JPWO2005040916A1 - 安定化液及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法 - Google Patents
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Abstract
ハロゲン化銀カラー写真感光材料のカラー現像処理で用いる安定化液において、鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下であるか、もしくはチオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下であって、かつ一般式(I)RSO2Mで表されるスルフィン酸誘導体を2.0mmol/L以上、30.0mmol/L以下含有することを特徴とする安定化液。
Description
本発明は、新規の安定化液とそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関し、詳しくは低補充、超迅速処理を行っても、形成された画像の画像保存性(特に、マゼンタ色素の光退色耐性)を改良した安定化液とそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関する。
通常、ハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、感光材料ともいう)を現像処理して色素画像を形成する方法は、像様露光を与えた後、発色現像液にて発色現像処理を行い、次いで、不要となった銀画像を取り除く脱銀工程を経て、水洗工程、更には形成した色素画像を安定化させるための安定化工程により処理される。最近では、店頭設置のミニラボや節水を目的に水洗の代わりに水洗代替安定液で処理する、いわゆる無水洗処理を行うシステムが増えている。また、カラーネガフィルムやカラーリバーサルフィルム等の撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料では水洗、または前記水洗代替安定化処理の後、最終処理工程として、色素の安定化のためのいわゆる安定化処理が行われており、ミニラボ処理では、この安定化処理を水洗代替安定化処理と同時に行う一液スタビライザーも知られている。
近年、ミニラボによる写真店の店頭処理が普及し、過当競争時代にあり、ユーザーが2度足を運ぶことなく、写真プリントをその場で得られる超迅速処理が求められている。
一方、最近では、現像処理剤の低コスト化、あるいは回収や処分にコストを要する使用済み処理液量を少なくし、低公害化をはかるため、現像処理時に処理液の補充量を低減する低補充処理が盛んに行われている。
以上の様な要請から、低補充でかつ超迅速処理が普及している。しかしながら、低補充化すると感光材料から、溶出する成分の処理液中への蓄積が多くなり、その蓄積した成分の影響や現像処理時間の短縮により、現像処理に用いる発色現像主薬、漂白剤、あるいは定着剤といった処理成分が充分に洗い出されず、感光材料に残存する事が考えられる。その結果、特に感光材料に残存した漂白剤、定着剤の影響によると推定される、マゼンタ色素の光による退色が新たに判明し、実用上大きな障害となっている。
上記課題に対し、特定構造のモノアミノポリカルボン酸化合物の鉄(III)錯塩の少なくとも1種を含むpHが3〜7の漂白能を有する処理液と、特定構造のジアミノ琥珀酸類、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及び有機ホスホン酸類から選ばれる少なくとも一つの錯形成剤を含むpHが6.1〜8.0の定着能を有する処理液とによって処理する方法(例えば、特許文献1参照。)、また、アミノポリカルボン酸化合物の鉄(III)錯塩の少なくとも1種を含むpHが3〜7の漂白能を有する処理液と、特定構造のジアミノ琥珀酸及び/又はジアミノマロン酸、並びに有機ホスホン酸から選ばれる少なくとも一つの錯形成剤を含むpHが6.1〜8.0の定着能を有する処理液とによって処理する方法(例えば、特許文献2参照。)がそれぞれ開示されている。しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、特定構造のモノアミノポリカルボン酸、特定構造のジアミノ琥珀酸類、有機ホスホン酸類やジアミノマロン酸を必要とし、前記化合物等は製造コスト等が高く、経済的に不利が生じることや処理時間を大幅に迅速化した超迅速処理条件下では十分な性能が発揮されないことが判明した。
一方、処理液にスルフィン酸誘導体を用いる技術が知られており、例えば、特定のアミノポリカルボン酸鉄錯塩及びスルフィン酸誘導体を含有し、実質的に亜硫酸イオンを含有しない漂白定着液で処理する方法(例えば、特許文献3参照。)、漂白定着液が実質的に亜硫酸イオンを含有せず、かつ、スルフィン酸誘導体を含有することを特徴とする写真感光材料の処理方法(例えば、特許文献4参照。)がそれぞれ開示されている。特許文献5には、現像処理工程の少なくとも一つの工程で用いる処理液がスルフィン酸又はその塩を含有することを特徴とする写真感光材料の処理方法が、開示されている。しかしながら、これらの特許文献3、4は、いずれにおいても漂白定着液にスルフィン酸誘導体を添加する技術であり、また最終槽に近い安定化処理槽に2.0mmol/L以上、30.0mmol/L以下という一定量のスルフィン酸誘導体を添加し、経時保存した際に発生するマゼンタ色素画像の光退色を解決できる事に関しては何ら記載や示唆が全くなされていない。また、前記特許文献5は、高温高湿保存での白地部の濃度上昇(ステイン)及び色素退色の改良について言及しているものの、一定濃度の漂白剤(鉄イオン)及び定着剤(チオ硫酸塩)が安定化液中に蓄積されるような低補充条件で、かつ超迅速で処理した感光材料の経時保存におけるマゼンタ色素の光褪色問題を解決する手段については何ら記載や示唆が全くされていない。
特開2001−109116号公報 特開2001−109117号公報 特開平6−324448号公報 特開平8−292510号公報 特公平7−119981号公報
近年、ミニラボによる写真店の店頭処理が普及し、過当競争時代にあり、ユーザーが2度足を運ぶことなく、写真プリントをその場で得られる超迅速処理が求められている。
一方、最近では、現像処理剤の低コスト化、あるいは回収や処分にコストを要する使用済み処理液量を少なくし、低公害化をはかるため、現像処理時に処理液の補充量を低減する低補充処理が盛んに行われている。
以上の様な要請から、低補充でかつ超迅速処理が普及している。しかしながら、低補充化すると感光材料から、溶出する成分の処理液中への蓄積が多くなり、その蓄積した成分の影響や現像処理時間の短縮により、現像処理に用いる発色現像主薬、漂白剤、あるいは定着剤といった処理成分が充分に洗い出されず、感光材料に残存する事が考えられる。その結果、特に感光材料に残存した漂白剤、定着剤の影響によると推定される、マゼンタ色素の光による退色が新たに判明し、実用上大きな障害となっている。
上記課題に対し、特定構造のモノアミノポリカルボン酸化合物の鉄(III)錯塩の少なくとも1種を含むpHが3〜7の漂白能を有する処理液と、特定構造のジアミノ琥珀酸類、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及び有機ホスホン酸類から選ばれる少なくとも一つの錯形成剤を含むpHが6.1〜8.0の定着能を有する処理液とによって処理する方法(例えば、特許文献1参照。)、また、アミノポリカルボン酸化合物の鉄(III)錯塩の少なくとも1種を含むpHが3〜7の漂白能を有する処理液と、特定構造のジアミノ琥珀酸及び/又はジアミノマロン酸、並びに有機ホスホン酸から選ばれる少なくとも一つの錯形成剤を含むpHが6.1〜8.0の定着能を有する処理液とによって処理する方法(例えば、特許文献2参照。)がそれぞれ開示されている。しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、特定構造のモノアミノポリカルボン酸、特定構造のジアミノ琥珀酸類、有機ホスホン酸類やジアミノマロン酸を必要とし、前記化合物等は製造コスト等が高く、経済的に不利が生じることや処理時間を大幅に迅速化した超迅速処理条件下では十分な性能が発揮されないことが判明した。
一方、処理液にスルフィン酸誘導体を用いる技術が知られており、例えば、特定のアミノポリカルボン酸鉄錯塩及びスルフィン酸誘導体を含有し、実質的に亜硫酸イオンを含有しない漂白定着液で処理する方法(例えば、特許文献3参照。)、漂白定着液が実質的に亜硫酸イオンを含有せず、かつ、スルフィン酸誘導体を含有することを特徴とする写真感光材料の処理方法(例えば、特許文献4参照。)がそれぞれ開示されている。特許文献5には、現像処理工程の少なくとも一つの工程で用いる処理液がスルフィン酸又はその塩を含有することを特徴とする写真感光材料の処理方法が、開示されている。しかしながら、これらの特許文献3、4は、いずれにおいても漂白定着液にスルフィン酸誘導体を添加する技術であり、また最終槽に近い安定化処理槽に2.0mmol/L以上、30.0mmol/L以下という一定量のスルフィン酸誘導体を添加し、経時保存した際に発生するマゼンタ色素画像の光退色を解決できる事に関しては何ら記載や示唆が全くなされていない。また、前記特許文献5は、高温高湿保存での白地部の濃度上昇(ステイン)及び色素退色の改良について言及しているものの、一定濃度の漂白剤(鉄イオン)及び定着剤(チオ硫酸塩)が安定化液中に蓄積されるような低補充条件で、かつ超迅速で処理した感光材料の経時保存におけるマゼンタ色素の光褪色問題を解決する手段については何ら記載や示唆が全くされていない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、低補充、超迅速処理を行っても、形成された画像の画像保存性(特に、マゼンタ色素の光退色耐性)を改良した安定化液とそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(項1)
ハロゲン化銀カラー写真感光材料のカラー現像処理で用いる安定化液において、鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下であるか、もしくはチオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下であって、かつ下記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を2.0mmol/L以上、30.0mmol/L以下含有することを特徴とする安定化液。
一般式(I)
〔式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基またはアリール基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または4級アミンを表す。〕
(項2)
前記鉄イオン濃度が、0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下であることを特徴とする項1に記載の安定化液。
(項3)
前記チオ硫酸塩濃度が、0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下であることを特徴とする項1または2に記載の安定化液。
(項4)
前記鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下であって、かつ前記チオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下であることを特徴とする項1〜3のいずれか1項に記載の安定化液。
(項5)
前記鉄イオン濃度が0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下であって、かつ前記チオ硫酸塩濃度が0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下であることを特徴とする項1〜4のいずれか1項に記載の安定化液。
(項6)
前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の含有量が、6.0mmol/L以上、20.0mmol/L以下であることを特徴とする項1〜5のいずれか1項に記載の安定化液
(項7)
亜硫酸塩を0.5mmol/L以上、50.0mmol/L以下で含有することを特徴とする項1〜6のいずれか1項に記載の安定化液。
(項8)
亜硫酸塩を0.5mmol/L以上、20.0mmol/L以下で含有することを特徴とする項1〜7のいずれか1項に記載の安定化液。
(項9)
下記一般式(II)、(III)で表される化合物及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする項1〜8のいずれか1項に記載の安定化液。
一般式(II)
〔式中、Rはカルボキシル基又はスルホ基(それらの塩を含む)を表し、mは0〜5の整数を表し、nは2〜7の整数を表す。〕
一般式(III)
〔式中、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環、ヒドロキシル基、アミノ基、塩素原子、アルキル基叉はアリール基を表す。Lはフェニレン基またはナフチレン基を表す。〕
(項10)
下記一般式〔1〕で表される化合物を含有することを特徴とする項1〜9のいずれか1項に記載の安定化液。
一般式〔1〕
〔式中、R1は炭素原子数1乃至2のアルキル基または水素原子を表し、R2は炭素原子数1〜3のアルキル基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基または水素原子を表し、R3は水素原子またはヒドロキシル基を表す。pは0〜2の整数、rは1〜3の整数を表わし、rが2以上のとき、各Aは同一でも異なっていてもよい。Aはベンゼン環の任意の位置に置換されて良い。叉、sは0〜50、tは0または1の整数、uは2〜150の整数を表す。〕
(項11)
項1〜10に記載の安定化液を用いて、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
(項12)
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーであって、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることを特徴とする項11に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
(項13)
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムであって、安定化処理工程に要する時間が10〜40秒であることを特徴とする項11に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
本発明によれば、低補充、超迅速処理を行っても、形成された画像の画像保存性(特に、マゼンタ色素の光退色耐性)を改良した安定化液とそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
(項1)
ハロゲン化銀カラー写真感光材料のカラー現像処理で用いる安定化液において、鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下であるか、もしくはチオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下であって、かつ下記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を2.0mmol/L以上、30.0mmol/L以下含有することを特徴とする安定化液。
一般式(I)
〔式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基またはアリール基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または4級アミンを表す。〕
(項2)
前記鉄イオン濃度が、0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下であることを特徴とする項1に記載の安定化液。
(項3)
前記チオ硫酸塩濃度が、0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下であることを特徴とする項1または2に記載の安定化液。
(項4)
前記鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下であって、かつ前記チオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下であることを特徴とする項1〜3のいずれか1項に記載の安定化液。
(項5)
前記鉄イオン濃度が0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下であって、かつ前記チオ硫酸塩濃度が0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下であることを特徴とする項1〜4のいずれか1項に記載の安定化液。
(項6)
前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の含有量が、6.0mmol/L以上、20.0mmol/L以下であることを特徴とする項1〜5のいずれか1項に記載の安定化液
(項7)
亜硫酸塩を0.5mmol/L以上、50.0mmol/L以下で含有することを特徴とする項1〜6のいずれか1項に記載の安定化液。
(項8)
亜硫酸塩を0.5mmol/L以上、20.0mmol/L以下で含有することを特徴とする項1〜7のいずれか1項に記載の安定化液。
(項9)
下記一般式(II)、(III)で表される化合物及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする項1〜8のいずれか1項に記載の安定化液。
一般式(II)
〔式中、Rはカルボキシル基又はスルホ基(それらの塩を含む)を表し、mは0〜5の整数を表し、nは2〜7の整数を表す。〕
一般式(III)
〔式中、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環、ヒドロキシル基、アミノ基、塩素原子、アルキル基叉はアリール基を表す。Lはフェニレン基またはナフチレン基を表す。〕
(項10)
下記一般式〔1〕で表される化合物を含有することを特徴とする項1〜9のいずれか1項に記載の安定化液。
一般式〔1〕
〔式中、R1は炭素原子数1乃至2のアルキル基または水素原子を表し、R2は炭素原子数1〜3のアルキル基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基または水素原子を表し、R3は水素原子またはヒドロキシル基を表す。pは0〜2の整数、rは1〜3の整数を表わし、rが2以上のとき、各Aは同一でも異なっていてもよい。Aはベンゼン環の任意の位置に置換されて良い。叉、sは0〜50、tは0または1の整数、uは2〜150の整数を表す。〕
(項11)
項1〜10に記載の安定化液を用いて、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
(項12)
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーであって、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることを特徴とする項11に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
(項13)
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムであって、安定化処理工程に要する時間が10〜40秒であることを特徴とする項11に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
本発明によれば、低補充、超迅速処理を行っても、形成された画像の画像保存性(特に、マゼンタ色素の光退色耐性)を改良した安定化液とそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、超迅速処理を行ったハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像保存性、とりわけマゼンタ色像の光退色性改良について鋭意検討を進めた結果、現像処理工程の最終槽、あるいは最終槽に近い安定化槽で用いる安定化液の組成として、特定範囲量のスルフィン酸誘導体を含有し、更に前浴である漂白槽、定着槽あるいは漂白定着槽からキャリーオーバーにより持ち込まれる鉄イオンあるいはチオ硫酸塩を特定の濃度以下に制御することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った次第である。
はじめに、本発明に係るスルフィン酸誘導体について説明する。
前記一般式(I)において、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基またはアリール基を表すが、Rがアルキル基である場合、炭素数1〜10が好ましく、より好ましくは1〜3のアルキル基である。また、シクロアルキル基の場合は炭素数5〜10が好ましく、炭素数6の場合が最も好ましい。アルケニル基およびアルキニル基の場合は炭素数3〜10が好ましく、より好ましくは炭素数3〜6である。アリール基の場合は炭素数6〜10が好ましく、炭素数6の場合が最も好ましい。これらの基は各種置換基を有するものを含み、好ましい置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、アミノ基、スルフォン酸基、カルボン酸基、ニトロ基、リン酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、メルカプト基、シアノ基、アルキルチオ基、スルホニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、ウレイド基及びチオウレイド基があげられる。また、これらの置換基が酸基である場合は、上記のMを伴う塩の場合を含んでいる。
