本発明の加熱装置、定着装置、及び画像形成装置の第1実施形態を図面に基づき説明する。
図1には、画像形成装置としてのプリンタ10が示されている。プリンタ10は、プリンタ10の本体を構成する筐体12に光走査装置40が固定されており、光走査装置40に隣接する位置に、光走査装置40及びプリンタ10の各部の動作を制御する制御ユニット44が設けられている。
光走査装置40は、光源(図示省略)から出射された光ビームを回転多面鏡(ポリゴンミラー)で走査し、反射ミラー等の複数の光学部品で反射して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び ブラック(K)の各トナーに対応した光ビーム42Y、42M、42C、42Kを出射するようになっている。光ビーム42Y、42M、42C、42Kは、それぞれ対応する各感光体20Y、20M、20C、20Kに導かれる。
プリンタ10の下方側には、記録用紙Pを収納する用紙トレイ14が設けられている。用紙トレイ14の上方には、記録用紙Pの先端部位置を調整する一対のレジストロール16が設けられている。また、プリンタ10の中央部には、画像形成ユニット18が設けられている。画像形成ユニット18は、前述の4つの感光体20Y、20M、20C、20Kを備えており、これらが上下一列に並んでいる。
感光体20Y、20M、20C、20Kの回転方向上流側には、感光体20Y、20M、20C、20Kの表面を帯電する帯電ローラ22Y、22M、22C、22Kが設けられている。また、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転方向下流側には、Y、M、C、Kの各トナーをそれぞれ感光体20Y、20M、20C、20K上に現像する現像器24Y、24M、24C、24Kが設けられている。
一方、感光体20Y、20Mには第1中間転写体26が接触し、感光体20C、20Kには第2中間転写体28が接触している。そして、第1中間転写体26、第2中間転写体28には第3中間転写体30が接触している。第3中間転写体30と対向する位置には、転写ロール32が設けられている。これにより、転写ロール32と第3中間転写体30との間を記録用紙Pが搬送され、第3中間転写体30上のトナー像を記録用紙Pに転写させる。
記録用紙Pが搬送される用紙搬送路34の下流には、定着装置50が設けられている。定着装置50は、定着ベルト52と加圧ロール54を有しており、記録用紙Pを加熱・加圧してトナー像を記録用紙Pに定着させる。トナー像が定着された記録用紙Pは、用紙搬送ロール36でプリンタ10の上部に設けられたトレイ38に排出される。
ここで、プリンタ10の画像形成について説明する。
画像形成が開始されると、各感光体20Y〜20Kの表面が帯電ローラ22Y〜22Kによって一様に帯電される。そして、光走査装置40から出力画像に対応した光ビーム42Y〜42Kが、帯電後の感光体20Y〜20Kの表面に照射され、感光体20Y〜20K上に各色分解画像に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像に対して、現像器24Y〜24Kが選択的に各色、すなわちY〜Kのトナーを付与し、感光体20Y〜20K上にY〜K色のトナー像が形成される。
その後、マゼンタ用の感光体20Mから第1中間転写体26にマゼンタのトナー像が一次転写される。また、イエロー用の感光体20Yから第1中間転写体26にイエローのトナー像が一次転写され、第1中間転写体26上で前記マゼンタのトナー像に重ね合わされる。
一方、同様にブラック用の感光体20Kから第2中間転写体28にブラックのトナー像が一次転写される。また、シアン用の感光体20Cから第2中間転写体28にシアンのトナー像が一次転写され、第2中間転写体28上で前記ブラックのトナー像に重ね合わされる。
第1中間転写体26へ一次転写されたマゼンタとイエローのトナー像は、第3中間転写体30へ二次転写される。一方、第2中間転写体28へ一次転写されたブラックとシアンのトナー像も、第3中間転写体30へ二次転写される。ここで、先に二次転写されているマゼンタ 、イエローのトナー像と、シアン、ブラックのトナー像とが重ね合わされ、カラー(3色)とブラックのフルカラートナー像が第3中間転写体30上に形成される。
二次転写されたフルカラートナー像は、第3中間転写体30と転写ロール32との間のニップ部に達する。そのタイミングに同期して、レジストロール16から記録用紙Pが当該ニップ部に搬送され、記録用紙P上にフルカラートナー像が三次転写(最終転写)される。
この記録用紙Pは、その後、定着装置50に送られ、定着ベルト52と加圧ロール54とのニップ部を通過する。その際、定着ベルト52と加圧ロール54とから与えられる熱と圧力との作用により、フルカラートナー像が記録用紙Pに定着される。定着後、記録用紙Pは用紙搬送ロール36によりトレイ38に排出され、記録用紙Pへのフルカラー画像形成が終了する。
次に、本実施形態に係る定着装置50について説明する。なお、本実施形態では、定着装置50の耐熱温度240℃、定着設定温度170℃と設定している。
