JPWO2006062086A1 - 加熱装置 - Google Patents

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Abstract

目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保する加熱装置。この加熱装置では、発熱ローラ210の発熱層212の材料の固有抵抗がρ(μΩcm)である場合、発熱層212の平均厚みを5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下とし、厚み誤差を1.2ρ(μm)以下とする。例えば、固有抵抗が1.7(μΩcm)の銅で発熱層212を形成する場合には、発熱層212の平均厚みを8〜25(μm)、厚み誤差を2(μm)以下とする。これにより、昇温時間が短くかつ温度の均一性が良好な発熱ローラ210を得られるようになる。

Description

本発明は、電磁誘導加熱方式(IH;induction heating)により加熱される発熱体を用いて被加熱体を加熱する加熱装置に関し、特に電子写真方式あるいは静電記録方式の複写機、ファクシミリおよびプリンタ等の画像形成装置における定着装置の加熱手段として用いて有用な加熱装置に関する。
電磁誘導加熱方式の加熱装置は、一般に、調理テーブルや電気釜などの加熱手段として知られているが、近年、複写機、ファクシミリ、およびプリンタなどの画像形成装置における定着装置の加熱手段として採用することが盛んに検討されている。
電磁誘導加熱方式の加熱手段を用いた定着装置では、磁束発生手段が発生する磁束を発熱体の発熱層に透過させ、この磁束の透過により生じた渦電流によって発熱層を発熱させる。そして、この発熱層の発熱により加熱された発熱体の熱でコピー用紙またはOHPシートなどの記録紙上に形成された未定着画像を直接もしくは間接的に加熱定着している。
具体的には、例えば定着ローラまたは定着ベルトなどからなる発熱体に導電体からなる発熱層を形成する。また、記録紙の通紙経路を挟んで発熱体と加圧ローラとを圧接させて配置し記録紙を挟持して搬送するニップを形成する。さらに、強磁性体からなるコアに励磁コイルを巻回して磁束発生手段を構成し励磁コイルを発熱体の発熱層に対向するように配置する。そして、励磁コイルに所定の周波数の交流電流を印加し、励磁コイルの周囲に磁束を発生させて磁界を形成し、この磁界の作用で生じた渦電流により発熱体の発熱層を発熱させる。この状態で、発熱体と加圧ローラとのニップに記録紙を送り込み、発熱層の発熱により加熱された発熱体の熱と加圧ローラの圧力とにより記録紙上の未定着画像を定着する。
このような電磁誘導加熱方式の加熱手段を用いた定着装置は、ハロゲンランプを熱源とする熱ローラ方式の定着装置と比較して発熱効率が高く所定の定着温度に発熱するまでの立ち上がり時間を速くすることができるという利点を有している。
ところで、電磁誘導加熱方式の加熱装置においては、上述のように励磁コイルに交流電流を流すと磁界が発生し、磁束が発熱層を貫く。これにより、発熱層には電磁誘導により過電流Iが生じ、発熱層の抵抗Rに比例した熱RIが発生する。
従って、この種の加熱装置では、発熱体に励磁コイルを対向させたときの励磁コイルの抵抗値Rが大きくなるほど発熱層の発熱効率が高くなる。
この励磁コイルの抵抗値Rは、一般的に、発熱層としての銅の厚みが5(μm)のとき最も高くなることが知られている。従って、このような電磁誘導加熱方式の加熱装置では、発熱層としての銅の厚みが5(μm)の発熱体を使用した場合に発熱層の発熱効率が最も良くなる。
従来、このような発熱層の厚みと発熱効率との関係に着目して構成した定着装置として、発熱体(加熱ベルト)の発熱層(銅)に厚みが約5(μm)の導電層を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ちなみに、特許文献1記載の定着装置では、ポリイミドからなる基材上に導電率の高い銅を5(μm)程度のごく薄い厚さに蒸着して導電層を形成した加熱ベルトを発熱体として用いている。
特開2004−145368号公報
ところで、前記従来の電磁誘導加熱方式の加熱装置においては、発熱体の発熱層(銅)の厚みの最適化に関して、発熱層の抵抗値(発熱効率)のみに着目していた。
しかしながら、電磁誘導加熱方式の加熱装置は、発熱層(銅)の厚みが薄くなるに従って、励磁コイルのインダクタンスが増大し、発熱層に電流が流れにくくなって磁気的な結合が低下してしまうという性質を有している。
そこで、本発明者らは、励磁コイルのインダクタンス(磁気的な結合)にも着目して、種々の実験を試みた。この結果、この種の電磁誘導加熱方式の加熱装置においては、発熱体の発熱層の抵抗値(発熱効率)と励磁コイルのインダクタンス(磁気的な結合)との両方を考慮すると、発熱層の厚みを5(μm)とすることが必ずしも最適ではないことを突き止めた(詳しくは、後述する)。
例えば、発熱層(導電層)の厚みがごく薄い加熱ベルト(発熱体)を用いた従来の定着装置では、発熱層の厚みのバラツキにより加熱ベルトに発熱ムラが発生しやすく、加熱ベルトの温度が不均一になってしまうことが明らかとなった。また、従来の発熱層よりも厚みが大きな発熱層を形成した発熱体の方が、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間を短くすることができることも明らかとなった。
本発明は、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができる加熱装置を提供することである。
本発明の加熱装置は、磁束を発生する磁束発生手段と、前記磁束発生手段の発生する磁束により誘導加熱される導電性の発熱層を有する発熱体と、を備え、前記発熱層の材料の固有抵抗をρ(μΩcm)とした場合、前記発熱層は、平均厚みが5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下、厚み誤差が1.2ρ(μm)以下の領域を有する構成を採る。
本発明によれば、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができる。
本発明の実施の形態1に係る定着装置を搭載するのに適した画像形成装置の全体構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態1に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 励磁コイルに30(kHz)の周波数の交流電流を印加したときの励磁コイルの抵抗値を、発熱ローラの発熱層(銅)の厚みに対してプロットしたグラフ 励磁コイルを発熱体に対向させたときの励磁コイルのインダクタンスを発熱層(銅)の厚みに対してプロットしたグラフ 発熱ローラの発熱層(銅)が目標とする温度に加熱されるまでの昇温時間と発熱層の厚みとの関係を示すグラフ 本発明の実施の形態1に係る定着装置における発熱ローラの構造を示す部分拡大断面図 本発明の実施の形態2に係る定着装置における発熱ローラの構造を示す部分拡大断面図 本発明の実施の形態3に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態4に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態5に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態6に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態7に係る定着装置の要部の構成を示す概略平面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、ここでは、本発明の実施の形態として画像形成装置における定着装置について説明するが、本発明の加熱装置は、調理テーブルや電気釜などの加熱手段としても有用であることはいうまでもない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る定着装置を搭載するのに適した画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、電子写真感光体(以下、「感光ドラム」と称する)101、帯電器102、レーザビームスキャナ103、現像器105、給紙装置107、クリーニング装置113、定着装置200などを具備している。
図1において、感光ドラム101は、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動されながら、その表面が帯電器102によってマイナスの所定の暗電位に一様に帯電される。
レーザビームスキャナ103は、図示しない画像読取装置やコンピュータ等のホスト装置から入力される画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビーム104を出力し、一様に帯電された感光ドラム101の表面をレーザビーム104によって走査露光する。これにより、感光ドラム101の露光部分の電位絶対値が低下して明電位となり、感光ドラム101の表面に静電潜像が形成される。
現像器105は、回転駆動される現像ローラ106を備えている。現像ローラ106は、感光ドラム101と対向して配置されており、その外周面にはトナーの薄層が形成される。また、現像ローラ106には、その絶対値が感光ドラム101の前記暗電位よりも小さく、前記明電位よりも大きい現像バイアス電圧が印加されている。
これにより、現像ローラ106上のマイナスに帯電したトナーが、感光ドラム101の表面の前記明電位の部分にのみ付着し、感光ドラム101の表面に形成された静電潜像が反転現像されて顕像化され、感光ドラム101上に未定着トナー像111が形成される。
一方、給紙装置107は、給紙ローラ108により所定のタイミングで記録媒体としての記録紙109を一枚ずつ給送する。給紙装置107から給送された記録紙109は、一対のレジストローラ110を経て、感光ドラム101と転写ローラ112とのニップ部に、感光ドラム101の回転と同期した適切なタイミングで送られる。これにより、感光ドラム101上の未定着トナー像111が、転写バイアスが印加された転写ローラ112により記録紙109に転写される。
このようにして未定着トナー像111が転写された記録紙109は、記録紙ガイド114により案内されて感光ドラム101から分離された後、定着装置200に向けて搬送され、未定着トナー像111が加熱定着される。
未定着トナー像111が加熱定着された記録紙109は、定着装置200を通過した後、画像形成装置100の外部に配設された排紙トレイ115上に排出される。
一方、記録紙109が分離された後の感光ドラム101は、その表面の転写残トナー等の残留物がクリーニング装置113によって除去され、繰り返し次の画像形成に供される。
図2は、本発明の実施の形態1に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、本実施の形態1に係る定着装置200は、発熱体としての発熱ローラ210、加圧ローラ220、磁束発生手段としての励磁コイルユニット230、温度センサ240などを有している。
図2において、発熱ローラ210は、例えば直径が34(mm)の円筒形状のローラ部材211の外周面に導電層からなる発熱層212を形成して構成されており、定着装置200の本体側板(不図示)に回転自在に軸支されている。
加圧ローラ220は、記録紙109の通紙経路を挟んで発熱ローラ210に圧接して記録紙109が通過するニップを形成するように定着装置200の本体側板に回転自在に軸支されている。そして、加圧ローラ220は、未定着トナー像111が形成担持された記録紙109を矢印方向へ搬送するように回転(図では時計回り)して、発熱ローラ210を従動回転する。なお、ここでは、発熱ローラ210が加圧ローラ220に従動回転するものとしたが、加圧ローラ220が発熱ローラ210に従動回転するようにしてもよい。
また、加圧ローラ220は、例えば硬度JISA30度のシリコンゴムなどの熱伝導性が小さい材料によって成形されている。加圧ローラ220の材料としては、例えばフッ素ゴムおよびフッ素樹脂などの耐熱性樹脂や他のゴムを用いてもよい。また、加圧ローラ220は、耐摩耗性や離型性を高めるために、PTFE、PFA、またはFEPなどの樹脂やゴムを単独もしくは混合した被覆材で外周面を被覆することが望ましい。
