JP4599849B2 - リポソーム含有製剤の製造方法、およびリポソーム含有製剤 - Google Patents
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Description
相蒸発法(REV法)などが用いられている。これらの方法では、素材としての安全性が高
く、生体内で適度な分解性を有するリポソームの中に封入物質を内包させているにもかかわらず、製造過程においてリポソーム膜を構成するリン脂質の溶剤として、有機溶媒を使用する必要がある。そのため、上記方法で得られるリポソーム含有製剤においては、有機溶媒の残留が避けられず、有機溶媒によりリポソーム膜が柔らかくなってしまうため、フィルターを通したり、熱をかけたりすると、膜の一部が壊れて中に封入した物質が漏れ出してしまう問題があった。
温度115〜118℃、圧力0.17〜0.19MPaの場合は、30〜45分間
温度121〜124℃、圧力0.21〜0.23MPaの場合は、15〜30分間
温度126〜129℃、圧力0.24〜0.26MPaの場合は、10〜15分間
温度132〜135℃、圧力0.29〜0.31MPaの場合は、3〜10分間
リポソームの懸濁液は、水溶性封入物質が内包されたリポソームが水性溶媒中に分散している懸濁液である。本発明に用いられるリポソームの懸濁液は、リポソーム量の水性溶媒量に対する量比は特に限定されない。
MLV)、粒径が大きい一枚膜のLUVからなるリポソーム(Large unilamellar veislcles)、粒径が50nm未満の小さい一枚膜のSUVからなるリポソーム(Small unilamellar
vesicles)が挙げられ、これらはリポソームの懸濁液中に混在していてもよい。
本発明で用いられる水溶性の封入物質としては、造影化合物、抗がん化合物、抗酸化化合物、抗菌化合物、抗炎症化合物、血行促進化合物、美白化合物、肌荒れ防止化合物、老化防止化合物、発毛促進化合物、保湿化合物、ホルモン剤、ビタミン類、色素、およびタンパク質類などが挙げられる。
ヨードフェニル基を少なくとも1個有する非イオン性ヨウド化合物が好適である。
〔2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−エチル〕−5−〔〔(2−ヒドロキシ−1−オキソプピル)−アミノ〕−2,4,6−トリヨード−1,3−ベンゼン−ジカルボキシアミド(イオパミドール);メトリザミドなどが挙げられる。
イオン性ヨウド化合物では、同一ヨウド濃度の造影剤を調製しても全体のモル数が低いために浸透圧をさらに低下させる利点がある。
また、リポソームの脂質膜構成物質は、リン脂質を主成分として含むものである。このリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン、スフィンゴミエリンなどで代表されるリン脂質である。卵黄、大豆その他の動植物材料に由来するリン脂質、それらの水素添加物、水酸化物の誘導体といった半合成のリン脂質、または合成加工品など、限定されることなく用いられる。リン脂質の構成脂肪酸も特に限定されることはなく、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のどちらでもよい。
チジルセリン(DSPS)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジミリストイルホスファチジン酸などを挙げることができる。
を使用する示差熱分析による。
)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−[1−(2、3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N、N、N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、
2、3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N、N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)およびN−[1
−(2、3−ジミリスチルオキシ)プロピル]−N、N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド(DMRIE)などが挙げられる。
またリポソームの懸濁液には、製剤助剤が溶解または分散していてもよい。「製剤助剤」とは、製剤化に際し封入物質とともに水性溶媒中に添加されるものであり、各種の物質が適宜使用される。具体的には生理学的に許容される各種の緩衝剤、キレート化剤、さらに必要に応じて、浸透圧調節剤、安定化剤、粘度調節剤、α‐トコフェロールなどの抗酸化剤、パラオキシ安息香酸メチルといった保存剤などが挙げられる。
