JP2006298843A - リポソームおよびリポソーム含有製剤の製造方法 - Google Patents

リポソームおよびリポソーム含有製剤の製造方法 Download PDF

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康之 元杭
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Abstract

【課題】
薬物の内包率が高いリポソーム含有製剤の提供。
【解決手段】
(i)圧力容器内で45〜60℃、10〜30MPaの条件下、超臨界二酸化炭素、リポソーム膜構成成分および薬剤液もしくは水を混合して懸濁液を得る工程、
(ii)次いで、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、薬物を内包するリポソーム粒子が分散された水性分散液を調製する工程、
(iii)該水性分散液と、薬剤液とを混合する工程、ならびに
(iv)得られた混合液を蒸気滅菌する工程
を有する製造方法による。
工程(i)において、薬剤液を用いて混合した場合に、工程(iii)における薬剤液は、リポソーム内に内包された薬物の濃度よりも1.2〜10倍の高濃度であることが望ましい。
工程(iii)において、薬剤液と混合する前に、該リポソーム粒子を粉体としてから、得
られた粉体と該薬剤液とを接触させてこれらを混合してもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、リポソームおよびリポソーム含有製剤およびその製造方法に関する。
リポソームは、脂質膜またはその膜内部の閉鎖空間に封入された物質を保持するカプセル構造を構築できることから、薬物送達システム(DDS)への応用が盛んに研究されている。
封入物質が内包されたリポソームを調製するには、Bangham法や逆相蒸発法(REV法)などが用いられている。これらの方法では、素材としての安全性が高く、生体内で適度な分解性を有するリポソームの中に封入物質を内包させるにもかかわらず、その調製過程において、リン脂質等の溶剤として有機溶媒を使用する。そのため、上記方法で得られるリポソーム含有製剤においては有機溶媒の残留が避けられず、リポソームの特性、安定性に問題が残る(例えば、特許文献1参照)。どうしても残存する溶剤の毒性があるという理由で実用化に至っていないのが現状である(特許文献2)。
また従来の方法では、リポソーム内に薬物を充分に内包させることができず、殊に製剤を大量に投与する必要がある場合には、患者に過度の負担を与えるのみならず副作用の懸念もあった。治療用薬剤に比べて投与量が多くなる診断用造影剤への応用を考えた場合、造影物質の内包率が高いリポソーム含有製剤が求められていた。
一方、特許文献3には、有機溶媒の代わりに超臨界二酸化炭素を用いて、リポソームを製造する方法が開示されている。この方法では製造条件を種々設定することが可能であり、従来のリポソームの製造方法に比べて比較的容易に粒径、構造などを調整することができる。体内の目標部位に取り込まれたリポソームが少量であったとしても、封入物質の内包率が高ければ所望の効果を得ることができるため、本方法はDDS製剤の調製方法として期待されている。しかし、超臨界二酸化炭素と脂質、封入物質の混和に際してエタノールなどの溶解助剤の使用が望まれており、有機溶媒を全く使用せずに内包率の高いリポソームは作製できない(非特許文献1参照)。薬物などをリポソーム内に内包させても、溶解助剤の残留のためにリポソーム膜の強度が低下し、時間経過とともに外部へ漏出する可能性も考慮されねばならない。したがって、薬物を効率よくリポソームに内包させ、その内包率を上げる方法とともに、経時安定的にそれを保持し、血中滞留性を改善することができる剤形、製剤組成の改良および製剤の安全性の向上について、引き続き特別の要求が存在する。
特許2619037号公報 特開平7-316079号公報 特開2003-119120号公報 Pharm Tech Japan 19巻、5号、91〜100(2003)
本発明は上記の要請に取り組むものであり、有機溶媒を全く使用しないで、脂質膜内または脂質膜で囲まれた閉鎖空間に薬物を効率よく内包するリポソーム、これを含有する製剤の製造方法を提案する。
本発明によるリポソーム含有製剤の製造方法は、
(i)圧力容器内で45〜60℃、10〜30MPaの条件下、超臨界二酸化炭素、リポソーム膜構成成分および薬剤液もしくは水を混合して懸濁液を得る工程、
(ii)次いで、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、薬物を内包するリポソーム粒子が分散された水性分散液を調製する工程、
(iii)該水性分散液と、薬剤液とを混合する工程、ならびに
(iv)得られた混合液を蒸気滅菌する工程
を有することを特徴としている。
前記工程(i)において、薬剤液を用いて混合した場合に、工程(iii)における薬剤液は、リポソーム内に内包された薬物の濃度よりも1.2〜10倍の高濃度であることが望ましい。
また、前記工程(iii)において、薬剤液と混合する前に、該リポソーム粒子および該水
性分散液に存在する水を除去して粉体としてから、得られた粉体と該薬剤液とを接触させてこれらを混合してもよい。
好ましくは前記リポソーム膜構成成分には、ポリエチレングリコール(PEG)基を有す
る脂質ならびに40〜65℃の範囲に転移温度のあるリン脂質が含まれている。
前記工程(ii)と(iii)との間に、さらに
該リポソーム水性分散液を、前記リン脂質の転移温度〜(該転移温度+10)℃で、0.1〜3時間インキュベートし、次いで該水性分散液を50〜90℃、0.01〜0.8MPaの圧力下で濾過して、該リポソームを0.05〜0.8μmの平均粒径を有する粒子に整粒する工程
を含めることができる。
前記薬剤液に、ヨウド化合物もしくは抗がん性化合物またはその両方が含まれてもよい。
本発明のリポソーム含有製剤は、上記製造方法により製造される。
また、本発明のリポソームは、
(i)圧力容器内で45〜60℃、10〜30MPaの条件下、超臨界二酸化炭素、リポソーム膜構成成分および薬剤液もしくは水を混合して懸濁液を得る工程、
(ii)次いで、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、リポソーム粒子が分散された水性分散液を調製する工程、ならびに
(iii)該リポソーム粒子および該水性分散液に存在する水を除去して粉体とする工程、
により形成され、該リポソーム膜構成成分として、PEG基を有する脂質ならびに40〜65℃
の範囲に転移温度のあるリン脂質が含まれていることを特徴としている。
[発明の詳細な説明]
本発明によるリポソーム含有製剤の製造方法は、
(i)圧力容器内で45〜60℃、10〜30MPaの条件下、超臨界二酸化炭素、リポソーム膜構成成分および薬剤液もしくは水を混合して懸濁液を得る工程、
(ii)次いで、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、薬物を内包するリポソーム粒子が分散された水性分散液を調製する工程、
(iii)その後、該水性分散液と、薬剤液とを混合する工程、ならびに
(iv)得られた混合液を115〜140℃で蒸気滅菌する工程
を有することを特徴としている。
ここで「リポソーム」とは、通常、脂質二重膜からなるリポソーム膜により形成される構造物である。リポソーム膜を「脂質膜」ということもある。リポソーム内に「内包」されるとは、リポソーム内に封入されてそのリン脂質膜と会合しているか、またはリン脂質膜に囲まれた閉鎖空間に閉じ込められている水相(内部水相)中に存在している状態の両方を含むものとする。「薬剤液」とは、薬物、例えば医薬化合物、製剤助剤などを溶解し
た水溶液または水性分散液をいう。また、「薬物」とは、リポソームに内包させる物質(医薬化合物、製剤助剤など)である。「PEG−リン脂質」とは、PEG基を有するリン脂質をいう。また、本明細書において、亜臨界状態を含めて超臨界状態とする。「抗がん性化合物」を単一物質の抗がん剤の意味で使用している。「がん」は、悪性腫瘍を指し、単に「腫瘍」ということもある。
以下、封入物質、リポソーム膜構成成分、リポソーム、リポソームの製造方法、リポソーム含有製剤の製造方法、リポソーム含有製剤の順で説明する。
封入物質
本発明のリポソーム含有製剤において、封入される薬物は、特に限定されず、広く医薬品、化粧品などに使用される各種の化合物が挙げられる。例えば、造影化合物、抗がん性化合物、抗酸化化合物、抗菌化合物、抗炎症化合物、血行促進化合物、美白化合物、肌荒れ防止化合物、老化防止化合物、発毛促進化合物、保湿化合物、ホルモン剤、ビタミン類、色素、およびタンパク質類などが例示される。
封入される上記薬物は、水溶性化合物であるか、あるいは水溶性塩の形態または可溶性化剤の添加により水溶性にされた形態であることが望ましい。疎水性または脂溶性の化合物であってもよい。
