JP3724221B2 - 防振ブッシュの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【技術分野】
本発明は、例えば自動車用のサスペンションブッシュ等に用いられる防振ブッシュの製造方法に係り、特に略扁平円筒形状の外筒金具を備えた防振ブッシュの製造方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
振動伝達系を構成する部材間に介装される防振装置の一種として、従来から、軸部材と、該軸部材の外周側に離間して配された外筒金具を、ゴム弾性体で連結せしめた防振ブッシュが知られており、例えば自動車用サスペンションブッシュ等に採用されている。
【0003】
ところで、このような防振ブッシュに対しては、それが装着される装置や箇所等に応じて各種の特性が要求される。具体的には、互いに直交する軸直角方向で、柔らかいばね特性と硬いばね特性が要求される場合があり、或いはまた、所定の軸直角方向において、大荷重入力時におけるゴム弾性体の弾性変形量を制限するストッパ機能が要求される場合等もある。そこで、このような要求特性を満足するために、従来では、例えば、軸部材から特定の軸直角方向外方に向かって突出する硬質の突起部を形成し、ゴム弾性体内に埋設配置することにより、かかる突起部の突出方向でゴム弾性体の肉厚を小さくして、ばね剛性を上げると共に、ゴム弾性体の弾性変形量を制限するようにした構造の防振ブッシュが提案されている。
【0004】
しかしながら、このような突起部を軸部材に一体形成することが難しく、合成樹脂等の硬質材で別途形成しなければならないために、製造が面倒で高コスト化が避けられないといった問題があった。
【0005】
そこで、このような問題に対処するために、例えば、外筒金具の曲率を周方向で異ならせて、軸直角方向で対向位置する一対の第一の周壁部分の曲率よりも、それに直交する軸直角方向で対向位置する一対の第二の周壁部分の曲率を小さくすることによって、該第二の周壁部分を略平板形状とした、略扁平円筒形状の外筒金具を採用することも、考えられる。かくの如き外筒金具を採用すれば、ゴム弾性体における軸直角方向の肉厚を、第一の周壁部分の対向方向と第二の周壁部分の対向方向で互いに異ならせて、それら各方向で相違するばね剛性を設定すること等が可能となる。
【0006】
ところが、かくの如き略扁平円筒形状を有する外筒金具を採用すると、防振ブッシュの製造工程における外筒金具に対する絞り加工が極めて困難になるという不具合が見出された。即ち、防振ブッシュにおいては、ゴム弾性体における引張応力の発生を軽減乃至は防止して耐久性を向上すること等を目的として、ゴム弾性体の加硫成形後に、外筒金具に対する絞り加工が施されるが、本発明者等が検討したところ、目的とする外筒金具の外周面形状に対応した成形面を備えた絞り型を用いて絞り加工を施すと、外筒金具の内周側にゴム弾性体が存在するために、外筒金具の内周側への変形を拘束することが難しく、特に、曲率の小さい第二の周壁部分が、絞り型の成形面から離れて内方に押し潰されたように変形してしまい易く、目的とする形状を安定して得ることが出来ないという事実が、明らかとなったのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、外筒金具に対する絞り加工を安定して加えることが出来、略扁平円筒形状の外筒金具を有する防振ブッシュを、有利に製造することの出来る防振ブッシュの製造方法を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
そして、このような課題を解決するために、本発明の特徴とするところは、軸部材と、該軸部材の外周側に離間して配された外筒金具を、ゴム弾性体で連結してなる中間製品を用い、該外筒金具に絞り加工を施すことにより、軸直角方向で対向位置する一対の第一の周壁部分の曲率よりも、それに直交する軸直角方向で対向位置する一対の第二の周壁部分の曲率が小さくされて、該第二の周壁部分が略平板形状とされた略扁平円筒形状の外筒金具を有する防振ブッシュを製造するに際して、前記中間製品の外筒金具における一対の第一の周壁部分に対して、該第一の周壁部分において目的とする曲率を有する第一の成形面を備えた絞り型を用いて、前記第二の周壁部分の外周面を拘束しない状態下で、絞り加工を施すと共に、該第一の周壁部分に対する絞り加工に遅れて、前記一対の第二の周壁部分に対する絞り加工を、該第一の周壁部分に対する絞り加工にて外方に膨出変形せしめられた該第二の周壁部分に対し、その周方向の両側部分を押圧して絞り力を作用させ、該第二の周壁部分の中央部分にも有効な縮径変形が生ぜしめられるように、少なくとも周方向中央部分が該第二の周壁部分における目的とする曲率よりも大きな曲率に対応する湾曲凹面形状とされた第二の成形面を備えた絞り型を用いて、前記第一の周壁部分の外周面を拘束した状態下で、施すことによって、目的とする防振ブッシュを製造するようにしたことにある。
【0009】
このような本発明方法においては、外筒金具に絞り加工を施すに際して、目的とする曲率が大きい(換言すれば、曲率半径が小さい)一対の第一の周壁部分に対する絞り加工が、目的とする曲率が小さい(換言すれば、曲率半径が大きい)一対の第二の周壁部分に対する絞り加工に先行して実施される。これにより、先ず、一対の第一の周壁部分が縮径されることに伴い、外筒金具の肉が一対の第二の周壁部分と軸方向にそれぞれ逃げるように移行せしめられ、それに遅れて、一対の第二の周壁部分が縮径される。しかも、第二の周壁部分は、成形面の少なくとも周方向中央部分が目的とする曲率よりも大きな曲率(換言すれば、小さな曲率半径)とされた絞り型によって縮径される。