本発明におけるリポソームの懸濁液の調製方法は、超臨界二酸化炭素と脂質膜構成物質との混合溶液に、封入物質を含有する水溶液を添加混合し、次いで超臨界二酸化炭素を排出することにより調製する方法(以下、超臨界二酸化炭素法)である。このような超臨界二酸化炭素法においては、実質的に溶解助剤を使用しないで懸濁液を調製する。
扱いやすく、そのガスは不活性であるため残存しても人体に無害であり、さらに高純度流体が安価で容易に入手できるなどの理由により好適である。本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の温度は、通常32〜100℃、好ましくは32〜80℃である。かかる温度範囲の中でも特に好適な温度は、使用するリン脂質の相転移温度またはそれより上である。圧力は、通常50〜500kg/cm2、好ましく
は90〜150kg/cm2、特に好ましくは100〜120kg/cm2範囲である。また、高温下に脂質類を水中で強制的に融和させる方法でないために、高温による脂質類の変性、たとえばリン脂質が加水分解してリゾ体を生じたり、不飽和成分の過酸化が起きるといった問題もない。
枚膜リポソームもまた混在していてもよい。ここにいう一枚膜リポソームとは、リン脂質二重層が実質的に1つの層としてなる膜(unilamellar vesicle)で構成されるリポソームである。ここで「実質的に」とは、以下の凍結かつ断(Freeze fracture )レプリカ法による透過型電子顕微鏡(TEM)観察において、レプリカが概ね1つの層として認められ
るリン脂質二重層によりリポソームが構成されていることをいう。すなわち、観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものを一枚膜と判定し、2つ以上の段差が認められるものを「多重層膜」と判定している。多重層膜からなるリポソーム(multilamellar vesicles; MLV)は、リポソーム膜の二分子膜を剥がしてその多重層をなるべく薄くすることが望ましい。一枚膜リポソームは、多重層膜リポソームに比べ、封入容量が大きく、さらに封入効率が高い。したがって、投与する脂質量も大きくならないため、一枚膜リポソームの割合が多い方が望ましい。
しくは0.15〜0.2μmの範囲まで孔径を小さくしていくことが望ましい。
巻,9ページ(1979)に記載されている。
本発明のリポソーム含有製剤の製造方法においては、前記リポソームの懸濁液を、所定の条件で加熱加圧処理する。この処理は、製剤の最終工程で行うことが好ましい。
温度115〜118℃、圧力0.17〜0.19MPaの場合は、30〜45分間、
温度121〜124℃、圧力0.21〜0.23MPaの場合は、15〜30分間、
温度126〜129℃、圧力0.24〜0.26MPaの場合は、10〜15分間、
温度132〜135℃、圧力0.29〜0.31MPaの場合は、3〜10分間、
の条件で行うことが望ましい。
本発明のリポソーム含有製剤は、封入物質がリポソーム膜構成成分に対して、1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜6の重量比となる量で内包されているリポソームを含有することが望ましい。
内であることが望ましい。このように、本発明のリポソーム含有製剤に含まれるリポソームは、その粒子径が小さいため、リポソームが所定の目的とする部位に到達しやすく、封入物質(薬効成分)により目的とする薬効を得ることができる。リポソーム含有製剤が、たとえば腫瘍部分の選択的撮像を目的として用いられる場合には、特に110〜130nmがより好ましい。リポソームの粒径が上記範囲であることにより、癌組織へ選択的にリポソームを集中させることが可能となる。これは「EPR効果」として知られている。固形癌組織にある新生血管壁の孔は、正常組織の毛細血管壁窓(fenestra)の孔サイズ、30〜80nm未満に比べて異常に大きく、約100nm〜約200nmの大きさの分子でも新生血管壁から漏れ出る。すなわちEPR効果は、癌組織にある新生血管壁では、正常組織の微小血管壁より透過性が高いことによるものである。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。本発明は、かかる実施例によりなんら限定されるものではない。
商品名:オイバロミン150(コニカミノルタエムジー(株)製X線造影剤:イオパミド
ールを306.2mg/ml含有(ヨード含有量150mg/ml))
[実施例1]
水素添加大豆リン脂質(COATSOME NC-21:日本油脂(株)製)を95.8mg、PEG化リン脂
質(SUNBRIGHT DSPE 20H:日本油脂(株)製)を31.9mg、コレステロールを31.9mgを、エタノール1mlに溶解後、70℃に過熱したステンレス製の特製圧力容器に仕込み、約30分間