図2に示すように、定着装置50は、記録用紙Pの進入又は排出を行うための開口56A、56Bが形成された筐体56を備えている。筐体56の内部には、無端状の定着ベルト52が設けられている。定着ベルト52の両端部には、円筒状で回転軸を備えたキャップ部材(図示省略)が嵌合固定されており、該回転軸を中心として、定着ベルト52が回転可能に支持されている。また、一方のキャップ部材には、定着ベルト52を回転駆動するモータ(図示省略)に接続されるギヤが接着されている。ここで、モータが作動すると、定着ベルト52は矢印A方向へ回転する。
定着ベルト52の外周面と対向する位置には、絶縁性の材料で構成されたボビン58が配置されている。ボビン58は、定着ベルト52の外周面に倣った略円弧状に形成されており、定着ベルト52とは反対側の面の略中央部から凸部58Aが突設されている。ボビン58と定着ベルト52との間隔は1〜3mm程度となっている。
ボビン58には、通電によって磁界Hを発生する励磁コイル60が、凸部58Aを中心として軸方向(図2の紙面奥行き方向)に複数回巻き回されている。励磁コイル60と対向する位置には、ボビン58の円弧状に倣って略円弧状に形成された第1磁路形成部材62が配置され、ボビン58に支持されている。
第1磁路形成部材62は、例えば、鉄やニッケル、クロム、マンガンなど代表される強磁性金属材料やそれらの合金、ならびにこれらの酸化物などを用いれば良く、渦電流損やヒステリシス損が小さくなるように選択すればよい。渦電流損やヒステリシス損が小さい材料としては、ソフトフェライトや酸化物系の軟質磁性金属材料などがあり、ここでは、第1磁路形成部材62として、ソフトフェライトを用いている。
なお、図2中の磁界Hの磁路は、後述する第2磁路形成部材74の温度が、透磁率変化開始温度より低い温度の状態(第2磁路形成部材74が強磁性体である状態)を表しており、第2磁路形成部材74の温度が透磁率変化開始温度以上になったときは、後述する誘導体76を通るようにして拡大される。
ここで、図3に示すように、第1磁路形成部材62は、定着ベルト52の幅方向(矢印X方向)に沿って予め決められた間隔で配置された複数の第1磁性コア62Aと第2磁性コア62Bとで構成されている。第1磁性コア62Aの幅はd1となっており、第2磁性コア62Bの幅は、第1磁性コア62Aの幅d1よりも大きい幅d2となっている。なお、第2磁性コア62Bは、矢印X方向において、後述するサーモスタット92A、92Bと同じ位置となっている。
次に、定着ベルト52の構成について説明する。
図4(a)に示すように、定着ベルト52は、内側から外側に向けて基層64、発熱層66、弾性層68、及び離型層70で構成されており、これらが積層され一体となっている。また、定着ベルト52は、直径が30mm、幅方向長さが300mmとなっている。
基層64としては、薄い発熱層66を支持する強度を有し、耐熱性があり、磁界(磁束)を貫通しつつ、磁界の作用により発熱しないか、又は発熱しにくい材料を適宜選ぶことができる。例えば、厚みが30〜200μm(好ましくは50〜150μm)の金属ベルト(非磁性金属として例えば非磁性ステンレススチール)や、Fe、Ni、Co、又はこれらの合金Fe−Ni−Co、Fe−Cr−Co等からなる金属材料で構成されたベルトや、厚みが60〜200μmの樹脂ベルト(例えばポリイミドベルト)等が挙げられ、いずれの場合においても励磁コイル60の磁束が後述する第2磁路形成部材74(図2参照)まで作用するように適宜材料(固有抵抗、比透磁率)、厚さを決定する。本実施形態では、非磁性ステンレスを用いている。
発熱層66は、前述の磁界Hを打ち消す磁界を生成するように渦電流が流れる電磁誘導作用により発熱する金属材料で構成される。また、発熱層66は、磁界Hの磁束を貫通させるために、磁界Hが侵入可能な厚さである表皮深さよりも薄く構成される必要がある。ここで、表皮深さをδとし、発熱層66の固有抵抗をρn、比透磁率をμn、励磁コイル60における信号(電流)の周波数をfとすると、δは(1)式で表される。
発熱層66に用いられる金属材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、ベリリウム、アンチモン、又はこれらの合金の金属材料を用いることができる。なお、定着装置50のウォームアップ時間を短くするためにも、発熱層66の厚さは、できるだけ薄くした方がよい。
ここで、発熱層66として、汎用電源が活用できる交流周波数20kHz〜100kHzの範囲において、厚さ2〜20μm、固有抵抗2.7×10−8Ωcm以下の非磁性金属(比透磁率が概ね1の常磁性体)材料を用いることが好ましい。このため、本実施形態では、必要な発熱量を効率よく得ることが可能な観点と、低コストの観点から、発熱層66に厚さ10μmの銅を用いている。
弾性層68は、優れた弾性と耐熱性が得られる等の観点から、シリコン系ゴム、又はフッ素系ゴムが用いられ、本実施形態ではシリコンゴムを用いている。また、本実施形態では、弾性層68の厚さを200μmとしている。なお、弾性層68の厚さは、200μm〜600μmの中で決定することが好ましい。
離型層70は、記録用紙P上で溶融されたトナーT(図2参照)との接着力を弱めて、記録用紙Pを定着ベルト52から剥離し易くするために設けられる。優れた表面離型性を得るためには、離型層70として、フッ素樹脂、シリコン樹脂、又はポリイミド樹脂が用いられ、本実施形態ではPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)を用いている。離型層70の厚さは30μmとしている。
