JP4734028B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤ、特に通常内圧走行時の乗り心地性とランフラット耐久性に優れた空気入りタイヤに関するものである。
従来、パンク等によりタイヤの内圧が低下した状態でも、ある程度の距離を安全に走行することが可能なタイヤ、いわゆるランフラットタイヤの1つとして、タイヤのサイドウォール部のカーカスの最内側面に断面三日月状のサイド補強ゴム層を配置したランフラットタイヤが知られている。また、上記構造を有するランフラットタイヤにおいて、ランフラット走行時のサイドウォールの撓みを減少させ、耐久性を向上させるために、上記ランフラットタイヤのサイド補強ゴム層の幅方向外側に、スチールコードやアラミドコードを含むコード補強層を配置したランフラットタイヤも知られている(特許文献1)。
しかしながら、アラミドコード補強層を設けたタイヤでは、ランフラット耐久向上効果が小さいという問題がある。一方で、スチールコード補強層を設けたタイヤでは、ランフラット耐久性は向上するものの、通常内圧時の縦ばねが大きくなるため、乗り心地性が悪化するという問題がある。
特開平8−216634号公報
そこで、本発明はこれら従来技術の問題を解決し、通常内圧走行時の乗り心地性を維持したまま、ランフラット耐久性に優れた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、コード補強層として、25℃の49N弾性率E(cN/dtex)と177℃熱収縮応力σ(cN/dtex)が特定の関係式を満たすポリケトン繊維コードを使用することで、ランフラット耐久性と通常内圧走行時の乗り心地性が優れたタイヤを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、1対のビード部と、1対のサイドウォール部とを有し、該1対のビード部間にトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、各ビードコアのタイヤ半径方向外側に配置されたビードフィラーと、該サイドウォール部の該カーカスの内側に配置した1対のサイド補強ゴム層と、該サイド補強ゴム層の幅方向外側に、かつ該ビード部のリムフランジからの離反点からタイヤ軸方向と平行に引いた延長線上の任意の点から半径方向内外に10mmの範囲に配置されているコード補強層を備える空気入りタイヤにおいて、
前記ラジアルカーカスは、前記各ビード部の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻き上げた折り返し部を有し、
前記コード補強層は、前記ビードフィラーの幅方向外側であって、前記折り返し部の幅方向外側又は内側に、前記折り返し部に沿って延在し、
前記コード補強層を構成する補強コードが、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、該ポリケトン繊維コードが下記式(I)及び(II):
σ≧−0.01E+1.2 ・・・(I)
σ≧0.3 ・・・(II)
[式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たすことを特徴とする。
ここで、上記ポリケトン繊維からなるコードの177℃における熱収縮応力σは、25cmの長さサンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃で測定した時にコードに発生する応力であり、また、上記ポリケトン繊維コードの25℃における49N荷重時の弾性率Eは、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線から算出した単位cN/dtexでの弾性率である。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ポリケトンが、下記一般式(III):
Figure 0004734028

(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記一般式(III)中のAがエチレン基であることを特徴とする。
本発明によれば、空気入りタイヤにおいて、特定の熱収縮応力と弾性率を有するポリケトン繊維コードを含むコード補強層を、サイド補強ゴム層の幅方向外側に、かつ少なくともリムフランジとの接触点を含む範囲に配置することにより、通常内圧走行時の乗り心地性とランフラット耐久性に優れた空気入りタイヤを提供することができるという有利な効果を奏する。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す幅方向断面図であり、図2及び図3は、本発明の空気入りタイヤの変形例及び参考例の空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。
図1に示すタイヤは、左右1対のビード部1と、1対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、該ビード部1内に夫々埋設した1対のビードコア4間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する少なくとも1枚のカーカスプライからなるラジアルカーカス5と、各ビードコア4のタイヤ半径方向外側に配置されたビードフィラー6と、該サイドウォール部2の該ラジアルカーカス5の内側に配置された1対の断面三日月状サイド補強ゴム層7と、該サイド補強ゴム層7の幅方向外側に、かつ該ビード部1のリムフランジ8からの離反点Aからタイヤ軸方向と平行に引いた延長線L上の任意の点を含む領域に延在するコード補強層9とを備える。
図示例のラジアルカーカス5は、1枚のカーカスプライから構成され、また、一対のビードコア4間にトロイド状に延在する本体部5aと、各ビードコア4の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻き上げた折り返し部5bとからなるが、本発明の空気入りタイヤにおいて、ラジアルカーカス5のプライ数および構造はこれらに限られるものではない。
