JPWO2004083675A1 - 防振装置及び防振装置の製造方法 - Google Patents
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- F16F13/16—Units of the bushing type, i.e. loaded predominantly radially specially adapted for receiving axial loads
Abstract
軽量化・小型化を図り、ゴム状弾性体の耐久性を向上させることができるとともに、自動車の操縦安定性の向上を図る防振装置である。内筒(1)と外筒(2)との間にゴム状弾性体(3)を介在させる内筒本体(15)と、この内筒本体の軸芯方向の一端部に圧入される筒部材(18)とから構成し、筒部材に内筒部材の一端部よりも大径の拡径部(19)を形成し、その拡径部の端面を支持部材(30)の取り付け面(20)に当接させるように構成してある。また、ゴム状弾性体に内外筒の軸芯方向の圧縮力を作用させる圧縮作用手段を設け、該圧縮力作用手段は内外筒の軸芯方向一端側ほど中間筒側に位置する第1傾斜面(41)を備えた内筒側の壁部と、内外筒の軸芯方向他端側ほど内筒側に位置する第2傾斜面(42)を備えた中間筒(7)側の壁部とを、第1傾斜面と第2傾斜面でゴム状弾性体を挟み込んで構成してある。
Description
本発明は、内筒と外筒をこれらの間に介在するゴム状弾性体で連結してある防振装置、内筒と外筒を、前記内筒を挟んで位置する一対のゴム状弾性体で連結し、内外筒の周方向で前記一対のゴム状弾性体の間に液室をそれぞれ形成するとともに、これら一対の液室を連通させるオリフィスを形成し、前記ゴム状弾性体は、前記内筒と、前記外筒に内嵌した中間筒とにわたって加硫成形してある液封入式の防振装置、及び、防振装置の製造方法に関するものである。
上記の防振装置の一例として、自動車のリヤーサスペンションのフロントメンバーと車体フレームとの間に設けられる防振装置がある。この防振装置は、フロントメンバー側の縦カラーに圧入され、内筒に挿通させた連結ボルトで車体フレームに連結固定される。そして、この連結固定状態で、内筒の軸芯方向の一端面が支持部材としての車体フレームの取付け面に圧接している。
上記の構造において、内筒の前記一端面の面積が小さいと、振動に伴って内筒が取付け面に対し倒れやすくなって振動を減衰させにくくなる。そこで、この種の防振装置では、内筒の一端面の面積を大きくして倒れ剛性を強くしている。
その手段として、内筒の全体を厚肉にする第1の技術があるが、この技術では、防振装置が大型化するとともに重量が重くなる。
一方、外筒と、一端部を拡径した内筒との間にゴム状弾性体を加硫成形する第2の技術がある。この第2技術によれば、防振装置の大型化や重量化を回避できるものの、一端部が拡径された内筒にゴム状弾性体を加硫成形するために、図14に示すように、ゴム状弾性体103の端面110の自由長を十分確保することができない。
すなわち、加硫成形工程では中型を内筒101の軸芯方向に型抜きするので、内筒101の一端部109が拡径されていると、中型を、内筒101の一端部109の外周面と外筒102の内周面との間にしか配置することができず、そのために、ゴム状弾性体103の端面110を二点鎖線112の位置に設定することができなくなり、ゴム状弾性体103の端面110の面積が小さくなって、弾性変形に対する自由長を十分に確保できない。その結果、ゴム状弾性体103の耐久性が低下する。
以上の問題を解消するために、直胴状の内筒の一端面に押圧具を円錐軌跡を描くように回転させながら押付けて内筒の一端部を拡径する第3の技術が提案されている(特開2002−188671号公報)。
上記の第3の技術では、外筒と内筒の間にゴム状弾性体を加硫成形してから前記一端面を拡張させることで、加硫成形の際、内筒の軸芯方向中間部の外周面と外筒の内周面との間の全幅にわたって中型を配置することができ、ゴム状弾性体の自由長を十分長く確保することができて、ゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる。そして、防振装置の大型化や重量化の不具合もない。
しかしながら、内筒の一端部を大きく拡径させようとすると、内筒の一端部に大きな押圧力を加えなければならず、その一端部に割れが生じやすくなることから、あまり大きく拡径させることができないという新たな問題が生じていた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、軽量化・小型化を図ることができ、ゴム状弾性体の自由長を十分長く確保できて、ゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる構造でありながら、内筒の一端部を大きく拡径させることができて、内筒の倒れ剛性を強くすることができ、振動減衰効果を十分得ることができる防振装置を提供する点にある。
また、上記の防振装置の一例として、自動車のリヤーサスペンションのフロントメンバーと車体フレームとの間に設けられる液封入式の防振装置がある。この防振装置は、フロントメンバー側の縦カラーに圧入され、内筒に挿通させた連結ボルトで車体フレームに連結固定される。
そして、振動の入力でゴム状弾性体が弾性変形し、内筒と外筒が相対変位して両液室の容積が変化する。これにより液体がオリフィスを通って流れ、その液体流動効果によって優れた振動減衰効果を得ている。
従来、上記の液封入式の防振装置は、ゴム状弾性体が加硫成形される内筒部分の外周面と中間筒部分の内周面を、共に内外筒の軸芯に平行な平滑面に形成してあった(特開平11−268551号公報)。
上記従来の構成によれば、内筒と外筒がそれらの軸芯方向(以下、「上下方向」という)に相対変位する場合、ゴム状弾性体にはせん断力が作用するだけで、ゴム状弾性体の上下方向のばね定数が小さくなっていた。そのために、自動車のロール方向の剛性が弱く、操縦安定性の向上が望まれていた。
前記ばね定数を上げる手段として、前記内筒部分から中間筒部分側に直角に張出す張出し部と、中間筒部分から内筒部分側に直角に張出す張出し部とを、前記ゴム状弾性体を上下方向で挟み込む状態に設け、振動に伴って両張出し部でゴム状弾性体を上下方向で押圧する構造が考えられるが、この構造によれば、内筒や中間筒に対して直角になった両張出し部でゴム状弾性体を押圧するために、ゴム状弾性体に作用する圧縮力が大きくなり過ぎて、ゴム状弾性体の耐久性が低下する。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、自動車の操縦安定性をよくすることができ、しかも内外筒間のゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる防振装置を提供する点にある。
上記の構造において、内筒の前記一端面の面積が小さいと、振動に伴って内筒が取付け面に対し倒れやすくなって振動を減衰させにくくなる。そこで、この種の防振装置では、内筒の一端面の面積を大きくして倒れ剛性を強くしている。
その手段として、内筒の全体を厚肉にする第1の技術があるが、この技術では、防振装置が大型化するとともに重量が重くなる。
一方、外筒と、一端部を拡径した内筒との間にゴム状弾性体を加硫成形する第2の技術がある。この第2技術によれば、防振装置の大型化や重量化を回避できるものの、一端部が拡径された内筒にゴム状弾性体を加硫成形するために、図14に示すように、ゴム状弾性体103の端面110の自由長を十分確保することができない。
すなわち、加硫成形工程では中型を内筒101の軸芯方向に型抜きするので、内筒101の一端部109が拡径されていると、中型を、内筒101の一端部109の外周面と外筒102の内周面との間にしか配置することができず、そのために、ゴム状弾性体103の端面110を二点鎖線112の位置に設定することができなくなり、ゴム状弾性体103の端面110の面積が小さくなって、弾性変形に対する自由長を十分に確保できない。その結果、ゴム状弾性体103の耐久性が低下する。
