JP2006063052A - リポソーム含有超音波造影剤およびその製造方法 - Google Patents

リポソーム含有超音波造影剤およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 リポソームの安定化と内包気体の保持安定性を図ることにより気泡の効率的送達および良好なターゲティングを達成する、安全性の高い超音波造影剤を提供する。
【解決手段】 リポソームの脂質膜中にリン脂質とともにカチオン性脂質、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物を有し、その脂質膜内に生体適合性気体またはその水相中にその微小気泡もしくはその前駆体を内包させているリポソームを含むことを特徴とする超音波検査用造影剤である。そのリポソームは、ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、該脂質膜を構成する脂質膜成分と超臨界もしくは亜臨界状態の二酸化炭素とを混合することにより、簡便かつ効率的に作製することができる。これを含む超音波造影剤は、クロル系溶剤などの有毒な有機溶剤を含有しないため安全性が高い。
【選択図】なし

Description

本発明は、リポソーム含有超音波造影剤およびその製造方法に関し、詳しくは脂質膜内部に生体適合性気体もしくはその前駆体を内包させたリポソームおよびその製造方法、このリポソームを含む超音波造影剤に関する。
超音波画像診断法は、通常1〜10MHzの周波数域の超音波を、変換器を介して被験者体内に浸透させ、超音波が体組織や体液の界面と相互作用することに基づいている。すなわち超音波信号の染像は、そうした界面における音波の示差的反射・吸収に由来している。X線検査などの診断技術に比べれば非侵襲的な画像診断である。さらに造影剤を利用して、異なる組織・体液の音響特性の差を増幅せしめることが染像に有利となる。しかし、気体を体内に導入するには、血管に気泡そのものを直接注入することはできない。そこで造影媒体として、液体中に分散された微細な気泡、すなわちマイクロバブルの懸濁液からなる超音波造影剤が考えられた。マイクロバブルの大半は、組織や疾患部位と相互作用をすることなく速やかに消失してしまう。そのため組織や疾患部位、特に癌組織をより詳細に観察する目的には役立たない。このような形態では依然、短い半減期(すなわち生体内での安定性の相対的喪失)および/または限定的な貯蔵安定性のため、依然として改良の余地を残している。
代わりに気体または気泡をマイクロカプセルに封入する技術として様々な提案がなされている(例えば、特開平3-503684号公報、特2905598号など)。一つの有力な方法として
、生体膜類似の脂質から構成され、低い抗原性ゆえに安全性が高いとされているリポソームに多数の気泡を内包させる手法も検討されてきた。例えば、特開平5-255127号公報、特開平7−316079号公報(特許文献1)、特表平10-508284号公報などには、気泡を収容するリポソームが開示されている。これらの方法では、素材としての安全性が高く、生体内で適度な分解性を有するリポソームを用いるにもかかわらず、製造過程においてリポソーム膜を構成するリン脂質の溶剤として、有機溶媒、特にクロロホルム、ジクロロメタンといったクロル系溶剤を使用する。したがって、どうしても残存する溶剤の毒性があるという理由で実用化に至っていない(例えば、特許文献1および2参照)。
他方、マイクロバブルを分散させた液体はリポソーム中に封入されるが、その封入量は他の要因にも左右されるために必ずしも多くはない。したがって、大量に投与しないとコントラスト効果が充分に得られないことになる。さらに形成されるリポソームは多重層になりやすく、超音波造影に好適のコントラストを与える気体特性を損ない、コントラスト効果を減殺することにもなりかねない。
特開2003-119120(特許文献3)では、リポソームを含有する化粧料、皮膚外用剤を、
超臨界二酸化炭素を用いて製造する方法が開示されており、親水性薬効成分や親油性薬効成分をリポソームに内包する皮膚外用剤の製造例が示されている。しかし、この方法では、内包率を上げるためにエタノール等の助溶剤の使用が望まれており、有機溶媒を使用せずに内包化率の高いリポソームは作製できない。また、内包させる物質として、親油性薬効成分、水溶性電解質の例は示されているが、同法により気体をリポソームに効率よく内包できるか不明であった。
首尾良く気体または気泡をリポソーム内部に内包させても、時間経過とともに外部へ漏出する問題、あるいはリポソームそのものが不安定となる事態も考慮されねばならない。さらにリポソームを生体内へ投与しても、その多くが肝臓、脾臓などの細網内皮系組織で
捕捉されるため、所期の効果が得られないことも指摘されている(Cancer Res., 43, 5328(1983))。したがって超音波造影剤用に気体を効率よく封入し、安定的に保持でき、か
つ安全性に問題のないリポソームの作製方法が望まれている。
最近、認可された超音波造影剤を使用してコントラストの高い画像を得ることが可能となった。そうした超音波造影剤は、血管、尿管、輸卵管などの管腔部位に投与され、管腔の形状、狭窄などの診断に使用されている。しかしながら、目標とする組織もしくは疾患部位、特に癌組織に選択的に到達し、その周囲またはその他の部位と明瞭なコントラストで区別できる画像を提供する超音波造影剤が依然として望まれている。
特開平7-316079号公報 特開平11-71265号公報 特開2003-119120号公報
上述の問題点を解決すべく本発明者らは鋭意研究を進めた。その結果、リポソームによる造影媒体の保持に関連し、超臨界二酸化炭素を用いるリポソーム作製方法が生体適合性気体を簡便に内包でき、しかも安定的に保持できることを見出して本発明を完成した。
本発明は、造影媒体をリポソームに封入することによりその送達の効率および選択性が高い超音波造影剤を提供することを目的とする。また毒性のある有機溶媒を使用せずに内部に生体適合性気体もしくはその前駆体を効率よく安定的に封入できるリポソームを作製し、これを含めてなる超音波造影剤ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、脂質膜成分と
してリン脂質とともに、カチオン性脂質、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合
物を超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に混合した後、水性媒体を導入することによりミセルを形成させ、その後二酸化炭素を排出し、さらに乾燥させることによりリポソームを得て、次いで圧力差を利用して、該リポソームの内部へ気体を導入することにより、該気体を封入させてなる気体含有リポソームの製造方法である。
また本発明は、ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、脂質膜成
分としてリン脂質とともに、カチオン性脂質、ステロール類から少なくとも1種選ばれる
