JPWO2006009022A1 - リポソーム含有x線造影剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

脂質膜内外の水相に水溶性ヨウド系化合物を含有するリポソームを含むX線造影剤であり、そのリポソームは、ヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で該脂質膜を構成する脂質膜成分と超臨界もしくは亜臨界状態の二酸化炭素とを混合することにより作製される。これを含む本発明のX線造影剤は、クロル系溶剤などの有毒な溶剤を含有しないため安全性が高い。

Description

本発明は、リポソーム含有X線造影剤およびその製造方法に関し、詳しくはヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシ基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で脂質膜成分と超臨界もしくは亜臨界二酸化炭素とを混合して形成され、脂質膜内部にヨウド系化合物を内包させたリポソームを含むX線造影剤およびその製造方法に関する。
X線による検査・診断は、画像診断の中核をなす技術の一つである。臓器などの軟組織のX線検査では、骨、歯などのいわゆる硬組織とは異なり、X線吸収の差が小さいことから高いコントラスト像を得ることは困難である。このため、造影剤を使用してコントラストの高い画像を得ることが一般に行なわれている。
現在実用化されているX線造影剤の大部分は、トリヨウドフェニル基を含み水溶性化された化合物を造影物質とするものである。これらの造影剤は、血管、尿管、輸卵管などの管腔部位に投与され、管腔の形状、狭窄などの診断に使用されている。しかしながら、投与されたヨウド系化合物の多くは、組織や疾患部位と相互作用をすることなく管腔部位から速やかに排出される。したがって組織や疾患部位、特に癌病巣をより詳細に観察する目的には役立たない。このため目標とする組織もしくは疾患部位、特に癌組織に選択的に集積し、病変箇所の周囲またはその他の部位と明瞭なコントラストで区別できる画像を提供するX線造影剤が望まれている。
上記問題の解決には、造影剤を微粒子状にするとともにその血中半減期を改善することにより標的組織へ選択的に送達する方法が有効である。そこで生体膜類似の脂質から構成され、低い抗原性であるリポソームに造影物質を内包させる手法が検討されている。例えば国際公開WO88/09165、同WO89/00988、同WO90/07491、特開平07-316079、特開2003-5596では、非イオン性の造影物質を含有するリポソームが提案されている。これらの方法では、素材としての安全性が高く、生体内で適度な分解性を有するリポソームを用いるにもかかわらず、製造過程においてリポソーム膜を構成するリン脂質の溶剤として、有機溶媒、特にクロロホルム、ジクロロメタンといったクロル系溶剤を使用する(例えば、特許文献1参照)。したがって、どうしても残存する溶剤の毒性があるという理由で実用化に至っていないのが現状である(特許文献2)。
他方、脂溶性の薬剤は容易にリポソーム中に封入されるが、その封入量は他の要因にも左右されるために必ずしも多くはない。また水溶性電解質である薬剤は、その薬剤の電荷と荷電した脂質の電荷との相互作用を通じてリポソーム内部の水相に封入できるが、薬剤が水溶性の非電解質である場合には、そうした手段を採ることはできない。X線造影剤についても、一般にイオン性造影化合物よりも、実質的に毒性の低い非イオン性ヨウド化合物をリポソーム内に封入することが望まれるが、上記の理由から容易ではない。さらに形成されるリポソームは多重層になりやすく、ヨウド化合物の内包率も低いために効率が悪くなる。このような水溶性の非電解質をリポソーム中に封入する手段として、逆相蒸発法、エーテル注入法などが挙げられるが、有機溶剤を使用するために依然として安全性の問題が残る。
特開2003-119120(特許文献3)では、リポソームを含有する化粧料、皮膚外用剤を、超臨界二酸化炭素を用いて製造する方法が開示されており、親水性薬効成分や親油性薬効成分をリポソームに内包する皮膚外用剤の製造例が示されている。しかし、親水性薬効成分として、水溶性電解質の例は示されているが、同法により水溶性非電解質をリポソームに効率よく内包できるか不明であった。またこの方法では、内包率を上げるため、エタノール等の助溶剤の使用が望まれており、有機溶媒を使用せずに内包率の高いリポソームは作製できない。また、首尾良く造影物質をリポソーム内部に内包させても、時間経過とともに外部へ漏出する問題、あるいはリポソームそのものが不安定となる事態も考慮されねばならない。さらにリポソームを生体内へ投与しても、その多くが肝臓、脾臓などの網内系組織で捕捉されるため、所期の効果が得られないことも指摘されている(Cancer Res.,43, 43, 5328(1983))。ヨウド系化合物をリポソームに内包させた場合には、遊離形態のヨウド系化合物からなる従来のX線造影剤とは異なり、造影物質のリポソーム内外での存在形態、内包の割合などもまた、造影剤の性能に影響する。したがって非イオン性ヨウド化合物を効率よく封入して安定的に保持でき、かつ安全性に問題のないリポソームの作製方法が望まれている。
上述の問題点を解決すべく本発明者らは鋭意研究を進めた。その結果、リポソームによる造影物質の保持は、リポソームの構造(通常、脂質二重膜から形成されている)とその安定化ならびにヨウド系化合物の内包安定化を通じて改善することができることなどを見出して、本発明を完成した。
本発明は、造影物質をリポソームに封入することによりその送達の効率および選択性が高いX線造影剤を提供することを目的とする。また毒性のある有機溶媒を使用せずに内部にヨウド系化合物を効率よく安定的に封入できるリポソームを作製し、これを含めてなるX線造影剤ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
特許2619037号公報 特開平7-316079号公報 特開2003-119120号公報
本発明の上記目的は、下記の各々の構成によって達成される。
本発明は、ヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、脂質膜成分としてリン脂質とともに、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物を超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に溶解した後、ヨウド系化合物の水溶液を導入することによりミセルを形成させ、次いで二酸化炭素を排出して、ヨウド系化合物を内部に含有するリポソームを作製することを含む製造方法である。
前記のヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する化合物が、ポリアルキレンオキシド基を有する化合物であることを特徴とするX線造影剤の製造方法が望ましい。
前記のポリアルキレンオキシド基を有する化合物が、好ましくはポリアルキレンオキシド基を有する脂質,更に好ましくはポリエチレンオキシド基を有する脂質である。
前記のヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する化合物を、超臨界状態もしくは亜臨界状態にする二酸化炭素に対して0.01〜1質量%の割合で用いることが好ましい。
前記ヨウド系化合物は、ヨウド原子として100〜350mgI/ml造影剤の濃度で含まれることが好ましい。
前記ヨウド系化合物は、好ましくは非イオン性のヨウド系化合物であって、更に好ましくはイオメプロール、イオパミドール、イオヘキソール、イオペントール、イオプロミド、イオキシラン、イオシミド、イオベンゾール、イオトロラン、イオジキサノール、イオデシモル、イオタスル、メトリザミド、1,3−ビス−(N−3,5−ビス−(2,3−ジヒドロキシプロピルアミノカルボニル)−2,4,6−トリヨードフェニル)−N−ヒドロキシアセチル−アミノ)−プロパンから少なくとも1種選ばれ、特に好ましくはイオメプロール、イオパミドール、イオヘキソール、イオプロミド、イオキシラン、イオタスル、イオトロランまたはイオジキサノールである。
前記ヨウド系化合物の70〜95質量%が、リポソームに内包されていない形態にあり、リポソームを懸濁する水性媒体中に存在することが好ましい。
全脂質は20〜100mg/ml造影剤の濃度で含まれることが好ましい。
また、前記ヨウド系化合物のうちリポソームに内包された部分の前記脂質の量に対する重量比が、好ましくは3〜8(g/g)である。
前記リポソームが実質的に一枚膜もしくは数枚膜のリポソームであることが望ましい。
前記ヨウド系化合物をヨウド原子として200〜300mgI/mL造影剤(好ましくは240〜300mgI/mL造影剤)、全脂質を20〜80mg/mL造影剤の濃度で含むことが望ましい。
