JP2004341164A - 像加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性層を有する円筒状または無端ベルト状の回転体11と、この回転体11の周面近傍にその軸方向に沿って並んだ状態で設置される4以上の分割コア25とこれら分割コイル群25を囲んだ状態で配置される励磁コイル22を有し、回転体11を誘導加熱させる電磁界を生成する磁界生成装置20とを備えた像加熱装置であって、例えば、分割コア群25について、軸方向の両端に設置される端部分割コア25a,25bの当該軸方向に沿う長さが、その端部分割コア間に設置される内側分割コア25c,25d,…の当該軸方向に沿う長さよりも長い寸法に設定した。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー(現像剤として使用される微粉体)からなる像を加熱する誘導加熱方式の像加熱装置に係り、特に、電子写真方式、静電記録方式等を利用したプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置で形成するトナー像を加熱して用紙等の記録媒体に定着または転写定着するための定着装置や転写同時定着装置として有効な像加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
誘導加熱方式の定着装置は、一般に次のように構成されている。すなわち、導電性層を有するロール、無端状ベルト等の形態からなる定着回転体と、この定着回転体を誘導加熱させるための電磁界を生成する磁界生成装置とを備え、その誘電加熱される定着回転体に対し、トナー像が形成された記録用紙を圧接させて通過させることにより、そのトナー像を加熱して記録用紙に溶融圧着させるようになっている。
【0003】
また、その磁界生成装置については、主に、定着回転体の外周面または内周面の近傍にその軸方向にそって対向するように設置する磁性コアと、その磁性コアを囲むように設置される励磁コイルとを有し、その励磁コイルに所定の電源回路から高周波電流を印加するように構成されている。
【0004】
このような磁界生成装置を備えた定着装置では、励磁コイルに高周波電流が印加されると、その励磁コイルから定着回転体(の導電性層)をその厚さ方向に貫くような磁束が磁性コアも経由する状態で発生して高周波電磁界が形成される。そして、その磁束により導電性層内に渦電流が発生して導電性層がジュール発熱することで、定着回転体が加熱される仕組みになっている。このように誘導加熱方式の定着装置は、きわめて短時間で定着回転体を直接的に加熱することができることから、ハロゲンランプ等の発熱体により定着回転体を加熱する形式の定着装置に比べ、効率のよいウォーミングアップなどができる等の利点がある。
【0005】
ところで、この誘導加熱方式の定着装置では、その定着回転体の軸方向における両端側での誘電加熱により得られる温度がその軸方向における内側領域でのそれよりも相対的に低くなってしまい、定着回転体の軸方向での均一な加熱ができないという課題がある。これにより、定着回転体の軸方向における両端部とその内側領域との間で定着温度が異なることになるため、最終的には、その影響を受けて定着される画像に色むらや光沢むらが生じてしまう。
【0006】
上記軸方向での均一な加熱ができないのは、その定着装置の磁界発生装置において定着回転体の軸方向の内側領域で発生する磁束が一様な密度になるのに対し、その両端領域で発生する磁束が分散してその密度も小さくなる傾向にある。そして、一般に定着回転体の導電性層の発熱量が磁束密度の大小にほぼ正比例する関係にあるため、定着回転体はその内側領域ではほぼ一様に誘導加熱されるものの、その両端領域では内側領域に比べて誘導加熱される度合いが小さくなってしまうことによるものである。
【0007】
そこで、このような定着回転体の両端領域での温度低下を解消して軸方向における温度分布を改善するため、以下のような誘導加熱方式の定着装置等が提案されている。
【0008】
A)円筒状に巻かれる励磁コイルについて、その中央部(内側領域)で疎となるように巻きまわし、その両側領域で密となるように巻きまわした熱ローラ装置(特許文献1)。
B)円筒状に巻かれる励磁コイルについて、その巻き密度を変えず、その両端部における巻き径を中央部における巻き径よりも大きい形成とした定着装置(特許文献2)。
C)磁性コアについて、定着ロールとしての金属製中空ロールの内部に設置し、そのロールの端部域と磁性コアとの間の距離がロール中央部域と磁性コアとの間の距離よりも小さくなるようにした定着装置(特許文献3)。
D)磁性コアについて、その軸方向の両端部が中央部よりも比透磁率の高い異なる材料で形成した定着装置(特許文献4)。
【0009】
【特許文献1】特開2000−29332号公報(請求項1、図1など)
【特許文献2】特開平8−179647号公報(請求項1、図1など)
【特許文献3】特開平9−62132号公報(請求項2、図9など)
【特許文献4】特開2002−221864号公報(請求項3、図3など)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような各提案の誘導加熱方式の定着装置等においても、以下のような問題がある。
【0011】
上記A)およびB)の装置では、コイルの巻き密度または巻き径を長手方向にそって途中で変化させるように作製する必要があるためその量産性に劣り、コイル等のコスト低減を図ることが困難である。
【0012】
また、上記C)の装置では、端部に位置する磁性コアの外径を大きくする必要があるため定着ロールの小径化などが困難となり、しかも、その端部から中央部にかけて外径を徐々に変化させる形状の磁性コアが複雑なものでありその製作コストも増加する。また、金属製の定着ロールの端部においてコアとの距離が小さくなるため、定着稼動時に共振が起こり、その共振に起因した騒音やコアの損傷等が発生するおれがある。
【0013】
さらに、上記D)の装置では、材料の異なる少なくとも2種以上のコアを使用することになるため、コストの低減が困難となる。
【0014】
この他にも、従来の誘導加熱方式の定着装置にあっては、上記したような定着回転体の軸方向での両端部での加熱が低下するため、その定着回転体のうちで内側領域となる中央部のみを定着領域として使用するように構成し、定着画像の軸方向における両端部での加熱不足による悪影響を受けないようにする対策も考えられる。しかし、この場合には、定着回転体の上記定着領域として使用しない両端部領域についても誘導加熱することになるため、その分、余分な加熱を行うことにより電力の損失が発生してしまう。
【0015】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、定着回転体等のような回転体を誘導加熱してトナーからなる像を加熱する場合、その回転体を誘導加熱させる電磁界を生成するための励磁コイルやコアの複雑化や製造コストアップを招くことなく、より簡易な構成で回転体の軸方向における均一な加熱を実現することができる像加熱装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明(第1発明)の像加熱装置は、導電性層を有する円筒状または無端ベルト状の回転体と、この回転体の周面近傍にその軸方向に沿って並んだ状態で設置される4以上の分割コアとこれら分割コイル群を囲んだ状態で配置される励磁コイルを有し、その回転体を誘導加熱させるための電磁界を生成する磁界生成装置とを備え、この磁界生成装置にて誘導加熱される前記回転体によりトナーからなる像を加熱する像加熱装置を前提とするものであって、前記分割コア群は、前記軸方向における両端に設置される端部分割コアとその端部分割コア間に設置される内側分割コアとに分類した場合、その端部分割コアの当該軸方向に沿う長さが内側分割コアの当該軸方向に沿う長さよりも長い関係となるように設定されていることを特徴とするものである。
【0017】
この場合、各分割コイルどうしの間隔については、任意に設定することも可能であるが、好ましくはいずれも同じ長さに設定する。また、その各分割コイルの外観形状や材質などについてもいずれも同じ条件に設定することが好ましい。上記端部分割コアの長さは、適宜設定することができるが、一般には内側分割コアの長さに対して1.25〜2.0倍の長さ、より好ましくは1.25〜1.5倍の長さに設定するとよい。
【0018】