励磁コイルユニット230は、励磁コイル231とコア部材232とを有している。励磁コイル231は、発熱ローラ210の上半分の外周面に対向するように、例えば細い銅線を束ねたリッツ線を半円筒形状に周回させて形成されており、図示しない電源から電圧が印加されて交流電流が流れることにより、周囲に磁束を発生させて磁界を形成する。
コア部材232は、例えばフェライトやパーマロイなどの透磁率および比抵抗が高い磁性材料によって形成されており、センタコア234と、一対のサイドコア235と、アーチコア236とで構成されている。
センタコア234は、アーチコア236の中央部に配設(または一体形成)されている。一対のサイドコア235は、アーチコア236の両端部にそれぞれ配設(または一体形成)されている。コア部材232は、励磁コイル231によって発生する磁束のうち、発熱ローラ210とは反対側に発生する磁束の経路(磁路)となる。
上述のように、本実施の形態1に係る定着装置200は、励磁コイルユニット230が発熱ローラ210の外部に配設されているので、消耗品である発熱ローラ210などの部品の交換やメンテナンスの作業を効率よく行うことができる。
温度センサ240は、発熱ローラ210の外周面の励磁コイルユニット230よりも回転方向下流側に当接するように設けられて、発熱ローラ210の温度を検知する。温度センサ240によって発熱ローラ210の温度が未定着トナー像111の定着に適した温度になったことが検知されると、図示しない制御部によって給紙ローラ108の動作開始、つまり印字動作の開始が可能になる。
また、温度センサ240によって発熱ローラ210の温度が所定の閾値よりも高くなったことが検知されると、図示しない電源から励磁コイルユニット230への交流電流の供給が制御される。
次に、本実施の形態1に係る定着装置200の発熱ローラ210の構成について説明する。図3は、励磁コイルに30(kHz)の周波数の交流電流を印加したときの励磁コイルの抵抗値を、発熱ローラの発熱層(銅)の厚みに対してプロットしたグラフである。
図3に示すように、励磁コイル231の抵抗値は、発熱ローラ210の発熱層212の厚みが5(μm)のとき、約2.4(Ω)と最も高くなる。これは、発熱層212の厚みが5(μm)の発熱ローラ210を使用した場合に、発熱層212の発熱効率が最も良くなることを示している。このようなことから従来の電磁誘導加熱方式の定着装置では、発熱体の発熱層の厚みを約5(μm)としている。
しかしながら、励磁コイル231のインダクタンスは、前述したように、発熱層212の厚みが薄くなるに従って増大する。図4は、励磁コイルを発熱体に対向させたときの励磁コイルのインダクタンスを発熱層(銅)の厚みに対してプロットしたグラフである。
図4に示すように、発熱層212の厚みが5(μm)の場合には、励磁コイル231のインダクタンスが約35(μH)と大きな値になる。このように励磁コイル231のインダクタンスが大きな値になると、発熱層212に誘導電流が流れにくくなって、励磁コイルユニット230と発熱層212との磁気的な結合が低下する。
図5は、発熱ローラの発熱層(銅)が目標とする温度に加熱されるまでの昇温時間と発熱層の厚みとの関係を示すグラフである。
図5に示すように、発熱ローラ210の発熱層212が目標とする発熱温度(ここでは、最適な定着温度)に加熱されるまでの昇温時間は、発熱層212の厚みが、5(μm)よりも厚い方が短く(早く)なり、15(μm)以上になると、発熱層212の熱容量の増大により徐々に長く(遅く)なり始める。
図5から明らかなように、発熱ローラ210の発熱層212の厚みが薄い場合ほどグラフの傾きは急峻であるので、発熱層212の昇温時間は発熱層212の厚みの僅かな誤差によって大きくばらついてしまう。これは、発熱層212の厚みが薄い従来の定着装置では、発熱層212の僅かな厚み誤差によって、発熱層212に大きな発熱ムラが発生してしまうことを意味している。
本発明者らが行った実験によれば、以下の表1に示すように、銅材の発熱層212の厚み誤差が±2(μm)の場合において、発熱層212の平均厚みが5(μm)のときの発熱層212の発熱ムラは±8(℃)、発熱層212の平均厚みが10(μm)のときの発熱層212の発熱ムラは±4(℃)であった。
Figure 2006062086
このような画像形成装置100において良好な定着画像を得るには、一般に、定着装置200における発熱ローラ210の発熱層212の温度ムラは±5(℃)以内が好ましいとされている。このため、従来の定着装置のように発熱ローラ210の発熱層212の平均厚みを5(μm)とした場合には、発熱層212の厚み誤差を±1(μm)と厳しくする必要がある。
つまり、前述したように、発熱ローラ210の発熱層212には、電磁誘導により渦電流Iが生じ、発熱層212の抵抗Rに比例した熱RIが発生する。このように、発熱層212の発熱量は、発熱層212の抵抗Rに比例するので、発熱層212の平均厚みが薄いほど発熱層212の厚み誤差の割合は相対的に大きくなり、発熱ムラが発生しやすくなる。
このため、従来の定着装置のように発熱ローラ210の発熱層212の平均厚みを5(μm)とした場合には、発熱層212の発熱ムラが発生しやすく、また、多少の平均厚みの誤差でも発熱層212の昇温時間が大きく変化してしまう。
このように、発熱層212の抵抗値(発熱効率)と励磁コイル231のインダクタンス(磁気的な結合)との両方を考慮すると、発熱ローラ210の発熱層212の厚みは、必ずしも5(μm)が最適値とはいえない。
表1から、発熱層212の厚み誤差±2(μm)で発熱ムラ±5(℃)とするには平均厚みは8(μm)が必要となる。図5から、発熱層212の厚みが25(μm)を越えても、その熱容量の増大から昇温時間は短くならない。また、発熱層212をメッキ処理で形成した場合は、発熱層212の厚みが厚すぎると、メッキ表面の粗さが粗くなるため発熱ムラが起こりやすくなる。
上述のようなことから、本実施の形態1に係る定着装置200においては、固有抵抗が1.7(μΩcm)の銅で発熱層212を形成する場合には、発熱層212の平均厚みを8〜25(μm)、厚み誤差を2(μm)以下とする。これにより、昇温時間が短くかつ温度の均一性が良好な発熱ローラ210を得られるようになる。
ここで、発熱層212の材料の固有抵抗をρ、発熱層212の厚みをδとすれば、発熱層212の抵抗Rは、R=ρ/δと表せる。従って、発熱層212としては、銅に限らず、抵抗Rを等しくすれば他の材料を用いても同様な効果が得られる。
すなわち、発熱ローラ210の発熱層212としては、その材料の固有抵抗がρ(μΩcm)である場合、平均厚みを5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下とし、厚み誤差を1.2ρ(μm)以下とすればよい。
例えば、固有抵抗が2.6(μΩcm)のアルミニウムで発熱層212を形成する場合には、発熱層212の平均厚みを13〜40(μm)、発熱層212の厚み誤差を3(μm)以下とすればよい。
図6は、本発明の実施の形態1に係る定着装置における発熱ローラの構造を示す部分拡大断面図である。図6に示すように、本例の定着装置200における発熱ローラ210は、例えば、鉄またはステンレスなどからなるローラ部材211の外周面(励磁コイル231側)に、非磁性の導電層からなる発熱層212を形成して構成されている。
発熱層212は、例えば銅などの非磁性材料からなっており、ローラ部材211の外周面に、メッキ、メタライジング、またはクラッド材による加工が施されて形成されている。なお、本例の定着装置200のように、発熱体として管状の発熱ローラ210を用いれば、安価なメッキ処理によりローラ部材211の表面上に発熱層212を形成することができる。この発熱層212の材料としては、固有抵抗が10(μΩcm)以下のものが望ましく、銅の他にはアルミニウム、銀、および金などを用いてもよい。
また、発熱層212の表面には、保護層213が形成されている。さらに、保護層213の表面には、離型層214が形成されている。
保護層213は、例えば、メッキ、メタライジング、またはクラッド材により形成された、肉厚が例えば2〜5(μm)のニッケルからなる。保護層213は、発熱層212の表面を覆うことにより、発熱層212の酸化を防止して耐久性を向上させるとともに、離型層214の密着性を向上させて剥離を防止する。なお、保護層213としては、ニッケル層の代わりに、肉厚が2〜10(μm)のクロムや亜鉛などを用いてもよい。また、保護層213の肉厚は、2(μm)以下となると、保護層としての働きが不十分になる場合がある一方、10(μm)を超えると、保護層213の熱容量が大きくなりウォームアップに時間がかかってしまう。
離型層214は、例えば肉厚が20(μm)の、PTFE、PFA、またはFEPなどのフッ素樹脂層からなり、発熱ローラ210の外表面を覆うように形成されている。
なお、本例の定着装置200における発熱ローラ210は、保護層213と離型層214との間にシリコンゴム層を設けて、表面に弾力性を持たせた構成としてもよい。これらの層を合計した発熱ローラ210の厚さは、100〜1000(μm)程度が望ましい。また、発熱層212をメッキ処理する場合、メッキ前に下地処理としてローラ部材211にニッケルメッキを施してもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る定着装置について説明する。図7は、本発明の実施の形態2に係る定着装置における発熱ローラの構造を示す部分拡大断面図である。なお、本実施の形態2に係る定着装置は、発熱ローラ210の発熱層212の構成のみが実施の形態1に係る定着装置200の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図7に示すように、本例の定着装置における発熱ローラ210は、実施の形態1に係る定着装置200における発熱ローラ210の発熱層212を、分離層215により2つの層に分離した構成を有している。ここで、分離層215は、例えば、厚さが2〜5(μm)のニッケルで形成することが好ましい。
このような構成とすることにより、厚みが大きくかつ厚み誤差が小さい発熱層212を容易に形成することができるようになる。
すなわち、ローラ部材211の外周面に、例えば平均厚みが24(μm)のような厚みの大きな1層の発熱層212をメッキ処理で形成した場合には、発熱層212の厚みが厚すぎるため大きな厚み誤差が生じやすい。また、このようなメッキ処理で形成した厚手の発熱層212は、メッキ表面の粗さが粗くなるため発熱ムラが起こりやすい。
これに対し、本例の定着装置における発熱ローラ210は、上述したように、発熱層212が分離層215により平均厚みが12(μm)の2つの層に分離された構成となるので、発熱層212の1層当たりの厚みを薄くすることができ、メッキ処理によって生じる発熱層212の厚み誤差を小さくすることができる。
また、本例の定着装置における発熱ローラ210は、発熱層212の1層当たりの厚みが薄くなるので、メッキ表面の粗さも細かくなり、発熱ムラも起こりにくい。
さらに、本例の定着装置における発熱ローラ210は、発熱層212が分離層215により2つの層に分離された構成となるので、メッキ処理により発熱層212に発生するピンホールの位置が、発熱層212の各層で一致することが極めて少なくなり、このピンホールによる温度ムラの発生を軽減することができる。
なお、ここでは、図7に示すように、発熱ローラ210の発熱層212を2つの層に分離した構成としたが、この発熱層212は、3つ以上の多層に分離した構成であってもよい。
また、本例の定着装置における発熱ローラ210の分離層215の固有抵抗は、各発熱層212の固有抵抗よりも高いことが好ましい。これにより、例えば、分離層215を厚みが2〜5(μm)のニッケルで形成したとすると、分離層215の抵抗が各発熱層212の抵抗よりも高いので、誘導電流が発熱層212を流れるようになり、実施の形態1に係る定着装置200における発熱ローラ210の発熱層212と同様な効果が得られる。なお、分離層215の厚みを薄くすることによっても分離層215の抵抗を各発熱層212の抵抗よりも高くすることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る定着装置について説明する。図8は、本発明の実施の形態3に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態3に係る定着装置は、発熱ローラ210の発熱層212の熱を定着ベルトにより記録紙109に伝達する点のみが実施の形態1に係る定着装置200の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図8に示すように、本例の定着装置800は、発熱ローラ210の発熱層212の熱を定着ベルト250により記録紙109に伝達するように構成されている。
