JPWO2005102983A1 - 含フッ素アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

C2F5(CF2CF2)nCH2CH2OH(nは0以上の整数である)で示されるフルオロアルキルアルコールの混合物であって、n=3およびn=4のフルオロアルキルアルコールを合わせて85モル%以上含む混合物を用意し、これをアクリル酸化合物と反応させた後、未反応のC2F5(CF2CF2)nCH2CH2OHを除去することによって、不純物(即ち、C2F5(CF2CF2)nCH=CH2で示されるオレフィンおよびC2F5(CF2CF2)nCH2CH2OHで示されるアルコール)の含有量が少ない含フッ素アクリル酸エステルの混合物を得る。

Description

本発明は、不純物の少ない合フッ素アクリル酸エステルの混合物の製造方法に関する。
一般式(1)
25(CF2CF2)nCH2CH2OCOCR1=CH2 (1)
(式中、R1は水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、nは0以上の整数である)
で示される含フッ素アクリル酸エステルは、撥水撥油剤の有効成分となる含フッ素アクリレート系ポリマーの製造においてモノマーとして用いられる。このモノマーを製造する方法として、予てより様々な方法が提案されてきた。
例えば、日本国特公昭39−18112号公報および日本国特公昭48−30611号公報には、含フッ素アルキルハライドとカルボン酸のアルカリ金属塩とを、特定の溶剤中で反応させる方法が開示されている。日本国特公平4−16451号公報、日本国特公平4−16452号公報および日本国特公昭61−57813号公報は、含フッ素エステルを製造する方法を開示し、当該方法で得た含フッ素エステルがアクリル酸エステルに転化され得ることに言及している。また、日本国特開平9−59215号公報には、含フッ素アルキルハライドと特定のベタイン化合物とを反応させ、アルカリ処理することにより、上記式(1)で示される含フッ素アクリル酸エステルを製造する方法が開示されている。
含フッ素アクリル酸エステルを製造する別の方法として、フルオロアルキルハライドを含フッ素アルキルアルコールに変換した後、これを含フッ素アクリル酸エステルに転化する方法も知られている。例えば、日本国特開昭59−181239号公報には、含フッ素アルキルアルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とを濃硫酸または発煙硫酸の存在下で反応させて、含フッ素アクリル酸エステルを製造する方法が開示されている。日本国特開平2−295948号公報には、含フッ素アルキルアルコールとメタクリル酸とを無水リン酸の存在下で反応させる方法が開示されている。米国特許第3,719,698号明細書には、アクリル酸またはメタクリル酸とトリフルオロ酢酸の無水物とを反応させて得られた化合物に、含フッ素アルキルアルコールを加えて、含フッ素アクリル酸エステルを生成する方法が開示されている。日本国特開昭59−117503号公報、日本国特開昭59−117504号公報、および日本国特開平3−163044号公報には、アクリル酸またはメタクリル酸ハライドを、含フッ素アルコールと、アルカリ金属水酸化物の水溶液中にて反応させることにより含フッ素アクリル酸エステルを生成する方法が開示されている。
いずれの方法においても、出発原料として、一般的にRfI(Rfはフルオロアルキル基である)で示されるフルオロアルキルアイオダイドが使用される。日本国特公昭39−18112号公報および日本国特公昭48−30611号公報に記載の方法では、これにエチレンが付加されて使用され、日本国特公昭61−57813号公報等に記載のようにフルオロアルキルアルコールを使用する方法では、これがアルコールの原料として使用される。RfIは、例えば、テロメリゼーション反応によって生成されるテロマーである。
日本国特公昭61−57813号公報等に記載のように、フルオロアルキルアルコールとアクリル酸化合物とを反応させる方法によって、上記式(1)で示されるモノマーを製造し、得られたモノマーを重合させると、生成物中には、ポリマー以外に、下記の式(2)で示されるアルコールが含まれることが分かっている。このアルコールは、撥水撥油剤の有効成分として機能するものではない。
25(CF2CF2)nCH2CH2OH (2)