この第1発明の像加熱装置によれば、磁界生成装置における端部分割コアの長さを内側分割コアの長さよりも長くしているので、その端部分割コアを通して発生する磁束が内側分割コアを通して発生する磁束に比べると多く集中するようになり、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、その回転体の端部領域での加熱温度の低下がなくなり、その軸方向における温度分布の均一化が図られる。
【0019】
また、本発明(第2発明)の像加熱装置は、第1発明の前提とする前記像加熱装置と同様であって、前記分割コア群は、前記軸方向における両端に設置される端部分割コアとその端部分割コア間に設置される内側分割コアとに分類した場合、その端部分割コアとその隣の内側分割コアの間隔が内側分割コアどうしの間隔よりも短い関係となるように設定されていることを特徴とするものである。
【0020】
この場合、各分割コイルどうしの軸方向に沿う長さについては、任意に設定することも可能であるが、好ましくはいずれも同じ長さに設定する。また、その各分割コイルの外観形状や材質などについてもいずれも同じ条件に設定することが好ましい。上記端部分割コアの内側分割コアとの間隔は、適宜設定することができるが、一般には内側分割コアどうしの間隔に対して0.5倍以下の長さ、より好ましくは0(接触した状態)以上であってかつ0.25倍以下の長さに設定するとよい。
【0021】
この第2発明の像加熱装置によれば、磁界生成装置における端部分割コアの内側分割コアとの間隔を内側分割コアどうしの間隔よりも短くしているので、その端部分割コアを通して発生する磁束が内側分割コアを通して発生する磁束に比べると多く集中するようになり、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、その回転体の端部領域での加熱温度の低下がなくなり、その軸方向における温度分布の均一化が図られる。
【0022】
さらに、本発明(第3発明)の像加熱装置は、第1発明の前提とする前記像加熱装置と同様であって、前記分割コア群は、前記軸方向における両端に設置される端部分割コアとその端部分割コア間に設置される内側分割コアとに分類した場合、その端部分割コアの当該軸方向に沿う長さが内側分割コアの当該軸方向に沿う長さよりも長い関係となるように設定されているとともに、その端部分割コアとその隣の内側分割コアの間隔が内側分割コアどうしの間隔よりも短い関係となるように設定されていることを特徴とするものである。
【0023】
この場合、上記端部分割コアの長さについては、適宜設定することができるが、前述した第1発明と同様の数値範囲内で設定するとよい。また、上記端部分割コアの内側分割コアとの間隔については、適宜設定することができるが、前述した第2発明と同様の数値範囲内で設定するとよい。
【0024】
この第3の像加熱装置によれば、磁界生成装置における端部分割コアの長さを内側分割コアの長さよりも長くしているとともに当該端部分割コアの内側分割コアとの間隔を内側分割コアどうしの間隔よりも短くしているので、その端部分割コアを通して発生する磁束が内側分割コアを通して発生する磁束に比べると多く確実に集中するようになり、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、その回転体の端部領域での加熱温度の低下がなくなり、その軸方向における温度分布の均一化が図られる。
【0025】
また、このような第1〜第3の各像加熱装置における前記分割コア群は、前記回転体の軸方向における両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分が加熱対象の像の当該軸方向における最大領域の両端部よりも内側に位置する関係となるように設置するとよい。
【0026】
この場合、その最大温度部分は、回転体の両端側において磁束が集中する位置にほぼ相応する。このため、その磁束集中位置が像の最大領域の両端部よりも内側、好ましくは両端部よりも10mm程度内側に位置するように構成すればよい。このような構成を採用することにより、像の最大領域の両端部よりも外側となる回転体の領域を必要以上に誘導加熱することがなくなり、余分な電力損失の発生を低減できるようになる。
【0027】
ここで、上記各発明の像加熱装置における回転体の周面とは、回転体が中空のロールや無端状ベルトである場合にはその外周面および内周面の少なくとも一方をさす。回転体の導電性層は、少なくとも誘導加熱させるための部分であり、回転体の周面にそった層状に形成される。この導電性層は、例えば鉄、ニッケル等の強磁性材料や、銅、アルミニウム等の非磁性材料にて形成することができる。
【0028】
また、分割コアは、所望の温度分布となる誘導加熱が行われるようにする観点等に基づいてその(分割)数が適宜設定されるものであり、そのうち軸方向における両端部に配置される少なくとも2つ(各端部で1つ)の分割コアが端部コアとなる。分割コアとしては、磁性コアが使用され、具体的にはソフトフェライト、アモルファス合金、積層鋼板などが使用可能である。ソフトフェライトとしては、Znフェライト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト等が使用可能であり、これらは透磁率の強さなどの特性に応じて適宜選定されたものが使用される。励磁コイルとしては、リッツ線等のような導電性線材を円筒状に巻いたものや、面内においてトラック状に巻いたものなどが使用される。
【0029】
磁界生成装置は、励磁コイルに高周波電流(例えば10k〜50kHzの交流電流)を励磁用の電源(回路)から印加することにより、分割コアを通して回転体の導電性層を貫くような電磁界を生成できるものであればよい。
【0030】
このような像加熱装置は、例えば、記録用紙等の記録媒体に形成されたトナー像を前記回転体に当接させて熱定着させる定着装置として構成したり、あるいは、感光体、中間転写体等の像担持体に形成(担持)されたトナー像を前記回転体を利用しつつ記録媒体に転写すると同時に熱定着させる転写定着装置として構成すること(この場合、回転体を像担持体として構成することも可能である)ができるが、特にこれに限定されるものではない。このような像加熱装置は、トナーからなる像を形成し、その像を記録媒体に加熱しながら転写定着又は定着する像加熱装置を備えた画像形成装置に適用することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
《実施の形態1》
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る定着装置1Aとこれを用いた画像形成装置100をそれぞれ示す概略構成図である。
【0032】
画像形成装置100は、公知の電子写真式によりトナー像を形成する作像装置110を備えたものである。この作像装置110は、矢印方向に回転してその表面に電位差による静電潜像が形成される感光ドラム101の周囲に、その感光ドラム101の表面をほぼ一様に帯電させる帯電装置102と、その帯電された感光ドラム101の表面に対して原稿読取装置や外部接続機器(例えばパーソナルコンピュータなど)等から入力される画像情報に応じて変調した光Mを照射することにより静電潜像を形成する露光装置103と、トナーをそれぞれ収容し、そのトナーにより感光ドラム101上の静電潜像を現像してトナー像Tとする現像装置104と、感光ドラム101上のトナー像を記録用紙Pに転写させる転写装置105と、転写後の感光ドラム101の表面を清掃するクリーニング装置106等を設置したものである。
【0033】
この画像形成装置100では、以下のようにして記録用紙Pにトナー像Tが形成される。まず、矢印方向に回転する感光ドラム101が帯電装置102によって所定の表面電位に一様に帯電された後、その感光ドラム101に露光装置103から画像情報に応じた光Mが照射されて静電潜像が形成される。続いて、感光ドラム101上の静電潜像は、現像装置104から供給されるトナーにより現像されてトナー像Tとなる。次いで、このトナー像Tは、所定のタイミングで一点鎖線矢印の方向にむけて供給される記録用紙Pに対して転写装置105により転写される。転写後の感光ドラム101は、その表面がクリーニング装置105によって清掃されて次の画像形成プロセスに供される。そして、この未定着のトナー像Tが転写された記録用紙Pは、定着装置1Aに搬送される。
【0034】
