JP2005029287A - エレベータ用巻上機のブレーキ装置 - Google Patents

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Hirofumi Sagawa
浩文 佐川
Naoki Hamaguchi
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Abstract

【課題】球面座が摩擦保持により並進方向に移動できない場合でも、制動片をブレーキドラム回転方向に追従可能にしてブレーキドラム面に完全に密着した状態で回転保持でき、安定したブレーキ保持力が得られるようにしたエレベータ用巻上機のブレーキ装置を得る。
【解決手段】エレベータ運転時は電磁マグネットを付勢し、ブレーキばねの押圧力に抗して制動片をブレーキドラムの制動面から後退させて駆動綱車のブレーキを解除し、エレベータ停止時は電磁マグネットを消勢し、ブレーキばねの押圧力によって制動片をブレーキドラムの制動面に押圧させて駆動綱車にブレーキを与えるようにしたものにおいて、ブレーキドラムの制動面に対し接離可能に設けられた制動片を、球面座を介してブレーキアームに取り付け、制動片の球面座の球半径をブレーキドラム円とほぼ同一円中心となる大きさにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はエレベータ用巻上機のブレーキ装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のエレベータ用巻上機のブレーキ装置においては、ブレーキ腕、ブレーキばね、ブレーキドラムに対向したブレーキシューからなる制動片、ブレーキ腕に挿通されたねじ棒を主要部材として構成され球面座を介して制動片をブレーキ腕に保持する保持具や支持板に設けられて連結ピンによりブレーキ腕の長手中間に連結された電磁石装置等によって構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−289954号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のエレベータ用巻上機のブレーキ装置では、ドラム回転負荷がかかると、球面座と球面座の球半径が小さく、しかもその球中心とドラム円中心とが一致していないため、球面座はドラム回転半径より小さい球半径で回転しようとする。そのため、制動片は端部側に強く当ることになり、その他端部はドラムに対して逃げる方向に動作して、ドラム面に不完全に密着することになり、不安定なブレーキ保持状態になるという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、球面座が摩擦保持により並進方向に移動できない場合でも、制動片をブレーキドラム回転方向に追従可能にしてブレーキドラム面に完全に密着した状態で回転保持でき、安定したブレーキ保持力が得られるようにしたエレベータ用巻上機のブレーキ装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベータ用巻上機のブレーキ装置は、エレベータ運転時は電磁マグネットを付勢し、ブレーキばねの押圧力に抗して制動片をブレーキドラムの制動面から後退させて駆動綱車のブレーキを解除し、エレベータ停止時は電磁マグネットを消勢し、ブレーキばねの押圧力によって制動片をブレーキドラムの制動面に押圧させて駆動綱車にブレーキを与えるようにしたものにおいて、ブレーキドラムの制動面に対し接離可能に設けられた制動片を、球面座を介してブレーキアームに取り付け、制動片の球面座の球半径をブレーキドラム円とほぼ同一円中心となる大きさにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータ用巻上機のブレーキ装置を示す要部正面断面図、図2は同じく要部側面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図である。
エレベータ用巻上機のブレーキ装置は概略次のように構成されている。すなわち、エレベータかごの運転時はブレーキ装置の電磁マグネットを付勢し、ブレーキばねの押圧力に抗して制動片をブレーキドラムの制動面から後退させて駆動綱車のブレーキを解除する。また、エレベータかごの停止時は電磁マグネットを消勢し、ブレーキばねの押圧力によって制動片をブレーキドラムの制動面に押圧させて駆動綱車にブレーキを与える。図において、筐体1にブレーキ装置が取り付けられている。このブレーキ装置は、電磁マグネット2と、この電磁マグネット2に内蔵された押付ばね3と、アーマチュア4と、ブレーキアーム5と、このブレーキアームの支点であるピン6と、押付方向の中央の1点でブレーキアーム5に貫通して取り付けられたストローク調整ねじ7aと、このストローク調整ねじ7aの頭部に設けられた第一の球面座7bと、上記ストローク調整ねじ7aを上記ブレーキアーム5に固定するためのロックナット8と、上記アーマチュア4に設置され、上記ストローク調整ねじ7a頭部の第一の球面座7bを受け止める受け座9と、この受け座9と球面座7bを上記アーマチュア4に押し付けて固定するための第一の板ばね10と、ブレーキドラム14の制動面に対し接離可能に構成された制動片11と、上記ブレーキアーム5に設置された第二の球面座である制動片11の球面座12と、上記ブレーキアーム5と制動片11との間に形成された回転トルクの荷重受け部11aと、上記第二の球面座12を介して上記制動片11を上記ブレーキアーム5に固定する第二の板ばね13と、内周を制動面とするブレーキドラム14とを備えている。上記第二の球面座12は、その球半径をブレーキドラム円とほぼ同一円中心となる大きさにしている。また、ブレーキアーム5と制動片11との間に形成される回転トルクの荷重受け部11aは、ブレーキドラムに対してのブレーキアーム5の組み付け誤差を吸収させるための隙間を形成する。また、第二の板ばね13の押し付け方向は、図3に示すように、第二の球面座12の中心方向である。なお、ブレーキドラム14は駆動綱車(図示せず)と一体に形成されている。
【0008】
上記のように構成されたエレベータ用巻上機のブレーキ装置の動作を説明する。電磁マグネット2に内蔵した押付ばね3のばね力によりアーマチュア4を通じて、第一の球面座7b、ストローク調整ねじ7aを介して、ブレーキアーム5、第二の球面座12、制動片11に伝達され、制動片11がブレーキドラム14の制動面を押し付けることにより、ブレーキが働く。この時、アーマチュア4の押し付け動作により、ブレーキアーム5が支点ピン6を中心に揺動し、制動片11はこのブレーキアーム5の揺動と同期して揺動する。ブレーキドラム14に回転負荷トルクがかかった際、ブレーキアーム5と制動片11との間に形成される回転トルクの荷重受け部11aに隙間がある場合、制動片11はその隙間分球面座12の球面に沿って移動し回転保持する。隙間がない場合でも、制動片11は球面座12の球面に沿う方向に回転しようとしながら回転保持する。この発明の実施の形態1では、第二の球面座12の球半径をブレーキドラム円とほぼ同一円中心となる大きさにしているため、隙間がある場合で球面座12が摩擦保持により並進方向に移動できない時でも、制動片11はブレーキドラム回転方向に追従しながら回転トルクの荷重受け部11aに当り、回転保持する。また、隙間がない場合でもブレーキドラム回転方向に追従しようとしながら回転保持する。このように、制動片11はブレーキドラム回転に常に追従可能なため、ブレーキドラム面に完全に密着した状態で回転保持することができ、安定したブレーキ保持力を得ることができる。
【0009】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2におけるエレベータ用巻上機のブレーキ装置を示す要部正面断面図である。
この実施の形態2では、ブレーキアーム5に設置された第二の球面座である制動片11の球面座12aの凸部球半径をブレーキドラム円とほぼ同一円中心となる大きさにし、且つ、制動片11の球面座12aを受け止める制動片11の受け座11bである凹部球半径を上記凸部球半径よりも大きくしている。それ以外は実施の形態1と同様の構成である。
【0010】
この発明の実施の形態2におけるエレベータ用巻上機のブレーキ装置では、制動片11の球面座12aを受け止める制動片11の受け座11bである凹部球半径を上記凸部球半径よりも大きくしたことにより、球面同士の接触が中央部となり、ブレーキドラム回転方向以外の方向に対しても追従性が向上され、より安定したブレーキ保持力が得られる。
【0011】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、ブレーキドラムの制動面に対し接離可能に設けられた制動片を、球面座を介してブレーキアームに取り付け、制動片の球面座の球半径をブレーキドラム円とほぼ同一円中心となる大きさにしたので、制動片はブレーキドラム回転に常に追従可能なため、ブレーキドラム面に完全に密着した状態で回転保持することができ、安定したブレーキ保持力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1におけるエレベータ用巻上機のブレーキ装置を示す要部正面断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるエレベータ用巻上機のブレーキ装置を示す要部側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2におけるエレベータ用巻上機のブレーキ装置を示す要部正面断面図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 電磁マグネット
3 押付ばね
4 アーマチュア
5 アーム
6 ピン
7a ストローク調整ねじ
7b 第一の球面座
8 ロックナット
9 第一の球面座の受け座
10 第一の板ばね
11 制動片
11a 荷重の受け部
11b 第二の球面座の受け部
12 第二の球面座
13 第二の板ばね
14 ブレーキドラム

