JP2009190726A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストの増加やタイヤ重量の増加などの他の問題を生ずることなく、優れた高速耐久性を備える空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】ビードコア1と、クラウン部12から両サイドウォール部13を経て両ビード部11に延びビードコア1に係留された、ラジアルコード層よりなるカーカスプライ2と、そのクラウン部ラジアル方向外側に配置されたベルト3と、その外側に略タイヤ赤道方向に配置されたベルト補強層4と、その外側に配置されたトレッド5と、を備える空気入りラジアルタイヤ10である。ベルト補強層4を形成する繊維コードが、コード直径0.3mm以上0.7mm以下の、PK繊維を少なくとも90質量%以上含む片撚りコードであって、ディップ処理済みコードとしての最大熱収縮応力が15N/本以下であり、かつ、ベルト補強層4を形成する繊維コードと隣接する繊維コードとの間の間隙が、0.5mm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、ベルト補強層に用いる補強コードの改良に係る空気入りラジアルタイヤに関する。
一般に、高速走行用の空気入りラジアルタイヤでは、ベルト層のタイヤ半径方向外側に、ベルト層の少なくとも両端部を覆うベルト補強層が配置されている。このベルト補強層は、高速回転時の遠心力により生じるベルト層両端部のせり上がりをタガ効果によって抑制することで、タイヤの高速耐久性を高める効果を奏する。
このベルト補強層を構成するコードには、従来、下撚りを施した有機繊維の素線の束(所謂ストランド)の複数本を、さらに上撚りによって撚り合わせた双撚り構造の有機繊維コードが主として使用されている。また、製造コストやタイヤ重量の低減を目的として、1本のストランドのみからなる片撚り構造のコードを使用することも提案されている(例えば、特許文献1,2等)。
特公昭59−1601号公報 特開2002−154304号公報
従来、上記ベルト補強層のコード材質としては、ナイロン等の低弾性率の有機繊維が主に用いられている。しかしながら、かかる低弾性率の有機繊維コードでは、近年の偏平化・大型化が進んだタイヤにおいては十分な高速耐久性を得ることができない場合があるという問題があった。
また、一方では、高い弾性率を有するポリケトン繊維をベルト補強層コードとして用いて、偏平化・大型化されたタイヤの高速耐久性を向上させることが提案されている。しかし、このような高弾性率コードでは、タイヤ製造時において、ベルト補強層コードと、そのタイヤ半径方向内側に配設されたベルト層コードとの間に十分な間隙を確保することが難しい。そのため、十分な高速耐久性を確保するためには、ベルト層とベルト補強層との間にゴムストリップを挿入するなどの手法が必要となり、製造コストの増加やタイヤ重量の増加につながるという問題があった。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、製造コストの増加やタイヤ重量の増加などの他の問題を生ずることなく、優れた高速耐久性を備える空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、ベルト補強層に用いるコードとして、所定の片撚りポリケトン繊維コードを用いることで、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビード部に夫々設けられたビードコアと、クラウン部から両サイドウォール部を経て両ビード部に延び該ビードコアに係留された、ラジアルコード層よりなるカーカスプライと、該カーカスプライのクラウン部ラジアル方向外側に配置されたベルトと、該ベルトの外側に略タイヤ赤道方向に配置されたベルト補強層と、該ベルト補強層の外側に配置されたトレッドと、を備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルト補強層を形成する繊維コードが、コード直径0.3mm以上0.7mm以下の、ポリケトン繊維を少なくとも90質量%以上含む片撚りコードであって、ディップ処理済みコードとしての最大熱収縮応力が15N/本以下であり、かつ、該ベルト補強層を形成する繊維コードと隣接する繊維コードとの間の間隙が、0.5mm以下であることを特徴とするものである。
本発明においては、前記ベルト補強層を形成する繊維コードの、ディップ処理済みコードとしての177℃×30分乾熱処理時熱収縮率が、0.6%以上2%未満であることが好ましい。また、前記ベルト補強層を形成する繊維コードの総繊度が800dtex以上3400dtex以下であることが好ましく、前記ベルト補強層を形成する繊維コードの撚り数が120回/1m以上480回/1m以下であることも好ましい。さらに、前記ベルト補強層を形成する繊維コードと隣接する繊維コードとの間の間隙は、好適には0.35mm以下である。さらにまた、本発明においては、前記ベルト補強層を形成する繊維コードと前記ベルトとの間に、厚さ0.2mm以上、幅10mm以上のゴムシートが挿入されていることが好ましい。
