JP2004229619A - 培養装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】培養容器内において微生物を自動的に検出する機構と、検出した微生物を自動的に排除する機構と、再汚染を自動的に防止する機構を備えた。
【効果】高水準の無菌化を達成し、コンタミによる培養失敗を防止し、移植用細胞、組織製品の病原微生物による感染を防止した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は細胞や組織の培養を行う培養装置に係り、特に再生医療に適用するための移植用の組織やその元となる細胞、さらに詳細には接着性の細胞や組織を培養する培養装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
再生医療に適用するための接着性細胞や組織を培養可能な培養装置としては、例えば特開2001−275659(公知例1)がある。この公知例1による培養装置は、接着性細胞の培養を自動化することを目的とし、細胞増殖、培地交換、継代などを自動化可能な装置である。培養ユニット内にCCDカメラを設け、培養容器底部に接着した目的細胞の画像データを取得し、細胞数や濃度、占有面積、占有率を算出し、その結果に基づいて培地交換と継代のタイミングを決定する。
【0003】
より簡単な培養装置として、例えばUS6297047(公知例2)がある。この培養装置は炭酸ガスインキュベータの中にUVランプを備えたことを特長とし、連続的または間欠的にインキュベータの中の空気を滅菌する。
【0004】
一方、再生医療へ広範に活用されると予想される骨髄間質由来の幹細胞、別名間葉系幹細胞(MSC)と、造血幹細胞(HSC)との共培養について、グラフト、2000年第3巻、11/12月号、288〜294頁(公知例3)の291頁に紹介されている。HSCの増殖はMSCとの共培養によりサポートされる。本公知技術ではHSCまたはそれから分化して生じる免疫細胞を移植医療に使用することを目的とした。HSCの未分化能維持と増殖効率向上のために、MSCとの共培養が有効と結論している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来T−フラスコなどの培養容器を使用して細胞や組織を培養する方法が研究用途に多用されているが、この際いわゆる無菌培養が必要である。逆に言えば細菌やウイルス、真菌などの微生物類が培養容器に混入し、それらが目的とする接着性細胞をはるかに上回る速度で増殖すると、目的細胞の培養を阻害し、あるいは目的細胞に感染し、目的細胞が使用不可となる可能性がある、即ちコンタミの課題があった。
【0006】
上記公知例1の装置などの自動化培養装置を用いると、人手の介在の機会を減らせるため、用手法と比較すればコンタミの危険性を低減可能と考えられる。また、上記公知例2においては培地交換や継代の自動化はなされていないが、装置内部の空気を滅菌する機構を有するため、装置内の空気からのコンタミの危険性を低減可能と考えられる。
しかし、コンタミの原因は人手の介在や装置内部の空気の汚染だけにあるのでは無く、試薬、消耗部品、さらには装置外から流入する空気も含めて培養に係わる環境全てがコンタミの要因となりうる。培地への抗生物質添加がコンタミ対策として行われるが、抗生物質は万能ではない。従って、抗生物質や、公知例1、2の技術を適用しても、コンタミを完全に防ぐことは困難であった。
【0007】
なお、上記公知例3は、微生物(異物)検出に関する記載はない。
【0008】
本発明の目的は、培養装置にて目的細胞を培養する際に、高水準の無菌化を達成し、コンタミによる培養失敗を防止し、ひいては移植用細胞、組織製品の病原微生物による感染を防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、接着性細胞を培養する自動培養装置において、培養容器内において微生物を自動的に検出する機構と、検出した微生物を自動的に排除する機構と、微生物による再汚染を自動的に防止する機構を備えた。好ましくは微生物と、抗体、レクチン、またはカルコフローとの間の相互作用に基づいて微生物を選択的に標識し標識を光学的に観測する事により検出し、また前記相互作用に基づいて微生物を固相に吸着して分離するか、検出した微生物に対し音響波や電磁波などのエネルギーを照射するか、培地ごと廃棄するなどの手段により微生物を破壊、排除し、また検出後はより抗菌性の高い培養条件を採用することにより再汚染を防止した。また好ましくは接着性細胞としてMSCを培養することを目的とし、骨髄由来のHSC、特に免疫系細胞と共培養し、免疫系細胞の貪食作用、あるいは免疫系細胞に由来する抗体の作用により微生物を検出、排除した。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕 本発明の第1の実施例を以下に説明する。図1は、本発明第1の実施例に基づく培養装置の概略構成を示す平面図である。1は培養装置、2はインキュベータ、3はインキュベータの扉、4はXYZステージ、5は培養容器、5aは培養容器本体、5bは培養容器蓋、6は光学的検出機構、7はロボットアーム、8はパスボックス、9、9’はそれぞれパスボックスの内部、外部扉、10は分注ステージ、11a,bはそれぞれ容器ホルダ、蓋ホルダ、12a、bはそれぞれ培地a(培養用)、培地b(剥離、回収用)、13は剥離液、14は原料細胞を分散させた緩衝液、15は廃液容器、16は分注機構、17は遠心機、18は制御装置である。その他、本培養装置は試薬を保冷するための冷蔵装置、内部に清浄な空気を導入するための送風機構やHEPAフィルタ、装置不使用時に装置内部を滅菌するための殺菌灯、インキュベータ2に炭酸ガス等を供給するためのガスボンベや圧力調整装置やガス配管、制御装置18による制御や計測のための電線類やセンサ類、廃棄物用容器などの機構や部品を備え、またピペットやチップ、容器類などの滅菌済み消耗品を備えるが、図示は省略した。
【0011】
次に、本実施例の動作の一例を図1を用いて説明する。本実施例においては、準備、細胞の播種、培養、培地交換、継代、回収の動作を、制御装置18の制御下で自動的に行った。以下それぞれの動作の概要を説明する。
【0012】
準備の動作の概要は以下の通り。消毒用エタノールや次亜塩素酸溶液などを用いて装置内部を滅菌した。送風機構によりHEPAフィルタを通して装置内部に清浄な空気を導入し、殺菌灯を用いて滅菌した。インキュベータ3を所定の温度(37度)、炭酸ガス濃度(5%)に設定、維持した。培養に必要な原料試薬類、すなわち容器に入れた(以下試薬類の容器は説明を省略して内容物である試薬名により説明する)培地12a、12b、剥離液13、原料細胞を分散させた液14など、いずれも外部を滅菌し、内部も可能な限り除菌した原料試薬類や、培養に必要な用具類、すなわち廃液容器14、培養容器5、ピペットやチップ、容器類など、いずれも内外部とも除菌あるいは滅菌した用具類を、外部扉9’を通してパスボックス8内部に設置した。外部扉9’を閉じた後、清浄な空気を導入して、用具類の外部を清浄化した(必要に応じて紫外線を照射して滅菌した)。内部扉9を開け、ロボットアーム7を駆動して(以下、ロボットアーム駆動の説明は簡略化)原料試薬類や、用具類を所定の位置に設置、収納した。
【0013】