更に、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ステロール類のモル比が100/60〜100/90であることを特徴とするX線造影剤であることが好ましい。
又,リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ポリアルキレンオキシド基を有する脂質のモル比が100/5〜100/10であることが好ましい。
前記リポソームの平均粒径は、好ましくは0.05μm〜0.8μmである。
前記ヨウド系化合物の水溶液が水溶性アミン系緩衝剤、EDTANa2−Ca(エデト酸カルシウム2ナトリウム)、無機塩、浸透圧調節剤および保存剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが望ましい。
更に、前記脂質膜内外の水相に、カチオンが塩化物、リン酸塩または炭酸水素塩として含有され、このうちナトリウムイオン、カルシウムイオンおよびカリウムイオンの量が下記式:
(ただし、ナトリウムイオン量が20〜70mM、カルシウムイオン量が0.1〜0.6 mMおよびカリウムイオン量が0.4〜0.9 mMである。)を満たし、マグネシウムイオンの量が、0.05〜0.8mMであることが好ましい。
本発明の詳細について説明する。
本発明は、脂質膜内の水相にヨウド系化合物を含有するリポソームを含むX線造影剤の製造方法であり、該リポソームが、ヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する化合物を有する少なくとも1種の化合物の存在下で該脂質膜を構成する脂質膜成分と超臨界もしくは亜臨界状態の二酸化炭素とを混合することにより作製され、実質的にクロル系溶剤およびその他の有機溶媒を含まないリポソームであることを特徴としている。
X線造影剤
リポソームは、通常、脂質膜、すなわち脂質二重膜から形成されている構造物である。本発明のX線造影剤は、脂質膜内の水相に造影物質としてヨウド系化合物を含有しており、実質的にクロル系溶剤を含まないリポソームを含んでなる造影剤である。その好ましい態様は、前記リポソームの脂質膜内部の水相とそのリポソームが分散されている水性媒体との両方に、ヨウド系化合物および製剤助剤を含有している形態である。特に好ましい態様は、前記リポソームの脂質膜内外でそれぞれの濃度が実質的に同一となっているX線造影剤である。ここで「実質的に」とは、通常の場合、ほとんど濃度が同一であることをいう。また本明細書では、リポソーム膜を脂質膜と言及することもある。
「製剤助剤」とは、造影剤の製剤化に際し、造影物質とともに添加される物質であり、これまでの造影剤製造技術に基づいて各種の物質が所望により使用される。具体的には生理学的に許容される各種の緩衝剤、EDTANa2−Ca、EDTANa2などといったエデト酸系のキレート化剤、薬理的活性物質(例えば血管拡張剤、凝固抑制剤など)、さらに必要に応じて、浸透圧調節剤、安定化剤、抗酸化剤(例えばα‐トコフェロール、アスコルビン酸)、粘度調節剤、保存剤などが挙げられる。好ましくは、水溶性アミン系緩衝剤およびキレート化剤をともに含めるのがよい。pH緩衝剤としては、アミン系緩衝剤および炭酸塩系緩衝剤が好ましく用いられるが、特に好ましくはアミン系緩衝剤であり、中でもトロメタモールが望ましい。キレート化剤は好ましくは、EDTANa2−Ca(エデト酸カルシウム2ナトリウム)である。
また、「水性媒体」とは、ヨウド系化合物、製剤助剤などを溶解する水をベースとする溶媒である。その水は、滅菌した発熱物質を含まない水を使用する。リポソームの脂質膜内部の水相(脂質膜により封入された水溶液)以外の水溶液(すなわち該リポソームが分散されている水性媒体)にも少なくともヨウド系化合物の他に、製剤助剤(例えば水溶性アミン系緩衝剤、キレート化剤など)が含まれている場合には、該膜内外で著しい浸透圧差が生じることはなく、これによりリポソームの構造安定性が保たれる。
造影物質
本発明において造影物質として使用されるヨウド系化合物は、好ましくは水溶性ヨウド系化合物である。造影性があればイオン性、非イオン性を問わず特に限定されない。一般的に非イオン性ヨウド系化合物の方が、イオン性ヨウド系化合物よりも浸透圧が低いために望ましい。水溶性の非イオン性ヨウド系化合物として、特にヨウ化フェニルを含み、例えば2,4,6−トリヨードフェニル基を少なくとも1個有する非イオン性ヨウド系化合物(例えばトリヨウド安息香酸型)が好適である。 又,ヨウド原子として100〜350mgI/ml造影剤の濃度で含まれることが好ましい。
そのような非イオン性ヨウド系化合物として、具体的にはイオメプロール、イオパミドール、イオヘキソール、イオペントール、イオプロミド、イオキシラン、イオシミド、イオベンゾール、イオトロラン、イオジキサノール、イオデシモル、イオタスル、メトリザミド、1,3−ビス−(N−3,5−ビス−(2,3−ジヒドロキシプロピルアミノカルボニル)−2,4,6−トリヨードフェニル)−N−ヒドロキシアセチル−アミノ)−プロパンなどが挙げられる。
前記ヨウド系化合物は、好ましくはイオメプロール、イオパミドール、イオヘキソール、イオプロミド、イオキシラン、イオタスル、イオトロランまたはイオジキサノールである。などが挙げられる。
その他のヨウド系化合物として、ジアトリゾイン酸;ジアトリゾエートナトリウム;メグルミンジアトリゾエート;アセトリゾイン酸およびその可溶性塩;ジプロトリゾ酸;ヨーダミド、ヨージパミドナトリウム、メグルミンヨージパミド、ヨード馬尿酸およびその可溶性塩;ヨードメタム酸;ヨードピラセットヨード−2−ピリドン−N−酢酸、3,5−ジヨード−4−ピリドン−N−酢酸(ヨードピラセット);前記酸のジエチルアンモニウム塩;イオタラム酸;メトリゾイン酸およびその塩;イオパノ酸、イオセファム酸、イオフェノ酸およびそれらの可溶性塩;チロパノエートナトリウム、イオポダートナトリウムおよび他の同様にヨウ素化された化合物などを挙げることができる。
前記ヨウド系化合物の70〜95質量%が、リポソームに内包されていない形態にあり、リポソームを懸濁する水性媒体中に存在することを特徴としている。
全脂質は20〜100mg/ml造影剤の濃度で含まれることを特徴としている。
また、前記ヨウド系化合物のうちリポソームに内包された部分の前記脂質の量に対する重量比が、3〜8(g/g)であることが望ましい。
前記リポソームが実質的一枚膜もしくは数枚膜のリポソームであることが望ましい。
本発明のX線造影剤における全脂質の濃度は、好ましくは20〜100 mg/ml、より好ましくは40〜90 mg/ml、更に好ましくは50〜80mg/mlである。この場合の「全脂質」とは、リポソームを構成するリン脂質、ステロール、グリコールなどのすべての種類の脂質類を含める意味である。そうした全脂質は、造影剤に含まれるリポソームの量と概ね見なしてもよい。もっとも後記するようにリポソームの形態には種々あるために、全脂質量は単純にリポソームの数には対応しない。本発明のX線造影剤が目指す造影物質の送達効率からは、ヨウド系化合物を内包するリポソーム量が多い方が望ましいが、余りに高濃度の溶液とすると、リポソーム同士の凝集、造影剤の粘度の増大という不都合な事態も生じてくる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。またその例示に限定されるものではない。なお本明細書において、化合物は遊離形態の他に、その塩、水和物なども含めた形で言及することがある。
本発明のX線造影剤に適するヨウド系化合物として、高度に親水性であり、かつ高濃度でも浸透圧が高くならないイオメプロール、イオパミドール、イオトロラン、イオジキサノールなどが挙げられる。特にイオトラン、イオジキサノールといった二量体非イオン性ヨウド系化合物では、同一ヨウド濃度の造影剤を調製しても全体のモル数が低いために浸透圧をさらに低下させる利点がある。
本発明の造影剤では、リポソーム内外における水溶性ヨウド系化合物の濃度は、その造影物質の性質、意図する製剤の投与経路および臨床上の指標といった諸要因に基づき任意に設定することができる。リポソーム内に封入されるヨウド系化合物の量は、典型的にはX線造影剤における全ヨウド系化合物の5〜95質量%、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは5〜70質量%である。特にヨウド系化合物をカプセル化したリポソームの経時的不安定化を充分に防止するためには、リポソーム内に封入されたヨウド系化合物の量は、X線造影剤における全ヨウド系化合物の5〜35質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%であることが望ましい。X線造影剤において、リポソーム内に封入されたヨウド系化合物の割合が、全体の5〜30質量%(好ましくは5〜25質量%)であれば、残り70〜95質量%(好ましくは75〜95質量%)が存在するリポソーム外の水性分散液へ流出する量については実質的に無視できる。したがって、ヨウド系化合物をカプセル化したリポソームの浸透圧効果による不安定化を防止でき、リポソームにおける造影物質の保持安定性は向上する。
