JPWO2006104007A1 - アルミニウム系材料のろう付け用フラックス粉末及び該フラックス粉末の製造方法 - Google Patents

アルミニウム系材料のろう付け用フラックス粉末及び該フラックス粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

Mgを含有するアルミニウム系材料のろう付けにおいて、良好な広がり性を有し、非腐食性で安全性に優れ、かつ比較的安価で経済的に優れ、広く一般用に使用できる。粉末中にKAlF4、K2AlF5及びK2AlF5・H2Oをそれぞれ含み、Mg含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末の改良であり、その特徴ある構成は、組成がK/Alモル比1.00〜1.20、F/Alモル比3.80〜4.10の範囲を有し、K2AlF5及びK2AlF5・H2Oの合計含有量が6.0〜40.0重量%、残部がKAlF4であり、K2AlF5・H2Oの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造であるところにある。

Description

本発明は、マグネシウムを含有したアルミニウム系材料のろう付けに好適なフラックス粉末及びこのフラックス粉末の製造方法に関するものである。
従来よりアルミニウム系材料のろう付けには、ろう材としてアルミニウム系材料よりも若干低融点のアルミニウム−シリコン(Al−Si)共晶合金が使用されている。このろう材とアルミニウム系材料を良好に接合するためには、アルミニウム系材料表面に形成される酸化被膜を除去する必要があり、この酸化被膜除去にフッ化物系フラックスが使用されている。このうち、フッ化カリウム(KF)−フッ化アルミニウム(AlF)系の錯体(フルオロアルミン酸カリウム)からなる非腐食性フラックスがアルミニウム系材料表面に直接塗布又は散布が可能で、窒素雰囲気炉での連続処理ができ、ろう付け後のフラックス薄膜が安定であり、塗布又は散布したフラックス粉末を除去する必要がなく、更に低コストかつ高品質である等の様々な優れた性能を有しているため、最も広く使用されている。このKF−AlF系フラックスは、主成分であるKAlFが溶融した状態でアルミニウム系材料表面の酸化被膜と反応し、活性なアルミニウム系材料と溶融したろう材を接合させる。
一方、アルミニウム部材を薄肉化することにより材料使用量を削減してコストダウンするとともに部材の軽量化を図るべく、強度及び耐食性に優れたマグネシウム(Mg)を含有したアルミニウム系材料の使用が検討されている。
しかし、このKF−AlF系フラックスは、Mgを含有したアルミニウム系材料のろう付けには十分な性能を示さないという欠点を有している。具体的には、0.4重量%を越えるMgを含有したアルミニウム系材料のろう付けでは、次の式(1)に示すように、ろう付け中にMgとフラックスが反応してフラックスの主成分であるKAlFが消費され、高融点のKMgFやAlFが生成、析出する。このKMgFやAlFがフラックス層の融点を上昇させ、溶融時の流動性を著しく低減させる。従って、溶融したフラックスは十分な広がり性が得られず、フラックスの主成分であるKAlFが反応により消費されるため、アルミニウム系材料表面の酸化被膜の除去が十分に行われない。
3Mg + 3KAlF → 3KMgF(s)↓ + AlF(s)↓ + 2Al↓ ……(1)
従って現状使用されているフラックスでは、Mg含有アルミニウム系材料へのろう付けには、Mgを含有しないアルミニウム系材料への塗布量の約5倍量程度を塗布しなければ、十分な広がり性が得られず、材料表面の酸化被膜の除去が行われないという問題があった。
このような上記問題点を解決する方策として、単体化合物表示にてフッ化アルミニウム60〜50重量%、フッ化カリウム40〜50重量%を含有するフルオロアルミニウム酸カリウム又はフルオロアルミニウム酸カリウムとフッ化アルミニウムとの混合組成物100重量%と、その全量に対してフッ化アルミニウムアンモン5〜15重量%を含有したろう付け用フラックスが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に示されたフラックスでは、Mg含有量が約2重量%までのアルミニウム系材料のろう付けが可能であるとしている。
また、単体化合物表示にてフッ化アルミニウム/フッ化セシウムのモル比が67/33〜26/74に相当する組成を有するフルオロアルミニウム酸セシウム又はフルオロアルミニウム酸セシウムとフッ化アルミニウムとの混合組成物からなるろう付け用フラックスが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に示されたフラックスでは、Mg含有量が1重量%以下のアルミニウム系材料のろう付けで使用可能である。
