JPWO2005072976A1 - 熱転写保護シート、印画物、及び窓部材付き印画物 - Google Patents

熱転写保護シート、印画物、及び窓部材付き印画物 Download PDF

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Abstract

基材1上に剥離層2と被転写材への接着性を有するトップコート層3とがこの順に積層され、溶融型熱転写記録方式によって剥離層2及びトップコート層3を冷時剥離し、被転写材表面に転写する熱転写保護シート10である。剥離層2は、熱可塑性樹脂である第1樹脂と第1樹脂に非相溶な第2樹脂とを混合状態で含有する。第1樹脂がアクリル樹脂であり、第2樹脂がガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂である。また、第1樹脂と上記第2樹脂との配合比が、重量比で80:20以上99:1以下である。剥離層においては、第1樹脂中に第2樹脂が粒子状態で存在することになるため、剥離時の冷却が不十分な場合でも基材と剥離層との融着を抑制する。

Description

本発明は、基材上に剥離層とトップコート層とがこの順に積層された熱転写保護シート及びこれを用いて作製された印画物に関する。
免許証やクレジットカード等のカードに画像を記録する方式として、基材上にインク層等の着色層が形成された熱転写記録媒体を用いた熱転写記録方式が幅広く採用されている。熱転写記録方式は、溶融型熱転写記録方式及び昇華型熱転写記録方式に分類される。
例えば溶融型熱転写記録方式に用いられる熱転写記録媒体は、ポリエステルフィルム等からなる基材上に、融点又は軟化点の比較的低いワックスを主体としたインク層を形成した構造のものが主流であり、プリンタ内に設けられたサーマルヘッドの熱を利用することによって、上記インク層が溶融・軟化し、ラベル、紙、タグ等の被転写材に転写され、印字が行われる。
また、昇華型熱転写記録方式に用いられる熱転写記録媒体としては、ポリエステルフィルム等からなる基材上に、昇華性又は熱移行性染料を熱転写可能にコーティングしてなるインク層を持つものがあり、サーマルヘッドの熱を利用してインク層の昇華性又は熱移行性染料が被転写材に転写されて印字が行われる。
ところで、上記のような熱転写記録方式により形成された画像は、耐候性、耐擦過性、耐薬品性等の耐久性に劣るという問題がある。そこで、熱転写記録方式により形成された画像上に保護層を形成し、耐久性の向上を図る技術が提案されている。保護層は、基材上にトップコート層(保護層)が形成された熱転写保護シートと、画像が形成された被転写材とを重ね合わせ、サーマルヘッドから熱エネルギーを付与することにより、トップコート層やインク層を溶融又は軟化させた後、冷却・固化し、トップコート層を被転写材側へ転写することにより形成される。
一般的な熱転写保護シートにおいては、トップコート層の被転写材への転写性及び基材からの剥離性を向上させるために、基材とトップコート層との間に剥離層が形成されている(例えば、特許文献1等を参照。)。剥離層に用いられる材料についてはこれまでに多くの研究がなされているが、印字後の耐久性と基材に対する適度な剥離性とを兼ね備える材料として、アクリル系樹脂、中でもポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂が知られている。
ところで、溶融型熱転写記録方式は、加熱された熱転写保護シートが被転写材から引き剥がされるタイミングにより、熱時剥離と冷時剥離とに分けられる。
冷時剥離の溶融型熱転写記録方式においては、サーマルヘッドによる加熱から剥離までの時間を比較的長時間とすることにより、トップコート層及び剥離層を充分に冷却するという手法が採用される。サーマルヘッドによる加熱から剥離までの時間は、溶融型熱転写記録方式のプリンタ構造、すなわち、熱転写保護シートに熱エネルギーを付与するためのサーマルヘッドの発熱素子と、熱転写保護シートと被転写材との剥離動作を行う剥離部材との距離等によって決まる。
このとき、通常の適度な印字エネルギーにおいては、剥離層にアクリル樹脂等の基材から剥離し易い材料を用いていれば、サーマルヘッドによる加熱から剥離までの時間でトップコート層及び剥離層が充分に冷却されるため、剥離が容易に行われ、良質な印画物が得られる。
特開2003−127558号公報
しかしながら、連続印字を行うことによりサーマルヘッドが蓄熱したときや、高い印加エネルギー印字を行ったとき等には、熱転写保護シートが通常に比べて高温になるため、サーマルヘッドから剥離部材に至る間の冷却が不充分となる。
このとき、剥離層にアクリル樹脂等のガラス転移点の高い材料を主成分として含有させた場合には、余熱によって剥離層が基材に対して融着を起こす。したがって、剥離が重くなり、シワが発生する、基材が切断される等のいわゆるスティッキングを生じ、プリンタ動作が停止したり印字不良を起こす等のトラブルを発生させる。この問題は、剥離層に例えばPMMA樹脂の分子量の大きいものを用いた場合等にも、同じ傾向を示す。
剥離性を改善する対策としては、例えば基材と剥離層との間にシリコーン系樹脂等を用いた離型層等の新たな層を追加する手法等が提案されているが、この場合、熱転写保護シートの層数が増加するために製造工程が複雑となり、製造コストの上昇を招く等の不都合がある。
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、熱転写保護シートの層数を増加させることなく、印字後の剥離層の冷却が不充分な場合であっても基材と剥離層との融着を抑制することができる熱転写保護シート及びこれを用いた印画物を提供することを目的とする。
上述の問題を解決するために、本発明は基材と、前記基材上に配置された剥離層と、前記剥離層上に配置されたトップコート層とを有し、前記トップコート層の前記剥離層とは反対側の面を被転写材に押し当て、加熱すると、前記トップコート層が前記被転写材に接着し、前記トップコート層が前記被転写材に接着した状態で、前記基材を前記被転写材から剥離すると、少なくとも前記トップコート層の前記被転写材に接着した部分が前記被転写材上に残るように構成された熱転写保護シートであって、前記剥離層は互いに混合された第1、第2の樹脂を有し、前記第1樹脂は、熱可塑性のアクリル樹脂であり、前記第2樹脂は、前記第1樹脂に非相溶であって、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂であり、前記剥離層中の前記第1樹脂と、前記第2樹脂との配合比は、重量比で80:20以上99:1以下である熱転写保護シートである。
本発明は、熱転写保護シートであって、前記剥離層の厚さは、1.0μm以上3.0μm以下である熱転写保護シートである。
本発明は、熱転写保護シートであって、前記剥離層の厚さと、前記トップコート層の厚さの比率が1:2以上10:1以下である熱転写保護シートである。