以上の問題を解消するために、直胴状の内筒の一端面に押圧具を円錐軌跡を描くように回転させながら押付けて内筒の一端部を拡径する第3の技術が提案されている(特開2002−188671号公報)。
上記の第3の技術では、外筒と内筒の間にゴム状弾性体を加硫成形してから前記一端面を拡張させることで、加硫成形の際、内筒の軸芯方向中間部の外周面と外筒の内周面との間の全幅にわたって中型を配置することができ、ゴム状弾性体の自由長を十分長く確保することができて、ゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる。そして、防振装置の大型化や重量化の不具合もない。
しかしながら、内筒の一端部を大きく拡径させようとすると、内筒の一端部に大きな押圧力を加えなければならず、その一端部に割れが生じやすくなることから、あまり大きく拡径させることができないという新たな問題が生じていた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、軽量化・小型化を図ることができ、ゴム状弾性体の自由長を十分長く確保できて、ゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる構造でありながら、内筒の一端部を大きく拡径させることができて、内筒の倒れ剛性を強くすることができ、振動減衰効果を十分得ることができる防振装置を提供する点にある。
また、上記の防振装置の一例として、自動車のリヤーサスペンションのフロントメンバーと車体フレームとの間に設けられる液封入式の防振装置がある。この防振装置は、フロントメンバー側の縦カラーに圧入され、内筒に挿通させた連結ボルトで車体フレームに連結固定される。
そして、振動の入力でゴム状弾性体が弾性変形し、内筒と外筒が相対変位して両液室の容積が変化する。これにより液体がオリフィスを通って流れ、その液体流動効果によって優れた振動減衰効果を得ている。
従来、上記の液封入式の防振装置は、ゴム状弾性体が加硫成形される内筒部分の外周面と中間筒部分の内周面を、共に内外筒の軸芯に平行な平滑面に形成してあった(特開平11−268551号公報)。
上記従来の構成によれば、内筒と外筒がそれらの軸芯方向(以下、「上下方向」という)に相対変位する場合、ゴム状弾性体にはせん断力が作用するだけで、ゴム状弾性体の上下方向のばね定数が小さくなっていた。そのために、自動車のロール方向の剛性が弱く、操縦安定性の向上が望まれていた。
前記ばね定数を上げる手段として、前記内筒部分から中間筒部分側に直角に張出す張出し部と、中間筒部分から内筒部分側に直角に張出す張出し部とを、前記ゴム状弾性体を上下方向で挟み込む状態に設け、振動に伴って両張出し部でゴム状弾性体を上下方向で押圧する構造が考えられるが、この構造によれば、内筒や中間筒に対して直角になった両張出し部でゴム状弾性体を押圧するために、ゴム状弾性体に作用する圧縮力が大きくなり過ぎて、ゴム状弾性体の耐久性が低下する。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、自動車の操縦安定性をよくすることができ、しかも内外筒間のゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる防振装置を提供する点にある。
第1発明にかかる防振装置の特徴構成は、内筒と外筒をこれらの間に介在するゴム状弾性体で連結してある防振装置であって、
前記内筒を、前記外筒との間に前記ゴム状弾性体を介在させる内筒本体と、この内筒本体の軸芯方向の一端部に圧入される筒部材とから構成し、前記筒部材に、前記内筒本体の一端部よりも大径の拡径部を形成し、その拡径部の端面を支持部材の取付け面に当接させるよう構成してある点にある。
この構成によれば、筒部材の拡径部の一端面が車体フレーム等の支持部材の取付け面に圧接されるように、筒部材・内筒本体等を、連結ボルト等を介して支持部材に連結固定することができる。
内筒本体は過度に厚肉にする必要がなく、内筒の全体を厚肉にする従来の第1の技術に比べると、軽量化・小型化を図ることができる。
例えば、直胴状の内筒の一端面に押圧具を円錐軌跡を描くように回転させながら押付けて内筒の一端部を拡径する従来の第2技術では、拡径加工の際に内筒に大きな押圧力を加えるために、内筒の一端部を大きく拡径させようとすると、その一端部に割れが生じやすいが、本発明の構成によれば、内筒の一端部を拡径させるのに、筒部材に大きな力を加えなくても済むから、筒部材の拡径部に割れが生じることがなく、拡径部をより大径に設定することができる。
また、内筒本体と外筒の間にゴム状弾性体を加硫成形した後(液封入式防振装置の場合は、例えば、外筒に内嵌させる中間筒と内筒本体の間にゴム状弾性体を加硫成形した後)に、内筒本体の一端部に筒部材を圧入することで、加硫成形工程では、内筒の軸芯方向中間部の外周面と外筒(あるいは中間筒)の内周面との間の全幅にわたって中型を配置することができ、ゴム状弾性体の自由長を十分長く確保することができる。
第2発明にかかる防振装置の特徴構成は、第1発明の防振装置において、前記筒部材を鍛造により形成してある点にある。前記筒部材を鍛造により形成してあると、車体フレーム等の支持部材の端面に圧接する筒部材の拡径部の一端面を鍛造の際に表面粗し加工することができる。その結果、前記一端面と、これが圧接する車体フレーム等の支持部材の取付け面とを滑りにくくすることができる。
表面粗し加工は、内筒の一端面を押圧具で押圧して行うのが普通であるが、この手段によれば、内筒の他端面が一端面よりも小さいために、小さい方の他端面側だけが十分粗されて、一端面側には表面粗さに斑が出やすい。他端面側も十分粗そうとすると内筒が座屈するおそれがある。これに対して、本発明の構成によれば、筒部材の拡径部の一端面を鍛造の際に粗すことができるから、上記のような不具合がなく、前記一端面を均一に、かつ、所望の粗さに粗すことができる。しかも、筒部材の加工と表面粗し加工とを、鍛造という一つの工程で行うことができて工程数を少なくすることができる。
第3発明にかかる防振装置の製造方法の特徴手段は、請求の範囲第1又は第2項に記載の防振装置を製造する方法であって、
前記外筒と内筒本体の間に前記ゴム状弾性体を加硫成形し、その後に、前記筒部材を前記内筒本体の一端部に圧入する点にある。
また、第4発明にかかる防振装置の製造方法の特徴手段は、請求の範囲第1又は第2項に記載の防振装置を製造する方法であって、
前記外筒に内嵌させる中間筒と前記内筒本体の間に前記ゴム状弾性体を加硫成形し、その後に、前記筒部材を前記内筒本体の一端部に圧入する点にある。
これらの製造方法によれば、本発明にかかる防振装置の上記作用と同様の作用を奏することができる。
第5発明にかかる防振装置の特徴構成は、内筒と外筒を、前記内筒を挟んで位置する一対のゴム状弾性体で連結し、内外筒の周方向で前記一対のゴム状弾性体の間に液室をそれぞれ形成するとともに、これら一対の液室を連通させるオリフィスを形成し、前記ゴム状弾性体は、前記内筒と、前記外筒に内嵌した中間筒とにわたって加硫成形してある液封入式の防振装置であって、
前記ゴム状弾性体に前記内外筒の軸芯方向の圧縮力を作用させる圧縮力作用手段を各ゴム状弾性体ごとに設け、前記圧縮力作用手段を構成するに、前記内外筒の軸芯方向一端側ほど前記中間筒側に位置する第1傾斜面を備えた内筒側の壁部と、前記内外筒の軸芯方向他端側ほど前記内筒側に位置する第2傾斜面を備えた中間筒側の壁部とを、前記第1傾斜面と第2傾斜面で前記ゴム状弾性体を挟み込む状態に設けてある点にある。
この構成によれば、内筒と外筒がそれらの軸芯方向に相対変位すると、それに伴って内筒側の壁部の第1傾斜面と中間筒側の壁部の第2傾斜面とでこれらの間のゴム状弾性体(あるいはゴム状弾性体部分)を押圧する。これにより、ゴム状弾性体に圧縮力及びせん断力を作用させ、内筒及び中間筒の軸芯方向のゴム状弾性体のばね定数を大きくすることができて、自動車のロール方向の剛性を強くすることができる。
