JP2006220801A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006220801A
JP2006220801A JP2005032751A JP2005032751A JP2006220801A JP 2006220801 A JP2006220801 A JP 2006220801A JP 2005032751 A JP2005032751 A JP 2005032751A JP 2005032751 A JP2005032751 A JP 2005032751A JP 2006220801 A JP2006220801 A JP 2006220801A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
represented
silver halide
heterocyclic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005032751A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Okano
賢 岡野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Photo Imaging Inc
Original Assignee
Konica Minolta Photo Imaging Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Photo Imaging Inc filed Critical Konica Minolta Photo Imaging Inc
Priority to JP2005032751A priority Critical patent/JP2006220801A/ja
Publication of JP2006220801A publication Critical patent/JP2006220801A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silver Salt Photography Or Processing Solution Therefor (AREA)

Abstract

【課題】 本発明の目的は、低補充条件、迅速処理条件で現像処理したハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際のシアンステインの発生を抑制したハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することにある。
【解決手段】 ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理プロセスで用いるハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液において、銀イオン濃度が0.4g/L以上、4.0g/L以下であって、かつ下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
【化1】
Figure 2006220801

【選択図】 なし

Description

本発明は、シアンステインの発生が抑制された新規のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液と、それを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関する。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理プロセスとしては、主に発色現像工程、脱銀工程及び安定化処理工程とから構成されているのが一般的である。この中で、安定化処理工程は、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料が安定した品質を有するために必要な工程である。そのため、長期保存性の改良や白地性能向上といったことが安定化処理に求められる性能に挙げられる。一方で、安定化処理の代わりに、現像処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料中の不要物を洗い出す目的で、リンス処理が用いられることがある。
近年では、ミニラボ店と呼ばれる店頭処理サービスを行うことが一般的となり、そのためには現像処理を行う自動現像機は、小型化と水洗配管が不要な無水洗処理が必須となっている。無水洗処理の実現のためには、従来の水洗処理工程から安定化処理工程に変更し、更にその補充量を少なくすることが一般的である。しかしながら、この様な方式を採用することによる弊害として、安定化処理工程での安定化液の滞留時間が長くなることであり、それにより、処理液成分の劣化、しいては処理するハロゲン化銀カラー感光材料の品質低下を引き起こす要因となっていた。特に、近年においては、ミニラボ店の乱立やデジタル化によるプリント注文の激減により、1店舗あたりのプリント注文量の低下は著しく、その結果、処理液の滞留時間の長期化は避けられない状況であり、処理液自体の安定性向上が要望されている。この問題を解決するためには、処理液自体の安定性向上のため、保恒剤(一般的には酸化防止剤)等を添加することが必要になってきた。
一方、写真用処理剤廃液の海洋投棄への規制強化をはじめとする環境保全の視点や、ミニラボ機を操作するオペレータの作業負担を軽減化させるという視点、さらにはランニングコストの低減化といった視点から処理液の補充量を低減する低補充化が求められている。また、ユーザーに対するサービス向上の一環として、現像受付日のその日の内に現像処理してユーザーに返却することが要求され、最近では、更に受付から数時間で返却することさえも要求されるようになり、益々迅速処理の必要性が高まっている。この様な状況を踏まえて、低補充化、連続処理を行うと、処理液中に溶出した化学物質(例えば、銀イオン等)や発色現像液の疲労劣化により蓄積した現像主薬、漂白主剤或いは定着主剤といった処理組成物が処理液中に蓄積しやすい状況となる。一方、現像処理の迅速化を進めると、ハロゲン化銀カラー写真感光材料から処理液中に溶出すべき化学物質や処理組成物が十分に洗い出されず、それらがハロゲン化銀カラー写真感光材料中に残存しやすくなる。特に、処理液中に残存した銀イオンと迅速処理によりハロゲン化銀カラー写真感光材料中に残存した成分とにより、現像処理を行った後のハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際に、シアンステインの問題を引き起こすことが判明した。これは、商品価値の低下や品質劣化に繋がる問題となる。この様な長期間にわたる保存におけるステインの改良、例えば、イエローステインについては、漂白液にカブリ防止剤や蛍光増白剤を添加する処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)しかしながら、特許文献1には、本発明が目的とするシアンステインの抑制効果や本発明で規定する構成を示唆するような記載は一切されていない。一方、トリアジン系化合物を処理液に添加して、未消色の増感色素に起因するステインを防止する処理組成物が開示されている(例えば、特許文献2、3参照。)。しかしながらこれら開示技術では、低補充、迅速処理を行った後、現像処理済みのハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際に発生するシアンステインに関する解決手段については、何ら言及や記載がなされてはおらず、ましてや一定濃度の銀イオンが安定化液中に蓄積されるような条件でトリアジン系化合物を添加することで、長期保存におけるシアンステインの抑制効果については何ら言及や記載がなされていない。
特開平5−303185号公報 特開2001−174957号公報 特開2002−139822号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、低補充条件、迅速処理条件で現像処理したハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際のシアンステインの発生を抑制したハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理プロセスで用いるハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液において、銀イオン濃度が0.4g/L以上、4.0g/L以下であって、かつ下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
Figure 2006220801
〔式中、A1、A2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、Yは水素原子、チオール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシルアミノ基、−NR12、−SR3または−OR3を表し、W1は単結合手、−O−、−S−または−NR4−を表し、W2は−O−、−S−または−NR4−を表す。R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1とR2、R4とA1、及びR4とA2はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
(請求項2)
前記一般式(I)で表される化合物の含有量が、0.2ミリモル/L以上、20.0ミリモル/L以下であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
(請求項3)
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)または(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
Figure 2006220801
〔式中、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Z1及びZ2はそれぞれ−NR4−、−O−または−S−を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R4は水素原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(II)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
Figure 2006220801
〔式中、L12及びL13はそれぞれ同じでも異なっていても良く、アリール基またはヘテロ環基を表し、Qは水素原子、チオール基、カルボキシル基、スルホ基、−NR56、−OR7、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、R5、R6、R7はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ基を表す。R5とR6は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(III)で表される分子内には、−SO3M、−CO2Mまたは−OHで表される基を少なくとも1つ含有し、ここでMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムを表す。なお、上記の一般式(III)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
(請求項4)
前記一般式(II)で表される化合物が、下記一般式(II−1)〜(II−4)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
Figure 2006220801
〔式中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L1はフェニレン基またはナフチレン基を表す。R11〜R18のうち、3個以上はアリール基である。また、R11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−1)で表される分子内には、−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに一般式(II−1)で表される化合物では、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
Figure 2006220801
〔式中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L2はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。Raはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rbは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−2)で表される化合物では、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(II−2)で表される化合物は、分子内に−N=N−またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
Figure 2006220801
〔式中、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。A31、A32は、それぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基またはヒドロキシルアミノ基を表す。R35、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R31とR32、R33とR34は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−3)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(II−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基を含有しない。〕
Figure 2006220801
〔式中、L4はフェニレン基、ナフチレン基またはアルキレン基を表す。X1は酸素原子または硫黄原子を表し、X2は酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。A41、A42、A43、A44はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシルアミノ基または−NR4142(R41、R42はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R41とR42が互いに結合して環を形成してもよい)を表す。ただし、一般式(II−4)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。更に、一般式(II−4)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
(請求項5)
少なくとも下記一般式(A)で表される化合物、下記一般式(B)で表される化合物及び分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体から選ばれる少なくとも1種を含有し、前記銀イオンと該下記一般式(A)で表される化合物、下記一般式(B)で表される化合物及び分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体から選ばれる少なくとも1種との質量比が、1.0:1.0〜20.0:1.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
一般式(A)
HO−(W−O)p−H
〔式中、Wは−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−または−CH2CH2CH2CH2−を表し、pは1〜250の整数を表す。〕
一般式(B)
HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
〔式中、nは100〜200の整数を表し、mは10〜50の整数を表す。〕
(請求項6)
請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液を用いて処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
本発明によれば、低補充条件、迅速処理条件で現像処理したハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際のシアンステインの発生を抑制することができるハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理プロセスで用いるハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液において、銀イオン濃度が0.4g/L以上、4.0g/L以下であって、かつ下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液を用いることにより、特に、低補充量条件及び迅速処理条件下で現像処理を行ったハロゲン化銀カラー写真感光材料を、長期間にわたり保存した際に、シアンステインの発生を顕著に低減することができることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)の処理プロセスとしては、少なくとも発色現像工程、脱銀工程、安定化工程あるいはリンス工程から構成されていることが好ましく、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化液とは、安定化工程あるいはリンス工程で用いる安定化液あるいはリンス液を総称して安定化液と定義する。
また、本発明では、使用液(タンク液)と補充液とを区別する格別の意味がない限り、両者を併せて処理液と表現している。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液(以下、単に本発明の安定化液ともいう)においては、安定化液が前記一般式(I)で表される化合物を含有することを1つの特徴とする。
はじめに、本発明に係る一般式(I)で表される化合物について説明する。
前記一般式(I)において、A1、A2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、Yは水素原子、チオール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシルアミノ基、−NR12、−SR3または−OR3を表し、W1は単結合手、−O−、−S−または−NR4−を表し、W2は−O−、−S−または−NR4−を表す。R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1とR2、R4とA1、及びR4とA2はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。
本発明に係る一般式(I)で表される化合物について、更に詳しく説明する。
1、A2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基及びアルキル基を表し、アリール基、ヘテロ環基、アルキル基は置換基を有するものを含む。
