JP5313049B2 - 空気入りラジアルタイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りラジアルタイヤの製造方法に関するものである。
空気入りラジアルタイヤにおいて、走行中のタイヤ形状を保持し、特に高速走行時の遠心力によるトレッド部の径方向外方への変形を抑制して高速耐久性を向上するために、ベルト層の外周側にタイヤ周方向に実質的に平行に延在したコードからなるキャッププライやエッジプライ等のベルト補強層を設けることがある。
かかるベルト補強層のコードとしては、従来、ナイロン繊維コードなどの弾性率の低い繊維コードが用いられているが、弾性率の低いコードでは、十分な拘束力が得られず、最近の厳しい高速耐久性の要求に十分に応えることは難しい。そこで、弾性率の高いスチールコードをベルト補強層に用いることが考えられる。しかしながら、ベルト補強層ではコードがタイヤ周方向に平行に配されることから、低荷重下での伸びの小さいスチールコードをベルト補強層に用いて、通常のタイヤ製造工程で加硫時にグリーンタイヤを拡張(即ち、膨径)しモールドに押し付ける方法では、スチールコードが伸びないために、ベルト補強層とベルトコード(即ち、ベルト層を構成するコード)が接触し、耐久性の低いタイヤになったり、タイヤ自体を成形できないという問題がある。
このような問題を解決するために、下記特許文献1,2にあるように、高弾性率の糸と低弾性率の糸を組み合わせて伸びのある中間的なコードとし、これによりタイヤ性能を改善することが提案されている。しかしながら、この手法では、本来の高弾性率の特性を活かしてタイヤ性能を向上することができていない。
下記特許文献3には、ベルト補強層を構成するコードの被覆ゴムに電子線を照射することにより、弾性率の高いコードを用いた場合にも、加硫時のタイヤ膨張に起因する被覆ゴムの波打ち及び被覆厚みの減少を抑えることが開示されている。しかしながら、この文献も、タイヤ加硫時にグリーンタイヤを拡張してモールドに押し付けるという通常のタイヤ製造工法に関するものであり、本発明の特徴、とりわけベルト層の幅方向端部におけるベルト補強層とベルトコードのエッジ部との接触によるベルト補強層の損傷の点については開示されていない。
特開平07−232511号公報 特開2005−041396号公報 特開2003−019762号公報
上記の問題点に鑑み、本発明者は、タイヤ加硫中にグリーンタイヤを実質的に拡張させずに分割モールドを押し付けるノンリフト工法の採用を試みた。しかしながら、ノンリフト工法を用いた場合でも、グリーンタイヤをモールドに沿わせる時に部分的にグリーンタイヤの変形が起こり、ベルト補強層とベルトコードのエッジ部が接触することがある。また、タイヤ成形時にステッチャーによって未加硫のタイヤ構成部材を圧着するときにも同様のことが発生する。
また、タイヤ性能の観点からは、ベルト層の幅を広げ、その端部をタイヤショルダー部の端一杯まで持ってきて、ショルダー部を規定する円弧に沿った断面湾曲状に形成することが望ましい。しかしながら、図3に示すように、ベルト層6のエッジ部6Aを、ショルダー部9の円弧に沿わせて断面湾曲状にすると、タイヤ成形時に、ベルト層6を構成するスチールコードの曲げに対する反力で、これを覆うベルト補強層8とベルトコードのエッジ部との接触が起こりやすくなる。なお、符号10はタイヤ成形ドラムを示す。
ベルトコードのエッジ部(即ち、幅方向端)は、タイヤ周方向に対して傾斜配列されたベルトコードの切断端であるため、この部分がベルト補強層のコードに接触すると、ベルト補強層のコードが損傷しやすく、損傷により強力低下を起こして、バーストに至る故障の原因となるおそれがある。
本発明は、以上の点に鑑み、高モジュラスなスチールコードの本来の特性を活かしてベルト補強層による操縦安定性及び耐久性の向上を図りつつ、ベルト補強層のスチールコードとベルトコードのエッジ部との接触を防いで故障の原因となるベルト補強層の破損を抑制することを目的とする。