播種の動作の概要は以下の通り。培養容器5を分注ステージ10上の容器ホルダ11aに設置した。培養容器蓋5bを外して蓋ホルダ11bに設置した。原料細胞を分散させた緩衝液14の所定量を分注機構16を用いて培養容器本体5aの中に注入した。分注機構16と新品の滅菌済みピペットを用いて培地12aを均一に分散し、所定量の培地12aを培養容器本体5aに注入した。蓋ホルダ11bから培養容器蓋5bを外して培養容器本体5aにはめ(以降、蓋の開け閉め、蓋ホルダへの格納、蓋の培養容器本体5aへの取り付けの説明は省略)、培養容器5を撹拌して細胞を均一に分散した。
【0014】
培養の動作の概要は以下の通り。インキュベータの扉3を開け、培養容器5をインキュベータ2内のXYZステージ4上の所定位置に設置した。培養容器蓋5bをゆるめて外気の流通を確保した。インキュベータの扉3を閉め(以降、インキュベータの扉の開け閉めの説明は省略)、XYZステージ4を操作して培養容器5を撹拌し、また光学的検出機構6により培養容器5を観察しながら培養を行った。観察は本実施例の特徴的動作であるため、詳細に後述する。
【0015】
培地交換の動作の概要は以下の通り。培養容器蓋5bを閉めて培養容器5の内容物の漏洩を防止した(以降、培養容器蓋の開閉動作の説明は省略)。インキュベータ2から培養容器5を取り出し、培養容器5を撹拌して培地を十分に分散した後、分注ステージ10上の容器ホルダ11aに設置した。培養容器本体5aの上清液(使用済み培地)を分注機構16を用いて吸い上げ、廃液容器15へ廃棄した。分注機構16と新品の滅菌済みピペットを用いて培地12aを均一に分散し、培地12aを培養容器本体5aに導入した。培地交換の完了後、引き続き培養の動作を行った。
【0016】
継代の動作の概要は以下の通り。継代の動作は上記の培地交換の動作と途中まで同様であるが、使用済み培地を廃液容器15に廃棄した後からの動作が異なる。分注機構16を用いて培養容器本体5aに剥離液13を導入し、所定時間、所定温度でインキュベートし、細胞を培養容器本体5aから剥離した。分注機構16と新品の滅菌済みピペットを用いて培地12bを均一に分散し、所定量の培地12bを培養容器本体5aに注入して剥離液の作用を停止した。(剥離した細胞が分散している)剥離液を分注機構16を用いて培養容器本体5aから新しい空の遠心容器(図示省略)に移し、この遠心容器を遠心機17に設置した。遠心機17を回転させ、細胞を遠心容器底部に集めてペレットとした。この間に、使用済みの培養容器本体5aと蓋5bを廃棄物用容器(図示省略)に廃棄し、新しい空の培養容器5を分注ステージ10に設置した。遠心容器を遠心機17から取りだし、分注機構16を用いて剥離液の上清を吸い上げ、廃液容器15へ廃棄した。分注機構16と新品の滅菌済みピペットを用いて培地12bを均一に分散し、所定量の培地12bを遠心容器に注入し、ピペッティングにより細胞を培地中に分散した。以降の動作は播種の動作と同様であり、異なるのは、上記遠心容器内の細胞分散液を、原料細胞を分散させた緩衝液14の代わりに用いる点である。継代の完了後、引き続き培養の動作を行った。
【0017】
回収の動作の概要は以下の通り。継代の動作は上記の継代の動作と途中まで同様であるが、遠心後剥離液上清を廃棄した後からの動作が異なる。分注機構16と新品の滅菌済みピペットを用いて培地12bを均一に分散し、所定量の培地12bを遠心容器に注入し、ピペッティングにより細胞を培地中に分散した。遠心容器の蓋を閉め、内部扉9を通してパスボックス8内部に設置した。外部扉9’を通してこのプロダクト細胞入り遠心容器を取り出し、必要に応じて保存、検査の後、製品として出荷するか、引き続いて別の培養の原料として使用した。継代の動作においては遠心容器中の残余の細胞を上記同様に回収した。
【0018】
次に、本発明特有の機能である観察動作について述べる。本実施例では光学的検出機構6として蛍光顕微鏡を用いた。蛍光顕微鏡としては、例えばキーエンス社製VB−6010シリーズの一部を改変したものが利用できる。この顕微鏡は、励起用光源(照明シャッタを有する光源ユニットと、光ファイバ、各種励起フィルタとを有する落射照明ユニットとの組み合わせ)、ズームレンズ(吸収フィルタを有する顕微鏡筒)、画像検出器(冷却CCDカラーカメラ)等から構成され、落射蛍光顕微鏡として動作する。ここではVB−6010に付属のマルチアングルシステム(XYθスタンド)は不使用とし、代わりにズームレンズのホルダと、XYZステージ4を別途製作して使用した。励起フィルタ、吸収フィルタとしては、540nm励起、572nm(以下)吸収のフィルタセットを使用した。また、画像検出器の信号はフレームバッファとDSPを搭載した専用の画像処理装置に接続して解析した。
【0019】
この顕微鏡のズームレンズを175倍の倍率に設定して使用した。この場合の光学特性は以下の通り。視野の大きさ:左右(dX)1.68mmx奥手前(dY)1.35mm、鉛直上下(dZ=被写界深度)0.6mm、従って視野の体積は1.36mm^2。観察距離:50mm、画像検出器の画素数:150万画素(1392x1040画素)、感度:ISO1600、フレームレート7.5F/s。従って一画素に対応する領域は1.21μmx1.30μm。
【0020】
図1のXY平面図において光学的検出機構6と、XYZステージ4やインキュベータ2とのZ軸(上下)方向の位置関係が明確でないため補足すると、インキュベータ2の上面はXYZステージ4上の培養容器5のすぐ上に設け、光学的検出機構6はインキュベータ2の上方(外部)に設置した。インキュベータ2の上面、光学的検出機構6の直下の部分に石英製の窓を設け、ズームレンズを培養容器5の培地上方約50mmの観察距離に設置することにより、光学的検出機構6による培養容器5中の培地の光学観察を行った。本実施例では光学的検出機構6としてVB−6010シリーズを改変して使用したが、もちろん同様の機能を有し、また十分長い観察距離を有する他の蛍光顕微鏡も同様に好適に使用可能である。
【0021】
本実施例では骨、軟骨、脂肪、筋肉細胞などに分化することが確認され、それらの組織の再生医療への応用が研究されている間葉系幹細胞(MSC)を培養することを目的とした。ヒトMSC用の培養キットを市販するBioWhittaker社(以下BW社)が推奨する培養プロトコルに準拠した上で、培地組成等を改変してラットMSCの培養に適用した。ラットMSCは、ラット大たい骨から採取した骨髄をPercollによる密度勾配遠心分離法により分離し、比重約1.073の分画を分取し、いわゆるDexter法により接着性の細胞を選別し、剥離した後使用した。培養条件の詳細はBW社技術資料「Poietics Human Mesenchymal Stem Cell − Instructions For Use」に譲るが、その概要は以下の通り。
【0022】
BW社品番(以下省略)PT−4106(間葉系細胞増殖サプリメントすなわち血清)50mL、PT−3238(基礎メディウム)440mL、PT−4107(200mMのL−グルタミン)10mL、PT−4108(ペニシリン25ユニット、ストレプトマイシン25μg)0.5mL、を混合したものを剥離、回収用の培地12bとして冷蔵保存した。培養用培地aの調製法は後述する。培養容器5として、接着面積25cm^2のT−フラスコ型培養容器を使用した。推奨播種密度は5〜6x10^3細胞/cm^2であるため、播種の際にフラスコに1.5x10^5個の細胞を注入した。また、1フラスコ当たりの培地の量は4mLとした。培養は大気を元に37℃、炭酸ガス濃度5%、湿度90%とした雰囲気で行った。培地交換の頻度は3.5日間隔、継代の頻度は7日間隔とした。継代の際は剥離液13としてCC−3232(トリプシン−EDTA溶液)2mLを使用し、室温で5分間反応させた。2mLの培地2bを反応の停止のために使用した。遠心分離の条件は、600xg、室温、5分間とした。