図8において、定着ベルト250は、加圧ローラ220に圧接して回転する定着ローラ260と発熱ローラ210とに掛け渡されており、加圧ローラ220の回転に従動して矢印方向(反時計方向)に回転する。
記録紙109は、定着ローラ260が定着ベルト250を介して加圧ローラ220に圧接することによって形成される加圧ローラ220と定着ベルト250とのニップにより矢印方向に搬送される。これにより、発熱ローラ210の発熱層212の熱が定着ベルト250を介して記録紙109に伝達され、記録紙109上に形成された未定着トナー像111が記録紙109に加熱定着される。
本実施の形態3に係る定着装置800は、図2に示した実施の形態1に係る定着装置200のように発熱ローラ210の発熱層212に対して加圧ローラ220の圧接による応力がかかることがないので、発熱ローラ210の発熱層212の破壊を防止することができる。また、発熱層212の寿命が延び、信頼性も高まる。
本例の定着装置800においては、発熱ローラ210のローラ部材211を、例えば鉄などの磁性材料で構成している。
このように、発熱ローラ210のローラ部材211を磁性材料で構成することにより、ローラ部材211が強磁性となるので、発熱ローラ210の発熱層212を貫く磁束が強まり、発熱層212が速く昇温されるようになる。
また、発熱ローラ210のローラ部材211を鉄で構成することにより、ローラ部材211の熱伝導率が高くなるので、発熱ローラ210の長手方向(回転軸方向)の熱移動により温度の均一化を図ることができるようになる。
さらに、発熱ローラ210のローラ部材211を鉄で構成することにより、ローラ部材211を簡素かつ安価に構成することができる。
なお、実施の形態1に係る定着装置200では、発熱ローラ210に離型層214を形成しているが、本例の定着装置800においては、定着ベルト250の表面に離型層214を設けている。これにより、発熱ローラ210は、その表面が保護層213により被覆された構成となる。従って、本例の定着装置800においては、発熱ローラ210の表面の保護層213が、定着ベルト250との接触による発熱層212の摩耗を防ぐ働きをするようになる。この保護層213の働きは、発熱層212が銅やアルミニウムなどの軟質な非磁性体で構成されており、その摩耗による厚みの変化が発熱に大きな影響を及ぼすため極めて重要となる。
また、本例の定着装置800は、発熱ローラ210で発生する熱を定着ベルト250に伝熱する構成であるので、定着ベルト250と発熱ローラ210の密着性が悪いと定着ベルト250に温度ムラが生じる。発熱層212の厚みが厚すぎるとメッキ表面の粗さが粗くなり、これによって定着ベルト250への伝熱にムラが生じるので、メッキ処理においては注意が必要である。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る定着装置について説明する。図9は、本発明の実施の形態4に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態4に係る定着装置は、発熱ローラ210の内部に強磁性材料からなるインナコアを配置した点のみが実施の形態3に係る定着装置800の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図9に示すように、本例の定着装置900は、内部に、フェライトまたはパーマロイなどの強磁性材料からなるインナコア270を配置した構成を有している。また、本例の定着装置900における発熱ローラ210のローラ部材211は、非磁性の低導電性材料で構成されている。
本例の定着装置900においては、強磁性材料からなるインナコア270を用いているので、発熱ローラ210の発熱層212を貫く磁束がさらに強まり、発熱層212が速く昇温されるようになる。
また、本例の定着装置900においては、発熱ローラ210のローラ部材211が、例えばステンレスのような磁束を透過する非磁性の低導電性材料で構成されているので、インナコア270により透過した磁束を強めることができる。
また、ローラ部材211は必要な機械的強度を確保できる程度に薄肉にすることができ、例えば厚みを0.04mm〜0.2mmとすると、ローラ部材211の熱容量は小さくなり、定着ベルト250の昇温時間が短縮される。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る定着装置について説明する。図10は、本発明の実施の形態5に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態5に係る定着装置は、インナコアの構成のみが実施の形態4に係る定着装置900の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図10に示すように、本例の定着装置1000は、発熱ローラ210の内部に、フェライトまたはパーマロイなどの強磁性材料からなるインナコア270が配置され、かつ発熱ローラ210の非通紙領域に対向するインナコア270の周面に厚みが1mm程度の銅やアルミ等の導電性の磁気遮蔽体280,290を設けた構成を有している。磁気遮蔽体280,290は、インナコア270を回転させることにより変位するようになっている。
本例の定着装置1000においては、磁気遮蔽体280,290は十分な表皮深さを有しているので、その内部に渦電流が生じて反発磁界が発生し、非通紙領域の温度上昇をより軽減することができる。すなわち、本例の定着装置1000は、図10に示すように、磁気遮蔽体280を励磁コイル231の巻き中心(センタコア234)に対向させることで、非通紙領域の磁束が弱まり、発熱ローラ210の非通紙領域の過昇温を抑制することができる。磁気遮蔽体280,290は、異なる幅を有しており、定着装置1000に通紙される記録紙109の幅に応じて各々が選択される。
このように、本例の定着装置1000においては、発熱層212は磁束が透過するので、インナコア270や磁気遮蔽体280,290により、非通紙領域の磁束の操作が可能となる。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6に係る定着装置について説明する。図11は、本発明の実施の形態6に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態6に係る定着装置は、発熱ローラ210のローラ部材211の構成が実施の形態4に係る定着装置800の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図11に示すように、本例の定着装置1100は、発熱ローラ210のローラ部材211が、常温で磁性を有し、所定の温度以上で磁性を失う整磁合金で構成されている。なお、図11に示す定着装置1100は、円筒の磁気遮蔽体280を配置した構成を有しているが、磁気遮蔽体280を配置しない構成であってもよい。
図11において、小サイズの記録紙109を連続的に通紙すると、発熱ローラ210の非通紙領域の熱が記録紙109により奪われないため、非通紙領域の温度が上昇する。これにより、発熱ローラ210の非通紙領域の温度がキュリー温度より高くなると、整磁合金からなる発熱ローラ210のローラ部材211が磁性を失い、非通紙領域の磁束が弱まる。磁気遮蔽体280が配置される場合は、磁気遮蔽体280による反発磁界が発生し、非通紙領域の磁束がさらに弱まる。これにより、非通紙領域の温度上昇が軽減される。
このように、キュリー温度が所定の温度となるように設定された整磁合金でローラ部材211を構成した場合には、ローラ部材211の肉厚を100〜1000(μm)にすることが好ましい。
ローラ部材211を形成する整磁合金としては、例えば鉄とニッケルの合金または鉄とニッケルとクロムの合金などが用いられる。そして、これらの各金属の配合を調整することにより、整磁合金のキュリー温度を所定の温度に設定することができる。本例では、ローラ部材211を形成する整磁合金のキュリー温度を、トナーの定着温度に近い220度に設定してある。これにより、ローラ部材211は、温度が220度以下では強磁性体としての特性を示すが、温度が220度を超えると非磁性体としての特性を示す。なお、キュリー温度は220度に限らず、より低い温度に設定してもよい。
一般に、整磁合金はインダクタンスが高いため、汎用の励磁回路では1000W以上の高い電力の入力が困難である。本例の定着装置1100においては、整磁合金に発熱層212を形成することによりインダクタンスが小さくなるので、汎用の励磁回路においても高い電力の入力が可能となる。
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7に係る定着装置について説明する。図12は、本発明の実施の形態7に係る定着装置の要部の構成を示す概略平面図である。なお、本実施の形態7に係る定着装置は、発熱ローラ210の発熱層212の構成のみが前述した各定着装置の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
この種の定着装置においては、発熱ローラ210の両端部位の温度が、外部への放熱により低下しやすい。
そこで、本例の定着装置における発熱ローラ210においては、発熱層212は、平均厚みが5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下、厚み誤差が1.2ρ(μm)以下の領域を有し、放熱により温度が低下する部位の厚みが、前記領域の厚みよりも薄く形成されている。具体的には、図12に示すように、発熱層212の両端部位Aの厚みを中央部位Bの厚みよりも薄く形成した構成とする。
例えば、発熱ローラ210の発熱層212の中央部位Bを厚さ10(μm)の銅メッキで形成した場合、発熱層212の両端部位Aの厚みを中央部位Bの厚みよりも2(μm)だけ薄い8(μm)に形成している。
このように、発熱ローラ210の発熱層212の両端部位Aの厚みを中央部位Bの厚みよりも薄く形成することにより、発熱層212の両端部位Aの抵抗値が高くなり、両端部位Aの発熱量が増す。表1から、両端部位Aの発熱量は中央部位Bより4℃分増すことになる。つまり、外部への放熱を発熱の増加で相殺することで、発熱ローラ210の通紙領域全体の温度の均一化が可能となる。
発熱層212を形成する電気メッキにおいては、メッキ厚みを薄くする領域に対応するローラ部材211に電極を配置することで、メッキ厚みを変化させることが可能である。
なお、定着装置1000の磁気遮蔽体280、または磁気遮蔽体290が励磁コイル231の巻き中心に対向していない状態において、磁気遮蔽体280,290の吸熱による温度低下を補うために、磁気遮蔽体280,290に対応する発熱層212の厚みを薄く形成して、温度の均一化を行っても良い。
ところで、発熱ローラ210の発熱層212は、上述したように、発熱ローラ210のローラ部材211の外周面、つまり励磁コイル231と対向する側に形成されることが好ましい。このように、発熱層212を励磁コイル231と対向する側に形成することにより、磁束を有効に利用できるので、発熱層212の昇温が速くなる。これとは逆に、発熱ローラ210のローラ部材211の内周面側に発熱層212を形成した場合には、発熱層212は有効に発熱しなくなる。例えば、定着装置800の場合は、鉄のローラ部材211の磁性により発熱層212まで達する磁束は激減するので発熱量は減少する。また、定着装置900の場合は、ステンレスのローラ部材211の若干の導電性より磁束が弱められるので、発熱層212を貫通する磁束は低下し、発熱量は減少する。
また、励磁コイル231は、発熱ローラ210の外部に配置されていることが好ましい。このように、励磁コイル231を発熱ローラ210の外部に配置することにより、発熱層212を発熱ローラ210の外側の表面に構成することができ、発熱層212を安価なメッキ処理で形成することが可能となる。