本発明は、熱転写保護シートであって、前記剥離層と、前記トップコート層の間に配置された中間層とを有し、前記中間層は、セルロース系樹脂と、アクリル系樹脂と、ポリエステル系樹脂と、ポリビニルアルコールと、ポリビニルブチラールと、フェノキシ樹脂とからなる群より選択されるいずれか1種類の樹脂を含有する熱転写保護シートである。
本発明は、被転写材と、前記被転写材表面に形成されたインク層と、少なくとも前記インク層表面に配置された接着性のトップコート層と、前記トップコート層上に配置された剥離層とを有する印画物であって、前記剥離層は互いに混合された第1、第2の樹脂を有し、前記第1樹脂は、熱可塑性のアクリル樹脂であり、前記第2樹脂は、前記第1樹脂に非相溶であって、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂であり、前記剥離層中の前記第1樹脂と、前記第2樹脂との配合比は、重量比で80:20以上99:1以下である印画物である。
本発明は、ドット状の前記インク層が複数形成され、前記インク層の集合体で画像が構成された印画物であって、前記トップコート層は、前記各インク層表面と、前記インク層の間に位置する前記被転写材の表面に配置された印画物である。
本発明は、被転写材と、前記被転写材表面に形成されたインク層と、少なくとも前記インク層表面に配置された接着性のトップコート層と、前記トップコート層上に配置された剥離層と、前記剥離層の表面に密着配置された窓部材とを有する窓部材付き印画物であって、前記剥離層は互いに混合された第1、第2の樹脂を有し、前記第1樹脂は、熱可塑性のアクリル樹脂であり、前記第2樹脂は、前記第1樹脂に非相溶であって、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂であり、前記剥離層中の前記第1樹脂と、前記第2樹脂との配合比は、重量比で80:20以上99:1以下である窓部材付き印画物である。
本発明は、窓部材付き印画物であって、前記窓部材には可塑剤が添加され、前記トップコート層と前記剥離層の間には、前記可塑剤に不溶な中間層が配置された窓部材付き印画物である。
本発明は、窓部材付き印画物であって、前記窓部材は、塩化ビニルを主成分とし、前記窓部材には、フタル酸エステルと、脂肪酸エステルと、エポキシと、りん酸エステルと、グリセリン誘導体と、ポリエステルとからなる群より選択されるいずれか1種類の可塑剤が添加された窓部材付き印画物である。
本発明は、窓部材付き印画物であって、前記中間層は、セルロース系樹脂と、アクリル系樹脂と、ポリエステル系樹脂と、ポリビニルアルコールと、ポリビニルブチラールと、フェノキシ樹脂とからなる群より選択されるいずれか1種類の樹脂を含有する窓部材付き印画物である。
本発明に係る熱転写保護シートは、基材上に剥離層と被転写材への接着性を有するトップコート層とがこの順番に積層され、溶融型熱転写記録方式によって上記剥離層及び上記トップコート層が冷時剥離され、被転写材表面に転写される熱転写保護シートであって、上記剥離層が、熱可塑性樹脂である第1樹脂と、上記第1樹脂に非相溶な第2樹脂とを混合状態で含有し、上記第1樹脂がアクリル樹脂であり、上記第2樹脂が、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂であり、上記第1樹脂と上記第2樹脂との配合比が、重量比で80:20以上99:1以下であることを特徴とする。
互いに非相溶な2種類の樹脂を混合すると、配合比率によって様々なドメイン構造を形成するが、とちらか一方の樹脂(主成分)が他方の樹脂(添加成分)に対して圧倒的に多い場合には、主成分の相に添加成分がミクロな粒子状で分散して存在する、いわゆる海島構造を呈する。
本発明の熱転写保護シートは、剥離層が主成分である第1樹脂と、この第1樹脂に非相溶な第2樹脂とを混合状態で含有するので、第1樹脂中に第2樹脂が粒子状で分散して存在することになる。
このため、例えば連続印字によりサーマルヘッド等が蓄熱した場合や誤設定等による過剰な印字エネルギーで印字が行われた場合、さらには熱時剥離を行う場合等の、剥離時の冷却が不十分な場合においても、基材と剥離層との融着を抑制し、容易に剥離することができる。したがって、トップコート層の転写性を向上することができる。
この理由としては、以下のようなことが考えられる。
(1)剥離層が加熱されると剥離層中のミクロドメイン構造が溶融し、溶融状態で2相の混合が開始するが、これらの混合に過剰なエネルギーの一部が消費され、サーマルヘッド等からの熱エネルギーを減少させる。
(2)剥離の瞬間における冷却が不充分であっても、粒子状でありガラス転移点の低い第2樹脂が剥離層の凝集力を低下させる。
また、本発明に係る印画物は、基材上に剥離層及び被転写材への接着性を有するトップコート層がこの順に積層されてなる熱転写保護シートの上記剥離層及び上記トップコート層の少なくとも一部が、溶融型熱転写記録方式によって冷時剥離され、被転写材上に転写された印画物であって、上記剥離層が、熱可塑性樹脂である第1樹脂と上記第1樹脂に非相溶な第2樹脂とを混合状態で含有し、上記第1樹脂がアクリル樹脂であり、上記第2樹脂が、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂であり、上記第1樹脂と上記第2樹脂との配合比が、重量比で80:20〜99:1であることを特徴とする。
以上のような印画物は、熱可塑塑性樹脂である第1樹脂と上記第1樹脂に非相溶な第2樹脂とを混合状態で含有する剥離層を備えた熱転写保護シートからトップコートが転写されて形成されるので、剥離時における剥離層の冷却が不十分である場合であっても基材と剥離層との融着を抑制し、剥離層を容易に剥離することができる。したがって、画像上に保護層(トップコート層)が形成された印画物を比較的容易に得ることができる。
本発明の熱転写保護シートによれば、幅広い印字エネルギー領域において基材と剥離層との剥離が容易であるため、シワの発生、基材の切断等のスティッキングを抑制し、プリンタ動作停止等のない良好な印字を行うことができる。また、本発明によれば、基材と剥離層との剥離を容易とするにあたって新たな層を追加する必要がないため、層数の増加に起因する製造コストの上昇を抑えることができる。
また、本発明によれば、スティッキングの発生が抑制されて良好な印字を行うことが可能な熱転写保護シートを用いることにより、トップコート層が転写された印画物を比較的容易に得ることができる。
[図1]図1は本発明の熱転写保護シートの一例を説明する断面図である。
[図2]図2は本発明の熱転写保護シートの他の例を説明する断面図である。
[図3]図3は本発明の熱転写保護シートを用いて作成された印画物の一例を説明する断面図である。
[図4]図4は本発明の窓部材付き印画物の一例を説明する断面図である。
符号の説明
