本発明は、送信装置、受信装置、および無線通信方法に関し、特にマルチパス環境において用いられる送信装置、受信装置、および無線通信方法に関する。
一般に、マルチパス環境下における無線通信では、同一の信号が異なる経路の複数のパスを伝送されることにより、受信側では直接波と遅延波が混在して受信されることになる。このため、無線通信の高速化・広帯域化の障害となる符号間干渉が発生する。
符号間干渉を抑制するために、近年ではブロック伝送方式と呼ばれるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式やSC(Single Carrier:シングルキャリア)方式が注目されている。これらの方式においては、例えば図1に示すように、信号の各シンボルS1〜S4の間にガードインターバルGI1〜GI4が挿入されている。ガードインターバルGI1〜GI4は、それぞれ後に続くシンボルS1〜S4の末尾部分の複製であるため、各ガードインターバルの末尾と各シンボルの先頭とは連続した波形になるとともに、巡回性を有することになる。
このように、すべてのシンボル間にガードインターバルを挿入することによって、受信側では符号間干渉の影響を受けないシンボル部分を切り出すことができ、線形演算のみでマルチパス環境の影響を除去することができる。このとき、ガードインターバルの長さを長くすることにより、より長い遅延波の影響を無視することができ、マルチパス環境の影響を除去する効果が高まる。
一方、ガードインターバルは伝送すべき情報を含まない冗長成分であるため、伝送効率の観点からは、可能な限り短くすることが望ましい。そこで、例えば特許文献1には、OFDM方式において、ガードインターバルの長さを無駄がないように調整する技術が開示されている。
特開2004−282182号公報
しかしながら、ガードインターバルは、シンボル間における符号間干渉を抑制するために、すべてのシンボル間に配置されるものであり、信号全体におけるガードインターバルの割合を低下させるのには一定の限界があるという問題がある。すなわち、あるシンボルの遅延波が次のシンボルに対して与える影響を低減するためには、ガードインターバルはすべてのシンボル間に配置される必要があり、結果として、信号全体に一定以上の冗長成分が含まれることになる。
本発明の目的は、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる送信装置、受信装置、および無線通信方法を提供することである。
本発明に係る送信装置は、情報データから複数の情報シンボルを生成する第1生成手段と、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成する第2生成手段と、前記パイロットシンボルの直前のみにガードインターバルを付加する付加手段と、ガードインターバルが付加されたパイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信する送信手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロットシンボルのみにガードインターバルが付加され、情報シンボルにはガードインターバルが付加されないフレーム構成の信号が送信されるため、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。また、受信側において、パイロットシンボルを用いた回線推定および周波数等化を行うことができ、ガードインターバルが無くても遅延波を除去することが可能となり、符号間干渉を抑制することができる。
本発明に係る受信装置は、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからなるパイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて、前記パイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を算出する算出手段と、算出された回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロットシンボルを用いて回線推定を行い、情報シンボル区間に対する回線推定値を求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。また、送信側において、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明に係る無線通信システムは、送信装置および受信装置を有する無線通信システムであって、前記送信装置は、情報データから複数の情報シンボルを生成する第1生成手段と、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成する第2生成手段と、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信する送信手段と、を有し、前記受信装置は、前記フレーム構成の信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて回線推定を行う推定手段と、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求める補間手段と、求められた回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、を有する構成を採る。
本発明に係る無線通信方法は、送信装置および受信装置を有する無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記送信装置が、情報データから複数の情報シンボルを生成するステップと、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成するステップと、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信するステップと、を有し、前記受信装置が、前記フレーム構成の信号を受信するステップと、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて回線推定を行うステップと、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求めるステップと、求められた回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去するステップと、を有するようにした。
これらによれば、送信装置は、パイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信し、受信装置は、パイロットシンボルに挟まれる情報シンボル区間に対する回線推定値を補間により求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができるとともに、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明によれば、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
ガードインターバルが挿入された信号の一例を示す図
本発明の実施の形態1に係る送信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態1に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態1に係る送信信号の構成例を示す図
実施の形態1に係る長FFT対象区間の一例を示す図
実施の形態1に係る長FFT対象区間の他の一例を示す図
信号の冗長成分の比較結果を示す図
本発明の実施の形態2に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態2に係る送信信号の構成例を示す図
実施の形態2に係る長FFT対象区間の一例を示す図
実際の回線状態と回線推定値との一例を示す図
実際の回線状態と回線推定値との他の一例を示す図
本発明の実施の形態3に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態3に係る一処理を説明する図
実施の形態3に係る他の一処理を説明する図
実施の形態3に係る回線推定値算出結果の一例を示す図
本発明の実施の形態4に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
本発明の実施の形態5に係る遅延プロファイル作成部の内部構成を示すブロック図
実施の形態5に係るFIRの内部構成を示す図
本発明の実施の形態6に係る送信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態6に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態6に係る遅延波除去部の内部構成を示すブロック図
実施の形態6に係る配置パターンの一例を示す図
実施の形態6に係る配置パターンの他の一例を示す図
実施の形態6に係る配置パターンのさらに他の一例を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の特徴は、OFDM方式において、複数の情報シンボルおきに周期的に同一のパイロットシンボルを挿入し、パイロットシンボルのみにガードインターバルを付加する点である。
図2は、実施の形態1に係る送信装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す送信装置は、S/P(Serial/Parallel)変換部101、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部102、R(Ramp:ランピング区間)挿入部103、S/P変換部104、IFFT部105、GI(Guard Interval:ガードインターバル)挿入部106、時分割合成部107、および直交変調部108を有している。
S/P変換部101は、情報データをS/P変換し、サブキャリア数分のパラレルなデータをIFFT部102へ出力する。
IFFT部102は、パラレルなデータをそれぞれ周波数が互いに直交するサブキャリアに割り当てて逆高速フーリエ変換を行った上でP/S変換し、得られた時間領域の情報シンボルをR挿入部103へ出力する。
R挿入部103は、情報シンボルの先頭と末尾に振幅が徐々に増減するランピング区間を挿入し、前後のシンボルとの波形が不連続になることを抑制する。
S/P変換部104は、既知かつ不変なパターンのパイロットデータをS/P変換し、サブキャリア数分のパラレルなデータをIFFT部105へ出力する。
IFFT部105は、パラレルなデータをそれぞれ周波数が互いに直交するサブキャリアに割り当てて逆高速フーリエ変換を行った上でP/S変換し、得られた時間領域のパイロットシンボルをGI挿入部106へ出力する。
GI挿入部106は、パイロットシンボルの末尾部分を先頭に複製して、ガードインターバルを挿入する。なお、ここでのガードインターバルには、情報シンボルと同様のランピング区間を含んでいても良い。
時分割合成部107は、R挿入部103からの出力およびGI挿入部106からの出力を時分割で切り替えながら直交変調部108へ出力し、情報シンボルとパイロットシンボルの時間的な配列を決定する。このとき、時分割合成部107は、最初にGI挿入部106からのパイロットシンボルを1つ出力した後、R挿入部103からの情報シンボルを複数出力し、以後、1つのパイロットシンボルと複数の情報シンボルとを順次出力する。
直交変調部108は、時分割合成部107から出力される1つのパイロットシンボルと複数の情報シンボルとを1フレームとするOFDM信号を無線周波数帯に変調した上でアンテナを介して送信する。
図3は、実施の形態1に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。図3に示す受信装置は、直交復調部201、長FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)対象区間取得部202、長FFT部203、周波数等化部204、長IFFT部205、パイロット区間取得部206、FFT部207、回線推定部208、補間部209、GI・R除去部210、FFT部211、データ判定部212、およびP/S(Parallel/Serial)変換部213を有している。
直交復調部201は、アンテナを介してOFDM信号を受信し、ベースバンド帯に復調する。
長FFT対象区間取得部202は、パイロットシンボルを用いて遅延波を除去する対象の区間である長FFT対象区間を受信されたOFDM信号から取得する。具体的には、長FFT対象区間取得部202は、あるパイロットシンボルの直後のランピング区間を含む情報シンボルから、次のパイロットシンボルの先頭に挿入されているガードインターバルまでを長FFT対象区間として取得する。なお、長FFT対象区間取得部202は、あるパイロットシンボルから、次のパイロットシンボルの先頭に挿入されているガードインターバルまでを長FFT対象区間として取得しても良い。
長FFT部203は、長FFT対象区間に対して高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号を周波数領域の信号へ変換する。
周波数等化部204は、後述する回線推定値の補間結果を用いて長FFT対象区間の周波数等化を行い、遅延波に対応する周波数成分を除去する。
長IFFT部205は、周波数等化後の長FFT対象区間に対して逆高速フーリエ変換を行った上でP/S変換し、周波数領域の信号を受信されたOFDM信号と同様の時間領域の信号へ戻す。
以上の長FFT対象区間取得部202、長FFT部203、周波数等化部204、および長IFFT部205は、遅延波除去部を形成している。すなわち、各情報シンボル間にガードインターバルが無くても、長FFT対象区間に対する周波数等化が行われて、遅延波に対応する周波数成分が除去されており、符号間干渉が抑制される。
パイロット区間取得部206は、パイロットシンボルに対応するパイロット区間を受信されたOFDM信号から取得する。
FFT部207は、取得されたパイロット区間に対して高速フーリエ変換(または離散フーリエ変換)を行い、時間領域の信号を周波数領域の信号へ変換する。
回線推定部208は、周波数領域の信号へ変換されたパイロット区間を用いて、各サブキャリアの回線推定を行い、得られた回線推定値を補間部209へ出力する。
補間部209は、パイロット区間から得られた回線推定値を例えばスプライン補間や線形補間などの補間アルゴリズムにより周波数軸上で補間する。なお、ここで得られた回線推定値の補間結果は、上述した周波数等化部204における周波数等化に供される。パイロット区間に対して高速フーリエ変換した場合は、サンプリング周波数と等しい帯域内に1シンボルに対応するサンプル数分の周波数成分が得られるが、長FFT対象区間に対して高速フーリエ変換する場合には、同じ帯域内により多くの周波数成分が存在する。このため、周波数等化を行う際には、パイロット区間の回線推定値を補間して、周波数軸上のより密な回線推定値が必要となる。
GI・R除去部210は、上述した遅延波除去部により遅延波が除去された長FFT対象区間からガードインターバルおよびランピング区間を除去する。
FFT部211は、ガードインターバルおよびランピング区間を除去して得られた個々の情報シンボルに対してそれぞれ高速フーリエ変換を行い、それぞれの情報シンボルからサブキャリアごとのデータを取得する。
データ判定部212は、各情報シンボルについて、サブキャリアごとのデータに対するデータ判定を行い、各サブキャリアに割り当てられている情報データをパラレルにP/S変換部213へ出力する。
P/S変換部213は、各サブキャリアに割り当てられている情報データをP/S変換し、シリアルな情報データを出力する。
次いで、上記のように構成された送信装置および受信装置の動作について、図4および図5を参照しながら説明する。
まず、パイロットデータは、送信装置のS/P変換部104によってサブキャリア数分のパラレルデータにS/P変換され、パラレルデータが各サブキャリアに割り当てられてIFFT部105によって逆高速フーリエ変換される。この結果、図4に示すパイロットシンボル(図中「P」で示す)が生成され、GI挿入部106によって、パイロットシンボルの末尾部分が先頭に複製され、ガードインターバル(図中「GI」で示す)が挿入される。パイロットシンボルは、図2に示す送信装置および図3に示す受信装置の双方における既知信号である。また、パイロットシンボルとしては、回線推定に用いることができる信号であれば如何なる信号でも良いが、ここでは、上述のようにOFDM変調された信号としている。
ここで、パイロットシンボルの先頭に挿入されるガードインターバルの長さは、以下のように決定するのが好ましい。すなわち、本実施の形態においては、受信装置によって、あるパイロットシンボルの直後のランピング区間を含む情報シンボルから、次のパイロットシンボルの先頭に挿入されているガードインターバルまでが長FFT対象区間とされ、この区間に対する高速フーリエ変換が行われるが、この長FFT対象区間が高速フーリエ変換のサンプル数にして2のべき乗個(またはその整数倍)となるようにガードインターバル長を決定するのが好ましい。具体的には、例えばパイロットシンボルおよび情報シンボルがそれぞれ256サンプル、かつ、ランピング区間がそれぞれ4サンプルとすれば、(256+4)×(n+1)+(ガードインターバル長のサンプル数)が2のべき乗(またはその整数倍)となるように、GI挿入部106はガードインターバルの長さを決定するのが好ましい。これにより、長FFT対象区間の周波数等化を効率良く行うことができる。特に、長FFT対象区間のサンプル数が1シンボル分のサンプル数の整数倍である場合には、長FFT対象区間に対する高速フーリエ変換を1シンボルに対する通常の高速フーリエ変換用回路を複数組み合わせる(または繰り返し使用する)ことで容易に実現できるため、回路規模の低減を図ることができる。
一方、情報データは、送信装置のS/P変換部101によってサブキャリア数分のパラレルデータにS/P変換され、パラレルデータが各サブキャリアに割り当てられたIFFT部102によって逆高速フーリエ変換される。この結果、図4に示す情報シンボル(図中「S1」〜「Sn」で示す)が生成され、R挿入部103によって、各情報シンボル間にランピング区間(図中「R」で示す)が挿入される。本実施の形態においては、情報シンボル間にガードインターバルが挿入されないため、信号全体に占める冗長成分の割合を大幅に削減することができる。なお、ランピング区間の長さはガードインターバル長に比べて無視できるほど短く、信号全体に占める冗長成分の割合を増大させることはない。
これらのガードインターバルが挿入されたパイロットシンボルおよびランピング区間が挿入された情報シンボルは、時分割合成部107への入力が切り替えながら出力されることによって、図4の最下段に示すようなフレーム構成のOFDM信号として直交変調部108へ出力される。
そして、OFDM信号は、直交変調部108によって無線周波数帯へ変調され、アンテナを介して送信される。
送信されたOFDM信号は、受信装置のアンテナによって受信され、直交復調部201によってベースバンド帯へ復調される。そして、パイロット区間取得部206によって、ベースバンド帯となったOFDM信号からパイロットシンボルに対応するパイロット区間の信号(以下単に「パイロット区間」という)が取得される。
取得されたパイロット区間は、FFT部207によって高速フーリエ変換され、各サブキャリアのデータが回線推定部208へ出力される。そして、回線推定部208によって、パイロットシンボルに対するサブキャリアごとの伝搬路上での変動が推定され、サブキャリアごとの回線推定値が求められる。具体的には、パイロットシンボルとして送信された送信信号をxとし、この送信信号xがフェージングの影響を受けた後に受信される受信信号をyとすれば、送信信号xの逆高速フーリエ変換前の信号Xと受信信号yの高速フーリエ変換後の信号Yとの間には、次式(1)の関係がある。
Y=H・X ・・・(1)
ただし、式(1)においてHは回線推定値を示している。したがって、実際の受信信号の高速フーリエ変換結果(式(1)のYに相当)を既知のパイロットデータ(式(1)のXに相当)で除算すれば、回線推定値が求められることになる。
パイロットシンボルのサブキャリアごとの回線推定値は、補間部209へ出力され、周波数方向に密な回線推定値が補間(例えばスプライン補間や線形補間)により求められる。補間により得られた回線推定値は、周波数等化部204へ出力される。
一方、長FFT対象区間取得部202によって、OFDM信号から周波数等化による遅延波除去の対象となる長FFT対象区間が取得される。具体的には、図5Aに示すように、あるフレームのパイロットシンボル301と次フレームのパイロットシンボル302との間の区間303が長FFT対象区間として取得される。なお、長FFT対象区間の長さは、上述したように、高速フーリエ変換のサンプル数にして2のべき乗個であるのが好ましい。
また、長FFT対象区間としては、図5Bに示すように、パイロットシンボル301を含む区間304を取得しても良い。したがって、区間303または区間304のいずれかが、上述した2のべき乗個(またはその整数倍)のサンプル数に等しい長さとなっていれば、この区間を長FFT対象区間とすれば良い。ここで、図5Aおよび図5Bに示すパイロットシンボル301、302は、パイロット区間取得部206によって取得されたパイロット区間に含まれるパイロットシンボルと同一である。
そして、長FFT部203によって、長FFT対象区間に対する高速フーリエ変換が行われ、時間領域の信号が周波数領域の信号へ変換される。本実施の形態においては、情報シンボル間にガードインターバルが挿入されていないため、この時点での信号には遅延波が混在しており、周波数領域の信号においても遅延波に対応する周波数成分が含まれている。
この高速フーリエ変換後の信号は、周波数等化部204へ出力され、補間部209から出力されるサブキャリアごとの回線推定値が用いられて周波数等化が行われる。具体的には、高速フーリエ変換後の信号Y’と補間部209の補間によって求められた回線推定値H’から、次式(2)によってフェージングの影響が除去された信号X’が求められる。
X’=Y’/H’ ・・・(2)
このようにして遅延波に対応する周波数成分が除去された信号X’は、長IFFT部205によって再び時間領域の信号へ戻される。この時点での信号には遅延波が混在しておらず、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。
そして、長IFFT部205から出力される遅延波除去後の長FFT対象区間から、GI・R除去部210によって、ガードインターバルおよびランピング区間が除去され、情報シンボルのみがFFT部211へ出力される。情報シンボルは、1シンボルごとにFFT部211によって高速フーリエ変換され、サブキャリアごとのデータが取得される。そして、データ判定部212によって、サブキャリアごとのデータに対するデータ判定が行われ、得られたパラレルな情報データがP/S変換部213によってシリアルな情報データへ変換されて出力される。