化合物を超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に混合した後、気体を発生し得る前駆体を含有する水性媒体、あるいは気体の微小気泡を含有する水性媒体を導入することによりミセルを形成させ、次いで二酸化炭素を排出し、該前駆体または該微小気泡を内部に含有するリポソームを作製する気体含有リポソームの製造方法である。
前記気体が、空気、窒素、N2O、酸素、二酸化炭素、水素、不活性希ガス、フッ素含
有ガス、炭素数1〜5の炭化水素および放射性ガスから少なくとも1種選ばれる気体であ
ることを特徴としている。
また前記の気体を発生し得る前駆体は、気体を形成しうる炭酸塩、炭酸水素塩、CO−O−CR12−O−CO−OR3型(R1、R2、R3は、同一でも異なってもよく、置換もしくは非置換アルキル基を表す)の基を有する炭酸エステル、アミノマロン酸塩、βケト酸または生理学的に許容されるジアゾニウム塩である。
前記気体含有リポソームは、実質的に有機溶剤を含まないことを特徴としている。
前記のヒドロキシル基を有する化合物は、好ましくはポリエチレングリコール基を有す
る脂質である。
本発明のリポソームは、上記のいずれかの製造方法で製造した気体含有リポソームである。
前記リポソームは、平均粒径として0.05〜10μmであり、実質的に一枚膜または数枚膜
のリポソームであることを特徴としている。
本発明は前記の気体含有リポソームおよび製剤助剤を含んでなる超音波造影剤である。
本発明の超音波造影剤は、全脂質濃度が少なくとも20〜100mg/mlであることを特徴と
している。
前記超音波造影剤は、コントラストハーモニック法に好適に使用される。
また動注化学療法にも好適に使用される。
本発明のキットは、封入用気体内に前記の乾燥させたリポソームを収める気密第一容器と、製剤助剤を含有するとともにリポソームを分散させる水性媒体を収容する第二容器とから構成されるキットであって、第二容器を第一容器に連結させて双方の内容物を接触させることにより、上記超音波造影剤を調製するためのキットである。
[発明の具体的説明]
液体中に分散された微小気泡(直径約1〜数μm)は、超音波検査のために極めて効果
的な超音波反射・散乱体となることから超音波造影剤に利用される。そうした気泡は周囲組織と音響インピーダンスの差が大きく、強い反射波が得られて画像コントラストを向上させるからである。
本発明は、造影媒体となる微小気泡を担持するマイクロカプセルまたはマイクロバルーンとして、気体含有リポソームならびにこれを製剤助剤とともに含む超音波造影剤、およびその製造方法に関する。
封入気体
各種の気体が、超音波造影剤に使用されるリポソームの内部に封入される生体適合気体として提案されている。好ましい気体としては以下の条件を満たすものである。
(i)造影剤を体内に投与した後も気体状態が維持されるように、その沸点が体温以下、好
ましくは10℃以下であること、
(ii) 血液などの体液内に溶解することがなく、造影効果の持続時間を長くできるように
水難溶性の気体であること、
(iii) 生体適合性、すなわち生理的に許容され、好ましくは無害であること、
前記気体として、好ましくは空気、窒素、N2O、酸素、二酸化炭素、水素、不活性希
ガス、フッ素含有ガス、炭素数1〜5の炭化水素および放射性ガスから少なくとも1種選
ばれる気体である。封入する気体は、これらの単一気体であるか、あるいは2種以上の混合ガスであってもよい。
不活性希ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトンなどがある。
生体許容性のフッ素含有ガスとして、ハロゲン化炭化水素ガスのうち、置換ハロゲン原子のうちのいくつかがフッ素原子であるガスである。具体的には、クロロジフルオロメタン、ブロモクロロジフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ブロモトリフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、クロロペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタンなどが挙げられる。
また炭素数1〜7のパーフルオロ炭化水素として、パーフルオロメタン、パーフルオロエタン、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン(場合によって他の異性体、例えばパーフルオロイソブタンとの混合物であるパーフルオロ−n−ブタンなど)、パーフルオ
ロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタンなどのパーフルオロアルカン
が挙げられる。
さらにパーフルオロプロペン、パーフルオロブテンおよびその異性体などのパーフルオロアルケン、パーフルオロブタン−2−インといったパーフルオロアルキン、パーフルオロブタジエン、さらにはパーフルオロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロブタン、パーフルオロジメチルシクロブタン、パーフルオロトリメチルシクロブタン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロメチルシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロシクロヘプタンなどのパーフルオロシクロアルカンも挙げられる。
また、過フッ素化されたケトン(例えばパーフルオロアセトン)、エーテル(パーフルオロジエチルエーテル)なども含まれる。
さらに、六フッ化イオウ、十フッ化イオウ、トリフルオロメチルイオウペンタフルオリドなどのフッ化イオウ、六フッ化セレニウム、テトラメチルシランも例示される。
炭素数1〜5の炭化水素として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどのアルカン、プロペン、ブテンなどのアルケン、アセチレンなどが挙げられる。
放射性ガスには、133Xe、81Krなどの核医学において用いられるガスがある(特許
文献2)。
あるいは気体を発生し得る前駆体をリポソームに内包してもよい。気体を形成しうる炭酸塩、炭酸水素塩、CO−O−CR12−O−CO−OR3型の基(R1、R2、R3は、同一でも異なってもよく、置換もしくは非置換アルキル基を表す)を有する炭酸エステル、アミノマロン酸塩、βケト酸または生理学的に許容されるジアゾニウム塩などが挙げられる。これらの物質は、特定の条件下で、気泡を液体中に発生することができる(特許文献1および2)。
本発明の造影剤では、リポソーム内外における生体適合性気体もしくはその前駆体の濃度は、その造影媒体の性質、意図する製剤の投与経路および臨床上の指標といった諸要因に基づき任意に設定することができる。リポソーム内に封入される生体適合性気体もしくはその前駆体の量は、典型的には超音波造影剤における全生体適合性気体もしくはその前駆体の1〜95質量%、好ましくは5〜90質量%である。
リポソーム
リポソームは、通常、脂質膜、すなわち脂質二重膜から形成されている構造物である。また本明細書では、リポソーム膜を脂質膜と言及することもある。本発明の超音波造影剤において、上記の生体適合気体またはその微小気泡は、目標の臓器、組織、疾患部位などの標的部位へ選択的に効率よく送達されるようにマイクロキャリヤーとしてのリポソーム内に封入した形態で使用される。本発明の造影剤は、血中安定性が改善されたリポソームを用いることにより生体適合気体の体内滞留性を向上させて、その効率的送達ならびにターゲティングの実現を図っている。
