JPWO2004089655A1 - ゴム付き繊維材料及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明は、ポリケトンの繊維とコーティングゴムとからなるカーカスプライ用のゴム付き繊維材料に関し、特に、本発明は、かかるゴム付き繊維材料からなるカーカスプライを備える空気入りタイヤに関する。
キャップ・レイヤとは、タイヤ円周方向に連続して螺旋状に巻回すること等により形成されるプライのことをいい、ベルト補強層と称されることがある。「キャップ・レイヤ」は、以下、「ベルト補強層」と称する。
ベルト補強層のコード材質としては、ナイロンがおおむね使われてはいるが、近年の新品購入時の部品(Original Equipment:OE)の要求特性から、ナイロンは適切ではない。特に、ロードノイズ、フラットスポットの低減、あるいは前述の高速走行時におけるベルト層端部の迫出し性の不良が挙げられており、これらの改善が求められている。
それらの改善策として、ポリケトン繊維をベルト補強層に適用することが提案されている。ポリケトン繊維は、ナイロンに比べて高弾性であり、かつガラス転移点(Tg)がないので、ロードノイズ及びフラットスポットの低減、或いは追出し抑制効果が期待できる(例えば、特許文献1:特開2000−142025号公報及び特許文献2:特開2001−334811号公報参照)。
従来、乗用車用ラジアルタイヤのカーカスプライには、一般的には、ポリエチレンテレフタレート(以下、単に、「PET」と称する。)の繊維が使用されている。また、近年、増加傾向にある超高性能(Ultra High Performance)車や、タイヤサイド部の発熱がシビアなサイズのタイヤのカーカスプライには、レーヨンの繊維が使用されている。
しかしながら、PETの繊維は高温時の接着性(耐熱接着)に問題があり、近年の高性能車の増加傾向には追従しえない面があり、また、一方のレーヨンの繊維も、前述の高性能車の増加傾向に対し、供給面に難があり、従って、前記2材質に替わるものとして、高弾性であり、かつ耐熱接着性にも優れる脂肪族ポリケトン繊維が注目されている(例えば、特許文献3:特開2000−190705号公報、特許文献4:特開2000−264012号公報、特許文献5:特開2001−334807号公報及び特許文献6:特開2002−307908号公報参照)。
本発明者は、上記従来例(特許文献1及び2等参照)には、以下の問題が生じる虞があることを見出した。
ナイロンをベルト補強層に用いる際のコーティングゴムを、ポリケトン繊維でもそのまま組み合わせる場合、ポリケトン繊維を用いることで迫出し抑制には効果があるものの、ゴム〜コード界面における剛性段差が大きくなり、応力集中を招くことから、高速耐久性(HSPドラムレベル)に関して、大幅なHSPドラムアップまでには繋がらないのである。
また、本発明者は、上記従来例(特許文献3〜6等参照)には、以下の問題の生じる虞があることを見出した。
脂肪族ポリケトン繊維をカーカスプライに用いれば、PET及びレーヨンに比べ高弾性かつ耐熱接着に優れる点から、タイヤサイド〜ビード部にかけて負荷が掛かる耐久評価(ドラム試験)等で、大幅な性能向上が見込めるはずである。しかし、本発明者の研究によれば、PET及びレーヨンをカーカスプライに用いる場合のトリート用コーティングゴムを、脂肪族ポリケトン繊維でそのまま組み合わせる場合、ゴム〜コード界面における剛性段差が大きくなり、応力集中を招くことから、大幅なドラムアップまでには繋がらないことが知見された。
本発明の課題は、上記問題点を解決するため、ポリケトンの繊維とそれを被覆するコーティングゴムとの間の剛性バランスやロス特性等を適正化することである。
(式中、Aはエチレン性結合によって重合されたエチレン性不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい)
で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの繊維と前記繊維を被覆しているコーティングゴムとからなり、前記コーティングゴムが、2.5MPa以上で、かつ5.5MPa以下の100%伸長時モジュラス(室温)を有しており、前記コーティングゴムが60%以上の反発弾性率を有することを特徴とするゴム付き繊維材料に係るものである。また、本発明は、かかるゴム付き繊維材料からなるベルト補強層を備える空気入りタイヤに係るものである。
さらに、本発明は、空気入りタイヤのカーカスプライに用いられるゴム付き繊維材料であって、前記ゴム付き繊維材料が前記式(I)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの繊維と前記繊維を被覆しているコーティングゴムとからなり、前記コーティングゴムが、2.5MPa以上で、かつ5.5MPa以下の100%伸長時モジュラス(室温)を有することを特徴とするゴム付き繊維材料に係るものである。また、本発明は、かかるゴム付き繊維材料からなるカーカスプライを備える空気入りタイヤに係るものである。