また、撥水撥油剤のポリマーを構成する好ましいモノマーは、上記式(1)においてnが3以上のものであることが分かっている。nが3以上であるモノマーは、式(2)で示され、nが3以上であるフルオロアルキルアルコールを使用して製造される。通常、モノマー中には未反応のアルコールが含まれ、それはモノマーを重合させた後もポリマー中に残存する。ポリマーに残存するアルコールのうち、n=3であるもの、即ちC817CH2CH2OHは酸化されて、C715COOH(パーフルオロオクタン酸:略称PFOA)となり得る。パーフルオロオクタン酸については、最近の研究結果(EPAレポート"PRELIMINARY RISK ASSESSMENT OF THE DEVELOPMENTAL TOXICITY ASSOCIATED WITH EXPOSURE TO PERFLUOROOCTANOIC ACID AND ITS SALTS" (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoara.pdf))などから、環境に負荷を与える可能性があることが指摘されている。そのため、2003年4月14日にEPA(米国環境保護庁)は、PFOAに対する科学的調査を強化すると発表した。
上述のように高品質の製品を提供するという観点から、式(2)で示される化合物はポリマーから除去されることが好ましく、それによりPFOAが最終製品に含まれるのを避けることも可能となる。これらの化合物がポリマーに含まれないようにする一つの方法は、モノマー段階でこれらの化合物を精留等により除去する方法である。しかしながら、フルオロアルキルアルコールは一般にnが0以上である化合物の混合物としてエステル化に付されるので、モノマー中にはnの値が異なるアルコールの混合物が残存することとなる。アルコールはnの値によっては、重合に使用すべき含フッ素アクリル酸エステルの沸点と近接する。そのため、すべての不純物(即ち複数のアルコール)をモノマー段階で単純な操作により除去することは困難である。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、不純物の少ないポリマーが生成されることを可能にする、含フッ素アクリル酸エステルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、C25(CF2CF2)nCH2CH2OHで示されるフルオロアルキルアルコールであって、nが3および4のものを多く含む混合物を使用して含フッ素アクリル酸エステルを製造すると、上記課題が達成されることを見出した。即ち、本発明は、
式(1):
25(CF2CF2)nCH2CH2OCOCR1=CH2 (1)
(式中、R1は水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、nは0以上の整数である)
で示される含フッ素アクリル酸エステルの混合物の製造方法であって、
(A)式(2):
25(CF2CF2)nCH2CH2OH (2)
(式中、nは0以上の整数である)
で示されるフルオロアルキルアルコールの混合物であって、n=3およびn=4のフルオロアルキルアルコールを合わせて85モル%以上含む混合物を得る工程;
(B)工程(A)で得たフルオロアルキルアルコールの混合物をアクリル酸化合物と反応させて、含フッ素アクリル酸エステルを含む混合物を得るエステル化工程;ならびに
(C)工程(B)で得た混合物に含まれる、上記式(2)で示されるフルオロアルキルアルコールの混合物の割合を低減させる工程
を含む製造方法を提供する。
ここで、「含フッ素アクリル酸エステルの混合物」とは、式(1)におけるnの値が異なる2以上のエステルを含む混合物を指す。通常、含フッ素アクリル酸エステルは、そのような混合物として得られるが、nの値が1つのみに特定された化合物として得ることも可能である。但し、nの値が1つのみに特定された化合物を得る場合にも、他のnのエステルを全く含まないことは考えられないことから、ここでは「混合物」という用語を使用している。同様に、本明細書において、化学式中に重合度に相当する「n」等の文字を含む化合物について「混合物」という用語は、nの異なる複数の化合物を含む意味において使用される。また、本明細書においては、nがk以上である化合物を総称するために「≧」の記号を用い、nがk以下である化合物を総称するために「≦」の記号を用いることがある。また、nが0である化合物(化合物は、具体的には、含フッ素アクリル酸エステル、フルオロアルキルアルコール等である)を含まない混合物は、nが1以上である混合物として特定され、そのような混合物を用いる又は製造することも本発明において可能である。
