JP3038220B2 - 感熱転写記録体 - Google Patents

感熱転写記録体

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JP3038220B2
JP3038220B2 JP1280209A JP28020989A JP3038220B2 JP 3038220 B2 JP3038220 B2 JP 3038220B2 JP 1280209 A JP1280209 A JP 1280209A JP 28020989 A JP28020989 A JP 28020989A JP 3038220 B2 JP3038220 B2 JP 3038220B2
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哲生 奥山
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、感熱転写記録体に関する。
(従来の技術) 感熱転写記録体を被転写体へ転写するためには、一定
の圧力下でこの感熱転写記録体と被転写体とを感熱ヘッ
ド上で密着させ、この感熱ヘッドより加えられる熱エネ
ルギーにより感熱転写記録体の熱溶融性色材層(インク
層)を溶融し、被転写体上に転写する方法が採用されて
いる。この転写の際に、感熱転写記録体と被転写体とが
十分に密着していないと、密着不良部分では、転写が行
われなくなる。こうしたことから、密着性を十分高める
ために、被転写体として凹凸の少ない平滑なものを使用
する必要がある。しかしながら、一般に、被転写体とし
て用いられる紙は、植物繊維よりなるために凹凸が激し
く、それ自体を平滑化することは困難である。
このようなことから、被転写体として使用される紙に
はカレンダー処理、表面コーティング等の特殊な処理を
施して平滑性を改善したものが用いられている。この特
殊な処理を施した紙は表面に特有な光沢があり、しかも
手触りが悪い等の問題がある。このために、上記の特殊
な表面処理を施さない普通紙やベック平滑度が数秒から
十数秒のボンド紙でも良好な転写が可能な感熱転写体の
実用化が要望されている。
普通紙に転写可能な感熱転写記録体として、インク層
中に熱分解性発泡剤を含有させたもの(特開昭59−2018
93号公報)、インク層中に易揮発性有機液体を内包する
微粒子充填剤が含有させたもの(特開昭59−201894号公
報)、上下2層に分離され、下層に高沸点溶剤を含有さ
せたインク層を有するもの(特開昭60−239284号公
報)、インク層中に熱膨張性物質を含有させたもの(特
開昭60−236792号公報)等、転写時の熱エネルギーによ
ってインク層の紙が凹凸に応じるように変化し、転写効
率を向上させる提案がなされている。しかしながら、こ
れらの感熱転写記録体は成膜工程が複雑となり、しかも
溶剤の揮発等の安定性にも問題がある。
この他に、熱溶融性色材層の上に界面活性剤を含む熱
溶融性物質層を設けることにより、平滑度の高い紙から
平滑度の低い紙まで良好な転写を可能とした感熱転写記
録体が提案されている(特開昭60−234889号公報)。し
かしながら、この感熱転写記録体においては、熱溶融性
色材層中に低分子量のワックス成分を多く含有させてい
るために、この色材層上に高融点の熱溶融性物質層を塗
布する際に下の色材層が再溶解または再溶融してしま
い、安定して製造できない問題がある。
さらに、基材上に界面活性剤とワックス類からなるホ
ットメルト型剥離層を介してホットメルト性カーボン層
を設けた感圧感熱性カーボン複写紙が提案されている
(特開昭59−171691号公報)。しかしながら、この複写
紙は、剥離層中にワックス類を30〜50重量%含有してい
るために、複写紙製造時にワックス類を含有するカーボ
ン層が剥離層に混入するという問題がある。
(発明が解決しようとする課題) 上述したように、従来の感熱転写記録体は普通紙等の
表面の平滑性が劣る被転写体への転写が良好に行えない
問題がある。
本発明の目的は、表面平滑度の低い普通紙等に対して
も解像力の低下をきたすことがなく、良好な転写像を形
成することが可能な感熱転写記録体を提供することにあ
る。
[発明の構成] (課題を解決するための手段および作用) 本発明は、シート状の基材と、界面活性材および膜形
成材からなり前記基材上に設けられた剥離層と、この剥
離層上に設けられた熱溶融性層と、この熱溶融性層上に