1、A2がそれぞれアリール基であるとき、その炭素数は6〜20が好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜10であり、例えば、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−トルイル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2−メチル−4−スルホフェニル基、2,5−ジスルホフェニル基、4−スルホ−1−ナフチル基、6,8−ジスルホ−2−ナフチル基、5,7−ジスルホ−2−ナフチル基が挙げられる。
1、A2がそれぞれヘテロ環基であるとき、その炭素数は2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8のものであり、最も好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
1、A2がそれぞれアルキル基であるとき、炭素数は1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2−メトキシエチル基、スルホメチル基、2−スルホエチル基、1,2−ジカルボキシエチル、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基が挙げられる。
1〜R4は水素原子、アリール基、アルケニル基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、これらの基は置換基を有するものを含む。
1〜R4がアルキル基またはアルケニル基であるとき、炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、ビニル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基、1,2−ジカルボキシエチルが挙げられる。
1〜R4で表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基が挙げられる。
1〜R4で表されるヘテロ環基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8のものであり、最も好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
1〜R4として好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−スルホフェニル基である。
Yは水素原子、チオール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシルアミノ基、−NR12、−SR3または−OR3を表し、R1、R2、R3はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R1、R2、R3はそれぞれ置換基を有するものを含み、好ましい例は、R4で示したそれぞれの基と同様である。
1とR2、R4とA1及びR4とA2がそれぞれ互いに結合して形成する環としては、5員環または6員環であることが好ましく、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物は、分子内に水溶性基を有することが好ましく、水溶性基としては、例えば、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基またはスルファモイル基が挙げられ、スルホ基、カルボキシル基及びヒドロキシル基が特に好ましい。カルボキシル基またはスルホ基を有する場合、これらはフリー体でも塩でもよく、塩の場合の対塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムが好ましく、そのうちアルカリ金属、アルカリ土類金属がより好ましく、特に好ましいのはNa及びKである。アンモニウム基としては、例えば、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムが挙げられ、そのうちアンモニウムが好ましい。
1及びW2が共に−O−である場合、あるいは一方が−O−で他方が−NR4−である場合、A1、A2はそれぞれアルキル基、アリール基またはヘテロ環基であることが好ましく、少なくとも一方がアリール基またはヘテロ環基であることが更に好ましい。
1及びW2が共に−NR4−の場合、R1、R2、R3、2つのR4、A1、A2のうち、アリール基は2個以下であることが好ましい。
本発明に係る一般式(I)で表される化合物のうち、本発明の目的効果であるシアンステインの発生をより良好に抑制できる観点から、特に好ましい化合物は、前記一般式(II)または一般式(III)で表される化合物である。
前記一般式(II)において、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Z1及びZ2はそれぞれ−NR4−、−O−または−S−を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R4は水素原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(II)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。
一般式(II)で表される化合物について、更に詳細に説明する。
1、R2、R3またはR4で表されるアルキル基は、置換基を有するものを含み、炭素数1〜20のものが好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のものであり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
1、R2、R3またはR4で表されるアリール基は置換基を有するものを含み、炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8のものであり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2、4−ジスルホフェニル基が挙げられる。
1、R2、R3またはR4で表されるヘテロ環基は置換基を有するものを含み、炭素数2〜20のものが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いたものであり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
1及びR2は、好ましくは水素原子、アルキル基及びアリール基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−スルホフェニル基である。
1及びR2が結合して形成する含窒素へテロ環としては、5員環又は6員環が好ましい。環の例としては、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環が挙げられる。
4で表されるアルキル基は置換基を有するものを含み、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基が挙げられる。
1、X2、Y1またはY2がヘテロ環基の場合、置換基有するものを含み、好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族の含窒素ヘテロ環化合物から窒素原子に結合した1個の水素原子を取り除いた1価の5員環基または6員環基であり、環の例としてはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環が挙げられる。
1、X2、Y1及びY2がいずれも−N(R1)R2の場合、4つのR1及び4つのR2のうち、アリール基は2個以下であることが好ましい。
Lで表されるアリーレン基は置換基有するものを含み、フェニレン基またはナフチレン基が好ましく、炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜11のフェニレン基またはナフチレン基であり、例えば、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、4−カルボキシ−1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、3−スルホ−1,4−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレン、2,5−ジメトキシ1,4−フェニレン、2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンが挙げられる。これらの中でも好ましくは、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレンであり、さらに好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレンである。Lで表されるヘテロ環基は置換基を有するものを含み、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜8のものであり、例えば、3,5−(1,2,4−トリアゾール)−ジイル基、3,5−イソチアゾールジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,6−ピラジンジイル基、2,6−ピリミジンジイル基、3,6−ピリダジンジイル基、1,4−フタラジンジイル基が挙げられる。
Lで表されるアルキレン基、アリーレン基は置換基を有するものも含み、炭素数は1〜10のものが好ましく、2〜5がより好ましい。例えば、エチレン、トリエチレン、プロピレン、ビニレン、プロピレン等が挙げられる。
次いで、本発明に係る一般式(III)で表される化合物について説明する。
前記一般式(III)において、L12及びL13はそれぞれ同じでも異なっていても良く、アリール基またはヘテロ環基を表し、Qは水素原子、チオール基、カルボキシル基、スルホ基、−NR56、−OR7、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、R5、R6、R7はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ基を表す。R5とR6は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(III)で表される分子内には、−SO3M、−CO2Mまたは−OHで表わされる基を少なくとも1つ含有し、ここでMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムを表す。なお、一般式(III)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。
以下、本発明に係る一般式(III)で表される化合物について詳しく説明する。
12及びL13で表されるアリール基としては、置換基を有するものを含み、炭素数6〜20のものが好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜11のフェニレン基またはナフチレン基である。該アリール基は少なくとも1つの置換機を有することが好ましく、好ましい置換基としては、−SO3M、−CO2M、−OH、−Cl、−Br、または前記−NR56、−OR7が挙げられる。ここで、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムを表し、R5、R6、R7はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ基を表す。R5とR6は互いに結合して環を形成してもよい。
12及びL13で表されるヘテロ環基としては置換基を有するものを含み、炭素数2〜20のものが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8のものであり、最も好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、フリル基、チエニル基、ピリミジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾール基が挙げられる。
5〜R7のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基の好ましい例は、一般式(I)におけるR1〜R3と同様である。
以下に、本発明に係る一般式(I)〜(III)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
また、本発明においては、前記一般式(II)で表される化合物の中でも、保存環境が更に過酷な条件で長期間にわたり保存した際のシアンステインの発生を顕著に抑制できる観点から、特に好ましい化合物は、下記一般式(II−1)〜(II−4)で表される化合物である。
はじめに、一般式(II−1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(II−1)において、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L1はフェニレン基またはナフチレン基を表す。R11〜R18のうち、3個以上はアリール基である。また、R11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−1)で表される分子内には、−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに一般式(II−1)で表される化合物では、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
上記一般式(II−1)で表される化合物に、ついて詳しく説明する。
11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それぞれ置換基を有するものを含む。R11〜R18で表わされるアルキル基としては炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
11〜R18で表わされるアリール基としては、炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基が挙げられる。
11〜R18で表されるヘテロ環基としては、炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
11〜R18は、好ましくは水素原子、アルキル基及びアリール基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、また更に好ましくは水素原子、メチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−スルホフェニル基である。
11〜R18のうち、3個以上はアリール基である。
1はフェニレン基、ナフチレン基を表す。L1で表わされるフェニレン基またはナフチレン基としては、炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜11の置換または無置換のフェニレン基またはナフチレン基であり、例えば1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、4−カルボキシ−1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、3−スルホ−1,4−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレン、2,5−ジメトキシ1,4−フェニレン、2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンが挙げられる。
1は、好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレンであり、さらに好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレンである。
11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18は互いに結合して環を形成してもよい。R11とR12、R13とR14、R15とR16、及びR17とR18が互いに結合して形成する環は、置換基を有するものを含み、5員環または6員環であることが好ましい。環の例としては、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環が含まれる。
本発明に係る一般式(II−1)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウム基を表す。Mで表わされるアルカリ金属、アルカリ土類金属の中で、特に好ましいのはNa及びKである。アンモニウム基としては、例えば、アンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、テトラブチルアンモニウム基、ピリジニウム基が挙げられる。Mとしては最も好ましいものはNa及びKである。
更に、本発明に係る一般式(II−1)で表される化合物は、分子内に−N=N−またはジアミノスチルベン構造を含有しないものである。
以下に、本発明に係る一般式(II−1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
次いで、本発明に係る一般式(II−2)で表される化合物について説明する。
前記一般式(II−2)において、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L2はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。
Raはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rbは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−2)で表される化合物では、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(II−2)で表される化合物は、分子内に−N=N−またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
本発明に係る一般式(II−2)で表される化合物について、更に詳細に説明する。
21〜R28はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。R21〜R28で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基の具体例及び好ましい基としては、一般式(II−1)におけるR11〜R18と同様のものを挙げることができる。
2はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。L2で表されるフェニレン基、ナフチレン基の具体例及び好ましいものとしては、一般式(II−1)におけるL1で表されるフェニレン基、ナフチレン基と同様のものを挙げることができる。
2で表されるアルキレン基としては、両端がメチレン基であればよく、主鎖中にオキシ基、スルフィド基、イミノ基、スルホニル基等を有しても良い。
2で表されるヘテロ環とは、ヘテロ原子含む芳香環、非芳香環上の任意の置換し得る位置から2個の結合手が伸びている連結基である。L2で表される二価の連結基となりうるヘテロ環としては具体的にはフラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等が挙げられる。
Raはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。Rbは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、置換基を有するものを含む。