この製造方法は、C25(CF2CF2)nCH2CH2OHで示されるフルオロアルキルアルコールとして、主にn=3およびn=4であるものをエステル化工程で使用することを特徴とする。そのため、エステル化工程において反応せずに生成物中に残存するフルオロアルキルアルコールは、上記式(2)において、n=3およびn=4であるもの、即ち、C817CH2CH2OHおよびC1021CH2CH2OHとなる。これらのアルコールは、含フッ素アクリル酸エステルの沸点よりも有意に低く、精留により分離することが可能である。また、本発明の製造方法によれば、nが5以上である(即ち、n≧5の)式(2)で示される化合物が含フッ素アクリル酸エステルの混合物中に存在しない又は存在するとしても僅かである。このこともまた、本発明の製造方法により製造される含フッ素アクリル酸エステルの純度を向上させるのに寄与する。式(2)で示される、n≧5の化合物(特に式(2)で示されるn=5のアルコール)の沸点は、n=3および4の含フッ素アクリル酸エステルの沸点と近接しているために、精留によりこれらのエステルから分離することが難しく、最終的にポリマー中に不純物として残存する傾向にある。本発明の製造方法においては、そのような化合物がエステル化工程で使用する出発原料に存在しないために、ポリマー中の不純物をより低減することができる。
本発明の製造方法においては、C25(CF2CF2)nCH2CH2OHで示されるフルオロアルキルアルコールの混合物であって、n=3およびn=4のアルコールを合わせて85モル%以上含む混合物が調製され、これをエステル化する。n=3およびn=4のアルコールの割合が85モル%未満であると、nの値が小さい又はnの値が大きいフルオロアルキルアルコールが多く含まれることとなる。nの値が小さいフルオロアルキルアルコールから得られる含フッ素アクリル酸エステルは、撥水撥油剤として良好な性質を有するポリマーを形成しないため、それが多く含まれることは好ましくない。前述のように、nの値の大きいフルオロアルキルアルコールは、含フッ素アクリル酸エステルの沸点に近接する沸点を有する。したがって、このアルコールがエステル化されずに(即ち、未反応物として)エステル混合物中に残存すると、エステル混合物から分離しにくい不純物となる。
工程(A)は、n=3のフルオロアルキルアルコール又はn=4のフルオロアルキルアルコールのみが得られるように実施してもよい。尤も、C25(CF2CF2)nCH2CH2OHは、通常、nの値の異なる化合物の混合物として得られるために、この混合物から、nの値を1つに特定した混合物(即ち、例えば、n=3のもの(又はn=4のもの)を専ら含み、nが他の値であるものを分離できないほど僅かな量だけ含む混合物)を得るには、複雑な操作および設備が必要であり、経済的に不利である。本発明の製造方法は、n≦2のC25(CF2CF2)nCH2CH2OHおよびn≧5のC25(CF2CF2)nCH2CH2OHを除去する又は低減させることによって、混合物の形態のフルオロアルキルアルコールを使用しても、不純物が少なく、且つ有用な含フッ素アクリル酸エステルを得られるという点で、工業的に有利である。
本発明の製造方法において、工程(A)は、C25(CF2CF2)nCH2CH2Iで示されるフルオロアルキルアイオダイドの混合物であって、n=3およびn=4のものを合わせて85モル%以上含む混合物を、例えばアミド類および水と反応させる方法等によって、アルコール転化する工程として実施することが好ましい。n=3および4のものが多く含まれるフルオロアルキルアイオダイドの混合物をアルコール転化することによって、転化後のアルコールの混合物において、n=3および4のものが占める割合を大きくすることができる。あるいは、本発明の製造方法において、工程(A)は、C25(CF2CF2)nCH2CH2I(nは0以上の整数である)で示される化合物をアルコールに転化して、フルオロアルキルアルコールの混合物を得た後、この混合物を蒸留して、nが2以下であるフルオロアルキルアルコールおよびnが5以上であるフルオロアルキルアルコールの割合を低減させる方法に従って実施することが好ましい。即ち、工程(A)において、n=3および4のアルコールの割合を多くするための操作(具体的には蒸留)は、アルコール転化の前および後のいずれであってもよい。
本発明の製造方法において、工程(C)は、工程(B)で得られた混合物から、不純物となるアルコールを取り除く工程に相当し、目的物であるエステルの純度がより高い混合物を得る工程に相当する。本発明の製造方法において、工程(C)は蒸留工程であることが好ましい。前述のように、式(2)で示され、nが3および4であるフルオロアルキルアルコールの沸点は、目的物である含フッ素アクリル酸エステルの沸点よりも低いので、蒸留はこれらの混合割合が低減した混合物を得る効率的な方法であり、工業的な大量生産にも適している。
本発明はまた、上記本発明の製造方法で製造した含フッ素アクリル酸エステルの混合物を重合させることにより、重合体を製造する方法を提供する。本発明の重合体の製造方法においては、不純物の小さい出発原料(モノマー)が用いられるから、得られる重合体もまた不純物の少ないものとなる。
本発明の製造方法は、不純物の少ない含フッ素アクリル酸エステルの混合物を得ることを可能とする。不純物の少ないエステル混合物は、これを重合させて最終的に得られる製品(例えば撥水撥油剤)の品質を向上させる。また、不純物に由来するPFOAの生成を低減できる。
発明を実施するための形態