また、例えば、内筒部分から中間筒部分側に直角に張出す張出し部と、中間筒部分から内筒部分側に直角に張出す張出し部とでゴム状弾性体を押圧する構成に比べると、前記圧縮力を小さくすることができ、ゴム状弾性体に作用する圧縮力が大きくなり過ぎるのを抑制することができる。
第6発明にかかる防振装置の特徴構成は、内筒と外筒をこれらの間に介在するゴム状弾性体で連結してある防振装置であって、
前記ゴム状弾性体に圧縮力を作用させる圧縮力作用手段を設け、この圧縮力作用手段を構成するに、前記内外筒の軸芯方向一端側ほど前記外筒側に位置する第1傾斜面を備えた内筒側の壁部と、前記内外筒の軸芯方向他端側ほど前記内筒側に位置する第2傾斜面を備えた外筒側の壁部とを、前記第1傾斜面と第2傾斜面で前記ゴム状弾性体を挟み込む状態に設けてある点にある。
この構成によれば、内筒と外筒がそれらの軸芯方向に相対変位すると、それに伴って内筒側の壁部の第1傾斜面と外筒側の壁部の第2傾斜面とでこれらの間のゴム状弾性体(あるいはゴム状弾性体部分)を押圧する。これにより、ゴム状弾性体に圧縮力及びせん断力を作用させ、内筒及び外筒の軸芯方向のゴム状弾性体のばね定数を大きくすることができて、自動車のロール方向の剛性を強くすることができる。
また、例えば、内筒部分から外筒部分側に直角に張出す張出し部と、外筒部分から内筒部分側に直角に張出す張出し部とでゴム状弾性体を押圧する構成に比べると、前記圧縮力を小さくすることができ、ゴム状弾性体に作用する圧縮力が大きくなり過ぎるのを抑制することができる。
第7発明にかかる防振装置の特徴構成は、第2発明の防振装置において、前記内筒側の壁部を前記内筒の全周にわたって設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の全周にわたって設けてある点にある。また、第8発明にかかる防振装置の特徴構成は、第2発明の防振装置において、前記内筒側の壁部を前記内筒の周方向に分散させて複数設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の周方向に分散させて複数設けてある点にある。これらの構成によれば、前記圧縮力やせん断力がゴム状弾性体の一部分に偏って作用するのを防止できる。
第8発明にかかる防振装置の特徴構成は、第1又は第2発明の防振装置において、前記内筒側の壁部は前記内筒の軸芯方向中間部を膨出させて形成し、前記中間筒側の壁部又は外筒側の壁部は前記中間筒又は外筒を折曲させて形成してある点にある。この構成によれば、各壁部を内筒・中間筒・外筒とは別の部材で形成しなくても済み、部品点数を少なくすることができる。
前記内筒を、前記外筒との間に前記ゴム状弾性体を介在させる内筒本体と、この内筒本体の軸芯方向の一端部に圧入される筒部材とから構成し、前記筒部材に、前記内筒本体の一端部よりも大径の拡径部を形成し、その拡径部の端面を支持部材の取付け面に当接させるよう構成してある点にある。
この構成によれば、筒部材の拡径部の一端面が車体フレーム等の支持部材の取付け面に圧接されるように、筒部材・内筒本体等を、連結ボルト等を介して支持部材に連結固定することができる。
内筒本体は過度に厚肉にする必要がなく、内筒の全体を厚肉にする従来の第1の技術に比べると、軽量化・小型化を図ることができる。
例えば、直胴状の内筒の一端面に押圧具を円錐軌跡を描くように回転させながら押付けて内筒の一端部を拡径する従来の第2技術では、拡径加工の際に内筒に大きな押圧力を加えるために、内筒の一端部を大きく拡径させようとすると、その一端部に割れが生じやすいが、本発明の構成によれば、内筒の一端部を拡径させるのに、筒部材に大きな力を加えなくても済むから、筒部材の拡径部に割れが生じることがなく、拡径部をより大径に設定することができる。
また、内筒本体と外筒の間にゴム状弾性体を加硫成形した後(液封入式防振装置の場合は、例えば、外筒に内嵌させる中間筒と内筒本体の間にゴム状弾性体を加硫成形した後)に、内筒本体の一端部に筒部材を圧入することで、加硫成形工程では、内筒の軸芯方向中間部の外周面と外筒(あるいは中間筒)の内周面との間の全幅にわたって中型を配置することができ、ゴム状弾性体の自由長を十分長く確保することができる。
第2発明にかかる防振装置の特徴構成は、第1発明の防振装置において、前記筒部材を鍛造により形成してある点にある。前記筒部材を鍛造により形成してあると、車体フレーム等の支持部材の端面に圧接する筒部材の拡径部の一端面を鍛造の際に表面粗し加工することができる。その結果、前記一端面と、これが圧接する車体フレーム等の支持部材の取付け面とを滑りにくくすることができる。
表面粗し加工は、内筒の一端面を押圧具で押圧して行うのが普通であるが、この手段によれば、内筒の他端面が一端面よりも小さいために、小さい方の他端面側だけが十分粗されて、一端面側には表面粗さに斑が出やすい。他端面側も十分粗そうとすると内筒が座屈するおそれがある。これに対して、本発明の構成によれば、筒部材の拡径部の一端面を鍛造の際に粗すことができるから、上記のような不具合がなく、前記一端面を均一に、かつ、所望の粗さに粗すことができる。しかも、筒部材の加工と表面粗し加工とを、鍛造という一つの工程で行うことができて工程数を少なくすることができる。
第3発明にかかる防振装置の製造方法の特徴手段は、請求の範囲第1又は第2項に記載の防振装置を製造する方法であって、
前記外筒と内筒本体の間に前記ゴム状弾性体を加硫成形し、その後に、前記筒部材を前記内筒本体の一端部に圧入する点にある。
また、第4発明にかかる防振装置の製造方法の特徴手段は、請求の範囲第1又は第2項に記載の防振装置を製造する方法であって、
前記外筒に内嵌させる中間筒と前記内筒本体の間に前記ゴム状弾性体を加硫成形し、その後に、前記筒部材を前記内筒本体の一端部に圧入する点にある。
これらの製造方法によれば、本発明にかかる防振装置の上記作用と同様の作用を奏することができる。
第5発明にかかる防振装置の特徴構成は、内筒と外筒を、前記内筒を挟んで位置する一対のゴム状弾性体で連結し、内外筒の周方向で前記一対のゴム状弾性体の間に液室をそれぞれ形成するとともに、これら一対の液室を連通させるオリフィスを形成し、前記ゴム状弾性体は、前記内筒と、前記外筒に内嵌した中間筒とにわたって加硫成形してある液封入式の防振装置であって、
前記ゴム状弾性体に前記内外筒の軸芯方向の圧縮力を作用させる圧縮力作用手段を各ゴム状弾性体ごとに設け、前記圧縮力作用手段を構成するに、前記内外筒の軸芯方向一端側ほど前記中間筒側に位置する第1傾斜面を備えた内筒側の壁部と、前記内外筒の軸芯方向他端側ほど前記内筒側に位置する第2傾斜面を備えた中間筒側の壁部とを、前記第1傾斜面と第2傾斜面で前記ゴム状弾性体を挟み込む状態に設けてある点にある。
この構成によれば、内筒と外筒がそれらの軸芯方向に相対変位すると、それに伴って内筒側の壁部の第1傾斜面と中間筒側の壁部の第2傾斜面とでこれらの間のゴム状弾性体(あるいはゴム状弾性体部分)を押圧する。これにより、ゴム状弾性体に圧縮力及びせん断力を作用させ、内筒及び中間筒の軸芯方向のゴム状弾性体のばね定数を大きくすることができて、自動車のロール方向の剛性を強くすることができる。
また、例えば、内筒部分から中間筒部分側に直角に張出す張出し部と、中間筒部分から内筒部分側に直角に張出す張出し部とでゴム状弾性体を押圧する構成に比べると、前記圧縮力を小さくすることができ、ゴム状弾性体に作用する圧縮力が大きくなり過ぎるのを抑制することができる。
第6発明にかかる防振装置の特徴構成は、内筒と外筒をこれらの間に介在するゴム状弾性体で連結してある防振装置であって、
前記ゴム状弾性体に圧縮力を作用させる圧縮力作用手段を設け、この圧縮力作用手段を構成するに、前記内外筒の軸芯方向一端側ほど前記外筒側に位置する第1傾斜面を備えた内筒側の壁部と、前記内外筒の軸芯方向他端側ほど前記内筒側に位置する第2傾斜面を備えた外筒側の壁部とを、前記第1傾斜面と第2傾斜面で前記ゴム状弾性体を挟み込む状態に設けてある点にある。