Ra、Rbで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基の具体例としては、一般式(II−1)におけるR11〜R18で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基と同様のものを挙げることができる。
21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成してもよく、置換基を有するものを含む。R21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28が互いに結合して形成する環としては、一般式(II−1)におけるR11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18が互いに結合して形成する環と同様のものを挙げることができる。
一般式(II−2)で表される化合物においては、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mは、一般式(II−1)におけるMと同義である。更に、一般式(II−2)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
以下に、本発明に係る一般式(II−2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
次いで、本発明に係る一般式(II−3)で表される化合物について説明する。
前記一般式(II−3)において、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。A31、A32は、それぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基またはヒドロキシルアミノ基を表す。R35、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
31とR32、R33とR34は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−3)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(II−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基を含有しない。
次いで、本発明に係る一般式(II−3)で表される化合物について説明する。
一般式(II−3)において、R31〜R34は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表すが、R31〜R34の具体例及び好ましい例は、一般式(II−1)におけるR11〜R18と同様のものを挙げることができる。
3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表し、一般式(II−2)におけるL2と同様のものを挙げることができる。
31、A32は、それぞれ独立にヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、−NR3738(R37、R38はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R41とR42が互いに結合して環を形成してもよい)を表す。
31で表されるヘテロ環オキシ基を構成するヘテロ環基としては、一般式(II−1)においてR11で表されるヘテロ環基と同様のものが挙げられる。
31、A32で表されるヘテロ環チオ基を構成するアルキル基、アリール基、ヘテロ環基としては、一般式(II−1)におけるR11〜R18と同様のものを挙げることができる。
37、R38で表されるアルキル基、アリール基またはヘテロ環基としては、一般式(II−1)におけるR11〜R18と同様のものを挙げることができる。
なお、一般式(II−3)で表される化合物では、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mは、一般式(II−1)におけるMと同義である。更に、一般式(II−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
上記一般式(II−3)で表される化合物に、ついて詳しく説明する。
一般式(II−3)において、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。L3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基、ヘテロ環基を表し、置換基を有するものを含む。R31〜R34の具体例及び好ましい例は、一般式(II−1)におけるR11〜R18と同様のものを挙げることができる。
31、A32はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシアミノ基を表す。
31、A32で表されるアルコキシ基を構成するアルキル基としては、一般式(II−1)においてR11で表されるアルキル基と同様のものを挙げられる。
31、A32で表されるアリールオキシ基を構成するアリール基としては、一般式(II−1)においてR11で表されるアリール基と同様のものが挙げられる。
31、A32で表されるヘテロ環オキシ基を構成するヘテロ環基としては一般式(II−1)においてR11で表されるヘテロ環基と同様のものが挙げられる。
31、A32で表されるアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基を構成するアルキル基、アリール基、ヘテロ環基としては、一般式(II−1)においてR11〜R18で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基と同様のものを挙げることができる。
35、R36で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基は、一般式(II−2)におけるRa、Rbと同義である。
ただし、一般式(II−3)は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mは一般式(II−1)におけるMと同義である。
更に、一般式(II−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
以下に、本発明に係る一般式(II−3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
次いで、本発明に係る一般式(II−4)で表される化合物について説明する。
前記一般式(II−4)において、L4はフェニレン基、ナフチレン基またはアルキレン基を表す。
1は酸素原子または硫黄原子を表し、X2は酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。A41、A42、A43、A44はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシルアミノ基または−NR4142(R41、R42はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R41とR42が互いに結合して環を形成してもよい)を表す。
一般式(II−4)で表される化合物においては、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。更に、一般式(II−4)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
次いで、本発明に係る一般式(II−4)で表される化合物について更に説明する。
一般式(II−4)におけるL4はフェニレン基、ナフチレン基またはアルキレン基を表し、置換基を有するものを含む。フェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基としては、一般式(II−2)におけるL2と同様なものが挙げられる。
41〜A44におけるアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基は、置換基を有するものを含み、一般式(II−3)におけるA31、A32と同様なものが挙げられる。A41〜A44が−NR4142を表す場合、R41、R42及びR41とR42が結合して形成する環は、置換基を有するものを含み、一般式(II−1)におけるR11〜R18と同様なものが挙げられる。
一般式(II−4)において、X1は酸素原子または硫黄原子を表し、X2は酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。
ただし、一般式(II−4)で表される化合物においては、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mは一般式(II−1)におけるMと同義である。
更に、一般式(II−4)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。
以下に、本発明に係る一般式(II−4)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
以上例示した一般式(I)、(II)、(III)及び(II−1)〜(II−4)で表される各化合物は、ナトリウム塩、アンモニウム塩等の任意の塩の形態で添加することができる。
本発明に係る一般式(I)で表される化合物が分子内に不斉炭素を複数個有する場合、同一構造に対して複数の立体異性体が存在するが、本発明は可能性のある全ての立体異性体を示しており、複数の立体異性のうち1つだけを使用することも、あるいはそのうちの数種を混合物として使用することもできる。
また、本発明においては、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を1種のみを用いても良いが、溶解性の向上など必要に応じて2種以上混合して用いることも好ましい。
本発明に係る一般式(I)で表される化合物(好ましい態様であり、一般式(II)、(III)、一般式(II−1)〜一般式(II−4)で表される化合物を含む)の安定化液またはリンス液への添加量は、迅速処理において本発明の効果をより奏する観点から安定化処理液1リットルあたり0.2mmol以上、20mmol以下が好まく、0.6mmol以上、10mmol以下が特に好ましい。
一般式(I)で表わされる化合物は、例えば、松井弘次著、有機合成化学協会誌、第17巻528頁(1959年刊)及び特許第2618748号を参考にして合成することができる。すなわち、塩化シアヌルにまずフェニレンジアミン誘導体またはナフタレンジアミン誘導体を反応させ、次いでアミン類を順次反応させる方法が好ましい。あるいはフェニレンジアミン誘導体またはナフタレンジアミン誘導体を第二段階または最後に反応させることも好ましい。この反応に用いる溶媒としては、例えば、水及びアルコール類、ケトン類、エーテル類、アミド類などの有機溶媒が挙げられるが、水及び水溶性の有機溶媒が好ましく、これらの混合溶媒でもよい。なかでも水とアセトンの混合溶媒系が最も好ましい。また、用いる塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基が挙げられる。これらのうち、無機塩基が好ましく、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。反応温度は−20℃〜150℃の範囲で可能であり、好ましくは−10℃〜100℃の範囲である。更に詳しく述べると第一段階は−10℃〜10℃が好ましく、第二段階は0℃〜40℃が好ましく、第三段階は40℃〜100℃が好ましい。
本発明の安定化処理液においては、上記説明した一般式(I)、一般式(II)、(III)、一般式(II−1)〜一般式(II−4)で表される化合物と共に、前記一般式(A)で表される化合物、前記一般式(B)で表される化合物及び分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体から選ばれる少なくとも1種を含有することが、安定化処理液が劣化するような条件において本発明の目的効果であるシアンステインの抑制効果をより高める観点から好ましい。
はじめに、一般式(A)で表される化合物について説明する。
一般式(A)
HO−(W−O)p−H
上記一般式(A)において、Wは−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−または−CH2CH2CH2CH2−を表し、pは1〜250の整数を表す。
前記一般式(A)で表される化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を挙げることができ、それぞれ重合度の異なる化合物があり、その一例を以下に示す。なお、本発明は、これら例示する化合物に限定されるものではない。
A−1:ポリエチレングリコール#200(平均分子量200)
A−2:ポリエチレングリコール#400(平均分子量400)
A−3:ポリエチレングリコール#600(平均分子量600)
A−4:ポリエチレングリコール#1000(平均分子量1000)
A−5:ポリエチレングリコール#2000(平均分子量2000)
A−6:ポリエチレングリコール#4000(平均分子量4000)
A−7:ポリエチレングリコール#10000(平均分子量10000)
A−8:ポリプロピレングリコール(平均分子量400)
A−9:ポリプロピレングリコール(平均分子量700)
A−10:ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)
A−11:ポリプロピレングリコール(平均分子量2000)
A−12:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量700)
A−13:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1000)
これらの化合物のうち、好ましく用いられるのは例示化合物A−5、A−6、A−11である。
次に、一般式Bで表される化合物について説明する。
一般式(B)
HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
上記一般式(B)において、nは100〜200の整数を表し、mは10〜50の整数を表す。
以下に、一般式(B)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの例示する化合物に限定されるものではない。
B−1:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)30−H
B−2:HO−(CH2CH2O)160−(CH2CH(CH3)O)30−H
B−3:HO−(CH2CH2O)120−(CH2CH(CH3)O)30−H
B−4:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)10−H
B−5:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)15−H
B−6:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)20−H
B−7:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)20−H
B−8:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)40−H
B−9:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)30−H
B−10:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)40−H
B−11:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)50−H
これらの化合物のうち、好ましく用いられるのは例示化合物B−1、B−2である。
次いで、分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体について説明する。
分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体とは、重合物の主鎖あるいは側鎖をピロリドン核で任意の位置に任意の数だけ置換した重合体のすべてが含まれ、その単独重合体であってもよいし、2種類以上の共重合成分を重合した共重合体であってもよい。後者の場合には分子構造中にピロリドン核単位を有する共重合体成分としてのモノマーが、その共重合体成分としてのモノマーと共重合する分子構造中にピロリドン核単位を有しない他のモノマーと共重合せしめて得た共重合体中に20%以上含まれることが好ましく、特に30%以上含まれることが好ましい。なお、分子構造中にピロリドン核単位を有する共重合成分としてのポリマーと共重合する分子構造中にピロリドン核単位を有しない他のポリマーとしては、親水性の共重合体を得られるものであればいかなるものも用いることができる。
本発明に係る重合体もしくは共重合体は、平均分子量1,000〜70,000のものが好ましく、その代表的具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらの例示する化合物に限定されるものではない。
P−1:ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン(*1)
P−2:ポリ−N−(2−アクリロイルオキシ)エチル−1−ピロリドン
P−3:ポリ−N−グリシジル−2−ピロリドン
P−4:ポリ−N−アリル−2−ピロリドン
P−5:ポリ−N,N−ジメチル−N−〔3(1−ピロリドニル)−2−ヒドロキシ〕プロピル−アミン−N′−アクリロイルイミン
P−6:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/N−アクリロイルモルホリン(モル比42:58)
P−7:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/N−アクリロイピペリジン(モル比35:65)
P−8:ポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/N−メタクリロイル−2−メチルイミダゾール(モル比55:45)
P−9:コポリ−N−(2−アクリルロイルオキシ)−エチル−2−ピロリドン/アクリル酸ジエチルアミド(モル比60:40)
P−10:コポリ−N−(2−メタクリルロイルオキシ)エチル−2−ピロリドン/アクリル酸ナトリウム(モル比75:25)
P−11:コポリ−N−(3−アクリロルオキシ)プロピル−2−ピロリドン/メタクリル酸メチル(モル比65:35)
P−12:コポリ−N,N−ジメチル−N−〔30(1−ピロリドニル)−2−ヒドロキシ〕−プロピルアミン−N′−アクリロイルイミン/アクリル酸エチル(モル比70:30)
P−13:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/酢酸ビニル(モル比70:30)
P−14:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/アクリル酸メチル(モル比70:30)
P−15:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/スチレン(モル比80:20)
P−16:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/アクリル酸アミド/N−ビニル−2−メチルイミダゾール(モル比50:30:20)
P−17:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/N−(1,1−ジメチル−3−オキソ)−ブチル−アクリルアミド(モル比70:30)
P−18:コポリ−N−アリル−2−ピロリドン/酢酸ビニル(モル比64:36)
