JP4888509B2 - 画像形成装置、定着装置およびプログラム - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、発熱層を有する定着ベルトを介して磁界発生装置と対向して配置して、キュリー点を持つ感温磁性金属材料を含んで構成される発熱制御部材を設け、この発熱制御部材を構成する感温磁性金属材料のキュリー点を境とする磁性・非磁性化を利用し、発熱層の発熱を制御する定着装置が記載されている。
また特許文献2には、定着ベルトの内周側に、磁界の作用により発熱する発熱体であって、磁界発生装置に対し定着ベルトを介して対向すると共に定着ベルトの内周面に接触して発熱体を設け、この発熱体を厚みが表皮深さを超え且つ磁性金属材料を含んで構成させる定着装置が記載されている。
更に特許文献3には、フィルムの速度を検知する手段と、装置の駆動速度を可変できる手段を持ち、一の被加熱材が圧接ニップ部を通過するときのフィルムの速度を用いて、次の被加熱材のための装置の駆動速度を決定する加熱装置が記載されている。
本発明は、定着加圧部材が熱膨張しその径が変化しても、定着部材の回転数の変動を抑制することができ、形成される画像に乱れが生じにくい画像形成装置等を提供することを目的とする。
請求項3に記載の発明は、前記回転制御部は、前記移動平均を算出するために使用する回転数の要素数を段階的に増加させることで、当該定着部材を前記規定回転数で回転させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記回転制御部は、前記移動平均を算出するために使用する回転数を取得する時間間隔を段階的に増加させることで、前記定着部材を前記規定回転数で回転させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記定着加圧部材を、定着を行なうときには前記定着部材の外周面に圧接させ、定着を行なわないときには当該定着部材から離間するように移動させる移動機構を更に備え、前記移動機構は、前記回転制御部が前記定着加圧部材の第1の設定回転数を決定した後であり、かつ当該定着加圧部材の第2の設定回転数を決定する前に、当該定着加圧部材を前記定着部材から離間させた状態から当該定着部材の外周面に圧接させる状態へ移動する動作を開始させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記定着部材の回転数が前記規定回転数に達した後において、前記回転検知部により検知した当該定着部材の回転数から当該回転数の移動平均を算出する機能と、前記移動平均から当該定着部材を前記規定回転数で回転させるための前記定着加圧部材の設定回転数を算出する機能と、を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のプログラムである。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、定着手段に備えられている定着加圧部材が熱膨張しその径が変化しても、それによる定着部材の回転数の変動を抑制することができる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、定着部材の回転数の変動の大きさの幅をより小さくすることができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、定着部材の回転数の変動周期をより長くすることができる。
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、定着部材の回転数の変動を抑制でき、形成される画像の乱れを抑制できるとともに、定着部材の回転数をより迅速に規定回転数にすることができる。
請求項7の発明によれば、定着部材の回転数をより迅速に規定回転数にすることができる機能をコンピュータにより実現できる。
請求項8の発明によれば、定着加圧部材が熱膨張しその径が変化しても、それによる定着部材の回転数の変動を抑制することができる機能をコンピュータにより実現できる。
<画像形成装置の説明>