一方、図2に示すように、定着ベルト52の内側には、定着ベルト52の内周面に倣って、非接触で定着ベルト52と対向する略円弧板状の強磁性体からなる第2磁路形成部材74が設けられている。第2磁路形成部材74は、励磁コイル60と対向配置されている。ここで、励磁コイル60から発生する磁界Hは、強磁性体である第1磁路形成部材62と、同じく強磁性体である第2磁路形成部材74とで、定着ベルト52と励磁コイル60を挿むようにして、主なる閉磁路を形成している。
また、図2に示すように、第2磁路形成部材74は、励磁コイル60より長く構成されていれば、周辺への磁束の漏れが少なくできて力率が向上できるとともに、特に定着ベルト52内部の構成部品である金属製部材への電磁誘導を防止できるため、ロスなく定着ベルト52の発熱層66を誘導加熱できる。また、第2磁路形成部材74の厚さは150μmとなっている。
また、第2磁路形成部材74は、定着ベルト52の加熱設定温度以上で、定着ベルト52の耐熱温度以下の温度領域にある透磁率変化開始温度から、透磁率が連続的に低下し始める特性を有する感温部材で構成される。具体的には、整磁鋼、非晶質合金等が用いられ、Fe、Ni、Si、B、Nb、Cu、Zr、Co、Cr、V、Mn、Moなどからなる金属合金材料で、例えば、Fe−Niの二元系整磁鋼やFe−Ni−Crの三元系整磁鋼を用いることが好ましい。本実施形態では、Fe−Ni合金を用いている。
図5に示すように、透磁率変化開始温度とは、透磁率(JIS C2531で測定)が連続的に低下し始める温度であり、磁界の磁束の貫通量が変化し始める点をいう。また、透磁率変化開始温度は、キュリー点とは異なるものであり、150℃〜230℃で設定されることが好ましい。
図3に示すように、第2磁路形成部材74は、定着ベルト52の移動方向と交差する方向である定着ベルト52の幅方向(矢印X方向)に沿って、予め決められた間隔で配置された複数の第1コア74A、第2コア74B、及び第3コア74Cとで構成されている。第1コア74A、第2コア74B、及び第3コア74Cは、平面視にて、矩形状で且つ前述の第1磁路形成部材62の間隔を埋めるように配置されている。これにより、第1磁路形成部材62と第2磁路形成部材74が千鳥配置となっている。
なお、第1コア74A、第2コア74B、及び第3コア74Cは、定着ベルト52の周方向に沿った方向の両端部において繋がっており、平板に複数のスリットを形成して円弧状に湾曲させたものと同様の形状となっている。
第1コア74Aは、矢印X方向の幅及び定着ベルト52の周方向に沿った長さが3つのコアの中で最も大きくなっている。第2コア74Bは、第1コア74Aと同じ長さで、矢印X方向の幅が第2コア74Aよりも短くなっている。第3コア74Cは、第1コア74A、第2コア74Bよりも短い長さとなっており、矢印X方向の幅は、第1コア74Aの幅よりも小さく、且つ第2コア74Bの幅より大きくなっている。
ここで、2つの第2コア74Bの間に2つの第3コア74Cが配置されており、第2磁路形成部材74の周方向の一端部(定着ベルト52の回転方向上流側)には、略矩形状の空間である切欠部96A、96Bが形成されている。この切欠部96A、96Bには、通電遮断装置であるサーモスタット92A、92Bが設けられており、サーモスタット92A、92Bの温度検出部は、定着ベルト52の内周面に近接配置されている。
図4(b)に示すように、励磁コイル60にはAC電源102を有する励磁回路110が接続され、励磁回路110には制御ユニット44が接続されている。また、サーモスタット92(92A、92B)には、DC電源104が接続され、サーモスタット92とDC電源104の間には、励磁回路110を開閉するリレー106が接続されている。
制御ユニット44は、外部(例えば、パルス入力回路)から、定着装置50の加熱許可信号(パルス信号)を受けると共に、電圧監視回路(図示省略)により、励磁回路110に供給されている交流電源電圧を監視する。励磁回路110は、AC入力を受けてリレー106の接点を介して電力が供給されたときに、電圧共振インバータ回路(スイッチングインバータ回路)により、励磁コイル60へ高周波電力を供給する。
リレー106は、定着ベルト52の内周面温度を検出するサーモスタット92を介して、その駆動巻線にDC電源(電圧)が供給されている。ここで、仮に、定着ベルト52の内周面温度が所定の温度を越えて異常昇温となったとき、サーモスタット92も昇温してその内部の接点が解放される。そして、リレー106の作動(または作動状態からの不作動)により、励磁回路110に電圧を供給するAC電源(電圧)が切断される。これにより、定着装置50の過昇温が防止される。
また、定着ベルト52の内側には、定着ベルト52内周面の温度を測定するサーミスタ94が接触して設けられており、サーミスタ94は、2つの第1コア74(図3参照)の間に挟まれるようにして配置されている。また、サーミスタ94は、定着ベルト52から与えられる熱量に応じて変化した抵抗値を温度換算することで、定着ベルト52の表面温度を間接的に予測計測する。