【0023】
本実施例では上記の培地12b(剥離、回収用)以外に、以下の方法で調製した検出試薬を添加した培地12a(培養用)を新たに用いた点が、従来のBW社の培養プロトコルとの主な相違点である。
【0024】
検出試薬の材料:HONEN社製WGA、Polysciences社製Fluoresbrite(TM) Yellow Orange (YO 530nm, 590nm) Carboxylate Microspheres 0.50μm、同社製Carbodiimide Kit for Carboxylate Beadsを購入して使用した。
【0025】
検出試薬の調合法:Polysciences社のテクニカルデータシート238Fに記載の常法に準拠し、上記Carbodiimide Kitを用いて上記WGAを上記YO Microspheresに共有結合した。主な変更点は、反応スケールを20倍としたことである。原料ビーズ2.5%の分散液10mLから出発し、原料タンパクとして上記WGAを6mg使用した。以上の操作により、WGAが約2mg結合した検出試薬、即ち直径0.50μmのYO Microsphere(以下、WGAビーズと略す)が約0.25g、すなわち約3x10^12個分散した溶液20mLを得た。
【0026】
検出試薬の培地への添加。上記WGAビーズを、培地12bの4mL当たり1.65x10^8個の割合で添加した。具体的には、培地12bの20mLに対し上記WGAビーズの保存溶液5.5μLを添加して、混合撹拌して、培養用の培地12aとして冷蔵保存した。
【0027】
次に、本実施例における光学的検出機構6による培養容器5の観察動作の概要について図2ないし図5を用いて説明する。観察動作としては、まずスクリーニングモードの動作を行った。図2は、スクリーニングモードの動作の概略を示すフロー図である。光学的検出機構6の観察領域が原点となるように、XYZステージ4を動作させた。即ち培養容器5の最左端(X=0)、最奥端(Y=0)、鉛直最深端(Z=0、ただし培養容器底面の鉛直上方約10μmを下端としそのさらに上方に被写界深度600μmの幅を有する観察領域が形成される位置)に移動した。制御装置は、全視野について初期の評価をリセット(安全と設定、詳細後述)し(手順100)、各種パラメータを初期値に設定した(手順101)。
【0028】
スクリーニングモードにおける1視野の観察(手順102)おいては、培養容器内部の培地が占有する全体積を、顕微鏡の1視野(dX 1.68mmxdY 1.35mmxdZ 0.6mmのボクセル)ずつに分割し、XYZステージ4を用いて視野を走査しながら順次観察した。1視野観察サイクルの周期は100msとした。最初の80msは照明シャッタを開いて励起光を照射するとともに、CCDカメラの電子シャッタを開いて蛍光信号を蓄積した。80ms後、両シャッタを閉じ、取得した画像データをフレームバッファに20ms以内に(次の観察サイクルが開始する前に)転送した。また同じく80ms後、XYZステージ4を動作させ、XYZの位置を次の位置に移動した。次の位置とは具体的には、Z方向は3ポジション(z=0、600、1200μmの繰り返し)、Zが0に戻るたびにY方向に同じく1350μm(視野のY方向長さ)ステップで培養容器の奥行きまで繰り返し、Yが0に戻るたびにX方向に同じく1680μm(視野のX方向長さ)ステップで培養容器の右端まで繰り返しである。Zの移動は20ms以内に完了したが、XやYの原点復帰に20ms以上かかった場合は、適宜待ち時間を挿入して目的位置に到達してから観察を行った。
【0029】
なお、フレームバッファに転送されたn個目のボクセルの画像データは、次(n+1個目)のボクセルの観察サイクル期間中に、DSPを用いて以下のように解析した。まず事前準備として、標準試料(ポジティブコントロール、ネガティブコントロール)を培地に添加、計測してそれらに対する蛍光強度信号を記録した。本実施例のポジティブコントロールとしては枯草菌、ネガティブコントロールとしては大腸菌を使用した。大腸菌などのグラム陰性菌と比較して、枯草菌などのグラム陽性菌は細胞壁にN−アセチルグルコサミンを多量に含有する。また、WGAはN−アセチルグルコサミンに結合するレクチンである。従って、本実施例の培地12aに添加したWGAビーズ表面のWGAは、グラム陽性菌に選択的なプローブとして作用する。枯草菌を添加したポジティブコントロール試料を観察すると、WGAビーズが枯草菌表面に多数結合し、蛍光性のWGAビーズの標識密度が周囲(WGAビーズがランダムに分散している)と比較して格段に高い。従って、周囲と比較して格段に高い蛍光強度を示す画素が出現し、その出現確率は枯草菌の添加量に比例した。一方、大腸菌を添加したネガティブコントロールにおいては上記の作用が働かないため、各画素の蛍光強度は低かった。両者の比較により、グラム陽性菌に結合した標識に基づく信号レベルと判断される蛍光強度の閾値を求めた(閾値や判断基準の設定手順は以下同様である)。
【0030】
実際の試料について測定して得た画像データの各画素について、上記閾値との比較を行い、陽性、陰性のフラグを立てた。隣接する画素間でビンニングし、陽性領域の概形、面積、強度の積分値を評価した。各視野毎に、陽性フラグ数と、個々の陽性領域毎にその面積、概形と強度積分値を求め、またそれら個々のデータを予め設定した判断基準と比較し、閾値を越えた項目についてコンタミの危険性を表すフラグを立てた。これらのデータとフラグを制御装置に送信した。またFILO(スタック)型のフレームバッファにフレームデータを転送した。以上の解析処理を、当該視野を計測したサイクルの次(n+1)のサイクル中に完了した。
【0031】
スクリーニングモードにおける観察中、制御装置は上記XYZステージ4の駆動や顕微鏡による観察、DSPによる画像処理などのトリガをかけた。DSPから送信されたデータとフラグを解析し、特にフラグが立っていた場合はデータを詳細に再解析した。その結果に基づき、各視野についてその時点の微生物の存在確率を総合評価し、安全、注意、危険の3段階の評価を下した(手順103)。記憶装置に各視野についてのその時点の評価結果を記録するとともに、端末(図示省略)にその時点のその視野に対する評価を表示した。
【0032】
評価が安全の場合は、引き続き次の視野についてスクリーニングモードの観察を継続した(手順106〜108)。評価が危険の場合は直ちに後述の精密観察モードに切り替え、その視野並びにその周囲の領域について詳細に監視した。評価が注意の場合は、その視野の周囲の領域について、過去に遡って評価結果を再検討した(手順104)。評価結果が注意や危険である視野が、その走査、或いはそれ以前の走査時においてその周辺で有意に多数記録されていた場合、評価を危険に切り替えて記録、表示すると共に、精密観察モードに切り替えて監視した。評価結果が注意である視野が空間、時間的に近接した領域において閾値以下の少数しか記録されていなかった場合、引き続きスクリーニングモードの観察を継続した。(手順105)。
【0033】