【0010】
従って、本発明方法に従えば、第一の周壁部分が第二の周壁部分よりも先に目的とする形状に成形されるのであり、第二の周壁部分は、先ず、先行する第一の周壁部分の成形に伴い、最終形状よりも大きな曲率をもって外周側に湾曲状に突出せしめられる。その後、かかる第二の周壁部分が、第二の成形面で内周側に押圧されて縮径されるが、その際、第二の成形面の少なくとも中央部分が、第二の周壁部分の目的形状よりも大きな曲率とされていることから、第二の周壁部分に作用する押圧力、特に第二の周壁部分の周方向中央部位に作用する押圧力が軽減されるのであり、その結果、第二の周壁部分の特に中央部分が、必要以上に内方に凹んでしまうことなく、目的とする形状に有利に成形され得るのである。
【0011】
なお、本発明において、第二の周壁部分は、第一の周壁部分よりも小さな曲率で湾曲した円弧板形状等であっても良いが、周方向に直線的に延び、一対の第二の周壁部分の対向方向である軸直角方向線に直交して広がる平板形状とすることが望ましく、それによって、第一の周壁部分と第二の周壁部分の各対向方向でのばね特性をより大きく異ならせることが出来ると共に、一対の第二の周壁部分の対向方向でのストッパ機構をより有利に構成することが可能となる。
【0012】
また、本発明においては、例えば、前記第一の成形面を備えた絞り型と、前記第二の成形面を備えた絞り型とを、別体とし、該第一の成形面を備えた絞り型による前記外筒金具における第一の周壁部分に対する絞り加工を、前記第二の周壁部分の外周面を拘束しない状態下で施した後に、該第一の周壁部分の外周面を拘束した状態下で、該第二の成形面を備えた絞り型による該第二の周壁部分に対する絞り加工を施す方法が、好適に採用される。このような方法を採用すれば、第一の周壁部分と第二の周壁部分が、時間的に重ならずに各別に成形されることから、より高い成形精度を得ることが可能となる。
【0013】
尤も、本発明においては、それに代えて、第一の成形面と第二の成形面を、同じ絞り型によって構成することにより、一つの絞り型を用いて、第一の成形面による第一の周壁部分に対する絞り加工と、第二の成形面による第二の周壁部分に対する絞り加工を、タイミングをずらせて、即ち、第一の周壁部分に対する絞り加工を開始した後、所定の時間遅れをもって第二の周壁部分に対する絞り加工を開始することによって、行うことも可能であり、それによって、必要とされる絞り型が少なくて済む等といった効果が発揮される。
【0014】
また、本発明においては、前記第二の成形面を、前記第一の成形面よりも大きな曲率を有する円弧形状の湾曲凹面とすることが望ましい。このような第二の成形面を採用すれば、第二の周壁部分の絞り加工に際し、第二の周壁部分の周方向中央部位に第二の成形面が当接して直接に作用せしめられる押圧力が、より有利に軽減されるのであり、以て、第二の周壁部分における必要以上の内方への凹み変形が一層効果的に防止されて、成形安定性の更なる向上が図られ得る。なお、このように、目的とする第一の周壁部分の曲率よりも小さな曲率を有する第二の成形面を採用した場合でも、周方向にストレートな形状の第二の周壁部分を、有利に形成することが可能である。
【0015】
更にまた、本発明においては、前記中間製品として、前記軸部材と前記外筒金具に対して、前記ゴム弾性体がそれぞれ加硫接着された一体加硫成形品が、好適に採用され得る。かかる一体加硫成形品は、例えば、必要に応じて予め接着処理を施した軸部材と外筒金具の存在下で、それらの間にゴム材料を充填して加硫することにより、有利に製造され得る。
【0016】
さらに、本発明においては、中間製品を構成する外筒金具として、周方向全周に亘って一定の曲率を有する円筒金具等を採用することも可能であるが、例えば、前記中間製品を構成する前記外筒金具として、軸直角方向で対向位置する一対の第一の周壁部分の曲率よりも、それに直交する軸直角方向で対向位置する一対の第二の周壁部分の曲率が小さくされて、該第二の周壁部分が略平板形状とされることにより、絞り加工後の目的形状に対応した略扁平円筒形状を有する外筒金具を採用することが望ましい。このような最終形状に対応した外筒金具を中間製品で採用すれば、絞り加工に伴う外筒金具の変形量、換言すれば外筒金具の絞り率(縮径率)の周方向での不均一さが軽減されることから、中間製品において、外筒金具にゴム弾性体が加硫接着されている場合でも、絞り加工に際してゴム弾性体に生ぜしめられる歪みが軽減されて、耐久性や耐荷重性能の向上等が図られ得る。
【0017】
また、本発明においては、前記中間製品において、前記軸部材と前記外筒金具の間を軸方向に延びるすぐり部が、少なくとも前記一対の第二の周壁部分が対向位置する軸直角方向線上で軸部材を挟んだ両側に位置して形成されているものが、好適に採用される。このようなすぐり部を備えた中間製品では、非線形的にばね剛性が立ち上がるストッパ機構が実現されるのであり、また、外筒金具の絞り加工によって、すぐり部の軸直角方向幅寸法を小さくして、ばね剛性の立ち上がり荷重を十分に小さく設定することも出来る。なお、一対の第二の周壁部分が対向位置する軸直角方向線上に加えて、一対の第一の周方向部分が対向位置する軸直角方向線上でも、軸部材を挟んだ両側に位置するすぐり部を形成することが可能であり、互いに直交する二つの径方向で各一対のすぐり部を対向位置して形成することにより、径方向ばね特性のチューニング自由度が一層有利に確保され得る。
【0018】
