JPWO2006035941A1 - 硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

硬質ポリウレタンフォームの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間に渡り低熱伝導率を保持し、低温環境下における接着性が良好で、寸法安定性に優れるなど、実用上要望される必要性能を十分満足する、断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。【解決手段】ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、および触媒を含む混合物を発泡成形してなる硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリオール成分として芳香族モノアミン化合物又は芳香族ジオール化合物にアルキレンオキサイドを付加重合させたポリオールを使用することを特徴とする、断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は断熱材として使用される硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。更に詳しくは、長期間に渡り低熱伝導率を保持し、低温環境下で接着性が良好な硬質ポリウレタンフォームに関する。
ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、および触媒、難燃剤等助剤を含む混合物を発泡成形する硬質ポリウレタンフォームは、成形加工性に優れた材料として広く使用されている。硬質ポリウレタンフォームは発泡スチロールなどの嵌め込み式の保温材と異なり、発泡中に面材等と自己接着することにより、複合的な構造材として強度が増す利点がある。また硬質ポリウレタンフォームは、注入、スプレーなど種々の発泡方法により成形することが可能で、特に大規模な設備を要することなく現場で発泡成形することができる。
従来発泡剤として大量に使用されていた1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)を使用した場合、得られる硬質ポリウレタンフォームの断熱性は良好で、またフロンガスは硬質ポリウレタンフォーム中から外部に透過しにくいため、長期間に渡り低熱伝導率を保持することができた。更に、HCFC−141bの発泡条件は熱硬化性樹脂であるにもかかわらず比較的選択性が広い。一般的に硬質ポリウレタンフォームは、発泡中に直接接触する面の温度を加温して発泡されるが、HCFC−141bの場合は例えばスプレー工法においては寒冷な気候においても特に加温することなく発泡が行なわれてきた。
しかしながら、HCFC−141bのようなハイドロクロロフルオロカーボンはオゾン層を破壊するため2003年末に製造中止となった。オゾン層を破壊することなく、環境特性上将来にわたり使用が可能と考えられる発泡剤としては、ポリイソシアネートと水の反応により発生させた二酸化炭素か、または超臨界状態、亜臨界状態、あるいは液体状態の二酸化炭素、イソブタン、n−ペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、イソヘキサン、およびヘプタンのような炭化水素(ハイドロカーボン、HC)、または1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、および1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)のような弗化炭化水素(ハイドロフルオロカーボン、HFC)であるが、いずれもハイドロクロロフルオロカーボンに比し、種々の欠点を有している。
例えば炭化水素発泡剤は消防法上の危険物であり、多額の設備投資を要するため、冷蔵庫のような大量生産のライン以外では使いにくい。また弗化炭化水素は、温室効果を有し地球の温暖化に影響があり、今後使用できなくなる可能性がある。従って、今後二酸化炭素発泡硬質ポリウレタンフォームが広く使用されていくと考えられるが、二酸化炭素はフロンに比べガスの熱伝導率が高いため、硬質ポリウレタンフォームの断熱性は一般に従来のものより相当悪化するという問題がある。製品形状や設置場所等によって断熱厚さを厚くできない場合は、特に冷凍分野での断熱材としては不適で使用できないことがある。更に、二酸化炭素は空気よりも透過性が高いことが知られており、分子量の大きい発泡剤であるフロンに比しポリウレタン樹脂膜に対する透過性が極めて高いため、長期間に渡り徐々に気泡中から外部に抜けやすい。このため100%水発泡の場合はもとより、処方中の水の割合が多い処方においても、硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率は初期値を長期間保持できないという問題があり、それは、超臨界状態、亜臨界状態、あるいは液体状態の二酸化炭素等を発泡剤として使用する場合でも同様で、その解決は大変困難である。超臨界状態、亜臨界状態、あるいは液体状態の二酸化炭素に関する特許には、「硬質ポリウレタンフォームの製造方法」を発明の名称とする特許(特許文献1)等がある。
フロン発泡剤を使用した場合、特に断熱性が要求される分野、例えばスプレー工法によって建築物等の断熱材として使用されている硬質ポリウレタンフォーム、あるいは連続ラミネート製法によって製造される金属サイジング材、雨戸等の用途向けでは、ポリオール成分として例えばマンニッヒ縮合物、あるいはエチレンジアミン等にアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等が一般によく使用されている。また、注入成形によって冷蔵、冷凍機器等の断熱材として使用されている硬質ポリウレタンフォームでは、ポリオール成分として例えば砂糖、あるいはトルエンジアミン等にアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール等が一般によく使用されている。発泡剤に二酸化炭素を多く使用した場合、これらのポリエーテルポリオールから得られた硬質ポリウレタンフォームは、特に熱伝導率の時間経過後の劣化が著しい。従って、特に断熱性が要求される分野では、温室効果ガスであって高価で、沸点が低く取り扱いが困難であるかまたは可燃性のHFC−245fa、またはHFC−365mfc、あるいは可燃性で製造設備に多額の投資を要するシクロペンタン等を使用せざるを得ないのが現状である。このため、断熱性が良好で、長期間経過後も初期の熱伝導率を保持しているような、100%水、または二酸化炭素を主とした発泡剤とする硬質ポリウレタンフォームの開発が強く待望されている。熱伝導率の時間経過後の劣化に関する特許には、「独立気泡を有するポリウレタンフォームの製造方法」を発明の名称とする特許(特許文献2)、「断熱性の維持性が向上したポリウレタンフォームに有用なポリオール、それから製造されたポリウレタンフォーム並びにその製造方法」を発明の名称とする特許(特許文献3)、「硬質ポリウレタンフォームおよび断熱体」を発明の名称とする特許(特許文献4)等がある。また、熱伝導率を向上させるポリオールに関する特許には、「硬質ポリウレタンフォームの製造方法」を発明の名称とする特許(特許文献5)等がある。
また、ポリイソシアネートと水の反応により尿素結合が多く生成するが、尿素結合は結合エネルギーが高く、より多くの熱を必要とするため、処方中水の多い硬質ポリウレタンフォームは発泡時低温環境下では重合が十分に進まず、低分子量のもろいフォームとなりやすい。この状態をフライアビリティがあると称しているが、フライアビリティがあると硬質ポリウレタンフォームは、接着面に対し十分自己接着しないため、低温環境下では剥離や脱落等の不具合を生じやすい。
