、細胞接種カセット19は、細胞に機能を発現させる(例えば細胞を増殖させる、細胞を分化(後述)させる等)ための機能発現用培養容器であり、本実施形態では、増殖のために誘導因子により細胞を刺激する誘導因子刺激用培養容器である。また、培養バッグ18は、細胞接種カセット19において誘導因子により刺激された細胞を増殖するための増殖用培養容器である。
培養バッグ18は、細胞が接種された培養液を収容する可撓性のディスポーサブルの容器であり、載置台46(図5)を介して、図4(A)に示す培養バッグトレイ47に載置され、この培養バッグトレイ47が図3及び図5に示すラージトレイ45に着脱可能に装着される。上記培養バッグ18は、例えば酸素透過性材質からなるバッグである。上記ラージトレイ45には、図5に示すように、第1ポンプ48、第2ポンプ49及び第3ポンプ50が配置される。培養バッグ18の一端側は、チューブ63を用い第2ポンプ49を経て第7コネクタ57に接続される。また、培養バッグ18の他端側は、チューブ60を用いて第1コネクタ51に接続される。上記第1ポンプ48、第2ポンプ49、第3ポンプ50は、滅菌チューブ交換の利便性から、蠕動型(ペリスタルティックタイプ)ポンプが好ましい。
このラージトレイ45では、チューブ61の一端は第3コネクタ53に接続され、他端は第5コネクタ55に接続される。このチューブ61は、第1ポンプ48の図示しない回転駆動部に配設されている。チューブ63の一端は、前述の如く第7コネクタ57に接続され、他端は培養バッグ18に接続される。このチューブ63は、第2ポンプ49の図示しない回転駆動部に配設されている。チューブ62は、一端がコネクタXによりチューブ61に接続され、他端がコネクタYによりチューブ63に接続される。このチューブ62は、第3ポンプ50の図示しない回転駆動部に配設されている。
上記細胞接種カセット19は、図4(C)に示すように、誘導因子刺激容器65の底面内側に誘導因子を固層化し、この誘導因子刺激容器65内に培地を投入し、この培地に細胞を接種し、この誘導因子刺激容器65をカセットフレーム66に設置して、カセット構造に構成されたものである。上記誘導因子刺激容器65に誘導因子、培地及び細胞を入れる作業は、クリーンベンチ又は安全キャビネット(以下、本実施の形態において、クリーンベンチ等という)内で無菌状態で実施される。尚、培地及び細胞の混合液を培養液と称する。
上記細胞接種カセット19は、図3に示すように、ラージトレイ45に着脱可能に装着される。このときには、図5に示すように、細胞接種カセット19の第2コネクタ52及び第4コネクタ54がラージトレイ45の第1コネクタ51、第3コネクタ53のそれぞれに無菌的に結合される。つまり、第1コネクタ51と第2コネクタ52は、例えば一方のゴム状結合部に他方の針状結合部が差し込まれることで無菌的に結合される。第3コネクタ53と第4コネクタ54との結合についても同様である。
第1コネクタ51と第2コネクタ52との結合によりチューブ60を用いて、異なる培養環境の細胞接種カセット19と培養バッグ18、つまり細胞を誘導因子により刺激して当該細胞に増殖機能を発現させるための培養環境を有する細胞接種カセット19と、細胞を増殖するための培養環境を有する培養バッグ18とが接続されることになる。従って、細胞接種カセット19において誘導因子により刺激され、増殖を開始し始めた細胞を培養バッグ18へ移行させ、この培養バッグ18において増殖のみを実施させることが可能となる。
前記培地カセット20は、図4(B)に示すように、培地貯溜容器としての培地バッグ67、及び使用済み培地貯溜容器としての使用済み培地バッグ68が培地バッグトレイ69に載置されて、カセット構造に構成されたものである。上記培地バッグ67は、培養バッグ18、細胞接種カセット19へ供給される培地を貯溜するものである。また、上記使用済み培地バッグ68は、培養バッグ18から排出される使用済み培地(上澄み)を貯溜するものである。培地カセット20がカセット構造に構成されたことにより、培養バッグ18をキャニスタ16内に維持した状態で、当該キャニスタ16内の培養カセット17に培地カセット20を装着するだけで培地の交換、供給が可能となる。
上記培地カセット20は、ラージトレイ45(図3)に着脱可能に装着される。このとき、図5に示すように、培地カセット20の第6コネクタ56、第8コネクタ58がラージトレイ45の第5コネクタ55、第7コネクタ57のそれぞれに、第1コネクタ51及び第2コネクタ52の場合と同様にして無菌的に結合される。第6コネクタ56と第5コネクタ55との結合により、培地バッグ67と細胞接種カセット19とが接続される。また、第7コネクタ57と第8コネクタ58との結合により、使用済み培地バッグ68と培養バッグ18とが接続される。
培養バッグ18、細胞接種カセット19及び培地カセット20が上述のように接続されることで、培地カセット20における培地バッグ67内の培地が、第1ポンプ48の起動により細胞接種カセット19を経て培養バッグ18へ供給され、この培養バッグ18内の使用済み培地が、第2ポンプ49の起動により培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出される閉鎖系が構成される。この閉鎖系の構成により、当該系統(培養バッグ18、細胞接種カセット19及び培地カセット20が無菌状態に保持される。
尚、上記細胞接種カセット19は、内部に細胞がなくなった段階でダミーカセット70に置き換えられる。これにより、細胞接種カセット19内の誘導因子が培養バッグ18内へ移行することが防止される。また、培地カセット20は、培地バッグ67が空になった段階で、培地が満たされた培地バッグ67と空の使用済み培地バッグ68とを具備する新たな培地カセット20に交換される。この交換は操作者によって実施される。上記ダミーカセット70は、単に、培地を流動させる流路として機能するものである。
培養バッグ18内での培養(細胞増殖)には、第1ポンプ48を起動させて、培地カセット20の培地バッグ67内の培地を培養バッグ18へ供給(流加)することで細胞を増殖させる流加培養と、第1ポンプ48及び第2ポンプ49を起動させて、培養バッグ18内の使用済み培地を培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出し、且つ培地バッグ67内の培地を培養バッグ18へ供給することで細胞を増殖させる灌流培養と、後述の振盪装置80を用いた振盪培養と、振盪を実施しない静置培養とがある。このうち灌流培養には、使用済み培地の排出と培地の供給とを交互に実施する間欠式灌流培養と、使用済み培地の排出と培地の供給とを同時に実施する連続式灌流培養とがある。この連続式灌流培養では、通常、チューブ63のうち培養バッグ18と第2ポンプ49との間に、細胞の移動を阻止するフィルタ71が配設されて、培養バッグ18内の細胞が使用済み培地バッグ68へ排出されることが防止される。
前記第3ポンプ50は、培養バッグ18内で増殖された細胞を画像により観察する場合などに起動される。つまり、培養バッグ18内の細胞は、チューブ63にフィルタ71が配設されていない場合には、培養バッグ18からチューブ63、チューブ62及びチューブ61を経て、細胞接種カセット19またはダミーカセット70へ導かれ、後述のCCDカメラ88により撮像されて、増殖された細胞数などが観察される。上記チューブ63にフィルタ71が配設されている場合には、第3ポンプ50の上流側がバイパスチューブ73を介して培養バッグ18に接続され、培養バッグ18内の細胞は、上記バイパスチューブ73及びチューブ62を経て、細胞接種カセット19またはダミーカセット70内へ導かれ、CCDカメラ88を用いて観察される。
上記培地カセット20の使用済み培地バッグ68へは、培養バッグ18における細胞の増殖終了後に、培養バッグ18内の使用済み培地が排出されて、この培養バッグ18内の細胞が濃縮される。この使用済み培地の排出は第2ポンプ49の起動により実施され、重量計43の計測値に基づき運転制御盤13の制御によって、培養バッグ18内の培養液の容量が約1/2〜1/3程度になるまで実施される。この培養バッグ18内での細胞の濃縮により、その後に実施される細胞洗浄・濃縮を目的とした遠心分離機による遠心分離回数が低減される。
また、培地カセット20では、培養バッグ18における細胞が上述のように濃縮された後に、使用済み培地バッグ68を、遠心分離機に装着可能な細胞回収容器としての細胞回収バッグ72に置き換え、この細胞回収バッグ72内へ、培養バッグ18内で細胞が濃縮された培養液(培地及び細胞)を、第2ポンプ49の起動により供給してもよい。この場合には、チューブ63にフィルタ71が配設されていないことが条件となる。これにより、遠心分離機に装着可能なバッグでの細胞の回収を、閉鎖系空間であるキャニスタ16内で実施でき、細胞の回収作業が省力化される。
キャニスタ16内に収納される培養カセット17のラージトレイ45には、図5及び図6に示すように、細胞接種カセット19またはダミーカセット70がラージトレイ45に装着されたことを検出する細胞接種カセットセンサ74と、培地カセット20がラージトレイ45に装着されたことを検出する培地カセットセンサ75とが設置されている。これらのセンサ74及び75の信号は運転制御盤13へ送信される。この運転制御盤13は、培養カセット17のラージトレイ45に細胞接種カセット19またはダミーカセット70が装着され、且つ培地カセット20が装着されたことを確認して、第1ポンプ48、第2ポンプ49及び第3ポンプ50を起動させる。
ところで、図5に示すように、キャニスタ16内には培養カセット17が収納され、この培養カセット17がキャニスタ16のステージ42に支持されるが、このステージ42には、培養カセット17の培養バッグトレイ47が配置される下方位置に傾斜モータ76、カム機構79及び位置決めセンサ77が設置される。培養バッグトレイ47上で培養バッグ18を直接載置する載置台46は、その一部(図示しない昇降部)が昇降可能に構成される。上記傾斜モータ76はカム機構79を回動させて、載置台46の上記昇降部を昇降させる。この昇降部の位置が位置決めセンサ77により検出されて、運転制御盤13へ送信される。傾斜モータ76は運転制御盤13により制御され、培養バッグ18における培養初期段階で、載置台46の昇降部を下降させるよう制御される。これにより、培養バッグ18に液溜り部78(図8及び図9)が形成される。
培養バッグ18における培養初期段階で、細胞接種カセット19からの培養液(培地及び細胞)が液溜り部78に貯溜されることにより、培養バッグ18内の面積当たりの細胞密度が増殖に好適な密度に保持されて、培養初期に細胞が効率的に増殖される。培養バッグ18内に培養液が所定量a(後述)以上になる培養中期及び後期には、傾斜モータ76がカム機構79を介して載置台46の昇降部を上昇させ、培養バッグ18を水平状態として上記液溜り部78を解消する。
更に、キャニスタ16内には、図5に示すように、培養カセット17の培養バッグトレイ47が配置される上方位置に、振盪装置80の振盪機構91が押圧手段として設置される。この振盪装置80は、上記振盪機構91、作動モータ81、カム機構90及び位置決めセンサ82を有する。振盪機構91は、図7に示すように、装置フレーム83に、ガイドロッド84を介して、作動板85が上下移動自在に配設され、この作動板85の底面に複数の突出部86が突設されたものである。作動板85が作動モータ81により、カム機構90(図5)の作用で上方または下方に交互に移動されることで、この作動板85の突出部86が、振盪機構91の下方に位置する培養バッグ18を繰り返し押圧、つまり培養バッグ18に対し押圧と押圧解除を繰り返す。これにより、培養バッグ18内の培養液が攪拌されて、培養バッグ18内の細胞が培養液内で浮遊して移動し、この培養バッグ18内での細胞の分布及び培地の成分濃度が均一化され、また酸素供給能も高くなることにより細胞の増殖が促進される。
図6に示すように、上記位置決めセンサ82により作動板85の位置が検出されて運転制御盤13へ送信され、この運転制御盤13により作動モータ81が制御される。上記振盪装置80を用いた培養バッグ18内での細胞培養(振盪培養)は、培養バッグ18内に培養液が一杯程度に満たされる前に実施されてもよく、または一杯程度に満たされた後に実施されてもよい。
また、キャニスタ16内には、図5に示すように、培養カセット17の細胞接種カセット19またはダミーカセット70が配置される位置の上方に照明用LED87が、下方に画像取得手段としてのCCDカメラ88が設置される。照明用LED87は、細胞接種カセット19またはダミーカセット70を上方から照明するものである。CCDカメラ88は、細胞接種カセット19またはダミーカセット70内の細胞を下方から撮影して、その画像を取得するものである。これらの照明用LED87の照明動作とCCDカメラ88の撮影動作は運転制御盤13(図6)により制御され、所定時間(例えば6時間)毎に細胞接種カセット19またはダミーカセット70内の細胞の画像が取得される。所定時間毎の細胞画像は、画像処理用コンピュータ14の画像メモリ回路89に記憶される。
前記画像処理用コンピュータ14は、画像メモリ回路89内に記憶された所定時間毎の細胞画像を画像処理、例えば2値化処理や多値化処理して、単一細胞の投影面積の平均値と、単一細胞が凝集した細胞凝集塊である非単一細胞の増加速度とを細胞培養の評価パラメータとして算出する。単一細胞の投影面積の平均値(単一細胞の平均投影面積)は、細胞接種カセット19を培養カセット17に装着し、この培養カセット17をキャニスタ16内に収納して培養を開始した時から例えば24時間経過後の細胞画像から算出する。
また、上述の非単一細胞であるか否かは、培養初期の単一細胞の投影面積が100μm未満であることから、投影面積が100μm以上の場合を非単一細胞と判断する。細胞の経時的な画像(例えば、培養開始から24時間、48時間、72時間経過後の画像)から、全細胞に対する非単一細胞の割合の変化を演算して、非単一細胞の増加速度を算出する。
画像処理用コンピュータ14は、単一細胞の平均投影面積からラグタイムを算出し、当該細胞の増殖開始時期を推定する。ここで、上記ラグタイムとは、細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65に細胞を接種してから増殖開始までに要する誘導期の時間である。画像処理用コンピュータ14は、細胞の増殖開始時期から当該細胞の培養状況、つまり当該細胞が誘導因子の刺激により増殖の可能性があるか否かを判断する。そして、画像処理用コンピュータ14は、当該細胞の判定結果(例えば、当該細胞が増殖する可能性がある場合には「YES」そうでない場合には「NO」等の信号)を運転制御盤13に対して送信する。運転制御盤13は、細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65内の細胞について増殖の可能性が著しく低いと判断した旨の信号を受けたときには、当該細胞について、その状態を表示する。尚、ラグタイムが長すぎる細胞は、誘導因子による刺激が著しく入り難い細胞であり、増殖の可能性が低いと判断される。
また、画像処理用コンピュータ14は、非単一細胞の増加速度から当該細胞の最小倍化時間を算出する。ここで、倍化時間とは、ある時間における細胞の細胞数が倍の細胞数になるまでに要する時間をいう。画像処理用コンピュータ14は、この最小倍化時間から当該細胞の培養状況、つまり当該細胞の増殖能力を判断して運転制御盤13へ送信する。そして、画像処理用コンピュータ14から信号を受けた運転制御盤13は、上記細胞の増殖能力に基づいて、細胞接種カセット19から培養バッグ18へ細胞を移動させるタイミングや、培養バッグ18へ培地を流加させる流加速度などを決定する。尚、最小倍化時間が長すぎる細胞は、増殖能力が著しく低い細胞であると判断される。
制御手段として機能する運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14は、図示しないが、演算や制御を実行するCPUと、処理プログラムやデータを記憶する記憶装置(メモリ)と、データやコマンドなどを入力するためのキーボード、マウスまたはタッチパネルなどの入力装置やモニタなどの出力装置との接続を行う入出力回路とを有して構成される。更に、画像処理用コンピュータ14にあっては、CCDカメラ88からの画像データを記憶する画像メモリ回路89を備える。
画像処理用コンピュータ14の記憶装置には、CCDカメラ88が所定時間毎に撮影した細胞接種カセット19内の細胞の画像を画像処理(例えば2値化処理や多値化処理)して、細胞培養の評価パラメータ(単一細胞の平均投影面積、非単一細胞の増加速度)などを算出し、この細胞培養の評価パラメータから細胞の培養状況(細胞の増殖可能性、細胞の増殖能力)を判定するためのプログラムが記憶されている。
また、運転制御盤13の記憶装置には、細胞の培養状況に応じて恒温槽11、キャニスタ16及び培養カセット17に関する機器(例えば第1ポンプ48、第2ポンプ49など)を制御し、培養操作を実行するためのプログラムが記憶されている。更に、この運転制御盤13の記憶装置には、CCDカメラ88を所定時間毎に制御して細胞の画像を取得するなど、恒温槽11、キャニスタ16及び培養カセット17の各種センサからの信号に基づいて、これらの恒温槽11、キャニスタ16及び培養カセット17に関する機器を制御する機器制御用のプログラムも記憶されている。