本発明に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法は、トレッド部におけるカーカス層の外周側に設けられたベルト層と、前記ベルト層の外周側に設けられタイヤ周方向に実質的に平行に延びるコードを含んでなるベルト補強層とを備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法において、ゴムシートに電子線を照射してプレ加硫し、プレ加硫したゴムシートをベルトコードの切断端を含む前記ベルト層のエッジ部を覆うように前記ベルト層上に巻き付け、ゴム被覆したスチールコードを前記プレ加硫したゴムシートの上から前記ベルト層のエッジ部を覆うように巻き付けることで前記ベルト補強層を形成してグリーンタイヤを作製し、前記グリーンタイヤを、加硫時に実質的に拡張させずに分割モールドに押し付けることで加硫成形するものである。
本発明によれば、スチールコードをベルト補強層に用いるので、その高モジュラスな特性を活かして操縦安定性及び耐久性を向上することができる。しかも、ベルト補強層とベルト層との間に電子線照射によるプレ加硫を行ったゴムシートを介在させた上で、グリーンタイヤを実質的に拡張させずに加硫成形するので、高モジュラスなスチールコードを用いることによる加硫成形時のベルト補強層のスチールコードとベルトコードのエッジ部との接触を防いで、ベルト補強層の破損を抑制することができる。よって、ベルトコードのエッジ部との接触によるベルト補強層の破損を抑えながら、スチールコードの本来の特性を十分に発揮することができる。
実施形態の空気入りラジアルタイヤの半断面図である。 同実施形態のベルト層及びベルト補強層の構成を模式的に示す断面図である。 タイヤ成形ドラム上にベルト補強層を巻き付けた状態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤの1例を示すタイヤTの半断面図である。このタイヤTは、左右一対のビード部1及びサイドウォール部2と、両サイドウォール部2間に設けられたトレッド部3とを備えて構成されており、一対のビード部1間にまたがって延びるカーカス層4が設けられている。
カーカス層4は、トレッド部3からサイドウォール部2を通り、ビード部1においてビードコア5で内側から外側に折り返すことにより係止されている。カーカス層4は、有機繊維コード等からなるカーカスコードをタイヤ周方向に対し実質上直角に配列してなり、この実施形態では一層で構成されている。
トレッド部3におけるカーカス層4の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)にはベルト層6が配されている。ベルト層6は、図2にも示されるように、カーカス層4のクラウン部の外周に重ねて設けられており、本実施形態では、径方向内側から順に、第1ベルト層61と、第2ベルト層62との2枚のベルト層で構成されている。そして、ベルト層6の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)において、ベルト層6とトレッドゴム部7との間に、ベルト補強層8が設けられており、また、ベルト層6とベルト補強層8との間にゴムシート11が介設されている。
ベルト層6は、従来一般的なベルト用スチールコードをタイヤ周方向に対して一定角度で延在させかつタイヤ幅方向に所定間隔にて配列させてなるものであり、第1ベルト層61と第2ベルト層62とで、スチールコードが互いに交差するように配設されている。ベルト層6は、本実施形態では、タイヤ性能向上のために、ベルト幅を広げて設けられており、幅方向端部であるエッジ部6Aがタイヤショルダー部9の端一杯まで達しており、該エッジ部6Aがショルダー部9を規定する円弧Rに概ね沿う断面湾曲状に形成されている。詳細には、この例では、ベルト層6は、その幅W1が、タイヤ断面幅W0に対して80〜90%に設定されている(即ち、W1/W0=0.8〜0.9)。なお、図1においてCLはタイヤTの幅方向中心線を示す。