このため、例えば注入成形において、従来のHCFC−141b発泡の場合は、一般に発泡時に直接接触する面の温度を35〜45℃程度に加温して発泡させるが、外気温と同様の発泡条件下で、発泡時に直接接触する面を加温せずに発泡させることもありうる。これに対し、処方中水の多い硬質ポリウレタンフォームの場合は一般に45〜55℃程度と面の温度を高くする必要があり、外気温と同様の発泡条件下などということは極めて困難である。また屋外で行なわれるスプレー工法においては、一般に発泡時に直接接触する面の温度は加温することなく行なわれ、このとき、従来のHCFC−141b発泡の場合は問題がないが、100%水発泡硬質ポリウレタンフォームの場合はフライアビリティによる接着不良が問題となっている。すなわち、処方中水の多い硬質ポリウレタンフォームの場合、低温環境下で接着不良を起こしやすいという課題があり、低温環境下のフライアビリティの改良がその解決策として求められている。低温下接着性に関する特許には、「スプレー式硬質ポリウレタンフォームの製造法」を発明の名称とする特許(特許文献6)等がある。
さらに、二酸化炭素で発泡した硬質ポリウレタンフォームは、従来のHCFC−141bで発泡されたフォームに比べ、低密度のレベルでは寸法変化率が大きくなり、寸法安定性が悪くなることが知られている。このようなフォームは常温下に放置しておくと、長期間に渡り徐々に収縮していき、最終的に製品の外観異常となる可能性がある。この原因として、フォームの気泡中の二酸化炭素がポリウレタン樹脂膜を経て外部に透過し易いため、外部に放出され易いことが考えられる。従って、二酸化炭素が透過しにくい硬質ポリウレタンフォームを開発する等により、寸法安定性の向上が求められている。100%水発泡硬質ポリウレタンフォームの寸法安定性に関する特許には、「硬質ポリウレタンフォームの製造方法」を発明の名称とする特許(特許文献7)、「硬質ポリウレタンフォームの製造方法」を発明の名称とする特許(特許文献8)等がある。
硬質ポリウレタンフォームにおいて、ポリオールの選択はこれらのフォーム性能に大きな影響があり重要である。しかし従来のマンニッヒ縮合物、あるいはエチレンジアミン等にアルキレンオキサイドを付加したポリオール等、また砂糖、あるいはトルエンジアミン等にアルキレンオキサイドを付加したポリオール等では、処方中水の多い硬質ポリウレタンフォームにおいて、熱伝導率が低く時間経過後の劣化が少なく、低温環境下でフライアビリティが少なく接着性に優れ、かつ寸法安定性が優れるなど、実用上要望される必要性能を十分満足する硬質ポリウレタンフォームを得ることが困難である。本発明はこれらの課題を解決する方法を提供するものである。
特開2004−107376号公報 特開2002−302528号公報 特表平8−501346号公報 特開2004−27074号公報 特開2001−354744号公報 特開平5−97956号公報 特開2004−115772号公報 特許3547190号公報
本発明の目的は、時間経過後の熱伝導率の劣化が少なく、低温環境下でフライアビリティが少なく接着性に優れ、かつ寸法安定性に優れる、水または二酸化炭素発泡に適した硬質ポリウレタンフォームを提供することである。
本発明の発明者等は、従来からアニリンを開始剤としたポリオールから得られるフォームの気泡が微細で熱伝導率が低く、寸法安定性が良好なことに注目していた。今回新たにこの目的で100%水発泡用にアルキレンオキサイドの種類、質量比、水酸基価を変え、種々のアニリンポリオールを合成し評価した。その結果、ある特定の範囲で熱伝導率の時間経過後の劣化が特異的に少なくなることが判った。
またアニリンに構造が類似した芳香族モノアミン化合物である、アニシジン、キシリジン、トルイジン、ニトロアニリン等を出発物質とし、アルキレンオキサイドを付加させた芳香族モノアミンポリオールについて、評価を行った結果もほぼ同様な効果があることが判明した。
さらに、これらの知見を応用し、芳香族ジオール化合物である、レゾルシン、ジヒドロキシナフタレン等を出発物質とし、アルキレンオキサイドを付加させたポリオールについて、評価を行った結果もほぼ同様な効果があることが判明し、これらの知見から本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第一の発明は、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤を含む混合物を発泡成形してなる硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリオール成分の少なくとも一部として、芳香族モノアミン化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比50〜100:50〜0で、合計のモル数3〜7モル付加重合させ、水酸基価を250〜500mgKOH/gとしたポリオールを使用し、該ポリオールを、処方中ポリオール成分100質量部のうち20〜100質量部使用することを特徴とする、断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法である。
また、前記芳香族モノアミン化合物が、分子量90〜170であることが望ましい。
さらに、前記芳香族モノアミン化合物が、アニリン、アニシジン、アミノアセトアニリド、アミノフェノール、アミノ安息香酸エチルエステル、イソプロポキシアニリン、キシリジン、クレシジン、トルイジン、フェネチジン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン(フェネチルアミン)、ベンジルアミン、ニトロアニリンおよびこれらの異性体からなる群から選ばれるいずれか1種、または任意の組み合わせであることが望ましい。
また、本発明の第二の発明は、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤を含む混合物を発泡成形してなる硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリオール成分の少なくとも一部として、芳香族ジオール化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比50〜100:50〜0で、合計のモル数3〜7モル付加重合させ、水酸基価を230〜500mgKOH/gとしたポリエーテルポリオールの1種または2種以上を使用し、該ポリエーテルポリオールを、処方中のポリオール成分100質量部のうち20〜100質量部使用することを特徴とする、本発明の断熱材硬質ポリウレタンフォームの製造方法である。
また、前記芳香族ジオール化合物が、分子量90〜170であることが望ましい。
さらに、前記芳香族ジオール化合物が、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、レゾルシンおよびこれらの異性体からなる群から選ばれるいずれか1種、または任意の組み合わせであることが望ましい。
また、本発明の断熱材硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、発泡剤が主として二酸化炭素であることが望ましい。
本発明により、時間経過後の熱伝導率の劣化が少なく、低温環境下でフライアビリティが少なく接着性に優れ、かつ寸法安定性が優れる水、または二酸化炭素発泡に適した硬質ポリウレタンフォームを提供することができる。
以下、本発明をその完成に至る経緯を含め詳細に説明する。
一般に、硬質ポリウレタンフォームの熱伝導は、気泡中のガスの熱伝導、輻射による熱伝導、樹脂中を経る固体層の熱伝導、および対流による熱伝導からなる。二酸化炭素発泡硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率が高く断熱性が悪いのは、二酸化炭素の熱伝導率がフロンガスの熱伝導率に比し高いためと言われている。発泡剤を100%水とし、処方中の二酸化炭素のモル数を一定にすることにより、ガスの熱伝導は一定にでき、硬質ポリウレタンフォームの気泡径を一定とすれば、輻射による熱伝導はおおむね一定にできる。気泡径0.4mm以下では対流は発生しないので、対流による熱伝導は無視できる。