以上のうち、Rとしては、炭素数1〜3のアルキル基や、フェニル基である場合が好ましく、好ましい置換としては、アミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシル基を挙げることができる。一般式(I)におけるMは、水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または4級アミン基を表すが、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム基及びトリメチルアンモニウム基が好ましい。
前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体のなかで、本発明目的の効果が顕著なのは、Rがアリール基であるアリールスルフィン酸誘導体である。
以下に、本発明に係る一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の具体的化合物を例示するが、一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体はこれらに限定されるものではない。また、下記例示化合物は、主にスルフィン酸基およびカルボン酸基が中性塩の形で示してあるが、上記のMで示した塩の形であってもよい。
本発明に係る前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体は、スルホニルクロリド化合物の還元により合成する方法が一般的であり、還元剤としては亜鉛末、亜硫酸イオン、アルカリ金属硫化物等が用いられる。また、その他の方法も知られている。上記を含めて、一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の一般的合成方法は、例えば、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)、4508巻、69(1951)、オーガニック・シンセシス(Organic Synthesis),Collective Vol.I.492(1941)、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)、72巻、1215(1950)、ibid、50巻、792、274、(1928)等に示されている。
本発明の安定化液においては、上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の添加量は、安定液1L当たり2.0mmol以上、30.0mmol以下であることが特徴であり、より好ましくは6.0mmol以上、20.0mmol以下である。
本発明の上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有する安定化液においては、鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下であることが1つの特徴であり、好ましくは0.1〜1.5mmol/Lであり、より好ましくは0.1〜1.0mmol/Lである。
安定化液中での鉄イオン濃度を1.5mmol/L以下に規定することにより、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料への鉄イオン残存量を低減し、かつ上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有することで、マゼンタ色画像の画像保存性に対する効果を発揮させることができる。また、安定化液中の鉄イオン濃度が0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下で、かつ上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有することで、イエロー色画像の画像保存性に対する効果をより一層発揮することができる。
本発明において、安定化液中の鉄イオン濃度を上記で規定する方法について、特に制限はないが、好ましくは、前浴である漂白浴あるいは漂白定着浴でキレート剤として用いられているアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩等の鉄塩の混入を低減することが有効であり、例えば、漂白浴あるいは漂白定着浴と安定化浴との間に、水洗工程、リンス工程を設ける方法、スクイズブレードを設ける方法等、その条件に応じ適宜選択することにより、達成することができる。
また、本発明の上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有する安定化液において、チオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下であることが1つの特徴であり、好ましくは0.5〜10.0mmol/Lであり、より好ましくは0.5〜6.0mmol/Lである。
安定化液中でのチオ硫酸塩濃度を10.0mmol/L以下に規定することにより、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料へのチオ硫酸塩の残存量を低減し、かつ上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有することで、マゼンタ色画像の画像保存性に対する効果を発揮させることができる。また、安定化液中のチオ硫酸塩濃度が0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下で、かつ上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有することで、イエロー色画像の画像保存性に対する効果をより一層発揮することができる。
本発明において、安定化液中のチオ硫酸塩濃度を上記で規定する方法について、特に制限はないが、好ましくは、前浴である定着浴あるいは漂白定着浴でハロゲン化銀乳剤の定着剤として用いられているチオ硫酸塩の混入を低減することが有効であり、例えば、定着浴あるいは漂白定着浴と安定化浴との間に、水洗工程、リンス工程を設ける方法、スクイズブレードを設ける方法等、その条件に応じ適宜選択することにより、達成することができる。
本発明の安定化液においては、更に前記一般式(II)、(III)で表される化合物及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
本発明に係る前記一般式(II)、(III)で表される化合物及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩を、本発明に係る一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体と共に用いることにより、画像保存性に対する効果をより一層発揮させると共に、ハロゲン化銀カラー写真感光材料から流出した分光増感色素等による裏面汚れ、あるいはステイン(色素汚染ともいう)の発生を効果的に防止し、あるいは蛍光増白剤として作用し良好な白地性能を得ることができ、かつ保存安定性に優れた色画像を実現することができる。
前記一般式(II)で表される化合物は、2,6−ジナフチルアミノトリアジン化合物(またはそれらの混合物)であり、ナフチル環に結合した少なくとも4個のスルホネート可溶化基とトリアジン環に結合した特定の置換基を有する。
前記一般式(II)において、Rはカルボキシル基(その塩を含む)またはスルホ基(その塩を含む)であり、mは0〜5の整数であり、nは2〜7の整数である。好ましくは、Rはカルボキシル基であり、mは1〜2の整数であり、nは2である。
以下に、本発明に係る一般式(II)で表される化合物の具体例を示するが、これら化合物にのみ限定されるものではない。
上記一般式(II)で表される例示化合物の中でも、化合物II−1(またはそのアルカリ金属塩)が最も好ましい。これらの2,6−ジナフチルアミノトリアジン化合物は、例えば、国際公開WO97/10887号に記載されている方法を使用して得ることができる。
次いで、前記一般式(III)で表される化合物について説明する。
前記一般式(III)において、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環、ヒドロキシル基、アミノ基、塩素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Lはフェニレン基またはナフチレン基を表し、上記各基は置換基を有するものを含み、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環があげられる。これらは例えば下記一般式(III−a)で表される。
一般式(III−a)
上記一般式(III−a)において、R1、R2及びR3は、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、これらの各基は置換基を有するものを含む。R1、R2及びR3で表される基は、アルキル基としては炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
また、R1、R2及びR3がそれぞれアリール基を表す場合、アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜10、さらに好ましくは6〜8のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2、4−ジスルホフェニル基が挙げられる。
R1、R2及びR3がカルボキシル基またはスルホ基を有する場合、これらはフリー体でも塩でもよく、この場合、対塩はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムである。このうち最も好ましいものはナトリウムおよびカリウムである。
R1、R2及びR3がそれぞれヘテロ環基を表す場合、ヘテロ環基としては炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、さらに好ましくは炭素数3〜8の置換もしくは無置換の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
前記一般式(III)において、X1、X2、Y1及びY2がそれぞれヘテロ環基の場合、それぞれ5または6員の芳香族もしくは非芳香族の含窒素ヘテロ環化合物から窒素原子に結合した1個の水素原子を取り除いた1価の5員環基または6員環基が好ましい。環の例としてはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環およびモルホリン環が含まれる。 Lで表されるフェニレン基またはナフチレン基としては置換基を有するものを含み、炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜15、更に好ましくは6〜11の置換もしくは無置換のフェニレン基またはナフチレン基であり、例えば、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、4−カルボキシ−1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、3−スルホ−1,4−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレン、2,5−ジメトキシ1,4−フェニレン、2,6−ジクロロー1,4−フェニレンの各基が挙げられる。
Lとして好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレンの各基であり、更に好ましくは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基である。
以下、一般式(III)で表される具体的な化合物例を示すが、本発明に係る化合物は、これらに限定されない。
上記説明した本発明に係る一般式(III)で表される化合物が分子内に不斉炭素を複数個有する場合、同一構造に対して複数の立体異性体が存在するが、本発明は可能性のある全ての立体異性体を示しており、複数の立体異性のうち1つだけを使用することも、あるいはそのうちの数種を混合物として使用することもできる。
本発明に係る一般式(III)で表される化合物、それぞれ1種を用いても複数を併用しても良く、用いる化合物の数と含有させる処理組成物の種類は任意に選ぶことができる。
次いで、本発明に係るα−ケトカルボン酸もしくはその塩について説明する。
本発明の安定化液において、α−ケトカルボン酸もしくはその塩を用いることにより、特に、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の裏面汚れに対してより優れてた効果を発揮させることができる。
本発明に係るα−ケトカルボン酸もしくはその塩としては、脂肪族基を含むことが好ましい。代表的なα−ケトカルボン酸もしくはその塩としては、例えば、ピルビン酸、オキサル酢酸、グリオキシル酸、メソシュウ酸、2−ケト酪酸及び2−ケトグルタル酸が挙げられ、その中でも、ピルビン酸、グリオキサル酸及びそれらの塩が好ましく、特にピルビン酸及びその塩が非常に好ましい。必要に応じて、これらのα−ケトカルボン酸もしくはその塩の混合物を使用してもよい。これらのα−ケトカルボン酸もしくはその塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩として提供できる。これらのα−ケトカルボン酸もしくはその塩は、Aldrich Chemical Companyなどの多くの化学薬品供給業者から入手できる。
上記説明した一般式(II)、(III)及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩の添加量としては、安定化液1L当たり0.1mmol以上、10.0mmol以下であることが、画像保存性、裏面汚れ及び濃縮安定化液の溶解性の観点から好ましい。
本発明においては、一般式(II)、(III)及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩は、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上併用してもよい。
また、本発明の安定化液においては、更に前記一般式〔1〕で表される化合物を用いることが好ましい。
前記一般式〔1〕において、R1は炭素数1乃至2のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)または水素原子を表し、R2は炭素原子数1〜3のアルキル基(直さ、分岐を含み、置換基を有するものを含み、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、(i)プロピル基、ヒドロキシメチル基、スルホメチル基、ヒドロキシエチル基、スルホエチル基、ジスルホエチル基、ジヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1−スルホプロピル基、2−スルホプロピル基、トリヒドロキシ(i)プロピル基、1,2−ジスルホプロピル基)、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基または水素原子を表し、R3は水素原子またはヒドロキシル基を表す。
pは0〜2の整数、rは1〜3の整数を表し、rが2以上のとき、各Aは同一でも異なっていても良い。Aはベンゼン環の任意の位置に置換されて良い。また、sは0〜50の整数、tは0又は1、uは2〜150の整数を表す。
以下に、前記一般式〔1〕で表される化合物の具体的を示すが、本発明に係る化合物はこれらに限定されない。
上記例示化合物の中でも好ましくは〔1〕−2、〔1〕−3、〔1〕−4、〔1〕−5、〔1〕−6、〔1〕−13、〔1〕−17である。
また、その添加量としては、安定化液1L当り0.1g以上、0.5g以下であることが好ましい。
また、本発明の安定化液には、本発明の目的である画像保存性改良の観点から、亜硫酸塩(重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩も含む)を含有させることが好ましく、亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物のいずれであってもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的な化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの亜硫酸塩は、安定化液1Lあたり、0.5mmol〜50.0mmolの範囲で添加されることが好ましく、更に好ましくは0.5mmol〜20.0mmolである。
次いで、本発明の安定化液に含んでも良いその他の成分と処理方法について説明する。
安定化工程で用いる本発明の安定化液には、色素安定化に適した膜pHに調整するための緩衝剤や、アンモニウム化合物、前記殺菌剤や防黴剤を用いることができる。更に、界面活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤を加えることもできる。
本発明の安定化液には、その他成分として、例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸等のキレート剤、マグネシウムやビスマス化合物を用いることも好ましい態様である。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、特開昭57−8543号、同58−14834号、同60−220345号等に記載の公知の方法を、すべて用いることができる。
安定化工程の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には15〜45℃好ましくは20〜40℃である。時間は任意に設定できるが短い方が処理時間の低減の観点から望ましい。好ましくは5秒〜1分45秒、更に好ましくは5秒〜1分であるが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合には、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることが好ましく、またハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムである場合には、安定化処理工程に要する時間が10〜40秒であることが好ましい。
補充量は、少ない方がランニングコスト、排出量減、取扱い性等の観点で好ましい。
補充量は、感光材料1m2当たり1リットル以下が好ましく、より好ましくは500ml以下であり、更に好ましくは250ml以下であり、特に好ましく150ml以下である。また、補充は連続的に行っても間欠的に行ってもよい。
本発明の安定化液を用いた安定化工程の構成としては、1槽で構成されていても、あるいは2層以上で構成されていても良いが、好ましくは2槽以上で構成された多段向流方式を用いることが好ましい。
多段向流方式とは、複数に分割された安定化槽において、感光材料の搬送方向の下流から上流にかけて安定化液が多段の各分割安定化槽にオーバーフローしながらハロゲン化銀写真感光材料の搬送路に沿って流れ、安定化処理がなされる方式である。
次いで、本発明に係る現像処理工程で使用されるかく処理液とその処理方法について説明する。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法は、露光を施したハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色処理工程(発色現像液)、漂白工程(漂白液)、定着工程(定着液)あるいは漂白定着工程(漂白定着液)、安定化工程(安定化液)を経て、乾燥する。
また、それぞれ補充用発色現像液、補充用漂白液、補充用定着液、あるいは補充用漂白定着液、補充用安定化液等を補充しながら連続的に現像処理することができる。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、発色現像に用いることのできる発色現像主薬としては、アミノフェノール類、フェニレンジアミン類があげられ、p−フェニレンジアミン類が好ましく、具体的には、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、ジエチルアミノ−o−トルイジン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン、4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン等の発色現像主薬が挙げられる。また、これらの発色現像主薬は、硫酸塩、塩酸塩等の塩の形態、あるいは上述のような遊離塩であってもよい。
その他に、補助現像主薬として、通常のハロゲン化銀現像剤、例えば、ハイドロキノンの如きポリヒドロキシベンゼン類、アミノフェノール類、3−ピラゾリドン類、アスコルビン酸とその誘導体、レダクトン類等、あるいはその混合物を含んでいてもよく、具体的には、ハイドロキノン、アミノフェノール、N−メチルアミノフェノール、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、アスコルビン酸、等が挙げられる。また、本発明に係る発色現像液には、更に特定のカブリ防止剤及び現像抑制剤を含有することができる。
本発明において、発色現像液を任意のpH領域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
発色現像液には、発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができる。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
以下、本発明で用いることのできる保恒剤について説明する。
本発明で用いることのできる保恒剤の具体的な化合物としては、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報又は明細書に開示されている。