サーミスタ94の定着ベルト52への接触位置は、記録用紙Pのサイズの大小によって測定値が変わらないように、定着ベルト52の幅方向(図3の矢印X方向)の略中央部となっている。また、サーミスタ94は、配線を介して制御ユニット44の内部に設けられた制御回路(図示省略)に接続されている。制御ユニット44の制御回路は、配線を介して前述の励磁回路110に接続されている。
ここで、制御ユニット44の制御回路は、サーミスタ94から送られた電気量に基づいて温度換算を行い、定着ベルト52表面の温度を測定する。そして、この測定温度と、予め記憶させてある定着設定温度(本実施形態では170℃)とを比較して、測定温度が定着設定温度よりも低い場合は、励磁回路110を駆動して励磁コイル60に通電し、磁気回路としての磁界H(図2参照)を発生させる。また、測定温度が定着設定温度よりも高い場合は、励磁回路110の駆動を停止して通電を停止するようになっている。
ここで、図2に示すように、定着装置50では、励磁コイル60、定着ベルト52、第1磁路形成部材62、第2磁路形成部材74、第2磁性コア62Bによって、加熱装置としての加熱部80が構成されている。
一方、第2磁路形成部材74の内側には、誘導体76が設けられている。誘導体76は、非磁性体であるアルミニウムからなり、第2磁路形成部材74の内周面と対向する円弧部76Aと、円弧部76Aと一体で形成される柱部76Bとで構成され、両端が定着装置50の筐体56に固定されている。また、誘導体76の円弧部76Aは、磁界Hの磁束が第2磁路形成部材74を貫通した場合に、磁界Hの磁束を誘導する位置に予め配置されており、磁束を誘導することにより、定着ベルト52の発熱層66に流れる渦電流損による発熱を抑制する。
また、誘導体76は、アルミニウムのほかにも、銅や銀からなる低固有抵抗の非磁性金属を用いることができる。誘導体76と第2磁路形成部材74との間は、1.0〜5.0mm離れている。誘導体76が第2磁路形成部材74に近すぎると、第2磁路形成部材74からの伝熱により誘導体76が第2磁路形成部材の熱を奪ってしまい、第2磁路形成部材74が定着ベルト52の温度を正しく検知できなくなるので、第2磁路形成部材74と誘導体76との距離は、定着ベルト52と第2磁路形成部材74間の距離より大きいことが望ましい。
誘導体76の円弧部76Aと柱部76Bで形成される段差には、断面略レ字形状の支持部材78の平板部分が固定されている。支持部材78の曲面部分には、接着あるいはビス止めにより、第2磁路形成部材74の周方向両端部が固定されている。これにより、第2磁路形成部材74が誘導体76に支持されている。
また、誘導体76の柱部76Bの端面には、定着ベルト52を所定の圧力で外側に向けて押圧するための押圧パッド82が固定され支持されている。これにより、誘導体76と押圧パッド82をそれぞれ支持する部材を設ける必要がなく、定着装置50の小型化が可能となっている。押圧パッド82は、ウレタンゴム又はスポンジ等の弾性を有する部材で構成され、一端面が定着ベルト52の内周面と接触して定着ベルト52を押圧している。
一方、定着ベルト52の外周面には、定着ベルト52の回転に対して矢印B方向(矢印A方向と反対方向)に、定着ベルト52からの従動回転または主駆動源となり回転する加圧ロール54が圧接されている。
加圧ロール54は、アルミニウム等の金属からなる芯金86の周囲に、厚さ5mmの発泡シリコンゴムスポンジ弾性層88を設け、さらに発泡シリコンゴムスポンジ弾性層88の外側に、厚さ50μmのカーボン入りPFAからなる離型層(図示省略)を被覆した構成となっている。また、加圧ロール54は、加圧ロール54を回転可能に支持する図示しないブラケットがカムにより揺動するリトラクト機構によって、定着ベルト52の外周面と接触又は離間するようになっている。
また、定着ベルト52と加圧ロール54との接触部(ニップ部)における記録用紙Pの搬送方向下流側近傍には、剥離部材114が設けられている。剥離部材114は、一端が固定された支持部114Aと、支持部114Aに支持されている剥離シート114Bとで構成されている。剥離シート114Bの先端は、定着ベルト52に近接又は接触するように配置されている。
次に、本発明の第1実施形態の作用について説明する。まず、定着装置50の定着動作について説明する。
図1、図4(b)に示すように、前述のプリンタ10の画像形成工程を経て、トナーTが転写された記録用紙Pが定着装置50に送られる。定着装置50では、制御ユニット44によって駆動モータ(図示省略)が駆動され、定着ベルト52が回転する。このとき、制御ユニット44の制御回路からの電気信号に基づいて励磁回路110が駆動され、励磁コイル60に交流電流が供給される。
励磁コイル60に交流電流が供給されると、励磁コイル60の周囲に磁気回路としての磁界Hが生成消滅を繰り返す。そして、磁界Hが定着ベルト52の発熱層66を横切ると、磁界Hの変化を妨げる磁界が生じるように発熱層66に渦電流が発生する。発熱層66は、発熱層66の表皮抵抗、及び発熱層66を流れる渦電流の大きさに比例して発熱し、これによって定着ベルト52が加熱される。
定着ベルト52表面の温度は、サーミスタ94で検知され、定着設定温度170℃に到達していない場合は、制御ユニット44の制御回路が励磁回路110を駆動制御して励磁コイル60に所定の周波数の交流電流を通電する。また、定着設定温度に到達している場合は、制御回路が励磁回路110の駆動を停止する。