本発明は、ポリケトンの繊維を被覆しているゴムの物性を2.5MPa以上で、かつ5.5MPa以下の100%伸長時モジュラス(室温)(以下、「100%伸長時モジュラス」を、単に、「M100」と称することがある。)の所定範囲に規定し、このようにして形成されるゴム付き繊維材料をベルト補強層に適用することによって、高速耐久性に優れた空気入りタイヤが得られるという知見に基づくものである。
また、本発明は、ポリケトンの繊維を被覆しているゴムの物性を2.5MPa以上で、かつ5.5MPa以下の100%伸長時モジュラス(室温)の所定範囲に規定し、このようにして形成されるゴム付き繊維材料をカーカスプライに適用することによって、耐久性に優れた空気入りタイヤが得られるという知見に基づくものである。
本発明者は、乗用車用ラジアルタイヤ用ベルト補強層の材質として、ポリケトンの繊維を使用する場合のコーティングゴムについて、その物性を検討した。
その結果、本発明者は、コーティングゴムの物性を所定範囲内に規定することによって、ナイロンをベルト補強層に用いる際のコーティングゴムとは異なり、ポリケトンの繊維からなるコードとゴムとの界面における剛性段差が小さくなり、応力集中が抑制され、大幅なドラムアップに繋がることを突き止め、本発明に至った。
本発明者の研究によれば、ベルトとベルト補強層との機能に関し、以下の関係が認められた。ベルトは、ベルト補強層と同様に、ベルトコード、例えば、スチールコードとそれを被覆するベルトコーティングゴムとからなる。ベルトコーティングゴムは、ベルトコードとの接着を確保しつつ、角度付きの2層のベルト交錯層の間に発生する層間剪断歪を抑制するという点では高弾性が望ましく、通常、弾性率の下限が規定される。一方、ベルト補強層のコーティングゴムも、ベルト端部の歪を抑制するだけならば高弾性が望ましいのに変わりはない。しかし、ベルト補強層は、部材配置位置としては、ベルトと共に反対側ではトレッドゴムとも接触しており、コーティングゴムが高弾性過ぎると逆にトレッドとベルト補強層との間の剛性段差が大きくなり過ぎて、高速耐久性を損なう結果となる。したがって、本発明のようにベルト補強層等に用いられるコーティングゴムには、最適な弾性範囲の規定が必要となる。
また、本発明者は、乗用車用ラジアルタイヤ用カーカスプライの材質として、ポリケトンの繊維を使用する場合のコーティングゴムについて、その物性を検討した。
その結果、本発明者は、コーティングゴムの物性を所定範囲内に規定することによって、PET及びレーヨンをカーカスプライに用いる場合のトリート用コーティングゴムとは異なり、ポリケトンの繊維からなるコードとゴムとの界面における剛性段差が小さくなり、応力集中が抑制され、大幅なドラムアップに繋がることを突き止め、本発明に到達した。
本発明では、高弾性率かつ高ロスのポリケトンの繊維に、所定の高弾性率かつ低ロスのコーティングゴムを適用することにより、ポリケトンの繊維/ゴムの剛性バランスやロス特性に著しく優れたゴム付き繊維材料を得ることができる。
(1)ゴム付き繊維材料
ポリケトンの繊維と前記繊維を被覆するコーティングゴムとからなる。ベルト補強層用のものでよい。ベルト補強層に用いるのに適切な形状及び物性を有することができる。ポリケトンの繊維以外の繊維、例えば、ナイロンからなる繊維、かかる繊維を被覆するゴム、他のゴム層、充填剤等を含んでいてもよい。かかるゴム付き繊維材料は、ベルト補強層としてそのまま用いることもできるが、その後の適切な処理により、種々の中間品を経て、最終製品、特に、空気入りタイヤのベルト補強層として適用することができる。
また、ゴム付き繊維材料はカーカスプライ用のものでよい。カーカスプライに用いるのに適切な形状及び物性を有することができる。ポリケトンの繊維以外の繊維、例えば、PET、レーヨンからなる繊維、かかる繊維を被覆するゴム、他のゴム層、充填剤等を含んでいてもよい。かかるゴム付き繊維材料は、カーカスプライとしてそのまま用いることもできるが、その後の適切な処理により、種々の中間品を経て、最終製品、特に、空気入りタイヤのカーカスプライとして適用することができる。
(2)ポリケトンの繊維