P−19:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/4−ビニルピリジン(モル比60:40)
P−20:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/アクリル酸エチル/アクリル酸モノエタノールアミン酸(モル比50:45:5)
P−21:コポリ−N−ビニル−2−ピロリドン/ピペリジノマレアミック酸ピペリジン酸(モル比53:47)
P−22:コポリ−N−ビニルピロリドン/4−ビニルピリジノ−N−メチルアイオダイド(モル比42:58)
P−23:コポリ−N−ビニルピロリドン/マレイン酸チオ尿素ハーフアンモニウム塩(モル比60:40)
*1) 例示化合物P−1は、ゼネラル・アニリン・アンド・フィルム・コーポレーション(General Aniline and Film Corporation)からPVP K−15、PVP K−17、PVP K−30、PVP K−60、PVP K−90の商品名、あるいはビーエーエスエフジャパン(株)(BASF Aktiengesellschaft)から、コリドン12、コリドン17、コリドン25、コリドン30、コリドン90、ルビスコールK−17、ルビスコールK−30、ルビスコールK−90の商品名で市販されている。
本発明に係る一般式(A)で表される化合物、下記一般式(B)で表される化合物及び分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体の安定化液への添加量は、10g/L以下が溶解性や析出性の点から好ましい。
また、本発明の安定化液において、銀イオンと一般式(A)で表される化合物、一般式(B)で表される化合物及び分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体から選ばれる少なくとも1種との質量比が、1.0:1.0〜20.0:1.0であることが、本発明の目的であるシアンステインをより効果的に低減できる点で好ましい。
また、本発明の安定化液においては、銀イオン濃度が0.4g/L以上、4.0g/L以下であることを特徴の1つとする。
前述の様に、本発明の本発明の安定化液は、銀イオンを特定の範囲で含有する。すなわち、低補充、迅速処理条件下で連続処理を行った際、前浴である漂白定着液あるいは定着液が、連続搬送するハロゲン化銀カラー写真感光材料に同伴して、次処理工程である安定化工程を構成する安定化液に徐々に持ち込まれる、いわゆるキャリーオーバーにより漂白定着液あるいは定着液に含まれる銀イオンが徐々に蓄積することになる。その結果、安定化液中に残存した銀イオンと迅速処理によりハロゲン化銀カラー写真感光材料中に残存した成分とにより、現像処理を行った後のハロゲン化銀カラー写真感光材料を長期間にわたり保存した際に、シアンステインの問題を引き起こすこととなる。
上記の対応として、この蓄積する銀イオンをイオン交換法等により系外に除去する方法も考えられるが、新たな設備が必要となり、コスト的な負荷やそのための設置スペースの確保が必要となり、決して有効な方法とは言い難い。
本発明では、上記の様な銀イオン濃度が0.4g/L以上、4.0g/L以下という状態においても、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を存在せしめることにより、このシアンステインの発生を顕著に抑制できたものである。
なお、安定化液中の銀イオン濃度として、上記では前浴からのキャリーオーバーによる蓄積について説明したが、例えば、殺菌剤として銀イオンを意図して添加するような態様で銀イオンが蓄積した様な条件においても、本発明に係る一般式(I)で表される化合物を添加することで、シアンステインを効果的に抑制することができる。
本発明において、安定化液中の銀イオン濃度を上記で規定する方法について、特に制限はないが、好ましくは、前浴である定着浴あるいは漂白定着浴の混入量(キャリーオーバー量)、及び安定化液補充量を規定することにより達成することができる。
本発明でいう安定化液中の銀イオン濃度は、公知の定量手段を用いて求めることができ、例えば、原子吸光法や蛍光X線を用いた元素分析などを用いて簡便に求めることができる。
本発明の安定化処理液には、上記説明した各添加剤の他、例えば、緩衝剤(例えば、炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(例えば、亜鉛塩、マグネシウム塩等)、界面活性剤、キレート剤、蛍光増白剤等を適宜添加することができる。キレート剤の具体的化合物としては、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。また、蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販の物を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、チノパールSFP、Blankophor BSU liq.及びHakkol BRKが好ましい。その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16等が挙げられる。これら蛍光増白剤の添加量は、1リットルあたり、0.1ミリモル〜0.1モルが溶解性の点から好ましい。更には、本発明の安定化処理液には液保存性の点から亜硫酸塩を含有することが好ましい。また、スルフィン酸、アリールスルフィン酸又はそれらの塩を含む事も好ましい。亜硫酸塩は、亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩であり。具体的化合物としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。また、スルフィン酸、アリールスルフィン酸又はそれらの塩の具体的例としては、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
これら亜硫酸塩又はスルフィン酸、アリールスルフィン酸またはそれらの塩は、安定液中に少なくとも1×10-5モル/L以上で添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10-5モル/L〜5×10-2モル/Lである。また、安定化処理液のpHは、4.0〜10.0の範囲が好ましい。また、前記pHに調整するため、pH調整剤を含有することもできる。pH調整剤としては、一般に知られているアルカリ剤または酸剤のいかなるものでもよい。
本発明の安定化処理液が使用される安定化工程を含む現像処理工程は、安定化工程の他に、発色現像工程、脱銀工程(漂白工程 定着工程又は漂白及び定着工程を同一工程で処理する漂白定着工程)及び乾燥工程を含み、各工程間には中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を必要に応じて挿入することもできる。
また、現像処理工程は、発色現像工程、脱銀工程で処理した後、安定化工程、次いで乾燥工程の順で処理されることが好ましい。また、それぞれの処理工程では、補充用発色現像処理液、補充用漂白処理液、補充用定着処理液、補充用漂白定着処理液、又は補充用安定化処理液を補充しながら連続的に現像処理することもできる。前記補充液量としては、発色現像工程では、現像処理される感光材料がカラーペーパーである場合、感光材料1m2あたり15〜200mlが好ましく、より好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。一方、現像処理される感光材料がカラーネガフィルムの場合には、感光材料1m2あたり100〜800mlが好ましく、より好ましくは200〜500ml、特に好ましくは250〜400mlである。漂白工程の補充量では感光材料当り1m2あたり80〜500mlが好ましく、より好ましくは、80ml〜200mlである。また、漂白定着工程の補充量では、感光材料1m2あたり20〜250mlが好ましく、より好ましくは20ml〜110ml、さらに好ましくは30ml〜100mlである。定着工程の補充量では、感光材料1m2あたり3000ml以下が好ましく、より好ましくは200〜1000ml以下である。安定化工程の補充量では液全体で1000ml以下が好ましく、更に好ましくは500ml以下であり、カラーペーパーの場合には200ml以下である。また、各工程の処理時間は、発色現像時間(発色現像工程を行う時間)は迅速性の点から、感光材料がカラーペーパーの場合は、45秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは26秒以下、6秒以上である。一方、感光材料がカラーネガフィルムの場合は、20秒〜6分が好ましく、さらに好ましくは、30〜200秒である。漂白工程では、処理に要する時間は2分以内に設定することが好ましく、より好ましくは60秒以内、更に好ましくは45秒以内である。漂白定着工程の処理時間は90秒以内に設定することが好ましく、特に好ましくは45秒、さらに好ましくは26秒以内である。定着時間(定着工程を行う時間)は3分以内が好ましく、より好ましくは2分以内である。安定化時間(安定化工程を行う時間)は、90秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは30秒以下である。
なお、発色現像時間は、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、発色現像槽中に入ってから次の処理工程の漂白又は漂白定着槽に入るまでの時間をいい、その間のクロスオーバータイム(液外搬送時間)を含む。同様に、漂白時間も、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続する定着処理槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含む。漂白定着工程に要する時間も該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば、後続する安定化又はリンス槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含む。
定着時間も、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続する安定化又はリンス槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含む。また、安定化時間も第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、安定化液に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間を言い、その間のクロスオーバータイムを含む。前記クロスオーバータイムとしてはカブリ防止の点から、短い程良く、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下、更に好ましくは3秒以下である。安定化工程では、クロスオーバータイムが実質的0で有る事がエッジ汚染の抑制の点から好ましい。尚、ここで言うエッジ汚染とは、処理後の感光材料の紙支持体端部切断面(エッジ部)の汚れを指す。
クロスオーバータイムを実質的0にする手段としては、特開平5−66540号の図2〜図5に記載されるような液中ブレード等の搬送方式を用いることで達成できる。
また、安定化工程は1槽でも良いが、2〜10槽程度と槽の数を増やすことで、補充量を減少させることができる点で好ましい。好ましい槽数としては2〜6程度である。また、安定化工程が複数の場合の補充は、何カ所かに分けて補充しても良いが、感光材料の搬送方向の下流側の槽に補充し、そのオーバーフロー液(槽間を液面下に位置する管で連結させた場合、該管を溶液が通る場合も含む)を該槽の前槽に流入させる、カウンターカレント方式(多段向流方式)にするのが好ましく、カスケードフロー方式もその1つに含まれる。更に好ましくは2槽以上の安定化槽で最後の槽へ補充液を補充し、オーバーフロー液を順次前の槽へ流し込むことである。
発色現像工程、脱銀工程、安定化工程の処理液温度は、一般には30〜40℃であるが、迅速処理では38〜60℃が好ましく、より好ましくは38〜50℃である。
乾燥工程は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像膜への水分の持込み量を減じる観点から現像処理工程の安定化工程を行った後すぐにスクイズローラーや布などで水分を吸収することで乾燥を早めることも可能である。また当然のことではあるが、温度を高くすることや吹き付けノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
また、漂白工程ではエアレーションを実施しても良い。エアレーションには当業界で公知の手段を使用できる。エアレーションに関してはイーストマン・コダック社発行のZ−121、ユージング・プロセス・C−41第3版(1982年)、BL−1〜BL−2頁に記載の事項を利用できる。また、漂白工程では撹拌を強化することが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。その中でも感光材料の乳剤面に漂白処理組成物を吹き付けるジェット撹拌方式が好ましい。また、漂白工程及び漂白定着工程では処理に使用後のオーバーフロー液を回収し、成分を添加して組成を修正した後、再利用(再生)することもできる。
具体的な例としては、上述した他、「写真工学の基礎−銀塩写真編−」(日本写真学会編、コロナ社発行、1979年刊)等に記載の方法が利用できる。具体的には、電解再生の他、臭素酸や、亜塩素酸、臭素、臭素プレカーサー、過硫酸塩、過酸化水素、触媒を利用した過酸化水素、亜臭素酸、オゾン等が挙げられる。
次いで、現像処理工程に用いられる安定化処理液以外の各処理液について説明する。
はじめに、発色現像処理液について説明する。
本発明に係る発色現像処理液に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アニリン
7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アニリン
8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
11)4−アミノ−3−メチル−N−(β−エトキシエチル)−N−エチルアニリン
12)4−アミノ−3−メチル−N−(3−カルバモイルプロピル)−N−n−プロピル−アニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル)−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
14)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン
16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち、特に好ましくは例示化合物5)、6)、7)、8)及び12)であり、その中でも例示化合物5)と8)が好ましい。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形、或いは上述のように遊離塩基型である。上記芳香族第1級アミン現像主薬の使用液中の濃度は、現像液1リットルあたり2ミリモル〜200ミリモル、好ましくは6ミリモル〜100ミリモル、より好ましくは10ミリモル〜40ミリモルとなるように加えられる。
発色現像処理液には、有機保恒剤を添加してもよい。有機保恒剤とは、感光材料の処理液へ含ませることで、芳香族第一級アミン発色現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指している。即ち、発色現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であり、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報又は明細書に開示されている。
また、その他の有機保恒剤としては下記一般式(X)または(Y)で表される化合物を含有させることもできる。
Figure 2006220801
上記一般式(X)において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、アルキル置換してもよいスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子、置換してもよいアルキル基を表す。Bは置換してもよいアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
上記一般式(X)において、Lは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基又はスルファモイル基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
以下に、一般式(X)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
次いで、一般式(Y)で表される化合物について説明する。
Figure 2006220801
上記一般式(Y)において、R、R′は各々炭素原子数1〜6の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素を表わす。この場合、これらの炭化水素は、水酸基、カルボキシル基、スルホン基などで置換されていてもよい。また、カルボニル基等の2価の連結基を含んでもよい。nは4〜50,000の整数を表わす。sは0または1を表す。
sが1をとる場合、Aは
Figure 2006220801
を表す。R″はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数2〜8のアルキレン基またはアルカントリイル基を示し、アルキレン基の場合、qは0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。qが1の場合、Bは一般式(Y)で表わされるポリマーを示し、一般式(Y)は3次元構造となる。mは0〜30の整数を示す。
sが0をとる一般式(Y)で表される化合物、例えば、ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は既知の方法により容易に合成することができる。代表的な例としては、「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ」(J.Chem.Soc.,),75,1009(1899),J.Chem.Soc.,1963,3144等に記載の過酸化水素水を用いた2級アミンの酸化方法により、ポリ(アルキレンイミン)を酸化して合成する方法が挙げられる。この方法により合成された粗ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は写真特性に影響を与える成分を含まないため、精製することなく、そのまま発色現像液の組成物として使用することができる。また、「マクロモレキュルズ」(Macromolecules),21,1995(1988)等に記載の反応と組み合わせて、ポリ(アルキレンイミン)の末端基である1級アミンを2級アミンとすることにより、更に性能の優れたポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)を合成する方法も挙げられる。その他の方法としては、特開平3−259145号公報等に記載の方法を応用した、ヒドロキシルアミンとジハロゲン化アルキレンとの反応による合成方法等が挙げられる。以下、一般式(Y)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
また、その他の有機保恒剤として、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。