このように、情報シンボル間にガードインターバルを挿入しなくても、遅延波を除去して符号間干渉を抑制することができるとともに、図6に示すように、伝送効率を向上することができる。図6は、ガードインターバル長を変化させた場合のフレーム長およびオーバヘッド率を、情報シンボル間にガードインターバルを挿入する従来方式と情報シンボル間にガードインターバルを挿入しない実施の形態1方式とについて比較する表であり、数値はその一例である(パラメータとしては、サンプリング周波数500ns、1シンボル長256サンプル、ランプ長4サンプル、1フレーム内の情報シンボル数14、を想定している)。同図に示すように、ガードインターバル長が5μsの場合は、従来方式ではフレーム長が高速フーリエ変換のサンプル数にして4200サンプルとなるのに対し、実施の形態1方式ではフレーム長が3910サンプルとなる。そして、冗長成分の割合を示すオーバヘッド率は、従来方式では15%程度であるのに対し、実施の形態1方式では8%程度に収まっている。さらに、ガードインターバル長が30μsとなると、オーバヘッド率に約3倍もの差が生じている。
以上のように、本実施の形態によれば、送信装置は、情報シンボル間にガードインターバルを付加することなく、既知かつ同一のパイロットシンボルを周期的に挿入し、パイロットシンボルのみにガードインターバルを付加して送信する。また、受信装置は、パイロットシンボルを用いて情報シンボルの回線推定値を求め、情報シンボルに対する周波数等化を行って遅延波を除去する。このため、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
なお、本実施の形態においては、パイロットシンボルの先頭のみにはガードインターバルを挿入するものとしたが、パイロットシンボルにもガードインターバルを挿入しなくても良い。つまり、周期的に既知かつ同一のパイロットシンボルが情報シンボル間に挿入されていれば、受信装置において周波数等化を行うことが可能であるため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。ただし、パイロットシンボルの先頭にガードインターバルを挿入することにより、パイロットシンボルに対する符号間干渉によって回線推定の精度が低下することを防止することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の特徴は、SC方式において、複数の情報シンボルおきに周期的に同一のパイロットシンボル列を挿入し、パイロットシンボル列のみにガードインターバルを付加する点である。
実施の形態2に係る送信装置は、実施の形態1に係る送信装置(図2)からOFDM方式に係るS/P変換部101、104、IFFT部102、105、およびR挿入部103を削除した構成であり、各処理部の構成は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。ただし、本実施の形態においては、パイロットシンボル列の末尾の所定数のシンボルが先頭に複製されてガードインターバルとなり、パイロットシンボル列の後に情報シンボル列が続くフレーム構成の信号が、フィルタなどによって帯域制限された上で送信装置から送信される。
図7は、実施の形態2に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図7に示す受信装置は、直交復調部201、長FFT対象区間取得部202a、長FFT部203、周波数等化部204、長IFFT部205、パイロット区間取得部206、FFT部207、回線推定部208、補間部209、GI・R除去部210、およびデータ判定部212を有している。
長FFT対象区間取得部202aは、パイロットシンボルを用いて遅延波を除去する対象の区間である長FFT対象区間を受信信号から取得する。具体的には、長FFT対象区間取得部202aは、あるパイロットシンボル列の直後の情報シンボル列と、次のパイロットシンボル列の先頭に挿入されているガードインターバルとを長FFT対象区間として取得する。なお、長FFT対象区間取得部202aは、あるパイロットシンボル列から、次のパイロットシンボル列の先頭に挿入されているガードインターバルまでを長FFT対象区間として取得しても良い。
次いで、上記のように構成された送信装置および受信装置の動作について、図8および図9を参照しながら説明する。
まず、パイロットデータは、例えばQPSKや16QAMなどの変調方式によって変調され、図8に示すm個のパイロットシンボル列(図中「P1」〜「Pm」で示す)となり、末尾のk(k<m)個のパイロットシンボル(図中「Pm−k+1」〜「Pm」のシンボル)がガードインターバルとして先頭に複製される。パイロットシンボル列は、送信装置および受信装置の双方における既知信号である。また、パイロットシンボル列としては、回線推定に用いることができる信号であれば如何なる信号でも良いが、ここでは、上述のような変調方式によって変調された信号としている。
一方、情報データは、図8に示すn個の情報シンボル列(図中「S1」〜「Sn」で示す)となる。本実施の形態においては、情報シンボル列の先頭にはガードインターバルが挿入されないため、信号全体に占める冗長成分の割合を大幅に削減することができる。また、必要に応じて、情報シンボル間にランピング区間を挿入しても良い。
これらのガードインターバルが挿入されたパイロットシンボル列およびガードインターバルが挿入されない情報シンボル列は、図8の最下段に示すようなフレーム構成の信号として送信される。
送信された信号は、受信装置のアンテナによって受信され、直交復調部201によってベースバンド帯へ復調される。そして、パイロット区間取得部206によって、ベースバンド帯となった受信信号からパイロットシンボル列に対応するパイロット区間が取得される。
取得されたパイロット区間は、FFT部207によって高速フーリエ変換され、パイロットシンボル列の各周波数成分が回線推定部208へ出力される。そして、回線推定部208によって、パイロットシンボル列に対する周波数成分ごとの回線推定値が求められる。パイロットシンボル列の回線推定値は、補間部209へ出力され、周波数方向に密な回線推定値が補間(例えばスプライン補間や線形補間)により求められる。補間により得られた回線推定値は、周波数等化部204へ出力される。
一方、長FFT対象区間取得部202aによって、受信信号から周波数等化による遅延波除去の対象となる長FFT対象区間が取得される。具体的には、図9に示すように、あるフレームのガードインターバル401に続くパイロットシンボル列402と次フレームのパイロットシンボル列404との間の区間403が長FFT対象区間として取得される。この区間403には、情報シンボル列(図中「S1」〜「Sn」)と次フレームのガードインターバル(図中「Pm−k+1」〜「Pm」)とが含まれている。
また、長FFT対象区間としては、図9中、パイロットシンボル列402および区間403を合わせた区間を取得しても良い。ここで、図9に示すパイロットシンボル列402、404は、パイロット区間取得部206によって取得されたパイロットシンボル列と同一である。
そして、長FFT部203によって、長FFT対象区間に対する高速フーリエ変換が行われ、時間領域の信号が周波数領域の信号へ変換される。本実施の形態においては、情報シンボル列の先頭にガードインターバルが挿入されていないため、この時点での信号には遅延波が混在しており、周波数領域の信号においても遅延波に対応する周波数成分が含まれている。
この高速フーリエ変換後の信号は、周波数等化部204へ出力され、補間部209から出力される回線推定値が用いられて周波数等化が行われる。周波数等化によって遅延波に対応する周波数成分が除去された信号は、長IFFT部205によって再び時間領域の信号へ戻される。この時点での信号には遅延波が混在しておらず、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。
そして、長IFFT部205から出力される遅延波除去後の長FFT対象区間から、GI・R除去部210によって、ガードインターバル(すなわち、図9の区間403における「Pm−k +1」〜「Pm」)およびランピング区間(挿入されている場合のみ)が除去され、情報シンボルのみ(すなわち、図9の区間403における「S1」〜「Sn」)がデータ判定部212へ出力され、データ判定が行われる。
以上のように、本実施の形態によれば、送信装置は、情報シンボル列にガードインターバルを付加することなく、既知かつ同一のパイロットシンボル列を周期的に挿入し、パイロットシンボル列のみにガードインターバルを付加して送信する。また、受信装置は、パイロットシンボル列を用いて情報シンボル列の回線推定値を求め、情報シンボル列に対する周波数等化を行って遅延波を除去する。このため、SC方式においても、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
なお、本実施の形態においては、パイロットシンボル列の先頭のみにはガードインターバルを挿入するものとしたが、パイロットシンボル列にもガードインターバルを挿入しなくても良い。つまり、周期的に既知かつ同一のパイロットシンボル列が情報シンボル列間に挿入されていれば、受信装置において周波数等化を行うことが可能であるため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。ただし、パイロットシンボル列の先頭にガードインターバルを挿入することにより、パイロットシンボル列に対する符号間干渉によって回線推定の精度が低下することを防止することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の特徴は、受信側において回線推定値を周波数軸上で補間するのではなく、回線推定値から長FFT対象区間全体に対応する遅延プロファイルを作成し、遅延プロファイルを直交変換することにより、周波数軸上で密な回線推定値を得る点である。
実施の形態1および実施の形態2においては、受信装置の補間部209によって、回線推定値の補間が行われることにより、周波数軸上で密な回線推定値が得られた。この場合、「周波数軸上で密な回線推定値」とは、具体的には通信に用いられる帯域幅において長FFT対象区間に対応するサンプル数分の回線推定値のことを意味している。つまり、例えば図5Bに示したフレーム構成において、1つのシンボルと1つのランピング区間との組み合わせのサンプル数をNとし、ガードインターバルのサンプル数をNGIとすれば、長FFT対象区間304は、(N×(n+1)+NGI)サンプルに対応している。したがって、例えば実施の形態1のようにOFDM方式が適用される場合は、周波数等化を行うために、サブキャリアが存在する帯域内において(N×(n+1)+NGI)サンプル数分の回線推定値が必要となる。
そして、回線推定部208によって実際に算出されるのは、パイロットシンボルに対応するNサンプル数分の回線推定値であるため、上述のように補間によって(N×(n+1)+NGI)サンプル数分の回線推定値を求めていた。このように補間によって回線推定値を求める場合、例えば図10Aに示すように、実線で示す実際の回線変動値の周波数選択性が小さければ、点線で示す補間によって求められた回線推定値と実際の回線変動値との差が小さく、周波数等化の精度が劣化することはない。
しかし、例えば図10Bに示すように、実線で示す実際の回線変動値の周波数選択性が大きいと、点線で示す補間によって求められた回線推定値と実際の回線変動値との差が大きく、周波数等化の精度が劣化してしまうと考えられる。
そこで、本実施の形態においては、周波数軸上での補間を行うことなく、長FFT対象区間に対応するサンプル数分の回線推定値を求める。
実施の形態3に係る送信装置は、実施の形態1に係る送信装置(図2)と同様であるため、その説明を省略する。
図11は、実施の形態3に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図11に示す受信装置は、直交復調部201、長FFT対象区間取得部202、長FFT部203、周波数等化部204、長IFFT部205、パイロット区間取得部206、FFT部207、回線推定部208、GI・R除去部210、FFT部211、データ判定部212、P/S変換部213、IFFT部501、遅延プロファイル加工部502、およびDFT(Discrete Fourier Transform:離散フーリエ変換)部503を有している。
IFFT部501は、サブキャリアごとの回線推定値に対して逆高速フーリエ変換を行い、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換する。すなわち、IFFT部501は、サブキャリアごとの回線推定値から遅延プロファイルを生成する。このとき、IFFT部501は、パイロット区間から得られた回線推定値を逆高速フーリエ変換するため、パイロットシンボルの時間長における遅延プロファイルを生成する。したがって、上述した例では、Nサンプルに相当する区間の遅延プロファイルが生成される。なお、一般に、最も遅く受信される遅延波の遅延時間(以下「最大遅延時間」という)よりもガードインターバル長が長く設定されているため、Nサンプルに相当する区間の遅延プロファイルのうち、遅延波を示すピークが生じるのは先頭からNGIサンプルに相当する区間のみである。
遅延プロファイル加工部502は、パイロットシンボルの時間長における遅延プロファイルを拡張して、長FFT対象区間の時間長に対応する遅延プロファイルを生成する。このとき、遅延プロファイル加工部502は、パイロットシンボルの時間長以降の区間には振幅が0の0信号を付加する。また、遅延プロファイル加工部502は、遅延プロファイルの拡張に先立ち、パイロットシンボルの時間長における遅延プロファイルにおいて、振幅が所定値以下のピークを雑音とみなして削除したり、振幅が所定値以上でありガードインターバル長より後に生じたピークを1シンボル時間長前にシフトさせたりする。遅延プロファイル加工部502は、以上のように加工して得られた長FFT対象区間に対応する遅延プロファイルをDFT部503へ出力する。
DFT部503は、遅延プロファイルに対して離散フーリエ変換を行い、時間領域の信号を周波数領域の信号へ変換する。すなわち、DFT部503は、長FFT対象区間の時間長に対応する遅延プロファイルから長FFT対象区間に対応するサンプル数分の回線推定値を求める。つまり、上述した例では、サブキャリアの帯域内において(N×(n+1)+NGI)サンプル数分の回線推定値が求められる。
次いで、上記のように構成された受信装置における回線推定値取得の動作について、図12および図13を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、ランピング区間を考慮せず、各シンボル(パイロットシンボルおよび情報シンボル)の時間長をNサンプル時間とし、ガードインターバルの時間長をNGIサンプル時間とする。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、パイロット区間取得部206によって受信信号からパイロットシンボルに対応するパイロット区間が取得され、FFT部207によって高速フーリエ変換が行われ、回線推定部208によってサブキャリアごとの回線推定値が得られる。
このとき、サブキャリア全体の帯域幅の両端に、パイロットシンボルが含まれていないサブキャリアがある場合は、FFT部207は、パイロットシンボルを含むサブキャリアの帯域幅に対応するサンプル数の高速フーリエ変換を行う。また、サブキャリア全体の帯域幅の両端以外にパイロットシンボルが含まれていないサブキャリアがある場合は、このサブキャリアの回線推定値を求めることができないとともに、上記の場合のようにこのサブキャリアを除外して高速フーリエ変換することができない。このため、回線推定部208は、例えば補間などによりパイロットシンボルを含まないサブキャリアの回線推定値を求める。さらに、回線推定値が所定の閾値未満のサブキャリアや、最大の回線推定値との差が所定の閾値以上となる回線推定値に対応するサブキャリアについては、回線推定部208がこれらのサブキャリアの回線推定値を雑音とみなして削除しても良い。
このようにして得られた回線推定値は、パイロットシンボルを含むサブキャリア全体の帯域に広がっているものの、パイロットシンボルに対してNサンプルの高速フーリエ変換を行っているため、周波数軸上でN個の回線推定値しか得られない。
そして、これらの回線推定値は、IFFT部501によって逆高速フーリエ変換が施されることにより時間領域の信号へ変換され、パイロットシンボルの時間長(Nサンプル相当、または、帯域幅の両端にパイロットシンボルを含まないサブキャリアがある場合はパイロットシンボルを含むサブキャリアの帯域幅に対応するサンプル数相当)における遅延プロファイルが求められる。求められた遅延プロファイルは、遅延プロファイル加工部502へ出力され、図12Aに示すように、最大の振幅との差が所定の閾値x[dB]以上ある振幅のタイミングにおけるピークが雑音とみなされて削除される。さらに、遅延プロファイル加工部502は、図12Aにおけるピーク601のように、先頭のピークからガードインターバル長に相当するNGIサンプル以後に現れた雑音と見なせないピークをNサンプル時間だけ前にシフトし、遅延プロファイルの範囲をシフト後のピークからNサンプル時間へと変更する。これにより、ガードインターバル長が最大遅延時間より長く設定されていれば、Nサンプル時間の遅延プロファイルにおいて、雑音と見なせないピークが生じるのは先頭からNGIサンプル時間のみとなる。なお、遅延プロファイルの先頭の区間が雑音とみなせるピークのみからなっており、かつ、この区間の後に雑音と見なせないピーク群がNGIサンプル以後まで続く場合は、遅延プロファイル加工部502は、先頭の雑音とみなせる区間を削除し、遅延プロファイルの範囲を後にずらしても良い。
そして、遅延プロファイル加工部502は、遅延プロファイルの範囲をNサンプル時間から長FFT対象区間に対応する(N×(n+1)+NGI)サンプル時間まで拡張する。このとき、遅延プロファイル加工部502は、図12Bに示すように、上述の処理が施されたNサンプル時間に対応する区間602に、振幅が0の0信号からなる(N×n+NGI)サンプル時間に対応する区間603を付加して遅延プロファイルの範囲を拡張する。区間603を0信号から構成することについては、一般に、ガードインターバル長が最大遅延時間より長く設定されているため、先頭からNGIサンプル時間以後にはパイロットシンボルの遅延波が受信装置に到達しないことを根拠としている。つまり、たとえ実際に(N×(n+1)+NGI)サンプル時間の遅延プロファイルを作成しても、区間603においては、遅延波を示すピークが生じることはないため、区間603に0信号を付加している。以上のように加工されて得られた遅延プロファイルは、DFT部503へ出力される。
そして、DFT部503によって、(N×(n+1)+NGI)サンプル時間に拡張された遅延プロファイルが離散フーリエ変換され、図13に示すように、周波数軸上で(N×(n+1)+NGI)サンプル数分の回線推定値が得られる。これにより、周波数等化部204における周波数等化に利用可能な周波数軸上で密な回線推定値が得られる。また、得られた回線推定値は、実際の(N×(n+1)+NGI)サンプル時間の遅延プロファイルに近い遅延プロファイルを周波数領域の信号に変換したものであるため、各周波数における回線推定値の精度は、周波数軸上における補間を行った場合よりも高くなっている。
以上のように、本実施の形態によれば、パイロット区間から得られた回線推定値から遅延プロファイルを作成し、作成された遅延プロファイルの範囲を長FFT対象区間に対応させて拡張した上で周波数領域に変換するため、長FFT対象区間の各周波数成分における精度が高い回線推定値を求めることができ、結果として、周波数等化の精度を向上することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の特徴は、受信側において取得されたパイロット区間の信号から遅延プロファイルを作成し、遅延プロファイルをフーリエ変換することにより、周波数軸上で密な回線推定値を得る点である。
実施の形態4に係る送信装置は、実施の形態1に係る送信装置(図2)と同様であるため、その説明を省略する。
図14は、実施の形態4に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図14に示す受信装置は、直交復調部201、長FFT対象区間取得部202、長FFT部203、周波数等化部204、長IFFT部205、パイロット区間取得部206、GI・R除去部210、FFT部211、データ判定部212、P/S変換部213、遅延プロファイル加工部502a、DFT部503、および遅延プロファイル作成部701を有している。
遅延プロファイル作成部701は、パイロット区間と既知のパイロットデータとの相関を取って、遅延波が到達した時間にピークが生じる遅延プロファイルを作成する。
遅延プロファイル加工部502aは、パイロットシンボルの時間長における遅延プロファイルを拡張して、超FFT対象区間の時間長に対応する遅延プロファイルを生成する。このとき、遅延プロファイル加工部502aは、実施の形態3における遅延プロファイル加工部502とほぼ同様の処理を行うが、本実施の形態においては、パイロット区間とパイロットデータとの時間波形の相関により遅延プロファイルが作成されているため、先頭からNGIサンプル時間以後に雑音と見なせない大きなピークが生じる可能性がほとんどなく、図12Aにおけるピーク601のようなピークをシフトする必要はない。
本実施の形態においては、受信信号のパイロット区間と既知のパイロットデータとの時間波形の相関を取って遅延プロファイルが作成されるため、パイロットデータとして自己相関が低い時間波形のデータが用いられる場合は、パイロット区間とパイロットデータとのタイミングが一致した場合にのみ大きなピークが生じ、正確な遅延プロファイルが作成される。
このようにして作成された遅延プロファイルは、実施の形態3と同様に拡張され、周波数領域へ変換されることにより回線推定値が得られる。このとき、作成された遅延プロファイルが正確であれば、拡張された遅延プロファイルおよび離散フーリエ変換後の回線推定値の精度が高くなる。
以上のように、本実施の形態によれば、受信信号のパイロット区間と既知のパイロットデータとの相関により遅延プロファイルを作成し、作成された遅延プロファイルの範囲を長FFT対象区間に対応させて拡張した上で周波数領域に変換するため、長FFT対象区間の各周波数成分における精度が高い回線推定値を求めることができ、結果として、周波数等化の精度を向上することができる。また、パイロットデータの自己相関が低い場合は、遅延プロファイルの精度が高くなり、回線推定値および周波数等化の精度をさらに向上することができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5の特徴は、遅延プロファイルの作成にFIR(Finite Impulse Response filter:有限インパルス応答フィルタ)を用いる点である。