ここで、コードの最大熱収縮応力とは、一般的なディップ処理を施した加硫前のベルト補強コードの、25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する最大応力(単位:N/本)である。また、乾熱処理時熱収縮率とは、同様のディップ処理済みコードに対しオーブン中で177℃、30分の乾熱処理を行ない、熱処理前後のコード長を、50gの荷重をかけて計測して下式により求められる値である。
乾熱処理時熱収縮率(%)={(Lb−La)/Lb}×100
但し、Lbは熱処理前のコード長、Laは熱処理後のコード長である。
本発明においては、ベルト補強層を形成する繊維コードとして、所定の片撚りポリケトン繊維コードを用いるものとしたことで、コードの熱収縮応力を小さく抑えることができ、加硫時の収縮によるコードの食い込みを防止することができる。これにより、ゴムストリップ等の使用なしでベルト補強層コードとベルト層コードとの間の間隙を確保することができ、製造コストの増加やタイヤ重量の増加などの他の問題を生ずることなく、優れた高速耐久性を有する空気入りラジアルタイヤを実現することが可能となった。すなわち、片撚りコードは一方向にしか撚っていない(ねじりを加えていない)ことから、熱セット
性の良くないパラアラミドなどでは、製造時の張力作用により、ねじりが戻りやすいため、作業性が悪く、従来はナイロンにしか適用されていなかったが、ポリケトン繊維は熱を加えてもセット性が良好であるため、片撚りを適用しても作業性が悪化することはなく、このため片撚りコードの適用が可能となるのである。
本発明の一実施の形態に係る空気入りラジアルタイヤを示す幅方向断面図である。
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の一例の空気入りラジアルタイヤの片側断面図を示す。図示するように、本発明の空気入りラジアルタイヤ10は、左右一対のビード部11に夫々設けられたビードコア1と、クラウン部12から両サイドウォール部13を経て両ビード部11に延びビードコア1に係留された、ラジアルコード層よりなるカーカスプライ2と、そのクラウン部ラジアル方向外側に配置されたベルト3と、その外側に略タイヤ赤道方向に配置されたベルト補強層4と、そのさらに外側に配置されたトレッド5と、を備えている。
本発明においては、このうちベルト補強層4を形成する繊維コードが、ポリケトン繊維を少なくとも90質量%以上含む片撚りコードからなる。これにより、偏平・大型タイヤの高速耐久性を十分確保しつつ、タイヤの軽量化や製造コストの低減を図ることができる。
また、かかる繊維コードのコード直径は、0.3mm以上0.7mm以下、好適には0.4mm以上0.5mm以下である。コード直径が0.3mm未満であると、ゴムでコーティングされた中間材料を準備することが困難となる。一方、コード直径が0.7mmより大きいと、嵩高になって製品としての総ゲージが厚くなりすぎ、結果として使用ゴム量の増加や転がり抵抗の悪化につながる懸念がある。
さらに、かかる繊維コードのディップ処理済みコードとしての最大熱収縮応力は、15N/本以下、好適には10N/本以下、より好適には5〜8N/本である。この最大熱収縮応力が15Nを超えると、タイヤ製造時に発生する熱収縮により、この繊維コードと、ベルト補強層の内側に配設されたベルト層コードとの間に十分な間隙を確保することが難しくなる。
さらにまた、本発明においては、ベルト補強層4を形成する繊維コードと隣接する繊維コードとの間の間隙が、0.5mm以下、好適には0.35mm以下、より好適には0.2〜0.3mmである。この間隙が0.5mmより大きいと、製品製造時の拡張や熱収縮により繊維コードがタイヤ内側に食込んで、結果としてベルト補強層とベルト層との間に十分な間隙を確保できなくなり、高速走行時の耐久性悪化につながる懸念がある。
さらにまた、かかるベルト補強層4を形成する繊維コードとしては、ディップ処理済みコードとしての177℃×30分乾熱処理時熱収縮率が、0.6%以上2%未満であることが好ましく、0.8%以上1.6%未満であることがより好ましい。この熱収縮率が0.6%未満であると、タイヤ製造時に十分な残留張力を発生しないため、高速耐久性を十分確保することが難しくなるおそれがある。一方、2%を超えると、タイヤ製造時に発生する熱収縮により、この繊維コードと、ベルト補強層の内側に配設されたベルト層コードとの間に十分な間隙を確保することが難しくなる。
さらにまた、ベルト補強層4を形成する繊維コードの総繊度は、800dtex以上3400dtex以下であることが好ましく、より好ましくは1100dtex2200dtex以下である。この繊維コードの総繊度が800dtex未満であると、コード径が細くなって、曲げ剛性が著しく小さくなるため、タイヤ製造時の作業性が悪化する問題を生ずる。一方、総繊度が3400dtexを超えると、ベルト補強層の厚さが過大になって、ゴム使用量も多くなるため、タイヤの重量増加や転がり抵抗悪化という問題が生ずる。
さらにまた、ベルト補強層4を形成する繊維コードの撚り数は、120回/1m以上480回/1m以下であることが好ましく、より好ましくは150回/1m以上200回/1m以下である。この繊維コードの撚り数が120回/1m未満であると、フィラメントの収束性が著しく低下し、剛性利用率の低下を招くおそれがある。一方、撚り数が480回/1mを超えると、十分な剛性を確保するためには、より多くの繊維を使用することが必要となり、結果としてタイヤ重量や製造コストの増加につながる場合がある。さらには解撚トルクが著しく大きくなるため、製造時の撚り戻りや性状不良の原因となる懸念がある。