また、励磁コイル231を発熱ローラ210に対向させた状態で、周波数30(kHz)における励磁コイル231のインダクタンスが10(μH)以上、50(μH)以下、電気抵抗が0.5(Ω)以上、5(Ω)以下であることが好ましい。これにより、汎用性のある安価な励磁回路を用いることができる。
また、励磁コイル231には、周波数20〜100(kHz)の電流が印加されることが好ましい。これにより、励磁回路の電源のロスを小さく抑え、発熱層212の昇温を速くすることができる。
本発明の第1の態様に係る加熱装置は、磁束を発生する磁束発生手段と、前記磁束発生手段の発生する磁束により誘導加熱される導電性の発熱層を有する発熱体と、を備え、前記発熱層の材料の固有抵抗をρ(μΩcm)とした場合、前記発熱層は、平均厚みが5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下、厚み誤差が1.2ρ(μm)以下の領域を有する構成を採る。
この構成によれば、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができる。
本発明の第2の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層が複数の層からなる構成を採る。
この構成によれば、発熱層の1層当たりの厚みを薄くすることができるので、メッキ処理における発熱層の厚み誤差が小さくなる。また、メッキ処理により発熱層の表面が粗くなるのを防げる。さらに、発熱層が多層であるので、メッキ処理により生じるピンホールの位置が各層でずれるので、発熱体の温度ムラを軽減できる。
本発明の第3の態様に係る加熱装置は、前記第2の態様において、前記発熱層は、固有抵抗が前記発熱層よりも高い分離層により複数の層に分けられている構成を採る。
この構成によれば、分離層の固有抵抗が高いので誘導電流が発熱層を流れるようになり、前記第1の態様の加熱装置と同様な効果が得られる。
本発明の第4の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層は、平均厚みが8(μm)以上、25(μm)以下、厚み誤差が2(μm)以下の銅からなる構成を採る。
この構成によれば、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の発熱温度の均一性を確保することができる。
本発明の第5の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層は、平均厚みが13(μm)以上、40(μm)以下、厚み誤差が3(μm)以下のアルミニウムからなる構成を採る。
この構成によれば、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができる。
本発明の第6の態様に係る加熱装置は、前記第3に態様において、前記分離層は、ニッケルからなる構成を採る。
この構成によれば、例えば、分離層を厚みが2〜5(μm)のニッケルで形成した場合、分離層の固有抵抗が各発熱層の固有抵抗よりも高くなって誘導電流が発熱層を流れるようになり、前記第1の態様の加熱装置と同様な効果が得られる。
本発明の第7の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層は、放熱により温度が低下する部位の厚みが、低下した温度分の発熱量を補うことができる厚みとなるように他の部位の厚みよりも薄く形成されている構成を採る。
この構成によれば、外部への放熱により温度低下しやすい発熱層の両端部位の厚みが薄いので、この発熱層の両端部位の抵抗値が高くなり発熱量が増し、最大サイズ紙幅の通紙領域全体の温度の均一化が可能となる。
本発明の第8の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層の表面に保護層を形成した構成を採る。
この構成によれば、保護層により発熱層を空気と遮断することができるので、発熱層の腐食を防ぐことができる。また、通紙された記録媒体に未定着トナーを加熱定着する定着ベルトを用いて発熱層の熱を記録媒体に伝達する構成では、定着ベルトとの接触による発熱層の摩耗を保護層により防ぐことができる。
本発明の第9の態様に係る加熱装置は、前記第8の態様において、前記保護層は、ニッケルからなる構成を採る。
この構成によれば、保護層を安価なメッキ処理により形成することができる。
本発明の第10の態様に係る加熱装置は、前記第8の態様において、前記発熱体の表面に離型層を形成した構成を採る。
この構成によれば、ニップ通過後、離型層により発熱体の表面から記録紙が分離しやすくなる。
本発明の第11の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱体は、回転する発熱ローラを備え、前記発熱層が前記発熱ローラのローラ部材に形成されている構成を採る。
この構成によれば、発熱層を安価なメッキ処理により形成することができる。
本発明の第12の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記発熱層は、前記発熱ローラにメッキ処理で形成されている構成を採る。
この構成によれば、メッキ処理のライン自動化により高速かつ大量に発熱層を形成することができる。
本発明の第13の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記発熱ローラに懸架される定着ベルトと、前記定着ベルトとの間でニップ部を形成する加圧手段と、をさらに備える構成を採る。
この構成によれば、未定着画像を記録紙に定着させるための加圧手段の応力が発熱ローラの発熱層にかからないので、発熱層の破壊を防止することができる。
本発明の第14の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記発熱ローラのローラ部材は、磁性材料からなる構成を採る。
この構成によれば、ローラ部材が強磁性であるので、発熱層を貫く磁束が強まり、発熱層を速く昇温させることができる。また、ローラ部材の熱伝導率がよいので、ローラ部材の長手方向の熱移動により発熱ローラの温度の均一化を図ることができる。また、ローラ部材を安価かつ簡素に構成できる。
本発明の第15の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記ローラ部材は、非磁性の低導電性材料からなり、前記ローラ部材の内部に強磁性材料からなるインナコアを配置した構成を採る。
この構成によれば、インナコアにより発熱層を貫く磁束がさらに強まるので、発熱ローラの昇温が速くなる。また、例えばステンレスのような非磁性の低導電性材料は磁束が透過するので、インナコアにより磁束を強めることができる。
本発明の第16の態様に係る加熱装置は、前記第15の態様において、前記ローラ部材の内部に導電性の磁気遮蔽体を設けた構成を採る。
この構成によれば、磁気遮蔽体を励磁コイルの巻回中心に対向させることで、発熱ローラの非通紙領域の磁束が弱まり、発熱ローラの非通紙領域の過昇温を抑制できる。
本発明の第17の態様に係る加熱装置は、前記第16の態様において、前記発熱層の前記磁気遮蔽体を設けた部位の厚みが、低下した温度分の発熱量を補うことができる厚みとなるように前記磁気遮蔽体を設けていない部位の厚みよりも薄く形成されている構成を採る。
この構成によれば、磁気遮蔽体の吸熱により温度低下する部位の発熱層の厚みが薄いので、この部位の発熱層の抵抗値が高くなり発熱量が増し、最大サイズ紙幅の通紙領域全体の温度の均一化が可能となる。
本発明の第18の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記ローラ部材は、常温で磁性を有し、所定の温度以上で磁性を失う整磁合金からなる構成を採る。
この構成によれば、小サイズ紙を連続的に通紙すると、発熱ローラの非通紙領域の温度が上昇し、整磁合金がキュリー温度より高くなると磁性を失い、非通紙領域の磁束が弱まるので、発熱ローラの非通紙領域の温度上昇が軽減される。
本発明の第19の態様に係る加熱装置は、前記第18の態様において、前記ローラ部材の内部に導電性の磁気遮蔽体を設けた構成を採る。
この構成によれば、整磁合金の非通紙域がキュリー温度より高くなると磁性を失い、磁気遮蔽体に渦電流が生じて反発磁界が発生し、発熱ローラの非通紙領域の温度上昇をより軽減することができる。
本発明の第20の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記発熱層を、前記ローラ部材の前記磁束発生手段と対向する側に形成した構成を採る。
この構成によれば、発熱層がローラ部材の磁束発生手段と対向する側に形成されているので、磁束を有効に利用でき、発熱層の昇温が速くなる。
本発明の第21の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記磁束発生手段を、前記発熱ローラの外部に配置した構成を採る。
この構成によれば、磁束発生手段が発熱ローラの外部に配置されているので、発熱層を発熱ローラの外周面に形成できる。つまり、製造容易なメッキ処理で発熱層を形成することが可能となる。
本発明の第22の態様に係る加熱装置は、第1の態様において、前記磁束発生手段は、励磁コイルを備え、前記励磁コイルを前記発熱体に対向させた状態で、周波数30(kHz)における前記励磁コイルのインダクタンスが10(μH)以上かつ50(μH)以下、電気抵抗が0.5(Ω)以上5(Ω)以下である構成を採る。
この構成によれば、汎用性のある安価な励磁回路を用いることができる。
本発明の第23の態様に係る加熱装置は、第1の態様において、前記磁束発生手段は、励磁コイルを備え、前記励磁コイルに周波数20〜100(kHz)の範囲の電流を印加する構成を採る。
この構成によれば、励磁回路の電源のロスを小さく抑え、発熱体の昇温を速くすることができる。
本発明の第24の態様に係る定着装置は、記録媒体上に形成された未定着画像を加熱定着する加熱手段を備えた定着装置であって、前記加熱手段として、第1の態様における加熱装置を用いる構成を採る。
この構成によれば、記録媒体上に形成された未定着画像を加熱定着する際に、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保できる。
本発明の第25の態様に係る画像形成装置は、記録媒体上に形成された未定着画像を定着する定着手段を備えた画像形成装置であって、前記定着手段として、第24の態様の定着装置を用いる構成を採る。
この構成によれば、記録媒体上に形成された未定着画像を定着する際に、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保できる。
本明細書は、2004年12月7日出願の特願2004−354445に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係る加熱装置は、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができるので、電子写真方式あるいは静電記録方式の複写機、ファクシミリおよびプリンタ等の画像形成装置における定着装置の加熱手段として有用である。
本発明は、電磁誘導加熱方式(IH;induction heating)により加熱される発熱体を用いて被加熱体を加熱する加熱装置に関し、特に電子写真方式あるいは静電記録方式の複写機、ファクシミリおよびプリンタ等の画像形成装置における定着装置の加熱手段として用いて有用な加熱装置に関する。
電磁誘導加熱方式の加熱装置は、一般に、調理テーブルや電気釜などの加熱手段として知られているが、近年、複写機、ファクシミリ、およびプリンタなどの画像形成装置における定着装置の加熱手段として採用することが盛んに検討されている。
電磁誘導加熱方式の加熱手段を用いた定着装置では、磁束発生手段が発生する磁束を発熱体の発熱層に透過させ、この磁束の透過により生じた渦電流によって発熱層を発熱させる。そして、この発熱層の発熱により加熱された発熱体の熱でコピー用紙またはOHPシートなどの記録紙上に形成された未定着画像を直接もしくは間接的に加熱定着している。
具体的には、例えば定着ローラまたは定着ベルトなどからなる発熱体に導電体からなる発熱層を形成する。また、記録紙の通紙経路を挟んで発熱体と加圧ローラとを圧接させて配置し記録紙を挟持して搬送するニップを形成する。さらに、強磁性体からなるコアに励磁コイルを巻回して磁束発生手段を構成し励磁コイルを発熱体の発熱層に対向するように配置する。そして、励磁コイルに所定の周波数の交流電流を印加し、励磁コイルの周囲に磁束を発生させて磁界を形成し、この磁界の作用で生じた渦電流により発熱体の発熱層を発熱させる。この状態で、発熱体と加圧ローラとのニップに記録紙を送り込み、発熱層の発熱により加熱された発熱体の熱と加圧ローラの圧力とにより記録紙上の未定着画像を定着する。