各図中、符号1は基材を示し、符号2は剥離層を示し、符号3はトップコート層(接着層)を示し、符号4はバックコートを示し、符号5は中間層を示し、符号10、16は熱転写保護シートを示し、符号15、25は印画物を示し、符号20は窓部材付き印画物を示す。
以下、本発明に係る熱転写保護シート及び印画物について、図面を参照しながら説明する。
本発明の熱転写保護シートは、例えば溶融型熱転写記録方式や昇華型熱転写記録方式等任意の記録方式で画像が形成された後の被転写材等の表面に、溶融熱転写方式で保護層を転写形式するためのものである。
図1に、本発明を適用した熱転写保護シートの一例を示す。この熱転写保護シート10は、フィルム状の基材1の一主面上に、トップコート層3の転写性を調節する剥離層2と、接着層として機能し被転写材側に転写されるトップコート層3とを面順次に備え、また、基材1の他主面上に、熱転写保護シート10の耐熱滑性を向上させるためのバックコート層(耐熱滑性層)4を備える。
剥離層2は、基材1の直上に設けられ、熱転写時においては熱エネルギーにより溶融して基材1から剥離し、トップコート層3の転写性を向上させるとともに、平時(非熱転写時)においては基材1及びトップコート層3に対し良好に接着する役割がある。剥離層2は、印字の際にはトップコート層3とともに相手側である被転写材表面へ転写される。
本発明では、剥離層2において特定種類の樹脂の混合物を用いる。すなわち、剥離層2は、熱可塑性樹脂である第1樹脂を主成分とし、この第1樹脂に対して非相溶な第2樹脂を添加成分として含有する。非相溶な異なる種類の樹脂を混合すると、配合比率によって様々なドメイン構造を形成するが、剥離層2においては、主成分である第1樹脂中に第2樹脂が粒子状態で存在している。
ここで、樹脂の非相溶性は、単一樹脂溶液同士を混合した場合に濁りが生じるが否かで見分ける方法や、単一樹脂溶液同士を混合した混合液を透明な基材上に塗布・乾燥し、顕微鏡で相分離を確認することにより見分ける方法があるが、本発明では後者の方法を樹脂の非相溶性を確認する手法として採用する。
具体的には、以下のように行うことができる。
(1)主成分である第1樹脂を溶剤に溶解させた溶液と、添加成分である第2樹脂を溶剤に溶解させた溶液とをそれぞれ作成する。
(2)上記溶液同士を、固形分比が重量比で第1樹脂/第2樹脂=90/10となるように混合し、充分に撹拌して観察用塗工液を調製する。
(3)上記観察用塗工液を透明ガラス板上に1.0μm以上2.0μm以下の乾燥厚となるように塗布する。
(4)ガラス板上に塗布・乾燥したサンプルを、光学顕微鏡により700倍の倍率で観察する。このとき、単一樹脂からなる塗布サンプルや、相溶する樹脂で調製した塗布サンプルにおいては、均一な相が確認されるのみであるが、非相溶の樹脂同士を混合した場合には、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができる。
上記溶液の調整用溶媒としては、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブチルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、エチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶媒等を挙げることができる。いずれにしても、前記第1樹脂と第2樹脂の双方を溶解することが可能な溶媒であることが好ましく、例えばMEK/トルエン=80/20(重量比)混合溶媒等が好適である。
剥離層2の主成分である第1樹脂としては、基材1に対する適度な剥離性と、転写後の印画物の耐久性とを兼ね備えることから、例えばアクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、転写後の印画物における耐擦過性を得る観点からは、第1樹脂は、ガラス転移点が50℃を超えるものであり、重量平均分子量が1万以上であることが好ましい。
具体的には、第1樹脂は、ポリメチルメタクリレートと、ポリエチレンメチルアクリレートと、スチレンアクリル共重合体とからなる群より選択されるいずれか1種類のアクリル樹脂を含有するものが好ましく、これらのアクリル樹脂のうち1種類のアクリル樹脂で第1樹脂を構成してもよいし、2種類以上のアクリル樹脂の混合物で第1樹脂を構成してもよい。
剥離層2の添加成分である第2樹脂としては、第1樹脂に比べてガラス転移点が低いもの、より具体的には、ガラス転移点が50℃以下である熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、特にポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリカプロラクトン系樹脂、エポキシ系樹脂等を用いることができる。第2樹脂のガラス転移点が50℃を超えると、剥離層2の冷却が不充分な場合の剥離性が不充分となるおそれがある。
また、剥離層2には、必要に応じて例えば公知のワックスや、無機フィラー・有機フィラー等のフィラー等を添加してもよい。
被転写材に画像を形成する工程について説明すると、画像は例えば熱転写記録方式によって被転写材上に形成される。
熱転写記録方式には、一般に加熱手段としてサーマルヘッドが用いられており、片面にインク層が配置された基材の、インク層とは反対側の面にサーマルヘッドの加熱面を押し当て、インク層を加熱しながらインク層表面を被転写材に接触させる。
インク層が染料インクで構成された場合は、加熱された部分の染料インクが昇華して被転写材に蒸着し、染料インクのインク層が形成される。インク層が顔料インクで構成された場合は、加熱された部分の顔料インクが溶融して被転写材に接着し、基材を被転写材から離すと、接着した顔料インクが他の部分から破断されて被転写材表面に残り、顔料インクのインク層が形成される。
サーマルヘッドは複数の発熱素子を有しており、発熱素子を選択して通電し、加熱面の所望位置を昇温させて、被転写材表面にインク層を形成すると、被転写材表面の所望位置にドット状にインク層が形成され、そのドット状のインク層の集合体で、文字や図形等の画像が構成される。
本発明の熱転写保護シート10は、溶融型熱転写記録方式により、被転写材の画像上に保護層を形成する。
画像上に保護層を形成する工程について具体的に説明すると、加熱手段を熱転写保護シート10のトップコート層3が配置された側の面とは反対側の面に押し当て、熱転写保護シート10のトップコート層3が配置された側の面を被転写材の画像が形成された側の面に接触させる。
加熱手段としては、例えば、サーマルヘッドを用いることが可能であり、該加熱手段により熱転写保護シート10に適当な印字エネルギーを付与して加熱すると、剥離層とトップコート層の加熱された部分(被加熱部分)は軟化又は溶融する。トップコート層3は軟化又は溶融によって接着性を発現する接着性材料で構成されているので、トップコート層3を被転写材に接触させた状態で加熱すると、トップコート層3の加熱された部分が被転写材に接着される。