次に、精密観察モードの動作について説明する。図3は、本発明第1の実施例に基づく精密観察モードにおける動作の概略を示すフロー図である。精密観察モードにおいては、制御装置は端末を介してオペレータに注意を喚起し、精密観察モードに入ったこと、並びに当該視野を危険と評価するに至った経緯を報告した(手順110)。微生物混入の危険が疑われた領域について、顕微鏡の拡大倍率増加、計測時間増加、光源強度増加、同一位置の繰り返し測定(経時変化)、また必要に応じて検出試薬量増加、などの対策を講じ、より精密な監視を行った(手順111)。この動作により検討した視野における微生物の有無を判断した(手順112)。微生物が無しとの結論の場合は、当該視野の評価結果を注意に戻し、記録、表示を変更するとともに、スクリーニングモードに戻って観察を継続した(手順113)。微生物が有りとの結論の場合は、さらに微生物の存在量、存在領域、増殖率、コロニー形成の有無などを継続評価した(手順114)。微生物の量が多い、存在領域が広い、増殖率が高い場合は、直ちに後述の排除モードに切り替え、微生物の除去かつ/または無害化の動作を行った。微生物の量が少なく、存在領域が限定され、増殖も見られない(抗生物質等が奏功し、微生物が生育できないか、死滅している)場合は、当該視野の評価結果を危険とし、培地交換を行った後、スクリーニングモードに戻って観察を継続した。(手順115)。
【0034】
次に、排除モードの動作について説明する。図4は、本発明第1の実施例に基づく排除モードにおける動作の概略を示すフロー図である。排除モードにおいては制御装置は、排除モードに入った事実を記録するとともに、端末およびネットワーク(図示省略)を介してオペレータに警報を発信し、排除モードに入ったこと、並びにそれに至った経緯を報告、記録した(手順120)。次に過去の記録を調査し(手順121)、一連の培養において排除モードに入った回数が3回に達した時点で、コンタミ排除に失敗したと判断して、後述の培養中止モードに移行した。排除モードに入った回数が3回未満の場合は、下記の方法で微生物の排除を試みた(手順122)。本実施例では、微生物の排除の手段として、培地交換を採用した。具体的には、前述の培地交換の動作を実施したが、異なるのは、使用済み培地を廃液容器15でなく、試験容器(図示省略)に収納したことである。また、その試験容器をパスボックス8へ移動し、微生物の有無確認や菌種同定の検査に供したこと、新品培地12aの導入を1回で終えず、排出、導入を複数回繰り返すことにより培養容器内に微生物が残留する危険性を抑制したこと、その後引き続いて培養の動作を行った際、下記の再発防止モード(手順123)で培養を行ったことである。
【0035】
次に、再発防止モードでの培養の動作ついて説明する。本発明第1の実施例に基づく再発防止モードにおける動作の概略を図4の一部に示した。再発防止モードにおいては、抗生物質の濃度を3倍に増加し、また培地交換の周期を通常の1/4に短縮して培養を行った。また前記排除モードで試験容器中に回収した使用済み培地の検査を行い、微生物の有無確認や菌種同定の検査を行った。実際に微生物の混入が確認され次第、その微生物の繁殖防止に有効な抗生物質を含む培地に切り替えて培養を行った。また、光学的検出機構6による培養容器5の観察動作としては、全視野について開始時の評価を危険レベルに設定した後、最初から精密観察モードの監視を行いながら培養を行った。また、適宜培地をサンプリングして試験容器に取り出し、微生物の検査を行った(手順124)。
【0036】
上記対策にかかわらず微生物の増殖が拡大した場合は、後述の培養中止モードに移行した。逆に、使用済み培地やサンプリングした培地の検査結果が陰性となり微生物の混入が否定された場合や、一定の監視期間中に微生物の増殖が無いか、あるいは基準以下の場合、正常状態に快復したと判断、記録し、再発防止モードを解除した。(手順125、126)。具体的には、通常の培地組成、培地交換頻度を採用し、スクリーニングモードの観察を行う通常の培養モードに移行した。
【0037】
次に、培養中止モードの動作ついて説明する。図5は、本発明第1の実施例に基づく培養中止モードにおける動作の概略を示すフロー図である。培養中止モードにおいては培養中止モードに入った事実を記録するとともに、端末およびネットワークを介してオペレータに警報を発信し、培養中止モードに入ったこと、並びにそれに至った経緯を報告、記録した(手順130)。培養容器蓋5bを閉め、インキュベータ2から培養容器5を取り出し、パスボックス8へ移動し、微生物の有無確認や菌種同定の検査に供した(手順131)。回収した培養容器内の培地の検査を行い、微生物の有無確認や菌種同定の検査を行った(手順132)。実際に微生物の混入が確認された場合(手順133)、その混入原因や混入経路の原因究明を行い、今後同じ原因によるコンタミを起こさない様、対策を施した(手順134)。装置内部を清浄化し、HEPAフィルタを交換した。消毒用エタノール、次亜塩素酸溶液、検出された微生物に有効な抗生物質、などを用いて装置内部を滅菌した。送風機構によりHEPAフィルタを通して装置内部に清浄な空気を導入するとともに、殺菌灯を用いて滅菌した(手順135)。試験運転でコンタミが起きないことを確認後(手順136)、本培養を終了し、次の培養を行った。ただし一定期間、検出された微生物の繁殖防止に有効な抗生物質の添加濃度を高めて培養を行った。
【0038】
一方、回収した培養容器内の培地中に微生物の混入が確認されなかった場合は、培養中止の判断が誤りであったと判断し、その旨報告、記録すると共に(手順137)、誤認の原因究明と対策を行った。引き続き培養が継続可能か判断し(手順139)、不可であれば本培養は中止し、可能であればスクリーニングモードの培養を再開した。
【0039】
微生物の混入がないまま回収工程まで完了した場合はもちろん、微生物の混入があっても(既に死亡、または生きていても抗生物質の作用などにより)増殖が確認されず、検出、排除、再発防止動作により常に判断基準以下に抑制できた場合、回収された目的細胞を(本実施例においてはグラム陽性菌が否定された)良好な品質を有するものとして、観察記録と共に提出した。微生物の増殖が確認された場合、排除、再発防止動作により常に判断基準以下に抑制できた場合は、回収された目的細胞を良好に準じた品質を有するものとして、観察記録と共に提出した。微生物の増殖が確認され、排除、再発防止動作によっても判断基準以下に抑制できなかった場合は、回収された目的細胞は廃棄し、観察記録のみ提出し、原因究明と対策を行った。
【0040】
以上により、装置の使用者は培養観察記録を品質管理の証として活用し、良好あるいは良好に準じた品質を有することが確認された回収細胞を再生医療など高度な品質保証が必要な用途に適用できる、という効果がある。培地中を常時モニタリングすることにより、微生物の混入が一切起きなかった場合、それを証明できるという効果がある(従来技術では最終産物の微生物否定試験を行ったとしても、培養途中における微生物混入や増殖を否定することはできなかった)。万一微生物が混入したとしても、従来技術と比較して早期かつ自動的に発見し、排除や再発防止を行うことにより、微生物の増殖を防止し、目的細胞の感染や損傷などを未然に防止できる。また混入した微生物が増殖したとしても、排除や再発防止などの対策により多くの場合微生物の増殖を限度以下に抑制し、目的細胞の感染や損傷などを快復できる。従って、従来技術と比較して成功率が格段に向上する効果がある。
【0041】
本実施例では細胞壁にN−アセチルグルコサミンを有するグラム陽性菌を検出対象とした。細菌はグラム陽性菌と同陰性菌に大別される。グラム陽性菌に区分される細菌の例としては、黄色ブドウ球菌、ジフテリア、セレウス、炭阻菌、連鎖球菌、枯草菌など多数あり、細菌類の多くが含まれている。即ち、本実施例特有の効果は、単一の検出試薬によりグラム陽性菌という広いスペクトラムをまとめて検出し、それらを排除できることである。