細胞培養システム10においては、管理手段としての上記運転制御盤13及び監視用コンピュータ15のうち、運転制御盤13の記録装置には、恒温槽11のキャニスタ16毎に、及びこのキャニスタ16内に収納された培養カセット17毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積するプログラムと、上記細胞培養関連データに基づきキャニスタ16及び培養カセット17毎に細胞の培養状態を監視するプログラムと、上記細胞培養関連データに基づきキャニスタ16及び培養カセット17毎に細胞の培養操作を管理するプログラムとが記憶されている。
ここで、上記細胞培養関連データは、細胞、培地、誘導因子、培養バック18、ラージトレイ45、培地バック67、培地カセット20、誘導因子刺激容器65、細胞接種カセット19、細胞回収バック72、操作者のそれぞれのIDや、恒温槽11、キャニスタ16の各アドレスなどのように、例えばバーコードリーダで読み取り可能な識別符号と、恒温槽11、キャニスタ16及び培養カセット17の各種センサ(温度センサ24、ドアセンサ35、培地カセットセンサ75、重量計43等)が検出し、または各種機器(第1ポンプ48、第2ポンプ49、送風ファン34、作動モータ81等)の動作状態を示す培養環境データと、画像処理用コンピュータ14が取得した細胞の画像データ(CCDカメラ88による画像データ、この画像を2値化等の処理をした後の画像データ、この画像データから算出した評価パラメータ等)との少なくとも一つである。
従って、運転制御盤13は、上述のプログラムに基づき、恒温槽11のキャニスタ16及び培養カセット17毎に、細胞培養関連データを所定時間(例えば1分毎)に取得して収集し蓄積する。これにより、恒温槽11の任意のキャニスタ16及び培養カセット17で培養された細胞に関する培養履歴が操作者によらず自動で取得される。また、運転制御盤13は、同様にして、恒温槽11のキャニスタ16及び培養カセット17毎に、培養関連データに基づき細胞の培養状態を観察して、異常の有無を監視する。更に、運転制御盤13は、同様にして、恒温槽11のキャニスタ16及び培養カセット17毎に、培地カセット20の交換操作(培地交換操作)、ダミーカセット70への置換え操作、細胞回収バック72への置換え操作などの各種培養操作を管理して、それらの操作を促す旨を操作者などに告知する。この管理によって、履歴等を自動的に記録・保管し、人為的な改ざんや記録ミスを防ぐことができる。
また、監視用コンピュータ15は、上記運転制御盤13が有する恒温槽11のキャニスタ16及び培養カセット17毎の細胞培養関連データ、培養履歴データ、異常の有無に関するデータ、培養操作に関するデータを運転制御盤13から受信して保存し、モニタ上で表示(閲覧)可能とする。これにより、操作者は、恒温槽11が設置された培養室94以外の監視室95において、当該恒温槽11にて培養されている細胞の培養を観察して監視し、管理することが可能となる。この管理によって、履歴等を自動的に記録・保管し、人為的な改ざんや記録ミスを防ぐことができる。
上記細胞培養関連データの取得を、細胞培養前、細胞培養中、細胞培養後について、図18〜図20を用いて説明する。
図18に示すように、細胞培養前にクリーンベンチ等内で、誘導因子刺激容器65に誘導因子及び培地を添加し、細胞を接種する際には、バーコードリーダを用いて誘導因子刺激容器65のID、誘導因子及び培地の各収納容器に付されたID、細胞の試料ID、操作者IDが操作日時共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。そして、この誘導因子刺激容器65を細胞接種カセット19に装着する際には、誘導因子刺激容器65のID、細胞接種カセット19のID、及び操作者IDが操作日時と共に、バーコードリーダを用いて運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。更に、培養バック18をラージトレイ45に装着する際には、培養バック18のID、ラージトレイ45のID、及び操作者IDが操作日時と共に、バーコードリーダを用いて運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。また、培地バック67及び使用済み培地バック68を培地カセット20に装着する際には、培地バック67のID、培地カセット20のID及び操作者IDが操作日時と共に、バーコードリーダを用いて運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。
同様に、細胞培養前に、恒温槽11のキャニスタ16内にラージトレイ45を搬入する際には、恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、ラージトレイ45のID及び操作者IDが操作日時と共に、バーコードリーダを用いて運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。細胞培養前に、上記恒温槽11のキャニスタ16内に収納されたラージトレイ45に培地カセット20を装着する際には、恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、培地カセット20のID及び操作者IDが操作日時と共に、バーコードリーダを用いて運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15に送信される。細胞培養前に、上記恒温槽11のキャニスタ16内に収納されたラージトレイ45に細胞接種カセット19を装着する際には、恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、細胞接種カセット19のID及び操作者IDが操作日時と共に、バーコードリーダを用いて運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。
図19に示すように、細胞培養中には、日時及び恒温槽11のアドレスと共に、当該恒温槽11の運転・停止状態や、当該恒温槽11の各種センサ(温度センサ24等)の計測データが運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。また、この細胞培養中には、日時及びキャニスタ16のアドレスと共に、当該恒温槽11、当該キャニスタ16及びこのキャニスタ16内の培養カセット17の運転・停止状態や、当該キャニスタ16及び培養カセット16における各種機器(送風ファン34、第1ポンプ48等)の運転・停止状態、当該キャニスタ16及び培養カセット17の各種センサ(温度センサ37、重量計43等)の計測データが運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。更に、この細胞培養中には、日時及びキャニスタ16のアドレスと共に、CCDカメラ88により撮影された細胞の画像データ、当該画像データを2値化処理などした処理データ及び評価パラメータが、画像処理用コンピュータ14から運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。このとき運転制御盤13は、恒温槽11、キャニスタ16及び培養カセット17に対して、各種機器などを制御するための制御信号を前述の如く出力する。
この細胞培養中に細胞接種カセット19内に細胞がなくなりダミーカセット70に置き換える際には、該当する恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、ラージトレイ45のID、細胞接種カセット19のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。また、細胞培養中に培地カセット20の培地バック67内が空になり、培地が満たされた培地バック67を具備する新たな培地カセット20に交換する際(培地交換の際)には、該当する恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、培地カセット20のID、培地バック67のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。
更に、細胞を培養バック18ではなく細胞回収バック72にて回収する場合には、細胞培養中に培養バック18内で細胞が濃縮され、培地カセット20の使用済み培地バック68を細胞回収バック72に置き換える際に、該当する恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、ラージトレイ45のID、培地カセット20のID、細胞回収バック72のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。尚、これらのダミーカセット70への置換えや、培地カセット20の交換(培地交換)、細胞回収バック72への置換えに際して、運転制御盤13は、該当する恒温槽11のキャニスタ16におけるドアロック機構39を作動してドアロックを解除させ、細胞接種カセットセンサ74または培地カセットセンサ75からの信号によって、上記ダミーカセット70への置換え、培地カセット20の交換(培地交換)、細胞回収バック72への置換えを確認する。
図20(A)に示すように、細胞培養終了後に培養バック18にて細胞を回収する場合には、ラージトレイ45を取り外す際に、該当する恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、ラージトレイ45のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。その後、クリーンベンチ等でラージトレイ45から培養バック18を取り出す際には、当該ラージトレイ45のID、培養バッグ18のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。尚、このラージトレイ45及び培養バック18の取り外しの際に、運転制御盤13は、該当する恒温槽11のキャニスタ16におけるドアロック機構39を作動してドアロックを解除させる。
図20(B)に示すように、細胞培養終了後に細胞回収バック72にて細胞を回収する場合には、細胞回収バック72を備えた培地カセット20を取り外す際に、該当する恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、培地カセット20のID、細胞回収バック72のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。その後、クリーンベンチ等で培地カセット20から細胞回収バック72を取り外す際には、当該培地カセット20のID、細胞回収バック72のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。
次に、運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14が上記プログラムを実行して細胞を培養する工程を、図8〜図11の工程図及び図12〜図17に示すフローチャートを用いて説明する。この細胞培養工程で、運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14は、恒温槽11のキャニスタ16毎に独立して培養環境を設定し制御して、各キャニスタ16に収納された培養カセット17における細胞を培養する。
図8乃至図13は、誘導因子刺激間欠式灌流培養工程を示し、培養バッグ18に細胞を回収する場合である。まず、図8(A)及び図12に示すように、操作者は、空の培養バッグ18を載置台46を介して培養バッグトレイ47に載置し、この培養バッグトレイ47をラージトレイ45に装着し、培養バッグ18を第1ポンプ48、第2ポンプ49及び第3ポンプ50に接続する。
次に、操作者は、このラージトレイ45を恒温槽11の、表示灯44が例えば緑色に点灯された単一のキャニスタ16内に搬入し、そのステージ42に支持させる。そして、操作者は、クリーンベンチ等内で誘導因子刺激容器65に誘導因子を固層化し、培地を投入し、細胞を接種させた細胞接種カセット19を、図8(B)に示すように、上記キャニスタ16内の上記ラージトレイ45に装着する。引き続き、操作者は、クリーンベンチ等内で培地バッグ67に培地を投入した培地カセット20を、上記キャニスタ16内の上記ラージトレイ45に装着する(図12のS1)。
次に、操作者は、ラージトレイ45に培養バッグ18、細胞接種カセット19及び培地カセット20が装着された培養カセット17を収納したキャニスタ16におけるCCDカメラ88の画像出力を確認する(図12のS2)。この画像出力確認の前または後に、操作者は当該キャニスタ16の傾斜モータ76を起動させて載置台46の昇降部を下降させ、培養バッグ18に液溜り部78を形成しておく。更に操作者は、当該キャニスタ16の重量計43により、空の培養バッグ18の重量を計測しておく。
その後、図9(A)に示すように、操作者は、キャニスタドア31を閉めて当該キャニスタ16内で細胞の培養を開始させる(図12のS3)。これにより、細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65において、増殖のために誘導因子により細胞が刺激される(図12のS4)。当該キャニスタ16のCCDカメラ88は、細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65内の細胞を所定時間(例えば6時間)毎に撮影し、画像処理用コンピュータ14は、この撮像画像から細胞培養の評価パラメータを算出する。更に、画像処理用コンピュータ14は、この評価パラメータからラグタイムを算出して、当該細胞が誘導因子により刺激を受けて増殖の可能性があるか否か判定し、更に最小倍化時間を算出して、当該細胞の増殖能力を判定する(図12のS5)。
運転制御盤13は、画像処理用コンピュータ14から、細胞が細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65内で誘導因子により刺激されてから所定時間(例えば72時間)経過しても増殖の可能性が認められないと判断した信号を受けたときには、その旨を表示する。また、運転制御盤13は、画像処理用コンピュータ14から細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65内の細胞に増殖の可能性があると判断した信号を受けたときには、当該細胞の増殖能力に基づいて、当該細胞を培養バッグ18へ移行するタイミングや、培養バッグ18内への培地の流加速度などを決定する。運転制御盤13は、この決定に基づき第1ポンプ48を作動して、図9(B)に示すように、培地カセット20の培地バッグ67内の培地を細胞接種カセット19へ流加させ、この細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65内の細胞を培養バッグ18へ移行させると共に、培地バッグ67内の培地を培養バッグ18へ流加させる(図12のS6)。
この第1ポンプ48の作動により、培養バッグ18の液溜り部78内での細胞の静置培養が開始される(図12のS7)。運転制御盤13は、プログラムに従い、培地を流加しながら流加培養し、重量計43により計測される培養バッグ18内の培養液の重量が所定値a以上となったか否かを判断する(図12のS8)。運転制御盤13は、所定値a以上となった時点で傾斜モータ76を起動させ、カム機構79を介して載置台46の昇降部を上昇させ、図10(A)に示すように、培養バッグ18を水平状態として液溜り部78を解消させる(図12のS9)。
その後、運転制御盤13は、重量計43により計測される培養バッグ18内の培養液の重量が所定値b以上になったか否かを判断し(図12のS10)、所定値b以上になった時点で作動モータ81を起動させる。これにより、図10(B)に示すように振盪装置80が作動して、振盪装置80の振盪機構91における作動板85が培養バッグ18を繰り返し押圧する振盪培養を開始する(図12のS11)。運転制御盤13は、引き続き、重量計43により計測される培養バッグ18内の培養液の重量が所定値c以上となったか否かを判断し(図12のS12)、所定値c以上となった時点で、第1ポンプ48を停止して培地カセット20の培地バッグ67から培養バッグ18への培地の流加を停止し、作動モータ81を停止して、培養バッグ18内での振盪培養を停止する(図13のS13)。
運転制御盤13は、培養バッグ18内で細胞が沈降した後に、第2ポンプ49を作動させて、図11(A)に示すように、培養バッグ18内の使用済み培地(培養バッグ18内の上澄み)を培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出する(図13のS14)。その後、運転制御盤13は、第1ポンプ48を起動して培地カセット20の培地バッグ67から培養バッグ18へ培地を流加させ、作動モータ81を起動して、振盪装置80により培養バッグ18内で振盪培養を実施する(図13のS15)。所定時間経過後、運転制御盤13は、第1ポンプ48を停止して培地カセット20の培地バッグ67から培養バッグ18への培地流加を停止し、作動モータ81を停止して培養バッグ18内での振盪培養を停止する(図13のS16)。