以上より本発明のX線造影剤におけるリポソーム膜内部の水相に内包されているヨウド原子の重量は、10〜200 mg/ml、好ましくは20〜180mgI/ml、より好ましくは70〜110 mg/mlである。これは上記内包率と全ヨウド含有量によって規定されるパラメータである。
リポソーム
本発明のX線造影剤において、上記造影物質は目標の臓器、組織、疾患部位などの標的部位へ選択的に効率よく送達されるようにマイクロキャリヤーとしてのリポソーム内に封入した形態で使用される。本発明の造影剤は、血中安定性が改善されたリポソームを用いることにより造影物質の血中滞留性を向上させて、効率的な薬物の送達ならびにターゲティングの実現を図っている。特に優れた腫瘍描出性を獲得するために有効とされるEPR(Enhanced permeability and retention、透過性の亢進および滞留)効果を生じさせるためには、リポソームは、リポソーム構造の安定化および封入物質の保持安定性という、キャリヤーとしての担持効率を改善させた上で、血中安定性、血中滞留性といった特性をも有することが求められる。
本発明のX線造影剤は、造影物質を内包するリポソームの粒径(粒子径)およびその二分子膜を適切に設計することによりターゲティング機能を実現することができる。受動的ターゲティングおよび能動的ターゲティングいずれも考慮される。前者は、リポソームの粒径、脂質組成、荷電などの調整を通じてその生体内挙動を制御することができる。リポソーム粒径を狭い範囲に揃える調整は、後述する方法に基づき容易に行われる。リポソーム膜表面の設計は、リン脂質の種類と組成、共存物質を変えることにより所望の特性を付与することができる。
投与された造影剤の体内移動に関して、より高度な送達選択性と集積性を可能とする能動的ターゲティングの採用もまた検討されるべきである。一例として、リポソーム膜表面にポリアルキレンオキシド高分子鎖またはポリエチレングリコール(PEG)を導入することは、標的部位までの誘導過程を制御し得るため、極めて有益である。したがって本発明のX線造影剤に好適なリポソームとは、その表面にポリアルキレンオキシドまたはポリエチレングリコールを付加することによりその血中滞留性が一層高められ、肝臓などの細網内皮系細胞に貪食されにくくなったリポソームである。癌組織、疾患部位などに到達しなかったX線造影剤は、正常部位には集積することなく、速やかにリポソームが分解されて体外に排泄される。このことはリポソームを設計する際にその安定性を体外排出時間との関係で適切にコントロールすることにより可能である。造影物質は、水溶性ヨウド系化合物であれば、腎臓を経由して速やかに尿中に排泄される。したがって徒に体内に留まることによる弊害、遅発性の副作用などを防止できる。
リポソームの脂質膜成分として、一般にリン脂質および/または糖脂質が好ましく使用される。本発明のX線造影剤に含まれるリポソームは、後記するようにヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で該脂質膜を構成する脂質膜成分と超臨界もしくは亜臨界状態の二酸化炭素とを混合することにより作製されることを特徴としている。
本発明のリポソームにおける好ましい中性リン脂質として、大豆、卵黄などから得られるレシチン、リゾレシチンおよび/またはこれらの水素添加物、水酸化物の誘導体を挙げることができる。
その他のリン脂質として、卵黄、大豆またはその他の動植物に由来するか、または半合成のホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、合成により得られるホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)などを挙げることができる。
本発明において使用するカチオン性脂質は、1、2−ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)、N、N−ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−[1−(2、3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、2、3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N、N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)およびN−[1−(2、3−ジミリスチルオキシ)プロピル]−N、N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド(DMRIE)などが挙げられる。
カチオン性リン脂質として、ホスファチジン酸とアミノアルコールとのエステル、例えばジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)もしくはジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)とヒドロキシエチレンジアミンとのエステルなどが挙げられる。これらのカチオン性脂質は全脂質量に対し0.1〜5質量%、好ましくは全脂質量に対し0.3〜3質量%、より好ましくは全脂質量に対し0.5〜2質量%の割合で含有するように添加すればよい。
これらのリン脂質は通常、単独で使用されるが、2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。中性リン脂質と荷電リン脂質を併用する場合、重量比として通常、200:1〜3:1、好ましくは100:1〜4:1、より好ましくは40:1〜5:1である。
糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステルなどのグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4などのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
リポソーム膜の構成成分として、上記脂質の他に必要に応じて他の物質を加えることもできる。例えば、膜安定化剤として作用するステロール類、例えばコレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、ラノステロールまたは2,4−ジヒドロラノステロールなどが挙げられる。また1−O−ステロールグルコシド,1−O−ステロールマルトシドまたは1−O−ステロールガラクトシドといったステロール誘導体もリポソームの安定化に効果があることが示されている(特開平5-245357号公報)これらのうち、コレステロールが特に好ましい。
ステロール類の使用量として、リン脂質1重量部に対して0.05〜1.5重量部、好ましくは0.2〜1重量部、より好ましくは0.3〜0.8重量部の割合が望ましい。0.05重量部より少ないと混合脂質の分散性を向上させるステロール類による安定化が発揮されず、2重量部より多すぎるとリポソームの形成が阻害されるか、形成されても不安定となる。
リポソーム膜中のコレステロールは、ポリアルキレンオキシド導入用のアンカーにもなり得る。具体的にはリポソーム膜構成成分として膜中に含めるコレステロールには、必要に応じリンカーを介してその先にポリアルキレンオキシド基を結合させてもよい。リンカーには、短鎖のアルキレン基、オキシアルキレン基などを用いる。特開平09−3093号公報には、ポリオキシアルキレン鎖の先端に、効率よく種々の機能性物質を共有結合により固定化することができ、リポソーム形成用の成分として利用することができる新規なコレステロール誘導体が開示されている。
ステロール類の使用量として、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ステロール類のモル比が100/60〜100/90、好ましくは100/70〜100/85である。このモル比は、PEG-リン脂質を除くリン脂質量を基準としている。モル比が100/60未満であると混合脂質の分散性を向上させるステロール類による安定化が充分に発揮されない。
上記ステロール類の他にリポソーム膜の構成成分として、グリコール類を加えてもよい。リポソームを作製する際に、リン脂質などともにグリコール類を添加すると、リポソーム内での水溶性ヨウド系化合物の保持効率が上昇する。グリコール類として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ピナコールなどが挙げられる。グリコール類の使用量として、脂質全質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の割合が望ましい。
他に添加できる化合物として、負荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルなど、正電荷を与える化合物としてステアリルアミンなどの脂肪族アミンが例示される。