また、その他の保恒剤としては、下記一般式(2)または(3)で表される化合物を含有させることもできる。
一般式(2)
上記一般式(2)において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、アルキル置換してもよいスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R,R′は各々水素原子、置換してもよいアルキル基を表す。Bは置換してもよいアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
上記一般式(2)において、Lは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基又はスルファモイル基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
以下に、一般式(2)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
次いで、一般式(3)で表される化合物について説明する。
上記一般式(3)において、R、R′は各々炭素原子数1〜6の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素を表わす。この場合、これらの炭化水素は、水酸基、カルボキシル基、スルホン基などで置換されていてもよい。また、カルボニル基等の2価の連結基を含んでもよい。nは4〜50,000の整数を表わす。sは0または1を表す。
sが1をとる場合、Aは
を表す。R″はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数2〜8のアルキレン基またはアルカントリイル基を示し、アルキレン基の場合、qは0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。qが1の場合、Bは一般式(3)で表わされるポリマーを示し、一般式(3)は3次元構造となる。mは0〜30の整数を示す。
sが0をとる一般式(3)で表される化合物、例えば、ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は既知の方法により容易に合成することができる。代表的な例としては、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ(J.Chem.Soc.,),75,1009(1899),J.Chem.Soc.,1963,3144等に記載の過酸化水素水を用いた2級アミンの酸化方法により、ポリ(アルキレンイミン)を酸化して合成する方法が挙げられる。この方法により合成された粗ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は写真特性に影響を与える成分を含まないため、精製することなく、そのまま発色現像液の組成物として使用することができる。また、「マクロモレキュルズ」(Macromolecules),21,1995(1988)等に記載の反応と組み合わせて、ポリ(アルキレンイミン)の末端基である1級アミンを2級アミンとすることにより、更に性能の優れたポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)を合成する方法も挙げられる。その他の方法としては、特開平3−259145号公報等に記載の方法を応用した、ヒドロキシルアミンとジハロゲン化アルキレンとの反応による合成方法等が挙げられる。
以下、一般式(3)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
前記保恒剤等は1L当たり1×10−2モル以上、1×10−1モル以下で含有することが好ましい。また、発色現像液には、対象とする感光材料の種類によっては保恒剤として亜硫酸塩を含んでも良い。
また、ヒドロキシルアミンを含んでも良く、ヒドロキシルアミとしては、通常、塩酸塩や硫酸塩の形で用いる。
その他、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物または一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体等を必要に応じて含んでも良い。
次に、発色現像液の処理温度は、現像処理されるハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーの場合は、30〜55℃であり、好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。発色現像処理時間は、5〜90秒であり、好ましくは、15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。一方、カラーネガフィルムの発色現像処理の場合は、処理温度は20〜55℃であり、好ましくは30〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。発色現像処理時間は、20秒〜6分であり、好ましくは、30〜200秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり100〜800mlが適当であり、好ましくは200〜500ml、特に好ましくは250〜400mlである。カラーペーパー又はカラーネガフィルムともに、クロスオーバータイムは5秒以下、好ましくは3秒以下であり、該クロスオーバータイムとすることで、漂白カブリに対して顕著な効果がある。
また、カラーネガフィルム用の発色現像液では、通常臭素イオンを0.2×10−2〜15.0×10−2モル/リットル、好ましくは0.5×10−2〜5.0×10−2モル/リットル含有することが多いが、臭素イオンは、通常現像の副生成物として該処理組成物中に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。また、沃素イオンを0.2×10−3〜15.0×10−3モル/リットル、好ましくは0.5×10−3〜5.0×10−3モル/リットル含有することが多いが、沃素イオンも通常現像の副生成物として該処理組成物中に放出されることもあるので補充液には添加不要のことが多い。
カラーペーパー用の発色現像液では、通常塩素イオンを3.5×10−2〜1.5×10−1モル/リットル含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法では、発色現像後、漂白処理、あるいは漂白定着処理を施される。
漂白液あるいは漂白定着液において用いられる漂白剤としては、いかなる漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、などのアミノポリカルボン酸類、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸および有機ホスホン酸などの錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸;過硫酸塩;過酸化水素などが好ましい。
これらのうち、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸の鉄(III)錯塩が漂白力が高いことから好ましい。これらの第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二鉄などとアミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第二鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.05〜0.50モル/リットルである。
漂白液あるいは漂白定着液には、漂白促進剤として種々の化合物を用いることができる。例えば、リサーチディスクロージャー17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフイド結合を有する化合物や、チオ尿素系化合物、あるいは沃素、臭素イオン等のハロゲン化物が漂白力に優れる点で好ましい。
その他、漂白液あるいは漂白定着液には、臭化物(例えば、臭化カリウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)または沃化物(例えば、沃化アンモニウム)等の再ハロゲン化剤を含むことができる。必要に応じ硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、マレイン酸、マレイン酸ナトリウム、酒石酸などのpH緩衝能を有する一種類以上の無機酸、有機酸およびこれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩または、硝酸アンモニウム、グアニジンなどの腐蝕防止剤などを添加することができる。
定着液あるいは漂白定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩;エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを一種あるいは二種以上混合して使用することができる。本発明においては、チオ硫酸特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.3〜2モルが好ましく、更に好ましくは0.5〜1.0モルの範囲である。漂白定着液又は定着液のpH領域は、3〜10が好ましく、更には5〜9が特に好ましい。
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、イミダゾール類、前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体、界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることもできる。
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、保恒剤として亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、などの添加が一般的であるが、その他、アスコルビン酸や、カルボニル重亜硫酸付加物、あるいは、カルボニル化合物等を添加してもよい。
更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、液中でのバクテリアの繁殖防止や処理後の感光材料に防黴性を付与するため、各種殺菌剤や防黴剤を用いることができる。
次いで、漂白定着、漂白及び定着の各処理工程について説明する。
漂白定着処理液の処理工程に要する時間は、90秒以下が好ましく、更に好ましくは45秒、特に好ましくは26秒以下である。
前記の工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続するリンス又は安定化処理槽へハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間の液外搬送時間(クロスオーバータイム)を含むものとする。クロスオーバータイムは、好ましくは5秒以下、より好ましくは3秒以下である。
前記処理工程の温度は、20〜60℃で使用されるのがよいが、望ましくは25〜60℃である。
また、漂白液の処理工程に要する時間は2分以下が好ましく、より好ましくは45秒以下、さらに好ましくは26秒以下である。前記の工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続する定着処理槽へハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは5秒以下が好ましく、より好ましくは3秒以下である。
前記処理工程の温度は、20〜60℃で使用されるのがよいが、望ましくは25〜60℃である。
また、漂白液では、エアレーションを実施しても良い。エアレーションには当業界で公知の手段を使用できる。エアレーションに関しては、例えば、イーストマン・コダック社発行のZ−121、ユージング・プロセス・C−41第3版(1982年)、BL−1〜BL−2頁に記載の事項を利用できる。また、漂白液の処理においては、撹拌が強化されることが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。その中でも特に感光材料の乳剤面に漂白液を吹き付けるジェット撹拌方式が好ましい。また、処理温度に特に制限はないが、好ましくは25〜50℃であり、特に好ましくは35〜45℃である。また、漂白能を有する処理液が漂白液の場合には、処理に使用後のオーバーフロー液を回収し、成分を添加して組成を修正した後、再利用することができる。このような使用方法は、通常、再生と呼ばれるが、本発明はこのような再生も好ましくできる。
上述した他、「写真工学の基礎−銀塩写真編−」(日本写真学会編、コロナ社発行、1979年刊)等に記載の方法が利用できる。具体的には、電解再生の他、臭素酸や、亜塩素酸、臭素、臭素プレカーサー、過硫酸塩、過酸化水素、触媒を利用した過酸化水素、亜臭素酸、オゾン等による漂白液の再生方法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
定着液の処理工程に要する時間は3分以下が好ましく、より好ましくは2分以下である。前記の処理工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続する安定化又はリンス処理槽へハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。前記処理工程の温度は20〜60℃で使用されるのがよいが、好ましくは25〜60℃である。クロスオーバータイムは好ましくは5秒以下、より好ましくは3秒以下である。
本発明の安定化液を用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を適用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、支持体上にハロゲン化銀感光性層を有する多種多様の写真要素、例えば、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができ、例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。また、前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料では、カラーネガフィルムまたはカラーペーパーが好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、主に、支持体上に、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層および非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーの構成例を説明する。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、中でも塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、あるいは塩沃化銀の場合、本発明の効果が顕著となり好ましい。また、迅速処理性、処理安定性の観点からは、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間露光における高濃度域での特性曲線の軟調化を軽減する観点から、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いることができる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面、あるいは結晶粒子の頂点であることが特に好ましい。
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間の走査露光での軟調化を軽減する観点から、重金属イオンを含有させたハロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、例えば、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や錯塩の形態でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子またはイオンとしては、例えば、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
ハロゲン化銀粒子に上述の重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後等、物理熟成中の各工程における任意の時期で添加すればよい。また、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体或いは一部に亘って連続的に行うことができる。
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上5×10−5モル以下が好ましい。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子は単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び、感度や他の写真性能などを考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは0.2〜1.0μmの範囲である。この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使って、これを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積として、これを表すことができる。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここでいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、下記式によって定義される。
変動係数=S/R
(ここで、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子においては、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れの方法により得られたものであってもよい。ハロゲン化銀粒子は、一度に成長させたものであってもよいし、種粒子を調製した後、成長させたものでもよい。種粒子を調製する方法と粒子を成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、あるいはそれらの組合せた方法など、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。ハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、例えば、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、中でもイオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、例えば、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
金増感剤としては、例えば、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、例えば、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−4〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5〜1×10−8モルである。本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
本発明に係る感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤や安定剤を用いることができる。この様な目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下で化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5〜1×10−2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の構成層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料、および特開平6−3770号公報明細書記載の染料、さらに特開平11−119379号公報に記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。
本発明に係る感光材料中に蛍光増白剤を添加することが、白地性改良の観点から好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料は、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の分光増感に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)または(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号明細書、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号公報、同8−311360号公報、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
また、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
本発明において、マゼンタ色画像形成層で用いるマゼンタカプラーとして、例えば、5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級または3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3または6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号0009〜0026はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号明細書、同第884640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
