JPWO2004024611A1 - エレベータ巻上機のブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
回転部の内側には、電磁マグネットが配置されている。ブレーキアームには、電磁マグネットにより吸引されるアーマチュアが連結ピンを介して連結されている。電磁マグネットが励磁されていないときには、制動片が制動ばねにより制動面に押し付けられ、回転部の回転が摩擦制動される。また、電磁マグネットを励磁することにより、アーマチュアが電磁マグネットに吸引され、制動片が制動ばねに逆らって制動面から開離され、制動が解除される。
しかし、従来のブレーキ装置では、アーマチュアの全面を均等に吸引するためには、アーマチュアの取付角度を調整する必要があり、多大な調整時間を要する。また、制動ばねがブレーキアームの支点の反対側に設けられており、制動ばねによる押圧力によりブレーキアームに曲げモーメントが作用するため、ブレーキアームの強度を強くする必要があった。
この発明によるエレベータ巻上機のブレーキ装置は、内周に制動面が設けられた円筒状の回転部、エレベータ巻上機の固定部に対して固定されている支持部、回転部の内側に配置され、かつ支持部に揺動可能に支持されているブレーキアーム、ブレーキアームに搭載され、ブレーキアームの揺動により制動面に接離される制動片、及びブレーキアームを介して制動片を制動面に押し付けることにより回転部の回転を制動するとともに、制動片が制動面から開離するようにブレーキアームを吸引することにより回転部の制動を解除する押付け・吸引手段を備え、ブレーキアームと制動片との間には、第1の球面座が介在されており、ブレーキアームと押付け・吸引手段との間には、第2の球面座が介在されており、制動時には、第1及び第2の球面座を介して制動片がその中央部で制動面に押し付けられるようになっている。
図2は図1の制動片の取付構造を示す右側面図、
図3は図2のIII−III線に沿う断面図、
図4はこの発明の実施の形態2によるエレベータ巻上機のブレーキ装置を一部断面で示す正面図、
図5は図4の制動片の取付構造を示す右側面図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータ巻上機のブレーキ装置を一部断面で示す正面図である。図において、回転部である円筒状のブレーキドラム1は、エレベータ巻上機のモータの駆動力により回転される。また、ブレーキドラム1は、エレベータの主索が巻き掛けられる駆動シーブ(図示せず)とともに回転される。ブレーキドラム1の内周には、制動面1aが設けられている。
ブレーキドラム1の内側には、エレベータ巻上機の固定部に対して固定されている支持部としてのフレーム2が配置されている。フレーム2には、円弧状のブレーキアーム3がピン4を中心に揺動可能に支持されている。ブレーキアーム3は、制動面1aに対向するように、ブレーキドラム1の内側に配置されている。ピン4は、ブレーキアーム3の基端部に設けられている。
ブレーキアーム3の制動面1aに対向する面には、制動片収容凹部3aが設けられている。また、制動片収容凹部3aの底部には、ブレーキドラム1の径方向に延びブレーキアーム3を貫通するねじ孔3bが設けられている。
ブレーキアーム3の先端部近傍には、制動片5が搭載されている。制動片5は、制動片収容凹部3a内に配置されている。また、制動片5は、ブレーキアーム3の揺動により制動面1aに接離される。ブレーキアーム3と制動片5との間には、第1の球面座6が介在されている。第1の球面座6は、ねじ孔3bと同軸上に配置されている。制動片5の制動面1aに接する面と反対側の面の中央部には、第1の球面座6に接合される第1の球面凹部5aが形成されている。
ねじ孔3bには、第1の球面座6とは反対側からストローク調整ねじ7の一端部が螺着されている。ストローク調整ねじ7の他端部には、第2の球面座8が一体に形成されている。ストローク調整ねじ7の中間部には、ねじ孔3bへのストローク調整ねじ7の締め込み量を固定するロックナット9が螺着されている。
ストローク調整ねじ7の他端部には、円板状のアーマチュア10が連結されている。アーマチュア10と第2の球面座8との間には、受座11が介在されている。受座11には、第2の球面座8に接合される第2の球面凹部11aが形成されている。アーマチュア10には、第2の球面座8を受座11に押し付ける複数の球面座用板ばね12が取り付けられている。