次に、本発明に使用し得る、ポリケトン繊維(以下「PK繊維」と略記する)を少なくとも90質量%以上含むベルト補強層用の片撚りコード(以下、PK繊維コードと称する)について詳述する。
本発明に使用し得るPK繊維以外の繊維は、ナイロン、エステル、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、ビニロン等を挙げることができる。
上記PK繊維コードは、下記式(I)、
Figure 2009190726
(式中、Tは撚り数(回/100mm)、Dはコードの総繊度(dtex)、ρはコードに使用される繊維素材の密度(g/cm)である)で定義される撚り係数αが0.1〜0.88の範囲であることが好ましい。PK繊維コードの撚り係数αが0.1未満では、熱収縮応力が十分に確保できず、一方、0.88を超えると、弾性率が十分に確保できず、補強能が小さくなる。
上記PK繊維の原料のポリケトンとしては、下記一般式(II)、
Figure 2009190726
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になるものが好適であり、その中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH−CH−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
かかるポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基とが交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(II)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン、ブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、スチレン、アセチレン、アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ウンデセン酸、ウンデセノール、6−クロロヘキセン、N−ビニルピロリドン、スルニルホスホン酸のジエチルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドンおよび塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
さらに、上記ポリケトンの重合度としては、下記式(III)、
Figure 2009190726
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
さらにまた、PK繊維は、結晶化度が50〜90%、結晶配向度が95%以上の結晶構造を有することが好ましい。結晶化度が50%未満の場合、繊維の構造形成が不十分であって十分な強度が得られないばかりか加熱時の収縮特性や寸法安定性も不安定となるおそれがある。このため、結晶化度としては50〜90%が好ましく、より好ましくは60〜85%である。
前記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度および倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)または(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載されているようなヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載されているような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、さらに脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩またはハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、さらに、かかる未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲内が好ましく、総延伸倍率は、好適には10倍以上とする。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留は大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
また、PK繊維を含む片撚りコードの高い熱収縮特性を最も効果的に活用するには、加工時の処理温度や使用時の成型品の温度が、最大熱収縮応力を示す温度(最大熱収縮温度)と近い温度であることが望ましい。具体的には、必要に応じて行われる接着剤処理におけるRFL処理温度や加硫温度等の加工温度が100〜250℃であること、また、繰り返し使用や高速回転によってタイヤ材料が発熱した際の温度は100〜200℃にもなることなどから、最大熱収縮温度は、好ましくは100〜250℃の範囲内、より好ましくは150〜240℃範囲内である。