ベルト補強層8は、この例ではベルト層6をその全幅で覆うキャップフライであり、タイヤ周方向に実質的に平行に延在したスチールコードからなる。すなわち、該スチールコードは、タイヤ周方向に対して実質的に0°の角度(例えば、5°以下の角度)で延びており、かつタイヤ幅方向に所定間隔で配列されている。このようにベルト補強層8にスチールコードを用いることにより、スチールコードは高モジュラスであることから、ベルト層6のたが効果が高くなったり、トレッド面の剛性が上がりコーナリング時の接地面の変形が抑えられたり、路面への力の伝達がダイレクトになったりすることで、耐久性能や運動性能が良くなる。
上記ベルト補強層を構成するスチールコードとしては、ベルト層を構成するスチールコードよりもフィラメント径の小さいものが用いられ、より詳細には、フィラメント径0.13mm以下のフィラメントからなるものが好ましい。フィラメント径が大きいと、特に乗用車用タイヤでは、タイヤ外径が小さく撓み変形が大きいために、スチールコードが曲げ変形によって切断しやすくなり耐疲労性を確保することが難しくなる。フィラメント径はより好ましくは0.07〜0.13mmである。
このようなフィラメント径の小さいスチールコードとしては、特に限定するものではないが、炭素含有率が0.60〜0.85重量%の炭素鋼から得られるものが、耐疲労性の点で好ましい。このような炭素鋼としては、JIS G3502(1996)に規定のSWRS62A材やSWRS72A材、SWRS82Aなどが挙げられる。
上記ベルト補強層を構成するスチールコードのコード構成としては、伸びにくい構成であることが好ましく、特に限定されないが、m+nの複層撚り構造(m(芯)=1〜4、n(鞘)=5〜9)や、1×nの単撚り構造(n=2〜6)が好ましい。
上記ベルト補強層におけるスチールコードのエンド数(打込み本数)としては、コード強力等に応じて適宜に設定することができ、特に限定されないが、1インチ(25.4mm)当たり10〜40本であることが好ましい。
なお、本実施形態では、図1,2に示すように、ベルト補強層8はベルト層6の幅方向全体を覆うキャッププライであるが、本発明においてベルト補強層としては、ベルト層のエッジ部のみを覆うエッジプライでもよい。
ベルト層6とベルト補強層8との間に介在するゴムシート11は、薄肉のゴム層であり、この例では、ベルト補強層8の全幅にわたって、その内周側のベルト層6との間に介設されている。このゴムシート11は、少なくともベルト層6のエッジ部6Aを覆うように設けられていれば、必ずしもベルト層6の全幅を覆うように設けなくてもよい。
上記空気入りラジアルタイヤTを製造するに際しては、常法に従いタイヤ成形ドラム上でベルト層6を形成した後、該ベルト層6の外周側にゴムシート11を巻き付け、ゴムシート11の上からベルト補強層8を巻き付け、更にその上にトレッドゴム7を貼り付けてグリーンタイヤ(生タイヤ、未加硫タイヤとも称される)を作製する。そして、本実施形態のものでは、上記グリーンタイヤを、加硫時に実質的に拡張させずに、分割モールドを押し付けるというノンリフト工法にて加硫成形することにより、空気入りラジアルタイヤTが得られる。上記のようにスチールコードコードをベルト補強層に用いる場合、拡張率(リフト率)が大きな通常の工法で加硫成形すると、拡張できないベルト補強層のスチールコードが拡張してくるベルト層に食い込み、故障しやすいタイヤとなったり、あるいはタイヤ自体を成形できないという問題があるが、このようにノンリフト工法を採用することにより、この問題を解消することができる。
また、本実施形態では、ゴムシート11に電子線を照射してプレ加硫しておき、このプレ加硫したゴムシート11をベルト層6上に巻き付けることで、ベルト層6とベルト補強層8との間にゴムシート11を介在させる。上記のように加硫時にほとんど拡張させないノンリフト工法を用いても、グリーンタイヤをモールドに沿わせる時に部分的にグリーンタイヤの変形が起こり、ベルトコードのエッジ部がベルト補強層のコードに接触することがあり、またタイヤ成形時のステッチャーによる圧着でも同様のことが発生する。また、本実施形態のようにタイヤ性能をできるだけ上げるためにベルト幅を広げてショルダー部の円弧に沿わせた場合、ベルト層を構成するスチールコードの曲げに対する反力によって、ベルトコードのエッジ部がベルト補強層のコードに接触しやすくなる。そこで、プレ加硫したゴムシートをベルト層とベルト補強層との間に介在させることで、ベルトコードのエッジ部との接触を抑えて、ベルト補強層の損傷を抑えることができる。
