JP6871060B2 - ブッシュ - Google Patents

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Description

本発明は、ブッシュに関するものである。
従来のブッシュには、内側部材と外筒部材との間を弾性体で連結し、前記内側部材の中心軸に対して弾性主軸を傾けるため、前記内側部材及び前記外筒部材の一方に傾斜部を設けると共に、当該傾斜部に対向して突出する対向部を前記内側部材及び前記外筒部材の他方に設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−50669号公報
しかしながら、前記外筒部材は、車両フレーム等の支持部材に対して圧入等で取り付けられる場合がある。この場合、前記外筒部材は、形状を複雑にしないことが好ましい。特に弾性主軸の傾きを大きく確保したい場合には、前記外筒部材の形状が制約されると、十分な弾性主軸の傾きを確保することが困難である。
本発明の目的は、外筒部材の形状を複雑にすることなく中心軸線に対して弾性主軸を傾けることができ、かつ、当該弾性主軸の傾きを大きく確保することが可能なブッシュを提供することにある。
本発明に係るブッシュは、内側部材と、内側部材と、前記内側部材を取り囲む外筒部材と、前記外筒部材の径方向内側に配置された中間筒部材と、少なくとも、前記内側部材及び前記中間筒部材の間に配置された弾性体とを有し、前記内側部材及び前記中間筒部材の一方は、前記内側部材の中心軸線に対して傾斜した傾斜部を有するものであり、前記内側部材及び前記中間筒部材の他方は、前記傾斜部の傾斜面と対向するように前記内側部材及び前記中間筒部材の一方に向かって突出した対向部を有するものであり、前記弾性体は、前記傾斜部と前記対向部との間に介在する介在部分を有する。
本発明に係るブッシュによれば、外筒部材の形状を複雑にすることなく中心軸線に対して弾性主軸を傾けることができ、かつ、当該弾性主軸の傾きを大きく確保することが可能になる。
本発明に係るブッシュでは、前記内側部材及び前記中間筒部材の一方は、前記傾斜部と前記内側部材の中心軸線を挟んで対向する位置であって前記傾斜部よりも前記内側部材に対して中心軸線方向にずれた位置に、前記内側部材の中心軸線に対して傾斜した他の傾斜部を有するものであり、前記内側部材及び前記中間筒部材の他方は、前記他の傾斜部の傾斜面と対向するように前記内側部材及び前記中間筒部材の一方に向かって突出した他の対向部を有するものであり、前記弾性体は、前記他の傾斜部と前記他の対向部との間に介在する介在部分をさらに有することが好ましい。
この場合、前記弾性主軸の傾きをより大きく確保することができると共に、当該弾性主軸の傾きを安定的に維持することができる。
本発明に係るブッシュでは、前記中間筒部材は、前記内側部材の中心軸線に沿って間隔を置いて配置された2つの環状部と、前記2つの環状部を連結すると共に、前記内側部材の中心軸線周りに間隔を置いて配置された、2つの板状部とを有するものであり、前記傾斜部又は前記対向部は、前記板状部の一方に設けられた傾斜部又は対向部であり、前記他の傾斜部又は前記他の対向部は、前記板状部の他方に設けられた他の傾斜部又は他の対向部であることが好ましい。
この場合、簡易な構成で、弾性主軸の傾きをより大きく確保することができると共に、当該弾性主軸の傾きを安定的に維持することができるブッシュとなる。
本発明に係るブッシュでは、前記傾斜部又は前記対向部は、前記板状部の一方に設けられた折り曲げ部であり、前記他の傾斜部又は前記他の対向部は、前記板状部の他方に設けられた折り曲げ部であることが好ましい。
この場合、更に簡易な構成で、弾性主軸の傾きをより大きく確保することができると共に、当該弾性主軸の傾きを安定的に維持することができるブッシュとなる。
本発明に係るブッシュは、前記2つの板状部の前記内側部材の中心軸線周りの相互間に、前記折り曲げ部の少なくとも一方の外側を通る流路で接続された2つの液室を有することが好ましい。
この場合、振動減衰効果に優れたブッシュとなる。
本発明によれば、外筒部材の形状を複雑にすることなく中心軸線に対して弾性主軸を傾けることができ、かつ、当該弾性主軸の傾きを大きく確保することが可能なブッシュを提供することができる。