設けられ、選択的に加熱、溶融されて被転写体に転写さ
れる熱溶融性色材層とを有する感熱転写記録体におい
て、前記熱溶融性の溶融粘度が前記熱溶融性色材層より
も大きく、かつ、前記剥離層の表面が粗面化しているこ
とを特徴とする感熱転写記録体である。ここで、溶融粘
度とは、融点より30℃だけ高い温度で溶融された際の物
質の粘度を表わす。
この感熱転写記録体は、前記基材と熱溶融性色材層と
の間に、界面活性剤および膜形成材からなり、表面が粗
面化している剥離層を備えている。この剥離層の表面を
粗面化するには、例えば、平均粒径が1〜6μmの微粒
子を剥離層中に分散することにより実現できる。
本発明の感熱転写記録の基材としては、例えば、各種
のプラスチックシート、プラスチックのラミネートシー
ト等を挙げることができる。
本発明の感熱転写記録体において、基材上に設けられ
る熱溶融性層は、103〜105cPの溶融粘度を有することが
好ましい。溶融粘度が103cP未満の場合は、粗い表面の
被転写体の凹部を橋渡しする効果がなく良好な転写がで
きず、一方、105cPを超える場合は、熱溶融性層の基材
からの剥離性が悪くなり、良好な転写が行えない。ま
た、この熱溶融性層は、0.5〜3μmの膜厚を有するこ
とが好ましい。膜厚が0.5μm未満の場合は、被転写体
の凹部を橋渡しする効果がなく良好な転写ができず、一
方、3μmを超えると冷転写体との接触が不十分とな
り、良好な転写が行えない。
この様な熱溶融性層は、所定の温度で溶融する有機物
質により形成される。この有機物質としては、感熱転写
記録体に使用できるワックスおよび樹脂であれば任意に
選択できる。このような有機物質としては、例えば、パ
ラフィンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワ
ックス、ライスワックス、蜜ろう、木ろう、ラノリン、
ポリエチレンワックス、マイクロクリスタルワックス、
アミドワックス、エステルワックス、酸化ポリエチレン
ワックス、ロジン、ロジンメチロール化アマイド、エス
テルガム、高級脂肪酸、高級アルコール等を挙げること
ができる。また、熱溶融性層の可撓性を高めるために、
これらの有機物質に更に低分子量の石油樹脂、ポリビニ
ルブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル重合体、エチ
レン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリ
ル酸エステル共重合体等を加えることができる。
この熱溶融性層は、その溶融粘度を増大させるための
微粒子を含有することもできる。この微粒子としては、
親水性のシリカ微粒子、疎水性のシリカ微粒子、コロイ
ダルシリカ、アエロジル、酸化亜鉛微粒子、チタンホワ
イト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、クレー、カ
オリン、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン等のチクソ
トロピックな性質を与える超微粒子を用いることができ
る。
さらに、本発明の感熱転写記録体の熱溶融性色材層
は、101〜5×103cPの溶融粘度を有することが好まし
い。溶融粘度がこの範囲外の場合は、粗い表面の被転写
体への良好な転写ができない。また、この熱溶融性色材
層は、2〜4μmの膜厚を有することが好ましい。膜厚
が2μm未満の場合は、被転写体への転写濃度が薄くな
り良好な転写ができず、一方、4μmを超えると溶融し
ずらくなり、良好な転写が行えない。
この様な熱溶融性色材層は、所定の温度で溶融する有
機物質および着色材から形成される。この熱溶融性色材
層を構成する第1の成分である有機物質としては、感熱
転写記録体に使用できるワックスおよび樹脂であれば任
意に選択できる。このような有機物質としては、例え
ば、パラフィンワックス、カルナバワックス、キャンデ
リラワックス、ライスワックス、蜜ろう、木ろう、ラノ
リン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタルワッ
クス、アミドワックス、エステルワックス、酸化ポリエ
チレワックス、ロジン、ロジンメチロール化アマイド、
エステルガム、高級脂肪酸、高級アルコール等を挙げる
ことができる。また、熱溶融性色材層の可撓性を高める
ために、これらの有機物質に更に低分子量の石油樹脂、
ポリビニルブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル重合
体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン
−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸
−アクリル酸エステル共重合体等を加えることができ
る。
また、この熱溶融性色材層を構成する第2の成分であ
る着色材としては、例えば、カーボンブラック、ファー
ストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエ
ロー、インドファーストオレンジ、イルガジンレッド、
カーミンFB、パーマネントボルドーFRR、ピグメント・
オレンジR、リソールレッド2G、レーキ・レッドC、ロ
ーダミンFB、ローダミンB、フタロシアニンブルー、ピ
グメントブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシ
アニングリーン、キナクリドン等の顔料や染料を必要に
応じて用いることができる。
本発明の感熱転写記録体において基材と熱溶融性色材
層との間に設けられる剥離層は、界面活性剤および膜形
成材からなる。この界面活性剤としては、剥離層に均一
に分散し、熱溶融性色剤層に対する剥離性を高めるもの
が好ましい。
この界面活性剤としては、膜形成材との相溶性が良好
であれば、水溶性のものも有機溶剤に可溶なものも用い
ることができる。水に良溶性の界面活性剤としては、ア
ルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸
塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスル
ホンコハク酸塩、アルキル燐酸エステル、ナフタレンス
ルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第4級
アンモニウム塩等を挙げることができる。また、有機溶
剤に可溶な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノー
ルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、
グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロ
ピレンブロックポリマー等を挙げることができる。
また、膜形成材としては、成膜性に優れたものであれ
ば任意の材料を用いることができる。この膜形成材の中
では、水溶性の膜形成材としては、ポリビニールアルコ
ール、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、カゼイン、
アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)等
が好適である。これらの水溶性の膜形成材は、剥離層の
耐湿性を高めるためにホルマール化、ブチラール化等の
疎水化処理を施すことも有効である。
また、有機溶剤に可溶な膜形成材としては、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル等
のアクリル酸エステルや、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸イソブチル等のメタクリル酸
エステルや、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニ
ルエステルや、塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデ
ン、弗化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビ
ニル類や、スチレンおよびその誘導体等のモノマーより
なるホモポリマー、または2種以上のモノマーよりなる
コポリマーが挙げられる。また、ポリカーボネート、ポ
リエステルカーボネート、ポリアミド、ポリエステル等
の縮合重合によって得られる熱可塑性樹脂およびエポキ
シ樹脂、イミド化合物、フェノール樹脂、メラミン樹脂
等の熱硬化性樹脂も好適に用いることもできる。なお、
これらの膜形成材は転写時の熱エネルギーにより溶融し
