JP4953639B2 - 高性能空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、カーカス層、前記カーカス層のタイヤ半径方向外側のベルト層及び前記ベルト層のタイヤ半径方向外側及びタイヤ半径方向内側の少なくとも1方の周方向に配列されたベルト補強層を具える空気入りタイヤに関する。
従来のタイヤにおいて、ベルト層の補強には、主に、ナイロン繊維(以下、単に「Ny」と称する。)やポリエチレンナフタレート繊維(以下、単に「PEN」と称する。)、ケブラー(商品名、アラミド繊維からなる、以下、単に「Kev」と称する。)等の繊維が用いられている。また、ポリケトン繊維をベルト補強層に適用した例がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−142025号公報
本発明者の研究によれば、これまで汎用されていたNyは、室温域では十分な周方向剛性を有していても、走行時にはタイヤ自体の発熱による温度環境変化によって弾性率が低下してしまい、充分な周方向剛性を維持することができない状況が存在するという知見が得られた。また、アラミド繊維やガラス繊維等の超高剛性繊維を使用した場合、室温域での周方向剛性が高くなり過ぎて、低速走行時の接地性を損なったり、乗り心地を悪化させたりする状況が存在した。
ポリケトン繊維(以下、単に「PK繊維」と称することがある。)は、近年、空気入りタイヤのコード繊維として期待されているが、走行性能の安定化に果たす役割等についての更なる検討が、未だに求められている。
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、タイヤの高速走行時の接地形状や接地圧分布の適正化を図り、グリップ力に優れ、コーナーリング限界点近傍でのタイヤの挙動が安定しており、旋回性能が優れた空気入りタイヤを得ることである。
本発明は、カーカス層、前記カーカス層のタイヤ半径方向外側のベルト層及び前記ベルト層のタイヤ半径方向外側及びタイヤ半径方向内側の少なくとも1方のタイヤ周方向に配列されたベルト補強層を具える空気入りタイヤであって、前記ベルト層がベルト層用コードから構成されており、前記ベルト層用コードがタイヤ幅方向に対して40度から80度の角度を持つように配列されており、前記ベルト層用コードが、スチールコード又は10g/d以上の強度を有する有機繊維コードからなり、前記ベルト補強層がベルト補強層用コードから構成されており、前記ベルト補強層用コードが、1000〜20000の総デシテックス/本の繊度のマルチフィラメント撚りのポリケトンの繊維からなり、前記ポリケトン繊維が、次の式1及び式2:
σ≧−0.01E+1.2 ・・・(式1)
σ>0.4 ・・・・・・・・・・(式2)
(式中、σは177℃の温度での熱収縮応力であり、及びEは25℃の温度での49N時弾性率である。)
を同時に満たす熱収縮特性を有することを特徴とする空気入りタイヤに係るものである。
本発明は、特定の熱収縮応力、弾性率のポリケトン繊維を、タイヤのベルト補強層用コードに適用することで、接地性や高速耐久性を著しく向上させることができるという知見に基づく。
本発明によれば、所定の熱収縮応力、弾性率のPK繊維がタイヤのベルト補強層に用いられており、タイヤの周方向剛性が広い速度域で安定して保たれ、優れた接地性や高速耐久性を得ることができる。
(1)(空気入りタイヤ)
空気入りタイヤは、カーカス層と、カーカス層のタイヤ半径方向外側のベルト層と、ベルト層のタイヤ半径方向外側及びタイヤ半径方向内側の少なくとも1方の周方向に配列されたベルト補強層とを具える。空気入りタイヤには、乗用車用タイヤが含まれ、高性能タイヤ、特に、レース用タイヤ等の超高性能ラジアルタイヤが含まれる。
(1-1)(カーカス層)
カーカス層は、少なくとも1層のカーカスプライからなることができる。カーカスプライは、特に制限されることなく、種々の材質及び形状等からなることができる。
(1-2)(ベルト層)
ベルト層はカーカス層のタイヤ半径方向外側に配置される。ベルト層は少なくとも1層のベルトプライからなることができる。ベルト層はベルト層用コードから構成される。ベルト層用コードは、タイヤ幅方向に対して40度から80度の角度を持つように配列される。ベルト層用コードは、スチールコード又は10g/d以上の強度を有する有機繊維コードからなる。
ベルト層は、ベルト層用コードとしてスチールコード(1×5×0.25mm)を用い、打込み80本/10cm、角度70°で得ることができ、また、ベルト層用コードとしてアラミド繊維「Kev」(繊度:1670dtex/2、撚り数:35×35)を用い、打込み100本/10cm、角度70°で得ることができる。
(2)(ベルト補強層)
ベルト補強層はベルト層のタイヤ半径方向外側及びタイヤ半径方向内側の少なくとも1方のタイヤ周方向に配列される。ベルト補強層は、ベルト層のショルダー層として、少なくともベルト層の端部に隣接して配列させることができ、また、ベルト層のキャップ層として、ベルト層のタイヤ幅方向の全体にわたって配列させることができる。ベルト補強層はベルト補強層用コードから構成される。ベルト補強層は少なくとも1層のベルト補強プライからなることができる。
(2-1)(ベルト補強層用コード)
ベルト補強層用コードは、1000〜20000の総デシテックス/本の繊度のマルチフィラメント撚りのポリケトン繊維からなる。
(2-2)(ポリケトン繊維)
ポリケトンは、分子中にCO単位(カルボニル基)と不飽和化合物由来の単位とが配列された交互共重合体、即ち、高分子鎖中で各CO単位の隣に、例えば、エチレン単位等のオレフィン単位が一つずつ位置する構造を持つ物質である。また、ポリケトンは、一酸化炭素と特定の不飽和化合物一種との共重合体であってもよく、一酸化炭素と不飽和化合物二種以上との共重合体であってもよい。