サーマルヘッドのような加熱手段は、熱転写保護シートの所望領域だけを加熱することが可能なので、例えば、熱転写保護シート10の画像上に位置する領域上だけを加熱すると、トップコート層3は画像を構成する各インク層の表面と、被転写材のインク層とインク層の間に露出する部分の表面に接着するが、画像よりも外側の領域で露出する被転写材の表面には接着しない。
サーマルヘッドによる加熱を終了し、剥離層2とトップコート層3の被加熱部分が冷却固化した時も、トップコート層3の被加熱部分は、画像を構成する各インク層の表面と、被転写材のインク層とインク層の間に位置する部分の表面に接着した状態が維持されており、その接着力はトップコート層3を破断させるのに必要な力よりも強い。
従って、冷却後に基材1を被転写材11から引き剥がすと、トップコート層3の被加熱部分は他の部分から破断されて被転写材に接着されたまま残り(転写)、トップコート層3の他の部分は基材1と一緒に被転写材から離れる。
剥離層2とトップコート層3との間の接着力は、基材1と剥離層2との間の接着力よりも大きいので、トップコート層3の被加熱部分が転写されると、剥離層2の被加熱部分は基材1から剥離する。
剥離層2は、その内部に上述した海島構造が形成されることで、その凝集力が小さくなっており、剥離層2の被加熱部分が基材1から剥離される時、その被加熱部分は剥離層2の他の部分から破断され、トップコート層3の被加熱部分と一緒に被転写材上に転写され、被転写材上にトップコート層3の被加熱部分と、剥離層2の被加熱部分とを有する保護層が形成される。
図3の符号15は被転写材11上に保護層7が形成された本発明の印画物を示しており、この保護層7のトップコート層3は、各インク層14の表面と、被転写材11のインク層14とインク層14との間に位置する部分の表面に密着配置されている。
上述のような冷時剥離の溶融型熱転写記録方式においては、サーマルヘッドによる加熱から剥離までの時間を比較的長時間とすることにより、トップコート層3及び剥離層2を充分に冷却するという手法が採用される。
サーマルヘッドによる加熱から剥離までの時間は、例えば溶融型熱転写記録方式のプリンタを用いる場合、熱転写保護シート10に熱エネルギーを付与するためのサーマルヘッドの発熱素子と、熱転写保護シート10と被転写材との剥離動作を行う剥離部材との距離等によって決まる。
このとき、通常の適度な印字エネルギーにおいては、剥離層2の第1樹脂としてアクリル樹脂等の本来基材1から剥離し易い材料を用いていれば、サーマルヘッドによる加熱から剥離までの時間でトップコート層3及び剥離層2が充分に冷却されるので、剥離が容易に行われ、良質な印画物が得られる。
ところで、連続印字を行うことによりサーマルヘッドが蓄熱した場合や、意図的に高いエネルギーを付与して印字を行った場合、誤設定により渦剰な印字エネルギーを付与した場合等には、熱転写保護シート10が通常に比べて高温になるため、サーマルヘッドから剥離部材に至る間の冷却が不充分となり、トップコート層3及び剥離層2が余熱を持った状態で剥離が行われる。
このように、剥離時に剥離層2の冷却が不充分な場合であっても、本発明の熱転写保護シート10においては、剥離層2に特定の樹脂の混合物を用いているため、剥離層2の基材1への融着を抑制し、基材1から剥離層2及びトップコート層3を容易に剥離して被転写材側へ転写することができる。
したがって、シワの発生、基材の切断等のスティッキングが抑制されて良好な印字を行うことができ、また、プリンタ動作の停止等の不具合を抑制して、安定した転写を行うことができる。この理由としては、以下のようなことが考えられる。
(1)剥離層2を加熱すると、剥離層2中のミクロドメイン構造が溶融し、溶融状態で2相の混合が開始するが、これらの混合に渦剰なエネルギーの一部が消費される。このため、単一の樹脂材料を用いた場合に比べて、サーマルヘッドからの熱エネルギーが減少する。
(2)剥離の瞬間における冷却が不充分であっても、粒子状の第2樹脂が剥離層2の凝集力を低下させるので、例え剥離層2が基材1に融着したとしても、剥離層2で凝集破壊が起こる。従って、凝集破壊によって基材1と剥離層2との剥離が容易となる。
上述のように、本発明の熱転写保護シート10は、剥離時に冷却が不充分であっても剥離層2と基材1との剥離を容易とすることができるものである。しかしながら、印字エネルギーが通常の場合、すなわち、適正は冷時剥離が行われた場合においても剥離層2と基材1との剥離を容易とするためには、主成分である第1樹脂と添加成分である第2樹脂との配合比率を特定の数値範囲内とすることが好ましい。
具体的には、主成分である第1樹脂と添加成分である第2樹脂との配合比が、重量比で80:20以上99:1以下であることによって通常の印字エネルギーから高い印字エネルギーまでの広範囲にわたって、基材1からの剥離層2の剥離を容易とし、確実に良好な転写を行うことができる。
添加成分である第2樹脂の配合比が過剰であると、粒子状のミクロドメイン構造が維持できないために冷時の剥離を重くするおそれがあり、逆に第2樹脂の配合比が少なすぎると、剥離層2の冷却が不充分な場合の剥離性が不充分となるおそれがある。
また、本発明の熱転写保護シート10は、基材1と剥離層2との間に剥離性を向上するための層を追加する必要がないので、製造工程を簡略化でき、製造コストの低減を図ることができる。
剥離層2の厚みとしては、保護層としての機能と、箔切れ性や転写感度といった印字品質の観点から、1.0μm以上3.0μm以下であることがより好ましい。剥離層2の厚さが1.0μm未満であると、保護層としての機能が期待できなくなる。さらに、塗工時や印画時に上層が混ざり合って基材側へ突き抜けてしまうおそれがある。逆に、剥離層2が3.0μmを超えて過剰に厚い場合には、熱の伝達が悪くなって印画感度を悪化させるおそれがある。また、箔切れ性が悪くなり、ばりや面落ち等のトラブルの原因となる。
尚、「箔切れ性」とは、剥離層2の被加熱部分を剥離層2の他の部分から破断する時の破断性のことであり、「面落ち」とは剥離層2が基材1から脱落することである。
基材1としては、従来の熱転写記録媒体等に用いられているものを使用することができ、例えば、コンデンサ紙や硫酸紙のような紙からなる基材や、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックからなる基材等を好適に使用することができる。
トップコート層3には、被転写材と、被転写材の表面に印刷されたインクへの接着力を有する接着性材料を用いることが好ましい。印刷されたインクで被転写材の表面上にインク層が形成される場合には、トップコート層3はそのインク層表面に接着し、印刷されたインクが被転写材の表面から内部に吸収された場合には、トップコート層3は被転写材のインクが吸収された部分の表面に接着する。
