JP2004208663A - 細胞培養システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】細胞を培養するための培地が充填された細胞培養容器1と、この細胞培養容器1内の培地の一部を新鮮な培地に交換することによって細胞培養容器1内の培養細胞を希釈する希釈手段と、細胞培養容器1内の培養細胞の密度を計測する計測手段とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、宇宙実験施設等の閉鎖環境において動物細胞等の細胞を培養試験する際に用いて好適な細胞培養システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば動物細胞等の細胞を培養試験する場合には、フラスコや試験管等の容器に培地を入れ、これに細胞の種液を投入して所定の培養環境下で一定期間保持することによって細胞の培養が行われる。培養期間が長期間にわたる場合には、途中で適宜植え継ぎ作業が行われる。植え継ぎ作業とは、それまでに培養した培養細胞の一部を容器から抽出して、これを新鮮な培地が充填された別の容器に移し替える作業であり、この作業は通常手動によって行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、宇宙実験施設等の閉鎖環境において動物細胞等の細胞を培養試験する場合には、限られたスペースの中で効率良く個々の作業を実施する必要がある。ところが、上記従来の培養方法においては、上記植え継ぎ作業が手動によって行われていたために、非常に作業効率が悪く、上記閉鎖環境で細胞を培養するにあたって作業性の面で大きな課題を有していた。また、培養細胞の世代管理(培養細胞の分裂回数の測定等)に多大な労力を要するという問題点もあった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、長期間にわたって細胞を培養することができ、しかも作業性に優れた細胞培養システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る細胞培養システムは、細胞を培養するための培地が充填された細胞培養容器と、この細胞培養容器内の培地の一部を新鮮な培地に交換することによって上記細胞培養容器内の培養細胞を希釈する希釈手段と、上記細胞培養容器内の培養細胞の密度を計測する計測手段とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
ここで、上記希釈手段としては、請求項4に記載の発明のように、細胞培養容器の注入口から新鮮な培地を注入して、その注入量に相当する培地を細胞培養容器の排出口から押し出すことにより、細胞培養容器内の培地の一部を新鮮な培地に交換する形式の希釈手段が含まれる他、例えば、希釈割合相当の培地(培養細胞を含む希釈前の培地)を一時待避させて、残りの培地をすべて新鮮な培地に置換した後、待避させていた培地を細胞培養容器内に戻す形式の希釈手段も含まれる。
【0007】
この請求項1に記載の本発明に係る細胞培養システムによれば、細胞培養容器内の培地の一部を新鮮な培地に交換することによって、細胞培養容器内の培養細胞が希釈されることとなるので、細胞培養容器内で連続的にかつ長期間にわたって細胞を培養することが可能になる。また、希釈手段を備えたことにより、従来のような培養細胞の植え継ぎ作業が不要となり、これによって作業性の向上を図ることができる。
しかも、計測手段により、細胞培養容器内の培養細胞の密度が計測されるので、培養細胞数の推移を正確に捉えることができ、細胞密度の計測値に基づいて培養細胞の分裂回数を特定することができる。したがって、培養細胞の世代管理が容易となる。
また、細胞培養容器内の培地の一部を新鮮な培地に交換することによって細胞培養容器内の培養細胞を希釈するようにしたので、培地の交換量如何によって、培養細胞の希釈割合を任意に調整することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記計測手段による計測結果に基づいて、上記細胞培養容器内の培養細胞の希釈タイミングおよび希釈割合を制御する制御手段を備えることを特徴とするものである。
【0009】