本発明に係る一実施形態のブッシュを示す斜視図である。 図1のブッシュを内側部材の一端から示す平面図である。 図2のX−X断面図である。 図2のY−Y断面図である。 図1のブッシュの内側部材及び中間筒部材との関係を内側部材の一端側から示す斜視図である。 図1のブッシュから外筒部材を取り除いた状態を一方の液室側から示す斜視図である。 図1のブッシュから外筒部材を取り除いた状態を他方の液室側から示す他の斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る一実施形態のブッシュを詳細に説明する。なお、以下の説明では、図2を除く図1、図3〜図7では、図面上下方向を鉛直方向とし、図面の上方および下方をそれぞれ、後述する内側部材11の一端11e1及び他端11e2とする。
図1〜図4中、符号1は、本発明に係る一実施形態のブッシュである。本実施形態では、ブッシュ1は、鍔付の円筒ブッシュである。図3及び図4等に示すように、ブッシュ1は、内側部材11と、この内側部材11を取り囲む外筒部材12と、外筒部材12の径方向内側に配置された中間筒部材13と、少なくとも内側部材11及び中間筒部材13の間に配置された弾性体14とを有している。
本実施形態では、内側部材11は、金属製の円筒部材である。本実施形態では、内側部材11の中心軸線O1は、内側部材11の内径中心を通って伸びる軸線である。また本実施形態では、内側部材11の中心軸線O1は、ブッシュ1の中心軸線である。本実施形態では、内側部材11は、本体部11aを有している。本実施形態では、本体部11aの内周面及び外周面はそれぞれ、内側部材11の中心軸線O1(以下、単に「中心軸線O1」ともいう。)周りの半径が中心軸線O1に沿って同径のストレート形状である。即ち、本体部11aは、軸直角方向(径方向)の肉厚が中心軸線O1に沿って一定の中空の円筒形である。
図3等に示すように、内側部材11は、中心軸線O1に対して傾斜した傾斜部11p1(以下、「第1傾斜部11p1」ともいう。)を有している。第1傾斜部11p1は、内側部材11の一端11e1に向かうに従って中間筒部材13に向かって傾斜した傾斜面11f1(以下、「第1傾斜面11f1」ともいう。)を有している。本実施形態では、第1傾斜面11f1は、内側部材11の一端11e1と他端11e2との間の中心位置(以下、「内側部材11の軸線方向中心位置」ともいう。)よりも中心軸線O1に沿って内側部材11の他端11e2の側に配置されている。
また本実施形態では、内側部材11は、第1傾斜面11f1と中心軸線O1を挟んで対向する位置であって第1傾斜面11f1よりも内側部材11に対して中心軸線O1方向にずれた位置に、当該内側部材11の中心軸線O1に対して傾斜した他の傾斜部11p2(以下、「第2傾斜部11p2」ともいう。)を有している。第2傾斜部11p2は、内側部材11の他端11e2に向かうに従って中間筒部材13に向かって傾斜した他の傾斜面11f2(以下、「第2傾斜面11f2」ともいう。)を有している。本実施形態では、第2傾斜面11f2は、内側部材11の軸線方向中心位置よりも中心軸線O1に沿って内側部材11の一端11e1の側に配置されている。
また図3において、符号A1は、内側部材11の第1傾斜面11f1が中心軸線O1 に対して平行な軸線となす角度である。また符号A2は、図3の断面視で、第2傾斜面11f2が中心軸線O1に対して平行な軸線となす角度である。角度A1及び角度A2は、それぞれ、0度を含まない90度以下の範囲に設定することができる。更に角度A1及び角度A2は、同一の角度とすることも、異なる角度とすることもできる。即ち、角度A1及び角度A2は、それぞれ、ブッシュ1の適用仕様等に合わせて、個々に設定することができる。
図5に示すように、本実施形態では、内側部材11は、内側部材11の一端11e1及び他端11e2の間に、中心軸線O1周りを周方向に延在する環状の膨出部11pを有している。膨出部11pは、内側部材11の軸線方向中心位置にて、本体部11aから中心軸線O1に対して径方向外側に向かうに従って先細りするように突出している。膨出部11pでは、内側部材11の他端11e2の側が第1傾斜部11p1を構成している。これにより、第1傾斜部11p1の表面は、第1傾斜面11f1を構成している。また膨出部11pでは、内側部材11の一端11e1の側が第2傾斜部11p2を構成している。これにより、第2傾斜部11p2の表面は、第2傾斜面11f2を構成している。こうした内側部材11は、例えば、肉厚が一定の円筒部材を基材として、鍛造加工により形作ることができる。