特開昭60−184490号公報(特許請求の範囲(1)、3頁左上欄15行目〜右上欄2行目) 特開昭61−162295号公報(特許請求の範囲)
しかし、上記特許文献1に示されたフラックスでは、ろう付け過程でフッ化アンモニウム(NHF)の有害なヒュームが大量に発生するため、装置の腐食、安全衛生及び公害の見地から大きな問題を有していた。
また、上記特許文献2に示されたフラックスでは、高価なセシウムが原料に用いられていることから、一般的に使用されるろう付け用としては経済的ではなく、実用化されていない。また、このセシウム含有フラックスに含まれるセシウム化合物が吸湿性を有しているため、セシウム含有フラックスを使用することで、ろう付け設備の腐食の問題が発生する。
本発明の目的は、Mgを含有するアルミニウム系材料のろう付けにおいて、良好な広がり性を有し、非腐食性で安全性に優れ、かつ比較的安価で経済的に優れる、広く一般用に使用できるアルミニウム系材料のろう付け用フラックス粉末及び該フラックス粉末の製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、粉末中にKAlF、KAlF及びKAlF・HOをそれぞれ含み、Mg含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末の改良である。その特徴ある構成は、組成がK/Alモル比1.00〜1.20、F/Alモル比3.80〜4.10の範囲を有し、KAlF及びKAlF・HOの合計含有量が6.0〜40.0重量%であり、残部がKAlFであり、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造であるところにある。
請求項2に係る発明は、粉末中にKAlF、KAlF、KAlF・HO及びKAlFをそれぞれ含み、Mg含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末の改良である。その特徴ある構成は、組成がK/Alモル比1.00〜1.20、F/Alモル比3.80〜4.10の範囲を有し、KAlF及びKAlF・HOの合計含有量が6.0〜40.0重量%、KAlFの含有量が5.0重量%以下、残部がKAlFであり、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造であるところにある。
請求項1又は2に係るフラックス粉末は、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部を、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造とすることにより、Mg含有アルミニウム系材料のろう付けにおいて、従来のフラックス粉末に比べて溶融時の流動性及び広がり性が増加し、材料表面の酸化被膜の除去にも優れ、Mg含有アルミニウム系材料に対して従来のフラックス粉末を用いた場合に比べてその塗布量を大幅に低減することができ、良好なろう付けをすることができる。また、非腐食性で安全性に優れ、かつ比較的安価で経済的に優れ、広く一般用に使用することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、粉末を100℃にて恒量となるまで乾燥したときの体積比抵抗が1×10〜5×1011Ω・cmであるフラックス粉末である。
請求項3に係る発明では、粉末を100℃にて恒量となるまで乾燥したときの体積比抵抗が1×10〜5×1011Ω・cmの範囲内になっていれば、KAlF・HOの組成及び結晶性を十分に形成及び成長させないように制御されていることが判る。なお、体積比抵抗が上記範囲を越えるフラックス粉末は、粉末中のKAlF・HOの組成の大部分が形成され、かつ結晶が大きく成長しているため、KAlF・HOからK欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の結晶構造が失われて、Mgを含有するアルミニウム系材料のろう付けにおいて、良好な広がり性が得られない不具合を生じる。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、粉末をX線回折分析したときのKAlF・HOによる2θが44deg〜45degの間に存在する最大回折ピーク強度がKAlFによる最大ピーク強度の12%以下であるフラックス粉末である。
