JP2006220700A - 漂白能を有する処理組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、迅速及び低補充条件下で連続処理を行った際のシアン色画像の耐光性が向上した漂白能を有する処理組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することにある。
【解決手段】 ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理に用いる漂白能を有する処理組成物において、Fe(II)比率が50モル%以上であるアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有し、かつ下記一般式(M)または(N)で表される化合物を使用液の状態に換算して、0.003モル/L以上、0.3モル/L以下含有することを特徴とする漂白能を有する処理組成物。
一般式(M)
X−(R1−S)n−R2−S−R3−Y
【化1】
Figure 2006220700

【選択図】 なし

Description

本発明は、新規の漂白能を有する処理組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法に関する。
通常、ハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、感光材料、カラーペーパー、あるいはカラーネガフィルムともいう)を処理して色素画像を形成する方法は、像様露光を与えた後、発色現像液を含む発色現像工程で処理し、次いで感光材料中に含まれる銀粒子を銀イオンに酸化する漂白工程、生成した銀イオンを感光材料から溶解除去する定着工程の2つの工程を含む脱銀工程を経て、リンスまたは色素を安定化させるための安定化工程により処理される。現在、カラーペーパーの処理では迅速化の観点から、漂白工程及び定着工程を漂白定着工程として同一浴で処理されている。
ところで、感光材料は、通常、現像所に設けられた自動現像機によって連続処理(ランニング処理ともいう)されているが、この様な感光材料の現像処理においては、ユーザーに対するサービス向上の一環として、現像依頼を受けたその日の内に現像処理してユーザーに返還することが要求され、迅速処理技術の開発が求められている。また、最近では、処理剤の低コスト化、あるいは回収や処理にコストが掛かる廃液量を低減し、低公害化を図るため、処理液の補充量を低減する低補充処理が盛んに行われている。
しかしながら、処理を迅速及び低補充化して連続処理を行うと、特に、感光材料の処理量が多いラボでは、漂白工程または漂白定着工程において、漂白主剤の空気酸化が追いつかず、これにより連続処理において蓄積した現像主薬、感光材料で使用されている増感色素あるいは染料などといった化合物が十分に失活あるいは消色されず、現像処理済みの感光材料中に残存してしまい、それら残存した化合物の影響等により、現像処理済みの感光材料を保存しておくと、形成した色画像の劣化といった問題を招くことが分かった。
一方、漂白定着工程処理で使用される漂白定着処理組成物は、主に漂白剤と定着剤を含み、一般的に定着剤は還元性を有しており、両者は保恒剤が存在しない場合には、容易に反応して失活することが知られている。通常、保恒剤としては亜硫酸塩などが用いられているが、保恒剤は長期間の保存に伴い分解が進行し、また保恒剤が存在する場合でも高濃度に濃縮した場合には少なからず両者は反応し、本来の性能を損なう結果に至ることから、従来、製品として供給される状態(キット)では、漂白パートと定着パートの2パート構成として独立形態として構成されている場合が多い。独立形態で複数パートを取り扱う場合、ユーザーの煩雑さが増え、ましてや溶解時の取り扱いミスにより、目的の補充濃度が得られないといった問題が起こるため、補充成分の全てが1つのパートで構成され、そのまま補充液として使用できる、いわゆるシングルパート(1パート)構成のものが望まれている。
漂白定着処理組成物の1パート化に関しては、以下のような方法が開示、提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1では、低温での析出性、高温での処理液安定性やランニング処理での漂白安定性について言及している。特に、特許文献1に記載の技術によれば、1パートの濃縮キットでも十分な保存性を有し、使用時は空気酸化または酸化剤の添加により、鉄錯塩をFe(III)に変えることにより、良好な漂白性が得られるとされている。
しかしながら、迅速及び低補充化して、連続条件で処理すると、特に処理量の多くないラボでも、漂白主剤の空気酸化が追いつかず、これにより連続処理により蓄積した現像主薬、感光材料中に使用されている増感色素や染料などが十分に失活、あるいは消色されずに現像処理済みの感光材料中に残存し、この結果、現像処理済み感光材料中を保存しておくと、形成したシアン色画像の光退色を引き起こすといった問題を招くことが判明した。
上記課題に対し、先の特許文献1においては、現像処理で形成されたシアン色画像の耐光性の改良に関しては、何ら言及がなされてはおらず、ましてやその改良方法に関する記載も一切見られない。
特開2002−169253号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、迅速及び低補充条件下で連続処理を行った際のシアン色画像の耐光性が向上した漂白能を有する処理組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理に用いる漂白能を有する処理組成物において、Fe(II)比率が50モル%以上であるアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有し、かつ下記一般式(M)または(N)で表される化合物を使用液の状態に換算して、0.003モル/L以上、0.3モル/L以下含有することを特徴とする漂白能を有する処理組成物。
一般式(M)
X−(R1−S)n−R2−S−R3−Y
〔式中、R1、R2及びR3は各々アルキレン基を表し、R1とR3またはR2とR3とで環を形成してもよい。XおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、アルキル基、アミノ基、アンモニオ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシル基、ヘテロ環基、アミノカルボニル基またはアミノスルホニル基を表し、XとYとで環を形成してもよい。nは0〜10の整数を表し、nが2以上であるとき、それぞれのR1は同じでも異なっていてもよい。〕
Figure 2006220700
〔式中、Zは−N(R13)(R14)、−OR15または−SR16を表す。R11、R12、R13、R14、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環残基を表し、また、R11とR12、R13とR14、あるいはR11とR13、R11とR15、R11とR16とが結合して、5ないし6員のヘテロ環を形成してもよい。〕
(請求項2)
前記一般式(M)または(N)で表される化合物の含有量が、使用液の状態に換算して0.01モル/L以上、0.2モル/L以下であることを特徴とする請求項1記載の漂白能を有する処理組成物。
(請求項3)
前記アミノポリカルボン酸鉄錯塩のFe(II)比率が50モル%以上、80モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の漂白能を有する処理組成物。
(請求項4)
定着主剤を含有する漂白定着処理組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の漂白能を有する処理組成物。
(請求項5)
ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリエチレンスクシネート及び酢酸セルロースから選ばれる少なくとも1種の化合物を原料とするプラスチック材料からなる容器に収納されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の漂白能を有する処理組成物。
(請求項6)
請求項1〜5のいずれか1項に記載の漂白能を有する処理組成物を用いて、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
本発明によれば、迅速及び低補充条件下で連続処理を行った際のシアン色画像の耐光性が向上した漂白能を有する処理組成物及びそれを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理に用いる漂白能を有する処理組成物として、Fe(II)比率が50モル%以上であるアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有し、かつ前記一般式(M)または(N)で表される有機硫黄化合物を使用液の状態に換算して、0.003モル/L以上、0.3モル/L以下含有する漂白能を有する処理組成物を用いることにより、迅速処理及び低補充条件下で連続処理を行った際でも、シアン色画像の退色を低減した漂白能を有する処理組成物を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、迅速処理及び低補充条件下で連続処理を行った際に、漂白液あるいは漂白定着液の空気酸化が追いつかないような状態、すなわち、漂白主剤としてFe(II)比率が50モル%以上であるアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有する漂白能を有する処理組成物に、更に前記一般式(M)または(N)で表される有機硫黄化合物を特定の範囲含有せしめることにより、現像処理を行って形成した色画像のうち、特に、シアン色画像を長期間にわたり保存した際に、外光、室内灯等による退色速度を飛躍的に抑制できることを見出したものである。
なお、本発明においては、第1鉄をFe(II)、第2鉄をFe(III)とも表現する。
以下、本発明の漂白能を有する処理組成物の詳細について説明するが、本発明の漂白能を有する処理組成物とは、漂白工程に使用される処理組成物(以下、漂白処理組成物ともいう)及び漂白定着工程に使用される処理組成物(以下、漂白定着処理組成物ともいう)をいい、使用液(タンク液)、補充液、キット及び濃縮キットも含み、これらを区別する格別の意味がない限り、それらを包含して処理組成物と表現している。また、漂白定着処理組成物が、複数パートで構成される場合(例えば、キットなど)には、アミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有する濃縮または使用液状態の処理組成物パート(以下、漂白剤パートともいう)を表す。
本発明の漂白能を有する処理組成物は、漂白主剤として過硫酸塩、過酸化水素などいかなる漂白剤を含むことができるが、例えば、下記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表されるようなアミノポリカルボン酸から錯形成されるアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含み、またアミノポリカルボン酸鉄錯塩のFe(II)比率が50モル%以上であることを1つの特徴とし、より好ましくは50モル%以上、80モル%以下であり、上記で規定する範囲において、本発明の目的効果が顕著に発揮される。
本発明で規定するアミノポリカルボン酸鉄錯塩におけるFe(II)比率を50モル%以上とする手段としては、特に制限はなく、例えば、アミノポリカルボン第2鉄錯塩をアジチオン酸ナトリウム等の還元剤で還元しても良く、また無機鉄塩の第1鉄塩と第2鉄塩の比率を調整し、アミノポリカルボン酸と共存させ、液中で錯形成させても良い。上記第1鉄塩としては、例えば、硫酸第1鉄、塩化第1鉄、シュウ酸第1鉄、酸化鉄などが挙げられ、より具体的な化合物としては、硫酸第1鉄アンモニウム、硫酸第1鉄ナトリウム、硫酸第1鉄アンモニウム、硫酸第1鉄ナトリウム、塩化第1鉄、臭化第1鉄、硫酸第1鉄、酢酸第1鉄、シュウ酸第1鉄、酸化鉄などである。また、第2鉄塩としては、硝酸第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、三硫酸鉄(III)三Mx、硫酸鉄(III)Mx(但し、Mxはアンモニウム、カリウム、ナトリウムまたは水素原子を表す)などが挙げられ、より具体的な化合物としては、硝酸第2鉄、塩化第2鉄、臭化第2鉄、三硫酸鉄(III)三アンモニウム、三硫酸鉄(III)三カリウム、三硫酸鉄(III)三ナトリウム、硫酸鉄(III)カリウム、硫酸鉄(III)ナトリウム、硫酸鉄(III)アンモニウム等で挙げることができる。
次いで、本発明の漂白能を有する処理組成物で好ましく用いることができる下記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表されるアミノポリカルボン酸について説明する。
Figure 2006220700
上記一般式(1)において、A1〜A4は各々同一でも異なってもよく、−CH2OH、−COOMまたは−PO312を表す。M、M1、M2は各々、水素原子、アルカリ金属またはその他のカチオンを表す。Xは炭素数3〜6の置換若しくは無置換のアルキレン基を表し、該アルキレン基は置換基(例えば、ヒドロキシル基)を有するものを含む。
Figure 2006220700
上記一般式(2)において、A1〜A4は前記一般式(1)で定義したものと同義であり、nは1〜8の整数を表す。B1及びB2は同一でも異なっていてもよく、各々炭素数2〜5のアルキレン基(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン等)を表し、置換基を有するものを含む。置換基としては水酸基、炭素数1〜3の低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)等が挙げられる。
Figure 2006220700
上記一般式(3)において、R1は水素原子または水酸基を表し、nは1または2であり、xは2または3であり、yは0または1であり、そしてxとyの和は常に3である。
Figure 2006220700
上記一般式(4)において、A1〜A4は各々前記一般式(1)で定義したものと同義であり、Xは炭素数2〜6のアルキレン基(例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等の各基)または−(B1O)n−B2−を表す。B1及びB2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜5のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン等の各基)を表す。nは1〜8の整数であり、好ましくは1〜4である。A1〜A4、B1、B2で表されるアルキレン基は、置換基(例えば、ヒドロキシル基)を有するものを含む。
前記一般式(1)で示される化合物の好ましい具体例を、以下に示す。
1−1:1,3−プロパンジアミン四酢酸
1−2:2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミン四酢酸
1−3:2,3−プロパンジアミン四酢酸
1−4:1,4−ブタンジアミン四酢酸
1−5:2−メチル−1,3−プロパンジアミン四酢酸
1−6:N−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン三酢酸
1−7:1,3−プロパンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
1−8:2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
1−9:2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン四酢酸
1−10:2,4−ブタンジアミン四酢酸
1−11:2,4−ペンタンジアミン四酢酸
1−12:2−メチル−2,4−ペンタンジアミン四酢酸
これら1−1〜1−12の化合物の鉄錯塩としては、これらの鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩を任意に用いることができる。
また、前記一般式(2)で示される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2006220700
これら例示化合物2−1〜2−7の鉄錯塩は、これら化合物の鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩を任意に用いることができる。
また、前記一般式(3)で示される化合物の具体例としては、
3−1:ニトリロモノプロピオノ二酢酸
3−2:ニトリロトリ酢酸
等が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩等を任意に用いることができる。
また、前記一般式(4)で示される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれら例示した化合物にのみ限定されるものではない。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
これら例示化合物4−1〜4−17の鉄錯塩は、これらの化合物の鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩を任意に用いることができる。
上記アミノポリカルボン酸塩と錯形成した鉄錯塩は、単独或いは2種類以上併用しても良い。
また、本発明の漂白能を有する処理組成物中のアミノポリカルボン酸鉄錯塩の濃度としては、使用液の状態に換算して0.01〜1.5モル/リットルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.02〜0.8モル/リットルであり、低補充及び迅速条件での処理性に優れる。また、上記アミノポリカルボン酸と鉄イオンとのモル比率はキレート構造の安定性から、アミノポリカルボン酸:鉄イオン=1.01:1.00〜1.10:1.00が好ましい。
次に、本発明の目的効果を発揮させる点から含有する本発明に係る前記一般式(M)、(N)で表される有機硫黄化合物について説明する。
前記一般式(M)において、R1、R2及びR3は各々アルキレン基を表し、R1とR3またはR2とR3とで環を形成してもよい。XおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、アルキル基、アミノ基、アンモニオ基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノカルボニル基またはアミノスルホニル基を表し、XとYとで環を形成してもよい。nは0〜10の整数を表し、nが2以上であるとき、それぞれのR1は同じであっても異なっていてもよい。