て基材から剥離することがないことが好ましい。
これらの界面活性剤と膜形成材との構成比率は、1:10
0〜80:20の範囲にすることが好ましい。界面活性剤の構
成比率が下限以下の場合は、熱溶融性色材層に対する剥
離機能が低下する虞があり、上限を越えた場合は、剥離
層の機械的強度が低下して剥離層が基材から剥離した
り、剥離層やこの上の熱溶融性色材層の形成に支障をき
たす虞がある。より好ましい構成比率は、10:90〜60:40
の範囲である。
本発明の感熱転写記録体においては、上記剥離層の表
面を粗面化するために、剥離層中に微粒子が含まれてい
る。この微粒子は、有機物、無機物のいずれのものでも
良い。有機物としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑
性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂でこの微粒
子を形成する場合には、ガラス転移温度または熱変形温
度が80℃以上のものを選択することが望ましい。この有
機物は、例えば、シリコーン樹脂微粒子、またはアクリ
ル酸イソピル、アクリル酸イソブチル等のアクリル酸エ
ステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチ
ル等のメタクリル酸エステルや、スチレンおよびその誘
導体等のモノマーの少なくとも1種を懸濁重合して得ら
れる樹脂ビーズ、或いは、これらのモノマーにジビニル
ベンゼン等の架橋剤を添加して3次元架橋するように懸
濁重合して得られる樹脂ビーズが好適である。また、無
機物としては、シリカ、アルミナ、タルク、グラファイ
ト、酸化鉄、四三酸化鉄、シラスバルーン等を挙げるこ
とができる。
この微粒子の平均粒径は1〜6μmの範囲とすること
が望ましい。この平均粒径が1μm未満の場合、この微
粒子により形成される剥離層の凸部の高さが低くなり、
剥離層上に形成される熱溶融性色材層に対する凸部の投
錨効果を十分達成することができず、一方、平均粒径が
6μmを越えると、熱溶融性色材層に対する凸部の投錨
効果が大きくなり過ぎて転写性を損なうばかりでなく、
この凸部に対応する転写すべき熱溶融性色材層が薄くな
るために熱溶融性色材層による転写の連続性が損なわれ
る。より好ましい平均粒径の範囲は、2〜5μmの範囲
である。また、粗大粒子や微少粒子の少ない粒度分布の
狭いものを使用することが望ましい。
この微粒子は、剥離層中で細密充填させて存在させる
と、この微粒子により形成される投錨効果が損なわれる
ばかりか、感熱ヘッド等の発熱素子により加えられる熱
エネルギーを十分に熱溶融性色材層に伝達することがで
きず、転写感度の低下要因となる。従って、この微粒子
による凸部は剥離層中に均一に分布するように微粒子を
設けることが望ましい。このためには、この微粒子は、
単独または複数個からなる互いに独立した粒子もしくは
粒子群として、基材上に10000μm2当り20〜2000個の割
合で存在させることが望ましい。
この微粒子の基材上への分散手段としては、例えば、
剥離層を形成するための被膜材料中にこの微粒子を界面
活性剤および膜形成材に対して10〜60体積%含まれる被
膜材料を用いて、この被膜材料を基材上に0.1g/m2〜2g/
m2の厚さとなるように塗布すれば良い。
熱溶融性色材層の上に形成される第2の熱溶融性層
は、透明または無色であって、溶融粘度が10〜5×103c
Pで膜厚が0.5〜1μmであることが好ましい。この第2
の熱溶融性層は、所定の温度で溶融する有機物質により
形成される。この有機物質としては、感熱転写記録体に
使用できるワックスおよび樹脂であれば任意に選択でき
る。このような有機物質としては、例えば、パラフィン
ワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、
ライスワックス、密ろう、木ろう、ラノリン、ポリエチ
レンワックス、マイクロクリスタルワックス、アミドワ
ックス、エステルワックス、酸化ポリエチレンワック
ス、ロジン、ロジンメチロール化アマイド、エステルガ
ム、高級脂肪酸、高級アルコール等を挙げることができ
る。また、熱溶融性層の被転写体への接着性を高める
に、これらの有機物質に更に低分子量の石油樹脂、ポリ
ビニルブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル重合体、
エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ア
クリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸−ア
クリル酸エステル共重合体等を加えることができる。さ
らに、この第2の熱溶融性層に、比較的透明性の高い体
質顔料、例えば、コロイダルシリカ、アエロジル、炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレ
ー、カオリン、ホワイトカーボン等を配合することがで
きる。
本発明によれば、基材と熱溶融性色材層との間に熱溶
融性色材層よりも大きな溶融粘度を有する熱溶融性層を
設けることにより、普通紙等の粗い表面の被転写体にも
良好な転写が行える。即ち、感熱転写記録体の熱溶融性
色材層としては、溶融粘度が低いほど転写の感度が高
く、熱転写専用紙等の表面が平滑な被転写体への転写性
は良好となる。ところが、電子写真に用いられる普通紙
の様に表面のフラネスの高い紙に転写する場合には、転
写された熱溶融性色材層が、被転写体表面の凹部を橋渡
しする様に、被転写体の表面に被着する必要がある。こ
のためには、転写される熱溶融性色材層は、その溶融粘
度が高い方が好ましい。しかし、熱溶融性色材層の溶融
粘度が高いと、溶融した熱溶融性色材層と被転写体との
密着性が低下してしまい、良好な転写が行えない。
そこで、本発明の感熱転写記録体では、被転写体と接
触する側に低溶融粘度の感熱溶融性色材層を設け、一
方、基材側には、この熱溶融性色材層に比較して高溶融
粘度の熱溶融性層を設けてある。この感熱転写記録体
に、感熱ヘッド上でプラテンロール等からの圧力と感熱
ヘッドからの熱エネルギーが加えられると、基材から熱
溶融性層と共に剥離した熱溶融性色材層は、被転写体に
接触している熱溶融性色材層が低溶融粘度であるために
容易に被転写体の表面の凹凸に応じて変形して被転写体
への接触点を増加して被転写体表面に被着すると共に、
基材側は熱溶融性層による高溶融粘弾性であるために被
転写体表面の凹部を橋渡しすることができる。その結
果、粗い表面の被転写体にも良好な転写が行える。
また、この感熱転写記録体は、基材と熱溶融性色材層
との間に界面活性剤および膜形成材からなる剥離層を備
えるために、転写時に、熱溶融性色材層の剥離性を更に
向上できる。即ち、剥離層の一方の成分として界面活性
剤を含むことによって、発熱素子からの熱エネルギーを
加えた際の剥離層上の熱溶融性色材層の被転写体への転
写性を良好にできる。
この剥離層中に所定の平均粒径を有する微粒子を含ま
せて、剥離層の表面をこの微粒子による凸部により粗面
化することにより、溶融粘度が熱溶融性色材層よりも大
きい熱溶融性層に対する凸部による投錨効果により、熱
溶融性色材層を剥離層上に確実に保持できる。その結
果、熱溶融性色材層を発熱素子によって加熱して溶融す
ると、剥離層の凸部が溶融して凸部の投錨効果は失わ
れ、剥離効果のみが作用する。このために、加熱された
部分のみが転写される、いわゆる“切れの良い”画像を
得ることができる。従って、剥離層による転写性の向上
と切れの良さとを両立できるため、被転写体に優れた転
写画像を形成できる。
さらに、粗い表面の被転写体への転写性を向上するた
めに低溶融粘度の感熱溶融性色材層を用いる場合、この
低溶融粘度の感熱溶融性色材層は感熱ヘッドの蓄熱によ
る尾引き等を生じやすいが、熱溶融性色材層の上に透明
もしくは無色の第2の熱溶融性層を設けることにより、
この蓄熱により透明もしくは無色の第2の熱溶融性層が
主に転写されるために、見掛上尾引きを防止することが
できる。また、この第2の熱溶融性層は、熱溶融性色材
層の保護膜としても機能するために、感熱ヘッドの押圧
による熱溶融性色材層の圧迫痕等も生ぜす、低溶融粘度
の熱溶融性色材層による地汚れ等の不具合を防止するこ
とができる。この様な作用をより良く発現させるために
は、第2の熱溶融性層の粘度は、熱溶融性色材層の粘度
よりもやや高い102〜5×103cPであることが望ましい。
(実施例) 以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明す
る。
(実施例1) 第1図に示すように、この感熱転写記録体(20)にお
いて、シート状の基材(21)の裏面には耐熱滑性を付与
するためのバックコート層(22)が形成されている。こ