そして、特に、一対の第二の周壁部分が対向位置する軸直角方向線上で軸部材を挟んだ両側に位置してすぐり部が形成されている場合には、すぐり部の存在により、外筒金具の絞り加工に際して、第二の周壁部分における必要以上の内方への凹み変形がより発生し易い傾向にあるが、本発明を採用することによって、かかる凹み変形が軽減乃至は防止されて、第二の周壁部分に対して目的とする絞り加工を安定して施すことが可能となるのである。
【0019】
更にまた、本発明方法は、前記外筒金具の少なくとも軸方向一方の開口端縁部に対して、外周側に向かって広がるフランジ状部が形成されてなる防振ブッシュの製造に対して、特に有利に採用される。即ち、軸方向の開口端縁部にフランジ状部が形成されていると、該フランジ状部により、絞り加工時における軸方向の変形が制限されること等の理由によって、第二の周壁部分における必要以上の内方への凹みを伴う潰れ的変形が、一層大きな問題となり易いのであり、そこにおいて、本発明方法を採用することによって、そのようなフランジ状部を備えた外筒金具を有する防振ブッシュを安定して製造することが出来るのである。なお、フランジ状部は、外筒金具の軸方向一方の側に形成されていても良いし、軸方向両側の開口端縁部に形成されていても良い。また、周方向に連続した環状のフランジ状部の他、周方向の一部にフランジ状部が形成された外筒金具であっても良い。更に、フランジ状部が形成されている場合には、外筒金具に対する絞り加工を、該フランジ状部に近接する部分を除いて施すことが望ましく、例えば、フランジ状部の軸方向内方に近接位置する部分には、絞り加工が施されない周壁部分を、数mm〜十mm程度の軸方向幅で設けることが望ましい。
【0020】
さらに、本発明方法においては、例えば、前記中間製品の外筒金具への絞り加工によって、前記ゴム弾性体に対して軸直角方向に10%以上の圧縮変形を及ぼしめることが出来るのであり、それによって、外筒金具の絞り後の形状精度を十分に確保しつつ、ゴム弾性体に対する予圧縮効果等を、一層有利に得ることが可能となるのである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0022】
先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態としてのサスペンションメンバマウント10が、示されている。このサスペンションメンバマウント10は、軸部材としての内筒金具12と外筒金具14が、互いに径方向に離間して配置されていると共に、それら内外筒金具12,14間に、ゴム弾性体としての本体ゴム弾性体15が介装されて、両金具12,14が弾性的に連結された構造とされている。
【0023】
より詳細には、内筒金具12は、小径の円筒形状を有しており、軸方向一方(図1中の左方)の端部近くには、略平板形状の固定プレート16が固着されている。この固定プレート16は、プレス金具等の剛性部材で構成されており、中心部に貫設された中心孔18において内筒金具12に外嵌され、溶着固定されている。また、該固定プレート16には、中心孔18を径方向一方向(図2中の上下方向)に挟んだ両側において、径方向外方に突出するストッパ板部22および傾斜板部24が、一体形成されている。図6にも示されているように、ストッパ板部22は、略一定の幅で、内筒金具12から突設されている一方、傾斜板部24は、径方向外方に向かって幅広となる略扇形状を有しており、内筒金具12の軸方向外方に向かって傾斜して突設されている。
【0024】
また、外筒金具14は、プレス加工等で形成された大径の略円筒形状を有しており、内筒金具12に外挿されることにより、内筒金具12の径方向外方に離間して略同軸的に配設されている。なお、外筒金具14の軸方向長さは、内筒金具12よりも短くされており、内筒金具12の軸方向略中央部分に外筒金具14が位置せしめられ、外筒金具14の軸方向開口部から内筒金具12の軸方向端部が突出している。また、外筒金具14の軸方向一方(図1中の左方)の開口周縁部には、径方向外方に突出するフランジ状部26が、周方向の全周に亘って一体形成されており、このフランジ状部26が、内筒金具12の軸方向で、固定プレート16に対して、所定距離を隔てて対向位置せしめられている。なお、フランジ状部26のうち、固定プレート16の傾斜板部24に対して対向位置する部位は、径方向斜め外方に傾斜して延長されており、傾斜板部24に対して略平行な対向面をもって対向位置する傾斜板対向部28が形成されている。
【0025】
更にまた、外筒金具14の筒壁部分は、フランジ状部26側の開口端部に位置する僅かな軸方向長さの接続筒部30だけを残して、その殆どの部分が絞り加工によって縮径されている。ここにおいて、縮径された筒壁部32は、互いに直交する径方向で対向位置する部分が、それぞれ、相互に曲率半径の異なる各一対の第一の周壁部分34,34と第二の周壁部分36,36とされている。第一の周壁部分34,34は、外筒金具14に固設された傾斜板対向部28の突出方向に対して直交する径方向で対向位置しており、それぞれ、筒壁部32の周方向で1/2周より短く、好ましくは1/4周より長い周方向長さ(本実施形態では、略140度)とされている。一方、第二の周壁部分36,36は、第一の周壁部分34,34を除く部分において、かかる一対の第一の周壁部分34,34の周方向両端部間に跨がって位置しており、それぞれ、筒壁部32の周方向で1/2周より短く、好ましくは1/4周より短い周方向長さ(本実施形態では、略40度)とされている。第一及び第二の周壁部分34,36において、このような周方向長さを採用することにより、互いに直交する径方向のばね比を有利に確保することが出来る等の利点がある。