1、R2及びR3で表されるアルキレン基としては、両末端が炭素原子であればよく、主鎖中に−O−、−CONH−等を有するものを包含する。また、好ましい炭素数は1〜10、特に1〜6が好ましく、例えば、−CH2CH2−、−(CH23−、−(CH24−、−(CH26−、−CH2CH(OH)CH2−を挙げることができる。XおよびYは、水素原子の他に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(ここでアルキル基は置換基を有するものを含む。例えば、メチル基、エチル基等)、アミノ基(ここでアミノ基は置換基を有するものを含む。例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、−N(CH2CH2CN)2、−N(CH2CH(OH)CH2OH)2、NH2、モルホリノ基等)、アンモニオ基(ここでアンモニオ基は置換基を有するものを含む。例えば、トリメチルアンモニオ基等)、アミノカルボニル基(ここでアミノカルボニル基は置換基を有するものを含む。例えば、ジメチルアミノカルボニル基等)、アミノスルホニル基(ここでアミノスルホニル基は置換基を有するものを含む。例えば、ジメチルアミノスルホニル基等)が好ましい。中でも水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アンモニオ基が好ましい。nは1〜4の整数が好ましい。
また、一般式(M)で表される化合物は、無機または有機の酸の塩の形をとってもよい。無機または有機の酸の好ましい例としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
以下、本発明に係る一般式(M)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
上記した一般式(M)の例示化合物の中でも、好ましい化合物は、化合物M−3、M−6及びM−14である。一般式(M)で表される化合物は、一般的な方法により合成することが可能であり、例えば、仏国特許第1,108,788号、米国特許第2,503,776号、同2,912,329号、同3,021,215号、英国特許第950,089号、ジャーナル・オブ・ジ・オーガニック・ケミストリー,第26巻,1991〜1995頁(1961年)、日本化学会編,”新実験化学講座第14巻 有機化合物の合成と反応(II),1713〜1726頁、丸善(1978年刊)などに記載されている方法を参考にして合成できる。
次いで、一般式(N)の化合物について説明する。
前記一般式(N)において、Zは−N(R13)(R14)、−OR15または−SR16を表す。R11、R12、R13、R14、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基またはヘテロ環残基を表し、これらは置換基を有してもよく、また、R11とR12、R13とR14、あるいはR11とR13、R11とR15、R11とR16とが結合して、5ないし6員のヘテロ環を形成してもよく、該ヘテロ環は置換基を有していても良い。
前記一般式(N)において、好ましいアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜12であり、更に好ましくは炭素数1〜6であって、最も好ましくはメチル基、エチル基およびi−またはn−プロピル基である。
好ましいアルケニル基は、炭素数2〜20のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数3〜12であり、更に好ましくは炭素数3〜6である。
好ましいアラルキル基は、炭素数7〜20のアラルキル基であり、より好ましくは炭素数7〜12であり、更に好ましくはベンジル基、フェネチル基である。
好ましいアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは炭素数6〜12であり、更に好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基である。
好ましいヘテロ環残基は、含窒素5又は6員環基、含酸素5又は6員環基、含硫黄5又は6員環基であり、とくに含窒素5又は6員環基が好ましく、中でもインダゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、2−イミダゾリン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール環などのアゾール基、ピリミジン環、トリアジン環、ピリジン環、ピリダジン環などの6員環基であり、これらのヘテロ環残基には、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基が置換してもよい。
11、R12、R13、R14、R15及びR16が置換基を有する場合、好ましい置換基はヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノカルボニル基またはアミノスルホニル基、アミノ基(メチル基又はエチル基を1〜2個置換していてもよい)である。また、R11とR12、R13とR14、あるいはR11とR13、R11とR15、R11とR16とが結合して、5ないし6員のヘテロ環を形成してもよく、これに上記の置換基が付いていてもよい。
以下、本発明に係る一般式(N)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
Figure 2006220700
上記の一般式(N)の例示化合物の中でも、化合物N−1、N−4及びN−20が好ましい。
上述した本発明に係る一般式(M)及び(N)で表される有機硫黄化合物の中でも一般式(N)で表される有機硫黄化合物の方が、連続処理等の過酷な処理条件では本発明の目的効果をより良く発揮する点から好ましい。
また、上記した一般式(M)及び(N)で表される有機硫黄化合物の本発明の漂白能を有する処理組成物における濃度としては、本発明の目的効果を達成する観点から、漂白能を有する処理組成物1リットル当たり、使用液の状態に換算して0.003モル/リットル以上、0.3モル/リットル以下の範囲で含有することを本発明の特徴としており、好ましくは0.01モル/リットル以上、0.2モル/リットル以下である。これらは、1種あるいは2種以上併用して用いても良い。
また、本発明の漂白能を有する処理組成物は、処理の迅速性を考慮するときはアンモニウムイオンを使用することが好ましく、一方で、作業環境性に重点をおく場合には、実質上アンモニウムイオンを含まない方が好ましい。本発明の漂白能を有する処理組成物が漂白処理組成物である場合には、好ましいpHは3.0〜7.0であり、特に3.5〜6.5が好ましい。一方、漂白能を有する処理組成物が漂白定着処理組成物である場合には、好ましいpHは3.0〜8.0、より好ましくは4.0〜7.5である。上記pHの範囲では、高い漂白能が得られるばかりか、ステイン等の発生もなく、優れた処理性能が得られる。本発明の漂白能を有する処理組成物を上記で規定するpH範囲に調節するには、公知の有機酸を使用することができ、有機酸としてはpKaが2.0〜5.5である有機酸が好ましい。また、好ましい添加濃度は、0.1〜1.2モル/リットルである。
ここでいうpKaとは酸解離定数の逆数の対数値を表し、イオン強度0.1モル/リットル、25℃で求められた値を示す。本発明で用いるpKaが2.0〜5.5の有機酸は、一塩基酸であっても多塩基酸であってもよい。多塩基酸の場合、そのpKaが上記の範囲にあれば金属塩(例えば、ナトリウムやカリウム塩等)やアンモニウム塩として使用できる。また、pKaが上記の範囲にある有機酸は2種以上混合使用することもできる。本発明に使用するpKaが2.0〜5.5の有機酸の好ましい具体例を挙げると、ギ酸、酢酸、モノクロル酢酸、モノブロモ酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、モノクロルプロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、アクリル酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、アミノ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸等の、脂肪族系一塩基性酸;アスパラギン、アラニン、アルギニン、エチオニン、グリシン、グルタミン、システイン、セリン、メチオニン、ロイシンなどのアミノ酸系化合物;安息香酸及びクロロ、ヒドロキシ等のモノ置換安息香酸、ニコチン酸等の芳香族系一塩基性酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、オキサロ酢酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族系二塩基性酸;アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、アスコルビン酸等のアミノ酸系二塩基性酸;フタル酸、テレフタル酸等の、芳香族二塩基性酸;クエン酸などの多塩基性酸など各種有機酸を列挙することができる。本発明では、これらの中でもグリコール酸、コハク酸及びマレイン酸が漂白能への影響が比較的少ないことから好ましい。
また、本発明の漂白能を有する処理組成物においては、下記一般式(A)で表されるイミダゾールまたはその誘導体などを含んでも良い。
一般式(A)
(R1n
上記一般式(A)において、R1は水素原子、アミノ基、炭素数1〜3のアルキル基、アルケニル基、またはハロゲン原子を表し、R1が複数の場合は互いに同じでも異なってもよい。R1が表すアルキル基にアミノ基が置換している場合、該アミノ基にはメチル基またはエチル基が1または2個置換していてもよい。また、アルキル基及びアルケニル基には炭素数1〜3のアルキル基が置換してもよい。nは1〜3の整数である。Aはイミダゾリル基を表す。
以下に、一般式(A)で表されるイミダゾール化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
A−1:1−メチルイミダゾール
A−2:2−メチルイミダゾール
A−3:4−メチルイミダゾール
A−4:4−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール
A−5:4−(2−アミノエチル)イミダゾール
A−6:2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール
A−7:2−エチルイミダゾール
A−8:2−ビニルイミダゾール
A−9:4−プロピルイミダゾール
A−10:2,4−ジメチルイミダゾール
A−11:2−クロロイミダゾール
A−12:4,5−ジ(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール
A−13:イミダゾール
上記一般式(A)で表されるイミダゾールまたはその誘導体の濃度は、本発明の漂白能を有する処理組成物1リットル当たり、使用液状態に換算して0.1モル〜3モルが好ましく、より好ましくは0.05モル〜2.0モルである。
本発明の漂白能を有する処理組成物には、塩化物、臭化物、ヨウ化物のような銀の酸化を促進する為のハロゲン化剤を添加しても良い。ハロゲン化剤は、アルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩、あるいはグアニジン、アミンなどの塩として加えても良く、具体的には臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化カリウム、塩酸グアニジンなどが挙げられる。ハロゲン化剤濃度は、漂白能を有する処理組成物1リットル当たり、使用液状態に換算して好ましくは1.8モル以下であり、より好ましくは0.1〜1.6モルの範囲である。また、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムなどの硝酸塩も含有することもできる。硝酸塩の濃度としては、漂白能を有する処理組成物1リットル当たり、使用液状態に換算して0.01〜7.0モルが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0モルであり、処理組成物の経時安定性から好ましい。
また、本発明の漂白能を有する処理組成物には、燐酸塩またはポリ燐酸塩燐酸塩を添加しても良い。燐酸塩としては、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸三アンモニウム、燐酸二水素カリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸三カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、及び燐酸三ナトリウム等をあげることができる。ポリ燐酸塩の具体的な化合物としては、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、四燐酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、N(−2−カルボキシエチル)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、N,N−ビス−(カルボキシメチレン)−1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、モルホリノメタン−ジホスホン酸、ニトリロトリスメチレン−ホスホン酸、エチレンジアミン−テトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、及び2−カルボキシエタン−ホスホン酸、メチレンジホスホン酸等を挙げられる。これら燐酸塩またはポリ燐酸塩は単独で用いても、2種類以上併用しても良く、濃度としては漂白能を有する処理組成物1リットルあたり、使用液状態に換算して0.01モル〜2.5モルである。蛍光増白剤を含んでも良く、蛍光増白剤としてはビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が挙げられ、具体的には、特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16等が挙げられる。これら濃度は、漂白能を有する処理組成物物1リットルあたり、使用液状態に換算して0.1ミリモル〜0.01モルが好ましい。
本発明の漂白能を有する処理組成物は、後述のプラスチック材料からなる容器に収納することが好ましいが、この時、収納する容器に対する着色性の低減という観点から、下記一般式(I)〜(V)で表される化合物を含有しても良い。
以下、本発明に係る前記一般式(I)〜(V)で表される化合物について説明する。
はじめに、前記一般式(I)で表される化合物について説明する。
Figure 2006220700
上記一般式(I)において、A1及びA2はそれぞれアリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。ただし、A1がトリアジニル基の場合を除く。Xは2価の連結基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はピリジニウムを表す。ただし、上記の一般式(I)で表される分子内には、−N=N−及び−SHで表される基を含有しない。nは2〜4の整数を表し、n個のX−A2は同一でも異なっていてもよく、r及びsはそれぞれ0〜10の整数を表すが、r+sは2以上である。また、nが2であってA1が芳香族へテロ環基の場合、2個のXはそれぞれN(R1)、S又はO以外の2価の連結基を表し、R1は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
上記一般式(I)において、A1及びA2はそれぞれアリール基または芳香族ヘテロ環基を表し、アリール基としては、炭素数6〜20であることが好ましく、より好ましくは炭素数6〜10、特に好ましくは炭素数6〜8のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、5,7−ジスルホ−2−ナフチル基、3,6−ジスルホ−2−ナフチル、アンスラニル基が挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、炭素数2〜20であることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜8の5又は6員環のヘテロ環基であり、例えば、2−フリル基、2−ピリミジニル基、3,5−(1,2,4−トリアゾール)−ジイル基、3,5−イソチアゾールジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,6−ピラジンジイル基、2,6−ピリミジンジイル基、3,6−ピリダジンジイル基、1,4−フタラジンジイル基が挙げられる。
Xは2価の連結基を表し、例えば、−CH(R1)−、−NR1−、−S−、−O−、−CON(R1)−、−SO2N(R1)−、−CO2−で表される基が挙げられ、R1で表される置換基としては、例えば、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基が挙げられる。好ましくは−CON(R1)−、−SO2N(R1)−、−CO2−で表される基である。−SO3M基又は−CO2M基は一般式(I)で表される分子内のいずれかに存在すれば良い。すなわち、−SO3M基又は−CO2M基は、A1及び/又はA2に直接結合して、又はA1及び/又はA2上の置換基中に存在するのが好ましい。或いは−SO3M基又は−CO2M基はXに直接結合して、又はX上の置換基中に存在していてもよい。また、A1及びA2上に他の置換基が存在していても良い。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムである。そのうちアルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、特に好ましいのはNa及びKである。アンモニウム基としては、例えば、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムが挙げられ、そのうちアンモニウムが好ましい。nは2〜4の整数を表し、r及びsはそれぞれ0〜10の整数を表す。r及びsはそれぞれ1〜6の整数が好ましい。また、r+sは2以上であり、好ましくは2〜6の整数である。
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
次いで、前記一般式(II)及び(III)で表される化合物について詳しく説明する。
Figure 2006220700
上記一般式(II)において、L1、L2はそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、少なくとも一方はアリール基またはヘテロ環基である。Y1はアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、スルホ基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。
Figure 2006220700
上記一般式(III)において、L3とL4はそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、少なくとも一方はアリール基またはヘテロ環基である。R3は水素原子またはアルキル基を表す。Y3はアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、スルホ基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。