ポリケトンは、下記一般式(I):
Figure 0004953639

[式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい]で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンの繊維でよい。
原料のポリケトンとしては、上記式(I)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンが好ましい。また、該ポリケトンの中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1-オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
上記ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基が交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(I)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン,ブテン,ペンテン,シクロペンテン,ヘキセン,シクロヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン,アセチレン,アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,アクリルアミド,ヒドロキシエチルメタクリレート,ウンデセン酸,ウンデセノール,6-クロロヘキセン,N-ビニルピロリドン,スルニルホスホン酸のジエチルエステル,スチレンスルホン酸ナトリウム,アリルスルホン酸ナトリウム,ビニルピロリドン及び塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
更に、上記ポリケトンの重合度としては、下記式:
Figure 0004953639

[式中、t及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり;Cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である]で定義される極限粘度[η]が1〜20dL/gの範囲にあることが好ましく、2〜10dL/gの範囲にあることが更に好ましく、3〜8の範囲にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時及び延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間及びコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性及び物性に悪影響が出ることがある。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度及び倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)又は(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載のようなヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載のような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n-ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、更に脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩又はハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、更に、該未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。該熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲が好ましく、総延伸倍率は、10倍以上であることが好ましい。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。ここで、熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留が大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
(2-3)(繊度)
ベルト補強層用コードは、1000〜20000の総デシテックス/本の繊度のポリケトン繊維コードからなる。総デシテックスが1000未満では、必要な周方向剛性が不足し、期待した耐久性向上効果が得られず、また、20000を超えると、必要以上にコード径が大きくなるため、被覆するためのゴム量が増えることによって、タイヤ重量が増加し、及び接地性、高速性、耐久レベルの悪化を招く。
(2-4)(マルチフィラメント撚り)
ベルト補強層用コードは、フィラメントを撚り合わせてなるマルチフィラメント撚りのポリケトン繊維コードからなる。
(2-5)(熱収縮特性)
上記ポリケトン繊維は、次の式1及び2:
σ≧−0.01E+1.2 ・・・(式1)
σ>0.4 ・・・・・・・・・・(式2)
(式中、σは177℃の温度での熱収縮応力であり、及びEは25℃の温度での49N時弾性率である。)
を同時に満たす熱収縮特性を有する。