諸条件を一定とし気泡径を一定としてポリオールのみを変え、100%水発泡硬質ポリウレタンフォームを作製し熱伝導率初期値を測定すれば、ポリオールと固体層の熱伝導の相関が得られると考えられる。しかし、そのようにして測定した結果、100%水発泡硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率初期値は一般的なポリオールでは殆ど差は見られなかった。次に、同様に処方中の二酸化炭素のモル数を一定とし、ポリオールを固定し、気泡径を変化させて熱伝導率を測定した。理論的には気泡径が小さくなるほど輻射の熱伝導は小さくなると考えられるが、100%硬質ポリウレタンフォームの場合、気泡径が最も小さい処方においても熱伝導率初期値は多少小さくなる程度で、気泡径が一般的な処方の熱伝導率と比し大きな差は見られなかった。従って、輻射による熱伝導、樹脂中を経る固体層の熱伝導に比し、ガスの熱伝導の影響が極めて大きいと考えられ、ポリオールのみを変えて熱伝導率初期値を大幅に改良することは困難と考えられる。
本発明の発明者等は、硬質ポリウレタンフォームを構成する樹脂の二酸化炭素バリヤ性を高めることにより、二酸化炭素を気泡中に封じ込めることができれば、熱伝導率の時間経過後の変化を最小にし得る点に着目した。二酸化炭素発泡硬質ポリウレタンフォームにおいて、熱伝導率初期値が許容される限度内にあり、熱伝導率の時間経過後の変化をHCFC−141bと同等にできれば、大幅な設計変更に至ることなく、冷凍分野に適用し得る可能性があると考えられる。しかもそれが可能であれば、寸法安定性の向上も期待できる。
100%水発泡硬質ポリウレタンフォームの気泡中の二酸化炭素が透過するのを促進させるため、パネルフォームを16mmの薄さにカットし、常温に放置して測定した。図1に100%水発泡の同一処方(東邦化学工業(株)製、原液名ハイセルM−595を使用)による、16mmにカットしたコアフォーム、スキン層付きフォーム、および鉄板面材付きフォームについて、熱伝導率の時間経過後変化のグラフを示す。なお、比較のために、一般的なフロン発泡硬質ポリウレタンフォーム(東邦化学工業(株)製、原液名ハイセルM−505を使用)についての結果も図1に同時に示す。これらを比較してみると、コアフォームの熱伝導率は初期値から劣化し続けるが、60〜90日後に一定の値となり平衡に達することが判った。その値はおよそ0.032〜0.033W/mK(0.028kcal/mh℃)で、気泡中の二酸化炭素が時間経過とともに気泡を構成する樹脂膜から透過して抜け、空気と置換した結果と考えられる。これに対し、スキン層付きフォームは0.033W/mKに達するのに約150日要し、鉄板面材付きフォームは、HCFC−141b発泡処方と同様に、150日以上経過後も熱伝導率が劣化し続けており、劣化速度が遅く評価に時間がかかることが判った。従って、熱伝導率の時間経過後の劣化は16mmにカットしたコアフォームの60日後の値をもって評価し、それに至る14日、28日経過後の測定値と初期値との比を、劣化速度の目安として評価することにした。目標としては、16mmにカットしたコアフォームの60日後の熱伝導率が、HCFC−141b発泡処方の60日後の0.026W/mKに匹敵し、100%水発泡処方の0.033W/mKを大きく下回ることを目指した。
100%水発泡処方において、ポリオール以外の原料を同一とし、諸条件を一定にし、ポリオールを種々替えて熱伝導率の時間経過後の劣化を測定した。その結果、16mmにカットしたコアフォームの60日後の値、および初期値との比は、使用したポリオールによってかなり異なることが判明した。以上が本発明を完成するに至った経緯である。
而して、完成した本発明に係わる硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、使用されるポリオールが、芳香族モノアミン化合物又は芳香族ジオール化合物を出発物質とした芳香族ポリオールであることを特徴とする。
より詳細には、本発明に使用される第一のポリオールは、芳香族モノアミン化合物を出発物質とする芳香族モノアミンポリオールであることを特徴とし、その活性水素の数は2個であることが好ましく、また分子量が90〜170、特に93〜166の芳香族モノアミン化合物に所定量のアルキレンオキサイドを付加させたものが、熱伝導率の時間経過後の劣化が少ない点で好ましい。活性水素の数が多いと、ポリオールとして適切な水酸基価を得るのに多くのモル数のアルキレンオキサイドを付加させる必要があり、二酸化炭素バリヤ性が損なわれると考えられる。また、分子量が大きいと、分子中の芳香族環の分子量比率が小さくなり、同様に二酸化炭素バリヤ性が損なわれると考えられる。
ポリオールの出発物質として芳香族モノアミン化合物を用いた場合において傾向を解析した結果、アニリン、アニシジン、アミノアセトアニリド、アミノフェノール、アミノ安息香酸エチルエステル、イソプロポキシアニリン、キシリジン、クレシジン、トルイジン、フェネチジン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン(フェネチルアミン)、ベンジルアミン、ニトロアニリン、およびこれらの異性体からなる群から選ばれるいずれか1種、または任意の組み合わせの芳香族モノアミン化合物に対し、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比50〜100:50〜0、好ましくは70〜100:30〜0、さらに好ましくは80〜100:20〜0、特に好ましくは90〜100:10〜0で、合計のモル数3〜7モル、好ましくは4〜7モル付加重合させ、水酸基価を250〜500mgKOH/g、好ましくは300〜450mgKOH/gとした芳香族モノアミンポリオールが最も良好なことが判った。
また、本発明に使用される第二のポリオールは、芳香族ジオール化合物を出発物質とする芳香族ポリオールであることを特徴とし、その活性水素の数は2個であることが好ましく、また分子量が90〜170、特に110〜161の芳香族ジオール化合物に所定量のアルキレンオキサイドを付加させたものが、熱伝導率の時間経過後の劣化が少ない点で好ましい。活性水素の数が多いと、ポリオールとして適切な水酸基価を得るのに多くのモル数のアルキレンオキサイドを付加させる必要があり、二酸化炭素バリヤ性が損なわれると考えられる。また、分子量が大きいと、分子中の芳香族環の分子量比率が小さくなり、同様に二酸化炭素バリヤ性が損なわれると考えられる。
ポリオールの出発物質として芳香族ジオール化合物を用いた場合において傾向を解析した結果、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、レゾルシン、およびこれらの異性体からなる群から選ばれるいずれか1種、または任意の組み合わせの芳香族ジオール化合物に対し、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比50〜100:50〜0、好ましくは70〜100:30〜0、さらに好ましくは80〜100:20〜0、特に好ましくは90〜100:10〜0で、合計のモル数3〜7モル、好ましくは4〜7モル付加重合させ、水酸基価を230〜500mgKOH/g、好ましくは300〜450mgKOH/gとした芳香族ポリオールが最も良好なことが判った。
本発明で用いるアルキレンオキサイドの種類はエチレンオキサイドが最も好ましく、100%エチレンオキサイド付加ポリオールが最も熱伝導率の時間経過後の劣化が少ない。プロピレンオキサイドの質量比を増やしていくと、フォーム流動性は向上するが、熱伝導率の時間経過後の劣化が多少生ずることとなり、低温環境下の接着性が悪化する。
一方、アルキレンオキサイドの合計のモル数が少なすぎると低温環境下の接着性が悪化し、多過ぎると熱伝導率の時間経過後の劣化が大きくなる。また、水酸基価が小さすぎるとアルキレンオキサイドの合計のモル数が増加し、熱伝導率の時間経過後の劣化が大きくなり、水酸基価が大きすぎると低温環境下の接着性が悪化する。