トップコート層3にそのような接着力を付与する接着性材料には、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等を用いることができる。トップコート層3の厚みは特に制限されないが、実際の使用を考慮すると0.3μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
上述したように、剥離層2の膜厚は1.0μm以上3.0μm以下が好ましいので、剥離層の厚さと、トップコート層3の厚さとの好ましい比率は、1:2以上10:1以下である。
本発明の第2例の熱転写保護シート16、図2に示すように、剥離層2とトップコート層3との間に、後述する可塑剤に溶解しないバリア層である中間層5を設けることができる。
第2例の熱転写保護シート16も、図1に示した熱転写保護シート10と同様の工程でトップコート層3と剥離層2を被転写材に転写し、印画物を作成することができる。
次に、第2例の熱転写保護シート16を用いた窓部材付き印画物について説明する。
図4の符号20は本発明の窓部材付き印画物の一例を示しており、窓部材付き印画物20は第一、第二の窓部材21、22と、印画物25とを有している。
印画物25は被転写材11と、被転写材11の表面に配置されたインク層14とを有している。インク層14は、上記図3に示した印画物15と同様に、ドット状に形成され、インク層14とインク層14の間には被転写材11の表面がインク層14から露出しており、インク層14の表面と、インク層14とインク層14の間に露出する被転写材の表面にはトップコート層3が配置されている。従って、インク層14と、被転写材11のインク層14とインク層14との間の部分が配置された領域、即ち、画像12が形成された領域は、トップコート層3で覆われた状態になっている。
トップコート層3上には中間層5が配置されており、中間層5上には剥離層が配置され、保護層27が形成されている。
この保護層27は、図2に示した第2例の熱転写保護シート16の、トップコート層3が上記画像12が形成された領域に接触した状態で加熱された後、基材1が剥離されることで形成されており、基材1が剥離される時には、剥離層2と基材1との間の界面剥離、又は剥離層2内での凝集破壊が起こる。
従って、この保護層27では、中間層5はトップコート層3を覆っており、剥離層2は少なくとも中間層5の一部表面上に位置する。
第一、第二の窓部材21、22は、一部を除いてその縁部分が互いに貼り合わされてケース23が構成されており、印画物25は貼り合わされていない縁部分の開口からケース23内部に収容されている。
ここでは、第一、第二の窓部材21、22は透明にされているから、第一、第二の窓部材21、22を介して画像12を目視で観察することができる。
第一、第二の窓部材21、22には、柔軟性を付与するために可塑剤が添加されており、時間の経過や温度変化によってこの可塑剤が第一、第二の窓部材21、22の表面に滲みでる。
印画物25がケース23内部に収容された状態では、剥離層2の表面は窓部材(ここでは第一の窓部材21)に密着しており、印画物25を長時間ケース23内部に配置すると、剥離層2は第一、第二の窓部材21、22から滲み出る可塑剤に溶解してしまう。特に、剥離層2の膜厚が3μm以下と薄い場合には、その溶解が短時間で進行してしまうが、中間層5は可塑剤に不溶又は難溶解性の材料で構成されており、例え可塑剤が剥離層2を溶解したとしても、中間層5は可塑剤に溶解しないので、可塑剤は中間層5に浸透せず、トップコート層3側へ到達しない。
可塑剤がインク層14に到達すると、可塑剤によってインク層14に変色、溶解等の悪影響が生じる。特に、インク層14が染料インクのような可塑剤に溶解しやすいインクで構成された場合には、インク層14の溶解が甚だしいが、上述したように可塑剤は中間層5に浸透しないので、インク層14まで到達せず、インク層14に変色や溶解が起こらない。従って、本発明の窓部材付き印画物20は、印画物25がケース23内に長時間配置されても、インク層14が変色、溶解しないので、画像12の滲みや、画像の消失が起こらない。
第一、第二の窓部材21、22の構成材料は特に限定されないが、主成分として、例えば塩化ビニル樹脂を用いることができる。可塑剤は構成材料の主成分に応じて選択されるが、例えば、主成分が塩化ビニル樹脂の場合には、フタル酸エステル(例えばフタル酸ジオクチルやフタル酸ジブチル)と、脂肪酸エステルと、エポキシ(例えばエポキシ化大豆油やオクチルエポキシステアレート)と、りん酸エステルと、グリセリン誘導体と、ポリエステルとからなる群より選択されるいずれか1種類又は2種類以上の可塑剤を用いることができる。
また、第一、第二の窓部材21、22の構成材料に、着色剤や、難燃剤や、安定剤等の可塑剤以外の添加剤を添加することも可能であり、更に本発明の窓部材付き印画物には、窓部材に可塑剤が添加されない場合もある。
中間層5に用いる材料は、可塑剤に対して不溶なものであれば特に限定されるものではない。上述した可塑剤は極性溶媒に溶解しやすい樹脂には比較的吸収され難い傾向があるので、例えばセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、PVB(ポリビニルブチラール)、フェノキシ樹脂等の極性溶媒に溶解しやすい樹脂を用いることが好ましく、これらの樹脂のうち、いずれか1種類の樹脂を単独で中間層に用いてもよいし、2種類以上を混合して中間層に用いてもよい。
以上は、窓部材21、22で印画物25の両面を覆う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、窓部材を印画物25の画像12が形成された面だけに配置してもよいし、窓部材を画像12上だけに配置してもよい。窓部材の配置方法も特に限定されず、窓部材を剥離層表面に熱圧着法等で貼り付けても良い。
本発明の印画物15、25は、被転写材11の画像12上に、上述した保護層7、27が形成されたものであって、具体的には、免許証、クレジットカード、IDカード等がある。
本発明の熱転写保護シート10は、常法に従って作製することができる。すなわち、基材1上に、剥離層2形成用組成物をグラビアコーティング等によって形成し、さらに、その上にトップコート層3形成用組成物をグラビアコーティング等によって形成すればよい。
図2に示すような剥離層2とトップコート層3との間に中間層5を備える熱転写保護シート16を作製する際には、剥離層2形成用組成物を塗布した後に、中間層5形成用組成物を塗布し、それからトップコート層3形成用組成物を塗布すればよい。また、熱転写保護シートの製造方法は、上述の方法に限定されず、熱転写保護シートの材料等に応じて適当な方法を選択すればよい。