定着ベルト52が定着設定温度以上に到達した段階で、制御ユニット44がリトラクト機構を作動させ、加圧ロール54を定着ベルト52に接触させる。そして、加圧ロール54は、回転する定着ベルト52に従動して回転する。なお、定着ベルト52が駆動源となるだけの駆動剛性が不足している場合には、加圧ロール54を主駆動源として、定着ベルト52が加圧ロール54に従動する駆動形式としてもよい。
この場合、図示しない駆動源モータから複数のギア列をもって定着ベルト52側と加圧ロール54側をそれぞれ同時に駆動可能にし、定着ベルト52の駆動側にはワンウエイクラッチを設置して加圧ロール54より遅い速度で回転させておき、加圧時以降は、それより早い回転速度の加圧ロール54側が主駆動となり、定着ベルト52がワンウエイクラッチの効果により従動する構成にすればよい。
続いて、定着装置50に送り込まれた記録用紙Pは、所定の定着設定温度(170℃)となっている定着ベルト52と、加圧ロール54とによって加熱押圧され、トナー画像が記録用紙P表面に定着される。定着装置50から排出された記録用紙Pは、用紙搬送ロール36によりトレイ38に排出される。
次に、第2磁路形成部材74の作用について説明する。
図6(a)は、第2磁路形成部材74の温度が、透磁率変化開始温度以下の場合を表しており、図6(b)は、第2磁路形成部材74の温度が、透磁率変化開始温度以上の場合を表している。
図6(a)に示すように、第2磁路形成部材74の温度が透磁率変化開始温度以下の場合は、第2磁路形成部材74が強磁性体であるため、定着ベルト52を貫通した磁界Hが第2磁路形成部材74に侵入して閉磁路を形成し、磁界Hを強める。これにより、定着ベルト52の発熱層66の発熱量が十分得られ、所定の定着設定温度まで昇温される。
一方、図6(b)に示すように、第2磁路形成部材74の温度が透磁率変化開始温度以上の場合は、第2磁路形成部材74の透磁率が低下するため、定着ベルト52を貫通した磁界Hが、第2磁路形成部材74も貫通して誘導体76に向かう。このとき、磁束密度が低下して磁界Hが弱まるとともに、磁界Hが容易に貫通して閉磁路を形成できなくなる。これにより、磁束が誘導体76に到達して、渦電流が発熱層66より誘導体76に多く流れるようになるため、発熱層66の発熱量が低減され、定着ベルト52の昇温の度合いが低下する。
次に、第1磁路形成部材62及び第2磁路形成部材74の作用について説明する。
図7に示すように、第1磁路形成部材62と第2磁路形成部材74の間では、幅広の第2磁性コア62Bが配置されている部分の磁界HBが、幅狭の第1磁性コア62Aが配置されている部分の磁界HAよりも磁束が集まり磁束密度が高くなって、磁界が強くなる。これにより、第2磁性コア62Bと対向する部位での定着ベルト52の発熱層66の発熱量が増加し、この部位での定着ベルト52の温度が、他の部位での温度よりも高くなる。
ここで、図8(a)には、定着ベルト52の周方向位置(移動位置)における定着ベルト52の温度のグラフA、Bが示されている。グラフAは、第2磁性コア62B(図7参照)と対向する部位での定着ベルト52の温度グラフであり、グラフBは、第1磁性コア62A(図7参照)と対向する部位での定着ベルト52の温度グラフである。なお、定着ベルト52の温度T3が、ニップ部で必要とされる定着設定温度であり、周方向位置P2は、周方向位置P1よりも定着ベルト52の回転方向下流側で、定着ベルト52と励磁コイル60が対向しなくなる位置となっている。
図8(a)に示すように、定着ベルト52の第1磁性コア62Aと対向する部位では、周方向位置P1で温度T2、周方向位置P2で温度T3というように、ほぼ同様の変化率で温度が上昇する。
一方、定着ベルト52の第2磁性コア62Bと対向する部位では、第2磁路形成部材74に切欠部96A、96B(図7参照)が形成されており、この部分で磁界Hが弱まるため、発熱量が低下する。これにより、上流側の周方向位置P1では、温度T1(T1<T2)となる。
ここで、定着ベルト52の第2磁性コア62Bと対向する部位では、周方向位置P1からP2までの間で、他の部位よりも定着ベルト52の温度上昇率が高くなるため、周方向位置P2では、他の部位と同様の温度T3まで上昇する。このようにして、定着ベルト52の幅方向の温度は、ニップ部に進入する前にほぼ均等にT3に均され、温度ムラが抑制される。
図9には、定着装置50において、ニップ部進入手前位置における定着ベルト52の幅方向位置と定着ベルト52の温度の関係が示されている。グラフAは、第1磁路形成部材62(図7参照)において、幅広の第2磁性コア62Bを設けたときの温度を表しており、グラフBは、比較例として、第1磁路形成部材62において、全て幅狭の第1磁性コア62Aを設けたときの温度を表している。
なお、サーモスタット92は、定着ベルト幅方向位置−50mm付近に1箇所だけ設けられている。また、サーミスタ94は、定着ベルト幅方向位置+110mm付近に1箇所設けられており、グラフA、Bにおいて、+110mm付近に温度低下が見られるのは、サーミスタ94の接触によるものである。グラフA、Bの複数のピークは、第1磁路形成部材62の配置位置とほぼ合致している。