窒素ガスを吹き込んで、エタノールを除去した。その後、圧力容器の蓋をした。この中に、圧力50kg/cm2の液化二酸化炭素を圧力容器内に加えた後、圧力容器の体積を減少させることにより、二酸化炭素を超臨界状態にし、さらに容器内の内圧を120kg/cm2まで加圧し
た。圧力容器内をマグネティックスターラーにて攪拌しながら、10mlのオイバロミン150をHPLCの送液ポンプを利用し、1ml/minの流速で圧力容器内に注入した。
注入終了後、圧力容器内の二酸化炭素を約20分かけて徐々に抜き、常圧に戻した後、中の溶液を取り出した。得られた溶液の一部を生理食塩水1Lにて3回透析を行い、少量のエタノールを加えてリポソームを壊し、遠心分離後、分光光度計で242nmのイオパミドール
の吸収を測定することにより、リポソーム中に内包されていたイオパミドールの定量を行った。その結果、内包率が15%であることが分かった。この懸濁溶液を、80℃に加熱したエクストルーダーにて、孔径1μmの混合セルロースメンブランフィルターで3回、孔径0.45μmの混合セルロースメンブランフィルターで3回、孔径0.3μmの混合セルロースメンブ
ランフィルターで6回濾過した。得られたリポソーム含有製剤の粒径を、光散乱粒径測定装置(マルバーン社製、ゼータサイザー1000)にて測定したところ、平均粒径が212nmで
あった。
ジャム社製)に入れ、130℃に加熱した。温度センサーをトレースし、内温が129℃となった時点から10分間加熱を続けた。この間の内圧は0.26MPaであった。
℃の条件で保存し、1週間後、1カ月後、3カ月後に残りのバイアル瓶を開封し、それぞれ
内包率と平均粒径を測定した。
オートクレーブ加熱加圧処理の条件を、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてリポソーム含有製剤を調製した。さらに同様にして、内包率と平均粒径を測定した。
クロロホルム42mlに、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)86mgと、コレステロール38.4mgとを溶解した。この溶液に、ジイソプロピルエーテルを42ml加え、さらに、オイバロミン150を1.5ml加え、60℃に加熱した後、超音波を5分間かけエマルションを
作成した。得られたエマルションをロータリーエバポレーターにかけ、45℃にて約5mlに
なるまで濃縮した。この中に、オイバロミン150を3ml、純水を2ml加え、再度4mlになるまで濃縮し、さらにオイバロミン150を5.5ml、純水を2.5ml加え、再度8mlになるまで濃縮した。この後、純水にて10mlとした。このときのリポソームの内包率は、15%であった。
影剤)を調製した。この造影剤のリポソームの平均粒径は220nmであった。
ジャム社製)に入れ、130℃に加熱した。温度センサーをトレースし、内温が129℃となった時点から10分間加熱を続けた。この間の内圧は0.26MPaであった。
に使用することができる。
Claims (6)
- 超臨界二酸化炭素と脂質膜構成物質との混合溶液に、封入物質を含有する水溶液を添加混合し、次いで超臨界二酸化炭素を排出することにより調製されたリポソームの懸濁液を、以下のいずれかの条件で加熱加圧処理することを特徴とするリポソーム含有製剤の製造方法。
温度115〜118℃、圧力0.17〜0.19MPaの場合は、30〜45分間
温度121〜124℃、圧力0.21〜0.23MPaの場合は、15〜30分間
温度126〜129℃、圧力0.24〜0.26MPaの場合は、10〜15分間
温度132〜135℃、圧力0.29〜0.31MPaの場合は、3〜10分間 - 前記脂質膜構成物質には、転移温度を有するリン脂質が少なくとも含まれることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
- リポソームの懸濁液を加熱加圧処理する前に、リポソームの懸濁液を0.1〜0.4μmの孔径を有する濾過膜に通過させることを特徴とする請求項1または2に記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
- 濾過膜にリポソームの懸濁液を通過させる際の濾過容器の温度が、転移温度を有するリン脂質の転移温度以上であることを特徴とする請求項3に記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
- 封入物質が造影化合物、または抗がん性物質であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリポソーム含有製剤の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のリポソーム含有製剤の製造方法によって製造されたことを特徴とするリポソーム含有製剤。
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