本発明においては、「薬物」として、特にがんの検査・診断用または治療用の薬物、具体的には、抗がん性化合物、造影剤、中性子捕捉療法用物質、光線力学療法用物質などが好ましく使用される。特に本発明のリポソーム含有製剤は、造影剤または抗がん剤として用いることが望ましい。
リポソーム含有造影剤における造影物質として、水溶性ヨウド系化合物が内包される。水溶性ヨウド化合物は、造影性があればイオン性、非イオン性を問わず、特に規定されない。一般的には非イオン性ヨウド化合物の方が、イオン性ヨウド化合物よりも浸透圧が低く、投与された人体に対する負荷が小さいためにより望ましい。水溶性の非イオン性ヨウド化合物としてヨウ化フェニルを含み、例えば2,4,6−トリヨードフェニル基を少なくと
も1個有する非イオン性ヨウド化合物が好適である。
そのような非イオン性ヨウド化合物として、具体的には、イオヘキソール(Iohexol)、
イオパミドール(Iopamidol)、イオメプロール(Iomeprol)、イオペントール(Iopentol)
、イオプロミド(Iopromide)、イオシミド(Iosimide)、イオベルソール(Ioversol)、イ
オトロラン(Iotrolan)、イオタズル(Iotasul)、イオジキサノール(Iodixanol)、イオデシノモール(Iodecimol)、イオキシラン(Ioxilan)などが挙げられる。高度に親水性であり、かつ高濃度でも浸透圧が高くならない非イオン性の好適なヨウド化合物として、イオヘキソール、イオメプロール、イオパミドール、イオキシラン、イオトロラン、イオジキサノールが特に好ましい。このような非電解質物質も本発明による超臨界二酸化炭素法によって、リポソーム内に効率よく内包することができる。これらの化合物は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。またその例示に限定されるものではない。なお本明細書において、化合物は遊離形態の化合物の他に、その塩、水和物なども含めて言及することがある。
造影物質以外の封入物質として、造影剤の用途によっては抗がん性化合物、光線力学療法用物質などを含めてもよい。抗がん性化合物は、がんの化学療法に用いられている化学物質であればよく、特に限定されるものではない。アドリアマイシン、ビラルビシン、ビンクリスチン、タキソール、シスプラチン、マイトマイシン、5−フルオロウラシルから少なくとも1種選ばれる化合物が好ましく用いられるが、その例示に限定されるものではない。
リポソーム膜構成成分
本発明のリポソームの脂質膜構成物質は、膜構成成分として一般に使用されるものであれば特に限定されない。通常、リポソーム用脂質としてリポソーム形成能を有するリン脂質および糖脂質のうちで少なくとも1つを必須の主要成分とし、それ以外に任意成分として共存させる物質がある。任意成分には、脂質膜安定化物質としてのステロール類、グリコール類などのほか、荷電物質としての脂肪酸またはその塩、脂質混合乳化物など、従来から小胞体の形成成分として用いられているものも含まれる。
本発明のリポソームの脂質膜を構成する脂質膜成分には、少なくともリン脂質、糖脂質、ステロール類、グリコール類、ポリエチレングリコール(PEG)基を有する脂質、例えばPEG-リン脂質などが含まれる。本発明のリポソーム含有製剤に含まれるリポソー
ムの脂質膜成分として、一般にリン脂質および/または糖脂質が好ましく使用される。好ましい中性リン脂質として、大豆、卵黄などから得られるレシチン、リゾレシチンおよび/またはこれらの水素添加物、水酸化物の誘導体を挙げることができる。
その他のリン脂質として、卵黄、大豆またはその他の動植物に由来するか、または半合成のホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、合成により得られるホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、
ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスフチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)などが挙げられる。
本発明のリポソームを構成する脂質膜のリン脂質類には、必要に応じてPEG基を有し、かつ、22〜70℃、好ましくは40〜65℃の範囲に転移温度のあるリン脂質が少なくとも含まれている。リン脂質の「(相)転移温度」とは、リン脂質がとり得るゲルと液晶との両状態間の相転移を生じる温度である。その測定は、示差走査熱量計(DSC)を使用する示差熱分析による。22〜70℃の範囲にある相転移点を有するリン脂質として、ジミリストイルホスファチジルコリン(転移温度、以下同じ、23〜24℃)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(41.0〜41.5℃)、水素添加大豆レシチン(53℃)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(54℃)、ジステアロイルホスファチジルコリン(54.1〜58.0℃)などが例示される。特にこれらのリン脂質にPEG基を結合させたリン脂質を本発明に好適に使用することができる。
これらの相転移温度を有するリン脂質は、脂質の全質量に対して10〜100質量%、好ま
しくは20〜90質量%、さらに好ましくは30〜90質量%となる量で用いることが望ましい。この相転移温度を有するリン脂質を上記の量で用いることにより、後述する超臨界二酸化炭素との混合温度において封入する医薬物質の内包率が高く、しかも生体内での安定性に優れたリポソームを調製することができる。
本発明で用いられるリン脂質は、通常、転移温度を有するリン脂質を少なくとも含有するが、その他のリン脂質を1種または2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。
これらのリン脂質は通常、単独で使用されるが、2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質
同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。中性リン脂質と荷電リン脂質を併用する場合、重量比として通常、200:1〜3:1、好ましくは100:1〜4:1、より好ましくは40:1〜5:1である。
糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステルなどのグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4などのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
リポソーム膜の構成成分として、上記脂質の他に必要に応じて他の物質を加えることもできる。例えば、脂質膜安定化剤として作用するステロール類、例えばコレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、またはラノステロールなどが挙げられる。また1−O−ステロールグルコシド,1−O−ステロールマルトシドまたは1−O−ステロールガラクトシドといったステロール誘導体もリポソームの安定化に効果があることが示されている(特開平5-245357号公報)。これらの中で、特にコレステロールが好ましい。
リポソーム膜中のコレステロールは、ポリアルキレンオキシド導入用のアンカーにもなり得る。特開平09−3093号公報には、ポリオキシアルキレン鎖の先端に、種々の機能性物質を共有結合により固定化することができ、リポソーム形成用の成分として利用することができる新規なコレステロール誘導体が開示されている。
ステロール類の使用量として、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ステロール類のモル比が100/60〜100/90、好ましくは100/70〜100/85である。このモル比は、PEG-リ
ン脂質を除くリン脂質量を基準としている。モル比が100/60未満であると混合脂質の分散性を向上させるステロール類による安定化が充分に発揮されない。
上記ステロール類の他にリポソーム膜の構成成分として、グリコール類を加えてもよい。リポソームを作製する際に、リン脂質などともにグリコール類を添加すると、リポソーム内での水溶性ヨウド系化合物の保持効率が上昇する。グリコール類として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオールなどが挙げられる。グリコール類の使用量として、脂質全質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の割合が望ましい。