上記のようにして得られたPK繊維コードをゴム引きすることで、ベルト補強層4に用いるコード/ゴム複合体を得ることができる。ここで、PK繊維コードのコーティングゴムとしては、特に制限はなく、従来のベルト補強層に用いていたコーティングゴムを用いることができる。なお、PK繊維コードのゴム引きに先立って、PK繊維コードに接着剤処理を施し、コーティングゴムとの接着性を向上させてもよい。
本発明のタイヤにおいては、ベルト補強層4が上記条件を満足するPK繊維コードからなるものであれば、それ以外の点については、特に制限されるものではない。例えば、ベルト補強層4は、図示する例ではベルト3と略同一幅で設けられているが、これには限定されず、ベルト3の少なくとも両端部とセンター部とを覆うものであればよい。ベルト補強層4は、上記繊維コードと、これを被覆するコーティングゴムとからなり、略タイヤ赤道方向に対し実質的に並行に配置される。また、その層数は、図示する例では1層であるが、2層以上でもよく、特に制限されない。
カーカス2は、略ラジアル方向に平行配列された複数の補強コードをコーティングゴムで被覆してなるラジアルコード層よりなる。カーカス2は、図示する例では、クラウン部12から両サイドウォール部13を経て両ビード部11に延び、ビードコア1に巻回されてビード部11に係留されているが、カーカスを構成するカーカスプライのうち、少なくとも1枚のプライは、ビードコア1の周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返されて、その折返し端がベルト3とカーカス2のクラウン部との間に位置する、いわゆるエンベロープ構造を有していてもよい。また、カーカス2の枚数は、図示する例では2枚であるが、1枚または3枚以上であってもよく、特に制限されない。
また、図示する例では、ベルト3は2枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいては、ベルト3を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。ベルト3は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、ベルト層を構成する各コードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト3を構成する。
さらに、本発明においては、ベルト補強層4を形成する繊維コードと、その内側に配置されるベルト3との間に、厚さ0.2mm以上、幅10mm以上のゴムシートを挿入することが好ましい。ゴムシートを挿入することでベルトとベルト補強層との間に十分な距離を保つことができるため、耐久性が向上する。例えば、厚さ0.4〜1.0mm、幅10〜40mmのゴムシートを好適に用いることができる。このゴムシートの厚さが0.2mm未満であると、ゴムシートを挿入する効果が得られにくくなり、また、幅が10mm未満であると、製造時の取り扱いが困難となる。
なお、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の、あるいは酸素分圧を変えた空気、または窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(PK繊維の調製例)
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65質量%/塩化ナトリウム10質量%を含有する水溶液に添加して、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度8質量%のドープを得た。
このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口径0.10mmφ、50ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に5質量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し、速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。
引き続き凝固糸条を濃度2質量%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。
この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05質量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃以上にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。なお、この乾燥温度を適宜コントロールすることで熱収縮率の調整が可能である。
仕上剤は以下の組成のものを用いた。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(質量%比)。
得られた未延伸糸を1段目を240℃で、引き続き258℃で2段目、268℃で3段目、272℃で4段目の延伸を行った後に、引き続き5段目に200℃で1.08倍(延伸張力1.8cN/dtex)の5段延伸を行い、巻取機にて巻取った。未延伸糸から5段延伸糸までの全延伸倍率は17.1倍であった。この繊維原糸は強度15.6cN/dtex、伸度4.2%、弾性率347cN/dtexと高物性を有していた。このようにして得られたPK繊維を、下記の条件下でコードとして使用した。