定着装置1Aは、図1等に示すように、回転可能に支持された円筒状の加熱ロール11と、この加熱ロール11にその軸(回転する際の中心線)方向とほぼ平行に圧接して回転するように支持された加圧ロール12と、加熱ロール11の中空内部に配置されてそのロール11(の導電性芯金)を誘導加熱する電磁誘導加熱装置20Aとを備えている。
【0035】
加熱ロール11は、導電性を有する金属製の円筒状芯金11aと、この円筒状芯金11aの上に積層された表面離型層11bとで構成されている。また、この加熱ロール11は、図3に示すように、その両端部においてフランジ13および軸受け14を介して本体フレーム15に回転可能に支持されているとともに、図示しない駆動モータの回転動力が伝達されて矢印方向に回転駆動するようになっている。
【0036】
円筒状芯金11aは、例えば鉄、磁性ステンレス、ニッケルなどの磁性金属またはこれら主体の合金を、厚さが200μ〜1mmとなるように中空円筒形状に形成したものである。この芯金11aの材質については、電磁誘導により十分に発熱するような固有抵抗値となるように選択設定される。実施形態1では、芯金11aとして厚さ0.5mmの鋼によって形成したものを使用している。表面離型層11bは、厚さ30μm程度の離型性の高いシート又はコート層にて形成したものであり、例えばフッ素樹脂層にて構成することができる。
【0037】
加圧ロール12は、金属製の円筒状芯金12aの表面に、スポンジやゴムなどの弾性層12bと、更にその弾性層表面にフッ素樹脂等からなる離型層12cとを形成してなるものである。この加圧ロール12は、加熱ロール11との圧接により、その加熱ロール11との間に定着対象の記録用紙Pを定着時に導入して通過させるための定着ニップ部Nを形成する。また、この加圧ロール12は、加熱ロール11に対して接離可能に変位する機構を備えている。
【0038】
電磁誘導加熱装置20Aは、図1や図3に示すように、加熱ロール11の中空内部に同軸上に支持されたコイル支持部材としての円筒状のコイルボビン21と、このコイルボビン21の外周面に巻き回された励磁コイル22と、この励磁コイル22を巻いたコイルボビン21の内部に加熱ロール11の軸方向Oにそって並べて設置された複数の磁性分割コア25と、励磁コイル22に高周波の交流電流を供給する励磁回路28とでその主要部が構成されている。
【0039】
コイルボビン21は、加熱ロール21の内周面とは隔離された状態で本体フレーム15に支持固定されている。このボビン21は、耐熱性のある非磁性材料を用いて円筒形状に形成されている。その非磁性材料としては、ポリカーボネイト、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂や、耐熱性ガラス、液晶ポリマー等が用いられる。この実施形態1では、コイルボビン22として、上記PPSを用いて外径が16mmで肉厚が2mmの円筒形に形成してなるボビンを使用した。
【0040】
励磁コイル22は、図3、4等に示すように、導電性線材として個々に絶縁された(絶縁材料で被覆された)複数本の導電線を撚りあわせて束ねた1本のリッツ線を、コイルボビン21の外周面に複数回螺旋状に巻き回わし、そのリッツ線の両端部22a,22bを引き出した状態にしたものである。リッツ線としては、例えば、1本の直径が0.1〜0.3mm程度からなる20〜40本の導電線を撚り合わせてなる線外径が直径2〜6mm程度のリッツ線が使用される。この実施形態1では、励磁コイルとして直径が0.3mm程度で30本の導線をより合わせてなる直径が2mm程度のリッツ線を用い、これをコイルボイン21に対して120回ほど巻きまわしたものを使用した。また、励磁コイル22は、加熱ロール11の内周面との間隔が2.5mm程度となるように設定されている。
【0041】
磁性分割コア25は、そのいずれも同じ外径からなる円柱状のソフトフェライトにて形成されている(図1)。この実施形態では、磁性分割コア25としてMn−Znソフトフェライトからなる直径11mmの円柱形状のコアブロックを使用した。また、各分割コア25は、コイルボビン21の内周面との間隔がいずれも0.5mm程度となるように設定されている。
【0042】
また、この分割コア25は、加熱ロール11の軸方向Oに沿って並べて設置したときに、図5に示すように、その軸方向Oにおける両端に設置される2つの端部分割コア25a,25bの軸方向Oに沿う長さWa,Wbが、その端部分割コア25a,25bの間に設置される複数の内側分割コア25c,25d,25e,…の軸方向Oに沿う長さWc,Wd,We,…よりも長くなるように形成されている。内側分割コア25c,25d,25e,…どうしの各長さWc,Wd,We,…は、互いに同じ長さに設定されている(Wc=Wd=We=,…)。この場合、端部分割コアの長さは、内側分割コアの長さに対して1.25〜2.0倍の長さに設定されている。この実施形態1では、端部分割コアの長さWa,Wbを30mm、内側分割コアの長さをいずれも20mmに設定した。
【0043】
また、この2つの端部分割コアと複数の内側分割コアからなる磁性分割コア25群は、そのいずれもが加熱ロール11の軸方向Oにそって同じ間隔L(この例では2mm)をあけた状態で設置されている。内側分割コアの数は、コア全体として必要な軸方向Oの全長に応じて適宜選定されるが、例えば十数個程度に設定されている。この実施形態1では、コア全体の所要長さが約330mmであることから、内側分割コアの数を12個とした。なお、内側分割コアどうしの長さについては、必要に応じて、内側分割コアの長さよりも短いことを前提にして、その全部または一部が異なる長さに設定しても構わない。
【0044】
このような磁性分割コア25群は、図4cに示すように、各コア25を上記位置関係を保つ状態で並べたうえで、その周囲を前述したPPS等のような耐熱性樹脂27を用いて閉じ込めるような状態にモールドして全体が1本の円柱棒のごとき形態となるように一体化し、その一体化されたものをコイルボビン21の円筒空間内に差し入れた後、そのボビン21の両端部に位置決め部材を兼ねた蓋体29を嵌め込むことによって、ボビン21内の所定位置に支持固定されている。
【0045】
前記励磁コイル22は、その両端部22a,22bが励磁回路28に接続されている。励磁回路28は、10〜50kHz程度の高周波電流を出力できるものであり、たとえば商用電源の交流を整流してからインバータ回路で高周波の電流に変化させるように構成したものが使用される。これにより、定着時には、この励磁回路28から励磁コイル22に所定の高周波電流が印加されるようになっている。
【0046】
また、この電磁誘導加熱装置20Aでは、その励磁コイル22および両端分割コア25a,25bを、加熱ロール11の軸方向Oにおける両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分が定着対象のトナー像の当該軸方向Oにおける最大画像領域の両端部よりも内側に位置するように設置している。
【0047】
この実施形態1では、図5に示すように、電磁誘導加熱装置20Aにより誘導加熱される加熱ロール11の表面温度を測定し、その測定結果に基づいて、加熱ロール11の端部での最高温度部分が最大画像領域(画像形成装置100側で使用する記録用紙Pの送り方向最大サイズに応じて設定される画像領域)Eの端部よりも内側になるように、その励磁コイル22および両端分割コア25a,25bの設置位置を調整することで対応している。
【0048】
次に、この定着装置1Aによる定着動作について説明する。
【0049】
定着装置1Aは、画像形成装置100の画像形成動作が開始されるタイミングに合わせて、その加熱ロール11および加圧ロール12が回転するとともに、加熱ロール11が電磁誘電加熱装置20により誘電加熱される。この状態にある定着装置1Aにおける加熱ロール11と加圧ロール12との間の定着ニップ部Nに対し、前述した未定着のトナー像Tを担持する記録用紙Pが導入されて通過する。この定着ニップ部Nを通過する際に、トナー像Tは加熱加圧されて記録用紙Pに溶融した状態で圧着される。これにより、そのトナー像Tは記録用紙Pに定着される。
【0050】