また、本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号明細書、同第953871A1号明細書、同第953872A1号明細書、同第953873A1号明細書、同第953874A1号明細書、同第953875A1号明細書等に記載のピロール−2または3−イル若しくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加する方法として水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号公報明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も用いることができる。
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開平64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報明細書9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報明細書10ページ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したり、またハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良したりすることが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同号公報明細書13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良したりすることが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては、特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましく、例えば、特開昭61−249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料の処理前あるいは処理後の表面物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
本発明に係る感光材料においては、イエロー色画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成層を、それぞれ少なくとも1層有していればよいが、必要に応じて複数の色画像形成層でユニットを形成してもよい。
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1g/m2〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2g/m2〜5g/m2の範囲である。
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
本発明に係る感光材料中には、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には増感色素の感光材料外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、更に70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。
本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、更には15質量%が好ましい。
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
本発明に係る感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーフィルムの代表的構成要素を説明する。
例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)No.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion,Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RDNo.17643、RDNo.18716及びRDNo.308119(それぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。なお、下記に記載の各数値は、記載されている頁を表す。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
本発明に係る感光性層には、種々のカプラーを使用することが出来、その具体例は、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
上記各添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することが出来る。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることも出来る。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることが出来る。
本発明の安定化液を用いることのできる処理プロセスとしては、例えば、カラーネガフィルムの処理ではプロセスC−41処理(イーストマンコダック社製)あるいはプロセスCNK−4処理(コニカ社製)、カラーペーパーを処理するプロセスRA−4処理(イーストマンコダック社製)あるいはプロセスCPK−2処理(コニカ社製)、及びカラーリバーサルフィルムを処理するプロセスE−6処理(イーストマンコダック社製)を含む種々の処理工程を挙げることができる。
本発明者は、超迅速処理を行ったハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像保存性、とりわけマゼンタ色像の光退色性改良について鋭意検討を進めた結果、現像処理工程の最終槽、あるいは最終槽に近い安定化槽で用いる安定化液の組成として、特定範囲量のスルフィン酸誘導体を含有し、更に前浴である漂白槽、定着槽あるいは漂白定着槽からキャリーオーバーにより持ち込まれる鉄イオンあるいはチオ硫酸塩を特定の濃度以下に制御することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った次第である。
はじめに、本発明に係るスルフィン酸誘導体について説明する。
前記一般式(I)において、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基またはアリール基を表すが、Rがアルキル基である場合、炭素数1〜10が好ましく、より好ましくは1〜3のアルキル基である。また、シクロアルキル基の場合は炭素数5〜10が好ましく、炭素数6の場合が最も好ましい。アルケニル基およびアルキニル基の場合は炭素数3〜10が好ましく、より好ましくは炭素数3〜6である。アリール基の場合は炭素数6〜10が好ましく、炭素数6の場合が最も好ましい。これらの基は各種置換基を有するものを含み、好ましい置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、アミノ基、スルフォン酸基、カルボン酸基、ニトロ基、リン酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、メルカプト基、シアノ基、アルキルチオ基、スルホニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、ウレイド基及びチオウレイド基があげられる。また、これらの置換基が酸基である場合は、上記のMを伴う塩の場合を含んでいる。
以上のうち、Rとしては、炭素数1〜3のアルキル基や、フェニル基である場合が好ましく、好ましい置換としては、アミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシル基を挙げることができる。一般式(I)におけるMは、水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または4級アミン基を表すが、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム基及びトリメチルアンモニウム基が好ましい。
前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体のなかで、本発明目的の効果が顕著なのは、Rがアリール基であるアリールスルフィン酸誘導体である。
以下に、本発明に係る一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の具体的化合物を例示するが、一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体はこれらに限定されるものではない。また、下記例示化合物は、主にスルフィン酸基およびカルボン酸基が中性塩の形で示してあるが、上記のMで示した塩の形であってもよい。
本発明に係る前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体は、スルホニルクロリド化合物の還元により合成する方法が一般的であり、還元剤としては亜鉛末、亜硫酸イオン、アルカリ金属硫化物等が用いられる。また、その他の方法も知られている。上記を含めて、一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の一般的合成方法は、例えば、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)、4508巻、69(1951)、オーガニック・シンセシス(Organic Synthesis),Collective Vol.I.492(1941)、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.Am.Chem.Soc.)、72巻、1215(1950)、ibid、50巻、792、274、(1928)等に示されている。
本発明の安定化液においては、上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の添加量は、安定液1L当たり2.0mmol以上、30.0mmol以下であることが特徴であり、より好ましくは6.0mmol以上、20.0mmol以下である。
本発明の上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有する安定化液においては、鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下であることが1つの特徴であり、好ましくは0.1〜1.5mmol/Lであり、より好ましくは0.1〜1.0mmol/Lである。
安定化液中での鉄イオン濃度を1.5mmol/L以下に規定することにより、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料への鉄イオン残存量を低減し、かつ上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有することで、マゼンタ色画像の画像保存性に対する効果を発揮させることができる。また、安定化液中の鉄イオン濃度が0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下で、かつ上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有することで、イエロー色画像の画像保存性に対する効果をより一層発揮することができる。
本発明において、安定化液中の鉄イオン濃度を上記で規定する方法について、特に制限はないが、好ましくは、前浴である漂白浴あるいは漂白定着浴でキレート剤として用いられているアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩等の鉄塩の混入を低減することが有効であり、例えば、漂白浴あるいは漂白定着浴と安定化浴との間に、水洗工程、リンス工程を設ける方法、スクイズブレードを設ける方法等、その条件に応じ適宜選択することにより、達成することができる。
また、本発明の上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有する安定化液において、チオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下であることが1つの特徴であり、好ましくは0.5〜10.0mmol/Lであり、より好ましくは0.5〜6.0mmol/Lである。
安定化液中でのチオ硫酸塩濃度を10.0mmol/L以下に規定することにより、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料へのチオ硫酸塩の残存量を低減し、かつ上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有することで、マゼンタ色画像の画像保存性に対する効果を発揮させることができる。また、安定化液中のチオ硫酸塩濃度が0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下で、かつ上記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体を含有することで、イエロー色画像の画像保存性に対する効果をより一層発揮することができる。
本発明において、安定化液中のチオ硫酸塩濃度を上記で規定する方法について、特に制限はないが、好ましくは、前浴である定着浴あるいは漂白定着浴でハロゲン化銀乳剤の定着剤として用いられているチオ硫酸塩の混入を低減することが有効であり、例えば、定着浴あるいは漂白定着浴と安定化浴との間に、水洗工程、リンス工程を設ける方法、スクイズブレードを設ける方法等、その条件に応じ適宜選択することにより、達成することができる。
本発明の安定化液においては、更に前記一般式(II)、(III)で表される化合物及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
本発明に係る前記一般式(II)、(III)で表される化合物及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩を、本発明に係る一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体と共に用いることにより、画像保存性に対する効果をより一層発揮させると共に、ハロゲン化銀カラー写真感光材料から流出した分光増感色素等による裏面汚れ、あるいはステイン(色素汚染ともいう)の発生を効果的に防止し、あるいは蛍光増白剤として作用し良好な白地性能を得ることができ、かつ保存安定性に優れた色画像を実現することができる。
前記一般式(II)で表される化合物は、2,6−ジナフチルアミノトリアジン化合物(またはそれらの混合物)であり、ナフチル環に結合した少なくとも4個のスルホネート可溶化基とトリアジン環に結合した特定の置換基を有する。
前記一般式(II)において、Rはカルボキシル基(その塩を含む)またはスルホ基(その塩を含む)であり、mは0〜5の整数であり、nは2〜7の整数である。好ましくは、Rはカルボキシル基であり、mは1〜2の整数であり、nは2である。
以下に、本発明に係る一般式(II)で表される化合物の具体例を示するが、これら化合物にのみ限定されるものではない。
上記一般式(II)で表される例示化合物の中でも、化合物II−1(またはそのアルカリ金属塩)が最も好ましい。これらの2,6−ジナフチルアミノトリアジン化合物は、例えば、国際公開WO97/10887号に記載されている方法を使用して得ることができる。
次いで、前記一般式(III)で表される化合物について説明する。
前記一般式(III)において、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環、ヒドロキシル基、アミノ基、塩素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Lはフェニレン基またはナフチレン基を表し、上記各基は置換基を有するものを含み、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環があげられる。これらは例えば下記一般式(III−a)で表される。
一般式(III−a)
上記一般式(III−a)において、R1、R2及びR3は、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、これらの各基は置換基を有するものを含む。R1、R2及びR3で表される基は、アルキル基としては炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
また、R1、R2及びR3がそれぞれアリール基を表す場合、アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜10、さらに好ましくは6〜8のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2、4−ジスルホフェニル基が挙げられる。
R1、R2及びR3がカルボキシル基またはスルホ基を有する場合、これらはフリー体でも塩でもよく、この場合、対塩はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムである。このうち最も好ましいものはナトリウムおよびカリウムである。
R1、R2及びR3がそれぞれヘテロ環基を表す場合、ヘテロ環基としては炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、さらに好ましくは炭素数3〜8の置換もしくは無置換の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
前記一般式(III)において、X1、X2、Y1及びY2がそれぞれヘテロ環基の場合、それぞれ5または6員の芳香族もしくは非芳香族の含窒素ヘテロ環化合物から窒素原子に結合した1個の水素原子を取り除いた1価の5員環基または6員環基が好ましい。環の例としてはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環およびモルホリン環が含まれる。 Lで表されるフェニレン基またはナフチレン基としては置換基を有するものを含み、炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜15、更に好ましくは6〜11の置換もしくは無置換のフェニレン基またはナフチレン基であり、例えば、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、4−カルボキシ−1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、3−スルホ−1,4−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレン、2,5−ジメトキシ1,4−フェニレン、2,6−ジクロロー1,4−フェニレンの各基が挙げられる。
Lとして好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレンの各基であり、更に好ましくは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基である。
以下、一般式(III)で表される具体的な化合物例を示すが、本発明に係る化合物は、これらに限定されない。
上記説明した本発明に係る一般式(III)で表される化合物が分子内に不斉炭素を複数個有する場合、同一構造に対して複数の立体異性体が存在するが、本発明は可能性のある全ての立体異性体を示しており、複数の立体異性のうち1つだけを使用することも、あるいはそのうちの数種を混合物として使用することもできる。
本発明に係る一般式(III)で表される化合物、それぞれ1種を用いても複数を併用しても良く、用いる化合物の数と含有させる処理組成物の種類は任意に選ぶことができる。
次いで、本発明に係るα−ケトカルボン酸もしくはその塩について説明する。
本発明の安定化液において、α−ケトカルボン酸もしくはその塩を用いることにより、特に、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の裏面汚れに対してより優れてた効果を発揮させることができる。
本発明に係るα−ケトカルボン酸もしくはその塩としては、脂肪族基を含むことが好ましい。代表的なα−ケトカルボン酸もしくはその塩としては、例えば、ピルビン酸、オキサル酢酸、グリオキシル酸、メソシュウ酸、2−ケト酪酸及び2−ケトグルタル酸が挙げられ、その中でも、ピルビン酸、グリオキサル酸及びそれらの塩が好ましく、特にピルビン酸及びその塩が非常に好ましい。必要に応じて、これらのα−ケトカルボン酸もしくはその塩の混合物を使用してもよい。これらのα−ケトカルボン酸もしくはその塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩として提供できる。これらのα−ケトカルボン酸もしくはその塩は、Aldrich Chemical Companyなどの多くの化学薬品供給業者から入手できる。
上記説明した一般式(II)、(III)及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩の添加量としては、安定化液1L当たり0.1mmol以上、10.0mmol以下であることが、画像保存性、裏面汚れ及び濃縮安定化液の溶解性の観点から好ましい。
本発明においては、一般式(II)、(III)及びα−ケトカルボン酸もしくはその塩は、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上併用してもよい。