上記有機保恒剤の発色現像処理液は1Lあたり1×10-3モル以上、1×10-1モル以下で含有することが好ましい。また、発色現像処理液には、対象とする感光材料の種類によって少量の亜硫酸イオンを含んだり、あるいは実質的に含まない場合もあるが、本発明においては、亜硫酸イオンを少量含むことが好ましい。また、ヒドロキシルアミンを少量含有してもよい。ヒドロキシルアミン(通常塩酸塩や硫酸塩の形で用いるが、以下塩の形を省略する)は、亜硫酸イオンと同様に現像液の保恒剤として作用するが、同時にヒドロキシルアミン自身の銀現像活性のために写真特性に影響することもあるので、この添加量も少量に留める必要がある。また、発色現像処理液は、ベンゼンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸等のアリールスルフィン酸を含有しても良い。
発色現像使用液のpHは9.0〜13.5が好ましく、その補充液のpHは9.0〜13.5が好ましい。このため、発色現像処理液には、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含有させることもできる。
上記pHを保持するための緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像処理液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった点から、特に好ましい緩衝剤である。
上記緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
上記緩衝剤の添加量は、発色現像処理液ともに1リットルあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
発色現像処理液には、その他の成分として、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。各種キレート剤の具体例としては、上記のニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像処理液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1L当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
発色現像処理液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報又は明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表わされるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報又は明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報又は明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類又はイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.001〜0.2mol、好ましくは0.01〜0.05molになるように処理液中に添加量が決められる。
発色現像処理液には、必要に応じて、前記ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
発色現像処理液には、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の界面活性剤を添加しても良い。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.0001〜0.2molが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05molになるように添加量が決められる。
発色現像組成物には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、前記で説明したようなビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。前記化合物の中でもチノパールSFP、Blankophor BSU liq.及びHakkolBRKが好ましい。また、これら蛍光増白剤の添加量は、発色現像処理液1リットルあたり、0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
カラーネガフィルム用の発色現像処理液では、通常臭素イオンを0.2×10-2〜15.0×10-2モル/リットル、好ましくは0.5×10-2〜5.0×10-2モル/リットル含有することが多いが、臭素イオンは、通常現像の副生成物として使用液中に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。また、沃素イオンを0.2×10-3〜15.0×10-3モル/リットル、好ましくは0.5×10-3〜5.0×10-3モル/リットル含有することが多いが、沃素イオンも通常現像の副生成物として使用液中に放出されることもあるので補充液には添加不要のことが多い。
カラーペーパー用の発色現像処理液には、通常塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として使用液中に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。
次に、漂白又は漂白定着処理液について説明する。
本発明に係る漂白又は漂白定着処理液には、漂白主剤としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸の第2鉄錯塩、過硫酸塩、過酸化水素などがいかなる漂白主剤を含むことができるが、アミノポリカルボン酸から錯形成される第2鉄錯塩が処理の迅速性や環境適性から好ましい。アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩としては、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベーターアラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸等のアミノポリカルボン酸との第2鉄錯塩を挙げることができ、これら化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩又はアンモニウム塩を任意に用いることができる。これらの中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸の第2鉄錯塩が、漂白性能が良好な点から好ましい。これら第2鉄錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などと上記したアミノポリカルボン酸と溶液中で錯形成させてもよい。また、前記したアミノポリカルボン酸と鉄イオンとのモル比率はキレート構造の安定性から、アミノポリカルボン酸:鉄イオン=1.01:1.00〜1.10:1.00が好ましい範囲である。前記した漂白主剤は単独或いは2種類以上併用しても良い。
前記漂白主剤の濃度としては、漂白又は漂白定着処理液1Lあたり、0.01〜1.5モルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.02〜0.8モル/リットルであり、低補充及び迅速条件での処理性に優れる。また、漂白処理液における、好ましいpHは、3.0〜7.0であり、特に3.5〜6.5が好ましい。一方、漂白定着処理液では、好ましいpHは3.0〜8.0、より好ましくは4.0〜7.5である。上記pHの範囲では、高い漂白能が得られるばかりか、ステイン等の発生もなく、優れた処理性能が得られる。上記pH範囲に調節するには、種々の有機酸塩(例えば酢酸、乳酸、グリコール酸、琥珀酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、スルホ琥珀酸、酒石酸、グルタル酸など)、有機塩基(例えばイミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)あるいは、2−ピコリン酸やコージ酸等を含有することができる。これらの中でもイミダゾール、グリコール酸、琥珀酸及びマレイン酸が漂白能への影響が比較的少ない事から好ましい。また、添加量としては、処理液1Lあたり、0.05〜3.0モルが好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.0モルである。
上記の化合物の他に、漂白又は漂白定着処理液には銀の酸化を促進する為の再ハロゲン化剤として、塩化物、臭化物、ヨウ化物の如きハロゲン化物を添加しても良い。また、ハロゲン化物の代わりに難溶性銀塩を形成する有機性配位子を加えてもよく、ハロゲン化物はアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩、あるいはグアニジン、アミンなどの塩として加える。具体的には臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化カリウム、塩酸グアニジンなどが挙げられる。その添加量は、処理液として調製した際の濃度が、1Lあたり0.01〜2.0モルとなる範囲が好ましい。
その他、燐酸塩又はポリ燐酸塩燐酸塩を添加しても良い。燐酸塩としては、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸三アンモニウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、および燐酸三ナトリウム等をあげることができる。ポリ燐酸塩の具体的な化合物としては、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、四燐酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、N(−2−カルボキシエチル)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、N,N−ビス−(カルボキシメチレン)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、モルホリノメタン−ジホスホン酸、ニトリロトリスメチレン−ホスホン酸、エチレンジアミン−テトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、および2−カルボキシエタン−ホスホン酸、メチレンジホスホン酸等を挙げられる。これら燐酸塩又はポリ燐酸塩は単独或いは2種類以上併用しても良く、濃度としては漂白又は漂白定着処理液1リットルあたり、0.01モル〜2.5モルである。
ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸等の蛍光増白剤を含んでも良い。これら濃度は、漂白又は漂白定着処理液1リットルあたり、0.1ミリモル〜0.01モルが好ましい。
また、本発明に係る一般式(I)で表されるトリアジン系化合物を含有しても良い。これらの濃度としては、漂白又は漂白定着処理液1Lあたり0.02〜20ミリモルであり、より好ましくは0.05〜10ミリモル、特に好ましくは0.1〜5ミリモルである。
p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムなどのスルフィン酸、アリールスルフィン酸又はその塩などを含有することもできる。濃度としては、漂白又は漂白定着処理液1リットルあたり、スルフィン酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウムや硝酸カリウムなどの硝酸塩を添加する事もでき、濃度としては、漂白又は漂白定着処理液1リットルあたり0.5〜7.0モルが好ましい。また、各種の消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることもできる。
漂白又は漂白定着処理液には処理の迅速性を考慮するときはアンモニウムイオンを使用することが好ましく、一方で、作業環境性に重点をおく場合は、実質上アンモニウムイオンを含まない方が好ましい。
また、漂白定着処理液には、保恒剤を含有させることが、下記に説明する定着主剤の経時安定性の点から好ましい。保恒剤としては前記した亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニなど)又は亜硫酸イオン放出性化合物等が好ましい。濃度としては、1リットルあたり、亜硫酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。
次に、漂白定着処理液に含まれる定着主剤について説明する。定着主剤としては、公知のハロゲン化銀溶解剤を用いることができ、例えば、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸アンモニウムなどチオ硫酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。その他としては、例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。定着主剤の濃度は、漂白定着処理液1リットルあたり、0.3〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モルである。これらは、1種あるいは2種以上併用しても良い。その他に副次的定着主剤として、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素、エチレンチオ尿素などのチオ尿素類などを1種あるいは2種以上併用して含んでも良い。これら副次的定着主剤の濃度としては、好ましくは1.8モル/L以下であり、より好ましくは0.1〜1.6モル/Lの範囲である。
次に、定着処理液について説明する。
定着処理液には公知のハロゲン化銀溶解剤である前記の定着主剤(チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸アンモニウムなど)を含み、必要に応じて副次的な定着主剤(エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素、エチレンチオ尿素など)を含む。定着主剤の濃度としては、1リットルあたり、0.3〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モルである。定着処理液のpHとしては、4〜9が好ましく、さらには5.5〜8が好ましい。前記pHの範囲では、優れた定着能が得られるばかりか、臭気等の発生も無く、良好な処理性能が得られる。上記pH領域に調節する為には、前記の有機塩基(例えばイミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)などが挙げられる。また、定着処理液には前記亜硫酸塩やスルフィン酸塩を含有させることが処理液の経時安定性から好ましく、濃度としては定着処理液1リットルあたり、亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。また、処理の迅速性を考慮するときはアンモニウムイオンを使用することが好ましく、一方、作業環境性に重点をおく場合には、実質的にアンモニウムイオンを含まないことが好ましい。
次いで、本発明の安定化処理液を用いた処理方法に適用されるハロゲン化銀カラー感光材料について説明する。
本発明の処理方法に適用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料としては、主に、支持体上に、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層および非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
例えば、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができる。好ましくはカラーネガフィルム又はカラーペーパーである。
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーの構成例を説明する。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、中でも塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、あるいは塩沃化銀の場合、本発明の効果が顕著となり好ましい。また、迅速処理性、処理安定性の観点からは、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間露光における高濃度域での特性曲線の軟調化を軽減する観点から、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いることができる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面、あるいは結晶粒子の頂点であることが特に好ましい。
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間の走査露光での軟調化を軽減する観点から、重金属イオンを含有させたハロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、例えば、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や錯塩の形態でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子またはイオンとしては、例えば、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
ハロゲン化銀粒子に上述の重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後等、物理熟成中の各工程における任意の時期で添加すればよい。また、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体或いは一部に亘って連続的に行うことができる。
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10-9モル以上、1×10-2モル以下がより好ましく、特に1×10-8モル以上、5×10-5モル以下が好ましい。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子は単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び、感度や他の写真性能などを考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは0.2〜1.0μmの範囲である。この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使って、これを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積として、これを表すことができる。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここでいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、下記式によって定義される。
変動係数=S/R