【0042】
〔実施の形態2〕 本発明の第2の実施例を以下に説明する。図6は本発明第2の実施例に基づく培養装置の概略構成を示す平面図である。第2の実施例は第1の実施例と類似であるが、装置構成上の相違点として、複数の培養容器5を収納可能なターンテーブル方式のステージをYZステージと組み合わせたYZステージ4’をインキュベータ2に収納して使用した点が異なる。また検出試薬としてフナコシ社から購入したCalcofluor white M2R(以下、Calcofluor)を使用し、培地中に添加して使用した点が異なる。
【0043】
次に、YZステージ4’について詳細に説明する。YZステージ4’は基本的にYZステージの上にターンテーブル即ちステージを設置したものであり、鉛直(Z)軸を中心とした回転角θと、左右(Y)軸、Z軸方向の位置の自動制御が可能である。回転角θにより、奥行き方向(X)に対応する位置制御が可能である。ターンテーブル上には複数の培養容器5を収納し、任意の培養容器5の中の培地の任意の位置を対象として光学的検出機構6による観察を可能とした。本実施例では、YZステージ4’の上に培養容器5を8個設置して、順番に観察しながら培養を行った。また、それぞれの培養容器に固有のID番号を付与し、原料細胞とプロダクト細胞との対応関係を正確に記録、検索可能とした。
【0044】
次に、本実施例で採用した検出試薬であるCalcofluorの作用と観察法について説明する。本試薬はセルロース、キチンと結合し、350nmで励起すると440nmの青色蛍光を発する蛍光試薬である。真菌類(酵母、カビ、カリニなど)は細胞壁にキチンを有するため、Calcofluorは真菌類の蛍光染色試薬として作用する。酵母やカビ類はサイズが10μm以上と、細菌と比較して相対的に大きい。従って真菌類をCalcofluorにより染色すると、拡大倍率が低くても蛍光顕微鏡により容易に観察が可能である。本実施例ではCalcofluorを培地に添加して使用した。光学的検出機構6として実施例1と同じ蛍光顕微鏡を用い、ズームレンズの拡大倍率を100倍に変更し、また励起フィルタ、吸収フィルタとしては、387nm励起、430nm(以下)吸収のフィルタセットを使用した。この場合の光学特性は以下の通り。視野の大きさ:左右(dX)2.78mmx奥手前(dY)2.37mm、鉛直上下(dZ=被写界深度)1.9mm。従って視野の体積は12.5mm^2であり、実施例1の9.2培となった。
【0045】
本実施例における動作は基本的に第1の実施例と同様であるが、以下の点が異なる。即ち、上記の通り顕微鏡の拡大倍率を低下して1視野の体積を9.2倍としたため、培養容器5の一つ当たりの観察時間が9.2分の1に短縮した。余剰の時間を他の培養容器5の観察に充当し、合計8個の培養容器5の観察を可能とした。なお、本実施例では同一のインキュベータ2の中で複数の培養容器5を設置して培養した。ある培養容器においてコンタミの発生が疑われた場合、本実施例においては他の培養容器についてもコンタミの可能性を検討し、必要に応じて精密観察モード等、より慎重な対応が可能なモードへ早期に移行した。
【0046】
本実施例は実施例1と比較して、観察可能な培養容器数が8倍となり、スループットが高い、という効果がある。また、培養容器1つ当たりに必要な観察時間が1/8に低減したため、蛍光光源の照射時間も1/8となり、目的細胞への影響を低減した。検出試薬としてCalcofluorを用いたため、真菌類(酵母、カビ、カリニ)など細胞壁にキチンやセルロースを有する微生物を検出した。コンタミの原因例として一般に認識されている細菌、酵母、カビの3大要因のうち、本実施例は後2者について検出と排除が可能である。
【0047】
本実施例特有の効果は、単一の検出試薬を用いて、酵母、カビという大多数のコンタミ要因について検出と排除が可能であることである。また同時に培養可能な容器数が多く、スループットが高いことである。
【0048】
〔実施の形態3〕 本発明の第3の実施例を以下に説明する。図7は本発明第3の実施例に基づく培養装置の概略構成を示す平面図である。第3の実施例は第1の実施例と類似であるが、装置構成上の相違点として、XYZステージ4の上、培養容器5に隣接して磁石19とスペーサ(図8参照)を設置可能とした点が異なる。
【0049】
また検出試薬として、微生物に対する抗体で標識した磁気ビーズを使用し、培地中に添加して使用した点が異なる。本実施例においては磁気ビーズは微生物の検出試薬としてばかりでなく、磁石との組み合わせにより、微生物の排除のための試薬としても作用する。
【0050】
次に、磁石19とそのスペーサ20について図8を用いて説明する。図8(a)は培養容器5、磁石19、スペーサ20を組み合わせた際の上面図、図8(b)は同側面図である。磁石19は3枚の板状永久磁石を内蔵するコの字型の磁石ユニットである。板状永久磁石の材料としてはネオジミウム−鉄−硼素を主成分とする磁石を使用した。この磁石19は培養容器5の側面周囲(3方向)に合わせて装脱着可能である。ロボットアーム7の働きにより、磁石19は培養容器5に装脱着される。磁石19を培地容器5から脱着した状態では培地容器5内の培地には磁力が作用せず、磁石19を培地容器5(の周囲底部)に装着した状態では磁力が培地容器5の培地が位置する底部側壁面に作用する。また、磁石19は培地容器5に装着後、鉛直上方に移動可能である。この状態で同じくコの字型のスペーサ20を磁石19の下に装着することにより、磁石19の位置が固定される(図8の状態)。この状態において、磁石19の磁力は培地容器5内の側壁面上部と上面との境界に作用する。ロボットアーム7は、磁石19やスペーサ20を培養容器5に装着した状態のまま、一体として移送可能である。
【0051】
次に、本実施例で採用した検出試薬である磁気ビーズの調製法について説明する。磁気ビーズは基本的に実施例1に記載と類似の方法により調製した。即ち、ノルウェー国ダイナル社からダイナビーズ(R)ステライルエポキシ(製品番号402.01)、また英国ヴァイロスタット社から抗大腸菌ウサギポリクロナール抗体(製品番号1001)を入手して使用した。ダイナビーズ(R)ステライルエポキシに添付のプロトコルに従って、無菌環境下で抗体をビーズ表面に固定化、洗浄して、抗大腸菌抗体を固定化した直径4.5μmの磁気ビーズを得た。この磁気ビーズを培地に添加して使用した。
【0052】
本実施例における動作は基本的に第1の実施例と同様であるが、以下の点が異なる。即ち、本実施例においては微生物(大腸菌)が培地に混入すると、磁気ビーズ表面の抗大腸菌抗体が抗原抗体反応を起こし、大腸菌表面に結合した。一つの大腸菌当たりに結合する磁気ビーズの数は2〜3個であるが、大腸菌が複数存在すると、磁気ビーズと大腸菌が互いに複数結合し、凝集塊を形成した。この凝集塊は光学的検出機構6により容易に観察できた。そこで、ビーズ凝集の有無を観察することにより、間接的に大腸菌の混入を検出した。
【0053】