この定着時において加熱ロール11の誘導加熱は、電磁誘導加熱装置20Aの励磁回路28から励磁コイル22に高周波の交流電流が印加されることにより行われる。すなわち、この高周波電流が励磁コイル22に印加されると、図6に示すように、分割コア25群を通過しつつ加熱ロール11におよぶ磁束からなる電磁界が円筒状の励磁コイル22の軸方向(矢印C方向)に沿って生成消滅を繰り返すように発生する。これと同時に、加熱ロール11では、その電磁界の変化を妨げる磁界を形成するように円筒芯金11aの周方向に渦電流(G)が発生し、その芯金11aの表皮抵抗に比例してジュール熱が発生する。これにより、加熱ロール11の外周面が所定の定着温度(例えば170〜190℃)まで加熱される。
【0051】
そして、この定着装置1Aにおいては、電磁誘導加熱装置20Aにおける端部分割コア25a,25bの長さを内側分割コア25c,25d,…の長さよりも長い寸法に設定しているので、その端部分割コア25a,25bを通して発生する磁束が内側分割コアを通して発生する磁束に比べて多く集中し、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、加熱ロール11の端部側の領域で発生する渦電流(G)もその内側領域に比べて多くなるため、その端部側領域での誘電加熱による加熱温度が低下することがなくなり、軸方向Oにおける温度分布がほぼ均一になる(図5)。
【0052】
この結果、加熱ロール11の軸方向Oにおける両端部側領域とその内側領域との間で加熱温度(ロール表面温度)が大幅に異なることはなくなりほぼ均一化されるため、トナー像が軸方向Oにおいて加熱むらなくほぼ等しく加熱されるようになり、色むらや光沢むらのない均質な定着画像が得られる。
【0053】
また、この定着装置1Aにおいては、電磁誘導加熱装置20Aにおける励磁コイル22および両端分割コア25a,25bを、加熱ロール11の軸方向Oにおける両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分がトナー像Tの当該軸方向Oにおける最大画像領域Eの両端部よりも内側に位置するように設置しているので、その最大画像領域Eの両端部よりも外側となる加熱ロール11の端部領域(特に記録用紙Pが通過する最大の領域:最大通紙領域よりも外側領域)を必要以上に誘導加熱することがなくなる(図5)。これにより、加熱ロール11の不要な端部領域での誘導加熱が行われない分だけ電力損失の発生を低減することができる。
【0054】
ちなみに、加熱ロール11の両端側における上記最大温度部分が最大画像領域Eの両端部よりも外側に位置するように設置した場合には、図7に2点鎖線Qで示すように、加熱ロール11の最大通紙領域の端部よりも外側部分についても余分に誘導加熱することとなり、その分、電力の損失が発生してしまう。また、上記最大温度部分は、それ以外の平均的な温度部分の温度に対して10℃程度高い温度である。また、その平均的な温度部分は、所定の定着温度の下限許容温度(図5)よりも15℃程度高い温度である。
【0055】
さらに、この定着装置1Aでは、電磁誘導加熱装置20Aにおける磁性コアとして複数個に分割した分割コイル25を使用しているため、小さいサイズの汎用品を用いて分割コイル25群を構成することができる。また、必要に応じて、その各分割コイル25の間隔を適宜選定することにより励磁コイル22のインダクタンスを所望の値に調整することが可能となる。
【0056】
参考までに、この実施形態1における電磁誘導加熱装置20Aの分割コイル25どうしの間隔と励磁コイル22のインダクタンスとの関係を図8に示す。この図8に示す特性は、前記電磁誘導加熱装置20Aにおいて分割コア25どうしの間隔Lを少しずつ変えつつ、その励磁コイル22に25kHzの測定用周波数からなる高周波電流を印加したときのインダクタンスをLCZ測定器にて測定した結果である。なお、図8においてコア間の間隔が「0mm」とは、各分割コア25どうしを接触した状態を示す。また、この分割コア25群全部に相当する1つ(一体)の磁性コアを使用してインダクタンスを同様に測定したところ、そのインダクタンスは160μHとなった。
【0057】
また、この定着装置1Aにおいては、加熱ロール11の両端側領域での加熱温度の低下を防止する観点からすると、分割コア25のうち内側分割コアの長さを前述したように20mmにした場合、端部分割コアの長さについては25〜40mmの範囲内で設定することが可能である。
【0058】
《実施の形態2》
図9〜11は本発明の実施の形態2に係る定着装置1Bの要部を示すものであり、図9は加熱ロールおよび電磁誘導加熱装置を示す概略構成図、図10は励磁コイルと分割コア等を示す構成図、図11は電磁誘導加熱装置の構成と加熱ロールの加熱状態との関係を示す説明図である。
【0059】
この定着装置1Bは、電磁誘導加熱装置における分割コア群について一部変更した以外は実施形態1に係る定着装置1A(図1、2)と同じ構成からなるものである(共通する部分には同じ符号を付しており、その説明については原則省略する)。すなわち、実施形態2では、図10〜11等に示すように、電磁誘導加熱装置20Bの分割コア25群における端部分割コア25a,25bの長さWa,Wbと内側分割コア25c,25d,25e,…の長さWc,Wd,We,…とをいずれも同じ長さに設定したうえで、その端部分割コア25a,25bとその隣の内側分割コア25c,25hとの間隔La,Lbを、その内側分割コア25c,25d,25e,…どうしの間隔L(この例ではいずれも同じLc)よりも短い寸法に設定している。
【0060】
この場合、上記端部分割コアの間隔La,Lbについては、内側分割コアどうしの間隔Lcに対して0.5倍以下の寸法に設定している。この実施形態2では、各分割コアの長さWa,Wb,Wc,Wd,We,…をすべて20mmにしたうえで、端部分割コアの間隔La,Lbをいずれも0.5mm、内側分割コアどうしの間隔Lcを2.0mmに設定した。
【0061】
また、この定着装置1Bにおいても、その励磁コイル22および両端分割コア25a,25bを、加熱ロール11の軸方向Oにおける両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分が定着対象のトナー像の当該軸方向Oにおける最大画像領域の両端部よりも内側に位置するように設置している。
【0062】
そして、この定着装置1Bによれば、実施形態1に係る定着装置1Aと同様の動作により定着処理を行うことができる。
【0063】
特に、この定着装置1Bにおいては、電磁誘導加熱装置20Bにおける端部分割コア25a,25bの間隔La,Lbを内側分割コアどうしの各間隔Lcよりも短い寸法に設定しているので、その端部分割コア25a,25bおよびその隣の内側分割コア25c,25hを通して発生する磁束がさらにその内側に設置される残りの内側分割コア25d,…25gを通して発生する磁束に比べて多く集中し、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、加熱ロール11の端部側の領域で発生する渦電流(H)もその内側領域に比べて多くなるため(図6参照)、図11に示すように、その端部側領域での誘電加熱による加熱温度が低下することがなくなり軸方向Oにおける温度分布がほぼ均一になる。
【0064】
この結果、加熱ロール11の軸方向における両端部側領域とその内側領域との間で加熱温度(ロール表面温度)が大幅に異なることがなくなってほぼ均一化されるため、実施形態1の場合と同様に、トナー像が軸方向において加熱むらなくほぼ等しく加熱されるようになり、色むらや光沢むらのない均質な定着画像が得られる。
【0065】
また、この定着装置1Bにおいても、実施の形態1に係る定着装置1Aの場合と同様に、その電磁誘導加熱装置20Bにおける励磁コイル22および両端分割コア25a,25bを、加熱ロール11の軸方向における両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分がトナー像Tの当該軸方向における最大画像領域Eの両端部よりも内側に位置するように設置している。このため、その最大画像領域Eの両端部よりも外側となる加熱ロール11の端部領域を必要以上に誘導加熱することがない(図11)。これにより、加熱ロール11の不要な端部領域での誘導加熱が行われない分だけ電力損失の発生を低減することができる。
【0066】
さらに、この定着装置1Bでも、電磁誘導加熱装置20Bにおける磁性コアとして複数個に分割した分割コイル25を使用しているため、小さいサイズの汎用品を用いて分割コイル25群を構成することができる。特にこの実施形態2では、分割コア25として同一の寸法形状のものを複数使用する構成であるためコストの面で有利である。また、必要に応じて、その各分割コイル25の間隔を適宜選定することにより励磁コイル22のインダクタンスを所望の値に調整することが可能となる。