(ここで、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子においては、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れの方法により得られたものであってもよい。ハロゲン化銀粒子は、一度に成長させたものであってもよいし、種粒子を調製した後、成長させたものでもよい。種粒子を調製する方法と粒子を成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、あるいはそれらの組合せた方法など、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。ハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、例えば、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、中でもイオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、例えば、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲が好ましい。
金増感剤としては、例えば、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、例えば、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10-4〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
本発明に係る感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤や安定剤を用いることができる。この様な目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下で化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-5〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5〜1×10-2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の構成層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10-9〜1×10-3モル程度の量が好ましい。
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料、及び特開平6−3770号公報明細書記載の染料、さらに特開平11−119379号公報に記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。
本発明に係る感光材料中に蛍光増白剤を添加することが、白地性改良の観点から好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料は、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の分光増感に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)または(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許第488,248号明細書及び同第491,197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号明細書、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号公報、同8−311360号公報、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許第333,185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許第456,226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許第484,909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
また、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号〔0012〕〜同〔0059〕の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
本発明において、マゼンタ色画像形成層で用いるマゼンタカプラーとして、例えば、5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級または3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3または6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号〔0009〕〜同〔0026〕はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854,384号明細書、同第884,640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
また、本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、欧州特許第447,969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許第482,552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州特許第953,870A1号明細書、同第953,871A1号明細書、同第953,872A1号明細書、同第953,873A1号明細書、同第953,874A1号明細書、同第953,875A1号明細書等に記載のピロール−2または3−イル若しくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加する方法として水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号公報明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も用いることができる。
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式I及びIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開平64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物及び特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報の9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報の10ページ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したり、またハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良したりすることが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同号公報の13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14及び17ページ記載の化合物1が挙げられる。
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良したりすることが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては、特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましく、例えば、特開昭61−249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤及び抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料の処理前あるいは処理後の表面物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
本発明に係る感光材料においては、イエロー色画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成層を、それぞれ少なくとも1層有していればよいが、必要に応じて複数の色画像形成層でユニットを形成してもよい。
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料及び特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1g/m2〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2g/m2〜5g/m2の範囲である。
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
本発明に係る感光材料中には、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には増感色素の感光材料外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、及び塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、更に70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。
本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、更には15質量%が好ましい。
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく好ましい。
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
本発明に係る感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
次いで、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーフィルムの代表的構成要素を説明する。
カラーフィルムの代表的構成要素に関しては、例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、RDNo.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion, Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RDNo.17643、RDNo.18716及びRDNo.308119(それぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。なお、下記に記載の各数値は、記載されている頁を表す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕
化学増感剤 996 III−A項 23 648
分光増感剤 996 IV−A−A、
B、C、D、 23〜24 648〜649
H、I、J項
強色増感剤 996 IV−A−E、J項
23〜24 648〜649
カブリ防止剤 998 VI 24〜25 649
安定剤 998 VI 24〜25 649
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕〔RD17643〕〔RD18716〕
色濁り防止剤 1002VII−I項 25 650
色素画像安定剤 1001VII−J項 25
増白剤 998V 24
紫外線吸収剤 1003VIII−I項、
XIII−C項 25〜26
光吸収剤 1003VIII 25〜26
光散乱剤 1003VIII
フィルター染料 1003VIII 25〜26
バインダー 1003IX 26 651
スタチック防止剤1006XIII 27 650
硬膜剤 1004X 26 651
可塑剤 1006XII 27 650
潤滑剤 1006XII 27 650
活性剤・塗布助剤1005XI 26〜27 650
マット剤 1007XVI
現像剤(ハロゲン化銀カラー写真感光材料に含有)
1001XXB項
本発明に係る感光性層には、種々のカプラーを使用することが出来、その具体例は、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕
イエローカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
マゼンタカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
シアンカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
カラードカプラー 1002VII−G項 VIIG項
DIRカプラー 1001VII−F項 VIIF項
BARカプラー 1002VII−F項
その他の有用残基放出 1001VII−F項
カプラー
アルカリ可溶カプラー 1001VII−E項
上記各添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することができる。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることもできる。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることができる。
次に、本発明の処理方法で用居られる現像処理装置(自動現像機)について説明する。
本発明に係る自動現像機は、搬送の線速度が100mm/秒以下であることが好ましく、より好ましくは27.8mm/秒〜80mm/秒、特に好ましくは27.8mm/秒〜50mm/秒である。
カラーペーパー用自動現像機の搬送では、カラーペーパーを最終サイズにカットしてから現像処理を行う方式(シート型搬送方式)と、ロール状のハロゲン化銀カラー写真感光材料で現像処理し、処理後に最終サイズにカットする方式(シネ型搬送方式)とがある。シネ型搬送方式は、画像間に2mm程度の感光材料の無駄が発生するため、シート型搬送方式が好ましい。
本発明に係る各処理液では、処理槽及び補充液槽で、液が空気と接触する面積(開口面積)はできるだけ小さい方が好ましい。例えば、開口面積(cm2)を槽中の液体槽(cm3)で割った値を開口率とすると、開口率は0.08(cm-1)以下が好ましい。
また、空気と接触する面積を小さくする為に、処理槽及び補充槽では液面に浮かぶ固体または液体の空気非接触手段を設けることが好ましい。具体的には、プラスチック製の浮きなどを液面に浮かべる方法や、処理液と混ざらず、また化学反応を起こさない液体で覆うことが好ましい。液体の例としては、流動パラフィン、液状飽和炭化水素などを用いることができる。
本発明においては、迅速に処理を行うために、各処理液間をハロゲン化銀カラー写真感光材料が移動する際の空中時間、即ち、クロスオーバー時間は短い程良く、好ましくは10秒以下、より好ましくは7秒以下、更に好ましくは5秒以下である。また、クロスオーバー時間を短縮し、かつ処理液の混入を防止するために、混入防止板を取り付けたクロスオーバーラックの構造が好ましい。クロスオーバー時間を全くなくす方法として、特開2002−55422号記載のブレードによる液中搬送構造を用いることが特に好ましい。この方法では、処理槽間にブレードを設け、液漏れを防止し、感光材料は通過させることで、クロスオーバー時間をゼロにできる。このブレードによる液中搬送構造に、特開2002−339383号記載の液循環方向を下方向に流す液循環構造、循環系に多孔材質プリーツ状フィルターを設置することが特に好ましい。本発明に係る各処理液には、処理液の蒸発分に相当する水を供給する、いわゆる蒸発補正を行うことが好ましい。特に、発色現像液や漂白定着液において好ましい。
このような水の補充を行う具体的方法としては、特に制限はないが、中でも特開平1−254959号や同1−254960号公報に記載の、漂白定着槽とは別のモニター水槽を設置し、モニター水槽内の水の蒸発量を求め、この水の蒸発量から漂白定着槽における水の蒸発量を算出し、この蒸発量に比例して漂白定着槽に水を補充する方法や液レベルセンサーやオーバーフローセンサーを用いた蒸発補正方法が好ましい。最も好ましい蒸発補正方法は、蒸発分に相当する水を予想して加えるもので、日本発明協会公開技報94−49925号1頁の右欄26行目〜同3頁左欄28行目に記載されているように自動現像機の運転時間、停止時間及び温調時間の情報に基づいて予め求められた係数により計算された加水量を添加するものである。また、蒸発量を減少させる工夫も必要であり、開口面積を少なくしたり、排気ファンの風量を調節することが要求される。例えば、カラー現像液の好ましい開口率は前記した通りであるが、他の処理液においても同様に開口面積を低下させることが好ましい。
蒸発量を減少させる手段として、特開平6−110171号記載の「処理槽の上部空間の湿度を80%RH以上に保持する」ことが特に好ましく、上記公報の図1、2に記載の蒸発防止ラック及びローラー自動洗浄機構を有することが特に好ましい。温調時の結露防止のために排気ファンが通常取付けられているが、好ましい排気量としては毎分0.1m3〜1m3であり、特に好ましくは、0.2m3〜0.4m3である。ハロゲン化銀カラー写真感光材料の乾燥条件も処理液の蒸発に影響する。乾燥方式としては、セラミック温風ヒーターを用いるのが好ましく、供給風量としては毎分4m3〜20m3が好ましく、特に6m3〜10m3が好ましい。セラミック温風ヒーターの加熱防止用サーモスタットは、伝熱によって動作させる方式が好ましく、取付け位置は、放熱フィンや伝熱部を通じて風下または風上に取りつけるのが好ましい。乾燥温度は、処理される感光材料の含水量によって調整することが好ましく、カラーペーパーでは50〜70℃、APSフォーマット及び35mm幅のフィルムでは45〜55℃、ブローニーフィルムでは55〜65℃が最適である。乾燥時間は5秒〜2分が好ましく、特に5秒〜60秒がより好ましい。
処理使用液の補充に際しては補充ポンプが用いられるが、ベローズ式の補充ポンプが好ましい。また、補充方式としては、直接処理槽に処理液濃縮組成物を添加するとともに、希釈率に見合った水を処理槽に直接加えても良く、また補充タンク内で処理液濃縮組成物を溶解・希釈して補充液として補充しても良く、また補充タンク内で自動調製装置を用いて処理液濃縮組成物を自動的に溶解・希釈して補充液として補充しても良い。また、補充精度を向上させる方法としては、ポンプ停止時の逆流を防止するため、補充ノズルへの送液チューブの径を細くしておくことが有効である。好ましい内径としては1〜8mm、特に好ましい内径として2〜5mmである。
自動現像機には種々の部品材料が用いられ、好ましい材料を以下に記載する。
処理槽及び温調槽等のタンク材質は、変性PPO(変性ポリフェニレンオキサイド)、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)樹脂が好ましい。変性PPOは、日本ジーイープラスチック社製「ノリル」、変性PPEは、旭化成工業製「ザイロン」、三菱瓦斯化学製「ユピエース」等が挙げられる。また、これらの材質は、処理ラック、クロスオーバー等の処理液に接触する可能性のある部位に適している。
処理部のローラー材質は、PVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、TPX(ポリメチルペンテン)等の樹脂が適している。また、これらの材質は、その他の処理液接触部にも使用することが可能である。尚、PE樹脂はブロー形成による補充タンクの材質にも好ましい。
処理部、ギヤ、スプロケット、軸受などの材質には、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、UHMPE(超高分子量ポリエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(全芳香族ポリエステル樹脂、液晶ポリマー)等の樹脂が適している。