【0026】
また、第一の周壁部分34,34は、何れも、外筒金具14の中心軸を曲率中心とし、曲率半径が全周に亘って一定とされた略円弧板形状を有している。一方、第二の周壁部分36,36は、何れも、対向する径方向線に対して直交する平面上に広がる実質的に平板形状を有している。換言すれば、第二の周壁部分36は、曲率半径が無限大とされて、第一の周壁部分34よりも曲率が小さくされている。そして、第二の周壁部分36,36の対向面間距離が、第一の周壁部分34,34の対向面間距離、即ち第一の周壁部分34,34で構成された筒壁部32の直径寸法よりも、小さくされている。これにより、内筒金具12と外筒金具14の径方向対向面間距離が、第二の周壁部分36,36の対向方向よりも第一の周壁部分34,34の対向方向において大きく設定されている。要するに、かくの如き第一の周壁部分34,34および第二の周壁部分36,36からなる外筒金具14の筒壁部32は、径方向一方向(図1,2中、上下方向)で潰されるようにして扁平化されて、全体として略小判形の断面形状とされているのである。
【0027】
なお、本実施形態では、各第一の周壁部分34が、その軸方向中央部分において、ごく僅かに大径化されており(図3参照)、図示しない装着孔に外筒金具14を圧入して組み付ける際、装着孔への嵌着力が有利に確保されるようになっている。また、第一の周壁部分34,34は、その曲率半径が、接続筒部30と略同じに設定されており、図示しない装着孔への装着に際し、接続筒部30も装着孔に嵌め込まれて、フランジ状部26を装着孔の開口端面に重ね合わせることが出来るようになっている。
【0028】
さらに、本体ゴム弾性体15は、全体として略厚肉の円筒形状を有しており、内筒金具12と外筒金具14の径方向対向面間の略全体に亘って介在せしめられている。そして、かかる本体ゴム弾性体15は、その内外周面が、内筒金具12の外周面と外筒金具14の内周面にそれぞれ加硫接着されることにより、本体ゴム弾性体15が、それら内外筒金具12,14を有する一体加硫成形品として形成されている。また、本体ゴム弾性体15は、固定プレート16の傾斜板部24と外筒金具14の傾斜板対向部28との対向面間にも延び出しており、以て、それら傾斜板部24と傾斜板対向部28の対向面間の全体に亘って充填されたコンプレッションゴム38が、本体ゴム弾性体15と一体的に形成されている。
【0029】
更にまた、本体ゴム弾性体15は、固定プレート16のストッパ板部22と外筒金具14のフランジ状部26の各対向面にも延び出しており、以て、それら各対向面上において他方の側に向かって突出し、所定の間隙40を隔てて軸方向で相互に対向位置するストッパゴム42,44が、本体ゴム弾性体15と一体的に形成されている。更に、本体ゴム弾性体15は、固定プレート16の表面を全体に亘って覆って固定プレート16の外面にまで延び出しており、以て、ストッパ板部22および傾斜板部24の外面上で軸方向に突出する緩衝ゴム46が、本体ゴム弾性体15と一体的に形成されている。
【0030】
また、本体ゴム弾性体15には、外筒金具14における第一の周壁部分34,34が対向位置する径方向(図2中、左右方向)で内筒金具12を挟んだ両側において、固定プレート16と反対側(図1中の右側)の軸方向端面に開口して、固定プレート16の近くまで軸方向に直線的に延びる一対の第一のすぐり部48,48が形成されている。これら第一のすぐり部48,48は、何れも、軸直角方向の断面形状において、内筒金具12の外周面に沿って周方向に略1/6周の長さで周方向に延びる円弧形状の周方向空間50aと、該周方向空間50aの周方向両端部から略径方向外方に向かって直線的に延びる一対の径方向空間50b,50bから構成されている。そして、これら第一のすぐり部48,48は、それぞれ、内筒金具12と外筒金具14における第一の周壁部分34との径方向対向面間に位置せしめられている。また、各第一のすぐり部48の形成部位には、周方向空間50aと径方向空間50b,50bによって、外筒金具14から内筒金具12に向かって、略山形断面形状をもって径方向に突出する第一の径方向ストッパ52が、本体ゴム弾性体15によって形成されている。そして、内外筒金具12,14間に、第一のすぐり部48,48が対向する径方向で大きな荷重が入力された際、第一のすぐり部48が潰れて第一の径方向ストッパ52の突出先端面が内筒金具12側に当接することにより、内外筒金具12,14の径方向における相対的変位量が非線形的なばね特性をもって緩衝的に制限されるようになっている。
【0031】
更にまた、本体ゴム弾性体15には、第一のすぐり部48,48の対向方向に直交する径方向(図2中、上下方向)で内筒金具12を挟んだ両側において、第一のすぐり部48と略同様に、軸方向一方の側(図1中の右側)の端面に開口して、軸方向に延びる一対の第二のすぐり部54,54が形成されている。これら第二のすぐり部54,54は、何れも、軸直角方向の断面形状において、内筒金具12の外周面に沿って周方向に略1/8周の長さで周方向に延びる円弧形状の周方向空間56aと、該周方向空間56aの周方向両端部から略径方向外方に向かって直線的に延びる一対の径方向空間56b,56bから構成されている。そして、これら第二のすぐり部54,54は、それぞれ、内筒金具12と外筒金具14における第二の周壁部分36との径方向対向面間に位置せしめられている。また、各第二のすぐり部54の形成部位には、周方向空間56aと径方向空間56b,56bによって、外筒金具14から内筒金具12に向かって、略山形断面形状をもって径方向に突出する第二の径方向ストッパ58が、本体ゴム弾性体15によって形成されている。そして、内外筒金具12,14間に、第二のすぐり部54,54が対向する径方向で大きな荷重が入力された際、第二のすぐり部54が潰れて第二の径方向ストッパ58の突出先端面が内筒金具12側に当接することにより、内外筒金具12,14の径方向における相対的変位量が非線形的なばね特性をもって緩衝的に制限されるようになっている。