該ポリケトンは、分子中にCO単位(カルボニル基)とエチレン性不飽和化合物由来の単位とが配列された交互共重合体、即ち、高分子鎖中で各CO単位の隣に、例えばエチレン単位等のオレフィン単位が一つずつ位置する構造である。また、該ポリケトンは、一酸化炭素と特定のエチレン性不飽和化合物一種との共重合体であってもよく、一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物二種以上との共重合体であってもよい。式(I)中のAを形成するエチレン性不飽和化合物としては、エチレン,プロピレン,ブテン,ペンテン,ヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン等の不飽和炭化水素化合物、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,ウンデセン酸等の不飽和カルボン酸又はその誘導体、更にはウンデセノール,6−クロロヘキセン,N−ビニルピロリドン,及びスルニルホスホン酸のジエチルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、特にポリマーの力学特性や耐熱性等の点から、エチレン性不飽和化合物としてエチレンを主体とするものを用いたポリケトンが好ましい。
エチレンと他のエチレン性不飽和化合物とを併用する場合、エチレンは、全エチレン性不飽和化合物に対し、80モル%以上になるように用いるのが好ましい。80モル%未満では得られるポリマーの融点が200℃以下になり、得られる有機繊維コードの耐熱性が不充分となる場合がある。有機繊維コードの力学特性や耐熱性の点から、エチレンの使用量は、特に全エチレン性不飽和化合物に対し90モル%以上が好ましい。前記のポリケトンは、公知の方法、例えばヨーロッパ特許公開第121965号,同第213671号,同第229408号及び米国特許第3914391号明細書に記載された方法に従って製造することができる。
本発明にかかる有機繊維コードに用いられるポリケトンの重合度は、m−クレゾール中、60℃で測定した溶液粘度が1.0〜10.0dL/gの範囲にあるのが好ましい。溶液粘度が1.0dL/g未満では、得られる有機繊維コードの力学強度が不充分となる場合があり、コードの力学強度の観点から、溶液粘度が1.2dL/g以上であるのが更に好ましい。一方、溶液粘度が10.0dL/gを超えると、繊維化時の溶融粘度や溶液粘度が高くなりすぎて紡糸性が不良となる場合があり、紡糸性の観点から、溶液粘度が5.0dL/g以下であるのが更に好ましい。繊維の力学強度及び紡糸性などを考慮すると、溶液粘度は1.3〜4.0dL/gの範囲が特に好ましい。
上記ポリケトンの繊維化方法は、特に限定されないが、一般的には溶融紡糸法又は溶液紡糸法が採用される。溶融紡糸法を採用する場合には、例えば特開平1−124617号公報に記載の方法に従って、ポリマーを通常、融点より20℃以上高い温度、好ましくは融点より40℃程度高い温度で溶融紡糸し、次いで、通常、融点より10℃以下低い温度、好ましくは融点より40℃程度低い温度において、好ましくは3倍以上の延伸比で、更に好ましくは7倍以上の延伸比で延伸処理することにより、容易に所望の繊維を得ることができる。
一方、溶液紡糸法を採用する場合、例えば特開平2−112413号公報に記載の方法に従って、ポリマーを例えばヘキサフルオロイソプロパノール,m−クレゾール等に0.25〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n−ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴、好ましくはアセトン浴中で溶剤を除去、洗浄して紡糸原糸を得、さらに(融点−100℃)〜(融点+10℃)、好ましくは(融点−50℃)〜(融点)の範囲の温度で延伸処理することにより、所望のフィラメントを得ることができる。また、このポリケトンには、熱,酸素等に対して十分な耐久性を付与する目的で酸化防止剤を加えることが好ましく、また必要に応じて艶消し剤,顔料,帯電防止剤等も配合することができる。
(3)コーティングゴム
ポリケトンの繊維(以下、単に「PK繊維」と称する。)を被覆しているゴムである。かかるコーティングゴムは、2.5MPa以上で、かつ5.5MPa以下のM100を有する。かかる範囲のM100より上でも下でも、PK繊維とコーティングゴムとの剛性段差の影響がでて、繊維とゴムとの界面のセパレーション性(例えば、HSPドラム等のドラムにて検出することができる。)が悪くなる。
かかるコーティングゴムは、PK繊維と同程度の高弾性率で、かつPK繊維に比べ低ロスである。かかる高弾性率で、かつ低ロスのコーティングゴムは、ゴム付き繊維材料として、PK繊維/ゴムの剛性バランス及びロス特性を適正化することができる。コーティングゴムは、好ましくは、60%以上の反発弾性率(Resilience)を有する。
コーティングゴムは、PK繊維を被覆する限り、種々の形状からなることができる。代表的には、被膜、シート等である。