上記一般式(II)または(III)において、L1、L2はそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、L1とL2とが同時にアルキル基になることはない。L3、L4はそれぞれ独立にアリール基、ヘテロ環基またはアルキル基を表し、L3とL4とが同時にアルキル基になることはない。アリール基、ヘテロ環基、アルキル基は置換基を有するものを含む。ただし、アリール基はスチルベン骨格を持たない。また、置換基中にトリアジン環部分を有することにより、化合物として2つのトリアジン環を有する場合、2つのトリアジン環の間に共役結合はない。
1、L2、L3及びL4がそれぞれアリール基であるとき、その炭素数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜10であり、例えば、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−トルイル基、ナフチル基が挙げられる。アリール基は、水溶性基を持つことが好ましく、水溶性基としてはスルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基またはスルファモイル基が挙げられ、スルホ基とカルボキシル基が特に好ましい。具体的には、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2−メチル−4−スルホフェニル基、2,5−ジスルホフェニル基、4−スルホ−1−ナフチル基、6,8−ジスルホ−2−ナフチル基、5,7−ジスルホ−2−ナフチル基が挙げられる。
1、L2、L3及びL4がそれぞれヘテロ環基であるとき、その炭素数は2〜20であることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
1、L2、L3及びL4がそれぞれアルキル基であるとき、炭素数が1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。アルキル基は水溶性基で置換されていることが好ましく、水溶性基としては、例えば、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基またはスルファモイル基が挙げられ、スルホ基、カルボキシル基及びヒドロキシル基が特に好ましく、例えば、スルホメチル基、2−スルホエチル基、1,2−ジカルボキシエチル、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基が挙げられる。
3は水素原子またはアルキル基を表し、置換基を有するものを含む。アルキル基であるとき、炭素数が1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、特に好ましくは1〜4のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。アルキル基は水溶性基で置換されていてもよく、水溶性基としては、例えば、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基またはスルファモイル基が挙げられ、スルホ基、カルボキシル基及びヒドロキシル基が特に好ましく、例えば、スルホメチル基、2−スルホエチル基、1,2−ジカルボキシエチル、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基が挙げられる。
1は無置換アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン、それぞれ置換してもよいアルキルアミノ基またはアルコキシ基であり、置換してもよいアルキルアミノ基及びアルコキシ基は、下記一般式(a)〜(c)のように表される。
一般式(a)
−NH−R31
一般式(b)
−N(R31)−R32
一般式(c)
−O−R33
上記一般式(a)〜(c)において、R31、R32及びR33はそれぞれアルキル基を表し、アルキル基としては炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、1,2−ジカルボキシエチル基が挙げられる。
また、一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物がカルボキシル基またはスルホ基を有する場合、これらはフリー体でも塩でもよく、塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム基またはピリジニウムが挙げられ、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、更に好ましいのはナトリウム及びカリウムである。
以下、本発明に係る一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
上記説明した本発明に係る一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物が分子内に不斉炭素を複数個有する場合、同一構造に対して複数の立体異性体が存在するが、本発明は可能性のある全ての立体異性体を示しており、複数の立体異性のうち1つだけを使用することも、あるいはそのうちの数種を混合物として使用することもできる。
次いで、本発明に係る一般式(IV)で表される化合物について説明する。
Figure 2006220700
上記一般式(IV)において、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Qは水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、スルホ基、−NR1516、−OR17またはハロゲン原子を表し、R15、R16、R17はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ基を表す。R11とR12、R13とR14、及びR15とR16はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。R11〜R17で表される各基は置換基を有するものを含む。また、分子内に−SO3M、−CO2Mまたは−OHで表される基を少なくとも1つ含有し、ここでMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムを表す。また、R11、R12、R13、R14、R15及びR16のうち3個以上がアリール基となることはない。さらに、上記の一般式(IV)で表される分子内には、2つのトリアジン環有する場合、その間に共役結合はなく、また−N=N−で表される基を含有しない。
上記一般式(IV)において、R11、R12、R13及びR14がそれぞれアルキル基で表される場合、アルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
11、R12、R13及びR14がそれぞれアリール基で表される場合、アリール基としては炭素数が6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基が挙げられる。
11、R12、R13及びR14がそれぞれヘテロ環基で表される場合、ヘテロ環基としては炭素数2〜20であることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
11、R12、R13及びR14は、好ましくは水素原子、アルキル基またはアリール基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基であり、また更に好ましくは水素原子、メチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−スルホエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−スルホフェニル基である。
Qは水素原子、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、スルホ基、−NR1516、−OR17またはハロゲン原子を表し、R15、R16、R17はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ基を表し、それぞれの好ましい例は、R11、R12、R13、R14と同様である。
11とR12、R13とR14及びR15とR16はそれぞれが互いに結合して環形成してもよく、環が形成される場合、それらが形成する環は5員環または6員環であることが好ましい。
11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、一般式(IV)の化合物の分子内に、−SO3M、−CO2Mまたは−OHで表される基を少なくとも1つ含有するように選ばれる。ここでMは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウムを表し、アルカリ金属、アルカリ土類金属のなかで特に好ましいのはNa及びKである。アンモニウム基としては、例えば、アンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、テトラブチルアンモニウム基が挙げられる。Mとしては最も好ましいものは、ナトリウム及びカリウムである。
以下、本発明に係る一般式(IV)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
一般式(IV)で表される化合物は、例えば、松井弘次著、有機合成化学協会誌、第17巻528頁(1959年刊)及び特許第2618748号を参考にして合成することができる。すなわち、塩化シアヌルにまずフェニレンジアミン誘導体またはナフタレンジアミン誘導体を反応させ、次いでアミン類を順次反応させる方法が好ましい。あるいはフェニレンジアミン誘導体またはナフタレンジアミン誘導体を第二段階または最後に反応させることも好ましい。この反応に用いる溶媒としては、例えば、水及びアルコール類、ケトン類、エーテル類、アミド類などの有機溶媒が挙げられるが、水及び水溶性の有機溶媒が好ましく、これらの混合溶媒でもよい。なかでも水とアセトンの混合溶媒系が最も好ましい。また、用いる塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基が挙げられる。これらのうち、無機塩基が好ましく、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。反応温度は−20℃〜150℃の範囲で可能であり、好ましくは−10℃〜100℃の範囲である。更に詳しく述べると第一段階は−10℃〜10℃が好ましく、第二段階は0℃〜40℃が好ましく、第三段階は40℃〜100℃が好ましい。
次いで、本発明に係る前記一般式(V)で表される化合物について説明する。
Figure 2006220700
上記一般式(V)において、X1、X2、Y1及びY2は、それぞれアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アミノ基、塩素原子、アルキル基、アリール基または下記一般式(V−a)で表される基を表す。X及びYはそれぞれNR4、OまたはSを表し、R4は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。Lはフェニレン基、ナフチル基またはヘテロ環基を表す。
Figure 2006220700
上記一般式(V−a)において、R1、R2及びR3は、それぞれアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、これらの各基は置換基を有するものを含む。
1、R2及びR3がそれぞれアルキル基で表される場合、アルキル基としては炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4であり、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−オクチル基、スルホメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、2−メトキシエチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル基、2−(2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ)エチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
1、R2及びR3がそれぞれアリール基で表される場合、アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜10、特に好ましくは6〜8であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−スルホフェニル基、4−スルホフェニル基、2、4−ジスルホフェニル基が挙げられる。
1、R2及びR3がそれぞれヘテロ環基で表される場合、ヘテロ環基としては炭素数2〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数3〜8の5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基であり、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基が挙げられる。
前記一般式(V)において、X1、X2、Y1及びY2がそれぞれヘテロ環基またはヘテロ環オキシ基の場合、そのヘテロ環部分としてはそれぞれ5または6員の芳香族もしくは非芳香族の含窒素ヘテロ環化合物から窒素原子に結合した1個の水素原子を取り除いた1価の5員環基または6員環基が好ましく、環の例としては、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環及びモルホリン環が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基のアルキル部分、アリール基、アリールオキシ基のアリール部分としては、それぞれR1、R2、R3として示されたものが好ましく、同じものが例示される。
X及びYはそれぞれ独立にNR3、OまたはSを表し、R3で表される置換基は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基が挙げられる)である。
Lで表される基がフェニレン基またはナフチレン基としては、置換基を有するものを含み、炭素数6〜20が好ましく、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜11のフェニレン基またはナフチレン基であり、例えば、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、4−カルボキシ−1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、3−スルホ−1,4−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレン、2,5−ジメトキシ1,4−フェニレン、2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンが挙げられ、好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,5−ナフチレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、5−スルホ−1,3−フェニレンであり、さらに好ましくは1,4−フェニレン、1,3−フェニレンである。
Lで表される基がヘテロ環基としては、好ましくは炭素数2〜20であり、より好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜8のヘテロ環基であり、置換基を有するものを含み、例えば、3,5−(1,2,4−トリアゾール)−ジイル基、3,5−イソチアゾールジイル基、2,6−ピリジンジイル基、2,6−ピラジンジイル基、2,6−ピリミジンジイル基、3,6−ピリダジンジイル基、1,4−フタラジンジイル基が挙げられる。
一般式(V)で表される化合物がそれぞれカルボキシル基またはスルホ基で表される場合、これらはフリー体または塩の形で有っても良く、塩としてはアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはピリジニウム等が挙げられる。このうち好ましい塩はアンモニウム、ナトリウム及びカリウムである。
以下、本発明に係る一般式(V)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
なお、本発明に係る一般式(V)で表される化合物が分子内に不斉炭素を複数個有する場合、同一構造に対して複数の立体異性体が存在するが、本発明は可能性のある全ての立体異性体を示しており、複数の立体異性のうち1つだけを使用することも、あるいはそのうちの数種を混合物として使用することもできる。
本発明に係る一般式(I)〜(V)で表される各化合物は、1種のみで用いても良く、溶解性向上なとの観点で必要に応じて2種類以上を混合しても良い。トリアジニルスチルベン化合物と併用して用いることもでき、例えば、特開平6−329936号、特開平7−140625号、特開平10−104809号、特開2000−39690号の各公報に記載のトリアジニルスチルベン化合物を併用することもできる。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第19版(色染社)P.165〜P.168に記載されている化合物を挙げることができる。
また、本発明に係る一般式(I)〜一般式(V)で表される各化合物の添加量は、本発明の漂白能を有する処理組成物1L当たり、使用液状態に換算して0.02〜20ミリモルであり、より好ましくは0.05〜10ミリモル、特に好ましくは0.1〜5ミリモルである。
本発明の漂白能を有する処理組成物には、保恒剤を含有させることも経時安定性の点から好ましい。
保恒剤としては、例えば、亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウムなど)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウムなど)、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウムなど)または亜硫酸イオン放出性化合物等を挙げることができる。
その他、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウムなどのアリールスルフィン酸またはその塩などを含有することができる。濃度としては、本発明の漂白能を有する処理組成物1リットルあたり、亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。その他、漂白能を有する処理組成物は各種の消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒、または下記一般式(L)で表されるような環状メルカプト化合物を含有しても良い。
