JP2007137199A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルト補強層の改良により、高速耐久性能をより高度に担保するとともに、ロードノイズを低減し得る空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】一対のビードコア1間にトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス2と、カーカス2のクラウン部ラジアル方向に配置され、コードが互いに交錯する2枚以上のベルトプライからなるベルト層3と、ベルト層3のタイヤ半径方向外側に配置され、有機繊維コードが実質的にタイヤ周方向に巻回されてなる少なくとも1枚のベルト補強層とを有する空気入りタイヤにおいて、ベルト補強層の有機繊維コードがポリケトン繊維からなり、かつ、単線または2本線により巻回されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、ベルト補強層の改良により高速耐久性能の向上とロードノイズの低減とを図った空気入りラジアルタイヤに関する。
従来より、空気入りラジアルタイヤのベルト層外周には、ベルト層のセパレーション(コードと被覆ゴムとの剥離)を防止する目的で、ナイロン(ポリアミド)、アラミド(ケブラー(登録商標))、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等の有機繊維の撚りコードを実質的にタイヤ周方向に螺旋状に巻回してなるベルト補強層を配設することが行われている。
ここで、実車走行時にベルト補強材に働く周方向張力は均一ではなく、大きくはタイヤ幅方向位置によって異なる。特に、高速走行時やコーナーリング時におけるタイヤの接地状態を観察すると、センター部よりも接地端(ショルダー部付近)の接地長が伸びる現象が見られることから、この場合のベルト補強層における引張り張力の変化は、センター部よりもショルダー部において大きいものと考えられる。このため、この引張り張力の変化に起因して、高速走行時の操縦安定性や転がり抵抗、耐摩耗性等が悪化することになる。このような現象は、ベルト補強層の有機繊維コードとして、伸びの大きい、即ち比較的低剛性のナイロンよりも、アラミド等の高剛性繊維を使用した際に顕著である。
ベルト補強材の物性の改良により高速耐久性を向上させる技術としては、例えば、特許文献1に、ベルト補強層を構成する有機繊維コードの熱収縮率を、タイヤ幅方向中央域において、タイヤ幅方向側部域よりも小さくした空気入りラジアルタイヤが記載されている。また、特許文献2には、ベルト補強層に用いるコード材質をタイヤ中央領域とショルダー領域とで変え、タイヤ中央領域のコード材質がナイロンで、ショルダー領域のコード材質が特定のポリケトン(PK)である空気入りラジアルタイヤが記載されている。さらに、特許文献3には、少なくともベルト補強層幅方向中央部のコードがポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)コードからなり、ベルト幅方向両端部のコードが所定の引張弾性率を有する有機繊維コードからなるラジアルタイヤが記載されている。さらにまた、特許文献4には、ベルトの外側に配置された左右一対のベルト両側補強層と、その内側のベルト中央補強層とで、ゴム被覆コード層のコード密度が異なるラジアルタイヤが開示されている。さらにまた、特許文献5には、ベルト補強層の端部域でのコード密度をトレッド中央域よりも疎にするか、又は端部域の補強コードの初期張力をトレッド中央域の補強コードよりも小さくする空気入りラジアルタイヤが記載されている。
特開2002−370507号公報(特許請求の範囲等) 特開2004−306634号公報(特許請求の範囲等) 特開2000−203212号公報(特許請求の範囲等) 特開平9−193611号公報(特許請求の範囲等) 特開2005−75289号公報(特許請求の範囲等)
上述のように、高速走行時における性能の悪化を防止するためには、ベルト補強材に作用する張力をセンター部とショルダー部とにおいて適切に調整することが有効である。上記特許文献1〜5に示すように、この点に関しては種々検討されてきており、一定の効果が得られているが、近年の車両の高速化、騒音環境問題の中、従来のタイヤ構造では、高速耐久性に加え、ロードノイズ性が不足する傾向にあり、高速耐久性能をより高度に担保するとともに、ロードノイズの低減を図った空気入りタイヤの実現が求められている。
そこで本発明の目的は、ベルト補強層の改良により、高速耐久性能をより高度に担保するとともに、ロードノイズを低減し得る空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ベルト補強層の有機繊維コードとしてポリケトン繊維コードを所定の条件下で使用することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部ラジアル方向に配置され、コードが互いに交錯する2枚以上のベルトプライからなるベルト層と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側に配置され、有機繊維コードが実質的にタイヤ周方向に巻回されてなる少なくとも1枚のベルト補強層とを有する空気入りタイヤにおいて、
前記ベルト補強層の有機繊維コードがポリケトン繊維からなり、かつ、単線または2本線により巻回されてなることを特徴とするものである。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、好ましくは前記ベルト補強層の巻き付け密度がタイヤ幅方向で異なり、タイヤショルダー部の巻き付け密度がタイヤ幅方向中央部の巻き付け密度に比べ大きくなっており、より好ましくは前記巻き付け密度がタイヤ幅方向中央部で30〜45/50mm、タイヤショルダー部で45〜50/50mmである。