本発明のリポソーム含有製剤の意図する目的に応じて、高分子鎖であるポリアルキレンオキシド(ポリオキシアルキレン鎖)(PAO)基または類似の基を有するリン脂質、脂質または化合物を、リポソーム膜の一成分として使用してもよい。ポリアルキレンオキシド基またはPEG基をリポソーム膜表面に付けることにより、崩壊、凝集といったリポソーム自体の不安定性が解決され、水性分散液における経時安定性も改善される。さらに新たな機能をリポソームに付与することができる。例えば、PEG化リポソームには免疫系から認識されにくくなる効果が期待できる。さらにリポソームは、PEG基の導入により溶媒の水分子とPEG基とが相互作用をして水和層が形成され、親水的傾向を示す。このことからリポソームの水性分散液での安定性が増すとともに、血中での安定性も増して長時間にわたり血液中の濃度を維持できることが明らかになっている(Biochim. Biophys. Acta., 1066, 29-36(1991))。よって−(CH2CH2O)n−HであらわされるPEG基
のオキシエチレン単位の長さと導入する割合を適宜変えることにより、その機能を調節することができる。PEG基として、オキシエチレン単位が10〜3,500、好ましくは100〜2,000のポリエチレングリコールが好適である。ポリエチレングリコールを使用する場合の
使用量は、該リポソームを構成する脂質に対して1〜40質量%、好ましくは5〜25質量%含むのがよい。リポソームのPEG化には、公知の技術を利用することができる(たとえば、特開平1−249717号公報、FEBS letters, 268, 235(1990))。また、PEGが結合するアンカー(たとえばコレステロールなど)を膜構成成分であるリン脂質と混ぜてリポソームを作製し、そのアンカーに活性化PEGを結合させてもよい。
より好ましくはPEG−リン脂質を、ポリエチレングリコール基を有する脂質として用いる。これは、リン脂質などを超臨界二酸化炭素に混合する際に、PEG-リン脂質が溶
解助剤的な作用も示すからである。20〜70℃、好ましくは40〜65℃の範囲に転移温度を有するリン脂質にPEG基を付したものがさらに望ましい。
このようなリン脂質として、例えばジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンまたはジステアロイルホスファチジルコリンにPEG基を付加したものが最も好ましい。特に、ジミリストイルホスファチジルコリン(転移温度、23〜24℃)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(転移温度、41.0〜41.5℃)の使用によって、温度感受性リポソームを形成することができる。患部を42℃前後に加温するがんの温熱療法では、このような温度感受性リポソームに抗がん性化合物および造影物質をともに内包させることによりそれらの集中送達が可能となる。
他に添加できる化合物として、負荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルなど、正電荷を与える化合物としてステアリルアミンなどの脂肪族アミンが例示される。
・リポソーム
本発明のリポソーム含有製剤は、薬物をマイクロキャリヤーとしてのリポソーム内に封入した形態で使用することにより、標的の臓器、組織の病巣へ効率よく送達させることを図っている。すなわち、医薬化合物を内包するリポソームの粒径およびその脂質膜を適切に設計することによりターゲティング機能を付与することができる。受動的ターゲティングは、リポソームの粒径、脂質組成、荷電などの調整を通じてその生体内挙動を制御することができる。リポソーム粒径を狭い範囲に揃える調整もまた容易に行うことができる。リポソーム膜表面の設計では、リン脂質の種類と組成、共存物質を変えることにより所望の特性を付与することができる。さらに投与されたリポソームの体内移動と分布に関して、より高度な送達選択性と集積性を可能とする能動的ターゲティングの採用もまた検討されるべきである。一例として、リポソーム膜表面に上記のポリアルキレンオキシド高分子鎖または高分子鎖のPEG基を導入することは、標的部位への誘導を制御し得るために有益
である。
他方、がん組織などの患部に到達しなかったリポソームは、正常な組織には集積することなく、比較的速やかに分解されて体外に排泄される。これはリポソームを設計する際にその安定性を体外排出時間との関係で適切にコントロールすることにより可能である。そうしたクリアランスの制御により、遊離形態では副作用が皆無ではない医薬化合物をリポソームに内包させるDDS剤形のもう一つの効果が期待できる。すなわち体内に留まることによる弊害、遅発性の副作用などを防止できる。
本発明のリポソーム含有製剤において、微細粒子としてのリポソームのサイズとその分布の調整は、高い薬物の内包率、ターゲティング性、送達効率と密接に関わっている。粒径(粒子径)は医薬化合物を内包するリポソームを含む分散液を凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、このカーボンを電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定することができる。ここで「平均粒径」とは、観察されたリポソーム粒子の一定の個数、例えば20個の径の単純平均を指している。これは粒径分布で最も出現頻度の高い粒径を言う「中心粒径」と、通常一致するか、または概ね近似している。
受動的ターゲティング能力をリポソームに持たせるには、リポソームを作製する際に、その粒径のサイズを適切に揃えて調製することが必要になる。特許2619037号公報には、
粒径3μm以上のリポソームを排除することにより、肺の毛細血管におけるリポソームの不都合な滞留が回避されると記載されている。しかし、0.5〜3μmの粒径範囲のリポソーム
は、必ずしも自然に向腫瘍性とはならない。本発明のリポソーム含有製剤においては、その用途に応じて平均粒径を、好ましくは0.05〜0.8μmの範囲内で適宜調整してリポソームを作製する。
例えば、肝臓の撮像を目的とするX線造影用のリポソーム含有製剤の場合、リポソーム
の好ましい平均粒径は、0.2μm〜0.8μmである。水溶性ヨウド系化合物を内包するリポソームがこの範囲のサイズであれば、非腫瘍組織に多い細網系内皮細胞による捕獲貪食の対象になり、腫瘍組織とのコントラストが明瞭となるためである。なお肝臓用の造影剤に使用するリポソームは、その表面にあるPEGは、なるべく少ない方が望ましい。
血流を利用する「EPR効果(Enhanced permeability and retention、透過性の亢進
および滞留)」に基づいてリポソームを向腫瘍性とするためには、その平均粒径を0.1〜0.2μm、より好ましくは0.11〜0.13μmとすることが望ましい。例えばリポソームの平均粒径を0.11〜0.13μm の範囲に揃えることにより、リポソーム含有製剤をがん組織へ選択的に集中させることが可能となる。
リポソームの製造方法
リポソームを作製する方法として、これまで種々の方法が提案されている。作製方法が異なると、最終的にでき上がったリポソームの形態および特性も著しく異なることが多い(特開平6-80560号公報)。そのため所望するリポソームの形態、特性に応じて製造方法
が選択される。一般にリポソームの調製は、まずリン脂質、カチオン性脂質、ステロールといった脂質膜成分を、ほとんど例外なく有機溶媒(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、ジオキサン、THFなど)とともに容器中
で混合、溶解することから始まる。特にクロル系溶媒がよく用いられている。このようなリポソームの調製品は、必ず有機溶媒を含んでいる。
他方、超臨界二酸化炭素を利用してリポソームを調製する方法は、二酸化炭素の臨界温度が31.1℃、臨界圧力が7.38 MPa と比較的扱いやすく、不活性なガスゆえ残存しても
人体に無害であり、高純度流体が安価で容易に入手できるなどの理由により魅力ある製造方法であると言える。しかしながら、有機溶媒を使用しないとする従来の超臨界二酸化炭素法でも、脂質類を超臨界二酸化炭素に効率よく分散させるためにエタノールなどの使用が推奨されていた(非特許文献1参照)。残存するこれらの有機溶媒を除去するために、複数の工程および長時間の処理を要しているのが現状である。そうした残留する有機溶媒、特にクロル系有機溶媒については、生体に及ぼす悪影響、例えば副作用が懸念される。
本発明によるリポソーム含有製剤の製造方法において、リポソームは超臨界二酸化炭素を混和媒体としたリポソームの調製方法(以下、超臨界二酸化炭素法)に基づき、実質的に溶解助剤を用いない方法により調製される。その際に、薬物、すなわち医薬化合物および製剤助剤をリポソーム膜内に内包させる。このような超臨界二酸化炭素を用いる方法により作製されたリポソームは、実質的にクロル系溶剤、エタノールおよびその他の有機溶媒を含有せず、医薬化合物などを内包するのに種々の好ましい特性、すなわち、従来法に比べて封入する薬物の内包率、内包されている薬物のリポソーム内の保持率が高いことが示されている。なお「実質的に」とは、リポソーム含有製剤における残存有機溶媒の濃度の上限値が10μg/Lであることを意味する。
・第1工程
第1工程では、圧力容器内で、リポソーム膜構成成分と、液化二酸化炭素と、薬剤液(医薬化合物などの薬物および製剤助剤を含有する)とを混合するが、その添加順序に基づいて次の2方法に別れる。