また、図示例のタイヤにおいては、上記ラジアルカーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に2枚のベルト層からなるベルト10が配置されていることに加え、該ベルト10のタイヤ半径方向外側でベルト10の全体を覆うようにベルト補強層11Aが配置され、更に、該ベルト補強層11Aの両端部のみを覆うように1対のベルト補強層11Bが配置されている。ここで、ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト10を構成する。また、ベルト補強層11A、11Bは、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。なお、図示例のベルト10は、2枚のベルト層からなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト10を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。また更に、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト補強層11A、11Bの配設も必須ではなく、別の構造のベルト補強層を配設することもできる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、上記のように、コード補強層9が、サイド補強ゴム層7の幅方向外側に、かつ該ビード部1のリムフランジ8からの離反点Aからタイヤ軸方向と平行に引いた延長線L上の任意の点を含む領域に延在することを特徴とする。このようにコード補強層9を配置することによって、ランフラット走行時のサイドウォール部2の撓みを減少させると同時に、リムフランジ8からの突き上げによるビード部1のせん断変形を抑制することができる。なお、タイヤサイズ、使用リムによる離反点Aのタイヤ径方向位置のバラツキの観点から、タイヤ径方向においてタイヤ幅が最大となる位置から径方向内側に約10mmの位置から、ビードコア5上端から径方向外側に約3mmの位置までの範囲に、コード補強層9を配置する特に、乗り心地性悪化を最小限にし、充分なランフラット耐久性向上効果を得るという観点から、上記コード補強層9を、前記延長線Lから径方向内外に10mmの範囲に配置する
更に、図1に示すタイヤにおいては、コード補強層9が、ラジアルカーカス折り返し部5bの幅方向外側に、該ラジアルカーカス折り返し部5bに沿って配置されているが、本発明の空気入りタイヤは、コード補強層9がサイド補強ゴム層7の幅方向外側に、かつ前記延長線L上の任意の点を含む領域に延在する限り特に制限されるものではない。
例えば、本発明の空気入りタイヤの変形例としては、図2に示すように、コード補強層9がラジアルカーカス折り返し部5bの幅方向内側に、すなわち、ラジアルカーカス折り返し部5bとビードフィラー6との間に、該ラジアルカーカス折り返し部5bに沿って配置された態様、図3に示すように、コード補強層9がラジアルカーカス本体部5aの幅方向外側に、すなわち、ラジアルカーカス本体部5aとビードフィラー6との間に、該ラジアルカーカス本体部5aに沿って配置された態様が挙げられる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、上記コード補強層9を構成する補強コードは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、該ポリケトン繊維コードが下記式(I)及び(II):
σ≧−0.01E+1.2 ・・・(I)
σ≧0.3 ・・・(II)
(式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である)を満たすことを要する。
上記ポリケトン繊維コードは、高温における熱収縮応力が大きいため、タイヤが高温になるランフラット走行時において、コード補強層中のポリケトン繊維コードが収縮しようとして剛性が高まり、リムフランジからの突き上げによるビード部のせん断変形を抑制し、その結果として、タイヤのランフラット耐久性を向上させることができる。一方、上記ポリケトン繊維コードは、低温下、すなわち、通常内圧走行時にコード補強層中のポリケトン繊維コードが伸張しようとして剛性が低下するため、通常内圧走行時のタイヤの縦ばねを上昇させることがない。
なお、使用するコードが、上記式(I)の関係を満たさない場合、熱収縮応力σが大きいものの弾性率Eが低いコードを使用すると、ランフラット走行時のリムフランジからの突き上げによるビード部のせん断変形を充分に抑制することができず、タイヤのランフラット耐久性向上効果が低くなり、一方、弾性率Eが高いものの熱収縮応力σが小さいコードを使用すると、通常内圧走行時のタイヤの縦ばねが大きくなり、通常内圧走行時のタイヤの乗り心地が悪化する。また、使用するコードの177℃における熱収縮応力σが0.02cN/dtex未満では、ランフラット走行時のリムフランジからの突き上げによるビード部のせん断変形量が大きくなってしまい、ランフラット耐久性向上効果が低くなってしまう。なお、ランフラット走行時のリムフランジからの突き上げによるビード部のせん断変形をさらに抑制するという観点から、上記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σ(cN/dtex)は0.3以上である
本発明の空気入りタイヤのコード補強層を構成するコードは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードからなることを要し、該ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンとしては、上記式(III)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンが好ましい。また、該ポリケトンの中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1-オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