図1は本実施の形態の定着装置が適用される画像形成装置の構成例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部31を備えている。さらには、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置(スキャナ)4等との通信を行って画像データを受信する通信部32、通信部32にて受信された画像データに対し予め定めた画像処理を施す画像処理部33を備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収納されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
一方、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)、および二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)は、それぞれドラムクリーナ16、およびベルトクリーナ25によって除去される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
次に、本実施の形態の定着ユニット60について説明する。
図2および図3は本実施の形態の定着ユニット60の構成を示す図であり、図2は正面図、図3は図2におけるXX断面図である。
まず、断面図である図3に示すように、定着ユニット60は、交流磁界を生成する磁界生成部材の一例としてのIH(Induction Heating)ヒータ80、IHヒータ80により電磁誘導加熱されてトナー像を定着する定着部材の一例としての定着ベルト61、定着ベルト61に対向するように配置された定着加圧部材の一例としての加圧ロール62、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される押圧パッド63を備えている。
さらに、定着ユニット60は、押圧パッド63等の構成部材を支持するホルダ65、IHヒータ80にて生成された交流磁界を誘導して磁路を形成する感温磁性部材64、感温磁性部材64を通過した磁力線を誘導する誘導部材66、定着ベルト61からの用紙Pの剥離を補助する剥離補助部材70を備えている。また詳しくは後述するが、加圧ロール62は、定着を行なうときには定着ベルト61の外周面に圧接することで定着ベルト61との間に未定着画像を保持した用紙Pを挿通するためのニップ部N(定着加圧部)を形成し、定着を行なわないときには定着ベルト61から離間するように移動する移動機構200を備える。
定着ベルト61は、原形が円筒形状の無端のベルト部材で構成され、例えば原形(円筒形状)時の直径が30mm、幅方向長が380mmに形成されている。また、図4(定着ベルト61の断面層構成図)に示したように、定着ベルト61は、基材層611、基材層611の上に積層された導電発熱層612、トナー像の定着性を向上させる弾性層613、最上層に被覆された表面離型層614からなる多層構造のベルト部材である。
具体的には、基材層611として、例えば、厚さ30〜200μm(好ましくは50〜150μm)の非磁性ステンレススチール等の非磁性金属や、厚さ60〜200μmの樹脂材料等が用いられる。
通常、IHヒータ80に交流電流を供給する励磁回路(後段の図5も参照)の電源として、安価に製造できる汎用電源が使用される。そのため、IHヒータ80により生成される交流磁界の周波数は、一般に、汎用電源による20kHz〜100kHzとなる。それにより、導電発熱層612は、周波数20kHz〜100kHzの交流磁界が侵入し通過するように構成される。
そのため、導電発熱層612の厚さは、周波数20kHz〜100kHzの交流磁界が導電発熱層612を侵入し通過するように、〔1〕式で規定される導電発熱層612の表皮深さ(δ)よりも薄層に構成される。また、導電発熱層612を構成する材料として、例えば、Au,Ag,Al,Cu,Zn,Sn,Pb,Bi,Be,Sb等の金属や、これらの金属合金が用いられる。
また、定着ベルト61が定着設定温度まで加熱されるまでに要する時間(以下、「ウォームアップタイム」)を短縮する観点からも、導電発熱層612は、薄層に構成するのが好ましい。
表面離型層614は、用紙P上に保持された未定着トナー像と直接接触するため、離型性の高い材質が使用される。例えば、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコーン共重合体、またはこれらの複合層等が用いられる。表面離型層614の厚さとしては、薄すぎると、耐摩耗性の面で充分でなく、定着ベルト61の寿命を短くする。その一方で、厚すぎると、定着ベルト61の熱容量が大きくなりすぎ、ウォームアップタイムが長くなる。そこで、表面離型層614の厚さとして、耐摩耗性と熱容量とのバランスを考慮し、1〜50μmが好適である。