【0032】
なお、第一のすぐり部48,48および第二のすぐり部54,54は、本体ゴム弾性体15を軸方向に貫通する貫通構造をもって形成することも可能であるが、本実施形態では、何れも、本体ゴム弾性体15を軸方向に貫通しない有底穴構造をもって、実質的に、外筒金具14の軸方向全長に亘って形成されている。そして、これら各一対の第一のすぐり部48,48と第二のすぐり部54,54が形成されることにより、本体ゴム弾性体15には、互いに周方向に隣接する第一のすぐり部48と第二のすぐり部54の間を径方向に延びて内筒金具12と外筒金具14を弾性的に連結する四本の径方向連結部60が形成されているのである。また、これら各一対の第一のすぐり部48,48と第二のすぐり部54,54は、外筒金具14の絞り加工によって本体ゴム弾性体15に予圧縮が加えられることにより、各周方向空間50a,56aの間隙が小さくされており、以て、目的とするばね特性およびストッパ特性が付与されている。
【0033】
このような構造とされたサスペンションメンバマウント10においては、内筒金具12と外筒金具14に対して、傾斜板部24と傾斜板対向部28が突出する径方向(図2中の上下方向)で、それら傾斜板部24と傾斜板対向部28を接近させる径方向の外的荷重が入力されてコンプレッションゴム38が圧縮変形せしめられると、それら傾斜板部24と傾斜板対向部28の対向面による分力作用によって、内外筒金具12,14に対して、それら傾斜板部24と傾斜板対向部28を軸方向で離間させる方向に、軸方向の相対的変位力が及ぼされる。それ故、かかるサスペンションメンバマウント10を、例えば、セミトレーリングアーム式サスペンション機構を構成するサスペンションメンバに形成された装着孔に外筒金具14を圧入固定する一方、内筒金具12をロッド等を介してボデーに固定することにより、図1において、その左方が車両外方で右方向が車両内方となって、図中の左右方向が車両左右方向となり、且つ図中の上下方向が車両前後方向となる状態で装着することによって、上述の分力作用に基づいて、車両旋回時における車体のロール変位等が有利に抑えられるのである。なお、本実施形態では、傾斜板部24が、径方向外方に行くに従って幅広となる扇形状とされていることから、傾斜板部24と傾斜板対向部28の対向面積を十分に確保して、上述の如き、分力作用を有効に発揮させることが出来る。また、本実施形態では、傾斜板対向部28が、傾斜板部24に対して十分に大きな周方向幅をもって形成されており、内外筒金具12,14が捩り方向に相対変位した際にも、傾斜板部24が、その略全面で傾斜板対向部28に対して対向位置せしめられるようになっていることから、ねじり荷重と径方向乃至は軸方向荷重が同時に作用した場合でも、分力作用に基づく所期の効果が有効に発揮され得るのである。しかも、そのような装着状態下では、内筒金具12に固着された固定プレート16の軸方向外面が、外筒金具14が取り付けられるサスペンションメンバ側の当接部材(図示せず)に対して、緩衝ゴム46を介して当接することによって、内外筒金具12,14間における、傾斜板部24が傾斜板対向部28から離間する軸方向の相対変位量が制限され得ることとなる。
【0034】
しかも、かかるサスペンションメンバマウント10においては、外筒金具14が、第一の周壁部分34,34と第二の周壁部分36,36からなる略扁平円筒形状とされており、上記装着状態下において、本体ゴム弾性体15の径方向厚さが、車両上下方向で大きく、車両前後方向で薄くされていることから、車両上下方向の防振性能を十分に確保して、良好な乗り心地を確保しつつ、車両前後方向で比較的大きなばね剛性を確保して、優れた操縦安定性を得ることが出来るのである。特に、本実施形態では、第一のすぐり部48の周方向空間50aよりも、第二のすぐり部54の周方向空間56aの方が小さく設定されていることにより、特に車両前後方向において、ばね定数の立ち上がりも早く、且つ大きなストッパばね剛性が発揮されて、乗り心地を阻害することなく、より優れた操縦安定性が得られるようになっている。
【0035】
以下、上述の如きサスペンションメンバマウント10の製造方法の一具体例について、説明する。
【0036】
先ず、別途製作した内筒金具12と外筒金具14´(絞り加工前の外筒金具素材)を、本体ゴム弾性体15の加硫成形型内の所定位置にセットする。なお、内筒金具12には、予め固定プレート16を溶着しておくと共に、内外筒金具12,14´には、必要に応じて接着処理を施しておく。また、外筒金具14´は、例えば圧延鋼板をプレス加工すること等によって有利に形成され得る。
【0037】
そして、かかる成形型内に本体ゴム弾性体15のゴム材料を充填し、成形および加硫操作を施すことにより、内外筒金具12,14´間で本体ゴム弾性体15を加硫成形する。また、かかる成形と同時に、本体ゴム弾性体15を内外筒金具12,14´に加硫接着することによって、図4〜7に示されている如き、中間製品としての一体加硫成形品62を製作する。
【0038】