気体またはその気泡を内包するリポソームの粒径およびその二分子膜を適切に設計することによりターゲティング機能を実現することができる。受動的ターゲティングは、リポソームの粒径、脂質組成、荷電などの調整を通じてその生体内挙動を制御することができる。リポソーム粒径を狭い範囲に揃える調整は、後記の方法に基づき容易に行われる。リポソーム膜表面の設計は、リン脂質の種類と組成、共存物質を変えることにより所望の特性を付与することができる。投与された造影剤の体内移動に関して、高度な送達選択性と集積性を可能とする能動的ターゲティングの採用もまた検討されるべきである。一例として、リポソーム膜表面にポリアルキレンオキシド高分子鎖またはポリエチレングリコール基を導入することは、標的部位までの誘導過程を制御し得るため、極めて有益である。
リポソームの脂質膜成分として、一般にリン脂質および/または糖脂質が好ましく使用される。本発明のリポソームにおける好ましい中性リン脂質として、大豆、卵黄などから得られるレシチン、リゾレシチンおよび/またはこれらの水素添加物、水酸化物の誘導体を挙げることができる。
その他のリン脂質として、卵黄、大豆またはその他の動植物に由来するか、または半合成のホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、合成により得られるホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、
ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)などを挙げることができる。
本発明において使用するカチオン性脂質は、1、2−ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)、N、N−ジオクタデシルアミドグリシルスペ
ルミン(DOGS)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−[1−(2、3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、2、3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチ
ル]−N、N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)お
よびN−[1−(2、3−ジミリスチルオキシ)プロピル]−N、N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド(DMRIE)などが挙げられる。
カチオン性リン脂質として、ホスファチジン酸とアミノアルコールとのエステル、例えばジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)もしくはジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)とヒドロキシエチレンジアミンとのエステルなどが挙げられる。これらのカチオン性脂質は全脂質量に対し0.1〜5質量%、好ましくは全脂質量に対し0.3〜3質量%、より好ましくは全脂質量に対し0.5〜2質量%の割合で含有するように添加すればよい。
これらのリン脂質は通常、単独で使用されるが、2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。中性リン脂質と荷電リン脂質を併用する場合、重量比として通常、200:1〜3:1、好ましくは100:1〜4:1、より好ましくは40:1〜5:1である。
糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステルなどのグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4などのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
リポソーム膜の構成成分として、上記脂質の他に必要に応じて他の物質を加えることもできる。例えば、膜安定化剤として作用するステロール類、例えばコレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、ラノステロールまたは2,4−ジヒドロラノステロールなどが挙げられる。また1−O−ステロールグルコシド,1−O−ステロールマルトシドまたは1−O−ステロールガラクトシドといったステロール誘導体もリポソームの安定化に効果があることが示されている(特開平5-245357号公報)これ
らのうち、コレステロールが特に好ましい。
ステロール類の使用量として、リン脂質1重量部に対して0.05〜1.5重量部、好ましく
は0.2〜1重量部、より好ましくは0.3〜0.8重量部の割合が望ましい。0.05重量部より少ないと混合脂質の分散性を向上させるステロール類による安定化が発揮されず、2重量部よ
り多すぎるとリポソームの形成が阻害されるか、形成されても不安定となる。
上記ステロール類の他にリポソーム膜の構成成分として、グリコール類を加えてもよい。リポソームを作製する際に、リン脂質などともにグリコール類を添加すると、リポソーム内での水溶性生体適合性気体もしくはその前駆体の保持効率が上昇する。グリコール類として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ピ
ナコールなどが挙げられる。グリコール類の使用量として、脂質全質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の割合が望ましい。
他に添加できる化合物として、負荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルなど、正電荷を与える化合物としてステアリルアミンなどの脂肪族アミンが例示される。
本発明では、リポソーム膜の一成分として、ヒドロキシル基を有する化合物、好ましくはポリアルキレンオキシド(PAO)基または類似の基を有するリン脂質またはコレステロールを用い、超臨界二酸化炭素法でリポソームを作製すると、有機溶媒を全く使用せずに内包率の高いリポソームを作製できる。リポソームが細網内皮系細胞により捕捉されてしまう問題ならびに崩壊、凝集といったリポソーム自体の不安定性を解決する方法として、これまでもリポソーム膜の表面に高分子鎖であるポリエチレングリコール(PEG)鎖、すなわち−(CH2CH2O)n−Hを導入することが試みられている(例えば、特開平
1−249717号公報、FEBS letters, 268, 235(1990))。
ポリアルキレンオキシド基またはPEG鎖をリポソーム膜表面に付けることにより、新たな機能をリポソームに付与することができる。例えば、PEG化リポソームには免疫系から認識されにくくなる(「ステルス化」された状態である)効果が期待できる。さらにリポソームは親水的傾向を持つことにより血中安定性を増すことが明らかになっている(Biochim. Biophys. Acta., 1066, 29-36(1991))。リポソームの血中滞留性および経時安定性を向上させるために、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質をリポソームの脂質膜に含有させる手法が開示された(特開2002-37883号公報)。