の基材(21)の表面には、剥離層(23)が形成されてい
る。この剥離層(23)は、界面活性剤および膜形成材か
らなる被膜(23a)およびこの被膜(23a)に覆われた状
態で分散された微粒子(23b)で構成され、この微粒子
(23b)に対応する位置に凸部が形成されている。その
結果、この剥離層(23)の表面は、粗面化されている。
この微粒子(23b)の平均粒径は、2μmである。
この剥離層(23)の表面には、溶融粘度が15000cPで
膜厚が1μmの熱溶融性層(24)が形成されている。さ
らに、この熱溶融性層(24)の上には、溶融粘度が400c
Pで膜厚が4μmの熱溶融性色材層(25)が形成されて
いる。
この感熱転写記録体(20)は、以下の如く、製造し
た。まず、裏面にバックコート層を形成した厚さ3.5μ
mのポリエステルシートの基材の表面に、以下の組成の
剥離層組成物Cを、その中のシリコン樹脂からなる微粒
子の沈澱を防ぐために攪拌しながらチューブポンプで圧
送し、バーコータ(No.4)を用いて塗布、乾燥して、膜
厚0.6g/m2の剥離層を形成した。この剥離層を主走査型
電子顕微鏡により観察したところ、微粒子は単独または
5〜10個からなる粒子群として、剥離層中に分散してお
り、この微粒子に対応する位置に凸部が形成されている
ことが確認された。また、肉眼での観察では、微粒子に
よる凸部がマクロ的に均一に存在していた。
[剥離層組成物C] シリコーン樹脂微粒子 2重量部 (平均粒径2μm) (東芝シリコーン株式会社製の商品名トスパール 12
0) ウレタン樹脂エマルジョン 5重量部 (三洋化成株式会社製の商品名 パーマリン UA 15
0) ドデシルベンゼン 0.6重量部 スルホン酸ナトリウム イソプロパノール 20重量部 水 80重量部 次いで、以下に示す組成の熱溶融性層材料Cを加温し
たキシレン150重量部に溶解した。この溶液を加温下
で、上記の剥離層組成物Cを塗布したポリエステルシー
トの上にバーコータを用いて塗布した。この形成された
熱溶融性層の乾燥後の膜厚は1μmであった。また、熱
溶融性層の融点は75℃で、溶融粘度は1500cP(105℃)
であった。
[熱溶融性層材料C] ダイヤカルナPA30 40重量部 (三菱化成工業株式会社製の商品名) カルナバワックス1号 20重量部 PETROLITE WB−17 20重量部 ボンダイン8290 5重量部 EVAFLEX V577 10重量部 COK84 5重量部 次いで、以下に示す組成のワックスおよび樹脂からな
る有機物質を乳化して、固形分40重量%のワックスエマ
ルジョンCを調合した。
[ワックスエマルジョンC] マイクロワックス 190Y 20重量部 (モービル石油株式会社製の商品名) HNP10 40重量部 ヘキストワックスE 35重量部 EVAFLEX 410 5重量部 (三井・デュポンポリケミカル製の商品名) 次いで、調整したワックスエマルジョンCに以下の組
成の着色材等を添加し、ワックスエマルジョン塗液Cを
調整した。
[ワックスエマルジョン塗液C] ワックスエマルジョンC 125重量部 水性加工顔料 25重量部 (御国色素株式会社製の商品名 HI−ミクロン−Kエロー #6228) 弗素系界面活性剤 0.1重量部 (旭硝子株式会社製の商品名 サーフロン S−141) ラウリル硫酸ナトリウム 0.5重量部 イソプロパノール 10重量部 得られたワックスエマルジョン塗液Cを、前記ポリエス
テルシートの基材上の熱溶融性層の表面にバーコータを
用いて、塗布、乾燥して熱溶融性色材層を形成し、感熱
転写記録体を製造した。形成された熱溶融性色材層の乾
燥膜厚は4μmであった。また、この熱溶融性色材層の
融点は80℃で、溶融粘度は400cP(110℃)であった。
(実施例2) これらの感熱転写記録体は、実施例1の感熱転写記録
体の熱溶融性色材層上に、下記の第2の熱溶融性層材料
を用いて、バーコータにより塗布し、乾燥して形成した
第2の熱溶融性層を有する。形成された第2の熱溶融性
層の乾燥膜厚は0.5μmであった。また、この第2の熱
溶融性層の融点は85℃で溶融粘度は1000cP(115℃)で
あった。
[第2の熱溶融性層材料] ポリワックス655 50重量部 NX−B−05 35重量部 (野田ワックス株式会社製の商品名) EVAFLEX 45X 10重量部 (三井・デュポンポリケミカル株式会社製の商品名) テトラックス6T 5重量部 (日本石油化学株式会社製の商品名) AEROSIL 130 1重量部 (日本エアロジル株式会社製の商品名) 比較例1〜3 ポリエステルシートの基材の上に、熱溶融性層を設け