これらのポリオールにおいて熱伝導率の時間経過後の劣化が小さく、劣化速度が遅い理由は、一般のポリオールに比しエチレンオキサイドの比率が特に高く、更にアルキレンオキサイドの付加モル数が特に小さいため、芳香族以外の分子量比率が小さく、従って芳香族部分の分子量比率が高いため、得られた硬質ポリウレタンフォームの二酸化炭素バリヤ性が極めて高くなる条件を満たしていることによるものと考えられる。
これに対しマンニッヒ縮合物、エチレンジアミン、しょ糖、トルエンジアミン等にアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールから得られた100%水発泡硬質ポリウレタンフォームは、分子量に対する芳香族部分の分子量が小さいか、または付加したアルキレンオキサイドのモル数が多いため、二酸化炭素バリヤ性が悪く、熱伝導率の時間経過後の劣化が大きいと考えられる。ただし、ポリオールの種類により、熱伝導率の劣化速度には差があり、14日〜28日経過後では比較的良好なものもあったが、60日経過後にはいずれも平衡に達した。なお、芳香族部分の分子量比率(一般に芳香族濃度、または芳香族性などと言われる)は以下の式(1)で表される。
A(%)=Ma/Mp×100 (式1)
A:芳香族濃度
Ma:ポリオール開始剤の芳香族部分の分子量
Mp:ポリオールの平均分子量
また、(式1)中のポリオールの平均分子量Mpは以下の式(2)で表される。
Mp=f×Mk×1,000/OHV (式2)
f:ポリオールの平均官能基数
Mk:KOHの分子量
OHV:ポリオールの水酸基価
上記芳香族濃度に注目し、芳香族モノアミン化合物及び芳香族ジオール化合物を出発物質として用いたポリオールから製造された硬質ポリウレタンフォームのうちで熱伝導率において時間経過後の劣化が小さいものに使用されたポリオールの芳香族濃度を算出すると、すべて20%以上となり、高い芳香族濃度を示していた。これに対し、一般的な芳香族ポリオールであるトルエンジアミン及びビスフェノール−Aなどを出発物質としたポリオールなどでは芳香族濃度は20%以下となり、芳香族濃度は低かった。なお、非芳香族ポリオールの芳香族濃度は0%である。
ここで、上記の知見で得られた一つの事実、即ちポリオールの出発物質が同じ場合、使用するポリオールの水酸基価が低くなると、硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率の劣化が大きくなるという理由がうまく説明することができる点より、ポリオールの芳香族濃度とフォームの熱伝導率における時間経過後の劣化の程度の間にも相関があると考えられる。しかし、ポリオールの芳香族濃度だけではフォームの熱伝導率における時間経過後の劣化の程度との関係を十分説明することはできない。例えば使用するポリオールの芳香族濃度が同じであっても、ポリオールのプロピレンオキサイドの比率が高くなると、硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率における時間経過後の劣化は大きくなる。
また、使用するポリオールの芳香族濃度が高く、硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率における時間経過後の劣化が少ないものであっても、他の諸性能が悪い場合がある。たとえば、アニリンをポリオールの出発物質とし、水酸基価が600mgKOH/g、芳香族濃度が41%であるポリオールを用いた硬質ポリウレタンフォームにおいては、熱伝導率の時間経過後の劣化は少ないが、接着性が悪く実用性に乏しい。
本発明のポリオールから得られた硬質ポリウレタンフォームの、時間経過後の熱伝導率の劣化が小さい理由は、二酸化炭素バリヤ性が高いためと考えられることから、発泡剤の二酸化炭素は特に水とポリイソシアネートによる反応から生じたものでなくとも良く、超臨界状態、亜臨界状態、液体状態の二酸化炭素、または圧縮二酸化炭素であっても同様な効果が期待できる。100%水発泡処方の場合、水はポリオール100質量部に対し1〜8質量部が好ましく、超臨界状態、亜臨界状態、液体状態の二酸化炭素を使用する場合、二酸化炭素はポリオール100質量部に対し1〜8質量部が好ましい。
また、発泡剤として二酸化炭素とともに、炭化水素、または弗化炭化水素を併用しても性能上特に支障はない。ただし、炭化水素を併用した場合、プレミックス液は消防法上の危険物となり、弗化炭化水素を併用した場合、ノンフロンという環境上の特性は失われる。しかしながら、炭化水素、または弗化炭化水素を併用した場合には、時間経過後の熱伝導率の劣化が小さいことを同様に期待できるほか、更に熱伝導率の初期値を低くすることができる。また、この場合炭化水素、または弗化炭化水素の使用量の削減効果を期待できると考えられ、炭化水素、または弗化炭化水素発泡剤は、処方中ポリオール100質量部に対し5〜30質量部使用すれば十分と考えられる。
なお、本発明のポリオールのうち、エチレンオキサイドの質量比が高いものは、触媒活性が高く、強度が高く、寸法安定性が良好なことから、連続ラミネート製法等によって製造される金属サイジング材、雨戸等の用途に向いており、またフォームが剥き出しの状態で金属等の面材がなくとも熱伝導率の時間経過後の劣化が小さいこと、極めて低粘度で、低温環境下の接着性が良好なことから、スプレー工法の用途にも向いていると考えられる。また、プロピレンオキサイドの質量比を適宜増加させるか、あるいは他のポリオールを適宜併用することにより、フォーム流動性を向上させることができ、注入成型用に適したポリオールとすることも可能である。
本発明のポリオールを使用した処方において、反応性、性能等を適正化する目的で、組み合わせのポリオールを添加する必要性が想定される。その場合、一般的に使用されているグリコール、グリセリン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、トルエンジアミン、ソルビトール、しょ糖等のポリエーテルポリオール、フェノール系ポリオール、マンニッヒ系ポリオール、またはポリエステルポリオール等のポリオールを適宜添加することができる。
しかしポリオール100質量部のうち、本発明のポリオールを20質量部未満で使用した場合、得られた硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率は十分良好とならないため、20質量部以上の使用が必要であり、熱伝導率の時間経過後の劣化に対し効果を期待するためには、使用部数は50質量部以上が好ましく、70質量部以上がさらに好ましく、90質量部以上が特に好ましい。
本発明で使用される原料のうち、ポリイソシアネートはポリメリックMDIの使用が望ましいが、その一部に、トリレンジイソシアネート(TDI)、またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のプレポリマーとしたポリイソシアネートを使用しても支障はない。
本発明で使用されるウレタン用触媒は、一般の硬質ポリウレタンフォームで使用されている第3級アミン化合物および金属触媒等が使用でき、その他の助剤として一般に使用されている通常の整泡剤、難燃剤等を使用することができる。
ポリオール、発泡剤、および触媒、難燃剤等助剤を含む混合物は、電動ミキサー、またはスタティックミキサーのような周知の方法によって、混合しプレミックス液とすることができる。得られたプレミックス液は、既存の発泡機、またはミキサーによって、ポリイソシアネートと混合することができ、それによって硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。本発明は硬質ポリウレタンフォームのための発泡機、またはミキサーの種類に限定されるものではない。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本実施例においてはパネルフォームの性能を好ましい例として挙げているが、本発明の方法により得られた硬質ポリウレタンフォームの用途はパネルフォーム用に限定されるものではない。