あるいはまた、本発明の空気入りラジアルタイヤは、好ましくは前記ベルト補強層の巻き付け張力がタイヤ幅方向で異なり、タイヤショルダー部の巻き付け張力がタイヤ幅方向中央部の巻き付け張力に比べ大きくなっており、より好ましくは前記巻き付け張力がタイヤ幅方向中央部で1.0〜2.5N/本、タイヤショルダー部で2.6〜4.2N/本である。
前記ベルト補強層の、タイヤ幅方向中央部の幅をWA、ショルダー部の幅をWBとしたとき、好ましくは0.25<WA/(WA+2WB)<0.75を満足するようにする。
本発明によれば、ベルト補強層にポリケトン繊維コードを使用したことにより、高速耐久性能をより高度に担保するとともに、ロードノイズを低減することができる。また、かかるポリケトン繊維コードの巻き付け密度または巻き付け張力を適切に調整することにより、高速耐久性能をより高度に担保するとともに、ロードノイズの更なる低減を実現することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1に、本発明の空気入りラジアルタイヤの概略断面図を示す。図示するように、本発明のラジアルタイヤは、一対のビードコア1間にトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカス2と、そのクラウン部ラジアル方向に配置され、コードが互いに交錯する2枚以上のベルトプライからなるベルト層3と、そのタイヤ半径方向外側に配置され、有機繊維コードが実質的にタイヤ周方向に巻回されてなる少なくとも1枚のベルト補強層4とを有する。
本発明においては、ベルト補強層4が、ポリケトン繊維(以下「PK繊維」と略記する)コードであることが肝要である。PK繊維は、従来のポリエステル及びレーヨン繊維対比、熱収縮応力が高く、また弾性率が2.4〜3.3倍と高く、従来の繊維材質よりベルトの締め付け力が高くなる特性がある。よって、PK繊維コードをベルト補強層4として適用することにより、高速耐久性能の向上およびロードノイズの低減が可能となる。
本発明に用いるPK繊維コードは、具体的には、以下に詳述するPK繊維コードが好適である。即ち、コード1本あたりの総デシテックスが1000〜6000デシテックスであるマルチフィラメント撚りのPK繊維である。1本あたりの総デシテックスが1000〜6000デシテックスの範囲内であるコードであれば、高剛性で、かつ、有機繊維のメリットであるスチールコード対比の軽量化が達成できる。総デシテックスが1000デシテックス未満では高剛性なベルト補強層4を1枚で構成できず、一方、6000デシテックスを超えると、ベルト補強層のゲージが厚くなってしまい、タイヤ質量増加となってしまう。
また、本発明に用いるPK繊維コードは、所期の効果を得る上で、下記式(I)および(II)、
σ≧−0.01E+1.2 (I)
σ≧0.02 (II)
(上記式中、Eは25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)であり、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)である)で表される関係を満足することが好ましい。より所望の効果を得る上で、上記式(II)は、下記式、
σ≧0.4
で表される関係を満足することが、より好ましい。但し、σが1.5より大きくなると加硫時の収縮力が大きくなりすぎ、結果的にタイヤ内部のコード乱れやゴムの配置乱れを引き起こし、耐久性悪化やユニフォミティー悪化を招くため、上限として、下記式、
1.5≧σ
で表される関係を満足することが好ましい。
また、上記PK繊維コードは、さらに、下記式(III)、
α=T×D1/2 (III)
(式中、Tは撚り数(回/100mm)であり、Dはコードの総繊度(dtex)である)で定義される撚り係数αが850〜4000の範囲であることが好ましい。PK繊維コードの撚り係数αが850未満では、熱収縮応力が十分に確保できず、一方、4000を超えると、弾性率が十分に確保できず、ベルト補強能が小さくなる。
さらに、上記PK繊維コードは、繊度が500〜3000dtexのポリケトンからなるフィラメント束を2本撚り合わせてなることが好ましい。PK繊維コードに用いるフィラメント束の繊度が500dtex未満では、弾性率・熱収縮応力ともに不十分となる一方、3000dtexを超えると、コード径が太くなって、打ち込みを密にできなくなる。
さらにまた、上記PK繊維コードは、高温下で収縮し、室温に戻すと伸長する可逆性を有することが好ましい。これにより、高温下、即ち、高速走行時においてはベルト補強層内のPK繊維コードが収縮して、十分なタガ効果を発揮することによりトレッドの迫り出しを十分に抑制することができる一方、低温下、即ち、低速走行時においてはベルト補強層内のPK繊維コードが伸長して、タイヤの接地面積を十分に確保することができる。
上記PK繊維コードの原料のポリケトンとしては、下記一般式(IV)、
Figure 2007137199
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になるものが好適であり、その中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
かかるポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基とが交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(III)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン、ブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、スチレン、アセチレン、アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ウンデセン酸、ウンデセノール、6−クロロヘキセン、N−ビニルピロリドン、スルニルホスホン酸のジエチルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドンおよび塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
さらに、上記ポリケトンの重合度としては、下記式(V)、
Figure 2007137199
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
さらにまた、PK繊維は、結晶化度が50〜90%、結晶配向度が95%以上の結晶構造を有することが好ましい。結晶化度が50%未満の場合、繊維の構造形成が不十分であって十分な強度が得られないばかりか加熱時の収縮特性や寸法安定性も不安定となるおそれがある。このため、結晶化度としては50〜90%が好ましく、より好ましくは60〜85%である。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度および倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)または(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載されているようなヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載されているような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、さらに脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩またはハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、さらに、かかる未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲内が好ましく、総延伸倍率は、好適には10倍以上とする。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留は大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
上記PK繊維コードは、上記ポリケトンのフィラメントを複数本撚り合わせてなるマルチフィラメント撚りのPK繊維からなり、例えば、上記ポリケトンからなるフィラメント束に下撚りをかけ、次いでこれを2本合わせて、逆方向に上撚りをかけることで、撚糸コードとして得ることができる。
また、PK繊維コードの高い熱収縮特性を最も効果的に活用するには、加工時の処理温度や使用時の成型品の温度が、最大熱収縮応力を示す温度(最大熱収縮温度)と近い温度であることが望ましい。具体的には、必要に応じて行われる接着剤処理におけるRFL処理温度や加硫温度等の加工温度が100〜250℃であること、また、繰り返し使用や高速回転によってタイヤ材料が発熱した際の温度は100〜200℃にもなることなどから、最大熱収縮温度は、好ましくは100〜250℃の範囲内、より好ましくは150〜240℃範囲内である。
本発明においては、所期の効果を得る上で、上記ポリケトン繊維コードは、単線(図2(b)参照)または2本線(図2(d)参照)により巻回し、好ましくは巻き付け密度を30〜50/50mmとし、かつ、好ましくは巻き付け張力を1.0〜4.2N/本とする。
また、高速耐久性能の確保とロードノイズ低減には、走行時のベルト端の跳ね上がりを抑制することが重要である。この点について本発明者は鋭意検討した結果、ベルト補強層4のポリケトン繊維コードを、タイヤ幅方向中央部(タイヤセンター部分)4Aでは粗に、タイヤショルダー部(ベルト端部分)4Bでは密に巻き付けるか、あるいはタイヤセンター部分では低張力で、ベルト端部分では高張力で巻き付けることにより、より一層高速耐久性の確保とロードノイズの低減が達成されることを見出した。
かかる知見に基づき、本発明では、ベルト補強層4の巻き付け密度をタイヤ幅方向で異ならしめ、タイヤショルダー部4Bの巻き付け密度をタイヤ幅方向中央部4Aの巻き付け密度に比べ大きくすることが好ましい(図2(a)参照)。より好ましくは、タイヤ幅方向中央部4Aの巻き付け密度を30〜45/50mmとし、かつ、タイヤショルダー部4Bの巻き付け密度を45〜50/50mmとする。これにより、走行時のベルト端の跳ね上がりを効果的に抑制することができる。
あるいはまた、ベルト補強層4の巻き付け密度をタイヤ幅方向で異ならしめる代わりに、ベルト補強層4の巻き付け張力をタイヤ幅方向で異ならしめても、同様の効果を得ることができる。よって、本発明においては、ベルト補強層4の巻き付け張力をタイヤ幅方向で異ならしめ、タイヤショルダー部4Bの巻き付け張力をタイヤ幅方向中央部4Aの巻き付け張力に比べ大きくすることも好ましい。より好ましくは、タイヤ幅方向中央部4Aの巻き付け張力を1.0〜2.5N/本とし、かつ、タイヤショルダー部4Bの巻き付け張力を2.6〜4.2N/本とする。
ここで、ベルト補強層4の、タイヤ幅方向中央部4Aの幅をWA、ショルダー部4Bの幅をWBとしたとき、好ましくは0.25<WA/(WA+2WB)<0.75の関係を満足するようにする。これにより、ベルト補強層4の巻き付け密度または巻き付け張力の変動を適切に行わしめることができるようになる。