請求項4に係る発明では、粉末をX線回折分析したときのKAlF・HOによる2θが44deg〜45degの間に存在する最大回折ピーク強度がKAlFによる最大ピーク強度の12%以下となっていれば、KAlF・HOの組成及び結晶性を十分に形成及び成長させないように制御されていることが判る。なお、上記ピーク強度の上記範囲を越えるフラックス粉末は、粉末中のKAlF・HOの組成の大部分が形成され、かつ結晶が大きく成長しているため、KAlF・HOからK欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の結晶構造が失われて、Mgを含有するアルミニウム系材料のろう付けにおいて、良好な広がり性が得られない不具合を生じる。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、粉末を示差熱分析(Differential Thermal Analysis、以下、DTA分析という。)したときの550〜560℃の温度範囲に検出される溶融ピーク高さが、560℃を越える温度範囲に検出される溶融ピーク高さよりも高いフラックス粉末である。
請求項5に係る発明では、粉末をDTA分析したときの550〜560℃の温度範囲に検出される溶融ピーク高さが、560℃を越える温度範囲に検出される溶融ピーク高さよりも高くなっていれば、KAlF・HOの組成及び結晶性を十分に形成及び成長させないように制御されていることが判る。なお、上記溶融ピーク高さが560℃を越える温度範囲に検出される溶融ピーク高さよりも低いフラックス粉末は、粉末中のKAlF・HOの組成の大部分が形成され、かつ結晶が大きく成長しているため、KAlF・HOからK欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の結晶構造が失われて、Mgを含有するアルミニウム系材料のろう付けにおいて、良好な広がり性が得られない不具合を生じる。
請求項6に係る発明は、Mg含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末の製造方法であって、原料化合物として水酸化アルミニウム、フッ化水素酸及び水酸化カリウムをそれぞれ用い、原料化合物をK/Alモル比で1.00〜1.20並びにF/Alモル比で4.00〜4.20の範囲内となる割合で使用し、かつ反応温度70〜100℃で湿式反応させることを特徴とする。
請求項6に係る発明では、上記条件で製造することにより、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部を、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造としたフラックス粉末が得られる。
本発明のフラックス粉末は、KAlF・HOの組成及び結晶性が十分に形成及び成長しないように抑制して、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造とすることにより、Mg含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けにおいて、従来のフラックス粉末に比べて溶融時の流動性及び広がり性が増加し、材料表面の酸化被膜の除去にも優れ、Mg含有アルミニウム系材料に対して従来のフラックス粉末を用いた場合に比べてその塗布量を大幅に低減し、良好なろう付けを得ることができる。また、非腐食性で安全性に優れ、かつ比較的安価で経済的に優れ、広く一般用に使用することができる。
また、本発明のフラックス粉末の製造方法は、原料化合物として水酸化アルミニウム、フッ化水素酸及び水酸化カリウムをそれぞれ用い、原料化合物の割合をK/Alモル比が1.00〜1.20並びにF/Alモル比が4.00〜4.20の範囲内となるように調整し、かつ反応温度70〜100℃で湿式反応させることにより、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部を、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造としたフラックス粉末が得られる。
本発明のフラックス粉末の製造方法を示すフロー図である。 サンプルNo.13における熱重量・示差熱分析測定結果を示す図である。 サンプルNo.20における熱重量・示差熱分析測定結果を示す図である。 サンプルNo.1〜No.32における反応温度と広がり性の関係を示す図である。 サンプルNo.1〜No.32におけるK/Alモル比とF/Alモル比の関係を示す図である。 サンプルNo.1〜No.32におけるK/Alモル比と広がり性の関係を示す図である。 サンプルNo.1〜No.32における加熱減量と相対強度の関係を示す図である。 サンプルNo.1〜No.32におけるK/Alモル比と体積比抵抗の関係を示す図である。 サンプルNo.1〜No.32における体積比抵抗と広がり性の関係を示す図である。 サンプルNo.1〜No.32におけるF/Alモル比と広がり性の関係を示す図である。 サンプルNo.1〜No.32におけるF/Alモル比と体積比抵抗の関係を示す図である。
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