(1)圧力容器内で45〜60℃、10〜30MPaの条件下、リポソーム膜構成成分と超臨界二酸化炭素とを混合して懸濁液を得る第1段階、
(2)次いで、該懸濁液に医薬化合物および製剤助剤を含む溶液もしくは分散液を添加して
混合する第2段階
あるいは次に示す順序でもよく、特に封入される医薬化合物が疎水性または脂溶性の化合物である場合に好適である。
(1)リポソーム膜構成成分と、医薬化合物および製剤助剤を含む溶液もしくは分散液とを
混合することにより得られた懸濁液を圧力容器内に収容し、その後に液化二酸化炭素を供給する第1段階、
(2)次いで、前記の懸濁液と液化二酸化炭素とを混合させながら、該圧力容器内を45〜60
℃、10〜30MPaの条件下、加圧して液化二酸化炭素を超臨界二酸化炭素とする第2段階
封入する医薬化合物の性質に応じて、これらの混合順序を使い分けてもよい。以下、これらの方法をさらに詳細に説明する。
圧力容器にリポソーム膜構成成分の脂質成分としてリン脂質類および脂質膜の安定化作用を有する物質を加え、さらに液化二酸化炭素を添加して、好ましくは強撹拌条件下で混合する。リポソーム膜構成成分には、リン脂質に加えて、PEG基を有する脂質ならびに40〜65℃の範囲に転移温度のあるリン脂質を含めることが望ましい。脂質膜の安定化作用を有する物質として、ポリエチレングリコール基を有する脂質、ステロール類などを加える。後記の範囲にある圧力および温度のもとに液化二酸化炭素を超臨界状態もしくは亜臨界状態にする。リポソーム膜構成成分と超臨界(もしくは亜臨界)状態の二酸化炭素とを充分に混合して、溶解または分散させる。または予め圧力容器内にある液化二酸化炭素に、これらの化合物を加えて混合し、次いで温度、圧力を調整して超臨界状態にして混合してもよい。
引き続き生成したリン脂質および脂質膜安定化物質などを含有する超臨界二酸化炭素中に、内包させる医薬化合物、例えば抗がん性化合物もしくはヨウド系化合物、および製剤助剤を含む薬剤液(溶液もしくは分散液)を導入することによりミセルを形成させる。例えば温度感受性リポソームなどを作製する場合、薬剤液には、抗がん性化合物および造影物質(ヨウド系化合物)をともに含有させてもよい。
あるいは、リポソーム膜構成成分として少なくともリン脂質、ポリエチレングリコール基を有する脂質およびステロール類と、医薬化合物および製剤助剤を含む薬剤液とを混合した懸濁液を収容している圧力容器内に、液化二酸化炭素を供給し、好ましくは強撹拌下で、混合し分散させ、次いで加温加圧して液化二酸化炭素を超臨界状態とし、さらに強撹拌下で混合することによりミセルを形成させてもよい。前記懸濁液は圧力容器内でリポソーム膜構成成分と薬剤液とを混合して調製されるが、代わりにそうした懸濁液を別途に調製して、次いで圧力容器内に供給してもよい。
リポソーム内へ封入される物質の内包化効率は、リポソーム膜用脂質の全脂質量について、超臨界二酸化炭素との比率、封入物質などを含む溶液もしくは分散液との比率によっても左右される。ここでいう全脂質量とは、リポソーム膜を構成するリン脂質類、ステロール類、その他の添加した脂質類すべてを対象とした総和の質量である。大部分のリポソームを、1枚膜よりはむしろ2枚膜または数枚膜(例えば3枚、4枚、5枚または6枚の膜)のリポソームとして形成させるために、添加する脂質量は、従来の超臨界二酸化炭素法で使用されている脂質量よりも1.5〜2.5倍多くしてもよい。具体的には強撹拌下で、最終的に二酸化炭素、1質量部に対して、脂質、0.01〜0.3質量部、好ましくは0.01〜0.1質
量部の割合で混合し分散させることが望ましい。本発明による製造方法においてはリポソームの形成が効率的に行われ、脂質量をある量まで多くするほど内包率も増加する傾向にあった。
脂質量が多いと、リポソーム作成時には脂質の溶け残りが生じるおそれがある。しかしながら撹拌当初は上記脂質を含む脂質相が存在してもよく、次のような強撹拌により、脂質分子が配列するCO2/水界面を多数生じさせ、脂質の小ミセルが多数形成されるよう
にすると内包率も上昇することとなる。脂質と超臨界二酸化炭素との乳化は、エタノールなどを添加しなくとも下記のようにPEG基を有する脂質の存在で促進される。
「強撹拌」とは、混合溶液の容量や撹拌手段によって好ましい範囲が異なる。例えば、混合溶液の容量が10〜100mL程度の場合において、長さ15mm、直径5mmの略円柱状の
撹拌子を用い、マグネチックスターラーで回転数400〜4000rpm、好ましくは1000〜1500rpm、特に好ましくは1200〜1400rpmで撹拌することを意味する。なお、混合溶液
の容量や撹拌手段が上記とは異なる場合も、混合液量、脂質量に応じて適宜設定する。また、強撹拌の時間は、1〜120分間、好ましくは5〜60分間であることが望ましく、強撹拌
の時間には薬剤液を供給する時間も含む。
このような条件の強撹拌下で、リポソーム膜構成成分と、超臨界二酸化炭素とを所定の時間混合することにより、リポソームの生成効率がよくなり、しかも医薬化合物の内包率がより高いリポソームを含有する水性分散液を得ることができる。
リン脂質、コレステロールを含む脂質類は、そもそも超臨界二酸化炭素、水のいずれにも溶けにくいし、分散もしにくい。所望する形態のリポソームが効率的に形成されるためには、脂質類が超臨界二酸化炭素中に良好に分散し、両者間の乳化が進んで均質な状態を形成することが重要な鍵である。そのための溶解助剤(または助溶剤、分散促進剤)として、ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物を利用して溶解、分散または混合を
することが好ましい。
ヒドロキシル基を有する化合物(すなわちヒドロキシル基含有化合物)には、親水性基として例えば、ヒドロキシル基、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基、またはポリオール/ポリグリコールエーテル基などの組み合わせを有する化合物が含まれる。実際に溶解助剤として使用できるヒドロキシル基含有化合物としては、リン脂質、コレステロールなどの脂質膜成分と親和性を示し、これらと充分混合するものが望ましい。
上記のヒドロキシル基を有する化合物において、さらに残存する溶解助剤の毒性をも懸念する場合には、安全性の観点から、エタノールなどの低級アルコールなどを用いないことが望ましい。したがって、効力および安全性を考慮してより好ましい溶解助剤は、ポリエチレングリコールまたはPEG基を有する化合物である。PEG基を有する化合物として、具体的にはPEG基を有する脂質、例えばPEG−リン脂質が好ましい。そのオキシエチレン単位が10〜3,500、好ましくは100〜2,000のポリエチレングリコールが適する。
このようなヒドロキシル基を有する化合物を1種または2種以上併用することは、内包率を向上させるために望ましい。ヒドロキシル基を有する化合物を、超臨界状態もしくは亜臨界状態にする二酸化炭素の0.01〜1質量%、好ましくは、0.1〜0.8質量%の割合で溶解
助剤として使用するのがよい。ヒドロキシル基を有する化合物が、PEG基を有する脂質である場合、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ポリエチレングリコール基を有するリン脂質のモル比が100/5〜100/25、好ましくは100/5〜100/10である。
溶解助剤としてエタノールなどを用いる従来の超臨界二酸化炭素法では、エタノールが
、超臨界二酸化炭素中へ脂質類が溶解もしくは分散することを促進する。その結果、コレステロールとリン脂質などを含有する二酸化炭素領域と、主にPEG化リン脂質および医薬化合物を含有する水の領域からなる2相系を形成し、これが撹拌されると超臨界二酸化炭素の乳化が進行し、脂質のミセルが形成される。最終的には、1枚膜の脂質膜を有するリポソームが主として調製されている。
これに対し本発明の方法では、リポソーム膜構成成分としてのPEG基を有する脂質(例えばPEG−リン脂質)が、エタノールなどの溶解助剤に代わって乳化促進作用をする。薬物およびPEG化リン脂質が水相に溶解もしくは分散して水の表面張力を下げるとともに、リン脂質およびコレステロールなどが集まった脂質相もまた形成され、脂質類をほとんど含まない超臨界二酸化炭素の相との3相系の状態となる。撹拌により超臨界二酸化炭素の乳化が進行するが、界面を従来法よりも多く形成することとなり、そうした多数の界面に脂質分子が配列して脂質単膜を形成する。特に脂質量を多くして上記の強撹拌を行なう条件下では、ミセルが均一で小さいものが多数生成する。
結局、エタノールなどが存在してもしなくとも、超臨界二酸化炭素の乳化が起きて脂質ミセルが形成されることは同じである。しかし特に強撹拌を行なう方法では、均一な微小ミセルが効率的に形成されるため、その後の二酸化炭素の排出により誘発され、脂質単膜から脂質二分子膜が形成される過程において、医薬化合物が内包される率は、例えば17%から21%へと高くなる。エタノールなどを用いる従来の超臨界二酸化炭素法では、主に1枚膜リポソームが形成されるのに対し、本発明の方法では、脂質量を増やすと2枚膜から10枚膜までの多重膜リポソームが主体に形成される。このような多重膜リポソームについて、整粒工程で再び内包率の上昇が観察され、膜の再構成が起きていることが示唆される。