また、本実施例特有の動作として、外部磁気による微生物の除去を行った。実施例1では排除モードにおける、微生物を排除する工程として培地交換を行った。一方本実施例では、微生物を排除する工程を以下の様に変更した。即ち、排除を行うと判断した場合、ロボットアーム7を駆動し、磁石19を培養容器5に装着した。この状態でXYZステージ4を操作し、培養容器5内の培地を撹拌した。微生物と結合した磁気ビーズの凝集塊は、微生物ごと磁石19に引き寄せられ、培養容器5の側壁面に移動した。ここで磁石19を鉛直上方に移動し、この状態でスペーサ20を装着して固定した。すると凝集塊は、微生物ごと磁石19に引き寄せられ、培養容器5の側壁面上部と上面との境界(培地の外)に移動した。即ち、微生物は培地から分離され、1回当たりの分離効率は実施例1で採用した培地交換の場合と比較して飛躍的に高かった。ロボットアーム7を駆動し、培養容器5、磁石19、スペーサ20を一体のまま分注ステージ10上の容器ホルダ11aに設置した。この状態のまま継代の動作を行い、培養容器5底面に付着した目的細胞を新しい培養容器5に播種した。この際、培養容器5の側壁面上部と上面との境界に引き寄せておいた微生物に剥離液13や培地12bを接触させず、再汚染を防止した。以上により、微生物を古い培養容器5に残したまま、目的細胞のみを新しい培養容器5に移動し、新しい培養容器5について再発防止モードの培養を継続した。微生物の残留した古い培養容器5はパスボックス8へ移動し、微生物の有無確認や菌種同定の検査に供し、原因究明と対策を行った。
【0054】
本実施例では抗体として大腸菌に対する抗体を使用したが、本実施例で使用可能な抗体は上記に限定されない。例えば、各種の細菌、マイコプラズマ、リケッチア、ウイルス、真菌、プリオンなど、多数の微生物や病原菌に対する抗体が入手可能である。また組織適合抗原の型が目的細胞と異なる抗体を用いることにより、別の個体由来のMSCが混入した場合でもそれを検出可能である。これは自家移植を前提とした再生医療に応用する際、同種他家細胞のコンタミを防止する観点で効果的である。この様に、本実施例の方法に各種既存あるいは新規に作成した抗体を適用することにより、広範な微生物や病原体、細胞について、検出と除去が可能である。
【0055】
本実施例特有の効果は、抗体が入手可能な、即ち原理的にあらゆる微生物類を検出、排除できること、また微生物を捕捉して除去するため、除去効率が高いことである。
【0056】
〔実施の形態4〕 本発明の第4の実施例を以下に説明する。図9は本発明第4の実施例に基づく培養装置の概略構成を示す平面図である。本実施例は上記第1の実施例と同様であるが、微生物の除去機構として、音響波による滅菌機構21を培養容器に隣接して備えた点が異なる。また検出試薬として、複数の微生物に対する一次抗体と、一次抗体に対する二次抗体で標識した蛍光標識ビーズを使用した点が異なる。
次に、音響波による滅菌機構について図9を用いて説明する。本実施例では音響波による滅菌機構21として、特開2002−17742に開示されている収束超音波の発生装置と同等の機構を、光学的検出機構6の光軸上で培養容器5の底面に接して設置した。この収束超音波の発生装置は凹面状に配置した複数の超音波振動子を備え、各々から放射される超音波が培養容器5の培地に収束して合焦する位置に配置した。またこの収束超音波の発生装置における超音波振動子の凹部にはエポキシ樹脂を充填して平坦に形成し、その表面にPVDFフィルムを被覆して、培養容器5の底面との摺動摩擦を低減した。
【0057】
次に、本実施例の検出試薬について説明する。本実施例では検出試薬として、複数の一次抗体と、一次抗体に対する二次抗体で標識した蛍光標識ビーズを使用した。具体的には、一次抗体として英国ヴァイロスタット社から抗大腸菌ウサギポリクロナール抗体(製品番号1001)、同抗酵母ウサギポリクロナール抗体(製品番号6811)、米国OEMコンセプト社の抗マイコプラズマ ウサギポリクロナール抗体(製品番号R4−V95)を使用した。また二次抗体で標識した蛍光標識ビーズとして、米国ポリサイエンシズ社から抗ウサギ ヤギIgG フロレスブライト(R) YG カルボキシレートマイクロスフィア(製品番号17844)を入手して使用した。各一次抗体と二次抗体で標識した蛍光標識ビーズとは、常法に従ってPBSバッファ中で反応、結合した後、遠心分離と再懸濁を繰り返して洗浄後し、各抗体結合蛍光標識ビーズを得た。
【0058】
次に本実施例の動作について説明する。実施例1と同様の手順により、3種の抗体を結合した蛍光標識ビーズを等量ずつ培地へ添加して使用し、培養と観察動作を行った。観察動作は実施例1と同様であるが、異なるのは蛍光励起波長を458nm、観察波長を540nmとしたことと、排除モードにおける排除の手段として、微生物を検出した位置について上記音響波による滅菌機構21を動作させて培地中の微生物を破壊した後、培地交換を行ったことである。培地中にキャビテーション気泡が発生する強度の超音波を照射することにより、微生物の細胞壁や細胞膜を破壊し、滅菌を行った。この操作により音響波による滅菌機構21の焦点位置に近い位置に存在する目的細胞も一部損傷したが、それ以外の領域における目的細胞は生存した。一方微生物はことごとく破壊され、培地交換により効果的に除去された。
【0059】
本実施例特有の効果は、一次抗体の選択により任意の複数の微生物を同時に検出できること、微生物の滅菌除去効率が高いことである。
【0060】
〔実施の形態5〕 本発明の第5の実施例を以下に説明する。図10は本発明第5の実施例に基づく培養装置の概略構成を示す平面図である。本実施例は上記第4の実施例と同様であるが、微生物の除去機構として、電磁波による滅菌機構22を培養容器に隣接して備えた点が異なる。
次に、電磁波による滅菌機構について図10を用いて説明する。本実施例では電磁波による滅菌機構22として、特開2000−300683に開示されている生体組織滅菌用レーザと類似の機構を、光学的検出機構6の光軸と同じ軸上に、ハーフミラーを介して設置した。本実施例では波長約1.5μmの赤外バルスレーザを用い、またハーフミラーを介して照射した際、培地中に合焦し、その焦点が光学的検出機構6の焦点と一致するように設置した。また、照射面1平方mm当たりのエネルギ密度が1mJ〜50mJ/パルスとなるよう出力を調節した。
【0061】
次に本実施例の動作について説明する。本実施例の動作は実施例4と同様であるが、排除モードにおける排除の手段として、微生物を検出した位置を中心にその周辺領域(200μm立方)に対して上記電磁波による滅菌機構22を動作させて培地中の微生物を破壊した後、培地交換を行ったことである。培地中に高エネルギの電磁波を照射することにより、微生物の細胞を破壊し、滅菌を行った。この操作により電磁波による滅菌機構21の光軸上に存在する目的細胞も破壊されたが、レーザ光が照射された面積は限定されておりそれ以外の領域における目的細胞は生存した。一方微生物はことごとく破壊され、培地交換により効果的に除去された。
【0062】
本実施例特有の効果は、狙った微生物だけを選択的に排除でき、排除操作中に微生物が散逸する危険を回避でき、目的細胞に対する障害を最小限に止められることである。
【0063】
〔実施の形態6〕 本発明の第6の実施例を以下に説明する。第6の実施例は上記第1の実施例と類似であるが、培地に添加する検出試薬として骨髄由来の白血球やその前駆細胞(以下免疫系細胞)を用い、目的細胞と免疫系細胞とを共培養した点が異なる。
【0064】