フレーム2には、アーマチュア10に対向する電磁マグネット13が固定されている。電磁マグネット13とアーマチュア10との間には、制動片5を制動面1aに押し付けることにより、ブレーキドラム1の回転を制動する複数の制動ばね14が設けられている。
制動片5は、アーマチュア10、受座11、第2の球面座8、ストローク調整ねじ7、ブレーキアーム3及び第1の球面座6を介して、制動ばね14により制動面1aに押し付けられる。また、電磁マグネット13が励磁されることにより、制動ばね14に抗してアーマチュア10が電磁マグネット13に吸引され、制動片5が制動面1aから開離される。
実施の形態1における押付け・吸引手段15は、アーマチュア10、電磁マグネット13及び制動ばね14を有している。第1の球面座6は、第2の球面座8に対して、押付け・吸引手段15が第2の球面座8を押圧する方向に配置されている。即ち、第1及び第2の球面座6,8は、制動ばね14による押し付け力の合力ベクトルに沿って延びる直線上に配置されている。
次に、図2は図1の制動片5の取付構造を示す右側面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。図において、制動片5は、一対の制動片用板ばね16により第1の球面座6に押し付けられることによりブレーキアーム3に搭載されている。また、制動片5は、制動片用板ばね16により第1の球面座6の中心方向へ押し付けられている。制動片用板ばね16は、複数のボルト17によりブレーキアーム3に取り付けられている。
次に、動作について説明する。電磁マグネット13が励磁されていないときは、制動ばね14のばね力により制動片5が制動面1aに押し付けられ、ブレーキドラム1の回転が摩擦制動される。このとき、制動片5は、その中央1点で制動面1aに押し付けられる。
また、電磁マグネット13が励磁されると、アーマチュア10が制動ばね14に逆らって電磁マグネット13側へ吸引されて変位し、制動片5が制動面1aから開離される。これにより、ブレーキドラム1の制動が解除され、ブレーキドラム1は、モータの駆動力により駆動シーブとともに回転される。
さらに、制動片5の動作ストロークは、ロックナット9を緩め、ストローク調整ねじ7のねじ孔3bへの締め込み量を調整することにより調整される。即ち、ストローク調整ねじ7を締め込み、制動片5側へ変位させることにより、制動時のアーマチュア10と電磁マグネット13との間のギャップが大きくなり、制動片5の動作ストロークも大きくなる。逆に、ストローク調整ねじ7を緩め、電磁マグネット13側へ変位させることにより、制動時のアーマチュア10と電磁マグネット13との間のギャップが小さくなり、制動片5の動作ストロークも小さくなる。
このようなブレーキ装置では、ブレーキアーム3と制動片5との間に第1の球面座6を設けただけではなく、ブレーキアーム3とアーマチュア10との間にも第2の球面座8を設けたので、ブレーキアーム3に対してアーマチュア10の吸引面の精度が低くても、アーマチュア10の取付角度の調整をすることなく、安定した吸引動作を実現することができる。
また、第1の球面座6は、第2の球面座8に対して、押付け・吸引手段15が第2の球面座8を押圧する方向に配置されているので、ブレーキアーム3に曲げモーメントが作用せず、ブレーキアーム3の強度を低減させることができ、ブレーキアーム3を薄肉化することができる。
さらに、第2の球面座8を受座11に押し付ける球面座用板ばね12がアーマチュア10に取り付けられているので、開放動作時にアーマチュア10から第2の球面座8及び受座11が離れることがなく、開放動作を安定させることができる。また、開放動作時にブレーキアーム3を引き寄せることができる。
さらにまた、制動片5は、制動片用板ばね16により第1の球面座6に押し付けられることによりブレーキアーム3に搭載されているので、制動片用板ばね16を取り外すたけで、制動片5の取り外しや交換を容易に行うことができる。従って、ブレーキドラム1内の狭い空間に実装されているブレーキ装置であっても、保守性を向上させることができる。
また、制動片5は、制動片用板ばね16により第1の球面座6の中心方向へ押し付けられているので、制動片5が制動面1aに倣った姿勢を常に維持したまま変位され制動面1aに当接する。従って、制動片5をブレーキドラム1に安定して押し付けることができる。
実施の形態2.