図9に示すように、全て幅狭の第1磁性コア62Aを設けたグラフBでは、定着ベルト幅方向位置−50mm付近に温度低下が見られた。一方、定着ベルト幅方向位置−50mm付近に幅広の第2磁性コア62Bを設けたグラフAでは、定着ベルト52の幅方向で温度分布にほとんど差が見られなかった。
図10(a)には、第1実施形態の定着装置50の他の実施例として、定着装置120が示されている。定着装置120は、定着装置50の第1磁路形成部材62の第2磁性コア62Bに換えて、第3磁性コア62Cを設けたものである。第3磁性コア62Cは、第1磁性コア62Aと同じ大きさ(幅、長さが同じ)となっているが、含有するソフトフェライトの量が第1磁性コア62Aよりも多くなっており、第1磁性コア62Aよりも透磁率が高くなっている。
ここで、図10(b)に示すように、定着装置120において、第1磁路形成部材62(62A、62C)と第2磁路形成部材74(74A〜74C)の間では、ソフトフェライトの含有量が多い第3磁性コア62Cが配置されている部分の磁界HCが、幅狭の第1磁性コア62Aが配置されている部分の磁界HAよりも磁束が集まり、磁束密度が高くなって、磁界が強くなる。このため、第3磁性コア62Cと対向する部位での定着ベルト52の発熱層66の発熱量が増加し、この部位での定着ベルト52の温度上昇率が高くなる。このようにして、定着ベルト52の幅方向の温度は、ニップ部に進入する前にほぼ均等に均され、温度ムラが抑制される。
次に、本発明の加熱装置、定着装置、及び画像形成装置の第2実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部品には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図11には、第2実施形態としての定着装置130が示されている。定着装置130は、前述の定着装置50(図2参照)の第1磁路形成部材62に換えて第1磁路形成部材132を設け、さらに、第2磁路形成部材74に換えて、第2磁路形成部材136と発熱体138を設けた構成となっている。
第1磁路形成部材132は、ソフトフェライトで構成された断面略円弧状の部材であり、ボビン58に支持されている。また、第1磁路形成部材132は、前述の第1磁路形成部材62の第1磁性コア62A、第2磁性コア62B(図3参照)と同様に、定着ベルト52の幅方向に沿って予め決められた間隔で配置された複数の第1磁性コア132Aと第2磁性コア132Bとで構成されている。
図11及び図12に示すように、第2磁性コア132Bは、第1磁性コア132Aと同様の幅となっているが、周方向でサーモスタット92よりも下流側(直近)の部位のみが励磁コイル60に向けて突出しており、凸部133が形成されている点が第1磁性コア132Aと異なる。なお、凸部133の反対側には、凸部133の突出量と同じ深さの凹部134が形成されており、第2磁性コア132Bの径方向の厚さが、周方向で同等となっている。
第2磁路形成部材136は、定着ベルト52の内側で内周面に倣って、励磁コイル60と対向配置されている。また、第2磁路形成部材136は、Fe−Ni合金で構成されており、定着ベルト52の幅方向に沿って、予め決められた間隔で複数の第1コア136A、第2コア136B、第3コア136Cが配置された構成となっている。
第1コア136A〜第3コア136Cの配置は、第1実施形態における第2磁路形成部材74の第1コア74A〜第3コア74Cと同様の千鳥配置となっている。また、第2磁路形成部材136の周方向の一端部(定着ベルト52の回転方向上流側)には、略矩形状の空間である切欠部139A、139Bが形成され、サーモスタット92が設けられている。
発熱体138は、断面円弧状で内周面が第2磁路形成部材136の外周面に接着されており、外周面が定着ベルト52の内周面と接触している。また、発熱体138は、通電によって発熱する抵抗体であり、前述の制御ユニット44(図1参照)で通電回路(図示省略)が駆動されることで通電され、発熱するようになっている。なお、発熱体138は、サーモスタット92の位置に開口部(図示省略)が形成されており、サーモスタット92は、この開口を通して定着ベルト52の内周面と対向配置されている。
ここで、図2に示すように、定着装置130では、励磁コイル60、定着ベルト52、第1磁路形成部材132、第2磁路形成部材136、及び凸部133によって、加熱装置としての加熱部137が構成されている。
次に、本発明の第2実施形態の作用について説明する。
図12に示すように、第1磁路形成部材132と第2磁路形成部材136の間では、励磁コイル60に近接している第2磁性コア132Bが配置されている部分の磁界HEが、第2磁性コア132Bよりも励磁コイル60から遠くに配置されている第1磁性コア132Aの磁界HDよりも磁束が集まり、磁束密度が高くなって、磁界が強くなっている。これにより、第2磁性コア132Bと対向する部位での定着ベルト52の発熱層66の発熱量が増加し、この部位での定着ベルト52の温度が、他の部位での温度よりも高くなる。
ここで、図8(b)には、定着ベルト52の周方向位置(移動位置)における定着ベルト52の温度のグラフC、Dが示されている。グラフCは、第2磁性コア132B(図12参照)と対向する部位での定着ベルト52の温度グラフであり、グラフDは、第1磁性コア132A(図12参照)と対向する部位での定着ベルト52の温度グラフである。