以下に、本発明の含フッ素アクリル酸エステルの混合物の製造方法を、工程ごとに説明する。
工程(A)では、C25(CF2CF2)nCH2CH2OHで示されるフルオロアルキルアルコールの混合物であって、n=3およびn=4のフルオロアルキルアルコールを合わせた混合割合の高い混合物が製造される。C25(CF2CF2)nCH2CH2OHの混合物は、常套の方法を用いて製造することができる。具体的には、例えば、C25Iをテロゲンとし、テトラフルオロエチレンをタクソゲンとするテロメリゼーション反応によってC25(CF2CF2)nIで示されるパーフルオロアルキルアイオダイドを製造し、これにエチレンを付加してC25(CF2CF2)nCH2CH2Iで示されるフルオロアルキルアイオダイドを生成し、このフルオロアルキルアイオダイドをアルコール転化反応に付すことによって、フルオロアルキルアルコールを製造することができる。テロメリゼーション反応、およびエチレン付加の方法は、それ自体公知であって、通常採用されている条件で実施することができる。C25(CF2CF2)nCH2CH2Iのアルコール転化反応もまた、それ自体公知であり、例えば、日本国特公昭52−8807号公報に記載されているように、フルオロアルキルアイオダイドをアミド類および水と反応させることによって実施される。したがって、ここでは、それらの方法についての詳細は省略し、フルオロアルキルアルコールの混合物において、n=3およびn=4のものの割合を高くするために必要とされる操作について説明する。
パーフルオロアルキルアイオダイドC25(CF2CF2)nIは、テロメリゼーション反応により得られるテロマーがそうであるように、通常、nの値が異なる化合物(即ち、n≧0)の混合物として得られる。そのような混合物にエチレン付加して得られるエチレン付加物C25(CF2CF2)nCH2CH2Iの混合物もまた、nの値が異なる化合物の混合物として得られる。工程(A)において、n=3およびn=4のフルオロアルキルアルコールが85モル%以上の割合で含まれる混合物を得るためには、アルコール化する前に、蒸留操作等を実施して、n≦2およびn≧5の化合物を取り除く必要がある。具体的には、
i)C25(CF2CF2)nIの混合物を蒸留に付して、n≦2およびn≧5のパーフルオロアルキルアイオダイドを取り除く、あるいは、
ii)エチレン付加を実施した後のエチレン付加物の混合物を蒸留に付して、n≦2およびn≧5のフルオロアルキルアイオダイドを取り除く
操作が必要である。
あるいは、アルコール転化前のこれらの操作に代えて、又はそれに加えて、
iii)アルコール化反応を実施して得られるC25(CF2CF2)nCH2CH2OHの混合物から、n≦2およびn≧5のフルオロアルキルアルコールを取り除く
操作が必要である。
上記i)の操作、即ち、n≧0のC25(CF2CF2)nIの混合物から、n≦2およびn≧5のパーフルオロアルキルアイオダイドの割合を低減させた混合物を得ることは、常套の蒸留を実施することによって、容易に行われる。具体的には、蒸留により、n≦2のパーフルオロアルキルアイオダイドを例えば塔頂から留出させ、n=3およびn=4のパーフルオロアルキルアイオダイドを精留塔のサイドから取り出すことにより、所望の目的混合物が得られる。その場合、n≧5のパーフルオロアルキルアイオダイドは、釜残液または缶出液として取り出される。あるいは、n≦2のパーフルオロアルキルアイオダイドを留出させてから、n=3およびn=4のパーフルオロアルキルアイオダイドを塔頂から取り出す方法によっても、所望の目的混合物を得ることができる。あるいはまた、精留塔を複数本つなげて、n数の小さいパーフルオロアルキルアイオダイドを順次除去して、最後の精留塔でn=3およびn=4のパーフルオロアルキルアイオダイドを留出させて取り出す方法によっても、所望の目的混合物を得ることができる。
パーフルオロアルキルアイオダイドの混合物の蒸留は、n≦2およびn≧5のパーフルオロアルキルアイオダイドの混合割合が、合わせて15モル%未満である混合物が得られるように実施することが好ましく、n≦2のパーフルオロアルキルアイオダイドの混合割合が13モル%未満であり、n≧5のパーフルオロアルキルアイオダイドの混合割合が2モル%未満となるように実施することがより好ましい。n≧5のパーフルオロアルキルアイオダイドから合成されるアルコールは、エステル混合物から分離しにくい化合物をもたらすため、この混合割合はできるだけ少ないことが好ましい。具体的な蒸留(一般的には精留)の条件は、塔底温度60〜140℃、塔内圧力0.5〜60kPa、理論段数5〜25段である。但し、どのような蒸留条件を採用するとしても、n≦2およびn≧5のパーフルオロアルキルアイオダイドが混合物中に僅かに存在することはある。そのような場合をも考慮して、上記において、混合物に占めるn≦2およびn≧5のパーフルオロアルキルアイオダイドの好ましい割合を規定していることに留意されたい。