KF−AlF系フラックス粉末中にKAlFの他に、KAlFやKAlFが存在すると、Mg含有アルミニウム系材料に対しては、次の式(2)及び式(3)に示す反応が起こる。
3Mg + 2KAlF + KAlF → 3KMgF(s)↓ + KAlF + 2Al↓ ……(2)
3Mg + 2KAlF + KAlF → 3KMgF(s)↓ + KAlF + 2Al↓ ……(3)
このような反応により、KAlFの消費が抑制され、高融点のAlFの析出も防止することができる。しかしながら従来より使用されているKF−AlF系フラックス粉末の製造は、図1(a)〜図1(c)及び次の式(4)〜式(6)で示される湿式反応によって製造される。
Al(OH) + 4HF → HAlF + 3HO ……(4)
HAlF + KOH → KAlF↓ ……(5)
HAlF + HF + 2KOH → KAlF・HO↓ + HO ……(6)
得られた反応生成物は、図1(d)〜図1(f)にそれぞれ示すように、濾過洗浄工程を経た後、フラックス粉末を乾燥する工程、更に粉末の粒度分布と粒子形状を制御する工程を経て製品化される。
一方、得られたフラックス粉末には、上記式(6)で示される湿式反応により、KAlF・HOの形態の結晶粒子が存在することになる。この結晶水を含有するKAlF・HOは、ろう付け工程において水蒸気を発生し、アルミニウム系材料表面の酸化被膜を増加させる。従って、フラックスの流動性が低減する。
本発明者らは、Mg含有アルミニウム系材料のろう付けにおいて、フラックスの溶融時の流動性を改善し、Mg含有アルミニウム系材料表面でのMgとフラックスとの反応を抑制し得る、Mg含有アルミニウム系材料のろう付け可能なフラックスを開発することを進め、図1(a)〜図1(c)に示す製造方法及び上記式(4)〜式(6)の湿式反応式によって得られる反応生成物中の組成を制御するために、原料化合物をK/Alモル比で1.00〜1.20並びにF/Alモル比で4.00〜4.20の範囲内となる割合で使用し、かつ反応温度70〜100℃で湿式反応させることにより、フラックスの流動性を低減させる要因となっているKAlF・HOの組成及び結晶性を十分に形成及び成長しないように抑制し、KAlF・HOを不十分な結晶性及び結晶欠陥を有した粒子とすることで、低い溶融温度で溶融時の広がり性に優れたフラックス粉末となることを見出した。このような組成を有するフラックス粉末は、溶融時の流動性及び広がり性が増していき、材料表面の酸化被膜除去にも優れるだけでなく、アルミニウム系材料表面でのMgとフラックスとの反応を抑制しつつ、良好なろう付け性が得られることが判明した。
本発明のフラックス粉末は、Mg含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末であり、特に0.5重量%を越えるMg含有量のアルミニウム系材料に用いるのが好適である。
本発明の第1のフラックス粉末は、粉末中にKAlF、KAlF及びKAlF・HOをそれぞれ含み、組成がK/Alモル比1.00〜1.20、F/Alモル比3.80〜4.10の範囲を有し、KAlF及びKAlF・HOの合計含有量が6.0〜40.0重量%、残部がKAlFであり、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造であることを特徴とする。KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部を、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造とすることにより、Mg含有アルミニウム系材料のろう付けにおいて、従来のフラックス粉末に比べて溶融時の流動性及び広がり性が増加し、材料表面の酸化被膜の除去にも優れ、Mg含有アルミニウム系材料に対して従来のフラックス粉末を用いた場合の塗布量に比べてその塗布量を大幅に低減することができ、良好なろう付けをすることができる。また、非腐食性で安全性に優れ、かつ比較的安価で経済的に優れ、広く一般用に使用することができる。フラックス粉末の組成はK/Alモル比1.00〜1.20、F/Alモル比3.80〜4.10の範囲であり、特に好ましくはK/Alモル比1.02〜1.15、F/Alモル比3.90〜4.08の範囲である。フラックス粉末に含まれるKAlF及びKAlF・HOの合計含有量を6.0〜40.0重量%の範囲内としたのは、下限値未満では、KAlF・HOの結晶構造に、欠損型の結晶構造が生じず、フラックス粉末が流動性及び広がり性を発揮されないため、Mg含有アルミニウム系材料に対して良好なろう付けをすることができないためである。また、上限値を越えると、フラックス粉末の溶融時における流動性及び広がり性が低下してろう付け性を悪化させるとともに、ろう付け工程の際に持ち込まれるHO成分が増加してろう付け性の低下及びろう付け設備の腐食を生じ、実用に適さないためである。このうちKAlF及びKAlF・HOの合計含有量は10〜30重量%が特に好ましい。