Figure 2006220700
上記一般式(L)において、Xは−CH−基または窒素原子であり、Yは炭素、窒素、酸素または硫黄原子であり、Rは水素または一価の置換基であり、qは0または1であり、Zは置換または無置換の5〜7員複素環式環を完成するのに必要な炭素、窒素及び酸素原子を表す。
X、Y及びZが構成する5〜7員複素環としては、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピロール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、テトラゾール環などのアゾール環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、チアジン環、テトラジン環、オキサジン環などの含窒素6員環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、ピラン環、モルホリン環、フラン環などが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、アミノ基(第1級、第2級または第3級)、カルボキシ基、スルホ基、炭素原子数1〜8の置換もしくは無置換アルキル基(例えばメチル基、エチル基、ヒドロキシアルキル基(2−ヒドロキシエチル基、2,4−ジヒドロキシブチル基、ヒドロキシメチル基)及びベンジル基など)、カルボキシアルキル基、スルホアルキル基、置換もしくは無置換の炭素環式もしくは複素環式アリール基(例えばフェニル基、トリル基、p−メトキシフェニル基及びナフチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)が挙げられる。特にアミノ基、カルボキシ基、スルホ基及びアミノ基、カルボキシ基、スルホ基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましい。
以下、本発明に係る一般式(L)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006220700
上記例示した一般式(L)で表される化合物の中でも好ましくは、L−1、L−3、L−5及びL−6であり、これら化合物は併用しても良い。また、濃度は使用液の状態で好ましくは1リットル当たり、0.1〜50mmolである。
次に、本発明の漂白能を有する処理組成物に適用可能な定着主剤について説明する。
定着主剤としては、公知のハロゲン化銀溶解剤を用いることができる。例えば、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムまたはチオ硫酸アンモニウムなどチオ硫酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。その他の定着主剤としては、例えば、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができ、定着処理組成物または本発明に係る漂白定着処理組成物に用いることができる。
定着主剤の濃度は、本発明の漂白能を有する処理組成物1リットル当たり、0.3〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モルである。これらは、1種あるいは2種以上併用しても良い。
定着処理組成物のpHとしては、4〜9が好ましく、更には5.5〜8が好ましい。前記pHの範囲では、優れた定着能が得られるばかりか、臭気等の発生も無く、良好な処理性能が得られる。上記pH領域に調節する為には、前記で説明した一般式(A)で表されるイミダゾール誘導体などが挙げられる。また、定着処理組成物には前記の亜硫酸塩やアリールスルフィン酸塩を含有させることが処理組成物の経時安定性から好ましく、濃度としては本発明に係る定着処理組成物1リットルあたり、亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して0.02モル〜1.0モルが好ましい。
また、本発明の漂白能を有する処理組成物が、漂白定着処理組成物キットである場合には、上記鉄錯塩と定着主剤を含む1パート構成であることが、取り扱い性及び本発明の目的効果の点から好ましい。また、本発明の漂白能を有する処理組成物は濃縮処理組成物であることが、保管スペース、輸送上、取り扱い性の点から特に好ましい。
濃縮処理組成物における濃縮の度合いを示す実用的な尺度として、「濃縮率」が通常用いられる。本発明でいう濃縮率とは、濃縮処理組成物を水等の溶媒で希釈して、目的とする処理組成物(補充液や使用液)を調製したときに、完成した処理組成物のもとの濃縮処理組成物に対する体積比によって表す。また、濃縮処理組成物は、均一液相である必要はなく、水で希釈することによって補充液または使用液を調製することができる物のであれば、均一液相の組成物及び沈殿物や懸濁物を含んだスラリー状組成物のいずれであってもよい。また本発明の目的効果、濃縮処理組成物状態での保恒剤の失活など無く、また長期安定性が得られる点から、濃縮率としては1.5〜6.0が好ましい。
次に、本発明の漂白能を有する処理組成物を収納する容器について説明する。
本発明の漂白能を有する処理組成物を収納する容器の材質は、いかなる素材でもあっても良いが、プラスチック材料が好ましく、また酸素透過係数は50ml/(m2・atm・day)(温度20℃、相対湿度65%)以下、更に好ましくは25ml/(m2・atm・day)以下である。酸素透過係数は、「O2パーミエイション オブ プラスチツク コンテイナー、モダーン パツキング」(O2 permeation of plastic container、Modern Packing;N.J.Calyan、1968)の12月号第143〜145頁に記載された方法により測定することができる。
具体的プラスチック材料としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリハロゲン化ビニリデン系樹脂、ポリハロゲン化ビニル系樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート(ポリブチレンスクシネート/アジペート共重合体、ポリブチレンスクシネート/カーボネート共重合体も含む)、ポリエチレンスクシネート、ポリビニルアルコール、脂肪属ポリエステル、テレフタール酸/1,4−ブタンジオール/アジピン酸共重合体、β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシヴァレリン酸共重合体、キト酸−セルロース−澱粉混成物、酢酸セルロース、メチルセルロースなどを挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂層に用いられる樹脂としては、ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)のいずれも使用することができる。HDPEは、密度が0.941〜0.969のものである。また、LDPEは高圧重合法で合成された物が好ましく、その密度は0.910〜0.925である。また、これらのプラスチック材料の中でも、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリエチレンスクシネート及び酢酸セルロースから選ばれる少なくとも1種の化合物を原料とする容器が、より過酷な条件で本発明の目的効果を良好に発揮する点から好ましいプラスチック材料である。市販品としては、例えば、ポリ乳酸では、エコプラ(カーギルジャパン社、カーギルダウポシマーズ社)、ラクティ(島津製作所)、レイシア(三井化学(株))、ポリカプロラクトンでは、セルグリーンPH(ダイセル化学工業(株))、ポリブチレンスクシネートでは、ビオノーレ(昭和高分子(株))、ユーベック(三菱ガス化学(株))、ポリエチレンスクシネートでは、ルナーレSE(日本触媒(株))、ポリビニルアルコール系では、ポバール(クラレ(株)、ユニチカ(株))、脂肪属ポリエステルでは、グリーンブロック(JSP社)、テレフタール酸/1,4−ブタンジオール/アジピン酸共重合体では、エコフレックス(BASFジャパン(社))、β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシヴァレリン酸共重合体として、ビオファン(グンゼ(株))、バイオポール(ICI社)キト酸−セルロース−澱粉反応物では、ドロンCC(アイセロ化学社)、酢酸セルロースでは、セルグリーンPCA(ダイセル化学工業(株))などを挙げることができる。これらプラスチック容器の材料には、耐熱安定剤、耐候安定剤、改質剤、滑剤、着色剤、充填剤などを配合することができる。それらの配合成分には、カーボンブラックやチタンホワイト、カルシウムシリケート、シリカなどアルカリ性現像組成物組成物に悪影響しない顔料、炭酸カルシウム、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などの添加剤、ジセチルサルファイド、トリス(ラウリルチオ)フォスファイト、その他アミン系、チオエーテル系、フェノール系などの既知の酸化防止剤、ステアリン酸またはその金属塩などのすべり剤、2−ハイドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンを始めとする可塑剤などが挙げられる。これら容器の材料は、単一で成型して使用しても良いが、2種類以上の材料を適宜用いても良く、必要に応じて、空気透過性が低いプラスチック材料、機械的強度が強いプラスチック材料などの組み合わせや対薬品性の強い化学的に安定なプラスチック材料を内側に、機械的強度の強いプラスチック材料を外表面側に配する構成などを挙げることができる。また、容器の成形は、射出成形、ブロー成形(射出ブロー成形、押出しブロー成形を含む)、押出し成形、真空成形等の成形方式があり、目的に応じて成形方式を採用することができる。容器はある程度の柔軟性と衝撃吸収性を有する容器本体とこの容器本体から突出した硬質の口部とを有するのが好ましい。また口部は、これに螺合するキャップ(蓋部材)の着脱により上部開口部が開閉されるように構成されていることが好ましく、形状は問わないが、例えば従来から一般に用いられている角形の広口容器あるいは丸形の広口容器等が挙げられる。そのほかには、例えば特開2000−2973号及び特開2000−3014号の各公報に開示されている自動現像機に装着されて自動開栓されて自動調液が可能な容器なども挙げられる。また、本発明の容器はインフレーション成形法や射出延伸成形法によって成形したフィルムを常法によって積層した袋状容器でも良い。その代表例は、当業界で、キュビテナの名で呼ばれて汎用されているカードボードで裏打ちした袋状容器などが挙げられる。
次に本発明の漂白能を有する処理組成物を使用する現像処理工程について説明する。
本発明の漂白能を有する処理組成物が使用される現像処理工程は、発色現像工程、脱銀工程、リンス、水洗または安定化工程及び乾燥工程からなり、各工程間には中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を挿入することもできる。本発明の漂白能を有する処理組成物が使用される工程としては、脱銀工程であり、具体的に次のものが挙げられ、その中の漂白あるいは漂白定着工程である。
1)漂白−定着
2)漂白定着
3)漂白−水洗−定着
4)漂白−漂白定着
5)漂白−水洗−漂白定着
6)漂白−漂白定着−定着
これらの漂白、漂白定着、定着工程の個々の工程は、必要により複数浴に仕切られて、カスケード方式を採用することもある。また、好ましい工程は1)、2)である。
本発明の漂白能を有する処理組成物が漂白工程で使用される場合の補充量は、感光材料当り1m2あたり80〜500mlが好ましく、より好ましくは、80ml〜200mlである。また、漂白定着工程で使用される場合の補充量は、感光材料当り1m2あたり20〜250mlが好ましく、より好ましくは、20ml〜110ml、更に好ましくは30ml〜100mlであり、低補充において、本発明の効果が良好に発揮される。また、漂白定着工程の処理時間は90秒以内に設定することが好ましく、特に好ましくは45秒、更に好ましくは26秒以内である。前記の工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化処理槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間の液外搬送時間(クロスオーバータイム)を含むものとする。クロスオーバータイムは、好ましくは5秒以下、より好ましくは3秒以下である。また、温度は20〜60℃で使用されるのがよいが、望ましくは25〜60℃である。
漂白工程では、処理に要する時間は2分以内に設定することが好ましく、より好ましくは45秒以内である。前記の工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続する定着処理槽へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。
クロスオーバータイムは5秒以下が好ましく、より好ましくは3秒以下である。温度は20〜60℃で使用されるのがよいが、望ましくは25〜60℃である。また、漂白工程ではエアレーションを実施しても良い。エアレーションには当業界で公知の手段を使用できる。エアレーションに関してはイーストマン・コダック社発行のZ−121、ユージング・プロセス・C−41第3版(1982年)、BL−1〜BL−2頁に記載の事項を利用できる。また、漂白工程では撹拌を強化することが好ましく、その実施には特開平3−33847号公報の第8頁、右上欄、第6行〜左下欄、第2行に記載の内容が、そのまま利用できる。その中でも感光材料の乳剤面に漂白処理組成物を吹き付けるジェット撹拌方式が好ましい。また、漂白工程及び漂白定着工程では処理に使用後のオーバーフロー液を回収し、成分を添加して組成を修正した後、再利用(再生)することもできる。
具体的な例としては、上述した他、「写真工学の基礎−銀塩写真編−」(日本写真学会編、コロナ社発行、1979年刊)等に記載の方法が利用できる。具体的には、電解再生の他、臭素酸や、亜塩素酸、臭素、臭素プレカーサー、過硫酸塩、過酸化水素、触媒を利用した過酸化水素、亜臭素酸、オゾン等が挙げられる。発色現像工程の補充量は、現像処理される感光材料がカラーペーパーの場合は、感光材料1m2当たり15〜200mlが好ましく、より好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。一方、現像処理される感光材料がカラーネガフィルムの場合には、感光材料1m2当たり100〜800mlが好ましく、より好ましくは200〜500ml、特に好ましくは250〜400mlである。定着工程の補充量は、感光材料1m2当たり3000ml以下が好ましく、より好ましくは200〜1000ml以下である。リンス工程(水洗または安定化工程)の補充量は液全体で1000ml以下が好ましく、更に好ましくは500ml以下であり、カラーペーパーの場合には200ml以下である。発色現像時間(発色現像工程を行う時間)は迅速性の点から、感光材料がカラーペーパーの場合は、45秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、更に好ましくは26秒以下、6秒以上である。一方、感光材料がカラーネガフィルムの場合は、20秒〜6分が好ましく、更に好ましくは、30〜200秒である。定着時間(定着工程を行う時間)は3分以内が好ましく、より好ましくは2分以内である。リンス(水洗または安定化)時間(リンス、水洗または安定化工程を行う時間)は、90秒以下が好ましく、より好ましくは30秒以下、更に好ましくは30秒以下である。なお、発色現像時間とは、感光材料が発色現像浴中に入ってから次の処理工程の漂白または漂白定着浴に入るまでの時間をいい、クロスオーバータイムも含む。同様に、定着時間とは、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続する安定化またはリンス処理浴へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。また、リンス(水洗または安定化)時間とは、感光材料がリンス(水洗または安定化液)中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間を言う。クロスオーバータイムはカブリ防止の点から、短い程良く、好ましくは10秒以下、より好ましくは7秒以下、更に好ましくは5秒以下である。
発色現像工程、定着工程、リンス(水洗または安定化)工程の処理液温度は、一般には30〜40℃であるが、迅速処理では、38〜60℃が好ましく、より好ましくは38〜50℃である。
リンス浴または安定化浴は1槽でも良いが、2〜10槽程度までは槽の数を増やすことができ、槽の数の増加によりリンスまたは安定化工程の補充量を減少させることができるが、自動現像機のコンパクト化を考えると2〜6槽程度が好ましい。補充液は何カ所かに分けて補充しても良いが、感光材料の搬送方向の下流側の槽に補充し、そのオーバーフロー液(槽間を液面下に位置する管で連結させた場合、該管を溶液が通る場合も含む)を該槽の前槽に流入させる、所謂カウンターカレント方式(向流方式)にするのが好ましく、カスケードフロー方式もその1つに含まれる。更に好ましくは2槽以上の安定槽で最後の槽へ補充液を補充し、オーバーフロー液を順次前の槽へ流し込むことである。
乾燥工程は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像膜への水分の持込み量を減じる観点から現像処理工程のリンス(水洗または安定化)工程を行った後すぐにスクイズローラーや布などで水分を吸収することで乾燥を早めることも可能である。また当然のことではあるが、温度を高くすることや吹き付けノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
次いで、上記説明した現像処理工程に用いられる各工程の処理組成物について説明する。
はじめに、発色現像処理組成物について説明する。
本発明に係る発色現像液に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アニリン
7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アニリン
8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
10)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
11)4−アミノ−3−メチル−N−(β−エトキシエチル)−N−エチルアニリン
12)4−アミノ−3−メチル−N−(3−カルバモイルプロピル)−N−n−プロピル−アニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル)−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
14)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン
16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち、特に好ましくは例示化合物5)、6)、7)、8)及び12)であり、その中でも例示化合物5)と8)が好ましい。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩の形、或いは上述のように遊離塩基型である。上記芳香族第1級アミン現像主薬の使用液中の濃度は、現像液1リットル当たり2ミリモル〜200ミリモル、好ましくは6ミリモル〜100ミリモル、より好ましくは10ミリモル〜40ミリモルとなるように加えられる。
発色現像組成物には、有機保恒剤を添加してもよい。有機保恒剤とは、感光材料の処理液へ含ませることで、芳香族第一級アミン発色現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指している。即ち、発色現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であり、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号などの各公報または明細書に開示されている。
また、その他の有機保恒剤としては、下記一般式(X)または(Y)で表される化合物を含有させることもできる。
Figure 2006220700
上記一般式(X)において、Lは置換してもよいアルキレン基を表し、Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、アルキル置換してもよいスルホニル基、水素原子、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′を表し、R、R′は各々水素原子、置換してもよいアルキル基を表す。Bは置換してもよいアルキレン基を表し、nは1〜4の整数を表す。
上記一般式(X)において、Lは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5が更に好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等の基が好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアンモニオ基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ホスフィン基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基又はスルファモイル基を表し、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖の置換してもよいアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸基、ヒドロキシル基、又は、それぞれアルキル置換してもよいアミノ基、アンモニオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシル基、または−O−(B−O)n−R′等が挙げられる。置換基は二つ以上あってもよい。Rとして水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。LとRが連結して環を形成してもよい。
以下に、一般式(X)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
次いで、一般式(Y)で表される化合物について説明する。
Figure 2006220700
上記一般式(Y)において、R、R′は各々炭素原子数1〜6の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素を表す。この場合、これらの炭化水素は、水酸基、カルボキシル基、スルホン基などで置換されていてもよい。また、カルボニル基等の2価の連結基を含んでもよい。nは4〜50,000の整数を表す。sは0または1を表す。sが1をとる場合、Aは
Figure 2006220700
を表す。R″はヒドロキシル基で置換されてもよい炭素数2〜8のアルキレン基またはアルカントリイル基を示し、アルキレン基の場合、qは0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。qが1の場合、Bは一般式(Y)で表されるポリマーを示し、一般式(Y)は3次元構造となる。mは0〜30の整数を示す。
sが0をとる一般式(Y)で表される化合物、例えば、ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は既知の方法により容易に合成することができる。代表的な例としては、「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ」(J.Chem.Soc.,),75,1009(1899),J.Chem.Soc.,1963,3144等に記載の過酸化水素水を用いた2級アミンの酸化方法により、ポリ(アルキレンイミン)を酸化して合成する方法が挙げられる。この方法により合成された粗ポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)は写真特性に影響を与える成分を含まないため、精製することなく、そのまま発色現像液の組成物として使用することができる。また、「マクロモレキュルズ」(Macromolecules),21,1995(1988)等に記載の反応と組み合わせて、ポリ(アルキレンイミン)の末端基である1級アミンを2級アミンとすることにより、更に性能の優れたポリ(N−ヒドロキシアルキレンイミン)を合成する方法も挙げられる。その他の方法としては、特開平3−259145号公報等に記載の方法を応用した、ヒドロキシルアミンとジハロゲン化アルキレンとの反応による合成方法等が挙げられる。以下、一般式(Y)で表される化合物のうち、その代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
また、その他の有機保恒剤として、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンのような特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56−94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。上記有機保恒剤の発色現像組成物は1L当たり1×10-3モル以上、1×10-1モル以下で含有することが好ましい。また、発色現像液には、対象とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の種類によって、少量の亜硫酸イオンを含んだり、あるいは実質的に含まない場合もあるが、本発明においては、亜硫酸イオンを少量含むことが好ましい。また、ヒドロキシルアミンを少量含有してもよい。ヒドロキシルアミン(通常、塩酸塩や硫酸塩の形で用いるが、以下塩の形は省略する)は、亜硫酸イオンと同様に現像液の保恒剤として作用するが、同時にヒドロキシルアミン自身の銀現像活性のために写真特性に影響することもあるので、この添加量も少量に留める必要がある。
また、発色現像液は、ベンゼンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸等のアリールスルフィン酸を含有しても良い。
発色現像使用液のpHは9.0〜13.5が好ましく、その補充液のpHは9.0〜13.5が好ましい。このため、発色現像使用液及びその補充液には、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含有させることもできる。
上記pHを保持するための緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった点から、特に好ましい緩衝剤である。
上記緩衝剤の具体例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
上記緩衝剤の添加量は、発色現像使用液及びその補充液ともに1リットルあたり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
発色現像処理液には、その他の発色現像液成分として、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(S,S体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。また、これらのキレート剤の量は、発色現像液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば、1L当り0.lg〜10g程度になるように添加する。
発色現像処理液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報又は明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報又は明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報又は明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類又はイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.001〜0.2mol、好ましくは0.01〜0.05molになるように組成物中の添加量が決められる。
発色現像処理液には、必要に応じて、前記ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
発色現像処理液には、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加しても良い。それらの濃度は、発色現像液及びその補充液ともに1Lあたり0.0001〜0.2molが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05molになるように添加量が決められる。
発色現像処理液には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販の物を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号などの公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、Blankophor BSU liq.及びHakkolBRKが好ましい。
また、その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることもできる。上記蛍光増白剤の添加量としては、発色現像使用液及びその補充液ともに1リットルあたり0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーネガフィルムである場合の発色現像使用液では、通常臭素イオンを0.2×10-2〜15.0×10-2モル/リットル含有させることが好ましく、より好ましくは0.5×10-2〜5.0×10-2モル/リットル含有することが多いが、臭素イオンは、通常現像の副生成物として該使用液中に放出されるので、補充液には添加不要のことが多い。また、沃素イオンを0.2×10-3〜15.0×10-3モル/リットル含有させることが好ましく、より好ましくは0.5×10-3〜5.0×10-3モル/リットル含有することが多いが、沃素イオンも通常現像の副生成物として該使用液に放出されることもあるので補充液には添加不要のことが多い。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料がカラーペーパーである場合の発色現像使用液では、通常、塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として該使用液に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。
次にリンス、水洗又は安定化工程の処理液について説明する。
本発明で用いるリンス(安定化)液には、キレート剤(エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等)、緩衝剤(炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(ディアサイド702(米国ディアボーン社製)、p−クロロ−m−クレゾール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等、o−フェニルフェノール)、蛍光増白剤(トリアジニルスチルベン系化合物等)、酸化防止剤(アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(亜鉛塩、マグネシウム塩等)等を適宜用いることができる。更にリンス(安定化)液には、液保存性の点から前記の亜硫酸塩を含有することが好ましい。また、アリールスルフィン酸またはその塩を含むことも好ましい。具体的例としては前記の化合物等が挙げられる。これらの亜硫酸塩またはアリールスルフィン酸またはその塩は、安定液中に少なくとも1×10-5モル/L以上で添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10-5モル/L〜5×10-2モル/Lである。また、リンス(水洗または安定化)液のpHは、4.0〜10.0の範囲が好ましい。また、上記pHに調整するため、pH調整剤を含有することもできる。pH調整剤としては、一般に知られているアルカリ剤または酸剤のいかなるものでもよい。
次いで、本発明の漂白能を有する処理組成物を用いた処理方法に適用されるハロゲン化銀カラー感光材料について説明する。
本発明の漂白能を有する処理組成物を用いた処理方法に適用できるハロゲン化銀カラー写真感光材料としては、支持体上にハロゲン化銀感光性層を有する多種多様の写真要素、例えば、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーペーパー、並びにカラー映画フィルム等を挙げることができる。好ましくはカラーネガフィルムまたはカラーペーパーである。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、主に、支持体上に、イエロー色素形成カプラー含有青感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素形成カプラー含有緑感光性含有ハロゲン化銀乳剤層、シアン色素形成カプラー含有赤感光性ハロゲン化銀乳剤層及び非感光性親水性コロイド層のそれぞれ少なくとも一層ずつからなる写真構成層を有する。前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。感光材料は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する非感光性親水性コロイド層として、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーの構成例を説明する。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、中でも塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、あるいは塩沃化銀の場合、本発明の効果が顕著となり好ましい。また、迅速処理性、処理安定性の観点からは、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間露光における高濃度域での特性曲線の軟調化を軽減する観点から、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いることができる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面、あるいは結晶粒子の頂点であることが特に好ましい。
本発明に係る感光材料においては、高照度短時間の走査露光での軟調化を軽減する観点から、重金属イオンを含有させたハロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、例えば、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や錯塩の形態でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子またはイオンとしては、例えば、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
ハロゲン化銀粒子に上述の重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後等、物理熟成中の各工程における任意の時期で添加すればよい。また、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体或いは一部に亘って連続的に行うことができる。
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10-9モル以上、1×10-2モル以下がより好ましく、特に1×10-8モル以上5×10-5モル以下が好ましい。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀粒子は単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び、感度や他の写真性能などを考慮すると、好ましくは0.1〜1.2μm、更に好ましくは0.2〜1.0μmの範囲である。この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使って、これを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積として、これを表すことができる。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここでいう変動係数とは、粒径分布の広さを表す係数であり、下記式によって定義される。
変動係数=S/R
(ここで、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子においては、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れの方法により得られたものであってもよい。ハロゲン化銀粒子は、一度に成長させたものであってもよいし、種粒子を調製した後、成長させたものでもよい。種粒子を調製する方法と粒子を成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、あるいはそれらの組合せた方法など、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。ハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、例えば、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、中でもイオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、例えば、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲が好ましい。