また、剥離層2とトップコート層3とを有する積層膜、又は剥離層2と中間層5よトップコート層3とを有する積層膜は、単独で基材1上に形成しても良いし、染料インク層や顔料インク層等のインク層と一緒に基材1上に形成しても良い。上述した積層膜とインク層が同じ基材1上に形成された熱転写保護シートを用いて印画物を形成する工程の一例について説明すると、熱転写保護シートをプリンターに装着し、そのプリンターのサーマルヘッドで被転写材にインク層を転写した後、インク層の転写に続いて、同じサーマルヘッドで積層膜の転写を行えば、インク層の転写と保護層の形成を連続して行うことができる。
上述のような熱転写保護シート10、16を用いることにより、例えば被転写材上にトップコート層3と、剥離層2とを有する保護層、又は、トップコート層3と、中間層5と、剥離層2とを有する保護層が形成された印画物15を得ることができる。
すなわち、熱転写保護シート10のトップコート層3側と任意の被転写材とを重ね合わせた状態で、溶融型熱転写プリンタのサーマルヘッド等により熱転写保護シート10の所望の領域に熱エネルギーを付与する。そして、剥離層2及びトップコート層3を冷却・固化させた後、溶融型熱転写プリンタの剥離部材等によって熱転写保護シート10を被転写材から引き剥がすことにより、熱転写保護シート10の基材1と剥離層2との界面で剥離が生じ、被転写材の所望の領域にトップコート層3及び剥離層2からなる保護層が転写された印画物を得ることができる。
このようにして得られる本発明の印画物の一例を図3に示す。図3の符号15は印画物を示しており、印画物15は被転写材11の表面に任意の画像12が形成され、この画像12上に、熱転写保護シート10から転写されたトップコート層3と、剥離層2とが、記載した順番に積層され、保護層7が形成されている。
被転写材11表面の画像12上に保護層7を配置することにより、耐擦過性、耐候性、耐薬品性等の耐久性を付与することができる。
印画物の被転写材11としては、種々のものを選択することができ、例えば普通紙、上質紙等の紙や、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等のプラスチックからなる被転写材等を好適に使用することができ、その形状や厚みについても特に限定されない。
また、被転写材11上に形成される画像12についても限定されず、例えば溶融型熱転写方式や昇華型熱転写記録方式による画像、電子写真画像、インクジェット画像等を挙げることができる。
なお、図3、図4においては、被転写材11の画像12が形成された領域のみにトップコート層3及び剥離層2が転写された構成を示したが、トップコート層3及び剥離層2の転写領域は任意であって、画像12とその周囲の部分、画像12を含む被転写材11の全面にトップコート層3及び剥離層2が転写されても構わない。
以上は、トップコート層3をインク層14表面と、被転写材11表面の両方に配置する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、トップコート層3をインク層14表面だけに配置してもよいし、被転写材11表面だけに配置してもよい。
また、インクが被転写材11の表面から内部に浸透している場合には、トップコート層3を、被転写材11のインクが吸収された部分(吸収部分)の表面だけに配置してもよいし、被転写材11の吸収部分の表面と、被転写材11の吸収部分と吸収部分の間の表面の両方に配置してもよい。
トップコート層3がインク層14の表面だけに配置される場合には、剥離層2や中間層5もインク層14上だけに配置され、トップコート層3がインク層14の表面と、被転写材11の表面の両方に配置されるときには、剥離層2や中間層5もインク層14上と、被転写材11上の両方に配置される。
また、トップコート層3が上記吸収部分の表面だけに配置される場合には、剥離層2や中間層5も吸収部分の上だけに配置され、トップコート層3が吸収部分の表面と被転写材11の表面の両方に配置される場合には、剥離層2や中間層5も吸収部分上と被転写材11上の両方に配置される。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
〔熱転写保護シートの作製〕
<サンプル1>
剥離層形成用塗工液を、以下のように作製した。第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてポリエステル樹脂(ユニチカ社製、商品名「エリーテルUE3230」)を用い、これらの第1、第2樹脂を重量比で95/5となるように溶媒(MEK/トルエン=80/20(重量比)の混合溶媒)に溶解し、固形分20重量%の剥離層形成用塗工液を調整した。
この剥離層形成用塗工液を、裏面に耐熱滑性層が塗布形成された基材表面に、#5のコイルバーを用いて塗布・乾燥し、乾燥時厚みが1.0μmの剥離層を形成した。
耐熱滑性層は、酢酸セルロース(ダイセル化学工業社製、商品名「L−70」)9重量部と、シリコーンオイル(東レダウコーニング・シリコーン社製、商品名「SF8410」)1重量部の混合物を、基材の剥離層が形成される側とは反対側の面にコイルバーで1.0μmの乾燥厚となるように塗布後、乾燥し形成した。
また、ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、商品名「エリーテルUE3380」)を、溶媒であるMEKに溶解して調製したトップコート層形成用塗工液を、剥離層上に塗布・乾燥することにより、乾燥時厚みが1.5μmである接着層(トップコート層)を形成し、サンプル1の熱転写保護シートを得た。
なお、サンプル1の剥離層に用いた2種類の樹脂について、単一樹脂溶液同士を混合した混合液を透明な基材上に塗布・乾燥し、顕微鏡で相分離を確認することにより相溶性を観察した。この結果、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル2>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてポリエステル樹脂(ユニチカ社製、商品名「エリーテルUE3215」)を用い、これらを重量比で99/1となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル3>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてポリアミド樹脂(富士化成社製、商品名「TPAE−12」)を用い、これらを重量比90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル4>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてEVA樹脂(住友化学社製、商品名「スミテートRB−11」)を用い、これらを重量比で90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル5>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR60」)を用い、第2樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡社製、商品名「バイロン650」)を用い、これらを重量比90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル6>