この構成によれば、内筒と外筒がそれらの軸芯方向に相対変位すると、それに伴って内筒側の壁部の第1傾斜面と外筒側の壁部の第2傾斜面とでこれらの間のゴム状弾性体(あるいはゴム状弾性体部分)を押圧する。これにより、ゴム状弾性体に圧縮力及びせん断力を作用させ、内筒及び外筒の軸芯方向のゴム状弾性体のばね定数を大きくすることができて、自動車のロール方向の剛性を強くすることができる。
また、例えば、内筒部分から外筒部分側に直角に張出す張出し部と、外筒部分から内筒部分側に直角に張出す張出し部とでゴム状弾性体を押圧する構成に比べると、前記圧縮力を小さくすることができ、ゴム状弾性体に作用する圧縮力が大きくなり過ぎるのを抑制することができる。
第7発明にかかる防振装置の特徴構成は、第2発明の防振装置において、前記内筒側の壁部を前記内筒の全周にわたって設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の全周にわたって設けてある点にある。また、第8発明にかかる防振装置の特徴構成は、第2発明の防振装置において、前記内筒側の壁部を前記内筒の周方向に分散させて複数設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の周方向に分散させて複数設けてある点にある。これらの構成によれば、前記圧縮力やせん断力がゴム状弾性体の一部分に偏って作用するのを防止できる。
第8発明にかかる防振装置の特徴構成は、第1又は第2発明の防振装置において、前記内筒側の壁部は前記内筒の軸芯方向中間部を膨出させて形成し、前記中間筒側の壁部又は外筒側の壁部は前記中間筒又は外筒を折曲させて形成してある点にある。この構成によれば、各壁部を内筒・中間筒・外筒とは別の部材で形成しなくても済み、部品点数を少なくすることができる。
図1は、本発明の第1実施の形態である液封入式防振装置の平面図である。
図2は、車体フレームに取付けた状態の液封入式防振装置を示し、液封入式防振装置については図1のA−O−A断面図である。
図3は、図2のB−B断面図である。
図4は、本発明の第2実施の形態である液封入式防振装置の平面図である。
図5は、車体フレームに取付けた状態の液封入式防振装置を示し、液封入式防振装置については図4のA−O−A断面図である。
図6は、図5のB−B断面図である。
図7は、内筒本体の平面図である。
図8は、図7のA−O−A断面図である。
図9は、中間筒の平面図である。
図10は、図9のB−O−B断面図である。
図11は、中間筒の側面図である。
図12は、第2実施の形態における防振装置のゴム状弾性体の周りの構造を示す縦断面図である。
図13は、第3実施の形態における防振装置のゴム状弾性体の周りの構造を示す縦断面図である。
図14は、従来の技術を示す液封入式防振装置の縦断面図である。
図2は、車体フレームに取付けた状態の液封入式防振装置を示し、液封入式防振装置については図1のA−O−A断面図である。
図3は、図2のB−B断面図である。
図4は、本発明の第2実施の形態である液封入式防振装置の平面図である。
図5は、車体フレームに取付けた状態の液封入式防振装置を示し、液封入式防振装置については図4のA−O−A断面図である。
図6は、図5のB−B断面図である。
図7は、内筒本体の平面図である。
図8は、図7のA−O−A断面図である。
図9は、中間筒の平面図である。
図10は、図9のB−O−B断面図である。
図11は、中間筒の側面図である。
図12は、第2実施の形態における防振装置のゴム状弾性体の周りの構造を示す縦断面図である。
図13は、第3実施の形態における防振装置のゴム状弾性体の周りの構造を示す縦断面図である。
図14は、従来の技術を示す液封入式防振装置の縦断面図である。
1 内筒
2 外筒
3 ゴム状弾性体
4 液室
5 オリフィス
7 中間筒
15 内筒本体
16 内筒本体の軸芯方向の一端部
18 筒部材
19 拡径部
20 拡径部の端面
30 支持部材
35 支持部材の取付け面
40 圧縮力作用手段
41 第1傾斜面
42 内筒側の壁部
43 第2傾斜面
44 中間筒側の壁部
2 外筒
3 ゴム状弾性体
4 液室
5 オリフィス
7 中間筒
15 内筒本体
16 内筒本体の軸芯方向の一端部
18 筒部材
19 拡径部
20 拡径部の端面
30 支持部材
35 支持部材の取付け面
40 圧縮力作用手段
41 第1傾斜面
42 内筒側の壁部
43 第2傾斜面
44 中間筒側の壁部
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,図2,図3に、自動車のリヤーサスペンションのフロントメンバーと車体フレームとの間に設ける円筒型の液封入式防振装置を示してある。
この液封入式防振装置は、内筒1と外筒2との間に、内筒1を挟んで位置する一対のゴム状弾性体3を介在させるとともに、一対の液室4と、両液室4を連通させるオリフィス5とを形成して構成してあり、フロントメンバーに設けた縦カラー6に圧入され、内筒1に挿通させた連結ボルトBで車体フレーム30(支持部材に相当)に連結固定される。
各部の構造について説明すると、内筒1と、これを囲む中間筒7の後述の縦壁9との間に前記一対のゴム状弾性体3を加硫成形し、中間筒7を外筒2に内嵌させてある。一対のゴム状弾性体3で防振基体10を構成している。Oは内筒1・中間筒7・外筒2の軸芯である。中間筒7は、外筒2に圧接させる軸芯方向両端側の一対のリング部8と、一対のリング部8同士を互いに連結する一対の互いに対向した縦壁9とから成り、中間筒7の周方向で両縦壁9の間を開口させてある。内筒1の構造については後で詳しく説明する。一対の縦壁9は、中間筒7の軸芯Oに対して点対称に位置している。
液室4は、内外筒1,2の周方向で一方のゴム状弾性体3と他方のゴム状弾性体3との間の空間を、内外筒1,2の軸芯方向両外方側から一対の互いに対向するゴム壁11A,11Bで各別に覆って形成してある。
ゴム壁11A,11Bはゴム状弾性体3と一体に加硫成形され、リング部8の内周面と、内外筒1,2の周方向で両ゴム状弾性体3の間の内筒部分とに加硫接着している。
一対のゴム壁11A,11Bの間の内筒部分を膨出させ、ゴム壁11A,11Bと連なるゴム部材12で覆うことで、内筒部分をストッパ部13に形成してある。このストッパ部13によって、内筒1と外筒2の相対変位を所定の範囲内に抑え、内筒1と外筒2の過剰な相対変位を防止する。14は内筒1を覆うゴム膜である。これはゴム壁11A,11Bと連なっている。
前記内筒1は、外筒2との間にゴム状弾性体3を介在させる内筒本体15と、この内筒本体15の軸芯方向の一端部16に圧入内嵌される筒部材18とから構成し、筒部材18に、内筒本体15の一端部16よりも大径のフランジ19(拡径部に相当)を形成し、そのフランジ19の一端面20を車体フレーム30の取付け面35に当接させるよう構成してある。17は筒部材18の圧入筒部である。筒部材18は鍛造により形成してあり、この鍛造の際にフランジ19の一端面20を表面粗し加工してある。
内筒本体15の一端部16に対する筒部材18の圧入筒部17の圧入は、中間筒7と内筒本体15の間にゴム状弾性体3を加硫成形した後に行う。この製造方法により製造することで、加硫成形の際、内筒本体15の軸芯方向中間部の外周面と中間筒7の内周面との間の全幅にわたって中型を配置することができ、ゴム状弾性体3の自由長を十分長く確保できて、ゴム状弾性体3の耐久性を向上させることができる。
外筒2は、本装置の製作過程において、中間筒7等を収容した状態で液体中で縮径加工して、上下両端部を径方向内方側に折り曲げてある。これにより、前述のように中間筒7のリング部8が外筒2に圧接し、液室4内に液体が封入される。