運転制御盤13が、増殖される細胞の使用日時に依存した所望の培養期間に至ったか否かを判断し、または、画像処理用コンピュータ14が、培養バッグ18内での細胞が所望の細胞数に至ったか否かを判断する(図13のS17)。培養バッグ18内で細胞が所望の細胞数に至ったか否かの判断に際しては、運転制御盤13は、第3ポンプ50(図11(A))を起動させ、培養バッグ18内の細胞の一部を細胞接種カセット19またはダミーカセット70(ほとんどの場合にはダミーカセット70)へ移行させ、この細胞をCCDカメラ88に撮影させる。この細胞の画像を画像処理用コンピュータ14が画像処理し、細胞数が規定値以上であるか否かを判断して運転制御盤13へ送信する。そして、運転制御盤13は、これらの培養期間または細胞数に至っていない場合には、ステップS14〜S17の処理動作を繰り返す。
上記ステップS13〜S17は、培養バッグ18内で使用済みの培地の排出と、培養バッグ18内への新しい培地の供給(流加)とを交互に実施する間欠式灌流培養である。
また、ステップS9〜S17において、細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65内での細胞の有無はCCDカメラ88で確認され、運転制御盤13は、誘導因子刺激容器65内に細胞が存在しない場合には、この誘導因子刺激容器65から培養バッグ18内へ誘導因子が流入しないように、細胞接種カセット19をダミーカセット70に置き換えるよう操作者に促す。このダミーカセット70への置き換えに際しては、運転制御盤13は、培地カセット20から培養バッグ18への培地の流加と、振盪装置80による振盪培養とを、ダミーカセット70への置き換えが完了するまで一時中断させる。
更に、ステップS9〜S17において、運転制御盤13は、重量計43の計測値から培地カセット20の培地バッグ67に培地が無くなったと判断した場合には、培地カセット20を新しい培地カセット20に交換するように操作者に促す。この新しい培地カセット20への交換に際しても、運転制御盤13は、培地カセット20から培養バッグ18への培地の流加と、振盪装置80による振盪培養とを、培地カセット20への交換が完了するまで一時中断させる。
運転制御盤13は、ステップS17において所望の培養期間に至り、または所望の細胞数に至った時点で、振盪を停止し、細胞沈降の後、図11(B)に示すように第2ポンプ49を起動させ、培養バッグ18内の使用済み培地を培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出して、重量計43の計測値に基づき、培養バッグ18内の培養液が約1/2〜1/3程度になるまで細胞を濃縮させる(図12のS18)。
運転制御盤13は、その後第2ポンプ49を停止して細胞培養を終了する(図12のS19)。この培養終了後に、操作者により培養バッグ18内の細胞がクリーンベンチ等内で遠心分離機用の容器に移され、その後、遠心分離によって細胞が回収される(図12のS20)。
次に、同様な誘導因子刺激間欠式灌流培養工程において、細胞回収バッグ72(図5)により細胞を回収する処理が含まれる場合を図14及び図15に示す。従って、この図14及び図15に示す工程のステップS21〜S38は、図12及び図13のステップS1〜S18と同様であるため説明を省略する。
図15に示すステップS38において、第2ポンプ49の起動により培養バッグ18内の細胞が濃縮された後、運転制御盤13は、第2ポンプ49を停止し、培地カセット20の使用済み培地バッグ68を細胞回収バッグ72(図5)に交換するように操作者に促す(図13のS39)。この細胞回収バッグ72は、遠心分離機に装着されて遠心分離に使用され得るバッグである。
培地カセット20の使用済み培地バッグ68が細胞回収バッグ72に交換された後、運転制御盤13は、第2ポンプ49及び作動モータ81を起動させて、振盪装置80により培養バッグ18内を振盪させながら、この培養バッグ18内の細胞を培地と共に、培地カセット20に装着された細胞回収バッグ72へ移行させる(図15のS40)。運転制御盤13は、その後第2ポンプ49及び作動モータ81を停止して細胞培養を停止する(図15のS41)。この培養終了後に、操作者により細胞回収バッグ72が遠心分離機に装着されて、遠心分離により細胞が回収される(図15のS42)。
次に、誘導因子刺激連続式灌流培養工程を、図16及び図17に基づいて説明する。この図16及び図17に示す誘導因子刺激連続式灌流培養工程におけるステップS51〜S62は、図12及び図13の誘導因子刺激間欠式灌流培養工程におけるステップS1〜S12と同様であるため説明を省略する。この誘導因子刺激連続式灌流培養工程では、培養バッグ18と第2ポンプ49との間にフィルタ71が配設されている。
運転制御盤13は、培養バッグ18内へ培地カセット20の培地バッグ67から培地が流加されて(図16のS56)、培養バッグ18内での振盪装置80による振盪培養中に(図16のS61)、培養バッグ18内の培養液の重量が所定値c以上となった時点で(図16のS62)第2ポンプ49を起動させて、培養バッグ18内の使用済み培地を培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出させる。これにより、培養バッグ18への培地の流加と培養バッグ18からの使用済み培地の排出とを同時に実施する連続式灌流培養が培養バッグ18内で開始される(図17のS63)。このとき、培養バッグ18内の細胞は、フィルタ71により流動が阻止されて使用済み培地バッグ68内へ流動することがない。上記連続式灌流培養中には、振盪装置80による振盪培養も同時に実施されている。
運転制御盤13が、増殖される細胞の使用日時に依存した所望の培養期間に至ったか否かを判断し、または、画像処理用コンピュータ14が、培養バッグ18内での細胞が所望の細胞数に至ったか否かを判断する(図17のS64)。培養バッグ18内で細胞が所望の細胞数に至ったか否かの判断に際しては、運転制御盤13は、第3ポンプ50を起動させ、培養バッグ18内の細胞の一部を細胞接種カセット19またはダミーカセット70(ほとんどの場合にはダミーカセット70)へ移行させ、この細胞をCCDカメラ88に撮影させる。この細胞の画像を画像処理用コンピュータ14が画像処理し、細胞数が規定値以上であるか否かを判断して運転制御盤13へ送信する。そして、運転制御盤13は、これらの培養期間または細胞数に至っていない場合には、ステップS63の連続式灌流培養を繰り返す。
ここで、ステップS59〜S64において、細胞接種カセット19の誘導因子刺激容器65内での細胞の有無はCCDカメラ88で確認され、運転制御盤13は、誘導因子刺激容器65内に細胞が存在しない場合には、この誘導因子刺激容器65から培養バッグ18内へ誘導因子が流入しないように、細胞接種カセット19をダミーカセット70に置き換えるよう操作者に促す。このダミーカセット70への置き換えに際しては、運転制御盤13は、培地カセット20から培養バッグ18への培地の流加と、振盪装置80による振盪培養とを、ダミーカセット70への置き換えが完了するまで一時中断させる。
また、ステップS59〜S64において、運転制御盤13は、重量計43の計測値から培地カセット20の培地バッグ67に培地が無くなったと判断した場合には、培地カセット20を新しい培地カセット20に交換するように操作者に促す。この新しい培地カセット20への交換に際しても、運転制御盤13は、培地カセット20から培養バッグ18への培地の流加と、振盪装置80による振盪培養とを、培地カセット20への交換が完了するまで一時中断させる。
運転制御盤13は、ステップS64における所望の培養期間に至り、または所望の細胞数に至った時点で、第1ポンプ48、第2ポンプ49及び作動モータ81を停止させて、灌流培養及び振盪培養を停止させる(図17のS65)。
運転制御盤13は、その後第2ポンプ49を起動させ、培養バッグ18内の使用済み培地を培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出させ、重量計43の計測値に基づき、培養バッグ18内の培養液が約1/2〜1/3程度になるまで細胞を濃縮させる(図17のS66)。濃縮過程において振盪装置を停止させるのは多量の細胞がチューブに流入し、フィルタが目詰まりするのを防ぐためである。
運転制御盤13は、その後第2ポンプ49を停止して細胞培養を終了する(図17のS67)。この培養終了後に、操作者により培養バッグ18内の細胞がクリーンベンチ等内で遠心分離機用の容器に移され、その後、遠心分離によって細胞が回収される(図17のS68)。
以上のように構成されたことから、上記実施の形態によれば、次の効果(1)〜(8)を奏する。
(1)CCDカメラ88が撮像した細胞接種カセット19内の細胞の画像を、画像処理用コンピュータ14が画像処理して細胞培養の評価パラメータ(単一細胞の平均投影面積、非単一細胞の増加速度)を取得し、当該細胞の培養状況(細胞の増殖可能性及び増殖能力)を判定評価する。運転制御盤13はこの培養状況に応じた培養操作(細胞接種カセット19から培養バッグ18への細胞移行のタイミングや、培地カセット20から培養バッグ18への所定流加速度での培地流加等)を実施する。この結果、細胞の培養状況を非接触・非侵襲状態で判定できるので当該細胞にダメージを与えることがなく、サンプリングによるコンタミネーションの危険性及び細胞の損失を回避できる。
また、培養操作を操作者が逐次実施する必要がないので操作者の労力を軽減できると共に、培養状況観察のために恒温槽11の本体ドア21及びキャニスタ16のキャニスタドア31を開閉する必要がないので、恒温槽11及びキャニスタ16内の培養環境を良好に維持できる。
更に、一患者の細胞を単一のキャニスタ16内に収納される培養カセット17の細胞接種カセット19に接種させ、この細胞ごとに、細胞の培養状況に応じた培養操作を実施できるので患者ごとに適切な培養操作を実現でき、クロスコンタミネーションを回避できる。この細胞の培養状況に応じた適切な培養操作を実現できることで、時間単位での培養操作が可能となり、培養が促進されて培養期間を短縮できる。
(2)培地カセット20がカセット構造に構成されて、培養バッグ18、及び同じくカセット構造に構成された細胞接種カセット19に接続されることから、特に培養バッグ18を培養に最適な環境のキャニスタ16内に常に保持できる。また、恒温槽11の本体ドア21及びキャニスタ16のキャニスタドア31を、一度開閉するだけで培地の交換が可能となるので、上記両ドア21及び31の開閉回数を低減でき、恒温槽11及びキャニスタ16内の培養環境の変動を抑制できる。これらの結果、環境変化に伴う培養バッグ18内の細胞へのダメージを低減できると共に、クリーンベンチ等内で培養バッグ18に培地を供給する無菌操作を省略できる。
(3)培地カセット20、細胞接種カセット19及び培養バッグ18が接続されて閉鎖系が構成されたことから、これらの培地カセット20、細胞接種カセット19及び培地カセット20を無菌状態に保持することができる。
(4)培養バッグ18内での培養初期段階に、この培養バッグ18の液溜り部78内に培養液が貯溜されることから、面積当たりの細胞密度を増殖に好適な密度に維持することで、培養初期段階に細胞を効率よく増殖させることができる。
(5)培養バッグ18内で増殖された細胞を細胞接種カセット19またはダミーカセット70内へ導き、この細胞の画像がCCDカメラ88により取得される場合には、培養バッグ18内で増殖された細胞を画像として取得することでサンプリングすることなく、その細胞数や細胞の形態を観察することができる。
(6)培養バッグ18内の使用済み培地が培地カセット20の使用済み培地バッグ68に排出されて貯溜されることから、培養バッグ18内の細胞密度を高めて濃縮することができるので、細胞回収のための遠心分離操作回数を低減できる。この結果、細胞回収作業の省力化を実現できると共に、遠心分離に伴う細胞のダメージも低減できる。
(7)培養バッグ18内で濃縮された細胞を、培地カセット20に装着された細胞回収バッグ72に全量回収させる場合には、この細胞回収バッグ72を遠心分離機に直接装着して細胞を回収することができるので、細胞回収作業の省力化を実現できる。
(8)細胞が接種された培地を収容する可撓性の培養バッグ18を、振盪装置80の振盪機構91における作動板85の突出部86が繰り返し押圧して、当該培養バッグ18内の培養液を撹拌することから、この培養バッグ18内の細胞の分布及び培地の成分濃度が均一化され、また酸素供給能も高くなることにより細胞の増殖が促進されて、細胞の培養効率を向上させることができる。
また、細胞は、振盪装置80の作動板85により繰り返し押圧されて撹拌された培養液内を浮遊するだけなので、ダメージを蒙ることが防止される。
(9)運転制御盤13及び監視用コンピュータ15が、恒温槽11の培養ユニット12(キャニスタ16及び培養カセット17)毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積することから、任意の培養ユニット12で培養された細胞に関する培養履歴を的確に把握することができる。
また、運転制御盤13及び監視用コンピュータ15が、恒温槽11の培養ユニット12(キャニスタ16及び培養カセット17)毎に、細胞培養関連データに基づいて細胞の培養状態を監視することから、培養ユニット12毎に培養状態の異常を監視することができる。
更に、運転制御盤13及び監視用コンピュータ15が、恒温槽11の培養ユニット12(キャニスタ16及び培養カセット17)毎に、細胞培養関連データに基づいて、培地の交換(培地カセット20の交換)や培養終了後の細胞回収(培養バック18または細胞回収バック72による細胞回収)などの細胞培養操作を管理することから、恒温槽11の培養ユニット12毎に操作者が実施する操作(作業)のための作業スケジュールを容易に作成することができる。
(10)管理手段は、恒温槽11と共に培養室94内に設置され、恒温槽11の各培養ユニット12(キャニスタ16及び培養カセット17)における培養を制御する機能を兼ね備えた運転制御盤13と、上記培養室94以外の監視室95に設置され、上記運転制御盤13が有するデータを受信して保存し表示(閲覧)可能とする監視用コンピュータ15とを有して構成されたことから、培養室94内の恒温槽11における培養ユニット12内での細胞の培養状態を、監視用コンピュータ15を用いて培養室94以外の監視室95において観察して監視し、管理することができる。この管理によって、履歴等を自動的に記録・保管し、人為的な改ざんや記録ミスを防ぐことができる。
(11)培養ユニット12を構成する恒温槽11のキャニスタ16は、それぞれが吸気フィルタ32及び排気フィルタ33によって細胞又は/及び細菌の出入りのない状態に隔離されて構成されたことから、各キャニスタ16内に収納される培養バック18及び細胞接種カセット19内の細胞が細菌に汚染されるコンタミネーションを防止することができる。
(12)1つの恒温槽11における全てのキャニスタ16の送風ファン34が、当該恒温槽11の本体ドア21が開放されたときに停止するよう構成されたことから、恒温槽11の本体ドア21の開放時に、当該恒温槽11における各キャニスタ16の密閉状態を保持できるので、各キャニスタ16について独立した培養環境を良好に確保でき、キャニスタ16内の培養環境の変動を抑制できる。
(13)1つの恒温槽11における各キャニスタ16のキャニスタドア31が、いずれか1枚のみ開放されるよう構成されたことから、1つの恒温槽11において各キャニスタ16のキャニスタドア31が同時に2以上開放されることがないので、キャニスタ16内での培養バック18及び細胞接種カセット19の搬入出の取り違いを防止できると共に、細胞同士が互いに汚染されるクロスコンタミネーションを防止することができる。
[B]第2の実施の形態(図21〜図24)
図21は、本発明に係る細胞培養装置の第2の実施の形態における培養ユニットの構成(分化誘導状態)を示すレイアウト図である。図22は、図21の培養ユニットの分化誘導前状態の構成を示すレイアウト図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
この第2の実施の形態の細胞培養装置100は、第1の実施の形態の細胞培養装置10における細胞接種カセット19(図5)を、分化誘導因子が予め添加された分化誘導培養容器としての分化誘導カセット101に置き換えたものである。そして、この細胞培養装置100では、培地カセット20の培地バッグ67から培養バッグ18へ第2ポンプ49の起動により培地を導いて細胞を増殖させた後に、この増殖した細胞を第1ポンプ48の起動により分化誘導カセット101へ導いて当該細胞に役割を与える、つまり当該細胞を分化させる。ここで、分化とは、細胞に心臓の細胞としての役割を持たせたり、肝臓の細胞としての役割を持たせたりすること等である。培養バッグ18にて増殖された細胞を分化誘導カセット101にて分化させる前までは、図22に示すように、この分化誘導カセット101の代わりにダミーカセット102が配置されて、培養バッグ18内の使用済み培地が、第1ポンプ48の起動によりダミーカセット102を経て培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出される。上記ダミーカセット102は、ダミーカセット70(図5)と同様に、単に培地を流動させるための流路として機能する。