また図5に示すように、本実施形態では、第1傾斜面11f1及び第2傾斜面11f2は、内側部材11の一端11e1又は他端11e2から見たとき、内側部材11(中心軸線O1)の周りに360度の範囲内に形成することができる。本実施形態では、第1傾斜面11f1及び第2傾斜面11f2は、中心軸線O1周りに全周(360度)に亘って形成されている。本実施形態のように、第1傾斜面11f1及び第2傾斜面11f2が周方向に占める領域の範囲を大きくすれば、ブッシュ1の弾性主軸O2の傾きを大きくすることができる。このため、本実施形態では、膨出部11pを、内側部材11の周りに全周にわたって形成することにより、第1傾斜面11f1及び第2傾斜面11f2が周方向に占める領域の範囲を、それぞれ、拡大している。ただし、第1傾斜面11f1及び第2傾斜面11f2の周方向に示す領域の範囲もブッシュ1の仕様等に合わせて、個々に設定することができる。
また図1等に示すように、本実施形態では、外筒部材12は、金属製の鍔付きの円筒部材である。本実施形態では、外筒部材12は、内側部材11の中心軸線O1と同軸上に配置されている。本実施形態では、外筒部材12は、胴部12aを有している。図3及び図4等に示すように、胴部12aの内周面及び外周面はそれぞれ、中心軸線O1周りの半径が中心軸線O1に沿って同径のストレート形状である。即ち、胴部12aは、軸直角方向(径方向)の肉厚が中心軸線O1に沿って一定の中空の円筒形である。また本実施形態では、外筒部材12は、内側部材11の一端11e1側がフランジ12bとして構成されている。また本実施形態では、外筒部材12は、内側部材11の他端11e2側が径方向内側に延在する折り返し部12cとして構成されている。外筒部材12は、例えば、肉厚が一定の円筒部材を基材として、プレス成形により形作ることができる。
本実施形態では、中間筒部材13は、金属製の円筒部材である。本実施形態では、図5に示すように、中間筒部材13は、中心軸線O1に沿って間隔を置いて配置された2つの環状部13b及び13cと、2つの環状部13b及び13cを連結すると共に、中心軸線O1周りに間隔を置いて配置された、2つの板状部13a(13a1及び13a2)とを有している。2つの板状部13a(13a1及び13a2)はそれぞれ、中心軸線O1に沿って延在している。また本実施形態では、環状部13bは、フランジ部13dを有している。中間筒部材13は、例えば、肉厚が一定の円筒部材を基材として、打ち抜き加工及びプレス成形により形作ることができる。
また中間筒部材13は、内側部材11の第1傾斜部11p1の傾斜面11f1と対向するように内側部材11に向かって突出した対向部n1(以下、「第1対向部n1」ともいう。)を有している。第1対向部n1は、内側部材11の第1傾斜面11f1と対向するように内側部材11に向かって傾斜した傾斜面13f1(以下、「第1傾斜面13f1」ともいう。)を有している。本実施形態では、図3等に示すように、第1傾斜面13f1は、内側部材11の軸線方向中心位置よりも中心軸線O1に沿って内側部材11の他端11e2の側に配置されている。
また本実施形態では、中間筒部材13は、内側部材11の第2傾斜部11p2の傾斜面11f2と対向するように内側部材11に向かって突出した他の対向部n2(以下、「第2対向部n2」ともいう。)を有している。第2対向部n2は、内側部材11の第2傾斜面11f2と対向するように内側部材11に向かって傾斜した他の傾斜面13f2(以下、「第2傾斜面13f2」ともいう。)を有している。本実施形態では、図3等に示すように、第2傾斜面13f2は、内側部材11の軸線方向中心位置よりも中心軸線O1に沿って内側部材11の一端11e1の側に配置されている。
また本実施形態では、中間筒部材13の第1対向部n1は、一方の板状部13a1に設けられた対向部である。即ち、第1対向部n1の第1傾斜面13f1は、一方の板状部13a1の内側面である。前記一方の板状部13a1の内側面は、当該板状部13a1から突出した膨出部等とすることができる。本実施形態では、図5等に示すように、第1対向部n1は、一方の板状部13a1に設けられた折り曲げ部である。即ち、中間筒部材13の第1傾斜面13f1は、一方の板状部13a1に設けられた折り曲げ部の内側面である。