金増感剤としては、例えば、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、例えば、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10-4〜1×10-8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5〜1×10-8モルである。本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
本発明に係る感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤や安定剤を用いることができる。この様な目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下で化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-5〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-2モル程度の量が好ましく、1×10-5〜5×10-3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6〜1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5〜1×10-2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の構成層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10-9〜1×10-3モル程度の量が好ましい。
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料、および特開平6−3770号公報明細書記載の染料、さらに特開平11−119379号公報に記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。
本発明に係る感光材料中に蛍光増白剤を添加することが、白地性改良の観点から好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料は、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の分光増感に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)または(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号明細書、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号公報、同8−311360号公報、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
また、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
本発明において、マゼンタ色画像形成層で用いるマゼンタカプラーとして、例えば、5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級または3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3または6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号0009〜0026はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号明細書、同第884640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
また、本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号明細書、同第953871A1号明細書、同第953872A1号明細書、同第953873A1号明細書、同第953874A1号明細書、同第953875A1号明細書等に記載のピロール−2または3−イル若しくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加する方法として水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号公報明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も用いることができる。
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開平64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報明細書9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報明細書10ページ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したり、またハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良したりすることが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同号公報明細書13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良したりすることが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては、特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましく、例えば、特開昭61−249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料の処理前あるいは処理後の表面物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
本発明に係る感光材料においては、イエロー色画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成層を、それぞれ少なくとも1層有していればよいが、必要に応じて複数の色画像形成層でユニットを形成してもよい。
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1g/m2〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2g/m2〜5g/m2の範囲である。
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
本発明に係る感光材料中には、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には増感色素の感光材料外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、更に好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
本発明のハロゲン化銀感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、更に70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。
本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、更には15質量%が好ましい。
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
本発明に係る感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
以下、ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーフィルムの代表的構成要素を説明する。
例えば、下記のリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)にその詳細が記載されており、参考にすることができる。
ハロゲン化銀乳剤は、例えば、RDNo.17643、22〜23頁(1979年12月)の「1.乳剤製造法(Emulsion preparation and types)」、及びRDNo.18716、648頁、グラキデ著「写真の物理と化学」ポールモンテル社刊(P.Glkides,Chimie et Physique Photographique,Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Dauffin,Photographic Emulsion Chemistry Focal Press 1966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman etal,Making and coating Photographic Emulsion, Focal Press 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。乳剤は、米国特許3,574,628号、同3,665,394号及び英国特許1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好ましい。
ハロゲン化銀乳剤には物理熟成、化学熟成及び分光増感を行うことができる。このような工程で使用される添加剤は、RDNo.17643、RDNo.18716及びRDNo.308119(それぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD308119と略す。)に記載されている。下記にその記載箇所を示す。なお、下記に記載の各数値は、記載されている頁を表す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕
化学増感剤 996 III−A項 23 648
分光増感剤 996 IV−A−A、
B、C、D、 23〜24 648〜649
H、I、J項
強色増感剤 996 IV−A−E、J項
23〜24 648〜649
カブリ防止剤 998 VI 24〜25 649
安定剤 998 VI 24〜25 649
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕〔RD17643〕〔RD18716〕
色濁り防止剤 1002VII−I項 25 650
色素画像安定剤 1001VII−J項 25
増白剤 998V 24
紫外線吸収剤 1003VIII−I項、
XIII−C項 25〜26
光吸収剤 1003VIII 25〜26
光散乱剤 1003VIII
フィルター染料 1003VIII 25〜26
バインダー 1003IX 26 651
スタチック防止剤1006XIII 27 650
硬膜剤 1004X 26 651
可塑剤 1006XII 27 650
潤滑剤 1006XII 27 650
活性剤・塗布助剤1005XI 26〜27 650
マット剤 1007XVI
現像剤(ハロゲン化銀カラー写真感光材料に含有)
1001XXB項
本発明に係る感光性層には、種々のカプラーを使用することが出来、その具体例は、上記RDに記載されている。以下に関連のある記載箇所を示す。
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕
イエローカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
マゼンタカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
シアンカプラー 1001VII−D項 VIIC〜G項
カラードカプラー 1002VII−G項 VIIG項
DIRカプラー 1001VII−F項 VIIF項
BARカプラー 1002VII−F項
その他の有用残基放出 1001VII−F項
カプラー
アルカリ可溶カプラー 1001VII−E項
上記各添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することが出来る。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料には、前述RD308119VII−K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助層を設けることも出来る。
本発明に係るハロゲン化銀カラー写真感光材料は、前述RD308119VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることが出来る。
次に現像処理を現像処理機で行う場合の処理装置(自動現像機)について説明する。
本発明で用いられる自動現像機は、搬送の線速度が100mm/秒以下であることが好ましく、より好ましくは27.8mm/秒〜80mm/秒、特に好ましくは27.8mm/秒〜50mm/秒である。カラーペーパー用自動現像機の搬送では、カラーペーパーを最終サイズにカットしてから現像処理を行う方式(シート型搬送方式)と、長巻で現像処理し、処理後に最終サイズにカットする方式(シネ型搬送方式)とがある。シネ型搬送方式は画像間に2mm程度の感光材料の無駄がでるため、シート型搬送方式が好ましい。本発明に係わる処理組成物は、処理槽及び補充液槽で、液が空気と接触する面積(開口面積)はできるだけ小さい方が好ましい。例えば、開口面積(cm2)を槽中の液体槽(cm3)で割った値を開口率とすると、開口率は0.08(cm-1)以下が好ましい。空気と接触する面積を小さくする為には、処理槽及び補充槽では液面に浮かぶ固体または液体の空気非接触手段を設けることが好ましい。
具体的には、プラスチック製の浮きなどを液面に浮かべる方法や、処理液と混ざらず、また化学反応を起こさない液体で覆うことが好ましく、液体の例としては、流動パラフィン、液状飽和炭化水素などが挙げられる。自動現像機で迅速に処理を行うためには、各処理液間を感光材料が移動する際の空中時間、即ちクロスオーバー時間は、前記説明した時間以下に設定することが好ましい。また、クロスオーバー時間を短縮し、かつ処理液の混入を防止するためには、混入防止板を取り付けたクロスオーバーラックの構造が好ましい。また、クロスオーバー時間をなくす方法としては、特開2002−55422号記載のブレードによる液中搬送構造を用いることが好ましい。この方法では、処理槽間にブレードを設け、液漏れを防止し、感光材料を通過させることで、クロスオーバー時間を実質的にゼロにすることができる。このブレードによる液中搬送構造は、特願2001−147814号記載の液循環方向を下方向に流す液循環構造、循環系に多孔材質プリーツ状フィルターを設置することが好ましい。また、本発明にかかわる各処理液には、処理液の蒸発分に相当する水を供給する、いわゆる蒸発補正を行うことが好ましい。特に、カラー現像タンク液や漂白定着タンク液において好ましい。このような水の補充を行う具体的方法としては、特に制限はないが、中でも特開平1−254959号や同1−254960号公報記載の漂白定着槽とは別のモニター水槽を設置し、モニター水槽内の水の蒸発量を求め、この水の蒸発量から漂白定着槽における水の蒸発量を算出し、この蒸発量に比例して漂白定着槽に水を補充する方法や液レベルセンサーやオーバーフローセンサーを用いた蒸発補正方法が好ましい。最も好ましい蒸発補正方法は、蒸発分に相当する水を予想して加えるもので、日本発明協会公開技報94−49925号1頁右欄26行目〜同3頁左欄28行目に記載されているように自動現像機の運転時間、停止時間及び温調時間の情報に基づいて予め求められた係数により計算された加水量を添加するものである。また、蒸発量を減少させる工夫も必要であり、開口面積を少なくしたり、排気ファンの風量を調節することが要求される。蒸発量を減少させる手段として、特開平6−110171号記載の「処理槽の上部空間の湿度を80%RH以上に保持する」ことが特に好ましく、上記公報の図1、2記載の蒸発防止ラック及びローラー自動洗浄機構を有する構造が特に好ましい。温調時の結露防止のために排気ファンが通常取り付けられているが、好ましい排気量としては毎分0.1m3〜1m3であり、特に好ましくは、0.2m3〜0.4m3である。感光材料の乾燥条件も処理液の蒸発に影響する。乾燥方式としては、セラミック温風ヒーターを用いるのが好ましく、供給風量としては毎分4m3〜20m3が好ましく、特に6m3〜10m3が好ましい。セラミック温風ヒーターの加熱防止用サーモスタットは、伝熱によって動作させる方式が好ましく、取り付け位置は、放熱フィンや伝熱部を通じて風下または風上が好ましい。乾燥温度は、処理される感光材料の含水量によって調整することが好ましく、カラーペーパーでは50〜70℃、APS(アドバンスドフォトシステム)フォーマット及び35mm幅のフィルムでは45〜55℃、ブローニーフィルムでは55〜65℃が最適である。乾燥時間は5秒〜2分が好ましく、特に5秒〜60秒がより好ましい。使用液の補充では、補充ポンプが用いられるが、ベローズ式の補充ポンプが好ましい。また、補充方式としては、直接処理槽に濃縮処理組成物を添加するとともに、希釈率に見合った水を処理槽に直接加えても良く、また補充タンク内で濃縮処理組成物を溶解・希釈して補充液として補充しても良く、また補充タンク内で自動調製装置を用いて濃縮処理組成物を自動的に溶解・希釈して補充液として補充しても良い。また、補充精度を向上させる方法としては、ポンプ停止時の逆流を防止するため、補充ノズルへの送液チューブの径を細くしておくことが有効である。好ましい内径としては1〜8mm、特に好ましい内径として2〜5mmである。
自動現像機には種々の部品材料が用いられ、好ましい材料を以下に記載する。
処理槽及び温調槽等のタンク材質は、変性PPO(変性ポリフェニレンオキサイド)、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)樹脂が好ましい。変性PPOは、日本ジーイープラスチック社製「ノリル」、変性PPEは、旭化成工業製「ザイロン」、三菱瓦斯化学製「ユピエース」等が挙げられる。また、これらの材質は、処理ラック、クロスオーバー等の処理液に接触する可能性のある部位に適している。
処理部のローラー材質は、PVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、TPX(ポリメチルペンテン)等の樹脂が適している。また、これらの材質は、その他の処理液接触部にも使用することが可能である。尚、PE樹脂はブロー形成による補充タンクの材質にも好ましい。
処理部、ギヤ、スプロケット、軸受などの材質には、PA(ポリアミド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、UHMPE(超高分子量ポリエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(全芳香族ポリエステル樹脂、液晶ポリマー)等の樹脂が適している。
PA樹脂は、66ナイロンや12ナイロン、6ナイロン等のポリアミド樹脂で、ガラス繊維や炭素繊維等を含有したものは、処理液による膨潤に対して強く、使用可能である。