実施の形態5に係る送信装置は、実施の形態1に係る送信装置(図2)と同様であるため、その説明を省略する。
また、実施の形態5に係る受信装置は、実施の形態4に係る受信装置(図14)と同様の全体構成を有しているが、遅延プロファイル作成部701の内部構成のみが実施の形態4と異なっている。
図15Aは、実施の形態5に係る遅延プロファイル作成部701の内部構成を示すブロック図である。
FIR801は、既知のパイロットデータを遅延させてタップ係数を乗算することにより、受信信号におけるパイロット区間のレプリカを生成し、比較部802へ出力する。具体的には、FIR801は、図15Bに示すように、遅延素子801a、乗算器801b、および加算部801cから構成されている。遅延素子801aは、パイロットデータを1サンプル時間ずつ遅延させて保持する。各遅延素子801aに保持されたパイロットデータは、それぞれ直接波および1〜NGIサンプル時間における遅延波に相当することになる。乗算器801bは、パイロットデータおよび遅延素子801aに保持されたパイロットデータにタップ係数C0〜CNGI−1を乗算する。タップ係数C0〜CNGI−1は、各遅延波に対する回線変動に相当することになる。これらのタップ係数C0〜CNGI−1の初期値は如何なる値でも良いが、例えば他の方法によって求められた回線推定値に基づいて初期値を設定することにより、処理の精度向上と時間の短縮を図ることができる。加算部801cは、乗算器801bの出力を加算し、直接波および遅延波が混在した受信信号におけるパイロット区間のレプリカを生成し、比較部802へ出力する。
なお、本実施の形態においては、FIR801が1サンプル時間ずつの遅延素子801aを有する構成としたが、遅延素子801aの数を増やして、例えば1/2サンプル時間または1/4サンプル時間間隔の遅延波を再現したレプリカを生成するようにしても良い。これにより、より詳細な遅延プロファイルが作成される。
また、FIR801は、生成したレプリカと実際のパイロット区間との差が最小になった場合に、タップ係数C0〜CNGI−1を遅延プロファイルとして出力する。
比較部802は、FIR801によって生成されたレプリカと実際の受信信号におけるパイロット区間との差分を算出し、算出された差分を係数修正部803へ出力する。
係数修正部803は、例えばLMS(Least Mean Square:最小二乗)アルゴリズムまたはRMS(Root Mean Square:平均二乗根)アルゴリズムなどを用いて、比較部802から出力される差分が最小となるようにタップ係数C0〜CNGI−1を修正する。
本実施の形態においては、FIR801によって既知のパイロットデータから受信信号におけるパイロット区間のレプリカが生成され、比較部802によってレプリカと実際の受信信号におけるパイロット区間とが比較され、係数修正部803によってレプリカとパイロット区間との差分が小さくなるようにFIR801のタップ係数C0〜CNGI−1が修正される。これらの処理は繰り返し行われ、レプリカとパイロット区間の差分が徐々に小さくなっていく。この過程で、所定の閾値未満となったタップ係数は雑音とみなして、以降の処理ではこのタップ係数を0とするようにしても良い。これにより、処理負荷を削減することができるとともに、雑音の影響を除去することができる。
そして、レプリカとパイロット区間がほぼ同一になった場合、またはレプリカとパイロット区間の差分が十分に小さい値にまで収束した場合、FIR801のタップ係数C0〜CNGI−1が各遅延波に対する回線変動を正確に再現しているものと判断され、これらのタップ係数C0〜CNGI−1がNGIサンプル時間の範囲の遅延プロファイルとして出力される。タップ係数C0〜CNGI−1の出力に際して、FIR801は、所定の閾値未満のタップ係数を雑音とみなして出力しないようにしても良い。
このようにして作成された遅延プロファイルは、実施の形態3、4と同様に拡張され、周波数領域へ変換されることにより回線推定値が得られる。
以上のように、本実施の形態によれば、FIRを用いてパイロット区間のレプリカを生成し、レプリカと実際のパイロット区間の差分が十分に小さくなった時のタップ係数を遅延プロファイルとし、遅延プロファイルの範囲を長FFT対象区間に対応させて拡張した上で周波数領域に変換するため、長FFT対象区間の各周波数成分における精度が高い回線推定値を求めることができ、結果として、周波数等化の精度を向上することができる。また、他の方法で求めた回線推定値に基づいてFIRのタップ係数の初期値を設定することにより、さらに正確な遅延プロファイルを短時間で生成することができる。
なお、上記実施の形態3〜5においては、長FFT対象区間に対応するサンプル数分の回線推定値を求める場合に遅延プロファイルを用いたが、長FFT対象区間以外にも、周波数領域において所定時間に対応するサンプル数分の回線推定値を求める場合に、同様の処理を行うことができる。すなわち、ガードインターバル長より長い任意の時間の遅延プロファイルを作成した後に遅延プロファイルの範囲を拡張し、周波数領域へ変換することにより、補間を行わずに正確な回線推定値を求めることができる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6の特徴は、MIMO通信において、送信側は最大遅延時間に応じたパターンでストリームごとにパイロットシンボルを挿入するとともに、受信側はストリームごとのレプリカを受信信号から減算して周波数等化を行う点である。
図16は、実施の形態6に係る送信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図16に示す送信装置は、アンテナを2本備えたMIMO送信装置であり、各アンテナに対応するS/P変換部101、IFFT部102、R挿入部103、S/P変換部104、IFFT部105、GI挿入部106、時分割合成部107a、および直交変調部108を有しているとともに、パターン決定部901を有している。
時分割合成部107aは、R挿入部103からの出力およびGI挿入部106からの出力をパターン決定部901の指示に従って時分割で切り替えながら直交変調部108へ出力する。
パターン決定部901は、例えば受信装置からフィードバックされる最大遅延時間などのフィードバック情報に応じて、ストリームごとのパイロットシンボルおよび情報シンボルの配置パターンを決定する。具体的には、パターン決定部901は、1つのストリームにパイロットシンボルが配置される時間には、他のストリームにパイロットシンボルおよび情報シンボルのいずれも配置されないような配置パターンを決定する。換言すれば、パターン決定部901は、各ストリームのパイロットシンボルの位置が互いに直交するように配置パターンを決定する。
このとき、パターン決定部901は、最大遅延時間がガードインターバル長以下であれば、一連の情報シンボルからなるデータストリームと次のデータストリームとの間に、すべてのストリームのパイロットシンボルが1シンボルずつ連続して送信される配置パターンを決定する。一方、最大遅延時間がガードインターバル長を超えていれば、パターン決定部901は、データストリーム間に1つのストリームのみのパイロットシンボルが送信される配置パターンを決定する。なお、最大遅延時間がガードインターバル長を超えている場合、データストリーム間において、1つのストリームのパイロットシンボルを繰り返し配置しても良い。
図17は、実施の形態6に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図17に示す受信装置は、アンテナを2本備えたMIMO受信装置であり、各アンテナに対応する直交復調部201、パイロット区間取得部206、FFT部207、回線推定部208a、補間部209、GI・R除去部210、FFT部211、パイロットレプリカ生成部902、遅延波除去部903−1、903−2、合成部904、レプリカ生成部906、スイッチ907を有しているとともに、データ判定部212、P/S変換部213、および比較選択部905を有している。
回線推定部208aは、パイロット区間を用いて、各サブキャリアの回線推定を送信側におけるストリームごとに行い、得られたストリームごとの回線推定値を補間部209へ出力する。
パイロットレプリカ生成部902は、ストリームごとの回線推定値と既知のパイロットデータとから各ストリームに対応するパイロットシンボルの受信レプリカ(以下「パイロットレプリカ」という)を生成する。すなわち、パイロットレプリカ生成部902は、パイロットデータにストリームごとの回線推定値を乗算し、得られたストリームごとのパイロットレプリカをそれぞれ遅延波除去部903−1、903−2へ出力する。
遅延波除去部903−1、903−2は、送信側におけるストリームに対応して設けられ、ストリームごとに遅延波を除去する。具体的には、遅延波除去部903−1は、図18に示す内部構成を有している。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、遅延波除去部903−2も遅延波除去部903−1と同様の構成を有しているが、本実施の形態においては、回線推定部208aがストリームごとの回線推定を行うため、補間部209から周波数等化部204へ出力される回線推定値は遅延波除去部903−1と遅延波除去部903−2とで異なっている。
レプリカ減算部908は、パイロットレプリカ生成部902によって生成されたパイロットレプリカおよび後述するレプリカ生成部906によって生成されたレプリカを長FFT対象区間から減算する。長FFT対象区間からパイロットレプリカを減算することにより、パイロットシンボルによる符号間干渉の影響を除去することができる。また、後に詳述するように、長FFT対象区間からレプリカ生成部906によって生成されたレプリカを減算することにより、対応外のストリームの影響を除去して、対応するストリームのみに関する周波数等化を行うことができる。
再び図17を参照して、合成部904は、各アンテナに対応するFFT部211から出力されるサブキャリアごとの情報シンボルのデータを、同一のストリームに関して周波数等化されたもの同士合成する。合成にあたっては、周波数等化対象ストリームの伝搬路特性に基づく最大比合成などを用いる。そして、合成部904は、ストリームごとの合成データを比較選択部905へ出力する。
比較選択部905は、ストリームごとの合成データの受信品質を比較し、受信品質が最も高いストリームの合成データをデータ判定部212へ出力するとともに、受信品質の比較結果をスイッチ907へ通知する。
レプリカ生成部906は、受信品質が最も高いストリームのデータ判定部212における復調結果にこのストリームに対応する回線推定値を乗算して、受信品質が最も高いストリームに対応するデータストリーム(情報シンボル)のレプリカを生成する。
スイッチ907は、比較選択部905による受信品質の比較結果に応じて、レプリカを遅延波除去部903−1または遅延波除去部903−2へ出力する。具体的には、スイッチ907は、受信品質が最も高いストリーム以外のストリームに対応する遅延波除去部へレプリカを出力する。したがって、例えば遅延波除去部903−1に対応するストリーム1の受信品質が最も高い場合は、スイッチ907は、ストリーム1のデータストリームのレプリカを遅延波除去部903−2へ出力する。
次いで、上記のように構成された送信装置および受信装置の動作について、図19を参照しながら説明する。
まず、送信装置におけるストリームごとのパイロットシンボルの配置について説明する。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、ランピング区間が挿入された情報シンボルおよびガードインターバルが挿入されたパイロットシンボルが時分割合成部107aへ出力される。ただし、本実施の形態においては、複数のアンテナそれぞれに対応するストリームごとの時分割合成部107aへ情報シンボルおよびパイロットシンボルが出力される。
また、本実施の形態においては、受信装置から例えば最大遅延時間などがフィードバックされており、フィードバック情報はパターン決定部901へ出力される。そして、パターン決定部901によって、最大遅延時間がガードインターバル長を超えているか否かが判定され、最大遅延時間がガードインターバル長以下である場合は、例えば図19Aに示すようなストリームごとのパイロットシンボルの配置パターンが決定される。図19Aに示す配置パターンにおいては、一方のストリーム1(図中上段のストリーム)のパイロットシンボルP1の直後に他方のストリーム2(図中下段のストリーム)のパイロットシンボルP2が連続して配置され、パイロットシンボルP2の後にそれぞれのストリームにおけるデータストリーム1およびデータストリーム2が配置されている。
このとき、一方のストリームのパイロットシンボルが配置される時間は、他方のストリームの非送信時間となる。すなわち、例えばストリーム2のパイロットシンボルP2が送信される時間は、ストリーム1においてはパイロットシンボルおよび情報シンボルのいずれも送信されない非送信時間951となる。
最大遅延時間がガードインターバル長以下の場合は、データストリーム1およびデータストリーム2の遅延波がパイロットシンボルP1へ影響を及ぼすことがないため、各データストリーム間の時間にすべてのストリームのパイロットシンボルを連続して配置することができる。そして、図19Aのような配置パターンとすることにより、同一ストリーム内のパイロットシンボル間の時間を最短にすることができるため、フェージング変動が大きい場合でも受信装置における回線推定の精度を向上することができる。また、図19Aのような配置パターンの場合は、パイロットシンボルP1から次のパイロットシンボルP1の直前に挿入されたガードインターバルまでの区間952が受信装置における長FFT対象区間となる。
一方、最大遅延時間がガードインターバルを超えている場合は、図19Aのような配置パターンとすると、データストリーム1およびデータストリーム2の遅延波がパイロットシンボルP1へ影響を及ぼし、ストリーム1に関する回線推定の精度が劣化すると考えられる。そこで、最大遅延時間がガードインターバル長を超えている場合は、パターン決定部901によって、例えば図19Bまたは図19Cに示すような配置パターンが決定される。図19Cに示す配置パターンにおいては、各データストリーム間の時間に、ストリーム1のパイロットシンボルP1またはストリーム2のパイロットシンボルP2のいずれか一方のみが繰り返し配置されている。したがって、例えばストリーム2のパイロットシンボルP2が繰り返し送信される時間は、ストリーム1においてはパイロットシンボルおよび情報シンボルのいずれも送信されない非送信時間953となる。
最大遅延時間がガードインターバル長を超えている場合は、データストリーム1およびデータストリーム2の遅延波がこれらのデータストリームの直後のパイロットシンボルへ影響を及ぼすことになるため、各データストリーム間の時間に同一のストリームのパイロットシンボルを繰り返して配置する。これにより、実質的なガードインターバル長が区間954に延長される。なお、送信装置が3本以上のアンテナを有する場合、いずれか1つのストリームにおいてパイロットシンボルが配置される時間が他のストリームの非送信時間となっていれば、各データストリーム間の時間に複数のストリームにおいてパイロットシンボルを繰り返し配置するようにしても良い。
図19Bのような配置パターンとすることにより、同一ストリーム内のパイロットシンボル間の時間は長くなるが、上述したように、実質的なガードインターバル長を延長することができるため、ガードインターバル長以下に収まらないデータストリームの遅延波の影響を除去することができる。また、データストリーム直後のパイロットシンボルについては、データストリームの遅延波の影響を受けているが、例えば受信装置における同期確立などに用いることが可能である。
また、図19Bのような配置パターンの場合は、同一ストリーム内のパイロットシンボルの周期性を確保するためには、データストリーム直前のパイロットシンボルP1から同位置にある次のパイロットシンボルP1の直前に挿入されたガードインターバルまでの区間955が受信装置における長FFT対象区間となる。ただし、受信装置において、パイロットシンボルのレプリカを減算して周波数等化を行う場合は、同一ストリーム内におけるパイロットシンボルの周期性が必ずしも必要ではなくなるため、データストリーム直前のパイロットシンボルP1から次のデータストリーム直前のパイロットシンボルP2の直前に挿入されたガードインターバルまでの区間956を長FFT対象区間としても良い。
さらに、図19Cに示す配置パターンにおいては、各データストリームの直前にストリーム1のパイロットシンボルP1またはストリーム2のパイロットシンボルP2のいずれか一方のみが配置され、各パイロットシンボルに挿入されたガードインターバルの前に双方のストリームにおける非送信時間が設けられている。このような場合は、双方のストリームにおける非送信時間を含む区間957が実質的なガードインターバル長となる。そして、図19Bに示す配置パターンと比較した場合、非送信時間が多くなるため、消費電力の削減を図ることができる。
このように、送信装置は、受信装置からのフィードバック情報に応じて最大遅延時間がガードインターバル長を超えているか否かを判定し、ストリームごとのパイロットシンボルの配置パターンを切り替える。これにより、受信装置における回線推定の精度を向上することができ、結果として、受信装置は周波数等化による遅延波除去を正確に行うことができる。
次に、受信装置におけるストリームごとの遅延波除去について説明する。
受信装置の各アンテナで受信されたOFDM信号は、直交復調部201によってベースバンド帯へ復調される。受信装置の各アンテナで受信されるOFDM信号には、送信装置におけるすべてのストリームの信号が混在している。ベースバンド帯となったOFDM信号は、遅延波除去部903−1、903−2内の長FFT対象区間取得部202へ出力されるとともに、パイロット区間取得部206によって、ベースバンド帯となったOFDM信号からストリームごとのパイロットシンボルに対応するパイロット区間が取得される。
取得されたストリームごとのパイロット区間は、実施の形態1と同様に、FFT部207によって高速フーリエ変換され、各サブキャリアのデータが回線推定部208aへ出力される。そして、回線推定部208aによって、サブキャリアごとの回線推定値がストリームごとに求められる。すなわち、受信装置の各アンテナに対応する回線推定部208aによって、送信装置のすべてのアンテナとの間の伝搬路におけるサブキャリアごとの回線推定値が推定される。
ストリームごとかつサブキャリアごとの回線推定値は、補間部209へ出力され、周波数方向に密な回線推定値が補間により求められる。補間により得られた回線推定値は、パイロットレプリカ生成部902および遅延波除去部903−1、903−2内の周波数等化部204へ出力される。そして、パイロットレプリカ生成部902によって、各ストリームの既知かつ不変なパイロットデータに各ストリームの回線推定値が乗算されて、パイロットシンボルの受信レプリカ(パイロットレプリカ)が生成される。生成されたパイロットレプリカは、遅延波除去部903−1、903−2内のレプリカ減算部908へ出力される。
そして、遅延波除去部903−1、903−2によって、送信装置における各ストリームの遅延波が周波数等化により除去される。すなわち、長FFT対象区間取得部202によってOFDM信号から長FFT対象区間が取得され、長FFT部203によって長FFT対象区間に対する高速フーリエ変換が行われ、高速フーリエ変換後の信号がレプリカ減算部908へ出力される。そして、レプリカ減算部908によって、高速フーリエ変換後の信号からストリームごとのパイロットレプリカが減算される。
具体的には、例えば送信装置におけるパイロットシンボルの配置パターンが図19Aに示すようなものである場合、遅延波除去部903−1および903−2内のレプリカ減算部908によって、ストリーム1のパイロットシンボルP1のレプリカおよびストリーム2のパイロットシンボルP2のレプリカが減算される。なお、本実施の形態においては、パイロットレプリカの減算が行われるため、上述したように、図19Bに示す配置パターンでパイロットシンボルが送信される場合も、長FFT対象区間を区間956とすることができる。
そして、遅延波除去部903−1、903−2の各レプリカ減算部908は、パイロットレプリカ減算後の信号を、後のレプリカ減算に備えて一時的に記憶するとともに、周波数等化部204へ出力する。パイロットレプリカが減算された信号は、周波数等化部204によって、各ストリームの回線推定値が用いられて周波数等化が行われ、それぞれのストリームにおける遅延波に対応する周波数成分が除去される。すなわち、遅延波除去部903−1内の周波数等化部204によってストリーム1の周波数等化が行われ、遅延波除去部903−2内の周波数等化部204によってストリーム2の周波数等化が行われる。このとき、遅延波除去部903−1、903−2の各周波数等化部204による周波数等化は、送信装置におけるすべてのストリームが混在した信号に対して行われる。ただし、周波数等化に用いられる回線推定値が各ストリームに固有のものであるため、周波数等化対象外のストリームにおける符号間干渉は除去されない。
このようにして周波数等化が行われた信号は、長IFFT部205によって再び時間領域の信号(ストリーム信号)へ戻され、遅延波除去後のストリーム信号から、GI・R除去部210によってガードインターバルおよびランピング区間が除去され、各ストリームにおける情報シンボルが1シンボルずつFFT部211へ出力される。各ストリームの情報シンボルは、それぞれ対応するFFT部211によって高速フーリエ変換され、サブキャリアごとのデータがそれぞれ対応する合成部904へ出力される。
そして、各合成部904によって、サブキャリアごとのデータが合成され、ストリームごとの合成データが比較選択部905へ出力され、ストリームごとの合成データの受信品質が比較される。この比較の結果はスイッチ907へ通知されるとともに、受信品質が最高のストリームの合成データがデータ判定部212へ出力される。
比較の結果がスイッチ907へ通知されると、各スイッチ907は、レプリカ生成部906と受信品質が最高のストリーム以外のストリームに対応するレプリカ減算部908とを接続するように切り替わる。すなわち、例えばストリーム2の合成データの受信品質が最高である場合は、各スイッチ907は、図17に示すように、レプリカ生成部906とストリーム1に対応する遅延波除去部903−1内のレプリカ減算部908とを接続する。