この第2の実施の形態では、図21に示すように、分化誘導カセット101内で分化されている細胞の画像をCCDカメラ88が所定時間ごとに撮影する。この撮影を実行するためのプログラムが、運転制御盤13の記録装置に記憶されている。画像処理用コンピュータ14は、この細胞の画像を例えば2値化処理や多値化処理して、細胞の形態を評価パラメータとして取得する。この評価パラメータの取得を実行するためのプログラムが画像処理用コンピュータ14の記録装置に記憶されている。画像処理用コンピュータ14は、細胞の形態の経時的変化から当該細胞が分化されたか否かを判定する。画像処理用コンピュータ14からの信号を受けた運転制御盤13は、この分化誘導カセット101による分化誘導操作を制御する。例えば運転制御盤13は、画像処理用コンピュータ14が、当該細胞に分化の可能性があると判断した場合には分化誘導操作を継続し、そうでない場合には、その旨を表示する。上述の分化の判定を実行するためのプログラムが画像処理用コンピュータ14の記録装置に記録され、分化誘導操作を実行するためのプログラムが、運転制御盤13の記録装置に記憶されている。
更に、運転制御盤13の記録装置には、前記第1の実施形態の場合とほぼ同様に、恒温槽11のキャニスタ16及び培養カセット17毎に、細胞培養関連データを取得するプログラム、細胞の培養状態を監視するプログラム、細胞の培養操作を管理するプログラムが記憶されている。運転制御盤13は、上述のプログラムに基づき、第1の実施の形態の場合とほぼ同様に、恒温槽11のキャニスタ16及び培養カセット17毎に、細胞培養関連データを収集して蓄積し、異常の有無を監視し、培地カセット20の交換操作(培地の交換操作)、ダミーカセット102から分化誘導カセット101への置換え操作などの培養操作を管理する。また、監視用コンピュータ15は、前記第1の実施の形態の場合と同様に、恒温槽11のキャニスタ16及び培養カセット17毎の細胞培養関連データ、培養履歴データ、異常の有無に関するデータ、培養操作に関するデータを運転制御盤13から受信して保存し、モニタ上に表示(閲覧)可能とする。
上記細胞培養関連データの取得も、第1の実施の形態と同様になされるが、分化誘導カセット101に関する場合が異なる。つまり、細胞培養前には(図18参照)、クリーンベンチ等内で分化誘導カセット101の分化誘導容器103(図21)に分化誘導因子を添加する際に、この分化誘導容器103のID、分化誘導因子のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。そして、この分化誘導容器103を分化誘導カセット101に装着する際に、分化誘導容器103のID、分化誘導カセット101のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。細胞培養中には(図19参照)、ダミーカセット102を取り外して分化誘導カセット101に置き換える際に、恒温槽11及びキャニスタ16のアドレス、分化誘導カセット101のID、ラージトレイ45のID及び操作者IDが、操作日時と共に運転制御盤13に取得され、監視用コンピュータ15へ送信される。
次に、上記細胞培養装置100による分化誘導間欠式灌流培養工程を、図23及び図24を用いて説明する。
まず、操作者は、クリーンベンチ等内で培養バッグ18に培地及び細胞を添加し(図23のS71)、この培養バッグ18を載置台46を介して培養バッグトレイ47に載置し、この培養バッグトレイ47をラージトレイ45に取り付ける(図23のS72)。そして、操作者は、このラージトレイ45を恒温槽11の、表示灯44が例えば緑色に点灯された単一のキャニスタ16内に搬入する。
次に、操作者は、上記キャニスタ16内のラージトレイ45に培地カセット20を装着し、ダミーカセット102(図22)を装着する(図23のS73)。そして、操作者により上記キャニスタ16のキャニスタドア31が閉じられて、培養バッグ18内での細胞の静置培養が開始される(図23のS74)。この静置培養に際し、当初培養バッグ18内に培養液が少ない場合には、操作者は、傾斜モータ76を起動させて載置台46の昇降部を下降させ、培養バッグ18に液溜り部78(図8)を形成しておく。
静置培養開始後、運転制御盤13は、第2ポンプ49を起動させて、培地カセット20の培地バッグ67からの培地を培養バッグ18へ流加させる(図23のS75)。運転制御盤13は、培養バッグ18内の培養液が所定値a以上となったか否かを、重量計43の計測値から確認し(図23のS76)、重量計の計測値が上記所定値a以上となった場合に、傾斜モータ76を起動させて載置台46の昇降部を上昇させ、培養バッグ18を水平状態として液溜り部78を解消する(図23のS77)。
その後、運転制御盤13は、重量計43により計測される培養バッグ18内の培養液の重量が所定値b以上になったか否かを判断し(図23のS78)、所定値b以上になった時点で作動モータ81を起動させ、振盪装置80を作動させて振盪培養を開始する(図23のS79)。運転制御盤13は、引き続き、重量計43により計測される培養バッグ18内の培養液の重量が所定値c以上となったか否かを判断し(図23のS80)、所定値c以上となった時点で、第2ポンプ49を停止して、培地カセット20の培地バッグ67から培養バッグ18への培地の流加を停止し、作動モータ81を停止して、培養バッグ18内での振盪培養を停止する(図23のS81)。
運転制御盤13は、培養バッグ18内で細胞が沈降した後に、第1ポンプ48を作動させて、培養バッグ18内の使用済み培地(培養バッグ18内の上澄み)を培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出する(図24のS82)。その後、運転制御盤13は第2ポンプ49を起動して、培地カセット20の培地バッグ67から培養バッグ18へ培地を流加させ、作動モータ81を起動して、振盪装置80により培養バッグ18内で振盪培養を実施する(図24のS83)。所定時間経過後、運転制御盤13は、第2ポンプ49を停止して、培地カセット20の培地バッグ67から培養バッグ18への培地の流加を停止し、作動モータ81を停止して培養バッグ18内での振盪培養を停止する(図24のS84)。
運転制御盤13が、増殖される細胞の使用日時に依存した所望の培養期間に至ったか否かを判断し、または、画像処理用コンピュータ14が、培養バッグ18内での細胞が所望の細胞数に至ったか否かを判断する(図24のS85)。培養バッグ18内で細胞が所望の細胞数に至ったか否かの判断に際しては、運転制御盤13は、第3ポンプ50を起動させ、培養バッグ18内の細胞の一部をダミーカセット102へ移行させ、この細胞をCCDカメラ88に撮影させる。この細胞の画像を画像処理用コンピュータ14が画像処理し、細胞数が規定値以上であるか否かを判断して運転制御盤13へ送信する。運転制御盤13は、これらの培養期間または細胞数に至っていない場合には、ステップS82〜S85の操作を繰り返す。
上記ステップS81〜S85は、培養バッグ18内で使用済みの培地の排出と、培養バッグ18内への新しい培地の供給(流加)とを交互に実施する間欠式灌流培養である。
ここで、ステップS77〜S85において、運転制御盤13は、重量計43の計測値から培地カセット20の培地バッグ67に培地が無くなったと判断した場合には、培地カセット20を新しい培地カセットに交換するように操作者に促す。この新しい培地カセット20への交換に際しても、運転制御盤13は、培地カセット20から培養バッグ18への培地の流加と、振盪装置80による振盪培養とを、培地カセット20の交換が完了するまで一時中断させる。
運転制御盤13は、ステップS85において所望の培養期間に至り、または所望の細胞数に至った時点で、第1ポンプ48を起動させ、培養バッグ18内の使用済み培地を培地カセット20の使用済み培地バッグ68へ排出して、重量計43の計測値に基づき、培養バッグ18内の培養液が約1/2〜1/3程度になるまで細胞を濃縮させる(図24のS86)。
その後、運転制御盤13により第1ポンプ48が停止された後に、操作者は、図21に示すように、ダミーカセット102を分化誘導カセット101に交換する(図24のS87)。
分化誘導カセット101への交換完了後に、運転制御盤13は、第2ポンプ49を起動して、培地カセット20の培地バッグ67内の培地を培養バッグ18へ流加させ、作動モータ81を起動して培養バッグ18内を振盪装置80により振盪培養させる(図24のS88)。次に、運転制御盤13は、第1ポンプ48を起動して、培養バッグ18内での振盪培養及び培地カセット20からの培地の流加を継続しながら、培養バッグ18内の培養液を分化誘導カセット101へ移動させる(図24のS89)。これにより、この分化誘導カセット101内で分化誘導培養が開始される(図24のS90)。
運転制御盤13は、上記分化誘導培養中に、分化誘導カセット101内の細胞をCCDカメラ88により所定時間(例えば6時間)毎に撮影する。画像処理用コンピュータ14は、この撮像画像を画像処理し、細胞の形態を評価パラメータとして取得し、この細胞の形態の経時的変化から、当該細胞が分化誘導カセット101内で分化されたか否かを判断する(図24のS91)。
運転制御盤13は、ステップS91で画像処理用コンピュータ14から細胞が分化されたと判断した信号を受けたときに、第2ポンプ49、第1ポンプ48及び作動モータ81を停止して、分化誘導培養を停止し、細胞培養を終了する(図24のS92)。この培養終了後に、操作者は、クリーンベンチ等内での細胞回収操作により、分化誘導カセット101内の細胞を回収する。(図24のS93)。
以上のように構成されたことから、上記第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(2)〜(6)及び(8)と同様な効果(但し、細胞接種カセット19を分化誘導カセット101に置き換える)を奏する他、次の効果(9)を奏する。
(9)分化誘導カセット101内の細胞の画像を画像処理して細胞培養の評価パラメータ(細胞の形態)を取得し、当該細胞の培養状況(細胞が分化されたか否か)を判定し、この培養状況に応じた培養操作(培地カセット20から培養バッグ18への所定流加速度での培地流加や培養バッグ18から分化誘導カセット101への細胞移行のタイミング等)を実施することから、細胞の培養状況を非接触・非侵襲状態で判定できるので、当該細胞にダメージを与えることがなく、サンプリングによるコンタミネーションの危険性及び細胞の損失を回避でき、また、操作者の労力を軽減できる。更に、一患者の細胞を単一のキャニスタ16内に収納される培養カセット17の培養バッグ18にて増殖させ、分化誘導カセット101において分化させるので、患者ごとに細胞の培養を適切に実施でき、クロスコンタミネーションを回避できる。
また、上記第1及び第2の実施の形態における細胞培養装置10及び102によれば、次の効果(10)を奏する。
(10)細胞培養装置10及び100は、共に、異なる培養環境で細胞を培養する複数の培養容器のうち、一の培養容器で培養された細胞が、下流側の他の培養容器へ移行されている。つまり、細胞培養装置10では、一の培養容器である細胞接種カセット19にて増殖のために誘導因子により細胞を刺激し、その後、この細胞接種カセット19から他の培養容器である培養バッグ18へ上記細胞を移行して、当該細胞を増殖させている。また、細胞培養装置100では、一の培養容器である培養バッグ18にて細胞を増殖した後に、この培養バッグ18から他の培養容器である分化誘導カセット101へ上記細胞を移行して、当該細胞を分化させている。このように、細胞培養装置10及び100によれば、細胞の培養形態のバリエーションを拡大することができる。
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記両実施の形態では、画像処理用コンピュータ14がCCDカメラ88の画像を画像処理して評価パラメータを算出し、当該評価パラメータから細胞の培養状況(細胞の増殖可能性、細胞の増殖能力)を判定するものを述べたが、この画像処理用コンピュータ14の機能を運転制御盤13が実施してもよい。
また、CCDカメラ88による細胞画像の撮影は、培養バッグ18において実施してもよい。更に、誘導因子刺激連続式灌流培養工程(図16及び図17)において、振盪装置80による振盪培養を実施しない場合には、第2ポンプ49と培養バッグ18との間にフィルタ71を配設しなくてもよい。
上記、両実施の形態では、細胞を増殖させるために、振盪装置80を用いて、培養液を攪拌するものを述べたが、培養バッグ18を上下方向に振動させ、または左右方向に揺動させて培養液を流動し、細胞の分布及び培地の成分濃度を均一化し、また酸素供給能を高くしても良い。
また、両実施の形態では、運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14が1つの恒温槽内の各キャニスタについて制御するものを述べたが、同様な恒温槽が複数個あり、これらの恒温槽の各キャニスタについて、運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14が制御を実行しても良い。
[C]第3の実施の形態(図25)
また、第1及び第2の実施の形態では、1台の恒温槽11の各キャニスタ16について、それぞれ1台の運転制御盤13及び画像処理用コンピュータ14が運転を制御し、それぞれ1台の運転制御盤13及び監視用コンピュータ15が細胞培養を監視し管理するものを述べたが、図25に示す第3の実施の形態の如く、恒温槽11が複数台設置され、各恒温槽11に運転制御盤13が1台ずつ配置され、各運転制御盤13に1台の画像処理用コンピュータ14、及び1台の監視用コンピュータ15がそれぞれ接続されて、監視用コンピュータ15により複数台の恒温槽11の各キャニスタ16内で実施されている細胞の培養を観察して監視し、管理できるようにしてもよい。この管理によって、履歴等を自動的に記録・保管し、人為的な改ざんや記録ミスを防ぐことができる。
また、第1、第2の実施の形態(図1)または第3の実施の形態(図25)において、1台の監視用コンピュータ15に公衆通信回線104を用いて遠隔監視用コンピュータ105が接続されてもよい。この場合には、例えば特定の恒温槽11の特定のキャニスタ16内における培養異常等を、遠隔監視用コンピュータ105を用い遠隔地において迅速に把握することが可能となる利点がある。
[D]第4の実施の形態(図26〜図38)
図26は、本発明に係る細胞培養装置の第4の実施の形態を示す構成図である。図27は、第4の実施の形態に係る細胞培養装置200における一つの空間的に独立した培養室240と低温室230、この培養室240内に収納される培養バッグトレイ241と低温室230に収納される培地バッグトレイ231、廃液バッグトレイ232からなる培養ユニット212の構成を示すレイアウト図である。
図26に示す細胞培養装置200は、特に、免疫細胞療法に用いられる浮遊系細胞を培養するものであり、複数個(例えば3個)の培養ユニット212を備えた培養装置210と、この複数個の培養ユニット212の運転を制御する運転制御用PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)223と、細胞の画像を処理するための画像処理用ユニット221と、全てのデータを収集するデータ収集装置224と、運転制御用PLC223と画像処理用ユニット221の情報表示および制御入力するタッチパネル222と、ハブ225を介して運転制御用PLC223、画像処理用ユニット221、データ収集装置224に接続されて、細胞培養装置200及び培養ユニット212を監視するための監視用コンピュータ226と、を有して構成される。上記運転制御用PLC223及び画像処理用ユニット221が制御手段として機能する。複数個の培養ユニット212はそれぞれ観察用カメラ(CCDカメラ)302を備えている。
ここで、上記浮遊系細胞としては、末梢血単核球、LAK細胞(Lymphokine Activated Killer細胞)、神経幹細胞、ES細胞などが知られている。これらの浮遊系細胞を以下単に細胞と称する。本細胞培養装置200は、上記浮遊系細胞以外の接着依存性細胞(例えば、間葉系幹細胞)を培養する場合にも適用可能である。
上記細胞培養装置200は、空間的・構造的に独立した複数個(例えば3個)の培養ユニット212が積み重ねられた構造で、各培養ユニット212は図27に示すように低温室230と培養室240に分離される。この細胞培養装置200内には、培養バッグトレイ241、培地バッグトレイ231及び、廃液バッグトレイ232が収納されている。培養バッグトレイ241には、後に詳説するように、抗体刺激及び増殖用培養容器としての培養バッグ242が載置され、培地バッグトレイ231、及び廃液バッグトレイ232には、培地貯溜手段としての培地バッグ(新培地バッグ)233および廃液貯溜手段としての廃液バッグ(廃培地バッグ)234がそれぞれ載置される。
上記培養ユニット212は、培養室240および低温室230に開閉可能なドア(不図示)を備えている。この培養ユニット212は、ドアを閉じた状態で、培養室240内の環境(温度及びCO2濃度)を、細胞を培養するために必要な環境に維持し、低温室230内の環境(温度)を、培地保存に最適な環境に維持する。
このため、培養ユニット212には、温度センサ236、243、CO2センサ244、ドアセンサ(不図示)及びヒータ(不図示)が配設されている。更に細胞培養装置200(培養ユニット212)には、CO2供給系245を経由して、外部に設置されたガスボンベ(不図示)が連結される。温度センサ236、243、CO2センサ244及びドアセンサからの信号は、運転制御用PLC223へ送信される。この運転制御PLC223は、温度センサ236、243からの温度信号に基づいてヒータを制御し、CO2センサ244からのCO2濃度信号に基づいて、ガスボンベから各培養ユニット212内へ供給されるCO2ガス量を制御する。室内のCO2は循環ポンプ246により、あらかじめ定めた一定量ずつ排出される。