図2において、32は内筒1の他端面(この面も表面粗し加工してある)に圧接する座金、31は、連結ボルトBに螺合させたナット40と座金32との間に介在するストッパ金具、33はストッパゴムであり、内筒1が大きく上昇したときに、ストッパ金具31がストッパゴム33に当って、内筒1の変位を所定の範囲内に抑える。
車体フレーム30に対する上記構造の液封入式防振装置の連結固定状態で、筒部材18のフランジ19の一端面20は、車体フレーム30の取付け面35に圧接している。この液封入式防振装置に振動が入力すると、防振基体10が弾性変形して内筒1と外筒2が相対変位する。それに伴ってゴム壁11A,11Bが弾性変形して両液室4の容積が変化し、液体がオリフィス5を通って流動する。この液体流動効果によって優れた振動減衰効果を得ることができる。
以上、第1実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記第1実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1実施の形態では、本発明を液封入式の防振装置に適用する場合を説明したが、本発明は液を封入してない型の防振装置にも適用することができる。中間筒を設けることなく、内筒1と外筒2の間にゴム状弾性体を加硫成形してある構造の防振装置では、内筒本体15の一端部16に対する筒部材18の圧入筒部17の圧入を、外筒2と内筒本体15の間にゴム状弾性体3を加硫成形した後に行うことができる。
この製造方法により製造することで、加硫成形の際、内筒本体15の軸芯方向中間部の外周面と外筒2の内周面との間の全幅にわたって中型を配置することができ、ゴム状弾性体3の自由長を十分長く確保できて、ゴム状弾性体3の耐久性を向上させることができる。
また、上記第1実施の形態では、筒部材18を鍛造により形成する場合を説明したが、前記筒部材18を鍛造以外の加工手段により形成してあってもよい。前記筒部材18を、内筒本体15の軸芯方向の一端部16に圧入外嵌するように構成してあってもよい。
次に、第2実施の形態の防振装置について説明する。図4,図5,図6に、自動車のリヤーサスペンションのフロントメンバーと車体フレームとの間に設ける円筒型の液封入式の防振装置を示してある。なお、上記第1の実施形態の防振装置と同一の部分には同一の符号を付して説明する。
この防振装置は、内筒1と外筒2を、内筒1を挟んで位置する一対のゴム状弾性体3で連結し、内外筒1,2の周方向で一対のゴム状弾性体3の間に液室4をそれぞれ形成するとともに、これら一対の液室4を連通させるオリフィス5を形成して構成してある。そして、フロントメンバーに設けた縦カラー6に圧入し、内筒1に挿通させた連結ボルトBで車体フレーム30に連結固定してある。
各部の構造について説明すると、内筒1と、これを囲む中間筒7の後述の縦壁9との間に前記一対のゴム状弾性体3を加硫成形し、中間筒7を外筒2に内嵌してある。一対のゴム状弾性体3で防振基体10を構成している。Oは内筒1・中間筒7・外筒2の軸芯である。
図9,図10,図11にも示すように、中間筒7は、外筒2に圧接させる軸芯方向両端側の一対のリング部8と、一対のリング部8同士を互いに連結する一対の互いに対向した縦壁9とから成り、中間筒7の周方向で両縦壁9の間を開口させてある。また、上端部を折曲してフランジ45を形成してある。
一対の縦壁9は断面が円弧状で、中間筒7の軸芯Oに対して点対称に位置している。内筒1と中間筒7の構造については後でさらに詳しく説明する。
液室4は、内外筒1,2の周方向で一方のゴム状弾性体3と他方のゴム状弾性体3との間の空間を、内外筒1,2の軸芯方向両外方側から一対の互いに対向するゴム壁11A,11Bで各別に覆って形成してある。
ゴム壁11A,11Bはゴム状弾性体3と一体に加硫成形され、リング部8の内周面と、内外筒1,2の周方向で両ゴム状弾性体3の間の内筒部分とに加硫接着されている。
一対のゴム壁11A,11Bの間の内筒部分を膨出させ、ゴム壁11A,11Bと連なるゴム部材12で覆うことで、内筒部分をストッパ部13に形成してある。このストッパ部13によって、内筒1と外筒2の相対変位を所定の範囲内に抑え、内筒1と外筒2の過剰な相対変位を防止する。14は内筒1を覆うゴム膜である。これはゴム壁11A,11Bと連なっている。
前記内筒1は、外筒2との間にゴム状弾性体3を介在させる内筒本体15と、この内筒本体15の軸芯方向の一端部16に圧入内嵌される筒部材18とから構成し、筒部材18に、内筒本体15の一端部16よりも大径のフランジ19を形成し、そのフランジ19の一端面20を車体フレーム30の取付け面35に当接させるよう構成してある。17は筒部材18の圧入筒部である。筒部材18は鍛造により形成してあり、この鍛造の際にフランジ19の一端面20を表面粗し加工してある。
前記ゴム状弾性体3に内外筒1,2の軸芯方向の圧縮力を作用させる圧縮力作用手段40を各ゴム状弾性体3ごとに設けてある。図7〜図11にも示すように、この圧縮力作用手段40を構成するに、内外筒1,2の上端側(軸芯方向一端側に相当)ほど中間筒7側に位置する第1傾斜面41を備えた内筒1側の壁部42と、内外筒1,2の下端側(軸芯方向他端側に相当)ほど内筒1側に位置する第2傾斜面43を備えた中間筒7側の壁部44とを、第1傾斜面41と第2傾斜面43でゴム状弾性体3(詳しくはゴム状弾性体部分)を挟み込む状態に設けてある。
図7,図8に示すように、内筒1側の壁部42は、内筒1の軸芯方向中間部を縦断面形状が三角凸部になるように膨出させて形成してある。前記壁部42の上面は内筒本体15の軸芯Oに対して直角である。
図9,図10,図11に示すように、中間筒7側の壁部44は中間筒7の縦壁9の中間部を「く」の字形に折曲させて形成してある。「く」の字形の縦壁部分の背面と外筒部分の間にもゴム状弾性体3を加硫成形して、縦壁部分をゴム状弾性体3に埋没させてある。前記オリフィス5は縦壁部分の背面と外筒部分との間に位置している。
前記第1傾斜面41と第2傾斜面43は互いに平行である。そして、それらの内外筒1,2の軸芯Oに対する傾斜角度θ1,θ2(図8,図10参照)を25°に設定してある。内外筒1,2の軸芯方向(上下方向)で第1傾斜面41と第2傾斜面43とは重複してはいない。第1傾斜面41と第2傾斜面43はゴム状弾性体3を、両傾斜面41,43と交差する方向で挟み込んでいる。
外筒2は、本装置の製作過程において、中間筒7等を収容した状態で液体中で縮径加工し、上下両端部を径方向内方側に折り曲げてある。これにより、前述のように中間筒7のリング部8が外筒2に圧接し、液室4内に液体が封入される。
図5において、32は内筒1の他端面(この面も表面粗し加工してある)に圧接する座金、31は、連結ボルトBの頭部と座金32との間に介在するストッパ金具、33はストッパゴムであり、内筒1が大きく上昇したときに、ストッパ金具31がストッパゴム33に当って、内筒1の変位を所定の範囲内に抑える。
車体フレーム30に対する上記構造の液封入式防振装置の連結固定状態で、筒部材18のフランジ19の一端面20は、車体フレーム30の取付け面35に圧接している。この液封入式防振装置に振動が入力すると、防振基体10が弾性変形して内筒1と外筒2が相対変位する。それに伴ってゴム壁11A,11Bが弾性変形して両液室4の容積が変化し、液体がオリフィス5を通って流動する。この液体流動効果によって優れた振動減衰効果を得ることができる。
本発明者は、上記構造の防振装置を製作し、そのゴム状弾性体3のばね定数を測定した。測定の条件・結果を表1に示し、測定した液封入式防振装置の要部の構造を図12,図13に示してある。図12は、外筒2に内嵌する前の状態のゴム状弾性体3・内筒本体15・中間筒7等を示す第2実施の形態における防振装置の縦断面図、図13は、外筒2に内嵌する前の状態のゴム状弾性体3・内筒本体15・中間筒7等を示す第3実施の形態における防振装置の縦断面図である。