σ≧−0.01E+1.2の範囲であれば、弾性率Eが小さくてもタイヤ中でコードが縮もうとする応力(残留応力)があるので、高弾性によるベルト補強ができ、接地性を確保することができる。また、σは少なくとも0.4超でないと、タイヤ製造時にコードのたるみや、座屈が発生し易くなるために、高弾性による接地性向上効果が得られなくなる。また、σ≦0.4の材質のものを製造方法の工夫によりきつく巻きつけると、室温時の剛性が高くなり過ぎて、低速走行時の接地性が失われる結果となる。ここで、NyやPENはσ<−0.01E+1.2であり、Kevはσ≦0.4である。このようなコード物性は、アラミド繊維は高弾性だが、σがほぼ0で、必要性能を満たせず、また、NyやPENといったコードでは、弾性率が十分に高くなく、妥当な物性を得られるコードとしてPK繊維が考えられた。
前記熱収縮特性は可逆性を示すことができる。可逆性は、前記熱収縮特性によって、前記ポリケトン繊維が、高温下で収縮し、室温へ戻すと伸張することを意味する。また、具体的な数値として、温度と対応した熱収縮特性を規定することができる。例えば、通常走行時と高速走行時での効果を両立させるためには、20℃と177℃での熱収縮応力の差を0.2cN/dtex以上、好ましくは0.25cN/dtex以上有する可逆的な有機繊維コードを用いることで、本効果を両立させることができる。
好ましくは、熱収縮応力σは上限値として1.5≧σを有する。σが1.5より大きくると、加硫時の収縮力が大きくなり過ぎ、結果的にタイヤ内部のコード乱れやゴムの配置乱れを引き起こし、耐久性悪化やユニフォミティー悪化を招くおそれがあるさらに、σは0.4超〜1.30cN/dtexが好ましく、0.4超〜0.90cN/dtexがより一層好ましい。上限値1.30又は0.90cN/dtexを超えると、タイヤ加硫時にベルトコードと接触し易くなり、耐久性の低下につながる。また、下限値0.4cN/dtex以下では、高速時のせり出し抑制効果が不十分になり易い。さらに、弾性率Eは、60cN/dtex以上が好ましく、100cN/dtex以上がより一層好ましい。下限値60又は100cN/dtex未満では、高速時のせり出し抑制効果が不十分になり易い。
(2-6)(補強層用コードの構造等)
補強層用コードの構造、撚り数等や、ベルト補強層中のコードの充填率、コードのタイヤ周方向に対する傾斜の角度、ベルト補強層のタイヤ幅方向での幅等は、特に制限されず、種々に設定することができる。代表的に、コード構造は1670d/2であり、撚り数は20×20や30×30等である。
(3)(コードの被覆)
カーカス層、ベルト層及びベルト補強層は、複数本のコードとこれらのコードを被覆する被覆ゴムとからなることができる。被覆ゴムは、例えば、公知の方法に従い、種々のゴム組成物による浸漬、塗布、貼り合わせ等によってコードを予め処理することで得ることができる。
カーカス層、ベルト層及びベルト補強層は、通常、コードをゴム組成物で被覆し、シート状のゴム付き樹脂部材とした後、これを未加硫のタイヤの所定位置に配置して、タイヤの加硫と共に加工される。
図面を参照して、本発明を説明する。
図1は本発明の1例の空気入りタイヤの断面図である。
図1に示すように、空気入りタイヤ1は、一対のビードコア(図1は一方のビードコア2のみ図示する。)と、一方のビードコア2から他方のビードコアに亘ってトロイド状に延びるカーカス層3とを有する。カーカス層3は、図1に示すように、少なくとも1枚のカーカスプライ3Aから構成することができる。
カーカス層のタイヤ半径方向外側には、トレッドパターンの形成されたトップトレッド層が配設される。カーカス層とトップトレッド層との間には、ベルト層4が配置される。ベルト層4は、少なくとも1枚、本例では、2枚のベルトプライ4A,4Bからなることができる。ベルトプライ4A,4B内には、タイヤ周方向に対して所定の角度で傾斜した多数本のコードが埋設されると共に、これらのコードは隣接するベルトプライのものに対して互いに交差することができる。
ベルトプライ4A,4Bの端部では、それらの近傍に隣接して、本例では、それらのタイヤ半径方向外側に、ベルトプライ4A,4Bを覆うように、ベルト補強層5を配置することができる。ベルト補強層5は、少なくとも1枚、本例では、2枚のベルト補強プライ5A,5Bからなることができ、各ベルト補強プライ5A,5Bは、それぞれ、キャップ層及びショルダー層と称される。ベルト補強層5は所定のポリケトン繊維コードから構成される。
本発明によれば、周方向補強部材に所定のポリケトン繊維を適用することで、通常走行時の温度下では、過度な剛性を発揮することがなく、これによって、直進時、旋回時の接地性を良好に保つことができ、また、高速走行時においては、高い熱収縮応力の発生により、周方向剛性を低下させることがなく、これによって、直進時や旋回時の接地形状や接地圧分布を均一に保つことができる。また、本発明によれば、このような結果として、高速下でのスタンディングウェーブの発生を抑制することができ、耐久性能の大幅アップも達成される。
本発明を、図面を参照して、実施例及び比較例に基づき説明する。
(実施例〜8、参考例1及び2
図1に示すような構造のタイヤを、ポリケトン繊維コードから構成するベルト補強層を用いて試作する。ポリケトンは、式(I)で表される繰り返し単位からなり、繰り返し単位の97モル%以上が1-オキソトリメチレンである。
ベルト補強層としては、図1に示すように、ベルト層のほぼ全面を覆うキャップ層とベルト層の端部近傍に隣接するショルダー層とを設ける。タイヤはPSR 215/45R17のサイズである。ベルト補強層下側のベルト層用のコード材料の違いから、2種類の構造のタイヤ〔タイヤ構造1:ベルトコード(1×5×0.25mmスチールコード、打込み80本/10cm、角度70°)及びタイヤ構造2:ベルトコード(アラミド「Kev」1670dtex/2、35×35、打込み100本/10cm、角度70°)〕を用いる。