また、本発明の第2のフラックス粉末は、粉末中にKAlF、KAlF、KAlF・HO及びKAlFをそれぞれ含み、組成がK/Alモル比1.00〜1.20、F/Alモル比3.80〜4.10の範囲を有し、KAlF及びKAlF・HOの合計含有量が6.0〜40.0重量%、KAlFの含有量が5.0重量%以下、残部がKAlFであり、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造であることを特徴とする。K/Alモル比、F/Alモル比を従来のフラックス粉末に比べて減少させることで、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造とすることができる。フラックス粉末の組成はK/Alモル比1.02〜1.15、F/Alモル比3.90〜4.08の範囲が特に好ましい。また、上記モル比の範囲内となる組成とすることでKAlFの生成が非常に少なく、KAlFの含有量は5.0重量%以下となり、X線回折分析したときのKAlFの固有ピーク(2θ:21.0°/29.9°)は認められない。KAlFの含有量は4.0重量%以下が好ましく、3.0重量%以下が特に好ましい。フラックス粉末に含まれるKAlF及びKAlF・HOの合計含有量を6.0〜40.0重量%の範囲内としたのは、下限値未満では、KAlF・HOの結晶構造に、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造が生じず、フラックス粉末が流動性及び広がり性を発揮されないため、Mg含有アルミニウム系材料に対して良好なろう付けをすることができないためである。また、上限値を越えると、フラックス粉末の溶融時における流動性及び広がり性が低下してろう付け性を悪化させるとともに、ろう付け工程の際に持ち込まれるHO成分が増加してろう付け性の低下及びろう付け設備の腐食を生じ、実用に適さないためである。このうちKAlF及びKAlF・HOの合計含有量は10〜30重量%が特に好ましい。
本発明のフラックス粉末は、粉末を100℃にて恒量となるまで乾燥したときの体積比抵抗(電気抵抗)が1×10〜5×1011Ω・cmであれば、KAlF・HOの組成及び結晶性を十分に形成及び成長させないように制御されていることが判る。なお、従来のフラックス粉末のように、粉末中に含まれるKAlF・HOの組成及び結晶性が十分に形成されている場合の体積比抵抗は1×1012〜5×1013Ω・cmと高い抵抗値を有する。フラックス粉末の体積比抵抗が下限値未満では、帯電電荷が不足して塗装面に付着できず、静電塗装が困難になる。本発明のフラックス粉末は、粉末をX線回折分析したときのKAlF・HOによる2θが44deg〜45degの間に存在する最大回折ピーク強度がKAlFによる最大ピーク強度の12%以下となっていれば、KAlF・HOの組成及び結晶性を十分に形成及び成長させないように制御されていることが判る。最大回折ピーク強度はKAlFによる最大ピーク強度の3〜9%が特に好ましい。また、本発明のフラックス粉末は、粉末をDTA分析したときの550〜560℃の温度範囲に検出される溶融ピーク高さが、560℃を越える温度範囲に検出される溶融ピーク高さよりも高くなっていれば、KAlF・HOの組成及び結晶性を十分に形成及び成長させないように制御されていることが判る。
このように本発明のフラックス粉末によって、従来ろう付けが困難であり、多量のフラックスを塗工することで辛うじて実施されていたMg含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けが、Mgを含有しないアルミニウム系材料に対する塗布量とほぼ同等量にまで低減でき、かつ良好なろう付け性を達成することができる。
なお、本発明のフラックス粉末を静電塗装方法に用いる場合には、フラックス粉末の粒度を粒径20μm以上の大きな粒子を40重量%以下、かつ粒径10μm以下の小さな粒子を20〜40重量%に調整することでろう付けに十分な塗布量が得られる。このうち、粒径20μm以上の大きな粒子の含有量が30重量%以下、かつ粒径10μm以下の小さな粒子の含有量が24〜36重量%に調整されたものが特に好ましい。粒径10μm以下の小さな粒子の含有量が上限値を越えるとフラックス粉末の流動性が低下し、静電塗装におけるノズル、配管での付着、閉塞が発生し、乾式の塗布に適さない粉末となる。