(供試タイヤの作製)
タイヤサイズ225/45R17の空気入りラジアルタイヤを、下記の表中に示す仕様に従い試作して、経済性、タイヤ重量および高速耐久性につき評価した。その評価結果を、各供試タイヤに用いたベルト補強層の繊維コードの特性等とともに、下記の表中に示す。
各供試タイヤは、図1に示すように、左右一対のビード部11にそれぞれ設けられたビードコア1と、クラウン部12から両サイドウォール部13を経て両ビード部11に延びビードコア1に係留された、ラジアルコード層よりなる2枚のカーカスプライと、そのクラウン部ラジアル方向外側に配置された2層のベルト層からなるベルト3と、その外側に略タイヤ赤道方向に配置された1層のベルト補強層4と、そのさらに外側に配置されたトレッド5と、を備えている。このうちベルト3は、1×5構造のスチールコードと、それを被覆するコーティングゴムとからなるものとし、そのコード角度は、タイヤ周方向に対し±35°とした。また、ベルト補強層4は、下記表中に示す片撚りコードと、それを被覆するコーティングゴムとからなるものとした。
(乾熱処理時熱収縮率)
ベルト補強層に用いるコードの乾熱処理時熱収縮率は、ディップ処理後の各コードにつきオーブン中で177℃、30分の乾熱処理を行い、熱処理前後のコード長を、50gの荷重をかけて計測して下式により求めた。
乾熱処理時熱収縮率(%)={(Lb−La)/Lb}×100
(但し、Lbは熱処理前のコード長、Laは熱処理後のコード長である。)
(最大熱収縮応力)
ベルト補強層に用いるコードの最大熱収縮応力は、ディップ処理後、加硫前のベルト補強コードの、25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する最大応力(単位:N/本)として測定した。
<経済性>
夫々使用したベルト補強層コードの製造コストを比較して、従来例を基準として評価した。
<タイヤ重量>
各供試タイヤ1本当たりの重量を測定した。
<高速耐久性>
各供試タイヤをリムサイズ7.5J−17のリムに組み付け、300kPaの内圧を充填した後、JATMA規格のテスト法に準ずるステップスピード法にて、タイヤ故障が発生するまでの速度を測定した。結果は、従来例の故障発生速度を100として指数表示した。指数値が大なるほど、耐久限界速度が高く、高速耐久性に優れることを示す。
Figure 2009190726
*1)ベルト端部:0.5mm厚×20mm幅
Figure 2009190726
上記表中の結果から、所定の片撚りPK繊維コードをベルト補強層を形成する繊維コードとして用いた各実施例の供試タイヤにおいては、かかる条件を満足しない従来例および比較例の供試タイヤに比し、コストおよび重量を抑えつつ、優れた高速耐久性が得られていることが明らかである。
1 ビードコア
2 カーカス
3 ベルト
4 ベルト補強層
5 トレッド
11 ビード部
12 クラウン部
13 サイドウォール部

Claims (6)

  1. 左右一対のビード部に夫々設けられたビードコアと、クラウン部から両サイドウォール部を経て両ビード部に延び該ビードコアに係留された、ラジアルコード層よりなるカーカスプライと、該カーカスプライのクラウン部ラジアル方向外側に配置されたベルトと、該ベルトの外側に略タイヤ赤道方向に配置されたベルト補強層と、該ベルト補強層の外側に配置されたトレッドと、を備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記ベルト補強層を形成する繊維コードが、コード直径0.3mm以上0.7mm以下の、ポリケトン繊維を少なくとも90質量%以上含む片撚りコードであって、ディップ処理済みコードとしての最大熱収縮応力が15N/本以下であり、かつ、該ベルト補強層を形成する繊維コードと隣接する繊維コードとの間の間隙が、0.5mm以下であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記ベルト補強層を形成する繊維コードの、ディップ処理済みコードとしての177℃×30分乾熱処理時熱収縮率が、0.6%以上2%未満である請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記ベルト補強層を形成する繊維コードの総繊度が、800dtex以上3400dtex以下である請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ベルト補強層を形成する繊維コードの撚り数が、120回/1m以上480回/1m以下である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記ベルト補強層を形成する繊維コードと隣接する繊維コードとの間の間隙が、0.35mm以下である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記ベルト補強層を形成する繊維コードと前記ベルトとの間に、厚さ0.2mm以上、幅10mm以上のゴムシートが挿入されている請求項1〜5のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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