【0067】
また、この定着装置1Bにおいては、加熱ロール11の両端側領域での加熱温度の低下を防止する観点からすると、内側分割コアどうしの間隔Lcを前述のとおり2.0mmにした場合、端部分割コア25a,25bの間隔La,Lbについてはその内側分割コアどうしの間隔Lcに対して0〜1.0mmの範囲内で設定することが可能である。
【0068】
この場合、端部分割コアの間隔La,Lbを「0mm」に設定するとは、端部分割コアとその隣の内側分割コアとを接触させた状態である。このため、外観上は端部分割コアとその隣の内側分割コアとが一体化されたような端部コアとなり、その他の内側分割コアに比べると2倍の長さのものとなるが、そのインダクタンス自体は当初から2倍の長さに形成された端部コアと比べた場合、僅かに小さい値のものとなる。
【0069】
また、このように軸方向の端部側に設置する分割コアとして別体の分割コアどうしを接触した状態で設置して電磁誘導加熱装置20Bを構成した場合には、実施の形態1における電磁誘導加熱装置20Bの分割コア25群の構成と外観上ほぼ同じ内容および作用効果が得られるものとすることができる。このことから、端部分割コアとして、当初から所定の長さを有する一体のものを用意して使用することに代えて、例えば長さが短い複数の分割コアを接触させて所定の長さになるように一体化させたものを代替的に使用すれば、コストの面で有利になることもある。
【0070】
《実施の形態3》
図12は本発明の実施の形態3に係る定着装置の要部を示す説明図である。この定着装置は、電磁誘導加熱装置における分割コア25について実施形態1、2の各構成を組み合わせたこと以外は実施形態1、2に係る定着装置1A,1Bとほぼ同じ構成からなるものである(共通する部分には同じ符号を付しており、その説明については原則省略する)。
【0071】
つまり、図12に示すように、電磁誘導加熱装置におけるその端部分割コア25a,25bの長さを実施形態1の場合と同様に内側分割コア25c,25d,…の長さよりも長い寸法に設定するとともに(図5)、その端部分割コア25a,25bとその隣の内側分割コアの間隔La,Lbを実施形態2の場合と同様に内側分割コアどうしの各間隔Lcよりも短い寸法に設定した(図11)。
【0072】
この実施形態3では、端部分割コア25a,25bの長さWa,Wbを20mm、内側分割コア25c,25d,…の長さWc,Wd,…をすべて15mm、内側分割コアどうしの間隔Lcを1.5mm、端部分割コアの間隔La,Lbをいずれも0〜1mmとした。
【0073】
そして、この定着装置によって、実施形態1、2に係る定着装置と同様の動作により定着処理を行うことができる。
【0074】
特に、この定着装置においては、電磁誘導加熱装置20における端部分割コア25a,25bについて上記のように構成しているため、その端部分割コア25a,25bおよびその隣の内側分割コア25c,25hを通して発生する磁束がさらにその内側に設置される残りの内側分割コア25d,…25gを通して発生する磁束に比べて多く集中し、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、加熱ロール11の端部側の領域で発生する渦電流(H)もその内側領域に比べて多くなるため(図6参照)、図12に示すように、その端部側領域での誘電加熱による加熱温度が低下することがなくなり軸方向における温度分布がほぼ均一になる。また、この他にも、実施形態1、2で説明したような効果が同様に得られる。
【0075】
《実施の形態4》
図13〜15は本発明の実施の形態4に係る定着装置を示すものであり、図13は定着装置1Cの要部の概略構成図、図14は加熱ロールおよび電磁誘導加熱装置の一部を示す概略斜視図、図15は励磁コイルと分割コア等を示す構成図である。
【0076】
この定着装置1Cは、電磁誘導加熱装置における励磁コイルおよび分割コア郡を加熱ロールの外周面側に配置した以外は実施形態1に係る定着装置1Aとほぼ同じ構成からなるものである(共通する部分には同じ符号を付しており、その説明については原則省略する)。
【0077】
すなわち、実施形態4では、電磁誘導加熱装置20Cとして、加熱ロール11の外周面側に同軸上に対向して設置されたコイル支持部材としての断面円弧状のコイルホルダ23と、このコイルホルダ23の内側面に軸方向に沿う中央空き領域を確保するようにトラック型に巻き回された励磁コイル24と、この励磁コイル24の上記中央空き領域に加熱ロール11の軸方向にそって並べて設置された複数の磁性分割コア26と、励磁コイル26に高周波の交流電流を供給する励磁回路28とでその主要部が構成されている。
【0078】
コイルホルダ23は、加熱ロール21の外周面とは隔離された状態で図示しない本体フレームに支持固定されている。また、このコイルホルダ23は、実施の形態1等におけるコイルボビン21と同様の耐熱性のある非磁性材料を用いて形成されている。この実施形態4では、コイルホルダ23としてPPSを用いて外径が50mmで肉厚が2mmの円筒の一部を構成するような曲面板状に形成したものを使用した。また、このホルダ23は、その内側面が加熱ロール11の外周面に対して1.5mm程度の間隔をあけた状態で設置した。
【0079】
励磁コイル24は、図14、15等に示すように、リッツ線をコイルホルダ22の内側面に複数回トラック型を形成するように螺旋状に巻き回わし、そのリッツ線の両端部24a,24bを引き出した状態にしたものである。この励磁コイルの両端部22a,22bは、励磁回路28に接続されている。また、コイル24は、加熱ロール11の内周面との間隔が1.5mm程度となるように設定されている。この実施形態4では、励磁コイル24として、直径が0.3mm程度で30本の導線をより合わせてなる直径が2mm程度のリッツ線を用い、これをコイルホルダ23に対して中央部に40×300mm程度の空きスペースを確保するようにトラック型に10周ほど巻きまわしたものを使用した。このコイル24は、コイルホルダ23に対して耐熱性接着剤により接着して固定されている。
【0080】
磁性分割コア26は、そのいずれも同じ長方体状のソフトフェライトにて形成されている(図13等)。この実施形態4では、磁性分割コア26としてMn−Znソフトフェライトからなる幅(加熱ロールの軸方向と直交する方向に沿う長さ)が20mm程度、厚さが5mm程度の厚板状のコアブロックを使用した。また、各分割コア26は、コイルホルダ22の内周面との間隔がいずれも2mm程度となるように設定されている。
【0081】
また、この分割コア26は、実施の形態1における分割コア25の場合と同様に、加熱ロール11の軸方向に沿って並べて設置したときに、図15に示すように、その軸方向における両端に設置される2つの端部分割コア26a,26bの軸方向に沿う長さWa,Wbが、その端部分割コア26a,26bの間に設置される複数の内側分割コア26c,26d,26e,…の軸方向に沿う長さWc,Wd,We,…よりも長くなるように形成されている。一方、内側分割コア26c,26d,26e,…どうしの各長さWc,Wd,We,…は、互いに同じ長さに設定されている(Wc=Wd=We=,…)。この場合、端部分割コアの長さは、内側分割コアの長さに対して1.25〜2.0倍の長さに設定されている。この実施形態4では、端部分割コアの長さWa,Wbを30mm、内側分割コアの長さをいずれも20mmに設定した。
【0082】
また、この2つの端部分割コアと複数の内側分割コアからなる磁性分割コア26群は、そのいずれもが加熱ロール11の軸方向にそって同じ間隔L(この例では2mm)をあけた状態で設置されている。内側分割コアの数は、コア全体として必要な軸方向の全長に応じて適宜選定されるが、例えば十数個程度に設定されている。この実施形態1では、コア全体の所要長さが約330mmであることから、内側分割コアの数を12個とした。このような分割コア26群は、PPS等のような耐熱性樹脂により覆うようにしてモールドして1本の棒のごとき形態にしたうえで、コイルホルダ23の内側面に支持固定されている。
【0083】
また、この電磁誘導加熱装置20Cでは、その励磁コイル24および両端分割コア26a,26bを、加熱ロール11の軸方向における両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分が定着対象のトナー像の当該軸方向における最大画像領域Eの両端部よりも内側に位置するように設置している。