本発明では、リポソーム膜の一成分として、ヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド(PAO)基を有する化合物、好ましくはポリアルキレンオキシド(PAO)基または類似の基を有するリン脂質またはコレステロールを用い、超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素でリポソームを作製すると、有機溶媒を全く使用せずに内包率の高いリポソームを作製できる。リポソームが細網内皮系細胞により捕捉されてしまう問題ならびに崩壊、凝集といったリポソーム自体の不安定性を解決する方法として、これまでもリポソーム膜の表面に高分子鎖であるポリエチレングリコール(PEG)鎖、すなわち−(CH2CH2O)n−Hを導入することが試みられている(例えば、特開平1−249717号公報、FEBS letters, 268, 235(1990))。
ポリアルキレンオキシド基(ポリオキシアルキレン鎖)、例えばPEG鎖をリポソーム膜表面に付けることにより、新たな機能をリポソームに付与することができる。例えば、PEG化リポソームには免疫系から認識されにくくなる(いわゆる「ステルス化」された状態である)効果が期待できる。さらにリポソームは親水的傾向を持つことにより血中安定性を増して、長時間にわたり血液中の濃度を維持できることが明らかになっている(Biochim. Biophys. Acta., 1066, 29-36(1991))。リポソームの血中滞留性を向上させるために、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質をリポソームの脂質膜に含有させる手法が開示された(特開2002-37883号公報)。そのようなリポソームでは経時安定性も改善されていることが示されている。
上記の性質を利用してX線診断用造影剤に臓器志向性を与えることもできる。一例として、脂質成分は肝臓に貯まりやすいことから肝臓の選択的な造影を目的とする場合には、PEG基を使用しないか、あるいはPEG基含有量の少ないリポソームを用いるのが望ましい。また粒径を0.2μm以上に大きくすると、肝臓Kupffer細胞の食作用により取り込まれる可能性が高くなり、肝臓のその細胞部位に集積する。肝臓癌の撮像においては、その癌組織には正常組織に比べてKupffer細胞が少ないために、造影剤リポソームの取込み量は、相対的に少なくなり造影のコントラストが鮮明となる。
他の臓器を造影する場合、PEG基を導入すればリポソームをステルス化して肝臓などに集まりにくくすることができるため、PEG化リポソームの使用が推奨される。PEG基の導入により水和層が形成されてリポソームは安定化し、血中滞留性も向上する。PEG基のオキシエチレン単位の長さと導入する割合を適宜変えることにより、その機能を調節することができる。PEG基として、オキシエチレン単位が10〜3500、好ましくは100〜2000のポリエチレングリコールが好適である。使用量は、該リポソームを構成する脂質に対して1〜40質量%、好ましくは5〜25質量%含むのがよい。
リポソームのPEG化には、公知の技術を利用することができる。PEG基が結合するアンカー(例えばコレステロールなど)を膜構成成分であるリン脂質と混ぜてリポソームを作製し、そのアンカーに活性化PEG基を結合させてもよい。なお、リポソーム表面に導入されたPEG基は、後記「機能性物質」とは反応しないため、リポソーム表面上のその基に「機能性物質」を固定化することは困難である。代わりに、PEG先端に何らかの修飾をさらに施したポリエチレングリコールをリン脂質に結合させ、これをリポソーム構成成分として含めてリポソームを作製することもできる。
上記ポリエチレングリコールに代わり、公知の各種ポリアルキレンオキシド基、−(AO)n−Yをリポソーム膜表面に導入してもよい。ここでAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜2000、好ましくは10〜500、さらに好ましくは20〜200の正の整数である。また、Yは、水素原子、アルキル基(例えば炭素数1〜5の、分岐していてもよい脂肪族炭化水素基)または機能性官能基を表す。
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(AOで表される)として、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
nが2以上の場合、オキシアルキレン基の種類は、同一のものでも異なるものでもよい。後者の場合、ランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。ポリアルキレンオキシド鎖に親水性を付与する場合、オキシアルキレン基としてはエチレンオキシドが単独で付加したものが好ましく、この場合、nが10以上のものが好ましい。また種類の異なるアルキレンオキシドを付加する場合、エチレンオキシドが20モル%以上、好ましくは50モル%以上付加しているのが望ましい。ポリアルキレンオキシド鎖に親油性を付与する場合には、エチレンオキシド以外のオキシアルキレン基の付加モル数を多くする。例えばポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのブロック共重合物を含有するリポソームは、本発明の好ましい態様である。
上記Yの機能性官能基は、ポリアルキレンオキシド鎖の先端に糖、糖タンパク質、抗体、レクチン、細胞接着因子といった「機能性物質」を付するためのもので、例えばアミノ基、オキシカルボニルイミダゾール基、N-ヒドロキシコハク酸イミド基といった反応性に富む官能基が挙げられる。
先端に「機能性物質」を結合しているポリアルキレンオキシド鎖が固定化されたリポソームは、ポリアルキレンオキシド鎖導入の効果に加えて、「機能性物質」の機能、例えば「認識素子」として特定臓器指向性、腫瘍組織指向性などの作用が充分に発揮される。腫瘍組織指向性を付与するには、腫瘍細胞のみに存在する腫瘍特異抗原に対応する抗腫瘍モノクローナル抗体を、機能性物質としてリポソーム膜に結合させると、よりターゲット選択性の高いリポソームとなる(例えば、特開平11-28087号公報)。
ポリアルキレンオキシド基を有するリン脂質またはコレステロールは、一種類を単独で使用することができ、あるいは二種以上のものを組み合わせて使用することもできる。その含有量は、リポソーム膜構成成分の合計量に対し、0.001〜50モル%、好ましくは0.01〜25モル%、より好ましくは0.1〜10モル%である。0.001モル%未満では期待される効果が小さくなる。
本発明で用いるリン脂質ポリアルキレンオキシド誘導体については、例えば下式に示されるような修飾リン脂質として提案されたもの(特開平7-165770号公報)が使用できる。
(式中、R1、R2は炭素数2〜29のアルキル基、Mは水素原子またはナトリウムもしくはカリウムなどのアルカリ金属であり、AO、nおよびYは上記のとおり。)
具体例として、ホスファチジルエタノールアミンなどのポリエチレンオキシド(PEO)誘導体、例えばジステアロイルホスファチルジルエタノールアミンポリエチレンオキシド(DSPE−PEO)などが挙げられる。さらに特開2002−37883号公報には、血中滞留性を高めた水溶性化高分子修飾リポソームを作製するための高純度ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質が開示されている。そうしたリポソームを作製する際にモノアシル体含量が低いポリアルキレンオキシド修飾リン脂質を使用すると、リポソーム分散液の経時安定性が良好であったことが記載されている。
リポソームの製造方法
本発明のX線造影剤の製造方法は、ヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、脂質膜成分としてリン脂質とともに、カチオン性脂質、ポリアルキレンオキシド基を有する化合物、ポリエチレングリコール基を有する化合物、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物を超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に溶解した後、ヨウド系化合物の水溶液を導入することによりミセルを形成させ、次いで二酸化炭素を排出して、ヨウド系化合物を内部に含有するリポソームを作製することを含むことを特徴としている。前記のヨウド系化合物の水溶液には、好ましくは製剤助剤が含まれている。