また、本発明の安定化液においては、更に前記一般式〔1〕で表される化合物を用いることが好ましい。
前記一般式〔1〕において、R1は炭素数1乃至2のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)または水素原子を表し、R2は炭素原子数1〜3のアルキル基(直さ、分岐を含み、置換基を有するものを含み、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、(i)プロピル基、ヒドロキシメチル基、スルホメチル基、ヒドロキシエチル基、スルホエチル基、ジスルホエチル基、ジヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1−スルホプロピル基、2−スルホプロピル基、トリヒドロキシ(i)プロピル基、1,2−ジスルホプロピル基)、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基または水素原子を表し、R3は水素原子またはヒドロキシル基を表す。
pは0〜2の整数、rは1〜3の整数を表し、rが2以上のとき、各Aは同一でも異なっていても良い。Aはベンゼン環の任意の位置に置換されて良い。また、sは0〜50の整数、tは0又は1、uは2〜150の整数を表す。
以下に、前記一般式〔1〕で表される化合物の具体的を示すが、本発明に係る化合物はこれらに限定されない。
上記例示化合物の中でも好ましくは〔1〕−2、〔1〕−3、〔1〕−4、〔1〕−5、〔1〕−6、〔1〕−13、〔1〕−17である。
また、その添加量としては、安定化液1L当り0.1g以上、0.5g以下であることが好ましい。
また、本発明の安定化液には、本発明の目的である画像保存性改良の観点から、亜硫酸塩(重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩も含む)を含有させることが好ましく、亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物のいずれであってもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的な化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの亜硫酸塩は、安定化液1Lあたり、0.5mmol〜50.0mmolの範囲で添加されることが好ましく、更に好ましくは0.5mmol〜20.0mmolである。
次いで、本発明の安定化液に含んでも良いその他の成分と処理方法について説明する。
安定化工程で用いる本発明の安定化液には、色素安定化に適した膜pHに調整するための緩衝剤や、アンモニウム化合物、前記殺菌剤や防黴剤を用いることができる。更に、界面活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤を加えることもできる。
本発明の安定化液には、その他成分として、例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸等のキレート剤、マグネシウムやビスマス化合物を用いることも好ましい態様である。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、特開昭57−8543号、同58−14834号、同60−220345号等に記載の公知の方法を、すべて用いることができる。
安定化工程の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には15〜45℃好ましくは20〜40℃である。時間は任意に設定できるが短い方が処理時間の低減の観点から望ましい。好ましくは5秒〜1分45秒、更に好ましくは5秒〜1分であるが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合には、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることが好ましく、またハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムである場合には、安定化処理工程に要する時間が10〜40秒であることが好ましい。
補充量は、少ない方がランニングコスト、排出量減、取扱い性等の観点で好ましい。
補充量は、感光材料1m2当たり1リットル以下が好ましく、より好ましくは500ml以下であり、更に好ましくは250ml以下であり、特に好ましく150ml以下である。また、補充は連続的に行っても間欠的に行ってもよい。
本発明の安定化液を用いた安定化工程の構成としては、1槽で構成されていても、あるいは2層以上で構成されていても良いが、好ましくは2槽以上で構成された多段向流方式を用いることが好ましい。
多段向流方式とは、複数に分割された安定化槽において、感光材料の搬送方向の下流から上流にかけて安定化液が多段の各分割安定化槽にオーバーフローしながらハロゲン化銀写真感光材料の搬送路に沿って流れ、安定化処理がなされる方式である。
次いで、本発明に係る現像処理工程で使用されるかく処理液とその処理方法について説明する。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法は、露光を施したハロゲン化銀カラー写真感光材料を発色処理工程(発色現像液)、漂白工程(漂白液)、定着工程(定着液)あるいは漂白定着工程(漂白定着液)、安定化工程(安定化液)を経て、乾燥する。
また、それぞれ補充用発色現像液、補充用漂白液、補充用定着液、あるいは補充用漂白定着液、補充用安定化液等を補充しながら連続的に現像処理することができる。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法において、発色現像に用いることのできる発色現像主薬としては、アミノフェノール類、フェニレンジアミン類があげられ、p−フェニレンジアミン類が好ましく、具体的には、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、ジエチルアミノ−o−トルイジン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン、4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン等の発色現像主薬が挙げられる。また、これらの発色現像主薬は、硫酸塩、塩酸塩等の塩の形態、あるいは上述のような遊離塩であってもよい。
その他に、補助現像主薬として、通常のハロゲン化銀現像剤、例えば、ハイドロキノンの如きポリヒドロキシベンゼン類、アミノフェノール類、3−ピラゾリドン類、アスコルビン酸とその誘導体、レダクトン類等、あるいはその混合物を含んでいてもよく、具体的には、ハイドロキノン、アミノフェノール、N−メチルアミノフェノール、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、アスコルビン酸、等が挙げられる。また、本発明に係る発色現像液には、更に特定のカブリ防止剤及び現像抑制剤を含有することができる。
本発明において、発色現像液を任意のpH領域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
発色現像液には、発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができる。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
以下、本発明で用いることのできる保恒剤について説明する。
本発明で用いることのできる保恒剤の具体的な化合物としては、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報又は明細書に開示されている。
また、その他の保恒剤としては、下記一般式(2)または(3)で表される化合物を含有させることもできる。
一般式(2)
上記一般式(2)において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、アルキル置換してもよいスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R,R′は各々水素原子、置換してもよいアルキル基を表す。Bは置換してもよいアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
上記一般式(2)において、Lは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基又はスルファモイル基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
以下に、一般式(2)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
次いで、一般式(3)で表される化合物について説明する。
上記一般式(3)において、R、R′は各々炭素原子数1〜6の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素を表わす。この場合、これらの炭化水素は、水酸基、カルボキシル基、スルホン基などで置換されていてもよい。また、カルボニル基等の2価の連結基を含んでもよい。nは4〜50,000の整数を表わす。sは0または1を表す。
sが1をとる場合、Aは
を表す。R″はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数2〜8のアルキレン基またはアルカントリイル基を示し、アルキレン基の場合、qは0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。qが1の場合、Bは一般式(3)で表わされるポリマーを示し、一般式(3)は3次元構造となる。mは0〜30の整数を示す。
sが0をとる一般式(3)で表される化合物、例えば、ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は既知の方法により容易に合成することができる。代表的な例としては、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ(J.Chem.Soc.,),75,1009(1899),J.Chem.Soc.,1963,3144等に記載の過酸化水素水を用いた2級アミンの酸化方法により、ポリ(アルキレンイミン)を酸化して合成する方法が挙げられる。この方法により合成された粗ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は写真特性に影響を与える成分を含まないため、精製することなく、そのまま発色現像液の組成物として使用することができる。また、「マクロモレキュルズ」(Macromolecules),21,1995(1988)等に記載の反応と組み合わせて、ポリ(アルキレンイミン)の末端基である1級アミンを2級アミンとすることにより、更に性能の優れたポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)を合成する方法も挙げられる。その他の方法としては、特開平3−259145号公報等に記載の方法を応用した、ヒドロキシルアミンとジハロゲン化アルキレンとの反応による合成方法等が挙げられる。
以下、一般式(3)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
前記保恒剤等は1L当たり1×10−2モル以上、1×10−1モル以下で含有することが好ましい。また、発色現像液には、対象とする感光材料の種類によっては保恒剤として亜硫酸塩を含んでも良い。
また、ヒドロキシルアミンを含んでも良く、ヒドロキシルアミとしては、通常、塩酸塩や硫酸塩の形で用いる。
その他、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物または一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体等を必要に応じて含んでも良い。
次に、発色現像液の処理温度は、現像処理されるハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーの場合は、30〜55℃であり、好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。発色現像処理時間は、5〜90秒であり、好ましくは、15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、ハロゲン化銀カラー写真感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。一方、カラーネガフィルムの発色現像処理の場合は、処理温度は20〜55℃であり、好ましくは30〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。発色現像処理時間は、20秒〜6分であり、好ましくは、30〜200秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり100〜800mlが適当であり、好ましくは200〜500ml、特に好ましくは250〜400mlである。カラーペーパー又はカラーネガフィルムともに、クロスオーバータイムは5秒以下、好ましくは3秒以下であり、該クロスオーバータイムとすることで、漂白カブリに対して顕著な効果がある。
また、カラーネガフィルム用の発色現像液では、通常臭素イオンを0.2×10−2〜15.0×10−2モル/リットル、好ましくは0.5×10−2〜5.0×10−2モル/リットル含有することが多いが、臭素イオンは、通常現像の副生成物として該処理組成物中に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。また、沃素イオンを0.2×10−3〜15.0×10−3モル/リットル、好ましくは0.5×10−3〜5.0×10−3モル/リットル含有することが多いが、沃素イオンも通常現像の副生成物として該処理組成物中に放出されることもあるので補充液には添加不要のことが多い。
カラーペーパー用の発色現像液では、通常塩素イオンを3.5×10−2〜1.5×10−1モル/リットル含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法では、発色現像後、漂白処理、あるいは漂白定着処理を施される。
漂白液あるいは漂白定着液において用いられる漂白剤としては、いかなる漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、などのアミノポリカルボン酸類、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸および有機ホスホン酸などの錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸;過硫酸塩;過酸化水素などが好ましい。
これらのうち、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸の鉄(III)錯塩が漂白力が高いことから好ましい。これらの第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二鉄などとアミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第二鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.05〜0.50モル/リットルである。
漂白液あるいは漂白定着液には、漂白促進剤として種々の化合物を用いることができる。例えば、リサーチディスクロージャー17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフイド結合を有する化合物や、チオ尿素系化合物、あるいは沃素、臭素イオン等のハロゲン化物が漂白力に優れる点で好ましい。
その他、漂白液あるいは漂白定着液には、臭化物(例えば、臭化カリウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)または沃化物(例えば、沃化アンモニウム)等の再ハロゲン化剤を含むことができる。必要に応じ硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、マレイン酸、マレイン酸ナトリウム、酒石酸などのpH緩衝能を有する一種類以上の無機酸、有機酸およびこれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩または、硝酸アンモニウム、グアニジンなどの腐蝕防止剤などを添加することができる。
定着液あるいは漂白定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩;エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを一種あるいは二種以上混合して使用することができる。本発明においては、チオ硫酸特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.3〜2モルが好ましく、更に好ましくは0.5〜1.0モルの範囲である。漂白定着液又は定着液のpH領域は、3〜10が好ましく、更には5〜9が特に好ましい。
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、イミダゾール類、前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体、界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることもできる。
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、保恒剤として亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、などの添加が一般的であるが、その他、アスコルビン酸や、カルボニル重亜硫酸付加物、あるいは、カルボニル化合物等を添加してもよい。
更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、液中でのバクテリアの繁殖防止や処理後の感光材料に防黴性を付与するため、各種殺菌剤や防黴剤を用いることができる。
次いで、漂白定着、漂白及び定着の各処理工程について説明する。
漂白定着処理液の処理工程に要する時間は、90秒以下が好ましく、更に好ましくは45秒、特に好ましくは26秒以下である。
前記の工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続するリンス又は安定化処理槽へハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間の液外搬送時間(クロスオーバータイム)を含むものとする。クロスオーバータイムは、好ましくは5秒以下、より好ましくは3秒以下である。
前記処理工程の温度は、20〜60℃で使用されるのがよいが、望ましくは25〜60℃である。
また、漂白液の処理工程に要する時間は2分以下が好ましく、より好ましくは45秒以下、さらに好ましくは26秒以下である。前記の工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続する定着処理槽へハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは5秒以下が好ましく、より好ましくは3秒以下である。
前記処理工程の温度は、20〜60℃で使用されるのがよいが、望ましくは25〜60℃である。
また、漂白液では、エアレーションを実施しても良い。エアレーションには当業界で公知の手段を使用できる。エアレーションに関しては、例えば、イーストマン・コダック社発行のZ−121、ユージング・プロセス・C−41第3版(1982年)、BL−1〜BL−2頁に記載の事項を利用できる。また、漂白液の処理においては、撹拌が強化されることが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。その中でも特に感光材料の乳剤面に漂白液を吹き付けるジェット撹拌方式が好ましい。また、処理温度に特に制限はないが、好ましくは25〜50℃であり、特に好ましくは35〜45℃である。また、漂白能を有する処理液が漂白液の場合には、処理に使用後のオーバーフロー液を回収し、成分を添加して組成を修正した後、再利用することができる。このような使用方法は、通常、再生と呼ばれるが、本発明はこのような再生も好ましくできる。
上述した他、「写真工学の基礎−銀塩写真編−」(日本写真学会編、コロナ社発行、1979年刊)等に記載の方法が利用できる。具体的には、電解再生の他、臭素酸や、亜塩素酸、臭素、臭素プレカーサー、過硫酸塩、過酸化水素、触媒を利用した過酸化水素、亜臭素酸、オゾン等による漂白液の再生方法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
定着液の処理工程に要する時間は3分以下が好ましく、より好ましくは2分以下である。前記の処理工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽にハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続する安定化又はリンス処理槽へハロゲン化銀カラー写真感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。前記処理工程の温度は20〜60℃で使用されるのがよいが、好ましくは25〜60℃である。クロスオーバータイムは好ましくは5秒以下、より好ましくは3秒以下である。