次に、図4はこの発明の実施の形態2によるエレベータ巻上機のブレーキ装置を一部断面で示す正面図、図5は図4の制動片の取付構造を示す右側面図である。
図において、アーマチュア10には、ブレーキアーム3の制動片3に対してピン4(支点)とは反対側の端部である先端部を貫通する固定ロッド21が固定されている。固定ロッド21の先端部には、ばね受け部21aが設けられている。ばね受け部21aとブレーキアーム3の先端部との間には、ブレーキアーム3を押付け・吸引手段15側へ付勢する第1のガタ防止ばね(コイルばね)22が設けられている。
ブレーキアーム3のピン4の近傍(制動片5よりもピン4側)とアーマチュア10との間には、ブレーキアーム3を押付け・吸引手段15から開離させる方向へ付勢する複数の第2のガタ防止ばね23が設けられている。これらのガタ防止ばね23は、ピン4の軸方向の中心に対してピン4の軸方向に均等に振り分けられて配置されているとともに、ピン4の軸方向の長さの範囲内に配置されている。
このようなブレーキ装置では、ブレーキアーム3が第1のガタ防止ばね22により押付け・吸引手段15側へ付勢されているので、ピン4とブレーキアーム3及びフレーム2との間に製造誤差等による隙間が存在しても、ピン4が常に一定方向に押さえ付けられる。従って、ブレーキアーム3の動作にガタが生じるのが防止され、ブレーキアーム3の動作を安定させることができる。
また、第2の球面座8及び受座11は、第1のガタ防止ばね22によりアーマチュア10に押し付けられるので、実施の形態1で示した球面座用板ばね12を省略することができる。
さらに、ブレーキアーム3のピン4の近傍とアーマチュア10との間には、ブレーキアーム3を押付け・吸引手段15から開離させる方向へ付勢する第2のガタ防止ばね23が配置されているので、図5の矢印Aに示すような捻り力の外乱がブレーキアーム3に作用した場合でも、ブレーキアーム3の動作にガタが生じるのが防止され、ブレーキアーム3の動作を安定させることができる。
なお、上記の例では、アーマチュア10とブレーキアーム3との間に第1のガタ防止ばね22を設けたが、電磁マグネット13とブレーキアーム3との間に設けてもよい。
また、上記の例では、アーマチュア10とブレーキアーム3との間に第2のガタ防止ばね23を設けたが、電磁マグネット13とブレーキアーム3との間に設けてもよい。
さらに、上記の例では、第1及び第2のガタ防止ばね22,23を設けたが、第2のガタ防止ばね23を省略して第1のガタ防止ばね22のみを設けてもよい。
さらにまた、第1のガタ防止ばね22を省略して第2のガタ防止ばね23のみを設けてもよい。この場合、例えば実施の形態1で示した球面座用板ばね12等により第2の球面座8を押付け・吸引手段15に押し付ける必要がある。
さらにまた、図1及び図4では、ブレーキ装置を1台のみ示したが、2台のブレーキ装置をブレーキドラム内に左右対称に配置してもよい。また、3台以上のブレーキ装置をブレーキドラム内に配置することもできる。
Claims (5)
- 内周に制動面が設けられた円筒状の回転部、
エレベータ巻上機の固定部に対して固定されている支持部、
上記回転部の内側に配置され、かつ上記支持部に揺動可能に支持されているブレーキアーム、
上記ブレーキアームに搭載され、上記ブレーキアームの揺動により上記制動面に接離される制動片、及び
上記ブレーキアームを介して上記制動片を上記制動面に押し付けることにより上記回転部の回転を制動するとともに、上記制動片が上記制動面から開離するように上記ブレーキアームを吸引することにより上記回転部の制動を解除する押付け・吸引手段
を備え、上記ブレーキアームと上記制動片との間には、第1の球面座が介在されており、上記ブレーキアームと上記押付け・吸引手段との間には、第2の球面座が介在されており、上記第1の球面座は、上記第2の球面座に対して、上記押付け・吸引手段が上記第2の球面座を押圧する方向に配置されているエレベータ巻上機のブレーキ装置。 - 上記第2の球面座は、球面座用板ばねにより押付け・吸引手段に押し付けられている請求項1記載のエレベータ巻上機のブレーキ装置。
- 上記制動片は、制動片用板ばねにより上記第1の球面座に押し付けられることにより上記ブレーキアームに搭載されている請求項1記載のエレベータ巻上機のブレーキ装置。
- 上記ブレーキアームの上記制動片に対して支点とは反対側と上記押付け・吸引手段との間には、上記ブレーキアームを上記押付け・吸引手段側へ付勢するガタ防止ばねが設けられている請求項1記載のエレベータ巻上機のブレーキ装置。
- 上記ブレーキアームは、ピンを介して上記支持部に支持されており、上記ブレーキアームの上記ピンの近傍と上記押付け・吸引手段との間には、上記ブレーキアームを上記押付け・吸引手段から開離させる方向へ付勢する複数のガタ防止ばねが設けられており、上記ガタ防止ばねは、上記ピンの軸方向の中心に対して上記ピンの軸方向に均等に振り分けられて配置されているとともに、上記ピンの軸方向の長さの範囲内に配置されている請求項1記載のエレベータ巻上機のブレーキ装置。
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