リポソームを作製する方法として、これまで種々の方法が提案されている。作製方法が異なると、最終的に出来上がったリポソームの形態および特性もまた著しく異なることが多い(特開平6-80560号公報)。そのため所望するリポソームの形態、特性に応じて製造方法を適宜選択することが行なわれている。一般にリポソームは、リン脂質、ステロールといった脂質膜成分を、ほとんど例外なくまず有機溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、ジオキサン、THFなどとともに容器中で混合、溶解することから始めて調製される。特にクロル系溶媒がよく用いられている。このようなリポソームの調製品は、必ず有機溶媒を含んでいる。残存するこれらの有機溶媒を除去するために、多段階の工程および長時間の処理を要しているのが現状である。そうした残留する有機溶媒、特にクロル系有機溶媒については、生体に及ぼす悪影響、例えば副作用が懸念される。
本発明による製造方法では、有機溶媒、特にクロル系有機溶媒を使用せずに上記リポソームを作製するため、超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法を用いる。二酸化炭素の臨界温度が31.1℃、臨界圧力が75.3 kg/cm2と比較的扱いやすく、不活性なガスゆえ残存しても人体に無害であり、高純度流体が安価で容易に入手できるなどの理由により好適である。この方法により作製されたリポソームは、後記するようにX線造影剤のヨウド系化合物を内包するのに種々の好ましい特性および利点を有している。
超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素を使用してリポソームを作製する場合、上記脂質膜成分を、超臨界状態(亜臨界状態を含む)にある二酸化炭素に溶解、分散または混合することが必要となる。その際、溶解助剤(または助溶剤)としてヒドロキシル基又ポリアルキレンオキシ基はを有する少なくとも1種の化合物の存在下で溶解、分散または混合をすることが好ましい。
上記のヒドロキシル基を有する化合物(すなわちヒドロキシル基含有化合物)には、例えば、ヒドロキシル基、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基、またはポリオール/ポリグリコールエーテル基などの組み合わせを、親水性基として有する化合物が含まれる。実際に溶解助剤として使用できるヒドロキシル基含有化合物としては、リン脂質、コレステロールなどといった脂質膜成分と親和性を示し、これらと容易に混合するものが望ましい。さらに、脂質膜成分を極性の液体二酸化炭素中に良好に分散させ、溶解させるためには、適度の親水性と疎水性を兼ね備えた両親媒性のものが好適である。
ヒドロキシル基を有する化合物として、さらに糖類なども例示される。具体的には、単糖として、デヒドロアスコルビン酸、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、N−アセチルグルコサミンなどの六炭糖類;キシロース、リボース、アラビノースなどの五炭糖類などが挙げられる。オリゴ糖として、例えば、マルトース、ラクトース、セルビオース、トレハロース、イソマルトースなどの二糖類;マルトトリオース、イソマルトトリオース、マンノトリオース、マンニノトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースなどが挙げられる。さらに多糖として、例えば、セルロース、アミロース(デンプン)などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記のヒドロキシル基を有する化合物にあって、さらに残存する溶解助剤の毒性をも懸念する場合には、安全性の観点から、低級アルコールなどを用いないことが望ましい。したがって効力および安全性を考慮してより好ましい溶解助剤は、ポリエチレングリコール基を有する化合物、特に好ましい化合物は、ポリエチレングリコール基を有する脂質である。そのオキシエチレン単位が10〜3500、好ましくは100〜2000のポリエチレングリコールが適する。
このようなヒドロキシル基を有する化合物を1種または2種以上併用することは、内包率を向上させるために望ましい。ヒドロキシル基を有する化合物を、超臨界状態もしくは亜臨界状態にする二酸化炭素の0.01〜1質量%、好ましくは、0.1〜0.8質量%の割合で溶解助剤として使用するのがよい。
本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の温度は、通常25〜200 °C、好ましくは31〜100 °C、さらに好ましくは35〜80 °Cである。好適な圧力は、通常50〜500 kg/cm2、好ましくは100〜400 kg/cm2、特に好ましくは90〜150 kg/cm2の範囲である。
本発明のX線造影剤に使用するリポソームの作製方法は、具体的には以下のようにして行なわれる。圧力容器に液体二酸化炭素を加え、これを上記の好適な圧力および温度の下に超臨界状態もしくは亜臨界状態にする。超臨界(もしくは亜臨界)状態の二酸化炭素に、上記のヒドロキシル基を有する化合物の存在下、リポソームの膜脂質成分としてリン脂質および脂質膜安定化物質を溶解または分散する。膜脂質成分としてカチオン性リン脂質、ポリアルキレンオキシド基を有する化合物(例えばポリアルキレンオキシド修飾リン脂質)なども加える。あるいは予めこれらの化合物を加えた圧力容器に液体二酸化炭素を加え、次いで温度、圧力を調整して超臨界状態にして混合してもよい。引き続き生成したリン脂質および脂質膜安定化物質を含有する超臨界二酸化炭素中に、ヨウド系化合物、必要に応じて前記製剤助剤を含む水溶液を導入することによりミセルを形成させる。なお、添加する側と加えられる側を逆にしてもよい。充分に混合した後に、系内を減圧し二酸化炭素を排出すると、ヨウド系化合物を内包するリポソームが分散している水性分散液が生成する。この場合、該リポソーム膜内外の水相にヨウド系化合物が含まれていてもよい。リポソーム内部にも上記水溶液が封入されているため、ヨウド系化合物はリポソームの外部水相(水性媒体)のほか、主としてリポソーム内部の水相に存在し、いわゆる「内包」の状態にある。さらに該リポソームを0.1〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmの孔径を有する濾過膜を通す。次いで、滅菌処理、パッケージングなどの製剤過程を経て、本発明のX線造影剤が調製される。
超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法は、従来法に比べてリポソームの生成率、封入する物質の内包率、封入物質のリポソーム内の保持率が高いことが示されている(上記特許文献2参照)。さらに工業的スケールでの応用も可能である。実質的に有機溶媒を使用せずに非イオン性かつ水溶性の物質を効率よくリポソームに封入することができる本法は、本発明のX線造影剤の製造には有用な方法である。なお、上記の「実質的に」とは、造影剤における残存有機溶媒濃度の上限値が10μg/Lであることを意味する。
X線造影剤の製造方法
本発明のX線造影剤に用いられるリポソームは、実質的に一枚膜もしくは数枚膜からなるリポソームであることが望ましい。一枚膜のリポソームとは、リン脂質二重層が一層としてなる膜(unilamellar vesicle)で構成されるリポソームである。凍結かつ断(Freeze fracture )レプリカ法による透過型電子顕微鏡(TEM)による観察において、レプリカが概ね1つの層として認められるリン脂質二重層によりリポソームが構成されているものを一枚膜リポソームという。すなわち、観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものが一枚膜と判定され、2つ以上の段差が認められるものは「多重層膜」と判定される。2枚もしくは3枚の膜で構成されるリポソームは、一枚膜リポソームより強度が増している。「実質的に」とは、本発明のX線造影剤において、このような一枚膜のリポソームまたは数枚膜で構成されるリポソームを、造影剤中に含まれる全リポソームのうち、少なくとも80%、好ましくは90%以上含むことを意味する。
上記の一枚膜リポソームまたは数枚膜からなるリポソームは、脂質類の溶媒として前記超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用し、水による相分離方法により効率よく作製できる。これに対して従来のリポソーム作製方法によると、様々なサイズ、形態の多重層膜(multilamellar vesicles; MLV)からなるリポソームがかなりの割合で存在することが多い。一枚膜または数枚膜のリポソームの比率を高めるためには、さらに超音波を照射するか、一定孔サイズのフィルターに何度も通すなどの操作を必要としていた。一枚膜または数枚膜のリポソームは、MLVと比較して、リポソームの投与量、換言すると投与脂質量が大きくならないという利点もある。