フルオロアルキルアルコールの製造は、n=3のパーフルオロアルキルアイオダイド又はn=4のパーフルオロアルキルアイオダイドのみを用いて実施してもよい。尤も、C25(CF2CF2)nCH2CH2Iは、通常、nの値の異なる化合物の混合物として得られるために、nの値を1つに固定したパーフルオロアルキルアイオダイドを得るには、複雑な操作および設備が必要であり、経済的に不利である。
上記ii)の操作は、テロメリゼーション反応等により得たパーフルオロアルキルアイオダイドの混合物を蒸留等に付すことなく、これにエチレンを付加し、得られたフルオロアルキルアイオダイドC25(CF2CF2)nCH2CH2Iの混合物を蒸留等に付すことにより実施される。C25(CF2CF2)nCH2CH2Iの蒸留は、n≦2のフルオロアルキルアイオダイドの混合割合が13モル%未満であり、n≧5のフルオロアルキルアイオダイドの混合割合が2モル%未満となるように実施することがより好ましい。その理由は、先にi)の操作に関連して説明したとおりであり、エステル混合物から分離しにくいn≧5のフルオロアルキルアルコールを工程(B)に供給しないようにするためである。具体的な蒸留(一般的には精留)の条件は、塔底温度60〜140℃、塔内圧力0.5〜2kPa、理論段数10〜35段である。
上記iii)の操作は、アルコール化反応の前にn≦2およびn≧5の化合物を取り除く操作を実施せずに、またはその操作に加えて行われる操作であり、アルコール化反応により得られたC25(CF2CF2)nCH2CH2OHを蒸留することにより実施される。C25(CF2CF2)nCH2CH2OHの蒸留は、n≦2のアルコールの混合割合が13モル%未満であり、n≧5のアルコールの混合割合が2モル%未満となるように実施することがより好ましい。その理由は、先にi)の操作に関連して説明したとおりであり、エステル混合物から分離しにくいn≧5のアルコールを工程(B)に供給しないようにするためである。具体的な蒸留(一般的には精留)の条件は、塔底温度60〜140℃、塔内圧力0.5〜2kPa、理論段数10〜35段である。
工程(B)は、工程(A)で得たアルコールの混合物と、アクリル酸化合物とを反応させて、目的とする含フッ素アクリル酸エステルの混合物を得る工程である。アクリル酸化合物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸または2−ハロゲンアクリル酸(例えば2−クロロアクリル酸)である。工程(B)は、エステル化反応において常套的に採用されている条件下で実施してよい。具体的には、触媒に硫酸またはp−トルエンスルホン酸などの強酸を用い、反応温度を、60〜150℃、例えば100〜130℃として実施する。反応時間は、一般に、0.1〜10時間である。
上述のように、工程(B)では、アルコールの全部が反応することはなく、未反応物として、式(2)で示されるアルコールが一部残存する。工程(C)では、これらの未反応物の割合がより小さい混合物を得る操作が実施される。そのような操作は、前述のとおり、蒸留である。蒸留は、工業的に実施される場合には、通常、精留として実施される。以下、本発明の製造方法で採用される好ましい蒸留方法を説明する。
蒸留は、留分として得られる含フッ素化合物の総モル数に対して、式(2)で示され、nが0、1および2であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が実質的に0モル%、nが3であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が実質的に0モル%、nが4であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が0〜0.05モル%、nが5以上であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が0〜0.1モル%となるように、実施することが好ましい。即ち、蒸留は、含フッ素アクリル酸エステルの混合物に占める、フルオロアルキルアルコールの割合が小さくなるように実施することが好ましい。ここで、ある成分が「実質的に0モル%」であるとは、通常のガスクロマトグラフィーによって当該成分が検出されないことを意味し、その範囲において混合物中に当該成分がごく僅かな量で含まれてよいことに留意されたい。このような蒸留は、具体的には、塔底温度を60〜160℃、塔内圧力を0.5〜5kPa、理論段数を10〜35段にして実施される。
蒸留は、蒸留塔内で含フッ素アクリル酸エステルが重合することを防止するために、工程(C)で得た混合物に重合禁止剤を添加して実施することが好ましい。重合禁止剤として、例えば、ヒドロキノンまたはヒドロキノンモノメチルエーテルが添加される。これらの重合禁止剤を使用する場合には、蒸留塔内に酸素または酸素を含む気体(例えば、空気)を導入しながら蒸留を実施することが好ましい。酸素を導入すると、含フッ素アクリル酸エステルの重合がより抑制される。なお、工程(C)で使用する重合禁止剤は、ヒドロキノンまたはヒドロキノンモノメチルエーテルである必要は必ずしも無く、他の重合禁止剤であってもよい。