攪拌ファン247の運転は運転制御用PLC223により制御され、培養ユニット212のドアが開いた旨の信号がドアセンサから運転制御用PLC223へ送信された際に、攪拌ファン247の運転が停止されて、培養ユニット212内の環境変化が緩和される。
この細胞培養装置200は乾熱滅菌機能を有しており、培養バッグトレイ、培地バッグトレイ、廃液バッグトレイをそれぞれセットした状態で、装置内の滅菌及び各トレイを滅菌することが可能であり、培養ユニット212内での細菌増殖を防止することができる。また、各培養ユニット212がそれぞれ独立した空間構造でできているため、他の培養ユニット212内の細胞に対して隔離されると共に、培養ユニット212に収納される培養バッグ242、培地バッグ233、廃液バッグ234は、クリーンベンチ等内で接続された後、培養ユニット212に設置されるため、この培養ユニット212に収納される培養バッグ242は閉鎖系(非開放系)に確保され、培養バッグ242内の細胞が雑菌によって汚染されるコンタミネーションが防止される。
培養ユニット212には、更にドアセンサ(不図示)、ドアロックセンサ(不図示)、温度センサ236、243、ドアロック機構(不図示)、ヒータ(不図示)及び攪拌ファン247が配設されている。運転制御用PLC223は、温度センサ236、243からの温度信号に基づいてヒータを制御する。また、運転制御用PLC223は、攪拌ファン247の運転を制御して、培養室240内で空気及びCO2ガスを循環させる。このようにして、培養室240内は細胞を培養するための最適な環境に保持される。
また、運転制御用PLC223は、一つの細胞培養装置200において2以上の培養ユニット212のドアが同時に開動作を行うことがないようにドアロック機構の動作を制御する。これにより、異なる培養ユニット212間で細胞や培地などが取り違えて搬入されることが防止される。このドアロック機構のロック動作はドアロックセンサにより検出されて、運転制御用PLC223へ送信される。また、培養ユニット212のドアの開閉状態はドアセンサによって検出されて、運転制御用PLC223へ送信される。
図27に示す培養ユニット212内の下部には、培養室240内に収納される培養バッグトレイ241を支持するフレーム250が設けられ、このフレーム250を培養ユニット212上部に設置した重量計251が支持して設置される。この重量計251は、培養室240内に収納された培養バッグトレイ241の培養バッグ242の重量を計測するものであり、実際には、培地バッグ233から培養バッグ242へ供給される培地量を計測するのと、培養バッグ242から廃液バッグ234に排出される廃液量を計測する。この重量計251の計測値も運転制御用PLC223へ送信される。また、培養ユニット212本体には、培養ユニット212内の培養バッグ242の有無を表示する表示灯(不図示)が設けられる。運転制御用PLC223は、培養室240内に培養バッグ242が収納されているときに、表示灯を、例えば赤色点灯させ、培養室240内に培養バッグ242が収納されていないときに、表示灯を例えば緑色点灯させる。
ここで、上記培養バッグトレイ241について説明する。
この培養バッグトレイ241は、図27に示すように培養バッグ242が装着されたものであり、培養バッグ242が細胞を培養する培養容器である。この培養バッグ242は、細胞に機能を発現させる(例えば細胞を増殖させる、細胞を分化させる等)ための機能発現用培養容器であり、本実施形態では、増殖のために抗体により細胞を刺激する抗体刺激用培養容器である。また、同一の培養バッグ242において抗体により刺激された細胞を増殖するための増殖用培養容器でもある。
培養バッグ242は、細胞が接種された培地を収容する可撓性の容器であり、載置台252を介して、培養バッグトレイ241に載置される。上記培養バッグ242は、例えば酸素透過性材質からなるバッグである。
ここで、培養ユニット212について説明する。
培養室240には、図27に示すように、供給ポンプ261、排出ポンプ271が配置される。培養バッグ242は、一端側がチューブ262を用いて供給ポンプ261を経て供給系継ぎ手264に接続される。また、培養バッグ242の他端側は、チューブ272を用いて排出ポンプ271を経て排出系継ぎ手274に接続される。
この培養ユニット212では、培養バッグ242は、チューブ262により供給系継ぎ手264に接続されると共に、チューブ265により培地バッグ233に接続される。また、培養バッグ242は、チューブ272を介して排出系継ぎ手274に接続されると共に、チューブ275により廃液バッグ234に接続される。
上記培養バッグ242は、図27に示すように、培養バッグ242の供給ポンプ261に接続される一部底面内側に抗体を固層化し、この培養バッグ242に培地を投入し、この培地に細胞を接種し、この培養バッグ242を培養バッグトレイ241に設置して、カセット構造に構成したものである。上記培養バッグ242に抗体を固層化し、培地及び細胞を入れる作業は、クリーンベンチ等内で無菌状態で実施される。
上記培養バッグ242において一部抗体を固層化したことにより、つまり細胞を抗体により刺激して当該細胞に増殖機能を発現させるための培養環境と、細胞を増殖するための培養環境を同一培養バッグ242で作り出すことができる。従って、培養バッグ242の一部で抗体により刺激され、増殖を開始し始めた細胞に、培地を供給することで効率よく同一の培養バッグ242で増殖を実施させることが可能となる。
前記培地バッグトレイ231、及び廃液バッグトレイ232には、培地貯溜容器としての培地バッグ233、及び使用済み培地貯溜容器としての廃液バッグ234がそれぞれ載置されて、カセット構造に構成される。上記培地バッグ233は、培養バッグ242へ供給される培地を貯溜するものである。また、上記廃液バッグ234は、培養バッグ242から排出される使用済み培地(上澄み)を貯溜するものである。培地バッグトレイ231がカセット構造に構成されたことにより、培養バッグ242を培養室240内に維持した状態で、当該培養ユニット212内の低温室230に培地バッグトレイ231を装着するだけで培地の交換、供給が可能となる。
上記培養バッグトレイ241は、培養ユニット212に着脱可能に装着される。このときには、培養バッグ242の供給系継ぎ手264は、培地バッグ233の継ぎ手に、排出系継ぎ手274は廃液バッグ234の継ぎ手にそれぞれに無菌的に結合される。つまり、供給系継ぎ手264と培地バッグ233の継ぎ手は、例えば一方のゴム状結合部に他方の針状結合部が差し込まれることで無菌的に結合される。排出系継ぎ手274と廃液バッグ234との結合についても同様である。上記培養バッグ242と、培地バッグ233及び廃液バッグ234と、を結合させる作業は、クリーンベンチ等内で無菌状態で実施される。
培養バッグ242、培地バッグ233および廃液バッグ234が上述のように接続されることで、培地バッグトレイ231における培地バッグ233内の培地が供給ポンプ261の起動により培養バッグ242へ供給され、この培養バッグ242内の使用済み培地が排出ポンプ271の起動により廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234へ排出されるという閉ループが構成される。この閉ループの構成により、当該系統(培養バッグ242、培地バッグ233、廃液バッグ234)が無菌状態に保持される。
培養バッグ242内での培養(細胞増殖)には、供給ポンプ261を起動させて、培地バッグトレイ231の培地バッグ233内の培地を培養バッグ242へ供給(流加)することで細胞を増殖させる静置培養(単純流加)と、供給ポンプ261及び排出ポンプ271を起動させて、培養バッグ242内の使用済み培地を廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234へ排出し、且つ培地バッグ233内の培地を培養バッグ242へ供給することで細胞を増殖させる灌流培養と、後述の振盪装置290を用いた振盪培養と、がある。このうち灌流培養には、使用済み培地の排出と培地の供給とを交互に実施する間欠式灌流培養と、使用済み培地の排出と培地の供給とを同時に実施する連続式灌流培養とがある。この連続式灌流培養では、通常、培養バッグ242と排出ポンプ271との間のチューブ272に細胞の移動を阻止するフィルタが配設されて、培養バッグ242内の細胞が廃液バッグ234へ排出されることが防止される。
上記廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234へは、培養バッグ242における細胞の増殖終了後に、培養バッグ242内の使用済み培地が排出されて、この培養バッグ242内の細胞が濃縮される。この使用済み培地の排出は排出ポンプ271の起動により実施され、重量計251の計測値に基づき運転制御用PLC223の制御によって、培養バッグ242内の培地及び細胞の容量が約1/2〜1/3程度になるまで実施される。この培養バッグ242内での細胞の濃縮により、その後に実施される遠心分離機による遠心分離回数が低減される。
また、廃液バッグトレイ232では、培養バッグ242における細胞が上述のように濃縮された後に、廃液バッグ234を、遠心分離機に装着可能な細胞回収容器としての細胞回収バッグに置き換え、この細胞回収バッグ内へ、培養バッグ242内で細胞が濃縮された培養液(培地及び細胞)を、排出ポンプ271の起動により供給してもよい。この場合には、チューブ272にフィルタが配設されていないことが条件となる。これにより、遠心分離機に装着可能なバッグでの細胞の回収を、閉鎖系空間である培養ユニット212内で実施でき、細胞の回収作業が省力化される。
ここで、図27に示すように、培養ユニット212内には培養バッグトレイ241が収納され、この培養バッグトレイ241が培養室240のフレーム250に支持されるが、この培養バッグトレイ241上で培養バッグ242を直接載置する載置台252は、昇降しないパーツ252aと、昇降可能な複数の連結した面積変化パーツ252b、252cと、により構成される。これらの面積変化パーツ252b、252cにより培養バッグ242の培養面積を制御することができる。また、培養バッグトレイ241の面積変化パーツ252b、252cが配置される下方位置には傾斜モータ(昇降機構)280、カム機構281及び位置決めセンサ(不図示)が設置されている。上記傾斜モータ280はカム機構281を回動させて、載置台252の上記面積変化パーツ252b、252cを互いに別個独立に昇降させる。この昇降部の位置が位置決めセンサにより検出されて、運転制御用PLC223へ送信される。傾斜モータ280は運転制御用PLC223により制御され、培養バッグ242における培養初期段階で、載置台252の面積変化パーツ252b、252cを下降させるよう制御される。これにより、培養バッグ242の面積変化パーツ252b、252cに対応する部分に液溜り部が形成される。例えば、図28に示した載置台252は面積変化パーツ252b、252cの高さをそれぞれ上下させることで培養面積を3段階に変化させることができる。なお、面積変化パーツは3以上設けても良く、これにより培養面積の調整をより微細に行うことができる。ここで、図28は、図27の載置台252の構成を示す斜視図である。
培養バッグ242における培養初期段階で細胞および培地が液溜り部に貯溜されることにより、抗体刺激に好適な培養条件、すなわち培養バッグ242内の細胞密度が増殖に好適な密度に保持される。また培養バッグ242内に培地及び細胞が所定量以上になる培養中期及び後期には、傾斜モータ280がカム機構281を介して載置台252の面積変化パーツ252b、252cを上昇させ、培養バッグ242を所定の面積のパーツだけを水平状態とすることにより上記液溜り部の面積を変化させる。培養の進行に合わせて、細胞及び培地の液溜り部の面積を変化させることにより、培養バッグ242内の面積当たりの細胞密度が増殖に好適な密度に保持されて、細胞増殖段階に細胞が効率的に増殖される。
例えば、図28に示すように載置台252が液溜まりを2段形成可能な場合、まず一番低い図28の面積変化パーツ252cの部分に培地と細胞を保持し、細胞の密度が低くならないようにする。
細胞が増殖を開始して培地量を増やした際には図28の面積変化パーツ252cの高さを1段階上げて面積変化パーツ252bと面積変化パーツ252cを同じ高さにすることで、培養可能な培養バッグ242の面積を一定量拡大する。これにより、再度増殖に好適な細胞密度を一定時間保持することができる。
さらに細胞が増殖して培地量を増やした際には面積変化パーツ252bと面積変化パーツ252cの高さをさらに一段階上げてパーツ252aと同じ高さにし、培養バッグ242全体で培養することができるようにする。
更に培養室240内には、図27に示すように、培養バッグトレイ241の培養バッグ242が配置される上方位置に振盪装置290の振盪機構291が押圧手段として設置される。この振盪装置290は、上記振盪機構291、作動モータ292、カム機構293及び位置決めセンサ(不図示)を有する。振盪機構291は、図27に示すように、装置フレーム250に、ガイドロッド250aを介して、押圧手段としての作動板291aが上下移動自在に配設され、この作動板291aの底面に複数の突出部291bが突設されたものである。作動板291aが作動モータ292により、カム機構293の作用で上方または下方に交互に移動されることで、この作動板291aの突出部291bが、振盪機構291の下方に位置する培養バッグ242を繰り返し押圧、つまり培養バッグ242に対し押圧と押圧解除を繰り返す。これにより、培養バッグ242内の培地が攪拌されて、培養バッグ242内の細胞が培地内で浮遊して移動し、この培養バッグ242内での細胞分布及び酸素濃度分布が均一化され、細胞の増殖が促進される。
上述の載置台252に代えて、図29及び図30に示す載置台352を用いて、この載置台352上に載置した培養バッグ242における培養面積を変化させることもできる。ここで、図29は、第4の実施の形態の変形例に係る載置台352の構成を示す平面図であり、(a)は昇降しないパーツ353とすべての面積変化パーツ354、355、356、357が同一平面上にある状態を示す図、(b)は面積変化パーツを下降させた状態を示す図である。図30は、図29(a)のIIIX−IIIX線に沿った一部断面図であって、(a)は面積変化パーツを下降させて、昇降しないパーツ353、面積変化パーツ355、及び面積変化パーツ357を、階段状に、別の平面上に配置した状態を示す図、(b)は4つの面積変化パーツのうち3つの面積変化パーツ355、356、357が同一平面上にある状態を示す図、(c)は昇降しないパーツ353とすべての面積変化パーツ354、355、356、357が同一平面上にある状態を示す図である。
載置台352は、図29に示すように、平面視長方形の一角352aから、この角を頂点とする二等辺三角形状に順次切り取った形状の面積変化パーツ357、356、355、354、及び昇降しないパーツ353を備える。昇降しないパーツ353は水平面上に配置される。図30に示すように、昇降しないパーツ353と面積変化パーツ354は連結部材353aにより、面積変化パーツ354と面積変化パーツ355は連結部材354aにより、面積変化パーツ355と面積変化パーツ356は連結部材355aにより、面積変化パーツ356と面積変化パーツ357は連結部材356aにより、それぞれ互いに回動可能に連結されている。連結部材353a、354a、355a、356aとしては、例えば蝶番を用いることができる。
なお、載置台352では、面積変化パーツの数は4つであったが、2〜3つでもよいし、5つ以上であってもよい。
面積変化パーツ355、357の下面には、支持脚365、367がそれぞれ接着固定されている。
図30(c)に示すように、支持脚365の下面は、載置台352の一角352a側から順に配置された水平面上の平面365a及び平面365bと、これらの平面365a、365bをつなぐ傾斜面365cからなり、平面365aは平面365bよりも下方に位置している。一方、支持脚367の下面は、載置台352の一角352a側から順に配置された水平面上の平面367a、367b、367cと、平面367aと367bをつなぐ傾斜面367dと、平面367bと平面367cをつなぐ傾斜面367eと、からなり、平面367aは367bよりも、367bは平面367cよりも、下方に位置している。また、平面365aの面積変化パーツ355からの距離は、平面367aの面積変化パーツ357からの距離と同一であり、平面365bの面積変化パーツ355からの距離は、367bの面積変化パーツ357からの距離と同一である。
載置台352の下方には、モータ380により、図29(a)のIIIX−IIIX線に沿って(図30(b)の矢印A方向に)移動可能な高さ調整板370が配置されている。この高さ調整板370上には、面積変化パーツを昇降させるための昇降部材375、377が接着固定されている。