【0084】
そして、この定着装置1Cによれば、定着時に加熱ロール11と加圧ロール12との間の定着ニップ部Nに未定着トナー像Tを担持する記録用紙Pが導入されて通過することで、実施形態1に係る定着装置1Aと同様の動作により定着処理を行うことができる。
【0085】
この定着装置1Cにおける加熱ロール11の誘導加熱は、電磁誘導加熱装置20Cの励磁回路28から高周波電流が励磁コイル24に印加されると、図16に示すように、分割コア26群を通過しつつ加熱ロール11を貫くようにおよぶ磁束(H)からなる電磁界が生成消滅を繰り返すように発生する。これと同時に、加熱ロール11では、その電磁界の変化を妨げる磁界を形成するように導電性層である円筒芯金11aに渦電流(G)が発生し、その芯金11aの表皮抵抗に比例してジュール熱が発生する。これにより、加熱ロール11の外周面が所定の定着温度まで加熱される。
【0086】
特に、この定着装置1Cにおいては、電磁誘導加熱装置20Cにおける端部分割コア26a,26bの長さを内側分割コア26c,26d,…の長さよりも長い寸法に設定しているので、その端部分割コア26a,26bを通して発生する磁束が内側分割コアを通して発生する磁束に比べて多く集中し、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、加熱ロール11の端部側の領域で発生する渦電流(G)もその内側領域に比べて多くなるため、図17に示すように、そのロール端部側領域での誘電加熱による加熱温度が低下することがなくなり、軸方向における温度分布がほぼ均一になる。
【0087】
この結果、加熱ロール11の軸方向における両端部側領域とその内側領域との間で加熱温度(ロール表面温度)が大幅に異なることはなくなりほぼ均一化されるため、トナー像が軸方向において加熱むらなくほぼ等しく加熱されるようになり、色むらや光沢むらのない均質な定着画像が得られる。
【0088】
また、この定着装置1Cにおいても、実施形態1に係る定着装置1Cと同様に、その最大画像領域Eの両端部よりも外側となる加熱ロール11の端部領域を必要以上に誘導加熱することがなく(図17)、これにより加熱ロール11の不要な端部領域での誘導加熱が行われない分だけ電力損失の発生を低減することができる。この他にも、この定着装置1Cによれば、前述したような実施形態1に係る定着装置1Cの場合と同様の構成上の変更を行ったり、またその場合と同様の効果を得ることができる。
【0089】
《実施の形態5》
図18〜19は本発明の実施の形態5に係る定着装置の要部を示すものであり、図18はその定着装置における電磁誘導加熱装置の要部を示す概略構成図、図19は電磁誘導加熱装置の構成と加熱ロールの加熱状態との関係を示す説明図である。
【0090】
この定着装置1Dは、電磁誘導加熱装置における分割コア群について一部変更した以外は実施形態4に係る定着装置1C(図13、14)と同じ構成からなるものである(共通する部分には同じ符号を付しており、その説明については原則省略する)。すなわち、実施形態5では、図18等に示すように、電磁誘導加熱装置20Dの分割コア26群における端部分割コア26a,26bの長さWa,Wbと内側分割コア26c,26d,26e,…の長さWc,Wd,We,…とをいずれも同じ長さに設定したうえで、その端部分割コア26a,26bとその隣の内側分割コア26c,26hとの間隔La,Lbを、その内側分割コア26c,26d,26e,…どうしの間隔L(この例ではいずれも同じLc)よりも短い寸法に設定している。
【0091】
この場合、上記端部分割コアの間隔La,Lbについては、内側分割コアどうしの間隔Lcに対して0.5倍以下の寸法に設定している。この実施形態5では、各分割コアの長さWa,Wb,Wc,Wd,We,…をすべて20mmにしたうえで、端部分割コアの間隔La,Lbをいずれも0.5mm、内側分割コアどうしの間隔Lcを2.0mmに設定した。
【0092】
また、この定着装置1Dにおいても、その励磁コイル22および両端分割コア25a,25bを、加熱ロール11の軸方向における両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分が定着対象のトナー像の当該軸方向における最大画像領域の両端部よりも内側に位置するように設置している。
【0093】
そして、この定着装置1Dによれば、実施形態4に係る定着装置1Cと同様の動作により定着処理を行うことができる。
【0094】
特に、この定着装置1Dにおいては、電磁誘導加熱装置20Dにおける端部分割コア26a,26bの間隔La,Lbを内側分割コアどうしの各間隔Lcよりも短い寸法に設定しているので、その端部分割コア26a,26bおよびその隣の内側分割コア26c,26hを通して発生する磁束がさらにその内側に設置される残りの内側分割コア26d,…26gを通して発生する磁束に比べて多く集中し、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、加熱ロール11の端部側の領域で発生する渦電流(G)もその内側領域に比べて多くなるため、図19に示すように、そのロール端部側領域での誘電加熱による加熱温度が低下することがなくなり軸方向における温度分布がほぼ均一になる。
【0095】
この結果、加熱ロール11の軸方向における両端部側領域とその内側領域との間で加熱温度(ロール表面温度)が大幅に異なることがなくなってほぼ均一化されるため、実施形態4の場合と同様に、トナー像が軸方向において加熱むらなくほぼ等しく加熱されるようになり、色むらや光沢むらのない均質な定着画像が得られる。
【0096】
また、この定着装置1Dにおいても、実施形態4に係る定着装置1Cと同様に、その最大画像領域Eの両端部よりも外側となる加熱ロール11の端部領域を必要以上に誘導加熱することがなく(図19)、これにより加熱ロール11の不要な端部領域での誘導加熱が行われない分だけ電力損失の発生を低減することができる。この他にも、この定着装置1Dによれば、前述したような実施形態1,4に係る定着装置1A,1Cの場合と同様の電磁誘導加熱装置20に関する構成上の変更を行ったり、またその場合と同様の効果を得ることができる。
【0097】
《実施の形態6》
図20は本発明の実施の形態6に係る定着装置の要部を示す説明図である。この定着装置は、電磁誘導加熱装置における分割コア25について実施形態3、4の各構成を組み合わせたこと以外は実施形態3、4に係る定着装置1C,1Dとほぼ同じ構成からなるものである(共通する部分には同じ符号を付しており、その説明については原則省略する)。
【0098】
つまり、図20に示すように、電磁誘導加熱装置におけるその端部分割コア25a,25bの長さを実施形態4の場合と同様に内側分割コア26c,26d,…の長さよりも長い寸法に設定するとともに(図15、17)、その端部分割コア26a,26bとその隣の内側分割コアの間隔La,Lbを実施形態5の場合と同様に内側分割コアどうしの各間隔Lcよりも短い寸法に設定した(図18、19)。
【0099】
この実施形態6では、端部分割コア26a,26bの長さWa,Wbを20mm、内側分割コア26c,26d,…の長さWc,Wd,…をすべて15mm、内側分割コアどうしの間隔Lcを1.5mm、端部分割コアの間隔La,Lbをいずれも0〜1mmとした。
【0100】
そして、この定着装置によれば、実施形態4、5に係る定着装置と同様の動作により定着処理を行うことができる。
【0101】
特に、この定着装置においては、電磁誘導加熱装置20における端部分割コア26a,26bについて上記のように構成しているため、その端部分割コア26a,26bおよびその隣の内側分割コア26c,26hを通して発生する磁束がさらにその内側に設置される残りの内側分割コア26d,…26gを通して発生する磁束に比べて多く集中し、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、加熱ロール11の端部側の領域で発生する渦電流(H)もその内側領域に比べて多くなるため、図20に示すように、その端部側領域での誘電加熱による加熱温度が低下することがなくなり軸方向における温度分布がほぼ均一になる。また、この他にも、実施形態4、5で説明したような効果が同様に得られる。
【0102】
《実施の形態7》