上記の性質を利用して超音波造影剤に臓器志向性を与えることもできる。一例として、脂質成分は肝臓に貯まりやすいことから肝臓の選択的な造影を目的とする場合には、PEG基を使用しないか、あるいはPEG基含有量の少ないリポソームを用いるのが望ましい。また粒径を0.2μm以上に大きくすると、肝臓Kupffer細胞の食作用により取り込まれる
可能性が高くなり、肝臓のその細胞部位に集積する。肝臓癌の撮像においては、その癌組織には正常組織に比べてKupffer細胞が少ないために、造影剤リポソームの取込み量は、
相対的に少なくなり造影のコントラストが鮮明となる。
他の臓器を造影する場合、PEG基を導入すればリポソームをステルス化して肝臓などに集まりにくくすることができるため、PEG化リポソームの使用が推奨される。PEG基の導入により水和層が形成されてリポソームは安定化する。PEG基のオキシエチレン単位の長さと導入する割合を適宜変えることにより、その機能を調節することができる。
PEG基として、オキシエチレン単位が10〜3500、好ましくは100〜2000のポリエチレン
グリコールが好適である。使用量は、該リポソームを構成する脂質に対して1〜40質量%
、好ましくは5〜25質量%含むのがよい。
リポソームのPEG化には、公知の技術を利用することができる。ポリアルキレンオキシド基を有するリン脂質またはコレステロールは、一種類を単独で使用することができ、あるいは二種以上のものを組み合わせて使用することもできる。その含有量は、リポソーム膜構成成分の合計量に対し、0.001〜50モル%、好ましくは0.01〜25モル%、より好ま
しくは0.1〜10モル%である。
本発明で用いるリン脂質ポリアルキレンオキシド誘導体については、特開平7-165770号公報に提案されたものが使用できる。具体例として、ホスファチジルエタノールアミンなどのポリエチレンオキシド(PEO)誘導体、例えばジステアロイルホスファチルジルエタノールアミンポリエチレンオキシド(DSPE−PEO)が挙げられる。特開2002−37883号公報には、水溶性化高分子修飾リポソームを作製するためのポリアルキレンオキシ
ド修飾リン脂質が開示されている。そうしたリポソームを作製する際にモノアシル体含量が低いポリアルキレンオキシド修飾リン脂質を使用すると、リポソーム分散液の経時安定性が良好であったことが記載されている。
気体含有リポソーム
本発明の気体含有リポソームは、脂質膜内に生体適合性気体を含有するポソーム、あるいは脂質膜内の水相に生体適合性気体の微小気泡もしくはその前駆体を含有するリポソームである。
本発明のリポソームに内包される気体の存在形態は、
(a) リポソーム内に気体がそのまま内包されているか、または
(b) リポソーム膜内にある水性媒体中に微小気泡として分散されている、
かの二態様のいずれかであり、ともに「気体含有リポソーム」と言う。
前者(a)の態様では、リポソーム膜内部に、基本的には空気または気体そのものが閉じ
込められているが、さらに水性媒体も含まれていてもよい。後者の(b)には、リポソーム
作成時には気体を発生させ得る前駆体を含有する水性媒体がリポソームに内包され、その後所定の条件下で気体を発生させて水性媒体中に気体が懸濁され内包される態様も含まれる。
上記(b)の態様における安定な微小気泡の濃度は、通常、サイズが0.1〜3μmの範囲に
おいて約108個/mL、4〜5μmの範囲において約107個/mL、6〜10μmの範囲において約106個/mL以下である。(a)、(b)のいずれの態様も含め、初期気泡濃度は、約105個/mL以上で
あることが望ましい。
いずれの形態であっても、水性媒体中には、好ましくは「製剤助剤」も含まれる。
「製剤助剤」とは、造影剤の製剤化に際し、水性媒体内に添加される物質であり、これまでの造影剤製造技術に基づいて各種の物質が所望により使用される。具体的には生理学的に許容される各種の緩衝剤、EDTANa2−Ca、EDTANa2などといったエデト酸系のキレート化剤、薬理的活性物質(例えば血管拡張剤、凝固抑制剤など)、さらに必要に応じて、浸透圧調節剤、安定化剤、抗酸化剤(例えばα‐トコフェロール、アスコルビン酸)、粘度調節剤、保存剤などが挙げられる。好ましくは、水溶性アミン系緩衝剤およびキレート化剤をともに含めるのがよい。pH緩衝剤としては、アミン系緩衝剤および炭酸塩系緩衝剤が好ましく用いられるが、特に好ましくはアミン系緩衝剤であり、中でもトロメタモールが望ましい。キレート化剤は好ましくは、EDTANa2−Ca(エデト酸カルシウム
2ナトリウム)である。
また、「水性媒体」とは、微小気泡の水系分散媒、またはその前駆体、製剤助剤などを溶解する水をベースとする溶媒である。その水は、滅菌した発熱物質を含まない水を使用する。リポソームの脂質膜内部の水相(脂質膜により封入された水溶液)以外の水溶液(すなわち該リポソームが分散されている水性媒体)にも少なくとも生体適合性気体もしくはその前駆体の他に、製剤助剤(例えば水溶性アミン系緩衝剤、キレート化剤など)が含まれている場合には、該膜内外で著しい浸透圧差が生じることはなく、これによりリポソームの構造安定性が保たれる。
気体含有リポソームの製造方法
リポソームを作製する方法として、これまで種々の方法が提案されている。作製方法が異なると、最終的に出来上がったリポソームの形態および特性もまた著しく異なることが多い(特開平6-80560号公報)。そのため所望するリポソームの形態、特性に応じて製造
方法を適宜選択することが行なわれている。一般にリポソームは、リン脂質、ステロールといった脂質膜成分を、ほとんど例外なくまず有機溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、ジオキサン、THFなどとともに容器
中で混合、溶解することから始めて調製される。特にクロル系溶媒がよく用いられている。このようなリポソームの調製品は、必ず有機溶媒を含んでいる。残存するこれらの有機溶媒を除去するために、多段階の工程および長時間の処理を要しているのが現状である。そうした残留する有機溶媒、特にクロル系有機溶媒については、生体に及ぼす悪影響、例えば副作用が懸念される。
本発明による製造方法では、有機溶媒、特にクロル系有機溶媒を使用せずに上記リポソームを作製するため、超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム調製法を用いる。二酸化炭素の臨界温度が31.1℃、臨界圧力が75.3 kg/cm2と比較的扱い
やすく、不活性なガスゆえ残存しても人体に無害であり、高純度流体が安価で容易に入手できるなどの理由により好適である。この方法により作製されたリポソームは、後記するように超音波造影剤の生体適合性気体もしくはその前駆体を内包するのに種々の好ましい特性および利点を有している。
本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の温度は、通常25〜200℃、好ましくは31〜100℃、さらに好ましくは35〜80℃である。好適な圧力は、通常50〜500 kg/cm2、好ましくは100〜400 kg/cm2、特に好ましくは90〜150 kg/cm2