図30(c)に示すように、昇降部材375の上面は、載置台352の一角352a側から順に配置された水平面上の平面375b及び平面375aと、これらの平面375a、375bをつなぐ傾斜面375cからなり、平面375aは平面375bよりも上方に位置している。一方、昇降部材377の上面は、載置台352の一角352a側から順に配置された水平面上の平面377c、377b、377aと、平面377aと平面377bをつなぐ傾斜面377dと、平面377bと平面377cをつなぐ傾斜面377eと、からなり、平面377aは平面377bよりも、平面377bは平面377cよりも、上方に位置している。昇降部材377の上面は支持脚367の下面に対応した形状を備えており、傾斜面377d、377eを支持脚367の傾斜面367e、367dにそれぞれ当接させたとき、平面377a、377b、377cは支持脚367の平面367c、367b、367aにそれぞれ当接する。また、平面375aの高さ調整板370の上面からの距離は、平面377aの高さ調整板370の上面からの距離と同一であり、平面375bの高さ調整板370の上面からの距離は、平面377bの高さ調整板370の上面からの距離と同一である。
つづいて、図30を参照しつつ、高さ調整板370を矢印A方向に移動させることにより面積変化パーツを昇降させる操作例について説明する。
図30(a)に示すように、支持脚367の平面367a、367b、367c、傾斜面367d、367eを、昇降部材377の平面377c、377b、377a、にそれぞれ当接させると、傾斜面365cと傾斜面375cとが離間した状態で、支持脚365の平面365a、365bと、昇降部材375の平面375b、375aと、がそれぞれ当接する。この結果、面積変化パーツ355と面積変化パーツ357が水平方向に沿って配置されると同時に面積変化パーツ354と面積変化パーツ356が鉛直方向に配置されて、載置台352は、載置台352の一角352a側から順に高くなる階段状をなす。
図30(a)に示す状態から、モータ380により、高さ調整板370を矢印A方向に移動させていくと、支持脚367は昇降部材377の上面の形状に沿って上昇する(図30(b))。これにより、支持脚367の平面367a、367b、傾斜面367dが、昇降部材377の平面377b、377a、傾斜面377dにそれぞれ当接する。一方、昇降部材375は、傾斜面365cと傾斜面375cとが当接するまで、平面365a、365bと、平面375b、375aとが当接したまま支持脚365に対して相対移動する。この結果、図30(b)に示すように、4つの面積変化パーツのうち3つの面積変化パーツ355、356、357が同一平面上にある状態となる。
さらに、図30(b)に示す状態から、モータ380により、高さ調整板370を矢印A方向に移動させていくと、支持脚367は昇降部材377の上面の形状に沿ってさらに上昇する(図30(c))。これにより、支持脚367の平面367aが、昇降部材377の平面377aに当接する。一方、支持脚365は、昇降部材375の上面の形状に沿って上昇し、支持脚365の平面365aと昇降部材375の平面375aとが当接する。これにより、図30(c)に示すように、昇降しないパーツ353とすべての面積変化パーツ354、355、356、357が同一平面上に配置される。
以上のように、高さ調整板370を移動させることにより、面積変化パーツ354〜357を昇降制御することができるため、所望部分を液溜り部とすることができる。
更に培養室240内には、図27に示すように、培養バッグトレイ241の培養バッグ242が配置される上方位置に振盪装置290の振盪機構291が押圧手段として設置される。この振盪装置290は、上記振盪機構291、作動モータ292、カム機構293及び位置決めセンサ(不図示)を有する。振盪機構291は、図27に示すように、装置フレーム250に、ガイドロッド250aを介して、押圧手段としての作動板291aが上下移動自在に配設され、この作動板291aの底面に複数の突出部291bが突設されたものである。作動板291aが作動モータ292により、カム機構293の作用で上方または下方に交互に移動されることで、この作動板291aの突出部291bが、振盪機構291の下方に位置する培養バッグ242を繰り返し押圧、つまり培養バッグ242に対し押圧と押圧解除を繰り返す。これにより、培養バッグ242内の培地が攪拌されて、培養バッグ242内の細胞が培地内で浮遊して移動し、この培養バッグ242内での細胞分布及び酸素濃度分布が均一化され、細胞の増殖が促進される。
また、図27に示すように、上記位置決めセンサにより作動板291aの位置が検出されて運転制御用PLC223へ送信され、かつ重量計251の計測値がこのPLC223により作動モータ292が制御される。上記振盪装置290を用いた培養バッグ242内での細胞培養(振盪培養)は、培養バッグ242内に培地及び細胞が一杯程度に満たされる前に実施されてもよく、または一杯程度に満たされた後に実施されてもよい。この振盪装置290は、作動版の検出位置及び重量計251の計測値に基づいて、運転制御用PLC223により制御される。
また、培養室240内には、図27に示すように、培養バッグ242の抗体を固層化した部位が配置される位置の上方に照明ランプ301が、下方に画像取得手段としてのCCDカメラ302が設置される。CCDカメラ302には、観察形態などに応じて、レンズ、プリズム、鏡筒その他の光学機器を追加使用する。照明ランプ301は、培養バッグ242を上方から照明するものである。CCDカメラ302は、培養バッグ242内の細胞を下方から撮影して、その画像を取得するものである。これらの照明ランプ301の照明動作とCCDカメラ302の撮影動作は運転制御用PLC223により制御され、所定時間(例えば6時間)毎に培養バッグ242内の細胞の画像が取得される。所定時間毎の細胞画像は画像処理用ユニット221の画像メモリ回路(不図示)に記憶される。
前記画像処理用ユニット221は、画像処理用ユニット221の画像メモリ回路内に記憶された所定時間毎の細胞画像を画像処理、例えば2値化処理や多値化処理して、単一細胞の投影面積の平均値と、単一細胞が凝集した細胞凝集塊である非単一細胞の増加速度とを細胞培養の評価パラメータとして算出する。単一細胞の投影面積の平均値(単一細胞の平均投影面積)は、培養バッグトレイ241に培養バッグ242を装着し、この培養バッグトレイ241を培養室240内に収納して培養を開始した時から例えば24時間経過後の細胞画像から算出する。
また、上述の非単一細胞であるか否かの判断は投影面積が100μmを基準として、100μm以上の場合を非単一細胞と判断し、100μm以下のものを単一細胞と判断している。これは、培養初期の単一細胞の投影面積を測定した結果、すべて100μm以下であったためである。細胞の経時的な画像(例えば、培養開始から24時間、48時間、72時間経過後の画像)から、全細胞に対する非単一細胞の割合の変化を演算して、非単一細胞の増加速度を算出する。この非単一細胞の増加速度と上記単一細胞の平均投影面積は、画像処理用ユニット221から運転制御用PLC223へ出力される。
運転制御用PLC223は、単一細胞の平均投影面積からラグタイムを算出し、当該細胞の増殖開始時期を推定する。ここで、上記ラグタイムとは、培養バッグトレイ241の抗体固層部に細胞を接種してから増殖開始までに要する誘導期の時間である。運転制御用PLC223は、細胞の増殖開始時期から当該細胞の培養状況、つまり当該細胞が抗体の刺激により増殖の可能性があるか否かを判断してこの細胞の良否を判定する。この判定に基づいて、運転制御用PLC223は増殖可能性が著しく低い細胞について、本細胞培養装置200での培養を中止する。
また、運転制御用PLC223は、非単一細胞の増加速度から当該細胞の最小倍化時間を算出する。ここで、上記最小倍化時間とは、ある時間における細胞の細胞数が倍の細胞数になるまでに要する時間をいう。運転制御用PLC223は、この最小倍化時間から当該細胞の培養状況、つまり当該細胞の増殖能力を判断して、培養バッグ242へ培地を流加させるタイミングや流加速度などを決定する。
制御手段として機能する運転制御用PLC223及び画像処理用ユニット221は、図示しないが、演算や制御を実行するCPUと、処理プログラムやデータを記憶する記憶装置(メモリ)と、データやコマンドなどを入力するためのキーボード、マウスまたはタッチパネルなどの入力装置やモニタなどの出力装置との接続を行う入出力回路とを有して構成される。更に、画像処理用ユニット221には、CCDカメラ302からの画像データを記憶する画像メモリ回路を備える。
画像処理用ユニット221の記憶装置には、CCDカメラ302が所定時間毎に撮影した培養バッグ242内の細胞の画像を画像処理(例えば2値化処理や多値化処理)して、細胞培養の評価パラメータ(単一細胞の平均投影面積、非単一細胞の増加速度)などを算出するためのプログラムが記憶されている。
また、運転制御用PLC223の記憶装置には、細胞培養の評価パラメータから細胞の培養状況(細胞の増殖可能性、細胞の増殖能力)を判定するためのプログラムと、この細胞の培養状況に応じて細胞培養装置200及び培養ユニット212に関する機器(例えば供給ポンプ261、排出ポンプ271など)を制御し、培養操作を実行するためのプログラムとが記憶されている。更に、この運転制御用PLC223の記憶装置には、細胞培養装置200及び培養ユニット212の各種センサからの信号に基づいて、これらの培養装置210及び培養ユニット212に関する機器を制御する機器制御用のプログラムも記憶されている。画像処理用ユニット221の記憶装置には、CCDカメラ302を所定時間毎に制御して細胞の画像を取得するなどの機器制御用のプログラムも記憶されている。
次に、運転制御用PLC223及び画像処理用ユニット221が上記プログラムを実行して細胞を培養する工程を、図31〜図40の工程図に示すフローチャートを用いて説明する。
図31及び図32は、抗体刺激間欠式灌流培養工程を示し、培養バッグ242に細胞を回収する場合である。
まず、図31に示すように、操作者は、クリーンベンチ等内で培養バッグ242に抗体を固層化し(図31のW01)、培地を投入し、細胞を接種させた培養バッグ242を、培養バッグトレイ241に装着する。引き続き、操作者はクリーンベンチ等内で培地を投入した培地バッグ233を培地バッグトレイ231に装着し、廃液バッグ234を廃液バッグトレイ232に装着し、培養バッグ242と、培地バッグ233および廃液バッグ234と、を供給継ぎ手264および廃液継ぎ手274によってそれぞれ連結する(図31のW02)。
次に、操作者は、この培養バッグトレイ241、培地バッグトレイ231及び廃液バッグトレイ232を細胞培養装置200の、表示灯が例えば緑色に点灯された単一の培養ユニット212内に搬入し、培養バッグトレイ241は培養室240のフレーム250に支持させて、培地バッグトレイ231及び廃液バッグトレイ232は低温室230に設置する。そして、操作者は、培養バッグ242のポンプチューブ262、272を供給ポンプ261及び排出ポンプ271にそれぞれ接続する(図31のW03)。
次に、操作者は、培養ユニット212に収納した培養バッグ242におけるCCDカメラ302の画像出力を確認する(図31のW05)。この画像出力確認の前に、操作者は当該培養ユニット212の傾斜モータ280を起動させて載置台252の面積変化パーツ252b、252cを下降させ、培養バッグ242に液溜り部を形成しておく(図31のW04)。更に操作者は、当該培養ユニット212の重量計251により、設置された培養バッグ242の重量を計測しておく。
その後、操作者は、培養ユニットドアを閉めて当該培養ユニット212内で細胞の培養を開始させる(図31のW06)。これにより、培養バッグ242の液溜り部において、増殖のために抗体により細胞が刺激される(図31のW07)。当該培養ユニット212のCCDカメラ302は、培養バッグ242の液溜り部の細胞を所定時間(例えば6時間)毎に撮影し、画像処理用ユニット221は、この撮像画像から細胞培養の評価パラメータを算出する。運転制御用PLC223は、この評価パラメータからラグタイムを算出して、当該細胞が抗体により刺激を受けて増殖の可能性があるか否か判定し、更に最小倍化時間を算出して、当該細胞の増殖能力を判定する(図31のW08)。
運転制御用PLC223は、細胞が培養バッグ242内で抗体により刺激されてから所定時間(例えば24時間)経過しても増殖の可能性が認められない場合には、本細胞培養装置200での細胞の培養を中止する(図31のW08´)。運転制御用PLC223は、培養バッグ242内の細胞に増殖の可能性があると判断したときには、当該細胞の増殖能力に基づいて、当該培養バッグ242内への培地の流加速度やタイミングなどを決定する。運転制御用PLC223は、この決定に基づき供給ポンプ261を作動して、培地バッグトレイ231の培地バッグ233内の培地を培養バッグ242へ流加させる(図31のW09)。
この供給ポンプ261の作動により、培養バッグ242内で所定の面積の液溜り部において細胞の静置培養が開始される(図31のW10)。運転制御用PLC223は、重量計251により計測される培養バッグ242内の培地及び細胞の重量が所定値a以上となったか否かを判断し(図31のW11)、所定値a以上となった時点で傾斜モータ280を起動させ、カム機構281を介して載置台252の面積変化パーツ252b、252cを上昇させ、培養バッグ242の所定の面積を水平状態として液溜り部を変化させる(図31のW12)。この工程は載置台252に形成された段差がすべて解消され、培養バッグ242が水平となるまで繰り返される(図31のW13)。
その後、運転制御用PLC223は、重量計251により計測される培養バッグ242内の培地及び細胞の重量が所定値b以上になったか否かを判断し(図31のW14)、所定値b以上になった時点で作動モータ292を起動させる。これにより、振盪装置290が作動して、振盪装置290の振盪機構291が培養バッグ242を繰り返し押圧する振盪培養を開始する(図31のW15)。運転制御用PLC223は、引き続き、重量計251により計測される培養バッグ242内の培地及び細胞の重量が所定値c以上となったか否かを判断し(図32のW16)、所定値c以上となった時点で、供給ポンプ261を停止して培地バッグトレイ231の培地バッグ233から培養バッグ242への培地の流加を停止し(図32のW17)、作動モータ292を停止して培養バッグ242内での振盪培養を停止する(図32のW18)。
運転制御用PLC223は、培養バッグ242内で細胞が沈降した後に、排出ポンプ271を作動させて、培養バッグ242内の使用済み培地(培養バッグ242内の上澄み)を廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234へ排出する(図32のW19)。その後、運転制御用PLC223は、重量計251により計測される培養バッグ242内の培地及び細胞の重量が所定値d以下になったか否かを判断し(図32のW20)、所定値d以下になった時点で、排出ポンプ271を停止して、培養バッグ242からの使用済み培地の排出を停止する(図32のW21)。そして供給ポンプ261を起動して培地バッグトレイ231の培地バッグ233から培養バッグ242へ培地を流加させ、作動モータ292を起動して、振盪装置290により培養バッグ242内で振盪培養を実施する(図32のW22)。所定時間経過後、運転制御用PLC223は、供給ポンプ261を停止して培地バッグトレイ231の培地バッグ233から培養バッグ242への培地流加を停止し、作動モータ292を起動したまま振盪培養を継続する(図32のW23)。
運転制御用PLC223は、増殖される細胞の使用日時に依存した所望の培養期間に至ったか否かを判断し、または画像処理用ユニット221が、培養バッグ242内での細胞が所望の細胞数に到ったか否かを判断する(図32のW24)、これらの培養期間または細胞数に至っていない場合には、ステップW18〜W23の処理動作を繰り返す。細胞数の測定を行う場合は振盪装置290を一度停止し、細胞が沈降するまで待つ。次いで、CCDカメラ302で培養バッグ242内の画像を撮影する。画像処理用ユニット221は取得した画像からバッグ内に存在する細胞数を推定・算出する。
上記ステップW18〜W23は、培養バッグ242内で使用済みの培地の排出と、培養バッグ242内への新しい培地の供給(流加)とを交互に実施する間欠式灌流培養である。
運転制御用PLC223は、ステップW24において所望の培養期間または細胞数に至った時点で、図32に示すように作動モータ292を停止して、培養バッグ242内での振盪培養を停止する(図32のW25)。次いで、培養バッグ242内で細胞が沈降した後に排出ポンプ271を起動させ、培養バッグ242内の使用済み培地を廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234へ排出して、重量計251の計測値に基づき、培養バッグ242内の培地及び細胞が約1/2〜1/3程度になるまで細胞を濃縮させる(図32のW26)。
運転制御用PLC223は、その後排出ポンプ271を停止して細胞培養を終了する(図32のW27)。この培養終了後に、操作者により培養バッグ242内の細胞がクリーンベンチ等内で遠心分離機用の容器に移され、その後、遠心分離によって細胞が回収される(図32のW28)。
次に、同様な抗体刺激間欠式灌流培養工程において、細胞回収バッグにより細胞を回収する処理が含まれる場合を図33及び図34に示す。従って、この図33及び図34に示す工程のステップW31〜W56は、図31及び図32のステップW01〜W26と同様であるため説明を省略する。
図34に示すステップW56において、排出ポンプ271の起動により培養バッグ242内の細胞が濃縮された後、運転制御用PLC223は排出ポンプ271を停止し、廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234を細胞回収バッグに交換するように操作者に促す(図34のW57)。この細胞回収バッグは、遠心分離機に装着されて遠心分離に使用され得るバッグである。
廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234が細胞回収バッグに交換された後、運転制御用PLC223は排出ポンプ271及び作動モータ292を起動する。次いで、振盪装置290により培養バッグ242内を振盪させながら、この培養バッグ242内の細胞を培地と共に廃液バッグトレイ232に装着した細胞回収バッグへ移行させる(図34のW58)。運転制御用PLC223は、その後排出ポンプ271及び作動モータ292を停止して培養バッグ242からの細胞回収を停止し、細胞培養を終了する(図34のW59)。この細胞回収終了後に、操作者により細胞回収バッグが遠心分離機に装着されて、遠心分離により細胞が回収される(図34のW60)。
次に、抗体刺激連続式灌流培養工程を、この工程の処理動作を示す図35及び図36に基づいて説明する。この図35及び図36に示す抗体刺激連続式灌流培養工程におけるステップX01〜X15は、図31及び図32の抗体刺激間欠式灌流培養工程におけるステップW01〜W15と同様であるため説明を省略する。
この抗体刺激連続式灌流培養工程では、培養バッグ242と排出ポンプ271との間にフィルタ(不図示)が配設されている。
運転制御用PLC223は、培養バッグ242内へ培地バッグトレイ231の培地バッグ233から培地が流加されて、培養バッグ242内での振盪装置290による振盪培養が行われている間に、培養バッグ242内の培地及び細胞の重量が所定値c以上となった時点(図36のX16)で排出ポンプ271を起動させて、培養バッグ242内の使用済み培地を廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234へ排出させる。これにより、培養バッグ242への培地の流加と培養バッグ242からの培地の排出とを同時に実施する連続式灌流培養が培養バッグ242内で開始される(図36のX17)。このとき、培養バッグ242内の細胞は、フィルタにより流動が阻止されて廃液バッグ234内へ流動することはない。なお、上記連続式灌流培養中には、振盪装置290による振盪培養も同時に実施されている。
運転制御用PLC223は、増殖される細胞の使用日時に依存した所望の培養期間に至ったか否かを判断し、または画像処理用ユニット221が、培養バッグ242内での細胞が所望の細胞数に到ったか否かを判断する(図36のX18)。これらの培養期間または細胞数に至っていない場合には、ステップX17の連続式灌流培養を繰り返す。細胞数の測定を行う場合は振盪装置290を一度停止し、細胞が沈降するまで待つ。次いで、CCDカメラ302で培養バッグ242内の画像を撮影する。画像処理用ユニット221は取得した画像からバッグ内に存在する細胞数を推定・算出する。
運転制御用PLC223は、ステップX18における所望の培養期間または細胞数に至った時点で、供給ポンプ261、排出ポンプ271及び作動モータ292を停止させて、灌流培養及び振盪培養を停止させる(図36のX19)。運転制御用PLC223は、培養バッグ242内で細胞が沈降した後に、排出ポンプ271を起動させ、培養バッグ242内の使用済み培地を廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234へ排出させ、重量計251の計測値に基づき、培養バッグ242内の培地及び細胞が約1/2〜1/3程度になるまで細胞を濃縮させる(図36のX20)。濃縮過程において振盪装置を停止させるのは多量の細胞がチューブに流入し、フィルタが目詰まりするのを防ぐためである。
運転制御用PLC223は、その後排出ポンプ271を停止して細胞培養を終了する(図36のX21)。この培養終了後に、操作者により培養バッグ242内の細胞がクリーンベンチ等内で遠心分離機用の容器に移され、その後、遠心分離によって細胞が回収される(図36のX22)。
次に、抗体刺激単純流加培養工程を、この工程の処理動作を示す図37及び図38に基づいて説明する。この図37及び図38に示す抗体刺激連続式灌流培養工程におけるステップY01〜Y15は、図31及び図32の抗体刺激間欠式灌流培養工程におけるステップW01〜W15と同様であるため説明を省略する。
運転制御用PLC223は、重量計251により計測される培養バッグ242内の培地及び細胞の重量が所定値c以上となったか否かを判断し(図38のY16)、所定値c以上となった時点で、供給ポンプ261を停止して培地バッグトレイ231の培地バッグ233から培養バッグ242への培地の流加を停止し、作動モータ292を起動したまま振盪培養を継続する(図38のY17)。
運転制御用PLC223は、増殖される細胞の使用日時に依存した所望の培養期間に至ったか否かを判断し、または画像処理用ユニット221が培養バッグ242内での細胞が所望の細胞数に到ったか否かを判断する(図38のY18)、これらの培養期間または細胞数に至っていない場合には、振盪培養を継続する(Y18でNo)。
細胞数の測定を行う場合は振盪装置290を一度停止し、細胞が沈降するまで待つ。次いで、CCDカメラ302で培養バッグ242内の画像を撮影する。画像処理用ユニット221は取得した画像からバッグ内に存在する細胞数を推定・算出する。
運転制御用PLC223は、ステップY18において所望の培養期間または細胞数に至った時点で、図38に示すように作動モータ292を停止して、培養バッグ242内での振盪培養を停止し(図38のY19)、培養バッグ242内で細胞が沈降した後に、排出ポンプ271を起動させ、培養バッグ242内の使用済み培地を廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234へ排出して、重量計251の計測値に基づき、培養バッグ242内の培地及び細胞が約1/2〜1/3程度になるまで細胞を濃縮させる(図38のY20)。
運転制御用PLC223は、その後排出ポンプ271を停止して細胞培養を終了する(図38のY21)。この培養終了後に、操作者により培養バッグ242内の細胞がクリーンベンチ等内で遠心分離機用の容器に移され、その後、遠心分離によって細胞が回収される(図38のY22)。
次に、同様な抗体刺激単純流加培養工程において、細胞回収バッグにより細胞を回収する処理が含まれる場合を、この処理動作を示す図39及び図40に示す。従って、この図39及び図40に示す工程のステップY31〜Y50は、図37及び図38のステップY01〜Y20と同様であるため説明を省略する。
図40に示すステップY50において、排出ポンプ271の起動により培養バッグ242内の細胞が濃縮された後、運転制御用PLC223は、排出ポンプ271を停止し、廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234を細胞回収バッグに交換するように操作者に促す(図40のY51)。この細胞回収バッグは、遠心分離機に装着されて遠心分離に使用され得るバッグである。
廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234が細胞回収バッグに交換された後、運転制御用PLC223は排出ポンプ271及び作動モータ292を起動させて、振盪装置290により培養バッグ242内を振盪させながら、この培養バッグ242内の細胞を培地と共に、廃液バッグトレイ232に装着された細胞回収バッグへ移行させる(図40のY52)。運転制御用PLC223は、その後第排出ポンプ271及び作動モータ292を停止して培養バッグ242からの細胞回収を停止し、細胞培養を終了する(図40のY53)。この細胞回収終了後に、操作者により細胞回収バッグが遠心分離機に装着されて、遠心分離により細胞が回収される(図40のY54)。
以上のように構成されたことから、上記実施の形態によれば、次の効果(1)〜(7)を奏する。
(1)CCDカメラ302が撮像した培養バッグ242内の細胞の画像を、画像処理用ユニット221が画像処理して細胞培養の評価パラメータ(単一細胞の平均投影面積、非単一細胞の増加速度)を取得し、運転制御用PLC223が当該細胞の培養状況(細胞の増殖可能性及び増殖能力)を判定評価し、この培養状況に応じた培養操作(培地バッグ233から培養バッグ242への所定流加速度での培地流加やタイミング)を実施する。この結果、細胞の培養状況を非接触状態で判定できるので当該細胞にダメージを与えることがなく、また、培養操作を操作者が逐次実施する必要がないので操作者の労力を軽減できる。更に、一患者の細胞を単一の培養ユニット212内に収納される培養バッグ242に接種させ、この細胞ごとに、細胞の培養状況に応じた培養操作を実施できるので適切な培養操作を実現できる。この細胞の培養状況に応じた適切な培養操作を実現できることで、時間単位での培養操作が可能となり、培養が促進されて培養期間を短縮できる。
(2)培地バッグ233、廃液バッグ234および培養バッグ242をクリーンベンチ等内で連結し、培養ユニット212に設置するため閉ループに構成されたことから、完全閉鎖系の無菌状態に保持することができる。
(3)培養バッグトレイ241、培地バッグトレイ231及び廃液バッグトレイ232を培養開始時に培養ユニット212内に設置してから、培養終了までは自動で培養工程が実施されるため、環境変化に伴う培養バッグ242内の細胞へのダメージを低減できると共に、クリーンベンチ等内で培養バッグ242に培地を供給する無菌操作を省略できる。
(4)培養バッグ242内での培養初期段階の抗体刺激と細胞増殖を同一培養バッグ242内で行い、この培養バッグ242内で細胞及び培地が貯溜される液溜り部を所定の面積で変化させることができることから、培養中の面積当たりの細胞密度を増殖に好適な密度に維持することで、細胞を効率よく増殖させることができる。
(5)培養バッグ242内の使用済み培地が廃液バッグトレイ232の廃液バッグ234に排出されて貯溜されることから、培養バッグ242の細胞密度を高めて濃縮することができるので、細胞回収のための遠心分離操作回数を低減できる。この結果、細胞回収作業の省力化を実現できると共に、遠心分離に伴う細胞のダメージも低減できる。
(6)培養バッグ242内で濃縮された細胞を、廃液バッグトレイ232に装着された細胞回収バッグに全量回収させる場合には、この細胞回収バッグを遠心分離機に直接装着して細胞を回収することができるので、細胞回収作業の省力化を実現できる。
(7)細胞が接種された培地を収容する可撓性の培養バッグ242を、振盪装置290の振盪機構291における作動板291aの突出部291bが繰り返し押圧して、当該培養バッグ242内の培地を撹拌することから、この培養バッグ242内の細胞分布及び酸素濃度分布を均一化できるので、細胞の増殖が促進されて、細胞の培養効率を向上させることができる。
また、細胞は、振盪装置290の作動板291aにより繰り返し押圧されて撹拌された培地内を浮遊するだけなので、ダメージを蒙ることが防止される。
本発明に係る細胞培養装置における第1の実施の形態を示す構成図である。 図1の恒温槽を示す斜視図である。 図1の恒温槽におけるキャニスタ内に収納される培養カセットを示す斜視図である。 図3の培養バッグトレイ、培地カセット及び細胞接種カセットをそれぞれ示す斜視図である。 図2の恒温槽における一つのキャニスタと、このキャニスタ内に収納される培養カセットとからなる培養ユニットの構成を示すレイアウト図である。 図5の培養ユニットの制御系統を示すブロック図である。 図5の振盪装置の振盪機構を示し、(A)が斜視図、(B)が側面図である。 図5の培養ユニットにおける培養手順を示す工程図である。 図5の培養ユニットにおける培養手順を示し、図8に続く工程図である。 図5の培養ユニットにおける培養手順を示し、図9に続く工程図である。 図5の培養ユニットにおける培養手順を示し、図10に続く工程図である。 図5の培養ユニットにおける誘導因子刺激間欠式灌流培養工程の処理動作を示すフローチャートである。 図12の処理動作の続きを示すフローチャートである。 図5の培養ユニットにおける誘導因子刺激間欠式灌流培養工程(細胞回収バッグによる細胞回収処理を含む)の処理動作を示すフローチャートである。 図14の処理動作の続きを示すフローチャートである。 図5の培養ユニットにおける誘導因子刺激連続式灌流培養工程の処理動作を示すフローチャートである。 図16の処理動作の続きを示すフローチャートである。 図1の細胞培養システムの細胞培養前における細胞培養関連データの流れを示す図である。 図1の細胞培養システムの細胞培養中における細胞培養関連データの流れを示す図である。 図1の細胞培養システムの細胞培養後における細胞培養関連データの流れを示す図である。 本発明に係る細胞培養装置の第2の実施の形態における培養ユニットの構成(分化誘導状態)を示すレイアウト図である。 図21の培養ユニットの分化誘導前状態の構成を示すレイアウト図である。 図21及び図22の培養ユニットにおける分化誘導間欠式灌流培養工程の処理動作を示すフローチャートである。 図23の処理動作の続きを示すフローチャートである。 本発明に係る細胞培養システムにおける第3の実施の形態を示す構成図である。 本発明に係る細胞培養装置の第4の実施の形態を示す構成図である。 第4の実施の形態に係る細胞培養装置における一つの空間的に独立した培養室と低温室、この培養室内に収納される培養バッグトレイと低温室に収納される培地バッグ・廃液バッグトレイからなる培養ユニットの構成を示すレイアウト図である。 図27の載置台の構成を示す斜視図である。 第4の実施の形態の変形例に係る載置台の構成を示す平面図であり、(a)は昇降しないパーツとすべての面積変化パーツが同一平面上にある状態を示す図、(b)は面積変化パーツを下降させた状態を示す図である。 図29(a)のIIIX−IIIX線に沿った一部断面図であって、(a)は面積変化パーツを下降させて、昇降しないパーツと面積変化パーツを、階段状に、別の平面上に配置した状態を示す図、(b)は4つの面積変化パーツのうち3つの面積変化パーツが同一平面上にある状態を示す図、(c)は昇降しないパーツとすべての面積変化パーツが同一平面上にある状態を示す図である。 図27の培養ユニットにおける抗体刺激間欠式灌流培養工程において、培養バッグに細胞を回収する処理が含まれる場合の処理動作を示すフローチャートである。 図31の処理動作の続きを示すフローチャートである。 図27の培養ユニットにおける抗体刺激間欠式灌流培養工程において、細胞回収バッグに細胞を回収する処理が含まれる場合の処理動作を示すフローチャートである。 図33の処理動作の続きを示すフローチャートである。 図27の培養ユニットにおける抗体刺激連続式灌流培養工程の処理動作を示すフローチャートである。 図35の処理動作の続きを示すフローチャートである。 図27の培養ユニットにおける抗体刺激単純流加培養工程の処理動作を示すフローチャートである。 図37の処理動作の続きを示すフローチャートである。 図27の培養ユニットにおける抗体刺激単純流加培養工程において、細胞回収バッグにより細胞を回収する処理が含まれる場合の処理動作を示すフローチャートである。 図39の処理動作の続きを示すフローチャートである。
符号の説明
10 細胞培養装置(細胞培養システム)
11 恒温槽
12 培養ユニット
13 運転制御盤
14 画像処理用コンピュータ
15 監視用コンピュータ
16 キャニスタ
17 培養カセット
18 培養バッグ(増殖用培養容器)
19 細胞接種カセット(機能発現用培養容器、誘導因子刺激用培養容器)
20 培地カセット(培地貯溜手段)
46 載置台
47 培養バッグトレイ
48 第1ポンプ
49 第2ポンプ
65 誘導因子刺激容器
67 培地バッグ(培地貯溜容器)
68 使用済み培地バッグ(使用済み培地貯溜容器)
72 細胞回収バッグ(細胞回収容器)
80 振盪装置
85 作動板
86 突出部
87 照明用LED
88 CCDカメラ(画像取得手段)
89 画像メモリ回路
91 振盪機構(押圧手段)
94 培養室
95 監視室 100 細胞培養装置
101 分化誘導カセット(分化誘導用培養容器)
104 公衆通信回線
105 遠隔監視用コンピュータ
200 細胞培養装置
212 培養ユニット
221 画像処理用ユニット
230 低温室
231 培地バッグトレイ
232 廃液バッグトレイ
233 培地バッグ(培地貯溜手段、培地貯溜容器)
234 廃液バッグ(廃液貯溜手段、使用済み培地貯溜容器)
240 培養室
241 培養バッグトレイ
242 培養バッグ(抗体刺激用培養容器、増殖用培養容器)
252 載置台
252b 面積変化パーツ
252c 面積変化パーツ
261 供給ポンプ
271 排出ポンプ
290 振盪装置
291 振盪機構
291a 作動板(押圧手段)
291b 突出部
302 CCDカメラ(画像取得手段)
352 載置台
354 面積変化パーツ
355 面積変化パーツ
356 面積変化パーツ
357 面積変化パーツ
370 高さ調整板

Claims (66)

  1. 細胞を培養する培養容器と、
    この培養容器へ供給される培地を貯溜する培地貯溜手段と、
    上記培養容器内の細胞の画像を取得する画像取得手段と、
    この画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定し、この判定に基づき培養操作を実行させる制御手段と、を有することを特徴とする細胞培養装置。