図21は本発明の実施の形態7に係る転写定着装置3とそれを用いた画像形成装置200を示す概略構成図である。
【0103】
画像形成装置200は、公知の電子写真式によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、イアン(C)およびブラック(K)の4色のトナー像を専用に形成する作像装置110(Y,M,C,K)を備えたものである。この作像装置110(Y,M,C,K)は、所定の間隔をあけて直列の状態に配置されており、そのいずれも実施形態1における作像装置110(図2)と基本的に同じ構成のものであって、その各作像装置の現像装置104にそれぞれ収容されるトナーが上記4色のいずれかである点で少し異なる程度である。
【0104】
また、画像形成装置200は、その作像装置110(Y,M,C,K)の転写位置となる感光ドラム101と転写装置105の間を通過するように周回する無端状の中間転写ベルト120が設置されている。この中間転写ベルト120は、図示しない駆動源により回転駆動する駆動ロール130と、従動回転する支持ロール131と、転写定着装置3の第1ロール31とに張架されて矢印方向に回転する。中間転写ベルト120は、図22に示すように、無端状のベルト基材121と、その上に積層された導電層122と、最も上層となる表面離型層123との少なくとも3層を備えている。図21中の符号135は中間転写ベルト130の外周面を清掃するためのクリーニング装置である。
【0105】
このうちベルト基材121は、厚さ10〜100μmのシート状に形成された耐熱性に優れたものであり、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルファン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等に代表される耐熱性の高い合成樹脂に、カーボンブラック等の導電材を分散したものが使用される。導電層122は、例えば銅等の金属材料等により厚さ0.05〜50μmの薄層状に形成したものであり、メッキ処理等の方法により基材121上に積層形成される。表面離型層123は、トナー像に対する離型性を有する合成樹脂等で厚さが1〜50μm程度になるように形成されるものである。
【0106】
一方、転写加熱装置3は、トナー像の記録用紙Pへの転写定着を行う転写定着位置において中間転写ベルト130を支持するように従動回転する前記第1ロール31と、このロール31に支持された中間転写ベルト130の外周面に圧接して従動回転する第2ロール32と、第1ロール31と第2ロール32の間の転写定着ニップ部Mよりもベルト回転方向上流側でベルト外周面側に設置されて中間転写ベルト120を誘電加熱する電磁誘導加熱装置20Eとで構成されている。
【0107】
第1ロール31は、加熱源を備えていない一般的な金属製のロールであるが、必要に応じてハロゲンランプ等の加熱源を備えた加熱ロールであってもよい。第2ロール32は、加圧ロールとして機能するものであり、実施形態1等に係る定着装置における加圧ロール12と同じロール構造になっている。
【0108】
電磁誘導加熱装置20Eは、基本的に実施形態4、5における電磁誘導加熱装置20C,20Dとほぼ同じ構成からなるものである。
【0109】
具体的には、中間転写ベルト120の外周面側にベルト幅方向(ベルト回転方向と直交する方向、支持ロール等の軸方向)にそって対向して設置されたコイル支持部材としての平板状のコイルホルダ23と、このコイルホルダ23の内側面にトラック型に巻き回された励磁コイル24と、この励磁コイル24の中央空き領域に中間転写ベルト120の幅方向にそって並べて設置された複数の磁性分割コア26と、励磁コイル26に高周波の交流電流を供給する励磁回路28とでその主要部が構成されている。そして、この電磁誘導加熱装置20Eでは、その磁性分割コア26について実施形態4、5のいずれか一方と同じ構成(図15又は図18)を採用している。
【0110】
次に、この転写加熱装置3を備えた画像形成装置200の動作について説明する。
【0111】
フルカラー画像を形成する場合を例にして説明すると、まず作像装置110(Y,M,C,K)において実施形態1で説明したようなプロセスを同様に経て各感光ドラム101に各色のトナー像がそれぞれ形成される。次いで、各作像装置110(Y,M,C,K)の感光ドラム101に形成された各トナー像は、転写装置105により中間転写ベルト120に重ね合わせるような状態で順次転写される。中間転写ベルト120に転写されたトナー像Tは、そのベルトの回転により転写定着装置3がある転写定着位置にむけて搬送される。
【0112】
転写定着装置3では、図23に示すように、中間転写ベルト120上のトナー像Tが電磁誘導加熱装置20Eを通過するタイミングに合わせて作動して中間転写ベルトを誘導加熱する。
【0113】
このときの中間転写ベルト120の誘導加熱は、電磁誘導加熱装置20Eの励磁回路28から高周波電流が励磁コイル24に印加されると、分割コア26群を通過しつつ中間転写ベルト120(の導電層122)を貫くようにおよぶ磁束(H)からなる電磁界が生成消滅を繰り返すように発生する(図16)。これと同時に、中間転写ベルト120では、その電磁界の変化を妨げる磁界を形成するように導電性層である導電層122に渦電流(G)が発生し、その導電層122の表皮抵抗に比例してジュール熱が発生する。これにより、中間転写ベルト120の外周面が所定の転写定着温度(定着温度とほぼ同じ)まで加熱される。
【0114】
これにより、中間転写ベルト120上のトナー像Tは、電磁誘導加熱装置20Eのある位置を通過するときに、加熱された中間転写ベルト120により加熱された状態となり、そのまま転写定着装置3の第1ロール31および第2ロールで形成される転写定着ニップ部Mに突入する。また、このタイミングに合わせて記録用紙Pが、その転写定着ニップ部Mにむけて導入されるように搬送される。この結果、その転写定着ニップ部Mにおいて中間転写ベルト120上の加熱された状態のトナー像Tと記録用紙Pとが加圧されつつ重ね合わせられるため、そのトナー像Tが記録用紙P側に転移すると同時に熱定着される。このようにして転写定着装置3によるトナー像Tの記録用紙Pへの転写定着が行われる。この転写定着後の記録用紙Pは、転写定着ニップ部Mを通過して装置外等へ排出される。
【0115】
特に、転写定着装置3の電磁誘導加熱装置20Cにおける分割コア26について、実施形態4における分割コア26のように、その端部分割コア26a,26bの長さを内側分割コア26c,26d,…の長さよりも長い寸法に設定する構成(図15)を採用した場合には、実施形態3の場合とほぼ同様に、その端部分割コア26a,26bを通して発生する磁束が内側分割コアを通して発生する磁束に比べて多く集中し、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、中間転写ベルト120の幅方向における端部側の領域で発生する渦電流(G)もその内側領域に比べて多くなるため、そのロール端部側領域での誘電加熱による加熱温度が低下することがなくなって軸方向における温度分布がほぼ均一になる。
【0116】
また、その電磁誘導加熱装置20Cにおける分割コア26について、実施形態5における分割コアのように、端部分割コア26a,26bの間隔La,Lbを内側分割コアどうしの各間隔Lcよりも短い寸法に設定する構成(図18)を採用した場合には、実施形態4の場合とほぼ同様に、その端部分割コア26a,26bおよびその隣の内側分割コア26c,26hを通して発生する磁束がさらにその内側に設置される残りの内側分割コア26d,…26gを通して発生する磁束に比べて多く集中し、その磁束密度も相対的に大きくなる。これにより、中間転写ベルト120の幅方向における端部側の領域で発生する渦電流(G)もその内側領域に比べて多くなるため、そのロール端部側領域での誘電加熱による加熱温度が低下することがなくなって軸方向における温度分布がほぼ均一になる。
【0117】
いずれの構成を採用した場合にも、その結果として、中間転写ベルト120の幅方向における両端部側領域とその内側領域との間で加熱温度(ベルトの表面温度)が大幅に異なることがなくなってほぼ均一化されるため、実施形態4、5の場合と同様に、トナー像が軸方向において加熱むらなくほぼ等しく加熱されるようになり、最終的に色むらや光沢むらのない均質な定着画像が得られる。
【0118】