一方、受信品質が最高のストリームの合成データがデータ判定部212へ出力されると、合成データに対するデータ判定が行われ、得られた情報データがP/S変換部213およびレプリカ生成部906へ出力される。そして、レプリカ生成部906によって、情報データにストリームの回線推定値が乗算されて、受信品質が最高のストリームの情報シンボルのレプリカが生成される。生成されたレプリカは、上述のように切り替えられたスイッチ907を経由して、受信品質が最高のストリーム以外のストリームに対応するレプリカ減算部908へ出力される。つまり、例えばストリーム2の合成データの受信品質が最高である場合は、ストリーム2の情報シンボルのレプリカがストリーム1に対応する遅延波除去部903−1内のレプリカ減算部908へ出力される。
レプリカ減算部908には、パイロットレプリカ減算後の信号が記憶されているため、レプリカ生成部906からレプリカが出力されたレプリカ減算部908は、記憶された信号からさらにレプリカを減算する。すなわち、レプリカ減算部908は、対応外のストリームにおける情報シンボルのレプリカを減算し、対応するストリームにおける情報シンボルを分離することになる。つまり、上述の例では、遅延波除去部903−1内のレプリカ減算部908がストリーム2の情報シンボルのレプリカを減算して、ストリーム1の情報シンボルを分離することになる。そして、レプリカ減算部908へ出力されるレプリカは、受信品質が最高のストリームにおける情報シンボルのレプリカであるため、情報シンボルの分離は精度良く行われる。
そして、レプリカ減算部908によってパイロットレプリカおよびレプリカが減算された信号は、再び周波数等化部204によって周波数等化される。このとき、周波数等化部204による周波数等化は、送信装置におけるストリームのうち受信品質が最高のストリームが分離・除去された信号に対して行われることになる。
以降、送信装置におけるストリームがすべて分離されるまで上記の処理を繰り返すことにより、送信装置における複数のストリームが混在した信号に対して周波数等化を行う場合にも、精度良くストリームの分離を行って遅延波成分を除去することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、MIMO通信を行う際に、送信装置は、最大遅延時間に応じたストリームごとのパイロットシンボルの配置を決定して、各パイロットシンボルのみにガードインターバルを挿入して送信し、受信装置は、受信品質が最高のストリームの情報シンボルのレプリカを順次生成して、受信信号からのレプリカの減算と周波数等化を繰り返す。このため、MIMO通信において、互いに直交する位置に各ストリームのパイロットシンボルを配置して受信装置における回線推定および周波数等化の精度を向上することができるとともに、精度良くストリームの分離を行うことができる。
なお、上記各実施の形態においては、OFDM方式およびSC方式の場合について説明したが、本発明はCDM(Code Division Multiplexing:符号分割多重)方式の無線通信に適用することもできる。
本発明の第1の態様に係る送信装置は、情報データから複数の情報シンボルを生成する第1生成手段と、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成する第2生成手段と、前記パイロットシンボルの直前のみにガードインターバルを付加する付加手段と、ガードインターバルが付加されたパイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信する送信手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロットシンボルのみにガードインターバルが付加され、情報シンボルにはガードインターバルが付加されないフレーム構成の信号が送信されるため、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。また、受信側において、パイロットシンボルを用いた回線推定および周波数等化を行うことができ、ガードインターバルが無くても遅延波を除去することが可能となり、符号間干渉を抑制することができる。
本発明の第2の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記第1生成手段は、情報データをS/P変換するS/P変換部と、S/P変換されて得られたパラレルデータを周波数が異なる複数のサブキャリアに割り当てて時間領域の情報シンボルへ変換する変換部と、を有する構成を採る。
この構成によれば、情報データをS/P変換し、複数のサブキャリアに割り当てて時間領域の情報シンボルへ変換するため、情報データがOFDM変調され、OFDM方式においても、情報シンボル間にガードインターバルを挿入せず、伝送効率を向上することができる。
本発明の第3の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記第1生成手段は、情報シンボル間に振幅が漸次増減するランピング区間を挿入する構成を採る。
この構成によれば、情報シンボル間に振幅が漸次増減するランピング区間を挿入するため、連続する情報シンボル間の波形が不連続になることを抑制することができる。
本発明の第4の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記付加手段は、通信相手局において周波数等化に伴う直交変換が行われる場合に、前記パイロットシンボルの直後から次フレームのパイロットシンボルの直前までの長さが、前記直交変換におけるサンプル数にして2のべき乗または2のべき乗の整数倍となる長さのガードインターバルを前記次フレームのパイロットシンボルの直前に付加する構成を採る。
この構成によれば、連続する2フレームのパイロットシンボル間の長さが、通信相手局による直交変換のサンプル数にして2のべき乗または2のべき乗の整数倍となるため、通信相手局において周波数等化を効率良く行うことができる。
本発明の第5の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記付加手段は、通信相手局において周波数等化に伴う直交変換が行われる場合に、前記パイロットシンボルの先頭から次フレームのパイロットシンボルの直前までの長さが、前記直交変換におけるサンプル数にして1つの情報シンボルのサンプル数の整数倍となる長さのガードインターバルを前記次フレームのパイロットシンボルの直前に付加する構成を採る。
この構成によれば、連続する2フレームのパイロットシンボル間の長さが、通信相手局による直交変換のサンプル数にして1つの情報シンボルのサンプル数の整数倍となるため、通信相手局における情報シンボル区間に対する高速フーリエ変換を1シンボルに対する通常の高速フーリエ変換用回路を複数組み合わせる(または繰り返し使用する)ことで容易に実現できるため、通信相手局の回路規模の低減を図ることができる。
本発明の第6の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、複数の送信アンテナと、各送信アンテナに対応するパイロットシンボルの配置が互いに直交するパイロットシンボルの配置パターンを決定する決定手段と、をさらに有し、前記送信手段は、決定された配置パターンに従って、ガードインターバルが付加されたパイロットシンボルが配置され、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが配置されたストリームを前記複数の送信アンテナからそれぞれ送信する構成を採る。
この構成によれば、複数の送信アンテナに対応するパイロットシンボルの配置が互いに直交する配置パターンのストリームをそれぞれの送信アンテナから送信するため、パイロットシンボルにおけるストリーム間干渉を防止し、受信側における回線推定の精度を向上することができる。
本発明の第7の態様に係る送信装置は、上記第6の態様において、前記決定手段は、いずれか1つの送信アンテナに対応するパイロットシンボルが配置される時間には、他の送信アンテナに対応するパイロットシンボルおよび情報シンボルが配置されない配置パターンを決定する構成を採る。
この構成によれば、1つの送信アンテナからパイロットシンボルが送信される時間には、他の送信アンテナから何も送信されないため、確実にパイロットシンボルにおけるストリーム間干渉を防止することができる。
本発明の第8の態様に係る送信装置は、上記第6の態様において、前記決定手段は、最大遅延時間が前記ガードインターバル長以下である場合は、すべての送信アンテナに対応するパイロットシンボルを1シンボルずつ連続して配置し、配置されたパイロットシンボル群に続けて前記複数の情報シンボルを配置する配置パターンを決定する構成を採る。
この構成によれば、最大遅延時間がガードインターバル長以下である場合は、すべてのパイロットシンボルを1シンボルずつ連続して配置し、その後に情報シンボルを配置するため、各送信アンテナからパイロットシンボルが送信される間隔を最短にすることができ、フェージング変動が大きい場合でも受信側において正確な回線推定を行うことができる。
本発明の第9の態様に係る送信装置は、上記第6の態様において、前記決定手段は、最大遅延時間が前記ガードインターバル長を超える場合は、前記複数の情報シンボル以前かつ直近のパイロットシンボルの直前に、同一の送信アンテナに対応するパイロットシンボルまたは非送信時間を配置する配置パターンを決定する構成を採る。
この構成によれば、最大遅延時間がガードインターバル長を超える場合は、情報シンボル以前かつ直近のパイロットシンボルの直前に、同一の送信アンテナに対応するパイロットシンボルまたは非送信時間を配置するため、パイロットシンボルのシンボル長または非送信時間だけ実質的なガードインターバル長が長くなり、受信側においてパイロットシンボルにおける符号間干渉を除去することができる。
本発明の第10の態様に係る受信装置は、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからなるパイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて、前記パイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を算出する算出手段と、算出された回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロットシンボルを用いて回線推定を行い、情報シンボル区間に対する回線推定値を求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。また、送信側において、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明の第11の態様に係る受信装置は、上記第10の態様において、前記算出手段は、前記パイロット区間を用いて回線推定を行う推定手段と、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求める補間手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、回線推定値を補間により求めるため、容易な処理でパイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を得ることができる。
本発明の第12の態様に係る受信装置は、上記第10の態様において、前記除去手段は、受信信号から前記情報シンボル区間を取得する取得部と、前記情報シンボル区間に対する直交変換を行って周波数領域の信号へ変換する直交変換部と、前記算出手段によって求められた回線推定値を用いて前記周波数領域の信号から遅延波に対応する周波数成分を除去する周波数等化部と、遅延波に対応する周波数成分が除去された信号に対する直交逆変換を行って時間領域の信号へ変換する直交逆変換部と、を有する構成を採る。
この構成によれば、情報シンボル区間を周波数領域の信号へ変換し、周波数等化を行った後に時間領域の信号へ戻すため、補間により求められた情報シンボル区間の回線推定値を用いて効率的に遅延波を除去することができる。
本発明の第13の態様に係る受信装置は、既知のパイロットデータからなるパイロットシンボルを含む信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて最大遅延時間以上の範囲の遅延プロファイルを作成する作成手段と、作成された遅延プロファイルに振幅が0の区間を付加して拡張する拡張手段と、拡張後の遅延プロファイルに対する直交変換を行って周波数領域における回線推定値へ変換する変換手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロット区間から作成された最大遅延時間以上の範囲の遅延プロファイルを拡張し、回線推定値へ変換するため、実際の回線状態に近い回線推定値を周波数軸上で密に算出することができ、結果として、例えば回線推定値を用いた周波数等化などの精度を向上することができる。
本発明の第14の態様に係る受信装置は、上記第13の態様において、前記作成手段は、前記パイロット区間を用いて回線推定を行う回線推定部と、前記回線推定の結果に対する直交逆変換を行って遅延プロファイルへ変換する直交逆変換部と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロット区間を用いた回線推定結果を直交逆変換して遅延プロファイルへ変換するため、少ない処理量で効率的に遅延プロファイルを作成することができる。
本発明の第15の態様に係る受信装置は、上記第13の態様において、前記作成手段は、前記パイロット区間と前記パイロットデータとの時間波形の相関を取ることにより遅延プロファイルを作成する構成を採る。
この構成によれば、パイロット区間における時間波形の相関により遅延プロファイルを作成するため、既知のパイロットデータの自己相関が低い場合は、遅延プロファイルの精度が高くなる。
本発明の第16の態様に係る受信装置は、上記第13の態様において、前記作成手段は、前記パイロットデータを遅延させて係数を乗じることにより前記パイロット区間のレプリカを生成するフィルタと、生成されたレプリカと実際のパイロット区間との差分を算出する比較部と、算出された差分を小さくするように前記フィルタの係数を修正する係数修正部と、を有し、前記フィルタは、前記差分が最小となった場合に、前記係数を遅延プロファイルとして出力する構成を採る。
この構成によれば、パイロット区間のレプリカの精度が最高となった時のFIRの係数を遅延プロファイルとするため、例えば他の方法で求めた回線推定値に基づいてFIRの係数の初期値を設定することにより、さらに正確な遅延プロファイルを短時間で生成することができる。
本発明の第17の態様に係る受信装置は、複数の受信アンテナを備えMIMO通信を行う受信装置であって、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからなるパイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが配置されたストリームが複数混在する信号を複数の受信アンテナから受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するストリームごとのパイロット区間を用いて、前記パイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を前記ストリームと前記受信アンテナの組み合わせごとに算出する算出手段と、算出された回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応するストリームごとの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、未復調のストリームのうち受信品質が最高のストリームに対応する遅延波除去結果を用いて当該ストリームの情報シンボル区間を復調し受信レプリカを生成する生成手段と、を有し、前記除去手段は、生成された受信レプリカを受信信号から減算して前記受信品質が最高のストリーム以外のストリームの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する構成を採る。
この構成によれば、回線推定値を用いてストリームごとの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去し、受信品質が最高のストリームに対応する遅延波除去結果を用いてこのストリームの情報シンボルの受信レプリカを生成し、受信信号から受信レプリカを減算して再度情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する。このため、受信品質が良好なストリームから順次遅延波除去が行われ、精度良くストリームの分離を行って遅延波成分を除去することができる。
本発明の第18の態様に係る無線通信システムは、送信装置および受信装置を有する無線通信システムであって、前記送信装置は、情報データから複数の情報シンボルを生成する第1生成手段と、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成する第2生成手段と、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信する送信手段と、を有し、前記受信装置は、前記フレーム構成の信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて回線推定を行う推定手段と、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求める補間手段と、求められた回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、送信装置は、パイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信し、受信装置は、パイロットシンボルに挟まれる情報シンボル区間に対する回線推定値を補間により求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができるとともに、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明の第19の態様に係る無線通信方法は、送信装置および受信装置を有する無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記送信装置が、情報データから複数の情報シンボルを生成するステップと、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成するステップと、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信するステップと、を有し、前記受信装置が、前記フレーム構成の信号を受信するステップと、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて回線推定を行うステップと、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求めるステップと、求められた回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、送信装置は、パイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信し、受信装置は、パイロットシンボルに挟まれる情報シンボル区間に対する回線推定値を補間により求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができるとともに、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明の第20の態様に係る無線通信方法は、既知のパイロットデータからなるパイロットシンボルを含む信号を受信するステップと、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて最大遅延時間以上の範囲の遅延プロファイルを作成するステップと、作成された遅延プロファイルに振幅が0の区間を付加して拡張するステップと、拡張後の遅延プロファイルに対する直交変換を行って周波数領域における回線推定値へ変換するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、パイロット区間から作成された最大遅延時間以上の範囲の遅延プロファイルを拡張し、回線推定値へ変換するため、実際の回線状態に近い回線推定値を周波数軸上で密に算出することができ、結果として、例えば回線推定値を用いた周波数等化などの精度を向上することができる。
本発明の第21の態様に係る無線通信方法は、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからなるパイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが配置されたストリームが複数混在する信号を複数の受信アンテナから受信するステップと、前記パイロットシンボルに対応するストリームごとのパイロット区間を用いて、前記パイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を前記ストリームと前記受信アンテナの組み合わせごとに算出するステップと、算出された回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応するストリームごとの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去するステップと、未復調のストリームのうち受信品質が最高のストリームに対応する遅延波除去結果を用いて当該ストリームの情報シンボル区間を復調し受信レプリカを生成するステップと、生成された受信レプリカを受信信号から減算して前記受信品質が最高のストリーム以外のストリームの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、回線推定値を用いてストリームごとの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去し、受信品質が最高のストリームに対応する遅延波除去結果を用いてこのストリームの情報シンボルの受信レプリカを生成し、受信信号から受信レプリカを減算して再度情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する。このため、受信品質が良好なストリームから順次遅延波除去が行われ、精度良くストリームの分離を行って遅延波成分を除去することができる。
本明細書は、2005年1月20日出願の特願2005−013162、2005年2月25日出願の特願2005−051204、および2005年3月15日出願の特願2005−073366に基づく。これらの内容はすべてここに含めておく。
本発明の送信装置、受信装置、および無線通信方法は、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができ、例えばマルチパス環境において用いられる送信装置、受信装置、および無線通信方法として有用である。