また本実施形態では、中間筒部材13の第2対向部n2は、他方の板状部13a2に設けられた対向部である。即ち、第2対向部n2の第2傾斜面13f2は、他方の板状部13a2の内側面である。前記他方の板状部13a2の内側面も、当該板状部13a2から突出した膨出部等とすることができる。本実施形態では、図5等に示すように、第2対向部n2は、他方の板状部13a2に設けられた折り曲げ部である。即ち、本実施形態では、中間筒部材13の第2傾斜面13f2は、他方の板状部13a2に設けられた折り曲げ部の内側面である。
また図3において、符号B1は、中間筒部材13の第1傾斜面13f1が中心軸線O1 に対して平行な軸線となす角度である。また符号B2は、図3の断面視で、中間筒部材13の第2傾斜面13f2が中心軸線O1に対して平行な軸線となす角度である。角度B1及び角度B2は、それぞれ、0度を含まない90度以下の範囲に設定することができる。更に角度B1及び角度B2は、同一の角度とすることも、異なる角度とすることもできる。即ち、角度B1及び角度B2は、それぞれ、ブッシュ1の適用仕様等に合わせて、個々に設定することができる。
好適には、内筒部材11の第1傾斜面11f1の角度A1と中間筒部材13の第1傾斜面13f1の角度B1とは、図3の縦断面視で、内筒部材11の第1傾斜面11f1及び中間筒部材13の第1傾斜面13f1が互いに平行になるように設定する。この場合、弾性主軸O2を大きく傾斜させることができる。同様に好適には、内筒部材11の第2傾斜面11f2の角度A2と中間筒部材13の第2傾斜面13f2の角度B2とは、図3の縦断面視で、内筒部材11の第2傾斜面11f2及び中間筒部材13の第2傾斜面13f2が互いに平行になるように設定する。この場合、弾性主軸O2を大きく傾斜させることができる。更に好適には、内筒部材11の角度A1及びA2並びに中間筒部材13の角度B1及びB2を同一角度とすることで、内筒部材11の第1傾斜面11f1及び第2傾斜面11f2並びに中間筒部材13の第1傾斜面13f1及び第2傾斜面13f2がそれぞれ互いに平行になるように設定する。この場合、弾性主軸O2をより大きく傾斜させることができる。
図3に示すように、弾性体14は、内側部材11の第1傾斜部11p1と中間筒部材13の第1対向部n1との間に介在する介在部分S1(以下、「第1介在部分S1」ともいう。)を有している。詳細には、弾性体14は、内側部材11の第1傾斜面11f1と中間筒部材13の第1傾斜面13f1との間に介在する介在部分S1を有している。弾性体14の第1介在部分S1は、内側部材11の一端11e1に向かうに従って中間筒部材13に向かって傾斜した部分となる。
また本実施形態では、弾性体14は、内側部材11の第2傾斜部11p2と中間筒部材13の第2対向部n2との間に介在する介在部分(以下、「第2介在部分S2」ともいう。)をさらに有している。詳細には、弾性体14は、図3に示すように、内側部材11の第2傾斜面11f2と中間筒部材13の第2傾斜面13f2との間に介在する介在部分S2を有している。弾性体14の第2介在部分S2は、内側部材11の他端11e2に向かうに従って中間筒部材13に向かって傾斜した部分となる。言い換えれば、弾性体14の第2介在部分S2は、内側部材11の一端11e1に向かうに従って内側部材11に向かって傾斜した部分となる。
更に本実施形態に係るブッシュ1は、図3及び図4等に示すように、中間筒部材13の2つの板状部13a(13a1及び13a2)の中心軸線O1周りの相互間に、折り曲げ部である第2対向部n2の外側を通る流路P1で接続された2つの液室Rを有している。
図4に示すように、本実施形態では、液室Rは、弾性体14に形成された凹部と、この凹部に取り付けられるカバー部材15とで形作られている。図6及び図7等に示すように、本実施形態では、カバー部材15の外周面には、溝部15G1が形成されている。カバー部材15の溝部15G1の一方は、カバー部材15に形成された開口部15a1を通して液室Rに通じている。また弾性体14の外周面には、溝部14Gが形成されている。弾性体14の溝部14Gは、カバー部材15の溝部15G1の他方に通じている。即ち、流路P1は、図3及び図4並びに図6及び図7に示すように、外筒部材12の胴部12a、弾性体14の溝部14G、カバー部材15の溝部15G1及び開口部15a1で形作られている。