以下、本実施例と実施例1との主要な相違点について説明する。本実施例では目的細胞としてラットMSCを用い、検出試薬として免疫系細胞を用いた。具体的には免疫系細胞としてラット骨髄中の白血球並びにそれらの前駆細胞を用いた。ただし免疫系細胞は培地12aに添加せず、目的細胞とともに以下の通り取り扱った(従って、培地12aは培地12bと同一組成)。ラット大たい骨から採取した骨髄をPercollによる密度勾配遠心分離法により分離し、比重1.06ないし1.09の分画を分取することによりラットMSCと免疫系細胞の混合物を採取した(比重1.06未満の血小板、1.09以上の赤血球を除去した)。この混合物(実施例1における原料細胞と検出試薬に相当する)を播種し、共培養を行った。共培養の際は、観察中だけでなく常にXYZステージ4を操作して培地を動かし、免疫系細胞を浮遊懸濁させた。培地交換と継代の際は、ロボットアーム7により培養容器5を撹拌して培地中の免疫系細胞を十分に浮遊懸濁した後、新しい空の遠心容器へ移して遠心分離し、免疫系細胞を遠心容器底部に集めてペレットとして保存し、上清を廃棄した。新しい培地を遠心容器に注入してペレットを分散し、免疫系細胞を含む培地として培養容器5に注入した。
【0065】
次に、本実施例の動作について説明する。比重1.06ないし1.09の分画には、MSCの他、白血球、即ち顆粒球(好中球、好塩基球、好酸球)、リンパ球(B細胞、T細胞、K細胞、NK細胞、LAK細胞)、単球、マクロファージやそれらの前駆細胞などの免疫系細胞が含まれる。これら免疫系細胞は接着依存性が低いため、例えば実施例1においてはDexter法によるMSCの接着性に基づく選別を行った際、上清分画として廃棄される。本実施例ではこの免疫系細胞を廃棄せず、そのままMSCと共培養を行った。
【0066】
本実施例における培養中、培地に微生物が混入した場合、好中球や単球、マクロファージによる捕食反応が起きた。また培地にウイルスが混入してMSCに感染した場合、MSCががん化した場合や、同時に培養していた別のラットのMSCが混入した場合に、キラーT細胞、NK細胞、LAK細胞による破壊反応が起きた。これは、以下の理由によると考えられる。即ち、免疫系細胞の内、好中球や単球、特に後者が分化したマクロファージは細菌類を捕食して分解する作用があり、またキラーT細胞、NK細胞、LAK細胞はがん細胞、ウイルスに感染した細胞など異常な細胞を破壊する細胞性免疫反応を起こす作用がある。
【0067】
微生物が混入した場所には免疫系細胞が多数集合して免疫反応を活発に行い、捕食反応や破壊反応により、微生物やウイルス感染細胞、がん細胞、同種他家細胞を分解、無害化した。これは、以下の理由によると考えられる。即ち、微生物に反応したT細胞がマクロファージ活性化因子、マクロファージ走化因子、リンパ球走化因子などの各種リンホカインを放出し、周囲のマクロファージやリンパ球を集め、活性化し、さらに免疫系細胞の前駆細胞の分裂を促進した。
【0068】
本実施例においては上記のごとく検出試薬として使用した免疫系細胞が微生物などの検出だけでなく、その排除作用も有するため、培養装置には必ずしも光学的検出機構6や排除機構などを備える必要はない。ただし、高度な品質管理のために常時モニタリングや微生物の徹底排除を行う場合には、実施例1と同様の機構を装備することにより、微生物の観察や、強制排除を行うことも可能である。観察を行う場合には、リンホカインによる免疫系細胞の数の上昇や、走化因子により反応場所に動員された免疫系細胞の集積が計測可能である。微生物の強制排除法としては、実施例1と同様の培地交換や、実施例3の抗体磁気ビーズ添加と磁気分離、実施例4の音響波、実施例5のレーザなど、本発明の各実施例に示した方法などが適用可能である。
【0069】
本実施例は免疫系細胞の捕食反応や免疫反応により、混入した微生物、ウイルスに感染した細胞、がん細胞、同種他家細胞などを排除できる、という効果がある。
【0070】
本実施例特有の効果は、検出試薬として用いた免疫系細胞がMSCと同じ骨髄由来であるため、目的細胞に対する影響が少ないこと、また微生物等が混入しても免疫系細胞の作用により自然に排除できることである。
【0071】
〔実施の形態7〕 本発明の第7の実施例を以下に説明する。第7の実施例は上記第6の実施例と同様であるが、目的細胞と免疫系細胞とを分離膜で隔てた2つの隔室で別々に培養した。図11に本実施例で使用した培養容器5’の水平断面概略図を示した。23は容器壁、24は分離膜、25は目的細胞区画、26は免疫系細胞区画である。本実施例では分離膜24として、平均孔径4μmの親水性メンブレンフィルターを使用した。このフィルターは、抗体や増殖因子、サイトカインなどのタンパク質や細菌、ウイルスなどは通過するが、免疫系細胞などは通さない分離膜として機能する。
【0072】
本実施例では、実施例6と同様にしてラットMSCと免疫系細胞の混合物を分取した後、Dexter法により接着性の細胞(容器底面に接着)と接着依存性が低い細胞(培地に浮遊)とを分離した。後者を免疫系細胞として使用し、前者を剥離して目的細胞(MSC)として使用し、培養容器5’の隣接する隔室内、即ち免疫系細胞区画26、目的細胞区画25でそれぞれ培養を行った。培養方法は実施例6と同様であるが、免疫系細胞と、目的細胞とをそれぞれ独立に操作した点が異なる。
【0073】
次に、本実施例の動作について説明する。本実施例における培養中、目的細胞区画25に微生物類が混入した場合、分離膜を通して免疫系細胞区画26に移動し、そこに存在する免疫系細胞が免疫反応を起こし、微生物に対する抗体が生産された。抗体は分離膜を通して、目的細胞区画25に移動し、微生物類と抗原抗体反応を起こし、凝集、溶菌、中和などの反応により無害化された。これは、以下の理由によると考えられる。即ち、免疫系細胞の内、マクロファージは微生物などを捕食して分解し、分解した抗原の断片をヘルパーT細胞に伝える作用がある。ヘルパーT細胞はB細胞にヘルパー因子を伝達し、B細胞や記憶B細胞を形質細胞へと分化させる作用がある。形質細胞は抗原に対する抗体を生産する作用があり、この抗体は抗原に対して抗原抗体反応(体液性免疫)を起こす作用がある。抗体は微生物などに結合すると、凝集、溶菌、中和などの反応により無害化する作用がある。
【0074】
本実施例においては検出試薬として使用した免疫系細胞により生産される抗体が微生物などの検出だけでなく、その排除作用も有するため、培養装置には必ずしも光学的検出機構6や排除機構などを備える必要はない。ただし、高度な品質管理のために常時モニタリングや微生物の徹底排除を行う場合には、実施例1と同様の機構を装備することにより、微生物の観察や、強制排除を行うことも可能である。観察を行う場合には、抗体と微生物類との抗原抗体反応による凝集反応が計測可能である。微生物の強制排除法としては、本発明の実施例1ないし5に示した方法などが適用可能である。
【0075】
本実施例においては培養容器中に免疫系細胞と目的細胞とを分離膜により隔てて培養を行ったが、免疫系細胞は必ずしも目的細胞と同一容器内で培養する必要はなく、別の容器で培養しても良い。この場合、目的細胞区画に対するコンタミを検出するため、目的細胞区画で使用した使用済み培地の有形成分を、免疫系細胞の培地に添加して培養し、また免疫系細胞区画で使用した使用済み培地の上清を、目的細胞の培地に添加して培養することができる。また、また免疫系細胞区画で使用した使用済み培地の上清から抗体を分離し、蛍光色素やビーズ類などによる標識を行った上で、目的細胞の培地に添加して培養することもできる。
【0076】
本実施例においては免疫系細胞が生産する抗体の体液性免疫反応に基づくため、既知の微生物、ウイルスばかりでなく、未知の微生物なども排除できる、という効果がある。
【0077】
本実施例特有の効果は、検出試薬として用いた免疫系細胞がMSCと同じ骨髄由来であり、さらに分離膜により隔離されているため目的細胞に対する影響が少ないこと、回収時において目的細胞だけを容易に回収できること、未知の微生物等が混入しても自然に排除できることである。
