JP4743762B2 - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
前記有機繊維コードが、150℃における乾熱収縮率が1〜7%であるポリケトン繊維コードからなり、前記ポリケトン繊維原糸の引張強度が10cN/dtex以上、かつ、引張弾性率が200cN/dtex以上であることを特徴とするものである。
図1は、本発明の一実施の形態に係る小型トラック用空気入りラジアルタイヤの断面図である。図1に示すように、タイヤ1は、一対のビードコア2(図1では一方のみ示す)と、少なくとも2枚(図示例では2枚)のカーカスプライ3と、補強層4,5と、少なくとも1枚(図示例では3枚)のベルトプライからなるベルト層6とを備えている。カーカスプライ3は、以下で詳述する本発明に係るポリケトン繊維(以下「PK繊維」と略記する)コードとこのPK繊維コードを被覆しているコーティングゴムとからなる。
乾熱収縮率(%)=(Lb−La)/Lb×100
(但し、Lbは熱処理前の繊維コード長、Laは熱処理後の繊維コード長である。)
σ≧−0.01E+1.2 (I)
σ≧0.02 (II)
但し、σが1.5より大きくなると加硫時の収縮力が大きくなりすぎ、結果的にタイヤ内部のコード乱れやゴムの配置乱れ引き起こし、耐久性悪化やユニフォミティー悪化を招くおそれがあるため、上限として、下記式、
1.5≧σ
で表される関係を満足することが好ましい。ここで、熱収縮応力σは、一般的なディップ処理を施した加硫前の上記PK繊維コードの、25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する応力(単位:cN/dtex)であり、また、弾性率Eは、同様のPK繊維コードの25℃における49N荷重時の弾性率であって、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線より算出される単位cN/dtexの弾性率である。
α=T×D1/2 (III)
(式中、Tは撚り数(回/100mm)であり、Dはコードの総繊度(dtex)である)で定義される撚り係数αが850〜4000の範囲であることが好ましい。PK繊維コードの撚り係数αが850未満では、熱収縮応力が十分に確保できず、一方、4000を超えると、弾性率が十分に確保できず、補強能が小さくなる。
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になるものが好適であり、その中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度8重量%のドープを得た。
この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05重量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(重量%比)。
(走行耐久性)
供試タイヤ(内圧:700kPa)にて劣化耐久ドラム試験を実施した。従来例のタイヤで故障が発生したときの走行距離を100とし、指数表示した。数値が大きいほど走行耐久性に優れていることを示す。得られた結果を下記の表1に示す。
(実施例1)
150℃で3%の乾熱収縮率を有するポリケトン繊維からなるコードをカーカスプライに適用し、カーカスプライを2枚積層してカーカスを形成した。このようにカーカスプライを2層積層することで、従来例であるスチールコードと同等の層内コード間隙とカーカスの総強力を確保することができ、コード重量の低減と走行耐久性との両立を図ることができた。
150℃で1%の乾熱収縮率を有するポリケトン繊維からなるコードをカーカスプライに適用し、カーカスプライを2枚積層してカーカスを形成した。このようにカーカスプライを2層積層することで、従来例であるスチールコードと同等の層内コード間隙とカーカスの総強力を確保することができ、コード重量の低減と走行耐久性との両立を図ることができた。
150℃で7%の乾熱収縮率を有するポリケトン繊維からなるコードをカーカスプライに適用し、カーカスプライを2枚積層してカーカスを形成した。このようにカーカスプライを2層積層することで、従来例であるスチールコードと同等の層内コード間隙とカーカスの総強力を確保することができ、コード重量の低減と走行耐久性との両立を図ることができた。
150℃で3%の乾熱収縮率を有するポリケトン繊維からなるコードをカーカスプライに適用し、カーカスプライを3枚積層してカーカスを形成した。このようにカーカスプライを3層積層することで、従来例であるスチールコード以上の層内コード間隙とカーカスの総強力を確保することができ、コード重量の低減と走行耐久性との両立を図ることができた。
150℃で3%の乾熱収縮率を有するポリケトン繊維からなるコードをタイヤ半径方向に対して10°の角度でカーカスプライに適用し、カーカスプライを2枚積層してカーカスを形成した。このようにカーカスプライを2層積層することで、従来例であるスチールコードと同等の層内コード間隙とカーカスの総強力を確保することができ、コード重量の低減と走行耐久性との両立を図ることができた。
150℃で3%の乾熱収縮率を有するポリケトン繊維からなるコードをカーカスプライに適用し、カーカスプライを1枚積層してカーカスを形成した。このようにカーカスプライが1層である結果、従来例であるスチールコードと同等のカーカスの総強力を確保すると層内コード間隙が狭くなり、走行耐久性が低下した。
150℃で0%の乾熱収縮率を有するアラミド繊維からなるコードをカーカスプライに適用し、カーカスプライを1枚積層してカーカスを形成した。このようにカーカスプライが1層である結果、従来例であるスチールコードと同等のカーカスの総強力を確保すると層内コード間隙が狭くなり、走行耐久性が低下した。
150℃で0%の乾熱収縮率を有するアラミド繊維からなるコードをカーカスプライに適用し、カーカスプライを2枚積層してカーカスを形成した。このようにカーカスプライを2層積層することで、従来例であるスチールコードと同等の層内コード間隙は確保できるが、製造時の内圧径差をコードが吸収できないため、コードへの歪が不均一となり、結果として走行耐久性が低下した。
スチールコードをカーカスプライに適用し、カーカスプライを1枚積層してカーカスを形成した従来例である。
2 ビードコア
3 カーカスプライ
4,5 補強層
6 ベルト層
7 トレッド
Claims (3)
- 一対のビードコア間にトロイド状に延在する少なくとも2枚のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部径方向外側に配置され、少なくとも1枚のベルトプライからなるベルト層とを備え、前記カーカスプライが有機繊維コードと該有機繊維コードを被覆してなるコーティングゴムとからなる重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記有機繊維コードが、150℃における乾熱収縮率が1〜7%であるポリケトン繊維コードからなり、前記ポリケトン繊維原糸の引張強度が10cN/dtex以上、かつ、引張弾性率が200cN/dtex以上であることを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記ポリケトン繊維コードの150℃における乾熱収縮率が2〜4%である請求項1記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記カーカスプライが2〜3枚である請求項1または2記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
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