本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の温度は、一般には32〜70℃に設定されるが、好ましくは40〜65℃である。リポソーム膜構成成分に上記範囲の転移温度を有するリン脂質が含まれる場合、転移温度〜(該転移温度+10)℃、好ましくは転移温度〜(該転移温度+5)℃となるように設定することが望ましい。リン脂質の転移温度以上に加温すると、転移温度を有するリン脂質は、「融解」し、具体的には、ゲル状態から液晶状態へと相転移する。これによって脂質の流動性が高まり、リン脂質が超臨界二酸化炭素と効率よく混合される。したがって、リポソーム膜は円滑に形成されるとともに、その内部への薬物の取り込みもまた促進され、内包率が向上する。
超臨界状態の二酸化炭素の温度を、上記のようにリン脂質の転移温度〜(該転移温度+10)℃と、比較的低い温度に設定しているために、リン脂質に過度の熱がかからないため変性することがなく、とりわけ乳化促進のために強撹拌の操作を行なう状況下では、局所的過熱を軽減する意味からも上記の温度範囲を採用することが望ましい。また、超臨界状態の二酸化炭素の好適な圧力は、上記温度範囲に対応して適宜選択されるが、5〜50 MPa、好ましくは10〜30 MPaである。
・第2工程
第2工程では、リポソーム膜構成成分と、超臨界二酸化炭素と、薬剤液(医薬化合物および製剤助剤を含有する)とを充分に混合した後に、系内に必要であれば水を加えて、圧力容器内を減圧する。この混合液から二酸化炭素を排出することにより、医薬化合物などが内包されたリポソームの水性分散液が調製される。この過程でリポソームは水相に転相していると推定されるため、二酸化炭素を排出するだけで、医薬化合物などを内包するリポソームが分散している水性分散液が生成する。リポソーム内部にも上記水溶液が封入されているため、薬物はリポソームの外部水相のほかにリポソーム内部の水相に存在し、「内包」の状態にある。
・第3工程
第3工程は、上記の第2工程で得られた水性分散液と、薬剤液とを混合する工程である。前記の第1工程(i)で、薬剤液を用いて混合した場合には、本工程における薬剤液は、
リポソーム内に内包された薬物の濃度よりも1.1〜100倍、好ましくは1.2〜10倍、さらに
好ましくは1.5〜5倍の高濃度であることが望ましい。1.01未満であると、実質的に浸透圧効果は期待できず、薬物の内包率アップにつながらない。上記上限より高濃度の薬剤液を調製しようとしても溶解度、分散性などの理由から困難な場合もある。リポソーム内に内包された薬物の濃度は、第2工程の直後にはリポソーム膜内外の両水相にある薬物のそれぞれの濃度が略同一であると仮定するとその算出は容易である。
リポソーム膜により囲まれた閉鎖空間とリポソーム膜外の水性媒体における薬物濃度の勾配に基づき、薬物をリポソーム膜内部へ浸透させて内包率を高める。この場合、薬物が極性であるよりも非極性であり、分子量が低いとより容易にリポソーム膜内へ浸透していく。したがって内包させる薬物の分子量、極性などを考慮して上記高濃度薬剤液の濃度を調節することが好ましい。
なお、上記水性分散液を作成する第1工程において、薬剤液の代わりに水を用いた場合には、上記高濃度薬剤液の濃度は、特に制限されない。この場合も、薬剤液の分散媒(水、緩衝液など)による希釈、内包させる薬物の分子量、極性、浸透速度などを考慮してその濃度を調節することが好ましい。
混合する上記薬剤液の分散媒(水)による希釈のことを考慮すると、本工程において、薬剤液と混合する前に、該リポソーム粒子および該水性分散液に存在する水を実質的に除去して粉体としてから、得られた粉体と該薬剤液とを接触させてこれらを混合してもよい。この場合、薬物は粉体としないときよりも効率的にリポソーム膜内へ浸透するが、特に高濃度の薬剤液の調製が困難であるときには、この方法は好適である。また、いったん粉体として得られたリポソームは、薬剤液とすぐに混合する必要がない場合には、そのまま冷暗所などに相当の期間、安定的に保存できる。水を除去する方法としては、従来からある乾燥方法、例えば凍結乾燥、噴霧乾燥などを用いることができる。
なお、必要であれば前記の第3工程の前において次の工程を加えることも可能である。
薬剤液を加えた水性分散液を、必要に応じて前記リン脂質の転移温度〜(該転移温度+10)℃で、0.1〜3時間インキュベートし、次いで0.1〜1μmの孔径を有する濾過膜を装着した静圧式押出し装置で、50〜90℃、0.01〜0.8MPaの圧力下、薬物が内包されたリポソームの水性分散液を濾過して、該リポソームを平均粒径が0.05〜0.8μmの粒子に整粒す
る工程。
この工程を以下、説明する。
上記のようにして得られ、医薬化合物などが内包されたリポソームの水性分散液を、前記リン脂質の転移温度〜(該転移温度+10)℃の温度に一定時間、加温することが好ましい。具体的には次の工程の前にリポソーム分散液を保持する圧力容器内で行なってもよく、圧力容器に備えられた加熱装置によって所定の温度まで加熱し、必要であれば撹拌しながらその状態を所定の時間維持することによりリポソームの水性分散液のインキュベーション処理を行なう。
リン脂質の転移温度以上に加温してインキュベーションを行なうことにより、転移温度を有するリン脂質は液晶状態となり、脂質膜の流動性が高まる。かかる追加操作により、凝集して塊状になったリポソームの離反、分散化が促進される。これにより形成されるリポソームが、全体として比較的均一な分布の粒子集団になりやすい状況が確立される。後述するように、均一な分布とは、リポソーム粒子のサイズ(すなわち粒径)および構造(例えば脂質膜の枚数)の両方により規定される。
したがって、次工程の濾過操作の間に、流動性が増した脂質分子の脂質膜内での再配置が起こって、より安定な膜構造が形成されるとともに、医薬化合物の内包も促進され、内包率の向上をもたらすことが期待される。このような効果が得られる理由は明らかではないが、多重層膜からなるリポソームにおいてリン脂質膜が再構築され、複数枚の膜からなるリポソームやSUV(single unilamellar vesicle)タイプのリポソームが生成しているためと推測される。さらに、脂質膜内で構成分子の再配置も起こり、より安定な膜構造が形成される。これらのことが、封入物質の内包率向上につながると考えられる。
リポソームの粒径の調整は、その処方またはプロセス条件を変更することにより行なうことができる。例えば、超臨界状態の圧力を大きくすると形成されるリポソームの粒径は小さくなる。作製するリポソームの粒径分布をより狭い範囲に揃えるには、ポリカーボネート膜、セルロース系の膜などで濾過してもよい。上記のリポソーム水性分散液を、0.1
〜1.0μmの孔径を有する複数の濾過膜を通す。濾過膜の孔径は大きいものから小さいものへと順次小さくしていくことが好ましく、最終的には0.05〜0.4μm、好ましくは0.1〜0.4μm、さらに好ましくは0.15〜0.2μmの範囲まで孔径を小さくしていくことが望ましい。押出し濾過の操作は、50〜90℃、好ましくは55〜85℃で、0.01〜1.0MPa、好ましくは0.01〜0.8MPaの圧力下で行なわれる。この時もリン脂質の転移温度以上に加温すると、転移温度を有するリン脂質は液晶状態となり、流動性が高まる。
整粒のための操作は、例えば濾過膜を装着した各種の静圧式押出し装置、例えば「エクストルーダ」(商品名、日油リポソーム製)などを使用して、フィルターを強制的に通過させる。静圧式押出し装置に通すことにより、粒径分布が狭い範囲に揃ったリポソームを効率よく調製することができる。濾過操作は、必要であれば繰り返し実施される。この押出し濾過法については、例えばBiochim. Biophys.Acta 557巻,9ページ(1979)に記載され
ている。
このような「押出し」操作を取り入れることにより、リポソームの粒径は、先のインキュベーションによる効果と相まって、その分布が比較的狭い範囲に落ち着くように揃えられる。本発明者らは上記サイジングに加えて、医薬化合物の内包率が上昇することを見出した。
第1工程において脂質量を通常のケースよりも多く使用した場合、形成されるリポソームは既に報告されているような1枚膜(非特許文献1)ではなく多重層膜が多い。上記の
押出し濾過により、多重層膜からなるリポソームにおいても、脂質膜の再構成を含む膜構造の再構築および整粒化が起きて、2枚〜10枚膜からなるリポソームが生成していると推測される。本発明の条件下で製造されたリポソームは、多重層膜のものが多く存在しており、これが本工程の濾過操作の間に、多重層膜の外殻層が破壊されて剥がれたり、あるいはリポソームの膜が破壊され、膜断片どうしが接合して再度リポソーム構造を構成するものと考えられる。
このような処理を行なうことにより、実質的にエタノールなどの有機溶媒系の溶解助剤を用いなくても、封入物質のリポソーム内への内包率が向上するとともに、リポソームを微細粒子化することができる。さらに、残存する溶解助剤により膜強度が低下するおそれもないため、リポソームの保存安定性に優れる。