このような電磁誘導加熱方式の加熱手段を用いた定着装置は、ハロゲンランプを熱源とする熱ローラ方式の定着装置と比較して発熱効率が高く所定の定着温度に発熱するまでの立ち上がり時間を速くすることができるという利点を有している。
ところで、電磁誘導加熱方式の加熱装置においては、上述のように励磁コイルに交流電流を流すと磁界が発生し、磁束が発熱層を貫く。これにより、発熱層には電磁誘導により過電流Iが生じ、発熱層の抵抗Rに比例した熱RIが発生する。
従って、この種の加熱装置では、発熱体に励磁コイルを対向させたときの励磁コイルの抵抗値Rが大きくなるほど発熱層の発熱効率が高くなる。
この励磁コイルの抵抗値Rは、一般的に、発熱層としての銅の厚みが5(μm)のとき最も高くなることが知られている。従って、このような電磁誘導加熱方式の加熱装置では、発熱層としての銅の厚みが5(μm)の発熱体を使用した場合に発熱層の発熱効率が最も良くなる。
従来、このような発熱層の厚みと発熱効率との関係に着目して構成した定着装置として、発熱体(加熱ベルト)の発熱層(銅)に厚みが約5(μm)の導電層を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ちなみに、特許文献1記載の定着装置では、ポリイミドからなる基材上に導電率の高い銅を5(μm)程度のごく薄い厚さに蒸着して導電層を形成した加熱ベルトを発熱体として用いている。
特開2004−145368号公報
ところで、前記従来の電磁誘導加熱方式の加熱装置においては、発熱体の発熱層(銅)の厚みの最適化に関して、発熱層の抵抗値(発熱効率)のみに着目していた。
しかしながら、電磁誘導加熱方式の加熱装置は、発熱層(銅)の厚みが薄くなるに従って、励磁コイルのインダクタンスが増大し、発熱層に電流が流れにくくなって磁気的な結合が低下してしまうという性質を有している。
そこで、本発明者らは、励磁コイルのインダクタンス(磁気的な結合)にも着目して、種々の実験を試みた。この結果、この種の電磁誘導加熱方式の加熱装置においては、発熱体の発熱層の抵抗値(発熱効率)と励磁コイルのインダクタンス(磁気的な結合)との両方を考慮すると、発熱層の厚みを5(μm)とすることが必ずしも最適ではないことを突き止めた(詳しくは、後述する)。
例えば、発熱層(導電層)の厚みがごく薄い加熱ベルト(発熱体)を用いた従来の定着装置では、発熱層の厚みのバラツキにより加熱ベルトに発熱ムラが発生しやすく、加熱ベルトの温度が不均一になってしまうことが明らかとなった。また、従来の発熱層よりも厚みが大きな発熱層を形成した発熱体の方が、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間を短くすることができることも明らかとなった。
本発明は、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができる加熱装置を提供することである。
本発明の加熱装置は、磁束を発生する磁束発生手段と、前記磁束発生手段の発生する磁束により誘導加熱される導電性の発熱層を有する発熱体と、を備え、前記発熱層の材料の固有抵抗をρ(μΩcm)とした場合、前記発熱層は、平均厚みが5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下、厚み誤差が1.2ρ(μm)以下の領域を有する構成を採る。
本発明によれば、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、ここでは、本発明の実施の形態として画像形成装置における定着装置について説明するが、本発明の加熱装置は、調理テーブルや電気釜などの加熱手段としても有用であることはいうまでもない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る定着装置を搭載するのに適した画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、電子写真感光体(以下、「感光ドラム」と称する)101、帯電器102、レーザビームスキャナ103、現像器105、給紙装置107、クリーニング装置113、定着装置200などを具備している。
図1において、感光ドラム101は、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動されながら、その表面が帯電器102によってマイナスの所定の暗電位に一様に帯電される。
レーザビームスキャナ103は、図示しない画像読取装置やコンピュータ等のホスト装置から入力される画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビーム104を出力し、一様に帯電された感光ドラム101の表面をレーザビーム104によって走査露光する。これにより、感光ドラム101の露光部分の電位絶対値が低下して明電位となり、感光ドラム101の表面に静電潜像が形成される。
現像器105は、回転駆動される現像ローラ106を備えている。現像ローラ106は、感光ドラム101と対向して配置されており、その外周面にはトナーの薄層が形成される。また、現像ローラ106には、その絶対値が感光ドラム101の前記暗電位よりも小さく、前記明電位よりも大きい現像バイアス電圧が印加されている。
これにより、現像ローラ106上のマイナスに帯電したトナーが、感光ドラム101の表面の前記明電位の部分にのみ付着し、感光ドラム101の表面に形成された静電潜像が反転現像されて顕像化され、感光ドラム101上に未定着トナー像111が形成される。
一方、給紙装置107は、給紙ローラ108により所定のタイミングで記録媒体としての記録紙109を一枚ずつ給送する。給紙装置107から給送された記録紙109は、一対のレジストローラ110を経て、感光ドラム101と転写ローラ112とのニップ部に、感光ドラム101の回転と同期した適切なタイミングで送られる。これにより、感光ドラム101上の未定着トナー像111が、転写バイアスが印加された転写ローラ112により記録紙109に転写される。
このようにして未定着トナー像111が転写された記録紙109は、記録紙ガイド114により案内されて感光ドラム101から分離された後、定着装置200に向けて搬送され、未定着トナー像111が加熱定着される。
未定着トナー像111が加熱定着された記録紙109は、定着装置200を通過した後
、画像形成装置100の外部に配設された排紙トレイ115上に排出される。
一方、記録紙109が分離された後の感光ドラム101は、その表面の転写残トナー等の残留物がクリーニング装置113によって除去され、繰り返し次の画像形成に供される。
図2は、本発明の実施の形態1に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、本実施の形態1に係る定着装置200は、発熱体としての発熱ローラ210、加圧ローラ220、磁束発生手段としての励磁コイルユニット230、温度センサ240などを有している。
図2において、発熱ローラ210は、例えば直径が34(mm)の円筒形状のローラ部材211の外周面に導電層からなる発熱層212を形成して構成されており、定着装置200の本体側板(不図示)に回転自在に軸支されている。
加圧ローラ220は、記録紙109の通紙経路を挟んで発熱ローラ210に圧接して記録紙109が通過するニップを形成するように定着装置200の本体側板に回転自在に軸支されている。そして、加圧ローラ220は、未定着トナー像111が形成担持された記録紙109を矢印方向へ搬送するように回転(図では時計回り)して、発熱ローラ210を従動回転する。なお、ここでは、発熱ローラ210が加圧ローラ220に従動回転するものとしたが、加圧ローラ220が発熱ローラ210に従動回転するようにしてもよい。
また、加圧ローラ220は、例えば硬度JISA30度のシリコンゴムなどの熱伝導性が小さい材料によって成形されている。加圧ローラ220の材料としては、例えばフッ素ゴムおよびフッ素樹脂などの耐熱性樹脂や他のゴムを用いてもよい。また、加圧ローラ220は、耐摩耗性や離型性を高めるために、PTFE、PFA、またはFEPなどの樹脂やゴムを単独もしくは混合した被覆材で外周面を被覆することが望ましい。
励磁コイルユニット230は、励磁コイル231とコア部材232とを有している。励磁コイル231は、発熱ローラ210の上半分の外周面に対向するように、例えば細い銅線を束ねたリッツ線を半円筒形状に周回させて形成されており、図示しない電源から電圧が印加されて交流電流が流れることにより、周囲に磁束を発生させて磁界を形成する。
コア部材232は、例えばフェライトやパーマロイなどの透磁率および比抵抗が高い磁性材料によって形成されており、センタコア234と、一対のサイドコア235と、アーチコア236とで構成されている。
センタコア234は、アーチコア236の中央部に配設(または一体形成)されている。一対のサイドコア235は、アーチコア236の両端部にそれぞれ配設(または一体形成)されている。コア部材232は、励磁コイル231によって発生する磁束のうち、発熱ローラ210とは反対側に発生する磁束の経路(磁路)となる。
上述のように、本実施の形態1に係る定着装置200は、励磁コイルユニット230が発熱ローラ210の外部に配設されているので、消耗品である発熱ローラ210などの部品の交換やメンテナンスの作業を効率よく行うことができる。
温度センサ240は、発熱ローラ210の外周面の励磁コイルユニット230よりも回転方向下流側に当接するように設けられて、発熱ローラ210の温度を検知する。温度センサ240によって発熱ローラ210の温度が未定着トナー像111の定着に適した温度になったことが検知されると、図示しない制御部によって給紙ローラ108の動作開始、
つまり印字動作の開始が可能になる。
また、温度センサ240によって発熱ローラ210の温度が所定の閾値よりも高くなったことが検知されると、図示しない電源から励磁コイルユニット230への交流電流の供給が制御される。
次に、本実施の形態1に係る定着装置200の発熱ローラ210の構成について説明する。図3は、励磁コイルに30(kHz)の周波数の交流電流を印加したときの励磁コイルの抵抗値を、発熱ローラの発熱層(銅)の厚みに対してプロットしたグラフである。
図3に示すように、励磁コイル231の抵抗値は、発熱ローラ210の発熱層212の厚みが5(μm)のとき、約2.4(Ω)と最も高くなる。これは、発熱層212の厚みが5(μm)の発熱ローラ210を使用した場合に、発熱層212の発熱効率が最も良くなることを示している。このようなことから従来の電磁誘導加熱方式の定着装置では、発熱体の発熱層の厚みを約5(μm)としている。
しかしながら、励磁コイル231のインダクタンスは、前述したように、発熱層212の厚みが薄くなるに従って増大する。図4は、励磁コイルを発熱体に対向させたときの励磁コイルのインダクタンスを発熱層(銅)の厚みに対してプロットしたグラフである。
図4に示すように、発熱層212の厚みが5(μm)の場合には、励磁コイル231のインダクタンスが約35(μH)と大きな値になる。このように励磁コイル231のインダクタンスが大きな値になると、発熱層212に誘導電流が流れにくくなって、励磁コイルユニット230と発熱層212との磁気的な結合が低下する。
図5は、発熱ローラの発熱層(銅)が目標とする温度に加熱されるまでの昇温時間と発熱層の厚みとの関係を示すグラフである。
図5に示すように、発熱ローラ210の発熱層212が目標とする発熱温度(ここでは、最適な定着温度)に加熱されるまでの昇温時間は、発熱層212の厚みが、5(μm)よりも厚い方が短く(早く)なり、15(μm)以上になると、発熱層212の熱容量の増大により徐々に長く(遅く)なり始める。
図5から明らかなように、発熱ローラ210の発熱層212の厚みが薄い場合ほどグラフの傾きは急峻であるので、発熱層212の昇温時間は発熱層212の厚みの僅かな誤差によって大きくばらついてしまう。これは、発熱層212の厚みが薄い従来の定着装置では、発熱層212の僅かな厚み誤差によって、発熱層212に大きな発熱ムラが発生してしまうことを意味している。