押圧パッド63は、シリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成され、加圧ロール62と対向する位置にてホルダ65に支持される。そして、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧される状態で配置され、加圧ロール62との間でニップ部N(定着加圧部)を形成する。
また、押圧パッド63は、ニップ部Nの入口側(用紙Pの搬送方向上流側)のプレニップ領域63aと、ニップ部Nの出口側(用紙Pの搬送方向下流側)の剥離ニップ領域63bとで異なるニップ圧が設定されている。すなわち、プレニップ領域63aでは、加圧ロール62側の面がほぼ加圧ロール62の外周面に倣う円弧形状に形成され、均一で幅の広いニップ部Nを形成する。また、剥離ニップ領域63bでは、剥離ニップ領域63bを通過する定着ベルト61の曲率半径が小さくなるように、加圧ロール62表面から局所的に大きなニップ圧で押圧されるように形成される。それにより、剥離ニップ領域63bを通過する用紙Pに定着ベルト61表面から離れる方向のカール(ダウンカール)を形成して、用紙Pに対する定着ベルト61表面からの剥離を促進させている。
次に、感温磁性部材64は、定着ベルト61の内周面に倣った円弧形状で形成され、定着ベルト61の内周面とは予め定めた間隙(例えば、0.5〜1.5mm)を有するように近接させるが、非接触で配置される。感温磁性部材64を定着ベルト61と近接させて配置するのは、感温磁性部材64の温度が定着ベルト61の温度に対応して変化する、すなわち、感温磁性部材64の温度が定着ベルト61の温度と略同じ温度となるように構成するためである。また、感温磁性部材64を定着ベルト61と非接触で配置するのは、画像形成装置1のメインスイッチがオンされ、定着ベルト61が定着設定温度まで加熱される際に、定着ベルト61の熱が感温磁性部材64に流入するのを抑制して、ウォームアップタイムの短縮を図るためである。
なお、ここでの「透磁率変化開始温度」とは、透磁率(例えば、JIS C2531で測定される透磁率)が連続的に低下を開始する温度であり、例えば感温磁性部材64等の部材を透過する磁束量(磁力線の数)が変化し始める温度点をいう。したがって、透磁率変化開始温度は、物質の磁性が消失する温度であるキュリー点に近い温度となるが、キュリー点とは異なる概念を有するものである。
また、感温磁性部材64は、IHヒータ80により生成された交流磁界(磁力線)に対する表皮深さδ(上記〔1〕式参照)よりも薄い厚さで形成される。具体的には、例えばFe−Ni合金を用いた場合には50〜300μm程度に設定される。
押圧パッド63を支持するホルダ65は、押圧パッド63が加圧ロール62からの押圧力を受けた状態での撓み量が一定量以下となるように、剛性の高い材料で構成される。それにより、ニップ部Nにおける長手方向の圧力(ニップ圧)の均一性を維持している。さらに、本実施の形態の定着ユニット60では、電磁誘導を用いて定着ベルト61を加熱する構成を採用していることから、ホルダ65は、誘導磁界に影響を与えないか、または与え難い材料であり、かつ、誘導磁界から影響を受けないか、または受け難い材料で構成される。例えば、ガラス混入PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂や、例えばAl,Cu,Ag等の常磁性金属材料等が用いられる。
誘導部材66は、感温磁性部材64の内周面に倣った円弧形状で形成され、感温磁性部材64の内周面とは予め定めた間隙(例えば、1.0〜5.0mm)を有する非接触に配置される。また、誘導部材66は、例えばAg,Cu,Alといった固有抵抗値が比較的小さい非磁性金属で構成される。そして、感温磁性部材64が透磁率変化開始温度以上の温度に上昇した際に、IHヒータ80により生成された交流磁界(磁力線)を誘導して、定着ベルト61の導電発熱層612よりも渦電流Iが発生し易い状態を形成する。それにより、誘導部材66の厚さは、渦電流Iが流れ易いように、表皮深さδ(上記〔1〕式参照)よりも充分に厚い予め定められた厚さ(例えば、1.0mm)で形成される。
続いて、定着ベルト61の導電発熱層612に交流磁界を作用させて電磁誘導加熱するIHヒータ80について説明する。