・第4工程
本発明による製造方法の第4工程は、得られた上記混合液を115〜140℃、好ましくは118〜123℃、より好ましくは121℃で蒸気滅菌する工程である。これによって無菌調製品が
得られる。リポソーム水性分散液中に薬物が高濃度で存在しても、実際には濃度勾配に従いリポソーム膜内に浸透し、さらにリポソームに内包されるには時間がかかり、特に水溶
性の薬物では、容易に膜内に浸透しない。そこで蒸気滅菌、すなわち加圧加熱処理することにより、リポソーム膜を浸透する薬物のリポソームへの内包化が促進される。
本工程の前に、上記のインキュベーションおよび加圧濾過の処理を行なった場合、必要であれば、薬物がリポソーム水性分散液中に高濃度で存在するように、さらに薬剤液を当該水性分散液に追加して混合してもよい。粉体のリポソームを調製した場合には、粉体のリポソームを薬剤液に添加して両者を接触させ、混合して充分に分散させればよい。なお、水性分散液に緩衝剤を用いる場合には、後述するように水溶性アミン系緩衝剤が好ましい。
特に40〜65℃の範囲に転移温度を有するリン脂質を含む場合には、転移に伴って脂質膜の流動性が高まるために、薬物の内包率の上昇がさらに促進される。
蒸気滅菌としては、前記リポソーム水性分散液を、所定条件下で加熱加圧処理することが望ましい。このような処理は、市販のオートクレーブ装置を使用し、製剤の最終工程で行なうことが好ましい。
本工程における処理条件は、リポソームの懸濁液に含有されるリポソームの形態、粒子径分布、内包率等により適宜選択されるが、
温度115〜118℃、圧力0.17〜0.19MPaの場合は、30〜45分間、
温度121〜124℃、圧力0.21〜0.23MPaの場合は、15〜30分間、
温度126〜129℃、圧力0.24〜0.26MPaの場合は、10〜15分間、
温度132〜135℃、圧力0.29〜0.31MPaの場合は、3〜10分間、
の条件で行なうことが望ましい。
この加熱加圧処理は、連続的であってもよく、間欠的であってもよい。間欠的に処理する場合には、累積時間が上記処理時間となるように行なうことが好ましい。
濃縮操作を加える必要がある場合には、さらに限外濾過、遠心分離、ゲル濾過などの方法により、リポソーム内に内包されなかった薬物を除去するとともに濃縮することができる。本発明の方法では、薬物が内包されたリポソームの水性分散液を前記の第2工程または第3工程の後などにおいて、限外濾過を行なうことにより濃縮する。限外濾過は、通常の限外濾過膜および装置を使用して行なうことができる。
限外濾過法による濃縮を第4工程の前に実施してもよく、この場合にはエクストルーダなどを用いる押出し濾過のための濃縮操作の意味をもつ。また、リポソームの水性分散液を濃縮して容量を減らしてからリポソームを凍結乾燥させて、粉末形態のリポソームを効率よく得ることもできる。
これらの工程によりリン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ステロール類のモル比が100/60〜100/90、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ポリエチレングリコール基を有するリン脂質のモル比が100/5〜100/25であり、脂質膜が2〜10枚膜で構成されるリポソー
ムが少なくとも70%を占めていることを特徴とするリポソーム含有製剤が得られる。
次の工程を経て作製されるリポソームは、リポソーム膜で囲まれた閉鎖空間には液体が充填されていない空のリポソームであり、このようなリポソームも、本発明に包含される。
(i)圧力容器内で45〜60℃、10〜30MPaの条件下、超臨界二酸化炭素、リポソーム膜構成成分および薬剤液もしくは水を混合して懸濁液を得る工程、
(ii)次いで、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、リポソーム粒子が分散された水性分散液を調製する工程、ならびに
(iii)該リポソーム粒子および該水性分散液に存在する水を除去して粉体とする工程、
により形成され、該リポソーム膜構成成分として、PEG基を有する脂質ならびに40〜65℃
の範囲に転移温度のあるリン脂質が含まれていることを特徴とするリポソームである。
リポソーム膜構成成分として、PEG基を有する脂質ならびに40〜65℃の範囲に転移温度
のあるリン脂質については、上記のとおりである。同様に水を除去して粉体とする方法についても上記した。このような「空」リポソームは、長期間にわたる保存が可能であるため、リポソーム製剤を使用する直前に薬剤液で製剤を調製してもよい。
本発明の方法により製造されるリポソームは、実質的に2枚膜〜10枚膜、好ましくは2枚膜〜数枚膜(例えば3枚、4枚、5枚または6枚の膜)からなるリポソームである。このようなリポソームは、上記工程による製造方法において主成分として生成する。「実質的に」とは、本発明のリポソーム含有製剤において、2枚から10枚の膜で構成されるリポソームを、造影剤中に含まれる全リポソームのうち、少なくとも60%、好ましくは70%以上を占めることを意味し、85〜98%含むことがより好ましい。特に好ましくは、2枚膜〜数枚膜で構成されるリポソームが少なくとも70%、好ましくは75〜90%を占める。
これに対して1枚膜のリポソームは、リン脂質二重層が一層としてなる膜で構成されるリポソームである。これは凍結かつ断(Freeze fracture)レプリカ法による透過型電子
顕微鏡(TEM)による観察において、レプリカが概ね1つの層として認められるリン脂
質膜により構成されているものである。すなわち、観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものが1枚膜と判定され、2つ以上の段差が認められるものは「多重層膜」と判定される。2枚もしくは3枚の膜で構成されるリポソームは、1枚膜リポソームよりも相対的に強度が増している。
1枚膜リポソームは、脂質膜成分の溶媒として超臨界二酸化炭素を使用し、水による相分離方式による製造方法で生成することが知られ、特にエタノールを溶解助剤として用いると、さらに効率よく作製できる。これに対して従来のBangham法や逆相蒸発法(REV法)などによるリポソーム作製方法によると、極めて様々なサイズ、形態の多重層膜(multilamellar vesicles; MLV)からなるリポソームが、不均一な分布で形成される傾向にある。1枚膜または数枚膜のリポソームは、MLVと比較して、リポソームの投与量、換言すると投与脂質量が大きくならないという利点もある。
リポソーム膜の脂質膜枚数が少ない数枚膜のリポソーム、特に粒径の大きい1枚膜リポソームであるLUV(Large unilamellar vesicles)は、多重層膜リポソームに比べて、大きい内包容量を提供するという利点がある。反面、薬物の内包率が良好な1枚膜または数枚膜のリポソームでも、内包する化合物の重量が相対的に多過ぎるとリポソームの安定性は低下する。特にイオン強度の急激な変化には脆弱である傾向が観察されていた。本発明によるリポソームの作製では、主として2枚膜〜10枚膜構造のリポソーム、好ましくは2枚膜〜数枚膜のリポソームが効率よく形成されるように超臨界二酸化炭素法およびその後の整粒工程を改良している。さらにリポソーム膜にポリアルキレンオキシド基を有するリン脂質、ステロール類、グリコールなどを含有させて、脂質膜の安定化を図っている。その結果、作製されたリポソームは、塩ショックに対しても安定的であることが判明した。
リポソーム含有製剤の製造
本発明のリポソーム含有製剤は、リポソームの脂質膜に囲まれた水相およびリポソームを懸濁する水性媒体中に、医薬化合物とともに1種類以上の生理的に許容され得る製剤助剤を含有している。この製剤助剤は、製剤化に際し、医薬化合物とともに添加される物質であり、これまでの製剤技術に基づいて各種の物質が適宜使用される。具体的には生理学的に許容される各種の緩衝剤、エデト酸系キレート化剤(例えばEDTANa2−Ca、ED
TANa2など)、無機塩類、薬理的活性物質(例えば血管拡張剤、凝固抑制剤など)、さ
らには浸透圧調節剤、安定化剤、抗酸化剤(例えばα‐トコフェロール、アスコルビン酸)、粘度調節剤、保存剤などが挙げられる。pH緩衝剤として、水溶性アミン系緩衝剤および炭酸塩系緩衝剤が好ましく用いられる。好ましくは、アミン系緩衝剤およびキレート化剤をともに含めるのがよい。特に好ましくはアミン系緩衝剤であり、中でもトロメタモールが望ましい。キレート化剤は好ましくは、EDTANa2−Ca(エデト酸カルシウム2
ナトリウム)である。
上記溶液もしくは懸濁液の好ましいpH範囲は、室温で6.5〜8.5、さらに好ましくは6.8〜7.8である。好ましい緩衝液は、米国特許第4278654号に記載されているような負の温
度係数を有する緩衝液である。このタイプの緩衝液はオートクレーブ温度で低いpHを有し、このことがオートクレーブ中のリポソーム含有製剤の安定性を増し、他方、室温では生理的に許容されるpHに戻る。上記アミン系緩衝液はこのような要求を満たす性質を有している。したがって、注射用無菌製剤を製造するために、リポソーム調製物をオートクレーブ滅菌できることは好都合であり、貯蔵安定性なども確保できる。