本発明は、送信装置、受信装置、および無線通信方法に関し、特にマルチパス環境において用いられる送信装置、受信装置、および無線通信方法に関する。
一般に、マルチパス環境下における無線通信では、同一の信号が異なる経路の複数のパスを伝送されることにより、受信側では直接波と遅延波が混在して受信されることになる。このため、無線通信の高速化・広帯域化の障害となる符号間干渉が発生する。
符号間干渉を抑制するために、近年ではブロック伝送方式と呼ばれるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式やSC(Single Carrier:シングルキャリア)方式が注目されている。これらの方式においては、例えば図1に示すように、信号の各シンボルS1〜S4の間にガードインターバルGI1〜GI4が挿入されている。ガードインターバルGI1〜GI4は、それぞれ後に続くシンボルS1〜S4の末尾部分の複製であるため、各ガードインターバルの末尾と各シンボルの先頭とは連続した波形になるとともに、巡回性を有することになる。
このように、すべてのシンボル間にガードインターバルを挿入することによって、受信側では符号間干渉の影響を受けないシンボル部分を切り出すことができ、線形演算のみでマルチパス環境の影響を除去することができる。このとき、ガードインターバルの長さを長くすることにより、より長い遅延波の影響を無視することができ、マルチパス環境の影響を除去する効果が高まる。
一方、ガードインターバルは伝送すべき情報を含まない冗長成分であるため、伝送効率の観点からは、可能な限り短くすることが望ましい。そこで、例えば特許文献1には、OFDM方式において、ガードインターバルの長さを無駄がないように調整する技術が開示されている。
特開2004−282182号公報
しかしながら、ガードインターバルは、シンボル間における符号間干渉を抑制するために、すべてのシンボル間に配置されるものであり、信号全体におけるガードインターバルの割合を低下させるのには一定の限界があるという問題がある。すなわち、あるシンボルの遅延波が次のシンボルに対して与える影響を低減するためには、ガードインターバルはすべてのシンボル間に配置される必要があり、結果として、信号全体に一定以上の冗長成分が含まれることになる。
本発明の目的は、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる送信装置、受信装置、および無線通信方法を提供することである。
本発明に係る送信装置は、情報データから複数の情報シンボルを生成する第1生成手段と、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成する第2生成手段と、前記パイロットシンボルの直前のみにガードインターバルを付加する付加手段と、ガードインターバルが付加されたパイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボ
ルが続くフレーム構成の信号を送信する送信手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロットシンボルのみにガードインターバルが付加され、情報シンボルにはガードインターバルが付加されないフレーム構成の信号が送信されるため、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。また、受信側において、パイロットシンボルを用いた回線推定および周波数等化を行うことができ、ガードインターバルが無くても遅延波を除去することが可能となり、符号間干渉を抑制することができる。
本発明に係る受信装置は、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからなるパイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて、前記パイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を算出する算出手段と、算出された回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロットシンボルを用いて回線推定を行い、情報シンボル区間に対する回線推定値を求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。また、送信側において、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明に係る無線通信システムは、送信装置および受信装置を有する無線通信システムであって、前記送信装置は、情報データから複数の情報シンボルを生成する第1生成手段と、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成する第2生成手段と、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信する送信手段と、を有し、前記受信装置は、前記フレーム構成の信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて回線推定を行う推定手段と、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求める補間手段と、求められた回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、を有する構成を採る。
本発明に係る無線通信方法は、送信装置および受信装置を有する無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記送信装置が、情報データから複数の情報シンボルを生成するステップと、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成するステップと、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信するステップと、を有し、前記受信装置が、前記フレーム構成の信号を受信するステップと、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて回線推定を行うステップと、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求めるステップと、求められた回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去するステップと、を有するようにした。
これらによれば、送信装置は、パイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信し、受信装置は、パイロットシンボルに挟まれる情報シンボル区間に対する回線推定値を補間により求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができるとともに、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明によれば、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の特徴は、OFDM方式において、複数の情報シンボルおきに周期的に同一のパイロットシンボルを挿入し、パイロットシンボルのみにガードインターバルを付加する点である。
図2は、実施の形態1に係る送信装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す送信装置は、S/P(Serial/Parallel)変換部101、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部102、R(Ramp:ランピング区間)挿入部103、S/P変換部104、IFFT部105、GI(Guard Interval:ガードインターバル)挿入部106、時分割合成部107、および直交変調部108を有している。
S/P変換部101は、情報データをS/P変換し、サブキャリア数分のパラレルなデータをIFFT部102へ出力する。
IFFT部102は、パラレルなデータをそれぞれ周波数が互いに直交するサブキャリアに割り当てて逆高速フーリエ変換を行った上でP/S変換し、得られた時間領域の情報シンボルをR挿入部103へ出力する。
R挿入部103は、情報シンボルの先頭と末尾に振幅が徐々に増減するランピング区間を挿入し、前後のシンボルとの波形が不連続になることを抑制する。
S/P変換部104は、既知かつ不変なパターンのパイロットデータをS/P変換し、サブキャリア数分のパラレルなデータをIFFT部105へ出力する。
IFFT部105は、パラレルなデータをそれぞれ周波数が互いに直交するサブキャリアに割り当てて逆高速フーリエ変換を行った上でP/S変換し、得られた時間領域のパイロットシンボルをGI挿入部106へ出力する。
GI挿入部106は、パイロットシンボルの末尾部分を先頭に複製して、ガードインターバルを挿入する。なお、ここでのガードインターバルには、情報シンボルと同様のランピング区間を含んでいても良い。
時分割合成部107は、R挿入部103からの出力およびGI挿入部106からの出力を時分割で切り替えながら直交変調部108へ出力し、情報シンボルとパイロットシンボルの時間的な配列を決定する。このとき、時分割合成部107は、最初にGI挿入部106からのパイロットシンボルを1つ出力した後、R挿入部103からの情報シンボルを複数出力し、以後、1つのパイロットシンボルと複数の情報シンボルとを順次出力する。
直交変調部108は、時分割合成部107から出力される1つのパイロットシンボルと複数の情報シンボルとを1フレームとするOFDM信号を無線周波数帯に変調した上でアンテナを介して送信する。
図3は、実施の形態1に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。図3に示す受信装置は、直交復調部201、長FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)対象区間取得部202、長FFT部203、周波数等化部204、長IFFT部205、パイロット区間取得部206、FFT部207、回線推定部208、補間部209、GI・R除去部210、FFT部211、データ判定部212、およびP/S(Parallel/Serial)変換部213を有している。
直交復調部201は、アンテナを介してOFDM信号を受信し、ベースバンド帯に復調する。
長FFT対象区間取得部202は、パイロットシンボルを用いて遅延波を除去する対象の区間である長FFT対象区間を受信されたOFDM信号から取得する。具体的には、長FFT対象区間取得部202は、あるパイロットシンボルの直後のランピング区間を含む情報シンボルから、次のパイロットシンボルの先頭に挿入されているガードインターバルまでを長FFT対象区間として取得する。なお、長FFT対象区間取得部202は、あるパイロットシンボルから、次のパイロットシンボルの先頭に挿入されているガードインターバルまでを長FFT対象区間として取得しても良い。
長FFT部203は、長FFT対象区間に対して高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号を周波数領域の信号へ変換する。
周波数等化部204は、後述する回線推定値の補間結果を用いて長FFT対象区間の周波数等化を行い、遅延波に対応する周波数成分を除去する。
長IFFT部205は、周波数等化後の長FFT対象区間に対して逆高速フーリエ変換を行った上でP/S変換し、周波数領域の信号を受信されたOFDM信号と同様の時間領
域の信号へ戻す。
以上の長FFT対象区間取得部202、長FFT部203、周波数等化部204、および長IFFT部205は、遅延波除去部を形成している。すなわち、各情報シンボル間にガードインターバルが無くても、長FFT対象区間に対する周波数等化が行われて、遅延波に対応する周波数成分が除去されており、符号間干渉が抑制される。
パイロット区間取得部206は、パイロットシンボルに対応するパイロット区間を受信されたOFDM信号から取得する。
FFT部207は、取得されたパイロット区間に対して高速フーリエ変換(または離散フーリエ変換)を行い、時間領域の信号を周波数領域の信号へ変換する。
回線推定部208は、周波数領域の信号へ変換されたパイロット区間を用いて、各サブキャリアの回線推定を行い、得られた回線推定値を補間部209へ出力する。
補間部209は、パイロット区間から得られた回線推定値を例えばスプライン補間や線形補間などの補間アルゴリズムにより周波数軸上で補間する。なお、ここで得られた回線推定値の補間結果は、上述した周波数等化部204における周波数等化に供される。パイロット区間に対して高速フーリエ変換した場合は、サンプリング周波数と等しい帯域内に1シンボルに対応するサンプル数分の周波数成分が得られるが、長FFT対象区間に対して高速フーリエ変換する場合には、同じ帯域内により多くの周波数成分が存在する。このため、周波数等化を行う際には、パイロット区間の回線推定値を補間して、周波数軸上のより密な回線推定値が必要となる。
GI・R除去部210は、上述した遅延波除去部により遅延波が除去された長FFT対象区間からガードインターバルおよびランピング区間を除去する。
FFT部211は、ガードインターバルおよびランピング区間を除去して得られた個々の情報シンボルに対してそれぞれ高速フーリエ変換を行い、それぞれの情報シンボルからサブキャリアごとのデータを取得する。
データ判定部212は、各情報シンボルについて、サブキャリアごとのデータに対するデータ判定を行い、各サブキャリアに割り当てられている情報データをパラレルにP/S変換部213へ出力する。
P/S変換部213は、各サブキャリアに割り当てられている情報データをP/S変換し、シリアルな情報データを出力する。
次いで、上記のように構成された送信装置および受信装置の動作について、図4および図5を参照しながら説明する。
まず、パイロットデータは、送信装置のS/P変換部104によってサブキャリア数分のパラレルデータにS/P変換され、パラレルデータが各サブキャリアに割り当てられてIFFT部105によって逆高速フーリエ変換される。この結果、図4に示すパイロットシンボル(図中「P」で示す)が生成され、GI挿入部106によって、パイロットシンボルの末尾部分が先頭に複製され、ガードインターバル(図中「GI」で示す)が挿入される。パイロットシンボルは、図2に示す送信装置および図3に示す受信装置の双方における既知信号である。また、パイロットシンボルとしては、回線推定に用いることができる信号であれば如何なる信号でも良いが、ここでは、上述のようにOFDM変調された信
号としている。
ここで、パイロットシンボルの先頭に挿入されるガードインターバルの長さは、以下のように決定するのが好ましい。すなわち、本実施の形態においては、受信装置によって、あるパイロットシンボルの直後のランピング区間を含む情報シンボルから、次のパイロットシンボルの先頭に挿入されているガードインターバルまでが長FFT対象区間とされ、この区間に対する高速フーリエ変換が行われるが、この長FFT対象区間が高速フーリエ変換のサンプル数にして2のべき乗個(またはその整数倍)となるようにガードインターバル長を決定するのが好ましい。具体的には、例えばパイロットシンボルおよび情報シンボルがそれぞれ256サンプル、かつ、ランピング区間がそれぞれ4サンプルとすれば、(256+4)×(n+1)+(ガードインターバル長のサンプル数)が2のべき乗(またはその整数倍)となるように、GI挿入部106はガードインターバルの長さを決定するのが好ましい。これにより、長FFT対象区間の周波数等化を効率良く行うことができる。特に、長FFT対象区間のサンプル数が1シンボル分のサンプル数の整数倍である場合には、長FFT対象区間に対する高速フーリエ変換を1シンボルに対する通常の高速フーリエ変換用回路を複数組み合わせる(または繰り返し使用する)ことで容易に実現できるため、回路規模の低減を図ることができる。
一方、情報データは、送信装置のS/P変換部101によってサブキャリア数分のパラレルデータにS/P変換され、パラレルデータが各サブキャリアに割り当てられたIFFT部102によって逆高速フーリエ変換される。この結果、図4に示す情報シンボル(図中「S1」〜「Sn」で示す)が生成され、R挿入部103によって、各情報シンボル間にランピング区間(図中「R」で示す)が挿入される。本実施の形態においては、情報シンボル間にガードインターバルが挿入されないため、信号全体に占める冗長成分の割合を大幅に削減することができる。なお、ランピング区間の長さはガードインターバル長に比べて無視できるほど短く、信号全体に占める冗長成分の割合を増大させることはない。
これらのガードインターバルが挿入されたパイロットシンボルおよびランピング区間が挿入された情報シンボルは、時分割合成部107への入力が切り替えながら出力されることによって、図4の最下段に示すようなフレーム構成のOFDM信号として直交変調部108へ出力される。
そして、OFDM信号は、直交変調部108によって無線周波数帯へ変調され、アンテナを介して送信される。
送信されたOFDM信号は、受信装置のアンテナによって受信され、直交復調部201によってベースバンド帯へ復調される。そして、パイロット区間取得部206によって、ベースバンド帯となったOFDM信号からパイロットシンボルに対応するパイロット区間の信号(以下単に「パイロット区間」という)が取得される。
取得されたパイロット区間は、FFT部207によって高速フーリエ変換され、各サブキャリアのデータが回線推定部208へ出力される。そして、回線推定部208によって、パイロットシンボルに対するサブキャリアごとの伝搬路上での変動が推定され、サブキャリアごとの回線推定値が求められる。具体的には、パイロットシンボルとして送信された送信信号をxとし、この送信信号xがフェージングの影響を受けた後に受信される受信信号をyとすれば、送信信号xの逆高速フーリエ変換前の信号Xと受信信号yの高速フーリエ変換後の信号Yとの間には、次式(1)の関係がある。
Y=H・X ・・・(1)
ただし、式(1)においてHは回線推定値を示している。したがって、実際の受信信号
の高速フーリエ変換結果(式(1)のYに相当)を既知のパイロットデータ(式(1)のXに相当)で除算すれば、回線推定値が求められることになる。
パイロットシンボルのサブキャリアごとの回線推定値は、補間部209へ出力され、周波数方向に密な回線推定値が補間(例えばスプライン補間や線形補間)により求められる。補間により得られた回線推定値は、周波数等化部204へ出力される。
一方、長FFT対象区間取得部202によって、OFDM信号から周波数等化による遅延波除去の対象となる長FFT対象区間が取得される。具体的には、図5Aに示すように、あるフレームのパイロットシンボル301と次フレームのパイロットシンボル302との間の区間303が長FFT対象区間として取得される。なお、長FFT対象区間の長さは、上述したように、高速フーリエ変換のサンプル数にして2のべき乗個であるのが好ましい。
また、長FFT対象区間としては、図5Bに示すように、パイロットシンボル301を含む区間304を取得しても良い。したがって、区間303または区間304のいずれかが、上述した2のべき乗個(またはその整数倍)のサンプル数に等しい長さとなっていれば、この区間を長FFT対象区間とすれば良い。ここで、図5Aおよび図5Bに示すパイロットシンボル301、302は、パイロット区間取得部206によって取得されたパイロット区間に含まれるパイロットシンボルと同一である。
そして、長FFT部203によって、長FFT対象区間に対する高速フーリエ変換が行われ、時間領域の信号が周波数領域の信号へ変換される。本実施の形態においては、情報シンボル間にガードインターバルが挿入されていないため、この時点での信号には遅延波が混在しており、周波数領域の信号においても遅延波に対応する周波数成分が含まれている。
この高速フーリエ変換後の信号は、周波数等化部204へ出力され、補間部209から出力されるサブキャリアごとの回線推定値が用いられて周波数等化が行われる。具体的には、高速フーリエ変換後の信号Y’と補間部209の補間によって求められた回線推定値H’から、次式(2)によってフェージングの影響が除去された信号X’が求められる。
X’=Y’/H’ ・・・(2)
このようにして遅延波に対応する周波数成分が除去された信号X’は、長IFFT部205によって再び時間領域の信号へ戻される。この時点での信号には遅延波が混在しておらず、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。
そして、長IFFT部205から出力される遅延波除去後の長FFT対象区間から、GI・R除去部210によって、ガードインターバルおよびランピング区間が除去され、情報シンボルのみがFFT部211へ出力される。情報シンボルは、1シンボルごとにFFT部211によって高速フーリエ変換され、サブキャリアごとのデータが取得される。そして、データ判定部212によって、サブキャリアごとのデータに対するデータ判定が行われ、得られたパラレルな情報データがP/S変換部213によってシリアルな情報データへ変換されて出力される。
このように、情報シンボル間にガードインターバルを挿入しなくても、遅延波を除去して符号間干渉を抑制することができるとともに、図6に示すように、伝送効率を向上することができる。図6は、ガードインターバル長を変化させた場合のフレーム長およびオーバヘッド率を、情報シンボル間にガードインターバルを挿入する従来方式と情報シンボル間にガードインターバルを挿入しない実施の形態1方式とについて比較する表であり、数
値はその一例である(パラメータとしては、サンプリング周波数500ns、1シンボル長256サンプル、ランプ長4サンプル、1フレーム内の情報シンボル数14、を想定している)。同図に示すように、ガードインターバル長が5μsの場合は、従来方式ではフレーム長が高速フーリエ変換のサンプル数にして4200サンプルとなるのに対し、実施の形態1方式ではフレーム長が3910サンプルとなる。そして、冗長成分の割合を示すオーバヘッド率は、従来方式では15%程度であるのに対し、実施の形態1方式では8%程度に収まっている。さらに、ガードインターバル長が30μsとなると、オーバヘッド率に約3倍もの差が生じている。
以上のように、本実施の形態によれば、送信装置は、情報シンボル間にガードインターバルを付加することなく、既知かつ同一のパイロットシンボルを周期的に挿入し、パイロットシンボルのみにガードインターバルを付加して送信する。また、受信装置は、パイロットシンボルを用いて情報シンボルの回線推定値を求め、情報シンボルに対する周波数等化を行って遅延波を除去する。このため、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