範囲である。
超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用するリポソーム作製法は、従来法に比べてリポソームの生成率、封入する物質の内包率、封入物質のリポソーム内の保持率が高いことが示されている(上記特許文献3参照)。さらに工業的スケールでの応用も可能
である。実質的にクロル系溶剤またはその他の有機溶媒を使用せずに、気体またはマイクロバブルを含有する水性媒体を、簡便にしかも効率よくリポソームに封入することができる本法は、本発明の超音波造影剤の製造には有用な方法である。なお、上記の「実質的に」とは、造影剤における残存有機溶媒濃度の上限値が10μg/Lであることを意味する。
本発明の気体含有リポソームの製造方法は、ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の
化合物の存在下で、脂質膜成分としてリン脂質とともに、カチオン性脂質、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物を超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に混合
した後、水性媒体(製剤助剤を含有してもよい)を導入することによりミセルを形成させ、その後二酸化炭素を排出し、さらに乾燥、例えば凍結乾燥させることによりリポソーム(いわば未充填のリポソーム)を得て、次いで圧力差を利用し該リポソームの内部へ気体を導入することにより、該気体を封入させてなる方法である。
この製造方法による気体含有リポソームは、上記態様の(a)に対応する。そうした気
体含有リポソームを、製剤助剤を含有する水性媒体に懸濁させると、気体が安定的にリポソーム内に内包されている超音波造影剤が製造できる。これらの作製操作を迅速に実施でき、直ちに使用可能の状態になるようにキット化することもできる。キットの詳細については後記する。
なお、上記リポソーム(いわば未充填のリポソーム)に対し、気体の代わりに加圧して気体を溶解させた水性媒体を、圧力差を利用して導入する方法もある。その場合には、次に述べる製造方法による気体含有リポソームと同じ形態のリポソームを与える。
もう一つの本発明の製造方法は、上記態様の(b)に対応するものであり、
ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、脂質膜成分としてリン脂
質とともに、カチオン性脂質、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物を超臨界
状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に混合した後、気体を発生し得る前駆体を含有する水性媒体、あるいは気体の微小気泡を含有する水性媒体を導入することによりミセルを形成させ、次いで二酸化炭素を排出し、該前駆体または該微小気泡を内部に含有するリポソームを作製する気体含有リポソームの製造方法である。
微小気泡を分散させた水性媒体の作成は、特開平5-255127号公報または特開平11-71265号公報に記載された方法によればよい。すなわち、気体を極めて小さいオリフィスから押し出すか、水性媒体中に加圧下、溶解せしめた気体(例えば低沸点液体のブタン)を、圧力を急に解放させて放出させることによる。あるいは気体状生成物を発生せしめる気体放出化学反応により、または液体と、空気もしくは気体が捕捉または吸着されている可溶性もしくは不溶性固体と混合せしめることによって供給される。
このとき封入する気体が二酸化炭素である場合には、超臨界二酸化炭素法で作成されるリポソーム内に微小気泡を含有する水溶液を内包させることは、容易に達成される。すなわち、水性媒体を導入することによりミセルを形成させた後は、二酸化炭素を排気することなくそのまま加圧状態で保持すればよい。このとき二酸化炭素は水にかなり溶解するが、使用時に圧力を急に解放させると二酸化炭素の微小気泡が多数発生する。これにより、微小気泡を内包させたリポソームを作製できる。
超臨界状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素を使用してリポソームを作製する場合、上記脂質膜成分を、超臨界状態(亜臨界状態を含む)にある二酸化炭素に溶解、分散または混合することが必要となる。その際、溶解助剤(または助溶剤)としてヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で溶解、分散または混合をすることが好ましい。
上記のヒドロキシル基を有する化合物(すなわちヒドロキシル基含有化合物)には、例えば、ヒドロキシル基、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基、またはポリオール/ポリグリコールエーテル基などの組み合わせを、親水性基として有する化合物が含まれる。実際に溶解助剤として使用できるヒドロキシル基含有化合物としては、リン脂質、コレステロールなどといった脂質膜成分と親和性を示し、これらと容易に混合するものが望ましい。さらに、脂質膜成分を極性の液体二酸化炭素中に良好に分散させ、溶解させるためには、適度の親水性と疎水性を兼ね備えた両親媒性のものが好適である。
上記のヒドロキシル基を有する化合物にあって、さらに残存する溶解助剤の毒性をも懸念する場合には、安全性の観点から、低級アルコールなどを用いないことが望ましい。したがって効力および安全性を考慮してより好ましい溶解助剤は、ポリエチレングリコール基を有する化合物、特に好ましい化合物は、ポリエチレングリコール基を有する脂質である。そのオキシエチレン単位が10〜3500、好ましくは100〜2000のポリエチレングリコー
ルが適する。
このようなヒドロキシル基を有する化合物を1種または2種以上併用することは、内包率を向上させるために望ましい。ヒドロキシル基を有する化合物を、超臨界状態もしくは亜臨界状態にする二酸化炭素の0.01〜1質量%、好ましくは、0.1〜0.8質量%の割合で溶解
助剤として使用するのがよい。
本発明の超音波造影剤に使用するリポソームの作製方法は、具体的には以下のようにして行なわれる。圧力容器に液体二酸化炭素を加え、これを上記の好適な圧力および温度の下に超臨界状態もしくは亜臨界状態にする。超臨界(もしくは亜臨界)状態の二酸化炭素に、上記のヒドロキシル基を有する化合物の存在下、リポソームの膜脂質成分としてリン脂質および脂質膜安定化物質を溶解または分散する。脂質膜成分としてリン脂質とともに、カチオン性脂質、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物も加える。あるいは
予めこれらの化合物を加えた圧力容器に液体二酸化炭素を加え、次いで温度、圧力を調整して超臨界状態にして混合してもよい。引き続き生成したリン脂質および脂質膜安定化物質を含有する超臨界二酸化炭素中に、必要に応じて水性媒体を導入するか、あるいは生体適合性気体もしくはその前駆体を含有する水性媒体を導入することによりミセルを形成させる。なお、添加する側と加えられる側を逆にしてもよい。充分に混合した後に、系内に水を加えて減圧し二酸化炭素を排出すると、水性媒体を内包するリポソーム、あるいは生体適合性気体もしくはその前駆体を内包するリポソームが分散している水性分散液が生成する。さらに該リポソームを0.1〜10μm、好ましくは0.1〜1.0μmの孔径を有する濾過膜