リポソーム膜の脂質膜枚数が少ないリポソーム、特に粒径の大きい一枚膜リポソームであるLUV(Large unilamellar veislcles)は、多重層膜リポソームに比べて、大きい封入容量を提供するという利点がある。本発明の造影剤に好ましく使用されるリポソームは、粒径が0.2〜1μm のLUVと、粒径が0.05μm 未満の小さい一枚膜リポソームであるSUV(Small unilamellar vesicles)との中間に位置する。このため、保持容積もSUVより大きくなり、水溶性ヨウド系化合物のトラップ効率、換言すると内包効率も、後述するように格段に優れたものとなる。また、MLV、LUVと違い、細網内皮系細胞に取り込まれて急速に血流から消失することもない。反面、ヨウド系化合物の内包効率が良好な一枚膜または数枚膜のリポソームでも、内包するヨウド系化合物の重量が相対的に多過ぎるとリポソームの安定性は低下する。特にイオン強度の急激な変化には脆弱である傾向が観察されていた。本発明の造影剤のリポソームは、比較的小さい粒径に調整されている。さらにリポソーム膜にポリアルキレンオキシド基を有する化合物(例えばリン脂質)、ステロール類、グリコールから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させて、脂質膜の安定化を図っている。その結果、そうしたリポソームは、塩ショックに対しても安定的であることが判明した。
微細粒子としてのリポソームのサイズとその分布の調整は、本発明のX線造影剤が目指す、高い血中滞留性、ターゲティング性、送達効率と密接に関わっている。粒径(粒子径)はヨウド系化合物を内包するリポソームを含む分散液を凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、このカーボンを電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定することができる。粒径の調整は、処方またはプロセス条件を変更することにより行なうことができる。例えば、上記の超臨界状態の圧力を大きくすると形成されるリポソーム粒径は小さくなる。作製するリポソームの粒径分布をより狭い範囲に揃えるには、ポリカーボネート膜、セルロース系の膜などで濾過してもよい。例えば濾過膜として0.1〜0.5μmの孔径のフィルターを装着したエクストルーダーに通すことにより、平均粒径として0.4μm 以下のリポソームを効率よく調製することができる。ここで「平均粒径」とは、観察された造影剤粒子の一定の個数、例えば20個の径の単純平均を指している。これは粒径分布で最も出現頻度の高い粒径を言う「中心粒径」と、通常一致するか、または概ね近似している。押出しろ過法については、例えばBiochim. Biophys.Acta 557巻,9ページ(1979)に記載されている。このような「押出し」操作を取り入れることにより、上記サイジングに加えて、リポソーム外に存在するヨウド系化合物の濃度の調整、リポソーム分散液の交換、望ましくない物質の除去も併せて可能になるという利点もある。
上記のように受動的ターゲティング能力をリポソームに持たせるには、その粒径のサイズ調整が重要である。特許2619037号公報には、粒径3μm以上のリポソームを排除することにより、肺の毛細血管における不都合な滞留が回避されると記載されている。しかし、0.5〜3μmの粒径範囲のリポソームは、必ずしも向腫瘍性とはならない。
本発明の造影剤におけるリポソームの平均粒径は、通常0.05〜0.5 μm、好ましくは0.05〜0.3μm 、より好ましくは0.05〜0.2μm 、特に好ましくは0.05〜0.13μm である。X線撮像の目的に応じて、平均粒径を適切に設定してもよい。例えば腫瘍部分の選択的撮像目的の場合には、特に0.11〜0.13μm が好ましい。リポソームの平均粒径を0.1〜0.2μm 、より好ましくは0.11〜0.13μm の範囲に揃えることにより癌組織へ選択的にX線造影剤を集中させることが可能となる。これは「EPR効果」として知られている。固形癌組織にある新生血管壁の孔は、正常組織の毛細血管壁窓(fenestra)の孔サイズ、0.03〜0.08μm に比べて異常に大きく、概ね0.1μm 〜0.2μm の大きさの分子でも血管壁から漏れ出る。このようなEPR効果は、癌組織にある新生血管壁では、正常組織の微小血管壁より透過性が高いことによるものである。
血管壁の孔から漏れ出た造影剤は、癌細胞の周辺にはリンパ管が充分に発達していないため、血管に再び戻らずその場に長く留まる。EPR効果は、血流を利用する受動的な輸送であることから、それが有効に発現するための要件として、血中滞留性の向上が図られねばならない。つまり造影剤粒子(ヨウド系化合物を内包するリポソーム粒子)が、血中に長くとどまって、癌細胞近くの血管を何度も通過することが必要である。本発明のX線造影剤のリポソームは、特に大きい粒子でもないため、細網系内皮細胞による捕獲の対象になりにくい。またリポソームがいわば赤血球類似の姿と挙動をしていて腎臓を経由して速やかに排出されることはなく、さらにステルス(隠蔽)化されている場合には細網系内皮細胞に貪食されることもなく、血流中に比較的長くとどまる。EPR効果により、標的の臓器、組織への造影物質の移行性が高まり、造影剤の癌組織への選択的集中と蓄積が達成される。造影物質の腫瘍細胞/正常細胞集積比の上昇は、X線診断用造影剤のコントラスト性能を高める。このような腫瘍描出性の改善は、これまで検出困難であった微小転移性癌の発見すらも可能とする。
本発明のX線造影剤のようにヨウド系化合物をリポソームというマイクロキャリヤーに封入する場合には、造影物質の送達効率および保持安定性に加えてリポソームの膜脂質の重量も考慮されねばならない。リポソームの膜脂質の重量が多くなると造影剤の粘度が大きくなる。リポソーム内へのヨウド系化合物の封入量として、リポソーム内に封入された水溶液中に、ヨウド系化合物がリポソーム膜脂質に対して、1〜10、好ましくは3〜8、より好ましくは5〜8の重量比で含有されていることが望ましい。
リポソーム水相にカプセル化されたヨウド系化合物の重量比が1未満であると、比較的多量の脂質を注入することが必要となり、結果的に造影物質の送達効率が悪くなる。特許2619037号公報の記載によると、当該比が1でも当時の技術水準からは高い値とされていた。一枚膜もしくは数枚膜のリポソームは、保持容積および内包効率に優れるだけでなく、X線造影剤の粘度がその脂質量によって左右されることからも有利である。反対に、リポソーム膜脂質に対するヨウド系化合物の封入重量比が10を超えると、リポソームは構造的にも不安定となり、リポソーム膜外へのヨウド系化合物の拡散、漏出は、貯蔵中または生体内に注入された後でも避けられない。またリポソーム懸濁薬剤が製造され、分離した直後は100%の封入が達成されても、浸透圧効果による不安定化に基づき、早くも短時間に封入成分が減少していくことが記載されている(特表平9−505821号公報)。
本発明のX線造影剤は、注射剤または点滴注入剤として、非経口的に、具体的には血管内投与、好ましくは静脈内投与により被検者に投与されX線照射により撮像される。一般にCT検査、特に血管性病変、腫瘍性病変の描出を目的とする場合には、比較的高濃度の造影剤を大量に短時間で投与されることが多い。このようなボーラス注入を可能とするために、造影用造影剤に課せられる要件は、組成物の流動性と低い粘度である。注入抵抗を少なくして被検者の苦痛を軽減し、血管外漏出の危険を回避するため、本発明の組成物溶液の粘度(オスワルド法で測定した場合)は、37℃で、20 mPa・s以下、好ましくは18 mPa・s以下、より好ましくは15 mPa・s以下である。撮影身体部位によっては、体液による希釈が緩慢に進むようある程度の粘度を有することが望ましい場合もある。
造影用組成物のオスモル濃度が高いと、心臓・循環系の負担が大きい。血液と等張の溶液または懸濁液を得るには、等張液を提供する濃度で、造影剤を媒質中に溶解もしくは懸濁させる。例えば造影物質の溶解性が低いために造影物質だけでは等張液を提供できない場合、等張の溶液もしくは懸濁液が形成されるように他の非毒性の水溶性物質、例えば塩化ナトリウムのごとき塩類、マンニトール、グルコース、ショ糖、ソルビトールなどの糖類を媒質中に添加してもよい。
ヨウド化合物の至適濃度は、症状ごとに、またはX線造影検査の種類ごとに設定するのが通例である。X線造影の良好なコントラスト性能を可能とする標的臓器へのヨウ素の必要な送達量は、明らかにされている(例えば特許2619037号公報)。その用量は、基本的には従来のX線造影検査において使用されるヨウド系造影剤に準じる。リポソーム内のヨウド総量、またはそれとリポソーム外のヨウド総量の和が、従来の投与量と同程度になるようにしてもよい。実質臓器の造影効果は、主として体重あたりの投与ヨウド量(造影剤濃度×投与造影剤量)に規定され、投与ヨウド量に応じて造影効果は上昇することが多い。例えば肝実質の充分な造影効果を得るには、600mgI/kg体重の量である。しかしながら、余りに高濃度の溶液とすると、リポソーム同士の凝集、粘度の増大という不都合な事態を考慮されねばならない。
本発明の方法により製造されるX線造影剤は、ヨウド含有量として、通常、想定される10〜300mLの製剤溶液の投与量では、30〜500mgI/mLであり、好ましくは150〜500mgI/mL、より好ましくは、250〜400mgI/mLの範囲である。