本発明の安定化液を用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を適用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、支持体上にハロゲン化銀感光性層を有する多種多様の写真要素、例えば、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができ、例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。また、前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料では、カラーネガフィルムまたはカラーペーパーが好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、主に、支持体上に、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層および非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーの構成例を説明する。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、中でも塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、あるいは塩沃化銀の場合、本発明の効果が顕著となり好ましい。また、迅速処理性、処理安定性の観点からは、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間露光における高濃度域での特性曲線の軟調化を軽減する観点から、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いることができる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面、あるいは結晶粒子の頂点であることが特に好ましい。
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間の走査露光での軟調化を軽減する観点から、重金属イオンを含有させたハロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、例えば、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や錯塩の形態でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子またはイオンとしては、例えば、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
ハロゲン化銀粒子に上述の重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後等、物理熟成中の各工程における任意の時期で添加すればよい。また、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体或いは一部に亘って連続的に行うことができる。
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上5×10−5モル以下が好ましい。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子は単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び、感度や他の写真性能などを考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは0.2〜1.0μmの範囲である。この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使って、これを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積として、これを表すことができる。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここでいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、下記式によって定義される。
変動係数=S/R
(ここで、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子においては、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れの方法により得られたものであってもよい。ハロゲン化銀粒子は、一度に成長させたものであってもよいし、種粒子を調製した後、成長させたものでもよい。種粒子を調製する方法と粒子を成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、あるいはそれらの組合せた方法など、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。ハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、例えば、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、中でもイオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、例えば、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
金増感剤としては、例えば、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、例えば、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−4〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5〜1×10−8モルである。本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
本発明に係る感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤や安定剤を用いることができる。この様な目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下で化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5〜1×10−2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の構成層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料、および特開平6−3770号公報明細書記載の染料、さらに特開平11−119379号公報に記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。
本発明に係る感光材料中に蛍光増白剤を添加することが、白地性改良の観点から好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料は、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の分光増感に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)または(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号明細書、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号公報、同8−311360号公報、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
また、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
本発明において、マゼンタ色画像形成層で用いるマゼンタカプラーとして、例えば、5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級または3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3または6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号0009〜0026はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号明細書、同第884640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
また、本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号明細書、同第953871A1号明細書、同第953872A1号明細書、同第953873A1号明細書、同第953874A1号明細書、同第953875A1号明細書等に記載のピロール−2または3−イル若しくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加する方法として水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号公報明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も用いることができる。
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開平64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報明細書9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報明細書10ページ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したり、またハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良したりすることが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同号公報明細書13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良したりすることが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては、特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましく、例えば、特開昭61−249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料の処理前あるいは処理後の表面物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
本発明に係る感光材料においては、イエロー色画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成層を、それぞれ少なくとも1層有していればよいが、必要に応じて複数の色画像形成層でユニットを形成してもよい。
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1g/m2〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2g/m2〜5g/m2の範囲である。
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
本発明に係る感光材料中には、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には増感色素の感光材料外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、更に70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。
本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、更には15質量%が好ましい。
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
本発明に係る感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーフィルムの代表的構成要素を説明する。
例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す。)No.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion,Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RDNo.17643、RDNo.18716及びRDNo.308119(それぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。なお、下記に記載の各数値は、記載されている頁を表す。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
本発明に係る感光性層には、種々のカプラーを使用することが出来、その具体例は、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
上記各添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することが出来る。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることも出来る。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることが出来る。
本発明の安定化液を用いることのできる処理プロセスとしては、例えば、カラーネガフィルムの処理ではプロセスC−41処理(イーストマンコダック社製)あるいはプロセスCNK−4処理(コニカ社製)、カラーペーパーを処理するプロセスRA−4処理(イーストマンコダック社製)あるいはプロセスCPK−2処理(コニカ社製)、及びカラーリバーサルフィルムを処理するプロセスE−6処理(イーストマンコダック社製)を含む種々の処理工程を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーを作製した。
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。ただし、各乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンの分散物(含有量は15質量%)を含有する溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体Aを作製した。この反射支持休Aをコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各構成層を塗設し、カラーペーパーである試料101を作製した。
上記試料101の作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
なお、表1、表2に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1を、常法に従い調製した。次に、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。また、EMP−1Bに対しても同様に感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の比率で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10−4モル/モルAgX
〈緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2を、常法に従い調製した。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の比率で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10−4モル/モルAgX
〈赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3を、常法に従い調製した。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の比率で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10−4モル/モルAgX
上記各ハロゲン化銀乳剤の調製に使用した各化合物の詳細は、以下の通りである。
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性ハロゲン化銀乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10−3モル添加した。
《現像処理》
上記作製した試料101を、常法に従ってウェッジ露光を行った後、下記の処理条件I−1〜I−23に従って現像処理し、現像済試料I−1〜I−23を作製した。
(各処理液組成)
〈発色現像液:1L当たり〉
p−トルエンスルホン酸 10.0g
塩化カリウム 5.0g
水酸化ナトリウム 6.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エ
チル)アニリン硫酸塩 8.5g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム塩 5.5g
炭酸カリウム 22.5g
ジエチレントリアミン五酢酸 8.0g
pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて、10.20に調整した。
〈漂白定着液:1L当たり〉
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.2モル
チオ硫酸アンモニウム 0.54モル
亜硫酸アンモニウム 0.15モル
コハク酸 20.5g
pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて、6.0に調整した。
〈安定化液I−1:1L当たり〉(安定化−1、安定化−2に使用)
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
o−フェニルフェノール 0.1g
亜硫酸ナトリウム 0.5g
pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて7.0に調整した。
〔処理条件I−2〜I−23〕
上記処理条件I−1において、安定化液I−1に、鉄イオン及び一般式(I)で表される化合物を、表3に記載のように添加した安定化液I−2〜I−23に変更した以外は同様にした処理条件I−2〜−23で現像処理を行った。
なお、鉄イオンとしては、エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウムを用いた。
《現像済試料の評価》
〔画像保存性の評価〕
上記作製した処理済試料I−1〜I−23を、キセノンフェードメーターで20日間光照射し、マゼンタ色画像の処理前の濃度約1.0におけるマゼンタ反射濃度残存率(%)を下式により求め、これを画像保存性の尺度とした。
マゼンタ反射濃度残存率={光照射後のマゼンタ反射濃度/光照射前のマゼンタ反射濃度(マゼンタ濃度約1.0)}×100(%)
以上により得られた結果を、表3に示す。
表3の結果より明らかなように、鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下で、かつ本発明に係る一般式(I)で表される化合物を2.0mmol/L以上、30.0mmol/L以下で含有する安定化液を用いて現像処理して得られたマゼンタ色画像は、比較例に対し、画像保存性(耐光性)に優れていることが分かる。
[実施例2]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液に、チオ硫酸アンモニウム及び一般式(I)で表される化合物を、表4に記載のように添加した以外は同様にして安定化液II−1〜II−22を調製し、これを用いた処理条件II−1〜II−22で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法と同様にして、画像保存性の評価を行った。得られた結果を表4に示す。なお、上記評価の際、実施例1に記載の処理条件I−1も併せて行った。
表4の結果より明らかなように、チオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下で、かつ本発明に係る一般式(I)で表される化合物を2.0mmol/L以上、30.0mmol/L以下で含有する安定化液を用いて現像処理して得られたマゼンタ色画像は、比較例に対し、画像保存性(耐光性)に優れていることが分かる。
[実施例3]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液に、鉄イオン(エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム)、チオ硫酸アンモニウム及び一般式(I)で表される化合物を、表5に記載のように添加した以外は同様にして安定化液III−1〜III−23を調製し、これを用いた処理条件III−1〜III−23で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法と同様にして、画像保存性の評価を行った。得られた結果を表5に示す。なお、上記評価の際、実施例1に記載の処理条件I−1も併せて行った。
表5の結果より明らかなように、鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下で、チオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下で、かつ本発明に係る一般式(I)で表される化合物を2.0mmol/L以上、30.0mmol/L以下で含有する安定化液を用いて現像処理して得られたマゼンタ色画像は、比較例に対し、画像保存性(耐光性)が優れていることが分かる。