  2. 上記培養容器は、細胞を増殖するための増殖用培養容器と、細胞に機能を発現させるための機能発現用培養容器とであり、この機能発現用培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得することを特徴とする請求項1に記載の細胞培養装置。
  3. 上記機能発現用培養容器は、増殖のために誘導因子により細胞を刺激する誘導因子刺激用培養容器であり、
    制御手段は、上記誘導因子刺激用培養容器内の細胞の画像に基づき、細胞の増殖可能性と細胞の増殖能力を判定し、上記誘導因子刺激用培養容器から増殖用培養容器へ細胞を移行させるタイミング、培地貯溜手段から上記増殖用培養容器への培地の供給などの培養操作を制御することを特徴とする請求項2に記載の細胞培養装置。
  4. 上記機能発現用培養容器は、細胞を分化させる分化誘導用培養容器であり、
    制御手段は、上記分化誘導用培養容器内の細胞の画像に基づき、分化誘導操作を制御することを特徴とする請求項2に記載の細胞培養装置。
  5. 上記培地貯溜手段はカセット構造に構成されて、培養容器に接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の細胞培養装置。
  6. 上記機能発現用培養容器はカセット構造に構成されて、増殖用培養容器及び培地貯溜手段に接続されることを特徴とする請求項5に記載の細胞培養装置。
  7. 上記培地貯溜手段、機能発現用培養容器及び増殖用培養容器が閉鎖系にて構成されたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の細胞培養装置。
  8. 上記増殖用培養容器には液溜り部が形成可能に設けられ、当該増殖用培養容器内での培養初期段階で、上記液溜り部に細胞及び培地が貯溜されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の細胞培養装置。
  9. 上記増殖用培養容器内で増殖された細胞を機能発現用培養容器内へ導き、この細胞の画像が画像取得手段により取得されることを特徴とする請求項2乃至8のいずれかに記載の細胞培養装置。
  10. 上記培地貯溜手段には、使用済み培地を貯溜可能な使用済み培地貯溜容器が、培養容器へ供給する培地を貯溜可能な培地貯溜容器と共に設置され、増殖用培養容器内の使用済み培地が上記使用済み培地貯溜容器に排出されて貯溜されるよう構成されたことを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載の細胞培養装置。
  11. 上記培地貯溜手段には、細胞を回収する細胞回収容器が装着可能とされ、増殖用培養容器内で濃縮された細胞が上記細胞回収容器内に回収されるよう構成されたことを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記載の細胞培養装置。
  12. 上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の細胞培養装置。
  13. 上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の細胞培養装置。
  14. 細胞を培養する培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得し、
    この画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定し、
    この判定に基づき上記培養容器へ培養操作を実行することを特徴とする細胞培養方法。
  15. 上記培養容器は、細胞を増殖するための増殖用培養容器と、細胞に機能を発現させるための機能発現用培養容器とであり、この機能発現用培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得することを特徴とする請求項14に記載の細胞培養方法。
  16. 上記機能発現用培養容器は、増殖のために誘導因子により細胞を刺激する誘導因子刺激用培養容器であり、
    上記誘導因子刺激用培養容器内の細胞の画像に基づき、細胞の増殖可能性と細胞の増殖能力を判定し、上記誘導因子刺激用培養容器から増殖用培養容器へ細胞を移行させるタイミング、培地貯溜手段から上記増殖用培養容器への培地の供給などの培養操作を実行することを特徴とする請求項15に記載の細胞培養方法。
  17. 上記機能発現用培養容器は、細胞を分化させる分化誘導用培養容器であり、
    上記分化誘導用培養容器内の細胞の画像に基づき、分化誘導操作を実行することを特徴とする請求項15に記載の細胞培養方法。
  18. 上記増殖用培養容器内での培養初期段階では、上記増殖用培養容器の液溜り部に細胞及び培地を貯溜することを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載の細胞培養方法。
  19. 上記増殖用培養容器内で増殖された細胞を機能発現用培養容器内へ導き、この細胞の画像を画像取得手段が取得することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載の細胞培養方法。
  20. 上記増殖用培養容器内の使用済み培地を、培地貯溜手段の使用済み培地貯溜容器に排出することを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載の細胞培養方法。
  21. 上記増殖用培養容器内で濃縮された細胞を、培地貯溜手段の細胞回収容器内に回収することを特徴とする請求項15乃至20のいずれかに記載の細胞培養方法。
  22. 上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とする請求項14乃至21のいずれかに記載の細胞培養方法。
  23. 上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする請求項14乃至22のいずれかに記載の細胞培養方法。
  24. 細胞の培養を実行するためにコンピュータに記憶した細胞培養プログラムであって、
    細胞を培養する培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得する手順と、
    この画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定する手順と、
    この判定に基づき上記培養容器へ培養操作を実行する手順と、を有することを特徴とする細胞培養プログラム。
  25. 細胞の培養を実行するためにコンピュータに記憶した細胞培養プログラムであって、
    細胞に機能を発現させるための機能発現用培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得する手順と、
    この画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定する手順と、
    この判定に基づき上記機能発現用培養容器、及び/または細胞を増殖するための増殖用培養容器へ培養操作を実行する手順と、を有することを特徴とする細胞培養プログラム。
  26. 上記培養容器は載置台に載置され、上記載置台の一部を昇降させることにより培養面積を変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載の細胞培養装置。
  27. 単純流加培養及び灌流培養の一方を選択可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のうち、いずれか1に記載の細胞培養装置。
  28. 間欠式灌流培養及び連続式灌流培養の一方を選択可能であることを特徴とする請求項27に記載の細胞培養装置。
  29. 上記培養容器は載置台に載置され、上記載置台の一部を昇降させることにより培養面積を変化させることを特徴とする請求項14乃至請求項16のうち、いずれか1に記載の細胞培養方法。
  30. 単純流加培養及び灌流培養の一方を選択可能であることを特徴とする請求項14乃至請求項23のうち、いずれか1に記載の細胞培養方法。
  31. 間欠式灌流培養及び連続式灌流培養の一方を選択可能であることを特徴とする請求項30に記載の細胞培養方法。
  32. 細胞を培養し、その培養を監視し管理する細胞培養システムであって、
    細胞を培養する培養容器をそれぞれ配設する複数の培養ユニットが互いに隔離して配置され、上記培養ユニット毎に独立した培養環境下で細胞を培養する恒温槽と、
    この恒温槽の上記培養ユニット毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積し、上記細胞培養関連データに基づき上記培養ユニット毎に、細胞の培養状態を監視し、細胞の培養操作を管理する管理手段と、を有することを特徴とする細胞培養システム。
  33. 上記管理手段は、恒温槽と共に培養室内に設置され、上記恒温槽の各培養ユニットにおける培養を制御する機能を兼ね備えた運転制御盤と、
    上記培養室以外に設置され、上記運転制御盤が有するデータを受信して表示する監視用コンピュータと、を有して構成されたことを特徴とする請求項32に記載の細胞培養システム。
  34. 上記細胞培養関連データは、細胞、培地、培養容器、恒温槽、培養ユニット及び操作者の識別符号と、恒温槽及び培養ユニット内の培養環境データと、培養容器内の細胞の画像データとの少なくとも1つであることを特徴とする請求項32または33に記載の細胞培養システム。
  35. 上記恒温槽が複数台設置され、各恒温槽に運転制御盤が接続されると共に、これら複数台の運転制御盤に1台の監視用コンピュータが接続されたことを特徴とする請求項33または34に記載の細胞培養システム。
  36. 上記監視用コンピュータに、公衆通信回線を経て遠隔監視用コンピュータが接続されたことを特徴とする請求項33乃至35のいずれかに記載の細胞培養システム。
  37. 上記培養ユニットを構成する恒温槽のキャニスタは、それぞれが、細菌などの出入りのない状態に隔離されて構成されたことを特徴とする請求項32乃至36のいずれかに記載の細胞培養システム。
  38. 上記培養ユニットを構成する恒温槽のキャニスタには、上記恒温槽内の空気を上記キャニスタへ導くファンが設置され、1つの恒温槽における全てのキャニスタの上記ファンは、当該恒温槽のドアが開放されたときに停止するよう構成されたことを特徴とする請求項32乃至37のいずれかに記載の細胞培養システム。
  39. 上記培養ユニットを構成する恒温槽のキャニスタでは、1つの恒温槽における各キャニスタのドアが、いずれか1枚のみ開放されるよう構成されたことを特徴とする請求項32乃至38のいずれかに記載の細胞培養システム。
  40. 上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とする請求項32乃至39のいずれかに記載の細胞培養システム。
  41. 上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする請求項32乃至40のいずれかに記載の細胞培養システム。
  42. 細胞を培養し、その培養を監視し管理する細胞培養方法であって、
    細胞を培養する培養容器をそれぞれ配設する複数の培養ユニットが互いに隔離して配置され、上記培養ユニット毎に独立した培養環境下で細胞を培養する恒温槽を用いて、
    この恒温槽の上記培養ユニット毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積し、上記細胞培養関連データに基づき上記培養ユニット毎に、細胞の培養状態を監視し、細胞の培養操作を管理することを特徴とする細胞培養方法。
  43. 上記細胞培養関連データは、細胞、培地、培養容器、恒温槽、培養ユニット及び操作者の識別符号と、恒温槽及び培養ユニット内の培養環境データと、培養容器内の細胞の画像データとの少なくとも1つであることを特徴とする請求項42に記載の細胞培養方法。
  44. 上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とする請求項42または43のいずれかに記載の細胞培養方法。
  45. 上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする請求項42乃至44のいずれかに記載の細胞培養方法。
  46. 細胞を培養し、その培養を監視し管理するためにコンピュータに記憶した細胞培養プログラムであって、
    細胞を培養する培養容器をそれぞれ配設する複数の培養ユニットが互いに隔離して配置され、上記培養ユニット毎に独立した培養環境下で細胞を培養する恒温槽の上記培養ユニット毎に、細胞の培養に関する細胞培養関連データを収集して蓄積する手順と、
    上記細胞培養関連データに基づき上記培養ユニット毎に細胞の培養状態を監視する手順と、
    上記細胞培養関連データに基づき上記培養ユニット毎に細胞の培養操作を管理する手順と、を有することを特徴とする細胞培養プログラム。
  47. 細胞を培養する複数の培養容器が順次接続され、
    各培養容器は、異なる培養環境で細胞を培養して、下流側の上記培養容器へ培養した細胞を移行して培養する構成としたことを特徴とする細胞培養装置。
  48. 上記培養容器は2個設置され、一の培養容器が細胞に機能を発現させる培養環境を有する機能発現用培養容器であり、他の培養容器が細胞を増殖させる培養環境を有する増殖用培養容器であることを特徴とする請求項47に記載の細胞培養装置。
  49. 上記機能発現用培養容器は、増殖のために誘導因子により細胞に刺激を与える培養環境を有する誘導因子刺激用培養容器であることを特徴とする請求項48に記載の細胞培養装置。
  50. 上記機能発現用培養容器は、増殖した細胞を分化させる培養環境を有する分化誘導用培養容器であることを特徴とする請求項48に記載の細胞培養装置。
  51. 上記細胞は浮遊系細胞であることを特徴とする請求項47乃至50のいずれかに記載の細胞培養装置。
  52. 上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする請求項47乃至51のいずれかに記載の細胞培養装置。
  53. 複数の培養容器においてそれぞれ異なる培養環境で細胞を培養させ、
    一の培養容器で培養した細胞を下流側の他の培養容器へ順次移行して培養を実施することを特徴とする細胞培養方法。
  54. 上記培養容器は2個であり、一の培養容器で増殖のために誘導因子により細胞を刺激した後に、他の培養容器で細胞を増殖させることを特徴とする請求項53に記載の細胞培養方法。
  55. 上記培養容器は2個であり、一の培養容器で細胞を増殖させた後に、他の培養容器で細胞を分化させることを特徴とする請求項53に記載の細胞培養方法。
  56. 上記細胞は浮遊系細胞であることを特徴とする請求項53乃至55のいずれかに記載の細胞培養方法。
  57. 上記細胞が免疫細胞療法で使用されることを特徴とする請求項53乃至56のいずれかに記載の細胞培養方法。
  58. 細胞を培養する培養容器と、
    上記培養容器を載置する載置台と、を備えた細胞培養装置であって、
    上記載置台は昇降可能な部分を有し、
    上記昇降可能な部分が昇降することにより、載置された培養容器の培養可能な面積が変化することを特徴とする細胞培養装置。
  59. 上記細胞が浮遊系細胞であることを特徴とする請求項58に記載の細胞培養装置。
  60. 上記細胞が免疫細胞療法に使用されることを特徴とする請求項58又は請求項59に記載の細胞培養装置。
  61. 上記培養容器に、この培養容器へ供給される培地を貯溜する培地貯留手段が接続されていることを特徴とする請求項58乃至請求項60のうち、いずれか1に記載の細胞培養装置。
  62. 上記培地貯溜手段、培養容器が閉鎖系にて構成されたことを特徴とする請求項61に記載の細胞培養装置。
  63. 上記培地貯溜手段には、使用済み培地を貯溜可能な使用済み培地貯溜容器が、培養容器へ供給する培地を貯溜可能な培地貯溜容器と共に設置され、増殖用培養容器内の使用済み培地を上記使用済み培地貯溜容器に排出し貯溜するよう構成されたことを特徴とする請求項61又は請求項62に記載の細胞培養装置。
  64. 上記培養容器内の細胞の画像を取得するための画像撮影手段と、前記画像取得手段にて取得した細胞の画像から当該細胞の培養状況を判定し、この判定に基づき培養操作を実行する制御手段と、を備えることを特徴とする請求項58乃至請求項63のうち、いずれか1に記載の細胞培養装置。
  65. 上記培養容器は、細胞を増殖するための増殖用培養容器と、細胞に機能を発現させるための機能発現用培養容器とであり、この機能発現用培養容器内の細胞の画像を画像取得手段が取得することを特徴とする請求項58に記載の細胞培養装置。
  66. 上記機能発現用培養容器は、増殖のために誘導因子により細胞を刺激する誘導因子刺激用培養容器であり、制御手段は、上記誘導因子刺激用培養容器内の細胞の画像に基づき、細胞の増殖可能性と細胞の増殖能力を判定し、培養可能な面積を変化させるタイミング、培地貯溜手段から上記増殖用培養容器への培地の供給などの培養操作を制御することを特徴とする請求項65に記載の細胞培養装置。
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