また、MCナイロンの様な高分子量品やコンプレッション形成品は、繊維強化なしでも使用することが可能である。UHMPE樹脂は、未強化品が適しており、三井石油化学(株)製「リューブマ」、「ハイゼックス・ミリオン」、作新工業(株)製「ニューライト」、旭化成工業(株)製「サンファイン」等が適している。分子量は、好ましくは100万以上、より好ましくは100万〜500万である。PPS樹脂は、ガラス繊維や炭素繊維強化のものが好ましい。LCP樹脂は、ICIジャパン(株)製「ビクトレックス」、住友化学(株)製「エコノール」、日本石油(株)製「ザイダー」、ポリプラスチック(株)製「ベクトラ」などが含まれる。特に、搬送ベルトの材質としては、特開平4−151656号記載の超高強力ポリエチレン繊維やポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。スクイズローラー等の軟質材料としては、発泡塩化ビニル樹脂や発泡シリコン樹脂、発泡ウレタン樹脂が適している。発泡ウレタン樹脂としては東洋ポリマー(株)製「ルビセル」が挙げられる。配管の継手やアジテーションジェットパイプの継手、シール材などのゴム材質としては、EPDMゴム、シリコンゴム、バイトンゴムなどが好ましい。本発明に使用される処理液濃縮組成物は、各工程用の処理液濃縮組成物を個別に製品形態とするほかに、一組にまとめたカートリッジ形態で用いても良い。また、その場合はカートリッジを一括して装着できる装置を自動現像機が有していることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、反射観賞用のハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーペーパーを作製した。
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。ただし、各乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンの分散物(含有量は15質量%)を含有する溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体Aを作製した。この反射支持体Aをコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各構成層を塗設し、カラーペーパーである試料101を作製した。ただし表1、2中、ハロゲン化銀乳剤の添加量は、銀に換算して記載した。
上記試料101の作製において、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
なお、表1、表2に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフル オロペンチル)・ナトリウム
DBP:ジブチルフタレート
DNP:ジノニルフタレート
DOP:ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
〈青感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1を、常法に従い調製した。次に、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−1Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−1に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。また、EMP−1Bに対しても同様に感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−1とEMP−1Bを銀量で1:1の比率で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10-4モル/モルAgX
〈緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2を、常法に従い調製した。次に平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−2Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−2に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−2Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−2とEMP−2Bを銀量で1:1の比率で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 4×10-4モル/モルAgX
〈赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製〉
平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3を、常法に従い調製した。また平均粒径0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−3Bを、常法に従い調製した。
上記EMP−3に対し、下記化合物を用い、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感を行った。またEMP−3Bに対しても同様に、感度−カブリの関係が最適になる様に化学増感した後、それぞれ増感されたEMP−3とEMP−3Bを銀量で1:1の比率で混合し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を調製した。
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10-4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10-4モル/モルAgX
上記各ハロゲン化銀乳剤の調製に使用した各化合物の詳細は、以下の通りである。
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
また赤感光性ハロゲン化銀乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10-3モル添加した。
Figure 2006220700
《漂白定着処理組成物の調製》
以下の組成からなる処理組成物を調製した後、空隙率10%で高密度ポリエチレン(HDPE)製のハードボトルに充填した後、密封して1パート構成の漂白定着処理組成物1−1〜1−61を調製した。
アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩 表3〜5に記載
アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩 表3〜5に記載
添加剤 表3〜5に記載
亜硫酸アンモニウム(40質量/体積%) 0.2モル
チオ硫酸アンモニウム(75質量/体積%) 0.65モル
例示化合物I−1 0.2ミリモル
例示化合物IV−1 0.2ミリモル
イミダゾール 3.0g
コハク酸 10.0g
pH 5.5
水を加えて1Lとし、pHはアンモニア水溶液または50%硫酸を用いて調整した。
なお、アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩としては、アンモニウム塩を用いた。
また、アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩は、硫酸第1鉄・7水和物と硫酸第1鉄に対して1.02倍のアミノポリカルボン酸をアンモニア水溶液及び水を用いて溶解し、撹拌することで調製した。
《漂白定着処理組成物の強制劣化処理及び現像処理》
次に、上記容器に収納した各漂白定着処理組成物を、50℃の恒温槽中で3週間保存後、下記の処理条件に従って、上記作製したカラーペーパーに後述の方法で露光を施し、現像処理した。
〔処理条件〕
〈処理工程〉 〈処理温度〉 〈処理時間〉
発色現像 42.0℃ 26秒
漂白定着 40.0℃ 26秒
安定化−(1) 38.0℃ 26秒
安定化−(2) 38.0℃ 26秒
安定化−(3) 38.0℃ 26秒
乾燥 60.0℃ 26秒
〔処理液組成〕
(発色現像液:1L当たり)
ポリエチレングリコール#4000 15.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 10.0g
塩化カリウム 4.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)
エチル)アニリン硫酸塩 0.015モル
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミンジナトリウム塩 4.0g
炭酸カリウム 30.0g
ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム 6.0g
水を加えて1Lとし、pHを50%硫酸または水酸化カリウムで10.10に調整した。
(漂白定着液)
上記調製した強制劣化処理済みの各漂白定着処理組成物を、pHが5.5となるようにアンモニア水溶液及び硫酸を用いて再調整し、これを漂白定着液とした。
(安定化液:1L当たり)
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸3ナトリウム 3.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
o−フェニルフェノール 0.1g
亜硫酸ナトリウム 0.1g
チノパールSFP(蛍光増白剤、チバガイギー製) 0.6g
ベンゼンスルフィン酸ナトリウム 0.8g
水を加えて1Lとし、pHをアンモニア水溶液または50%硫酸を用いて7.0に調整した。
《色画像の形成及び評価》
上記作製したカラーペーパーに、常法に従ってウェッジ露光を施した後、この露光済カラーペーパーを、前記の方法に従って現像処理を行った。次いで、得られた各現像処理済みのカラーペーパーについて、下記の方法に従ってシアン色画像の耐光性について評価を行った。
〔シアン色画像の耐光性の評価〕
上記現像処理済みのカラーペーパーを、キセノンフェードメーターで18日間光照射した後、光照射前のシアン色画像の反射濃度約1.0における濃度残存率(%)を下式により求め、これをシアン色画像の耐光性の尺度とした。なお、反射濃度の測定は、X−Rite310を用いて測定した。
シアン色画像の反射濃度残存率={光照射後のシアン反射濃度/光照射前のシアン反射濃度(濃度約1.0)}×100(%)
以上により得られた結果を、表3〜5に示す。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
表3〜5に記載の結果より明らかなように、比較例では、迅速、低補充条件下で連続処理を行うと、処理液の疲労劣化により蓄積する第1鉄(Fe(II))の比率が高くなる程、シアン色画像の耐光性が劣化し、特に、アミノポリカルボン酸鉄錯塩のFe(II)比率が50モル%以上の条件で、かつ本発明に係る一般式(M)または(N)で表される化合物を含有しない比較例が顕著である。また、Fe(II)比率が50mol%以上の条件(Fe(II)=80mol%)、本発明に係る一般式(M)または(N)で表される化合物を添加しても、添加濃度が0.003モル/Lより少ない条件、あるいは0.3モル/Lより多い条件では、本発明の目的効果(シアン色画像の耐光性)が発揮されない。
これに対して、アミノポリカルボン酸鉄錯塩のFe(II)比率が50モル%以上で、かつ本発明に係る一般式(M)または(N)で表される化合物を0.003〜0.3モル/Lの範囲で含有する本発明の漂白定着処理組成物では、良好なシアン色画像の耐光性が得られることが分かる。更に、本発明に係る一般式(M)または(N)で表される化合物を本発明で規定する範囲内で含有し、かつFe(II)比率が50モル%〜80モル%の条件、或いはアミノポリカルボン酸鉄錯塩のFe(II)比率が50モル%以上で、一般式(M)または(N)で表される化合物を0.01〜0.2モル/Lの範囲で含有する本発明の漂白定着処理組成物では、更に良好なシアン色画像の耐光性が得られることが分かる。
実施例2
《漂白定着濃縮処理組成物の漂白剤パートの調製》
以下の組成からなる処理組成物を調製した後、空隙率10%で高密度ポリエチレン(HDPE)製のハードボトルに充填した後、密封して漂白定着濃縮処理組成物の漂白剤パート2−1〜2−8を調製した。
アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩 表6に記載
アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩 表6に記載
添加剤 表6に記載
イミダゾール 6.0g
コハク酸 20.0g
pH 6.0
水を加えて0.5Lとし、pHはアンモニア水溶液または50%硫酸を用いて調整した。なお、アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩はアンモニウム塩を用いた。また、アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩は、硫酸第1鉄・7水和物と硫酸第1鉄に対して1.02倍のアミノポリカルボン酸をアンモニア水溶液及び水を用いて溶解し、撹拌することで調製した。
《漂白定着濃縮処理組成物の調製》
以下の組成からなる処理組成物を調製した後、空隙率10%で高密度ポリエチレン(HDPE)製のハードボトルに充填した後、密封して1パート構成の漂白定着濃色処理組成物2−9〜2−16を調製した。
アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩 表6に記載
アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩 表6に記載
添加剤 表6に記載
亜硫酸アンモニウム(40質量/体積%) 0.15モル
チオ硫酸アンモニウム(75質量/体積%) 1.3モル
イミダゾール 6.0g
コハク酸 20.0g
pH 6.0
水を加えて0.5Lとし、pHはアンモニア水溶液または50%硫酸を用いて調整した。なお、アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩はアンモニウム塩を用いた。また、アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩は、硫酸第1鉄・7水和物と硫酸第1鉄に対して1.02倍のアミノポリカルボン酸をアンモニア水溶液及び水を用いて溶解し、撹拌することで調製した。
《漂白定着濃縮処理組成物の強制劣化処理、現像処理及び形成画像の評価》
次に、上記容器に収納した各漂白剤パート及び各1パート構成の漂白定着濃縮処理組成物を実施例1と同様の条件で保存後、漂白定着液を以下のように調製した以外は、実施例1と同様の条件で現像処理及び形成画像の評価を行った。
〔漂白定着液の調製〕
(漂白剤パートからの漂白定着液の調製:2パート構成2−1〜2−8)
上記調製した強制劣化処理済みの各漂白剤パートに、亜硫酸アンモニウム(40質量/体積%)0.15モル、チオ硫酸アンモニウム(75質量/体積%)0.65モル、pH調整剤及び水をそれぞれ加え、pH6.0、容量1Lに仕上げ、漂白定着液2−1〜2−8を調製した。なお、水の添加量は、仕上げの容量が1Lとなるように適宜調整した。また、pH調整剤はアンモニア水溶液及び50%硫酸を用いた。
(漂白定着濃縮処理組成物からの漂白定着液の調製:1パート構成2−9〜2−16)
上記調製した強制劣化処理済みの1パート構成からなる各漂白定着濃縮処理組成物に、pH調整剤及び水をそれぞれ加え、pH6.0、容量1Lに仕上げ、漂白定着液2−9〜2−16を調製した。なお、水の添加量は、仕上げの容量が1Lとなるように適宜調整した。また、pH調整剤はアンモニア水溶液及び50%硫酸を用いた。
以上により得られたシアン色画像の耐光性の評価結果を、表6に示す。
Figure 2006220700
表6に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる漂白剤パートあるいは1パート構成の漂白定着濃縮処理組成は、比較例に対し、シアン画像の耐光性に優れていることが分かる。更に、パート構成が同じ系で比較すると、1パート構成からなる本発明の漂白定着濃縮処理組成物は、2パート構成からなる本発明の漂白定着濃縮処理組成物よりもシアン色画像の耐光性改良効果の幅が高く、特に優れていることが分かる。
実施例3
実施例1で調製した漂白定着処理組成物1−9の作製において、収納したプラスチック容器の材質を、表7に記載のように変更した以外は同様にして、漂白定着処理組成物3−1〜3−7を調製した。
次に、上記調製した漂白定着処理組成物3−1〜3−7と実施例1で調製した漂白定着処理組成物1−9を、60℃の恒温槽中で3週間保存したのち、実施例1と同様の条件で、現像処理及び形成画像の評価を行い、得られたシアン色画像の耐光性の評価結果を表7に示す。
なお、表7に略称で記載のプラスチック容器材質の詳細を以下に示す。
HDPE:高密度ポリエチレン
LDPE:低密度ポリエチレン
ラクティ:ポリ乳酸、島津製作所社製
レイシアH−100J:ポリ乳酸、三井化学社製
セルグリーンPCA:酢酸セルロース、ダイセル化学工業社製
セルグリーンPH:ポリカプロラクタン、ダイセル化学工業社製
ルナーレSE:ポリエチレンスクシネート、日本触媒社製
ビオノーレ:ポリブチレンスクシネート、昭和高分子社製
Figure 2006220700
表7記載の結果より明らかなように、容器に収納した漂白定着処理組成物をより過酷な保存条件下で保存を行った際、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリエチレンスクシネート及び酢酸セルロースからなる保存容器を使用した条件では、本発明の効果がより効果的に奏していることが分かる。
実施例4
以下の組成からなる処理組成物を調製した後、空隙率10%で高密度ポリエチレン(HDPE)製のハードボトルに充填した後、密封して漂白定着濃縮処理組成物4−1〜4−16を調製した。
アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩 表8に記載
アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩 表8に記載
添加剤 表8に記載
硝酸アンモニウム 0.1モル
チオ硫酸アンモニウム(75質量/体積%) 1.0モル
亜硫酸アンモニウム(40質量/体積%) 0.6モル
イミダゾール 10.0g
コハク酸 40.0g
ベンゼンスルフィン酸ナトリウム 3.0g
pH 4.8
水を加えて1Lとし、pHはアンモニア水溶液または50%硫酸を用いて調整した。
なお、アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩はアンモニウム塩を用いた。また、アミノポリカルボン酸第1鉄錯塩は、硫酸第1鉄・7水和物と硫酸第1鉄に対して1.02倍のアミノポリカルボン酸をアンモニア水溶液及び水を用いて溶解し、撹拌することで調製した。