剥離層を構成する第1樹脂としてポロメチルメタクリレート/ポリエチレンメチルアクリレート(MMA/EMA)(藤倉化成社製、商品名「アクリベースMH−145」)を用い、第2樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡社製、商品名「バイロンGK330」)を用い、これらを重量比で90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル7>
剥離層を構成する第1樹脂としてスチレンアクリル共重合体(積水化学社製、商品名「エスレックP−595」)を用い、第2樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡社製、商品名「バイロン550」)を用い、これらを重量比で90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル8>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてアクリル系樹脂(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR105」)を用い、これらを重量比で90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル9>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂を用いなかったこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。
<サンプル10>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてポリエステル樹脂(ユニチカ社製、商品名「エリーテルUE3230」)を用い、これらを重量比70/30となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル11>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてポリエステル樹脂(ユニチカ社製、商品名「エリーテルUE3380」)を用い、これらを重量比で95/5となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。尚、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル12>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡社製、商品名「バイロン200」)を用い、これらを重量比で95/5となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂からなる相の中に粒子状の第2樹脂の相を確認することができ、第2樹脂は第1樹脂に対して非相溶であることがわかった。
<サンプル13>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてエポキシ系樹脂(東都化成社製、商品名「YDF2004」)を用い、これらを重量比で90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂と第2樹脂とのミクロ相分離が見られず、第2樹脂は第1樹脂に対して相溶性を示すことがわかった。
<サンプル14>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてポリカプロラクトン系樹脂(ダイセル化学工業社製、商品名「EA1443」)を用い、これらを重量比90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂と第2樹脂とのミクロ相分離が見られず、第2樹脂は第1樹脂に対して相溶性を示すことがわかった。
<サンプル15>
剥離層を構成する第1樹脂としてポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、商品名「ダイヤナールBR80」)を用い、第2樹脂としてアクリル系樹脂(藤倉化成社製、商品名「FK2P−0102」)を用い、これらを重量比で90/10となるように配合したこと以外は、サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。なお、サンプル1と同様の手法で剥離層の樹脂の相溶性を観察したところ、第1樹脂と第2樹脂とのミクロ相分離が見られず、第2樹脂は第1樹脂に対して相溶性を示すことがわかった。
<サンプル16>
サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。ただし、剥離層の厚さを0.5μmとした。
<サンプル17>
サンプル1と同様にして熱転写保護シートを得た。ただし、剥離層の厚さを3.5μmとした。
サンプル1〜サンプル17の剥離層に用いた第1樹脂の重量平均分子量Mw及びガラス転移点Tgを表1に、第2樹脂の重量平均分子量Mw(ポリエステルの分子量に関しては数平均分子量Mn)及びガラス転移点Tgを表2にそれぞれ示す。また、サンプル1〜サンプル17の剥離層の組成及び樹脂の相溶性、剥離層及び接着層の厚さについて、表3に示す。
Figure 2005072976
Figure 2005072976
Figure 2005072976
〔印字評価〕
以上のように作製したサンプル1〜サンプル17の熱転写保護シートについて、印字テストを行った。トップコート層及び剥離層を転写する被転写材としては、0.75mm厚のポリ塩化ビニル製ガードを用いた。用いたプリンタは、Datacard社製の商品名「Datacard Select 2 AIT」(ヘッド抵抗1789Ω)であり、サーマルヘッドによる溶融転写を行う。印字エネルギー条件を下記表4に示す。
Figure 2005072976
以上の条件で印字を行い、結果について評価した。評価基準は下記の通りである。
〔評価基準〕
<標準条件(通常パワー)印字>
○:剥離ムラやカスレ等が無く、良好な印画物を得られたもの。
△:若干、剥離にムラがあるものの、転写可能なもの。
×:リボン切れ(基材1の切断)や被転写物への融着で、プリンタの動作不良となったもの。
<高パワー印字>
高パワー条件1:通常の連続印字の蓄熱状態や、設定間違いで高パワーがかかってしまう状態を想定。
高パワー条件2:条件1よりも厳しい条件。設定ミス等により、高パワーで連続印字を行ってしまった場合等を想定。
○:リボン切れや融着が無く、良好な印画物が得られたもの。