ここにおいて、この一体加硫成形品62を構成する外筒金具14′においては、図8及び図9にも示されているように、フランジ状部26や接続筒部30の形状および寸法が、目的とするマウント製品(サスペンションメンバマウント10)を構成する絞り後の外筒金具14と実質的に同じに設定されているが、その筒壁部32′は、マウント製品10の最終形状を有する筒壁部32に比して、絞り代を考慮して、形状および寸法が一回り大きく設定されている。
【0039】
特に、本実施形態では、かかる外筒金具14′における筒壁部32′は、絞り後の筒壁部32に対応して、各一対の第一の周壁部分34′,34′と第二の周壁部分36′,36′を備えている。第一の周壁部分34′,34′は、何れも、外筒金具14′の中心軸上に曲率中心を有し、絞り後の筒壁部32における第一の周壁部分34,34よりも絞り代だけ大きな曲率半径を有する円弧板形状を有している。また、第二の周壁部分36′,36′は、何れも、曲率半径が無限大とされて、対向する径方向線に対して直交する平面上に広がる実質的に平板形状を有している。また、これら第二の周壁部分36′,36′の対向面間距離が、第一の周壁部分34′,34′で構成された筒壁部32′の直径寸法よりは小さく、且つ絞り後の筒壁部32における第二の周壁部分36,36の対向面間距離よりも絞り代だけ大きくされている。なお、本実施形態では、第二の周壁部分36′,36′の対向面間距離が、接続筒部30の直径寸法と略同じに設定されている。要するに、かくの如き第一の周壁部分34′,34′および第二の周壁部分36′,36′からなる外筒金具14′の筒壁部32′は、絞り後の筒壁部32の形状に対応しており、径方向一方向(図8,9中、上下方向)で潰されるようにして扁平化されて、全体として略小判形の断面形状とされているのである。
【0040】
なお、このような外筒金具14′を用いて形成された一体加硫成形品62においては、本体ゴム弾性体15における第一及び第二のすぐり部48′,54′の周方向空間が、それぞれ、径方向外側の内周面がテーパ面とされることにより、軸方向開口側に向かって次第に拡開せしめられている。
【0041】
そして、かくの如き一体加硫成形品62に対して、外筒金具14′に絞り加工を施すことにより、目的とするサスペンションメンバマウント10を得るが、例えば、外筒金具14′に対する絞り加工を、第一段階と第二段階の2つの絞り工程で実施することにより、目的とする絞り加工が有利に施され得る。
【0042】
具体的には、先ず、図10に示されているように、八方絞りダイス64a〜hを用い、それらのダイス64a〜hを図示しない絞り治具で径方向内方に押圧し、各ダイス64a〜hを径方向内方に変位させて、その内周面を外筒金具14′の筒壁部32′の外周面に圧接させることによって第一段階の絞り加工を行う。その際、外筒金具14′における第一の周壁部分34′,34′の外周面に圧接されて縮径力を加える八方絞りダイス64a〜fは、目的とする第一の周壁部分34,34の外周面形状に対応した第一の成形面66,66を協働して形成するようになっている。また一方、外筒金具14′における第二の周壁部分36,36の外周面上に位置せしめられる八方絞りダイス64g〜hは、何れも、第一段階の絞り加工に際して、外筒金具14′の外周面への当接が回避される大径の内周面68を有しており、第一段階の絞り完了後においても、内周面68と第二の周壁部分36′との間には、空間69が介在するようになっている。
【0043】
それ故、図10に示されている如き八方絞りダイス64a〜hを用いた第一段階の絞り加工によって、外筒金具14′における第一の周壁部分34′,34′は、目的とする形状に成形されることとなるが、第二の周壁部分36′,36′は、外周側への膨出変形が拘束されないことにより、第一の周壁部分34′,34′の縮径に伴う余肉が第二の周壁部分36′,36′に回り込むことによって、径方向外方に膨らんだ形状に変形せしめられる。
【0044】
続く、第二段階の絞り加工では、図11に示されているように、絞り用ダイス70a〜dを用い、それらのダイス70a〜dを図示しない絞り治具で径方向内方に押圧し、その内周面を外筒金具14′の外周面に圧接させることによって第二段階の絞り加工を行う。その際、第一段階の絞り加工で目的とする形状に成形された外筒金具14′の第一の周壁部分34′,34′には、目的とする外周面形状に対応した成形面(八方絞りダイス64a〜fで得られる第一の成形面66,66と略同じ形状の成形面)72,72を内周面に備えた絞り用ダイス70a〜bを、予め重ね合わせて保持せしめた状態で、第一段階の絞り加工で外方に膨出せしめられた第二の周壁部分36′,36′に対して、絞り用ダイス70c〜dを径方向内方に変位させ、それらの成形面(第二の成形面)74,74を圧接せしめる。これにより、第一の周壁部分34′,34′の変形を、絞り用ダイス70a〜bによって抑えつつ、絞り用ダイス70c〜dによって、第二の周壁部分36′,36′を、目的とする略平板形状に成形せしめるのであり、以て、目的とする形状の外筒金具14を得る。
【0045】
ここにおいて、第二段階の絞り加工に際して第二の周壁部分36′,36′に当接して絞り加工を施す絞り用ダイス70c,70dにおける第二の成形面74,74は、何れも、第二の周壁部分36′,36′における目的とする曲率(略零)よりも大きな曲率をもって周方向に湾曲した湾曲凹面形状とされている。特に、本実施形態では、かかる第二の成形面74に対して、第一の周壁部分36′,36′を成形する第一の成形面66よりも僅かに大きな曲率の円弧状湾曲凹面が設定されている。そして、絞り用ダイス70c,70dは、その第二の成形面74の周方向両端部が、第一の周壁部分34′,34′の外周面に重ね合わされた絞り用ダイス70a,70bの成形面72,72の周方向両端部と略同じ位置になるまで、径方向内方に変位せしめられることにより、第二の周壁部分36′,36′に対する絞り加工を施すようになっている。また、絞り用ダイス70c,70dにおける第二の成形面74は、絞り用ダイス70c,70dが絞り加工完了時の移動端に位置せしめられた際、その成形面74上の何れの点も、第一段階の絞り加工によって膨出変形した第二の周壁部分36′の外周面より径方向内方に位置せしめられるように、形状設計されていることが望ましい。