なお、本実施の形態においては、パイロットシンボルの先頭のみにはガードインターバルを挿入するものとしたが、パイロットシンボルにもガードインターバルを挿入しなくても良い。つまり、周期的に既知かつ同一のパイロットシンボルが情報シンボル間に挿入されていれば、受信装置において周波数等化を行うことが可能であるため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。ただし、パイロットシンボルの先頭にガードインターバルを挿入することにより、パイロットシンボルに対する符号間干渉によって回線推定の精度が低下することを防止することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の特徴は、SC方式において、複数の情報シンボルおきに周期的に同一のパイロットシンボル列を挿入し、パイロットシンボル列のみにガードインターバルを付加する点である。
実施の形態2に係る送信装置は、実施の形態1に係る送信装置(図2)からOFDM方式に係るS/P変換部101、104、IFFT部102、105、およびR挿入部103を削除した構成であり、各処理部の構成は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。ただし、本実施の形態においては、パイロットシンボル列の末尾の所定数のシンボルが先頭に複製されてガードインターバルとなり、パイロットシンボル列の後に情報シンボル列が続くフレーム構成の信号が、フィルタなどによって帯域制限された上で送信装置から送信される。
図7は、実施の形態2に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図7に示す受信装置は、直交復調部201、長FFT対象区間取得部202a、長FFT部203、周波数等化部204、長IFFT部205、パイロット区間取得部206、FFT部207、回線推定部208、補間部209、GI・R除去部210、およびデータ判定部212を有している。
長FFT対象区間取得部202aは、パイロットシンボルを用いて遅延波を除去する対象の区間である長FFT対象区間を受信信号から取得する。具体的には、長FFT対象区間取得部202aは、あるパイロットシンボル列の直後の情報シンボル列と、次のパイロットシンボル列の先頭に挿入されているガードインターバルとを長FFT対象区間として取得する。なお、長FFT対象区間取得部202aは、あるパイロットシンボル列から、次のパイロットシンボル列の先頭に挿入されているガードインターバルまでを長FFT対
象区間として取得しても良い。
次いで、上記のように構成された送信装置および受信装置の動作について、図8および図9を参照しながら説明する。
まず、パイロットデータは、例えばQPSKや16QAMなどの変調方式によって変調され、図8に示すm個のパイロットシンボル列(図中「P1」〜「Pm」で示す)となり、末尾のk(k<m)個のパイロットシンボル(図中「Pm-k+1」〜「Pm」のシンボル)がガードインターバルとして先頭に複製される。パイロットシンボル列は、送信装置および受信装置の双方における既知信号である。また、パイロットシンボル列としては、回線推定に用いることができる信号であれば如何なる信号でも良いが、ここでは、上述のような変調方式によって変調された信号としている。
一方、情報データは、図8に示すn個の情報シンボル列(図中「S1」〜「Sn」で示す)となる。本実施の形態においては、情報シンボル列の先頭にはガードインターバルが挿入されないため、信号全体に占める冗長成分の割合を大幅に削減することができる。また、必要に応じて、情報シンボル間にランピング区間を挿入しても良い。
これらのガードインターバルが挿入されたパイロットシンボル列およびガードインターバルが挿入されない情報シンボル列は、図8の最下段に示すようなフレーム構成の信号として送信される。
送信された信号は、受信装置のアンテナによって受信され、直交復調部201によってベースバンド帯へ復調される。そして、パイロット区間取得部206によって、ベースバンド帯となった受信信号からパイロットシンボル列に対応するパイロット区間が取得される。
取得されたパイロット区間は、FFT部207によって高速フーリエ変換され、パイロットシンボル列の各周波数成分が回線推定部208へ出力される。そして、回線推定部208によって、パイロットシンボル列に対する周波数成分ごとの回線推定値が求められる。パイロットシンボル列の回線推定値は、補間部209へ出力され、周波数方向に密な回線推定値が補間(例えばスプライン補間や線形補間)により求められる。補間により得られた回線推定値は、周波数等化部204へ出力される。
一方、長FFT対象区間取得部202aによって、受信信号から周波数等化による遅延波除去の対象となる長FFT対象区間が取得される。具体的には、図9に示すように、あるフレームのガードインターバル401に続くパイロットシンボル列402と次フレームのパイロットシンボル列404との間の区間403が長FFT対象区間として取得される。この区間403には、情報シンボル列(図中「S1」〜「Sn」)と次フレームのガードインターバル(図中「Pm-k+1」〜「Pm」)とが含まれている。
また、長FFT対象区間としては、図9中、パイロットシンボル列402および区間403を合わせた区間を取得しても良い。ここで、図9に示すパイロットシンボル列402、404は、パイロット区間取得部206によって取得されたパイロットシンボル列と同一である。
そして、長FFT部203によって、長FFT対象区間に対する高速フーリエ変換が行われ、時間領域の信号が周波数領域の信号へ変換される。本実施の形態においては、情報シンボル列の先頭にガードインターバルが挿入されていないため、この時点での信号には遅延波が混在しており、周波数領域の信号においても遅延波に対応する周波数成分が含ま
れている。
この高速フーリエ変換後の信号は、周波数等化部204へ出力され、補間部209から出力される回線推定値が用いられて周波数等化が行われる。周波数等化によって遅延波に対応する周波数成分が除去された信号は、長IFFT部205によって再び時間領域の信号へ戻される。この時点での信号には遅延波が混在しておらず、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。
そして、長IFFT部205から出力される遅延波除去後の長FFT対象区間から、GI・R除去部210によって、ガードインターバル(すなわち、図9の区間403における「Pm-k+1」〜「Pm」)およびランピング区間(挿入されている場合のみ)が除去され、情報シンボルのみ(すなわち、図9の区間403における「S1」〜「Sn」)がデータ判定部212へ出力され、データ判定が行われる。
以上のように、本実施の形態によれば、送信装置は、情報シンボル列にガードインターバルを付加することなく、既知かつ同一のパイロットシンボル列を周期的に挿入し、パイロットシンボル列のみにガードインターバルを付加して送信する。また、受信装置は、パイロットシンボル列を用いて情報シンボル列の回線推定値を求め、情報シンボル列に対する周波数等化を行って遅延波を除去する。このため、SC方式においても、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
なお、本実施の形態においては、パイロットシンボル列の先頭のみにはガードインターバルを挿入するものとしたが、パイロットシンボル列にもガードインターバルを挿入しなくても良い。つまり、周期的に既知かつ同一のパイロットシンボル列が情報シンボル列間に挿入されていれば、受信装置において周波数等化を行うことが可能であるため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。ただし、パイロットシンボル列の先頭にガードインターバルを挿入することにより、パイロットシンボル列に対する符号間干渉によって回線推定の精度が低下することを防止することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の特徴は、受信側において回線推定値を周波数軸上で補間するのではなく、回線推定値から長FFT対象区間全体に対応する遅延プロファイルを作成し、遅延プロファイルを直交変換することにより、周波数軸上で密な回線推定値を得る点である。
実施の形態1および実施の形態2においては、受信装置の補間部209によって、回線推定値の補間が行われることにより、周波数軸上で密な回線推定値が得られた。この場合、「周波数軸上で密な回線推定値」とは、具体的には通信に用いられる帯域幅において長FFT対象区間に対応するサンプル数分の回線推定値のことを意味している。つまり、例えば図5Bに示したフレーム構成において、1つのシンボルと1つのランピング区間との組み合わせのサンプル数をNとし、ガードインターバルのサンプル数をNGIとすれば、長FFT対象区間304は、(N×(n+1)+NGI)サンプルに対応している。したがって、例えば実施の形態1のようにOFDM方式が適用される場合は、周波数等化を行うために、サブキャリアが存在する帯域内において(N×(n+1)+NGI)サンプル数分の回線推定値が必要となる。
そして、回線推定部208によって実際に算出されるのは、パイロットシンボルに対応するNサンプル数分の回線推定値であるため、上述のように補間によって(N×(n+1)+NGI)サンプル数分の回線推定値を求めていた。このように補間によって回線推定値
を求める場合、例えば図10Aに示すように、実線で示す実際の回線変動値の周波数選択性が小さければ、点線で示す補間によって求められた回線推定値と実際の回線変動値との差が小さく、周波数等化の精度が劣化することはない。
しかし、例えば図10Bに示すように、実線で示す実際の回線変動値の周波数選択性が大きいと、点線で示す補間によって求められた回線推定値と実際の回線変動値との差が大きく、周波数等化の精度が劣化してしまうと考えられる。
そこで、本実施の形態においては、周波数軸上での補間を行うことなく、長FFT対象区間に対応するサンプル数分の回線推定値を求める。
実施の形態3に係る送信装置は、実施の形態1に係る送信装置(図2)と同様であるため、その説明を省略する。
図11は、実施の形態3に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図11に示す受信装置は、直交復調部201、長FFT対象区間取得部202、長FFT部203、周波数等化部204、長IFFT部205、パイロット区間取得部206、FFT部207、回線推定部208、GI・R除去部210、FFT部211、データ判定部212、P/S変換部213、IFFT部501、遅延プロファイル加工部502、およびDFT(Discrete
Fourier Transform:離散フーリエ変換)部503を有している。
IFFT部501は、サブキャリアごとの回線推定値に対して逆高速フーリエ変換を行い、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換する。すなわち、IFFT部501は、サブキャリアごとの回線推定値から遅延プロファイルを生成する。このとき、IFFT部501は、パイロット区間から得られた回線推定値を逆高速フーリエ変換するため、パイロットシンボルの時間長における遅延プロファイルを生成する。したがって、上述した例では、Nサンプルに相当する区間の遅延プロファイルが生成される。なお、一般に、最も遅く受信される遅延波の遅延時間(以下「最大遅延時間」という)よりもガードインターバル長が長く設定されているため、Nサンプルに相当する区間の遅延プロファイルのうち、遅延波を示すピークが生じるのは先頭からNGIサンプルに相当する区間のみである。
遅延プロファイル加工部502は、パイロットシンボルの時間長における遅延プロファイルを拡張して、長FFT対象区間の時間長に対応する遅延プロファイルを生成する。このとき、遅延プロファイル加工部502は、パイロットシンボルの時間長以降の区間には振幅が0の0信号を付加する。また、遅延プロファイル加工部502は、遅延プロファイルの拡張に先立ち、パイロットシンボルの時間長における遅延プロファイルにおいて、振幅が所定値以下のピークを雑音とみなして削除したり、振幅が所定値以上でありガードインターバル長より後に生じたピークを1シンボル時間長前にシフトさせたりする。遅延プロファイル加工部502は、以上のように加工して得られた長FFT対象区間に対応する遅延プロファイルをDFT部503へ出力する。
DFT部503は、遅延プロファイルに対して離散フーリエ変換を行い、時間領域の信号を周波数領域の信号へ変換する。すなわち、DFT部503は、長FFT対象区間の時間長に対応する遅延プロファイルから長FFT対象区間に対応するサンプル数分の回線推定値を求める。つまり、上述した例では、サブキャリアの帯域内において(N×(n+1)+NGI)サンプル数分の回線推定値が求められる。
次いで、上記のように構成された受信装置における回線推定値取得の動作について、図12および図13を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、ランピング区
間を考慮せず、各シンボル(パイロットシンボルおよび情報シンボル)の時間長をNサンプル時間とし、ガードインターバルの時間長をNGIサンプル時間とする。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、パイロット区間取得部206によって受信信号からパイロットシンボルに対応するパイロット区間が取得され、FFT部207によって高速フーリエ変換が行われ、回線推定部208によってサブキャリアごとの回線推定値が得られる。
このとき、サブキャリア全体の帯域幅の両端に、パイロットシンボルが含まれていないサブキャリアがある場合は、FFT部207は、パイロットシンボルを含むサブキャリアの帯域幅に対応するサンプル数の高速フーリエ変換を行う。また、サブキャリア全体の帯域幅の両端以外にパイロットシンボルが含まれていないサブキャリアがある場合は、このサブキャリアの回線推定値を求めることができないとともに、上記の場合のようにこのサブキャリアを除外して高速フーリエ変換することができない。このため、回線推定部208は、例えば補間などによりパイロットシンボルを含まないサブキャリアの回線推定値を求める。さらに、回線推定値が所定の閾値未満のサブキャリアや、最大の回線推定値との差が所定の閾値以上となる回線推定値に対応するサブキャリアについては、回線推定部208がこれらのサブキャリアの回線推定値を雑音とみなして削除しても良い。
このようにして得られた回線推定値は、パイロットシンボルを含むサブキャリア全体の帯域に広がっているものの、パイロットシンボルに対してNサンプルの高速フーリエ変換を行っているため、周波数軸上でN個の回線推定値しか得られない。
そして、これらの回線推定値は、IFFT部501によって逆高速フーリエ変換が施されることにより時間領域の信号へ変換され、パイロットシンボルの時間長(Nサンプル相当、または、帯域幅の両端にパイロットシンボルを含まないサブキャリアがある場合はパイロットシンボルを含むサブキャリアの帯域幅に対応するサンプル数相当)における遅延プロファイルが求められる。求められた遅延プロファイルは、遅延プロファイル加工部502へ出力され、図12Aに示すように、最大の振幅との差が所定の閾値x[dB]以上ある振幅のタイミングにおけるピークが雑音とみなされて削除される。さらに、遅延プロファイル加工部502は、図12Aにおけるピーク601のように、先頭のピークからガードインターバル長に相当するNGIサンプル以後に現れた雑音と見なせないピークをNサンプル時間だけ前にシフトし、遅延プロファイルの範囲をシフト後のピークからNサンプル時間へと変更する。これにより、ガードインターバル長が最大遅延時間より長く設定されていれば、Nサンプル時間の遅延プロファイルにおいて、雑音と見なせないピークが生じるのは先頭からNGIサンプル時間のみとなる。なお、遅延プロファイルの先頭の区間が雑音とみなせるピークのみからなっており、かつ、この区間の後に雑音と見なせないピーク群がNGIサンプル以後まで続く場合は、遅延プロファイル加工部502は、先頭の雑音とみなせる区間を削除し、遅延プロファイルの範囲を後にずらしても良い。
そして、遅延プロファイル加工部502は、遅延プロファイルの範囲をNサンプル時間から長FFT対象区間に対応する(N×(n+1)+NGI)サンプル時間まで拡張する。このとき、遅延プロファイル加工部502は、図12Bに示すように、上述の処理が施されたNサンプル時間に対応する区間602に、振幅が0の0信号からなる(N×n+NGI)サンプル時間に対応する区間603を付加して遅延プロファイルの範囲を拡張する。区間603を0信号から構成することについては、一般に、ガードインターバル長が最大遅延時間より長く設定されているため、先頭からNGIサンプル時間以後にはパイロットシンボルの遅延波が受信装置に到達しないことを根拠としている。つまり、たとえ実際に(N×(n+1)+NGI)サンプル時間の遅延プロファイルを作成しても、区間603においては、遅延波を示すピークが生じることはないため、区間603に0信号を付加している
。以上のように加工されて得られた遅延プロファイルは、DFT部503へ出力される。
そして、DFT部503によって、(N×(n+1)+NGI)サンプル時間に拡張された遅延プロファイルが離散フーリエ変換され、図13に示すように、周波数軸上で(N×(n+1)+NGI)サンプル数分の回線推定値が得られる。これにより、周波数等化部204における周波数等化に利用可能な周波数軸上で密な回線推定値が得られる。また、得られた回線推定値は、実際の(N×(n+1)+NGI)サンプル時間の遅延プロファイルに近い遅延プロファイルを周波数領域の信号に変換したものであるため、各周波数における回線推定値の精度は、周波数軸上における補間を行った場合よりも高くなっている。
以上のように、本実施の形態によれば、パイロット区間から得られた回線推定値から遅延プロファイルを作成し、作成された遅延プロファイルの範囲を長FFT対象区間に対応させて拡張した上で周波数領域に変換するため、長FFT対象区間の各周波数成分における精度が高い回線推定値を求めることができ、結果として、周波数等化の精度を向上することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の特徴は、受信側において取得されたパイロット区間の信号から遅延プロファイルを作成し、遅延プロファイルをフーリエ変換することにより、周波数軸上で密な回線推定値を得る点である。
実施の形態4に係る送信装置は、実施の形態1に係る送信装置(図2)と同様であるため、その説明を省略する。
図14は、実施の形態4に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図14に示す受信装置は、直交復調部201、長FFT対象区間取得部202、長FFT部203、周波数等化部204、長IFFT部205、パイロット区間取得部206、GI・R除去部210、FFT部211、データ判定部212、P/S変換部213、遅延プロファイル加工部502a、DFT部503、および遅延プロファイル作成部701を有している。
遅延プロファイル作成部701は、パイロット区間と既知のパイロットデータとの相関を取って、遅延波が到達した時間にピークが生じる遅延プロファイルを作成する。
遅延プロファイル加工部502aは、パイロットシンボルの時間長における遅延プロファイルを拡張して、超FFT対象区間の時間長に対応する遅延プロファイルを生成する。このとき、遅延プロファイル加工部502aは、実施の形態3における遅延プロファイル加工部502とほぼ同様の処理を行うが、本実施の形態においては、パイロット区間とパイロットデータとの時間波形の相関により遅延プロファイルが作成されているため、先頭からNGIサンプル時間以後に雑音と見なせない大きなピークが生じる可能性がほとんどなく、図12Aにおけるピーク601のようなピークをシフトする必要はない。
本実施の形態においては、受信信号のパイロット区間と既知のパイロットデータとの時間波形の相関を取って遅延プロファイルが作成されるため、パイロットデータとして自己相関が低い時間波形のデータが用いられる場合は、パイロット区間とパイロットデータとのタイミングが一致した場合にのみ大きなピークが生じ、正確な遅延プロファイルが作成される。
このようにして作成された遅延プロファイルは、実施の形態3と同様に拡張され、周波数領域へ変換されることにより回線推定値が得られる。このとき、作成された遅延プロフ
ァイルが正確であれば、拡張された遅延プロファイルおよび離散フーリエ変換後の回線推定値の精度が高くなる。
以上のように、本実施の形態によれば、受信信号のパイロット区間と既知のパイロットデータとの相関により遅延プロファイルを作成し、作成された遅延プロファイルの範囲を長FFT対象区間に対応させて拡張した上で周波数領域に変換するため、長FFT対象区間の各周波数成分における精度が高い回線推定値を求めることができ、結果として、周波数等化の精度を向上することができる。また、パイロットデータの自己相関が低い場合は、遅延プロファイルの精度が高くなり、回線推定値および周波数等化の精度をさらに向上することができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5の特徴は、遅延プロファイルの作成にFIR(Finite Impulse Response filter:有限インパルス応答フィルタ)を用いる点である。
実施の形態5に係る送信装置は、実施の形態1に係る送信装置(図2)と同様であるため、その説明を省略する。
また、実施の形態5に係る受信装置は、実施の形態4に係る受信装置(図14)と同様の全体構成を有しているが、遅延プロファイル作成部701の内部構成のみが実施の形態4と異なっている。
図15Aは、実施の形態5に係る遅延プロファイル作成部701の内部構成を示すブロック図である。
FIR801は、既知のパイロットデータを遅延させてタップ係数を乗算することにより、受信信号におけるパイロット区間のレプリカを生成し、比較部802へ出力する。具体的には、FIR801は、図15Bに示すように、遅延素子801a、乗算器801b、および加算部801cから構成されている。遅延素子801aは、パイロットデータを1サンプル時間ずつ遅延させて保持する。各遅延素子801aに保持されたパイロットデータは、それぞれ直接波および1〜NGIサンプル時間における遅延波に相当することになる。乗算器801bは、パイロットデータおよび遅延素子801aに保持されたパイロットデータにタップ係数C0〜CNGI-1を乗算する。タップ係数C0〜CNGI-1は、各遅延波に対する回線変動に相当することになる。これらのタップ係数C0〜CNGI-1の初期値は如何なる値でも良いが、例えば他の方法によって求められた回線推定値に基づいて初期値を設定することにより、処理の精度向上と時間の短縮を図ることができる。加算部801cは、乗算器801bの出力を加算し、直接波および遅延波が混在した受信信号におけるパイロット区間のレプリカを生成し、比較部802へ出力する。