本発明のX線造影剤は、好ましくはリポソームの膜内部の水相とその膜外部の水相(すなわちリポソームが分散されている水性媒体)との両方にヨウド系化合物および製剤助剤を含有しており、より好ましくは該膜内外ではそれぞれの濃度が実質的に同一である。同一種類のヨウド系化合物がリポソーム膜の内外に存在する場合には、そのヨウド系化合物が同一のX線造影剤中で異なる存在形態にあることを意味する。リポソームが分散されている水性媒体中にあるヨウド系化合物は、従来からの遊離形のヨウド系化合物と同様の挙動で体内を移行する。他方、リポソーム内に内包されたヨウド系化合物もまた、体内でのリポソームの移動とともに移送される。本発明のX線造影剤を用いることにより、カプセル化されていないヨウド系化合物とリポソーム内にカプセル化されたヨウド系化合物との体内拡散時間の違いが、経時的に分布挙動の異なった画像を与えて診断上の有益な情報を提供することができる。例えば、正常細胞と癌細胞では、血管系の発達度、血管の性状、リンパ管などが相違しており、血行動態、灌流状態を通じて造影物質の挙動に反映される。したがって、本発明の造影用組成物は、1回の投与であっても臨床情報を多く収集できることができる。
以下、本発明を具体な例を示してさらに詳細に説明する。以下の実施例中で用いる装置名、示された使用材料、その濃度、使用量、処理時間、処理温度等の数値的条件、処理方法などはこの発明の範囲内の好適例にすぎない。
ヨウド化合物のヨウドの定量
試料(リポソーム分散液)を等張の食塩水で透析し、透析終了後にエタノールを添加してリポソームを破壊して、吸光度の測定によりリポソーム内のヨウド化合物量を求めた。試料の全ヨウド化合物量に対する比率を内包率(質量%)として表した。
造影剤の作成
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)86mgと、コレステロール38.4mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)19.2mgの混合物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を60℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、50kg/cm2であったオートクレーブ内の圧力を、オートクレーブ内の体積を減ずることにより、120kg/cm2にまで上げて、二酸化炭素を超臨界状態にし、撹拌しながら脂質類を分散・溶解させた。さらに撹拌しながら、造影剤溶液(日局イオパミドール溶液306.2mg/mL(ヨウド含有量150mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)5mLを定量ポンプで連続的に50分間かけて注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。得られた分散液を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmおよび0.45μmで加圧濾過した。得られたリポソーム含有造影剤を試料1−1とした。
DPPC、コレステロールのほかに、さらに表1に示す量のエタノールまたはPEG−リン脂質を添加して試料1と同様にして作製したリポソームの試料をそれぞれ、試料1−2〜1−5とした。
これらの試料1−1〜1−5の内包率(リポソーム内に内包されているイオパミドールの全ヨウド化合物量に対する割合)を測定した(表1)。
造影剤の作成
造影剤試料2−1〜2−8は、造影剤溶液の添加量や種類を変更した以外は実施例1の試料1−1と同様にして作製した。
得られたリポソーム含有造影剤のヨウド含有量を分光光度計で測定し、試料の内包率(リポソーム内に内包されているイオパミドールの全ヨウド系化合物量に対する割合)を測定した(表2)。
[実施例3]
リポソームの粒径
粒径(粒子径)は、ヨウド系化合物を内包するリポソームを含む分散液を液体窒素にて急速に凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、形成されたこのカーボンを透過型電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定した。
粒径は、観察された造影剤粒子、20個の径の単純平均とした。
造影剤の作成
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)192mgと、コレステロール76.8mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)38.4mgの混合物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を60℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、50kg/cm2であったオートクレーブ内の圧力を、オートクレーブ内の体積を減ずることにより、120kg/cm2にまで上げて、二酸化炭素を超臨界状態にし、撹拌しながら脂質類を分散・溶解させた。さらに撹拌しながら、造影剤溶液(日局イオパミドール溶液306.2mg/mL(ヨウド含有量150mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)10mLを定量ポンプで連続的に注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。得られた分散液を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmで加圧濾過した。
得られたリポソーム含有造影剤を試料3-1とした。
得られたリポソーム含有造影剤の内包ヨウド量および内包率を上記ヨウド系化合物のヨウド定量法で、粒径は、上記リポソーム粒径測定法で求めた。その結果を表3に示す。
[試料3−2〜3−4]
造影剤濃度を、表2に記載するように変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム含有造影剤を得た。
[評価]
<加圧ろ過(1μmフィルター)速度の測定>
造影剤の作製で行っている1.0μmのセルロース系フィルター(直径2cm)を使用した加圧ろ過の時間を測定し、通過させた液の量で割ることにより算出する。なお0.2mL/min以下では工業的生産効率の観点から厳しい。
<経時分散安定性の評価>
得られたリポソーム造影剤を20mLの小瓶に入れ、蓋をして、蓋の周囲をシールテープで密閉した。そのサンプルを23℃、湿度55%の雰囲気で、1ヶ月間および3ヶ月間、暗所保管した。
以下の基準で目視評価(ランク付け)を行った。
5:全く沈殿がなく、作製時と変化がない。
4:うっすらと濁りが有るように見えるが、分離・沈殿物は認められない。
3:濁りは増しているが、分離・沈殿物は認められない。
2:沈殿物が発生している。
1:透明な液と白色沈殿とが完全に分離している。
表からも分かるように、本発明の造影剤は内包ヨウド量が高く、1μmフィルターの加圧ろ過性が良好であった。特に、造影剤濃度が、240〜300 mg/mLのものは、内包ヨウド量が他に比べて多く、造影に有利である。また驚くべきことに、造影剤濃度が240〜300 mg/mLのものは分散安定性が高く、3ヶ月後も良好な分散状態を保持していた。
[実施例4]
造影剤の作成
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)368.4mgと、コレステロール147.4mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)111.5mgの混合物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を60℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、50kg/cm2であったオートクレーブ内の圧力を、オートクレーブ内の体積を減ずることにより、120kg/cm2にまで上げて、二酸化炭素を超臨界状態にし、撹拌しながら脂質類を分散・溶解させた。撹拌しながら、さらに造影剤溶液(日局イオパミドール溶液306.2mg/mL(ヨウド含有量150mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)13mLを定量ポンプで連続的に注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。この試料を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmで加圧濾過した。続いて、同様に60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、0.45μmで加圧濾過してリポソーム含有造影剤を得た。得られたリポソーム含有造影剤を試料4-1とした。