また「水性媒体」とは、医薬化合物(例えばヨウド系化合物)、製剤助剤などを溶解または懸濁する水をベースとする溶媒である。その水は、滅菌した発熱物質を含まない水を使用する。リポソームを懸濁する水性媒体にも上記の医薬化合物および製剤助剤が含まれている場合、脂質膜内外の水相に医薬化合物および製剤助剤が実質的に同一の濃度で含有されている態様が好ましい。そうした場合には該膜内外で著しい浸透圧差が生じることはなく、リポソームの構造安定性が保たれる。
リポソーム製剤では、薬物の内包効率および内包の安定性に加えてリポソームの膜脂質の重量も考慮されねばならない。リポソームの膜脂質の重量が多くなると製剤の粘度が高くなる。リポソーム内への薬物(医薬化合物および製剤助剤)の封入量として、リポソーム内の水相中に、薬物がリポソーム膜脂質量に対して、1〜8、好ましくは3〜8、より好ましくは5〜8の重量比(g/g)で含有されていることが望ましい。リポソーム内に内包され
た全薬物の重量比が1未満であると、製剤は比較的多量の脂質を含有することとなり、製剤の粘度は増大し、薬物の送達効率が悪くなる。2枚膜もしくは数枚膜のリポソームは、内包容積および送達効率に優れるため有利である。反対に、リポソーム膜脂質に対する全薬物の封入重量比が8を超えると、リポソームは構造的にも不安定となり、リポソーム膜外への薬物の拡散、漏出は、貯蔵中または生体内に注入された後でも避けられない。
リポソーム含有製剤
上記の製造方法により製造されたリポソーム製剤は、本発明の範囲に含まれる。本発明のリポソーム含有製剤は、特に限定されず、造影剤、内服薬、皮膚外用剤、化粧料などに応用することができる。好ましい態様は、造影剤、特に造影物質が非イオン型ヨウド系化合物である造影剤である。本発明によるリポソームの製造方法は、通常の医薬品と比べてとりわけ投与量の多い造影剤用に最適な形態、構造を有するリポソームを製造できる方法である。そのようなリポソームでは、脂質膜が実質的に2枚膜〜数枚膜で構成されるために経時的な安定性および血中での安定性が改善されている。しかも造影物質の内包率を高めているため、造影剤としての造影性能も向上している。
医薬物質のDDSにおいては、リポソーム内に封入することにより副作用が軽減され、内包化により得る利益を一層増すために、内包されていない医薬物質を分離除去して製剤を調製することも多い。実際には、ほぼ100%の封入が達成されたリポソームが分離され
ても、その後、リポソーム懸濁製剤の封入成分が時間とともに漏失する例が報告されている(Betageri, G. V. Drug Devel. Ind. Pharm. 19, 531-539(1993))。またWO88/09165のリポソーム調製物のように、リポソーム内部のみにX線造影物質を有する造影剤を
オートクレーブ滅菌すると、造影物質がリポソーム外に漏れ出てしまうことが報告されている(特許文献2)。逆に内包化されていない遊離の造影物質を含む製剤の診断的意義が論じられた(特表平9-505821号公報)。これは造影剤独特の使用態様に基づくものである。
リポソームを含有する本発明の造影剤は、通常、リポソームに内包されていないヨウド系化合物もまた含む。このような造影剤にあっては、前記水溶性ヨウド系化合物の65〜80質量%が、リポソームに内包されていない形態にあり、リポソームを懸濁する水性媒体中に存在する。このことは、ヨウド系化合物を効率的に内包するとともに、これを担持するリポソームの経時的不安定化を防止するために、リポソーム内に封入されるヨウド系化合物の量はむしろ限定的としている。リポソーム内に封入されたヨウド系化合物の量は、リポソーム含有製剤に含まれる全ヨウド系化合物の5〜40質量%、好ましくは10〜35質量%
、より好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは15〜25質量%である。この内包化率はリポソーム粒子の細密充填の限界を下回るため、リポソームにおける造影物質の保持安定性は損なわれない。したがって、ヨウド系化合物をカプセル化したリポソームの浸透圧効果による不安定化を防止でき、リポソームにおける造影物質の経時的な保持安定性は向上する。このことは、リポソーム含有製剤でも製剤調製時におけるヨウド系化合物の内包率と使用時における内包率が実質的に同一に保たれることを意味し、その造影性能、品質管理の観点からも好ましい。
本発明のリポソームを含有する造影剤は、ヨウド含有量として、通常、想定される製剤の投与量、10〜300mLでは、40〜450mgI/mLであり、好ましくは70〜400mgI/mL、リポソ
ーム内への造影物質を内包する効率の観点からは 100〜350mgI/mL、特に好ましくは、150〜300mgI/mLの範囲である。また、前記脂質膜内外の水相に、造影物質および製剤助剤
がそれぞれ実質的に同一の濃度で含有されることが好ましい。
本発明によるリポソーム含有製剤は、全身または局所の投与いずれにも使用される。好ましくは注射剤または点滴注入剤として全身的に静注投与される。その投与量および濃度は、投与の目的、部位、医薬化合物の性質および患者の状態に依存し、必要に応じて調節することができる。このためリポソーム内外の医薬化合物の総量が、従来の投与量と同程度になるようにしてもよい。投与時の注入抵抗を少なくして患者の苦痛を軽減し、血管外漏出の危険を回避するため、本発明のリポソーム分散液の粘度(オストワルド法で測定した場合)は、37℃で、30 mPa・s以下、好ましくは25 mPa・s以下、より好ましくは15 mPa・s以下である。このような範囲内では実用上特に問題ないとされる(特許文献1)。
上記局所投与の一例として、上記の温度感受性リポソームをがんの温熱療法に使用する態様が挙げられる。この場合光線力学療法用物質を併用することも可能である。光線力学療法用物質としては、多数の公知の化合物が存在する。
[発明の効果]
本発明のリポソーム含有製剤には、内部に医薬化合物を内包するリポソームを含有し、該リポソーム膜構成成分には、PEG基を有する脂質および40〜65℃の範囲に転移温度のあるリン脂質が少なくとも含まれている。本発明による製造方法では、該リン脂質が融解する転移温度付近の温度で超臨界二酸化炭素法により作製され、25〜35%の高い内包率で
高濃度の薬物、すなわち医薬化合物および製剤助剤が安定的に内包されるため、その低用量化を可能とする。
本発明の造影剤は、毒性の高いクロル系溶剤およびその他の有機溶剤を全く使用せずに製造されるため、従来のリポソーム含有製剤に比べて毒性および副作用が軽減されている。
本発明を以下の実施例によって、具体的に説明する。しかし、実施例は実例を挙げて説明しようとするものであり、本発明の範囲を何ら限定しようとする意図のものではない。[評価]
<内包ヨウド量の評価>
試料(リポソーム分散液)を等張の食塩水で透析し、透析終了後にエタノールを添加してリポソームを破壊して、吸光度の測定によりリポソーム内のヨウド化合物量を求めた。
[実施例1]
造影剤の作成
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)552.6mgと、コレステロール221.1mg、PEG基を有するリン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)167.3mgの混合
物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を50℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、5.0 MPaであったオートクレーブ内の圧力を、オートクレーブ内の体積を減ずることにより、12 MPaにまで上げて、二酸化炭素を超臨界状態にした。撹拌しながら、脂質類を分散させた。さらに撹拌しながら造影剤溶液(イオヘキソール溶液323.6mg/mL(ヨウド含有量150mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩
酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)13mLを定量ポンプで連続的に注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。この試料を80℃まで加熱し、アドバンテック社製のポリカーボネート・フィルター、0.80μmで加圧濾過した。続いて、同様に80℃まで加熱し、アドバンテック社
製のポリカーボネート・フィルター、0.40μmで加圧濾過した。この試料に高濃度造影剤
溶液(イオヘキソール溶液798.1mg/mL(ヨウド含有量370mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩
酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)13mLを混合し、オートクレーブで121
℃、圧力0.21 MPaで15分間処理して、リポソーム含有造影剤を得た。この試料について内包ヨウド量を測定した。