なお、図6及び図7等に示すように、本実施形態では、液室Rはそれぞれ、流路P2に接続されている。本実施形態では、カバー部材15の外周面には、溝部15G2が形成されている。カバー部材15の溝部15G2の一方は、カバー部材15に形成された開口部15a2を通して液室Rに通じている。またカバー部材15の溝部15G2の他方は、弾性体14によって閉じられている。流路P2は、図3及び図4並びに図6及び図7に示すように、外筒部材12の胴部12a、弾性体14、カバー部材15の溝部15G2及び開口部15a2で形作られている。
加えて、本実施形態では、図3等に示すように、弾性体14は、内側部材11の一端11e1の側に開口する空洞部14aを有している。本実施形態では、空洞部14aは、内側部材11の軸線方向中心位置まで延在している。また空洞部14aは、図3に示すように、中心軸線O1周りで内側部材11の第1傾斜面11f1及び中間筒部材13の第1傾斜面13f1と整列する位置に配置されている。また本実施形態では、弾性体14は、内側部材11の他端11e2の側に開口する空洞部14bを有している。本実施形態では、空洞部14bは、図3に示すように、内側部材11の軸線方向中心位置まで延在している。また空洞部14bは、中心軸線O1周りで内側部材11の第2傾斜面11f2及び中間筒部材13の第2傾斜面13f2と整列する位置に配置されている。
本実施形態に係るブッシュ1は、内側部材11、中間筒部材13、弾性体14及びカバー部材15を中間体として外筒部材12の内側に圧入させることによって製造できる。前記中間体は例えば、内側部材11、中間筒部材13及びカバー部材15をインサート品として弾性体14と共に、例えばゴムを用いて加硫成形することで製造できる。
以下、本実施形態のブッシュ1の作用効果を説明する。なお、以下の説明において、ブッシュ1は、内側部材11の一端11e1に荷重が入力され、この荷重を、弾性体14及び中間筒部材13を介して外筒部材12で受けるものとする。
図3に示すように、内側部材11の一端11e1に荷重が入力されると、内側部材11の第1傾斜面11f1が中間筒部材13の第1傾斜面13f1との間の中心軸線O1の方向の距離を縮めるように移動する。このため、内側部材11の第1傾斜面11f1と中間筒部材13の第1傾斜面13f1との間に介在する弾性体14の第1介在部分S1が圧縮される。これにより、弾性体14は、内側部材11の第1傾斜面11f1に作用する反力を生じる。即ち、内側部材11には、白抜き矢印に示す内側部材11の一端11e1から入力される荷重と、白抜き矢印に示す弾性体14からの内側部材11の第1傾斜面11f1の側に向かう反力とが入力される。この結果、内側部材11は、内側部材11の中心軸線O1に沿った力と、内側部材11の第1傾斜面11f1に作用する反力との合力を受ける。このため、ブッシュ1の弾性主軸O2の方向は、内側部材11の一端11e1に向かうに従って中心軸線O1から離間する方向に傾斜する。
一方、内側部材11の第2傾斜面11f2は、内側部材11の一端11e1に荷重が入力されると、中間筒部材13の第2傾斜面13f2から離間する方向に移動する。このため、内側部材11の第2傾斜面11f2と中間筒部材13の第2傾斜面13f2との間に介在する弾性体14の第2介在部分S2は、弾性体14が圧縮される圧縮部分ではなく、弾性体14を伸張させる部分となる。しかしながら、弾性主軸O2の傾きは、弾性体14が当該弾性体14の第1介在部分S1内にて圧縮されるときだけでなく、弾性体14が当該弾性体14の第2介在部分S2内にて引き伸ばされるときにも生じ得る。即ち、弾性体14の第2介在部分S2では、内側部材11の第2傾斜面11f2を中間筒部材13の第2傾斜面13f2の側に引っ張る復元力が生じる。このため、弾性体14が内側部材11の第2傾斜面11f2と中間筒部材13の第2傾斜面13f2との間に介在する第2介在部分S2を有するときには当該弾性体14の第2介在部分S2は、ブッシュ1の弾性主軸O2の方向を、内側部材11の一端11e1に向かうに従って中心軸線O1から離間する方向に傾斜させることに寄与する。