【0046】
要するに、第二の成形面74は、目的とする第二の周壁部分36の外周面形状に対して、周方向両端部から周方向中央部分に行くに従って、径方向外方に離隔して位置せしめられる湾曲面形状とされている。そして、このような第二の成形面74,74を備えた絞り用ダイス70c,70dを用いて第二段階の絞り加工を行うことにより、第一段階の絞り加工によって径方向外方に膨出変形せしめられた第二の周壁部分36′に対して、特にその周方向両側部分に対して有効な絞り力が作用せしめられることとなり、周方向中央部分に対しては、最終的な段階での大きな絞り力の作用が回避される。しかも、第一の周壁部分34′に対する絞り加工が、先に行われていることから、第一の周壁部分34′への絞り加工に伴う変形力が、第二の周壁部分36′の絞り工程時に、第二の周壁部分36′に対して合わせて大きく作用することが軽減乃至は回避される。
【0047】
それ故、第二の周壁部分36′の特に周方向中央部分における径方向内方への過剰な変形が効果的に軽減乃至は回避されるのであり、その結果、かかる第二の周壁部分36′が、目的とする略平坦な板形状に成形され得るのであり、以て、目的とする扁平な円筒形状を有する外筒金具14を備えた、前述の如きサスペンションメンバマウント10を、安定して得ることが出来るのである。なお、第二の周壁部分36′の周方向中央部分に対しては、該第二の周壁部分36′が最終形状に達する際に、第二の成形面74による直接的な押圧力は作用し難いが、周方向両側部分に及ぼされる押圧力によって、第二の周壁部分36′の中央部分にも有効な縮径変形が生ぜしめられることとなり、絞り加工の終了時には、図11に示されているように、第二の周壁部分36′の中央部分は、第二の成形面74から径方向内方に離れ、空隙76を介して位置するまで縮径変形せしめられることとなる。
【0048】
しかも、本実施形態においては、本体ゴム弾性体15の加硫成形に際して用いられる外筒金具14′が、絞り加工後の形状に対応した扁平円筒形状とされていることから、真円筒形状の外筒金具を用いる場合に比して、絞り加工に際して外筒金具14′に加えられる絞り率を、周方向全周に亘って均一化することが出来る。それ故、本体ゴム弾性体15に対して、周方向全体に略均一の予圧縮を及ぼすことが出来ると共に、外筒金具14′の絞り加工に際して、本体ゴム弾性体15と外筒金具14′の加硫接着部位における引張応力の発生を軽減乃至は防止することが出来、一層優れた耐久性を確保することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、外筒金具14において、略平板形状を有する第二の周壁部分36,36が安定して形成されることから、車両前後方向(図2中の上下方向)におけるストッパ当たり面を有利に確保することが出来るのであり、それによって、ストッパ耐荷重性能やストッパ耐久性の向上等の効果も達成され得る。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0051】
例えば、前記実施形態では、第一段階の絞り加工と第二段階の絞り加工を、それぞれ別々の絞りダイスを用いて実施することにより、外筒金具14′に対する絞り加工を行ったが、例えば、一つの絞りダイスを用いた絞り加工によって、目的とする絞りを実施することも可能である。具体的には、例えば、図10に示された八方絞りダイス64において、第二の周壁部分36′,36′の外周に位置せしめられる八方絞りダイス64g,hを、図11に示された絞り用ダイス70c,dに変更した八方絞りダイス64a〜fおよび絞り用ダイス70c〜dを採用し、絞り用ダイス70c〜dよりも八方絞りダイス64a〜fを先行させて径方向内方に変位させて、第一の周壁部分34′に対する絞り加工を、第二の周壁部分36′に対する絞り加工よりも先に完了させるようにしても良く、それのような絞り加工によっても、前記実施形態と同様な効果が発揮され得る。
【0052】
また、本体ゴム弾性体15における第一及び第二のすぐり部48,48,54,54は、マウント要求特性等に応じて、適当な位置に適当な大きさで設けられるものであり、本発明において必須のものでなく、また、それらを軸方向に貫通して形成するようにしても良い。
【0053】
更にまた、ストッパ板部22とフランジ状部26や、傾斜板部24と傾斜板対向部28およびそれらの間に介装されたコンプレッションゴム38等は、必ずしも設ける必要はない。更にまた、ストッパ板部22や傾斜板部24の外面上に突出する緩衝ゴム46も、必ずしも必要なものでない。
【0054】
加えて、本発明は、ロール変位を抑えるためのサスペンションメンバマウントの他、適度なアンダステア傾向を実現するためのサスペンションメンバマウント,横力コンプライアンスステアを抑制するためのサスペンションブッシュ等、或いは、径方向荷重によって軸方向分力を生ぜしめない単純な円筒形のサスペンションブッシュ等、各種のサスペンションメンバマウントやサスペンションブッシュ、或いは自動車のサブフレームとボデーの間に介装されるサブフレームマウントなど、軸部材と外筒金具がゴム弾性体で連結せしめられた構造の各種の筒形の防振ブッシュに対して、何れも、有利に適用され得るものである。