この請求項2に記載の発明によれば、計測手段による計測結果に基づいて、細胞培養容器内の培養細胞の希釈タイミングおよび希釈割合が制御されるので、培養細胞の希釈操作を省力化することができる。また、培養細胞の希釈タイミングや希釈割合の精度を高めることもできる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記細胞培養容器の一端に培地の注入口が設けられる一方、他端に排出口が設けられ、上記細胞培養容器には、培地の流れが層流となるように、上記注入口より当該細胞培養容器内に新鮮な培地を注入する培地注入部と、この培地注入部による培地の注入によって上記排出口から当該細胞培養容器外に押し出された培地(培養細胞を含む希釈前の培地)を回収する培地回収部とがそれぞれ接続されて、これら培地注入部および培地回収部によって、当該細胞培養容器内の培地の一部を新鮮な培地に交換する上記希釈手段が構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この請求項3に記載の発明によれば、注入口より細胞培養容器内に新鮮な培地が注入されることによって、その注入量に相当する培地が細胞培養容器の排出口から押し出され、その結果として、細胞培養容器内の培地の一部が新鮮な培地に交換されることとなるので、培養細胞の注入量如何によって、培養細胞の希釈割合を任意に調整することができる。
また、培地の流れが層流となるように、細胞培養容器の注入口から新鮮な培地を注入するようにしたので、細胞培養容器の排出口から押し出された初期の培地(培養細胞を含む希釈前の培地)に新鮮な培地が混ざることを極力防止することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、上記培地回収部には、上記細胞培養容器の上記排出口から押し出された培地に含まれる培養細胞を試料として採取するサンプリングユニットが設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
この請求項4に記載の発明によれば、細胞培養容器の排出口から押し出された培地に含まれる培養細胞を試料として採取するようにしたので、培養細胞の希釈と採取の各操作を同時に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明に係る細胞培養システムの一実施形態を示すものであり、このシステムは、キャニスタと呼ばれるケース内に収納されている。
図1において符号1が細胞培養容器であり、この細胞培養容器1は、上面に開口を有する凹部が設けられた透明な容器本体2と、この容器本体2の上記開口を塞ぐ膜材3とを備えている。膜材3は、シリコンゴム等からなるガス交換膜によって構成され、このガス交換膜の内面側には、培地が充填される培養空間4が形成されている。この培養空間4は、断面が矩形の細長い線状の空間とされ、その一端側に培地の注入口1Aが設けられる一方、他端側に排出口1Bが設けられている。また、ガス交換膜の外面側には、飽和水蒸気を含んだ空気が環流されており、その環流空気と培養空間4内の培地との間でガス交換が行われるようになっている。
また、培養空間4に面する凹部壁面は、培養細胞の偏在を防止すべく平滑面とされ、その材質としては、培養細胞が接着あるいは忌避しないもの(例えば石英ガラス)が選定されている。さらに、この細胞培養容器1は、オートクレーブ減菌を行うのに十分な耐熱性および耐圧性を備えている。
【0015】
この細胞培養容器1の近傍には、培養空間4に照明用のレーザ光を照射する平面レーザ5が設置されるとともに、この平面レーザ5のレーザ光が照射された所定領域の画像を撮影するCCD(Charge Coupled Device)カメラ6が設置されている。このCCDカメラ6で捉えた画像は制御装置(図示省略)に送信される。制御装置は、受信した画像中の細胞数を計数することにより培養空間4における細胞密度を導出する処理を実行する。つまり、平面レーザ5、CCDカメラ6および制御装置によって、細胞培養容器1内の培養細胞の密度を計測する計測手段が構成されている。なお、容器本体2は、前述したように、透明な材質により形成されているので、その内部に設けられた培養空間4をCCDカメラ6や目視により外部から観察することができる。
【0016】
細胞培養容器1の注入口1Aには、新鮮な培地を注入するための培地供給管7の一端が接続され、この培地供給管7の他端には、新鮮な培地を貯留するための新鮮培地容器8が設けられている。また、培地供給管7の途中には、新鮮培地容器8内の培地を細胞培養容器1に移送するための培地移送ポンプ9が設けられている。そして、これら培地供給管7、新鮮培地容器8、培地移送ポンプ9によって、培地の流れが層流(すなわちレイノルズ数が所定値以下)となるように、注入口1Aより細胞培養容器1内に新鮮な培地を注入する培地注入部が構成されている。
【0017】