【0078】
以上各実施例で説明した通り、本発明の各実施例は、対応する従来技術と比較して、微生物類の混入が起きなかったことを証明できる、微生物類が混入したとしても早期かつ自動的に発見して排除や再発防止を行える、微生物の増殖を防止し目的細胞の感染や損傷などを未然に防止できる、微生物が増殖したとしても多くの場合微生物の増殖を限度以下に抑制して目的細胞を快復できる、グラム陽性菌、真菌類(酵母、カビ、カリニ)、細菌、マイコプラズマ、リケッチア、ウイルス、プリオンなど各種の微生物を検出、排除できる、混入した微生物を効率良く排除可能、がん細胞や同種他家細胞などを排除、自然に排除可能、などの効果を有する。
【0079】
【発明の効果】
本発明は従来の技術と比較して培養装置において高水準の無菌化を達成し、コンタミによる培養失敗を防止し、ひいては移植用細胞、組織製品の病原微生物による感染を防止できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に基づく培養装置の概略構成を示す平面図。
【図2】実施例1に基づくスクリーニングモードの動作フローを示す図。
【図3】実施例1に基づく精密観察モードの動作フローを示す図。
【図4】実施例1に基づく排除モード(再発防止モードを含む)の動作フローを示す図。
【図5】実施例1に基づく培養中止モードの動作フローを示す図。
【図6】実施例2に基づく培養装置の概略構成を示す平面図。
【図7】実施例3に基づく培養装置の概略構成を示す平面図。
【図8】実施例3において培養容器5、磁石19、スペーサ20を組み合わせた際の上面図(a)、並びに同側面図(b)。
【図9】実施例4に基づく培養装置の概略構成を示す平面図。
【図10】実施例5に基づく培養装置の概略構成を示す平面図。
【図11】実施例7に基づく培養容器の断面を示す平面図。
【符号の説明】
1…培養装置、2…インキュベータ、3…インキュベータの扉、4…XYZステージ、4’…YZステージ、5、5’…培養容器、5a…培養容器本体、5b…培養容器蓋、6…光学的検出機構、7…ロボットアーム、8…パスボックス、9…パスボックスの内部扉、9’…パスボックスの外部扉、10…分注ステージ、11a…容器ホルダ、11b…蓋ホルダ、12a…培地a(培養用)、12b…培地b(剥離、回収用)、13…剥離液、14…原料細胞を分散させた緩衝液、15…廃液容器、16…分注機構、17…遠心機、18…制御装置、19…磁石、20…スペーサ、21…音響波による滅菌機構、22…電磁波による滅菌機構、23…容器壁、24…分離膜、25…目的細胞区画、26…免疫系細胞区画。
Claims (20)
- 接着性細胞を培養する自動培養装置において、培養容器内の画像を取得し、実時間で解析する機構を備え、微生物を検出することを特長とする自動培養装置。
- 請求項1に記載の自動培養装置において、検出した微生物を排除する機構を備えたことを特長とする自動培養装置。
- 請求項2に記載の自動培養装置において、微生物による再汚染を防止する機構を備えたことを特長とする自動培養装置。
- 請求項1ないし3に記載の自動培養装置において、検出試薬を含む培地を用いて微生物を標識し、前記検出試薬として、抗体、レクチン、またはカルコフローを用いることを特長とする自動培養装置。
- 接着性細胞を培養する自動培養装置において、同じ個体の骨髄由来の免疫系細胞と共培養し、免疫系細胞の作用により微生物を検出、排除することを特長とする自動培養装置。
- 請求項5に記載の自動培養装置において、免疫系細胞由来の抗体の作用により微生物を検出、排除することを特長とする自動培養装置。
- 接着性細胞を培養する細胞培養装置であって、
接着性細胞と、免疫応答を行う細胞と、培養用溶液とを収める培養容器と、
予備培養用溶液を収める培養用溶液容器と、
前記培養用溶液の状態を検出する溶液モニターと、
前記溶液モニターにて異常値が検出された際に、前記培養容器に収めた前記培養用溶液を、前記培養用溶液容器に収めた前記予備培養用溶液に入換るための溶液入換手段と、
前記溶液入換手段を制御する制御機構を有することを特徴とする細胞培養装置。 - 前記培養容器は、前記接着性細胞と前記免疫応答を行う細胞とを薄膜により分離して収めるものであることを特徴とする請求項7に記載の細胞培養装置。
- 前記培養容器は、前記培養容器の認識情報記憶手段を具備した容器認識手段を有することを特徴とする請求項7に記載の細胞培養装置。
- 前記溶液モニターは、前記培養用溶液の状態についての情報を前記制御機構に入力するものであり、
前記制御機構は、前記入力に応じて前記溶液入換手段に前記培養用溶液の入換の指令を出力するものであることを特徴とする請求項7に記載の細胞培養装置。 - 前記培養用溶液に混入した異物を検出する異物検出機構をさらに有し、
前記異物を除去する異物除去手段とをさらに有し、
前記異物検出機構は、前記異物の検出の結果情報を前記制御機構に入力するものであり、
前記制御機構は、前記入力に応じて前記異物除去手段に異物除去の指令を出力するものであることを特徴とする請求項10に記載の細胞培養装置。 - 前記異物検出機構は、前記異物の混入を、前記免疫応答を行う細胞の数の計測により検出することを特徴とする請求項11に記載の細胞培養装置。
- 前記異物検出機構は、前記異物の混入を、前記免疫応答を行う細胞が産生する抗体を定量して検出することを特徴とする請求項11に記載の細胞培養装置。
- 前記異物検出機構は、前記異物の混入を、光学的に検出することを特徴とする請求項11に記載の細胞培養装置。
- 前記異物除去手段は、前記制御機構からの指令を受けて、前記溶液入換手段に、前記培養用溶液を前記培養容器内部から流出させ、かつ前記予備培養用溶液を前記培養容器内部へ流入させるものであることを特徴とする請求項11に記載の細胞培養装置。
- 前記制御機構は、情報処理部と表示部を有し、
前記情報処理部は、前記異物検出機構と前記異物除去手段と前記溶液入換手段とを制御するものであり、
前記表示部は、前記情報処理部の前記制御の状況を表示するものであることを特徴とする請求項11に記載の細胞培養装置。 - 接着性細胞を培養容器に収める工程と、
前記培養容器に免疫応答を行う細胞を収める工程と、
前記培養容器内部の培養用溶液の状態を溶液モニターにより、異常値を検出する工程と、
前記培養容器の内部に収めた前記培養用溶液を溶液入換手段により入換する工程と、
前記培養用溶液に混入した異物を除去する工程とを有する細胞培養方法。 - 前記異物を除去する工程では、前記除去を、前記免疫応答を行う細胞による前記異物の捕食により行うことを特徴とする請求項17に記載の細胞培養方法。
- 前記異物を除去する工程では、前記除去を、前記免疫応答を行う細胞の増殖を異物検出手段によって検出し、前記異物検出手段が検出結果を制御機構に送り、前記制御機構が溶液入換手段に指令を送り、前記溶液入換手段が前記培養容器内部の前記培養用溶液を予備培養用溶液と入換することにより行うことを特徴とする請求項17に記載の細胞培養方法。
- 前記培養容器に、前記培養容器についての認識情報の記憶手段を具備した容器認識手段を設置し、
前記培養容器の認識情報と、前記接着性細胞と前記免疫応答を行う細胞との情報とを対応させることを特徴とする請求項17に記載の細胞培養方法。
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