後述する比較例1〜3、および実施例1〜3に示したパネルフォームの性能は、以下の手順で作製し、測定した。内容積500cm3の紙製カップに、それぞれの処方に基づいた質量の原料を仕込み、十分均一になるよう混合しプレミックス液とした。プレミックス液の原液温度を20℃に合わせ、この中にあらかじめ原液温度を20℃に合わせた、ポリメリックイソシアネートである日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200を注入し、特殊機化工業(株)製電動ミキサーによって7,000rpmの回転速度で4秒間攪拌した。
あらかじめポリエチレン製離型シートを貼り付け、またあらかじめ電気ヒーターで30℃に温調した、高さ49cm、幅42cm、厚さ2.5cmのアルミニウム製モールド中に、この混合物を速やかに投入し発泡させた。
モールド中に投入された混合液が、反応を開始し立ちあがり始めた時間をクリームタイムとし、紙製カップ中の混合液の発泡中にガラス棒を差し込み、引き抜く時糸状にゲル化物が引き伸ばされた時間をゲルタイムとし、これらを反応性として記録した。
初めに上部の枠を外し、フォームを上部に自由に噴出させたパネルフォームを作製し、10分後に得られた硬質ポリウレタンフォームを取り出し、高さ49cmに切断後フォーム質量を測定し、モールドの内容積から密度を算出しオープンパネル密度とした。
次に上部に径5mmのエア抜き口を2ケ開けた枠を設け、オープンパネル密度の120%の密度になるように算出した原液の量を、同モールド中に投入し発泡させた。またパネル中央部に2〜3mmの穴を開けた5cm角の鉄板を離型シートに貼り付け、発泡させた硬質ポリウレタンフォームに自己接着させた。
10分後に得られた硬質ポリウレタンフォームを取り出し、離型シートを剥がしてフォームのフライアビリティを触感にて判定した。著しくもろいフォームのときフライアビリティを「極めて大」、もろいフォームのときフライアビリティを「あり」、もろさが僅かにあるものを「少しあり」、もろさがないものを「なし」、もろさが全くないものを「全くなし」とした。また、その後速やかに鉄板中央部の穴にネジをねじ込み、アイコーエンジニアリング(株)製プッシュプルゲージにより、硬質ポリウレタンフォームに対する鉄板の接着力(kg)を測定した。発泡した翌日、そのパネルフォームの質量を測定し、モールドの内容積から密度を算出しパネル全密度とした。このパネル全密度とオープンパネル密度の比をパック率とした。更に20cm角、厚さ約1.6cmのサンプルを切り出し、フォーム質量と大きさを実測して密度を算出しコア密度とした。そのサンプルを用い、英弘精機(株)製オートラムダHC−074により熱伝導率を測定し熱伝導率初期値とした。そのサンプルを室温下に放置し、その後同一サンプルを更に14、28、60日後、場合により90日後に熱伝導率を測定し、初期値との比を算出した。パネルフォームの残りから長さ約30cm、幅約7cm、厚さ約2.5cmのサンプルを4つ切り出し、スタート時の厚さを(株)尾崎製作所製ダイヤルキャリパーゲージLO−1にて測定後、それぞれ−20℃、および70℃、および50℃関係湿度95%雰囲気下に放置し、28日後、最大寸法変化量を測定して、寸法変化率を算出した。残る1つのサンプルから5cmφの試験片を3つ切り出し、(株)オリエンテック製テンシロンUCT−2.5Tで圧縮強さを測定した。
(比較例1)
表1に示した比較例1における処方(1)は、東邦化学工業(株)製硬質ウレタン原液ハイセルM−595Cを112g仕込み、この中に日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200を129g注入し攪拌してM−595によるパネルフォームを作製した。
同様に処方(2)は、東邦化学工業(株)製硬質ウレタン原液ハイセルe−60C/日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200=140/110gとした。処方(3)は東邦化学工業(株)製硬質ウレタン原液ハイセルMR−284C/MR−200=146/81gとした。処方(4)は、東邦化学工業(株)製硬質ウレタン原液ハイセルM−330C/MR−200=167/103gとした。これらの原液を注入し攪拌して、それぞれe−60C、MR−284、M−330によるパネルフォームを作製した。
比較例1の処方(1)はHCFC−141b、処方(2)はHFC−245faを使用しており、いずれもフロン系発泡剤を使用している。これらの処方中のポリオールはいずれもしょ糖、脂肪族アミン等を使用しているが、本発明のポリオールは使用していない。これらの処方は電気機器用で、特にM−595は冷凍ショーケース用として実績があり、この処方の熱伝導率の初期値、および時間経過後の劣化等をHCFC−141b処方の代表値例とした。
比較例1の処方(3)、および処方(4)は市場で実績のある東邦化学工業(株)製100%水発泡原液であり、処方中のポリオールはいずれもしょ糖、脂肪族アミン等を使用しているが、本発明のポリオールは使用していない。これらの処方による、熱伝導率初期値、および時間経過後の劣化等を一般的な100%水発泡処方の代表値例とした。
Figure 2006035941
比較例1に示した発泡剤がHCFC−141bの処方(1)およびHFC−245faの処方(2)と、市場で実績のある100%水発泡である処方(3)および処方(4)のパックパネル性能を対比してみると、治具温度30℃における接着力は、HCFC−141b発泡の処方(1)が5.7kg、HFC−245fa発泡の処方(2)が7.5kgと良好であるのに対し、水発泡の処方(3)および(4)では2.0〜4.5kgとやや低めになっている。接着力はフライアビリティと相関し、フライアビリティのない処方で高くなっている。また、熱伝導率初期値はHCFC−141bの処方(1)の0.0205W/mKに比し、HFC−245faの処方(2)は0.0208W/mKで同等であるが、60日後の熱伝導率はそれぞれ0.0262W/mK、0.0245W/mKとHFC−245faの処方(2)の方がやや良好となっている。この場合の熱伝導率初期値比はHCFC−141の処方(1)では128%、HFC−245faの処方(2)では118%である。これに対し、100%水発泡処方の熱伝導率初期値は、処方(3)では0.0239W/mK、処方(4)では0.0228W/mKで、HCFC−141b処方(1)に比し111〜117%と1割〜2割程度悪くなっている。さらに熱伝導率の時間経過後の劣化を見てみると、60日後の熱伝導率は水発泡処方ではいずれも0.033W/mK前後となって平衡に達しており、熱伝導率初期値比が140〜145%前後と劣化が非常に大きくなっているのが判る。一方、90日後では、HCFC−141b発泡の処方(1)は熱伝導率の劣化が更に進んでいるが平衡に達していないのに対し、100%水発泡である処方は既に平衡に達していることが判る。HCFC−141b、HFC−245fa発泡フォームに比し、二酸化炭素発泡フォームの方が熱伝導率の時間経過後の劣化が大きい理由は、二酸化炭素が気泡から透過しやすいため、空気と置換した結果であると考えられる。また、HFC−245fa発泡フォームの方がHCFC−141b発泡フォームより熱伝導率の時間経過後の劣化が多少小さい理由は、HFC−245faの方がHCFC−141bより分子量が大きく、気泡膜から透過しにくいためと考えられる。
また、50℃95%関係湿度雰囲気下28日後の寸法変化率を見てみると、処方(1)、および処方(2)では−4.3〜1.2%と変化率が小さいのに対し、100%水発泡である処方(3)、および処方(4)では−17.7〜−20.2%と変化率が大きく、寸法安定性が悪くなっているのが判る。
(比較例2)