また、培地移送ポンプ9の吐出側には、播種液を細胞培養容器1内に投入するための播種ユニット10が設けられ、この播種ユニット10と細胞培養容器1との間にはバルブ14が設けられている。播種ユニット10は、培地移送ポンプ9から細胞培養容器1に至る流路(第1流路)と播種液供給源(図示省略)から廃培地容器18(後述)に至る流路(第2流路)のいずれか一方を開通状態とする流路切換弁であって、各々の流路に対応する4つのポートが設けられた本体11と、それらポートの中から連通させるポートの組み合わせを選択的に切換可能な弁体12とを備えて構成されている。すなわち、弁体12は、その連通孔13を介して上記第1流路を開通状態とする第1状態(図1の状態)と、連通孔13を介して上記第2流路を開通状態とする第2状態(図2の状態)とに可逆的に回動変換可能な状態で本体11内に組み込まれている。なお、連通孔13は、細胞培養容器1に播種される播種液量に相当する内容積を有している。このため、例えば弁体12を上記第2状態にして連通孔13内に播種液を充填してから、弁体12を上記第1状態に変換して培地移送ポンプ9を作動させるようにすれば、培地の流れを利用して適量の播種液を細胞培養容器1内に投入することができる。
【0018】
一方、細胞培養容器1の排出口1Bには、途中で第1分岐路17aと第2分岐路17bとに2分岐する培地排出管17が接続され、各分岐路の途中にはそれぞれバルブ15、16が設けられている。第1分岐路17aには、培養細胞を試料として採取するためのサンプリングユニット20がアキュムレータ25を介して接続される一方、第2分岐路17bには、不要となった培地等を回収するための廃培地容器18が接続されている。そして、これら培地排出管17、廃培地容器18およびサンプリングユニット20によって、排出口1Bから細胞培養容器1外に押し出された培地を回収する培地回収部が構成され、この培地回収部および前述した培地注入部によって、細胞培養容器1内の培地の一部を新鮮な培地に交換する希釈手段が構成されている。
【0019】
サンプリングユニット20は、採取した培養細胞を封入するための複数(図示例では9)のサンプリング容器21と、パージ空気を受けるパージ用容器22と、アキュムレータ25から送られる培養細胞の受入先となるサンプリング容器21を切換操作するための駆動モータ23とを備えている。各サンプリング容器21には、サンプリングした培養細胞を化学固定するための試薬(例えば塩化第二水銀など)が予め充填されている。
アキュムレータ25は、PFA(パーフルオロアルコキシ)など酸素透過性のある素材のチューブであって、細胞培養容器1の排出口1Bから押し出された培地に含まれる培養細胞を一定期間チューブ内に滞留させて定常状態で維持するためのものである。例えば培養細胞がゾウリムシである場合には、一定期間定常状態(飢餓状態)で維持することによって、オートガミー能(自家接合能力)を有するゾウリムシにオートガミーを誘導することが可能になる。このアキュムレータ25内の培養細胞は、空気注入ポンプ19から供給される空気の圧力によって、サンプリングユニット20へと送液されるようになっている。なお、そのときの空気圧は、アキュムレータ25内に培養細胞が残留することを防止し得る圧力に予め設定されている。
【0020】
また、当該システムが収納されるキャニスタ内には、細胞培養容器1近傍の温度や湿度等を計測する各種センサが設けられるとともに、それらセンサやCCDカメラ6等からの出力に基づいて各種機器(培地移送ポンプ9、サンプリングユニット20、空気注入ポンプ19、バルブ14、15、16、ヒータなど)を制御する制御装置(制御手段)が設けられている。
【0021】
次に、上記構成からなる細胞培養システムによって行われる各操作について具体的に説明する。
1.播種操作
先ず、制御装置が、図1に示すように、播種ユニット10の弁体12を第1状態、バルブ14、15を開状態、バルブ16を閉状態として、培地移送ポンプ9を作動させる。その結果、新鮮培地容器8内の新鮮な培地が注入口1Aより細胞培養容器1内に送り込まれて、細胞培養容器1内が新鮮な培地で満たされる。また、排出口1Bより溢れた培地は廃培地容器18へと導かれる。
【0022】
次いで、制御装置が、培地移送ポンプ9の作動を停止させ、図2に示すように、播種ユニット10の弁体12を第2状態に変換する。この状態で、播種液供給源(図示省略)から播種液の供給が行われて、弁体12の連通孔13内に播種液が充填される。その際に連通孔13から溢れた播種液は、第2流路を通って廃培地容器18へと導かれる。
次いで、制御装置が、図1に示すように、播種ユニット10の弁体12を第1状態に復帰させて、培地移送ポンプ9を作動させる。これにより、新鮮培地容器8内の新鮮な培地が細胞培養容器1内に送り込まれ、この培地の流れに連通孔13内の播種液が押し流されて、細胞培養容器1内に播種液が適量投入される。