また、蒸留塔内で樹脂製のライニングを使用することが好ましい。また、蒸留塔内には樹脂製の充填物を充填することが好ましい。このように蒸留塔内に存在する部材を樹脂から成るものとすることによって、蒸留塔内部から金属が排除される。その結果、重合禁止剤の劣化が有効に防止され、したがって、蒸留中に含フッ素アクリルエステルが重合することをより有効に防止し得る。あるいは、樹脂に代えて、電極電位の高い金属を用いてライニングまたは充填物を構成してよい。
蒸留は、式(2)で示されるアルコールを蒸留塔の上部から取り出した後に、目的物である含フッ素アクリル酸エステルの混合物を上部から、又は釜残液もしくは缶出液として取り出す。留出させるアルコールの大部分は、n=3およびn=4であるC25(CF2CF2)nCH2CH2OHに由来するものであって、その沸点は低いから、塔底温度を上記範囲内のように低くしても、純度の高い含フッ素アクリル酸エステルの混合物を得ることができる。
これに対し、工程(A)において、n≧5のフルオロアルキルアルコールが十分に低減されない場合には、工程(C)において、蒸留工程に付す混合物にn=5のフルオロアルキルアルコールが含まれることとなる。特にn=5のフルオロアルキルアルコールの沸点はn=3の含フッ素アクリル酸エステルとn=4含フッ素アクリル酸エステルと沸点に近いために、このアルコールを除去するには理論段数を多くする必要があるという不都合がある。また、n≧5のフルオロアルキルアルコールから得られるn≧5の含フッ素アクリル酸エステルは沸点が高いために、n=3およびn=4の含フッ素アクリル酸エステルとともに目的物として取り出すには、塔底温度を高くすることが必要となる。塔底温度を高くすると重合が促進されるために、重合禁止剤を多く添加する必要が生じる。重合禁止剤の添加量が多くなると、それに由来する不純物が多くなるという不都合が生じる。このように、n≧5以上のフルオロアルキルアルコールの使用は、工程(A)の後に実施される蒸留工程の効率、および蒸留工程後に得られる目的混合物の品質の点からも好ましいものではない。なお、工程(C)は、蒸留工程として実施されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
工程(C)で得た混合物を重合工程に付すことにより、含フッ素アクリレート系ポリマーを得ることができる。重合は、常套的に採用されている重合条件を任意に採用して実施してよい。得られるポリマーは、不純物を少ない量で含むため、優れた品質を有する。得られるポリマーは、繊維製品、石材、フィルタ(例えば、静電フィルタ)、防塵マスク、燃料電池、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、ならびにプラスチック等の基材表面を処理する撥水撥油剤として有用である。また、得られるポリマーは、カーペット用の撥水撥油防汚加工剤としても有用である。
(実施例1)
25(CF2CF2)nCH2CH2OHで示されるフルオロアルキルアルコールの混合物を、C25(CF2CF2)nCH2CH2Iの混合物をアルコール化反応する方法で製造し、n=3のものを80モル%、n=4のものを20モル%含む混合物として得た。このフルオロアルキルアルコール混合物150g(310mmol)を、アクリル酸22.3g(260mmol)、トルエン50g、p−トルエンスルホン酸1.48g(7.78mmol)、およびヒドロキノン0.05gとともに、攪拌器を備えた300mlのガラス製反応器に入れて、水分を留去しながら4時間エステル化反応させ、表1に示す組成の反応混合物を得た。この反応混合物をスチルに入れ、トルエン、アクリル酸、未反応のアルコール、含フッ素アクリル酸エステル(n=3およびn=4)、ならびに高沸点物が、この順で留出されるよう、精留塔内の圧力およびスチル温度を、それぞれ0.3〜15kPaの範囲内および100〜160℃の範囲内で、留出させるべき化合物に応じて適宜選択して、理論段数10段の精留塔を用いて蒸留を実施した。その結果、トルエン、アクリル酸および未反応のアルコールを初留分としてカットし、高沸点物を後留分としてカットして得た、含フッ素アクリル酸エステルを主たる成分として含む留分として、表1に示す組成の蒸留後混合物を得た。表1において、反応混合物および蒸留後混合物の組成は、いずれもガスクロマトグラフィーにより測定した。
Figure 2005102983