表2に示した比較例2における処方(5)は第一工業製薬(株)製マンニッヒポリオールDK−3810を100部に対し、水を4.88部、TMHDA(トリメチレンヘキサンジアミン)を0.27部、東レ・ダウコーニング(株)(旧日本ユニカー(株))製SZ−1718を1.5部、日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200を164.5部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(6)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールQB−501を100部に対し、水を5.13部、TMHDAを0.57部、SZ−1718を1.5部、MR−200を178部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(7)は東邦化学工業(株)製ビゾール4ENを100部に対し、水を4.65部、TMHDAを0.90部、SZ−1718を1.5部、MR−200を151.5部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(8)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAR−3502を100部に対し、水を4.80部、TMHDAを1.33部、SZ−1718を1.5部、MR−200を159.3部の割合で総質量300gとなるように使用してパネルを作製した。
比較例2の処方(5)はマンニッヒポリオール、処方(6)はエチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で45/55、モル数で5/5、水酸基価を450としたポリオール、処方(7)はビスフェノール−Aにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で4/0、水酸基価を280としたポリオール、処方(8)はトルエンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で30/70、モル数で4/6、水酸基価を350としたポリオールで、いずれも一般的なポリオールある。従ってこれらの処方による、熱伝導率の初期値、および時間経過後の劣化等を本発明のポリオールとの比較対象の代表値例とした。
Figure 2006035941
比較例2の処方のいずれも気泡径が小さく、熱伝導率初期値は0.0224〜0.0229W/mKと比較的良好であった。熱伝導率の時間経過後の劣化を見てみると、60日後にいずれもほぼ平衡に達して0.032W/mK前後となり、初期値比も140〜145%と同様だった。比較例1の100%水発泡処方と同様に、二酸化炭素が気泡から透過し空気と置換した結果と考えられ、得られたフォームの二酸化炭素バリヤ性は、14日後、28日後のデータから、平衡に至る熱伝導率の劣化速度に多少の差が認められるが、大差はないと考えられる。ここでは特にデータを記さないが、砂糖、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、トルエンジアミン等のエチレンオキサイド質量比を変えたポリオール等も類似した傾向であった。
比較例2の処方(5)のマンニッヒポリオール、(6)のエチレンジアミンポリオールは治具温度30℃におけるフライアビリティが全くなく、治具温度30℃における接着力は高く良好だったが、(7)のビスフェノール−Aポリオール、(8)のトルエンジアミンポリオールはいずれも接着性が良くなかった。フォーム流動性は、特にマンニッヒポリオール、およびビスフェノール−Aポリオールが悪かったが、28日後の湿熱寸法安定性はいずれのポリオールも良好だった。
(比較例3)
表3に示した比較例3における処方(9)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAB−323の100部に対し、水を5.16部、TMHDAを1.72部、東レ・ダウコーニング(株)(旧日本ユニカー(株))製SZ−1718を1.5部、日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200を178.5部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(10)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAE−190の100部に対し、水を6.89部、TMHDAを0.77部、SZ−1718を1.5部、MR−200を273.5部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(11)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAB−560の100部に対し、水を4.09部、TMHDAを0.80部、SZ−1718を1.5部、MR−200を120.9部の割合で総質量300gとなるように使用してパネルを作製した。
比較例3の処方(9)のAB−323はアニリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で30/70、モル数で1.5/2.7、水酸基価を350としたポリオール、処方(10)のAE−190はアニリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で2.0/0、水酸基価を600としたポリオール、処方(11)のAB−560はアニリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で40/60、モル数で4.8/1.2、水酸基価を480としたポリオールで、いずれもアニリンポリオールであるが、本発明の対象外である。
Figure 2006035941
比較例3の処方のいずれも、熱伝導率初期値は0.0224〜0.0225W/mKと比較的良好であった。熱伝導率の時間経過後の劣化を見てみると、エチレンオキサイドの質量比が50%未満の処方(9)のAB−323、および処方(11)のAB−560によるフォームは、いずれも60日後に平衡に達して0.032W/mK前後となり、初期値比も140%と他の比較例のポリオールによるフォームと同様だった。処方(10)のAE−190によるフォームの、熱伝導率の時間経過後の劣化は対象内のアニリンポリオールと同様で良好だった。従って、熱伝導率の時間経過後の劣化に関係する二酸化炭素バリヤ性に効果があるのは、ポリオール開始剤の種類だけではなく、アルキレンオキサイドの種類、質量比、合計のモル数が大きく関係すると考えられる。
比較例3の処方(11)のアニリンポリオールは治具温度30℃におけるフライアビリティが全くなく、治具温度30℃における接着力は高く良好だったが、処方(9)、および(10)のアニリンポリオールはいずれもフライアビリティが高く、接着性が良くなかった。特に処方(10)はフライアビリティが極めて高いため、熱伝導率の時間経過後の劣化が良好でも使えない状況だった。フォーム流動性、28日後の湿熱寸法安定性はいずれのポリオールも良好だった。比較例1、2、および比較例3の処方の、熱伝導率の時間経過後の劣化、および初期値との比を、図2、図3のグラフに示す。
(実施例1)