すなわち、ブッシュ1の内側部材11の一端11e1に荷重が入力されると、ブッシュ1の弾性主軸O2の向きを変えようとする作用は、弾性体14の第1介在部分S1の側と、弾性体14の第2介在部分S2の側との両方で生じる。この結果、無負荷時には中心軸線O1と一致していたブッシュ1の弾性主軸O2は、ブッシュ1を中心軸線O1に沿って支持部材に配置したままでも、ブッシュ1の一端11e1に荷重が加わることで、内側部材11の一端11e1に向かう従って中心軸線O1から離間する方向に傾斜角θ1だけ傾かせることができる。すなわち、本実施形態のブッシュ1によれば、ブッシュ1自体を鉛直方向に対して傾けて取り付けなくても、ブッシュ1の弾性主軸O2の方向を変えることができる。
なお、本実施形態のブッシュ1は、逆向きに取り付けることができる。すなわち、内筒部材11の他端11e2側を入力側とすることができる。この場合、弾性体14の第2介在部分S2が圧縮部分として機能する一方、弾性体14の第1介在部分S1が伸張部分として機能する。また、外筒部材12に荷重入力をさせることもできる。
本実施形態に係るブッシュ1によれば、弾性体14は、内側部材11の第1傾斜部11p1と中間筒部材13の第1対向部n1との間に介在する第1介在部分S1を有し、当該第1介在部分S1を圧縮部分又は伸張部分として機能させることにより、弾性主軸O2の向きを変えることができる。このため、本実施形態に係るブッシュ1によれば、弾性主軸O2の向きを変えるにあたって外筒部材12を変更しないで済むため、従来のブッシュと同様に、車両サスペンション装置のサブフレーム等の支持部材にそのまま組み付けることができる。また内側部材11の第1傾斜部11p1に対応する第1対向部n1を中間筒部材13に設けたため、外筒部材12の影響を受けることなく、第1傾斜面13f1の角度B1を大きく確保することができる。このため、弾性主軸O2の傾きを大きく確保できる。従って、本実施形態に係るブッシュ1によれば、外筒部材12の形状を複雑にすることなく中心軸線O1に対して弾性主軸O2を傾けることができ、かつ、当該弾性主軸O2の傾きを大きく確保することが可能になる。
また本実施形態に係るブッシュ1では、弾性体14は、内側部材11の第2傾斜部11p2と中間筒部材13の第2対向部n2との間に介在する第2介在部分S2をさらに有し、当該第1介在部分S1を圧縮部分又は伸張部分として機能させることにより、弾性主軸O2の向きを変えることができる。この場合も、弾性主軸O2の向きを変えるにあたって外筒部材12を変更しないで済むため、従来のブッシュと同様に、車両サスペンション装置のサブフレーム等の支持部材にそのまま組み付けることができる。また内側部材11の第2傾斜部11p2に対応する第2対向部n2を中間筒部材13に設けたため、外筒部材12の影響を受けることなく、第2傾斜面13f2の角度B2を大きく確保することができる。このため、弾性主軸O2の傾きを大きく確保することに寄与できる。特に第1介在部分S1と共に作用させれば、弾性主軸O2の傾きを安定的に維持することができる。従って、本実施形態に係るブッシュ1によれば、弾性主軸O2の傾きをより大きく確保することができると共に、当該弾性主軸O2の傾きを安定的に維持することができる。
特に本実施形態に係るブッシュ1では、中間筒部材13は、内側部材11の中心軸線O1に沿って間隔を置いて配置された2つの環状部13b及び13cと、2つの環状部13b及び13cを連結すると共に、内側部材11の中心軸線O1周りに間隔を置いて配置された、2つの板状部13a(13a1及び13a2)とを有するものであり、中間筒部材13の第1対向部n1は、板状部13aの一方(一方の板状部13a1)に設けられた対向部であり、中間筒部材13の第2対向部n2は、板状部13aの他方(他方の板状部13a2)に設けられた対向部である。この場合、簡易な構成で、弾性主軸O2の傾きをより大きく確保することができると共に、当該弾性主軸O2の傾きを安定的に維持することができるブッシュとなる。
本実施形態に係るブッシュ1では、板状部13aの第1対向部n1は、板状部13aの一方(一方の板状部13a1)に設けられた折り曲げ部であり、板状部13aの第2対向部n2は、板状部13aの他方(他方の板状部13a2)に設けられた折り曲げ部である。この場合、更に簡易な構成で、弾性主軸O2の傾きをより大きく確保することができると共に、当該弾性主軸O2の傾きを安定的に維持することができるブッシュとなる。