【0055】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明方法に従えば、第一の周壁部分の対向方向に直交する軸直角方向で対向位置する、該第一の周壁部分よりも曲率が小さい第二の周壁部分に対して、特にその中央部分に作用せしめられる絞り力が軽減されることにより、第二の周壁部分における必要以上の縮径変形が防止されるのであり、以て、目的とする絞り加工を安定して施すことが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に従って製造されるサスペンションメンバマウントの一具体例を示す縦断面図であって、図2におけるI−I断面に相当する図である。
【図2】図1における右側面図である。
【図3】図2における III−III 断面図である。
【図4】図1に示されたサスペンションメンバマウントを得るための中間製品としての一体加硫成形品を示す縦断面図であって、図5におけるIV−IV断面図である。
【図5】図4における右側面図である。
【図6】図4における左側面図である。
【図7】図5における VII−VII 断面図である。
【図8】図4に示された一体加硫成形品を構成する外筒金具を示す縦断面図であって、図9におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】図8における右側面図である。
【図10】図4に示された一体加硫成形品に対する第一段階の絞り加工を説明するための説明図である。
【図11】図4に示された一体加硫成形品に対する第二段階の絞り加工を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10 サスペンションメンバマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
15 本体ゴム弾性体
32 筒壁部
34 第一の周壁部分
36 第二の周壁部分
48 第一のすぐり部
54 第二のすぐり部
62 一体加硫成形品
64 八方絞りダイス
66 第一の成形面
70 絞り用ダイス
74 第二の成形面

Claims (7)

  1. 軸部材と、該軸部材の外周側に離間して配された外筒金具を、ゴム弾性体で連結してなる中間製品を用い、該外筒金具に絞り加工を施すことにより、軸直角方向で対向位置する一対の第一の周壁部分の曲率よりも、それに直交する軸直角方向で対向位置する一対の第二の周壁部分の曲率が小さくされて、該第二の周壁部分が略平板形状とされた略扁平円筒形状の外筒金具を有する防振ブッシュを製造するに際して、
    前記中間製品の外筒金具における一対の第一の周壁部分に対して、該第一の周壁部分において目的とする曲率を有する第一の成形面を備えた絞り型を用いて、前記第二の周壁部分の外周面を拘束しない状態下で、絞り加工を施すと共に、該第一の周壁部分に対する絞り加工に遅れて、前記一対の第二の周壁部分に対する絞り加工を、該第一の周壁部分に対する絞り加工にて外方に膨出変形せしめられた該第二の周壁部分に対し、その周方向の両側部分を押圧して絞り力を作用させ、該第二の周壁部分の中央部分にも有効な縮径変形が生ぜしめられるように、少なくとも周方向中央部分が該第二の周壁部分における目的とする曲率よりも大きな曲率に対応する湾曲凹面形状とされた第二の成形面を備えた絞り型を用いて、前記第一の周壁部分の外周面を拘束した状態下で、施すことを特徴とする防振ブッシュの製造方法。
  2. 前記第一の成形面を備えた絞り型と、前記第二の成形面を備えた絞り型とを、別体とし、該第一の成形面を備えた絞り型による前記外筒金具における第一の周壁部分に対する絞り加工を、前記第二の周壁部分の外周面を拘束しない状態下で施した後に、該第一の周壁部分の外周面を拘束した状態下で、該第二の成形面を備えた絞り型による該第二の周壁部分に対する絞り加工を施すことを特徴とする請求項1に記載の防振ブッシュの製造方法。
  3. 前記中間製品として、前記軸部材と前記外筒金具に対して、前記ゴム弾性体がそれぞれ加硫接着された一体加硫成形品を採用する請求項1又は2に記載の防振ブッシュの製造方法。
  4. 前記中間製品を構成する外筒金具として、軸直角方向で対向位置する一対の第一の周壁部分の曲率よりも、それに直交する軸直角方向で対向位置する一対の第二の周壁部分の曲率が小さくされて、該第二の周壁部分が略平板形状とされてなる、絞り加工後の目的形状に対応した略扁平円筒形状を有する外筒金具素材が用いられる請求項1乃至の何れかに記載の防振ブッシュの製造方法。
  5. 前記中間製品において、前記軸部材と前記外筒金具の間を軸方向に延びるすぐり部が、少なくとも前記一対の第二の周壁部分が対向位置する軸直角方向線上で軸部材を挟んだ両側に位置して形成されている請求項1乃至の何れかに記載の防振ブッシュの製造方法。
  6. 前記外筒金具の少なくとも軸方向一方の開口端縁部に対して、外周側に向かって広がるフランジ状部が形成されている請求項1乃至の何れかに記載の防振ブッシュの製造方法。
  7. 前記中間製品の外筒金具への絞り加工によって、前記ゴム弾性体に対して軸直角方向に10%以上の圧縮変形を及ぼしめる請求項1乃至の何れかに記載の防振ブッシュの製造方法。
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