ここで、ベルト補強層を構成するゴム被覆されたスチールコードに対して電子線照射を行ってプレ加硫することも考えられるが、ゴム被覆されたスチールコードに電子線を照射すると、発熱によりゴムやスチールコードのメッキ層を傷めることになる。そのため、プレ加硫したゴムシートを介在させるのである。
このようなゴムシートを形成するためのゴム組成物としては、ベルト補強層のトッピングゴムとして一般に使用されている各種ゴム組成物が好ましく用いられる。詳細には、ゴム成分としては、電子線照射により加硫(架橋)可能なゴム、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、アクリルゴム、シリコンゴム(Q)、フッ素系ゴムなどが挙げられ、この中でも、ジエン系ゴム、特には、NR、IR、BR、SBRから選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。また、該ゴム組成物には、これらのゴム成分の他、カーボンブラックなどの充填剤、硫黄などの加硫剤が通常配合され、更に、亜鉛華、樹脂、有機酸金属塩、老化防止剤、加硫促進剤、加工助剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
上記ゴムシートの厚みは、特に限定するものではないが、0.3〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.5mmである。
上記プレ加硫とは、電子線の照射によってゴムシートの内部に部分的な架橋を生じさせて、半加硫の状態とすることであり、予備架橋とも称される。より詳細には、未加硫のゴムシートに対して、適度な電子線を照射することで、その表層部分は未加硫状態の粘着性を維持したまま、内側の層を加硫することができる。
このようなプレ加硫状態とするため、電子線による照射処理は、加速電圧が300kV以上、かつ照射量が10kGy以上であることが好ましい。このような条件で照射処理を行うことにより、ベルトコードのエッジ部とベルト補強層のコードとの接触を抑えるのに十分なゴムシートの加硫を行うことができる。詳細には、加速電圧によってゴムシートの厚み方向での電子線の進入深さが決まり、これが300kV未満では、ゴムシートの表層部分が加硫されやすく、内側の層を効果的に加硫しにくい。加速電圧の上限は、特に限定されないが、600kV以下であることが好ましい。照射量については、これが10kGy未満では、加硫が不十分となってベルトコードのエッジ部の進入を食い止めることが困難である。照射量の上限は、40kGy以下であることが好ましく、照射量が多すぎると、加硫されすぎてしまい、タイヤとなったときの周辺部材との接着性が損なわれる。
電子線の照射は、ゴムシートの少なくとも片面になされていればよく、ゴムシートの表裏表面に照射処理してもよい。表裏表面に照射処理する場合、それぞれの面に対して、上記処理条件、すなわち、加速電圧が300kV以上、かつ照射量が10kGy以上にて実施する。
このようにしてプレ加硫した後、得られたゴムシートをベルト層上に巻き付ける。ゴムシートは、例えば、ベルト層の全幅に対応した幅を持つ帯状に作製しておき、これをベルト層の外周側に巻き付ければよい。
次いで、ゴム被覆したスチールコードを上記ゴムシート上に巻き付けることによりベルト補強層を形成する。ゴムシート上に巻き付けるゴム被覆したスチールコードとしては、スチールコードを複数本引き揃え、これをゴム被覆してなる所定幅(例えば5〜20mm程度)のゴムストリップでもよく、あるいはまた、1本のスチールコードをゴム被覆したものであってもよい。これらをゴムシートの上から実質的にタイヤ周方向に螺旋状に巻き付けることにより、ベルト補強層が形成されるので、その上にトレッドゴムを貼り付けることでグリーンタイヤが得られる。