本実施形態に係るブッシュ1は、2つの板状部13a(13a1及び13a2)の中心軸線O1周りの相互間に、折り曲げ部である、第1対向部n1及び第2対向部n2の一方の外側を通る流路P1で接続された2つの液室Rを有している。この場合、振動減衰効果に優れたブッシュとなる。
従って、本発明によれば、外筒部材12の形状を複雑にすることなく中心軸線O1に対して弾性主軸O2を傾けることができ、かつ、当該弾性主軸O2の傾きを大きく確保することが可能なブッシュ1を提供することができる。
ところで、本発明では、ブッシュ1の弾性主軸O2をより大きく傾斜させるためには、内側部材11の第1傾斜面11f1の径方向最外縁と中間筒部材13の第1傾斜面13f1の径方向最内縁とは、互いに径方向で重なり合うことが好ましい。これに対し、本実施形態では、内側部材11の第1傾斜面11f1の径方向最外縁と中間筒部材13の第1傾斜面13f1の径方向最内縁とを、互いに径方向で重なり合わせることなく、弾性体14に第1空洞部14aを形成している。この場合、内側部材11の第1傾斜面11f1の径方向最外縁と中間筒部材13の第1傾斜面13f1の径方向最内縁とを、互いに径方向で重なり合わせなくとも、ブッシュ1の弾性主軸O2を大きく傾かせることができる。
同様に、本発明では、ブッシュ1の弾性主軸O2をより大きく傾斜させるためには、内側部材11の第2傾斜面11f2の径方向最外縁と中間筒部材13の第2傾斜面13f2の径方向最内縁とは、互いに径方向で重なり合うことが好ましい。これに対し、本実施形態では、内側部材11の第1傾斜面11f1の径方向最外縁と中間筒部材13の第2傾斜面13f2の径方向最内縁とを、互いに径方向で重なり合わせることなく、弾性体14に第2空洞部14bを形成している。この場合、内側部材11の第2傾斜面11f2の径方向最外縁と中間筒部材13の第2傾斜面13f2の径方向最内縁とを、互いに径方向で重なり合わせなくとも、ブッシュ1の弾性主軸O2を大きく傾かせることができる。
なお、本実施形態では、内側部材11の第1傾斜面11f1及び中間筒部材13の第1傾斜面13f1は、互いに中心軸線O1の方向で重なり合わせるようにすることで、径方向に間隔を置いた状態に並置しているが、本発明では、互いに中心軸線O1の方向で重なり合うことなく、離間させることができる。内側部材11の第2傾斜面11f2及び中間筒部材13の第2傾斜面13f2も、同様で、本実施形態では、互いに中心軸線O1の方向で重なり合わせるようにすることで、径方向に間隔を置いた状態に並置しているが、本発明では、互いに中心軸線O1の方向で重なり合うことなく、離間させることができる。
また、本発明によれば、弾性体14の第1介在部分S1及び第2介在部分S2は、少なくともいずれか一方だけを採用することも可能であるが、弾性体14の第1介在部分S1及び第2介在部分S2のいずれか一方にのみに採用される場合に比べ、弾性主軸O2の向きを変化させるための作用が上下に生じるため、弾性主軸O2の傾斜角θ1を安定的に一定の状態に維持することができる。なお、本実施形態では、弾性主軸O2を傾かせる効果は、弾性体14を第1介在部分S1内で圧縮させたときの方が、弾性体14を第2介在部分S2内で引き伸ばしたときに比べて大きい。
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、本実施形態に係るブッシュ1の変形例では、中間筒部材13は、内側部材11の中心軸線O1に沿って間隔を置いて配置された2つの環状部13b及び13cと、2つの環状部13b及び13cを連結する、1つの板状部13a1とを有するものとし、中間筒部材13の傾斜面13f1を、当該板状部13a1の内側面とすることができる。この場合、簡易な構成で、外筒部材12の変更を行うことなく、弾性主軸O2の傾きを大きく確保できるブッシュとなる。
また中間筒部材13の第1対向部n1及び第2対向部n2は、中間筒部材13の軸方向端部(本実施形態では、環状部13b及び13cの少なくともいずれか一方の軸方向端部)を径方向内側に折り曲げて構成することができる。或いは、当該軸方向端部を縮径させた絞り部で構成することができる。