本発明者らが行った実験によれば、以下の表1に示すように、銅材の発熱層212の厚み誤差が±2(μm)の場合において、発熱層212の平均厚みが5(μm)のときの発熱層212の発熱ムラは±8(℃)、発熱層212の平均厚みが10(μm)のときの発熱層212の発熱ムラは±4(℃)であった。
Figure 2006062086
このような画像形成装置100において良好な定着画像を得るには、一般に、定着装置200における発熱ローラ210の発熱層212の温度ムラは±5(℃)以内が好ましいとされている。このため、従来の定着装置のように発熱ローラ210の発熱層212の平均厚みを5(μm)とした場合には、発熱層212の厚み誤差を±1(μm)と厳しくする必要がある。
つまり、前述したように、発熱ローラ210の発熱層212には、電磁誘導により渦電流Iが生じ、発熱層212の抵抗Rに比例した熱RIが発生する。このように、発熱層212の発熱量は、発熱層212の抵抗Rに比例するので、発熱層212の平均厚みが薄いほど発熱層212の厚み誤差の割合は相対的に大きくなり、発熱ムラが発生しやすくなる。
このため、従来の定着装置のように発熱ローラ210の発熱層212の平均厚みを5(μm)とした場合には、発熱層212の発熱ムラが発生しやすく、また、多少の平均厚みの誤差でも発熱層212の昇温時間が大きく変化してしまう。
このように、発熱層212の抵抗値(発熱効率)と励磁コイル231のインダクタンス(磁気的な結合)との両方を考慮すると、発熱ローラ210の発熱層212の厚みは、必ずしも5(μm)が最適値とはいえない。
表1から、発熱層212の厚み誤差±2(μm)で発熱ムラ±5(℃)とするには平均厚みは8(μm)が必要となる。図5から、発熱層212の厚みが25(μm)を越えても、その熱容量の増大から昇温時間は短くならない。また、発熱層212をメッキ処理で形成した場合は、発熱層212の厚みが厚すぎると、メッキ表面の粗さが粗くなるため発熱ムラが起こりやすくなる。
上述のようなことから、本実施の形態1に係る定着装置200においては、固有抵抗が1.7(μΩcm)の銅で発熱層212を形成する場合には、発熱層212の平均厚みを8〜25(μm)、厚み誤差を2(μm)以下とする。これにより、昇温時間が短くかつ温度の均一性が良好な発熱ローラ210を得られるようになる。
ここで、発熱層212の材料の固有抵抗をρ、発熱層212の厚みをδとすれば、発熱層212の抵抗Rは、R=ρ/δと表せる。従って、発熱層212としては、銅に限らず、抵抗Rを等しくすれば他の材料を用いても同様な効果が得られる。
すなわち、発熱ローラ210の発熱層212としては、その材料の固有抵抗がρ(μΩcm)である場合、平均厚みを5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下とし、厚み誤差を1.2ρ(μm)以下とすればよい。
例えば、固有抵抗が2.6(μΩcm)のアルミニウムで発熱層212を形成する場合には、発熱層212の平均厚みを13〜40(μm)、発熱層212の厚み誤差を3(μm)以下とすればよい。
図6は、本発明の実施の形態1に係る定着装置における発熱ローラの構造を示す部分拡大断面図である。図6に示すように、本例の定着装置200における発熱ローラ210は、例えば、鉄またはステンレスなどからなるローラ部材211の外周面(励磁コイル231側)に、非磁性の導電層からなる発熱層212を形成して構成されている。
発熱層212は、例えば銅などの非磁性材料からなっており、ローラ部材211の外周面に、メッキ、メタライジング、またはクラッド材による加工が施されて形成されている。なお、本例の定着装置200のように、発熱体として管状の発熱ローラ210を用いれば、安価なメッキ処理によりローラ部材211の表面上に発熱層212を形成することができる。この発熱層212の材料としては、固有抵抗が10(μΩcm)以下のものが望ましく、銅の他にはアルミニウム、銀、および金などを用いてもよい。
また、発熱層212の表面には、保護層213が形成されている。さらに、保護層213の表面には、離型層214が形成されている。
保護層213は、例えば、メッキ、メタライジング、またはクラッド材により形成された、肉厚が例えば2〜5(μm)のニッケルからなる。保護層213は、発熱層212の表面を覆うことにより、発熱層212の酸化を防止して耐久性を向上させるとともに、離型層214の密着性を向上させて剥離を防止する。なお、保護層213としては、ニッケル層の代わりに、肉厚が2〜10(μm)のクロムや亜鉛などを用いてもよい。また、保護層213の肉厚は、2(μm)以下となると、保護層としての働きが不十分になる場合がある一方、10(μm)を超えると、保護層213の熱容量が大きくなりウォームアップに時間がかかってしまう。
離型層214は、例えば肉厚が20(μm)の、PTFE、PFA、またはFEPなどのフッ素樹脂層からなり、発熱ローラ210の外表面を覆うように形成されている。
なお、本例の定着装置200における発熱ローラ210は、保護層213と離型層214との間にシリコンゴム層を設けて、表面に弾力性を持たせた構成としてもよい。これらの層を合計した発熱ローラ210の厚さは、100〜1000(μm)程度が望ましい。また、発熱層212をメッキ処理する場合、メッキ前に下地処理としてローラ部材211にニッケルメッキを施してもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る定着装置について説明する。図7は、本発明の実施の形態2に係る定着装置における発熱ローラの構造を示す部分拡大断面図である。なお、本実施の形態2に係る定着装置は、発熱ローラ210の発熱層212の構成のみが実施の形態1に係る定着装置200の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図7に示すように、本例の定着装置における発熱ローラ210は、実施の形態1に係る定着装置200における発熱ローラ210の発熱層212を、分離層215により2つの層に分離した構成を有している。ここで、分離層215は、例えば、厚さが2〜5(μm)のニッケルで形成することが好ましい。
このような構成とすることにより、厚みが大きくかつ厚み誤差が小さい発熱層212を容易に形成することができるようになる。
すなわち、ローラ部材211の外周面に、例えば平均厚みが24(μm)のような厚みの大きな1層の発熱層212をメッキ処理で形成した場合には、発熱層212の厚みが厚すぎるため大きな厚み誤差が生じやすい。また、このようなメッキ処理で形成した厚手の発熱層212は、メッキ表面の粗さが粗くなるため発熱ムラが起こりやすい。
これに対し、本例の定着装置における発熱ローラ210は、上述したように、発熱層212が分離層215により平均厚みが12(μm)の2つの層に分離された構成となるので、発熱層212の1層当たりの厚みを薄くすることができ、メッキ処理によって生じる発熱層212の厚み誤差を小さくすることができる。
また、本例の定着装置における発熱ローラ210は、発熱層212の1層当たりの厚みが薄くなるので、メッキ表面の粗さも細かくなり、発熱ムラも起こりにくい。
さらに、本例の定着装置における発熱ローラ210は、発熱層212が分離層215により2つの層に分離された構成となるので、メッキ処理により発熱層212に発生するピンホールの位置が、発熱層212の各層で一致することが極めて少なくなり、このピンホールによる温度ムラの発生を軽減することができる。
なお、ここでは、図7に示すように、発熱ローラ210の発熱層212を2つの層に分離した構成としたが、この発熱層212は、3つ以上の多層に分離した構成であってもよい。
また、本例の定着装置における発熱ローラ210の分離層215の固有抵抗は、各発熱層212の固有抵抗よりも高いことが好ましい。これにより、例えば、分離層215を厚みが2〜5(μm)のニッケルで形成したとすると、分離層215の抵抗が各発熱層212の抵抗よりも高いので、誘導電流が発熱層212を流れるようになり、実施の形態1に係る定着装置200における発熱ローラ210の発熱層212と同様な効果が得られる。なお、分離層215の厚みを薄くすることによっても分離層215の抵抗を各発熱層212の抵抗よりも高くすることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る定着装置について説明する。図8は、本発明の実施の形態3に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態3に係る定着装置は、発熱ローラ210の発熱層212の熱を定着ベルトにより記録紙109に伝達する点のみが実施の形態1に係る定着装置200の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図8に示すように、本例の定着装置800は、発熱ローラ210の発熱層212の熱を定着ベルト250により記録紙109に伝達するように構成されている。
図8において、定着ベルト250は、加圧ローラ220に圧接して回転する定着ローラ260と発熱ローラ210とに掛け渡されており、加圧ローラ220の回転に従動して矢印方向(反時計方向)に回転する。
記録紙109は、定着ローラ260が定着ベルト250を介して加圧ローラ220に圧接することによって形成される加圧ローラ220と定着ベルト250とのニップにより矢印方向に搬送される。これにより、発熱ローラ210の発熱層212の熱が定着ベルト2
50を介して記録紙109に伝達され、記録紙109上に形成された未定着トナー像111が記録紙109に加熱定着される。
本実施の形態3に係る定着装置800は、図2に示した実施の形態1に係る定着装置200のように発熱ローラ210の発熱層212に対して加圧ローラ220の圧接による応力がかかることがないので、発熱ローラ210の発熱層212の破壊を防止することができる。また、発熱層212の寿命が延び、信頼性も高まる。
本例の定着装置800においては、発熱ローラ210のローラ部材211を、例えば鉄などの磁性材料で構成している。
このように、発熱ローラ210のローラ部材211を磁性材料で構成することにより、ローラ部材211が強磁性となるので、発熱ローラ210の発熱層212を貫く磁束が強まり、発熱層212が速く昇温されるようになる。
また、発熱ローラ210のローラ部材211を鉄で構成することにより、ローラ部材211の熱伝導率が高くなるので、発熱ローラ210の長手方向(回転軸方向)の熱移動により温度の均一化を図ることができるようになる。
さらに、発熱ローラ210のローラ部材211を鉄で構成することにより、ローラ部材211を簡素かつ安価に構成することができる。
なお、実施の形態1に係る定着装置200では、発熱ローラ210に離型層214を形成しているが、本例の定着装置800においては、定着ベルト250の表面に離型層214を設けている。これにより、発熱ローラ210は、その表面が保護層213により被覆された構成となる。従って、本例の定着装置800においては、発熱ローラ210の表面の保護層213が、定着ベルト250との接触による発熱層212の摩耗を防ぐ働きをするようになる。この保護層213の働きは、発熱層212が銅やアルミニウムなどの軟質な非磁性体で構成されており、その摩耗による厚みの変化が発熱に大きな影響を及ぼすため極めて重要となる。
また、本例の定着装置800は、発熱ローラ210で発生する熱を定着ベルト250に伝熱する構成であるので、定着ベルト250と発熱ローラ210の密着性が悪いと定着ベルト250に温度ムラが生じる。発熱層212の厚みが厚すぎるとメッキ表面の粗さが粗くなり、これによって定着ベルト250への伝熱にムラが生じるので、メッキ処理においては注意が必要である。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る定着装置について説明する。図9は、本発明の実施の形態4に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態4に係る定着装置は、発熱ローラ210の内部に強磁性材料からなるインナコアを配置した点のみが実施の形態3に係る定着装置800の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図9に示すように、本例の定着装置900は、内部に、フェライトまたはパーマロイなどの強磁性材料からなるインナコア270を配置した構成を有している。また、本例の定着装置900における発熱ローラ210のローラ部材211は、非磁性の低導電性材料で構成されている。