表1,図12,図13において、R1は内筒本体15の下端側の半径、R2は内筒1側の壁部42の最大半径(壁部42の突出端と軸芯Oとの距離)、R3は中間筒7の下端側の半径、L1は内筒1側の壁部42の上面から内筒本体15の下端面までの長さ、L2は第2傾斜面43の上端から内筒本体15の下端までの長さ、L3は第2傾斜面43の下端から内筒本体15の下端までの長さである。
θ1は内筒本体15の軸芯Oに対する第1傾斜面41の角度、θ2は中間筒7の軸芯Oに対する第2傾斜面43の角度である。Ks(P)は、内筒本体15の軸芯方向(軸方向)におけるゴム状弾性体3の静ばね定数、Ks(R)は、内筒本体15の径方向(軸直角方向)におけるゴム状弾性体3の静ばね定数である。
表1によれば、第2実施の形態,第3実施の形態とも、内筒本体15の軸芯方向におけるゴム状弾性体3の静ばね定数Ks(P)が大きくなり、Ks(P)/Ks(R)も0.2以上(従来構造のものは0.1〜0.15)と大きくなった。
以上、第2及び第3実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記第2及び第3実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
[1]例えば、上記第2及び第3実施の形態では、本発明を液封入式の防振装置に適用する場合を説明したが、本発明は液を封入してない型の防振装置にも適用することができる。つまり、内筒と外筒をこれらの間に介在するゴム状弾性体で連結し、前記圧縮力作用手段を構成するに、内外筒の軸芯方向一端側ほど外筒側に位置する第1傾斜面を備えた内筒側の壁部と、内外筒の軸芯方向他端側ほど内筒側に位置する第2傾斜面を備えた外筒側の壁部とを、第1傾斜面と第2傾斜面でゴム状弾性体を挟み込む状態に設けてあってもよい。
この構造において、内筒側の壁部を内筒の全周にわたって設けるとともに、外筒側の壁部を外筒の全周にわたって設けてあってもよく、あるいは、内筒側の壁部を内筒の周方向に分散させて複数設けるとともに、外筒側の壁部を外筒の周方向に分散させて複数設けてあってもよい。前記内筒側の壁部は前記内筒の軸芯方向中間部を膨出させて形成し、前記外筒側の壁部は外筒を折曲させて形成することができる。
[2]前記圧縮力作用手段40を構成するに、内外筒1,2の下端側(軸芯方向一端側に相当)ほど中間筒7側(あるいは外筒側)に位置する第1傾斜面41を備えた内筒1側の壁部42と、内外筒1,2の上端側(軸芯方向他端側に相当)ほど内筒1側に位置する第2傾斜面43を備えた中間筒7側の壁部44(あるいは外筒2側の壁部)とを、第1傾斜面41と第2傾斜面43でゴム状弾性体3を挟み込む状態に設けてあってもよい。
[3]前記第1傾斜面41と第2傾斜面43は互いに平行でなくてもよい。
[4]上記の実施形態で挙げた数値は一例であり、別の数値であってもよい。
この液封入式防振装置は、内筒1と外筒2との間に、内筒1を挟んで位置する一対のゴム状弾性体3を介在させるとともに、一対の液室4と、両液室4を連通させるオリフィス5とを形成して構成してあり、フロントメンバーに設けた縦カラー6に圧入され、内筒1に挿通させた連結ボルトBで車体フレーム30(支持部材に相当)に連結固定される。
各部の構造について説明すると、内筒1と、これを囲む中間筒7の後述の縦壁9との間に前記一対のゴム状弾性体3を加硫成形し、中間筒7を外筒2に内嵌させてある。一対のゴム状弾性体3で防振基体10を構成している。Oは内筒1・中間筒7・外筒2の軸芯である。中間筒7は、外筒2に圧接させる軸芯方向両端側の一対のリング部8と、一対のリング部8同士を互いに連結する一対の互いに対向した縦壁9とから成り、中間筒7の周方向で両縦壁9の間を開口させてある。内筒1の構造については後で詳しく説明する。一対の縦壁9は、中間筒7の軸芯Oに対して点対称に位置している。
液室4は、内外筒1,2の周方向で一方のゴム状弾性体3と他方のゴム状弾性体3との間の空間を、内外筒1,2の軸芯方向両外方側から一対の互いに対向するゴム壁11A,11Bで各別に覆って形成してある。
ゴム壁11A,11Bはゴム状弾性体3と一体に加硫成形され、リング部8の内周面と、内外筒1,2の周方向で両ゴム状弾性体3の間の内筒部分とに加硫接着している。
一対のゴム壁11A,11Bの間の内筒部分を膨出させ、ゴム壁11A,11Bと連なるゴム部材12で覆うことで、内筒部分をストッパ部13に形成してある。このストッパ部13によって、内筒1と外筒2の相対変位を所定の範囲内に抑え、内筒1と外筒2の過剰な相対変位を防止する。14は内筒1を覆うゴム膜である。これはゴム壁11A,11Bと連なっている。
前記内筒1は、外筒2との間にゴム状弾性体3を介在させる内筒本体15と、この内筒本体15の軸芯方向の一端部16に圧入内嵌される筒部材18とから構成し、筒部材18に、内筒本体15の一端部16よりも大径のフランジ19(拡径部に相当)を形成し、そのフランジ19の一端面20を車体フレーム30の取付け面35に当接させるよう構成してある。17は筒部材18の圧入筒部である。筒部材18は鍛造により形成してあり、この鍛造の際にフランジ19の一端面20を表面粗し加工してある。
内筒本体15の一端部16に対する筒部材18の圧入筒部17の圧入は、中間筒7と内筒本体15の間にゴム状弾性体3を加硫成形した後に行う。この製造方法により製造することで、加硫成形の際、内筒本体15の軸芯方向中間部の外周面と中間筒7の内周面との間の全幅にわたって中型を配置することができ、ゴム状弾性体3の自由長を十分長く確保できて、ゴム状弾性体3の耐久性を向上させることができる。
外筒2は、本装置の製作過程において、中間筒7等を収容した状態で液体中で縮径加工して、上下両端部を径方向内方側に折り曲げてある。これにより、前述のように中間筒7のリング部8が外筒2に圧接し、液室4内に液体が封入される。
図2において、32は内筒1の他端面(この面も表面粗し加工してある)に圧接する座金、31は、連結ボルトBに螺合させたナット40と座金32との間に介在するストッパ金具、33はストッパゴムであり、内筒1が大きく上昇したときに、ストッパ金具31がストッパゴム33に当って、内筒1の変位を所定の範囲内に抑える。
車体フレーム30に対する上記構造の液封入式防振装置の連結固定状態で、筒部材18のフランジ19の一端面20は、車体フレーム30の取付け面35に圧接している。この液封入式防振装置に振動が入力すると、防振基体10が弾性変形して内筒1と外筒2が相対変位する。それに伴ってゴム壁11A,11Bが弾性変形して両液室4の容積が変化し、液体がオリフィス5を通って流動する。この液体流動効果によって優れた振動減衰効果を得ることができる。
以上、第1実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記第1実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1実施の形態では、本発明を液封入式の防振装置に適用する場合を説明したが、本発明は液を封入してない型の防振装置にも適用することができる。中間筒を設けることなく、内筒1と外筒2の間にゴム状弾性体を加硫成形してある構造の防振装置では、内筒本体15の一端部16に対する筒部材18の圧入筒部17の圧入を、外筒2と内筒本体15の間にゴム状弾性体3を加硫成形した後に行うことができる。
この製造方法により製造することで、加硫成形の際、内筒本体15の軸芯方向中間部の外周面と外筒2の内周面との間の全幅にわたって中型を配置することができ、ゴム状弾性体3の自由長を十分長く確保できて、ゴム状弾性体3の耐久性を向上させることができる。
また、上記第1実施の形態では、筒部材18を鍛造により形成する場合を説明したが、前記筒部材18を鍛造以外の加工手段により形成してあってもよい。前記筒部材18を、内筒本体15の軸芯方向の一端部16に圧入外嵌するように構成してあってもよい。
次に、第2実施の形態の防振装置について説明する。図4,図5,図6に、自動車のリヤーサスペンションのフロントメンバーと車体フレームとの間に設ける円筒型の液封入式の防振装置を示してある。なお、上記第1の実施形態の防振装置と同一の部分には同一の符号を付して説明する。