また本実施形態に係るブッシュ1は、車両の車幅方向の左右二箇所の少なくともいずれか一方に配置することができる。この場合、ブッシュ1は、内側部材11の中心軸線O1を車両上下方向として車両に取り付けられるものであって、内側部材11及び中間筒部材13の一方は、車両に取り付けられたときに車幅方向内側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部を有するものであり、内側部材11及び中間筒部材13の他方は、前記傾斜部の傾斜面と対向するように内側部材11及び中間筒部材13の一方に向かって突出した対向部を有するものであり、弾性体14は、少なくとも、前記傾斜部と前記対向部との間に介在する介在部分を有する。
更に本発明によれば、「傾斜部」を中間筒部材13に設けるとし、「対向部」は、内側部材11に設けるとすることもできる。同様に、本発明によれば、「他の傾斜部」を中間筒部材13に設けるとし、「他の対向部」は、内側部材11に設けるとすることもできる。
更にまた、本実施形態に係るブッシュ1は、流路P1で接続された2つの液室Rを有する液封ブッシュであるが、本発明に係るブッシュは、例えば比較的高粘生の液体が封入された1つの液室を有する液封ブッシュであってもよい
1:ブッシュ, 11:内側部材, 11a:本体部, 11e1:内側部材の一端, 11e2:内側部材の他端, 11f1:第1傾斜面(傾斜面), 11f2:第2傾斜面(他の傾斜面), 11p:膨出部, 11p1:第1傾斜部(傾斜部又は対向部), 11p2:第2傾斜部(他の傾斜部又は対向部), 12:外筒部材, 13:中間筒部材, 13a:板状部, 13b:環状部, 13c:環状部, 13f1:第1傾斜面(傾斜面), 13f2:第2傾斜面(他の傾斜面), 14:弾性体, n1:第1対向部(傾斜部又は対向部), n2:第2対向部(他の傾斜部又は対向部), O1:内側部材の中心軸線, O2:弾性主軸, P1:流路, R:液室, S1:第1介在部分(介在部分又は他の介在部分), S2:第2介在部分(他の介在部分又は介在部分)

Claims (4)

  1. 内側部材と、前記内側部材を取り囲む外筒部材と、前記外筒部材の径方向内側に配置された中間筒部材と、少なくとも、前記内側部材及び前記中間筒部材の間に配置された弾性体とを有し、
    前記内側部材及び前記中間筒部材の一方は、前記内側部材の中心軸線に対して傾斜した傾斜部を有するものであり、
    前記内側部材及び前記中間筒部材の他方は、前記傾斜部の傾斜面と対向するように前記内側部材及び前記中間筒部材の一方に向かって突出した対向部を有するものであり、
    前記弾性体は、前記傾斜部と前記対向部との間に介在する介在部分を有し、さらに、
    前記内側部材及び前記中間筒部材の一方は、前記傾斜部と前記内側部材の中心軸線を挟んで対向する位置であって前記傾斜部よりも前記内側部材に対して中心軸線方向にずれた位置に、前記内側部材の中心軸線に対して傾斜した他の傾斜部を有するものであり、
    前記内側部材及び前記中間筒部材の他方は、前記他の傾斜部の傾斜面と対向するように前記内側部材及び前記中間筒部材の一方に向かって突出した他の対向部を有するものであり、
    前記弾性体は、前記他の傾斜部と前記他の対向部との間に介在する介在部分をさらに有する、記載のブッシュ。
  2. 前記中間筒部材は、前記内側部材の中心軸線に沿って間隔を置いて配置された2つの環状部と、前記2つの環状部を連結すると共に、前記内側部材の中心軸線周りに間隔を置いて配置された、2つの板状部とを有するものであり、
    前記傾斜部又は前記対向部は、前記板状部の一方に設けられた傾斜部又は対向部であり、前記他の傾斜部又は前記他の対向部は、前記板状部の他方に設けられた他の傾斜部又は他の対向部である、請求項に記載のブッシュ。
  3. 前記傾斜部又は前記対向部は、前記板状部の一方に設けられた折り曲げ部であり、前記他の傾斜部又は前記他の対向部は、前記板状部の他方に設けられた折り曲げ部である、請求項に記載のブッシュ。
  4. 前記中間筒部材の前記2つの板状部の前記内側部材の中心軸線周りの相互間に、前記折り曲げ部の少なくとも一方の外側を通る流路で接続された2つの液室を有する、請求項に記載のブッシュ。
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