上記ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基が交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記一般式(III)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン,ブテン,ペンテン,シクロペンテン,ヘキセン,シクロヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン,アセチレン,アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,アクリルアミド,ヒドロキシエチルメタクリレート,ウンデセン酸,ウンデセノール,6-クロロヘキセン,N-ビニルピロリドン,スルニルホスホン酸のジエチルエステル,スチレンスルホン酸ナトリウム,アリルスルホン酸ナトリウム,ビニルピロリドン及び塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
更に、上記ポリケトンの重合度としては、下記式:
Figure 0004734028

(式中、t及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり;Cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が1〜20dL/gの範囲にあることが好ましく、2〜10dL/gの範囲にあることが更に好ましく、3〜8の範囲にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時及び延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間及びコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性及び物性に悪影響が出ることがある。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度及び倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)又は(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載のようなヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載のような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n-ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、更に脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩又はハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、更に、該未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。該熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲が好ましく、総延伸倍率は、10倍以上であることが好ましい。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。ここで、熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留が大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
上記ポリケトン繊維コードは、上記ポリケトンからなるフィラメント束を複数本、好ましくは2本又は3本撚り合わせてなり、例えば、上記ポリケトンからなるフィラメント束に下撚りをかけ、次いで、これを複数本合わせて、逆方向に上撚りをかけることで、双撚り構造の撚糸コードとして得ることができる。
上記のようにして得られたポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆することによって、上記コード補強層に用いるコード/ゴム複合体を得ることができる。ここで、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムとしては特に制限はなく、従来のコード補強層に用いていたコーティングゴムを用いることができる。なお、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムによる被覆に先立って、ポリケトン繊維コードに接着剤処理を施し、コーティングゴムとの接着性を向上させてもよい。
本発明の空気入りタイヤは、コード補強層9に、上述のポリケトン繊維コードを、タイヤ径方向に対し好ましくは30〜70°の傾斜角度で配置し、コーティングゴムで被覆してなるコード/ゴム複合体を適用し、常法により製造することができる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を変えた空気、もしくは窒素等の不活性ガスを用いることができる。
上述したように、コード補強層9を構成するポリケトン繊維コードが有する熱収縮の特性がより発揮されることから、コード補強層9を、リムフランジ8により近い側、すなわち、図1又は図2に示すように、カーカス折り返し部4bの幅方向外側又は幅方向内側にそれぞれ折り返し部に沿って配置することが好ましく、中でも、コード補強層9をカーカス折り返し部4bの幅方向外側に該折り返し部に沿って配置することがより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す構造、弾性率及び熱収縮応力のポリケトン繊維コードを、表1に示す打ち込み数で平行に配列しコーティングゴムで被覆してコード/ゴム複合体を作製し、該コード/ゴム複合体をコード補強層に用いて、図1に示す構造のサイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。なお、本実施例のランフラットタイヤでは、コード補強層を、コード補強層の上下端が、それぞれ延長線Lから径方向内外に10mmの位置に来るように配置した。また、本実施例で用いたポリケトン繊維コードは、上記式(I)及び(II)を満たし、ほぼ100%が式(III)で表される繰り返し単位からなり、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンからなる。
(実施例2、参考例
コード補強層を、実施例2では図2に示す位置に配置し、参考例では図3に示す位置に配置した以外は実施例1と同様にして、サイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。