また、この転写定着装置3においても、電磁誘導加熱装置20Eにおける励磁コイル23および両端分割コア26a,26bを、中間転写ベルト120の幅方向における両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分がトナー像Tの当該幅方向における最大画像領域Eの両端部よりも内側に位置するように設置している。これにより、その最大画像領域Eの両端部よりも外側となる中間転写ベルト120の端部領域(特に記録用紙Pが通過する最大の領域:最大通紙領域よりも外側領域)を必要以上に誘導加熱することがなくなる。この結果、中間転写ベルト120の不要な端部領域での誘導加熱が行われない分だけ電力損失の発生を低減することができる。
【0119】
なお、この実施形態7に係る転写定着装置3は、上記電磁誘導加熱装置20Eにおける分割コア26について実施形態6における分割コア26と同様の構成(実施形態4、5を組み合わせた構成)を採用してもよい。
【0120】
また、実施形態7に係る転写定着装置3は、上記電磁誘導加熱装置20Eに代えてまたはそれに加えて、その第1ロール31を実施形態1〜6のように電磁誘導加熱する加熱ロール11として構成してもよい。
【0121】
つまり、その第1ロール31について、実施形態1〜3のいずれかにおける電磁誘導加熱装置20A,20Bと組み合わせた加熱ロール11のように構成(図1、図3〜5、図9〜12)するか、あるいは、実施形態4〜6のいずれかにおける電磁誘導加熱装置20C,20Dと組み合わせた加熱ロール11のように構成する(図13〜14、図15〜16、図18〜20)。
【0122】
《他の実施形態》
実施形態1〜6における定着装置1A〜1Eにおける加熱ロール11に代えて、ベルト状の(電磁誘導可能な導電性層のある)加熱ベルトを使用してもよい。また、実施形態7における画像形成装置200では、中間転写ベルト120に代えて、ドラム状の(電磁誘導可能な導電性層のある)中間転写ドラムを使用してもよい。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、定着回転体等のような回転体を誘導加熱してトナーからなる像を加熱する場合、その回転体を誘導加熱させる電磁界を生成させるための複数の分割コアのうち端部コアの軸方向における長さを長くしたり、端部のコアの隣の内側コアとの間隔を短くしたり、あるいは、それを組み合わせることにより、より簡易な構成で回転体の軸方向における均一な加熱を実現することができる。また、この発明は、励磁コイルとして特殊なものを使用する必要がなく、コアの長さを変えるとか、コアどうしの間隔を変えるという極めて簡易な構成を採用しているため、励磁コイルやコアの複雑化や製造コストアップを招くことなく有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1(2〜3)に係る定着装置の要部を示す概略構成図。
【図2】実施形態1等に係る定着装置を使用する画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図3】実施形態1における加熱ロールと電磁誘導加熱装置を示す概略構成図。
【図4】(a)は実施形態1における励磁コイルとコイルボビンを示す側面図、(b)は(a)のB−B線概略断面図、(c)はコアの取り付け支持構造を示す概略断面図。
【図5】実施形態1における電磁誘導加熱装置の構成と加熱ロールの加熱温度との関係を示す説明図。
【図6】実施形態1における加熱ロールの誘導加熱の原理を示す説明図。
【図7】誘導加熱による端部最大温度部分と加熱ロールの表面温度との関係を示すグラフ。
【図8】分割コア間の間隔と励磁コイルのインダクタンスとの関係を示す相関図。
【図9】実施形態2における加熱ロールと電磁誘導加熱装置を示す概略構成図。
【図10】(a)は実施形態2における励磁コイルとコイルボビンを示す側面図、(b)は(a)のB−B線概略断面図。
【図11】実施形態2における電磁誘導加熱装置の構成と加熱ロールの加熱温度との関係を示す説明図。
【図12】実施形態3における電磁誘導加熱装置の構成と加熱ロールの加熱温度との関係を示す説明図。
【図13】実施形態4(5〜6)に係る定着装置の要部を示す概略構成図。
【図14】実施形態4における加熱ロールと電磁誘導加熱装置を示す概略斜視図。
【図15】実施形態4における電磁誘導加熱装置を示す概略構成図。
【図16】実施形態4等における加熱ロール(中間転写ベルト)の誘導加熱の原理を示す説明図。
【図17】実施形態4における電磁誘導加熱装置の構成と加熱ロールの加熱温度との関係を示す説明図。
【図18】実施形態5における電磁誘導加熱装置を示す概略構成図。
【図19】実施形態5における電磁誘導加熱装置の構成と加熱ロールの加熱温度との関係を示す説明図。
【図20】実施形態6における電磁誘導加熱装置の構成と加熱ロールの加熱温度との関係を示す説明図。
【図21】実施形態7等に係る定着装置を使用する画像形成装置の要部を示す概略構成図。
【図22】中間転写ベルトの層構造を示す要部断面図。
【図23】電磁誘導加熱方式の転写定着装置の動作を示す説明図。
【符号の説明】
1A,1B,1C,1D…定着装置(像加熱装置)、3…転写定着装置(像加熱装置)、11…加熱ロール(回転体)、20A,20B,20C,20D,20E…電磁誘導加熱装置(磁界生成装置)、22,23…励磁コイル、25,26…分割コア、25a,25b,26a,26b…端部分割コア、25c,25d,〜,26c,26d,〜…内側分割コア、O…軸方向、T…トナー像、Wa,Wb…端部分割コアの長さ、Wc,Wd,〜…内側分割コアの長さ、La,Lb…端部分割コアの間隔、Lc…内側分割コアどうしの間隔。
Claims (4)
- 導電性層を有する円筒状または無端ベルト状の回転体と、
この回転体の周面近傍にその軸方向に沿って並んだ状態で設置される4以上の分割コアとこれら分割コイル群を囲んだ状態で配置される励磁コイルを有し、その回転体を誘導加熱させるための電磁界を生成する磁界生成装置とを備え、
この磁界生成装置にて誘導加熱される前記回転体によりトナーからなる像を加熱する像加熱装置であって、
前記分割コア群は、前記軸方向における両端に設置される端部分割コアとその端部分割コア間に設置される内側分割コアとに分類した場合、その端部分割コアの当該軸方向に沿う長さが内側分割コアの当該軸方向に沿う長さよりも長い関係となるように設定されていることを特徴とする像加熱装置。 - 導電性層を有する円筒状または無端ベルト状の回転体と、
この回転体の周面近傍にその軸方向に沿って並んだ状態で設置される4以上の分割コアとこれら分割コイル群を囲んだ状態で配置される励磁コイルを有し、その回転体を誘導加熱させるための電磁界を生成する磁界生成装置とを備え、
この磁界生成装置にて誘導加熱される前記回転体によりトナーからなる像を加熱する像加熱装置であって、
前記分割コア群は、前記軸方向における両端に設置される端部分割コアとその端部分割コア間に設置される内側分割コアとに分類した場合、その端部分割コアとその隣の内側分割コアの間隔が内側分割コアどうしの間隔よりも短い関係となるように設定されていることを特徴とする像加熱装置。 - 導電性層を有する円筒状または無端ベルト状の回転体と、
この回転体の周面近傍にその軸方向に沿って並んだ状態で設置される4以上の分割コアとこれら分割コイル群を囲んだ状態で配置される励磁コイルを有し、その回転体を誘導加熱させるための電磁界を生成する磁界生成装置とを備え、
この磁界生成装置にて誘導加熱される前記回転体によりトナーからなる像を加熱する像加熱装置であって、
前記分割コア群は、前記軸方向における両端に設置される端部分割コアとその端部分割コア間に設置される内側分割コアとに分類した場合、
その端部分割コアの当該軸方向に沿う長さが内側分割コアの当該軸方向に沿う長さよりも長い関係となるように設定されているとともに、その端部分割コアとその隣の内側分割コアの間隔が内側分割コアどうしの間隔よりも短い関係となるように設定されていることを特徴とする像加熱装置。 - 前記分割コア群は、前記回転体の軸方向における両端側で誘導加熱により最大の温度となる最大温度部分が加熱対象の像の当該軸方向における最大領域の両端部よりも内側に位置する関係となるように設置されている請求項1〜3のいずれかに記載の像加熱装置。
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