図5は、本実施の形態のIHヒータ80の構成を説明する断面図である。図5に示したように、IHヒータ80は、例えば耐熱性樹脂等の非磁性体から構成される支持体81、交流磁界を生成する励磁コイル82を備えている。また、励磁コイル82を支持体81上に固定する弾性体で構成された弾性支持部材83、励磁コイル82にて生成された交流磁界の磁路を形成する磁心84を備えている。さらには、磁界を遮蔽するシールド85、磁心84を支持体81側に加圧する加圧部材86、励磁コイル82に交流電流を供給する励磁回路88を備えている。
励磁コイル82は、相互に絶縁された例えば直径0.17mmの銅線材を例えば90本束ねたリッツ線が長円形状や楕円形状、長方形状等の中空きの閉ループ状に巻かれて構成される。そして、励磁コイル82に励磁回路88から予め定めた周波数の交流電流が供給されることにより、励磁コイル82の周囲には、閉ループ状に巻かれたリッツ線を中心とする交流磁界が生成される。励磁回路88から励磁コイル82に供給される交流電流の周波数は、一般に、上記した汎用電源により生成される20kHz〜100kHzが用いられる。
ここで、磁心84は磁路形成による損失が小さい材料が望ましい。具体的には、磁心84は渦電流損を小さくする形態(スリット等による電流経路遮断や分断化、薄板束ね等)での使用が望ましく、ヒステリシス損の小さい材料で形成されることが望ましい。
また、定着ベルト61の回転方向に沿った磁心84の長さは、感温磁性部材64の定着ベルト61の回転方向に沿った長さよりも小さく構成される。それにより、磁力線のIHヒータ80周辺への漏洩が減り、力率が向上する。さらには、定着ユニット60を構成する金属製部材への電磁誘導を抑え、定着ベルト61(導電発熱層612)での発熱効率を高める。
引き続いて、IHヒータ80により生成された交流磁界によって定着ベルト61が発熱する状態を説明する。
まず、上記したように、感温磁性部材64の透磁率変化開始温度は、各色トナー像を定着する定着設定温度以上であって定着ベルト61の耐熱温度以下となる温度範囲内(例えば、140〜240℃)に設定されている。そして、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下の状態にある場合には、定着ベルト61に近接する感温磁性部材64の温度も定着ベルト61の温度に対応して、透磁率変化開始温度以下となる。そのため、感温磁性部材64は強磁性を呈するので、IHヒータ80により生成された交流磁界の磁力線Hは、定着ベルト61を透過した後、感温磁性部材64の内部を広がり方向に沿って通過する磁路を形成する。ここでの「広がり方向」とは、感温磁性部材64の厚さ方向と直交する方向を意味する。
このように、定着ベルト61の温度が透磁率変化開始温度以下の温度範囲にある場合には、磁力線Hが導電発熱層612を横切る領域R1,R2や領域R3において大きな熱が発生する。それにより、定着ベルト61は加熱される。
加圧ロール62は、定着ベルト61に対向するように配置され、定着ベルト61に従動して図3の矢印D方向に、例えば140mm/sのプロセススピードで回転する。そして、加圧ロール62と押圧パッド63とにより定着ベルト61を挟持した状態でニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させることで、熱および圧力を加えて未定着トナー像を用紙Pに定着する。
加圧ロール62は、例えば直径18mmの中実のアルミニウム製コア(円柱状芯金)621と、コア621の外周面に被覆された例えば厚さ5mmのシリコーンスポンジ等の耐熱性弾性体層622と、さらに例えば厚さ50μmのカーボン配合のPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層623とが積層されて構成される。そして、例えば20kgfの荷重で定着ベルト61を介して押圧パッド63を押圧している。
図7に示すように加圧ロール62と定着ベルト61とは離間した状態にある。その結果、加圧ロール62は、元の円形形状に形状復元がなされるため、加圧ロール62が変形し元の形状に戻らなくなるおそれが少なくなる。
なお定着を行なう際には、移動機構200により再び加圧ロール62を図3で説明したように定着ベルト61と接触し、ニップ部Nを形成する位置に戻すことが可能である。
続いて図2、図3、図7を使用して本実施の形態の定着ユニット60において、加圧ロール62と定着ベルト61の駆動機構について説明する。