なお、本実施の形態においては、FIR801が1サンプル時間ずつの遅延素子801aを有する構成としたが、遅延素子801aの数を増やして、例えば1/2サンプル時間または1/4サンプル時間間隔の遅延波を再現したレプリカを生成するようにしても良い。これにより、より詳細な遅延プロファイルが作成される。
また、FIR801は、生成したレプリカと実際のパイロット区間との差が最小になった場合に、タップ係数C0〜CNGI-1を遅延プロファイルとして出力する。
比較部802は、FIR801によって生成されたレプリカと実際の受信信号におけるパイロット区間との差分を算出し、算出された差分を係数修正部803へ出力する。
係数修正部803は、例えばLMS(Least Mean Square:最小二乗)アルゴリズムまたはRMS(Root Mean Square:平均二乗根)アルゴリズムなどを用いて、比較部802から出力される差分が最小となるようにタップ係数C0〜CNGI-1を修正する。
本実施の形態においては、FIR801によって既知のパイロットデータから受信信号におけるパイロット区間のレプリカが生成され、比較部802によってレプリカと実際の受信信号におけるパイロット区間とが比較され、係数修正部803によってレプリカとパイロット区間との差分が小さくなるようにFIR801のタップ係数C0〜CNGI-1が修正される。これらの処理は繰り返し行われ、レプリカとパイロット区間の差分が徐々に小さくなっていく。この過程で、所定の閾値未満となったタップ係数は雑音とみなして、以降の処理ではこのタップ係数を0とするようにしても良い。これにより、処理負荷を削減することができるとともに、雑音の影響を除去することができる。
そして、レプリカとパイロット区間がほぼ同一になった場合、またはレプリカとパイロット区間の差分が十分に小さい値にまで収束した場合、FIR801のタップ係数C0〜CNGI-1が各遅延波に対する回線変動を正確に再現しているものと判断され、これらのタップ係数C0〜CNGI-1がNGIサンプル時間の範囲の遅延プロファイルとして出力される。タップ係数C0〜CNGI-1の出力に際して、FIR801は、所定の閾値未満のタップ係数を雑音とみなして出力しないようにしても良い。
このようにして作成された遅延プロファイルは、実施の形態3、4と同様に拡張され、周波数領域へ変換されることにより回線推定値が得られる。
以上のように、本実施の形態によれば、FIRを用いてパイロット区間のレプリカを生成し、レプリカと実際のパイロット区間の差分が十分に小さくなった時のタップ係数を遅延プロファイルとし、遅延プロファイルの範囲を長FFT対象区間に対応させて拡張した上で周波数領域に変換するため、長FFT対象区間の各周波数成分における精度が高い回線推定値を求めることができ、結果として、周波数等化の精度を向上することができる。また、他の方法で求めた回線推定値に基づいてFIRのタップ係数の初期値を設定することにより、さらに正確な遅延プロファイルを短時間で生成することができる。
なお、上記実施の形態3〜5においては、長FFT対象区間に対応するサンプル数分の回線推定値を求める場合に遅延プロファイルを用いたが、長FFT対象区間以外にも、周波数領域において所定時間に対応するサンプル数分の回線推定値を求める場合に、同様の処理を行うことができる。すなわち、ガードインターバル長より長い任意の時間の遅延プロファイルを作成した後に遅延プロファイルの範囲を拡張し、周波数領域へ変換することにより、補間を行わずに正確な回線推定値を求めることができる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6の特徴は、MIMO通信において、送信側は最大遅延時間に応じたパターンでストリームごとにパイロットシンボルを挿入するとともに、受信側はストリームごとのレプリカを受信信号から減算して周波数等化を行う点である。
図16は、実施の形態6に係る送信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図16に示す送信装置は、アンテナを2本備えたMIMO送信装置であり、各アンテナに対応するS/P変換部101、IFFT部102、R挿入部103、S/P変換部104、IFFT部105、GI挿入部106、時分割合成部107a、および直交変調部108を有しているとともに、パターン決定部901を有している。
時分割合成部107aは、R挿入部103からの出力およびGI挿入部106からの出力をパターン決定部901の指示に従って時分割で切り替えながら直交変調部108へ出力する。
パターン決定部901は、例えば受信装置からフィードバックされる最大遅延時間などのフィードバック情報に応じて、ストリームごとのパイロットシンボルおよび情報シンボルの配置パターンを決定する。具体的には、パターン決定部901は、1つのストリームにパイロットシンボルが配置される時間には、他のストリームにパイロットシンボルおよび情報シンボルのいずれも配置されないような配置パターンを決定する。換言すれば、パターン決定部901は、各ストリームのパイロットシンボルの位置が互いに直交するように配置パターンを決定する。
このとき、パターン決定部901は、最大遅延時間がガードインターバル長以下であれば、一連の情報シンボルからなるデータストリームと次のデータストリームとの間に、すべてのストリームのパイロットシンボルが1シンボルずつ連続して送信される配置パターンを決定する。一方、最大遅延時間がガードインターバル長を超えていれば、パターン決定部901は、データストリーム間に1つのストリームのみのパイロットシンボルが送信される配置パターンを決定する。なお、最大遅延時間がガードインターバル長を超えている場合、データストリーム間において、1つのストリームのパイロットシンボルを繰り返し配置しても良い。
図17は、実施の形態6に係る受信装置の要部構成を示すブロック図である。同図において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図17に示す受信装置は、アンテナを2本備えたMIMO受信装置であり、各アンテナに対応する直交復調部201、パイロット区間取得部206、FFT部207、回線推定部208a、補間部209、GI・R除去部210、FFT部211、パイロットレプリカ生成部902、遅延波除去部903−1、903−2、合成部904、レプリカ生成部906、スイッチ907を有しているとともに、データ判定部212、P/S変換部213、および比較選択部905を有している。
回線推定部208aは、パイロット区間を用いて、各サブキャリアの回線推定を送信側におけるストリームごとに行い、得られたストリームごとの回線推定値を補間部209へ出力する。
パイロットレプリカ生成部902は、ストリームごとの回線推定値と既知のパイロットデータとから各ストリームに対応するパイロットシンボルの受信レプリカ(以下「パイロットレプリカ」という)を生成する。すなわち、パイロットレプリカ生成部902は、パイロットデータにストリームごとの回線推定値を乗算し、得られたストリームごとのパイロットレプリカをそれぞれ遅延波除去部903−1、903−2へ出力する。
遅延波除去部903−1、903−2は、送信側におけるストリームに対応して設けられ、ストリームごとに遅延波を除去する。具体的には、遅延波除去部903−1は、図18に示す内部構成を有している。同図において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、遅延波除去部903−2も遅延波除去部903−1と同様の構成を有しているが、本実施の形態においては、回線推定部208aがストリームごとの回線推定を行うため、補間部209から周波数等化部204へ出力される回線推定値は遅延波除去部903−1と遅延波除去部903−2とで異なっている。
レプリカ減算部908は、パイロットレプリカ生成部902によって生成されたパイロットレプリカおよび後述するレプリカ生成部906によって生成されたレプリカを長FF
T対象区間から減算する。長FFT対象区間からパイロットレプリカを減算することにより、パイロットシンボルによる符号間干渉の影響を除去することができる。また、後に詳述するように、長FFT対象区間からレプリカ生成部906によって生成されたレプリカを減算することにより、対応外のストリームの影響を除去して、対応するストリームのみに関する周波数等化を行うことができる。
再び図17を参照して、合成部904は、各アンテナに対応するFFT部211から出力されるサブキャリアごとの情報シンボルのデータを、同一のストリームに関して周波数等化されたもの同士合成する。合成にあたっては、周波数等化対象ストリームの伝搬路特性に基づく最大比合成などを用いる。そして、合成部904は、ストリームごとの合成データを比較選択部905へ出力する。
比較選択部905は、ストリームごとの合成データの受信品質を比較し、受信品質が最も高いストリームの合成データをデータ判定部212へ出力するとともに、受信品質の比較結果をスイッチ907へ通知する。
レプリカ生成部906は、受信品質が最も高いストリームのデータ判定部212における復調結果にこのストリームに対応する回線推定値を乗算して、受信品質が最も高いストリームに対応するデータストリーム(情報シンボル)のレプリカを生成する。
スイッチ907は、比較選択部905による受信品質の比較結果に応じて、レプリカを遅延波除去部903−1または遅延波除去部903−2へ出力する。具体的には、スイッチ907は、受信品質が最も高いストリーム以外のストリームに対応する遅延波除去部へレプリカを出力する。したがって、例えば遅延波除去部903−1に対応するストリーム1の受信品質が最も高い場合は、スイッチ907は、ストリーム1のデータストリームのレプリカを遅延波除去部903−2へ出力する。
次いで、上記のように構成された送信装置および受信装置の動作について、図19を参照しながら説明する。
まず、送信装置におけるストリームごとのパイロットシンボルの配置について説明する。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、ランピング区間が挿入された情報シンボルおよびガードインターバルが挿入されたパイロットシンボルが時分割合成部107aへ出力される。ただし、本実施の形態においては、複数のアンテナそれぞれに対応するストリームごとの時分割合成部107aへ情報シンボルおよびパイロットシンボルが出力される。
また、本実施の形態においては、受信装置から例えば最大遅延時間などがフィードバックされており、フィードバック情報はパターン決定部901へ出力される。そして、パターン決定部901によって、最大遅延時間がガードインターバル長を超えているか否かが判定され、最大遅延時間がガードインターバル長以下である場合は、例えば図19Aに示すようなストリームごとのパイロットシンボルの配置パターンが決定される。図19Aに示す配置パターンにおいては、一方のストリーム1(図中上段のストリーム)のパイロットシンボルP1の直後に他方のストリーム2(図中下段のストリーム)のパイロットシンボルP2が連続して配置され、パイロットシンボルP2の後にそれぞれのストリームにおけるデータストリーム1およびデータストリーム2が配置されている。
このとき、一方のストリームのパイロットシンボルが配置される時間は、他方のストリ
ームの非送信時間となる。すなわち、例えばストリーム2のパイロットシンボルP2が送信される時間は、ストリーム1においてはパイロットシンボルおよび情報シンボルのいずれも送信されない非送信時間951となる。
最大遅延時間がガードインターバル長以下の場合は、データストリーム1およびデータストリーム2の遅延波がパイロットシンボルP1へ影響を及ぼすことがないため、各データストリーム間の時間にすべてのストリームのパイロットシンボルを連続して配置することができる。そして、図19Aのような配置パターンとすることにより、同一ストリーム内のパイロットシンボル間の時間を最短にすることができるため、フェージング変動が大きい場合でも受信装置における回線推定の精度を向上することができる。また、図19Aのような配置パターンの場合は、パイロットシンボルP1から次のパイロットシンボルP1の直前に挿入されたガードインターバルまでの区間952が受信装置における長FFT対象区間となる。
一方、最大遅延時間がガードインターバルを超えている場合は、図19Aのような配置パターンとすると、データストリーム1およびデータストリーム2の遅延波がパイロットシンボルP1へ影響を及ぼし、ストリーム1に関する回線推定の精度が劣化すると考えられる。そこで、最大遅延時間がガードインターバル長を超えている場合は、パターン決定部901によって、例えば図19Bまたは図19Cに示すような配置パターンが決定される。図19Cに示す配置パターンにおいては、各データストリーム間の時間に、ストリーム1のパイロットシンボルP1またはストリーム2のパイロットシンボルP2のいずれか一方のみが繰り返し配置されている。したがって、例えばストリーム2のパイロットシンボルP2が繰り返し送信される時間は、ストリーム1においてはパイロットシンボルおよび情報シンボルのいずれも送信されない非送信時間953となる。
最大遅延時間がガードインターバル長を超えている場合は、データストリーム1およびデータストリーム2の遅延波がこれらのデータストリームの直後のパイロットシンボルへ影響を及ぼすことになるため、各データストリーム間の時間に同一のストリームのパイロットシンボルを繰り返して配置する。これにより、実質的なガードインターバル長が区間954に延長される。なお、送信装置が3本以上のアンテナを有する場合、いずれか1つのストリームにおいてパイロットシンボルが配置される時間が他のストリームの非送信時間となっていれば、各データストリーム間の時間に複数のストリームにおいてパイロットシンボルを繰り返し配置するようにしても良い。
図19Bのような配置パターンとすることにより、同一ストリーム内のパイロットシンボル間の時間は長くなるが、上述したように、実質的なガードインターバル長を延長することができるため、ガードインターバル長以下に収まらないデータストリームの遅延波の影響を除去することができる。また、データストリーム直後のパイロットシンボルについては、データストリームの遅延波の影響を受けているが、例えば受信装置における同期確立などに用いることが可能である。
また、図19Bのような配置パターンの場合は、同一ストリーム内のパイロットシンボルの周期性を確保するためには、データストリーム直前のパイロットシンボルP1から同位置にある次のパイロットシンボルP1の直前に挿入されたガードインターバルまでの区間955が受信装置における長FFT対象区間となる。ただし、受信装置において、パイロットシンボルのレプリカを減算して周波数等化を行う場合は、同一ストリーム内におけるパイロットシンボルの周期性が必ずしも必要ではなくなるため、データストリーム直前のパイロットシンボルP1から次のデータストリーム直前のパイロットシンボルP2の直前に挿入されたガードインターバルまでの区間956を長FFT対象区間としても良い。
さらに、図19Cに示す配置パターンにおいては、各データストリームの直前にストリーム1のパイロットシンボルP1またはストリーム2のパイロットシンボルP2のいずれか一方のみが配置され、各パイロットシンボルに挿入されたガードインターバルの前に双方のストリームにおける非送信時間が設けられている。このような場合は、双方のストリームにおける非送信時間を含む区間957が実質的なガードインターバル長となる。そして、図19Bに示す配置パターンと比較した場合、非送信時間が多くなるため、消費電力の削減を図ることができる。
このように、送信装置は、受信装置からのフィードバック情報に応じて最大遅延時間がガードインターバル長を超えているか否かを判定し、ストリームごとのパイロットシンボルの配置パターンを切り替える。これにより、受信装置における回線推定の精度を向上することができ、結果として、受信装置は周波数等化による遅延波除去を正確に行うことができる。
次に、受信装置におけるストリームごとの遅延波除去について説明する。
受信装置の各アンテナで受信されたOFDM信号は、直交復調部201によってベースバンド帯へ復調される。受信装置の各アンテナで受信されるOFDM信号には、送信装置におけるすべてのストリームの信号が混在している。ベースバンド帯となったOFDM信号は、遅延波除去部903−1、903−2内の長FFT対象区間取得部202へ出力されるとともに、パイロット区間取得部206によって、ベースバンド帯となったOFDM信号からストリームごとのパイロットシンボルに対応するパイロット区間が取得される。
取得されたストリームごとのパイロット区間は、実施の形態1と同様に、FFT部207によって高速フーリエ変換され、各サブキャリアのデータが回線推定部208aへ出力される。そして、回線推定部208aによって、サブキャリアごとの回線推定値がストリームごとに求められる。すなわち、受信装置の各アンテナに対応する回線推定部208aによって、送信装置のすべてのアンテナとの間の伝搬路におけるサブキャリアごとの回線推定値が推定される。
ストリームごとかつサブキャリアごとの回線推定値は、補間部209へ出力され、周波数方向に密な回線推定値が補間により求められる。補間により得られた回線推定値は、パイロットレプリカ生成部902および遅延波除去部903−1、903−2内の周波数等化部204へ出力される。そして、パイロットレプリカ生成部902によって、各ストリームの既知かつ不変なパイロットデータに各ストリームの回線推定値が乗算されて、パイロットシンボルの受信レプリカ(パイロットレプリカ)が生成される。生成されたパイロットレプリカは、遅延波除去部903−1、903−2内のレプリカ減算部908へ出力される。
そして、遅延波除去部903−1、903−2によって、送信装置における各ストリームの遅延波が周波数等化により除去される。すなわち、長FFT対象区間取得部202によってOFDM信号から長FFT対象区間が取得され、長FFT部203によって長FFT対象区間に対する高速フーリエ変換が行われ、高速フーリエ変換後の信号がレプリカ減算部908へ出力される。そして、レプリカ減算部908によって、高速フーリエ変換後の信号からストリームごとのパイロットレプリカが減算される。
具体的には、例えば送信装置におけるパイロットシンボルの配置パターンが図19Aに示すようなものである場合、遅延波除去部903−1および903−2内のレプリカ減算部908によって、ストリーム1のパイロットシンボルP1のレプリカおよびストリーム2のパイロットシンボルP2のレプリカが減算される。なお、本実施の形態においては、
パイロットレプリカの減算が行われるため、上述したように、図19Bに示す配置パターンでパイロットシンボルが送信される場合も、長FFT対象区間を区間956とすることができる。
そして、遅延波除去部903−1、903−2の各レプリカ減算部908は、パイロットレプリカ減算後の信号を、後のレプリカ減算に備えて一時的に記憶するとともに、周波数等化部204へ出力する。パイロットレプリカが減算された信号は、周波数等化部204によって、各ストリームの回線推定値が用いられて周波数等化が行われ、それぞれのストリームにおける遅延波に対応する周波数成分が除去される。すなわち、遅延波除去部903−1内の周波数等化部204によってストリーム1の周波数等化が行われ、遅延波除去部903−2内の周波数等化部204によってストリーム2の周波数等化が行われる。このとき、遅延波除去部903−1、903−2の各周波数等化部204による周波数等化は、送信装置におけるすべてのストリームが混在した信号に対して行われる。ただし、周波数等化に用いられる回線推定値が各ストリームに固有のものであるため、周波数等化対象外のストリームにおける符号間干渉は除去されない。
このようにして周波数等化が行われた信号は、長IFFT部205によって再び時間領域の信号(ストリーム信号)へ戻され、遅延波除去後のストリーム信号から、GI・R除去部210によってガードインターバルおよびランピング区間が除去され、各ストリームにおける情報シンボルが1シンボルずつFFT部211へ出力される。各ストリームの情報シンボルは、それぞれ対応するFFT部211によって高速フーリエ変換され、サブキャリアごとのデータがそれぞれ対応する合成部904へ出力される。
そして、各合成部904によって、サブキャリアごとのデータが合成され、ストリームごとの合成データが比較選択部905へ出力され、ストリームごとの合成データの受信品質が比較される。この比較の結果はスイッチ907へ通知されるとともに、受信品質が最高のストリームの合成データがデータ判定部212へ出力される。
比較の結果がスイッチ907へ通知されると、各スイッチ907は、レプリカ生成部906と受信品質が最高のストリーム以外のストリームに対応するレプリカ減算部908とを接続するように切り替わる。すなわち、例えばストリーム2の合成データの受信品質が最高である場合は、各スイッチ907は、図17に示すように、レプリカ生成部906とストリーム1に対応する遅延波除去部903−1内のレプリカ減算部908とを接続する。
一方、受信品質が最高のストリームの合成データがデータ判定部212へ出力されると、合成データに対するデータ判定が行われ、得られた情報データがP/S変換部213およびレプリカ生成部906へ出力される。そして、レプリカ生成部906によって、情報データにストリームの回線推定値が乗算されて、受信品質が最高のストリームの情報シンボルのレプリカが生成される。生成されたレプリカは、上述のように切り替えられたスイッチ907を経由して、受信品質が最高のストリーム以外のストリームに対応するレプリカ減算部908へ出力される。つまり、例えばストリーム2の合成データの受信品質が最高である場合は、ストリーム2の情報シンボルのレプリカがストリーム1に対応する遅延波除去部903−1内のレプリカ減算部908へ出力される。
レプリカ減算部908には、パイロットレプリカ減算後の信号が記憶されているため、レプリカ生成部906からレプリカが出力されたレプリカ減算部908は、記憶された信号からさらにレプリカを減算する。すなわち、レプリカ減算部908は、対応外のストリームにおける情報シンボルのレプリカを減算し、対応するストリームにおける情報シンボルを分離することになる。つまり、上述の例では、遅延波除去部903−1内のレプリカ
減算部908がストリーム2の情報シンボルのレプリカを減算して、ストリーム1の情報シンボルを分離することになる。そして、レプリカ減算部908へ出力されるレプリカは、受信品質が最高のストリームにおける情報シンボルのレプリカであるため、情報シンボルの分離は精度良く行われる。
そして、レプリカ減算部908によってパイロットレプリカおよびレプリカが減算された信号は、再び周波数等化部204によって周波数等化される。このとき、周波数等化部204による周波数等化は、送信装置におけるストリームのうち受信品質が最高のストリームが分離・除去された信号に対して行われることになる。