[実施例4]
実施例3に記載の処理条件III−6(安定化液III−6)において、一般式(I)で表される例示化合物I−43の添加量を表6に記載のように変更した以外は同様にして安定化液IV−1〜IV−9を調製し、これを用いた処理条件IV−1〜IV−9で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法でキセノンフェードメーターの光照射日数を35日間に変更した以外は同様にして、画像保存性の評価を行い、得られた結果を表6に示す。なお、上記評価の際、実施例3に記載の処理条件III−6も併せて行った。
表6の結果より明らかなように、画像保存性の評価をより過酷な条件で行った場合、本発明に係る一般式(I)で表される例示化合物I−43の添加量を6.0mmol/L以上、20.0mmol/L以下の条件である安定化液を用いることにより、特に良好な画像保存性が得られることが分かる。
[実施例5]
実施例1に記載の処理条件I−1と、実施例3に記載の処理条件III−5において、安定化工程の処理時間を表7に記載のように変化させた以外は同様にして、処理条件V−1〜V−16で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法と同様にして、画像保存性の評価を行い、得られた結果を表7に示す。なお、上記評価の際、実施例1に記載の処理条件I−1と、実施例3に記載の処理条件III−5も併せて行った。
なお、本評価における安定化工程の処理時間は、安定化−1と安定化−2の合計処理時間である。
表7の結果より明らかなように、カラーペーパーである試料101の処理において、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含まない比較例では、処理時間が30、40秒ではやや良好の結果が得られてはいるが、26秒以下という短時間の安定化処理時間では、急激に画像保存性の劣化を引き起こしている。これに対し、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含む本発明では、安定化工程処理に要する時間が8秒〜26秒の条件においても、本発明の効果(画像保存性)が顕著に発揮されることが分かる。なお、本発明において、安定化工程の処理時間が30秒、40秒でも同様の結果を得ることはできたが、超迅速処理という観点からは安定化処理に時間を要しすぎ、処理時間短縮の妨げとなることが予測される。
[実施例6]
実施例3に記載の処理条件III−7(安定化液IIIー7)において、表8に記載の各化合物を添加した以外は同様にして安定化液VI−1〜VI−10を調製し、更に安定化処理工程を2槽から1槽にし、処理時間を8秒処理に変更した以外は同様にした処理条件VI−1〜VI−11で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法で画像保存性の評価と、下記の方法に従って裏面汚れの評価を行い、得られた結果を表8に示す。
(裏面汚れ耐性の評価)
上記方法に従い現像処理を行った各試料の裏面を目視観察し、下記の基準に従い裏面汚れ耐性の評価を行った。
◎:裏面汚れの発生がない
○:裏面をよく見ると僅かに汚れが認められる
△:裏面に薄い汚れがあるが、実用上特に問題ない品質
×:裏面に許容できないほど激しく汚れが認められる
表8の結果より明らかなように、安定化処理工程の処理槽を1槽とし、更に処理時間を短くした処理条件下では、安定化液に本発明に係る一般式(II)、(III)で表される化合物又はピルビン酸、グリオキシル酸の如きα−ケトカルボン酸を添加することにより、特に良好な画像保存性が得られるばかりか、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の裏面汚れに対しても良好な性能を発揮することが分かる。その中でも、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の裏面汚れに対しては、特に一般式(II)、(III)で表される化合物を添加することで良好な性能が発揮されていることが分かる。
[実施例7]
実施例3に記載の処理条件III−7(安定化液III−7)において、表9に記載の各化合物を添加した以外は同様にして安定化液VII−1〜VII−8を調製し、更に安定化処理工程を2槽から1槽にし、処理時間を8秒処理に変更した以外は同様にした処理条件VII−1〜VII−9で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法で画像保存性の評価を行い、得られた結果を表9に示す。
表9の結果より明らかなように、安定化処理工程の処理槽を1槽とし、更に処理時間を短くした処理条件下では、安定化液に本発明に係る一般式〔1〕で表される添加剤を添加することにより、良好な画像保存性が得られることが分かる。
[実施例8]
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーネガフィルムを作製した。
下引層を設けた厚さ125μmのセルローストリアセテートフィルム支持体上に、以下の組成物を塗布して多層からなる撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料である試料102を作製した。
以下、全ての記載において、ハロゲン化銀カラー写真感光材料中の各添加剤の添加量は、特に記載のない限り1m2あたりのグラム数で示した。また、ハロゲン化銀およびコロイド銀は、金属銀に換算して示し、増感色素はハロゲン化銀1モル当たりのモル数で示した。
(第1層:ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 0.18
紫外線吸収剤(UV−1) 0.3
カラードカプラー(CM−1) 0.08
カラードカプラー(CC−1) 0.05
高沸点有機溶剤(OIL−1) 0.16
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.5
ゼラチン 1.5
(第2層:中間層)
カラードカプラー(CC−1) 0.035
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.08
ゼラチン 0.7
(第3層:低感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.30
沃臭化銀乳剤b 0.06
増感色素(SD−1) 1.10×10−5
増感色素(SD−2) 5.40×10−5
増感色素(SD−3) 1.25×10−4
シアンカプラー(C−1) 0.30
カラードカプラー(CC−1) 0.054
DIR化合物(DI−1) 0.02
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.3
化合物(AS−2) 0.001
ゼラチン 1.5
(第4層:中感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤b 0.37
SD−1 1.50×10−5
SD−2 7.00×10−5
SD−3 1.65×10−4
C−1 0.23
CC−1 0.038
DI−1 0.01
OIL−2 0.27
AS−2 0.001
ゼラチン 1.5
(第5層:高感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.04
沃臭化銀乳剤b 0.18
沃臭化銀乳剤c 0.50
SD−1 1.30×10−5
SD−2 6.00×10−5
SD−3 1.40×10−4
C−1 0.12
C−2 0.03
CC−1 0.03
DI−1 0.004
OIL−2 0.19
AS−2 0.002
ゼラチン 1.2
(第6層:中間層)
OIL−1 0.08
AS−1 0.08
ゼラチン 0.9
(第7層:低感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.22
沃臭化銀乳剤d 0.09
SD−4 1.50×10−4
SD−5 3.75×10−5
M−1 0.35
CM−1 0.12
OIL−1 0.49
DI−2 0.017
AS−2 0.0015
ゼラチン 2.2
(第8層:中感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤d 0.46
SD−5 2.10×10−5
SD−6 1.61×10−4
SD−7 2.40×10−5
M−1 0.1
CM−1 0.05
OIL−1 0.15
AS−2 0.001
ゼラチン 1.6
(第9層:高感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.03
沃臭化銀乳剤e 0.47
SD−5 1.90×10−5
SD−6 1.43×10−4
SD−7 2.10×10−5
M−1 0.033
M−2 0.023
CM−1 0.023
DI−1 0.009
DI−2 0.0009
OIL−1 0.08
AS−2 0.002
ゼラチン 1.2
(第10層:イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 0.08
OIL−1 0.06
AS−1 0.8
ゼラチン 0.9
(第11層:低感度青感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.18
沃臭化銀乳剤f 0.14
沃臭化銀乳剤g 0.08
SD−8 1.15×10−4
SD−9 5.60×10−5
SD−10 2.56×10−5
Y−1 1.0
OIL−1 0.4
AS−2 0.002
FS−1 0.08
ゼラチン 3.0
(第12層:高感度青感光性層)
沃臭化銀乳剤g 0.30
沃臭化銀乳剤h 0.30
SD−8 7.12×10−5
SD−10 2.39×10−5
Y−1 0.1
OIL−1 0.04
AS−2 0.002
FS−1 0.01
ゼラチン 1.10
(第13層:第1保護層)
沃臭化銀乳剤i 0.3
UV−1 0.11
UV−2 0.53
ゼラチン 0.9
(第14層:第2保護層)
PM−1 0.15
PM−2 0.04
WAX−1 0.02
ゼラチン 0.55
尚上記組成物の他に、化合物SU−1、SU−2、粘度調整剤V−1、硬膜剤H−1、H−2、安定剤ST−1、ST−2、カブリ防止剤AF−1、AF−2、AF−3、染料AI−1、AI−2、AI−3及び防腐剤D−1を各層に適宜添加した。
上記試料102の作製に用いたハロゲン化銀乳剤の一覧を、下記表10に示す。尚平均粒径は、立方体に換算した粒径で示した。
沃臭化銀乳剤b、e、g、hは、イリジウムを1×10−7〜1×10−6mol/1molAg含有している。
上記沃臭化銀乳剤i以外の各乳剤は、前記増感色素を添加した後、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウム等を添加し、カブリ−感度の関係が最適になるように化学増感を施した。
《現像処理》
上記作製した試料102を、常法に従ってウェッジ露光を行った後、下記の処理条件VIII−1に従って現像処理し、現像済試料VIII−1を作製した。
(各処理液組成)
〈発色現像液:1L当たり〉
ジエチレングリコール 5.0g
N,N−ビス(2−スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム 5.0g
臭化カリウム 1.3g
亜硫酸ナトリウム 5.5g
N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸
塩 9.0g
パラトルエンスルホン酸ナトリウム 3.0g
ヨウ化カリウム 2.0mg
ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム塩 3.0g
炭酸カリウム 40.0g
水を加えて全量を1Lとし、硫酸又は水酸化カリウムでpHを10.30に調整する。
〈漂白液:1L当たり〉
1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム塩 150g
1,3−プロピレンジアミン4酢酸 5g
臭化アンモニウム 50g
マレイン酸 35g
琥珀酸 20g
水を加えて全量を1Lとし、硫酸又は水酸化カリウムでpHを3.5に調整する。
〈定着液:1L当たり〉
チオ硫酸アンモニウム 230g
亜硫酸ナトリウム 15g
エチレンジアミン4酢酸 2g
炭酸カリウム 2g
イミダゾール 7g
メルカプトトリアゾール 2g
水を加えて全量1Lとし、硫酸又はアンモニア水でpHを6.5に調整する。
〈安定化液VIII−1:1L当たり〉(安定化液−1、安定化液−2に使用)
エチレンジアミン4酢酸 0.2g
ポリビニルピロリドンK−17(BASF社製) 0.1g
フッ素系界面活性剤 0.1g
水を加えて全量1Lとし、硫酸又はアンモニア水でpHを8.5に調整する。
〔処理条件VIII−2〜VIII−16〕
上記処理条件VIII−1において、安定化工程の処理時間を表11に記載のように変更した以外は同様にして、処理条件VIII−2〜VIII−6で現像処理し、処理済試料VIII−2〜VIII−6を得た。また、安定化液VIII−1に代えて、下記の安定化液VIII−2を用い、更に安定化工程の処理時間を表11に記載のように変更した以外は同様にして、処理条件VIII−7〜VIII−11で現像処理し、処理済試料VIII−7〜VIII−11を得た。なお、表11に記載の安定化工程の処理時間は、安定化−1及び安定化−2の合計処理時間である。
〈安定化液VIII−2:1L当たり〉
エチレンジアミン4酢酸 0.2g
ポリビニルピロリドンK−17(BASF社製) 0.1g
フッ素系界面活性剤 0.1g
例示化合物1−38 10.0mmol
鉄イオン 0.8mmol
水を加えて全量1Lとし、硫酸又はアンモニア水でpHを8.5に調整した。
なお、鉄イオンとしては、1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウムを用いた。
《現像済試料の評価》
〔画像保存性の評価〕
上記作製した処理済試料VIII−2〜VIII−11を、キセノンフェードメーターで7日間光照射し、マゼンタ色画像の処理前の濃度約1.0におけるマゼンタ透過濃度残存率(%)を下式により求め、これを画像保存性の尺度とした。
マゼンタ透過濃度残存率={光照射後のマゼンタ透過濃度/光照射前のマゼンタ透過濃度(マゼンタ濃度約1.0)}×100(%)
以上により得られた結果を、表11に示す。
表11の結果より明らかなように、鉄イオンを1.5mmol/L以下、及び本発明に係る一般式(I)で表される化合物を10.0mmol/L含有する本発明の安定化液を用いることにより、比較例に対し、カラーネガフィルムにおいてもマゼンタ色画像の画像保存性が向上を確認することができた。また、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含まない比較例では、40秒以下という短時間の安定化処理時間では、急激に画像保存性の劣化を引き起こしている。これに対し、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含む本発明では、安定化処理工程に要する時間が10〜40秒の場合でも本発明の効果が顕著に発揮されることが分かる。
[実施例9]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液に鉄イオン(エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム)及び一般式(I)で表される化合物を表12記載のように添加した以外は同様にして安定化液IX−1〜IX−14を調製し、これを用いて処理条件IX−1〜IX−14で試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の画像保存評価の条件で保存した後、下式に従ってイエロー画像の光照射前の濃度約1.0における反射濃度残存率を求め、これをイエロー色画像の画像保存性の尺度とした。
イエロー反射濃度残存率={光照射後のイエロー反射濃度/光照射前のイエロー反射濃度(イエロー濃度約1.0)}×100%
以上により得られた結果を、表12に記載する。
表12の結果より明らかなように、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含まない比較例の現像処理では、安定化液中の鉄イオン濃度が0.1mmol/L以上では、イエロー色画像の画像保存性劣化を引き起こしていることが分かる。これに対し、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含む本発明の安定化液では、安定化液中の鉄イオン濃度が、0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下の条件においても、イエロー色画像の画像保存性(耐光性)が良好であることが分かる。
[実施例10]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液にチオ硫酸アンモニウム及び一般式(I)で表される化合物を表13に記載のように添加した以外は同様にして安定化液X−1〜X−12を調製し、これを用いて処理条件X−1〜X−12で、試料101の現像処理を行い、実施例9に記載の方法と同様にして、イエロー色画像の画像保存性の評価を行った。得られた結果を表13に示す。
表13の結果より明らかなように、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含まない比較例の現像処理では、安定化液中のチオ硫酸塩(チオ硫酸アンモニウム)の濃度が0.5mmol/L以上では、イエロー色画像の画像保存性の劣化を引き起こしていることが分かる。これに対し、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含む本発明の安定化液では、安定化液中のチオ硫酸塩の濃度が、0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下の条件においても、イエロー色画像の画像保存性(耐光性)に優れた効果を発揮していることが分かる。
[実施例11]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液に鉄イオン(エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム)、チオ硫酸アンモニウム及び一般式(I)で表される化合物を表14に記載のように添加した以外は同様にして安定化液XI−1〜XI−20を調製し、これを用いて処理条件XI−1〜XI−20で、試料101の現像処理を行い、実施例9に記載の方法と同様にして、イエロー色画像の画像保存性の評価を行った。得られた結果を表14に示す。
表14の結果より明らかなように、一般式(I)で表される化合物を含まない比較例の現像処理では、安定化液中の鉄イオン濃度が0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下であって、かつチオ硫酸塩濃度が0.5mmol/L以上、10.0mmo/L以下の条件では、イエロー色画像の画像保存性劣化を引き起こしていることが分かる。これに対し、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を含む本発明の安定化液では、安定化液中の鉄イオン濃度が0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下であって、かつチオ硫酸塩濃度が0.5mmol/L以上、10.0mmo/L以下の条件においても、イエロー色画像の画像保存性(耐光性)に優れた効果を発揮していることが分かる。
[実施例12]
実施例3に記載の処理条件III−6(安定化液III−6)において、亜硫酸ナトリウムを表15に記載のように変更した以外は同様にして、安定化液XII−1〜XII−14を調製し、これと実施例3で調製した安定化液III−6を用いて、処理条件XII−1〜XII−15で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法でマゼンタ色画像の画像保存性の評価を行った。得られた結果を表15に示す。
表15の結果より明らかなように、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム)を0.5mmol/L以上、50.0mmol/L以下で添加した安定化液を用いて現像処理することで、良好なマゼンタ色画像の画像保存性(耐光性)が得られることが分かる。また、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム)を0.5mmol/L以上、20.0mmol/L以下で添加した安定化液を用いて現像処理した条件では、特に良好な本発明のマゼンタ色画の画像保存性が得られることが分かる。
[実施例1]
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーを作製した。
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。ただし、各乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンの分散物(含有量は15質量%)を含有する溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体Aを作製した。この反射支持休Aをコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各構成層を塗設し、カラーペーパーである試料101を作製した。
上記試料101の作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1を、常法に従い調製した。次に、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。また、EMP−1Bに対しても同様に感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の比率で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10−4モル/モルAgX