本発明のフラックス粉末の製造方法は、マグネシウム含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末の製造方法であって、原料化合物として水酸化アルミニウム、フッ化水素酸及び水酸化カリウムをそれぞれ用い、原料化合物をK/Alモル比で1.00〜1.20並びにF/Alモル比で4.00〜4.20の範囲内となる割合で使用し、かつ反応温度70〜100℃で湿式反応させることを特徴とする。上記条件で製造することにより、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部を、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造としたフラックス粉末が得られる。本発明のフラックス粉末の製造方法は、図1(a)〜図1(c)で示される各工程によって行われ、得られた反応生成物は、図1(d)〜図1(f)にそれぞれ示すように、濾過洗浄工程が施され、フラックス粉末を乾燥する工程、更に粉末の粒度分布と粒子形状を制御する工程を経て製品化される。
原料化合物をF/Alモル比4.00未満の割合で使用すると、上記式(4)に示す反応が進行する際に、一部の水酸化アルミニウムがフッ化アルミン酸(HAlF)として溶解されずに、水酸基を有する化合物として残留してしまう。この残留した水酸基を有する化合物は、後に続く反応によっても水酸基が取り除かれず、得られるフラックス粉末中に水酸基が存在してしまうため、この残留する水酸基に起因してろう付け性及び広がり性が悪化する。原料化合物をF/Alモル比4.20を越える割合で使用する場合や、K/Alモル比1.20を越える割合で使用する場合は、KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部を、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造としたフラックス粉末は得られず、Mg含有アルミニウム系材料のろう付けには適さない。原料化合物はK/Alモル比1.02〜1.15、F/Alモル比4.05〜4.15の範囲で使用することが特に好ましい。反応温度を70〜100℃としたのは、反応温度が70℃未満であると、KAlF及びKAlF・HOの合計含有量が40.0重量%を越えてしまい、反応温度が100℃を越えると、KAlF及びKAlF・HOの合計含有量が6.0重量%未満となるためである。反応温度は75〜95℃が特に好ましい。なお、図1(e)のフラックス粉末を乾燥する工程を強化することで、図1(a)〜図1(c)によって得られた反応生成物中のKAlF・HOから、結晶水を取り除いてKAlFとすることができる。これにより、フラックス粉末の溶融時における流動性及び広がり性を更に増加でき、ろう付け工程への水分の持ち込みを減少させ、ろう付け性の向上を図ることができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例及び比較例>
先ず、原料化合物として水酸化アルミニウム、フッ化水素酸及び水酸化カリウムをそれぞれ用い、原料化合物を次の表1及び表2に示す仕込みK/Alモル比並びに仕込みF/Alモル比となる割合で使用し、かつ次の表1及び表2に示す反応温度で湿式反応させることにより、次の表1及び表2に示す組成比を有するフラックス粉末サンプルをNo.1〜No.32まで製造した。製造したフラックス粉末サンプルのうち、サンプルNo.12〜No.24が本発明のフラックス粉末に相当し、サンプルNo.1〜No.11、サンプルNo.25〜No.32は本発明の範囲外のフラックス粉末である。また製造したフラックス粉末サンプルのKAlF・HOの結晶水の離脱に起因する500℃で15分間加熱した後の重量減(以下、本明細書において、500℃で15分間加熱したときの重量減を加熱減量という。)を求めた。得られた結果を表1及び表2にそれぞれ示す。
なおフラックス粉末サンプルにおける加熱減量の測定方法は次の通りである。
先ず、白金皿の風袋重量を測定し、その重量をAとする。次いで、フラックス粉末試料10gを白金皿に正確に秤取る。このときの白金皿とフラックス粉末試料10gの重量をBとする。次に、試料を載せた白金皿表面をアルミ箔で覆い、アルミ箔表面に約2mm程度の大きさの穴を20箇所程度開ける。次に、白金皿を電気マッフル炉内に入れて、炉内を500±5℃に加熱し、約15分間保持する。加熱後は白金皿を電気マッフル炉から取り出し、デシケーターに保持して室温にまで放冷する。続いて放冷した白金皿の重量を秤量する。この秤量した重量をCとする。このようにして測定した各重量値を次の計算式に代入することでフラックス粉末試料における加熱減量を計算する。
加熱減量[wt%]=(B−C)×100/(B−A)
このようにして得られる加熱減量は、フラックス粉末中のKAlF・HOの結晶水が加熱により失われることに起因しているため、KAlF・HO含有量を次の計算式によって計算することができる。
AlF・HO含有量[wt%]=加熱減量[wt%]×218.2/18.0
上記計算式において、218.2はKAlF・HOの分子量を、18.0はHOの分子量をそれぞれ示す。
Figure 2006104007