なお、定着ベルト52の温度T3が、ニップ部で必要とされる定着設定温度であり、周方向位置P2は、周方向位置P1よりも定着ベルト52の回転方向下流側で、定着ベルト52と励磁コイル60が対向しなくなる位置となっている。また、周方向位置P3は、凸部133の周方向下流側端部と対向する位置に相当する。
図8(b)に示すように、定着ベルト52の第1磁性コア132Aと対向する部位では、周方向位置P1で温度T2、周方向位置P3で温度T4、周方向位置P2で温度T3というように、ほぼ同様の変化率で温度が上昇する。
一方、定着ベルト52の第2磁性コア132Bと対向する部位では、第2磁路形成部材136に切欠部139A、139B(図12参照)が形成されており、この部分で磁界Hが弱まるため、発熱量が低下する。これにより、上流側の周方向位置P1では、温度T1(T1<T2)となる。
ここで、定着ベルト52の第2磁性コア132Bと対向する部位で、切欠部139A、139Bを除く周方向下流側の領域では、他の部位よりも定着ベルト52の温度上昇率が高くなり、周方向位置P3では、他の部位と同様の温度T4まで上昇する。このようにして、定着ベルト52の幅方向の温度は、ニップ部に進入する前にほぼ均等にT3に均され、温度ムラが抑制される。
図13には、第2実施形態の定着装置130の他の実施例として、定着装置140が示されている。定着装置130は、前述の定着装置50(図2参照)の第1磁路形成部材62に換えて第1磁路形成部材142を設け、さらに、第2磁路形成部材74に換えて、第2磁路形成部材146を設けた構成となっている。
第1磁路形成部材142は、ソフトフェライトで構成された断面略円弧状の部材であり、ボビン58に支持されている。また、第1磁路形成部材142は、前述の第1磁路形成部材62の第1磁性コア62A、第2磁性コア62B(図3参照)と同様に、定着ベルト52の幅方向に沿って予め決められた間隔で配置された複数の第1磁性コア142Aと第2磁性コア142Bとで構成されている。
図13及び図14に示すように、第2磁性コア142Bは、第1磁性コア142Aと同様の幅となっているが、周方向でサーモスタット92よりも下流側の一部のみが励磁コイル60に向けて突出しており、凸部143が形成されている点が第1磁性コア142Aと異なる。なお、凸部143の反対側には、凸部143の突出量と同じ深さの凹部144が形成されており、第2磁性コア142Bの径方向の厚さが、周方向で同等となっている。
第2磁路形成部材146は、定着ベルト52の内側で内周面に倣って、励磁コイル60と対向配置されている。また、第2磁路形成部材146は、Fe−Ni合金で構成されており、定着ベルト52の幅方向に沿って、予め決められた間隔で複数の第1コア146A、第2コア146B、第3コア146Cが配置された構成となっている。
第1コア146A〜第3コア146Cの配置は、第1実施形態における第2磁路形成部材74の第1コア74A〜第3コア74Cと同様の千鳥配置となっている。また、第2磁路形成部材146の周方向の一端部(定着ベルト52の回転方向上流側)には、略矩形状の空間である切欠部149A、149Bが形成され、サーモスタット92が設けられている。
ここで、図14に示すように、第1磁路形成部材142と第2磁路形成部材146の間では、励磁コイル60に近接している第2磁性コア142Bと、定着ベルト52に近接している第3コア146Cとが配置されている部分の磁界HGが、第2磁性コア142Bよりも励磁コイル60から遠くに配置されている第1磁性コア142Aの磁界HFよりも磁束が集まり、磁束密度が高くなって、磁界が強くなっている。このため、第2磁性コア142Bと対向する部位での定着ベルト52の発熱層66の発熱量が増加し、この部位での定着ベルト52の温度が、他の部位での温度よりも高くなる。
定着ベルト52の第1磁性コア142Aと対向する部位では、ほぼ同様の変化率で温度が上昇する。一方、定着ベルト52の第2磁性コア132Bと対向する部位では、切欠部149A、149Bの領域で温度が低下するものの、切欠部149A、149Bを除く周方向下流側の領域では、他の部位よりも定着ベルト52の温度上昇率が高くなる。このようにして、定着ベルト52の幅方向の温度は、ニップ部に進入する前にほぼ均等に均され、温度ムラが抑制される。
ここで、励磁コイル60に近接している第2磁性コア142Bと、定着ベルト52に近接している第3コア146Cとを設けたが、第2磁性コア142Bの配置されている位置に第1磁性コア142Aを配置し、これと第3コア146Cを対向させてもよい。つまり、第2磁路形成部材146側のコア(第1〜第3コアのいずれか)を定着ベルト52に近づけるだけで発熱層66の発熱量が十分増加する場合は、第1磁路形成部材142側の磁性コア(第1または第2磁性コア)を励磁コイル60に近づける必要はない。
次に、本発明の加熱装置の第3実施形態を図面に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部品には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図15(a)、(b)には、加熱装置150が示されている。加熱装置150は、励磁コイル152と、加熱ベルト154と、第1磁路形成部材156と、第2磁路形成部材158と、凸部160とで構成されている。励磁コイル152は、樹脂製のボビン153に接着固定され支持されており、図示しない通電手段によって通電され磁界Hを発生する。