△:印画物に僅かな熱シワや剥離ムラが見られたもの。
×:リボン切れや被転写物への融着で、プリンタの動作不良となったもの。
<判定(通常パワー状態から高パワー状態へかけての印字品質安定性)>
◎:通常パワーから非常に高パワーな領域まで、良好に印画可能
○:非常に高いパワーになった場合は、催かに発生するが、ほとんどのエネルギー域で問題なく印字可能。
○△:若干の高パワー状態や蓄熱等では、全く問題のない印字が得られる。
△:若干のパワー上昇や蓄熱で印字品質が劣ってくるが、プリンター動作には支障をきたさない。
×:印字パワーの上昇や蓄熱で、破断や融着が懸念される。または通常パワーでも印字ができない。
評価結果を下記表5に示す。
Figure 2005072976
尚、上記表5中の「−」は未測定を示す。
表5から明らかなように、サンプル1〜サンプル8の熱転写保護シートは、標準条件及び高パワー条件1のいずれにおいても良好な結果を示し、特にサンプル1、2、4、6においては、高パワー条件2の場合であってもリボン切れや被転写材への張り付き等の不都合がなく、極めて良好な結果を示した。
これに対して、アクリル系樹脂のみを用いたサンプル9は、標準条件では印字可能であるが、高パワー条件で印字を行うと剥離不良を引き起こした。また、第2樹脂の第1樹脂とのミクロ相分離が観察されないサンプル13〜サンプル15においても、高パワー条件で剥離を容易とするという効果を得ることはできなかった。
また、サンプル10は、添加成分である第2樹脂の配合量を過剰としたため、ミクロドメイン構造が粒子状を維持できなくなり、冷時剥離が重くなり、通常条件下での印字不良を引き起こした。
さらに、サンプル11及びサンプル12は、第2樹脂としてガラス転移点がそれぞれ60℃及び67℃である樹脂を用いた例である。これらの場合は通常条件においては印字可能であったが、高パワー条件で剥離を容易とする効果が不十分
であった。また、サンプル16は、剥離層の厚さが薄い例であるが、この場合には、剥離ムラや剥離不良が観察された。一方、剥離層の厚さが厚いサンプル17では、箔切れ不良が発生した。
以上の結果から、本発明の熱転写保護シートにおいては、剥離層の組成が第1樹脂に非相溶な第2樹脂とを含有することが必要であることがわかる。特に、本発明の効果を確実に得る観点から、第1樹脂と第2樹脂との配合比率を重量比で80:20以上99:1以下の範囲内とすること、剥離層の厚さを1.0μm以上3.0μm以下とすることが好ましく、また、添加成分である第2樹脂としてガラス転移点が50℃以下のものを用いることが好ましいと判明した。

Claims (10)

  1. 基材と、前記基材上に配置された剥離層と、前記剥離層上に配置されたトップコート層とを有し、
    前記トップコート層の前記剥離層とは反対側の面を被転写材に押し当て、加熱すると、前記トップコート層が前記被転写材に接着し、
    前記トップコート層が前記被転写材に接着した状態で、前記基材を前記被転写材から剥離すると、少なくとも前記トップコート層の前記被転写材に接着した部分が前記被転写材上に残るように構成された熱転写保護シートであって、
    前記剥離層は互いに混合された第1、第2の樹脂を有し、
    前記第1樹脂は、熱可塑性のアクリル樹脂であり、
    前記第2樹脂は、前記第1樹脂に非相溶であって、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂であり、
    前記剥離層中の前記第1樹脂と、前記第2樹脂との配合比は、重量比で80:20以上99:1以下である熱転写保護シート。
  2. 前記剥離層の厚さは、1.0μm以上3.0μm以下である請求項1記載の熱転写保護シート。
  3. 前記剥離層の厚さと、前記トップコート層の厚さの比率が1:2以上10:1以下である請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の熱転写保護シート。
  4. 前記剥離層と、前記トップコート層の間に配置された中間層とを有し、
    前記中間層は、セルロース系樹脂と、アクリル系樹脂と、ポリエステル系樹脂と、ポリビニルアルコールと、ポリビニルブチラールと、フェノキシ樹脂とからなる群より選択されるいずれか1種類の樹脂を含有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の熱転写記保護シート。
  5. 被転写材と、前記被転写材表面に形成されたインク層と、少なくとも前記インク層表面に配置された接着性のトップコート層と、前記トップコート層上に配置された剥離層とを有する印画物であって、
    前記剥離層は互いに混合された第1、第2の樹脂を有し、
    前記第1樹脂は、熱可塑性のアクリル樹脂であり、
    前記第2樹脂は、前記第1樹脂に非相溶であって、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂であり、
    前記剥離層中の前記第1樹脂と、前記第2樹脂との配合比は、重量比で80:20以上99:1以下である印画物。
  6. ドット状の前記インク層が複数形成され、前記インク層の集合体で画像が構成された請求項5記載の印画物であって、
    前記トップコート層は、前記各インク層表面と、前記インク層の間に位置する前記被転写材の表面に配置された印画物。
  7. 被転写材と、前記被転写材表面に形成されたインク層と、少なくとも前記インク層表面に配置された接着性のトップコート層と、前記トップコート層上に配置された剥離層と、前記剥離層の表面に密着配置された窓部材とを有する窓部材付き印画物であって、
    前記剥離層は互いに混合された第1、第2の樹脂を有し、
    前記第1樹脂は、熱可塑性のアクリル樹脂であり、
    前記第2樹脂は、前記第1樹脂に非相溶であって、ガラス転移点が50℃以下の熱可塑性樹脂であり、
    前記剥離層中の前記第1樹脂と、前記第2樹脂との配合比は、重量比で80:20以上99:1以下である窓部材付き印画物。
  8. 前記窓部材には可塑剤が添加され、
    前記トップコート層と前記剥離層の間には、前記可塑剤に不溶な中間層が配置された請求項7記載の窓部材付き印画物。
  9. 前記窓部材は、塩化ビニルを主成分とし、
    前記窓部材には、フタル酸エステルと、脂肪酸エステルと、エポキシと、りん酸エステルと、グリセリン誘導体と、ポリエステルとからなる群より選択されるいずれか1種類の可塑剤が添加された請求項8記載の窓部材付き印画物。
  10. 前記中間層は、セルロース系樹脂と、アクリル系樹脂と、ポリエステル系樹脂と、ポリビニルアルコールと、ポリビニルブチラールと、フェノキシ樹脂とからなる群より選択されるいずれか1種類の樹脂を含有する請求項8又は請求項9のいずれか1項記載の窓部材付き印画物。
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