表4に示した実施例1における処方(12)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールTE−280を100部に対し、水を5.50部、TMHDAを0.61部、東レ・ダウコーニング(株)(旧日本ユニカー(株))製SZ−1718を1.5部、日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200を197.0部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(13)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAN−280を100部に対し、水を5.36部、TMHDAを1.04部、SZ−1718を1.5部、MR−200を189.7部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(14)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールXE−280を100部に対し、水を4.36部、TMHDAを1.04部、SZ−1718を1.5部、MR−200を189.7部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(15)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールNE−310を100部に対し、水を5.43部、TMHDAを1.04部、SZ−1718を1.5部、MR−200を189.7部の割合で総質量300gとなるように使用してパネルを作製した。
実施例1の処方(12)はo−トルイジンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で4.0/0、水酸基価を400としたポリオール、処方(13)はアニシジンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で4.0/0、水酸基価を380としたポリオール、処方(14)はキシリジンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で4.0/0、水酸基価を380としたポリオール、処方(15)はニトロアニリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で4.0/0、水酸基価を380としたポリオールで、いずれも構造がアニリンに類似した芳香族モノアミンポリオールである。
(実施例2)
表5に示した実施例2における処方(16)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAE−270を100部に対し、水を5.60部、TMHDAを1.09部、東レ・ダウコーニング(株)(旧日本ユニカー(株))製SZ−1718を1.5部、日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200を203.1部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(17)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAE−320を100部に対し、水を5.15部、TMHDAを1.00部、SZ−1718を1.5部、MR−200を178.2部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(18)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAE−370を100部に対し、水を4.78部、TMHDAを0.53部、SZ−1718を1.5部、MR−200を158.9部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(19)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールAB−372を100部に対し、水を4.61部、TMHDAを0.77部、SZ−1718を1.5部、MR−200を149.5部の割合で総質量300gとなるように使用してパネルを作製した。
実施例2の処方(16)のAE−270はアニリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で4.0/0、水酸基価を415としたポリオール、処方(17)のAE−320はアニリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で5.3/0、水酸基価を350としたポリオール、処方(18)のAE−370はアニリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で6.4/0、水酸基価を300としたポリオール、処方(19)のAB−372はアニリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で90/10、モル数で5.7/0.5、水酸基価を300としたポリオールで、いずれもアニリンポリオールである。
Figure 2006035941
Figure 2006035941
実施例1、および実施例2における本発明の芳香族モノアミンポリオール、およびアニリンポリオールの熱伝導率初期値は0.021〜0.023W/mK前後で、比較例の処方(3)〜(4)の水発泡処方、処方(5)〜(8)の一般的なポリオールを使用した水発泡処方の熱伝導率初期値とほぼ同様であった。しかし、本発明の芳香族モノアミンポリオール、およびアニリンポリオールの60日後の熱伝導率は、0.024〜0.028W/mK前後で、比較例の100%水発泡処方、および一般的なポリオールを使用した処方の0.032〜0.033W/mKとは大きな差があった。本発明の芳香族モノアミンポリオール、およびアニリンポリオールの熱伝導率の劣化傾向は、HCFC−141b発泡処方と類似しており、劣化速度の目安となる初期値比は114〜124%と、いずれもHCFC−141b発泡処方の128%より小さくなっていて、劣化速度は遅くなっていると考えられる。熱伝導率の時間経過後の劣化が最も少ないものはトーホーポリオールAE−270、AE−320、およびAE−370で、60日後の熱伝導率が、HCFC−141b発泡処方0.0262W/mK、HFC−245fa発泡処方の0.0245W/mKに比し、0.0248〜0.0264W/mKとほぼ同等レベルになっており、熱伝導率初期値比はHCFC−141b発泡処方の128%、HFC−245fa発泡処方の118%に比し、114〜117%であり、HCFC−141bより熱伝導率の劣化は遅く、HFC−245faとほぼ同等もしくはそれ以下となっている。
時間経過後の熱伝導率がHFC−245fa、およびHCFC−141bと同等で、劣化が遅いということは、従来の100%水発泡処方の技術では不可能で考えられないことであり、本発明の芳香族モノアミンポリオール、およびアニリンポリオールから得られた硬質ポリウレタンフォームの二酸化炭素バリヤ性が極めて優れている結果と考えられる。実施例1、および実施例2における芳香族モノアミンポリオール、およびアニリンポリオールについて、熱伝導率の時間経過後の劣化、および初期値との比を、図4および図5のグラフに示す。
芳香族モノアミンポリオール、およびアニリンポリオールの治具温度30℃におけるフライアビリティは、「全くなし」〜「少しあり」まであってまちまちで、接着力は3.0〜10.8kgとポリオールによって異なる結果を示した。同様に湿熱寸法変化率も−5.2〜15.2%とばらつきがみられた。接着性、および湿熱寸法安定性はポリオールの水酸基価と相関があり、水酸基価が小さくなると接着性は向上するが寸法安定性が悪くなり、水酸基価が大きくなると接着性は悪くなるが寸法安定性が向上した。この結果は、その時々で求められる要求性能に合わせてポリオールの水酸基価を選択することが可能であることを示し、他のポリオールとの組み合わせによって最適化することも可能であることを示すものである。
(実施例3)