を通す。さらに、必要であれば凍結乾燥、滅菌処理などの製剤過程を経て、本発明の気体含有リポソームが調製される。
超音波造影剤
本発明の超音波造影剤に用いられるリポソームは、実質的に一枚膜もしくは数枚膜からなるリポソームであることが望ましい。一枚膜のリポソームとは、リン脂質二重層が一層としてなる膜(unilamellar vesicle)で構成されるリポソームである。凍結かつ断(Freeze fracture )レプリカ法による透過型電子顕微鏡(TEM)による観察において、レ
プリカが概ね1つの層として認められるリン脂質二重層によりリポソームが構成されてい
るものを一枚膜リポソームという。観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものが一枚膜と判定され、2つ以上の段差が認められるものは「多重層膜」と判定される。2枚もしくは3枚の膜で構成されるリポソームは、一枚膜リポソームより強度が増している。「実質的に」とは、本発明の超音波造影剤において、このような一枚膜のリポソームまたは数枚膜で構成されるリポソームを、造影剤中に含まれる全リポソームのうち、少なくとも80%、好ましくは90%以上含むことを意味する。
リポソーム膜として一枚膜を基本とするリポソームは、好適には上記の(b)の態様の
気体含有リポソームである。一枚膜構造を持つ中空微粒子はその内部に多数の気泡を含有する水性媒体を内包するため、超音波診断において高い造影効果を発揮する(特開平8-151335号公報)。他方、数枚膜を基本とするリポソームは、好適には上記(a)の態様の気
体含有リポソームである。気体保持能力を高めるためである。
上記の一枚膜リポソームまたは数枚膜からなるリポソームは、脂質類の溶媒として前記超臨界二酸化炭素もしくは亜臨界二酸化炭素を使用し、水による相分離方法により効率よく作製できる。これに対して従来のリポソーム作製方法によると、様々なサイズ、形態の多重層膜(multilamellar vesicles; MLV)からなるリポソームがかなりの割合で存在することが多い。一枚膜または数枚膜のリポソームの比率を高めるためには、さらに超音波を照射するか、一定孔サイズのフィルターに何度も通すなどの操作を必要としていた。一枚膜または数枚膜のリポソームは、MLVと比較して、リポソームの投与量、換言すると投与脂質量が大きくならないという利点もある。
本発明の造影剤に好ましく使用されるリポソームとして、リポソーム膜の脂質膜枚数が少ないリポソーム、特に粒径の大きい一枚もしくは数枚の膜のリポソームである。このようなリポソームは多重層膜リポソームに比べて、大きい封入容量を提供するという利点がある。反面、生体適合性気体もしくはその前駆体の内包効率が良好な一枚膜または数枚膜のリポソームでも、内包する生体適合性気体もしくはその前駆体の重量が相対的に多過ぎるとリポソームの安定性は低下する。特にイオン強度の急激な変化には脆弱である傾向が観察されていた。リポソーム膜にポリアルキレンオキシド基を有する化合物(例えばリン脂質)、ステロール類、グリコールから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させて、脂質膜の安定化を図ることにより、塩ショックに対しても安定的である。
微細粒子としてのリポソームのサイズとその分布の調整は、本発明の超音波造影剤が目指す、高い血中滞留性、ターゲティング性、送達効率と密接に関わっている。粒径(粒子径)は生体適合性気体もしくはその前駆体を内包するリポソームを含む分散液を凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、このカーボンを電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定することができる。ここで「平均粒径」とは、観察された造影剤粒子の一定の個数、例えば20個の径の単純平均を指している。これは粒径分布で最も出現頻度の高い粒径を言う「中心粒径」と、通常一致するか、または概ね近似している。粒径の調整は、処方またはプロセス条件を変更することにより行なうことができる。例えば、上記の超臨界状態の圧力を大きくすると形成されるリポソーム粒径は小さくなる。作製するリポソームの粒径分布をより狭い範囲に揃えるには、ポリカーボネート膜、セルロース系の膜などで濾過してもよい。例えば濾過膜として0.1〜1μmの孔径のフィルターを装
着したエクストルーダーに通す。押出しろ過法については、例えばBiochim. Biophys.Acta 557巻,9ページ(1979)に記載されている。このような「押出し」操作を取り入れること
により、上記サイジングに加えて、リポソーム外に存在する製剤助剤の濃度の調整、リポソーム分散液の交換、望ましくない物質の除去も併せて可能になるという利点もある。
本発明の造影剤におけるリポソームの平均粒径は、0.05〜50μm、好ましくは0.05〜10
μm、より好ましくは赤血球より小さい0.05〜3μm 、特に好ましくは0.1〜1μmである。
なお、超音波撮像の目的に応じて、平均粒径を適切に設定してもよい。
リポソームの粒径は、特に超音波造影剤の生体への注入様式と密接に関係する。まず経静脈的注入法では、注入されたリポソームは、全身的な循環系に乗る。そうしたリポソームに受動的ターゲティング能力を持たせるには、その粒径のサイズ調整が重要である。特許2619037号公報には、粒径3μm以上のリポソームを排除することにより、肺血管におけ
る不都合な滞留が回避されると記載されている。しかし、血栓または塞栓の危険を回避しても、0.5〜3μmの粒径範囲のリポソームは、必ずしも向腫瘍性とはならない。気体含有
リポソームを向腫瘍性とするために、「EPR効果(Enhanced permeability and retention、透過性の亢進および滞留)」が利用されることがある。固形がん組織にある新生血
管壁の孔は、正常組織の毛細血管壁窓(fenestra)の孔サイズ、0.03〜0.08μm に比べて異常に大きく、概ね0.1μm 〜0.2μm の大きさの分子でも血管壁から漏れ出る。すなわちリポソームの平均粒径を0.1〜0.2μm 、特に0.11〜0.13μm の範囲に揃えることにより、がん組織へ選択的にリポソーム製剤を集中させることが可能となる。このようなEPR効果を得るには、気体を内包するリポソーム粒子が、血中に長くとどまって、がん細胞近くの血管を何度も通過することが必要である。特に大きい粒子でないリポソームは、さらにステルス(隠蔽)化されている場合、細網系内皮細胞による捕獲の対象になりにくい。
これとは対照的に代表的な局所投与である経動脈的注入法(動注法)に超音波造影剤を使用する場合、所在位置が確定された標的の病巣(ほとんどが固形がんである)に超音波造影剤が集中するように投与される。がん組織にある新生血管壁では、正常組織の微小血