その後、制御装置が、培地移送ポンプ9の作動を停止させ、バルブ14、15を閉状態に変換する。これにより、播種操作が完了となる。
【0023】
2.希釈・サンプリング操作
制御装置では、CCDカメラ6から入力した画像に基づいて培養空間4における細胞密度を計測する処理が随時行われ、その計測値が所定値以上となった際に、この希釈・サンプリング操作が開始される。
【0024】
先ず、制御装置が、播種ユニット10の弁体12を第1状態、バルブ14、16を開状態、バルブ15を閉状態として、培地移送ポンプ9を作動させる。これにより、新鮮培地容器8内の新鮮な培地が注入口1Aより細胞培養容器1内に順次送り込まれる。この際に、培地の流れが層流(すなわちレイノルズ数が所定値以下)となるように、注入口1Aより細胞培養容器1内に新鮮な培地が注入されて、その注入量に相当する培地が細胞培養容器1の排出口1Bから順次押し出されるので、上記注入量に応じた量の培地(培養細胞を含む希釈前の培地)が新鮮な培地に交換されることとなる。例えば、希釈割合を1/N(ただし、N>1)とする場合には、新鮮な培地の注入により、培養空間4の(N−1)/Nに相当する培地(培養細胞を含む希釈前の培地)が新鮮な培地に交換されたところで、制御装置が、培地移送ポンプ9の作動を停止させ、バルブ14を閉状態に変換する。これにより、培養空間4内の培養細胞が1/Nに希釈される。
【0025】
一方、排出口1Bから押し出された培地(培養細胞を含む希釈前の培地)は、先ず始めにアキュムレータ25に流入し、その流入量がサンプリングの必要量に達したところで、バルブ15、16の切換操作によって、廃培地容器18へと流入する。
アキュムレータ25内の培地は、そのままの状態で一定期間維持された後(例えば、培養細胞がゾウリムシである場合には、一定期間定常状態で維持されてオートガミーの誘導が行われた後)、制御装置が空気注入ポンプ19を作動させることにより、空気圧でサンプリングユニット20へと送液されて、サンプリング容器21のいずれかに収納される。これにより、希釈・サンプリング操作が完了となる。
【0026】
次に、上記構成からなる細胞培養システムを用いて、「単細胞生物であるゾウリムシのクローン寿命の変動を測定する試験」を宇宙実験施設等で行う場合の手順について簡単に説明する。ここでは、ゾウリムシのオートガミー未熟期(自家接合した細胞が次の自家接合能力を獲得するまでの期間)の変動に基づいてクローン寿命の変動を測定する場合を例にとって説明する。
【0027】
先ず、予めオートガミーが誘導されて定常期にある細胞のみを含む播種液を上記播種操作によって、細胞培養容器1内に投入する。ここでは、新鮮な培地が充填された培養空間4に、その2のn乗分の1(例えば1/8)に相当する播種液を投入することによって、細胞を2のn乗分の1に希釈する。
次いで、一定期間細胞を培養し、図3に示すように、培養した細胞の密度がほぼ希釈前の水準に達して(すなわち、細胞分裂がn回行われて)増殖が定常期に入ったことが計測手段により確認されたら、培養を開始してからの経過時間(培養時間)を記録するとともに、上記希釈・サンプリング操作を行う。ここでは、細胞培養容器1内の培養細胞が2のn乗分の1に希釈されるように、新鮮な培地を細胞培養容器1内に注入する。
その後、上記と同様に、計測手段による計測に基づいて、上記希釈・サンプリング操作を所定回数(ここでは合計9回)繰り返す。
【0028】
以上の操作が完了したら、サンプリングユニット20の各サンプリング容器21内で化学固定された細胞を取り出して、各々の大核を顕微鏡下で観察し、その形態変化に基づいてオートガミーの出現頻度を求める。これにより、オートガミーの出現頻度の推移を分裂齢および培養時間の関数として導き出すことができ、これに基づいて、ゾウリムシのクローン寿命の変動を測定することができる。
【0029】
以上のように、上記構成からなる細胞培養システムによれば、細胞培養容器1内の培地の一部を新鮮な培地に交換することによって、細胞培養容器1内の培養細胞を希釈するようにしたので、細胞培養容器1内で連続的にかつ長期間にわたって細胞を培養することが可能になる。また、従来のような培養細胞の植え継ぎ作業が不要となり、これによって作業性の向上を図ることができる。
また、注入口1Aより細胞培養容器1内に新鮮な培地を注入して、当該注入量に相当する量の培地を細胞培養容器1の排出口1Bから押し出すことにより、細胞培養容器1内の培地の一部を新鮮な培地に交換して、細胞培養容器1内の培養細胞を希釈するようにしたので、培養細胞の注入量如何によって、培養細胞の希釈割合を任意に調整することができる。