表1に示すように、反応混合物に含まれていた不純物のうち、C817CH2CH2OH(n=3)および高沸点不純物は、蒸留によって取り除くことができ、その結果、高純度の含フッ素アクリル酸エステルの混合物を得ることができた。具体的には、不純物としては、C1021CH2CH2OH(n=4)が0.03モル%含まれているだけであった。本実施例において、含フッ素アクリル酸エステルの収率は、85mass%であった。
(実施例2)
エステル化反応に使用するアクリル酸の量を18.7gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、下記の表2に示す組成の反応混合物を得た後、蒸留を実施例1と同様に実施して、表2に示す組成の蒸留後混合物を、含フッ素アクリル酸エステルを主たる成分として含む留出液として得た。表2において、反応混合物および蒸留後混合物の組成は、いずれもガスクロマトグラフィーにより測定した。
Figure 2005102983
表2に示すように、実施例1と比較して、実施例2で得た反応混合物は、未反応のアルコールをより多く含んでいたが、蒸留によって、不純物の含有量が小さい高純度の含フッ素アクリル酸エステルの混合物を得ることができた。具体的には、不純物としては、C1021CH2CH2OH(n=4)が0.04モル%含まれているだけであった。本実施例において、含フッ素アクリル酸エステルの収率は、75mass%であった。
(実施例3)
フルオロアルキルアルコールの混合物として、表3に示す組成のものを166.1g(310mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、下記の表3に示す組成の反応混合物を得た。次いで、この反応混合物をスチルに入れ、実施例1と同様、トルエン、アクリル酸、未反応のアルコール、含フッ素アクリル酸エステル(3≦n≦7)、ならびに高沸点物が、この順で留出されるよう、精留塔内の圧力およびスチル温度を、それぞれ0.3〜15kPaの範囲内および100〜160℃の範囲内で、留出させるべき化合物に応じて適宜選択して、理論段数10段の精留塔を用いて蒸留を実施した。その結果、トルエン、アクリル酸および未反応のアルコールを初留分としてカットし、高沸点物を後留分としてカットして得た、含フッ素アクリル酸エステルを主たる成分として含む表3に示す組成の蒸留後混合物を得た。表3において、反応混合物および蒸留後混合物の組成は、いずれもガスクロマトグラフィーにより測定した。
Figure 2005102983
実施例3においては、n≧5のフルオロアルキルアルコールを含む混合物をエステル化させたため、得られた反応混合物においても未反応のn≧5のアルコールが残存した。本実施例においてn≧5のアルコールはほとんど除去できなかったものの、n≦4のアルコールの大部分を除去できたため、全体として不純物の含有量が小さい高純度の含フッ素アクリル酸エステルの混合物を得ることができた。具体的には、不純物としては、C1021CH2CH2OH(n=4)が0.03モル%、C1225CH2CH2OH(n=5)が0.04モル%、C1429CH2CH2OH(n=6)が0.01モル%、高沸点不純物が1.38%含まれていた。本実施例において、含フッ素アクリル酸エステルの収率は、84mass%であった
(比較例1)
フルオロアルキルアルコールの混合物として、表4に示す組成のものを178.6g(310mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、下記の表4に示す組成の反応混合物を得た。次いで、この反応混合物をスチルに入れ、実施例1と同様に精留を実施して、表4に示す組成の蒸留後混合物を、含フッ素アクリル酸エステルを主たる成分として含む留出液として得た。表4において、反応混合物および蒸留後混合物の組成は、いずれもガスクロマトグラフィーにより測定した。
Figure 2005102983
比較例1では、n≧5のアルコールの割合が高い混合物を使用したために、蒸留後混合物中のC1021CH2CH2OH(n=5)のアルコールの割合は、0.83モル%と高く、不純物の全体の含有量も17.22モル%と高かった。比較例1において、含フッ素アクリル酸エステルの収率は78mass%であった。
このように、本発明の方法によれば、不純物の割合がppmレベルにまで低減した含フッ素アクリル酸エステルの混合物を得ることができる。このように不純物の少ないモノマー混合物は、高品質のポリマーを生成するのに有用である。また、本発明の方法によれば、nの値が3および4である含フッ素アクリル酸エステルを高い割合で含み、nの値が2以下または5以上である含フッ素アクリル酸エステルの割合が低い混合物を得ることができる。前述のようにn=3および4の含フッ素アクリル酸エステルは、撥水撥油剤として有用なポリマーを生成するモノマーであるから、本発明の製造方法は、この点においてもポリマーの品質の向上に寄与する。