次いで、上記調製した各漂白定着濃縮処理組成物を空隙率10%でHDPE製のハードボトルに1Lずつ再装填し、密栓した。以上のようにして容器に収納した各漂白定着濃縮処理組成物を、下記の連続処理に必要な量だけ調製し、これらを50℃の恒温槽中で3週間保存後、保存した各漂白定着濃縮処理組成物を2.0倍の水で希釈して漂白定着補充液を調製し、その漂白定着補充液を用いて、下記条件で連続処理(ランニング処理)した。
《連続処理》
〔処理条件〕
連続処理(ランニング処理)は、コニカミノルタフォトイメージング社製のプリンタープロセッサーNPS−808GOLDを下記処理工程の条件を満たすように改造して行った。下記に示す各処理液を処理タンクに満たし、実施例1で作製したカラーペーパーを連続処理するとともに、各補充液を定量ポンプで補充した。ランニング処理は、漂白定着タンク液中に補充された漂白定着補充液の量が該タンク液量(12.3L)の2倍(2ラウンド)になるまで、1日あたり0.05ラウンド相当の処理量で連続処理した。
(処理工程)
処理工程 処理温度 処理時間 タンク容量 補充量
(℃) (秒) (L) (ml/m2
発色現像 42.0 26 12.5 40
漂白定着 40.0 26 12.3 38
安定化−(1) 38.0 26 11.8
安定化−(2) 38.0 26 11.8
安定化−(3) 38.0 26 11.8 150
乾燥 60〜80 26
なお、安定化工程は、安定化−(3)→安定化−(2)→安定化−(1)へのタンク向流方式とした。
(処理液組成)
各処理工程のタンク液及び補充液を、下記の手順で調製した。
〈発色現像液:1L当たり〉
タンク液 補充液
ジエチレングリコール 80.0g 80.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 10.0g 10.0g
塩化カリウム 5.0g −
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)アニリン(フリー体) 0.015モル 0.028モル
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミン 4.0g 8.0g
炭酸カリウム 30.0g 30.0g
ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム 6.0g 6.0g
pH 10.10 12.40
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
〈漂白定着液タンク液〉
タンク液は、各ランニングで使用する漂白定着補充液を1.5倍の水で希釈したのち、アンモニア水溶液または50%硫酸を用いてpHを5.8に調整したものを使用した。
〈安定化液:1L当たり〉
タンク液=補充液
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸3ナトリウム 3.0g
エチレンジアミン四酢酸 1.5g
o−フェニルフェノール 0.1g
チノパールSFP(蛍光増白剤、チバガイギー製) 0.6g
ベンゼンスルフィン酸ナトリウム 0.8g
pH 7.5
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
《評価用色画像の形成及び評価》
2ラウンドのランニング処理を行った後、常法に従ってウェッジ露光を施した実施例1で作製したカラーペーパーを上記と同様の処理方法に従って現像処理した。なお、ここでいう2ラウンドとは、漂白定着処理液中に補充された各漂白定着補充液の量が、該漂白定着タンクの液量(12.3L)の2倍(2ラウンド)になるまでをいう。
次に、この現像処理したウェッジ露光された各現像処理済みカラーペーパーを、実施例1に記載の方法と同様にして耐光性を評価した。得られた結果を表8に示す。
Figure 2006220700
表8記載に記載の結果より明らかなように、ランニング処理においても、本発明の構成からなる漂白定着濃縮処理組成物は、高温下で強制劣化を施した後でも、本発明の目的効果(画像保存性)が良好に発揮されることが分かる。更にランニング条件では、一般式(N)で表される化合物を本発明の範囲内で含有する本発明の漂白定着濃縮処理組成物が、特に優れた性能を発揮することが分かる。
実施例5
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
下記の方法に従って、撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料であるカラーネガフィルムを作製した。
下引層を設けた厚さ125μmのセルローストリアセテートフィルム支持体上に、以下の組成物を塗布して多層からなる撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料である試料201を作製した。
以下、全ての記載において、ハロゲン化銀カラー写真感光材料中の各添加剤の添加量は、特に記載のない限り1m2あたりのグラム数で示した。また、ハロゲン化銀およびコロイド銀は、金属銀に換算して示し、増感色素はハロゲン化銀1モル当たりのモル数で示した。
(第1層:ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 0.18
紫外線吸収剤(UV−1) 0.3
カラードカプラー(CM−1) 0.08
カラードカプラー(CC−1) 0.05
高沸点有機溶剤(OIL−1) 0.16
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.5
ゼラチン 1.5
(第2層:中間層)
カラードカプラー(CC−1) 0.035
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.08
ゼラチン 0.7
(第3層:低感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.30
沃臭化銀乳剤b 0.06
増感色素(SD−1) 1.10×10-5
増感色素(SD−2) 5.40×10-5
増感色素(SD−3) 1.25×10-4
シアンカプラー(C−1) 0.30
カラードカプラー(CC−1) 0.054
DIR化合物(DI−1) 0.02
高沸点有機溶剤(OIL−2) 0.3
化合物(AS−2) 0.001
ゼラチン 1.5
(第4層:中感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤b 0.37
SD−1 1.50×10-5
SD−2 7.00×10-5
SD−3 1.65×10-4
C−1 0.23
CC−1 0.038
DI−1 0.01
OIL−2 0.27
AS−2 0.001
ゼラチン 1.5
(第5層:高感度赤感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.04
沃臭化銀乳剤b 0.18
沃臭化銀乳剤c 0.50
SD−1 1.30×10-5
SD−2 6.00×10-5
SD−3 1.40×10-4
C−1 0.12
C−2 0.03
CC−1 0.03
DI−1 0.004
OIL−2 0.19
AS−2 0.002
ゼラチン 1.2
(第6層:中間層)
OIL−1 0.08
AS−1 0.08
ゼラチン 0.9
(第7層:低感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.22
沃臭化銀乳剤d 0.09
SD−4 1.50×10-4
SD−5 3.75×10-5
M−1 0.35
CM−1 0.12
OIL−1 0.49
DI−2 0.017
AS−2 0.0015
ゼラチン 2.2
(第8層:中感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤d 0.46
SD−5 2.10×10-5
SD−6 1.61×10-4
SD−7 2.40×10-5
M−1 0.1
CM−1 0.05
OIL−1 0.15
AS−2 0.001
ゼラチン 1.6
(第9層:高感度緑感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.03
沃臭化銀乳剤e 0.47
SD−5 1.90×10-5
SD−6 1.43×10-4
SD−7 2.10×10-5
M−1 0.033
M−2 0.023
CM−1 0.023
DI−1 0.009
DI−2 0.0009
OIL−1 0.08
AS−2 0.002
ゼラチン 1.2
(第10層:イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 0.08
OIL−1 0.06
AS−1 0.8
ゼラチン 0.9
(第11層:低感度青感光性層)
沃臭化銀乳剤a 0.18
沃臭化銀乳剤f 0.14
沃臭化銀乳剤g 0.08
SD−8 1.15×10-4
SD−9 5.60×10-5
SD−10 2.56×10-5
Y−1 1.0
OIL−1 0.4
AS−2 0.002
FS−1 0.08
ゼラチン 3.0
(第12層:高感度青感光性層)
沃臭化銀乳剤g 0.30
沃臭化銀乳剤h 0.30
SD−8 7.12×10-5
SD−10 2.39×10-5
Y−1 0.1
OIL−1 0.04
AS−2 0.002
FS−1 0.01
ゼラチン 1.10
(第13層:第1保護層)
沃臭化銀乳剤i 0.3
UV−1 0.11
UV−2 0.53
ゼラチン 0.9
(第14層:第2保護層)
PM−1 0.15
PM−2 0.04
WAX−1 0.02
ゼラチン 0.55
尚上記組成物の他に、化合物SU−1、SU−2、粘度調整剤V−1、硬膜剤H−1、H−2、安定剤ST−1、ST−2、カブリ防止剤AF−1、AF−2、AF−3、染料AI−1、AI−2、AI−3及び防腐剤D−1を各層に適宜添加した。
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
Figure 2006220700
上記試料201の作製に用いたハロゲン化銀乳剤の一覧を、下記表9に示す。尚平均粒径は、立方体に換算した粒径で示した。
Figure 2006220700
沃臭化銀乳剤b、e、g、hは、イリジウムを1×10-7〜1×10-6mol/1molAg含有している。
上記沃臭化銀乳剤i以外の各乳剤は、前記増感色素を添加した後、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸、チオシアン酸カリウム等を添加し、カブリ−感度の関係が最適になるように化学増感を施した。
《漂白処理組成物の調製》
以下の組成からなる処理組成物を調製した後、空隙率10%で高密度ポリエチレン(HDPE)製のハードボトルに充填した後、密封して漂白処理組成物5−1〜5−4を調製した。
例示化合物3−2の第2鉄アンモニウム 0.2モル
例示化合物3−2の第1鉄塩 0.3モル
添加剤 表10に記載
硝酸アンモニウム 0.1モル
イミダゾール 10.0g
マレイン酸 80.0g
コハク酸 45.0g
臭化アンモニウム 60.0g
pH 2.9
水を加えて1Lとし、pHはアンモニア水溶液または50%硫酸を用いて調整した。
なお、例示化合物3−2の第1鉄塩は、硫酸第1鉄・7水和物と硫酸第1鉄に対して1.02倍の例示化合物3−2をアンモニア水溶液及び水を用いて溶解し、撹拌することで調製した。
《漂白定着処理組成物の強制劣化処理及び現像処理》
次いで、上記調製した漂白処理組成物を空隙率10%で、HDPE製のハードボトルに1Lずつ再装填し、密栓した。以上のようにして容器に収納した各漂白処理組成物を下記の連続処理に必要な量だけ調製し、これらを50℃の恒温槽中で3週間保存後、その保存した各漂白処理組成物を漂白補充液として使用して、下記の処理条件に従って、上記作製したカラーネガフィルムに後述の方法で露光を施し、連続処理(ランニング処理)した。
〔連続処理〕
上記作製したカラーネガフィルムに実写シーンを露光した試料を1日あたり50本の割合で、2Rになるまで下記処理工程で連続処理を行った。また、連続処理には下記処理工程の条件を満たすようにコニカミノルタフォトイメージング社製の自動現像機CL−KP46QAの処理槽及び処理時間を改造した実験機を用いた。2Rとは漂白液タンク容量分の2倍量の漂白補充液が補充されることを意味する。
(処理条件)
〈処理工程〉 〈処理時間〉 〈処理温度〉 〈タンク容量〉 〈補充量*2〉
発色現像 1分40秒 40.0℃ 16.4L 14.5
漂白 50秒 39.0℃ 3.9L 2.5
定着−(1) 25秒 38.0℃ 3.9L −
定着−(2)*1 25秒 38.0℃ 3.9L 18.0
安定−(1) 25秒 38.0℃ 3.2L −
安定−(2)*1 25秒 38.0℃ 3.2L 30.0
乾燥 25秒 62.0℃
*1)定着工程は、定着−(2)→定着−(1)、また、安定化工程は、安定化−(2)→安定化−(1)へのタンク向流方式とした。
*2)補充量は、135サイズ24枚撮り1本当たりの補充量(ml)で表す。
(処理液組成)
〈発色現像液タンク液:1Lあたり〉
亜硫酸ナトリウム 5.0g
炭酸カリウム 43.0g
ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム 4.0g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミン−ジナトリウム塩 3.0g
臭化カルウム 1.5g
2−メチルベンズイミダゾール 0.1g
ポリビニルピロリドン:K−17 2.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 5.0g
水酸化リチウム 2.0g
沃化カリウム 2.0mg
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩
9.5g
pH 10.30
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
〈漂白液タンク液〉
タンク液は、各ランニングで使用する漂白補充液に臭化アンモニウムを1Lあたり、20.0g添加した後、アンモニア水溶液または50%硫酸を用いてpHを3.5に調整したもの使用した。
〈定着液タンク液:1Lあたり〉
チオ硫酸アンモニウム 2.0mol
亜硫酸ナトリウム 15.0g
pH 7.0
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
〈安定液タンク液:1Lあたり〉
m−ヒドロキシベンズアルデヒド 0.5g
エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム 0.6g
β−サイクロデキストリン 0.2g
炭酸カリウム 1.0g
ベンゼンスルフィンナトリウム 0.5g
pH 7.0
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウムまたは50%硫酸を用いて調整した。
《評価用色画像の形成及び評価》
2ラウンドのランニング処理を行った後、常法に従ってウェッジ露光を施した上記作製のカラーネガフィルムを上記と同様の処理方法に従い現像処理した。次に、この現像処理したウェッジ露光された各現像処理済みカラーネガフィルを以下の条件で評価した。
〔シアン色画像の耐光性の評価〕
上記現像処理済みのウェッジ露光されたカラーネガフィルを、キセノンフェードメーターで6日間光照射した後、光照射前のシアン色画像の透過濃度約1.0における濃度残存率(%)を下式により求め、これをシアン色画像の耐光性の尺度とした。なお、透過濃度の測定は、X−Rite310を用いて測定した。
シアン色画像の透過濃度残存率={光照射後のシアン透過濃度/光照射前のシアン透過濃度(濃度約1.0)}×100(%)
以上により得られた結果を、表10に示す。
Figure 2006220700
表10記載の結果より明らかなように、カラーネガフィルムのランニング処理においても、本発明の構成からなる漂白処理組成物は、高温下で強制劣化を施した後でも、本発明の目的効果(画像保存性)が良好に発揮されることが分かる。更にランニング条件では、一般式(N)で表される化合物を本発明の範囲内で含有する本発明の漂白処理組成物が、特に優れた性能を発揮することが分かる。

Claims (6)

  1. ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理に用いる漂白能を有する処理組成物において、Fe(II)比率が50モル%以上であるアミノポリカルボン酸鉄錯塩を含有し、かつ下記一般式(M)または(N)で表される化合物を使用液の状態に換算して、0.003モル/L以上、0.3モル/L以下含有することを特徴とする漂白能を有する処理組成物。
    一般式(M)
    X−(R1−S)n−R2−S−R3−Y
    〔式中、R1、R2及びR3は各々アルキレン基を表し、R1とR3またはR2とR3とで環を形成してもよい。XおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、アルキル基、アミノ基、アンモニオ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシル基、ヘテロ環基、アミノカルボニル基またはアミノスルホニル基を表し、XとYとで環を形成してもよい。nは0〜10の整数を表し、nが2以上であるとき、それぞれのR1は同じでも異なっていてもよい。〕
    Figure 2006220700
    〔式中、Zは−N(R13)(R14)、−OR15または−SR16を表す。R11、R12、R13、R14、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環残基を表し、また、R11とR12、R13とR14、あるいはR11とR13、R11とR15、R11とR16とが結合して、5ないし6員のヘテロ環を形成してもよい。〕
  2. 前記一般式(M)または(N)で表される化合物の含有量が、使用液の状態に換算して0.01モル/L以上、0.2モル/L以下であることを特徴とする請求項1記載の漂白能を有する処理組成物。
  3. 前記アミノポリカルボン酸鉄錯塩のFe(II)比率が50モル%以上、80モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の漂白能を有する処理組成物。
  4. 定着主剤を含有する漂白定着処理組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の漂白能を有する処理組成物。
  5. ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリエチレンスクシネート及び酢酸セルロースから選ばれる少なくとも1種の化合物を原料とするプラスチック材料からなる容器に収納されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の漂白能を有する処理組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の漂白能を有する処理組成物を用いて、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法。
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