本例の定着装置900においては、強磁性材料からなるインナコア270を用いている
ので、発熱ローラ210の発熱層212を貫く磁束がさらに強まり、発熱層212が速く昇温されるようになる。
また、本例の定着装置900においては、発熱ローラ210のローラ部材211が、例えばステンレスのような磁束を透過する非磁性の低導電性材料で構成されているので、インナコア270により透過した磁束を強めることができる。
また、ローラ部材211は必要な機械的強度を確保できる程度に薄肉にすることができ、例えば厚みを0.04mm〜0.2mmとすると、ローラ部材211の熱容量は小さくなり、定着ベルト250の昇温時間が短縮される。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る定着装置について説明する。図10は、本発明の実施の形態5に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態5に係る定着装置は、インナコアの構成のみが実施の形態4に係る定着装置900の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図10に示すように、本例の定着装置1000は、発熱ローラ210の内部に、フェライトまたはパーマロイなどの強磁性材料からなるインナコア270が配置され、かつ発熱ローラ210の非通紙領域に対向するインナコア270の周面に厚みが1mm程度の銅やアルミ等の導電性の磁気遮蔽体280,290を設けた構成を有している。磁気遮蔽体280,290は、インナコア270を回転させることにより変位するようになっている。
本例の定着装置1000においては、磁気遮蔽体280,290は十分な表皮深さを有しているので、その内部に渦電流が生じて反発磁界が発生し、非通紙領域の温度上昇をより軽減することができる。すなわち、本例の定着装置1000は、図10に示すように、磁気遮蔽体280を励磁コイル231の巻き中心(センタコア234)に対向させることで、非通紙領域の磁束が弱まり、発熱ローラ210の非通紙領域の過昇温を抑制することができる。磁気遮蔽体280,290は、異なる幅を有しており、定着装置1000に通紙される記録紙109の幅に応じて各々が選択される。
このように、本例の定着装置1000においては、発熱層212は磁束が透過するので、インナコア270や磁気遮蔽体280,290により、非通紙領域の磁束の操作が可能となる。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6に係る定着装置について説明する。図11は、本発明の実施の形態6に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図である。なお、本実施の形態6に係る定着装置は、発熱ローラ210のローラ部材211の構成が実施の形態4に係る定着装置800の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
図11に示すように、本例の定着装置1100は、発熱ローラ210のローラ部材211が、常温で磁性を有し、所定の温度以上で磁性を失う整磁合金で構成されている。なお、図11に示す定着装置1100は、円筒の磁気遮蔽体280を配置した構成を有しているが、磁気遮蔽体280を配置しない構成であってもよい。
図11において、小サイズの記録紙109を連続的に通紙すると、発熱ローラ210の非通紙領域の熱が記録紙109により奪われないため、非通紙領域の温度が上昇する。こ
れにより、発熱ローラ210の非通紙領域の温度がキュリー温度より高くなると、整磁合金からなる発熱ローラ210のローラ部材211が磁性を失い、非通紙領域の磁束が弱まる。磁気遮蔽体280が配置される場合は、磁気遮蔽体280による反発磁界が発生し、非通紙領域の磁束がさらに弱まる。これにより、非通紙領域の温度上昇が軽減される。
このように、キュリー温度が所定の温度となるように設定された整磁合金でローラ部材211を構成した場合には、ローラ部材211の肉厚を100〜1000(μm)にすることが好ましい。
ローラ部材211を形成する整磁合金としては、例えば鉄とニッケルの合金または鉄とニッケルとクロムの合金などが用いられる。そして、これらの各金属の配合を調整することにより、整磁合金のキュリー温度を所定の温度に設定することができる。本例では、ローラ部材211を形成する整磁合金のキュリー温度を、トナーの定着温度に近い220度に設定してある。これにより、ローラ部材211は、温度が220度以下では強磁性体としての特性を示すが、温度が220度を超えると非磁性体としての特性を示す。なお、キュリー温度は220度に限らず、より低い温度に設定してもよい。
一般に、整磁合金はインダクタンスが高いため、汎用の励磁回路では1000W以上の高い電力の入力が困難である。本例の定着装置1100においては、整磁合金に発熱層212を形成することによりインダクタンスが小さくなるので、汎用の励磁回路においても高い電力の入力が可能となる。
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7に係る定着装置について説明する。図12は、本発明の実施の形態7に係る定着装置の要部の構成を示す概略平面図である。なお、本実施の形態7に係る定着装置は、発熱ローラ210の発熱層212の構成のみが前述した各定着装置の構成と異なっており、その他の構成は共通しているので共通部分の構成については説明を省略する。
この種の定着装置においては、発熱ローラ210の両端部位の温度が、外部への放熱により低下しやすい。
そこで、本例の定着装置における発熱ローラ210においては、発熱層212は、平均厚みが5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下、厚み誤差が1.2ρ(μm)以下の領域を有し、放熱により温度が低下する部位の厚みが、前記領域の厚みよりも薄く形成されている。具体的には、図12に示すように、発熱層212の両端部位Aの厚みを中央部位Bの厚みよりも薄く形成した構成とする。
例えば、発熱ローラ210の発熱層212の中央部位Bを厚さ10(μm)の銅メッキで形成した場合、発熱層212の両端部位Aの厚みを中央部位Bの厚みよりも2(μm)だけ薄い8(μm)に形成している。
このように、発熱ローラ210の発熱層212の両端部位Aの厚みを中央部位Bの厚みよりも薄く形成することにより、発熱層212の両端部位Aの抵抗値が高くなり、両端部位Aの発熱量が増す。表1から、両端部位Aの発熱量は中央部位Bより4℃分増すことになる。つまり、外部への放熱を発熱の増加で相殺することで、発熱ローラ210の通紙領域全体の温度の均一化が可能となる。
発熱層212を形成する電気メッキにおいては、メッキ厚みを薄くする領域に対応するローラ部材211に電極を配置することで、メッキ厚みを変化させることが可能である。
なお、定着装置1000の磁気遮蔽体280、または磁気遮蔽体290が励磁コイル231の巻き中心に対向していない状態において、磁気遮蔽体280,290の吸熱による温度低下を補うために、磁気遮蔽体280,290に対応する発熱層212の厚みを薄く形成して、温度の均一化を行っても良い。
ところで、発熱ローラ210の発熱層212は、上述したように、発熱ローラ210のローラ部材211の外周面、つまり励磁コイル231と対向する側に形成されることが好ましい。このように、発熱層212を励磁コイル231と対向する側に形成することにより、磁束を有効に利用できるので、発熱層212の昇温が速くなる。これとは逆に、発熱ローラ210のローラ部材211の内周面側に発熱層212を形成した場合には、発熱層212は有効に発熱しなくなる。例えば、定着装置800の場合は、鉄のローラ部材211の磁性により発熱層212まで達する磁束は激減するので発熱量は減少する。また、定着装置900の場合は、ステンレスのローラ部材211の若干の導電性より磁束が弱められるので、発熱層212を貫通する磁束は低下し、発熱量は減少する。
また、励磁コイル231は、発熱ローラ210の外部に配置されていることが好ましい。このように、励磁コイル231を発熱ローラ210の外部に配置することにより、発熱層212を発熱ローラ210の外側の表面に構成することができ、発熱層212を安価なメッキ処理で形成することが可能となる。
また、励磁コイル231を発熱ローラ210に対向させた状態で、周波数30(kHz)における励磁コイル231のインダクタンスが10(μH)以上、50(μH)以下、電気抵抗が0.5(Ω)以上、5(Ω)以下であることが好ましい。これにより、汎用性のある安価な励磁回路を用いることができる。
また、励磁コイル231には、周波数20〜100(kHz)の電流が印加されることが好ましい。これにより、励磁回路の電源のロスを小さく抑え、発熱層212の昇温を速くすることができる。
本発明の第1の態様に係る加熱装置は、磁束を発生する磁束発生手段と、前記磁束発生手段の発生する磁束により誘導加熱される導電性の発熱層を有する発熱体と、を備え、前記発熱層の材料の固有抵抗をρ(μΩcm)とした場合、前記発熱層は、平均厚みが5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下、厚み誤差が1.2ρ(μm)以下の領域を有する構成を採る。
この構成によれば、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができる。
本発明の第2の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層が複数の層からなる構成を採る。
この構成によれば、発熱層の1層当たりの厚みを薄くすることができるので、メッキ処理における発熱層の厚み誤差が小さくなる。また、メッキ処理により発熱層の表面が粗くなるのを防げる。さらに、発熱層が多層であるので、メッキ処理により生じるピンホールの位置が各層でずれるので、発熱体の温度ムラを軽減できる。
本発明の第3の態様に係る加熱装置は、前記第2の態様において、前記発熱層は、固有抵抗が前記発熱層よりも高い分離層により複数の層に分けられている構成を採る。
この構成によれば、分離層の固有抵抗が高いので誘導電流が発熱層を流れるようになり
、前記第1の態様の加熱装置と同様な効果が得られる。
本発明の第4の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層は、平均厚みが8(μm)以上、25(μm)以下、厚み誤差が2(μm)以下の銅からなる構成を採る。
この構成によれば、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の発熱温度の均一性を確保することができる。
本発明の第5の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層は、平均厚みが13(μm)以上、40(μm)以下、厚み誤差が3(μm)以下のアルミニウムからなる構成を採る。
この構成によれば、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができる。
本発明の第6の態様に係る加熱装置は、前記第3に態様において、前記分離層は、ニッケルからなる構成を採る。
この構成によれば、例えば、分離層を厚みが2〜5(μm)のニッケルで形成した場合、分離層の固有抵抗が各発熱層の固有抵抗よりも高くなって誘導電流が発熱層を流れるようになり、前記第1の態様の加熱装置と同様な効果が得られる。
本発明の第7の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層は、放熱により温度が低下する部位の厚みが、低下した温度分の発熱量を補うことができる厚みとなるように他の部位の厚みよりも薄く形成されている構成を採る。
この構成によれば、外部への放熱により温度低下しやすい発熱層の両端部位の厚みが薄いので、この発熱層の両端部位の抵抗値が高くなり発熱量が増し、最大サイズ紙幅の通紙領域全体の温度の均一化が可能となる。
本発明の第8の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱層の表面に保護層を形成した構成を採る。