この防振装置は、内筒1と外筒2を、内筒1を挟んで位置する一対のゴム状弾性体3で連結し、内外筒1,2の周方向で一対のゴム状弾性体3の間に液室4をそれぞれ形成するとともに、これら一対の液室4を連通させるオリフィス5を形成して構成してある。そして、フロントメンバーに設けた縦カラー6に圧入し、内筒1に挿通させた連結ボルトBで車体フレーム30に連結固定してある。
各部の構造について説明すると、内筒1と、これを囲む中間筒7の後述の縦壁9との間に前記一対のゴム状弾性体3を加硫成形し、中間筒7を外筒2に内嵌してある。一対のゴム状弾性体3で防振基体10を構成している。Oは内筒1・中間筒7・外筒2の軸芯である。
図9,図10,図11にも示すように、中間筒7は、外筒2に圧接させる軸芯方向両端側の一対のリング部8と、一対のリング部8同士を互いに連結する一対の互いに対向した縦壁9とから成り、中間筒7の周方向で両縦壁9の間を開口させてある。また、上端部を折曲してフランジ45を形成してある。
一対の縦壁9は断面が円弧状で、中間筒7の軸芯Oに対して点対称に位置している。内筒1と中間筒7の構造については後でさらに詳しく説明する。
液室4は、内外筒1,2の周方向で一方のゴム状弾性体3と他方のゴム状弾性体3との間の空間を、内外筒1,2の軸芯方向両外方側から一対の互いに対向するゴム壁11A,11Bで各別に覆って形成してある。
ゴム壁11A,11Bはゴム状弾性体3と一体に加硫成形され、リング部8の内周面と、内外筒1,2の周方向で両ゴム状弾性体3の間の内筒部分とに加硫接着されている。
一対のゴム壁11A,11Bの間の内筒部分を膨出させ、ゴム壁11A,11Bと連なるゴム部材12で覆うことで、内筒部分をストッパ部13に形成してある。このストッパ部13によって、内筒1と外筒2の相対変位を所定の範囲内に抑え、内筒1と外筒2の過剰な相対変位を防止する。14は内筒1を覆うゴム膜である。これはゴム壁11A,11Bと連なっている。
前記内筒1は、外筒2との間にゴム状弾性体3を介在させる内筒本体15と、この内筒本体15の軸芯方向の一端部16に圧入内嵌される筒部材18とから構成し、筒部材18に、内筒本体15の一端部16よりも大径のフランジ19を形成し、そのフランジ19の一端面20を車体フレーム30の取付け面35に当接させるよう構成してある。17は筒部材18の圧入筒部である。筒部材18は鍛造により形成してあり、この鍛造の際にフランジ19の一端面20を表面粗し加工してある。
前記ゴム状弾性体3に内外筒1,2の軸芯方向の圧縮力を作用させる圧縮力作用手段40を各ゴム状弾性体3ごとに設けてある。図7〜図11にも示すように、この圧縮力作用手段40を構成するに、内外筒1,2の上端側(軸芯方向一端側に相当)ほど中間筒7側に位置する第1傾斜面41を備えた内筒1側の壁部42と、内外筒1,2の下端側(軸芯方向他端側に相当)ほど内筒1側に位置する第2傾斜面43を備えた中間筒7側の壁部44とを、第1傾斜面41と第2傾斜面43でゴム状弾性体3(詳しくはゴム状弾性体部分)を挟み込む状態に設けてある。
図7,図8に示すように、内筒1側の壁部42は、内筒1の軸芯方向中間部を縦断面形状が三角凸部になるように膨出させて形成してある。前記壁部42の上面は内筒本体15の軸芯Oに対して直角である。
図9,図10,図11に示すように、中間筒7側の壁部44は中間筒7の縦壁9の中間部を「く」の字形に折曲させて形成してある。「く」の字形の縦壁部分の背面と外筒部分の間にもゴム状弾性体3を加硫成形して、縦壁部分をゴム状弾性体3に埋没させてある。前記オリフィス5は縦壁部分の背面と外筒部分との間に位置している。
前記第1傾斜面41と第2傾斜面43は互いに平行である。そして、それらの内外筒1,2の軸芯Oに対する傾斜角度θ1,θ2(図8,図10参照)を25°に設定してある。内外筒1,2の軸芯方向(上下方向)で第1傾斜面41と第2傾斜面43とは重複してはいない。第1傾斜面41と第2傾斜面43はゴム状弾性体3を、両傾斜面41,43と交差する方向で挟み込んでいる。
外筒2は、本装置の製作過程において、中間筒7等を収容した状態で液体中で縮径加工し、上下両端部を径方向内方側に折り曲げてある。これにより、前述のように中間筒7のリング部8が外筒2に圧接し、液室4内に液体が封入される。
図5において、32は内筒1の他端面(この面も表面粗し加工してある)に圧接する座金、31は、連結ボルトBの頭部と座金32との間に介在するストッパ金具、33はストッパゴムであり、内筒1が大きく上昇したときに、ストッパ金具31がストッパゴム33に当って、内筒1の変位を所定の範囲内に抑える。
車体フレーム30に対する上記構造の液封入式防振装置の連結固定状態で、筒部材18のフランジ19の一端面20は、車体フレーム30の取付け面35に圧接している。この液封入式防振装置に振動が入力すると、防振基体10が弾性変形して内筒1と外筒2が相対変位する。それに伴ってゴム壁11A,11Bが弾性変形して両液室4の容積が変化し、液体がオリフィス5を通って流動する。この液体流動効果によって優れた振動減衰効果を得ることができる。
本発明者は、上記構造の防振装置を製作し、そのゴム状弾性体3のばね定数を測定した。測定の条件・結果を表1に示し、測定した液封入式防振装置の要部の構造を図12,図13に示してある。図12は、外筒2に内嵌する前の状態のゴム状弾性体3・内筒本体15・中間筒7等を示す第2実施の形態における防振装置の縦断面図、図13は、外筒2に内嵌する前の状態のゴム状弾性体3・内筒本体15・中間筒7等を示す第3実施の形態における防振装置の縦断面図である。
表1,図12,図13において、R1は内筒本体15の下端側の半径、R2は内筒1側の壁部42の最大半径(壁部42の突出端と軸芯Oとの距離)、R3は中間筒7の下端側の半径、L1は内筒1側の壁部42の上面から内筒本体15の下端面までの長さ、L2は第2傾斜面43の上端から内筒本体15の下端までの長さ、L3は第2傾斜面43の下端から内筒本体15の下端までの長さである。
θ1は内筒本体15の軸芯Oに対する第1傾斜面41の角度、θ2は中間筒7の軸芯Oに対する第2傾斜面43の角度である。Ks(P)は、内筒本体15の軸芯方向(軸方向)におけるゴム状弾性体3の静ばね定数、Ks(R)は、内筒本体15の径方向(軸直角方向)におけるゴム状弾性体3の静ばね定数である。
以上、第2及び第3実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記第2及び第3実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
[1]例えば、上記第2及び第3実施の形態では、本発明を液封入式の防振装置に適用する場合を説明したが、本発明は液を封入してない型の防振装置にも適用することができる。つまり、内筒と外筒をこれらの間に介在するゴム状弾性体で連結し、前記圧縮力作用手段を構成するに、内外筒の軸芯方向一端側ほど外筒側に位置する第1傾斜面を備えた内筒側の壁部と、内外筒の軸芯方向他端側ほど内筒側に位置する第2傾斜面を備えた外筒側の壁部とを、第1傾斜面と第2傾斜面でゴム状弾性体を挟み込む状態に設けてあってもよい。
この構造において、内筒側の壁部を内筒の全周にわたって設けるとともに、外筒側の壁部を外筒の全周にわたって設けてあってもよく、あるいは、内筒側の壁部を内筒の周方向に分散させて複数設けるとともに、外筒側の壁部を外筒の周方向に分散させて複数設けてあってもよい。前記内筒側の壁部は前記内筒の軸芯方向中間部を膨出させて形成し、前記外筒側の壁部は外筒を折曲させて形成することができる。
[2]前記圧縮力作用手段40を構成するに、内外筒1,2の下端側(軸芯方向一端側に相当)ほど中間筒7側(あるいは外筒側)に位置する第1傾斜面41を備えた内筒1側の壁部42と、内外筒1,2の上端側(軸芯方向他端側に相当)ほど内筒1側に位置する第2傾斜面43を備えた中間筒7側の壁部44(あるいは外筒2側の壁部)とを、第1傾斜面41と第2傾斜面43でゴム状弾性体3を挟み込む状態に設けてあってもよい。