そして、加圧ロール62の設定回転数は、モータドライバ910に送られ、モータドライバ910により駆動モータ90の回転が制御されている。
また定着ユニット60の運転中において、加圧ロール62の温度変化により、加圧ロール62の径が変化し、定着ベルト61の回転数が不安定となるのを解決するための制御としては以下の制御を行なう。即ち、定着ベルト61の回転数が規定回転数に達した後において、回転検知計107により検知した定着ベルト61の回転数から回転数の移動平均を算出し、この移動平均から定着ベルト61を規定回転数で回転させる制御を行なう。
図8は、加圧ロール62の温度変化によりその径に変化が生じていても、定着ベルト61を規定回転数で回転させる制御を行なう回転制御部310について説明した図である。そして図9および図10は、この回転制御部310が上述の制御を行なうための動作の流れを説明したフローチャートである。このうち、図9は、定着開始までに回転制御部310が行なう動作の流れを説明したフローチャートである。そして、図10は、定着開始後に回転制御部310が行なう動作の流れを説明したフローチャートである。更に、図11は、回転制御部310がこの制御を行なう際に、定着ベルト61の回転数の状態等を説明した図である。
そして、回転制御部310は、図2および図3で説明した定着ユニット60に備えられた温度・回転数出力部901から定着ベルト61の温度および回転数を取得する温度・回転数取得部311と、温度・回転数取得部311により取得された定着ベルト61の温度および回転数から定着ベルト61の回転数を予め定められた規定回転数にするための加圧ロール62の設定回転数を算出する演算部312と、演算部312がこの制御を行なうために必要なデータを記憶するメモリ等の記憶部313と、記憶部313が記憶するデータを取得するデータ取得部314と、回転制御部310が予め定められた制御を行なうタイミングを計測するための時間計測部315と、演算部312により算出された加圧ロール62の設定回転数を定着ユニット60の設定回転数取得部902に出力する回転数出力部316とを備える。また制御部31は回転制御部310以外に画像形成の開始や停止の指示を取得する画像形成開始(停止)指示取得部317と、加圧ロール62の移動機構200(図3参照)を制御し加圧ロール62の圧接または離間の指示を定着ユニット60の圧接(離間)指示取得部207に出力する移動機構制御部318とを備える。
そして、演算部312は、データ取得部314を介して、記憶部313からこの差分の値に対応した加圧ロール62の設定回転数のデータを取得する。そしてこの設定回転数を加圧ロール62の第2の設定回転数Rp2として回転数出力部316を介して出力する(ステップ117)。この加圧ロール62第2の設定回転数Rp2は、この回転数で加圧ロール62が回転すれば、定着ベルト61が定着を開始できる回転数である規定回転数Rb2で回転すると推定される回転数である。即ち、ステップ116とステップ117において、予め定められた時間後に回転検知計107により検知した定着ベルト61の回転数と第1の設定回転数Rp1に対応する定着ベルト61の目標回転数との差分から、定着ベルト61を規定回転数Rb2で回転させる加圧ロール62の第2の設定回転数Rp2を決定する。よって図11に示したように、この時間t3より定着ベルト61の回転数の実質的なフィールドバック制御が開始される。
また定着ベルト61の回転数が規定回転数以上だった場合は、制御部31が加圧ロール62の圧接が完了しているか否かを判断する(ステップ119)。そして加圧ロール62の圧接が完了していれば、定着ユニット60による定着が開始される(ステップ120)。なお加圧ロール62の圧接が完了していなければ、圧接が完了するまで、回転制御部310は、ステップ116〜ステップ119の処理を行なう。
また記憶部313に記憶させるデータは、上述したような定着ベルト61の温度と加圧ロール62の設定回転数との対応関係や、定着ベルト61の回転数と第1の設定回転数の差分と加圧ロール62の設定回転数の対応関係である必要は必ずしもない。例えば、定着ベルト61の温度や回転数の差分と分周比とを対応付けたようなデータでもよい。この場合は、演算部312が、この分周比から加圧ロール62の設定回転数を算出する。
この段階での制御は、概略的には定着ベルト61の回転数の移動平均を演算部312が算出し、それにより予め定められた制御を行なっている。