PA樹脂は、66ナイロンや12ナイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂で、ガラス繊維や炭素繊維等を含有したものは、処理液による膨潤に対して強く、使用可能である。
また、MCナイロンの様な高分子量品やコンプレッション形成品は、繊維強化なしでも使用することが可能である。UHMPE樹脂は、未強化品が適しており、三井石油化学(株)製「リューブマ」、「ハイゼックス・ミリオン」、作新工業(株)製「ニューライト」、旭化成工業(株)製「サンファイン」等が適している。分子量は、好ましくは100万以上、より好ましくは100万〜500万である。PPS樹脂は、ガラス繊維や炭素繊維強化のものが好ましい。LCP樹脂は、ICIジャパン(株)製「ビクトレックス」、住友化学(株)製「エコノール」、日本石油(株)製「ザイダー」、ポリプラスチック(株)製「ベクトラ」などが含まれる。特に、搬送ベルトの材質としては、特開平4−151656号記載の超高強力ポリエチレン繊維やポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。スクイズローラー等の軟質材料としては、発泡塩化ビニル樹脂や発泡シリコン樹脂、発泡ウレタン樹脂が適している。発泡ウレタン樹脂としては東洋ポリマー(株)製「ルビセル」が挙げられる。配管の継手やアジテーションジェットパイプの継手、シール材などのゴム材質としては、EPDMゴム、シリコンゴム、バイトンゴムなどが好ましい。本発明に使用される処理液濃縮組成物は、各工程用の処理液濃縮組成物を個別に製品形態とするほかに、一組にまとめたカートリッジ形態で用いても良い。また、その場合はカートリッジを一括して装着できる装置を自動現像機が有していることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーを作製した。
紙基材の両面に高密度ポリエチレンをラミネートして紙支持体を作製した。ただし、各乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンの分散物(含有量は15質量%)を含有する溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体Aを作製した。この反射支持体Aをコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各構成層を塗設して、カラーペーパーを作製した。
上記カラーペーパーの作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
なお、表1、表2に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1を、常法に従い調製した。次に、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。また、EMP−1Bに対しても同様に感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の比率で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
〈緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2を、常法に従い調製した。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の比率で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10-4モル/モルAgX
〈赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3を、常法に従い調製した。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の比率で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
上記各ハロゲン化銀乳剤の調製に使用した各化合物の詳細は、以下の通りである。
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性ハロゲン化銀乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10-3モル添加した。
Figure 2006220801
《現像処理》
上記作製した試料101を、常法に従いウェッジ露光を行った後、下記の処理条件に従って現像処理1−1〜1−56(安定化液1−1〜1−56を使用)を行って、現像処理済みの試料を作成した。
〔処理条件〕
〈処理工程〉 〈処理温度〉 〈処理時間〉
発色現像 39.5℃ 30秒
漂白定着 38.0℃ 30秒
安定化 38.0℃ 30秒
乾燥 60〜80℃ 30秒
〔処理液組成〕
各処理工程で用いた処理液組成は、以下の通りである。
(発色現像処理液:1L当たり)
p−トルエンスルホン酸 10.0g
塩化カリウム 5.0g
水酸化ナトリウム 6.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(p−(メタンスルホンアミド)エチル)アニリン硫酸塩 7.0g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム塩 5.5g
炭酸カリウム 22.5g
ジエチレントリアミン五酢酸 8.0g
pH 10.10
水を加えて全量を1Lとし、pHを水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
(漂白定着処理液:1L当たり)
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.2mol
チオ硫酸アンモニウム(58質量/質量%) 145.0g
亜硫酸ナトリウム 0.15mol
コハク酸 20.0g
pH 6.0
水を加えて全量を1Lとし、pHを水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
(安定化処理液1−1〜1−56:1L当たり)
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム 3.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
亜硫酸ナトリウム 0.4g
チノパールSFP(チバガイギー製) 0.4g
銀イオン(*1) 表3、4に記載の量
添加剤A(表3,4に記載の種類) 表3、4に記載の量
pH 7.5
水を加えて全量を1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
*1)銀イオンは、相当量の硝酸銀に対して1.2倍モルの塩化カリウムを含む水溶液に、硝酸銀水溶液を添加し、得られた塩化銀沈殿物(白色)の上済み溶液をデカンテーションにより除去した。このようにして得られた塩化銀沈殿物を、12.5gのチオ硫酸アンモニウムに溶解し、その溶液で表3、4に記載の銀イオン量となるように、それぞれ添加した。
《処理済み試料の評価》
〔シアンステイン耐性の評価〕
上記作成した各処理済み試料の最小濃度部(Dmin部)におけるシアン反射濃度を、濃度計X−Rite310を用いて測定し、これをDmin1とした。次いで、同試料を80℃、60%RHの環境下で20日間の強制劣化保存を行った後、同様にして最小濃度部(Dmin部)におけるシアン反射濃度を測定し、これをDmin2とした。次いで、下式に従って強制劣化保存前後でのシアン最小濃度の変化幅ΔDminAを求め、これをシアンステインとした。
ΔDminA=強制劣化保存後のDmin2−強制劣化保存前のDmin1
なお、ΔDminAの値が低い程、シアンステインの抑制効果が良好に発揮されていることを示す。
また、下式からシアンステインの改良幅を求めた。
改良幅=(比較例のシアンステイン)−(比較例とそれぞれ同量の銀イオンを含み、本発明に係る一般式(I)〜(III)を含む本発明の安定化液のシアンステイン)
なお、上記式に従って求めた改良幅が大きいほど、シアンステインの抑制効果(改良効果)が大きいことを表す。
以上により得られた結果を表3、表4に示す。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
表3、表4に記載の結果より明らかなように、連続処理において、前浴である漂白定着液のキャリーオーバーによる銀イオンの蓄積を想定して安定化処理液中の銀イオン量を変化させ、銀イオンによるシアンステインへの影響を評価した結果、本発明に係る一般式(I)〜(III)で表される化合物を含有しない比較例の安定化処理液を用いた現像処理では、安定化処理液中の銀イオン濃度が0.4g/L以上になると、急激なシアンステインを引き起こしていることが分かる。これに対して、本発明に係る一般式(I)〜(III)で表される化合物を含有する本発明の安定化処理液では、銀イオン量が少ない領域では銀イオンによるシアンステイン発生への関与が低く、比較例と近似のレベルであるが、安定化処理液中の銀イオン濃度が0.4g/L以上、4.0g/L以下の条件において、シアンステインの発生が著しく低減され、連続処理において、前浴である漂白定着液のキャリーオーバーによる銀イオンの影響を十分に抑制していることが分かる。また、本発明に係る化合物の中でも一般式(II)または(III)で表される化合物を含有する安定化処理液において、特に良好なシアンステインの抑制効果を発揮することが分かる。
実施例2
実施例1に記載の現像処理1−28で用いた安定化処理液1−28において、安定化処理液に含まれる例示化合物II−3の添加濃度を表5に記載のように変化させた以外は同様にして安定化処理液2−1〜2−12を調製した。
次いで、上記調製した各安定化処理液を用いて、安定化工程の処理時間を20秒に変更した以外は実施例1に記載の処理条件と同様にして現像処理2−1〜2−12を行い、実施例1に記載の方法と同様にしてシアンステインの抑制効果を評価した。得られた結果を表5に示す。
Figure 2006220801
表5に記載の結果より明らかなように、本発明に係る一般式(II)で表される化合物(例示化合物II−3)を、0.2ミリモル/L以上、20.0ミリモル/L以下の範囲で添加した安定化処理液を用いて現像処理することで、安定化工程の処理時間をより迅速化した条件でも、特に優れたシアンステインの抑制効果を発揮することが分かる。
実施例3
実施例1に記載の現像処理1−28で用いた安定化処理液1−28において、添加剤Aの種類を表6に記載のように変化させた以外は同様にして安定化処理液3−1〜3−13を調製した。
次いで、上記調製した各安定化処理液を用いて、安定化工程の処理時間を20秒に変更した以外は実施例1に記載の処理条件と同様にして現像処理3−1〜3−13を行った。
現像処理した各試料について、強制劣化保存を80℃、60%RHの環境下で20日間の強制劣化保存に代えて、80℃、60%RH環境下でキセノンフェードメーターにより3日間の連続光照射を行った以外は同様にしてシアンステインの抑制効果を評価した。得られた結果を表6に示す。
Figure 2006220801
表3に記載の結果より明らかなように、本発明の化合物の中でも現像処理後の試料の保存条件がより過酷なフェードメーターによる光照射条件では、特に、一般式(II−1)〜(II−4)で表される化合物を含有する安定化処理液を用いて処理することにより、特に優れたシアンステインの抑制効果を発揮することが分かる。
実施例4
実施例1に記載の現像処理1−28、1−29で用いた安定化処理液1−28、1−29において、表7、表8に記載のように添加剤Bをそれぞれ添加した以外は同様にして安定化処理液4−1〜4−47を調製した。
次いで、これら調製した各安定化処理液を開口面積比率88.2cm2/Lの条件でビーカーに入れ、蒸発した分の水を補いながら、40℃の恒温槽中で5日間保存した。次に、この保存後の安定化処理液を用いて、実施例1の安定化工程の処理時間を25秒に変更した以外は同様にして、現像処理4−1〜4−47を行い、実施例1に記載の方法と同様にしてシアンステインの評価を行った。得られた結果を表7、表8に示す。
なお、表7、表8に略称で記載の添加剤Bの詳細は、以下の通りである。
PVP−K15:ポリビニルピロリドンK−15(平均分子量10000)
PVP−K90:ポリビニルピロリドンK−90(平均分子量120000)
Figure 2006220801
Figure 2006220801
表7、表8に記載の結果より明らかなように、安定化処理液が劣化する様な条件では、一般式(A)、一般式(B)またはピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体を含有し、かつ銀イオンと該一般式(A)、一般式(B)またはピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体との質量比を1.0:1.0〜20.0:1.0範囲で添加することで、特に優れたシアンステインの抑制効果が得られることが分かる。
実施例5
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーネガフィルムを作製した。
下引層を設けた厚さ125μmのセルローストリアセテートフィルム支持体上に、以下の組成物を塗布して多層からなる撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料である試料201を作製した。
以下、全ての記載において、ハロゲン化銀カラー写真感光材料中の各添加剤の添加量は、特に記載のない限り1m2あたりのグラム数で示した。また、ハロゲン化銀およびコロイド銀は、金属銀に換算して示し、増感色素はハロゲン化銀1モル当たりのモル数で示した。
(第1層:ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 0.18
紫外線吸収剤(UV−1) 0.3
カラードカプラー(CM−1) 0.08
カラードカプラー(CC−1) 0.05
高沸点有機溶剤(OIL−1) 0.16
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.5
ゼラチン 1.5
(第2層:中間層)
カラードカプラー(CC−1) 0.035
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.08
ゼラチン 0.7
(第3層:低感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.30
沃臭化銀乳剤b 0.06
増感色素(SD−1) 1.10×10-5
増感色素(SD−2) 5.40×10-5
増感色素(SD−3) 1.25×10-4
シアンカプラー(C−1) 0.30
カラードカプラー(CC−1) 0.054
DIR化合物(DI−1) 0.02
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.3
化合物(AS−2) 0.001
ゼラチン 1.5
(第4層:中感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤b 0.37
SD−1 1.50×10-5
SD−2 7.00×10-5
SD−3 1.65×10-4
C−1 0.23
CC−1 0.038
DI−1 0.01
OIL−2 0.27
AS−2 0.001
ゼラチン 1.5
(第5層:高感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.04
沃臭化銀乳剤b 0.18
沃臭化銀乳剤c 0.50
SD−1 1.30×10-5
SD−2 6.00×10-5
SD−3 1.40×10-4
C−1 0.12
C−2 0.03
CC−1 0.03
DI−1 0.004
OIL−2 0.19
AS−2 0.002
ゼラチン 1.2
(第6層:中間層)
OIL−1 0.08
AS−1 0.08
ゼラチン 0.9
(第7層:低感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.22
沃臭化銀乳剤d 0.09
SD−4 1.50×10-4
SD−5 3.75×10-5
M−1 0.35
CM−1 0.12
OIL−1 0.49
DI−2 0.017
AS−2 0.0015
ゼラチン 2.2
(第8層:中感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤d 0.46
SD−5 2.10×10-5
SD−6 1.61×10-4
SD−7 2.40×10-5
M−1 0.1
CM−1 0.05
OIL−1 0.15
AS−2 0.001
ゼラチン 1.6
(第9層:高感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.03
沃臭化銀乳剤e 0.47
SD−5 1.90×10-5
SD−6 1.43×10-4
SD−7 2.10×10-5
M−1 0.033
M−2 0.023
CM−1 0.023
DI−1 0.009
DI−2 0.0009
OIL−1 0.08
AS−2 0.002
ゼラチン 1.2
(第10層:イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 0.08
OIL−1 0.06
AS−1 0.8
ゼラチン 0.9
(第11層:低感度青感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.18
沃臭化銀乳剤f 0.14
沃臭化銀乳剤g 0.08
SD−8 1.15×10-4
SD−9 5.60×10-5
SD−10 2.56×10-5
Y−1 1.0
OIL−1 0.4
AS−2 0.002
FS−1 0.08
ゼラチン 3.0
(第12層:高感度青感光性層)
沃臭化銀乳剤g 0.30
沃臭化銀乳剤h 0.30
SD−8 7.12×10-5
SD−10 2.39×10-5
Y−1 0.1
OIL−1 0.04
AS−2 0.002
FS−1 0.01
ゼラチン 1.10
(第13層:第1保護層)
沃臭化銀乳剤i 0.3
UV−1 0.11
UV−2 0.53
ゼラチン 0.9
(第14層:第2保護層)
PM−1 0.15
PM−2 0.04
WAX−1 0.02
ゼラチン 0.55
尚上記組成物の他に、化合物SU−1、SU−2、粘度調整剤V−1、硬膜剤H−1、H−2、安定剤ST−1、ST−2、カブリ防止剤AF−1、AF−2、AF−3、染料AI−1、AI−2、AI−3及び防腐剤D−1を各層に適宜添加した。
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
Figure 2006220801
上記試料201の作製に用いたハロゲン化銀乳剤の一覧を、下記表9に示す。尚平均粒径は、立方体に換算した粒径で示した。
Figure 2006220801
沃臭化銀乳剤b、e、g、hは、イリジウムを1×10-7〜1×10-6mol/1molAg含有している。
上記沃臭化銀乳剤i以外の各乳剤は、前記増感色素を添加した後、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウム等を添加し、カブリ−感度の関係が最適になるように化学増感を施した。
《現像処理》
上記作製した試料201を、常法に従いウェッジ露光を行った後、下記の処理条件に従って現像処理5−1〜5−32(安定化液5−1〜5−32を使用)を行って、現像処理済みの試料を作成した。
〔処理条件〕
〈処理工程〉 〈処理温度〉 〈処理時間〉
発色現像 41.0℃ 100秒
漂白 38.0℃ 35秒
定着−1 38.0℃ 35秒
定着−2 38.0℃ 35秒
安定化 38.0℃ 35秒
乾燥 60〜80℃ 35秒
〔処理液組成〕
(発色現像処理液:1L当たり)
ジエチレングリコール 5.0g
N,N−ビス(2−スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム 5.0g