管壁より透過性が高い。リポソーム含有超音波造影剤を、がん病巣近傍の血管までカテーテルを通して直接適用する場合、リポソームの平均粒径を通常0.5〜50μm、好ましくは0.7〜10μm、より好ましくは0.75〜1.0μm 、特に好ましくは0.8μm前後に揃えることが
望ましい。このような平均粒径にあるリポソームは、カテーテルから透過性が増した栄養動脈中に放出されても、がん組織に通じるその血管の壁孔から漏れずに、直接、標的のがん組織へ到達する。したがって、導入用カテーテルをがん病巣に最接近させて、本発明のリポソーム製剤を集中的に投入すれば、全身の血液循環に乗ることなく、がん病巣に集中する。このため超音波造影剤本来の濃染機能に加えて、高音圧波照射によりマイクロバブルを破壊させ、その際に発生するフリーラジカルががん細胞を殺傷することも期待できる。がんの動注化学療法の一環としても使用する場合には、0.1〜10μmのマイクロバブル
とした空気、酸素などをリポソーム内の水相に大量に懸濁したものを投与するのがよい。そうしたマイクロバブルを発生させる装置が、最近開発されている。
超音波造影剤の投与量および照射条件は、通例、病変の種類、部位、症状、患者側の条件などを勘案して個々に設定される。本発明の造影剤において、リポソーム内の気体量が、従来のマイクロバブル投与量と同程度になるようにしてもよい。
造影エコー法には、経静脈注入(静注)法または経動脈的注入(動注)法により行なわれる。動注法では、一般にCO2マイクロバブルが検査に使用され、血管造影下で動脈内
にカテーテルを挿入し施行される。これに対し静注法では、主に肘静脈から投与され、より非侵襲的な手法である。本発明の超音波造影剤は、注射剤または点滴注入剤として、好ましくは静脈内投与により被検者に投与され超音波照射により撮像される。造影剤の特性を良好に画像に反映させるには、ドプラ法、ハーモニック法ができる装置を使用する必要がある。また、動注造影エコー法にも使用でき、通常のBモード法により撮像できる。
一般に血管性病変、腫瘍性病変の描出を目的とする場合には、比較的高濃度の造影剤を大量に短時間で投与されることが多い。このようなボーラス注入を可能とするために、造影用造影剤に課せられる要件は、組成物の流動性と低い粘度である。注入抵抗を少なくして被検者の苦痛を軽減し、血管外漏出の危険を回避するため、本発明の組成物溶液の粘度(オストワルド法で測定した場合)は、37℃で、20 mPa・s以下、好ましくは18 mPa・s以下、より好ましくは15 mPa・s以下である。また、造影剤のオスモル濃度が高いと、心臓・循環系の負担が大きい。血液と等張の懸濁液が形成されるように他の非毒性の水溶性物質、例えば塩化ナトリウムのごとき塩類、マンニトール、グルコース、ショ糖、ソルビトールなどの糖類を媒質中に添加してもよい。
注入される脂質の用量は、通常0.1〜10μg/kg体重、好ましくは1〜5μg/kg体重の
範囲である。本発明の超音波造影剤における全脂質の濃度は、20〜100 mg/mL、好まし
くは40〜90 mg/mL、より好ましくは50〜80mg/mLである。この場合の「全脂質」とは
、リポソームを構成するリン脂質、ステロール、グリコールなどのあらゆる種類の脂質類を含める意味である。そうした全脂質は、造影剤に含まれるリポソームの量と概ね見なしてもよい。全脂質量は単純にリポソームの数には対応しない。本発明の造影剤が目指す送達効率からは、気泡を内包するリポソーム量が多い方が望ましいが、余りに高濃度の溶液とすると、リポソーム同士の凝集、造影剤の粘度の増大という不都合な事態も生じてくる。
本発明の超音波造影剤は、Mモード撮影、Bモード撮影、ドップラ技術、高調波造影を含むあらゆるタイプの超音波検査技術において使用することができる。本発明のリポソームの特徴は、リポソーム膜が一枚膜ないし数枚膜からなるために、末梢静脈から血流内に注入されると、血液による圧力変化に対し、リポソーム膜が弾力的に収縮し、次いで圧力が開放されると元の形状に戻る可逆的な柔軟性を有することである。したがって、硬質であ
るが、圧力下で不可逆的に容易に破壊されてしまう従来の剛性の膜ではない。リポソームは本質的に非固体のマトリックスであり、圧力変化に容易に受容し相当程度の柔軟性を示して圧縮性を増加させることから、リポソーム超音波造影剤の非線形性のエコー形成性(echogenecity)を増加させると見なされる(特許文献1)。
本発明のリポソームは、血流の圧力のみならず、超音波の音圧にも敏感であり、特に低音圧との相互作用により共鳴、共振などの現象を起こし、反射波形に歪みを生じさせる(非線形散乱特性)。このような特性から、送信周波数の整数倍である周波数の二次高調波(Second harmonics)を効率よく受信し、これを用いて作るコントラストハーモニック造影(Contrast harmonic imaging)法に、本発明のリポソームは好適に使用できる。
本発明のキットは、封入用気体内に前記の乾燥させたリポソームを収める気密第一容器と、製剤助剤を含有しリポソームを分散させる水性媒体を収容する第二容器とから構成されるキットであって、第二容器を第一容器に連結させて双方の内容物を接触させることにより、上記の超音波造影剤を調製するための二成分キットである。
これらの容器の材質、形状、サイズ、構造などは特に限定されない。しかしながら、内容物を保持すること、かつ連結相手と双方容器内の内容物を外部に漏れることなく、接触させられるように相互連結装置を備えていることが必要である。このようなキットにおいては、脂質膜内部にすでに造影気体が充填されたリポソームは、その貯蔵中に気密容器内の気体と平衡にあるために、内包気体の逸失はない。容器内の圧力、容量などを必要に応じて適切に設定することにより、使用する直前に極めて簡単な操作で、一定規格の気体含有リポソームを含む超音波造影剤が調製できる。
なお、微小気泡のための担体として利用される液体の気体飽和の程度が、圧力変化の下での気泡安定性に重要であることが報告された(特開平5-255127号公報)。このような観点から、気体飽和水性媒体がリポソームの分散のために有利であることを考慮して、例えば第二容器内のそうした水性媒体は、封入気体で飽和されていることが望ましい。
[発明の効果]
本発明の気体含有リポソームは、超臨界二酸化炭素法により極めて簡便かつ効率よく作製できる。このリポソームを含有する超音波造影剤は、造影媒体である生体適合性気体を安定的に保持し、さらにターゲティング性を持たせることができることから低用量化を可能とし、しかも実質的にクロル系溶剤およびその他の有機溶媒を含まないので、被検者の負担が一層軽減される。
[実施例]
以下、本発明を具体な例を示してさらに詳細に説明する。以下の実施例中で用いる装置名、示された使用材料、その濃度、使用量、処理時間、処理温度等の数値的条件、処理方法などはこの発明の範囲内の好適例にすぎない。
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)86mgと、コレステロール38.4mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)19.2mgの混合物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を60℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、50kg/cm2であったオートクレーブ内の圧力を、オ