図12(a)〜(c)においては、一定間隔で取得された(1)〜(8)のデータが時系列的に並んでいる。本実施の形態では、このデータは定着ベルト61の回転数である。そして、この定着ベルト61の回転数は予め定められた回転数取得間隔で取得される。
加圧ロール62の温度は、時間経過と共に安定し、それに対応して加圧ロール62の径の変動も安定する。そのため、定着ベルト61を安定して回転させるためには、このような要素数を増加させる変更は有効である。
本実施の形態では、例えば、定着開始後、時間t6までは回転数取得間隔を100msに設定し、その後は、回転数取得間隔を300msになるように変更している。
なお本実施の形態では、記憶部313は、回転制御部310の内部に配置されていたが、必ずしも回転制御部310の内部に配置する必要はなく、回転制御部310の外部であって、制御部31の内部に配置してもよい。更に、画像形成装置1の外部に配置してもよい。この場合は、記憶部313に記憶されているデータは、予め定められた通信手段を介して、データ取得部314が取得することになる。
また本実施の形態では、移動機構200を備えていたが、備えていない定着装置でも上述した制御手法により定着装置を動作させることは可能である。
(実施例1〜3)
画像形成装置として図1に示した画像形成装置1を使用した。この画像形成装置1の制御部31は、上述したような回転制御部310を備えている。また、定着装置として図2および図3に示した定着ユニット60を使用した。この定着ユニット60は、図8〜図11で説明を行なったように移動機構200、温度・回転数出力部901、設定回転数取得部902、圧接(離間)指示取得部207を備えている。そしてこの定着ユニット60を使用してウォーミングアップおよび定着を行ない、用紙Pに画像形成を行なった。
また実施例2として、定着ベルト61は定着可能温度であるが、加圧ロール62は、常温の状態で、定着ユニット60の動作を開始した。
更に実施例3として、定着ベルト61は定着可能温度であり、加圧ロール62もそれに対応して温度が上昇した状態で、定着ユニット60の動作を開始した。これは、いったん定着ユニット60は動作を停止したが、その後すぐにまた動作を開始させた場合に相当する。
上述した構成の回転制御部310を備えていないことを除き、実施例1と同じ条件で定着ユニット60を使用してウォーミングアップおよび定着を行なった。
実施例1〜3、比較例1の条件において、定着ユニット60を使用してウォーミングアップおよび定着を行なったところ、実施例1〜3の何れの場合もウォーミングアップタイム内に定着ベルト61は規定回転数となったが、比較例1の場合は規定のウォーミングアップタイム内において定着ベルト61は規定回転数とはならなかった。また、ここでは定着開始後の定着ベルト61の回転数の変動量を測定した。その結果を表1に示す。
表1からわかるように実施例1〜3の場合は何れも許容範囲内となっているが、比較例1の場合は許容範囲を大きく外れる結果となった。
Claims (8)
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、
導電層を有し当該導電層が電磁誘導加熱されることで記録材にトナーを定着する定着部材と、当該定着部材の当該導電層と交差する交流磁界を生成する磁界生成部材と、当該定着部材の外周面に圧接することで当該定着部材との間に未定着画像を保持した記録材を挿通するための定着加圧部を形成する定着加圧部材と、当該定着加圧部材を回転させることで当該定着部材を従動して回転させる駆動部と、当該定着部材の温度を検知する温度検知部と、当該定着部材の回転数を検知する回転検知部と、を備える定着手段と、
前記温度検知部により検知した前記定着部材の温度から前記定着加圧部材の第1の設定回転数を決定し、予め定められた時間後に前記回転検知部により検知した当該定着部材の回転数と当該第1の設定回転数に対応する定着部材の目標回転数との差分から当該定着部材を規定回転数で回転させる当該定着加圧部材の第2の設定回転数を決定することで当該定着加圧部材の回転数を段階的に増加させることで、前記定着手段により定着を行なう前において当該定着部材の回転数が予め定められた規定回転数に達するように制御する回転制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記回転制御部は、前記定着部材の回転数が前記規定回転数に達した後において