この構成によれば、保護層により発熱層を空気と遮断することができるので、発熱層の腐食を防ぐことができる。また、通紙された記録媒体に未定着トナーを加熱定着する定着ベルトを用いて発熱層の熱を記録媒体に伝達する構成では、定着ベルトとの接触による発熱層の摩耗を保護層により防ぐことができる。
本発明の第9の態様に係る加熱装置は、前記第8の態様において、前記保護層は、ニッケルからなる構成を採る。
この構成によれば、保護層を安価なメッキ処理により形成することができる。
本発明の第10の態様に係る加熱装置は、前記第8の態様において、前記発熱体の表面に離型層を形成した構成を採る。
この構成によれば、ニップ通過後、離型層により発熱体の表面から記録紙が分離しやすくなる。
本発明の第11の態様に係る加熱装置は、前記第1の態様において、前記発熱体は、回転する発熱ローラを備え、前記発熱層が前記発熱ローラのローラ部材に形成されている構成を採る。
この構成によれば、発熱層を安価なメッキ処理により形成することができる。
本発明の第12の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記発熱層は、前記発熱ローラにメッキ処理で形成されている構成を採る。
この構成によれば、メッキ処理のライン自動化により高速かつ大量に発熱層を形成することができる。
本発明の第13の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記発熱ローラに懸架される定着ベルトと、前記定着ベルトとの間でニップ部を形成する加圧手段と、をさらに備える構成を採る。
この構成によれば、未定着画像を記録紙に定着させるための加圧手段の応力が発熱ローラの発熱層にかからないので、発熱層の破壊を防止することができる。
本発明の第14の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記発熱ローラのローラ部材は、磁性材料からなる構成を採る。
この構成によれば、ローラ部材が強磁性であるので、発熱層を貫く磁束が強まり、発熱層を速く昇温させることができる。また、ローラ部材の熱伝導率がよいので、ローラ部材の長手方向の熱移動により発熱ローラの温度の均一化を図ることができる。また、ローラ部材を安価かつ簡素に構成できる。
本発明の第15の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記ローラ部材は、非磁性の低導電性材料からなり、前記ローラ部材の内部に強磁性材料からなるインナコアを配置した構成を採る。
この構成によれば、インナコアにより発熱層を貫く磁束がさらに強まるので、発熱ローラの昇温が速くなる。また、例えばステンレスのような非磁性の低導電性材料は磁束が透過するので、インナコアにより磁束を強めることができる。
本発明の第16の態様に係る加熱装置は、前記第15の態様において、前記ローラ部材の内部に導電性の磁気遮蔽体を設けた構成を採る。
この構成によれば、磁気遮蔽体を励磁コイルの巻回中心に対向させることで、発熱ローラの非通紙領域の磁束が弱まり、発熱ローラの非通紙領域の過昇温を抑制できる。
本発明の第17の態様に係る加熱装置は、前記第16の態様において、前記発熱層の前記磁気遮蔽体を設けた部位の厚みが、低下した温度分の発熱量を補うことができる厚みとなるように前記磁気遮蔽体を設けていない部位の厚みよりも薄く形成されている構成を採る。
この構成によれば、磁気遮蔽体の吸熱により温度低下する部位の発熱層の厚みが薄いので、この部位の発熱層の抵抗値が高くなり発熱量が増し、最大サイズ紙幅の通紙領域全体の温度の均一化が可能となる。
本発明の第18の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記ローラ部材は、常温で磁性を有し、所定の温度以上で磁性を失う整磁合金からなる構成を採る。
この構成によれば、小サイズ紙を連続的に通紙すると、発熱ローラの非通紙領域の温度が上昇し、整磁合金がキュリー温度より高くなると磁性を失い、非通紙領域の磁束が弱まるので、発熱ローラの非通紙領域の温度上昇が軽減される。
本発明の第19の態様に係る加熱装置は、前記第18の態様において、前記ローラ部材の内部に導電性の磁気遮蔽体を設けた構成を採る。
この構成によれば、整磁合金の非通紙域がキュリー温度より高くなると磁性を失い、磁気遮蔽体に渦電流が生じて反発磁界が発生し、発熱ローラの非通紙領域の温度上昇をより軽減することができる。
本発明の第20の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記発熱層を、前記ローラ部材の前記磁束発生手段と対向する側に形成した構成を採る。
この構成によれば、発熱層がローラ部材の磁束発生手段と対向する側に形成されているので、磁束を有効に利用でき、発熱層の昇温が速くなる。
本発明の第21の態様に係る加熱装置は、前記第11の態様において、前記磁束発生手段を、前記発熱ローラの外部に配置した構成を採る。
この構成によれば、磁束発生手段が発熱ローラの外部に配置されているので、発熱層を発熱ローラの外周面に形成できる。つまり、製造容易なメッキ処理で発熱層を形成することが可能となる。
本発明の第22の態様に係る加熱装置は、第1の態様において、前記磁束発生手段は、励磁コイルを備え、前記励磁コイルを前記発熱体に対向させた状態で、周波数30(kHz)における前記励磁コイルのインダクタンスが10(μH)以上かつ50(μH)以下、電気抵抗が0.5(Ω)以上5(Ω)以下である構成を採る。
この構成によれば、汎用性のある安価な励磁回路を用いることができる。
本発明の第23の態様に係る加熱装置は、第1の態様において、前記磁束発生手段は、励磁コイルを備え、前記励磁コイルに周波数20〜100(kHz)の範囲の電流を印加する構成を採る。
この構成によれば、励磁回路の電源のロスを小さく抑え、発熱体の昇温を速くすることができる。
本発明の第24の態様に係る定着装置は、記録媒体上に形成された未定着画像を加熱定着する加熱手段を備えた定着装置であって、前記加熱手段として、第1の態様における加熱装置を用いる構成を採る。
この構成によれば、記録媒体上に形成された未定着画像を加熱定着する際に、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保できる。
本発明の第25の態様に係る画像形成装置は、記録媒体上に形成された未定着画像を定
着する定着手段を備えた画像形成装置であって、前記定着手段として、第24の態様の定着装置を用いる構成を採る。
この構成によれば、記録媒体上に形成された未定着画像を定着する際に、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保できる。
本明細書は、2004年12月7日出願の特願2004−354445に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明に係る加熱装置は、目標とする温度に発熱体を昇温させるまでの昇温時間が短くかつ発熱体の温度の均一性を確保することができるので、電子写真方式あるいは静電記録方式の複写機、ファクシミリおよびプリンタ等の画像形成装置における定着装置の加熱手段として有用である。
本発明の実施の形態1に係る定着装置を搭載するのに適した画像形成装置の全体構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態1に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 励磁コイルに30(kHz)の周波数の交流電流を印加したときの励磁コイルの抵抗値を、発熱ローラの発熱層(銅)の厚みに対してプロットしたグラフ 励磁コイルを発熱体に対向させたときの励磁コイルのインダクタンスを発熱層(銅)の厚みに対してプロットしたグラフ 発熱ローラの発熱層(銅)が目標とする温度に加熱されるまでの昇温時間と発熱層の厚みとの関係を示すグラフ 本発明の実施の形態1に係る定着装置における発熱ローラの構造を示す部分拡大断面図 本発明の実施の形態2に係る定着装置における発熱ローラの構造を示す部分拡大断面図 本発明の実施の形態3に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態4に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態5に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態6に係る定着装置の要部の構成を示す概略断面図 本発明の実施の形態7に係る定着装置の要部の構成を示す概略平面図

Claims (25)

  1. 磁束を発生する磁束発生手段と、
    前記磁束発生手段の発生する磁束により誘導加熱される導電性の発熱層を有する発熱体と、を備え、
    前記発熱層の材料の固有抵抗をρ(μΩcm)とした場合、前記発熱層は、平均厚みが5ρ(μm)以上、15ρ(μm)以下、厚み誤差が1.2ρ(μm)以下の領域を有する加熱装置。
  2. 前記発熱層が複数の層からなる請求項1記載の加熱装置。
  3. 前記発熱層は、固有抵抗が前記発熱層よりも高い分離層により複数の層に分けられている請求項2記載の加熱装置。
  4. 前記発熱層は、平均厚みが8(μm)以上、25(μm)以下、厚み誤差が2(μm)以下の銅からなる請求項1記載の加熱装置。
  5. 前記発熱層は、平均厚みが13(μm)以上、40(μm)以下、厚み誤差が3(μm)以下のアルミニウムからなる請求項1記載の加熱装置。
  6. 前記分離層は、ニッケルからなる請求項3記載の加熱装置。
  7. 前記発熱層は、放熱により温度が低下する部位の厚みが、低下した温度分の発熱量を補うことができる厚みとなるように他の部位の厚みよりも薄く形成されている請求項1記載の加熱装置。
  8. 前記発熱層の表面に保護層を形成した請求項1記載の加熱装置。
  9. 前記保護層は、ニッケルからなる請求項8記載の加熱装置。
  10. 前記発熱体の表面に離型層を形成した請求項8記載の加熱装置。
  11. 前記発熱体は、回転する発熱ローラを備え、
    前記発熱層が前記発熱ローラのローラ部材に形成されている請求項1記載の加熱装置。
  12. 前記発熱層は、前記発熱ローラにメッキ処理で形成されている請求項11記載の加熱装置。
  13. 前記発熱ローラに懸架される定着ベルトと、前記定着ベルトとの間でニップ部を形成する加圧手段と、をさらに備えた請求項11記載の加熱装置。
  14. 前記発熱ローラのローラ部材は、磁性材料からなる請求項11記載の加熱装置。
  15. 前記ローラ部材は、非磁性の低導電性材料からなり、
    前記ローラ部材の内部に強磁性材料からなるインナコアを配置した請求項11記載の加熱装置。
  16. 前記ローラ部材の内部に導電性の磁気遮蔽体を設けた請求項15記載の加熱装置。
  17. 前記発熱層の前記磁気遮蔽体を設けた部位の厚みが、低下した温度分の発熱量を補うことができる厚みとなるように前記磁気遮蔽体を設けていない部位の厚みよりも薄く形成されている請求項16記載の加熱装置。
  18. 前記ローラ部材は、常温で磁性を有し、所定の温度以上で磁性を失う整磁合金からなる請求項11記載の加熱装置。
  19. 前記ローラ部材の内部に導電性の磁気遮蔽体を設けた請求項18記載の加熱装置。
  20. 前記発熱層を、前記ローラ部材の前記磁束発生手段と対向する側に形成した請求項11記載の加熱装置。
  21. 前記磁束発生手段を、前記発熱ローラの外部に配置した請求項11記載の加熱装置。
  22. 前記磁束発生手段は、励磁コイルを備え、
    前記励磁コイルを前記発熱体に対向させた状態で、周波数30(kHz)における前記励磁コイルのインダクタンスが10(μH)以上かつ50(μH)以下、電気抵抗が0.5(Ω)以上5(Ω)以下である請求項1記載の加熱装置。
  23. 前記磁束発生手段は、励磁コイルを備え、前記励磁コイルに周波数20〜100(kHz)の範囲の電流を印加する請求項1記載の加熱装置。
  24. 記録媒体上に形成された未定着画像を加熱定着する加熱手段を備えた定着装置であって、
    前記加熱手段として、請求項1記載の加熱装置を用いる定着装置。
  25. 記録媒体上に形成された未定着画像を定着する定着手段を備えた画像形成装置であって、
    前記定着手段として、請求項24記載の定着装置を用いる画像形成装置。
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