また、培地の流れが層流となるように、細胞培養容器1の注入口1Aから新鮮な培地を注入するようにしたので、細胞培養容器1の排出口1Bから押し出された初期の培地(培養細胞を含む希釈前の培地)に新鮮な培地が混ざることを極力防止することができる。
【0030】
また、計測手段により、細胞培養容器1内の培養細胞の密度を随時計測するようにしたので、培養細胞数の推移を正確に把握することができ、細胞密度の計測値に基づいて培養細胞の分裂回数を特定することができる。さらに、計測手段による計測結果に基づいて、細胞培養容器1内の培養細胞の希釈タイミングおよび希釈割合を制御するようにしたので、培養細胞の希釈操作を省力化することができる。また、培養細胞の希釈タイミングや希釈割合の精度を高めることもできる
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る細胞培養システムによれば、細胞培養容器内で連続的にかつ長期間にわたって細胞を培養することが可能になる。また、従来のような培養細胞の植え継ぎ作業が不要となり、これによって作業性の向上を図ることができる。
しかも、培養細胞数の推移を正確に把握することができ、細胞密度の計測値に基づいて培養細胞の分裂回数を特定することができる。したがって、培養細胞の世代管理が容易となる。
また、細胞培養容器内の培地の一部を新鮮な培地に交換することによって細胞培養容器内の培養細胞を希釈するようにしたので、培地の交換量如何によって、培養細胞の希釈割合を任意に調整することができる。
したがって、宇宙実験施設等の閉鎖環境で動物細胞等の細胞を培養試験する場合において、当該細胞培養システムを好適に用いることができる。
【0032】
請求項2に記載の発明によれば、培養細胞の希釈タイミングや希釈割合の精度を高めることができるとともに、培養細胞の希釈操作を省力化することができる。
請求項3に記載の発明によれば、培養細胞の注入量如何によって、培養細胞の希釈割合を任意に調整することができる。
請求項4に記載の発明によれば、細胞培養容器の排出口から押し出された培地に含まれる培養細胞を試料として採取するようにしたので、培養細胞の希釈と採取の各操作を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細胞培養システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の播種ユニットの弁体を第2状態に変換したときの状態を示す図である。
【図3】細胞密度の推移を培養時間の関数として示したグラフである。
【符号の説明】
1 培養細胞容器
1A 注入口
1B 排出口
5 平面レーザ(計測手段)
6 CCDカメラ(計測手段)
7 培地供給管(培地注入部)
8 新鮮培地容器(培地注入部)
9 培地移送ポンプ(培地注入部)
17 培地排出管(培地回収部)
18 廃培地容器(培地回収部)
20 サンプリングユニット(培地回収部)
Claims (4)
- 細胞を培養するための培地が充填された細胞培養容器と、この細胞培養容器内の培地の一部を新鮮な培地に交換することによって上記細胞培養容器内の培養細胞を希釈する希釈手段と、上記細胞培養容器内の培養細胞の密度を計測する計測手段とを備えることを特徴とする細胞培養システム。
- 上記計測手段による計測結果に基づいて、上記細胞培養容器内の培養細胞の希釈タイミングおよび希釈割合を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養システム。
- 上記細胞培養容器の一端に培地の注入口が設けられる一方、他端に排出口が設けられ、
上記細胞培養容器には、培地の流れが層流となるように、上記注入口より当該細胞培養容器内に新鮮な培地を注入する培地注入部と、この培地注入部による培地の注入によって上記排出口から当該細胞培養容器外に押し出された培地を回収する培地回収部とがそれぞれ接続されて、これら培地注入部および培地回収部によって、当該細胞培養容器内の培地の一部を新鮮な培地に交換する上記希釈手段が構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞培養システム。 - 上記培地回収部には、上記細胞培養容器の上記排出口から押し出された培地に含まれる培養細胞を試料として採取するサンプリングユニットが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の細胞培養システム。
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