コーティングゴムは種々のゴム組成物からなることができる。かかるゴム組成物は、ゴム成分に対し、必要に応じて、種々の添加剤が配合されたものである。代表的には、かかるゴム組成物は加硫処理された加硫ゴム組成物である。
(4)被覆
上述のコーティングゴムが形成されるように行う。PK繊維は、ゴム組成物を用いて、浸漬、塗布、貼り合わせ等の公知の方法に従って被覆される。PK繊維は、ゴムによる被覆に先立って前処理することができる。
被覆後に得られる被覆PK繊維は、所定物性のコーティングゴムが形成されるように、任意の後処理を行うことができる。非加硫のゴム組成物が被覆されている場合には、その後に加硫処理を行うことができる。
(5)ベルト補強層
PK繊維と前記繊維を披覆しているコーティングゴムとからなる。かかるベルト補強層は、上述のゴム付き繊維材料からなることができる。ベルト補強層は空気入りタイヤの所定位置に配置される。
上述のような非加硫のゴム組成物を用いる場合、ベルト補強層用のゴム付き繊維材料は、空気入りタイヤの所定位置において上述の被覆PK繊維を加硫することによって得ることができる。
ベルト補強層は、上述のコーティングゴムの物性が損なわれない限り、種々のPK繊維の形状、配置、被覆形態等を有することができる。
(6)カーカスプライ
PK繊維と前記繊維を被覆しているコーティングゴムとからなる。かかるカーカスプライは、上述のゴム付き繊維材料からなることができる。カーカスプライは空気入りタイヤの所定位置に配置される。
上述のような非加硫のゴム組成物を用いる場合、カーカスプライ用のゴム付き繊維材料は、空気入りタイヤの所定位置において上述の被覆PK繊維を加硫することによって得ることができる。
カーカスプライは、上述のコーティングゴムの物性が損なわれない限り、種々のPK繊維の形状、配置、被覆形態等を有することができる。
(7)空気入りタイヤ
上述のベルト補強層又はカーカスプライを備える。ベルト補強層又はカーカスプライの配置等は、公知の空気入りタイヤのように種々に設定することができる。かかる空気入りタイヤには、乗用車用タイヤ、安全タイヤ、重荷重用タイヤ等の種々のタイヤが含まれる。
以下、本発明を、実施例に基づいて詳細に説明する。
(比較例1)
実施例1において、コード材質をナイロンに変え、コード構造を1400/2dtexに変え、HAFカーボンを40質量部から38質量部に変え、硫黄を2質量部から1.8質量部に変え、コーティングゴムのM100(室温)、M100(100℃)及び反発弾性率を、それぞれ2.0MPa、1.5MPa及び60%に変える以外は、実施例1と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(比較例2)
実施例2において、コード材質をナイロンに変え、コード構造を1400/2dtexに変える以外は、実施例2と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(比較例3)
実施例1において、HAFカーボンを40質量部から38質量部に変え、硫黄を2質量部から1.8質量部に変え、コーティングゴムのM100(室温)、M100(100℃)及び反発弾性率を、それぞれ2.0MPa、1.5MPa及び60%に変える以外は、実施例1と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(比較例4)
実施例2において、HAFカーボンを42質量部から44質量部に変え、コーティングゴムのM100(100℃)及び反発弾性率を、それぞれ2.2MPa及び55%に変える以外は、実施例2と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(比較例5)
実施例4において、HAFカーボンを48質量部から53質量部に変え、硫黄を2.7質量部から3質量部に変え、コーティングゴムのM100(室温)、M100(100℃)及び反発弾性率を、それぞれ6.0MPa、3.9MPa及び65%に変える以外は、実施例4と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(性能評価)
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られる各ゴム付き繊維材料をベルト補強層用として乗用車用タイヤに適用し、ベルト層端部迫出し量、及び高速耐久性を評価する。結果を表1に示す。
ベルト層端部迫出し量:
タイヤサイズ;195/65R14、タイヤ内圧:200kPa及びリムサイズ:6J−14を適用した試作タイヤを、150km/hの速度で走行させ、ショルダー領域の(高速変形)迫出し量を測定して求める。比較例1の迫出し量を指数100とし、迫出し量低減方向(良方向)で指数100以上になるように算出する。
高速耐久性:
上記と同様の試作タイヤを、150km/hの速度で30分間走行させ、故障が無ければ速度を6km/hずつ上げていき、故障が発生した時点で試験を打ち切る。比較例1の故障発生速度を指数100とし、耐久限界速度がアップする方向(良方向)で指数100以上になるように算出する。
表1に示すように、実施例1〜4のベルト補強層は、いずれも、乗用車用タイヤ(PSR)に適用する場合、比較例1〜5のものよりも著しく高い高速耐久性を提供する。
(比較例6)
実施例5において、コード材質をPETに変え、コード構造を1400/2dtexに変え、HAFカーボンを40質量部から38質量部に変え、硫黄を2質量部から1.8質量部に変え、コーティングゴムのM100(室温)、M100(100℃)及び反発弾性率を、それぞれ2.0MPa、1.5MPa及び60%に変える以外は、実施例5と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(比較例7)
比較例6において、コード材質をレーヨンに変え、コード構造を1670/2dtexに変える以外は、比較例6と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(比較例8)
実施例6において、コード材質をレーヨンに変え、コード構造を1400/2dtexに変える以外は、実施例6と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(比較例9)
比較例7において、コード材質をPK繊維に変える以外は、比較例7と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(比較例10)
実施例8において、HAFカーボンを48質量部から53質量部に変え、硫黄を2.7質量部から3質量部に変え、コーティングゴムのM100(室温)、M100(100℃)及び反発弾性率を、それぞれ6.0MPa、3.9MPa及び65%に変える以外は、実施例8と同様にしてゴム付き繊維材料を製造する。
(性能評価)
実施例5〜8及び比較例6〜10で得られる各ゴム付き繊維材料をカーカスプライ用として乗用車用タイヤに適用し、ビード部耐久ドラム試験(一例として、BFドラム)を用いて評価する。結果を表1に示す。各カーカスプライを、タイヤサイズ:195/65R14、タイヤ内圧:300kPa及びリムサイズ:6J−14の試作タイヤに通常のように適用し、規定荷重の200%の一定荷重をかけ、60km/hの一定速度で走行し、ライフをみる。比較例1のカーカスプライを備えるタイヤの迫出し量を指数100とし、ライフ(長い)方向で指数100以上になるよう算出する。
表2に示すように、実施例5〜8のカーカスプライは、いずれも、乗用車用タイヤ(PSR)に適用する場合、比較例6〜10のものよりも著しく高いビード耐久性を提供する。
Claims (7)
- 空気入りタイヤのカーカスプライに用いられるゴム付き繊維材料であって、
前記ゴム付き繊維材料が前記式(I)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの繊維と前記繊維を被覆しているコーティングゴムとからなり、前記コーティングゴムが、2.5MPa以上で、かつ5.5MPa以下の100%伸長時モジュラス(室温)を有することを特徴とするゴム付き繊維材料。 - 前記コーティングゴムが60%以上の反発弾性率を有する請求項2記載のゴム付き繊維材料。
- 前記式(I)中のAがエチレン基である請求項1〜3のいずれか一項記載のゴム付き繊維材料。
- ベルト補強層を備える空気入りタイヤであって、
前記ベルト補強層が前記式(I)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの繊維と前記繊維を被覆するコーティングゴムとからなり、前記コーティングゴムが、2.5MPa以上で、かつ5.5MPa以下の100%伸長時モジュラス(室温)を有しており、前記コーティングゴムが60%以上の反発弾性率を有することを特徴とする空気入りタイヤ。 - カーカスプライを備える空気入りタイヤであって、
前記カーカスプライが前記式(I)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの繊維と前記繊維を被覆するコーティングゴムとからなり、前記コーティングゴムが、2.5MPa以上で、かつ5.5MPa以下の100%伸長時モジュラス(室温)を有することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記空気入りタイヤが乗用車用タイヤである請求項5又は6記載の空気入りタイヤ。
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