ートクレーブ内の体積を減ずることにより、120kg/cm2にまで上げて、二酸化炭素を超臨
界状態にし、撹拌しながら脂質類を分散・溶解させた。さらに撹拌しながら、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し
、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整した水溶液10 mLを定量ポン
プで連続的に50分間かけて注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、リポソームの分散液を得た。得られた分散液を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセ
ルロース系フィルター、1.0μmおよび0.45μmで加圧濾過した。得られたリポソームを凍
結乾燥し、さらに圧力差を利用することにより二酸化炭素ガスを導入して得られた二酸化炭素含有リポソームを得た。
得られた粉体状のリポソームに、日本薬局方 注射水を7 mL加えて、良く撹拌して超音波造影剤を得た。得られた造影剤液中のリポソームの重量平均粒径(ダイナミック光散乱測定器、DLS−700(大塚電子株式会社)を用いて測定)は、0.25μmであった。
トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整した水溶液の代
わりに、生理食塩水を用いた以外は実施例1と同様にして、リポソームおよび超音波造影
剤を作製した。このものの重量平均粒径は、0.24μmであった。
実施例1で得たリポソーム100 mgを20 mLのガラスバイアルに加え、ゴム栓でガラスバ
イアルを封じ、内部のエアーを抜いて真空とした。エアー90と六フッ素化硫黄10(容量比90:10)との混合物をゴム栓に針を通して、ガラスバイアル中へ導入した。次いでゴム栓をとり、10mLの純水を加えて強く振とうして、超音波造影剤を作成した。このものの重量平均粒径は、0.25μmであった。
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)86mgと、コレステロール38.4mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)19.2mgの混合物、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し
、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整した水溶液に六フッ素化硫黄を気体換算で0.2mLを溶解させた水溶液10 mLをステンレス製の特製オートクレーブに仕込んだ。オートクレーブを密封して液体二酸化炭素13gを加えた後、温度を50℃、圧力を120kg/cm2にまで上げて、二酸化炭素を超臨界状態とし、撹拌しながら脂質類を分散・溶解させた。10分間撹拌してから、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。得られた分散液を50℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmで加圧濾過し、超音波造影剤を得た。得られた造影剤液中のリポソームの重量平均粒径は、0.56μmであった。

Claims (13)

  1. ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、脂質膜成分としてリン脂
    質とともに、カチオン性脂質、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物を超臨界
    状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に混合した後、水性媒体を導入することによりミセルを形成させ、その後二酸化炭素を排出し、さらに乾燥させることによりリポソームを得て、次いで圧力差を利用して、該リポソームの内部へ気体を導入することにより、該気体を封入させてなる気体含有リポソームの製造方法。
  2. ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物の存在下で、脂質膜成分としてリン脂
    質とともに、カチオン性脂質、ステロール類から少なくとも1種選ばれる化合物を超臨界
    状態もしくは亜臨界状態の二酸化炭素に混合した後、気体を発生し得る前駆体を含有する水性媒体、あるいは気体の微小気泡を含有する水性媒体を導入することによりミセルを形成させ、次いで二酸化炭素を排出し、該前駆体または該微小気泡を内部に含有するリポソームを作製する気体含有リポソームの製造方法。
  3. 前記気体が、空気、窒素、N2O、酸素、二酸化炭素、水素、不活性希ガス、フッ素含
    有ガス、炭素数1〜5の炭化水素および放射性ガスから少なくとも1種選ばれる気体であ
    ることを特徴とする、請求項1または2に記載の気体含有リポソームの製造方法。
  4. 前記の気体を発生し得る前駆体が、気体を形成しうる炭酸塩、炭酸水素塩、CO−O−CR12−O−CO−OR3型(R1、R2、R3は、同一でも異なってもよく、置換もしくは非置換アルキル基を表す)の基を有する炭酸エステル、アミノマロン酸塩、βケト酸または生理学的に許容されるジアゾニウム塩であることを特徴とする、請求項2に記載の気体含有リポソームの製造方法。
  5. 実質的に有機溶剤を含まない気体含有リポソームであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の気体含有リポソームの製造方法。
  6. 前記のヒドロキシル基を有する化合物が、ポリエチレングリコール基を有する脂質であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の気体含有リポソームの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で製造した気体含有リポソーム。
  8. 前記リポソームが、平均粒径として0.05〜10μmであり、実質的に一枚膜または数枚膜
    のリポソームであることを特徴とする請求項7に記載の気体含有リポソーム。
  9. 前記の気体含有リポソームおよび製剤助剤を含んでなる超音波造影剤。
  10. 全脂質濃度が少なくとも20〜100mg/mlであることを特徴とする請求項9に記載の超音
    波造影剤。
  11. コントラストハーモニック法に好適に使用される請求項9または10に記載の超音波造影剤。
  12. 動注化学療法に好適に使用される請求項9または10に記載の超音波造影剤。
  13. 封入用気体内に前記の乾燥させたリポソームを収める気密第一容器と、製剤助剤を含有するとともにリポソームを分散させる水性媒体を収容する第二容器とから構成されるキットであって、第二容器を第一容器に連結させて双方の内容物を接触させることにより、請
    求項9に記載の超音波造影剤を調製するためのキット。

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