この試料について、平均粒径および内包率(リポソーム内に内包されているイオパミドールの全ヨウド化合物量に対する割合)を測定した。
試料4−2〜4−8
脂質組成、造影剤濃度および全脂質量を、表1に記載するように変更すること以外は、試料4−1と同様にしてリポソーム含有造影剤試料4−2〜4−8を得た。
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)368.4mgと、コレステロール147.4mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)111.5mgの混合物をクロロホルムとエタノールと水との混合物(重量比 100:20:0.1)10mLをメスフラスコ中で混合した。この混合物を湯浴(65℃)上で加熱し、溶液をロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させた。残渣をさらに2時間、真空乾燥して、脂質フィルムを形成させた。ここに、さらに上記造影剤溶液13mLを混合し、この混合物を65℃に加熱しながらミキサーで約10分間撹拌した。さらに撹拌することにより造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。この混合物を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmおよび0.45μmで加圧濾過してリポソーム含有造影剤試料4−9を得た。
[評価]
<リポソームの平均粒径>
粒径(粒子径)は、前記した方法により測定した。
<内包率の評価>
得られた試料を20mLの小瓶に入れ、蓋をして、蓋の周囲をシールテープで密閉した。そのサンプルを23℃、湿度55%の雰囲気で、2ヶ月間、暗所保管した。その後、その試料を等張の食塩水で透析し、透析終了後にエタノールを添加してリポソームを破壊して、吸光度の測定によりリポソーム内のヨウド化合物量を求めた。試料中の全ヨウド化合物量に対する比率を内包率(質量%)として表した(作製後、2ヶ月間経時させることにより、不完全なリポソーム、不安定なリポソームは、破壊もしくは凝集、または洩れなどにより中身を放出して、内包率は下がる)。
<加圧ろ過(0.45μmフィルター)速度の測定>
造影剤の作製で行っている0.45μmのセルロース系フィルター(直径2cm)を使用した加圧ろ過の時間を測定し、通過させた液の量で割ることにより算出する。なお0.2mL/min以下では工業的生産効率の観点から厳しい。
表4からも分かるように、本発明により、内包率と0.45μmの加圧ろ過性を両立するものを作製することができた。
以上のように、本発明の構成により、造影物質をリポソームに封入することによりその送達の効率および選択性が高いX線造影剤を提供することができる。また毒性のある有機溶媒を使用せずに内部にヨウド系化合物を効率よく安定的に封入できるリポソームを作製し、これを含めてなるX線造影剤の製造方法を提供することができる。

Claims (20)

  1. ヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、脂質膜成分としてリン脂質とともに、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物を超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に溶解した後、ヨウド系化合物の水溶液を導入することによりミセルを形成させ、次いで二酸化炭素を排出して、ヨウド系化合物を内部に含有するリポソームを作製することを特徴とするリポソーム含有X線造影剤の製造方法。
  2. 前記のヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する化合物が、ポリアルキレンオキシド基を有する化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  3. 前記のポリアルキレンオキシド基を有する化合物が、ポリアルキレンオキシド基を有する脂質であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のX線造影剤の製造方法。
  4. 前記のポリアルキレンオキシド基を有する化合物が、ポリエチレンオキシド基を有する脂質であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載のX線造影剤の製造方法。
  5. 前記のヒドロキシル基又はポリアルキレンオキシド基を有する化合物を、超臨界状態もしくは亜臨界状態にする二酸化炭素に対して0.01〜1質量%の割合で用いることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  6. 前記リポソームが、実質的に一枚膜もしくは数枚膜のリポソームであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  7. 前記ヨウド系化合物は、ヨウド原子として100〜350mgI/ml造影剤の濃度で含まれることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  8. 前記ヨウド系化合物は、非イオン性のヨウド系化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  9. 前記ヨウド系化合物がイオメプロール、イオパミドール、イオヘキソール、イオペントール、イオプロミド、イオキシラン、イオシミド、イオベンゾール、イオトロラン、イオジキサノール、イオデシモル、イオタスル、メトリザミド、1,3−ビス−(N−3,5−ビス−(2,3−ジヒドロキシプロピルアミノカルボニル)−2,4,6−トリヨードフェニル)−N−ヒドロキシアセチル−アミノ)−プロパンから少なくとも1種選ばれることを特徴とする請求の範囲第8項に記載のX線造影剤の製造方法。
  10. 前記ヨウド系化合物がイオメプロール、イオパミドール、イオヘキソール、イオプロミド、イオキシラン、イオタスル、イオトロランまたはイオジキサノールであることを特徴とする請求の範囲第9項に記載のX線造影剤の製造方法。
  11. 前記ヨウド系化合物の70〜95質量%が、リポソームに内包されていない形態にあり、リポソームを懸濁する水性媒体中に存在することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  12. 全脂質は20〜100mg/ml造影剤の濃度で含まれることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  13. 前記ヨウド系化合物のうちリポソームに内包された部分の前記脂質の量に対する重量比が、3〜8(g/g)であることを特徴とする請求の範囲第12項に記載のX線造影剤の製造方法。
  14. 前記ヨウド系化合物をヨウド原子として200〜300mgI/mL造影剤、全脂質を20〜80mg/mL造影剤の濃度で含むことを特徴とする請求の範囲第7項に記載のX線造影剤の製造方法。
  15. 前記ヨウド系化合物をヨウド原子として240〜300mgI/mL造影剤の濃度で含むことを特徴とする請求の範囲第14項に記載のX線造影剤の製造方法。
  16. リン脂質/ステロール類のモル比が100/60〜100/90であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  17. リン脂質/ポリアルキレンオキシド基を有する脂質のモル比が100/5〜100/10であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載のX線造影剤の製造方法。
  18. 前記リポソームの平均粒径は、0.05μm〜0.8μmであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  19. 前記ヨウド系化合物の水溶液が水溶性アミン系緩衝剤、EDTANa2−Ca(エデト酸カルシウム2ナトリウム)、無機塩、浸透圧調節剤および保存剤から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
  20. 前記リポソーム内外の水相に、カチオンが塩化物、リン酸塩または炭酸水素塩として含有され、このうちナトリウムイオン、カルシウムイオンおよびカリウムイオンの量が下記式:

    (ただし、ナトリウムイオン量が20〜70mM、カルシウムイオン量が0.1〜0.6 mMおよびカリウムイオン量が0.4〜0.9 mMである。)を満たし、マグネシウムイオンの量が、0.05〜0.8mMであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線造影剤の製造方法。
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