加熱ベルト154は、前述の定着ベルト52(図2参照)と同様の材質、層構成で構成されており、励磁コイル152と対向配置されている。また、加熱ベルト154は、非磁性SUSを芯金として表面に所定の表面粗さ(加熱ベルト154を移動可能となる表面粗さ)のシリコンゴム層が被覆された、回転可能な一対のロール162、164に張架されている。
ロール162、164の一方には、図示しないギヤ及びモータ等の駆動手段が接続されており、この駆動手段によってロール162、164が矢印R方向に回転すると、加熱ベルト154が矢印方向に移動する。なお、加熱ベルト154を略円筒状に形成し、端部にギヤを接着固定して直接駆動してもよい。
第1磁路形成部材156は、第1実施形態の第1磁路形成部材62(図2参照)と同様の材質で構成されており、加熱ベルト154と反対側で励磁コイル152と対向配置されている。また、第1磁路形成部材156は、加熱ベルト154の移動方向下流側に励磁コイル152に向けて凸部157が設けられている。なお、凸部157の逆側は凹状となっており、第1磁路形成部材156の厚さは、ほぼ均等となっている。
第2磁路形成部材158は、平板状に形成されており、加熱ベルト154の移動方向上流側の一部に切欠部159が形成されている。切欠部159にはサーミスタ94が配置され、測定温度を換算して加熱ベルト154の表面温度を予測測定するようになっている。
また、第2磁路形成部材158は、加熱ベルト154の移動方向下流側に加熱ベルト154に向けて凸部160が設けられている。凸部160は、励磁コイル152及び加熱ベルト154を間にして、凸部157と対向している。なお、凸部160の逆側は凹状となっており、第2磁路形成部材158の厚さは、ほぼ均等となっている。
第2磁路形成部材158の加熱ベルト154と反対側には、非接触状態で誘導体166が設けられている。誘導体166は、平板状で、前述の誘導体76(図2参照)と同じ材質で構成されている。
次に、本発明の第3実施形態の作用について説明する。なお、本実施形態では、加熱装置150を溶融接着に用いる場合について説明する。
まず、励磁コイル152が図示しない通電手段によって通電され、励磁コイル152の周囲に磁界Hを発生する。加熱ベルト154は、前述の定着ベルト52と同様に、この磁界Hによる電磁誘導作用で発熱する。
続いて、加熱装置150では、ロール162、164が駆動されて回転し、加熱ベルト154が矢印方向に移動を開始する。これにより、加熱装置150に一対の樹脂製のプレート168が搬送される(矢印IN)。なお、一対のプレート168の間には、所定の温度で溶融する固形樹脂製の接着剤170が予め挟まれている。
ここで、第2磁路形成部材158の切欠部159の領域では、磁界Hが弱まるため、加熱ベルト154の温度上昇率が他の部位に較べて低い。このため、この部位の加熱ベルト154は、他の部位よりも低い温度で移動する。
しかし、加熱ベルト154は、移動方向の下流側で凸部157及び凸部160付近での磁束密度の増加により磁界Hが強められ、凸部160と対向する領域の温度上昇率が上がる。これにより、励磁コイル152との対向領域を通過し終わる直前の加熱ベルト154の温度は、幅方向でほぼ均等となっており、部分的な温度低下が抑制されている。
接着剤170は、加熱ベルト154の発熱により溶融し、一対のプレート168の間に広がる。プレート168は、加熱ベルト154の移動により、加熱装置150から送出される(矢印OUT)。加熱装置150から送出された一対のプレート168は、溶融して広がった接着剤170が冷えて固まることにより接着される。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
プリンタ10は、固体の現像剤を用いる乾式の電子写真方式だけでなく、液体現像剤を用いるものであってもよい。サーミスタ94の取付け位置は、定着ベルト52の内周面に限定されず、定着ベルト52の外周面側に取付けてもよい。この場合、非接触検知式の温度センサを用いることが好ましい。また、予め温度の換算式を設定しておけば、サーミスタ94は、加圧ロール54の表面に取付けてもよい。
定着装置50、120では、第2磁路形成部材74の第3コア74Cについて、幅を拡げ、また、定着ベルト52に近づけ、あるいは、透磁率を高めるなどして、部分的な磁束密度を高めてもよい。
定着装置130では、第2磁性コア132Bの幅を拡げ、あるいは、透磁率を高めるなどして、部分的な磁束密度を高めてもよい。また、定着装置140では、第2磁性コア142Bと第3コア146Cの幅を拡げ、あるいは、透磁率を高めるなどして、部分的な磁束密度を高めてもよい。
加熱装置150では、凸部157、凸部160の幅を拡げてもよい。また、凸部160の形状は、矩形状だけでなく、三角形状、円弧状などであってもよい。さらに、凸部157、160のみフェライト含有量を増加させてもよい。また、加熱装置150は、溶着だけでなく、乾燥器として使用してもよい。