グリーンタイヤは、その外径が製品タイヤの外径とほぼ同一となるように作製される。そして、加硫成形時には、該グリーンタイヤを、実質的に拡張(膨径)させずに、トレッドゴムにタイヤ成形金型の分割モールドを半径方向外方側から押し付けることにより、所定のトレッドパターンを持つ空気入りラジアルタイヤが得られる。かかる分割モールドとしては、公知のものを用いることができ、例えば、タイヤ周方向に均等に分割された7〜13個のセグメントにより構成されたものが用いられる。各セグメントは、タイヤ放射方向(半径方向)に移動可能に設けられており、半径方向内方に変位することで、型閉めがなされてタイヤ成形を行うことができる。グリーンタイヤの加硫時におけるリフト率(膨径率)は、タイヤショルダー部で1%以下であり、このように実質的に拡張せずに加硫成形を行う。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図1に示す断面形状を持つタイヤサイズ:295/30ZR19 100Yのラジアルタイヤを試作した。ベルト補強層(キャッププライ)及びゴムシートの構成は、実施例及び比較例の各タイヤについて、下記表1,2に示す通りであり、ベルト補強層及びゴムシート以外の構成は、全ての共通の構成とした。
詳細には、常法に従いベルト層を形成した後、該ベルト層の外周側にゴムシートを巻き付け、ゴム被覆したコードをゴムシートの上から巻き付けてベルト補強層を形成し、グリーンタイヤを作製した後、加硫成形した。タイヤの加硫成形は、比較例6を除いて全て上記ノンリフト工法にて行い、比較例6は加硫時にタイヤを拡張してモールドに押し付ける通常工法(ショルダー部でのリフト率=約3%)により行った。
ゴムシートに対する電子線の照射処理は、(株)NHVコーポレーション製の電子線照射機を用いて、ゴムシートの片面に行い、処理面をベルト層側に向けてベルト層上に巻き付けた。
なお、ゴムシートの厚みは0.5mmとし、ゴムシートを形成するゴム組成物の配合は、天然ゴム(RSS#3)100重量部、亜鉛華5.0重量部、ステアリン酸2.5重量部、フェニル−β−ナフチルアミン1重量部、HAFカーボンブラック(東海カーボン製「シースト300」)50重量部、芳香族系プロセスオイル(ジャパンエナジー製「JOMOプロセスX−140」)5.0重量部、硫黄2.5重量部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド0.7重量部とした。
また、全てタイヤについて、ベルト層は、2+2×0.25(mm)のスチールコードを打ち込み本数22本/25.4mmとしたものを2枚(コード角度は、+28°/−28°)とした。また、カーカス層は、双撚り構造のポリエステル繊維コード(1670dtex/2)の1プライ構造とした。
作製した各タイヤについて、高速耐久性と悪路走行試験と操縦安定性の評価を行った。各評価方法は以下の通りである。また、ベルト補強層を構成するスチールコードの強力の測定方法は以下の通りである。
[スチールコード強力]
JIS G3510に準拠した引張試験を行って、コード強力を測定した。
[高速耐久性]
ECE−R30に則した高速耐久性試験を実施した。詳細には、タイヤサイド部に記載された最大負荷能力の荷重をかけ、10分毎に10km/hずつ速度を上げていき、タイヤに故障が発生した時の速度と時間を表示した(表中、「300km−5分」は、300km/hの段階において5分間で故障したことを意味する。)。速度が高いほど、また同じ速度であれば時間が長いほど、高速耐久性に優れることを意味する。また、試験終了後に、タイヤを解体し、ベルト補強層のコード切れの有無を調べた。
[悪路走行試験]
タイヤを乗用車に装着し、1周2kmの砂利道を5,000km走行させた後に、タイヤを解体調査し、コード切れの有無をみた。
[操縦安定性]
タイヤを装着した車両を用い、テストドライバーが乾燥路面での操縦安定性を10点満点法により官能評価した。数値が大きいほど操縦安定性に優れる。