(比較例1)
コントロールとして、コード補強層を設けないこと以外は実施例1と同様にして、サイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。
(比較例2)
コード補強層を構成する補強コードとして、表1に示す構造のスチールコードを用いた以外は実施例1と同様にして、サイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。
(比較例3)
コード補強層を構成する補強コードとして、表1に示す構造、弾性率及び熱収縮応力のアラミド繊維コードを用いた以外は実施例1と同様にして、サイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。
(比較例4)
コード補強層を構成する補強コードとして、表1に示す構造、弾性率及び熱収縮応力のポリケトン繊維コードを用いた以外は実施例1と同様にして、サイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。
なお、比較例4で用いたポリケトン繊維コードは、上記式(I)及び(II)を満たしていないポリケトン繊維コードであって、式(III)で表される繰り返し単位からなり、Aが主としてエチレン基であるポリケトン(プロピレン約6%含有)からなる。
(性能評価)
実施例1及び2、参考例、比較例1〜4のタイヤの縦ばね及びランフラット耐久性を下記の方法で評価し、表1に示す結果を得た。
(1)縦ばね
230kPaの内圧を充填した供試タイヤの荷重−撓み曲線を測定し、得られた荷重−撓み曲線上のある荷重における接線の傾きを該荷重に対する縦ばね定数とし、比較例1のタイヤの縦ばね定数の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、縦ばね定数が大きいことを示す。
(2)ランフラット耐久性
供試タイヤに内圧を充填することなく、荷重5.15kN、速度90km/h、温度38℃の環境下でドラム試験を行い、タイヤが故障に至るまでの走行距離を測定し、比較例1のタイヤの故障に至るまでの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きい程、故障に至るまでの走行距離が長く、ランフラット耐久性に優れることを示す。
Figure 0004734028
表1から、上記式(I)及び(II)を満たすポリケトン繊維コードをコード補強層に適用した実施例のタイヤでは、縦ばね、すなわち通常走行時の乗り心地がコード補強層を設けていない比較例1とほぼ同程度に維持され、ランフラット耐久性が比較例1よりも向上していた。特に、コード補強層がカーカス折り返し部の幅方向外側に配置された実施例1と、コード補強層がビードフィラーとカーカス折り返し部との間に配置された実施例2では、比較例1に比べてランフラット耐久性が大幅に向上した。最もランフラット耐久性が向上したタイヤは、実施例1のタイヤであった。
一方、スチールコードを用いた比較例2のタイヤでは、比較例1よりもランフラット耐久性が向上したが、縦ばねの上昇が見られ、乗り心地が悪化していた。アラミド繊維コードを用いた比較例3のタイヤでは、ランフラット耐久性が、同じタイヤ構造を有する実施例1ほどは向上せず、縦ばねの上昇も少し見られた。
更に、上記式(I)及び(II)を満たさないポリケトン繊維コードを用いた比較例4のタイヤでは、縦ばねは、比較例1と同程度に維持されていたが、ランフラット耐久性が実施例1ほど向上しなかった。
本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す幅方向断面図である。 本発明の空気入りタイヤの変形例を示す幅方向断面図である。 参考例の空気入りタイヤ示す幅方向断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 ラジアルカーカス
5a ラジアルカーカス本体部
5b ラジアルカーカス折り返し部
6 ビードフィラー
7 サイド補強ゴム層
8 リムフランジ
9 コード補強層
10 ベルト
11A、11B ベルト補強層
A ビード部のリムフランジからの離反点
L Aからタイヤ軸方向と平行に引いた延長線

Claims (3)

  1. 1対のビード部と、1対のサイドウォール部とを有し、該1対のビード部間にトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、各ビードコアのタイヤ半径方向外側に配置されたビードフィラーと、該サイドウォール部の該カーカスの内側に配置した1対のサイド補強ゴム層と、該サイド補強ゴム層の幅方向外側に、かつ該ビード部のリムフランジからの離反点からタイヤ軸方向と平行に引いた延長線上の任意の点から半径方向内外に10mmの範囲に配置されているコード補強層を備える空気入りタイヤにおいて、
    前記ラジアルカーカスは、前記各ビード部の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻き上げた折り返し部を有し、
    前記コード補強層は、前記ビードフィラーの幅方向外側であって、前記折り返し部の幅方向外側又は内側に、前記折り返し部に沿って延在し、
    前記コード補強層を構成する補強コードが、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、該ポリケトン繊維コードが下記式(I)及び(II):
    σ≧−0.01E+1.2 ・・・(I)
    σ≧0.3 ・・・(II)
    [式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ポリケトンが、下記一般式(III):
    Figure 0004734028
    (式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になることを特徴とする請求項に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記一般式(III)中のAがエチレン基であることを特徴とする請求項記載の空気入りタイヤ。
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