[実施例2および3]
内包化合物および造影剤濃度を表1に記載したように変更すること以外、実施例1と同様にして、実施例2および3のリポソーム含有造影剤を得た。
[実施例4]
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)552.6mgと、コレステロール221.1mg、PEG基を有するリン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)167.3mgの混合
物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を50℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、5.0 MPaであったオートクレーブ内の圧力を、オートクレーブ内の体積を減ずることにより、12 MPaにまで上げて、二酸化炭素を超臨界状態にした。撹拌しながら、脂質類を分散させた。撹拌しながらさらに大塚蒸留水13mLを定量ポンプで連続的に注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、水を含有するリポソームの分散液を得た。この試料を80℃まで加熱し、アドバンテック社製のポリカーボネート・フィルター、0.80μmで加圧濾過した。続いて、同様に80℃まで加熱し、アドバンテック社製のポリカーボネート・フィルター、0.40μmで加圧濾過した。この試料を凍結乾燥して、粉体試料を得た。
得られた試料に高濃度造影剤溶液(イオヘキソール溶液798.1mg/mL(ヨウド含有量370mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca
)0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)13mLを混合し、オートクレーブで121℃、圧力0.21 MPaで15分間処理して、リポソーム含有造影
剤を得た。この試料について内包ヨウド量を測定した。
[比較例1]
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)552.6mgと、コレステロール221.1mg、PEG基を有する脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)167.3mgの混合物を
クロロホルムとエタノールと水との混合物(重量比 100:20:0.1)13mLをメスフラスコ
中で混合した。この混合物を湯浴(50℃)上で加熱し、溶液をロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させた。残渣をさらに2時間、真空乾燥して、脂質フィルムを形成させた。ここに、さらに上記造影剤溶液13mLを混合し、この混合物を50℃に加熱しながらミキサーで約10分間撹拌した。さらに撹拌することにより造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。この混合物を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のポリカーボネート・フィルター、0.80μmおよび0.40μmで加圧濾過してリポソーム含有造影剤を得た。
[比較例2]
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)552.6mgと、コレステロール221.1mg、PEG基を有するリン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)167.3mgの混合
物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を50℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、5.0 MPaであったオートクレーブ内の圧力を、オートクレーブ内の体積を減ずることにより、12 MPaにまで上げて、二酸化炭素を超臨界状態にした。撹拌しながら、脂質類を分散させた。撹拌しながらさらに造影剤溶液(イオヘキソール溶液517.7mg/mL(ヨウド含有量240mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩
酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)13mLを定量ポンプで連続的に注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。この試料を80℃まで加熱し、アドバンテック社製のポリカーボネート・フィルター、0.80μmで加圧濾過した。続いて、同様に80℃まで加熱し、アドバンテック社
製のポリカーボネート・フィルター、0.40μmで加圧濾過し、リポソーム含有造影剤を得
た。
[比較例3]
リポソームに内包させる造影剤種および濃度、造影剤中の脂質含有量を表1に記載のよ
うに変更すること以外は、比較例2と同様にして、比較例3のリポソーム含有造影剤を得た。
Figure 2006298843

Claims (8)

  1. (i)圧力容器内で45〜60℃、10〜30MPaの条件下、超臨界二酸化炭素、リポソーム膜構成成分および薬剤液もしくは水を混合して懸濁液を得る工程、
    (ii)次いで、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、薬物を内包するリポソーム粒子が分散された水性分散液を調製する工程、
    (iii)該水性分散液と、薬剤液とを混合する工程、ならびに
    (iv)得られた混合液を蒸気滅菌する工程
    を有することを特徴とするリポソーム含有製剤の製造方法。
  2. 前記工程(i)において、薬剤液を用いて混合した場合に、工程(iii)における薬剤液は、リポソーム内に内包された薬物の濃度よりも1.2〜10倍の高濃度であることを特徴とする
    請求項1に記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
  3. 前記工程(iii)において、薬剤液と混合する前に、該リポソーム粒子および該水性分散
    液に存在する水を除去して粉体としてから、得られた粉体と該薬剤液とを接触させてこれらを混合することを特徴とする請求項1に記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
  4. 前記リポソーム膜構成成分には、ポリエチレングリコール(PEG)基を有する脂質なら
    びに40〜65℃の範囲に転移温度のあるリン脂質が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
  5. 前記工程(ii)と(iii)との間に、さらに
    該リポソーム水性分散液を、前記リン脂質の転移温度〜(該転移温度+10)℃で、0.1〜3時間インキュベートし、次いで該水性分散液を50〜90℃、0.01〜0.8MPaの圧力下で濾過して、該リポソームを0.05〜0.8μmの平均粒径を有する粒子に整粒する工程
    を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
  6. 前記薬剤液が、ヨウド化合物もしくは抗がん性化合物またはその両方を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの製造方法により製造されたリポソーム含有製剤。
  8. (i)圧力容器内で45〜60℃、10〜30MPaの条件下、超臨界二酸化炭素、リポソーム膜構成成分および薬剤液もしくは水を混合して懸濁液を得る工程、
    (ii)次いで、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、リポソーム粒子が分散された水性分散液を調製する工程、ならびに
    (iii)該リポソーム粒子および該水性分散液に存在する水を除去して粉体とする工程、
    により形成され、該リポソーム膜構成成分として、PEG基を有する脂質ならびに40〜65℃
    の範囲に転移温度のあるリン脂質が含まれていることを特徴とするリポソーム。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012520898A (ja) * 2009-03-19 2012-09-10 マーヴァル バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド 画像化におけるコントラスト強調のための組成物および方法
JP5370153B2 (ja) * 2007-08-20 2013-12-18 コニカミノルタ株式会社 造影剤用化合物含有糖修飾リポソーム及び造影剤

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