Figure 2006104007
製造した各サンプルを100℃にて恒量となるまで乾燥し、乾燥したサンプルの体積比抵抗(電気抵抗)を求めた。フラックス粉末の体積比抵抗(電気抵抗)は、1×10〜5×1011Ω・cmの範囲内であれば、粉末中のKAlF・HOの組成及び結晶性が十分に形成及び成長されておらず、一方、上記範囲を越えるとKAlF・HOの組成及び結晶性が十分に形成及び成長されていることを示す。
また、各サンプルをX線回折分析し、KAlFによる28.9degのピーク強度を100としたときの、KAlF・HOによる44.5degのピーク強度を相対強度として求めた。フラックス粉末の相対強度は、12%以下となっていれば、粉末中のKAlF・HOの組成及び結晶性が十分に形成及び成長されておらず、一方、上記範囲を越えるとKAlF・HOの組成及び結晶性が十分に形成及び成長されていることを示す。
更に、各サンプルについて、以下に示す広がり性試験を行った。先ず、Mg含有量が0.8重量%のアルミニウム系材料Aをそれぞれ用意した。次に、材料Aの表面にサンプル2mgを塗工して、600℃に維持した雰囲気炉に収容して、約6分間保持した。加熱後、材料を雰囲気炉より取出し、材料表面で溶融したサンプルの広がり性を測定した。各測定結果を表3にそれぞれ示す。
Figure 2006104007
表3より明らかなように、体積比抵抗は、サンプルNo.1〜No.11、No.25〜No.32のフラックス粉末が1×10〜5×1011Ω・cmの範囲外であり、相対強度は、サンプルNo.1〜No.5、No.7〜No.11、No.28及びNo.31のフラックス粉末が相対強度12%以下の範囲外であった。体積比抵抗範囲と相対強度範囲の双方を満たしていないサンプルNo.1〜No.11、No.25〜No.32のフラックス粉末では、広がり性が20mm未満となっていた。一方、体積比抵抗及び相対強度がともに上記範囲内となったサンプルNo.12〜No.24のフラックス粉末では、広がり性が20mmを越え、良好な広がり性が得られていた。
サンプルNo.13及びNo.20におけるフラックス粉末について、熱重量・示差熱分析(TG−DTA)を行った。DTA曲線では、550〜560℃の温度範囲に検出される溶融ピーク高さが、560℃を越える温度範囲に検出される溶融ピーク高さよりも高くなっていれば、粉末中のKAlF・HOの組成及び結晶性が十分に形成及び成長されておらず、一方、550〜560℃の温度範囲に検出される溶融ピーク高さが、560℃を越える温度範囲に検出される溶融ピーク高さよりも低いか、或いは550〜560℃の温度範囲に溶融ピークが検出されなければ、KAlF・HOの組成及び結晶性が十分に形成及び成長されていることを示す。測定結果を図2〜図3にそれぞれ示す。
図2より明らかなように、サンプルNo.13のDTA曲線では、550〜560℃の範囲と570℃近傍にそれぞれ溶融ピークが1本ずつ検出され、550〜560℃の温度範囲に検出されたピーク高さが、570℃近傍に検出されたピーク高さよりも高くなっていた。また図3より明らかなように、サンプルNo.20のDTA曲線では、550〜560℃の範囲に溶融ピークが検出され、560℃を越えたあたりに肩のようなピークが検出され、550〜560℃の温度範囲に検出されたピーク高さが、560℃を越えたあたりに検出されたピーク高さよりも高くなっていた。
反応温度と広がり性の関係を示す図を図4に、K/Alモル比とF/Alモル比との関係を示す図を図5に、K/Alモル比と広がり性との関係を示す図を図6に、加熱減量と相対強度の関係を示す図を図7に、K/Alモル比と体積比抵抗を示す図を図8に、体積比抵抗と広がり性の関係を示す図を図9に、F/Alモル比と広がり性との関係を示す図を図10に、F/Alモル比と体積比抵抗との関係を示す図を図11にそれぞれ示す。なお、図4〜図11において、菱形の表示はNo.1〜No.11のフラックス粉末の結果を示し、正四角形の表示はNo.12〜No.24のフラックス粉末の結果を示し、三角形の表示はNo.25〜No.32のフラックス粉末の結果を示す。
図4より明らかなように、図中、三角形で表示されるNo.25〜No.32のフラックス粉末の結果のうち、製造時における反応温度が70〜100℃の範囲外のものについては、広がり性が15mm未満となり、反応温度が低いと、フラックス粉末の広がり性が劣る傾向にあることが判った。図5より明らかなように、K/Alモル比とF/Alモル比との関係は、K/Alモル比が低くなるにつれて、F/Alモル比も低くなる傾向が見られた。図6より明らかなように、K/Alモル比と広がり性との関係は、K/Alモル比が1.00〜1.20の範囲内の、図中、正四角形で表示されるNo.12〜No.24のフラックス粉末の結果については、広がり性に優れた傾向にあり、K/Alモル比が1.20を越えたフラックス粉末では、モル比のKの割合が高くなるほど、広がり性が低下する傾向が見られた。