臭化カリウム 1.5g
亜硫酸ナトリウム 5.5g
N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩
9.2g
パラトルエンスルホン酸ナトリウム 3.0g
ヨウ化カリウム 2.2mg
ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム塩 3.0g
炭酸カリウム 40.0g
pH 10.25
水を加えて全量を1Lとし、pHは硫酸または水酸化カリウムで調整した。
(漂白処理液:1L当たり)
1,3−プロピレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム塩 160g
1,3−プロピレンジアミン4酢酸 5.0g
臭化アンモニウム 50g
マレイン酸 35g
琥珀酸 20g
イミダゾール 5.0g
pH 3.8
水を加えて全量を1Lとし、pHは硫酸または水酸化カリウムで調整した。
(定着処理液:1L当たり)
チオ硫酸アンモニウム 250g
亜硫酸ナトリウム 15g
エチレンジアミン4酢酸 2.0g
炭酸カリウム 2.0g
イミダゾール 10g
メルカプトトリアゾール 2.0g
pH 7.0
水を加えて全量1Lとし、pHは硫酸またはアンモニア水で調整した。
(安定化処理液5−1〜5−32:1L当たり)
エチレンジアミン4酢酸 0.5g
亜硫酸ナトリウム 0.8g
銀イオン(*1) 表10に記載の量
添加剤A(表10に記載の種類) 表10に記載の量
m−ヒドロキシベンズアルデヒド 0.5g
pH 7.0
水を加えて全量1Lとし、pHは硫酸またはアンモニア水で調整した。
*1)銀イオンは、相当量の硝酸銀に対して1.2倍モルの塩化カリウムを含む水溶液に、硝酸銀水溶液を添加し、得られた塩化銀沈殿物(白色)の上済み溶液をデカンテーションにより除去した。このようにして得られた塩化銀沈殿物を、12.5gのチオ硫酸アンモニウムに溶解し、その溶液で表10に記載の銀イオン量となるように、それぞれ添加した。
《処理済み試料の評価》
〔シアンステイン耐性の評価〕
上記作成した各処理済み試料の最小濃度部(Dmin部)におけるシアン透過濃度を、濃度計X−Rite310を用いて測定し、これをDmin3とした。次いで、同試料を80℃、60%RHの環境下で20日間の強制劣化保存を行った後、同様にして最小濃度部(Dmin部)におけるシアン透過濃度を測定し、これをDmin4とした。次いで、下式に従って強制劣化保存前後でのシアン最小濃度の変化幅ΔDminBを求め、これをシアンステインとした。
ΔDminB=強制劣化保存後のDmin4−強制劣化保存前のDmin3
なお、ΔDminBの値が低い程、シアンステインの抑制効果が良好に発揮されていることを示す。
また、下式からシアンステインの改良幅を求めた。
改良幅=(比較例のシアンステイン)−(比較例とそれぞれ同量の銀イオンを含み、本発明に係る一般式(I)〜(III)を含む本発明の安定化液のシアンステイン)
なお、上記式に従って求めた改良幅が大きいほど、シアンステインの抑制効果(改良効果)が大きいことを表す。
以上により得られた結果を表10に示す。
Figure 2006220801
表10に記載の結果より明らかなように、連続処理において、前浴である定着液のキャリーオーバーによる銀イオンの蓄積を想定して安定化処理液中の銀イオン量を変化させ、銀イオンによるシアンステインへの影響を評価した結果、本発明に係る一般式(I)〜(III)で表される化合物を含有しない比較例の安定化処理液を用いた現像処理では、安定化処理液中の銀イオン濃度が0.4g/L以上になると、急激なシアンステインを引き起こしていることが分かる。これに対し、本発明に係る一般式(I)〜(III)で表される化合物を含有する本発明の安定化処理液では、銀イオン量が少ない領域では銀イオンによるシアンステイン発生への関与が低く、比較例と近似のレベルであるが、安定化処理液中の銀イオン濃度が0.4g/L以上、4.0g/L以下の条件において、シアンステインの発生が著しく低減され、連続処理において、前浴である定着液のキャリーオーバーによる銀イオンの影響を十分に抑制していることが分かる。また、本発明に係る化合物の中でも一般式(II)または(III)で表される化合物を含有する安定化処理液において、特に良好なシアンステインの抑制効果を発揮することが分かる。

Claims (6)

  1. ハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理プロセスで用いるハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液において、銀イオン濃度が0.4g/L以上、4.0g/L以下であって、かつ下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
    Figure 2006220801
    〔式中、A1、A2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、Yは水素原子、チオール基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシルアミノ基、−NR12、−SR3または−OR3を表し、W1は単結合手、−O−、−S−または−NR4−を表し、W2は−O−、−S−または−NR4−を表す。R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R1とR2、R4とA1、及びR4とA2はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
  2. 前記一般式(I)で表される化合物の含有量が、0.2ミリモル/L以上、20.0ミリモル/L以下であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
  3. 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)または(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
    Figure 2006220801
    〔式中、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれ独立に−N(R1)R2、−OR3、−SR3、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、Z1及びZ2はそれぞれ−NR4−、−O−または−S−を表し、Lはアリーレン基、アルキレン基、アルケニレン基またはヘテロ環基を表し、R1及びR2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R3はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R4は水素原子、アリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表す。R1及びR2は結合して含窒素へテロ環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(II)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
    Figure 2006220801
    〔式中、L12及びL13はそれぞれ同じでも異なっていても良く、アリール基またはヘテロ環基を表し、Qは水素原子、チオール基、カルボキシル基、スルホ基、−NR56、−OR7、ヒドロキシルアミノ基またはハロゲン原子を表し、R5、R6、R7はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ基を表す。R5とR6は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、上記の一般式(III)で表される分子内には、−SO3M、−CO2Mまたは−OHで表される基を少なくとも1つ含有し、ここでMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムを表す。なお、上記の一般式(III)で表される分子内には、アゾ基またはジアミノスチルベン構造を有することはない。〕
  4. 前記一般式(II)で表される化合物が、下記一般式(II−1)〜(II−4)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
    Figure 2006220801
    〔式中、R11〜R18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L1はフェニレン基またはナフチレン基を表す。R11〜R18のうち、3個以上はアリール基である。また、R11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−1)で表される分子内には、−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに一般式(II−1)で表される化合物では、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
    Figure 2006220801
    〔式中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L2はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。Raはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Rbは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R21とR22、R23とR24、R25とR26、R27とR28は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−2)で表される化合物では、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(II−2)で表される化合物は、分子内に−N=N−またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
    Figure 2006220801
    〔式中、R31〜R34はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。L3はフェニレン基、ナフチレン基、アルキレン基またはヘテロ環基を表す。A31、A32は、それぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基またはヒドロキシルアミノ基を表す。R35、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R31とR32、R33とR34は互いに結合して環を形成してもよい。ただし、一般式(II−3)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。さらに、一般式(II−3)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基を含有しない。〕
    Figure 2006220801
    〔式中、L4はフェニレン基、ナフチレン基またはアルキレン基を表す。X1は酸素原子または硫黄原子を表し、X2は酸素原子、硫黄原子または−NH−を表す。A41、A42、A43、A44はそれぞれ独立にアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ヒドロキシルアミノ基または−NR4142(R41、R42はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、R41とR42が互いに結合して環を形成してもよい)を表す。ただし、一般式(II−4)で表される化合物は、分子内に−SO3M、−CO2M、−OHで表される基を少なくとも1つ含有する。ここで、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。更に、一般式(II−4)で表される化合物は、分子内に−N=N−で表される基またはジアミノスチルベン構造を含有しない。〕
  5. 少なくとも下記一般式(A)で表される化合物、下記一般式(B)で表される化合物及び分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体から選ばれる少なくとも1種を含有し、前記銀イオンと該下記一般式(A)で表される化合物、下記一般式(B)で表される化合物及び分子構造中にピロリドン核を有する重合体もしくは共重合体から選ばれる少なくとも1種との質量比が、1.0:1.0〜20.0:1.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液。
    一般式(A)
    HO−(W−O)p−H
    〔式中、Wは−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−または−CH2CH2CH2CH2−を表し、pは1〜250の整数を表す。〕
    一般式(B)
    HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
    〔式中、nは100〜200の整数を表し、mは10〜50の整数を表す。〕
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液を用いて処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
JP2005032751A 2005-02-09 2005-02-09 ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法 Pending JP2006220801A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005032751A JP2006220801A (ja) 2005-02-09 2005-02-09 ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005032751A JP2006220801A (ja) 2005-02-09 2005-02-09 ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006220801A true JP2006220801A (ja) 2006-08-24

Family

ID=36983184

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005032751A Pending JP2006220801A (ja) 2005-02-09 2005-02-09 ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006220801A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0566539A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP2006220801A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理液とハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP4141171B2 (ja) 画像形成方法
JP3765486B2 (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着液濃縮組成物
JP2000356844A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料及びその現像処理方法
JP2006259496A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP2005321691A (ja) 漂白能を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料用処理組成物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JPWO2005040916A1 (ja) 安定化液及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP2006220700A (ja) 漂白能を有する処理組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP3716052B2 (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法および脱銀処理組成物
JP2005315970A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP2006194945A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料用漂白定着処理組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP4185306B2 (ja) 画像形成方法
JP2006145830A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP2006259497A (ja) 感光材料の処理方法
JP2005338745A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像処理液、ハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物、ハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像濃縮組成物包装体と、それを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JPH05232660A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP2006208884A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理組成物及びそれらを用いた処理方法
JP2006343468A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP2005107158A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料用濃縮現像処理剤。
JP2006208885A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理組成物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料の安定化処理濃縮組成物
JP2006003610A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料用安定化液の濃縮組成物とそれを用いた処理方法
JP2002189276A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法とそれを用いた画像情報形成方法
JP2007017745A (ja) ハロゲン化銀カラ−写真感光材料の安定化処理用濃縮組成物
JP2006267353A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法