以降、送信装置におけるストリームがすべて分離されるまで上記の処理を繰り返すことにより、送信装置における複数のストリームが混在した信号に対して周波数等化を行う場合にも、精度良くストリームの分離を行って遅延波成分を除去することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、MIMO通信を行う際に、送信装置は、最大遅延時間に応じたストリームごとのパイロットシンボルの配置を決定して、各パイロットシンボルのみにガードインターバルを挿入して送信し、受信装置は、受信品質が最高のストリームの情報シンボルのレプリカを順次生成して、受信信号からのレプリカの減算と周波数等化を繰り返す。このため、MIMO通信において、互いに直交する位置に各ストリームのパイロットシンボルを配置して受信装置における回線推定および周波数等化の精度を向上することができるとともに、精度良くストリームの分離を行うことができる。
なお、上記各実施の形態においては、OFDM方式およびSC方式の場合について説明したが、本発明はCDM(Code Division Multiplexing:符号分割多重)方式の無線通信に適用することもできる。
本発明の第1の態様に係る送信装置は、情報データから複数の情報シンボルを生成する第1生成手段と、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成する第2生成手段と、前記パイロットシンボルの直前のみにガードインターバルを付加する付加手段と、ガードインターバルが付加されたパイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信する送信手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロットシンボルのみにガードインターバルが付加され、情報シンボルにはガードインターバルが付加されないフレーム構成の信号が送信されるため、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。また、受信側において、パイロットシンボルを用いた回線推定および周波数等化を行うことができ、ガードインターバルが無くても遅延波を除去することが可能となり、符号間干渉を抑制することができる。
本発明の第2の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記第1生成手段は、情報データをS/P変換するS/P変換部と、S/P変換されて得られたパラレルデータを周波数が異なる複数のサブキャリアに割り当てて時間領域の情報シンボルへ変換する変換部と、を有する構成を採る。
この構成によれば、情報データをS/P変換し、複数のサブキャリアに割り当てて時間領域の情報シンボルへ変換するため、情報データがOFDM変調され、OFDM方式においても、情報シンボル間にガードインターバルを挿入せず、伝送効率を向上することができる。
本発明の第3の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記第1生成手段は
、情報シンボル間に振幅が漸次増減するランピング区間を挿入する構成を採る。
この構成によれば、情報シンボル間に振幅が漸次増減するランピング区間を挿入するため、連続する情報シンボル間の波形が不連続になることを抑制することができる。
本発明の第4の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記付加手段は、通信相手局において周波数等化に伴う直交変換が行われる場合に、前記パイロットシンボルの直後から次フレームのパイロットシンボルの直前までの長さが、前記直交変換におけるサンプル数にして2のべき乗または2のべき乗の整数倍となる長さのガードインターバルを前記次フレームのパイロットシンボルの直前に付加する構成を採る。
この構成によれば、連続する2フレームのパイロットシンボル間の長さが、通信相手局による直交変換のサンプル数にして2のべき乗または2のべき乗の整数倍となるため、通信相手局において周波数等化を効率良く行うことができる。
本発明の第5の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記付加手段は、通信相手局において周波数等化に伴う直交変換が行われる場合に、前記パイロットシンボルの先頭から次フレームのパイロットシンボルの直前までの長さが、前記直交変換におけるサンプル数にして1つの情報シンボルのサンプル数の整数倍となる長さのガードインターバルを前記次フレームのパイロットシンボルの直前に付加する構成を採る。
この構成によれば、連続する2フレームのパイロットシンボル間の長さが、通信相手局による直交変換のサンプル数にして1つの情報シンボルのサンプル数の整数倍となるため、通信相手局における情報シンボル区間に対する高速フーリエ変換を1シンボルに対する通常の高速フーリエ変換用回路を複数組み合わせる(または繰り返し使用する)ことで容易に実現できるため、通信相手局の回路規模の低減を図ることができる。
本発明の第6の態様に係る送信装置は、上記第1の態様において、複数の送信アンテナと、各送信アンテナに対応するパイロットシンボルの配置が互いに直交するパイロットシンボルの配置パターンを決定する決定手段と、をさらに有し、前記送信手段は、決定された配置パターンに従って、ガードインターバルが付加されたパイロットシンボルが配置され、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが配置されたストリームを前記複数の送信アンテナからそれぞれ送信する構成を採る。
この構成によれば、複数の送信アンテナに対応するパイロットシンボルの配置が互いに直交する配置パターンのストリームをそれぞれの送信アンテナから送信するため、パイロットシンボルにおけるストリーム間干渉を防止し、受信側における回線推定の精度を向上することができる。
本発明の第7の態様に係る送信装置は、上記第6の態様において、前記決定手段は、いずれか1つの送信アンテナに対応するパイロットシンボルが配置される時間には、他の送信アンテナに対応するパイロットシンボルおよび情報シンボルが配置されない配置パターンを決定する構成を採る。
この構成によれば、1つの送信アンテナからパイロットシンボルが送信される時間には、他の送信アンテナから何も送信されないため、確実にパイロットシンボルにおけるストリーム間干渉を防止することができる。
本発明の第8の態様に係る送信装置は、上記第6の態様において、前記決定手段は、最大遅延時間が前記ガードインターバル長以下である場合は、すべての送信アンテナに対応
するパイロットシンボルを1シンボルずつ連続して配置し、配置されたパイロットシンボル群に続けて前記複数の情報シンボルを配置する配置パターンを決定する構成を採る。
この構成によれば、最大遅延時間がガードインターバル長以下である場合は、すべてのパイロットシンボルを1シンボルずつ連続して配置し、その後に情報シンボルを配置するため、各送信アンテナからパイロットシンボルが送信される間隔を最短にすることができ、フェージング変動が大きい場合でも受信側において正確な回線推定を行うことができる。
本発明の第9の態様に係る送信装置は、上記第6の態様において、前記決定手段は、最大遅延時間が前記ガードインターバル長を超える場合は、前記複数の情報シンボル以前かつ直近のパイロットシンボルの直前に、同一の送信アンテナに対応するパイロットシンボルまたは非送信時間を配置する配置パターンを決定する構成を採る。
この構成によれば、最大遅延時間がガードインターバル長を超える場合は、情報シンボル以前かつ直近のパイロットシンボルの直前に、同一の送信アンテナに対応するパイロットシンボルまたは非送信時間を配置するため、パイロットシンボルのシンボル長または非送信時間だけ実質的なガードインターバル長が長くなり、受信側においてパイロットシンボルにおける符号間干渉を除去することができる。
本発明の第10の態様に係る受信装置は、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからなるパイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて、前記パイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を算出する算出手段と、算出された回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロットシンボルを用いて回線推定を行い、情報シンボル区間に対する回線推定値を求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができる。また、送信側において、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明の第11の態様に係る受信装置は、上記第10の態様において、前記算出手段は、前記パイロット区間を用いて回線推定を行う推定手段と、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求める補間手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、回線推定値を補間により求めるため、容易な処理でパイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を得ることができる。
本発明の第12の態様に係る受信装置は、上記第10の態様において、前記除去手段は、受信信号から前記情報シンボル区間を取得する取得部と、前記情報シンボル区間に対する直交変換を行って周波数領域の信号へ変換する直交変換部と、前記算出手段によって求められた回線推定値を用いて前記周波数領域の信号から遅延波に対応する周波数成分を除去する周波数等化部と、遅延波に対応する周波数成分が除去された信号に対する直交逆変換を行って時間領域の信号へ変換する直交逆変換部と、を有する構成を採る。
この構成によれば、情報シンボル区間を周波数領域の信号へ変換し、周波数等化を行った後に時間領域の信号へ戻すため、補間により求められた情報シンボル区間の回線推定値を用いて効率的に遅延波を除去することができる。
本発明の第13の態様に係る受信装置は、既知のパイロットデータからなるパイロットシンボルを含む信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて最大遅延時間以上の範囲の遅延プロファイルを作成する作成手段と、作成された遅延プロファイルに振幅が0の区間を付加して拡張する拡張手段と、拡張後の遅延プロファイルに対する直交変換を行って周波数領域における回線推定値へ変換する変換手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロット区間から作成された最大遅延時間以上の範囲の遅延プロファイルを拡張し、回線推定値へ変換するため、実際の回線状態に近い回線推定値を周波数軸上で密に算出することができ、結果として、例えば回線推定値を用いた周波数等化などの精度を向上することができる。
本発明の第14の態様に係る受信装置は、上記第13の態様において、前記作成手段は、前記パイロット区間を用いて回線推定を行う回線推定部と、前記回線推定の結果に対する直交逆変換を行って遅延プロファイルへ変換する直交逆変換部と、を有する構成を採る。
この構成によれば、パイロット区間を用いた回線推定結果を直交逆変換して遅延プロファイルへ変換するため、少ない処理量で効率的に遅延プロファイルを作成することができる。
本発明の第15の態様に係る受信装置は、上記第13の態様において、前記作成手段は、前記パイロット区間と前記パイロットデータとの時間波形の相関を取ることにより遅延プロファイルを作成する構成を採る。
この構成によれば、パイロット区間における時間波形の相関により遅延プロファイルを作成するため、既知のパイロットデータの自己相関が低い場合は、遅延プロファイルの精度が高くなる。
本発明の第16の態様に係る受信装置は、上記第13の態様において、前記作成手段は、前記パイロットデータを遅延させて係数を乗じることにより前記パイロット区間のレプリカを生成するフィルタと、生成されたレプリカと実際のパイロット区間との差分を算出する比較部と、算出された差分を小さくするように前記フィルタの係数を修正する係数修正部と、を有し、前記フィルタは、前記差分が最小となった場合に、前記係数を遅延プロファイルとして出力する構成を採る。
この構成によれば、パイロット区間のレプリカの精度が最高となった時のFIRの係数を遅延プロファイルとするため、例えば他の方法で求めた回線推定値に基づいてFIRの係数の初期値を設定することにより、さらに正確な遅延プロファイルを短時間で生成することができる。
本発明の第17の態様に係る受信装置は、複数の受信アンテナを備えMIMO通信を行う受信装置であって、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからなるパイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが配置されたストリームが複数混在する信号を複数の受信アンテナから受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するストリームごとのパイロット区間を用いて、前記パイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を前記ストリームと前記受信アンテナの組み合わせごとに算出する算出手段と、算出された回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応するストリームごとの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、未復調のストリームのうち受信品質が最高のストリームに対応する遅延波除去結果を用いて当該ストリームの情報シンボル
区間を復調し受信レプリカを生成する生成手段と、を有し、前記除去手段は、生成された受信レプリカを受信信号から減算して前記受信品質が最高のストリーム以外のストリームの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する構成を採る。
この構成によれば、回線推定値を用いてストリームごとの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去し、受信品質が最高のストリームに対応する遅延波除去結果を用いてこのストリームの情報シンボルの受信レプリカを生成し、受信信号から受信レプリカを減算して再度情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する。このため、受信品質が良好なストリームから順次遅延波除去が行われ、精度良くストリームの分離を行って遅延波成分を除去することができる。
本発明の第18の態様に係る無線通信システムは、送信装置および受信装置を有する無線通信システムであって、前記送信装置は、情報データから複数の情報シンボルを生成する第1生成手段と、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成する第2生成手段と、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信する送信手段と、を有し、前記受信装置は、前記フレーム構成の信号を受信する受信手段と、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて回線推定を行う推定手段と、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求める補間手段と、求められた回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する除去手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、送信装置は、パイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信し、受信装置は、パイロットシンボルに挟まれる情報シンボル区間に対する回線推定値を補間により求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができるとともに、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明の第19の態様に係る無線通信方法は、送信装置および受信装置を有する無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記送信装置が、情報データから複数の情報シンボルを生成するステップと、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからパイロットシンボルを生成するステップと、前記パイロットシンボルの後に前記複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信するステップと、を有し、前記受信装置が、前記フレーム構成の信号を受信するステップと、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて回線推定を行うステップと、前記回線推定の結果を周波数軸上で補間して回線推定値を求めるステップと、求められた回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応する情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、送信装置は、パイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが続くフレーム構成の信号を送信し、受信装置は、パイロットシンボルに挟まれる情報シンボル区間に対する回線推定値を補間により求めて遅延波除去するため、ガードインターバルが無くても符号間干渉を抑制することができるとともに、ガードインターバルを付加する必要がなく、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができる。
本発明の第20の態様に係る無線通信方法は、既知のパイロットデータからなるパイロットシンボルを含む信号を受信するステップと、前記パイロットシンボルに対応するパイロット区間を用いて最大遅延時間以上の範囲の遅延プロファイルを作成するステップと、作成された遅延プロファイルに振幅が0の区間を付加して拡張するステップと、拡張後の
遅延プロファイルに対する直交変換を行って周波数領域における回線推定値へ変換するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、パイロット区間から作成された最大遅延時間以上の範囲の遅延プロファイルを拡張し、回線推定値へ変換するため、実際の回線状態に近い回線推定値を周波数軸上で密に算出することができ、結果として、例えば回線推定値を用いた周波数等化などの精度を向上することができる。
本発明の第21の態様に係る無線通信方法は、既知かつ不変なパターンのパイロットデータからなるパイロットシンボルの後に複数の情報シンボルが配置されたストリームが複数混在する信号を複数の受信アンテナから受信するステップと、前記パイロットシンボルに対応するストリームごとのパイロット区間を用いて、前記パイロット区間以上の時間長に対応する周波数ごとの回線推定値を前記ストリームと前記受信アンテナの組み合わせごとに算出するステップと、算出された回線推定値を用いて前記複数の情報シンボルに対応するストリームごとの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去するステップと、未復調のストリームのうち受信品質が最高のストリームに対応する遅延波除去結果を用いて当該ストリームの情報シンボル区間を復調し受信レプリカを生成するステップと、生成された受信レプリカを受信信号から減算して前記受信品質が最高のストリーム以外のストリームの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、回線推定値を用いてストリームごとの情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去し、受信品質が最高のストリームに対応する遅延波除去結果を用いてこのストリームの情報シンボルの受信レプリカを生成し、受信信号から受信レプリカを減算して再度情報シンボル区間に含まれる遅延波を除去する。このため、受信品質が良好なストリームから順次遅延波除去が行われ、精度良くストリームの分離を行って遅延波成分を除去することができる。
本明細書は、2005年1月20日出願の特願2005−013162、2005年2月25日出願の特願2005−051204、および2005年3月15日出願の特願2005−073366に基づく。これらの内容はすべてここに含めておく。
本発明の送信装置、受信装置、および無線通信方法は、符号間干渉を抑制しつつ、信号に占める冗長成分の割合をより低減し、伝送効率を向上することができ、例えばマルチパス環境において用いられる送信装置、受信装置、および無線通信方法として有用である。
ガードインターバルが挿入された信号の一例を示す図
本発明の実施の形態1に係る送信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態1に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態1に係る送信信号の構成例を示す図
実施の形態1に係る長FFT対象区間の一例を示す図
実施の形態1に係る長FFT対象区間の他の一例を示す図
信号の冗長成分の比較結果を示す図
本発明の実施の形態2に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態2に係る送信信号の構成例を示す図
実施の形態2に係る長FFT対象区間の一例を示す図
実際の回線状態と回線推定値との一例を示す図
実際の回線状態と回線推定値との他の一例を示す図
本発明の実施の形態3に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態3に係る一処理を説明する図
実施の形態3に係る他の一処理を説明する図
実施の形態3に係る回線推定値算出結果の一例を示す図
本発明の実施の形態4に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
本発明の実施の形態5に係る遅延プロファイル作成部の内部構成を示すブロック図
実施の形態5に係るFIRの内部構成を示す図
本発明の実施の形態6に係る送信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態6に係る受信装置の要部構成を示すブロック図
実施の形態6に係る遅延波除去部の内部構成を示すブロック図
実施の形態6に係る配置パターンの一例を示す図
実施の形態6に係る配置パターンの他の一例を示す図
実施の形態6に係る配置パターンのさらに他の一例を示す図