[3]前記第1傾斜面41と第2傾斜面43は互いに平行でなくてもよい。
[4]上記の実施形態で挙げた数値は一例であり、別の数値であってもよい。
第1発明によれば、軽量化・小型化を図ることができ、ゴム状弾性体の自由長を十分長く確保できて、ゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる構造でありながら、内筒の一端部を大きく拡径させることができて、内筒の倒れ剛性を強くすることができ、振動減衰効果を十分得ることができる防振装置及びその製造方法を提供することができた。
第2発明によれば、第1発明の奏する効果に加え、前記筒部材を鍛造により形成してあると、車体フレーム等の支持部材の端面に圧接する筒部材の拡径部の一端面を、均一に、かつ、所望の粗さに表面粗し加工することができ、内筒を、前記支持部材の取付け面と、内筒に挿通させた連結ボルト側の頭部等とで、より強く挟持固定でき、内筒の倒れをより防止しやすくすることができる。そして、筒部材の加工と表面粗し加工とを、鍛造という一つの工程で行うことができ、工程数を少なくすることができるから、製作コストを低廉化することができる。
第3又は第4発明によれば、第1又は第2発明と同様の効果を奏する。
第5又は第6発明によれば、自動車の操縦安定性をよくすることができ、しかも内外筒間のゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる液封入式の防振装置を提供することができ、本第2発明によれば、自動車の操縦安定性をよくすることができ、しかも内外筒間のゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる防振装置を提供することができた。
第7又は第8発明によれば、第6発明の奏する効果に加え、前記内筒側の壁部を前記内筒の全周にわたって設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の全周にわたって設ける構成や、前記内筒側の壁部を前記内筒側の周方向に分散させて複数設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の周方向に分散させて複数設ける構成にすると、内外筒間のゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる。
第9発明によれば、第5から第8発明のいずれかの奏する効果に加え、前記内筒側の壁部は前記内筒の軸芯方向中間部を膨出させて形成し、前記中間筒側の壁部又は外筒側の壁部は前記中間筒又は外筒を折曲させて形成してあると、部品点数を少なくすることができて、構造を簡素化できる。
第2発明によれば、第1発明の奏する効果に加え、前記筒部材を鍛造により形成してあると、車体フレーム等の支持部材の端面に圧接する筒部材の拡径部の一端面を、均一に、かつ、所望の粗さに表面粗し加工することができ、内筒を、前記支持部材の取付け面と、内筒に挿通させた連結ボルト側の頭部等とで、より強く挟持固定でき、内筒の倒れをより防止しやすくすることができる。そして、筒部材の加工と表面粗し加工とを、鍛造という一つの工程で行うことができ、工程数を少なくすることができるから、製作コストを低廉化することができる。
第3又は第4発明によれば、第1又は第2発明と同様の効果を奏する。
第5又は第6発明によれば、自動車の操縦安定性をよくすることができ、しかも内外筒間のゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる液封入式の防振装置を提供することができ、本第2発明によれば、自動車の操縦安定性をよくすることができ、しかも内外筒間のゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる防振装置を提供することができた。
第7又は第8発明によれば、第6発明の奏する効果に加え、前記内筒側の壁部を前記内筒の全周にわたって設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の全周にわたって設ける構成や、前記内筒側の壁部を前記内筒側の周方向に分散させて複数設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の周方向に分散させて複数設ける構成にすると、内外筒間のゴム状弾性体の耐久性を向上させることができる。
第9発明によれば、第5から第8発明のいずれかの奏する効果に加え、前記内筒側の壁部は前記内筒の軸芯方向中間部を膨出させて形成し、前記中間筒側の壁部又は外筒側の壁部は前記中間筒又は外筒を折曲させて形成してあると、部品点数を少なくすることができて、構造を簡素化できる。
Claims (9)
- 内筒と外筒をこれらの間に介在するゴム状弾性体で連結してある防振装置であって、
前記内筒を、前記外筒との間に前記ゴム状弾性体を介在させる内筒本体と、この内筒本体の軸芯方向の一端部に圧入される筒部材とから構成し、前記筒部材に、前記内筒本体の一端部よりも大径の拡径部を形成し、その拡径部の端面を支持部材の取付け面に当接させるよう構成してある防振装置。 - 前記筒部材を鍛造により形成してある請求の範囲第1項記載の防振装置。
- 請求の範囲第1又は第2項に記載の防振装置を製造する方法であって、
前記外筒と内筒本体の間に前記ゴム状弾性体を加硫成形し、その後に、前記筒部材を前記内筒本体の一端部に圧入する防振装置の製造方法。 - 請求の範囲第1又は第2項に記載の防振装置を製造する方法であって、
前記外筒に内嵌させる中間筒と前記内筒本体の間に前記ゴム状弾性体を加硫成形し、その後に、前記筒部材を前記内筒本体の一端部に圧入する防振装置の製造方法。 - 内筒と外筒を、前記内筒を挟んで位置する一対のゴム状弾性体で連結し、内外筒の周方向で前記一対のゴム状弾性体の間に液室をそれぞれ形成するとともに、これら一対の液室を連通させるオリフィスを形成し、前記ゴム状弾性体は、前記内筒と、前記外筒に内嵌した中間筒とにわたって加硫成形してある液封入式の防振装置であって、
前記ゴム状弾性体に前記内外筒の軸芯方向の圧縮力を作用させる圧縮力作用手段を各ゴム状弾性体ごとに設け、
前記圧縮力作用手段を構成するに、前記内外筒の軸芯方向一端側ほど前記中間筒側に位置する第1傾斜面を備えた内筒側の壁部と、前記内外筒の軸芯方向他端側ほど前記内筒側に位置する第2傾斜面を備えた中間筒側の壁部とを、前記第1傾斜面と第2傾斜面で前記ゴム状弾性体を挟み込む状態に設けてある液封入式の防振装置。 - 内筒と外筒をこれらの間に介在するゴム状弾性体で連結してある防振装置であって、
前記ゴム状弾性体に前記内外筒の軸芯方向の圧縮力を作用させる圧縮力作用手段を設け、
前記圧縮力作用手段を構成するに、前記内外筒の軸芯方向一端側ほど前記外筒側に位置する第1傾斜面を備えた内筒側の壁部と、前記内外筒の軸芯方向他端側ほど前記内筒側に位置する第2傾斜面を備えた外筒側の壁部とを、前記第1傾斜面と第2傾斜面で前記ゴム状弾性体を挟み込む状態に設けてある防振装置。 - 前記内筒側の壁部を前記内筒の全周にわたって設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の全周にわたって設けてある請求の範囲第6項記載の防振装置。
- 前記内筒側の壁部を前記内筒の周方向に分散させて複数設けるとともに、前記外筒側の壁部を前記外筒の周方向に分散させて複数設けてある請求の範囲第6項記載の防振装置。
- 前記内筒側の壁部は前記内筒の軸芯方向中間部を膨出させて形成し、前記中間筒側の壁部又は外筒側の壁部は前記中間筒又は外筒を折曲させて形成してある請求の範囲第5から第8項のいずれか一つに記載の防振装置。
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