ベルト補強層4のコーティングゴムとしては、特に制限はなく、従来ベルト補強層に用いられている各種配合ゴムを用いることができる。また、ベルト補強層4は、図1に示すように、少なくとも1枚にて設けることが必要であるが、図示はしないが、ベルト層3の全幅を覆って配置された1枚以上のベルト補強層と、ショルダー部のみに配置された1枚以上のベルト補強層とからなるものとすることも好適である。この場合も、2枚のベルト補強層のそれぞれについて、PK繊維コードを配設することが肝要である。
本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト補強層4以外の点については、特に制限されるものではない。例えば、図示はしないが、タイヤの最内層には通常インナーライナーが配置され、トレッド表面には、適宜トレッドパターンが形成される。また、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常のあるいは酸素分圧を変えた空気、または、窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
図1に示すように、ベルト補強層4を配設した空気入りラジアルタイヤを、下記表1および以下に示す条件に従い、常法により試作した。
(タイヤサイズ):205/65R15
(カーカスプライコード):PET 1670dtex/2、撚り数40×40/10cm、打込み数100本/10cm、角度0°
(ベルトコード):1×5×0.25mmスチールコード、打込み数80本/10cm、角度70°
(ベルト幅):タイヤ内側155mm、タイヤ外側145mm
(ベルト層補強幅):160mm
(WA/(WA+2WB)):0.63(WA:ベルト補強層のタイヤ幅方向中央部(センター部)の幅、WB:ベルト補強層のショルダー部(ベルト端)の幅)
(PK繊維コードの弾性率E):一般的なディップ処理を施した加硫前のポリケトン繊維コードの、25℃、49N荷重時の弾性率をEとして、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線より算出した(単位:cN/dtex)。
(PK繊維コードの熱収縮応力σ):一般的なディップ処理を施した加硫前のポリケトン繊維コードの、177℃時における熱収縮応力をσとして、25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱し、177℃時に発生する応力を測定し、発生する力より算出した(単位:cN/dtex)。
得られた各供試タイヤにつき、下記評価方法に従い評価を行った。これらの結果を、下記の表1に併せて示す。
((高速性)ドラム耐久性)
JATMAの最大荷重条件の200%荷重にてドラム上を走行させ、故障に至るまでの距離を、従来例の距離を100として指数表示した。数値が大なる程結果が良好である。
(ロードノイズ)
車輌にテストタイヤを装着し、車輌走行時(速度60km/h)の車内音をマイクロホンで集音〜データレコードし、記録したデータを解析器により周波数を分析し、夫々の帯域の騒音レベルを採取した。結果は、従来例のロードノイズを100として指数表示した。数値が小なる程結果が良好である。
Figure 2007137199
本発明の一実施の形態に係る空気入りタイヤを示す概略断面図である。 実施例におけるベルト補強層のコード状態を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 ビードコア
2 カーカス
3 ベルト層
4 ベルト補強層
4A タイヤ幅方向中央部
4B ショルダー部

Claims (6)

  1. 一対のビードコア間にトロイド状に延在する少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部ラジアル方向に配置され、コードが互いに交錯する2枚以上のベルトプライからなるベルト層と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側に配置され、有機繊維コードが実質的にタイヤ周方向に巻回されてなる少なくとも1枚のベルト補強層とを有する空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルト補強層の有機繊維コードがポリケトン繊維からなり、かつ、単線または2本線により巻回されてなることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記ベルト補強層の巻き付け密度がタイヤ幅方向で異なり、タイヤショルダー部の巻き付け密度がタイヤ幅方向中央部の巻き付け密度に比べ大きくなっている請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記巻き付け密度がタイヤ幅方向中央部で30〜45/50mm、タイヤショルダー部で45〜50/50mmである請求項2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ベルト補強層の巻き付け張力がタイヤ幅方向で異なり、タイヤショルダー部の巻き付け張力がタイヤ幅方向中央部の巻き付け張力に比べ大きくなっている請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記巻き付け張力がタイヤ幅方向中央部で1.0〜2.5N/本、タイヤショルダー部で2.6〜4.2N/本である請求項4記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記ベルト補強層の、タイヤ幅方向中央部の幅をWA、ショルダー部の幅をWBとしたとき、0.25<WA/(WA+2WB)<0.75を満足する請求項2〜5のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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