表6に示した実施例3における処方(20)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールRE−390を100部に対し、水を5.43部、TMHDAを1.06部、東レ・ダウコーニング(株)(旧日本ユニカー(株))製SZ−1718を1.5部、日本ポリウレタン工業(株)製ミリオネートMR−200を193.5部の割合で総質量300gとなるようにし、処方(21)は東邦化学工業(株)製トーホーポリオールNE−330を100部に対し、水を5.01部、TMHDAを0.97部、SZ−1718を1.5部、MR−200を170.6部の割合で総質量300gとなるように使用してパネルを作製した。
実施例3の処方(20)はレゾルシンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で4.0/0、水酸基価を390としたポリオール、処方(21)はジヒドロキシナフタレンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比で100/0、モル数で4.0/0、水酸基価を330としたポリオールでいずれも芳香族ポリオールである。
Figure 2006035941
実施例3における本発明の芳香族ポリオールの熱伝導率初期値は0.022W/mK前後で、比較例の処方(3)〜(4)の水発泡処方、処方(5)〜(8)の一般的なポリオールを使用した水発泡処方の熱伝導率初期値とほぼ同様であった。しかし、本発明のポリオールの60日後の熱伝導率は、0.026〜0.028W/mK前後で、比較例の100%水発泡処方、および一般的なポリオールを使用した処方の0.032〜0.033W/mKとは大きな差があった。本発明の芳香族ポリオールの、熱伝導率の劣化傾向はHCFC−141b発泡処方と類似しており、劣化速度の目安となる初期値比は118〜125%と、いずれもHCFC−141b発泡処方の128%より小さくなっていて、劣化速度は遅くなっていると考えられる。
時間経過後の熱伝導率の劣化速度がHCFC−141bより遅いということは、従来の100%水発泡処方の技術では不可能で考えられないことであり、本発明の芳香族ポリオールから得られた硬質ポリウレタンフォームの二酸化炭素バリヤ性が極めて優れている結果と考えられる。実施例3における本発明の芳香族ポリオールについて、熱伝導率の時間経過後の劣化、および初期値との比を、図6および図7のグラフに示す。
本発明の芳香族ポリオールの治具温度30℃におけるフライアビリティは「なし」であり、接着力は8.8〜9.5kgとなった。一方、湿熱寸法変化率は−15.4〜1.3%とばらつきがみられた。一般に、接着性および湿熱寸法安定性はポリオールの水酸基価と相関があり、開始剤が同一のとき、水酸基価が小さくなると接着性は向上するが寸法安定性が悪くなり、水酸基価が大きくなると接着性は悪くなるが寸法安定性が向上することが知られており、本発明においても、開始剤を同一にして水酸基価を種々変えてフォームを製造したとき、同様の結果が得られることが期待できる。斯様な結果は、その時々で求められる要求性能に合わせてポリオールの水酸基価を選択することが可能であることを示し、他のポリオールとの組み合わせによって最適化することも可能であることを示すものである。
一般的なフロン発泡硬質ポリウレタンフォーム(原液名ハイセルM−595)と、一般的なポリオールを使用し表面状態が異なる、100%水発泡硬質ポリウレタンフォーム(原液名ハイセルM−505)について、時間と熱伝導率の関係をそれぞれ示すグラフである。 一般的なフロン発泡硬質ポリウレタンフォーム、および100%水発泡硬質ポリウレタンフォーム、および一般的なポリオールを使用した100%水発泡硬質ポリウレタンフォームについて時間と熱伝導率の関係をそれぞれ示すグラフである。 一般的なフロン発泡硬質ポリウレタンフォーム、および100%水発泡硬質ポリウレタンフォーム、および一般的なポリオールを使用した100%水発泡硬質ポリウレタンフォームについて時間と熱伝導率初期値比の関係をそれぞれ示すグラフである。 本発明の芳香族モノアミンポリオール、およびアニリンポリオールについて時間と熱伝導率の関係をそれぞれ示すグラフである。 本発明の芳香族モノアミンポリオール、およびアニリンポリオールについて時間と熱伝導率初期値比の関係をそれぞれ示すグラフである。 本発明の芳香族ポリオールについて時間と熱伝導率の関係をそれぞれ示すグラフである。 本発明の芳香族ポリオールについて時間と熱伝導率初期値比の関係をそれぞれ示すグラフである。

Claims (7)

  1. ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤を含む混合物を発泡成形してなる硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリオール成分の少なくとも一部として、芳香族モノアミン化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比50〜100:50〜0で、合計のモル数3〜7モル付加重合させ、水酸基価を250〜500mgKOH/gとしたポリオールを使用し、該ポリオールを処方中のポリオール成分100質量部のうち20〜100質量部使用することを特徴とする断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  2. 前記芳香族モノアミン化合物が、分子量90〜170であることを特徴とする、請求項1に記載の断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  3. 前記芳香族モノアミン化合物が、アニリン、アニシジン、アミノアセトアニリド、アミノフェノール、アミノ安息香酸エチルエステル、イソプロポキシアニリン、キシリジン、クレシジン、トルイジン、フェネチジン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン(フェネチルアミン)、ベンジルアミン、ニトロアニリンおよびこれらの異性体からなる群から選ばれるいずれか1種、または任意の組み合わせであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  4. ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤を含む混合物を発泡成形してなる硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリオール成分の少なくとも一部として、芳香族ジオール化合物にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを質量比50〜100:50〜0で、合計のモル数3〜7モル付加重合させ、水酸基価を230〜500mgKOH/gとしたポリエーテルポリオールの1種または2種以上を使用し、該ポリエーテルポリオールを処方中のポリオール成分100質量部のうち20〜100質量部使用することを特徴とする、断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  5. 前記芳香族ジオール化合物が、分子量90〜170であることを特徴とする、請求項4に記載の断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  6. 前記芳香族ジオール化合物が、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、レゾルシンおよびこれらの異性体からなる群から選ばれるいずれか1種、または任意の組み合わせであることを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
  7. 発泡剤が主として二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の断熱材用硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
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