、前記回転検知部により検知した当該定着部材の回転数から当該回転数の移動平均を算出し、当該移動平均から当該定着部材を前記規定回転数で回転させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記回転制御部は、前記移動平均を算出するために使用する回転数の要素数を段階的に増加させることで、当該定着部材を前記規定回転数で回転させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記回転制御部は、前記移動平均を算出するために使用する回転数を取得する時間間隔を段階的に増加させることで、前記定着部材を前記規定回転数で回転させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記定着加圧部材を、定着を行なうときには前記定着部材の外周面に圧接させ、定着を行なわないときには当該定着部材から離間するように移動させる移動機構を更に備え、
前記移動機構は、前記回転制御部が前記定着加圧部材の第1の設定回転数を決定した後であり、かつ当該定着加圧部材の第2の設定回転数を決定する前に、当該定着加圧部材を前記定着部材から離間させた状態から当該定着部材の外周面に圧接させる状態へ移動する動作を開始させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 導電層を有し、当該導電層が電磁誘導加熱されることで記録材にトナーを定着する定着部材と、
前記定着部材の前記導電層と交差する交流磁界を生成する磁界生成部材と、
前記定着部材の外周面に圧接することで当該定着部材との間に未定着画像を保持した記録材を挿通するための定着加圧部を形成する定着加圧部材と、
前記定着加圧部材を回転させることで前記定着部材を従動して回転させる駆動部と、
前記定着部材の温度を検知する温度検知部と、
前記定着部材の回転数を検知する回転検知部と、
を備え、
前記駆動部は、前記温度検知部により検知した前記定着部材の温度から決定される当該定着加圧部材の第1の設定回転数で当該定着加圧部材を回転させ、予め定められた時間後に前記回転検知部により検知した当該定着部材の回転数と当該第1の設定回転数に対応する定着部材の目標回転数との差分から決定される当該定着部材を規定回転数で回転させる当該定着加圧部材の第2の設定回転数で当該定着加圧部材を回転させることにより当該定着加圧部材の回転数を段階的に増加させ、定着を行なう前において当該定着部材の回転数が予め定められた規定回転数に達するようにすることを特徴とする定着装置。 - 導電層を有し当該導電層が電磁誘導加熱されることで記録材にトナーを定着する定着部材と、当該定着部材の当該導電層と交差する交流磁界を生成する磁界生成部材と、当該定着部材の外周面に圧接することで当該定着部材との間に未定着画像を保持した記録材を挿通するための定着加圧部を形成する定着加圧部材と、当該定着加圧部材を回転させることで当該定着部材を従動して回転させる駆動部と、当該定着部材の温度を検知する温度検知部と、当該定着部材の回転数を検知する回転検知部と、を備える定着装置における当該定着部材の回転数を制御するプログラムであって、
コンピュータに、
前記温度検知部により検知した前記定着部材の温度から前記定着加圧部材の第1の設定回転数を算出する機能と、
予め定められた時間後に回転検知部により検知した前記定着部材の回転数と前記第1の設定回転数に対応する定着部材の目標回転数との差分を算出する機能と、
前記差分から前記定着部材を規定回転数で回転させるための前記定着加圧部材の第2の設定回転数を算出する機能と、
前記定着装置により定着を行なう前において前記第1の設定回転数および前記第2の設定回転数になるように前記定着部材の回転数を制御することで、当該定着部材の回転数が予め定められた規定回転数に達するように制御する機能と、
を実現させるプログラム。 - 前記定着部材の回転数が前記規定回転数に達した後において、前記回転検知部により検知した当該定着部材の回転数から当該回転数の移動平均を算出する機能と、
前記移動平均から当該定着部材を前記規定回転数で回転させるための前記定着加圧部材の設定回転数を算出する機能と、
を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
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