Figure 0005313049
Figure 0005313049
表に示す通り、比較例1であると、ベルト補強層のコードとしてフィラメント径が0.09mmでコード構造が3+9の複層撚り構造のスチールコードを用いてノンリフト工法によりタイヤを作製しているものの、ベルト補強層とベルト層の間に介在させるゴムシートに電子線照射処理を行っていないため、操縦安定性には優れていたが、高速耐久性に劣り、高速耐久性試験後のタイヤにおいて、ショルダー部でベルト補強層のコード切れが生じていた。また、悪路走行試験でもコード切れが生じていた。比較例2及び3においては、電子線照射によるゴムシートの十分なプレ加硫がなされていないため、比較例1と同様に、操縦安定性には優れるものの、高速耐久性及び悪路走行での耐久性に劣っていた。
比較例4では、電子線照射による十分なプレ加硫がなされたゴムシートを用いたため、ショルダー部でのベルト補強層とベルトコードのエッジ部との起因するコード切れは生じなかったが、ベルト補強層のスチールコードのフィラメント径が0.15mmと大きかったため、ベルト補強層のスチールコードにおいて全体的にコード切れが生じ、耐久性に劣っていた。
比較例5では、ベルト補強層のコードとして低弾性率のナイロン66繊維コードを用いたので、電子線照射処理及びノンリフト工法を行っているものの、高速耐久性及び操縦安定性に劣っていた。また、比較例6では、加硫時にタイヤを拡張する通常工法によるものではあるが、ベルト補強層のコードとして低弾性率のナイロン66繊維コードを用いたため、ベルト補強層のコード切れの問題は生じなかったが、ベルト補強層による拘束性に劣り、高速耐久性及び操縦安定性に劣っていた。
これに対し、実施例1〜5の各タイヤであると、スチールコードの高モジュラスな特性を活かして高速耐久性及び操縦安定性に優れるとともに、電子線照射による十分なプレ加硫がなされたゴムシートを用いたので、ベルト補強層のスチールコードとベルトコードのエッジ部との接触を防いでタイヤショルダー部におけるベルト補強層の損傷を防止することができ、悪路走行での耐久性にも優れていた。
本発明は、乗用車用タイヤを始めとする各種の空気入りラジアルタイヤに好適に用いることができる。
T…空気入りラジアルタイヤ 2…サイドウォール部
3…トレッド部 4…カーカス層
5…ビードコア 6…ベルト層
6A…ベルト層のエッジ部 7…トレッドゴム部
8…ベルト補強層 9…ショルダー部
11…ゴムシート

Claims (4)

  1. トレッド部におけるカーカス層の外周側に設けられたベルト層と、前記ベルト層の外周側に設けられタイヤ周方向に実質的に平行に延びるコードを含んでなるベルト補強層とを備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法において、
    ゴムシートに電子線を照射してプレ加硫し、プレ加硫したゴムシートをベルトコードの切断端を含む前記ベルト層のエッジ部を覆うように前記ベルト層上に巻き付け、ゴム被覆したスチールコードを前記プレ加硫したゴムシートの上から前記ベルト層のエッジ部を覆うように巻き付けることで前記ベルト補強層を形成してグリーンタイヤを作製し、前記グリーンタイヤを、加硫時に実質的に拡張させずに分割モールドに押し付けることで加硫成形する、
    ことを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。
  2. 前記電子線による照射処理は、加速電圧が300kV以上、かつ照射量が10kGy以上であることを特徴とする請求項1記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。
  3. 前記スチールコードは、フィラメント径が0.13mm以下のフィラメントからなることを特徴する請求項1又は2記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
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