〈緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2を、常法に従い調製した。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の比率で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10−4モル/モルAgX
〈赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3を、常法に従い調製した。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の比率で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10−4モル/モルAgX
上記各ハロゲン化銀乳剤の調製に使用した各化合物の詳細は、以下の通りである。
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性ハロゲン化銀乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10−3モル添加した。
《現像処理》
上記作製した試料101を、常法に従ってウェッジ露光を行った後、下記の処理条件I−1〜I−23に従って現像処理し、現像済試料I−1〜I−23を作製した。
(各処理液組成)
〈発色現像液:1L当たり〉
p−トルエンスルホン酸 10.0g
塩化カリウム 5.0g
水酸化ナトリウム 6.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エ
チル)アニリン硫酸塩 8.5g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム塩 5.5g
炭酸カリウム 22.5g
ジエチレントリアミン五酢酸 8.0g
pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて、10.20に調整した。
〈漂白定着液:1L当たり〉
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.2モル
チオ硫酸アンモニウム 0.54モル
亜硫酸アンモニウム 0.15モル
コハク酸 20.5g
pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて、6.0に調整した。
〈安定化液I−1:1L当たり〉(安定化−1、安定化−2に使用)
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
o−フェニルフェノール 0.1g
亜硫酸ナトリウム 0.5g
pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて7.0に調整した。
〔処理条件I−2〜I−23〕
上記処理条件I−1において、安定化液I−1に、鉄イオン及び一般式(I)で表される化合物を、表3に記載のように添加した安定化液I−2〜I−23に変更した以外は同様にした処理条件I−2〜−23で現像処理を行った。
なお、鉄イオンとしては、エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウムを用いた。
《現像済試料の評価》
〔画像保存性の評価〕
上記作製した処理済試料I−1〜I−23を、キセノンフェードメーターで20日間光照射し、マゼンタ色画像の処理前の濃度約1.0におけるマゼンタ反射濃度残存率(%)を下式により求め、これを画像保存性の尺度とした。
マゼンタ反射濃度残存率={光照射後のマゼンタ反射濃度/光照射前のマゼンタ反射濃度(マゼンタ濃度約1.0)}×100(%)
以上により得られた結果を、表3に示す。
[実施例2]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液に、チオ硫酸アンモニウム及び一般式(I)で表される化合物を、表4に記載のように添加した以外は同様にして安定化液II−1〜II−22を調製し、これを用いた処理条件II−1〜II−22で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法と同様にして、画像保存性の評価を行った。得られた結果を表4に示す。なお、上記評価の際、実施例1に記載の処理条件I−1も併せて行った。
[実施例3]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液に、鉄イオン(エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム)、チオ硫酸アンモニウム及び一般式(I)で表される化合物を、表5に記載のように添加した以外は同様にして安定化液III−1〜III−23を調製し、これを用いた処理条件III−1〜III−23で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法と同様にして、画像保存性の評価を行った。得られた結果を表5に示す。なお、上記評価の際、実施例1に記載の処理条件I−1も併せて行った。
[実施例4]
実施例3に記載の処理条件III−6(安定化液III−6)において、一般式(I)で表される例示化合物I−43の添加量を表6に記載のように変更した以外は同様にして安定化液IV−1〜IV−9を調製し、これを用いた処理条件IV−1〜IV−9で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法でキセノンフェードメーターの光照射日数を35日間に変更した以外は同様にして、画像保存性の評価を行い、得られた結果を表6に示す。なお、上記評価の際、実施例3に記載の処理条件III−6も併せて行った。
[実施例5]
実施例1に記載の処理条件I−1と、実施例3に記載の処理条件III−5において、安定化工程の処理時間を表7に記載のように変化させた以外は同様にして、処理条件V−1〜V−16で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法と同様にして、画像保存性の評価を行い、得られた結果を表7に示す。なお、上記評価の際、実施例1に記載の処理条件I−1と、実施例3に記載の処理条件III−5も併せて行った。
なお、本評価における安定化工程の処理時間は、安定化−1と安定化−2の合計処理時間である。
[実施例6]
実施例3に記載の処理条件III−7(安定化液IIIー7)において、表8に記載の各化合物を添加した以外は同様にして安定化液VI−1〜VI−10を調製し、更に安定化処理工程を2槽から1槽にし、処理時間を8秒処理に変更した以外は同様にした処理条件VI−1〜VI−11で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法で画像保存性の評価と、下記の方法に従って裏面汚れの評価を行い、得られた結果を表8に示す。
(裏面汚れ耐性の評価)
上記方法に従い現像処理を行った各試料の裏面を目視観察し、下記の基準に従い裏面汚れ耐性の評価を行った。
◎:裏面汚れの発生がない
○:裏面をよく見ると僅かに汚れが認められる
△:裏面に薄い汚れがあるが、実用上特に問題ない品質
×:裏面に許容できないほど激しく汚れが認められる
[実施例7]
実施例3に記載の処理条件III−7(安定化液III−7)において、表9に記載の各化合物を添加した以外は同様にして安定化液VII−1〜VII−8を調製し、更に安定化処理工程を2槽から1槽にし、処理時間を8秒処理に変更した以外は同様にした処理条件VII−1〜VII−9で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法で画像保存性の評価を行い、得られた結果を表9に示す。
[実施例8]
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーネガフィルムを作製した。
下引層を設けた厚さ125μmのセルローストリアセテートフィルム支持体上に、以下の組成物を塗布して多層からなる撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料である試料102を作製した。
以下、全ての記載において、ハロゲン化銀カラー写真感光材料中の各添加剤の添加量は、特に記載のない限り1m2あたりのグラム数で示した。また、ハロゲン化銀およびコロイド銀は、金属銀に換算して示し、増感色素はハロゲン化銀1モル当たりのモル数で示した。
(第1層:ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 0.18
紫外線吸収剤(UV−1) 0.3
カラードカプラー(CM−1) 0.08
カラードカプラー(CC−1) 0.05
高沸点有機溶剤(OIL−1) 0.16
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.5
ゼラチン 1.5
(第2層:中間層)
カラードカプラー(CC−1) 0.035
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.08
ゼラチン 0.7
(第3層:低感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.30
沃臭化銀乳剤b 0.06
増感色素(SD−1) 1.10×10−5
増感色素(SD−2) 5.40×10−5
増感色素(SD−3) 1.25×10−4
シアンカプラー(C−1) 0.30
カラードカプラー(CC−1) 0.054
DIR化合物(DI−1) 0.02
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.3
化合物(AS−2) 0.001
ゼラチン 1.5
(第4層:中感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤b 0.37
SD−1 1.50×10−5
SD−2 7.00×10−5
SD−3 1.65×10−4
C−1 0.23
CC−1 0.038
DI−1 0.01
OIL−2 0.27
AS−2 0.001
ゼラチン 1.5
(第5層:高感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.04
沃臭化銀乳剤b 0.18
沃臭化銀乳剤c 0.50
SD−1 1.30×10−5
SD−2 6.00×10−5
SD−3 1.40×10−4
C−1 0.12
C−2 0.03
CC−1 0.03
DI−1 0.004
OIL−2 0.19
AS−2 0.002
ゼラチン 1.2
(第6層:中間層)
OIL−1 0.08
AS−1 0.08
ゼラチン 0.9
(第7層:低感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.22
沃臭化銀乳剤d 0.09
SD−4 1.50×10−4
SD−5 3.75×10−5
M−1 0.35
CM−1 0.12
OIL−1 0.49
DI−2 0.017
AS−2 0.0015
ゼラチン 2.2
(第8層:中感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤d 0.46
SD−5 2.10×10−5
SD−6 1.61×10−4
SD−7 2.40×10−5
M−1 0.1
CM−1 0.05
OIL−1 0.15
AS−2 0.001
ゼラチン 1.6
(第9層:高感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.03
沃臭化銀乳剤e 0.47
SD−5 1.90×10−5
SD−6 1.43×10−4
SD−7 2.10×10−5
M−1 0.033
M−2 0.023
CM−1 0.023
DI−1 0.009
DI−2 0.0009
OIL−1 0.08
AS−2 0.002
ゼラチン 1.2
(第10層:イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 0.08
OIL−1 0.06
AS−1 0.8
ゼラチン 0.9
(第11層:低感度青感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.18
沃臭化銀乳剤f 0.14
沃臭化銀乳剤g 0.08
SD−8 1.15×10−4
SD−9 5.60×10−5
SD−10 2.56×10−5
Y−1 1.0
OIL−1 0.4
AS−2 0.002
FS−1 0.08
ゼラチン 3.0
(第12層:高感度青感光性層)
沃臭化銀乳剤g 0.30
沃臭化銀乳剤h 0.30
SD−8 7.12×10−5
SD−10 2.39×10−5
Y−1 0.1
OIL−1 0.04
AS−2 0.002
FS−1 0.01
ゼラチン 1.10
(第13層:第1保護層)
沃臭化銀乳剤i 0.3
UV−1 0.11
UV−2 0.53
ゼラチン 0.9
(第14層:第2保護層)
PM−1 0.15
PM−2 0.04
WAX−1 0.02
ゼラチン 0.55
尚上記組成物の他に、化合物SU−1、SU−2、粘度調整剤V−1、硬膜剤H−1、H−2、安定剤ST−1、ST−2、カブリ防止剤AF−1、AF−2、AF−3、染料AI−1、AI−2、AI−3及び防腐剤D−1を各層に適宜添加した。
上記試料102の作製に用いたハロゲン化銀乳剤の一覧を、下記表10に示す。尚平均粒径は、立方体に換算した粒径で示した。
上記沃臭化銀乳剤i以外の各乳剤は、前記増感色素を添加した後、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウム等を添加し、カブリ−感度の関係が最適になるように化学増感を施した。
《現像処理》
上記作製した試料102を、常法に従ってウェッジ露光を行った後、下記の処理条件VIII−1に従って現像処理し、現像済試料VIII−1を作製した。
(各処理液組成)
〈発色現像液:1L当たり〉
ジエチレングリコール 5.0g
N,N−ビス(2−スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム 5.0g
臭化カリウム 1.3g
亜硫酸ナトリウム 5.5g
N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸
塩 9.0g
パラトルエンスルホン酸ナトリウム 3.0g
ヨウ化カリウム 2.0mg
ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム塩 3.0g
炭酸カリウム 40.0g
水を加えて全量を1Lとし、硫酸又は水酸化カリウムでpHを10.30に調整する。
〈漂白液:1L当たり〉
1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム塩 150g
1,3−プロピレンジアミン4酢酸 5g
臭化アンモニウム 50g
マレイン酸 35g
琥珀酸 20g
水を加えて全量を1Lとし、硫酸又は水酸化カリウムでpHを3.5に調整する。
〈定着液:1L当たり〉
チオ硫酸アンモニウム 230g
亜硫酸ナトリウム 15g
エチレンジアミン4酢酸 2g
炭酸カリウム 2g
イミダゾール 7g
メルカプトトリアゾール 2g
水を加えて全量1Lとし、硫酸又はアンモニア水でpHを6.5に調整する。
〈安定化液VIII−1:1L当たり〉(安定化液−1、安定化液−2に使用)
エチレンジアミン4酢酸 0.2g
ポリビニルピロリドンK−17(BASF社製) 0.1g
フッ素系界面活性剤 0.1g
水を加えて全量1Lとし、硫酸又はアンモニア水でpHを8.5に調整する。
〔処理条件VIII−2〜VIII−16〕
上記処理条件VIII−1において、安定化工程の処理時間を表11に記載のように変更した以外は同様にして、処理条件VIII−2〜VIII−6で現像処理し、処理済試料VIII−2〜VIII−6を得た。また、安定化液VIII−1に代えて、下記の安定化液VIII−2を用い、更に安定化工程の処理時間を表11に記載のように変更した以外は同様にして、処理条件VIII−7〜VIII−11で現像処理し、処理済試料VIII−7〜VIII−11を得た。なお、表11に記載の安定化工程の処理時間は、安定化−1及び安定化−2の合計処理時間である。
〈安定化液VIII−2:1L当たり〉
エチレンジアミン4酢酸 0.2g
ポリビニルピロリドンK−17(BASF社製) 0.1g
フッ素系界面活性剤 0.1g
例示化合物1−38 10.0mmol
鉄イオン 0.8mmol
水を加えて全量1Lとし、硫酸又はアンモニア水でpHを8.5に調整した。
なお、鉄イオンとしては、1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウムを用いた。
《現像済試料の評価》
〔画像保存性の評価〕
上記作製した処理済試料VIII−2〜VIII−11を、キセノンフェードメーターで7日間光照射し、マゼンタ色画像の処理前の濃度約1.0におけるマゼンタ透過濃度残存率(%)を下式により求め、これを画像保存性の尺度とした。
マゼンタ透過濃度残存率={光照射後のマゼンタ透過濃度/光照射前のマゼンタ透過濃度(マゼンタ濃度約1.0)}×100(%)
以上により得られた結果を、表11に示す。
[実施例9]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液に鉄イオン(エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム)及び一般式(I)で表される化合物を表12記載のように添加した以外は同様にして安定化液IX−1〜IX−14を調製し、これを用いて処理条件IX−1〜IX−14で試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の画像保存評価の条件で保存した後、下式に従ってイエロー画像の光照射前の濃度約1.0における反射濃度残存率を求め、これをイエロー色画像の画像保存性の尺度とした。
イエロー反射濃度残存率={光照射後のイエロー反射濃度/光照射前のイエロー反射濃度(イエロー濃度約1.0)}×100%
以上により得られた結果を、表12に記載する。
[実施例10]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液にチオ硫酸アンモニウム及び一般式(I)で表される化合物を表13に記載のように添加した以外は同様にして安定化液X−1〜X−12を調製し、これを用いて処理条件X−1〜X−12で、試料101の現像処理を行い、実施例9に記載の方法と同様にして、イエロー色画像の画像保存性の評価を行った。得られた結果を表13に示す。
[実施例11]
実施例1に記載の処理条件I−1(安定化液I−1)において、安定化液に鉄イオン(エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム)、チオ硫酸アンモニウム及び一般式(I)で表される化合物を表14に記載のように添加した以外は同様にして安定化液XI−1〜XI−20を調製し、これを用いて処理条件XI−1〜XI−20で、試料101の現像処理を行い、実施例9に記載の方法と同様にして、イエロー色画像の画像保存性の評価を行った。得られた結果を表14に示す。
[実施例12]
実施例3に記載の処理条件III−6(安定化液III−6)において、亜硫酸ナトリウムを表15に記載のように変更した以外は同様にして、安定化液XII−1〜XII−14を調製し、これと実施例3で調製した安定化液III−6を用いて、処理条件XII−1〜XII−15で、試料101の現像処理を行い、実施例1に記載の方法でマゼンタ色画像の画像保存性の評価を行った。得られた結果を表15に示す。
Claims (13)
- 前記鉄イオン濃度が、0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の安定化液。
- 前記チオ硫酸塩濃度が、0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の安定化液。
- 前記鉄イオン濃度が1.5mmol/L以下であって、かつ前記チオ硫酸塩濃度が10.0mmol/L以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の安定化液。
- 前記鉄イオン濃度が0.1mmol/L以上、1.5mmol/L以下であって、かつ前記チオ硫酸塩濃度が0.5mmol/L以上、10.0mmol/L以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の安定化液。
- 前記一般式(I)で表されるスルフィン酸誘導体の含有量が、6.0mmol/L以上、20.0mmol/L以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の安定化液。
- 亜硫酸塩を0.5mmol/L以上、50.0mmol/L以下で含有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の安定化液。
- 亜硫酸塩を0.5mmol/L以上、20.0mmol/L以下で含有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の安定化液。
- 請求の範囲第1項〜第10項に記載の安定化液を用いて、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーであって、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることを特徴とする請求の範囲第11項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムであって、安定化処理工程に要する時間が10〜40秒であることを特徴とする請求の範囲第11項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
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