ずに、直接または剥離層を介して熱溶融性色材層を形成
した以外は、前記実施例1、2と同様に、比較例1〜3
として感熱転写記録体を製造した。
この様な、実施例1、2および比較例1〜3の感熱転
写記録体を8ドット/mmの感熱ヘッドを組込んだシリア
ルプリンタにより、ベック平滑度が30秒の電子写真用普
通紙に転写した。この時のボイド率(転写したインクの
面積/加熱した面積)および転写ドットの切れについて
3点評価を行った。その結果を図2に示した。
図2から明らかなように、本実施例1、2の感熱転写
記録体は普通紙への転写性とドットの切れ、即ち、ドッ
トへの忠実性が極めて良好であることが分かる。また、
実施例2の感熱転写記録体では、被転写体上での画像の
尾引きも見られず、感熱ヘッドによるインクリボンの押
圧に起因する地汚れも認められなかった。
この様に、本発明の感熱転写記録体では、基材上に溶
融粘度が大きな熱溶融性層を介して熱溶融性色材層が形
成されているので、感熱ヘッドによる加熱時に被転写体
に接する熱溶融性色材層は、溶融粘度が低いために被転
写体の表面の凹凸に応じて容易に変形でき、被転写体と
の接触面積を大きくできる。しかも、熱溶融性色材層の
下の熱溶融性層は溶融粘度が高いために被転写体の表面
の凹部の橋渡し効果が高い。従って、この感熱転写記録
体は、ラフネスの高い表面の粗い被転写体への転写が良
好にすることができる。
また、本発明の感熱転写記録体は、剥離層を構成する
界面活性剤による剥離効果を利用しているために、剥離
層の他の成分である膜形成材として、高いガラス転移温
度または高軟化温度の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使
用できる。その結果、従来の低融点の剥離材(例えば低
融点のワックス)を剥離層中に混入しなくとも、本発明
の感熱転写記録体は、良好な剥離性を達成することがで
きる。従って、剥離層上に高融点の熱溶融性色材層を重
ねて形成しても、下地としての剥離層が溶融するのを防
止できるために、安定した感熱転写記録体を得ることが
できる。
さらに、本発明の感熱転写記録体では、熱溶融性色材
層の上に透明もしくは無色の第2の熱溶融性層を設ける
ことにより、感熱ヘッドの蓄熱による尾引きや感熱ヘッ
ドからの押圧による熱溶融性色材層の被転写体への圧迫
痕の発生を軽減できる。
[発明の効果] 以上の様に、本発明によれば、表面平滑度の低い普通
紙等に対しても解像力の低下をきたすことがなく、良好
な転写画像を形成することが可能な感熱転写記録体を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例による感熱転写記録体を
示す断面図、第2図は本発明の特性を説明するための図
である。 20……感熱転写記録体、21……基材、22……バックコー
ト層、24……熱溶融性層、25……熱溶融性色材層、23…
…剥離層、23a……被膜、23b……微粒子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−92493(JP,A) 特開 昭62−297091(JP,A) 特開 昭62−68791(JP,A) 特開 昭60−101083(JP,A) 特開 平3−34890(JP,A) 特開 昭63−189287(JP,A) 特開 平1−133786(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シート状の基材と、界面活性材および膜形
    成材からなり前記基材上に設けられた剥離層と、この剥
    離層上に設けられた熱溶融性層と、この熱溶融性層上に
    設けられ、選択的に加熱、溶融されて被転写体に転写さ
    れる熱溶融性色材層とを有する感熱転写記録体におい
    て、前記熱溶融性層の溶融粘度が前記熱溶融性色材層よ
    りも大きく、かつ、前記剥離層の表面が粗面化している
    ことを特徴とする感熱転写記録体。
JP1280209A 1989-10-27 1989-10-27 感熱転写記録体 Expired - Lifetime JP3038220B2 (ja)

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