Claims (6)

  1. エレベータ運転時は電磁マグネットを付勢し、ブレーキばねの押圧力に抗して制動片をブレーキドラムの制動面から後退させて駆動綱車のブレーキを解除し、エレベータ停止時は電磁マグネットを消勢し、ブレーキばねの押圧力によって制動片をブレーキドラムの制動面に押圧させて駆動綱車にブレーキを与えるようにしたエレベータ用巻上機のブレーキ装置において、前記ブレーキドラムの制動面に対し接離可能に設けられた制動片を、球面座を介してブレーキアームに取り付け、前記制動片の球面座の球半径を前記ブレーキドラム円とほぼ同一円中心となる大きさにしたことを特徴とするエレベータ用巻上機のブレーキ装置。
  2. ブレーキアームと制動片との間に形成される回転トルクの荷重受け部に、ブレーキドラムに対してのアームの組み付け誤差を吸収させるための隙間を形成したことを特徴とする請求項1記載のエレベータ用巻上機のブレーキ装置。
  3. 球面座を介して制動片をブレーキアームに固定する板ばねを備え、この板ばねの押し付け方向を前記球面座の中心方向としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレベータ用巻上機のブレーキ装置。
  4. エレベータ運転時は電磁マグネットを付勢し、ブレーキばねの押圧力に抗して制動片をブレーキドラムの制動面から後退させて駆動綱車のブレーキを解除し、エレベータ停止時は電磁マグネットを消勢し、ブレーキばねの押圧力によって制動片をブレーキドラムの制動面に押圧させて駆動綱車にブレーキを与えるようにしたエレベータ用巻上機のブレーキ装置において、前記ブレーキドラムの制動面に対し接離可能に設けられた制動片を、球面座を介してブレーキアームに取り付け、前記制動片の球面座の球半径を前記ブレーキドラム円とほぼ同一円中心となる大きさにし、且つ前記制動片の球面座を受け止める制動片の受け座である凹部球半径を前記凸部球半径よりも大きくししたことを特徴とするエレベータ用巻上機のブレーキ装置。
  5. ブレーキアームと制動片との間に形成される回転トルクの荷重受け部に、ブレーキドラムに対してのアームの組み付け誤差を吸収させるための隙間を形成したことを特徴とする請求項4記載のエレベータ用巻上機のブレーキ装置。
  6. 球面座を介して制動片をブレーキアームに固定する板ばねを備え、この板ばねの押し付け方向を前記球面座の中心方向としたことを特徴とする請求項4又は請求項5記載のエレベータ用巻上機のブレーキ装置。
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