図7より明らかなように、加熱減量と相対強度との関係は、加熱減量が小さいほど相対強度が低くなり、加熱減量が大きくなるほど相対強度が高くなる傾向が見られた。この図7から、加熱減量の数値が、粉末中のKAlF・HOの組成及び結晶性が形成及び成長していることを裏付けていることが判った。図8より明らかなように、K/Alモル比と体積比抵抗との関係は、K/Alモル比が1.00〜1.20の範囲内の、図中、正四角形で表示されるNo.12〜No.24のフラックス粉末の結果については、体積比抵抗が1×10〜5×1011Ω・cmの範囲内となり、一方、K/Alモル比が1.20近傍並びにこの数値を越えると、高い抵抗値を示していた。
図9より明らかなように、体積比抵抗と広がり性との関係は、体積比抵抗が1×10〜5×1011Ω・cmの範囲内の、図中、正四角形で表示されるNo.12〜No.24のフラックス粉末の結果については、良好な広がり性を得られていた。一方、高い抵抗値を示す図中、菱形で表示されるNo.1〜No.11のフラックス粉末、三角形で表示されるNo.25〜No.32のフラックス粉末の結果については、広がり性にばらつきを生じていた。図10より明らかなように、F/Alモル比と広がり性との関係は、F/Alモル比が3.80〜4.10の範囲内の、図中、正四角形で表示されるNo.12〜No.24のフラックス粉末の結果については、広がり性に優れた傾向にあり、K/Alモル比が1.20近傍及びこの数値を越えたフラックス粉末では、モル比のFの割合が高くなるほど、広がり性が低下する傾向が見られた。図11より明らかなように、F/Alモル比と体積比抵抗との関係は、F/Alモル比が3.80〜4.10の範囲内の、図中、正四角形で表示されるNo.12〜No.24のフラックス粉末の結果については、体積比抵抗が1×10〜5×1011Ω・cmの範囲内となり、一方、F/Alモル比が4.10近傍並びにこの数値を越えると、高い抵抗値を示していた。
本発明のフラックス粉末は、Mgが0.1〜1.0重量%の割合で含有するアルミニウム系材料のろう付けに限らず、Mgが0.1重量%未満の割合で含有するアルミニウム系材料や、Mgを含有しないアルミニウム系材料のろう付けにも適用できる。

Claims (6)

  1. 粉末中にKAlF、KAlF及びKAlF・HOをそれぞれ含み、マグネシウム含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末において、
    組成がK/Alモル比1.00〜1.20、F/Alモル比3.80〜4.10の範囲を有し、前記KAlF及びKAlF・HOの合計含有量が6.0〜40.0重量%、残部がKAlFであり、前記KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造であることを特徴とするアルミニウム系材料のろう付け用フラックス粉末。
  2. 粉末中にKAlF、KAlF、KAlF・HO及びKAlFをそれぞれ含み、マグネシウム含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末において、
    組成がK/Alモル比1.00〜1.20、F/Alモル比3.80〜4.10の範囲を有し、前記KAlF及びKAlF・HOの合計含有量が6.0〜40.0重量%、前記KAlFの含有量が5.0重量%以下、残部がKAlFであり、前記KAlF・HOの結晶構造の一部又は全部が、K欠損型、F欠損型又はK及びF欠損型の少なくとも1種の結晶構造であることを特徴とするアルミニウム系材料のろう付け用フラックス粉末。
  3. 粉末を100℃にて恒量となるまで乾燥したときの体積比抵抗が1×10〜5×1011Ω・cmである請求項1又は2記載のフラックス粉末。
  4. 粉末をX線回折分析したときのKAlF・HOによる2θが44deg〜45degの間に存在する最大回折ピーク強度がKAlFによる最大ピーク強度の12%以下である請求項1又は2記載のフラックス粉末。
  5. 粉末を示差熱分析したときの550〜560℃の温度範囲に検出される溶融ピーク高さが、560℃を越える温度範囲に検出される溶融ピーク高さよりも高い請求項1又は2記載のフラックス粉末。
  6. マグネシウム含有量が0.1〜1.0重量%のアルミニウム系材料のろう付けに用いるフラックス粉末の製造方法であって、
    原料化合物として水酸化アルミニウム、フッ化水素酸及び水酸化カリウムをそれぞれ用い、前記原料化合物をK/Alモル比で1.00〜1.20並びにF/Alモル比で4.00〜4.20の範囲内となる割合で使用し、かつ反応温度70〜100℃で湿式反応させることを特徴とするフラックス粉末の製造方法。
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