表1に示すように、実施例〜8、参考例1及び2のすべてにおいて、ポリケトン繊維コードからなるベルト補強層を用い、実施例3、5及び参考例1ではタイヤ構造1を、実施例4、6及び参考例2ではタイヤ構造2を採用する。ベルト補強層用コードの構造及び総デシテックスは、すべての実施例で、それぞれ、1670/2及び3340であり、撚り数は、参考例1及び2では20×20を、実施例3及び4では30×30を、実施例5及び6では40×40を、実施例7及び8では50×50を用いる。ベルト補強層用コードの弾性率E及び熱収縮応力σは、それぞれ、参考例1及び2では160及び0.27、実施例3及び4では145及び0.53、実施例5及び6では126及び0.68、実施例7及び8では111及び0.60である。
ベルト補強層用コードの物性は次の測定法に基づく。
弾性率E:25℃、49N時(49N荷重時)弾性率をEとして用いる。JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線より単位cN/dtexを算出する。
熱収縮応力:177℃時の熱収縮応力をσとして用いる。一般的なDip処理を施した加硫前のポリケトン繊維コードの25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱し、177℃時に発生する応力を測定する。
(比較例1〜4)
実施例において、ポリケトン繊維に代えてNy又はアラミド繊維を用いる以外は、実施例と同様にしてタイヤを作製する。比較例1は、Ny、タイヤ構造1、1400/2のコード構造、2800の総デシテックス、30×30の撚り数、37の弾性率、及び0.17の熱収縮応力のものである。比較例2は、タイヤ構造2を採用する以外は、比較例1と同様である。比較例3は、アラミド繊維を用い、160の弾性率及び0.00の熱収縮応力のものである以外は、比較例1と同様である。比較例4は、タイヤ構造2を採用する以外は、比較例3と同様である。
実施例〜8、参考例1及び2の高性能ラジアルタイヤ並びに比較例1〜4のタイヤについて、それらの性能を測定する。結果を表1に示す。性能評価は以下の基準にて行う。なお、いずれの評価でも、比較例1のものを100として、その指数で表す。指数が高いものほど性能が優れることを示す。
低速時操縦性能:速度60km/h以下での直進安定性、コーナーリング性能を評価する。なお、タイヤサイズはPSR 215/45R17であり、内圧は240kPaである。
高速時操縦性能:速度100km/h以上での直進安定性、コーナーリング性能を評価する。
高速耐久性能:タイヤサイズPSR 215/45R17、内圧240kPa、荷重545kgw、ドラムのスピードをステップ状にアップさせ、故障発生時点での速度で比較する。
Figure 0004953639
表1に示すように、実施例〜8のタイヤは、いずれも、比較例1〜4のタイヤに比べて、低速時の操縦性能に優れ、低速時の操縦性能を損なうことなく、高速時の操縦性能にも優れており、高速耐久性においても著しい性能を発揮する。
以上の通り、本発明は、タイヤの周方向補強部材にPK繊維を適用することによって、超高性能タイヤの製造を可能とするもので、かかるタイヤは、周方向剛性を広い速度域で安定して保ちながら、優れた接地性と高速耐久性との両立が可能である。
本発明の1例の空気入りタイヤの断面図である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
2 ビードコア
3 カーカス層
4 ベルト層
5 ベルト補強層

Claims (4)

  1. カーカス層、前記カーカス層のタイヤ半径方向外側のベルト層及び前記ベルト層のタイヤ半径方向外側及びタイヤ半径方向内側の少なくとも1方のタイヤ周方向に配列されたベルト補強層を具える空気入りタイヤであって、
    前記ベルト層がベルト層用コードから構成されており、前記ベルト層用コードがタイヤ幅方向に対して40度から80度の角度を持つように配列されており、前記ベルト層用コードが、スチールコード又は10g/d以上の強度を有する有機繊維コードからなり、前記ベルト補強層がベルト補強層用コードから構成されており、前記ベルト補強層用コードが、1000〜20000の総デシテックス/本の繊度のマルチフィラメント撚りのポリケトンの繊維からなり、前記ポリケトン繊維が、次の式1及び式2:
    σ≧−0.01E+1.2 ・・・(式1)
    σ>0.4 ・・・・・・・・・・(式2)
    (式中、σは177℃の温度での熱収縮応力であり、及びEは25℃の温度での49N時弾性率である。)
    を同時に満たす熱収縮特性を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記熱収縮特性が可逆性を示し、前記熱収縮特性によって、前記ポリケトン繊維が、高温下で収縮し、室温へ戻すと伸張する、請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ポリケトンが、下記一般式(I):
    Figure 0004953639
    [式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい]で表される繰り返し単位から実質的になる、請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ポリケトン繊維の不飽和化合物由来の部分が、エチレン基である、請求項1〜3のいずれか一項空気入りタイヤ。
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