本発明の製造方法は、C25(CF2CF2)nCH2CH2OCOCR1=CH2の式で示される含フッ素アクリル酸エステルの混合物であって、n=3およびn=4のものを高い割合で含み、それ以外の化合物の占める割合が小さい混合物を得ることを可能にする。したがって、この製造方法で得た含フッ素アクリル酸エステルの混合物は、特に撥水撥油剤として有用なポリマーを生成するためのモノマーとして使用するのに適している。

Claims (8)

  1. 式(1):
    25(CF2CF2)nCH2CH2OCOCR1=CH2 (1)
    (式中、R1は水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、nは0以上の整数である)
    で示される含フッ素アクリル酸エステルの混合物の製造方法であって、
    (A)式(2):
    25(CF2CF2)nCH2CH2OH (2)
    (式中、nは0以上の整数である)
    で示されるフルオロアルキルアルコールの混合物であって、n=3およびn=4のフルオロアルキルアルコールを合わせて85モル%以上含む混合物を得る工程;
    (B)工程(A)で得たフルオロアルキルアルコールの混合物をアクリル酸化合物と反応させて、含フッ素アクリル酸エステルを含む混合物を得るエステル化工程;ならびに
    (C)工程(B)で得た混合物に含まれる、上記式(2)で示されるフルオロアルキルアルコールの混合物の割合を低減させる工程
    を含む製造方法。
  2. 工程(A)において得られる混合物中、式(2)で示され、nが0、1および2であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が12モル%未満であり、nが5以上であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が3モル%未満である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程(C)が、工程(B)で得た混合物を蒸留することにより実施される、請求項1に記載の製造方法。
  4. 工程(C)において、留分として含まれる全モル数に対して、式(2)で示され、nが0、1および2であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が実質的に0モル%、nが3であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が実質的に0モル%、nが4であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が0〜0.05モル%、nが5以上であるフルオロアルキルアルコールの混合割合が0〜0.1モル%となるように、蒸留を実施する、請求項3に記載の製造方法。
  5. 工程(A)が、C25(CF2CF2)nCH2CH2I(nは0以上の整数である)で示される化合物の混合物であって、n=3およびn=4のものを合わせて85モル%以上含む混合物をアルコールに転化することにより実施される、請求項1に記載の製造方法。
  6. 工程(A)が、C25(CF2CF2)nCH2CH2I(nは0以上の整数である)で示される化合物をアルコールに転化して得たフルオロアルキルアルコールの混合物を蒸留して、nが2以下であるフルオロアルキルアルコールおよびnが5以上であるフルオロアルキルアルコールの割合を低減させることにより実施される、請求項1に記載の製造方法。
  7. 式(1):
    25(CF2CF2)nCH2CH2OCOCR1=CH2 (1)
    (式中、R1は水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、nは0以上の整数である)
    で示される含フッ素アクリル酸エステルの重合体の製造方法であって、
    (A)式(2):
    25(CF2CF2)nCH2CH2OH (2)
    (式中、nは0以上の整数である)
    で示されるフルオロアルキルアルコールの混合物であって、n=3およびn=4のフルオロアルキルアルコールを合わせて85モル%以上含む混合物を得る工程;
    (B)工程(A)で得たアルコール混合物をアクリル酸化合物と反応させて、含フッ素アクリル酸エステルを含む混合物を得るエステル化工程;ならびに
    (C)工程(B)で得た混合物に含まれる、上記式(2)で示されるフルオロアルキルアルコールの混合物の割合を低減させる工程;ならびに
    (D)工程(C)で得た混合物を重合させる工程
    を含む製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により製造される、合フッ素アクリレートポリマー。

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